The Howling Aces:咆哮飛行隊
(バグで食材リストでは「戌フー堂々隊」となっている。これは翻訳時に出た案のひとつ)

「Doggone」は「いまいましい!チクショー!」というほどの意味だが、キッズ向けアニメに使われる程度には穏健な表現。みんなもFで始まる言葉の代わりに積極的に使っていこう。
ドッグファイト(犬のケンカ)という名称は、戦闘機同士の戦闘において「敵機を追尾する方が有利」という特性から相手を追いかけ合う様子が、犬がお互いを追いかけ合うのに似ていたことから。ただしこのステージは文字通り空飛ぶ「犬」たちとの闘いになっている。
犬のエサ入れ、消火栓(洋アニではオス犬のおしっこ場所の定番)、テニスボールや骨など、犬ネタがてんこもりである。

日本語タイトルは1960年代のアニメ「アンダードッグショー(ウルトラわんちゃん)」……ではなく、その実写映画『鉄ワン・アンダードッグ』に由来。まあ「鉄ワン」自体が空を飛ぶ機械仕掛けのヒーロー「鉄腕アトム」のパロディでもある。



鉄ワン・アンダードッグ [Blu-ray]
ピーター・ディンクレイジ
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
2010-10-20




リボンをつけたメス犬の姿をした大型の航空機は「チヌーク」と通称されている。これは犬の一種である「チヌーク」と、大型輸送用ヘリコプターの愛称「チヌーク」をかけたもの。





チャーチル首相に似ていたことから一時期イギリスの象徴とされたブルドッグ、英国空軍の無線で使われていたコード、イギリス出身設定キャラへのオマージュなど、随所に英国風味を漂わせている。ヴェルナー伍長とはめちゃくちゃ相性悪そう。


そして、島1と島2にいる飛行機マニアNPCキャンティーン・ヒューズが背景キャラとはいえまさかの参戦。プレイヤーは彼が操縦する飛行機の上で戦うことになる。ヒューズはプレイヤーが攻撃を当てると嬉しそうなジェスチャー、被弾すると慌てるジェスチャーをする。
アートブックによれば彼も「液体を入れる容器」仲間のひとりであるので、結構ひいきされてるキャラなのかも…


なお、BGMはCuphead DLCティーザートレーラーにも使われている。




"You thought you were top dog, but you never had a sniff."
「鼻の利かん奴に、群れのボスはつとまらん!」


原文は直訳すると「貴様は自分をボス犬だと思っていたようだが、全く臭いを嗅ぎ取れなかったな!」
ブルドッグのいでたちは、カプコンの『ファイナルファイト』および『ストリートファイターZERO』シリーズのキャラクター「ロレント」から。勝ちゼリフのポージングは『CAPCOM VS. SNK 2』からっぽい。

その他、『トムとジェリー』シリーズに登場するトムの天敵のブルドッグ「スパイク」もモデルとされる。そのためか、トムによく似た猫を引っ張り出して毛玉を吐かせて攻撃してくる。これは「トンプソン・サブマシンガン」の通称「トミー・ガン」の暗喩である可能性がある。




ミッキーの愛犬プルートのライバルであるブルドッグ「ブッチ」も似たような風貌をしている。スパイクの初登場は1942年の『共同作戦』、ブッチの初登場は1940年の『鏡騒動』なので、ブッチの方がちょっとだけ先輩。







"Afirm Roger Fox! Afirm Roger Fox!"
「ワン・フォー・オール、オール・フォー・ワンだワン!」


原文の「Afirm(アファーム・断言する)」「Roger(ロジャー)」「Fox(フォックス・狐)」は単語自体には意味はなく、「ARF!」という犬の鳴き声を表しているだけ。これは通信などで使われる「フォネティックコード」のパロディ。「アルファ」でA、「ブラボー」でB、「チャーリー」でCのたぐい。ただし、英国のRAF(王室空軍)の無線電話で1942-1955年の間に実際に使われていたコードでもある。


そのまま直訳しても意味が通じないので、犬がワンワン言ってそうな三銃士のパロディのセリフになった。
実は「おしりたんてい」のワンコロけいさつしょのキャッチフレーズでもあるよ。


各国版ローカライズは英語と同じくその国の犬の鳴き声をコードで表現している国が多いが、アルファベットを使用しない国においてはかなりオリジナリティを利かせたセリフになっている。
例えば韓国語版は「진돗개 발령 해제!(珍島犬警報解除!)」というセリフになっているが、この「珍島犬警報」とは「北朝鮮の武装ゲリラが侵入した際の警報」のことである。


4匹の子犬のチームは翻訳時の資料では「Yankee Yippers(ヤンキー・イッパーズ)」という呼び名がある。ヤンキーは元来アメリカにおける英国系移民のこと。しかし、この場合は前述の通信用語として「Y」をあらわしているだけの可能性もある。「yip」は子犬の甲高いキャンキャン声。
キャラデザはディズニーの短編『プルートの五つ子(Pluto’s Quin-Puplets)』(1937)に登場するフィフィとの間の子犬たち、または『プルートのわんぱく坊や(Pluto Junior)』(1942)のプルート・ジュニアに似ている。




「BOW」という声をそのまま攻撃に使うのはヒルダちゃんと同様だが、セガのゲーム『アレックス・キッド ザ・ロストスターズ』の子犬の敵がモデルかもしれない。


ALEX KIDD COMPLETE ALBUM
光吉猛修
株式会社ウェーブマスター
2009-08-14



"Looks like your skills have gone AWOL, fleabags."
「その腕前ではこの戦い、終ワンないわね。」


「AWOL(AWAY WITHOUT LEAVE)」は軍隊用語で無断外出、無届の離脱、脱走兵のこと。
「fleabags」は直訳すると「ノミ袋」、つまりノミがたかったケダモノ、転じてみすぼらしくて不潔な奴。イギリスでは「薄汚いボロ宿」という意味もある。
直訳すると「あなたの腕前はお留守のようね、ノミ袋くん」
「シッポを巻いて逃げ出すとは、とんだ負け犬ね」という案も考えたのだが、やや原文の意味から離れている感がある。

翻訳時の資料では「高慢ちきな見た目のプードル」だったのだが、現在は大多数の人に「サルーキ」と見なされている。まあ作ってるうちに設定が変わるのはよくあることなので。





彼女のもうひとつのオマージュ元は『ストリートファイター』シリーズのキャミィである。登場時の敬礼ポーズ、制帽とそこからぴろりんと飛び出た強気な前髪、勝ちゼリフのイラスト(背中をこちらに向けて振り向きざまにサムズアップ)は、特に『ストリートファイターZERO』シリーズのキャミィに似せたもの。


また、ミッキーの愛犬プルートのガールフレンド、フィフィとダイナにも似ている。


追記:Youtoozから七月に発売予定の新作フィギュアでは、「Sergeant O’Fera(オフェラ軍曹)」という名がつけられている。(情報提供:UKhead氏)
多分「O'Hara」というアイルランド系の苗字と、fur(毛皮)やferal(野生の、飼いならされていない)が合体したネーミング。もうちょっとローカライズしないとちょっとあれな名前のような気がする…(フェラーリやうこんやちんすこうを見るたびにドキッとするタイプ)




ヤンキー・イッパーズを完全撃破せずにやり過ごすと、特殊ルートに移行することができる。
こちらはチヌークが画面を傾けず、左右のアームの肉球から4匹の子犬と女隊長がランダムに身を乗り出して攻撃してくるという仕様。ヤンキー・イッパーズはパイナップル型の手りゅう弾を投げてくるが、英語において「pineapple」はそのまま「手りゅう弾」を意味する。

レギュラーモード撃破後に入手できるのは「Pineapple Mint」(パインミント)。犬のエサ入れに突っ込むな。
うちの犬は食べないが、ミントは犬が食べても良いハーブのひとつとされている。



 





Kristofer Maddigan
収録アルバム: Cuphead - The Delicious Last Course (Original Soundtrack)
Doggone Dogfight
Kristofer Maddigan
2022-06-30


Cuphead in The Delicious Last Course Index《カップヘッドDLC 目次》



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