サイゼリヤは1000円あればお腹いっぱいになれるコスパ最強の店とお客さんから評価されている。ミラノ風ドリアやスパゲティなども人気だが、なかでもハンバーグは400円(税込、以下同じ)と驚きの価格である。
ライス(中)をつけても550円。一人暮らしなら、スーパーで食材を買って家で作るより、
サイゼリヤでテイクアウトしたほうが時間や調理負担を考えても、経済的だろう。牛肉100%、付け合わせは目玉焼き、コーン、ポテトでこの価格とは、物価高などいろいろな要因で
値上げが回避できない状況にある
外食業界で、信じ難い価格である。
◆どうすればこの価格で提供できるのか?
それは創業者がチェーンストア理論をベースに、将来の変化を科学・分析することで店を柔軟に適合させていくという考えの上で、最適なビジネスモデルを確立したからだ。
外食他社のように複数の業態を持ち、管理する「ブランド・ポートフォリオ戦略」からは一線を画し、単一業態に一点集中し、改善を重ねて確立させた効率的・効果的な仕組みである。
衣料品業界で有名な「SPA(製造小売り:商品の企画から生産、販売までの機能を垂直統合したビジネスモデル)」のように、
サイゼリヤは
外食業において製造直販業を目指しているからだ。自ら商品開発〜食材の生産〜加工〜配送まで一貫して行い、生産と販売のリズムを一体化させ、高品質と低価格販売を両立させるのである。
これらの最大のメリットは、品質と価格を自社で管理統制できる点である。中間にさまざまな事業者を介入させると、その分だけ意思疎通が難しくコストも膨らんでくる。それらを排除し、整理することで、高品質で低価格の商品がスムーズに提供できるのである。自ら産地に赴き、素材の開発、素材の採り方、保管の仕方、加工の仕方、輸送の仕方に至るまで、すべての工程に踏み入り、品質の向上とムダの削減に取り組んでいるようだ。
◆100%直営店だから実現できる合理的基盤
サイゼリヤでそれらを効果的に管理統制するために「計画生産」に取り組んでいるが、これらが実現できるのは「?約1500店のすべてが直営店舗」だからだ。そのため日々の商品販売のデータや客数動向をリアルタイムで管理することが可能なこと。
そして「?40年以上主力となる基本商品を変えずに販売し、辛味チキン・サラダ・ミラノ風ドリア・ハンバーグといった主力商品があること」である。40年以上売り続けている間に専用農場・専用工場を持てるようになり、販売実績を積み上げることでさらに進化させている。最適な原料を使い、美味しさを磨き上げることを課題に日々改善に取り組み、その結果、顧客に支持されるロングセラー商品を多く出しているのである。
サイゼリヤでは<自社農場での種や土壌・栽培方法の開発研究、ソースやハンバーグ加工の自社工場の運営、自社工場からの毎日配送など、素材開発から加工機能・製造機能を自社で保有し管理統制>(HPより一部引用)をしている。
品揃えにおいても、むやみにメニューを増やさず、定期的に季節折々の企画でお客さんの来店を促すなど、身の丈にあった商品開発を心がけているようだ。