都内のとあるサービス工場にぽつりと置いてある3輪トラックを発見した。フロントには「LEO」のエンブレムがありどうやら三菱製らしい。昭和30年代に日本で3輪自動車が流行ったようで、狭い路地でも重宝されたそう。一方で安定性に掛けて横転(側転?)などのトラブルが起こりやすかったこともあり、やがて市場からは消えてしまったらしい。でもクリっとしたヘッドランプとフロント1輪のバランスは、愛玩動物のような表情にも見えてなんとも愛くるしい。
【画像】レアで可愛い三輪自動車、三菱レオ(写真12点)
まずキャビン形状が独特。とんとんとボディを叩いてみると、どうやらオール・スチール製。密閉式なので冬でも暖かであったのだろう。今では当たり前だが新車時はドアライナーが装備されていたらしい。静粛性もある程度は確保されていたようだ。左右ウインドウは開口部が広い。さらに三角窓の開度が大きめでヒンジ形状もユニークなもの。
フロアから生えているシフトレバーはフルシンクロの前進3段シフト。計器類はインパネセンターに速度計のみを用意。ペダル形状も独特で、実にすっきりとしたデザインだ。
ベンチシート形式でどうやら乗車定員は2名のようだ。狭小住宅のような可愛らしさがあり、同乗者を選べば最高に快適であろう。しかも広い荷台がついていて、こんな車で買い物に出掛けたら気分はアゲアゲになるに違いない。
資料をいくつか探ってみた。
車名は三菱(正確には三菱みずしま)ペット レオ。1959年(昭和34年)に発売になっている。当時の新車価格は22万5000円。当時の大卒新人の給与平均は1万3500円だったので、約17倍!なかなかの価格である。
スペックはこんな感じ。
全長 2,870mm
全幅 1,280mm
全高 1,520mm
車両重量 360kg
エンジン 排気量310cc 4ストロークOHV単気筒
最高出力 13ps/4,700rpm
最大トルク 2.2kg-m/3,000rpm
トランスミッション シンクロ付き3段
駆動方式 FR
最大積載量 300kg
最高速度 74km/h
レオという名前に、ある世代以上の方はやはり「ジャングル大帝レオ」を思い浮かべるに違いない。レオ(LEO)は獅子座を意味する英語であり、語源はラテン語におけるライオン。
この車名は
手塚治虫先生の人気漫画の一作である「ジャングル大帝」の主人公「レオ」からインスパイアされた名称とのことだが、それは調べ切れていない。でも時期的には確かにマッチしている。1962年までのわずか3年間のみの販売で、総販売台数は約28,000台。デザインの可愛さだけでも乗ってみたい車である。