(2)合意を明確に認定できない(契約書に記載がない)場合
次の順序で判定します。
?連帯債務によって受けた利益の割合
例:全額ローンで住宅を購入した場合であれば、購入住宅の登記簿記載の共有持分割合が負担割合と推定されます。
?各自平等の割合
上記で決まらない場合は頭割りです。夫婦であれば50%となります。
連帯債務は住宅ローンが1本で、夫婦や親子など複数人が同一のローンについて返済責任を負う仕組みです。主債務者・連帯債務者という立場の違いはありますが、契約上はいずれもローン全体について返済義務を負います。そのため、共働き世帯では、収入や持分に応じて借入割合・持分・実際の返済負担を一致させることで、家計の実態に即した形で住宅取得を進めやすい方式といえます。
■共働きなら「連帯債務」が実態に合っている
なお、これらが一致していない場合には、夫婦間・親子間で贈与とみなされる可能性がある点には注意が必要です。
結局、どっちを選んだほうがいいのかというと、共働きなら連帯債務のほうが負担と責任の実態に合いやすいです。なぜなら、夫婦それぞれが収入を持ち、持分に応じて返済を負担しているからです。さらに、連帯債務であれば住宅ローン控除を夫婦それぞれが利用できるメリットもあります。住宅ローン控除は税金から直接控除額を差し引く「税額控除」のため手取りが増える効果が大きい控除です。
また、ペアローンという制度もあります。これは、夫婦それぞれが独立した住宅ローンを組む方式です。それぞれが主債務者になるため、双方が住宅ローン控除を利用でき、返済の責任範囲も明確です。
ただし、ローンが夫と妻で2本になるので手数料や諸費用がその分かかり、手続きも煩雑になります。ペアローンは、夫婦がそれぞれ独立したローンを契約するのに対し、連帯債務は夫婦で1つのローンを契約するため2人で共同で責任を持つという違いがあります。
■夫婦で連帯債務の場合は「それぞれに団信」が必須
夫婦で住宅ローンを組む際には、もう1つ重要なポイントがあります。
森田貴子『世帯年収1000万円超の人が知っておきたいお金のルール』(あさ出版)それは、「万が一」に備える保険の加入です。住宅ローンの契約者は、通常「団体信用生命保険(団信)」に加入します。これは、契約者が死亡または高度障害になった場合に、その人の借入残高がゼロになる保険です。
次の場合、1つのローンに対してどのような加入が必要になるのでしょうか。
・夫のみが借入れ=夫だけに団信が適用。
・夫婦で連帯債務=それぞれの借入に団信加入が必要
連帯債務は、借入、返済、経済的リスクを現実どおりに2人で背負う設計です。法的構造が、結果として実態に合った責任分担になるわけです。
連帯債務であっても、団信に加入していなければ、相手が亡くなったあとに残された借入れを背負うリスクがあるため、各自での保険加入は必須です。取り扱う金融機関は限られていますが、一部の金融機関では、夫婦のどちらかが死亡した場合にペアローン全体の債務が完済される連生団信という商品を提供しています。
「連帯保証」と「連帯債務」の違いを知っておくことは、共働き世帯にとって非常に大切なことです。
・実態に即した持分割合と借入割合
・万が一に備えた保険加入
・借り方によって変わる責任の範囲
これらを踏まえて、家族にとって最適な形でのローン契約を選択していきましょう。
----------
森田 貴子(もりた・たかこ)
富裕層専門税理士
税理士30年、起業22年目。山口県の起業一家に生まれ社長を支えたいと大学院卒業後25歳で税理士に。経済学修士・商学修士・MBA(豪州)。アーサーアンダーセンなど世界4大会計事務所を経て2003年会計事務所を創業。YojiYamamoto、ダイエーなど100件以上の大型再生案件を税務チームとして担当。日本有数のお金持ちの領収書1000万枚以上や申告から共通するお金の使い方と価値観を発見。栄枯盛衰を見た学びから、税金の正しい知識と自分資産を継続的に積み上げることの大切さを伝えている。明治大学や会計大学院での特別講義、東京都年収の壁セミナー講師、東京商工会議所税務相談員を務める。2023年フジテレビ「めざまし8」専門家出演。著書に『億万長者になるお金の使い方』(SBクリエイティブ)、『儲けのしくみがわかる!決算書の読み方』(三笠書房)、『幸せへのマネーバイブル 新・女性のライフステージ別ガイドブック』(中央経済社)などがある。
----------
(富裕層専門税理士 森田 貴子)