やる夫で学ぶ柳生一族 その70 柳生兵庫助の死
90 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/03/07(月) 04:25:34 ID:txmvCKxo0
このスレは、「柳生新陰流」を担った剣豪の一族「柳生一族」を
史実をベースとしつつ、適当にエピソードを盛り込んでいく形で紹介するスレです。
【今回のメイン柳生 ： 柳生兵庫助利厳（やぎゅう ひょうごのすけ としとし）】
／￣＼
.| |
＼＿／
|
／ ￣ ￣ .＼ 尾張柳生家の当主。
／ ＼ ／. ＼ .そして、新陰流正統三世。
／ ⌒ ⌒ .＼
| （__人__） .| それがこの俺、
＼ ｀⌒´ .／ 柳生兵庫助利厳が生きて、遺す名だ。
/,,― -ー ､ , -‐ ､
（ , -‐ '" ）
`;ー" ` ー-ー -ー'
l l
92 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[sage] 投稿日：2016/03/07(月) 04:34:52 ID:txmvCKxo0
【>>1からのお願いコーナー】
毎度お馴染み、今回も次回(その71)の解説役を投票で決めたく。
ルールは以下の通りでアリマス。
・ 支援の際、以下の条件を満たすキャラについて名前なりAAなりを挙げて頂いた後、
集計を行い、投票数が最も多かったキャラを次回の解説役にする。
（例：支援。○○(キャラ名)とかでＯＫ。作品名もあると更に吉） ※一応、１人１票でお願いします。
【条件】
・ 女性キャラ。または外観が女性のキャラ（女装美少年込み）
・ AAが複数ある（できれば20行以下のバストアップAAが３種類以上があると嬉しい）
既出キャラ有りなので長門なり翠星石なりも投票数次第で再登場可でアリマス。
でもできれば作中の登場人物に割り振り済みのキャラはややこしいのでご勘弁をば。
ちなみに、票が同数のキャラが複数いた場合、恐縮ですが、その中から>>1が使いやすいキャラを
選ばせていただく所存（AAの使い勝手がいいとか、そのキャラを知ってるとか）。
あと、解説役の相方は>>1が適当にチョイスします。
よろしゅうですー。
【過去、投票で決まった解説役-１】
その13 ： マシロくん(舞-乙HiME) ......その32 ： 閻魔あい(地獄少女)
その14 ： 渡良瀬準(はぴねす！). .. ： 輪入道・骨女・一目連・山童・きくり(地獄少女)
その15 ： 佐々木（涼宮ハルヒの憂鬱） .その33 ： ドロッセル（ファイヤボール）
その16 ： 綾崎ハーマイオニー(ハヤテのごとく！). .. .： ゲデヒトニス(ファイヤボール)＆AA色々
その17 ： 宮小路瑞穂（乙女はお姉さまに恋してる） ..その34 ： ゆの（ひだまりスケッチ）
その18 ： 菊地真（THE IDOLM@STER) .... .： 宮子・ヒロ・沙英・吉野家先生(ひだまりスケッチ)
その19 ： 木下秀吉（バカとテストと召喚獣）. ....その35 ： 山口如月（GA 芸術家アートデザインクラス）
その20 ： ドリィ＆グラァ（うたわれるもの） .. 大道雅 （GA 芸術科アートデザインクラス）
その21 ： 祇堂鞠也（まりあ†ほりっく）. .その36 ： 田中井律（けいおん！）
その22 ： 大佛はずむ（かしまし） ...... 秋山澪（けいおん！）
その23 ： マコ(みなみけ). ....その37 ： イカ娘（侵略！イカ娘）
その24 ： 佐々木（涼宮ハルヒの憂鬱） ※2回目. ..... 諌山黄泉（喰霊-零-）
その25 ： 渡良瀬準(はぴねす！) ※2回目 その38 ： なし
. ： シモン（下妻市非公式マスコット） ..その39 ： 羽衣狐（ぬらりひょんの孫）
その26 ： 藤岡ハルヒ（桜蘭高校ホスト部） .... 三浦あずさ（THE IDOLM@STER)
. ： 須王環（桜蘭高校ホスト部） ......その40 ： 神代マヤ（世紀末オカルト学院）
その27 ： 宮小路瑞穂（乙女はお姉さまに恋してる） ※2回目 ケンシロウ（北斗の拳）
. ： 菊地真（THE IDOLM@STER) ※2回目 ..その41 ： インデックス＆上条当麻（とある魔術の禁書目録）
その28 ： ティエリア・アーデ（機動戦士ガンダム00） .. ナージャ・アップルフィールド(明日のナージャ)
その29 ： 草薙素子（攻殻機動隊） .その42 ： 佐々木（涼宮ハルヒの憂鬱） ※4回目.
. ： タチコマ（攻殻機動隊） ...... 渡良瀬準（はぴねす！） ※4回目
その30 ： 渡良瀬準(はぴねす！) ※３回目 ......その43 ： ラミア・ラヴレス(スーパーロボット大戦)
. ： 木下秀吉（バカとテストと召喚獣） ※2回目 ... ゆっくり霊夢＆魔理沙(東方Project)
その31 ： 佐々木（涼宮ハルヒの憂鬱） ※3回目 .その44 ： 嵐山歩鳥（それでも町は廻っている）
. ： レベッカ宮本（ぱにぽに） ..... 辰野トシ子（それでも町は廻っている）
93 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[sage] 投稿日：2016/03/07(月) 04:35:14 ID:txmvCKxo0
【過去、投票で決まった解説役-２（今回含む）】
その45 ： イカ娘（侵略！イカ娘） ※2回目 ..... その66 ： ミカサ・アッカーマン(進撃の巨人)
キュウべえ（魔法少女まどか☆マギカ） .... 月影ゆり(ハートキャッチプリキュア)
その46 ： 来海えりか（ハートキャッチプリキュア） . その67 ： 庚夕子(黄昏乙女×アムネジア)
花咲つぼみ（ハートキャッチプリキュア） . 佐々木（涼宮ハルヒの憂鬱） ※9回目
その47 ： 佐々木（涼宮ハルヒの憂鬱） ※5回目 . その68 ： ルーラー(Fate Apocrypha)
泉こなた（らき☆すた） 赤セイバー（Fate Extra） ※2回目
その48 ： 秋月涼(THE IDOLM@STER DearlyStars) . その69 ： 天龍(艦隊これくしょん-艦これ)
秋月律子(THE IDOLM@STER） ...... 龍田(艦隊これくしょん-艦これ)
その49 ： 泉野明（機動警察パトレイバー） .... その70 ： 贄波生煮(めだかボックス)
シャーロック・シェリンフォード（ミルキィホームズ） 佐々木（涼宮ハルヒの憂鬱） ※10回目
その50 ： 佐倉杏子(魔法少女まどか☆マギカ) ..
巴マミ(魔法少女まどか☆マギカ) ....
その51 ： セシリア・オルコット（インフィニット・ストラトス）
やらない夫 ....
その52 ： 佐々木（涼宮ハルヒの憂鬱） ※6回目 .
キョン子（涼宮ハルヒの憂鬱＠二次創作） .
その53 ： ヘンゼル（BLACK LAGOON） .
グレーテル（BLACK LAGOON）
その54 ： イカ娘（侵略！イカ娘） ※3回目 .....
インデックス（とある魔術の禁書目録） ※2回目
その55 ： ドラゴンキッド（TIGER＆BUNNY）
暁美ほむら（魔法少女まどか☆マギカ） ...
その56 ： 佐々木（涼宮ハルヒの憂鬱） ※7回目 .
セイバー(Fate/stay night) ..
その57 ： ニャル子（這い寄れ！ニャル子さん） .....
柳生九兵衛(銀魂) .
その58 ： 比良坂初音（アトラク＝ナクア） ...
綾崎ハーマイオニー(ハヤテのごとく！) ※2回目 .
その59 ： 邪神モッコス（ゼノサーガフィギュア） ......
柏崎星奈（僕は友達が少ない） ......
その60 ： 長門有希(涼宮ハルヒの憂鬱) ※2回目 ...
綾波レイ(新世紀エヴァンゲリオン) ..
その61 ： みどろさん(涅槃姫みどろ） .....
輿水幸子(アイドルマスター シンデレラガールズ) .
その62 ： 藤乃静留（舞-HIME） .
赤セイバー（Fate Extra）
その63 ： ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール(ゼロの使い魔)
タバサ(ゼロの使い魔)
その64 ： イカ娘（侵略！イカ娘） ※4回目
オリオトライ・真喜子(境界線上のホライゾン)
その65 ： 佐々木（涼宮ハルヒの憂鬱） ※8回目
八雲紫（東方）
外伝6 ： 中野梓(けいおん！)
94 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[sage] 投稿日：2016/03/07(月) 04:35:29 ID:txmvCKxo0
【正保三年(1646)時の柳生一族系譜】
大膳長永
：
<柳生家>
：
├─────┐
柳生永珍 中坊源専
：
├─────┐
家厳 重厳
｜ （七郎左衛門)
｜ (松吟庵）
├───────────────────────────────────────────┐
宗厳 .妹
(新左衛門) .【江戸柳生】 ｜
(石舟斎) .(大和柳生藩） <幸徳井家>
├───┬───┬────┬───────┐ ｜
厳勝 久斎 徳斎 宗章 宗矩 友景
(新次郎) (五郎右衛門). (又右衛門) .|
｜ (但馬守) |
｜ 【尾張柳生】 ｜ |
├────┬────┬────┐ ├─────┬─────┬─────┐ .|
純厳 利厳. 妹 厳倚 三厳 友矩 宗冬 .六丸 友種
(久三郎) (兵庫助). (権右衛門) .（十兵衛） .（左門） .(主膳)
｜ （幼名：七郎） .（刑部少輔） （幼名：又十郎)
｜ .｜
├────┬────┐ .｜
.清厳 .利方 厳包 娘
.(新左衛門) (茂左衛門) .(七郎兵衛)
95 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[sage] 投稿日：2016/03/07(月) 04:36:11 ID:txmvCKxo0
【第1部(その1～11)のあらすじ】
時は戦国、乱世の時代。
大和国柳生庄の領主、柳生新左衛門宗厳は、上泉伊勢守秀綱創始の新陰流の正統を継ぎ、
後に名を石舟斎とあらため、その剣名を天下に上げた。
しかし、長男新次郎厳勝の不具廃嫡、豊臣家による所領の没収、
新次郎の長男、久三郎純厳の死など、柳生家に辛く重い苦難が襲い掛かる。
だが、徳川家康の招きに応じ、「無刀取り」を以って家康に指南を請われた際、
末子・又右衛門宗矩を推挙したことで、再び柳生家にも光が差す。
その後、関が原の戦にて徳川家に味方したことにより、柳生家は旧領を回復、
更に家康が幕府を開いたことで、宗矩が将軍家剣術指南役となり、
柳生家、そして柳生家の新陰流…「柳生新陰流」は、一気に繁栄の路を進む。
そして、柳生家の家督を宗矩に、新陰流の正統を兵庫助に継がせた石舟斎は、
慶長六年(1611)、78年の生涯に幕を閉じたのであった。
【第2部前編(その12～24)のあらすじ】
石舟斎の死後、宗矩は正式に家督を継ぎ、新たなる柳生家の当主となった。
またその翌年、柳生庄にて宗矩に待望の嫡男・七郎…後の柳生十兵衛三厳が誕生する。
そして、大坂の陣による豊臣家の滅亡、一代の英傑・徳川家康の死を以って、
戦国の世は完全に終りを告げ、新たな時代「江戸時代」が始まる。
その新しき世において、柳生家は将軍家指南役となった宗矩の「江戸柳生」、
尾張徳川家指南役となった兵庫助の「尾張柳生」の二家に分かれ、
宗矩は「坂崎事件」を解決するなど、剣術指南の枠を超えた才を発揮し、柳生家を発展させ、
兵庫助は新たな時代の剣、「直立たる身」の工夫を編み出し、新陰流を発展させる。
その後、時は寛永・三代将軍家光の世に移り、尾張においては後の柳生連也斎厳包こと新六が誕生、
江戸においては十兵衛が小姓を致仕するなどがあったが、その末に、遂に宗矩が諸大夫成を遂げる。
「柳生但馬守宗矩」がここに誕生したのである。
【第２部後編(その25～68)のあらすじ】
晴れて但馬守となった宗矩だが、知己の禅僧・沢庵が紫衣事件で罪に問われ、
また自身も主君家光より難題を出されるなど、次々と苦難が立ちふさがる。
だが、大御所・秀忠の逝去によって赦免された沢庵より
「剣禅一致」を説いた「不動智神妙録」を受けた宗矩は、
真の大将の剣、『活人剣・治国平天下の剣』を確立することに成功、
これを家光に教授し、信任を確かなものにする。
そして、宗矩の惣目付就任、柳生藩一万石の大名への立身や、
柳生新陰流の全国への広がり、嫡男十兵衛の赦免など好事が続き、
途中、江戸時代最大の一揆「島原の乱」の発生や、次男刑部少輔友矩の夭折など、
暗い影がないわけではなかったが、その剣才を開花させ始めた七郎兵衛厳包を得た尾張柳生家も含め、
柳生一族は繁栄の絶頂を迎える。
しかし、寛永という時代が過ぎた後、友である沢庵の入寂を追うように、
柳生一族を繁栄に導いた男、柳生但馬守宗矩も、遂にこの世を去ったのであった。
【第３部(その69)のあらすじ】
宗矩の死後、十兵衛は柳生家の家督を相続し、新たな当主となった。
だが、分知によって、柳生家は万石を割ってしまい、諸侯の列から落ちてしまう。
再び諸侯の列に並ぶ為、十兵衛は決意を新たにするのであった…。
96 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[sage] 投稿日：2016/03/07(月) 04:36:33 ID:txmvCKxo0
さて、時は少し遡る。
時は寛永を過ぎ、正保に入ってしばらくしたある日のこと…
(:;:〃：:;;；)
g _,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,:;::;;(:;〃:;；::〃:;;″
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￣￣￣l: ,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,ヾ:〃:;;:〃:;;;:〃:;;)
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l:l,,,l |:::::::::::::::::l|l : ::.l: ヽ;;:;丿,,,,-' |::::::::::::::::::::::|::::::::l|生l|.,l: ｀ﾟ‐
""""|:::::::::::::::::l|l ._,,,,,,,,,,,,､lr''''''ﾞﾞﾞ~ |::::::::::::::::::::::|:::;;;,.l| l|ﾞ｀ ,'''ﾞﾟﾞ"ヽ
.llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll,!'''ﾞﾟﾞ"ヽl| l| *i,,,'l_ :;:;::ﾞ:;
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .'l_ :;:;::ﾞ:;|l"￣:;:ヽ ｀─"'
｀─"' ヽ＿,,丿 .,.,:;;.,;
【尾張柳生屋敷】
97 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[sage] 投稿日：2016/03/07(月) 04:36:50 ID:txmvCKxo0
γ ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
｜ あらためて…ご苦労であったな。 .|
乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ノ
, - ‐ - 、
（ )
ゝｰ - ‐ ´丿
> <
/ ヽ
/ .i
. i .i
l i
| .|
l .| , 、
. l | , ´ ｀ヽ、
. l l l、 _ .l
. l .l l ゝ´ ｀ヽノl
l l l ｀ ´ i
l l ゝ ノ
ヽ、 .ノ ｀、 ‐ ,´
｀ ´ ｀ ´
γ ￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
| いえ、 |
| 私の力など… .|
乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿ノ
98 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[sage] 投稿日：2016/03/07(月) 04:37:08 ID:txmvCKxo0
／￣＼
| |
＼＿／
|
／￣￣￣ ＼
／ ::⌒:::::::::⌒::＼ そう謙遜するな。
／ <●>::::::<●> ＼ ほれ、盃を出せ。
| （__人__） |
./ ∩ ノ) ／
( ＼ ／ ＿ノ´. く ,､jｰi
.＼ " ／ ﾄ､ ヽソ ⊆)
＼ ／ （ |酒⊂ﾘ
|＿とﾝ
＿
／Ｏ ＼
|. ° |
＼＿,／
|
／￣￣￣￣ ＼
／ ＼
. / ヽ
/ ノ ｀ヽ | では…頂きます。
| ● ● |
ヽ ⊂⊃ ､_,､_, ⊂⊃ /
＼_ /⌒l /
l/ /三三三三三l.
/ | l ＿＿＿ ヽ.
.柳生茂左衛門利方
（やぎゅう しげざえもん としかた）
江戸にいた尾張徳川家嫡男・徳川光義(光友)の指南役として
上府していた利方は、今、尾張に戻っていた。
99 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[sage] 投稿日：2016/03/07(月) 04:37:25 ID:txmvCKxo0
γ´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ
l …っと、こんなところだな。 |
ヽ、＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ﾉ
r＝ｰ- _
-ゝ､ ＿＿ ｀ ､
／ ,.ィ´ __＿__ ｀ヽ. ヽ
r‐ ´ ／{ く: : : : . . . ヽｿｉ 、
`ｰ／ / Y ｀ ｰ{＼ｰ ´ ﾉ ＼
／ ／| 〈 ヽ ＿,ゝ、｀ く ヽ
ｰ ´ j }ヾ､ ＼ ＼
ﾉノ ＼ ｀ヽ ヽ
ヽ＼ `ヽ
{＼
ヽ ___
｀ ､ _
｀ 、
γ´￣￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ
l 父上、今度は私が… |
ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿_.ﾉ
100 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[sage] 投稿日：2016/03/07(月) 04:37:44 ID:txmvCKxo0
／￣＼
| |
＼＿／
|
.／ ￣ ￣ ＼
.／ ::＼:::／:: ＼ .…ふっ。
.／ .<⌒>::::::<⌒> ＼ 倅と飲む酒というのは美味いものだな。
.| （__人__） |
> ￣｀ <
／ ー‐ ＼
/ 、 ,.-―､ |
| | ／ 、 ヽ | |
,ヽ. ／ 人 !i l |..、-―´⌒. |
＿＿＿＿_|＿＼ ／＿|::rYﾛ::| ＿＿＿/＿＿＿
`ｰ´ .|::｀^ﾞ´:|
￣￣
⊂ニ⊃
＿,-‐､
／Ｏ ＼ ）
|. ° |￣￣￣￣＼
＼＿／ ＼
. / ヽ 父上と飲むのは、
/ .| 私が江戸に出る前以来ですから、
| ノ ｀ヽ | 随分経ちますね。
ヽ ⌒ ⌒ /
＼////､_,､_, //// /
lr'⌒)|~~~~|(´ j三三l
/ヾ三} |＿__|{彡'｀}＿_｀､
ｌ ﾉ .ヽ l |│
101 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[sage] 投稿日：2016/03/07(月) 04:38:03 ID:txmvCKxo0
／￣＼
| |
＼＿／
|
／ ￣ ￣ ＼
／ ::＼:::／:: ＼ …で、あちらでは、どうであった？
／ .<●>::::::<●> ＼
| （__人__） |
＼ ｀⌒´ ／
/,,― -ー ､ , -‐ ､
（ , -‐ '" ）
`;ー" ` ー-ー -ー'
l l
＿
／Ｏ ＼
|. ° |
＼＿,／
|
／￣￣￣￣ ＼
／ ＼ 若様は御心掛けに不足なく、
. / ヽ 今のままなら、結構な腕前になられるかと。
/ ノ ｀ヽ |
| ● ● | …ですが、父上が知りたいのは、
ヽ ⊂⊃ ､_,､_, ⊂⊃ / そのことではないのでしょう？
＼_ /⌒l /
l/ /三三三三三l.
/ | l ＿＿＿ ヽ.
102 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[sage] 投稿日：2016/03/07(月) 04:38:27 ID:txmvCKxo0
／￣＼
| |
＼＿／
＿|＿
／ ＼
. ／ ＼
. ／ ／） ::::＼:::／:: ＼ …流石に分かるか。
| ／ .ｲ '<ー>::::<●> u|
. /,'才.ﾐ). （__人__） ／
. | ≧ｼ' ｀ ⌒´ ＼
／＼ ヽ ヽ
＿
／Ｏ ＼
|. ° |
＼＿,／
／
. ／￣￣￣￣ ＼
. ／ ＼
/ ＼ ヽ 私もそれなりに歳を取りましたから。
. / ● |
| ､_,､_, ⊂⊃ | で、父上が最も知りたいと
ヽ / 思うておられる事ですが…。
＼ /
(｀ヽ l三三三三三三三l
ヽ､/ ＿＿＿ ヽ
103 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[sage] 投稿日：2016/03/07(月) 04:38:51 ID:txmvCKxo0
＿
／Ｏ ＼
|. ° |
＼＿,／
|
／￣￣￣￣￣＼
／ ＼
/ ヽ
| __ノ ヽ､_ | …七郎は、危ういですね。
| ● ● .|
ヽ ⊂⊃ ､_,､_, ⊂⊃ /
＼ └┘ ／
:;l三三三三三三三l
| ＿＿ ＿＿ |
| |:::::::::| |::::::::::| |
／￣＼
| |
＼＿／
＿_|＿_
／ ＼
／ ::＼:::／:: ＼
／ .<●>::::::<●> ＼ ………続けよ。
| （__人__） |
＼ .｀⌒´ ／
/⌒ヽ ー‐ ｨヽ
/ ,⊆ニ_ヽ、 |
/ ／ r─--⊃、 |
| ヽ,.ｲ ｀二ﾆﾆうヽ. |
104 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[sage] 投稿日：2016/03/07(月) 04:39:18 ID:txmvCKxo0
＿
／Ｏ ＼
|. ° |
＼＿,／
|
／￣￣￣￣ ＼
／ ＼
. / ヽ .腕前では、
/ __ノ ヽ､_ .| 七郎は完全に僕より上ですよ。
| ● ● |
ヽ ⊂⊃ ､_,､_, ⊂⊃ / でも、その反面、
/⌒ヽ_＼ ゝ._） / /⌒i .あいつには兵法しかありません。
＼ /:::::/;l三三三三三三三l / ./ それだけがあいつの全てと言ってもいい。
. /:::::/ |＿ ＿＿＿ ﾍ､__/
. ｀ヽ< | | | | ヾ:::彡'
／￣＼
| |
＼＿／
＿_|＿_
／ ＼
／ .::＼i||i／::. ＼
／ .<－>::::::<－> ＼ ………。
| （__人__） |
＼ .｀⌒´ ／
/⌒ヽ ー‐ ｨヽ
/ ,⊆ニ_ヽ、 |
/ ／ r─--⊃、 |
| ヽ,.ｲ ｀二ﾆﾆうヽ. |
105 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[sage] 投稿日：2016/03/07(月) 04:39:49 ID:txmvCKxo0
＿
／Ｏ ＼
|. ° |
＼＿,／
|
／￣￣￣￣ ＼
／ ＼
. / ヽ 誰かがあいつを支えてやらないと、
/ ノ ｀ヽ u. | .…よくないことが起こるでしょうね。
| － － |
ヽ ⊂⊃ ､_,､_, ⊂⊃ /
＼_ /⌒lゝ._） /
l/ /三三三三三l.
/ | l ＿＿＿ ヽ.
／￣＼
| |
＼＿／
|
／￣￣￣ ＼
／ ::＼:::／::::＼
／ <－>::::::<－> ＼ …お前がそれがわかっておるなら、問題ない。
| （__人__） |
＼ ｀ ⌒´ ／
￣（⌒`:::: ⌒ヽ
ヽ:::: ~~⌒γ⌒）
ヽー―'^ー-'
〉 │
106 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[sage] 投稿日：2016/03/07(月) 04:40:11 ID:txmvCKxo0
／￣＼
| |
＼＿／
＿_|＿_
／ ＼
／ :::＼:::／:::＼
／ <－>:::::<－>. ＼ …茂左。
| （__人__） |
/ ∩ノ ⊃ ／
( ＼ ／ ＿ノ .| |
.＼ “ ／ ＿__| |
＼ ／＿＿＿ ／
107 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[sage] 投稿日：2016/03/07(月) 04:40:30 ID:txmvCKxo0
／￣＼
| |
＼＿／
＿|＿
. ／´￣ ￣｀＼
.／ ､ , ヽ
/ ::::＼:::::::::／::::: ヽ
./. < ● > :::::::: < ● > l 新陰流の道統と指南役の御役目は…七郎に継がせる。
.| |
..ヽ （＿_人＿） /
ヽ､ .｀ ー ' ／
／:::::::::|::＼ﾞ_>介 √!;:::::::＼
. /:::::::::::::::＼:::ヽ };;{ |::/::::::::::::::ヽ
/:::::::::::::::::::::::ヽ::ヾ::}〃:::::::::::i:::::::i
＿
／Ｏ ＼
|. ° |
＼＿,／
|
／￣￣￣￣ ＼
／ ＼
. / ヽ
/ノ ｀ヽ | …そう、でしょうね。
| － － |
ヽ ､_,､_, ⊂⊃ /
＼_ /
:;l三三三三三三三l
| ＿＿ ＿＿ |
| |:::::::::| |::::::::::| |
108 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[sage] 投稿日：2016/03/07(月) 04:40:53 ID:txmvCKxo0
／￣＼
| |
＼＿／
＿_|＿_
／ ＼
／ ::＼:::／:: ＼
／ .<●>::::::<●> ＼ …驚かぬか。
| （__人__） |
＼ ｀ ⌒´ ／
/⌒ヽ ー‐ ｨヽ
/ ,⊆ニ_ヽ、 |
/ ／ r─--⊃、 |
| ヽ,.ｲ ｀二ﾆﾆうヽ. |
＿
／ ＼
|. |
＼＿,／
＼
／￣￣￣￣ ＼
／ . . : : : :＼
. / . . : : : : : :ヽ わかっています。
/ . . : : : : : : : :| あいつは、僕とは物が違う。
| . . : : : : : : : :|
ヽ . . : : : : : : :/ 新陰流の事を考えるなら、
＼ . . : : : : : :/ あいつが道統を継いだ方がずっといい。
l三三三三三三三l
| : : : : ,:.|
109 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[sage] 投稿日：2016/03/07(月) 04:41:47 ID:txmvCKxo0
／￣＼
| |
＼＿／
＿__|_＿_
／u ＼ …だが、お前を蔑ろにするつもりもない。
／ :::＼,::::､／:::: ＼ 大体、俺が死ねば、七郎の奴を抑えられるのは、
／ < ●>::::::<● > ＼ お前しかおらぬのだぞ、
| '" （__人__）"' u |
＼ `⌒´ ／ 故に、家はお前に継がせる。
／ゝ "` . ィ｀ヽ. .兄であるお前の言うことであれば、あいつも聞くであろう。
＿
／Ｏ ＼
|. ° |
＼＿,／
|
／￣￣￣￣ ＼
／ ＼
. / ヽ
/ ─ .─ | .…それ、考え様によっては、
| ● iiiiiiiiiii ● | 私は随分と恥をかくことになりますよね…。
ヽ ⊂⊃ ､_,､_, ⊂⊃ /
＼_ /⌒l /
l/ /三三三三三l.
/ | l ＿＿＿ ヽ.
110 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[sage] 投稿日：2016/03/07(月) 04:42:17 ID:txmvCKxo0
＿
／Ｏ ＼
|. ° |
＼＿,／
／
. ／￣￣￣￣ ＼
. ／ ＼ …でも、落としどころはそこしかないと、
/ ＼ ヽ 私も思っていましたからね。
. / ＝ | .承知致しました。
| ､_,､_, ⊂⊃ u |
ヽ {_ﾉ / しかし、亡くなる話だなんて、
＼ / .縁起でもないこと、言わないでくださいよ。
(｀ヽ l三三三三三三三l .今だって、立ち合えば七郎も勝てないくらい元気なのに。
ヽ､/ ＿＿＿ ヽ
／￣＼
| |
＼＿／
＿|＿__
／ ＼ 何が縁起だ。
／ ::＼:::::::／::＼ 俺はもうそろそろ70だぞ？
／ <●>::::::<●> ＼ だのに、跡継ぎどころか、孫の顔すら見ておらぬ…！
| （__人__） |
＼ ` ⌒ ´ ,／ お爺様が70の頃といえば、
. /⌒～"￣,￣￣〆⌒,ﾆつ 俺はもう18だったというのに…。
| ,＿_＿ﾞ＿__､rヾｲｿ⊃
| ｀l￣
. | |
111 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[sage] 投稿日：2016/03/07(月) 04:42:41 ID:txmvCKxo0
＿ ,-‐､
／ ＼ ）
| 。 |￣￣￣ ＼
＼.0 ／ ＼
./. ￣ ヽ
/ ノ ｀ヽ | 嫁もいないのに無茶言わないで下さいよ。
| ＝ ＝ u .| 大体、江戸詰の身で嫁取りなんて無理ですよ。
ヽ ⊂⊃､_,､_, ⊂⊃ /
＼_ /⌒l /
l/ /三三三三三l.
/ | l ＿＿＿ ヽ.
／￣＼
| |
＼＿／
|
／￣￣￣ ＼
／ ::＼i||i／::＼ わかっとるわい。
／ <－>::::::<－> ＼ だが、こうして腹を決めた以上、
| u （__人__） | .お前の嫁取りの件も殿に御相談しておくからな。
ヽ ∩ノ ⊃ ／ しばらく待っておれ。
( ＼ ／ ＿ノ | |
.＼ “ ／＿＿| |
. ＼ ／＿＿＿ ／
112 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[sage] 投稿日：2016/03/07(月) 04:43:13 ID:txmvCKxo0
／￣＼
| |
＼＿／
|
／￣￣￣ ＼
／ .＼ .だがなぁ…。
／ ::_ノ ::::::: ヽ_::: ＼ できれば、俺が、お爺様にして頂いたように、
| ⌒:::::::::: ⌒ | .手をとって孫に剣を教えてやりたかったが…それは叶わぬかな。
＼ （__人__） ／
ノ ｀ ⌒´ ＼
＿
／Ｏ ＼
|. ° |
＼＿,／
|
／￣￣￣￣ ＼
／ ＼
. / ヽ
/ ノ ｀ヽ | …七郎がいれば、
| ● ● | きっと、父上の剣は孫の世代にも伝わりますよ。
ヽ ⊂⊃ ､_,､_, ⊂⊃ /
＼_ /⌒l /
l/ /三三三三三l.
/ | l ＿＿＿ ヽ.
113 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[sage] 投稿日：2016/03/07(月) 04:43:52 ID:txmvCKxo0
／￣＼
.| |
＼＿／
|
／￣￣￣＼
／:::::::::::::::::::::::::::＼
／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼ .…そうだな。
| ::::::::::::::::::::::::::::::::::::: | そうであってほしいものだ…。
＼ ::::::::::::::::::::::::::::: ／
/, ::::::::::::::::::::::::::::: ヽ､
（ ::::::::::::::::::::::::::::::::: ）
`; ::::::::::::::::::::::::::::::::: '
l ::::::::::::::::::::::::::::::::: l
なお、この後、利方の嫡男であり、新陰流第八世となる兵庫厳延が生まれるのは、
20年程後の寛文四年(1664)のことである…。
114 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[sage] 投稿日：2016/03/07(月) 04:44:19 ID:txmvCKxo0
そして、時は過ぎ、正保三年四月。
時に、兵庫助69歳、利方27歳、厳包22歳…。
..::／|| l l ii==================ii
...:::／| || l ｌ l l l
...: :／| |／|| l ｌ .┌─────────┐
／| |／| ＼＿_人人人从／ .ｌ │［］ ［］［］［］ ［］［］ │
|／| |／＿） （＿| └─────────┘
／| |／| |） 父上！ （ .ｌ l l l
|／| |￣￣） (￣ｌ .l l l
／| |／| |／⌒Y⌒YYY⌒＼ｌ l l l
|／| |／|| l ｌ l l l
／| |／| || l ｌ l l l
|／| |／|| l ｌ l l l
／| |／ ..:::||___________l___________ｌ____＼_人＿人∧从＿人_∧_人_从_/／
|／...::::::／ ／ ／ ) ＞
／.....:::::／ ／ ／ ＜ 江戸から知らせが…！ ＞
...:::::::／ ／ ／ < (
..:::／ ／ ／ ／＾Y￣∨￣∨^Y^⌒Y^YY^^Y^
／ ／ ／ ／ ／ ／
115 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[sage] 投稿日：2016/03/07(月) 04:44:51 ID:txmvCKxo0
／￣＼
.| |
＼＿／
|
／￣￣￣＼
／ .＼ .…そうか。
／ . ＼ ついに、叔父上が亡くなられたか。
| |
＼ ／
/, ヽ､
（ ）
`; '
l l
＿
／Ｏ ＼
|. ° |
＼＿,／
＼
／￣￣￣￣＼
／ ＼
/ ヽ .家督相続については
|. ヽ、 ノ | まだ上様の御沙汰次第ですが、
| u ● ● | おそらくは嫡男十兵衛殿が継がれるかと…。
ヽ ⊂⊃ ､_,､_, ⊂⊃/
ヽ .／
|三三三三三三三|
/ ＿＿＿ ヽ
この頃、尾張にも宗矩の死についての知らせが届いたと思われる。
116 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[sage] 投稿日：2016/03/07(月) 04:45:11 ID:txmvCKxo0
／￣＼
.| |
＼＿／
|
／￣￣￣＼
／ .＼
／ . ＼ …………。
| |
＼ ／
/, ヽ､
（ ）
`; '
l l
＿
／Ｏ ＼
|. ° |
＼＿,／
|
／￣￣￣￣ ＼
／ ＼
. / ヽ
/ノ ｀ヽ | ………。
| ● ● |
ヽ ､_,､_, ⊂⊃ /
＼_ /
:;l三三三三三三三l
| ＿＿ ＿＿ |
| |:::::::::| |::::::::::| |
117 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[sage] 投稿日：2016/03/07(月) 04:45:29 ID:txmvCKxo0
＿
／Ｏ ＼
|. ° |
＼＿,／
|
／￣￣￣￣ ＼
／ ＼
. / ヽ
/ ノ ｀ヽ | …ひとつ、よろしいですか？
| ● ● |
ヽ ⊂⊃ ､_,､_, ⊂⊃ /
＼_ /⌒lゝ._） /
l/ /三三三三三l.
/ | l ＿＿＿ ヽ.
／￣＼
.| |
＼＿／
|
／￣￣￣＼
／ .＼
／ . ＼ ……なんだ？
| |
＼ ／
/, ヽ､
（ ）
`; '
l l
118 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[sage] 投稿日：2016/03/07(月) 04:45:57 ID:txmvCKxo0
＿
／Ｏ ＼
|. ° |
＼＿,／
|
／￣￣￣￣￣＼
／ ＼
/ u ヽ
| __ノ ヽ､_ | 父上は、但馬守様…大叔父上殿を憎んでおられるのですか？
| ● ● U .|
ヽ ⊂⊃ ､_,､_, ⊂⊃ /
＼ └┘ ／
:;l三三三三三三三l
| ＿＿ ＿＿ |
| |:::::::::| |::::::::::| |
／￣＼
.| |
＼＿／
|
／￣￣￣＼
／ .＼
／ . ＼ …………。
| |
＼ ／
/, ヽ､
（ ）
`; '
l l
119 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[sage] 投稿日：2016/03/07(月) 04:46:35 ID:txmvCKxo0
／￣＼
| |
＼＿／
＿|＿
. ／´￣ ￣｀＼
.／ ヽ
/ ::::─:::::::::::::::─:::::::: ヽ …そうだな。
./ < ● > :::::::: < ● > .l
.| | あらためて考えてみたが…、
..ヽ （＿人＿_） / 俺はやはり、叔父上を憎んでおる訳ではないようだ。
ヽ､ ｀ ⌒ ´ ／
／:::i:＼ﾞ_>介 √:::／::::::::＼
. /:::::::::ヽ:::ヽ };;{/::／:::::::::::::::::::ヽ
/:::::::::::::::::ヽ::ヾ/〃::::::::::::::::::i:::::::i
120 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[sage] 投稿日：2016/03/07(月) 04:47:15 ID:txmvCKxo0
／￣＼
| |
＼＿／
| そもそも、憎む筋合いがない。
／￣￣￣＼
／ ::＼:::／:: ＼ . 叔父上に家を継がせたのはお爺様だし、神君様への推挙もそうだ。
／ .<－>::::::<－> ＼ 江戸の柳生が大名にまで立身し、我らと文字通り格違いの地位にあるのも、
| （__人__） | .一重に叔父上の才覚故で、我らと無縁の話だ。
＼ ｀⌒´ ／
/,,― -ー ､ , -‐ ､ 憎むにせよ、道理が通らぬ。
（ , -‐ '" ）
`;ー" ` ー-ー -ー'|
＿
／Ｏ ＼
|. ° |
＼＿,／
|
／￣￣￣￣ ＼
／ ＼
. / ヽ
/ ノ ｀ヽ | ………。
| ● ● |
ヽ ⊂⊃ ､_,､_, ⊂⊃ /
＼_ /⌒l /
l/ /三三三三三l.
/ | l ＿＿＿ ヽ.
121 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[sage] 投稿日：2016/03/07(月) 04:48:20 ID:txmvCKxo0
／￣＼
.| |
＼＿／
_＿|＿_
／ ::－:::－＼ だがな…憎んでおらぬにせよ、
／ <●>::<●>＼ 俺は、俺の一分を通す為に、叔父上に反発した。
／ （__人__） ＼
| ｀⌒´ | .無念に死んだ父の、そして、兄のことを思えば、
＼ ／ 例え道理が通らぬにせよ、そうせざるを得なんだのだ。
／ ＼
122 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[sage] 投稿日：2016/03/07(月) 04:48:46 ID:txmvCKxo0
／￣＼
| |
＼＿／
|
／￣￣￣ ＼
／ ＼ .だから、これは道理の問題ではない。
／ ::::_ノ::::ヽ_::::: ＼
| ⌒:::::::::: ⌒ | …単なる意地だ。
＼ （__人__） ／
ノ ｀ ⌒´ ＼
＿
／Ｏ ＼
|. ° |
＼＿,／
|
／￣￣￣￣ ＼
／ ＼
. / ヽ
/ ノ ｀ヽ | …意地、ですか。
| ● ● |
ヽ ⊂⊃ ､_,､_, ⊂⊃ / 「そうだ。意地だ」
＼_ /⌒lゝ._） /
l/ /三三三三三l.
/ | l ＿＿＿ ヽ.
123 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[sage] 投稿日：2016/03/07(月) 04:49:13 ID:txmvCKxo0
＿
／Ｏ ＼
|. ° |
＼＿,／
|
／￣￣￣￣￣＼
／ ＼
/ ヽ
| ノ ｀ヽ | …では、仕方ないですね。
| .● ● .|
ヽ ⊂⊃ ､_,､_, ⊂⊃ /
＼ ／
l三三三三三三三l
| ＿＿ ＿＿ |
| |:::::::::| |::::::::::| |
／￣＼
.| |
＼＿／
|
／￣￣￣＼ ,
／ － － ＼ -
／ <●> <●> ＼ …ほう。
| （__人__） |
＼ ｀⌒´ ／
/,,― -ー ､ , -‐ ､
（ , -‐ '" ）
`;ー" ` ー-ー -ー'|
124 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[sage] 投稿日：2016/03/07(月) 04:51:28 ID:txmvCKxo0
＿
／Ｏ ＼
|. ° |
＼＿,／
／
／￣￣￣￣ ＼
／ ＼
. / ヽ
/ ヽ、 ノ | .但馬守様が憎いからと仰るなら、
| ● ● | 私はここで、父上を説得するつもりでした。
ヽ ⊂⊃ ､_,､_, ⊂⊃ /
＼ / そのような道理の通らぬ諍いを、
l三三三三三三三l .後々まで遺す訳にはいきませぬ、
/ ＿＿＿ ヽ
／￣＼
.| |
＼＿／
＿_|_＿_
／ ＼
／ － ::: － ＼ やれるか。
／ .<●>::::::<●> ＼
| （__人__） | 「やりますよ」
＼ .｀⌒´ ／
ノ ＼
125 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[sage] 投稿日：2016/03/07(月) 04:52:06 ID:txmvCKxo0
＿
／Ｏ ＼
|. ° |
＼＿,／
|
／￣￣￣￣ ＼
／ ＼
. / ヽ でも、意地だと言われては、仕方ない。
/ ノ ｀ヽ |
| ⌒ ⌒ | ここまで通した意地なら、最後まで通すのが筋でしょうし、
ヽ ⊂⊃ ､_,､_, ⊂⊃ / ここに至ったのであれば、通させるのが孝というものでしょう。
＼_ /⌒l /
l/ /三三三三三l.
/ | l ＿＿＿ ヽ.
／￣＼
| |
＼＿／
＿|＿
. ／´￣ ￣｀＼
.／ ､ , ヽ
/ :::_ノ :::: ヽ_:::: ヽ
./. < ⌒ > :::::::: < ⌒ > l …すまんな。
.| |
..ヽ （＿_人＿） / 「いえ…それでは、失礼します」
ヽ､ .｀ ー ' ／
／:::::::::|::＼ﾞ_>介 √!;:::::::＼
. /:::::::::::::::＼:::ヽ };;{ |::/::::::::::::::ヽ
/:::::::::::::::::::::::ヽ::ヾ::}〃:::::::::::i:::::::i
126 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[sage] 投稿日：2016/03/07(月) 04:53:03 ID:txmvCKxo0
＜ﾊﾟﾀﾝ
／￣＼
| |
＼＿／
|
／￣￣￣＼
／ ::＼:::／:: ＼ 叔父上も亡くなられた…。
／ .<－>::::::<－> ＼ いよいよ俺も、後の始末を付ける準備をせねばならぬか。
| （__人__） |
＼ ｀⌒´ ／
/,,― -ー ､ , -‐ ､
（ , -‐ '" ）
`;ー" ` ー-ー -ー'|
127 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[sage] 投稿日：2016/03/07(月) 04:53:42 ID:txmvCKxo0
／￣＼
| |
＼＿／
|
／￣￣￣ ＼
／ ::＼i||i／:: ＼ …茂左と七郎、
／ <－>::::::<－> ＼ 腕前に於いては間違いなく七郎の方が上だが…いかにも危うい。
| u （__人__） |
/ ∩ノ ⊃ ／ まったく、茂左がいてくれて助かったな。
( ＼ ／ ＿ノ | | .あいつがいれば、そうおかしなことにはなるまい…。
.＼ “ ／＿＿| |
. ＼ ／＿＿＿ ／
128 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[sage] 投稿日：2016/03/07(月) 04:54:00 ID:txmvCKxo0
／￣＼
.| |
＼＿／
| '_
／￣￣￣＼ 、
／ .＼
／ . ＼ …………！
| |
＼ ／
/, ヽ､
（ ）
`; '
l l
129 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[sage] 投稿日：2016/03/07(月) 04:54:19 ID:txmvCKxo0
／￣＼
| |
＼＿／
|
／￣￣￣ ＼
／ ＼
／ ::::_ノ::::ヽ_::::: ＼ …まったく、お爺様は正しかったな。
| ⌒:::::::::: ⌒ |
＼ （__人__） ／
ノ ｀ ⌒´ ＼
151 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/03/22(火) 00:36:24 ID:as6.qbYQ0
宗矩の死から二年経った慶長元年(1648)の正月──
＿
／Ｏ ＼
| ° |
＼＿／
|
. ／ ￣￣￣￣＼
. ／ ＼
. / ⌒ ⌒ ヽ
. | ● ● ' , 父上、新年おめでとうございます。
. | ⊂⊃ ､_,､_, ⊂⊃ |
i⌒ヽ /
ヽ ヽ. ／_,／⌒)
∧__,ﾍl三三三三三三三;i'´::::ヽ／
ヾ_:::ッﾘ ＿＿＿ ＿|::::::::ﾊ
i | | | | >'''´
,ｨ
／:ﾉ
,.x<´:／
_,.x＜´: : ／ ,ィ
r‐=': : : : : : ∠.x=＝＝ニ≧､ _,.x<:ﾉ
,､. ∨. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ＼ ／. : : ﾘ
,.<: ::＼V. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ＼＿_ ／. : : : :/
x＜: : : : : : ｀: : : : ＞───'‐┤: : : : : W: : : : : : : : : :: ::/
／:_,.＞: : : : : : : :7'´ ＿＿＿＿_|: : : : : : i: : : : : : : : : : :ソ
／／／. : : :_: :: :: ::ム-＜ ,.x＜三_,|: : : : : : |: : : : : : :_,.>'´ おめでとうございます。
. /／／. : :x'フ: : : : x'ヘミﾆi k'x＜´じア: : : : : : :W: : : : : ト､_ ,.ｨ
. !ﾞ /: : :／//: : : :: ::ハ弋_じ｀ ｀¨´/: : : : : : : }ヽ: : : : : : : :｀ ー‐＜/
. i: : / { i: : : : : : : :ｿ <ﾞ ﾉ,ｲ: : : : : : |) ﾊ: : : : : : : : : : : : /
{:.:/ {ﾘ: : :ﾘ}::...::∧ ヽ＿＿. ノｲ∧: : :: ::ソ'´: : x: : : : : : : : :／
. |/ ﾘ: : ソハ: : :∧ ′- .∧: x:.:／. : : : : ::ﾊ｀ｰ─‐ ',
/:..:ｿ !: :: ::ﾘ}: ﾍ /.:／／ｲ: : : : x‐､: :｀ー=:ン
i:／ ハ: :/ .}: : ﾍ、 ,. :::/イ＜二ﾌ三ニ ' V＿_／
／ ,.x/: ;:イ￣ｿ:;イ: ヽイ 7'⌒i | ／ X
/ /イ｀ヽ／イ.ノ'´ .| .∧: : | | ' '⌒ヽ ｀>､
. _,.x＜/ /: : : ::7 ｲ _ﾘ .∧:.:.:.:| | ＞ ‐x _
_,.x＜ _,.x /ノ: : : : ::{ ! ＞' ,' /: : : : :| | _ ＿＿＿＿ ,. ｀
-=' -‐ ' ´ ／ｲ: : : : : :八 ∨ ／｀ー‐∧: :: :: ::| | _,.x＜´. . . . . . . . . . . .
柳生七郎兵衛厳包
（やぎゅう しちろうべえ としかね）
この年、兵庫助71歳、利方29歳、厳包24歳である。
152 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/03/22(火) 00:36:58 ID:as6.qbYQ0
／￣＼
| |
＼＿／
|
／ ￣ ￣ ＼
／ ::＼:::／:: ＼ うむ。
／ .<●>::::::<●> ＼ 今年は家族揃って無事新年を迎えられた。
| （__人__） | めでたいことだ。
＼ ｀ ⌒´ ／
/,,― -ー ､ , -‐ ､
（ , -‐ '" ）
`;ー" ` ー-ー -ー'
l l
／ /
／ /
ヽ ￣￣｀¨''' ｰ- .._ .l
／￣｀` ヽ / l
／ ヽ／ ! l
/ .ｲ ./ / /----‐‐‐ヽ ヽ ／./｜ 去年の正月は、
/／ l/ l l /-----‐‐‐‐ヽ l ∠-' / 俺は江戸に詰めていましたからね。
/ | l ./ /| l＞-､! ､_. -＜| .l l ／
l/l /l !`’-‐〉 ’-‐ l/l lﾍ-＜
l l / ﾄ､ﾒ、 ヽ .l /‐' ___` ｰ／
r ┴'''''77li､ ‐_‐- ／|/r'''´ /ﾊl‐'
. | .//｜|＼ ,.イ /.lﾍﾄ .// ||
ﾉ-‐ ﾉﾉ:::::| | ￣ / .ト､ //::::||
／￣￣`¨/ ∠_￣｀ヽヽ_＿＿/＿｀l ／:::::::|L___
/ `==''´ ｀'ｰ-￣ -‐'''¨´￣て_)､ ￣｀＼
寛永十九年、江戸に上府した厳包が、いつ尾張に戻ってきたかは不明であるが、
少なくとも、この頃までには尾張に戻っていたと思われる。
（この話では、ひとまず、正保の末までは江戸にいたものとしておく）
153 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/03/22(火) 00:37:24 ID:as6.qbYQ0
／￣＼
| |
＼＿／
|
／ ￣ ￣ ＼
／ ＼ ／ ＼ …で、だ。
／ ⌒ ⌒ ＼
| （__人__） |
＼ ｀ ⌒´ ／
／￣￣￣￣￣￣￣ ＼
154 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/03/22(火) 00:37:48 ID:as6.qbYQ0
／￣＼
| |
＼＿／
|
／ ￣ ￣ ＼
／ ＼ ／ ＼ お前達。
／ ⌒ ⌒ ＼ .俺は、この正月を以って隠居する。
.| .（__人__） |
＼ ｀⌒´ ／
/ヽ､--ー､＿＿,-‐´ ＼ .☆
／ > ヽ▼●▼<＼ ∩ｰ､.
/ ヽ､ ＼ i |｡| |/ ヽ (ニ､｀ヽ.
.l ヽ l |｡| | ｒ-､y ｀ﾆ ﾉ ＼
l | |ー─ | ￣ l ｀~ヽ＿ノ
＿
／Ｏ ＼
|. ° |
＼＿,／
＼
／￣￣￣￣＼
／ ＼
/ ヽ
|. ヽ、 ノ | ………はっ。
| u ● ● |
ヽ ⊂⊃ ､_,､_, ⊂⊃/
ヽ .／
|三三三三三三三|
/ ＿＿＿ ヽ
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. :ヽ、＿_,ノ:::|
>:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ::::::::::::::::___,ﾉ
:Y:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/.:／:.:.: :::::::::::::::::::＼
/:.:.:.:.:.:.:.:.:/:./ ｀ヽ:.:.:::::::::: ＼:::::: ヽ
:.:.:.:.:.:.:.:.:/:∧、 |:.::|:::::::::::::::ヽ、:::|
:.:.:.:.:.:.:/:/＼ヽ＼ ! :!::: |::::|:::|: |ャ::|
:.:.:.:.:.ｲ:,气､__ヾ_, ,}:.:|:::::|::: !:::!::| ∨
:.:.:.:./|/ ￣ヽ ,/.:.:.j:::: !: /::;ﾊ:! ………ははっ。
:.:.:,ｲ | u. {:.:.: ﾉ|::: |/|:/
:.:.ｌ ﾄ | ＼:./|::: ﾚ'|′
:.:.| l ﾄ _____,r‐' ´/::!::::|
:.:.| | | ´ﾞｰ{:.:.:.:.／/_|:::ﾉ
:.:.| | T´:.:.:./ ./ ｲ:/
￣＞〉 /:.:.:.: / ,/ l/
／//イ|:.!:.:./- ､__
:.:// |:|:./ ／ィ/
155 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/03/22(火) 00:38:13 ID:as6.qbYQ0
／￣＼
| |
＼＿／
＿|＿__
／ ＼
／ ::＼:::::::／::＼ 七郎。
／ <●>::::::<●> ＼
| （__人__） | 兵法指南の御役目…正式にお前に継がせる。
＼ ` ⌒ ´ ,／
. /⌒～"￣,￣￣〆⌒,ﾆつ
| ,＿_＿ﾞ＿__､rヾｲｿ⊃
| ｀l￣
. | |
＼: : : : : : : : :/: : : : : : : : : : : : ／
ー―――ゝ : : : : : /: : : : : : : : :/: :／
: : : : : : : : : : : : : : :, : : : : : : : :〃:/ャー――――
＼: : : : : : : : : : : :/: : : : : : : ://:/＼＼ l
－､＿: : : : :ｈ: : : :/ : //:/ ￣｀＼＼ ＼
＿＿＿_ ＞: :l |: : :/: :/// ftﾘ〕＼＼ 〉
―――‐: : : : : : :l | : /: //＾＼ _／`ァｲ个 ………！
＼: : : : : : : : : :Ｎ: :l: /ﾊ l ≧ｧ'´ ／ !
￣￣￣｀才::l: :|/L_l l _ / |
_／: : :::|:/ﾍ、ﾑ-ギ´ / l|
／: : : : : : : |': : : ¨´! | u. j
―一: : : : : : : : : : : : : : : :∧ 丶 /_
: : : : : : : : : : : : : : : : : : :/: : :＼ ＿ ｀ﾞ
: : : : : : : : : : : : : : : : : : ': : : : ::/＼ /´ ＿
156 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/03/22(火) 00:38:50 ID:as6.qbYQ0
／￣＼
| |
＼＿／
|
／￣￣￣ ＼ …新陰流の道統相伝については、
／ ::＼:::／::::＼ 今は殿が宗家故、日取りを整えた上でのこととなるが、
／ <●>::::::<●> ＼ お前に継がせる旨、既に御認め頂いておる(※)
| （__人__） |
＼ ｀ ⌒´ ／ 相伝の暁には、お前が新陰流正統五世となるのだ。
￣（⌒`:::: ⌒ヽ
ヽ:::: ~~⌒γ⌒）
ヽー―'^ー-'
〉 │
／ ／＿
／ ￣
/ ＿
/ ／/ ､､,,,,,,, ,,,,,,,､､ ＼|
// / / / ￣￣ | ､､--
// | // |_ | ￣￣ …父上。
/ || | || く__'''''ｰ-------ｰ'''''| |ヽ それで本当によろしいのでしょうか？
/ .|| | .|| ┌ｰ-''ｰ-,,| /／-ｰ'''''__ | .）
|| | || |＼ ”,,,､ヽ ''''￣,,,” |.|| |ヽ ─==
|.|.| |.| | ￣ / ''' ￣.|| | |/
.| | | | |.× ノ ￣| || ＿＿＿＿
| | .λ＼＼ ＼ u. | || ＼ ＼
| | | | ||＼ ､--ｰｰ､ |.| | ／＼ .＼
＼ .| .|| //＼ ￣￣.´ ／ .| /| || ／ .| ＼
--ｰ'''''''''''''''''ｰｰ--＼ ソ// ＼ ／ |. / |/ ﾚ ＼
／ ／ ／ // /ヽ─ |/ / / ／ ＼
／ ／ // / ＼ / /
./ / |/ / ﾉ / /
/ || |''''ｰ ､､--ｰ| |
※この時点では主君である徳川義直が新陰流正統四世。
157 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/03/22(火) 00:39:25 ID:as6.qbYQ0
／￣＼
| |
＼＿／
＿_|＿_
／ ＼ よろしいも何も、
／ ::::─::::::::─.＼ 実質、現状の追認だろうが。
／ <●>:::::<●>. ＼
| （__人__） | .既に若殿の御相手はお前が勤めておるし、
/ ∩ノ ⊃ .／ 家中の門弟への教授もしておるではないか。
( ＼ ／ ＿ノ | |
.＼ “ ／＿__| |
＼ ／＿＿＿ ／
,.ィ
／（,,. -ーー- ､ ）
,.-ヽ ヽﾉ | ,ｨ
Q、 ／,. "~ノ
ヽ}ー-/''/, -ﾆ-ｲ …兄上が父上の跡を継ぎ、
/~ ,' ,,.l'' /'l / ,ヘ､＿_ ,ｨ＿;;::', ,Q 俺がそれをお支えする。
ﾒーｰ'" l ! l 代､t-...__l i ヽ-,='ー-/.;'
lー､ /ヽll ﾄ､l l ~´,lｰ=l l lﾘ./ （ `"ヽ それでは駄目なのですか？
!､::::::ヽ＿ノ:::::ヽ l`ヽ -ﾆ, ,.イ!ﾚ':::l ll ヽ､ ＿_,〉
::::::: ::::::::::::::::::::: `‐-`ー'二／:: ::l iii _,,......､.}
:::::::λ:::::::::::::::::;-‐'''''''‐-､ .......:::::::ヽ__／:::::::::: l
:::::/ ｀|:::::::::/ ヽ::::::::::::::: 入::::::::... ヽ
./ 丶:::::.| l::::::::: / l ::::::::::::: l
|::::::ヽ ./ ::／ l :::::::::::::: !
この時期、家中の兵法指南の御役目は兵庫助に代わり、利方が勤めていたとされるが、
寛永年代の時点で既に厳包も教授をしていたようである。
158 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/03/22(火) 00:39:55 ID:as6.qbYQ0
＿
／Ｏ ＼
|. ° |
＼＿,／
／
. ／￣￣￣￣ ＼
. ／ ＼
/ ＼ ヽ .七郎。
. / ● | お前の才能は、僕の陰に隠れていいものじゃない。
| ､_,､_, ⊂⊃ |
ヽ {_ﾉ / お前の腕前はこの尾張の人間なら誰でも知ってるし、
＼ / それを誰より分かってるのは、父上と、兄であるこの僕だからね。
(｀ヽ l三三三三三三三l その二人が、揃ってお前がやるべきだと言ってるんだよ？
ヽ､/ ＿＿＿ ヽ
／ ／＿
／ ￣
/ ＿
/ ／/ ､､,,,,,,, ,,,,,,,､､ ＼|
// / / / ￣￣ | ､､--
// | // |_ | ￣￣
/ || | || く__'''''ｰ-------ｰ'''''| |ヽ
/ .|| | .|| ┌ｰ-''ｰ-,,| /／-ｰ'''''__ | .） しかし、それでは兄上があまりにも…！
|| | || |＼ ”,,,､ヽ ''''￣,,,” |.|| |ヽ ─==
|.|.| |.| | ￣ / ''' ￣.|| | |/
.| | | | |.× ノ ￣| || ＿＿＿＿
| | .λ＼＼ ＼ u. | || ＼ ＼
| | | | ||＼ ､--ｰｰ､ |.| | ／＼ .＼
＼ .| .|| //＼ ￣￣.´ ／ .| /| || ／ .| ＼
--ｰ'''''''''''''''''ｰｰ--＼ ソ// ＼ ／ |. / |/ ﾚ ＼
／ ／ ／ // /ヽ─ |/ / / ／ ＼
／ ／ // / ＼ / /
./ / |/ / ﾉ / /
/ || |''''ｰ ､､--ｰ| |
159 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/03/22(火) 00:40:30 ID:as6.qbYQ0
＿
／Ｏ ＼
|. ° |
＼＿,／
|
／￣￣￣￣ ＼
／ ＼
. / ／ ｀ヽ ヽ .僕の事は気にしなくていい。
/ ● ● .| 僕は、僕のやるべき事をやるだけさ。
| ⊂⊃ ⊂⊃ |
ヽ r‐-､ / あと、これを機に、僕は弟子を取るのを止めるからね。
＼_ /⌒l｀ﾆ｀ /
l/ /三三三三三l.
/ | l ＿＿＿ ヽ
: : : : : : : : : : : : : : : | | λ: : : : : : : : : : : : : :
: : : : : : : : : : : : : : : | ＿,, -―''"´l | |: : : : : : : : : : : : : :
: : : : : : : : : : : : : : rii――――'''､'' ￣￣´ _,,,| ~: : : : : : : : : : : : : : :
: : : : : : : : : : : : : : '‐--,,,,__ i｀ ヽl ＿,,- '''_二二_ r┐: : : : : : : : : : : :
: : : : : : : : : : ＿: :r-r―--二二‐| ヾ＼-''"￣＿--― | |￣|: : : : : : : : : : : :
: : : : : : : : : : ＼|└|'''￣｀`'''―--､ ´ |:.| |: : : : : : : : : : : :
: : : : : : : : : : : : : 卩､ ヽ `‐-､_ J ) | ｲ: : : : : : : : : : : : 兄上…！
λ: : : : : : : : : : : :',l ヽ_ J),, -''´_ | ｀`'‐,,,,,, ￣`|:|-´ l: : i : : : : : : : : :
| |λ: : : : : : : : : : :|| ￣二,,-'''´ ./ || |: :l.l : : : : : : : : : どうしてそこまで…。
| |l |: : : : : : : : : : : l.| ''"´ / || .|: :|.| : : : : : :| : : :
| .l |: : : : : : ||: : : : || / | |: :| |: : : : : :|.|: : :
| |: : : : : : |.|: : : :.l＼― / l |: :| |: : : : : :ﾚ|: :
:| .|: : : ,､:.| | : : : : ＼＼ ヽ､ ' |:.| .|: : : : : :| |: i
:| |: : :| |:| .l : : : : | l.＼ ｀ヽ |:| |: : : : : | |:|
: l ＿|: :| ||‐‐|: : : :|-|: : |＼ 丶＿＿＿＿ |:| |: : : : :.l |:|
l´ |: |-‐'"|: : : | |: : | ＼ >'三――‐｀ヽ / |: : : : :l / ||
.＼l ／|: | |: : : |__|: : |―' '' ＼ ｀￣￣￣´ / |: : : :// |
. ／ ヾl __,l: : :| .| | ゝ､ ―― .' ／ |: : :// l
. ,,-‐'"´_l: : |￣｀l:|￣￣￣‐／ ＼ ／ |: : /
／-''"´´ |: :| |:| ／ ／ ＼ ／ |: /
160 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/03/22(火) 00:41:05 ID:as6.qbYQ0
＿
／Ｏ ＼
|. ° |
＼＿,／
|
／￣￣￣￣ ＼
／ ＼
. / ヽ .わからないかい？
/ ＼ ／ | 宗家となるお前の兄である僕が、
| ● ● | 自分の弟子を取って教授すれば、
ヽ ⊂⊃ ､_,､_, ⊂⊃ / 無用な混乱を招くことになるじゃないか。
/⌒ヽ_＼ |::::::| /⌒i
＼ /:::::/;l三三l;;;;;;l三三三l/ ./ .僕は家を守り、お前は兵法を守る。
. /:::::/ |＿ `ｰ'＿＿ ﾍ､__/ これが僕たち兄弟の一番いい形なんだ。
. ｀ヽ< | | | | ヾ:::彡'
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. :ヽ、＿_,ノ:::|
>:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ::::::::::::::::___,ﾉ
:Y:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/.:／:.:.: :::::::::::::::::::＼
/:.:.:.:.:.:.:.:.:/:./ ｀ヽ:.:.:::::::::: ＼:::::: ヽ
:.:.:.:.:.:.:.:.:/:∧、 |:.::|:::::::::::::::ヽ、:::|
:.:.:.:.:.:.:/:/＼ヽ＼ ! :!::: |::::|:::|: |ャ::|
:.:.:.:.:.ｲ:,气､__ヾ_, ,}:.:|:::::|::: !:::!::| ∨
:.:.:.:./|/ ￣ヽ ,/.:.:.j:::: !: /::;ﾊ:! ………わかりました。
:.:.:,ｲ | {:.:.: ﾉ|::: |/|:/
:.:.ｌ ﾄ | u. ＼:./|::: ﾚ'|′ 兄上がそこまで仰るなら…。
:.:.| l ﾄ _____,r‐' ´/::!::::|
:.:.| | | ´ﾞｰ{:.:.:.:.／/_|:::ﾉ
:.:.| | T´:.:.:./ ./ ｲ:/
￣＞〉 /:.:.:.: / ,/ l/
／//イ|:.!:.:./- ､__
:.:// |:|:./ ／ィ/
161 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/03/22(火) 00:41:41 ID:as6.qbYQ0
＿
／Ｏ ＼
| ° |
＼＿／
|
. ／ ￣￣￣￣＼
. ／ ＼
. / ヽ
. | ' , やっと納得してくれたね。
. | ⌒ ⌒ |
i⌒ヽ ⊂⊃ ､_,､_, ⊂⊃ / …頼むよ、七郎！
ヽ ヽ. {_.ﾉ ／ _,／⌒)
∧__,ﾍl三三三三三三三;i'´::::ヽ／
ヾ_:::ッﾘ ＿＿＿ ＿|::::::::ﾊ
i | | | | >'''´
x＜::/ ＿＿＿＿＿
＼:::::＞＜:::::::::::::::::::::::::::ハ_ |
／≧丶:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ハ /|
ｲ:::::::_:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ＿＿/:::|
/::::::ｲ::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾉ /
ハ:://::::/:::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::ヽ::::::::::::::､:::::::::::／＿＿_/
/:::::/ ,':::/:::::::::N:::::::/￣￣￣￣ ヽ::::::::::::::ﾊ::::::::::::::::::::::::/
|::::/ |::::|:::::::::::!::!:::/＿＿＿＿＿_ﾊ:::::::|::::::!:、::::::::::::::::/
{:/ !::::|::::::::::|::|::/ｨ ､_ _ . xｲ|::::|:::|::::|:::::､ , …はい！
{| |:::||::::::∨:j|::!、じ > ヽ < じ!:N:::|::::|::::::::≧＝ン
';::!ヽ::::l::::|::ヽ｀ ´ /! ｀ ´! .!:::j:::/::::::::::::／
ヽ 丶::乂:、 ヽ! / j:::::/::＜こ＿,
ヽヽY从::.、 ､＿＿ , /::::/::::::::::::x ´
|こ|::::|ヽ ｲ |::V-､￣´
＿ 八 ヽ::| ＼ ／ |:/ ハ _ x―
/ ＞ ､ , x ＼ ｊ ー ´ ン´ 〉ーz＿＿x＜´ ヽ
- ′ ＞- ´ 丶 ｀ー――――‐ ´ / ヽ ヽ
/ Χ / 丶
162 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/03/22(火) 00:41:59 ID:as6.qbYQ0
r‐┐
／＼ | | ／＼
＼ ＼ |＿| ／ ／
<＼ ＼／ ＼／ ／>
＼> /⌒ヽ <／
ゝ、ノ
＿ζ＿
／ ＼.
／ ⌒ ⌒ ＼. よし！じゃあ呑むよ！
/⌒ヽ| ⊂⊃ ,_,､_, ⊂⊃ |/⌒i
＼ ヽ | | ィ‘ /
`ー'
〃／
ヽ-‐‐-)> ⌒
ミ/二二ミ 兄上､俺が注ぎます！
彡|ﾒ ﾟДﾟ）ﾘ
_∧|二|∧ 「いやいや、お前の門出なんだから…」
／⌒ ○|＼
／￣＼
| |
＼＿／
|
／￣￣￣ ＼
／ ::＼i||i／::＼
／ <－>::::::<－> .＼ （…つくづく、こいつが兄でよかった）
| u （__人__） .|
/ ∩ノ ⊃ ／
( ＼ ／ ＿ノ | |
.＼ “ ／ ＿＿| |
. ＼ ／ ＿＿＿ ／
163 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/03/22(火) 00:42:29 ID:as6.qbYQ0
＜ｵｯﾄｯﾄ…兄上、ｺﾚﾃﾞ十分ﾃﾞｽ…！
＜ｿｳ？ ｼﾞｬｱ､次ﾊ僕ﾆ…
／￣＼
| |
＼＿／
＿|＿
／ ＼
. ／ ＼ （もし二人の生まれが逆であれば…俺は家も兵法も、全て七郎に継がせたであろう）
. ／ ／） ::::＼:::／:: ＼
| ／ .ｲ '<ー>::::<ー> u| （…その選択が、今より良いものになる確信が持てんな）
. /,'才.ﾐ). （__人__） ／
. | ≧ｼ' ｀ ⌒´ .＼
／＼ ヽ ヽ
164 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/03/22(火) 00:43:03 ID:as6.qbYQ0
＿
／Ｏ ＼
| ° |
＼＿／
|
. ／ ￣￣￣￣＼
. ／ ＼
. / ヽ 父上！
. | ⌒ ⌒ ' , 杯が既に空のようですから…お注ぎ致します！
. | / / / ､_,､_, / / / |
i⌒ヽ {_.ﾉ /
ヽ ヽ. ／_,／⌒)
∧__,ﾍl三三三三三三三;i'´::::ヽ／
ヾ_:::ッﾘ ＿＿＿ ＿|::::::::ﾊ
i | | | | >'''´
／￣＼
| |
＼＿／
＿|＿＿
／ ＼ そ
／- :::::: -:::: u＼て
／ <○>::::::<○> ＼ お、おう…！
| （__人__） u | すまんな。
＼ u .｀⌒´ ／
ノ ＼
165 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/03/22(火) 00:43:46 ID:as6.qbYQ0
／￣＼
| |
＼＿／
__＿|＿__
／ ＼
／ ―:::::::::::― （…江戸の柳生は分知の結果、本家が旗本落ちしたらしいが…）
／ < ー>:::::<ー>'
| （__ﾉ､_,x ,--､ （あの叔父上の事だ。
＼. ｀ー< ヾ zヽ もしやすれば全て想定のうちで、
／ ー‐＼／| ｜ 大名に戻る段取りも既に付いているのかもしれんが…。
/ / ＿＿ﾉ 俺には見当もつかんな）
/ / |
（ ￣￣￣⌒ヽ. |
166 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/03/22(火) 00:44:27 ID:as6.qbYQ0
...... ,ｨ
／:ﾉ
,.x<´:／
_,.x＜´: : ／ ,ィ
r‐=': : : : : : ∠.x=＝＝ニ≧､ _,.x<:ﾉ
＿ . ,､. ∨. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ＼ ／. : : ﾘ
／Ｏ ＼ ...... ,.<: ::＼V. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ＼＿_ ／. : : : :/
| ° | ...... x＜: : : : : : ｀: : : : ＞───'‐┤: : : : : W: : : : : : : : : :: ::/
＼＿／ ... ／:_,.＞: : : : : : : :7'´ ＿＿＿＿_|: : : : : : i: : : : : : : : : : :ソ
| ... ／／／. : : :_: :: :: ::ム-＜ ,.x＜三_,|: : : : : : |: : : : : : :_,.>'´
. ／ ￣￣￣￣＼ . /／／. : :x'フ: : : : x'ヘミﾆi k'x＜´じア: : : : : : :W: : : : : ト､_ ,.ｨ
. ／ ＼ . !ﾞ /: : :／//: : : :: ::ハ弋_じ｀ ｀¨´/: : : : : : : }ヽ: : : : : : : :｀ ー‐＜/
. / ⌒ ⌒ ヽ .. i: : / { i: : : : : : : :ｿ <ﾞ ﾉ,ｲ: : : : : : |) ﾊ: : : : : : : : : : : : /
. | ● ● ' , ..... {:.:/ {ﾘ: : :ﾘ}::...::∧ ヽ＿＿. ノｲ∧: : :: ::ソ'´: : x: : : : : : : : :／
. | ⊂⊃ ､_,､_, ⊂⊃ | ...... |/ ﾘ: : ソハ: : :∧ ′- .∧: x:.:／. : : : : ::ﾊ｀ｰ─‐ ',
i⌒ヽ / /:..:ｿ !: :: ::ﾘ}: ﾍ /.:／／ｲ: : : : x‐､: :｀ー=:ン
ヽ ヽ. ／_,／⌒) i:／ ハ: :/ .}: : ﾍ、 ,. :::/イ＜二ﾌ三ニ ' V＿_／
∧__,ﾍl三三三三三三三;i'´::::ヽ／ .. ／ ,.x/: ;:イ￣ｿ:;イ: ヽイ 7'⌒i | ／ X
ヾ_:::ッﾘ ＿＿＿ ＿|::::::::ﾊ ... / /イ｀ヽ／イ.ノ'´ .| .∧: : | | ' '⌒ヽ ｀>､
i | | | | >'''´ . _,.x＜/ /: : : ::7 ｲ _ﾘ .∧:.:.:.:| | ＞ ‐x _
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
── 俺に出来るのは、こいつらを信じて、後を任せることくらいだ ──
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
.
167 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/03/22(火) 00:45:04 ID:as6.qbYQ0
. ´...:.:.:...:.:.:..:.:.:.:.:.｀丶
,，'".:.:...::.:.:.:...::.:.:.:..:.:.:､:.:.:..:.:ヽ
／.:.:..:._/:.:.:....i.:.:.:.:.:.:.:.:斗ヽ:..i.:.:.:.:,
. ':.:／.:.:./￣:.メ|.:.:....イ.:.}/＿Ⅵ:.:.:.:l
. '.:／...:.:...,.:.:..:.斗=r...:../-=ｔこ'ﾒx.:.:.:.:.′ .さて、ようやく解説だ。
/／/ ....:.:/| .-≦ ｰ' .../ -彡 .:.:.:/
./' ′ .: .|.:从 | ./′ く/ ..:...,ｨ .なお最初に言っておくけど、
/ ' .:ｉ |:.:.|Λ| .:/ r= ､ / ..∠ﾉ 私は柳生に関する知識はまるでないよ。
.′ .i .::.,| Λ.:| ｰ| / /.:／
l .::/.| Λ| .|/ ＞ --/イ〔ｨ／{ 「だからこそ」能力を使えば、
l .:.::/ .|./ | r,Λ .／ ∠二/＞-イ{__, 解説できるけど、それは面倒だからやだ。
l.:.:/ |'＿ ,ノ＞-≠､∠二二＞'"二二}
|:/ _」>､ Ⅵ」二＞'二二＞'"二二二,Λ､
|′ 〈二>､二二Ⅵ＞､ﾆ＞'二二二､二ﾆ{二:'､
,ノニﾆ＞こr'「｛, `く二＞:､二ﾆ=--:ﾍ二Λ
-―‐ -
. ´: : :.:.:.:.:. :. : : : . . ｀ ､
／ . . : : :.:.:.:.:.:＼:.:. :. : : : . . ヽ
/ . . :.:.:.:.ｉ. . : :.:ｉ. ∧:. :. : : : . . . ﾍ
/ . . : :.:.:.:ｌ!: :.:.:.:.|: | ﾐ:. ヽ:. : : : . . . .ﾊ
′ . . . : : :.|ｌ. : : : l! | ヽ ＿:ハ:. :. ノｲ :.
ｉ . . .:.:.:.ｉ: :.:.l !. : :.:.|l |｀￣ ヽ |'. :|:.:. :. : . . :.
なら、解説は僕がやるから、..... //: ｉ : :斗七爪: : :.ハ! ＿}ﾊ:.:.|:._:. :.:. : .ハ
気になった事を挙げてくれればいい。 ノｲ:.i | ｉ : :|: :ハ ﾍ:./ ﾉ〃￣￣从r ヽ:.:. : ｉ ∧
ﾊ N∧:ヾﾑィ⌒ }' ハ! ) } .:ｉ: |/ト＼
なに、こちらは既に10回目だ。 . |小 ﾊ小 |: :jﾆ ':ｉ :| ﾊ ! ｀ヽ
「解説のお姉さん」として、 ハﾍ:ﾊ , / ｲ7:.ｉ:.∧ﾊ{ }'
いつも通りにやるだけさ。 .... i: ∧ ｉ ヽ ィヽ ｀ .イ . :|:ｌ:ｲ/ }
|/ 从: / ‐ｧ〉､ ‐ ＜ ! ｉ:.:|/ﾉ'
{ ／￢_/ ム┬‐' ﾉｲ:.:ﾊ: : :⌒ヽ
{入}_ﾉ ｲ : く＿＿_ﾊ/: : : : : : : }
「ー― 7:ｲﾐ〃ﾐ〃ﾐﾉ /: : : : : :/
|: : : : : : ;: : :｀￣￣ ´ /: : : : : :/
168 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/03/22(火) 00:46:41 ID:as6.qbYQ0
. ´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
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/..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./ !:.:/／ ∨:.:
/.:.:.:.:.:.／:./.:.:.:.:.:.:.:.＼.:.:......:.:..:.:./ |.／ 斗==≦∨:i …いい人だ！
./.:.:.:.:／.:.:./.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.＼.:.:.:..:.:/､／,ｨf>'￣､ `'くミ=- きみ、さては親切な人だね！
/:.:.:／ ......′.:.:.:.:.:/.:.斗=ミ、:.:./ { ｰ ,j ,孑 |
/:.;.:' .:. ....:.i..:..:.:..:.:./孑'´ｒ _､.:.:./ ｀￣ | じゃあ、遠慮なく質問係として振舞わせてもらうけど、
.'.:/' .:.:. ...:. :.| ..:.:. ../ﾞミ{...└‐'..:/{ ｜ どうして、兵庫助は利方と厳包の二人に、
.':./ ' ... .........:.| i/.:.:..:.| .:....:.:./ . -―- 、 し ／｀ | それぞれ家督と流派の道統を分けて継がせることにしたの？
.':/ i .. ........,l .:|:.:. /.:|.... / ｒ´r ￣￣＼. く .|
. '/ .| Λ :|:.:/､ :| .:.:./ .「 --ヽ ＼ .|
/ .| :/ , |/ .|. .:,' , ／ :. ヽl
| ..:/ , | | .:′ / ,! ,
| / Ⅵ | ' ､ Ｖ / ／l /
| .:./ ﾞ{ | .' ＼ Ｖ{＿__ ／ ./
| .:′ .|.' 丶、 ー― ´ イ /.:
| ′ ` ----＜ /イ
＿＿＿＿
,..::'´:::::::::::::::::::::::｀::...、
／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::ﾍ
.':::::::::::::/:::::::::::::::/::／､::::::::::::::::::::::',
そうだね。 ... ｉ::::::/::ｲ}ｲ/}ｨ:::://ｲ⌒ﾍ::::::::::::::::::::::
兵庫助自身が、この決定に際して .. |::}ｲ:Ⅵ} rfﾊ}イ/ r示ﾐ､}ｨﾄ{ヽ:::::::::::i
自ら書き残した訳じゃないから、 ...... |::|:ｉ:::}::ﾄ ゞﾟ' 弋zりｲ:::::|ｲ::::::::::::|
「これが正解」という話じゃないけど、 ﾉｲ::::ﾊ∧ ' |:::::::::::::::ｉ:::::′
残っている史料から、 ／:.:.}ｲ从}ｲ＼ ｀ ´ ｲ::::ｨ:::ｉ::/:::/
ひとつ、推測する事はできるかな。 . ／:.:.:.:.:.:.:／ _≧-r‐ ' /イ从ｲ/ｲ/
／:.:.:.:.:.:.:／ ,..::ｰ:.:':.:.／ } ＼
「ほほう、その史料とは？」 . ／:.:.:.:.:.:.:.;ィ:-‐':.:.:.:ヽ／ ､ _rf＞=ヘ
/:.:.:.:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:.:.:／ヽ＿´￣/／.:-:.:‐.:.:＼
. /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./＼ ＿_... ７ｲ:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}
. ゝ=ｰ- ---‐一 ¨７:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.{:/:.:.:.:.:.:.:.:.:./
{:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:./
169 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/03/22(火) 00:47:13 ID:as6.qbYQ0
／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
.':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.､:ヽ
この「打太刀目録」の奥書の一説だよ。 ...... /,:.:.:.:.:.:ｉ:.:.:.:.:.: 丶:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.､.:.:.
..... /:ｉ:.:.:ｉ:.:.:.l:.:.:.:.:.:.:.l:.:.:.:.ｉ:.:.:.:.:.:.:.:ｉ:.:.:.:.:.:.､:.:.:. ﾊ:.:ｉ
これは、利方自身が晩年の貞享二年(1685)、 /:':l:.:.:.l:.:ｉ:.:!:.:.:.:.:.:.:l:.:.:.:. ﾄ､:.:.:.:.:.:.!:.:.ｉ:.:.:.:.ｉ:.:.:.:.ｉ:.:l
息子の厳延宛に書き残したものなんだけど、..... ﾊｉ:.:l:.:.:ﾊ-:.､!:.:.:.:.:.:.l:.:.:./ ヽ:.:.:.:.l:.:.:l:.:.:.:.ｉ!:.:.:.:l:.:!
尾張柳生家の「新陰流兵法由来」に関して、. ,. .-､l:.:.!:.:,ィfz､ヾ:.:.:.ｉ:.:!:≠ー､_ ',:.: l:.:.:l:.:.:.:.l:l:.:.:.:l:.l
こんな記述があるのさ。 .／: : : : l:.ヾ:l .r':心ヽ:.:ﾊ'.:/.ィfェ､ !:./:.:.:':.ｉ:.:.:l:.l､:.:.lﾘ
/: : :ヽ : : ､ ､! 弋ソ｀ ヾ }:´ r'し小 !:':.:./:.:ﾊ:.:.l:.l ､:.lー ､_
／: : : ‐:-ヽ : ､ﾊ , ' 弋zン '/:.:.,:':.:/ }l:.:.!:l .l:.!: : : : :＼
／: : : : : : : : : :｀ヽ ゝ ､_ イ ／＿'‐从:.:.:l/:': : : :,: : : :ヽ
/: : : :_＿: : : -': :―: : :｀ー‐ ｀´ー:- ― -: ´: : : ヽ＿ヽ:!:__ _:ノ:- ‐:-:､｀､
/: : ´ : ´: : : : :, : : :´: : : : : : : : : : : : : : _: : : : ´｀: : ､: : : : : : : : : ￣｀ : : : ヽ
/⌒ｿ/⌒ヽ、
. / // ..＼ ._,
/ // .｀ヽ,.._,ィ''´ ｀'ｰ- 、 /i
/ // ＼,. _..ノ .|
. / // ⌒´ .|
/ // ｜
/ // |
. / // 打太刀目録 .|
/ // . |
/ // 嶋 如流斎 利方 |
./ // . |
/ // |
ッ芝ヾｼ⌒ヽ、 |
.ヾﾆジ ＼ ._,.イ⌒ヽ |
｀ヽ,.._,ィ''´ ｀'ｰ- 、 . |
.＼,. _., ､ . .ﾘ
⌒´ ＼._,ノ
【打太刀目録(奥書抜粋・原文)】
『愚ハ不器用無一門、其上病気甚狂心身、
被是以兵法未熟ニ付二十九歳而兵法止弟子取事。
雖然厳包兵法ヲ父祖ニ下劣程勝者成度所存面打太刀意気二六時中工夫鍛錬畢』
（上記書き下し文）
『愚(自分)は、不器用一門に無く、其上病気にて甚だ心身を狂わせ、
是を以って兵法未熟に付き、二十九歳にて兵法の弟子を取る事を止めらる。
然りと雖(いえど)も厳包、兵法を父祖に劣らざる程の勝(すぐ)れ者に成り度き所存で、
面打太刀の意気を二六時中工夫鍛錬し畢(おわん)ぬ』
170 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/03/22(火) 00:48:23 ID:as6.qbYQ0
,， -――- ミ
／:.:.:...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:丶
／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.'. ふむ…。
. ':.:.:.:.:.:.:.＼/:.:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:, .29歳で兵法の弟子を取る事を止めた…。
. ':.:.:/:.:.:.:.:／/`:.:.:.:.:.:.:斗:.:.:.:.:.:.l つまり、兵法教授を止めた、とも取れるね。
/イ:.:.:.:.:.:./T_ｧ:.:.:.;`´}/ |/:.:.:.:.:,
}/:.:.:.:/ /:.:／ Ｔ_ｯ､:.:.:.:.// .そして、その理由は自分が未熟のためで、
} .:.:./:l /／' ,､./...: イ ' でも、厳包は父祖に劣らぬ程の腕前がある、と。
ﾚ―'つ/' i_､ く./ ／¨´
/ ヽ〕､ ＞-=≦/イィ 「だからこそ」利方は厳包に、本来自分が継ぐ筈だった
ﾉ ｧ'---くﾌ＿, /二≧≠! 新陰流の道統と兵法指南の御役目を譲った…という話でいいの？
/_７ﾆヽ二{ﾆ＞'"二≦二ﾆ{
, /ー'ﾆ;ニ≧ｘ-=≦､二二二ﾊ
イ,.く＿':/∠.ﾉ^L__{二二>､二二ﾑ
7〈ー--圦二二二二二ﾆノ｝ニニﾆ＼
⌒L. イ'^]二二二二二 / }二__r≦￣
,}二二二二二厶 }^ﾍ ‘，
￣:.:.:.:.:.:.:.......
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＞
そういうことだね。 ...... :.／:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.／:.:.:j:.:.:.:.ヽ
直裁に「厳包が後を継いだ」と ..... :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i!:.:.:.:.:.:.
書いていないのは、 :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.j:.:.:.:.:.:.:.
この時代、まだ道統意識が :.:.:.′:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./|:.:.:.:.:.:.:.:.
確立してなかったからかもしれないけど ... :./:.:.:.:.:.:.:.′:.:./y ＼:.:.:.:.!:|:.ﾊ
何せ親から子への書状だから、 . :V:.:|:.:.:.:.:.:l:.:.／ ′ l}:.:.:.:ﾉ!:|:.:∧
その辺りは書くまでもない、という .. Y:.l:.:.:.:.:.:l{:.! ﾞミﾐry:.ｲ:./ｲ:.:ｲ} ヽ
ことだったのかもしれないね。 .. ′:.:.:.:.:.:ﾊ{ ﾞ ′´ ′:.l
:.:.|!:.:.:.:.:.| ﾞﾞ （:.:.:.:.:ﾘ
ともあれ、この利方本人の記述に従えば、 :.:.|:.:.:.:.:.:| ゝ:.:.i|
兵庫助の後を厳包が継いだのは、 :.:.|:.:.:.:.:.:| ， ／:.:.:.:.|
:.:.|:.:.:.:.:.:| ｀」⌒┤:.:.:.:.:.|
「兵庫助・利方両者の合意の下、 .... :.:.|:.:.:.:.:.:| l ′ ハ_:.:.:.:八
.腕が上である厳包に後を譲ったから」 .:.:.|:.:.:.:.:.:|ー i | j / ﾉｰ､ ｀
:.:.|:.:.:.:.:ﾘ | ー / / / ｰ,
と見ていいと思うよ。 . :.ﾘ:.:.:.:./ | ー/ / ,ｲ!
| lー/_ /j
､ ! /
171 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/03/22(火) 00:49:52 ID:as6.qbYQ0
:.:/:.:.:.:.:.: / ‘:.:.:.:.:.:.:...::..... ‘，＼:......../..........
/＼:.:.:.:./ ‘:.:.:.:.:...:.:... ‘， ＼./:.､ ｨ
:.:/:.:＼/ ‘，:.:.:..:..i ‘， /＼ ,ィ厶
:/:.:.:.:./＼. ‘、:.:.:.:.| ／ ｘ辷ィ''" 7 …まあ、剣術流派の後継者選びなら、
:.:.:.:.:/ ＼. ､:.:..‘.、 ＼ ／ 斧''" ﾘ / そりゃ腕の立つ方を取る、というのはわからなくもないけど…。
≧ｘ､＿ ` ., ＼ ‘.＼ ､ _ｘ' ｨ埒こ_´,.ノ ／ でも、そうなら、どうして家督は利方に継がせたの？
孑伝三三≡=-＿ ー-‘. ＼ ヽ、 ＼ -=≦
≧从 ヾ..,二＿ノ￣ ､'， ＼ ヽ､ ＼ 兵庫助は剣術だけで召抱えられてるんだから、
|:.:.7''ミｘ､＿＿_, ＼ ＼ 丶、 ＼ へ / その後を継いだ厳包に家督も継がせるのが自然じゃないの？
|:.:ﾑ -= ￣ ＼ ＼ 丶、＼ / /ﾆ
|:/ﾆ､ i ＼ 丶、、､./ニ
|'ニﾆ>､ ＼ ‘，丶、二
二二二> . , ､ ＼ ‘，ｲ二二
二二二二.ヽ、 ／-―ヽ >､‘，二二
/.:./.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ハ
. /.:./:./.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.〃ヽ.:.:.:.:.:.i.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ｉ
それについて考えられるのは、 ...... /.:./〃.:.:.:.:.:.:.:.:.:.__//:.:.//.:.:.:.:.://,′ ヽ:.:.!:.i.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
まず、 . ///7,'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.´｢ 7｀ヽ/:.:i.:.:.:.//ム-‐‐‐',ハ|、.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
..... !|.:.:.:.i.:.:.:.:.:.:.:|/ |/ｊ/! !:.i.:.:.//'′ !ﾊ「.:.:.:.:.:.|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
「既に利方が嫡男として届けられており、 !|.:.:.:.i:!.:.:.:.:.:.:ｨ斧ﾐﾒﾉﾉ |:.// ,ｨｆ云ミﾒ、｣.:.:.:.:.:.:|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.!
且つ、廃嫡する程の落ち度がなかったから」 八.:.:.:i:i:.i:.i.:.:i:.j !ﾉ::::} ﾉ / {ノ:::;::} Y|.:.:.:.:.:.:ﾄ､.:.:.:.:.:.:.:.:.i
..... . ハ.:.|ﾊｊ ﾍ:.|仆乂::ﾉ / 弋::::ソ ノ.!.:.:.:.:.:.:.!ﾊ.:.:.:.:.:.:.:.:.:!
というのが一点。 .... r‐ 、 'ｊ ,ﾊ|:.i ﾊ.:.:.:.:.:.ｊ_ノ.:.:.:.:.:.:.:.:.:',
そして、これは推測なんだけど…。 .. ヽ ヽ ./.:.:.从 ' i:.!.:.:.:.:./.:.:.:.:.:.:.:ｉ.:.:.:.ハ
..... ﾊ V /.:.:./.:.:ヘ ､ ＿, 从.:.:.:./.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.!:ﾄ､:.',
「石舟斎以来の嫡流の血を ... | | ./.:.:/!.:.:i.:.:.:.＼ .ｲ:.:.:i:.!/ﾍ.:.:.:.:.:.:.:i:.ｊ:.:i:| ヽ
.絶やしたくなかった」 |／ __＼/´`!.:.:|.:.:i.:i.:.:ヽ. .イ:.ﾉ:.ﾉﾉﾉ.:.:.|:.:.i:.:.:!:.!ハﾊ! ）
..... ﾉ／ ｀ｉ ＼/ヽハﾊﾊヘi｀ヽー 七升厶イ／ｊ八八八ハｊ
というのがあったんじゃないかと思うんだ。 /´ -─┐|､___) ）ハ ／ {
どちらかと言えば、後者が本命かな。 ./´ ,. }ﾉ:: } ,.-‐''て _｣ ＼ _｣＼
{ イｰﾉ:: V￣´::::ゝー‐''"´ ﾉ ￣ﾉ:::::::ゝ.、
＼ ｀ヽ:::. }::::/::::〈 ー 、 ＿＿___ 〈:::::::::::ﾉハ
172 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/03/22(火) 00:50:58 ID:as6.qbYQ0
,， -――- ミ ⌒)
／:.:.:...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:丶 「
／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.'. ・
. ':.:.:.:.:.:.:.＼/:.:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:,
. ':.:.:/:.:.:.:.:／/`:.:.:.:.:.:.:斗:.:.:.:.:.:.l 石舟斎以来の嫡流の血…？
/イ:.:.:.:.:.:./T_ｧ:.:.:.;`´}/ |/:.:.:.:.:, ああ、長男の血筋の家だーってこと？
}/:.:.:.:/ /:.:／ Ｔ_ｯ､:.:.:.:.//
} .:.:./:l /／' ,､./...: イ ' …言っちゃ悪いけど、尾張柳生家くらいの家で、
ﾚ―'つ/' i_､ く./ ／¨´ そこまで血筋にこだわる必要ってあるの？
/ ヽ〕､ ＞-=≦/イィ ⌒) .大名家ですら、必要なら兄を廃嫡して、
ﾉ ｧ'---くﾌ＿, /二≧≠! 「 弟を嫡男に据える事があるんでしょ？
/_７ﾆヽ二{ﾆ＞'"二≦二ﾆ{ ・
, /ー'ﾆ;ニ≧ｘ-=≦､二二二ﾊ .兵法指南の家柄だけど、
イ,.く＿':/∠.ﾉ^L__{二二>､二二ﾑ .当主が兵法教授をしてません、なんて
7〈ー--圦二二二二二ﾆノ｝ニニﾆ＼ 却って笑いものになるんじゃないの？
⌒L. イ'^]二二二二二 / }二__r≦￣
,}二二二二二厶 }^ﾍ ‘，
, -=j: ´: : : ＿,.: : : : ＜: : : : ＞.､ _
…これについてはね、 ... /,ィ/⌒: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 二ニイ _,ｨ
正直、推測しかないんだけど、 ... l:{/: : : : : : : : : : : : : : : : : : ＞ ､: : : : : : ｀￣: : ＜
この決定の根本にあるのは、 ..... ,j∨: : : : : : : : : ト: : : : : : : : : : : :ヽ: : : : : : : : : : ､ヽ
. ／／/: : : : : : : : : :| ＼: :ゝ_､: : : : ﾊﾉ: : : : : : : : :＼ヽ
「江戸柳生家への対抗意識」 . /／ィ ′ : : : : : : ﾊ: ! ／￣｀ヽ:.ｰ: : l : : : : : : : : : : : ヽ
.. /八 ∨: : : : : : 乂: : l ｨf｡示ハ: V,へ: : : : : : : : : : :ﾊヽ
じゃないかと思うんだ。 {! l |: : {: : 斗匕ｰﾉ-ゝ "乂ぅﾘ i:l ﾊ´ !: : : ハ､: : :ヽ: i
尾張柳生家が江戸柳生家に対し、 . ｀ ,′ i: ﾄ:ゝ: :乂ィﾃ:ﾊ " ﾉi: :ﾊ ｲ: : : 八:ハ:!ヽ∨
優越性を主張し得る要素は、 / ､ ィﾊ:..ヽ:.ーゞ 乂ｿ , 'ﾉ:: : l: !: : /ノ ﾘ }′｀
.＞く ーy: j: : : : i＼: ミ=- _ ， ,イノｲ: : :／ ´
・嫡流の血筋 .::::::::::＞l: ﾊ: : : : l: : l｀: : ゝ _ ／ 彡イ
・流派の正統 .:::::::::::::∧:{ ゝ=-!: : : : : l: :トミ ｰ l´_,イ´ ﾄ､
.:／:::::::::/｀ ゝ: ﾋ_, ーゞｰr yf ／::::ﾊ
この二つなんだけど、 ....::::::::::::/ ￣＿＿／jｰti _,.／:::::::::/::ﾄ､
正直、後者については、この時代、 :::::::::/ ／:::::／::,ィ:i:i/ｰ／::::::::::::/::::::::::＼
そもそも流派の正統意識そのものが ::::::/ _, ィ￣:::::／:::,ｨ /:i:ij イ:::::::::::::::/::::/"＿::::ヽ_
そこまで強いか疑問な点があるから、 :::::〉_,ｨｰ=く::::::::::::::::/:::,ィ ﾚ:／ /::::::::::::::::/::::/:::::::::::::::::::ﾊ
実質、江戸よりも上だと言い張れるのは ::/{:::::::::::::::::::::::::::::/:／ i " ／∧＿＿_/:::::::∨::::::::::::::::::::i
「嫡流の血筋」しかないからね。 .:{::::::::::::::::::::::::::::::// ヽ／ ,:::ヽ:-:::;_::::::::::/:::::::::::::::::::::::ﾊ
:::::::::::::::::::::_, ィ/:::l / ,:::::::::＼_::::l::::::{:::::::::::::::
173 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/03/22(火) 00:54:51 ID:as6.qbYQ0
／:.:／:.:.:.:..:.:.:.:..:i:.:.:.:...:.,:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i:.:.:.:.:.、:.:.:.:.:.:.:.:.:,
. /:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i､:.:.:.:.:.:.:,:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l:.:.:.:.:.:.:.、:.:.:...::.:.:.:,
|:.:.:.′:.:.:.:.:.:i:.:.:.:.:.:i ､:.:／:.:.,:.:.:.:..:.:.:.:.:l:.:.:.:.:.:.:.:.:、:.:.:.:.:.:.:.,
|/:.′:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:l ／、:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l:.:＞､:.:.:.:.、:.:.:.:.､:.,
/:.:.,:.:.:.:.:.:.:.: i:.:.:.:.:.:／ _..斗イ'":.:.:.:.:.:l/ ヽ:.:.:.:.、:.:.:.{､'.
.':.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.: i:.:.:.:.:.:.:l ィ斧し ,ﾘ:.:.:.i:.:.:.:.l ム }ヽ:.:.:.:,:.:.:{ ﾞ} つまり、利方に家を継がせたのは、
.':.:.:. l:.:.:.:.:.:.:.: |､:.:.:.:.:.:l/⌒`ー彡:.:.:. |:.:.:.:.l 〔 } l:.:.:.:、:Ⅵ{
.′:.:. ,:.:.:.:.:.:.:..:|:.:.:.､:.:.:.:, ￣´ _'.:.:. |ヽ}:.:l ﾉ ,:.:.:.:.:.Ⅵ 「江戸より尾張の方が上だと言える
i:.:.:..:..:.,:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.|ヽ:.:.:, | ‘.:.:.l] .}:., ,/:.:.:.:.:Λ} ”嫡流の血筋”という要素を残すため」
|:.:...:.:.:.:,:.:.:.:.:.:. |:.:.:.| } ＼:, ￣Ⅵ }/ イ:.:.:.:.:/
|:::::/::::::'.:.:.:.:.:. |:.:.:.:, ヽ. ＼ ﾞ} ‘.:.:.:/ ということかな？
|:::Λ:.:.:..',:.:.:.:. |Λ:.:., 〔了 ヽ ‘./ …ちょっとコンプレックス強過ぎない？
|:/ ‘.:::.:.:..',:.:.: |:.:Λ:.'.ァ^! .{′ ／ . -――‐ {
|' ‘.::::: i'､:: |､:::::|,>' 人¨′ イ／ ＿ 〕
‘.:::::|. ヽ| >'´ ／ 二、ﾉ ＿ -=二 {
‘.:::| ＞'" ／ ＞''" ﾉ7―----r=≦二二>、
ノ'､| ≦ ''" イ>' イ二二二二_ヽ、
.... |ヽ|l:.:.:.:/|:l:.:.:.:.:.:..|:.,rｰ'''ﾞ¨ヽ､:.:.:.:.|:.:.:.:|:.:.:.|:.:|
|/ ｌ＼/ l/|:.:.:.:ｌ:.|!´ l:.:.:.:.:|:.:.:.:l!:.:.:|:.:|
|_/|／ ヽ､|:.:.:.!/ /:.:.:.:.:.|:.:.:.:.l:.:.:.|:.:|
まあね。 |｀ヽﾐ l:.:.:./ _,,,.. -ｰ/li.:.:.:.:.:l:.:.:.:.:|:.:.:.|:.:|
ただ、「尾張柳生家」という血筋の単位で考えれば、 |ィﾄ,/` l,／´ ｌ:/|｀:.:.:./:.:.:.:.:|:.:.:.|:.:|
どっちにしても兵法指南の御役目は継いでいるし、 .. |ｿ,/ ＿__ ' i:.:.:.:/:.:.:.:.:.:|:.:.:.|:.:|
利方にしても、指南できる程度の腕がある訳だから . |｀ ./,､￣`_ヽ|:.／l:.:.:.:.:./:.:.:.:|:.:|
それ程外部の声は気にならなかったのかもね。 | ,ﾄ!(:.:rﾃ'/ ´ /:.:.:.:./:.:.:.:.:.:l:.:|
.... | ' ヾﾆ_ ／ /'ﾉl:.:.:/:l:.:.:.:.:.:.|:.:|
血筋だけは、努力や才能で . /iヽ ヽ ､_ ,／_' -‐':.:.:|:.:.:.:.:.:|:.:l
どうにかできるものじゃないからね。 .... ヽ｀ ＼ ￣ ィ‐':.:.|:.:.:.:.:.:.l:.:.:.:.:.:.|:/
l｀ヾ､ l--──‐─‐.' ´:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:i:.:.:.:.:.:.l/
_'､ ＼. |イ:./l/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,:.:.:.:.ﾉ:.:.:/l/:.:.:.:.:./'
l l ＼ ｀'i Y |:.:/ノ_ -‐!/l:./l:.:.:/ /:.:.:.:./l
〉､ ヽ | ＼ ｀ ´ ﾚ i／ il_／
174 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/03/22(火) 00:57:01 ID:as6.qbYQ0
／ ＼
, ' ,､ ､ ヽ
/ / ,ｨ ｨ/ ヽ ! | ヽ
,' l , -‐-x i / ｲ-─ﾘﾊ l ﾍ ',
…まあ、その辺りを厳密に言えば、 . i l ｧ≠､/ ィﾆﾃ!/ l !
本来、利方本人は次男(しかも庶流の可能性有)だし、 ,'.| ゝﾄﾍﾋノ , ゞ-ｨ fヽ | l
そもそも兵庫助本人からして、 ! ! ヽ_', _ __ ｜ f ' i i
本来なら次男だった訳だから、 . { ﾄ ヽ､ ,ｲｨ/ ｨ i l,'
そこまで血筋にこだわるのも微妙なんだけど、 .. ﾄゝヽﾍ_､-､_｀ t - イ /!ィハ/ｿ
敢えて言えば、というところかな。 r z' ,k-､
..... _ ┬ ﾍ 只 ／`7-､
とりあえず、利方と厳包に、 ... ／ ', ', ヽ/ ヽ' / / ＼
家督と流派の道統を分けて継がせた理由について .二￣＼_ j｀ヽ ヽ 丶 / / j ヽ ／⌒二つ
>>1の推測は以上ということで。 / )､ ' ヽ ヽ , ' , ' ﾑ { /{ ｀ー
, , / 弋ミﾐ} ＼＼ _／／ |彡 V ＼
,/ / ／ ﾍ 7 ＼ ／ ,' .! / 厂
_/^´ | V Ｙ / {_/ ／
,，:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:.:＼
／.:.:.:...:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:',:.:.:.:.:..:.、
. ':.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. i:.:.:.:.:.:.:.:..、 解説、御疲れ様。
. ':.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.|≧ｘ､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
.′:.:.:.:./ :.:.:.:.:.:..:.:.:....: |:....:.:.:.:..x斗==ミ､:.:.:.:.:. |、:.:...:.:.:.:.:..:.:＼ .しかし、この時期だと、尾張柳生家は
.′:.:.:.:.,′:.:...:.: i:...:.:.... |.:.:.:⌒≦､ ゞ--' `: ..:.:ト .,__:.:.:.:.:.:.:'，:ヽ 血筋くらいしか江戸柳生家より上だと言い張れるものがなかったのね。
.':.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.......:.|.....:.:... |:....:..i/⌒¨¨¨”´ :.. .:｜ {:.:.:.:.:.:.:.:'，:.:, .家督そのものは向こうが継いでる訳だし、
i:.:.:.:.:.:.:.:|:...i､ .... ‘.:. .:......|..:... | i. .: ..:.:.:ﾊ:| Ⅵ.:.:.:.:.:.i､:.:.'. 兵法にしたところで、社会的評価でいえば、
|:.:.:.:.:.:.: |.:..|...:.:...:.Λ .......l..:... | |.....:. .....::..' '| [ :....:. | ＼:', 当時は「御流儀」である江戸柳生の方が圧倒的に上だっただろうし。
'.:.:.:.:.:.:.:.|..:.|:.i....:. i:.ﾊ ...l .... | |...:.:, :.:′ ./! { :.:.: | ヾ
' :.:.:.:.:. |...:|Λ .. |､ .'. ..Ⅵ.:| |.../.: .:′ /_」 .l:. ...:| } この頃の尾張柳生家って(まともに江戸より上の要素が)ないじゃん。
、:.: ､|....|:.Λ L'､ ......V.:| |/｜ .:,′ ｛:.. ::.:|
`'＜|....|.:.:.:.ヽ[‘.'､...........Ⅵ＞ .,_|.: .:,′ ﾉ:.:. i:.|
'..:.|.:.:.:.:.:.:.ハ‘、 ...ﾞ{ |.: .'--― ァ＜:.:.:.:. .ｌ､|
､|`'く:.:.:.:.:,] ､ ..'. ｜ ′ .イ:.:.:.:.Λ:.:.:.: l
ヽ:.:.:.ﾘ 、 ...'. .| ′ ./ .|/|: / ‘.:.:. l
斗――- ､ ..'. .|./ / |/ '.:.:l
175 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/03/22(火) 00:58:26 ID:as6.qbYQ0
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. ':.:.:.:.:.:.:.:厶 ' ￣ ㍉;;/:.:.:.:.:...:.:.`'く / ／^ー-､
／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／l V:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.< ／ ／ ヽ、
. ':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:.:.:､ ,ﾉ:.:.:.:.:、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ ／ , '⌒>､
,ﾉ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＞---彡:.:.:.:.:..::.:〉:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.V（ , ＜ ／/ `ー
／:..:.:.:.:...:.:.:.斗――-､:.:.:...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:...:.:Λ.:.:.:.:.:.:.:...:.:.:.:.:'.`く ／ ./ 「⌒丶、
. '.:.:.:.:.:...:.:.:.イ:.:...:.:.／/:.:.:ヽ:....:.:.:.:.:..:.:.:..イ ￣ ㍉:.:.:...:..i:.:.:.:.:.， `'く / 」 丶
/:.:...／.:.:...:.:.:./:.:／ /:..:.:.:..:/:.:.:...:.:.:.:.:.:.:/ }:.:.:.:...: l:.::.:.:.:.:， ヽ 「⌒ ヽ
r-､ /:. ／....:.:....:.:._ｘ≧≠==ミ､:./:.:.:.:.:.:./:.:.:. ' .}:.:/:.:.:.,:.:..:i:.:.:.:， V / 尤も──
l. ヽ:.:イ:../ ....-≧'´ f::.::ﾊ ﾞ:/:.:.:.:.:.:./:.:／抖=ミｘ､ }/:.:.:.:.':.:...:}､:.:..! ,/ / /
, 〈 |:./../.... /`ヾ、 .l:.:.:r'..:.:.:..:.:.／}／ /:,:.:」 Ⅵj:.:.:.:.:':.:.:.:爪:.:.:}/.{ / / 『だからこそ』
-､ ‘. V:../| .' / ￣´/:.:.:／ `く_ｧ 从ﾄ-:.:/:.:..ｲ二≧二{/ /
丶、 '、 ∨｜ .ﾊ /..:.:.:..:.:/:.／ j 了:... ' ..:/ﾘﾆﾆ７二/ .: 尾張柳生家は江戸柳生家に
､ ＼ 、 ､| .ﾊ‘ '...:... /イ ,､ . ' ／..:.:../「/二7ﾆ}ﾝ . ' ”勝てる”のかも…しれないけどね？
. ＼ ヽ 、 ､ .'⌒ﾑ.... , ' 丁¨⌒iｰ-r ／／イ/......r＜ニﾆ7ﾆ７ イ . '
＼ ｰ' ヽ二V . ' .} ヽ `__'_ { >く . '..... ｲニニﾆ7二`≦ノ ｲ＿＿
＼ `く ／ ､Z└j-'ﾉ ／:..／,」二二二二二/ 'ﾆニ／
/`ー 厶 寸＞ . `ｰ￣'´ イ≧イ二]二二/二二二７ ｲ二.／
「 ,_,，'´ W'､ ` .,＿_ イ ﾉ二「/二二二７二二二ﾆ廴_∠=≠ア
i､ ( ＿,， l二＞'≦二ー--､／イ二 /二二二二二二二二二二＞'孑
≧=-＜l ヽ- 二ﾃ,] ` .lニニ、二二二ニ}二二二二二二二二二二二二二二ア
二ﾆ-二:､､ ＿八 .八ニﾆ.、二二二ｱﾆr～くr‐く二二二二二二二二二≠
二二ﾆ＞＼￣ .ィ二二二ﾆ、ニﾆ≠.rへ } Y二二二二二二二＞'
テァ＜ } ≧=----=彡二＞-―＜ﾆ/>く二‘.r～≪ -'⌒l二二二二二>'´
/ ⌒､r― ／二＞'" ,/^Y Vﾆ>､ `Yー^〉二二二_,ア
l ､ ／二ア 人_,ﾉ V二≧=---＜､二二＞'"
、 ￣ ／二ﾆ7＿＿＿_ イ／〈 廴 V二二二二二Ⅵ.イ
～へ . イ二二二二二二 }／二ﾆヽ|ﾆ≧ｘ. V二二二二二l/
≧ｘ＿__ノニ!二二二二二二二二二＿二二ﾆ>V二二二二ﾆj
＿_＞ﾆ.癶ﾆ'、二二二二-=≦二二二二≧-二二二二二.ﾆ7
}ｒ～ Ⅵ二二二-≦二二二二二二二二-二二二二７
194 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/17(日) 22:15:59 ID:aMjlm1cM0
兵庫助が正月に隠居して、その年の春──
(:;:〃：:;;；)
g _,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,:;::;;(:;〃:;；::〃:;;″
,ノ,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;丿:;〃:;；::〃:;;″''',
,,,,,,,,,,,,ノﾞ,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;:;(:;:;；::〃:;;″,)；::〃
,',',',',ノlllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll:γ ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
￣￣￣l: ,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,, ｜ あなた…お体には気をつけて下さいね。 .|
| 丿,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,丿i乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ノ
| .l|l l:〃:;):; l ⌒ | |ヽヽ
,,,,,,,,,,,,,,,,|ﾟﾟﾟﾟﾟﾟﾟﾟﾟﾟﾟﾟﾟl|l''''''''''''''''''l :〃 ;),, lﾟﾟﾟﾟﾟﾟﾟﾟﾟﾟﾟﾟﾟﾟﾟﾟﾟ|ﾟﾟﾟﾟﾟﾟﾟﾟﾟﾟﾟ| ;丿:;〃
l:l'''l |:::::::::::::::::l|l |￣| ＿ l:；:〃:;;). . |::::::::::::::::::::::|::::::::l|￣l|: ,:.;,丿;;;:〃:;;)
l:l,,,l |:::::::::::::::::l|l |＿|:| : |:l: /~~ﾞヽ' |::::::::::::::::::::::|::::::::l|柳l| ”ｰ､,,,,,_
l:l,,,l |:::::::::::::::::l|l : ::.l: ヽ;;:;丿,,,,-' |::::::::::::::::::::::|::::::::l|生l|.,l: ｀ﾟ‐
""""|:::::::::::::::::l|l ._,,,,,,,,,,,,､lr''''''ﾞﾞﾞ~ |::::::::::::::::::::::|:::;;;,.l| l|ﾞ｀ ,'''ﾞﾟﾞ"ヽ
.llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll,!'''ﾞﾟﾞ"ヽl| l| *i,,,'l_ :;:;::ﾞ:;
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .'l_ :;:;::ﾞ:;|l"￣:;:ヽ ｀─"'
｀─"' ヽ＿,,丿 .,.,:;;.,;
195 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/17(日) 22:16:50 ID:aMjlm1cM0
／￣＼
.| |
＼＿／
|
／ ￣ ￣ ＼
／ ＼ ／ ＼ ははは…。
／ ⌒ ⌒ .＼ なに、最後に成すべき事を成すまでは
| （__人__） | .俺はくたばらんよ。
＼ ｀ ⌒´ ／
／￣￣￣￣￣￣￣ ＼
/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ: : ,ヽ.: : : i
/: : : : : : : : : : i : : : : : : ｉ : : : : ヽ: : : : : :∨:/:}: : : |
' : : : : : : : : : i: { ､: : : : 斗＝‐- : ｉ.: : :ｉ : : |:' /|: : : |
i: : : : : : : : ｉ: _{_:| ＼: :´: |＼: ＼: } : : | : : |/: ,|: : : | そうは言いますけど、あなたも
|ｉ : : i: : : : :|´八ｊ, ＼: { 泝示ﾐﾒ、: :} : : |: /:|: : : | もう古希を過ぎたお爺さんなんですよ。
|ｌ : : |: : : : :| ,斧ﾐﾒ ヽ ｒ'///} 》:/: : : ｊ､: :|: : : |
|ｌ : : |: : : : :|ハし'ﾊ 乂_ツ /: : : :,' }: :|: : : | .春と言ってもまだ寒いですし、
. 八: : |!..: : : {. 乂ツ /: :/: /ノ: : !: .: :| あちらは底冷えしますから、風邪など引かぬように…。
＼{ヽ : : ヽ } 厶イ: /: : : : :}:.: : {
＼＼＼ ___, ,.ｊノｊ: : : : /:ｉ : : :.
＼ゝiヽ ／ /: : : :/: :|: : : :.
|: :|:｀＞: . __ ´ /.: : : /:..: :| : : : :.
|: :|: : : :/: ヽ /: : : :/:｀ヽ:ｊ : : : : :.
ｊ : |: : :/´／} 〃 : : /´::::::::＼ : : : :.ヽ
_厶‐|: :/::/､ ／|: : : /:::::::::::::::::,.＼: : : :.ﾟ，
／{´!::::ｊ:ノ::/￣｀ヽ／:::::ｊ: : :/::::::::::::::／／⌒ヽ: : }
お珠
196 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/17(日) 22:17:22 ID:aMjlm1cM0
／￣＼
| |
＼＿／
|
／￣￣￣＼
／ ＼ まったく、お前にかかっては、
／ ::::_ノ::::ヽ_::::: ＼ この俺も形無しだな。
| ⌒:::::::::: ⌒ |
＼ （__人__） ／ …お珠。
ノ ｀⌒´ .＼
, :'⌒ヽ , -､
/: :, -─＞-‐……←一‐-: .____
. /: /: : ／ : : : : ,.:´￣￣: : : : : : : :.｀ヽ
,: : : : /: : : : :.／: : : : : : : : : : : : : : : : : ＼
,: : : :/: : : : :/ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.
,: : :.∧:＼: /:.: : : :／: : : : : : : : : : : : : : : : : : :.
;. : :.{＼＼/:..: : : /: : :/: : : : : : : :,/ : : : : : : : : }
i: : : ヽx‐/: : : : /: : :/.斗‐‐／／/} : : ｉ: : : : : :|
|: : : ｛ { : : : : |: : /:.／:／／ /' |: : :| : : : : : !
!:.: : i:.ヽ_! : : : : }／'"¨¨` ´ ｊﾊ: ｊ: : : : : :′ …はい。
; : : :| : : | : : : : | 气!/ : : : : /
. ,:.: : : |: :.八: : : : ﾄ､ { /: /: / /
,: : : :, |: : : :|ヽ: : :| ｒ‐ .ｧ ﾉ: /: /ノ
,:.: : :/:.{:..: : :| ＼{ ヽ__ ' ／ｊノ／
. /: : :/: ∧:.: : | ､ ` _______ ／
/: : :/__ﾑ-ﾍ:.:..|ヽ_｀＞{} /:|: : : :|
,: : ／⌒ヽ＼ヽ.{‐- 、 （ﾟ）_,{:..: : :|
,: :/ ＼ヾ ＼ ﾍ : : |_
,: / ﾍ〉 ＼ }＼{〉｀ﾞ .､
,: :{ }〉 ＼ { ゝ ﾟ，
197 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/17(日) 22:18:15 ID:aMjlm1cM0
／￣＼
.| |
＼＿／
|
／￣￣￣＼
／ ＼ ／ ＼ 今まで、よく俺を支えてくれた。
／ ⌒ ⌒ ＼
| （__人__） | .…ありがとう。
＼ ｀⌒´ ／
/,,― -ー ､ , -‐ ､
（ , -‐ '" ）
`;ー" ` ー-ー -ー'|
| ii i ｉｌ | | | ! ! ,' ', ｉ ｉ l | | i i |│
| ii i !| ﾋ.二! Ｈ | ' ', i ｉ l | | i i |│ i
i i | ii i !レ≦三三≧ﾄl､|i ｖレ≦三三≧＜! ! ﾉﾉ│ i
i i | li i,ｲﾚ７云三三三rvi{ Y´/云三三三少くﾉi │ i
i i | |i く!7 ﾊ(__)三三三| |(__)o三三三}ﾊ ゝ ! i
i ｉｉ| || { {{二二二三| l Ｅ三三三ｦ//´ } ｊ / それは、私も同じことよ。
i i i iﾊ ､ヾﾆﾆﾆヲﾌj |弋三三三// / / / /
V! V ﾊ `っ=-‐ ~´ ｀ ‐-=≠/ / / / / ,' あなた…いえ、兵庫助様。
, ﾍ ∨{ ﾍ ::::::::::: ::::::::::: / / / / /
人 ヽ. ヽ、ヽ ' ' ' | ' ' ' / / / / / ,'
/// ＼ヽ、 ﾍ＼ , '／ / / / ,
// ﾄへ.ヽ、ﾍ ｀ ｰ- ｀ｰ-‐‐-‐' ､＿ ／´/ ／ / / /
/ / i i ＼ ` ヽ イ／ ／／ , | i
,'| i i i ` ‐-＼ ∠少／,.ｲj / | i
' /│ i i i ｉ l＼ ＞ ､ ∠三／, ｲ!川 | | i
//,'| i i i ｉ | ＼／ ＞ ､ イ三ヲﾟ,イ川jﾉi | | | i
//│ i i i ｉ lヽ ／二三ﾍ ｀ ､＿ ,. ´ ト=彳///＜ ﾉ | | | i
/,'/| i i i ｉ l／`ｰ=＝三ﾊ |三 ///三三トj | | i
兵庫助の側室にして、利方・厳包兄弟の母でもある島左近の娘、お珠。
この年、55歳であるので、おそらくまだ生きていたものと思われる。
──彼女の享年は不明である。
198 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/17(日) 22:19:40 ID:aMjlm1cM0
┬―r
／::::::| │ ヽ ＿ ／
＼ _/::::::::::::し从ｨ' 〕__／＼
＼｀’＜:} }＞‘´i〔＼ |
|＞ｘ___Ｙ⌒Ｙ_ｘ＜|_ } | 兵庫助様。
(::(ｰ折ぅ乂ノｨ忻 /_) | | _
ヽ＼__ｘi介ト--' | 乂(__)
∨:::::::| | /￣|
／＼::::| | /| │ ＿∧＿_
／ r┴ヽ{＿|_／_｣ /廴 ﾄ┴く匚匚込
. ﾄ､‐ｧ―＼ V⌒Y⌒i j厂 / /Ｌﾉ / ∧
. __ﾉｰく__／￣＼{ / l／_／ {＿{/ ∧
／|＜）l / |＿＿／ | ∧
. / | j / ／￣/ ∨／ }
}_／|＿_j/ ／(_) / 〈￣￣) ／
/ =ー‐} | │ ﾉ￣￣) ／
. }/ l＿r┴――x (￣￣__) {
. / / / ／ ー―-----(￣￣＼ /
{ / / ∥ ￣｀ヽ,ﾉ､ /
/／￣￣ | {{ ヽ /
. / ＼ {{ | /
〈 ￣￣}}￣￣＼ │ ／
∨ }}＿＿＿＼＿ __j／
. ∨＿ _／{ ￣￣￣ |
￣￣i￣￣ ヽ ＼
. 人 j＿＿＿＿＿ __,ﾉ
. ヽ__／￣￣| | ￣￣|￣
.高田三之丞為長
(たかだ さんのじょう ためなが)
／￣＼
| |
＼＿／
|
／￣￣￣ ＼
／ . ⌒ .＼ …三之丞。
／ <●>:::::::＼ .お前も、よく尽力してくれたな。
| （__人__）|
＼ ｀⌒／
／ |
199 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/17(日) 22:20:45 ID:aMjlm1cM0
. ＼ ////////// |: : : : : : :| ＼ ／
＼＞ /////////// |: : : : : : :| ‘, _ =／
. ＼ ＞ //////////// |: : : ;ノﾚ( | _ -=＞
＼ ＞ _///////////| 厂 ＼ _ -=ﾆ＞´
＼ ＞ _///////ﾉ) ノ) ﾊ _ -=ﾆﾆ＞i
＼ ＞ _'/／/ （ ﾉ _ -=ニニ＞ |
}/＼ ＞〔_ ＿j__ ／(_ -=ニニ＞´ ∧
ﾉ///,＼ ／―― ＼ニ二二＞＿＿＿ __ }
〈≦三三≧x i ） }ニﾆ／ｘ≦三三≧＼ | なんの、まだまだ！
. ／￣￣￣ﾊ ヽ ー===ミｈｘ l{ー j/ﾆｘfﾁ≧=ー― ﾃ / / { この三之丞、新陰流を支えるために、
／ ﾉ _}――― ､|ﾊ ＼ 弋ぅﾄ､＿＿_,ノｘｉｆｱ 托う / / / これからも働きますぞ！
／￣￣￣￣￣} }|/i ヽ＿____,ノイ ト ｀ヽ ＿＿_／ / /
,ノ/ ＿＿__|＿,ﾉV＼ ー‐ ／lー|＼___ ー一 ＿／ ∧__ .この後も七郎様と剣術ファイトが
| / ＼Ｖ./￣￣￣￣/: : : : j{: : : |￣￣￣￣ / /￣＼ .ありますからな！
| / ／￣＼ //////{: : : : 八 : :│ ′{ ヽ
| / / }////// i: : : 〈::::{ : : | i__,ﾉ ‘,
. | / | i'//////∧: : : : ´ : : | ｢ | ﾉ〉
} ヽ/////∧ : : : : : : | / |＿____／/
| |∨////ｉ : : : : : : | ／ 厂)/////
| l ∨//│: : : : : : | ／ __/￣￣////
|{ ＼ V//,l: : : : : : : | ／ ／ /////////
|ﾞ＼ ＼/|: : : : : : : l ／￣}/ l{////////
／￣＼
.| |
＼＿／
＿_|_＿_
／ ＼
／ ＼ i||i ／ ＼ お、おう…。
／ .<○>::::::<○> .＼
| （__人__） u .| （剣術ファイトって、結局なんだったんだ…）
＼ .｀⌒´ .／
ノ .＼
尾張柳生成立以来の門人で、兵庫助の弟子筆頭である高田三之丞。
── 37年後の貞享二年(1685)に亡くなるまで、尾張柳生を支え続けたという。
200 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/17(日) 22:21:16 ID:aMjlm1cM0
／ /
＿ ／ /
／Ｏ ＼ ヽ ￣￣｀¨''' ｰ- .._ .l
|. ° | ...... ／￣｀` ヽ / l
＼＿,／ ... ／ ヽ／ ! l
| .... / .ｲ ./ / /----‐‐‐ヽ ヽ ／./｜
／￣￣￣￣ ＼ . /／ l/ l l /-----‐‐‐‐ヽ l ∠-' / 父上。
／ ＼ . / | l ./ /| l＞-､! ､_. -＜| .l l ／ やはり、考え直されては…。
. / ヽ .... l/l /l !`’-‐〉 ’-‐ l/l lﾍ-＜
/ ノ ｀ヽ | 父上…。 l l / ﾄ､ﾒ、 ヽ .l /‐' ___` ｰ／
| ● ● | r ┴'''''77li､ ‐_‐- ／|/r'''´ /ﾊl‐'
ヽ ⊂⊃ ､_,､_, ⊂⊃ / . . | .//｜|＼ ,.イ /.lﾍﾄ .// ||
＼_ /⌒l / ﾉ-‐ ﾉﾉ:::::| | ￣ / .ト､ //::::||
l/ /三三三三三l. ／￣￣`¨/ ∠_￣｀ヽヽ_＿＿/＿｀l ／:::::::|L___
/ | l ＿＿＿ ヽ. / `==''´ ｀'ｰ-￣ -‐'''¨´￣て_)､ ￣｀＼
／￣＼
| |
＼＿／
＿|＿__
／ ＼ それはない。
／ ::＼:::::::／::＼ これからは、お前達が
／ <●>::::::<●> ＼ この家を、流派を盛り立てていくのだ。
| （__人__） |
＼ ` ⌒ ´ ,／ …よいな？
. /⌒～"￣,￣￣〆⌒,ﾆつ
| ,＿_＿ﾞ＿__､rヾｲｿ⊃ 「「…はい！」」.
| ｀l￣
. | |
201 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/17(日) 22:21:41 ID:aMjlm1cM0
／￣＼||i
| |
＼＿／
| |ii
i||／ ￣ ￣ ＼||i
／ ::＼:::／:: ＼||i では、さらばだ。
i||／ .<●>::::::<●> ＼i 皆、達者で暮らせ…！
| （__人__） |
＼ ｀ ⌒´ ／ …フェード・イン！
i||/,,― -ー ､ , -‐ ､|i
（ , -‐ '" ）
`;ー" ` ー-ー -ー'|i
そi|l l て ｶｼｰﾝｯ!!
|￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣|
| ワ ゴ ン |
＼＼ | l i 川 | l i川 | l i 川 ||| l i 川／／
三 三
三 最後で色々台無しだー！！ 三
三 三
＿ ／／ | l i 川 | l i川 | l i 川 l.i i 川 |＼＼
／Ｏ ＼ ／ /
| ° | ／ /
＼＿／ ...... ヽ ￣￣｀¨''' ｰ- .._ .l
| ...... ／￣｀` ヽ / l
. ／ ￣￣￣￣＼ . ／ ヽ／ ! l
. ／ ＼ . / .ｲ ./ / /----‐‐‐ヽ ヽ ／./｜
. / _ノ Ｕ ヽ､ ヽ . /／ l/ l l /-----‐‐‐‐ヽ l ∠-' /
. | ○ ○ ' , . / | l ./ /| l＞-､! ､_. -＜| .l l ／
. | ⊂⊃ ､_,､_, ⊂⊃ | . l/l /l !` -‐〉 -‐ l/l lﾍ-＜
i⌒ヽ （_ノ / .. l l / ﾄ､ﾒ、 ヽ ∪ l /‐' ___` ｰ／
ヽ ヽミ /_,／⌒) r ┴'''''77li､ |￣| ／|/r'''´ /ﾊl‐'
∧__,ﾍl三三三三三三三;i'´::::ヽ／ ...... | .//｜|ﾞi,| | ,.イ /.lﾍﾄ .// ||
ヾ_:::ッﾘ ＿＿＿ ＿|::::::::ﾊ ...... ﾉ-‐ ﾉﾉ:::::| | ￣ / .ト､ //::::||
i | | | | >'''´ . ／￣￣`¨/ ∠_￣｀ヽヽ_＿＿/＿｀l ／:::::::|L___
203 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/17(日) 22:23:01 ID:aMjlm1cM0
-=三 =-=三 ／￣＼
| ｜
＼＿／ヽ
＼
-= =-=三＝／ ￣ ￣ ＼
-=三＝ ／ ::＼::::ﾉ＼ …さらばだ、名古屋よ。
／ < ●>::::<●>ヽ .殿、お世話になり申した…！
| （__人__） |
-=三 =-=三 =-=三＼ ｀ ⌒´ ／
／￣￣￣￣￣￣￣ ＼
|￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣|
-=. =- =..- | ワ ゴ ン |
.二三 | |
|＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿|
◎ ◎
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
こうして兵庫助は、元和元年(1615)に入って以来、
実に30年以上過ごし続けた名古屋を出た。
向う先は、京である。
204 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/17(日) 22:23:28 ID:aMjlm1cM0
名古屋を出た兵庫助は、東海道を上がり、伊勢の関宿まで来た。
、 `:.、
、 ､、 、 `:.、
､＼ヽ､ :.;;:.,..;,:,.,.,..,,..:...;...,..,,,.､丶
| | ｢｢｢｢｢｢｢｢|.|.|.|.Ｉ.Ｉ.ＩTT.ｌ.ｌ.ｉ.ｉ /`:.、
|_|_|｣｣｣｣｣｣｣｣｣｣｣｣｣.Ｉ.Ｉ Ｉ ｌ.ｌ.ｉ.ｉ./ ''''"＾ /"""∧__/.:::
,,...ヽ､､＼ヽ､､丶､ヽ､ヽ､､､ ､､`;,,、 / .::::/""/,;;::::
| 厂｢干幵幵幵ｌﾛiﾆフﾆﾆｌｉ`ﾞｌxｉ:i::i':,、 ,:''"/,, .::::/ ,, /,;;;;;;;;;
|ﾉ川 !│L⊥⊥ﾛ|ノ:::::圀||ミ|x|:i::ﾄ､ `:,、 / /iiiiＩＩＩｲiii而i'竺竺
|j_j乢山Ｌiア"毛[i「｀ﾞヽ:::::||ミ|x|:i::| ｉﾞ;.、 ,;'""´,;' ,;'""´,;' ''７,,,:: ,./:::,,乍==ﾆ!
凵Ｌ」 ::::::′ 下[||○ :::::||ミ|x|:i::| ｌ : ,:'' ',:'ﾞ,;'",;' , ,,,,, , ,, /,:, ,,,,;'',,, ,, ,竹iT竹TＴｉ| ㈹ |
| ｛::::::::::{ 津[||亭 }::_|| |x|:i::| ｌ i_ └-Ｌ竹TTﾛ何呵可 竹Ｔ竹T!ii|:i:i:|::i:| | |!iＬ乢__|
|⌒}::::::::::: 盛[|i斗ｬヤi|| i: |:i::| ｌ [__ └┴--==Ｌⅲ」 |州州:i:i:|::i:| | |!i|‐-==|
| };;;;::::::::::ｰ---[||二ﾆ二|| :: |:i::| i⊥ﾆ .. ￣¨二上十┤:i:|::i:|_|_|!i|=‐-=|
|密密密密密密[||三ﾆ=-|| :: i／￣ .. . _￣]Ｌ上止H_j|匝市|
| ＩTＩTＩTＩTＩTＩTＩT[|H‐!T!「〕!-=ﾆ_￣ , ,. . _￣￣¨¨ｴ!iｉＩＩＩ止
ＬＩ:Ｉ:Ｉ:Ｉ:Ｉ:Ｉ:Ｉ:Ｉ:Ｉ:Ｉ:Ｉ:Ｉ:Ｉ:乢斗也三￣_ ,. . ,、
匚￣￣ -=ﾆ二￣
[ _ -=ﾆ二￣_ . .
{三三二￣＿ _ _ . . . .
／￣＼
.| |
＼＿／
|
.／￣￣￣ ＼
／ ::＼:::::::::／:: ＼ 関宿か…、
／ <⌒>::::::<⌒> ＼ あの時、この先の追分から東海道に入って、駿府城に向ったなぁ…。
| （__人__） |
＼ ｀⌒´ ／
／￣￣￣￣￣￣￣ ＼
205 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/17(日) 22:23:56 ID:aMjlm1cM0
関宿の西の追分からは、大和街道へ分かれる道がある。
.:.:.. .: .: . : . . :
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,, ノ ::. :.: .: ,,":. ~`;:。‐-,, _ - _ ‐ _ "'‐、
,, " ,,o ﾉ.:.:..:::.:) - =-_ - =-_ヽ ,.
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／￣＼
| |
＼＿／
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／￣￣￣ ＼
／ ::／:::＼:::: ＼ …そう…だ。
／ <○>::::::<○> u. ＼ ここから…大和街道へ入れば…。
| u. （__人__) .|
.＼ .｀⌒´ ／
/ ＼
大和街道を上り、笠置に着けば、そこから柳生街道に入ることができる。
そうすれば ──
※大和街道参考
ttp://fumiki.travel.coocan.jp/kaido/yamatokaido.html
206 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/17(日) 22:24:19 ID:aMjlm1cM0
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::::::::::::::: 我が故郷… :::::::::::::::
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（;;; ,,;; ヽ、 _,,,...:-‐‐=-..,,,_
(＿,,, ;;ノ,r'":: :: ::＼,,....., ;;⌒ 、
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::::::::::::::: 父が…そして、御爺様が眠る… :::::::::::::::
::::::::::::::: あの懐かしき柳生の…庄に……！ :::::::::::::::
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207 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/17(日) 22:24:45 ID:aMjlm1cM0
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:ヽ＿人.＿＿＿__／:. ／_／´
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208 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/17(日) 22:25:14 ID:aMjlm1cM0
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.＼＿／
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／ ::::: ノ :::ヽ＼ …いや。
／ ｡<⌒>:::::<⌒>。 行けぬ…なあ……。
| .:::｡ﾟ~（__人__）~ﾟj
＼、 ゜ ｀⌒´／゜
/ ＼
209 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/17(日) 22:25:37 ID:aMjlm1cM0
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｀:､ ﾞ''､,, ヽﾚ'｀`'.､ﾚ',ｨ!ゞヾゞYゞ ,,,,.ｨ;;wﾘﾞW゛jﾘwj
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＼＿／
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／￣￣￣＼
／ .＼ 俺が行く先は…こちらだ。
／ . ＼
| | 彡
＼ ／ 彡
/, ヽ､
（ ）
`; '
210 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/17(日) 22:26:09 ID:aMjlm1cM0
（（ ／￣＼））
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／＼＿／ :::＼。
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ノ ＼
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| ワ ゴ ン |
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◎ ◎
関宿を過ぎ、兵庫助は、そのまま東海道を上り、京に向かった。
この時、彼が、柳生庄に戻ったという記録は──ない。
211 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/17(日) 22:26:36 ID:aMjlm1cM0
そして、京・妙心寺…。
|
ll
!l
_ ,,..._ ﾄ{ .,,___ ､..,__,,.
"´::ヾ::ﾞﾞ;｀>''´￣｀ゝ､__ ｀:;､;;｀::ゞ:;ﾞ
::´;;::=::;;::ヾ芥芥芥l壬{ ,;''´;'::;; =､::;;ﾞ _,,....._
''´;;ヽ:::;ﾞ=<ﾞ二二二＼_,｢「ﾞﾆﾆﾆﾆﾆﾆ7´::;''::ﾞ!::､:_'^:ヾ';"::ﾞ;;ヽ::
､ゞ;;::''ﾞ::;;､::｀ﾞ;芥芥lｱ''´j | ﾞ:;｀ヾ;;｀ﾞ:=::丶::;''::,;''ﾞ:::;:ﾞ
::｀':;;::''´::｀ﾞ''=;,テテﾃﾆ´＿＿＿＿＿__ﾞゞ､::ゞ:;;_｀丶::ﾞ':;;::='::;'
_ﾞ´::i::｀;;'"::ﾞ:_::ﾞ;,┴┴弌竺竺竺竺竺竺竺;''::;::;;:::'':;;::ゞ:;;'ﾞ::_::'
::｀j':!::ﾞ;;._::::;;::"ﾞヾ‐;;.. -'┴┴┴┴┴┴┴ゞ;;::"!ﾞ!;;::ヾ､l !'´::ﾞ;
'';;:: i⌒;;::`ﾞi:;ｰ:''´ﾞ;;===ｎ==ｎ===ｒn===ｎ=ﾞ;;::ヾ!:l::`:=::'ﾞ:i::''´;;
ゞ;l;;'ﾞ::''ﾞ;;..:ﾞi::;;.:ﾞ::;;' i i ｉ l丁丁!￣丁l￣丁｢ i:´:;''ﾞ:iヾ::ヾj;ilﾞ;;::;'::
::';;!:..;''::ヾ;;''";;)'´｢｢入｢j_辷j_辷ヒ|_辷ゴ_辷ゞ;;ゞ,:========､
Tﾞj''i"i´´ |ｌ|´ﾆニl:l幵;;￣￣/ﾌ三三三「ｌ￣;ﾞj::ﾞ}＿＿＿＿__{
｀ﾞ::''"":⌒ﾞ''=::"ﾞﾞヾﾞ''"ｱ７"二二二二二二l:|i{:｢ﾞl`TTﾆﾆTT´
厂厂厂厂厂厂厂「ｌ/ ｒ―――――――|jｌ{jｰ{';;|_L二」_|::
212 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/17(日) 22:27:24 ID:aMjlm1cM0
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/i.. -- ..
,.. - '' ´!,ヽ ｀''- 、
.,.-'' ´ ｀' ヽ
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,' , ' ., '.,
/ .:/ .:/ .::::i
./ .l::/ .: ;／!.:: , :| .::::::|
/ .|/!/::|. ,' .l.:::: :. ';. :l .::::::::! お久しぶりですね、兵庫助殿。
/ i' ﾞ'ヾ! | |:::i;:. :::. .l:: |:. ! ::::::::::',
,' .:l ＝=z,' ':;:|ヽ;:::: : .|l:: l::. i .:::::::::::i
| .:| ,, , ' -l;z,x! |/ヽ/ :::::::::::::|
', .:::l , ｀ヾ! /: : .:::::::::::::l
.ヽ! :|.:::/ヽ ' '' , /:: .: .::::::::::::::|
ヽ:..::::..::::::::／' .、' r‐-, 、 ,...:'ﾞ｀:::::::..::::::::::::::::;'
＼;::::::r ' , :' r!ヽ.｀_´.. .r '-ヽ:;::l:::::::::::::::::::::::::/
＿.........ﾞ' ﾞ／ | ,.....'´::::::ヽ、>:::::::::::::::／/
.／´ .＼ l .／::::::::::::::::;;:: '' -- '/／ 'ﾞ
霊峰元奨
（れいほう げんしょう）
／￣＼
| |
＼＿／
| _
／￣￣￣ ＼
／ ＼ ／ ＼ 御無沙汰致しております。
／ ⌒ ⌒ ＼ .霊峰殿も御変わりないようで。
| （__人__） |
＼ ｀ ⌒´ ／
/ヽ､--ー､＿＿,-‐´ ＼
京に着いた兵庫助を迎えたのは、かつてより交際のあった妙心寺の霊峰和尚であった。
213 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/17(日) 22:27:57 ID:aMjlm1cM0
／￣＼
| |
＼＿／
| _
／￣￣￣ ＼
／ ::::＼:::／::＼
／ <●>::::::<●> | 早速ですが、霊峰殿。
| （__人__） j この寺内に一草蘆を結び、隠棲する事をお許しくだされ。
＼、 ｀⌒´ ／
／ ⌒ヽ '"'"´ (
/ ,＿ ＼ ＼／＼ ＼
と_＿＿）_ヽ＿つ_; _ヾ_つ.;.
／￣/ . . . . . . . . . . . . . . . . . ＼
/ . . . . . . . . . . . . ヽ: . . : . . . . ＼
/ . : . . : . l ﾄヽ:. .＼: . . . ヽ
/ . :/. . . .::!./| . .| | |:|＼ﾄ､ヽ:. . . . . . .ヽ
/ . . . :! :/ . . ::/|:| | . . |｜|.|＿ヽﾄ}::.. : . . . . .∧ 勿論、構いませんよ。
/ . . . : |i l. . :.:/__|.| |. .l:.! lｲ}厂__｀ﾊ:::.. : . . . . . ∧ ちなみに、庵の名は、どうされます？
′. . . . .ll |. .:/´,弐{`ヽ{ﾘﾉ ァf示ﾐヽ.!:::. : . . . . . .∧
｜. . . . . . 从:/{ｨ'fｨ:心` 辷:ﾂﾉ }:::..: . . . . . . l ／´}
| . . . . . . . ..:小 辷:ﾂ ´ |:::::.: : . . . . . .｜ ,. イ ノ
| . . . . . . . . : ::| ｀ _,. ハ/}: . . :. . : . .} ／ ／
l . . . . . . . : :小. r==┐ /::::::::|: . ...:} /: ./ ／ {
∨{: . . . : ｨ :::::|´:＼ ヽ__ﾉ .ｲ:::::::::ﾉ::...:::::/}:ノ / ヽ、 {{＼
ヽ:{ :/ }::厶二ヽ_ﾐi . ／ |{ｲ::::::_ﾙ=＜ _ノ＿ `ー-r{ヽ´ヽ.
:{,ニミヽ}.:∧ ￣´ ,ィブ¨７ﾌ´ _ ,.-‐｀7 rﾍ riヽ｀{ `'∨ ＼
／ -＝､∨=イ〉 ／／ ／´ ／/ { { ｰV .{ `ﾍ. 〉 l ﾉ
{ 二 ヽ ト’/´ ／イ // /.// 丶. } ├ | |{ |｀¨´
／| r=､ ヽ}' / /／ / !′ { { { ｀＞ _ ′ j___ヽ._ﾉ^ー'
/ |7:.:.:./｀{ {. /´ ___ || ∧ヽ ／ ｀¨′
/ ､/.:.:.:/i ＼ ∨／⌒} 小 ヽヽ イ
214 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/17(日) 22:28:17 ID:aMjlm1cM0
γ´￣￣￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ
l そうですな──。 |
| では、「柳庵」と。 |
ヽ、＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ﾉ
ﾞｨ;ﾞｨ. ッﾞｨ ッﾞ〃ッ. ヾｘ
ﾞｨッﾞｨ ッ',ﾞｨ. ッ..ﾞｨヾゞ; ,ィ ＝＝＝＝＝＝＝＝＝ヽ
kﾞ ;; ﾞｨ ｼ ｨ ;,. `:;, ゞヾゞｼ／ l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l l ＼＿＿＿＿＿__
ｨ; ﾞｼ; ;ｉi ﾞ〃; ゞヾゞTlｍｍｍｍｍｍｍｍｍｍｍｍｍlTTTTTTTTTT＼
ヾ;ｉ;;ｉi ;ｉiメｿ りヾ〃ヾゞ;`ｍｍ| ├―──┬─―─┤ │ ｍ ｍｍｍｍｍｎ,ゝ
""|l!|| ｌｌ|:ｿ ﾞ ＾＾＾＾＾＾＾＾＾'| ｜ ｜ | ｜＾＾＾＾＾＾＾＾＾＾＾＾＾|
|;lｌｌ ;|l|. | ｜ ｜ | ｜ |
|:l||; |l| | 「ｆ二二二][!二二二.」 | .|
|;l!ｌ| |l|; ..,.,,...､ | ｜ ｜ | ｜ |
,|liｌ|ｌ ｌii|彡ミシ彡 彡＿＿_,,| ├──―┴―──┤ |＿＿ミシ彡彡ミシ彡彡ミシ彡
,ノ::ｌ|| !!l!|､ヽ. 彡ミﾊ,. |___,||三三三三三三三,||,___|シﾐﾐシ彡彡ミﾊシ彡ミ彡彡シ彡
''ﾞ''ﾞ''' "''ﾞﾞ"" ″″' ″" "''""" "''""" "''"" ″″' ″''''゛' ″'''″' ″'''″″
名古屋を離れ、京・妙心寺に入った兵庫助は、寺内に庵を立て、隠居生活に入った。
この庵を、「柳庵」と称したという。
215 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/17(日) 22:28:42 ID:aMjlm1cM0
それから少し経ち、同年の秋──
__r v､
_,-､ ／4`aY┘
_｣､}｣Λﾋ-┬く
__ ┌- ､ ｰ-‐ﾍ┬'｀７´
| `┴yﾍ＼ ｣／/ ,、
/￣`、 ＼ 了 __ ___ | :.: | /Y//,、
＼／У^Y┘ 下､＼:＼:)′:/‐ 、 | ヽ. r'´
┌┴く＼｢ﾄ､ ﾄ.ヽ: l: :/.:.:.:/: : ) : :＼ /､_／
| ｢|` |┴′ ｜:|: V.:.:.:./´ ｀`-､: : :i＼ ／.:／ 兵庫助殿。
└ﾍ└ ┴-､ / /: /.:.:./AΛ |､ }､: ｌ : ／.:.:./ では、いきますよ。
く , -ｧ[_ ,､イ／: /.:.:./ Yﾋ}`VfjY｜: / :.:.:／:＼
￣ ＼‐'´: : :l:::.:.:ｌ ! r '、 l V .:.:／ : : : : ＼
く＼ ┌┐ /｀7 `＜:_ j:.:.:.:.ﾄ､ト､_ｰ'／ ﾙ'.:／ : : : : : : : : :＼
､_> ヽ| └ｊ /__r- ､ |::::.:.:L_:_: : :У^´／ : : : : : : : : : : : : : ＼
/ / / |:::::.:.:.:.:.:.｀`´.:.;∠:_:_ : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
＼ / <┐ |:::.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:/ /乙/７､ｰ- __ : : : : : : : ヽ
-‐￢二￣＞ 、 / . j::.:.:.::::::／.:.:.:|ｰ┤ / / ｒ┐ ｀`￢ｰ- ┘
. . . . . . . . . . . . `く／V:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／ /ヘ_｣ ﾄ､|^V^>
. : . : . : . : . : . : . :Λ /.:.:.:.:.:.:.:.:..:/ _､ -‐-L_> んへ/^>
: : : : : : : : : : : : : : : Y.:.:.:.:.:.:.:.:.:.Λ. ／. . . . . . . ＼_､ -- ､/ / └'乙
: : : : : : : : : : : : : : ::Λ:.:.:.:.:.:.:.:/ У. : . : . : . : . : .| . . . . . ＼ __ ／
／￣＼
.| |
＼＿／
|
／ ￣ ￣ .＼
／ ＼ ／ .＼
／ ⌒ ⌒ ＼ ええ、お願いします。
.| （__人__） . |
＼ .｀⌒´ .／
.／￣￣￣￣￣￣￣＼
216 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/17(日) 22:29:05 ID:aMjlm1cM0
Ｚ l l ﾚ |
（ .丿 ・・・
「＼
l ＼
. .､ ＼ Ｚ l l ﾚ |
.＼ ＼ （ .丿 ・・・
.＼ ＼
＼ ＼
＼ ＼
＼ ＼ , ィ⌒ ､
＼_＿＼ ／ .＼
＼, ― ､｛ ＼
/ ＼ .f ヽ
′ i人 i
| | ヽ
| |＼ ｝
| ヽ_,У
、
217 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/17(日) 22:29:24 ID:aMjlm1cM0
/￣￣＼〉: : : : : : :A: ﾄ, |｜
|: : : : : : : : : : : : : √: ,〟‐v: '"￣ﾉﾉ￣`ｰ-､ |｜
|＿__: : : : : : : : : : |ﾆ: ,′: : : : : : : : : : : : : : : ':, ! !
＿＿l: : : : : : : : : :|ﾆ: √VVi/! : i : : : : ヽ: : ＼: ':, ! !
|＿＿: : : : : : : : : ｷﾆ: :ﾆ√ＶＶ:::| :∧ : ::::: : |: : : : ヽ:':, | |
┌―┘.: : : : : : : :ｷﾆ: :ﾆﾆ,′: : |:/|ﾊ|_｣: ::::::::ﾊ!＼::::::N:､ヽﾆﾚﾆﾆﾆ はい、出来ましたよ。
｜ : : : : : : : : : : : : '.ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ,’::::: :├七_- Ｖ|:::Ｎ土ｰVV: : :',､〉ﾆﾆﾆﾆ
｜.: : : : : : : : : : : : ::'.ニﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆi::::::::::: `《{じj` V {じﾜ》 !::::: : : ',ﾆﾆﾆﾆﾆ ..... γ ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
└―‐┐.:.:三三三小ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ|::::::::::::． -―――‐- ．/:::::::::: : |ﾆﾆﾆﾆﾆ ... | ははは…これまた見事な…。 |
|￣￣:三三三三三ﾍﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆニｘ＜ ＞ｘ:::ﾉﾆﾆﾆﾆﾆ . | ありがとうございます。 .|
l: :三三三三三三三ﾍﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆニ／ ＼ﾆﾆﾆﾆﾆ ... 乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ノ
L三三三三三三三三＼ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ／ . ＼ﾆﾆﾆ
／三三／〉三/￣ ｀ ー―, ' 〝．￣ .... いえいえ。
＼三／ く三ノ / 鏡 . ':, ... ところで、斎名はどうされますか？
￣ ,′ ',
,ﾞ '. ... γ ￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
l_＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿___! ｜ そうですな…. |
|::::／::::::::/::::|｜::::::::::::::/::::::::| 乂＿＿＿＿＿＿＿＿ノ
l:/ :::::::::/::::::,L∟::::::::::,ﾞ|:::::::::|
l|::::::::::/:::::〔とﾆ｜:::::::| |:::::::::|
ヽ:_／:::::::::::ヒンミー‐く:::::::::|
218 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/17(日) 22:29:47 ID:aMjlm1cM0
'´ ⌒｀`ヽ、 _r'⌒(
ヽ ノ｀...:.:::::ヽ
::: ） ｒ‐‐‐--､ r' .: ｀ヽ
｀:::::::::::: ﾉ -‐''''''´ ヽ_. ).::.:. .:.:.:::::::::)
ヽ, ／ ｀`-､. く.:. .:.:.:::::: ⌒
--､ ,:´ ::::::::::::::. ...::::::::::::::::::: ヽ .:.:.:::::::.:. .:.:.::::::
｀ヽ､ l ｀:::: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: : ).:.:.....
..::: ヽ j ｀;:::::::::::::: _r'⌒ .:.:.:::::::::.
..:: ...::::::::.... ｝ !／ .............::::::::::: _r‐-､! .... .:.::::::::::...:.:
...::::: ::::::::::::::::::::::::::::::＜. ／ ......::::::::::::::::::::::: _ﾉ .:::..... .:.:.:.:. .:.:::::::.:.:..
.:´ ｀ :::::::::::::::::::::: ヽ. { .....:::::::::::::::::::.. _,.-‐'.:.:.::::::::::::::.. ... ..:.:.:::::::.:.:.:
｀;::::::::::::::::...........:｀ヽ_. ＞ｰ ::::::::::::::::::::_rヾ⌒Y´ .:.::::::::::::::... :.:.::::::
....... ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ::::.. __r' .:.::.:.:. .:.:.::::::.... .:. .:.:.:..... .:.:
γ ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
| |
｜ では、あの雲の如く…「如雲斎」と。 . ｜
| |
乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ノ
この時、兵庫助は入道し、以後、「如雲斎」と称するようになったという──
230 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 01:49:32 ID:PeHb92kQ0
そして、年が明けて慶安二年(1649)、三月十九日…。
＝＝==‐|| || ニニニニニニ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
'￣￣￣||| | ┏━┯┯━┓||。￣￣￣￣ |┏━┯┯━┓|
|| | ┠─┼┼─┨|| 。 .|┠─┼┼─┨|
|| | ┠─┼┼─┨|| ﾟ . ｡|┠─┼┼─┨|
|| | ┠─┼┼─┨||ﾟ ｡ .|┠─┼┼─┨|
、 _,,|| | ┠─┼┼─┨||. ﾟ ｡ |┠─┼┼─┨|
'ヽ,／ || | ┣━┷┷━┫|| ｡ ﾟ.|┣━┷┷━┫|
.／″' ..|| | ┃| ┃||―――――|┃ |┃|
|| | ┃| ┃||三三三三三|┃ |┃|
／￣￣jl━━━━┴'＝＝＝＝=''┸━━━━┛
／ /i＿__,,;;;;;:| ;;; ;;;;;;＼;;;;;;;;;;;;:::
. , ／＿＿＿/ ´x /,,,,;||＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＼;;;;;;;;;;;;;;
´ ||￣￣￣||ー―‐',, ,,,,:.||￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ＼:::::::::::
231 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 01:49:55 ID:PeHb92kQ0
／ /
／ /
ヽ ￣￣｀¨''' ｰ- .._ .l
／￣｀` ヽ / l
／ ヽ／ ! l
/ .ｲ ./ / /----‐‐‐ヽ ヽ ／./｜
/／ l/ l l /-----‐‐‐‐ヽ l ∠-' / 兄上。
/ | l ./ /| l＞-､! ､_. -＜| .l l ／ 父上とお会いするのも一年ぶりですね。
l/l /l !`’-‐〉 ’-‐ l/l lﾍ-＜
l l / ﾄ､ﾒ、 ヽ .l /‐' ___` ｰ／
r ┴'''''77li､ ‐_‐- ／|/r'''´ /ﾊl‐'
. | .//｜|＼ ,.イ /.lﾍﾄ .// ||
ﾉ-‐ ﾉﾉ:::::| | ￣ / .ト､ //::::||
／￣￣`¨/ ∠_￣｀ヽヽ_＿＿/＿｀l ／:::::::|L___
/ `==''´ ｀'ｰ-￣ -‐'''¨´￣て_)､ ￣｀＼
＿
／Ｏ ＼
| ° |
＼＿／
|
. ／ ￣￣￣￣＼
. ／ ＼
. / ⌒ ⌒ ヽ そうだね。
. | ● ● ' , 今は入道されてるけど、
. | ⊂⊃ ､_,､_, ⊂⊃ | 父上の事だから、変わってないだろうね。
i⌒ヽ /
ヽ ヽ. ／_,／⌒)
∧__,ﾍl三三三三三三三;i'´::::ヽ／
ヾ_:::ッﾘ ＿＿＿ ＿|::::::::ﾊ
i | | | | >'''´
この日、利方、厳包の二人は、
兵庫助あらため如雲斎に呼ばれ、柳庵を訪れていた。
232 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 01:50:22 ID:PeHb92kQ0
／ ／＿
／ ￣
/ ＿
/ ／/ ､､,,,,,,, ,,,,,,,､､ ＼|
// / / / ￣￣ | ､､--
// | // |_ | ￣￣ …そういえば、兄上。
/ || | || く__'''''ｰ-------ｰ'''''| |ヽ 今、気づいたのですが、入道されたという事は、
/ .|| | .|| ┌ｰ-''ｰ-,,| /／-ｰ'''''__ | .） その…
|| | || |＼ ”,,,､ヽ ''''￣,,,” |.|| |ヽ ─==
|.|.| |.| | ￣ / ''' ￣.|| | |/ ボ ン ボ ン はどうなったのでしょうか？
.| | | | |.× ノ ￣| || ＿＿＿＿
| | .λ＼＼ ＼ u. | || ＼ ＼
| | | | ||＼ ､--ｰｰ､ |.| | ／＼ .＼
＼ .| .|| //＼ ￣￣.´ ／ .| /| || ／ .| ＼
--ｰ'''''''''''''''''ｰｰ--＼ ソ// ＼ ／ |. / |/ ﾚ ＼
／ ／ ／ // /ヽ─ |/ / / ／ ＼
／ ／ // / ＼ / /
./ / |/ / ﾉ / /
/ || |''''ｰ ､､--ｰ| |
＿
／Ｏ ＼. ┃ ━┓
|. ° | ┃ ┏┛
＼＿,／. .・ . ・
|
／￣￣￣￣ ＼ .て
／ u. ＼ そ
. / ヽ
/ ノ ｀ヽ | ………あっ！！
| ○ ○ |
ヽ ⊂⊃ ､_,､_, ⊂⊃ /
＼_ /⌒lゝ._） /
l/ /三三三三三l.
/ | l ＿＿＿ ヽ.
233 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 01:50:45 ID:PeHb92kQ0
≡二三二≡＝‐＝≡二三二≡＝‐≡二三二≡＝‐＝≡二三二≡二
＿＿＿_ . ＿＿＿
／ ＼ . ／ .＼
／ ─ ─ ＼ . ／ － ::: － ＼
／ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼ ／ .<●>::::::<●> ＼
.| （__人__） | | （__人__） |
＼ ｀⌒´ ,／ .... ＼ .｀⌒´ ／
／ ー‐ ＼ .... ノ ＼
（石舟斎） （如雲斎(予想図))
≡二三二≡＝‐＝≡二三二≡＝‐≡二三二≡＝‐＝≡二三二≡二
＿
／Ｏ ＼
.| °.|
＼,＿／
＼
／ ￣￣￣￣＼
／ u ＼
/ ⌒ ', …父上は、
| ○ ', なんでも曾爺様にそっくりだったというから、
| ⊂⊃ ､_,､_, | 多分、こんな風になってるんじゃ…。
. ', u {_ﾉ /
'､ ／
l三三三三三三三l ／⌒）
/ ＿＿＿ ヽ ／
,.ィ
／（,,. -ーー- ､ ）
,.-ヽ ヽﾉ | ,ｨ
Q、 ／,. "~ノ
ヽ}ー-/''/, -ﾆ-ｲ
/~ ,' ,,.l'' /'l / ,ヘ､＿_ ,ｨ＿;;::', ,Q いやいやいや、兄上。
ﾒーｰ'" l ! l 代､t-...__l i ヽ-,='ー-/.;' それはまずいですよ。
lー､ /ヽll ﾄ､l l ~´,lｰ=l l lﾘ./ （ `"ヽ
!､::::::ヽ＿ノ:::::ヽ l`ヽ -ﾆ, ,.イ!ﾚ':::l ll ヽ､ ＿_,〉 だってボンボンがないんですよ。
::::::: ::::::::::::::::::::: `‐-`ー'二／:: ::l iii _,,......､.} ボンボンが！
:::::::λ:::::::::::::::::;-‐'''''''‐-､ .......:::::::ヽ__／:::::::::: l
:::::/ ｀|:::::::::/ ヽ::::::::::::::: 入::::::::... ヽ
./ 丶:::::.| l::::::::: / l ::::::::::::: l
|::::::ヽ ./ ::／ l :::::::::::::: !
234 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 01:51:10 ID:PeHb92kQ0
＜ ﾜｰ
＜ ｷﾞｬｰ γ ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
| この声は…茂左と七郎か？ |
| 一体、何を騒いでおるのだ…！ |
| : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ 乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ノ
. |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : }、
. |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :＼
|: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.
|: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .、
|: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :＼_
|: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ／ ｀ ヽ
| : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ; ´ }
|: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : < /
|: : : : !: : : : : : : : : : : : : : : : : : : ; ´ ｊ ／
|: : : : |: : : : : : : : : :_:_; -‐ ´ { , ／
|＿＿j: :=-‐ ''´ ／ {: / /
／ | | / / ｽﾀｽﾀ…
_,. ´ / 〈 ノ, , , / ,ノ
r'三´ } / /// し'´
匕二､＿_,,.. -―‐- ..,,＿_,.ノ 〈ノ-‐'´
235 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 01:51:30 ID:PeHb92kQ0
ヽヽ＿_ | ┃
-┼┐ ＿＿ | ┃
/ | ／ | ┃ ／￣￣￣￣￣￣￣￣￣＼
./ J ／ ツ | ┃ / / / ／ ＼
| ┃ / / / ／ ＼
| ┃ ノ / / ／ ＼ 三三三 ／ ＼
| ┃ ―― ／ .:::::＼ 三三 .／::::::.. ＼
| ┃ ―― ／ ＿ .:::::::::::＼:三:.／:::::::::::.. ＿ . ＼ お前たち、何を騒いでおる！
| ┃ ―― ／ ／,..::::::::::.ヽ＼:::::;;;;;;;;;;;;;;;;;::::／,..::::::::::.ヽ＼ ＼
| ┃ ／ < {:::::::::::::::::} >::::;;;;;;;;;;;;;::< {:::::::::::::::::} > ＼
| ┃ ／ ＼ ヽ;;;;;;;;;／／::::::::::::::::::::::::＼ ヽ;;;;;;;;;／／ ＼
| ┃ / ／ i ＼ ヽ
| ┃ | /./ ∧ ',.ヽ |
| ┃ | .| ｛ / ヽ ｝ | |
| ┃ | ゝヽ＿＿_／ ＿_ ＼＿＿_ﾉ.ﾉ |
＼＿_人人_从＿从／
＿） （＿＿
） …父上！ （
￣￣） (￣￣ ＼_人＿人∧从＿人_∧_人_从_/／
／⌒YY⌒YY⌒Y⌒＼ ) ＞
＜ ボ、ボンボンが…！？ .＞
< (
／＾Y￣∨￣∨^Y^⌒Y^YY^^Y^
236 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 01:51:51 ID:PeHb92kQ0
／￣＼
| | ) )
＼＿／ ﾌﾜﾌﾜ
／￣￣￣.＼
／ :::＼三／:: ＼ ボンボン？
／ .<●>::::::<●> ＼ 俺のボンボンがどうかしたか？
| .(（__人__）). |
＼ ｀⌒´ ／
/,,― -ー ､ , -‐ ､
（ , -‐ '" ）
`;ー" ` ー-ー -ー'
l l
＿
／Ｏ ＼
| ° |
＼＿／
|
. ／ ￣￣￣￣＼
. ／ ＼
. / _ノ Ｕ ヽ､ ヽ
. | ○ ○ ' ,
. | ⊂⊃ ､_,､_, ⊂⊃ |
i⌒ヽ （_ノ /
ヽ ヽミ 彡彡_,／⌒)
∧__,ﾍl三三三三三三三;i'´::::ヽ／
ヾ_:::ッﾘ ＿＿＿ ＿|::::::::ﾊ
i | | | | >'''´ ＼＼ | l i 川 | l i川 | l i l i 川／／
三 三
三 浮いてるー！！ 三
三 三
／ / ／／ | l i 川 | l i川 | l i i 川 |＼＼
／ /
ヽ ￣￣｀¨''' ｰ- .._ .l
／￣｀` ヽ / l
／ ヽ／ ! l
/ .ｲ ./ / /----‐‐‐ヽ ヽ ／./｜
/／ l/ l l /-----‐‐‐‐ヽ l ∠-' /
/ | l ./ /| l＞-､! ､_. -＜| .l l ／
l/l /l !` -‐〉 -‐ l/l lﾍ-＜
l l / ﾄ､ﾒ、 ヽ ∪ l /‐' ___` ｰ／
r ┴'''''77li､ |￣| ／|/r'''´ /ﾊl‐'
. | .//｜|ﾞi,| | ,.イ /.lﾍﾄ .// ||
ﾉ-‐ ﾉﾉ:::::| | ￣ / .ト､ //::::||
／￣￣`¨/ ∠_￣｀ヽヽ_＿＿/＿｀l ／:::::::|L___
/ `==''´ ｀'ｰ-￣ -‐'''¨´￣て_)､ ￣｀＼
237 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 01:52:16 ID:PeHb92kQ0
／￣＼
| |
＼＿／
／.￣￣￣＼
／....:::三:::::::.. ＼ 何を騒いでおるのかと思えば、
／:=・=-::::-=・=- ＼ .この俺がボンボンを無くす訳がなかろう。
| :::::(（__人__）)::::: |
＼ .｀⌒´ ／ ボンボンがないとゆっくりできないからな。
/,,― -ー ､ , -‐ ､
（ , -‐ '" ）
`;ー" ` ー-ー -ー'
l l
＿
／Ｏ ＼
|. ° |
＼＿,／
／
. ／￣￣￣￣ ＼
. ／ ＼
/ ＼ ヽ
. / ＝ | ですよねー。
| ､_,､_, ⊂⊃ u |
ヽ {_ﾉ /
＼ /
(｀ヽ l三三三三三三三l
ヽ､/ ＿＿＿ ヽ
＿/ /＿_
. '"´￣ ＼
／ へ |＼|
/ / /-――￢＼ ＼
＼＿_/ / /≦二 ￣/ﾍ l ／
＼ / / へ l/ {j 〈 ／ まあ、ボンボンが無事で安心しました。
＿,＞ _l ' ､ {j ｀７ V l
/７| /| / :||＼l しかし、父上。
＿_,／| 〈 l | メ u. / ＼ 一気に老けられましたね…。
_,／ ゝﾆl＼| _＼ ＿_ ∧ ＼ |
＿＿／l ／l ｢|l 〈_ -┘/ 「￣ｽ､|
∧／ ／ ｜l ヽト――ｲ ト| //l|
∨ｰ ￣/ l｜ | Vﾉ // l|／⌒＼
∨ｰ∧ ヽヽ ＼ V.／/二. ＼
∨_人 ＿＿_| | ＿_ ＞―'´ 八＿）
／￣ 丶------' ＿＿ ／ 爪
＿＿＿／ / l ヽ
/.:｜ l
238 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 01:52:52 ID:PeHb92kQ0
／￣＼
| |
＼＿／
／￣￣￣.＼ 何を今更。
／ :::＼三／:: ＼ 既に古希を越えたこの身、
／ .<●>::::::<●> ＼ 皺くらい出て当然であろう。
| .(（__人__）). |
＼ ｀⌒´ ／ それはまあいい。
/,,― -ー ､ , -‐ ､ ともかくお前たち、よく来た。
（ , -‐ '" ） .どうやら無事に勤めておるようだな。
`;ー" ` ー-ー -ー'
l l
＿
／Ｏ ＼
| ° |
＼＿／
|
. ／ ￣￣￣￣＼
. ／ ＼
. / ⌒ ⌒ ヽ ええ。
. | ● ● ' , 七郎はよくやってくれてます。
. | ⊂⊃ ､_,､_, ⊂⊃ |
i⌒ヽ /
ヽ ヽ. ／_,／⌒)
∧__,ﾍl三三三三三三三;i'´::::ヽ／
ヾ_:::ッﾘ ＿＿＿ ＿|::::::::ﾊ
i | | | | >'''´
／ /
／ /
ヽ ￣￣｀¨''' ｰ- .._ .l
／￣｀` ヽ / l
／ ヽ／ ! l
/ .ｲ ./ / /----‐‐‐ヽ ヽ ／./｜
/／ l/ l l /-----‐‐‐‐ヽ l ∠-' / いえ、兄上の支えがあってこそです。
/ | l ./ /| l＞-､! ､_. -＜| .l l ／
l/l /l !`’-‐〉 ’-‐ l/l lﾍ-＜
l l / ﾄ､ﾒ、 ヽ .l /‐' ___` ｰ／
r ┴'''''77li､ ‐_‐- ／|/r'''´ /ﾊl‐'
. | .//｜|＼ ,.イ /.lﾍﾄ .// ||
ﾉ-‐ ﾉﾉ:::::| | ￣ / .ト､ //::::||
／￣￣`¨/ ∠_￣｀ヽヽ_＿＿/＿｀l ／:::::::|L___
/ `==''´ ｀'ｰ-￣ -‐'''¨´￣て_)､ ￣｀＼
239 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 01:53:34 ID:PeHb92kQ0
／￣＼
.| |
＼＿／
／￣￣￣＼ …そうか。
／ .＼三／ .＼ 安心したぞ。
／ ⌒ ⌒ ＼
| .(（__人__）) . | これで俺は、ようやく己の成すべき事を
＼ ｀⌒´ ／ 全て仕終えることができる。
/,,― -ー ､ , -‐ ､
（ , -‐ '" ）
`;ー" ` ー-ー -ー'|
､、
ｉ ,. -ー―ｰ-‐' .）_
_ lヽ-／, ,--- ::_ ヽ
( ,) ﾄ､_ヽ r/ rt;ミ-, _.l ヽ
.ｌ i ヽ＿ ﾒl /l'' 〈'ｔﾏ l
,l__L...､ｰ--' l1、 l ! ｰ- " ｿ /ﾘ では…！
, ''" _,,. -＼-_/ ヾl ~／l l /
/ー‐''''" ヽ''''ー-ゝ-イ ll
l , -‐''''''ヽ、 l､-.､ ￣'''-､--'
.､l ;;;; ;;;ヽ /ヽミヽr､- ＿L_,
240 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 01:53:53 ID:PeHb92kQ0
.／￣＼
| .|
＼＿／
＿＿_＿
／ ＼
／ ::＼:三:／:.＼ うむ。
／ <●>::::::<●> ＼ これより、我が新陰流の道統を
| (（__人__）) .| 七郎、お前に相伝する。
＼ ` ⌒ ´ ,／
. /⌒～"￣,￣￣〆⌒,ﾆつ .茂左、しかと見届けよ。
| ,＿_＿ﾞ＿__､rヾｲｿ⊃
| ｀l￣
. | |
＿
／Ｏ ＼
| ° |
＼＿／
/
／￣￣￣￣ ＼
／ ＼
. / ＼ ／ ヽ
/ ● ● | はい！
| ⊂⊃ ､_,､_, ⊂⊃ |
ヽ /
/⌒ヽ_＼ / /⌒i
＼ /:::::/;l三三三三三三三l / ./
. /:::::/ |＿ ＿＿＿ ﾍ､__/
｀ヽ< | | | | ヾ:::彡'
241 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 01:54:09 ID:PeHb92kQ0
／￣＼
| |
＼＿／
／￣￣￣＼
／ ＼
/ ::::＼:三::／:::: .ヽ 「当流兵法祖父但馬守殿」…
| <●>::::::::<●> |
＼ (（__人__）) ._,／
ｻﾗｻﾗ .／ ｀⌒´ ＼
＿/((┃))＿＿＿＿_＿i |
.. ／ /ヽ,,⌒) ￣￣￣￣￣（,,ノ ＼
／ /＿＿＿＿＿＿＿＿＿ヽ.. ＼
.￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
目の前に利方、厳包の二人を並ばせると、
如雲斎は、その場で白紙の紙に筆を走らせた。
242 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 01:54:26 ID:PeHb92kQ0
／￣＼
| |
＼＿／
／￣￣￣＼
／ ＼
/ ::::＼:三::／:::: .ヽ …………。
| <●>::::::::<●> |
＼ (（__人__）) ._,／
／ ｀ ⌒´ ＼
＿/ ┃＿＿＿＿＿__ i |
.. ／ /ヽ,,⌒) ￣￣￣￣￣（,,ノ ＼
／ /＿＿＿＿＿＿＿＿＿ヽ.. ＼
.￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
＿
／Ｏ ＼
|. ° |
＼＿,／
|
／￣￣￣￣ ＼
／ ＼
. / ヽ
/ ノ ｀ヽ | …父上？
| ● ● .u |
ヽ ⊂⊃ ､_,､_, ⊂⊃ /
＼_ /⌒l /
l/ /三三三三三l.
/ | l ＿＿＿ ヽ.
243 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 01:54:41 ID:PeHb92kQ0
,iｰ..
/ /
/ /
/ /
/ / Y´￣￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ
/ . / | ………………。 |
/ . / ゝ＿＿＿＿＿＿＿＿_,ノ
/ /
/ . /
/ /
/ . / -''''^ﾞ''''ｰ-.._
, ‐'./ ,iﾞ.、 .． ｀ﾞ'ｰ ,,,
,／ У ./ .|______l,,..-'゛ .｀'''ｰ ..,,,,、
/ , ‐‐'~´
! （ !
ｌ ./丶､_＿_._.ﾉ┬―-､.. ;;ﾝ'
.ﾞ/ ./ ヽ .,,ﾞ_''く |''ｰ .._
/ .,/ゝ⊥_,l‐､.( 八. | .￣^ﾞ''''''"゛
l.／ `''､ l＿)ー'ーｰ- ..,,＿__, ＿,,..
’ ￣￣
最初の一行を書いた後、
如雲斎は行を改め、再び「当流兵法祖父但馬守殿」と書いた。
だが、そこから筆が動かない。
244 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 01:55:00 ID:PeHb92kQ0
／￣＼
| |
＼＿／
＿＿_＿
／ ＼
／ ::＼:三:／:.＼
／ <●>::::::<●> ＼ …茂左、その方、代筆せよ。
| (（__人__）) . |
＼ ` ⌒ ´ ,／
. /⌒～"￣,￣￣〆⌒,ﾆつ
| ,＿_＿ﾞ＿__､rヾｲｿ⊃
| ｀l￣
. | |
＿
／Ｏ ＼
|. ° |
＼＿,／
| て
／￣￣￣￣ ＼ そ
／ ＼ ええっ！？
. / ヽ 僕が、この相伝書を…？
/ ノ ｀ヽ |
| ● ● u .| …いいんですか？
ヽ ⊂⊃ ､_,､_, ⊂⊃ /
＼_ /⌒lゝ._） / 「構わん」
l/ /三三三三三l.
/ | l ＿＿＿ ヽ.
如雲斎はしばし沈黙の後、顔を上げると、利方に代筆を命じた。
245 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 01:55:25 ID:PeHb92kQ0
／￣＼
| |
＼＿／
／￣￣￣＼
／ ::＼:::／:: ＼
／ .<－>::::::<－> ＼ 「…より、御相伝の通、毛頭不残、令相伝…」
| （（__人__）） |
＼ ｀⌒´ ／
/,,― -ー ､ , -‐ ､
（ , -‐ '" ）
`;ー" ` ー-ー -ー'|
__ -=＼
__ -= ￣ .＼
__ -= ￣ .＼
__ -= ￣ .＼
＼ 「…より、御相伝の通、毛頭不残、令相伝…」と。
. ＼
.
､__,.:z≦三＞
__z≦三 ＞''
＜{{_ { ｀ .ﾉ
｀￣ ''＜ {
_ _ ヽ ノ ヽ
__./_ }_}}⌒i ｀ ￣ ＼
./ / / i´｀.! .ィ, __ -= ￣
/=/~ i ~ ,: ~ { / .L｝ __ -= ￣
そして、最初の一行から後は、如雲斎の口述を、
利方が書き記す、という形で、相伝書は綴られていった。
246 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 01:55:50 ID:PeHb92kQ0
── そして
/⌒ｿ/⌒ヽ、
. / // ..＼ ._,
/ // .｀ヽ,.._,ィ''´ ｀'ｰ- 、 /i
/ // ＼,. _..ノ .|
. / // ⌒´ .|
/ // ｜
/ // |
. / // .|
/ // . 新陰流相伝書 . |
/ // .|
./ // . |
/ // |
ッ芝ヾｼ⌒ヽ、 |
.ヾﾆジ ＼ ._,.イ⌒ヽ |
｀ヽ,.._,ィ''´ ｀'ｰ- 、 . |
.＼,. _., ､ . .ﾘ
⌒´ ＼._,ノ
『当流兵法祖父但馬守殿より、御相伝の通、毛頭不残、令相伝、
並我等一代之工夫鍛錬の条々、是又、不残、令相伝畢。
向後 弥 工夫鍛錬、可為肝要者也。
先以、其方、今日迄之上手越一門、奇特千万、感悦無極候。
猶以不可有油断候。如斯儀者其方一人ニ限者也。.依如件。
柳生兵庫助入道 如雲斎 七十二歳
慶安弐丑巳年 三月十九日
平利厳（花押）
柳生七郎兵衛殿』
利方によって代筆され、最後に、如雲斎の手で宛名と日付、花押が記され、
一子相伝の相伝書は完成した。
247 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 01:56:35 ID:PeHb92kQ0
|. `| | ｌ l. |
／￣＼ 「￣￣￣￣￣￣| | ,' / ﾉ￣￣|
| | . | ヽ_ｊ / /／ ...|
＼＿／ | 相伝権利書ヽ_ﾊ/′ .|
| ..| 七郎…お前に、これを授ける。
／ ￣￣ ＼ | 新 陰 流 ..|
／ .＼三／ . ＼.. | ・・・ ・・・ ・・・ .| 今、この時を以って、お前が新陰流正統五世だ。
／ ⌒ ⌒ ＼ | ・ ・ ・・ ・・・ .|
| (（__人__）) |./| .|
＼ ｀⌒´ .／ｌ| | ：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：.....|
ヽ､--ー､＿＿,-‐´イ l ﾘ ：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：： .|
＞'´/ ／ _,.ﾉ|/ l | ：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：： . .|
,ｒ７′_,.ﾚｧ‐‐'′、 l i ｌ.| _＿ ..|
/,厶イ_:.:/ ヽヽ. :l | 〃. ｀ヾ ..|
/7 /:.:「 ゝL／| ：：：：．．．．． |l 柳 || ...|
／〈 /:.:.:.:', ／ // .| ：：：： .|ｌ .生 l.| ......|
∧',. ﾍ /:.:.:.:.:.:', ／ 〃 .| .ヾｰ-‐ｼ .....|
／.../
＿ヽ......i、 ＿＿.............._
γ⌒ヽ ,. ::''".........`..........￣.............................ヽ､_ 、
ヽ ;;;ノ ,.::'"........_;:.-‐''.........................................................＼ l!
`! 'ヽ ／,..-''".-'.......;:-.................................................................`ー-‐'..l
l ヽ /／ ／........;／..;..................................................................、.........ノ
! /' ／....; -'"/...././'''''7⌒ヽ/_.......................................ヽ..ヽｰ'" ,,.
l ;;;;／.-''" /.; 'r'7;;;;;/;;;;;;;;／;;;ヽ''''ー――l.....i......l.......i.....`ーー'"/
.l '';;''l~＿ /' /ﾉ\;;;;;l､;;;;;/;;;;;;--､L !...l.......l........l..............／__ …父上！
,j:: -‐''" ~'/'ヽ「;;l;;;;;ﾄ､ﾉKに;;;_;;;;;;;;;;l＿＿＿j...l.........l.......ll.ヽー'"7ノ
.／ l /!/;;;/ﾄヽ13フ／;;;;;;;ノ',.. -ｨi--l.l..........l......l!l.......￣／、 新陰流の道統、
'_,,.. -― ''''''''' ￣/{;;;;;;;}ゝ(益)／ﾉ;;;;;;;;j ,,~`ｰ"-ｲl..........l.....l-l;;::_-''" ` この七郎、確かに受け継ぎました…！
＿ ヽ;く[koh47ll]ゝ;;;;;;/l. """"/ l......../!...i;;l;;;;;;;,,,＼
,.-;;''";;;;;;;;~;;丶､ ,{;;;;;;;;;ゝﾉ;;;;;;;;;;;;;;/`＿,..、 /／l..../ /!/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ
'";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ./ ヽ､.;;;;;;;;;;;;;;;;;／＝==:'' ／ ,./／ /;;';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ
''''''''''''',,;;;;;;;;;;;;;;;;/ ,.:‐''''-､`ー--{ ＼＿_／―'"/' /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ
,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;／V ,...、 ヽ /､＿ __,,.／;;;;;;;;;;;;''''''',,,,,,,;;;;;;;;;;;;;;;;
,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;／ ;;;;;;l,,ﾉ ノ;;;; ﾉ /､;;;;;;;;;;;;￣￣;;;;;;;;;;;;;''''' ,,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
'';;;;;;;;;;;;;;;;;;／ ;;;;;;;;;;ヽ_ノー'￣７;;,, ''''''';;;;;;;;;;;;;;;;;;'''' ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
こうして、この時を以って、厳包が新陰流正統五世を継ぐ事になったのである──
248 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 01:57:10 ID:PeHb92kQ0
／￣＼
| |
＼＿／
／ ￣￣￣＼
／ .＼三／ .＼ これで…俺には最早一片の心残りもない。
／ ⌒ ⌒ ＼
| .（（__人__）） | 茂左、七郎、尾張へ戻れ。
＼ ｀⌒´ ／ .これが、我ら今生の別れぞ…！！
/ヽ､--ー､＿＿,-‐´ ＼ .☆
／ > ヽ▼●▼<＼ ∩ｰ､.
/ ヽ､ ＼ i |｡| |/ ヽ (ニ､｀ヽ.
.l ヽ l |｡| | ｒ-､y ｀ﾆ ﾉ ＼
l | |ー─ | ￣ l ｀~ヽ＿ノ
＿
／Ｏ ＼
|. ° | ,.ィ
＼＿,／ ...... ／（,,. -ーー- ､ ）
| ,.-ヽ ヽﾉ | ,ｨ
／￣￣￣￣ ＼ .. Q、 ／,. "~ノ
／ ＼ .... ヽ}ー-/''/, -ﾆ-ｲ
. ｡/ ノ' ＾ヽ_ ｡ ヽ /~ ,' ,,.l'' /'l / ,ヘ､＿_ ,ｨ＿;;::', ,Q 「「…はい！！」」
/ ｡;'⌒ ⌒ヽ ゜ | ﾒーｰ'" l ! l 代､t-...__l i ヽ-,='ー-/.;'
| o'ﾟ~ ､_,､__, ~o° | lー､ /ヽll ﾄ､l l ~´,lｰ=l l lﾘ./ （ `"ヽ
ヽ ﾟ |ｒ―､| ﾟ / !､::::::ヽ＿ノ:::::ヽ l`ヽ -ﾆ, ,.イ!ﾚ':::l ll ヽ､ ＿_,〉
＼_ ｀⌒ ´ / .....::::::: ::::::::::::::::::::: `‐-`ー'二／:: ::l iii _,,......､.}
l三三三三三三三l. .:::::::λ:::::::::::::::::;-‐'''''''‐-､ .......:::::::ヽ__／:::::::::: l
/ ＿_ ＿＿＿ ヽ ......:::::/ ｀|:::::::::/ ヽ::::::::::::::: 入::::::::... ヽ
249 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 01:57:33 ID:PeHb92kQ0
ゞﾐ三三 ／,ｨ仁 ／／／, ／ ＿ 二三ゝ、＼ }ヽ
｀ﾆ＝＝彡'／／ ／／／／／ ／ . x≦、くヽ ｀ヽミﾊ ＼ ﾉﾘﾊ |
ﾐ三三ﾆ.／イ/´／／／／／ ／ ／ rt_ヾ＼＼ ＼ｌ__ ｀ﾆ彡'ノﾉﾙ'!
＼ニ二三ノl /／／／／ l／ ／ ⌒ヽ、 ゞ' ﾊ. ヽ ＼ ＼＼ミ三二彡'’
ｰ=≧彡'ﾉﾉ |./'／／／ /／ ミﾆ￢ ＼＞ ,＼ Vﾊヾﾐ寸㌣´
ヾﾐ三二ニﾉ/' ／／ﾅ"￣ /' ｀ {=､∠ﾉﾉヽ | ｌ |㌧、＼｀ヽ
ｨ彡≠ｧ彡/k'´ / / -―=' 〈ー ､＼∨ ｌ |ハﾊヾ∧
´／ //// ! / / ／ ,x≦ ￣｀丶、 -―>rt_l }/ //j l|/|/l/∧
/／/ ,/| ' / ／ ／ヘ. ￣ ｀丶 ＼ ／ヽゞ' V // //ﾘ/|/ト､/l
/ // / | :. ／ 〉､ ＼ ＼ .:ー/// /////|/| 'l|
/' / | :. / / ＼ ヽ ｌ .: /// /// |//l/l i!
/ | :: /-､ { 〉 ,イ}__ﾉ ／ .:／イ /// ///ｌ/ |
/ | :: 八 └ ､ j / ＞‐' ／／´'//// ///〃
| :. { ＼_ ＼ ／ ／ イ //／/ /// /
＼ ∧ :. -､＼ 丶ﾍ.)／ ｨ≦ '///／ / /// /
:. ＼ '/∧:. ＼_ノ'´ イ ///////／ / /／
: ＼ '///＼ ., ＜ハ|/ ////／ ／ ／´
:. . . ＼ '///＼＿_ . ｨ≦{ }// '| //／ ／
. | .∧、
, ﾉＶ ｀¨¨´｛
＼ ＼ ー---‐‐ ｰ‐---〆/
`､＼ __) /
`、 父上…おさらばです！！ 二ﾆ=-
. / __ `､
/／⌒i _二__ ＼
. ／ _］ -‐==‐- 、 'ハ ;/ ￣⌒
＿./ ／ ＼/ `､{
／Ｏ ＼´
| ° .|
＼＿／
|
. ／ ￣￣￣￣＼
. ／ ＼
. / ヽ
. | ＼ ／ ',
. | 。● ● o。 .|
i⌒ヽ ⊂⊃ ､_,､_, ⊂⊃ /
ヽ ヽ |::::::| ,／_,／⌒)
∧__,ﾍl三三三 |;;;;;;|三三;i'´::::ヽ／
ヾ_:::ッﾘ ＿＿__.｀‐´ .＿|::::::::ﾊ
i | |. | | >'''´
そして、相伝を受けた厳包、それを見届けた利方、二人の兄弟は尾張へと帰っていった。
これが、彼ら親子の、今生の別れとなったのである…。
250 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 01:57:58 ID:PeHb92kQ0
── 兄弟が帰っていった後…。
（ ＿＿
＞ . . . . . . . . . . '⌒丶、
-‐く. . . . . . . . . . . . . . . . . . .＼
/. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .＼
′. . . . . . . . . . . . . . .｜. . . . .ヽ . . . . . .
. . . . . . . . .| . . .|. . . ._｣L. . . . . . . . . . . . .
| . . . .| . . . 」L.／| . .´ ｜ ＼.`. .| . . . . . . .
|. . . . | .／ 八{ |. . .∧|≫=ミﾟ｡ .|. . . . . . . |
/. . . . . . . /,≫=ミ|人{ 〃んハ Ｖ. . . . . . . .| …済みましたか。
. / . . . . . . . {〃んハ ､_)ﾉ . . . . . . . . |
/ . . . . . . ＼{ ､_)ﾉ ., 〝i . . . . . . . . .|
. /. . . . . . . . . ∧〝 __ ｜. . . . . . . ./
厶イ . . . . . . / . . . く 丿 | . . .} . . . /
/. . . . . . . . . /⌒ . ／[|ﾉ)ノＶｌ人|
. |. . . . . . . .| / ┌―≧=‐- レ⌒)ｰ┬r ⌒ヽ
八. . . ノ}人|( ｛. ￣￣￣￣￣ / } | .
＼{ ／￣|｛＼ ／| } | |
′ . ￣￣￣￣￣｝ | } | |
| ＼＼ ｝ | }/ .
／￣＼
| |
＼＿／
l^ヽ /^l ／￣￣￣＼ ええ。
ヽ ｀_/ / .／ ＼ ／ .＼
r'ヽ ヽ ／ ⌒ ⌒ ＼ この一年、あいつらだけで
ゝ、 r'ヽi| （（__人__）） | 役目を果たしていけるかどうか、様子を見ておりましたが、
`ヽｰ､ノ ＼ ｀⌒´ ／ .どうやら、俺がいなくとも、大丈夫のようです。
ゝ / ヽ
251 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 01:58:22 ID:PeHb92kQ0
／￣＼
| |
＼＿／
＿＿
. ／´￣ ￣｀＼
.／ ､ , ヽ .…叔父上と違い、才乏しき俺には、
/ ::::＼::三:::／:::: ヽ ただ剣を振るのみしかできませなんだ。
./. < ● > :::::::: < ● > l
.| | だがせめて、俺は自分が受け継いだものだけは、
..ヽ （（＿_人＿）） . / しかと後代に遺すために力を尽くしました。
ヽ､ .｀ ー ' ／
／ :＼
. / :ヽ
､
_＿ ﾉ}
,. ´ ＞' ´￣￣ ｀ヽ、
／ , / ＼ ＼
. , ′ // / ∧ ＼ ＼ `ｰ- ､
/ l/ ,ｲ /' ﾚ' l ＼ ,/〉 ヽ
. / l／ }_/ | l ﾄ､ //l ☆ ﾊ
. ,′ / 二` ! l |__`く/ｌ ｌ☆ |
. !::. | ,ｨﾃ守ﾐ L八ﾉ ｀ }｣ﾉ::.: |
. |::.:. ::.:|' {i し'ﾘ ｨ行ﾄ、 /::.::. l ………。
. |::.::. ::.::l ゞｰ'′ {ﾄＪりi}/::.::.::. !
. |::.::.::.::.::.:,::.:/ 、 ' `ゞ'"/::.::.::.::.: ,′
. Nﾄ､::.::.:/V: ＼ ` ー /::.::.::.::.::.::.::.:/
. ＜V´ : : : ／`ﾄ､ _,.イl::.::.::.::.::.::.::.:/
. ｀＞=＜ｒ‐く. ｀下､´: : : .}|::.::.: /::.::／
/ : : : : ！ l ﾄ､`ー '´ }ｲ／}／
. /: : : : : : :.| |}下Ｔﾄi}｀Tヽ
252 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 01:59:38 ID:PeHb92kQ0
／￣＼
.| |
＼＿／
／￣￣￣＼
／ ＼三／ ＼ お爺様から受け継いだ新陰流の道統、
／ ⌒ ⌒ ＼ 父上から受け継いだ血筋。
| （（__人__）） |
＼ ｀⌒´ ／ どうにか、次に受け継がせることができました。
/,,― -ー ､ , -‐ ､
（ , -‐ '" ） 俺は…己の役目を果たせたものと信じます。
`;ー" ` ー-ー -ー'|
,. '´: : : : : : : : : : : : : : : : : : ｀ヽ、
／ ',: : : : : : : : : ＼
／ , i: : : : : : : : : : : ヽ
／ : : : : ;': : : : : }: : : : : : : : : : : : : ＼
, ′: : : : : : : : :,': ,';': :ﾉ: : : : ;':ﾊ:',: : : : : : : : : : : : : :.ヽ
/; : : : : : : : : : ;': /:ﾑ:/l: : : :./:.八:ヽ :',: : : : : : : : : : : ﾊヽ、
／:/:.:. : : : : : : : :ﾚ'ﾚ´ ﾘ｀{: : :///´｀ヾﾑ、: : : : : : : : : : : ﾊ ) …きっとそうでしょう。
' //:.:.:. : : : : : : :/ ,.-ｨﾊヽヽ' ´ ''二ﾊ 、',: : : : : : : : : : : :}
l {:.:.:.:.: : : : : : ∧. 匕ｿ 匕ソ } ∧: : : : : : : : : ∨ あなたは、成し遂げたのですよ。
! |:.:.:.:,':.: : : :.:.ﾊ l ''￣｀ ´￣ﾞ ﾚ'';.:.:. : : : : :ﾘ: iﾘ 如雲斎殿。
∨:.:{、:.:.:.:.:.{:.:.:i'、 、, / ﾘﾙ:.:.: :.: :.ﾉﾚ ′
ヽヾヽ:.:.:.:.ヾx{.ﾍ ー － / }:.y:.:i:／ ′
冫'ヾ'' ;{. ﾞ' ＼ ／ レﾚ'´
i´ ヽ｀ ＞、 _ イ ﾉ ヽ
| ヽ、 ｀''-''´ ／ |
253 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 02:00:00 ID:PeHb92kQ0
::::::::::: ::::::::::: ::::::::::: ::::::::::: ::::::::::: ::::::::::: ::::::::::: ::::::::::: ::::::::::: ::::::::::: :::::::::::
::::::::::: ::::::::::: ::::::::::: ::::::::::: ::::::::::: ::::::::::: ::::::::::: ::::::::::: ::::::::::: ::::::::::: :::::::::::
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::::::::::: ::::::::::: ::::::::::: ::::::::::: ::::::::::: ::::::::::: ::::::::::: ::::::::::: ::::::::::: :::::::::::
＿＿＿_ .. ＿＿＿_ ...
／ ＼ .. ／ ～～ ＼ . ／￣￣￣￣￣￣￣＼
／ ⌒ 三 ⌒. ＼ ／ ⌒ 三 ⌒. ＼ ./ . ヽ
／ .(（⌒） （⌒）) ＼ ／ （⌒） （⌒）. ＼ .l:::: ::::|
| ((（__人__）)) .| ..... .| ./ ´ ヽ .| ......|::::: （⌒） （⌒） :::::|
＼ ／ ＼ | ￣｀ | ／ |:::::::: ＼＿＿_／ :::::::|
/ ヽ .. .／ ＼ ヽ:::::::::.. ＼／ :::::::ノ
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::::::::::: ::::::::::: ::::::::::: ::::::::::: ::::::::::: ::::::::::: ::::::::::: ::::::::::: ::::::::::: :::::::::::
／￣＼
| |
＼＿／
＿＿
. ／´￣::::::::::::: ￣｀＼
.／ ::::::::::::::::::::::::::::::::: ヽ
/ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ヽ (お爺様、父上、兄上…。
./ :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: .l 俺は、俺の力及ぶ限り、やりました…。
.| :::::::::::::::::::::::::::::::::::: |
..ヽ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::: / じきに、そちらへ参ります）
ヽ､ ::::::::::::::::::::::::::::::::: ／
／ ::::::::::::::::::::::::::::: ＼
. / :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ヽ
254 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 02:00:34 ID:PeHb92kQ0
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┌───┐
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│ :: │
└─┘
┌┐
└┘
□
・
255 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 02:00:51 ID:PeHb92kQ0
,・､,､、
(;';';';':::)
_,＿,＿,＿,＿,＿,＿,＿,＿,＿,＿_,､,､,､,､ﾉﾉ＿,＿,＿,＿,＿,＿,＿,＿,＿,＿,＿,＿,＿,＿,＿,＿,＿
./_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_(;';';';'::::）,/､/,､/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
8 ,､,ヽ;（;';';';';::::）,、
';';';';;' ／|＼ （;';';';';::::）(;';';';':::)
';';';';ﾙ,';';. ~ＩＯＩ~ ,､,､,､,、ヽ;y'/,、
,!ﾘ:';';';';;';';';' ／＾|＾＼ （;';';';';::::）;';';';';::::）
;).).,!ﾚ/''''´ ~^ｌ００l^~ ｀ヾ;､ノノ （;';';';';::::）
(く//´. ／＾|＾＼ /⌒ヽ, ｀ヽ;｀ヽ､ _ﾉﾉ
ヽ,〈 ;';;';'; ~^ｌ００l^~,;'´￣｀ヽ ｉ´^ヽ, ｀ヽ、＾i´,;';';';';';';';､
;';;!.l';'''',;';';';､ ／＾|＾＼ ,;';';';. /⌒＼ ｨ ﾉ ,;';';';';';';';';';';';';､
'''| |''' ｀'''''´ '~^ｌ００l^~,;';';';';ﾉ ） l',､,;'´,:';;';';';';';';';';';';';';';';､;;:^~^~^~^~^゛';;,,,,;;'"~^~^~^~゛';;,,,,;
;';';';';';);;;;;､ (;';';';');;;;) ;';';';';';' (;';';';;');';';';';) ;';';';';';';';';';';';';';';';';';';,;; ;;;::;:;:;:;:;: ;;;::;:;:;
;';';';';';';';';';'） ｀'''ﾞ''''ﾞ''''''ﾞ''ﾞ''''''''ﾞ'''ﾞ'';:;;ﾞ,,,,,,....,,,,:;:;:;:;:.,,,,,,iｲ;;::,,,..........,,,,,,:;:;:;
／￣＼
| |
＼＿／
／￣￣￣ ＼
／ .＼三／ .＼
／ ⌒ ⌒ ＼ うむ…今日、供える花は、これにしようか。
|. (（__人__）) |
＼ ｀⌒´ ／
/ヽ､--ー､＿＿,-‐´ ＼
その後の如雲斎は、柳庵にて穏やかな日々を過ごした。
花を愛し、仏前に花を供えることを日課としていたといい、
『春は花、夏は泉に、秋は月、冬の雪をば、友とこそすれ』と詠じて、四友居士とも称したという。
256 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 02:01:13 ID:PeHb92kQ0
そして、翌・慶安三年(1650)の正月十六日…。
／￣＼
| |
＼＿／
＿＿＿__
／ ＼
/ .＼ ………。
l .|
（ |
＼ 〃_／
>'⌒￣￣､,＼
/ ＼
/ ｨ ,ﾉ'ヾ ヽ
（ / ）, l
） ﾉ _,/ ､,, |
/⌒￣￣￣ |
l ､_ ,ﾉ ,/
|￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣|
. └┬:‐┬───┬‐────┘
ノ ,‐‐,) 丿,‐‐,)
(,∠／ (,∠／
257 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 02:01:34 ID:PeHb92kQ0
／￣＼
| |
＼＿／
＿＿＿_
／ －三－＼ 権右衛門ややなぎは、
／ <●>::<●>＼ 今頃どうしておるだろうか…。
／ (（__人__）). ＼
| ｀⌒´ | まあ、達者でやっておるなら、
＼ ／ それでよいのだが…おっ？
／ ＼
如雲斎の弟にして伊達家に仕えた権右衛門は、
享年は不明であるが、その家は伊達家に仕え続けた。
妹・やなぎ(仮名)は、江戸柳生家で家老を勤める柳生主馬に嫁ぎ、
一男一女を得て、万治二年(1659)五月十六日に亡くなったという。
258 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 02:02:13 ID:PeHb92kQ0
:.:.:::.:::.:::.::.::(
:. :::::.:::.::.::ヽ
::. ::::::::::::::`'''‐‐--''''つ
:::. ::::::::::.:::.:::.::(´
::::. ::::::::::::::::ヽ､＿＿-‐ ､
::::::. ::::::::::::::::::::::::.:::.:::.ﾉ
:::::::. :::::::::::::::.::.::.:（ ,.--´⌒ヽ、
::::::::. ::::::::::::::::::.:｀￣: : : ｀ー――
:::::::::. :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ...........................................
::::::::::. . ::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::.. :::.. :::::::::::::::::::::::::::: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::.. :::::::.. ::::::::::::::::::: ::::::::::::::: :::::::::::::::
:::::::::::::::.. :::::::::.. ::::::::::::: ::::::::::::::: 今、雲の切れ間から、差した日は、 :::::::::::::::
:::::::::::::::::.. :::::::::::.. ::::::::: ::::::::::::::: まるで太刀筋のようであったな… 。 ..:::::::::::::::
::::::::::::::::::::.. ::::::::::::.. _ _＿ r'´_::::::::::::::: :::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::.. :::::::::::::.. ｀ヽ、｀＼ ｨ'´''"´ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
r⌒ヽ ＿ , ⌒ヽ:::::::::::::::.. ｀ｰ､ ヽ,＿ ' ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
. ｀丶''′ / :::::::::::::::::.. ,> └―‐‐ ､ ...................................
（ :::::::::::::::::::.... '‐、 「´￣"''ｰ､ ＼
`‐' ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.. ｀′ ｀゛｀
丿:::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::..
ヽ___ノ´￣￣｀ｰ､
）:::..
/:::::.:.::..
（_::::..:.:.:.::..
:.:.:.:.:.:..:.. :.:.:.:.:.:.::..
: : : : :::.. :::: : : : :..
259 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 02:02:41 ID:PeHb92kQ0
／￣＼
| |
＼＿／
／￣￣￣ ＼
／ ＼
／ ::::_ノ三ヽ_::::: ＼ …まったく、俺という奴は、
| ⌒:::::::::: ⌒ .| 結局、どこまでも剣ばかりなのだなあ…。
＼ (（__人__）) ／
ノ ｀⌒´ ＼
260 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 02:03:01 ID:PeHb92kQ0
＼ ＼ ヽ.＼
＼ ＼ ヽ.＼ ..:､
＼ 丶／. . ＼ . .:／"
. ＼／:. : : . . ／／"
＼:.:.:. : :／／".:.＼
丶／／:. :／=ニ丶... _
／／: _／ィ三>''´ ￣ ＜
／／,ィ'´ ﾍ,)ィ'´) _,.....､ '": . ｀丶
ゞ" 人... _.ィゝ-=-＜´￣ヾ::＼: : . . 丶 、
｀{´ :. ﾞ彡"＜´ ｀): : . . 丶、
∧.._..＞=''"´ :. ＞'ヾ:.､:__: : : . . ＜
∧ :＞ ''´ ゞ,.ｲ丶 ｀｀ ﾞ ヾ ＜
`ｰく´ _:.ィ"/三ﾆ＼ } ＜
丶__=<三壬ィ'´7ﾆﾆ＼,' :. ＜
￣＼ﾆ/_イﾆﾆｨﾆﾆヾ‐ 、
＼三/ _/三三＼ ` <
＼三７´ /三ﾆ＼＞‐ ､
＼'≦ﾆ7'´ /=ﾆ＼! ＼､
＼７-‐ｲ＞イ三>ー‐｀＝!､
...................................＼ﾆ７ _/ﾆ/ V::_ノ.､ ＞
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ´.: {ﾞ: ＞
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: '^Ｖ. {、
::::::::::::::: :::::::::::::::_､/ﾞ 〉､
::::::::::::::: だが…逆に言えば、 :::::::::::::::/´ 〉
::::::::::::::: 剣だけはずっと俺の手の中にあった…。 :::::::::::::::／
::::::::::::::: :::::::::::::::
::::::::::::::: :::::::::::::::: : .'
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ､ｰ.､:}
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: . '. : . :丶.ﾞ〈
................................... ∧ ｀ : . . . ヽ丶
ﾞ 、 ゛ ＼
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261 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 02:03:25 ID:PeHb92kQ0
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262 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 02:03:43 ID:PeHb92kQ0
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＿ﾉ￣￣ l / ＼ ＼⌒ｈ 巳}'⌒／ / ___| / l／￣￣￣ ::::::::::::::: これは…？ :::::::::::::::
| ' { ＼ ＼l |,匚)／ ／} く_,ノ__／ |＼ ::::::::::::::: .七郎が剣を振る姿が見える…。 :::::::::::::::
. ／￣￣￣￣| ∨ ＼ ＼／ ／ﾉ / ヽノ / l ∧ ::::::::::::::: いや、それよりあの太刀は…？ :::::::::::::::
／ ∨ ＿∨ ｢卩卩｢ /＿ { / │ ∧＿_ ::::::::::::::: :::::::::::::::
. ∨ 》￣ ∨,ノ[世世]＼/￣ 《 | / | ∧ ＼＿＿＿_ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
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263 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 02:04:06 ID:PeHb92kQ0
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／￣￣￣ ＼ ,-┴-､ / ::::::::::::::: :::::::::::::::
／ ::::::::::::::::::::＼ r( ｎ/ ◯ ::::::::::::::: …知らぬ顔ばかりだが、 :::::::::::::::
／ ::::::::::::::::::::::::::: ＼ > ,/ . ,-┴-､ / ::::::::::::::: これは、我が新陰流ではないか…。 :::::::::::::::
| ::::::::::::::::::::::::::::::::: | .しー､_) r( )/ ::::::::::::::: いや…今のは見たことのない太刀だぞ… ::::::::::::::
＼、 ::::::::::::::::::::::: ,／ `/ <_ ::::::::::::::: :::::::::::::::
/ ． ． ,＼ し -一┘◯ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
しｲ ﾄ ､ﾉ ,-┴-､ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
// | / .( ´・ω) /
.// ＼ Y ,／ ◯ / っっ/
./ `ー'￣ ,-┴-､ └ー-､ぅ
◯ .r､´・ω・))＿＿
,-┴-､ > _/´
◯.ｎ__ｎ (´・ω・｀) / .し-一┘
,-┴-､ ﾉ c' っ/
c('・ω・｀)っ (_,'ー､_)
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264 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 02:04:32 ID:PeHb92kQ0
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__.....--､ _ -‐ ´ -一 丶、 ｀ヽ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
---‐' ´::::::::ﾑ-‐｀' ´ ､ ` .､ l ::::::::::::::: …また知らぬ太刀筋だが…。 :::::::::::::::
::::::::::::::::::::::/ ＼ l' ::::::::::::::: 紛れもなく、我が新陰流だな…。 :::::::::::::::
::::::::::::::::::::/ ､ ＼ﾉ ::::::::::::::: :::::::::::::::
:::::::::::::::::::l ＼, 1 ::::::::::::::: …随分、工夫したものだ…。 :::::::::::::::
:::::::::::::::::::l ‐-、 -‐丶__ 〉' ::::::::::::::: :::::::::::::::
::::::::::::::::::::',,...::'´:::::::::l｀ ‐-‐ 7 /､__ノ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
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::::::::::::::::::::::::丶::::::ノ / /
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265 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 02:04:55 ID:PeHb92kQ0
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｀''-､. ”ゞ､、 / / .／ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
｀''-､, ｀''-､、 ./ ./／´ / ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
￣￣ﾞﾞﾞ''''''''―-- ..,,,,,_, .｀'-､、 .｀''ｯ′ / .l ::::::::::::::: :::::::::::::::
｀ﾞﾞ''''ｰr‐''"ﾞ''-､. '/ ./ : / ::::::::::::::: .ははは…元気がいいな…。 :::::::::::::::
_,,.／ ﾞ''-..、 / ./ 廴/ ::::::::::::::: 随分と様子が変わっておるが… :::::::::::::::
ｰ'''''“''';;> .,..-￢''''i ｀''./ ,/ ､ ::::::::::::::: 我が新陰流なのは変わらぬな…。 :::::::::::::::
,／'"゛ . / ,i′ ./ ./ ｀''-..、 .,――::::::::::::::: :::::::::::::::
／ .／ 〃⌒¨/ / ｀''-､］ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
,,;;彡＿ / / / ｀'ｰ..、 ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
,..-″ ﾞ'ﾞ / ./ ｀''-､、 ｀''-..、
. ／ / / !｀'-､、 ｀''-..、
. ／ / /｀l, .! ｀''-､. .｀''ｰ..、
.／ ＿z--Ｙ / / ! 廴 ｀''-､、 ｀''-..、
/ . ,,／ / / ）＿ ∧ ﾞ''-､, .｀''
/ ／ . / ./ .ｌ ./ ＼ ｀''-､,
,/／ ./ ./ l/ ＼ ｀'-､,
,i!'゛ . / ./ ! .＼ ｀''-､
゛ ./ / ′ ヽ ｀'-､、
/ ./ y ヽ ｀'-､
/ ./ |.ｌ ヽ,
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266 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 02:05:14 ID:PeHb92kQ0
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267 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 02:05:54 ID:PeHb92kQ0
.........._
／´ ヽ
/０ .',
{o :}
': /
ヽ､_＿_,.,／ ＿,,,, ,,,,__
,／ ｀ .、
／ _ ＼
/ ｀＼三ヽ
/:::::: :::::::: :::::: 、
/:::::: : ─ .／ ヽ、 .（…今のは…幻であろうか？）
. ,':::::: 丶
..{:::::::::: : .| （…だが、あれがもし未来の我が家の…
..!:::::::::: : .(（ ﾉ 新陰流の姿であるならば…）
..'、:::::::::::::::: : ｀ｰ-‐
ヽ::::::::::::::::::::: : ﾉ
ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿ -‐'´
/ ＼
268 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 02:06:37 ID:PeHb92kQ0
／￣＼
.| |
＼＿／
|
／￣￣￣＼
／ ＼ ／ ＼ 我が家はこの先も剣を振るのだな。
／ ⌒ ⌒ ＼ なら──
| （__人__） |
＼ ｀⌒´ ／ 俺は、これでよかったのだ。
/,,― -ー ､ , -‐ ､
（ , -‐ '" ）
`;ー" ` ー-ー -ー'|
269 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 02:07:06 ID:PeHb92kQ0
'´ ⌒｀`ヽ、 _r'⌒(
ヽ ノ｀...:.:::::ヽ
::: ） ｒ‐‐‐--､ r' .: ｀ヽ
｀:::::::::::: ﾉ -‐''''''´ ヽ_. ).::.:. .:.:.:::::::::)
ヽ, ／ ｀`-､. く.:. .:.:.:::::: ⌒
--､ ,:´ ::::::::::::::. ...::::::::::::::::::: ヽ .:.:.:::::::.:. .:.:.::::::
｀ヽ､ l ｀:::: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: : ).:.:.....
..::: ヽ j ｀;:::::::::::::: _r'⌒ .:.:.:::::::::.
..:: ...::::::::.... ｝ !／ .............::::::::::: _r‐-､! .... .:.::::::::::...:.:
...::::: ::::::::::::::::::::::::::::::＜. ／ ......::::::::::::::::::::::: _ﾉ .:::..... .:.:.:.:. .:.:::::::.:.:..
.:´ ｀ :::::::::::::::::::::: ヽ. { .....:::::::::::::::::::.. _,.-‐'.:.:.::::::::::::::.. ... ..:.:.:::::::.:.:.:
｀;::::::::::::::::...........:｀ヽ_. ＞ｰ ::::::::::::::::::::_rヾ⌒Y´ .:.::::::::::::::... :.:.::::::
....... ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ::::.. __r' .:.::.:.:. .:.:.::::::.... .:. .:.:.:..... .:.:
／￣＼
.| |
＼＿／
／￣￣￣＼
／ .＼ あの雲の如く…。
／ . ＼ 絶え間なく変化し、流れ続ける。
| |
＼ ／ 転ずるが新陰流…我が兵法。
/, ヽ､
（ ）
`; '
l l
270 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 02:07:25 ID:PeHb92kQ0
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雲よ、流れよ。
どこまでも、どこまでも──
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271 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 02:07:50 ID:PeHb92kQ0
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／ ...::::::＼ 三三 .／::::::.. ＼
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| /./ ∧ ',.ヽ |
| .| ｛ / ヽ ｝ | |
| ゝヽ＿＿_／ ＿_ ＼＿＿_ﾉ.ﾉ |
| ヽ ´ ｀ ' |
＼ ／
＼ ／
この日、柳生如雲斎こと柳生兵庫助利厳は、その生涯に幕を閉じた。
享年72歳｡
戒名は春光院閑叟如雲居士。妙心寺塔頭燐祥院に葬られたという。
272 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 02:08:31 ID:PeHb92kQ0
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. : . . .
これが、この平成の現代まで続く尾張柳生家、
そして、その新陰流の礎となった男の物語である ──
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273 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 02:09:01 ID:PeHb92kQ0
､､,......,_．,.,,,... ,,,.;-;;¨`'ｰ‐-.,..
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【やる夫で学ぶ柳生一族 その70 「柳生兵庫助の死」】 完
274 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 02:09:40 ID:PeHb92kQ0
【その70、新規登場人物】
解説役70その１ .： 贄波生煮(めだかボックス)
275 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その70)[saga] 投稿日：2016/04/25(月) 02:17:28 ID:PeHb92kQ0
ようやく、「その70」も完結しました。
本日もこんな時間にお付き合いありがとうございます＆お疲れ様でした＞ALL
さて、とうとう今回で、兵庫助が亡くなりました。
尾張柳生家の祖であり、現代も続く尾張柳生系新陰流の礎となった人物でもあります。
最初の方にも書きましたが、「柳生一族の歴史」という視点で見ると、
石舟斎、宗矩と並び、決して外す事ができない人物と言えます。
宗矩に比すると、あまり武士としての働きは残っておらず、
兵法者としての面が目立つ人物ではありますが、
新たに家を立て、それを後代まで残るように手を打ち、
実際に現代まで家が残っている事を考えると、
案外、武士としてもそれなりに働けたのではないかという気もしま砂。
まあ、兵庫助というか、尾張柳生家に関する話は色々ありますけど、
その辺りは総括の方でまとめてやる予定です。
なんにせよ、これで一族史においてメインとなる三人が亡くなりましたが、
まだ次の世代の物語が残っている訳で、
次回は再び舞台を江戸に戻し、正式に柳生家当主となった十兵衛の物語となります。
よろしゅうですー。
さて、最後に「その71」の解説役についてをば。
【「その71」解説役投票結果】
２票 ： 呂布（恋）（恋姫無双）
１票 ： 三浦あずさ（アイドルマスター）、綾崎ハーマイオニー(ハヤテのごとく！)
という訳で、片方は恋姫無双版の呂布で確定として
もう片方は両方とも既出の人なので、どちらにしたものやら…。
また次までに決めておきまする。
それではではー。
227 名前：どこかの名無しさん[sage] 投稿日：2016/04/23(土) 15:07:54 ID:h3QuYCao0
オプ助が仕官したのが1615年で高田三之丞は当時40代、
で1648年で約33年で良くて73歳、悪ければ80代、
そして亡くなった1685年はそこからさらに35年で108さ・・・あ、あれ？！
228 名前：1[saga] 投稿日：2016/04/23(土) 21:43:31 ID:ruacgBgk0
>>227
これは実際、判断しづらいところがあって、
「正傳新陰流」だと、兵庫助に入門した頃は40前後とあるのですけど、
実のところ、三之丞の生年は不明なので、割とコメントに困るものがあるので砂。
まあ、仮に「実は兵庫助に弟子入りした時は十代」だったとしても、
80台後半になるので、いずれにせよ相当長生きしてるのは確かなのですが。
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コメント
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