【漫画】本編を読む→夜逃げ屋?果たしてどんな仕事なのか!?子どもの頃から漫画の世界に魅了され、数々の作品を生み出してきた宮野シンイチさん。そんな彼が2022年8月、X(旧Twitter)に投下した一作がネット上をざわつかせた。タイトルは『夜逃げ屋日記』。いわゆる裏稼業とされる「夜逃げ屋」の現場に同行し、その実態を描いた衝撃作だ。
■「ほぼ実話」だからこそ伝わる現場の緊張感
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1-5本作は実在する業者の活動を
モデルにしているが、宮野さんはこれをあえて「完全なノンフィクション」ではなく「ほぼ実話」と位置付けている。そこには、漫画として読みやすくするための計算された演出があるからだ。
例えば第2話。依頼人の
部屋に
制服姿の
警察官が2人立っているシーンがあるが、実際の現場にいたのはスーツ姿の刑事だったという。絵にした際、スーツでは
警察関係者だと一目で伝わりにくい。読者に状況を即座に理解してもらうため、あえて
制服姿へと変更を加えたのだ。事実に忠実でありながら、伝えるための工夫を凝らす。そのバランス感覚が、作品のリアリティを支えている。
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借金苦からDV被害へ。様変わりした「逃げる理由」
宮野さんがこの仕事に関心を持った原点は、約30年前に放送されたドラマ『夜逃げ屋本舗』だった。かつては、
多重債務で首が回らなくなった人が利用するもの、というイメージが強かった夜逃げ屋。しかし取材を進めるうちに、その実情が大きく様変わりしていることに驚かされたという。
現在、依頼の多くを占めるのは
借金問題ではない。DVや児童虐待、深刻な
ストーカー被害など、近年ニュースで頻繁に取り沙汰される
社会問題が背景にあるのだ。現代における夜逃げ屋は、金銭トラブルの解決策というよりも、命の危険に晒された人々を物理的に隔離し、守るための「
シェルター」としての役割を担っていると言える。
■「裏稼業=強面」のイメージを覆すスタッフの優しさ
「裏稼業」と聞けば、強面で荒っぽい男たちが暗躍する世界を想像してしまうのが一般的だろう。宮野さん自身も当初は「関わったら危険なのではないか」と相当警戒していたそうだ。
しかし、実際に会ったスタッフたちの印象は真逆だった。彼らは一様に気さくで、何よりも依頼者の不安に寄り添う優しさを持っていた。「もし本当に威圧的な人たちだったら、追い詰められた依頼者が心を開いて
相談することなんてできないはず」と宮野さんは分析する。
世間の抱く「危ない世界」という偏見とは裏腹に、そこには人を救おうとする温かいプロ意識が存在していた。『夜逃げ屋日記』の根底に流れているのは、そうした現場の真摯な温度感なのだ。まだ作中に登場していないスタッフもおり、全員が揃って初めて描けるエピソードも控えているというから楽しみだ。
■挫折を経て掴んだX(旧Twitter)での成功
かつては商業誌での連載を目指し、原作者として活動していた宮野さん。しかし結果が出ず、苦悩の末にXへの投稿というスタイルへ活路を見出した。最初はフォロワーも少なく反応も薄かったが、このシリーズが起爆剤となり、今では多くの読者から熱い支持と感想が寄せられている。
「たくさんの人に読んでもらい、感想をもらえる現状が本当に幸せ」と語る宮野さん。今後も描ける限りこのテーマを追求していきたいと意欲は尽きない。X上では本編以外のアナザーストーリーも公開されており、特殊な現場を通して浮き彫りになる人間の弱さや強さ、そして複雑な人間模様から目が離せない。
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