"Who's that knocking at my door?"
"Who's that knocking at my door?"
"Who's that knocking at my door?"
Cried the fair young maiden.
「ドアをノックしているのは誰?」
「ドアをノックしているのは誰?」
「ドアをノックしているのは誰?」
きれいなおとめが大声で言う*1
"It's only me from over the sea"
Says Barnacle Bill the Sailor.
"I'm all lit up like a Christmas tree"
Says Barnacle Bill the Sailor.
「海を越えてきたこのおいらだけだよ」
水兵バーナクル・ビルが言う*2
「クリスマスツリーみたいにあかあかとしてるぜ」*3
水兵バーナクル・ビルが言う

"I'll sail the sea until I croak,
I fight 'n swear 'n drink 'n smoke,
But I can't swim a bloody stroke"
Says Barnacle Bill the Sailor.
「くたばるまで航海を続け*4
 ケンカし、ののしり、飲んだくれ、ヤニを吸う
 でも血の海の泳ぎ方は知らねえ」*5
水兵バーナクル・ビルが言う

"Are you young and handsome, sir?
Are you young and handsome, sir?
Are you young and handsome, sir?"
Cried the fair young maiden.
「あんたは若くてハンサムかしら、旦那さん?」
「あんたは若くてハンサムかしら、旦那さん?」
「あんたは若くてハンサムかしら、旦那さん?」
きれいなおとめが大声で言う

"I'm old 'n rough 'n dirty 'n tough"
Says Barnacle Bill the Sailor.
"I drink my gin 'n dip my snuff"
Says Barnacle Bill the Sailor.
「おいらは年食ってるし、がさつだし、不潔だし、ガンコだ」
水兵バーナクル・ビルが言う
「ジンを飲むし、嗅ぎタバコが鼻についてる」
水兵バーナクル・ビルが言う

"I drink my whiskey when I can,
Whiskey from an old tin can,
Fer whiskey is the life of Man"
Says Barnacle Bill the Sailor.
「飲めるときにゃウィスキーを飲むんだ、*6
 使い古したブリキ缶から
 ウィスキーこそ人生さ」
水兵バーナクル・ビルが言う

(Instrumental: Sailor's Hornpipe)
(間奏:《水兵の角笛》)*7

"I'll come down and let you in,
I'll come down and let you in,
I'll come down and let you in"
Cried the fair young maiden.
「降りてあんたをいれてあげるわ」
「降りてあんたをいれてあげるわ」
「降りてあんたをいれてあげるわ」
きれいなおとめが大声で言う

"Well hurry before I break the door"
Says Barnacle Bill the Sailor.
"I'll puff 'n fuss 'n rant 'n roar"
Says Barnacle Bill the Sailor.
「早くしとくれ、おいらがドアを壊す前に」
水兵バーナクル・ビルが言う
「ハァハァして、言い合いして、がなり立てて、吠えてやんよ」
水兵バーナクル・ビルが言う

"I'll spin you yarns 'n tell you lies,
I'll drink yer wine 'n eat yer pies,
I'll kiss yer cheek 'n black yer eyes"
Says Barnacle Bill the Sailor.
「大ぼらを吹き、空ごとを言ってやんよ、
 おめえのワインを飲んでパイを食ってやんよ、
 おめえのほっぺと黒い瞳にキスしてやんよ」
水兵バーナクル・ビルが言う

"Sing me a love song low and sweet,
Sing me a love song low and sweet,
Sing me a love song low and sweet"
Cried the fair young maiden.
「愛の歌を歌ってよ、静かな甘い声で」
「愛の歌を歌ってよ、静かな甘い声で」
「愛の歌を歌ってよ、静かな甘い声で」
きれいなおとめが大声で言う

"Sixteen men on a dead man's chest"
Sang Barnacle Bill the Sailor.
"Yo-heave-ho and a bottle of rum"
Sang Barnacle Bill the Sailor.
「16人の男が『死者の宝箱』島へ*8」
水兵バーナクル・ビルは歌った
「よいとまけ、ラムがひと瓶」
水兵バーナクル・ビルは歌った

"Oh, a high-rig-a-jig and a jauntin' car,
A-hee a-ho are you 'most done,
Belay my boys and the Bull-jine run"
Sang Barnacle Bill the Sailor.
「二輪馬車がチャグチャグ鳴るよ*9
 アヒー・アホー、もう終わったかい
 野郎ども、エンジンを噴かせ」*10
水兵バーナクル・ビルは歌った

(Instrumental: Bounding Main)
(間奏:《波打つ大海原》)*11

"Tell me that we soon shall wed,
Tell me that we soon shall wed,
Tell me that we soon shall wed"
Cried the fair young maiden.
「言ってよ、すぐ結婚しようって」
「言ってよ、すぐ結婚しようって」
「言ってよ、すぐ結婚しようって」
きれいなおとめが大声で言う

"I've got me a wife in every port"
Says Barnacle Bill the Sailor.
"And handsome gals is what I court"
Says Barnacle Bill the Sailor.
「おいらはあらゆる港に現地妻がいたもんだ」
水兵バーナクル・ビルが言う
「おいらが口説くならいい女」
水兵バーナクル・ビルが言う

"With my false heart 'n flatterin' tongue
I courts 'em all both old 'n young,
I courts 'em all but marries none"
Says Barnacle Bill the Sailor.
「まがいものの真心によく回る舌で
 年増も若いのもみんな口説いた
 みんなを口説いたけど誰とも結婚しなかったよ」
水兵バーナクル・ビルが言う

"When shall I see you again?
When shall I see you again?
When shall I see you again?"
Cried the fair young maiden.
「いつまたあんたに逢える?」
「いつまたあんたに逢える?」
「いつまたあんたに逢える?」
きれいなおとめが大声で言う

"Never again, I'll come no more"
Says Barnacle Bill the Sailor.
"Tonight I'm sailin' from the shore"
Says Barnacle Bill the Sailor.
「ありえないね、もう来ないよ」
水兵バーナクル・ビルが言う
「今夜のおいらは岸から遠く航海中」
水兵バーナクル・ビルが言う

"If you wait fer me to come,
Sittin' and waitin' 'n suckin' yer thumb,
You'll wait until the day of yer doom!"
Says Barnacle Bill the Sailor.
「おいらを待つ気なら
 座り込んで、待ち続けて、親指くわえて
 最後の審判の日までそうしてることになるぜ」
水兵バーナクル・ビルが言う

"Goo'bye!"
「さいなら!」

*1 「きれいなおとめ」とぼかされているが、字面通りかどうか。おそらく娼婦か愛人。
*2 実は東京ディズニーランドに「バーナクル・ビルズ」という名の屋台があり、「フジツボがついた岩のようにゴツゴツした顔になった、勇敢な船乗りのこと」と説明されているが(単なるあばた顔のことなんでは?)、実際は19世紀ごろに実在した船乗りであり冒険者であるWilliam Bernard(?-?)のあだ名。その生涯はよくは知られていないが、歌の内容から察するに悪名の方が高い気がする。映画「パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト」及び「ワールド・エンド」に登場した「靴ひものビル」は、フジツボがびっしりとりついた姿になっているが、この《フジツボのビル》が元ネタ。

*3 「lit up」には「ライトアップする」と「ぐでんぐでんに酔っぱらう」の両方の意味がある。
*4 「croak」は「死ぬ」の俗な言い方。カエルやカラスのしわがれ声もさすが、断末魔のうめき声が似ているからとも。
*5 このあたりとりあえずこう訳したが、意味不明。strokeは「泳ぎ方」という意味がある。
*6 Whisky Johnny《ウィスキー・ジョニー》という民謡の一節そのまま。

*7 こういう曲。後述の《波打つ大海原》と共に、ポパイのテーマに使われていることでも知られる。海の男と言えばこの曲。

*8 元来はスティーブンソン『宝島』に登場した海賊の歌。スティーブンソンの創作だが、広く知られるようになり、古謡であると誤解された。元の歌では「15人の男が『デッドマンズ・チェスト(死者の宝箱)』という何もない島に流れ着いた」という内容になっている。

以下はさまざまな歌の歌詞がチャンポンになっている。甘いラブソングを歌ってくれとせがまれてるのに、真逆のうるさい歌ばっかり歌っているわけである。
*9 Eliza Lee《イライザ・リー》という民謡の歌詞の一節。こういう曲。うるせえ。

*10 このブログによれば、ブル・ジンとはエンジンを指す船乗りのスラングであったらしい。

*11 こういう歌。




text & tune: アメリカ民謡

Abraham Brown the Sailor《水兵エイブラハム・ブラウン》(イギリスにOld Abraham Brown《エイブラハム・ブラウン爺さん》という童謡があるが別物)という民謡を基にしたアメリカの戯れ歌。

男女の駆け引きをテーマにした歌は古くからあり、この《バーナクル・ビル》もその系統と見なすことができる。
ビルは女の期待をことごとく裏切り、やりたい放題やってハイさよならというロクデナシだが、ずれた対話がなんとなくおかしみを誘うのか、結構人気の曲であったらしい。(明らかに地雷とわかる男に結婚を迫る女もどうかと思うが)

まだデカ鼻角耳だった頃のビン坊&ブッサだったころのベティさんでアニメ化したことがあるが、なぜか「脱線水兵エロ行脚(あんぎゃ)」というとんでもない邦題がついていた。まあ間違いじゃないけど…もっとこう…手心というか…しかも肝心のシーンはチェスを打ってるってオチだし…


なお、海に落とされたあと人魚たちと楽しくやるシーンで流れている曲は、《人魚のミニー》という歌。


フライシャースタジオは後にポパイでもこの歌を劇中歌に使っている。


収録アルバム:All The Best


同じメンツの音源だが、歌詞が少し子供向けに改変されている模様。そっちの歌詞は見つからなかった。
Frank Luther And Carson Robison
収録アルバム: Vintage Childrens Favourites
Barnacle Bill the Sailor
Crazy Warthog Media
2015-07-01



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