読むことは大事です。でも皆さん、大人になってから、英語がしゃべりたいと思ったらまず英会話学校に通うと思います。それでそこそこ上達できますが、それでは文化を学ぶことにはならないし、もっと深く学ぶことは難しい。英語の上達は、やはりかけた時間に比例すると思うんですね。だからたくさん読まなければならないですし、たくさん聞かなければなりません。
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松岡 佑子(まつおか ゆうこ)/同時通訳者、翻訳家、静山社社長。1966年国際基督教大学卒、1998年静山社社長に就任。1999年の『ハリー・ポッターと賢者の石』を皮切りに「ハリー・ポッター」シリーズ全7巻の翻訳を手掛ける。『ハリー・ポッターと私に舞い降りた奇跡』などの著書も (撮影:尾形文繁)
静山社でもスタッフに英会話教室を提供しています。入口として英会話は良いと思います。でも、英語で身を立てようと思ったら、会話は導入部にして、たくさん読んで、たくさん聞いて、年月をかけるほかありません。
私は12歳の中学生のときから学んで、いまだに学んでいる状態です。今はオーストラリア人と結婚していますが、いまだに彼に文章を直してもらっていますし、「英語のこの表現を知っている?」と聞かれても知らないことがあります。日本語でも間違って覚えていたり、知らない日本語があったりしますけど、日本語はネイティブですから、英語よりはまだましでしょう。
ワインと同じで、熟成しないと英語にはなりません。幸運な人は、外国に行く機会があったり、両親の関係でそういう環境で育ったり、バイリンガルの両親だったりすると、苦労せずに頭に入ると思います。しかし、普通の日本人が学ぼうと思ったら、たとえ小学校から英語を学んでいても、それだけではものにならないと思います。やっぱり熟成の時間ですね。