*There's a little black train a-comin',
 Set your business right
 There's a little black train a-comin'
 And it may be here tonight
*小さな黒い列車がやってくる
 お前たちの行いを正すために*1
 小さな黒い列車がやってくる
 今夜にもここへ来るかもしれない
Go tell that ballroom lady
All dressed in the worldly pride
That death's dark train is comin'
Prepare to take a ride
ダンスホールのあのご婦人に行きて告げよ*2
全身これ虚栄で身を包んだご婦人に
暗き死の列車がやってくると
ひとりの乗客を待ち構えて

God sent to Hezekiah
A message from on high
You'd better set your house in order
'For you must surely die
神はヒゼキヤに遣わされた*3
いと高きよりのお告げをば
「お前の身辺を整理せよ*4
 お前はもうじき死ぬのだから」

He turned to the wall and, weeping
We see him hear in tears
He got his business fixed all right
God spared him fifteen years
ヒゼキヤは壁に向かって嘆き
我らも涙ながらにその姿を見聞きした
ヒゼキヤが行いを全て改めたので、
神は彼に15年間つけ足してくださった

*Refrain
*繰り返し

See that train with engine?
And one small baggage car
Your idle thoughts and wicked deeds
Will stop at the judgment bar
あの機関車と列車が見えるだろう
それに小さな貨車も一つ
お前たちの怠惰な思いと邪悪な行いゆえに
裁きの法廷が終着駅となるのだ*5

Oh, the man in darkness
Cares not for the gospel light
Till he suddenly heard the whistle blow
With the little black train in sight
おお、暗闇のうちにある者よ
福音の光に気づきもしない*6
ある日突然汽笛の音が聞こえて
小さな黒い列車が視界に入るまでは

*Refrain
*繰り返し

*1 businessはいわゆるビジネス、事業の他に「なすべきこと」「個人的な事柄、本分」という意味がある。set rightは「誤りを正す、矯正する、改善する」。
*2 ballroomはホテルなどの舞踏会用の部屋。
*3 旧約聖書の列王記下巻に登場するユダヤの王。重病にかかり、預言者イザヤから死が近いことを告げられるが、涙ながらに神に祈ったことで15年間寿命を延ばしてもらうというエピソードに基づく(20:1-6)。

*4 set(put) ~'s house in orderで「~の家の中を整頓する」が原義だが、転じて「身辺整理をする」「状態を立て直す」「行いを正す、改める」という意味で使われる。日本語訳聖書では「家族に遺言をしなさい」としていることもある。

*5 at bar のbarは単なる手すりではなく、「法廷で一般席と隔てられる手すり」を指す。つまり、大衆がいるような裁きの場に引き出されること。

*6 英語でゴスペル、古典ギリシャ語でエウァンゲリオン。「良き知らせ」「喜びの音信(おとずれ)」を原義とし、基本的には「キリストの生涯とその教え」を指す。新約聖書の冒頭にあるのは、キリストの業績を記した書なので「福音書」。

text & tune: 作者不詳のアメリカ民謡、または讃美歌。文献初出は1922年、Frank Clyde Brown (1870 – 1943) によって採取されたもの。



黒人霊歌やゴスペルに登場する列車はThe Gospel Train《福音列車》や《聖霊を感じるたびに》などに見られるように「不幸から抜け出し幸福の地へと向かう乗り物」というイメージで使われることが多いのだが(黒人奴隷をひそかに奴隷制度のない地方へ逃がした地下鉄道のイメージもある)、この歌に関しては「死出の旅をつかさどる」という暗いイメージを負っている。


Carlene Carter
収録アルバム: Carter Girl
Little Black Train
Rounder Records
2014-04-07


おまけ:カーターつながりで、カーター・ファミリーによる録音もアップしておこう。
こちらはなんとなくのどかな曲調になっている。


収録アルバム:The Carter Family Legacy, Vol. 1
Little Black Train
Sedona
2013-02-07


さらにおまけ:マンリー・ウェイド・ウェルマンのアメリカ民謡をテーマにした怪奇ホラー短編小説集「悪魔なんかこわくない」に、この歌をタイトルとした一編がある。
さすらいの民謡収集家にして銀弦のギター弾きジョン(John the Balladeer)は、旅の途中であるパーティの音楽係をすることになる。パーティの主催者である女性は、かつて悪辣な手段でもって鉄道会社とそれにともなう資産を手に入れたが、「列車ゆえに破滅する」という呪いをかけられた。彼女はその周辺の鉄道を解体して売り払ったのでもはや列車が自分に近づくことはできないと強がり、放埓な生活を改めずにいたが…というお話。

悪魔なんかこわくない (アーカム・ハウス叢書)
マンリー・ウェイド・ウェルマン
国書刊行会
1986-05T






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