Now let us sing gaily
Ave Maria!
いざ、楽しく歌わん
めでたし、マリア!

And may the Holy Virgin
Who was the Mother of Jesus
Grant that these two children
May live together happily
For Faith releases Gaiety
As Marriage does true Chastity!
聖なる処女、
イエスの母君でもあられるお方が
この二人の子を恵み
そして共に幸いに暮らさせ給わんことを
信仰が悦楽を解き放つ、
婚姻が真の貞潔をもたらすごとく。

Ave Maria!
めでたし、マリア!
See how the scarlet sun
Overthrows the heavy night
And where black shadows hung
見よ、真紅の太陽が
いかにして覆すかを、重苦しき夜と
黒き影が垂れ込めるところを

There reveals a rose,
a rose so pure and white,
Thus did Jesus bring
To the blind world of man
That faith which is their sight
And Love that is their light.
一輪の薔薇が生いいでた
純潔にして真白き薔薇が
かくしてイエスがもたらされた
物見えぬ人の世へと、
信仰が視覚となり
愛が光となる。

Ave Maria!
めでたし、マリア!

As mountain streams
find one another
Till they are both merged
there - in a broad, peaceful river
山からくだる流れが
もう一つの流れを見つけ
共に交じり合い
広く穏やかな大河となる如くに

As it flows to the sea
and in it
are lost forever,
流れは海へと注ぎ込み
そして流れが
ついには失われる如くに

So those who love
seek one another
But when they are joined
here - to Christ's Love, oh so tender
Though their years may be brief
yet through Him
そのように愛し合う者らは
互いに探し求め合う、
そして彼らが連なるならば
ここなるキリストの愛に、かくも優しきものに
その年月は短くとも
主を通して連なるならば

These two are not two
Love has made them one
Amo Ergo Sum!
この二人は二人にあらず
愛が二人を一体となす
我愛す、故に我あり!*1

And by its mystery
Each is no less but more
Amo Ergo Sum!
その神秘によりて
及ばざることも過ぎたることもなく
我愛す、故に我あり!

For to love is to be
And in loving Him, I love Thee
Amo Ergo Sum!
愛することすなわち「ある」こと
主を愛するがゆえに、我は汝を愛す
我愛す、故に我あり!

Per vitam Domini
主の生きざまによりて
Spes nobis cantavit,
希望は我らに歌いかける
Per fidem Domini
主の信念によりて
Lux diem novavit,
光はこの日を新たなものとする
Per mortem Domini
主の死にざまによりて
Mors mortem fugavit,
死は死へと追いやられる


Amen!
アーメン!

*1 フランスの哲学者ルネ・デカルトの「我思う、故に我あり」という命題のパロディ。

text: Ronald Duncan(1914-1982)
tune: Benjamin Britten(1913-1976)

たとえ、人々の異言、天使たちの異言を語ろうとも、愛がなければ、わたしは騒がしいどら、やかましいシンバル。
たとえ、預言する賜物を持ち、あらゆる神秘とあらゆる知識に通じていようとも、たとえ、山を動かすほどの完全な信仰を持っていようとも、愛がなければ、無に等しい。
全財産を貧しい人々のために使い尽くそうとも、誇ろうとしてわが身を死に引き渡そうとも、愛がなければ、わたしに何の益もない。
愛は忍耐強い。愛は情け深い。ねたまない。愛は自慢せず、高ぶらない。
礼を失せず、自分の利益を求めず、いらだたず、恨みを抱かない。
不義を喜ばず、真実を喜ぶ。
すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてに耐える。
愛は決して滅びない。
(新約聖書コリントの信徒への手紙1 13:1-8)

ベンジャミン・ブリテンが女流ピアニストマリオン・シュタインと第七代ヘアウッド伯ジョージ・ラッセルズ(エリザベス女王の従兄で、当時の英国クラシック音楽界の大立者)の結婚に寄せて作曲した。作詞したダンカンは、ブリテンのオペラ『ルクレティアの凌辱』の台本を担当した文人でもある。

伯爵夫人となったマリオンは三人の子に恵まれたが、ヘアウッド伯が女流バイオリニストと不倫した上不倫相手が妊娠したため、離婚に至る。ヘアウッド伯の不倫と再婚の経緯はスキャンダルとなり、このため10年ほどヘアウッド伯は王室行事から締め出された。王室の離婚と再婚てこんなんばっかりや。
マリオンはのちに大物政治家ジェレミー・ソープ(のちにソープ事件で政界引退に追い込まれる)と再婚し、マリオン・ソープと名乗るようになった。

結婚は気まずい結果に終わったものの、この曲はブリテンの代表曲のひとつに数えられ、10分近い大曲ながら録音も多い。
カジュアルに結婚してカジュアル(?)に離婚してカジュアルに再婚するのはヘンリー8世以来の英国の伝統芸と言えなくもないし。

収録アルバム:Britten: A Boy Was Born; Rejoice in the Lamb; Festival Te Deum




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