*By the light
 of the silvery moon
 I want to spoon
 To my honey, I'll croon love's tune
*光そそぐ
 銀色の月の下で
 スプーンですくいとりたい*1
 いとしのハニーを、なめらかに愛の小唄が口ずさめるように

 Honey moon,
 keep a-shinin' in June
 Your silvery beams will bring love's dreams
 We'll be cuddlin' soon
 By the silvery moon
 蜜月よ*2
 六月の空に輝き続けておくれ
 お前の銀色の月影が恋を夢見させると
 わたしたちはすぐにも抱きあうの
 銀色の月の下で
Place, park,
scene, dark
Silvery moon is shining through the trees
場所は公園
場面は暗がり
銀色の月が木々を透けてきらめく

Cast, two,
me, you
Sound of kisses floating on the breeze
役者は二人
わたしとあなた
口づけの音色がそよ風に運ばれてゆく

Act one,
be done
Dialog, where would ya like to spoon?
第一幕は
もう始まってる
セリフは「いちゃいちゃするならどこがいい?」

My cue,
with you
Underneath the silvery moon
わたしは合図を*3
あなたに送る
銀色の月が降りそそぐ真下で

*Refrain
*繰り返し

Act two,
Scene new
Roses blooming all around the place
第二幕は
新しい場面で
バラの花が至るところに咲き乱れてる

Cast three,
You me
Preacher with a solemn-looking face
役者は三人
あなたとわたしと
いかめしいお顔の司祭さま

Choir sings,
bell rings
Preacher, you are wed forever more
聖歌隊は歌い
鐘は鳴り
司祭さまが「あなたがたはとこしえに結ばれたのです」と言う

Act two,
all though
Every night the same encore
第二幕は
ずっと続くの
毎晩がアンコール

By the light,
(not the dark but the light)
Of the silvery moon,
(not the sun but the moon)
光そそぐ
(でも暗がりじゃなくて明るいところ)
銀色の月から
(お日様じゃなくてお月様なのよ)

I wanna spoon,
(not croon, but spoon)
To my honey, I'll croon love's tune
わたしは背中越しに寄り添う*4
(唄無しで寄り添うの)
いとしのハニーに、そして愛の小唄を口ずさむ

Honeymoon,
(honeymoon, honeymoon)
Keep a-shinin' in June
Your silvery beams will bring love's dreams
We'll be cuddlin' soon
By the silvery moon
(The silvery moon)
蜜月よ
(蜜月、蜜月よ)
六月の空に輝き続けておくれ
お前の銀色の月影が愛を夢見させると
わたしたちはすぐにも抱きあうの
銀色の月の下で
(銀色の月よ)

*1 spoonという言葉は、食器としてのおさじの他に、「背中越しに相手を抱きしめる(スプーンを重ねた様子に似ている)」という意味の動詞で使うことがある(転じて「いちゃいちゃする」)。「恋人を背中から抱きしめる」のと、「喉の調子を良くするために蜂蜜をスプーンでとって舐める」の両方にかかっている。

*2 蜜月(ハネムーン)はもともと新婚直後の「蜜のように甘美な」一か月間を指すとされる。新婚旅行という意味で定着したのは19世紀ごろらしい。「満月が欠けていくように甘美な時間もいずれ衰えていくもの」という裏の意味もある。また、蜜蜂の新しい女王が旅立つときに大勢の雄バチを引き連れる習性からきているとも。
六月は最も結婚式に良いとされているが、それは欧米では爽やかな天気が多い季節だからであって、梅雨まっさかりの日本で六月にやるのは正直やめて欲しいぞ。
*3 演劇に見立て、「キュー」つまり監督が役者に合図を送るように「始めていいわよ♡」と合図しているわけである。
*4 この辺でもう公園でいちゃつく必要はなくなったので、家の中でいちゃいちゃしているのがわかる。

text: Edward Madden (1878 – 1952)
tune: Gus(Gustave) Edwards (1878 – 1945)

1890年代後半に、マンハッタンで音楽関係の出版社が集中していた地域をティン・パン・アレー(ドンチャン横丁)と呼んだ(試演奏でいつもやかましかったため)。この曲はその頃に制作されたもののひとつ。
1909年公開の流行歌だが、ドリス・デイ主演映画『銀色の月明かりの下で』(1953年公開)の劇中歌でもある。前作『ムーンライト・ベイ』で男勝りのお転婆娘と名門大学生との恋愛騒動から、ようやく結婚直前までこぎつけるがまたなんやかんやとトラブルが…というドタバタミュージカル。らしい。実際には見てないのでよく知らん。

銀色の月明かりの下で [DVD]
ドリス・デイ
ジュネス企画
2011-03-30




Doris Day
収録アルバム: A Day At The Movies
おまけ:初期のフライシャースタジオにもこの歌をメインにした短編作品があり、ベティさんらしきキャラがちょい役で出ている。



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