|
|
|
マルチコントローラ |
測距点45点 |
ミラーショック比較(三脚使用) |
|
|
|
明暗差−1 |
明暗差−2 |
Dpreview Ranking |
● 経歴を少し
初代5D(12年前)、5Dmk2と使ってきたがDR(ダイナミックレンジ)不足から風景写真に向かないと判断。その後、ニコンD750を使用。レンズ資産を寝かせておくのが忍びなく、5年ぶりにキャノンフルサイズを買うことに。他にシグマ、ソニー、オリンパスを使用。
● 良いところ
・ 絵としての品質は高い。
発色、コントラスト、細部の描写も明快、クリアー。ただ、赤がやや主張し鮮やかになり過ぎる傾向が強い。(記憶色優位)
・ 動画撮影中に液晶タッチでAFのオフ/オンが可能。前を横切る物、花火撮影などで有益。
・ ミラーショックの影響は手持ちでほぼ無し。
(D750は望遠レンズ使用時、手持ちでも実害が出る)
*画像3は300mm相当、三脚使用時。
● 良くないところ
・ マルチコントローラの差別化;
7D、5DシリーズなどはAFポイントの移動操作は親指直近にあり、やりやすかったが本機は親指をかなり下に移動し、左右動作も大きくなった。グリップの握りを緩めないとかなり窮屈。この背面電子ダイヤルは三重構造で複雑。これは製造コストの削減と言うより、使いにくくする目的で設計されたとしか思えない。
*画像1参照
・ AFポイントを移動した後、一回で中央に戻せない;
最大6回も押さないと定位置に戻せない。SETボタンでの復帰はできない。
・ 45測距点が中央部に集中;
80Dからの流用のため、フルサイズに適応してない。手抜きもいいところである。
*画像2参照
・ 動画30分の壁;
29分59秒で強制終了。大事なスピーチやスポーツシーンで神経を使う。
因みにパナソニックは記録中は常にファイルは継続、生成される。
・ 動画撮影中(MF時)のピント拡大不可。ピーキング無し。
・ マニュアルWB登録は1個のみ;
室内照明や風景写真では状況によって白紙で合わせ直しである。その都度MF/AF切り替えも必要。D750は6個、OMD E-M1でも4個が登録可能。かなりWBを軽視した設計。
・ WBボタンがそもそも無い;
AFゾーン選択ボタンが重複しているにも拘わらず、ダイヤル割り当ても非対象。理解に苦しむ。
・ 再生画像情報に焦点距離無し;
他社ではほとんどある基本情報だが、確認したい時は多く仕様に疑問。
・ "F8"のAFはかなり不定的;
300mmF4L IS & テレコン2xII型での印象。
> 明るいところでも3割でAFは効かない。
> 明るくてもコントラストが弱いと5割でAFは効かない。
> 明るく思える室内照明でも6割でAFは効かない。
・ パノラマ機能無し;
歪曲無し超広角写真はとても付加価値が高く常用ニーズは強い。他社ではよくある機能。
・ インターバルタイマーはライブビューで使用不可;
高位置からの連続撮影が一脚で容易に撮れるか、脚立を持ち歩かなければならないかの大きな違い。一回実行する度にオフになるのも使いづらい。
・ クロップ機能無し;
ニコン、ソニーは標準装備。
● AF、動体追従、連写
AFを狙った位置で追う「領域拡大」が無い。「ゾーンAF」は測距9点のうち、ピントが顔にいくか肩にいくか不確定的。バッファーフルでもないのにシャッターが数秒間切れない時がそこそこある。(EF300mmf4、連写、AIサーボ)
テレコン(300mm + 1.4xIII型)を付けるとAFの食いつきは途端に悪くなる。また連写秒6.5コマ(仕様)とあるが「AIサーボ」にすると秒2.5コマ程度に落ちる。D750はテレコン1.7xでもほとんど連写は落ちない。
● 階調性
*画像4、5:冬の柔らかな日差しの風景。
日照部を生かすと日陰が夜のように暗くなり、日陰を生かすと日照部が大きく白飛びする。コンデジのような酷い写真である。ALO:強でも大差ない。HDR(露出差3コマ合成)も全体に紗がかかったようになり性能はそれほど良くない。RAW撮りでシャドーを持ち上げても、発色は冴えない。晴天日にJPGで撮るリスクは特に大きい。
キャノンは裏面照射型CMOSのような技術革新をしていないからか、晴天日の風景写真は特に厳しい。1600万画素程度の実力しかないのに戦略上、高画素化したことで裏目に出ているのだろう。
Dpreview.comのレビュー結論部ではDRは競合他社のAPS−C機などより劣ると指摘している。技術進歩の激しい近年にあって総合評価「80」はかなり低い数値。既にキャノンはコスパの優れた商品を生み出せなくなっている。ランキングからも凋落が読み取れる。6Dmk2も7Dmk2もランク外。DXOMARKでも然り。
*画像6:Dpreviewランキング(Gold)
● 満充電の撮影枚数(冬場)
・RAW(平均40MB): 約900枚
・JPG-L(平均16MB): 約1,100枚
・充電時間: 1時間55分
● 総評
仕様は万事が中途半端である。画質は確かに明快でクリアーだが階調幅に十分に納まっている場合の話し。晴天日の風景写真ははっきり言って厳しい。測距点はオールクロス45点あっても動体追従には厳しい。
キャノンはCMに巨額投資する一方で、商品で手抜き、ブランドの上にあぐらをかいているように思う。ISOオートや水準器実装など、他社で当たり前の機能でも何年も遅れて導入してきた過去がある。ALOや可動液晶もそうである。敢えてユーザーの利便性を追求しない開発姿勢を感じる。
現在、14万円台に下がってきているが、それでも決して安価なカメラでは無い。晴天日の風景写真の弱点を十分了解して購入する必要がある。