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☆凛冒険者シリーズ二次創作　やる夫はあんまり冒険とかしないようです。６

ここの板の基本ルール(2013年9月改定)
1　本スレでの予想は禁止、雑談は基本避難所で
　　→内容が投下内容の本筋に沿わないもの、3行以上の長文等は禁止です
　　　安価付雑談は全て避難所でお願い致します。
2　補足説明はok
　　・そこから発展した議論と雑談は避難所でやること。
3　誤字、脱字に関する書き込みは推奨
　　→訂正元についての安価をつけて下さい
4　自治不要
　　→違反者はその都度☆凜(>>1)が対処するから自治レスは禁止

その他、雑談所で自重するように言われたもの
*共産主義、資本主義等の**主義関連、宗教関連
　その他加熱し易い話題は禁止。
　他スレの話題は常識の範囲内で許可。
みんな仲良くの原則に外れそうな話題はやめましょう。

作者さんより　「少しの気遣いでみんなが幸せになれるという事です。」

追記：考証、議論専用スレが出来ました。アドバイザーの皆様はそちらへどうぞ。

やる夫はあんまり冒険とかしないようです。１　２　３　４　５

414 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:00:42 ID:U58wBXLx0 [1/49]
それでは時間になりましたので投下を始めたいと思います。

415 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:01:02 ID:U58wBXLx0 [2/49]

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　原作：☆凛冒険者シリーズ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　やる夫はあんまり冒険とかしないようです。６

前回まで
１　 ttp://hosirin.sakura.ne.jp/test/read.cgi/bbs/1454131547/4391-
２　 ttp://hosirin.sakura.ne.jp/test/read.cgi/bbs/1454131547/4477-
３　 ttp://hosirin.sakura.ne.jp/test/read.cgi/bbs/1454131547/4725-
４　 ttp://hosirin.sakura.ne.jp/test/read.cgi/bbs/1454131547/4983-
４+　ttp://hosirin.sakura.ne.jp/test/read.cgi/bbs/1465903635/5-
５　 ttp://hosirin.sakura.ne.jp/test/read.cgi/bbs/1465903635/279-

416 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:01:54 ID:U58wBXLx0 [3/49]

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　　　　／　　,. '"´　　　　　｀' ､!⌒)-､＼ノ）
　　 ∠, '´　 '　i　　　　　　　　　|＿ノ　　〈
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　　　ﾉ　　　 l 　ﾊ　|　＼|__｀ﾄ､　ハ　　　　＼
　　く__ 　 l 　ﾊ _i_ ヽ!　　, 'T7ﾆ､Ｙ´　ゝ、　　 (⌒
　　　　｀ヽﾊ　 |´Tﾆ7、　　　弋__,ﾉ八　　l　　　　ヽ、
　　　　＜._,＼i 弋__.ﾉ　.　　　 ⊂⊃　　ﾉ　　　　　 l
　　　／　　）⊂⊃　　　　　　　　＜.　（　　　 , '´
　　 /　　＜　　ゝ、　　　´ 　　　ノ）　 iヽ.　/｀（
　　 l　　　　｀ゝ.,　　｀ﾞiｧr- 　､＜´ ﾄ､　/ヽ､（
　　ヽ. 　 , '´￣｀', ,.イ/L__／　　｀＞V　　　｀ヽ.
　　　　＼i　　 ;､_! ,<l　ﾑヽ.　　 /ﾞ,'´_｀ヽ、　　 ',
　　 ┌ヾ´|｀ﾞｧく., メ､_|（｀'´）ヽ.__,.イ　　｀ヽ ',　　 i
　 .／ヽ.,.┴-L,. ﾌ┐　　Ｙｧ ⌒'∨　　　゛|　　/
　 l　　 i　　　　｀ヽ.〉　　()! ＜()/　　　　　 i-‐'
　ヽ.,,__|　　　　〉　　 ! ゝ.／　　　　 ∧
　　　　 ',　　　　　i-lﾆ二l´￣　｀ヽ.　　 ,.ｲ　',
　　　　ﾊ.　　　 l__!＿,,.!　　　　　｀　∧|　　〉

資料室には、静かな時が流れている。

417 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:02:28 ID:U58wBXLx0 [4/49]

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }｀ヽ,, 　,,,,..... - ─- ､.,_　　　 r､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾌ｀ヽ ,ヽ　　 ,,,....,,,_ 　　｀' Xヽ/Ｖ}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾑ　ヽ　｀'"´　　　 (｀´) ∠　　i　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ;彡xxv　　　　　　　Y } Z　　 i　.i＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　|ｼtxvzi　} (
　　　　　　　　　　　　　　　　 ⌒ﾊ　　　　　　　　　　　　}　　　　　ゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　 ∠〈　　 |　人　 /}　ﾉ　r ´ ¨ ｀ヽ　　　＼　　　　　　　…………。
　　　　　　　　　　　　　　　　　〈　/,ﾍ:|　/__ )/　iｲ　人　　　　} i　　(⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ',/r‐‐{f┬-r､　　|__/ .fヾ､__　/ﾊ|　___フ
　　　　　　　　　　　　　　　　 ⌒〈　　　ヽ;;;:ﾉ　　ﾐ＝=/)　i::::/ f　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　／ `i:ヾ__　　}　　 _ 　 . / .{　Ｖ r'{ 人厂
　　　　　　　　　　　　　　__ {　　　',ﾊ_ヾﾃ/＞-｀--{　　` i__r.　V
　　　　　　　　　__,　´　　　｀ヽ　＿__/　＼,,.-'-､_}　　／
　　　　　　　　,´/　　　　　　　 }ﾄｰ一' 　? （<●>）　ｲ
　　　　　　／　{　　　　　..,イヾ､:::z‐-､ξ￣>─ｲ／
　　　　／　　　｀ヽ__..,イ´　　〉／　　　 Y　　　ｨ
　　　　 l　　　　／《 i　　　　} ′　　　　 }　　 /
　　 xZ　ヽ､__..ィ　　｀ヾ､ __ノ}　　　　　/∧　/
　 r'::::{　　　　　　　　／｀ヽ,∧　　　　//ィ}/
　 i::::::ﾄ､　　　　　..　'::::::::／/　｀ー--ｲ}ﾑ/
　｀ヽ::::｀ー一 ´::::::::::／　/　　　　　ﾑ{//
　　　ヽ.:::::::::::::...,,.. ' 　　/　　　　　/ーﾚ
　　　　　￣￣　　　　　 {　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　｀ヽ__ ／

こことは裏腹に、きっと寺子屋はてんてこまいなのであろう。

お披露目から三日経って一度様子を見に行った時は、現代の学校かと思うぐらいに子供の姿が多かった。

一週間経った今も、資料室には代理の職員さんが詰めっぱなしだった。

418 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:03:18 ID:U58wBXLx0 [5/49]

　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ィ¨¨ァ'´　　　　　　　　　　　　　|　　.l　.＼　　ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ　／　　　　　　　　　　　＿ _　/　 .ﾉ　　　ヽ､　l　　＿　　　＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　 /　　　　　,.ィ¨ヾ ¨¨ヽ. _＞≧＜=＜　　_＞z__ Ｖｚ≦...........　　　 .
　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾏム＞''' フ＝=､ l　　　ヾ　　ヽ.）　　ヾ<　ヽ. ) ｀ヽ､｀¨ー-､:::::...　.
　　　　　　　　　　　　　　 f¨´彡´ /　 (./　 /　j__ _ ,.,イ　　　ヾー-- イﾏ　ヾ=イ_ソ:::: 　.::::｀ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　イ.f¨ ﾌア　 _イ　 l　 .l l　 l　 .ﾏ　　　ヽ　　　 l　　 ', l ﾑ .ﾏ ::　:::.　::::::｀
　　　　　　　　　　　　 _ ＞'''ァz/　｀Ｔ´ .l　　i!　 l ﾏ .ヽ　.､ﾏ≠='''' ヽi　　　l　　 ',.l .ﾑ .i!　　 ::::::. 　.
　　　　　　　　　　／　　ノ　./　 i .l　　|　 i i!　.l. ヽ　ヾｲ´ヽヽ__　ヽ l .i 　 l　　 l. ｌ .ﾑ l　　　 :::::::::
　　　　　　　　｀ヽ／. 　 ,' i　l　l 　 .l ＞i!ﾍ¨i!　＼　ヽ._≧≧Ｚz=l　|　 .l . 　 |. l　.ヽl　　　 ::::::::
　　　　　　　　　　　　/ 　　 .′　l　 l　　ｉ!　ｌﾚヽ|_　　｀ー'　'弋z三ﾂ |/.l　/| i 　,l　.l 　 |　　　 ::rー
　　　　　　　　　　 /　　　 .|　l　.l　.i､.　.i!ヾ,ｨf示ﾊ　　　　　￣　　　 / /./'　 / l.　l　.l　　　）
　　　　　　　　　 /　　　　 ,-l　i!　ﾏヾz_.＞　ゞ≠'　 :　　　　　　　 //l./7　/ ﾊ　 i! j　　 _ ／
　　　　　　　　　 | _, ._　　j　ﾏl.ﾏ.ヽﾏj　.iﾑ　　　　　 :､　　　　　　　　 ///.ノ　　 l . ﾑ¨i´￣ヽ
　　　　　　　　　　 ´ 　｀¨¨´ 　ヾi＼ Vヽ .ｌ.ﾊ　　　　　　　　　　 ,.ｨ'' ¨＞ｨｧ　　　 l　　l　l　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　ｿヾ､ .ｌ　ﾊ　　　　　‐- ,.ィ'´　 .ｨ≦三i|　　　 i　　 l　 l　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　i　　i＼　　　 ,.ィ'´ 　 ,ｨ＜ﾆ二二i!　　　 l　　 i!l　.l　　　　.
rァー=-:､_　　　　　　　　　　　ノ　　　　j　　 i. i! 'ヽイ　　.,ｨ＜=ニ二三三|　　　 l　　 | 　ｌ　　 .
≦zx．_　　｀'''‐-．._　　　　／　　　　 /　　 i/.ィ´　 .,.ィ´三三三三三三i|　　　 l　　　l　　ｌ　　　.
.:ﾏ三三｀≧z．__　　｀ヽ､／/　　　　　/　 ,.イ　 .,.ィ'´三三三三三三三ﾆi!　　　 j　　 .j｀ヽ､ l　　 .
.　ヽ三三三三三≧ｚ．._　｀ヽ､　　　ノ. イ　,.ィ´三三三三三三三三三ﾆ|　　 ./　　 ./　　　｀ヽ､_
　　ヽ三三三三三三三≧zx．_｀ヽ,.イ　,.ｨ≦三三三三三三三三三三ﾆ」ｨ--<.　　 /　　　　　　　｀
　　　ヽ三三三三三三三三三l三≧zﾏ三三三三三三三三三三＞イ´　　　 l　ﾉ _,　-‐―､
　　　　.＞､三三三三三三三三ﾑ卞升ﾑ三三三三三三三三ﾆノ´　　 __　　　 l<¨´　　　　 /
　　　　l　　｀¨‐-､三三三三三三ﾑzzzzzﾑ三三三三三三三,イ　　／　　　　　　ﾉ　　　　　 l

うち2日はさらに代理の代理さんであった。

約束であった緑茶も渡したが、まだ阿求さんは存在も知らないだろうか。

いや、この場所への差し入れなので、まったく文句はないのだが。

419 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:04:24 ID:U58wBXLx0 [6/49]

　　　　　　　　　　ト、　 _,,.. ---　..,,_
　　　　　　　　　　/　'"´＿＿＿　　｀ヽ-‐ァ
　　　　　　　　_／　 ''"´ - ､　　｀7⌒-､　｀ヽ
　　　　　＜´ 　　　,　　!　　ヽ　　|＿__ノ、　ﾊ
　　　　　　/　　／ /　|　　　ﾊｰ-|- 、　　`' ト|､
　　　　 ∠、　 / 　 !-‐ﾍ.　 /ｰｒテ‐ｒ､　　 ./　!　＼
　　　　　　|. 　,'　　/|-‐イ∨ 　 !　rり八　　|　 |
　　　　　　', 　| 　,〈,ﾊ　rﾘ　 , 　｀"´ ,.,.ﾉ　　　八　　　 |　　　　　…………。
　　　　　　）　!／ヽ. ` ´　　　_　　＜.,__ノ　　　｀＞ ./
　　　　　＜.,_＿ノハ"　　　 ´ 　　　／ |　　 /!　/　 /.
　　　　　　　 /　, 　〈｀ヽ.､.,,＿_,,.. イ　八-＜/／ヽ, '
　　　　　　　 |／|　 ∧　∨ ,ｨﾄ､／|／　　／｀ヽ.／ |
　　　　　　　　　 ∨__,| 　'二Y´）⌒)　　/ｒ┘／＼./
　　　　　　　　　/　|　!　 -‐､}/､／＼　r┘/ 　　,ﾊ
　　　　　　　　 |　/　|　　ｒﾝ||/　 , '´￣｀ '　　　　 |
　　　　　　　　　∨ヽト-':::::! |　　| ＜O/　　　　ﾊ
　　　　　　　　　,'|　 | ＼::::::| |　　ヽ、 /　　　　　/ .|
　　　　　　　　 / !　＼/￣|/「￣￣｀"ヽ- 、　 ,'__ノ
　　　　　　　　 !　`　　　￣/_」　　　　　　　　/
　　　　　　　く|　　　　　 /__/｀　　　　　　　,ｲ

阿求さんは書き物7割の読み物3割だったが、こちらの職員さんはその逆といったところか。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿_____
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ ,. -―- ､., _,,__　ヽ　　ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　,. '´　　　　　　　　　　￣ヽ　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 ,. '´　　　　　　　　　　　　　　　　!.　　',
　　　　　　　　　　　　ノ￣iヽ、　　　　　　 !　　　　　　　　,'　　　 !｝
　　　　　　　　　　　ｲ　　　| /￣￣/＼　|＼　　　　　／　　　　 /〈
　　　　　　　　　　, ' ＼ ,　-ー―‐'、　　ヽ　`‐-‐‐''　　　　　 ./ヽﾍ
　　　　　　　　／　／:::::::::::::::::::::::｀ー―ﾉヽ　　　　　　　　／へ　　>
　　　　　　　　ヽ／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::(＿__"‐‐---‐ 1 -‐ -､ヽ
　　　　　　　　　∠::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶:::::::l:::::::::::::ヽヽj＼
　　　　　　　　　 /:::::::::::::::::/::::rr=､/i:::::::::::ﾊ:::::::::/|::::::!-く:::::::::::::ｨ--ヽ　>
　　　　　　　　　　ヽ､::::::::::/|::::i iﾉ ! |　/ァ=―r-r/:::::::::::::::,'::::::::::i_ r‐ '´
　　　　　　　　　　　 /＼ﾚ' ﾄ:::| '､ﾉ i./　　iﾉ　 | ﾉ:::::::::::::::::/:::::::::::i
　　　　　　　　　　　/::::::::::::ヽ:|､'''　　　　弋_ノ ::::::::::::::::::/:::::::::::::i
　　　　　　　　　　 /:::::::::::::::::',| ヽ　　、　 ''∠イ__＿／:::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　/::::::::::::::::::::::::::::＞　＿　＜:::::::::::::::::::::::::/:::::::::::i
　　　　　　　　　 /:::::> -　'　￣　　fﾆi　　/::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::::i
　　　　　　　　　/::z'　.ｧ'"￣　　／/ jl　/::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::i
　　　　　　　　　{< r /　　　　く　/　:ll/:::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::i
　　　　　　　 ,<､_　 .{　　　　　　ヾ､　/::::::::::::::::::::::::::::/ ＼::::::::::::i
　　　　　　　'､　　-=',　　　　　　　｀' |:::::::::::::::::::::::::::/　　 `､::::::::i
　　 r--､　　　ヽ‐-､＼　　　　　　　 |＼::::::::::::::::::／　　　　ヽ:::i
　　 l;;;;;ヽ､ヽ.　/　　　 ',｀ｰ-　＼　ﾊ<´lﾆl｀`> '　　　　　　　 `､:i
　　 i;128;ヽ､ヽ　　　　/　,,..-‐''" ,ヽ|:::::ハ~ハ|　rー､＿　　　　ﾊ
　　 l;;;;;;way;;ヽ､､__ , -´,.-‐''"´;;;;;;l ',:::＼|::V/_Y　　　 i `ｰ-‐ '　）
　　／）ﾎﾞﾑ;;;;;;;,,;--´;;;;;;;;;;△;;;;;;;;;;;;l　ﾚﾍｒﾍ/ /｀ヽ-'´＼_,-‐ヽノ
　/／);;;;;;ﾊﾞﾘｱ;;;,i:::::i;;;;;▽;;;;;;;∇;;;;;l ＿　　　ﾍ　　　　　　/:::::/
　| /｀);;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i:::::i;;;;;;;;;;;;EX;;;;;と´___ ｀ヽ'､　　　　　　/:::::/
/| /´!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i:::::i;;;;;△;;;;;;;;⊿r'､｀　　',i　＼　　　　/　V

さらにもう一人の方は完全に読む専だった気がする。

むしろ挨拶しても頷いたか頷いてないかという程度の反応だった。本当に職員なのか疑問ですらある。

420 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:05:14 ID:U58wBXLx0 [7/49]

　　　　　　　　　　　　　　　,.　-―…―,=､　__
　　　　　　　　　 -=ﾆ¨￣￣￣￣￣弋 `′ヽ､
　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　＞-<　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　ヽ
　　　　 /　　i　　　　ヽ　　　　　ﾄ､　　　　　　＼
..　　　　/　　 |　　　　　　＼＿＿|_‘.＿　　　　　ヽ
.　　　　′　　 |　　_ 　　　ﾊ　　:|　ヽ｀ヽ　 |:　　 |l ＼ﾊ
　　　　| i　　.从／　ﾄ､　　　|l　ヽ : |-- ‘. 　　ﾄ　　 |l　/ ヽ
　　　　| i　　 /| ＼ .|　＼　 |l　 rf竓斧ミメ　　 |　i　 |l　　　|＼
　　　　| ‘,　　 | 　斗ｪ　＼!　´ 　.rう_)ﾊΥヽ .|　|　/:　　　|　ヽ　　　　　　　……彼女から、刀を渡されたそうですね。
　　　　| 　ヽ　∧〃うﾊ　　　　　 V辷ソ　　}/　.ﾚ'　　i　　|　　 i}
　　　乂　＼} ヾ　Vﾘ　　　　　　 .....:::::::::::/ 　　　 /　　|　　 {}
　　　　　ヽ　　:ﾊ　.......　 ′　　　　::::::::::::::::/　　　　 /　　　{ 　　 {}
　　　　　　 f^ヽ:::} :::::::::　　　　　　　　／　／　 /　从.　i　　　 {}
　　　　　　 |从}:::ヽ　　　　ヽ二⊃　　　７／　　./:::://:∧ !
　　　　　　ﾉ　ヽ: : ::＞　　　　　　　ィ / 1　　.／::::/ }/　弋!
　　　　／　　 }/＼::::::::::::≧=- r'　　　ﾚ' |　イヽ^i/
　　　　　　　　　　　｀ｰ-≧=-_ |　　　　／　　.＞x　　＿＿
　　　　　　　　　　　　＿　-=ﾆ /|　　　／　　　　　rｧ　＿＿/^i
　　　　　　　　　　　/　／　　〃　　／　　　　　　〃　 /⌒´｀ヾ
　　　　　　　　「　 f7　　 {{　／　　　　　　　〃.rﾍ/
　　　　　　　　　く　　rｧ　　　 Ⅳ　　　　　　　rｧ　　{　　　　　　 i

　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　／　　　　＼　　　
　　　　　　　　　　／　─　　 ─　＼　　　　　あー……はい。ありますお。
　　　　　　　　／　（●）　（●）　＼　　　　
　　　　　　 |　　　（__人__）　　　 |　　　　
　　　　　　　　＼　　　｀⌒´ 　　　,／　　　　
　　　　　　　　／　　　　ー‐　　　　＼　　　　

ページをめくる手を止めて、思考の赴くままに徒然と頭の中で言葉を遊ばせていると、唐突に聞かれて、無意識に服の上から懐に触れてしまった。

乙女か。

421 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:05:55 ID:U58wBXLx0 [8/49]

　　　　　　　　　　　_,　-‐_ _ _ _ _ _ _ _ 　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　／:_::_::_::_::_::_::_::_::_::,,:::::.`..､,　､　＼
　　　　　　　　　　　　ｨ "　　　　　　　　　　　｀" ､i///ヽ-‐､＼
　　　　　　　　　　／　　　　 ,′　　　　　　　　ﾔ//////〉.∧
　　　　　　　 ,′　　　　/ i　　　　　,　　　　　　ﾏ///／　 ∧
　　　　　　　　 /　　　　 .,′{.　　　　 i　　　　ヽ　 Y ﾞヾ:ヽ　　∧
　　　　　　 {.　　　　 !　　i.　　　　　!∨　　　　 i,　　　∨　　 i
　　　　　　j 　　　　 ┼--.∨ 　　 ./! ∨　　　 i　 |　　/　　　l　　　　　……少しだけ、見せていただいてもよろしいですか？
　　　　　　　　|.　　　　 x;;;､.　∨　　.卞i　＼　　　　 i　　i 　　　|
　　　　　　　　|/{　　　《斥个､ ∨＼ .!　 `ー---　　,′　|　　　 ,′
.　　　　　　　　　Ⅷ　　 Y {ｒ'　}　　　　`.ィ示ミｭ､.＼ /　　 ,′　　 ,′
.　　　　　　　　　ﾉ丿　 i　ﾞｰ"　　　　　　ri　　 }　 /　　 /　　　　′
　　　　　　　　　" Ⅳﾉ　{　　　　, 　　　 `ー ′/　　 ,′　　 / i
　　　　　　　　　彡分.、　　　　　　　　　　∠.　　　!　　／　 |
　　　　　　　　　ｊ!八丶　　`　　　　　〈/ ,i 　 |　 .,′' ヾ.ゝ
　　　　　　　　　　　　'　　)　ﾉ ≧　　≦ 　　　 / , .| 　 |　/ヽ′
　　　　　　　　　　　　　　'"　从人／　i 　　 ./, ′ゞ、∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 ,′　　 '　　　　丶

　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　／　　 ─　　 ― ヽ　　　　　……うーん。ちょっとそれは。
　　　　　　／　　（ ●）　（ ●）'　　　　
　　　　　　|　　　　（__人__）　　|　　　　
　　　　　　＼　　　　｀ ⌒´ 　,／
　　　　　　／　　　　　　ー‐　　ヽ　　　　

見せびらかすものでもないだろうし、こういうのは秘めておくのがいいのだ。

うむ。乙女というよりは、男のロマンに近づいた。そんな気がする。

422 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:06:24 ID:U58wBXLx0 [9/49]

自分の思考に内心だけで苦笑いしていると、

　　　　　　　　　　　　　　　,.　-―…―,=､　__
　　　　　　　　　 -=ﾆ¨￣￣￣￣￣弋 `′ヽ､
　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　＞-<　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　ヽ
　　　　 /　　i　　　　ヽ　　　　　ﾄ､　　　　　　＼
..　　　　/　　 |　　　　　　＼＿＿|_‘.＿　　　　　ヽ
.　　　　′　　 |　　_ 　　　ﾊ　　:|　ヽ｀ヽ　 |:　　 |l ＼ﾊ
　　　　| i　　.从／　ﾄ､　　　|l　ヽ : |-- ‘. 　　ﾄ　　 |l　/ ヽ
　　　　| i　　 /| ＼ .|　＼　 |l　 rf竓斧ミメ　　 |　i　 |l　　　|＼
　　　　| ‘,　　 | 　斗ｪ　＼!　´ 　.rう_)ﾊΥヽ .|　|　/:　　　|　ヽ　　　　　　……はあ。まったく、貧乏くじだこと。
　　　　| 　ヽ　∧〃うﾊ　　　　　 V辷ソ　　}/　.ﾚ'　　i　　|　　 i}
　　　乂　＼} ヾ　Vﾘ　　　　　　 .....:::::::::::/ 　　　 /　　|　　 {}
　　　　　ヽ　　:ﾊ　.......　 ′　　　　::::::::::::::::/　　　　 /　　　{ 　　 {}
　　　　　　 f^ヽ:::} :::::::::　　　　　　　　／　／　 /　从.　i　　　 {}
　　　　　　 |从}:::ヽ　　　　ヽ二⊃　　　７／　　./:::://:∧ !
　　　　　　ﾉ　ヽ: : ::＞　　　　　　　ィ / 1　　.／::::/ }/　弋!
　　　　／　　 }/＼::::::::::::≧=- r'　　　ﾚ' |　イヽ^i/
　　　　　　　　　　　｀ｰ-≧=-_ |　　　　／　　.＞x　　＿＿
　　　　　　　　　　　　＿　-=ﾆ /|　　　／　　　　　rｧ　＿＿/^i
　　　　　　　　　　　/　／　　〃　　／　　　　　　〃　 /⌒´｀ヾ
　　　　　　　　「　 f7　　 {{　／　　　　　　　〃.rﾍ/
　　　　　　　　　く　　rｧ　　　 Ⅳ　　　　　　　rｧ　　{　　　　　　 i

なんかあからさまに溜め息を付かれてしまった。

なんだろう……。

423 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:06:54 ID:U58wBXLx0 [10/49]

　　　　　　　　　　　　　　　／　仁三ニラミニ三三㍉　　　＼
　　　　　　　　　　　　　／　仁ﾂ''"　　　　　　　｀マ三ミ㍉　　＼
　　　　　　　　　　　　／　ク　　　　　　　　　　　　　　ﾏ⌒''⌒/　ヽ
　　　　　　　　　　　/　／　　　　　　　　　　　　　　　　＼_／＼＼',
　　　　　　　　　　 ,' ／　 i　　　　　　　　　　　　 ',　　　ﾗﾐ　＼＼
　　　　　　　　　／　　 .il　　　　i　　　　　　　　',　　 ',　　　マ　　　＼＼
　　　　　　　　／／　／{　　　　l 　　　　 i　　　',. 　 ',　　　ﾍ　　　l　ヽヾ
　　　　　　　/ ／ /　／ .ｌ　　　　 lヽ　　　　lヾ　　 ',　　.i　　　　',　　 .l　　ﾏ`i
　　　　　　　　　 /／l　　l　　 ∧　l ヽ　　　 l　ヽ　　', 　 l　　. 　 l　　 l　　 }　l
　　　　　　　　　/　l　l　　',　 ,'＿', l＿ ',　　 .l＿ヽ　ヾ,　i　　i 　l　　 i　　.}　l　　　　　悪いようにはしませんから。
　　　　　　　　/　 .l　l　　ﾜ {　　ヽi　　ヾ　　l　　　ヽ￣ﾍ.　　　 l　　 l　　/ /
　　　　　　　　i ／.ｌ　{　　ヽヽ{''ﾗ＝ミ　ヽ/ヽｨ-==≠ラ }　ｲｸ　.l　　 l ／／
　　　　　　　　 l!　　l　 }　丶ゝ＼ゝﾝ　　　　　　　ヾﾝ　l　.ｱ　　l　　 l ／
　　　　　　　　　 l /'l　　＼　　::;;:::::_____ , _　　　:::::::　 l　　イ　　 /
　　　　　　　　 i/　l　ﾍｨ "ニニニﾆ／/^ゝ　　　／　／　　　／
　　　　　　　　　　　　　ｨ仁ニニニニ　/ ./ .//'ゝ＜l　 /　　　／＼
　　　　　　ｨｯ＝ニ／ニニニニニﾆ,' .μ //./i ゝl　l　　　／　　　ﾍ
　　　　　 //　　　／ニニニニニ ;´/　　　　ムゝニゝllV---イ￣＼
　　　　　(〈　　　 /ニニニニニニ i '　　　　　　/ ', ニゝ　　/　　　　ヽ
　　　　　ヽヽ　　/ニニニニニニﾆ!　　　　 /ニニニﾆゝ　/ 　　　　　 l
　　　　　　ヽヽ　lニニニニニニﾆ, '　　　　　, 'ニニニニﾆ'ｙ　　　　　　.l
　　　　　　　ヾヾ,lニニニニニ／＾マ - .　 '"ニニニニニニi　　　　　　l

じっ、とまっすぐ目を見つめられた。

何だか心の奥まで見透かされそうな薄紫の瞳に、痛くもない腹を探られているような気分になる。

424 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:07:52 ID:U58wBXLx0 [11/49]

　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　／　　　　＼　　　
　　　　　　　　　　／　─　　 ─　＼　　　　　……わかりましたお。ちょっとだけですお。
　　　　　　　　／　（●）　（●）　＼　　　　
　　　　　　 |　　　（__人__）　　　 |　　　　
　　　　　　　　＼　　　｀⌒´ 　　　,／　　　　
　　　　　　　　／　　　　ー‐　　　　＼　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｨ-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　_,, - (｀ｰ=＝''''''` ‐-
　　　　　　　　　　　　　　 ,.ｨ:'ﾞ:.:.:.:.:.:.:／｀ﾞ`'''ｰ=-､:.:.:.:.:｀7-､
　　　　　　　　､＿_,,,,.ｨ':´:.:.／:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀ヾz/　└-､
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　　　　　　　　　　〃:.:.:/:.:/:.:.:.:/:li:.:.:.:.:.:.:.:l:.l:.:.:.:.:.:';:.:.:.:.:`ｰ-ri'":.:.:.`ｰ-ﾉ
　　　　　　　(､__,/:,:.:.:./:.:j:.‐''´i`:ﾄ-:.:.:.:.:._⊥L､,:.:.:.ヽ:.:.:.:.:.:.:.ﾏi:.:.ヽ:.:.i´
　　　　　 `ｰ'7ﾞ:.:.:.:!:.:.:l:.:.:.:/l:.:l l:.:.:.:.:.:.:ハlヽ:.`:ｰ:.､:.:.:.:.:.:.:.! !:.:.:i:.:.:.l
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　　　　　　　　ヾ;.|:.:.!:jヾ:､|　|　(i`　ﾚ'ｧ＝r=ｭ､,,,_V/l:.:.:.:.:.:.l l:.l:l:/:.:.!　`ｰ　　　　　はい。
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　　　　　　　〃Y .l .lil 　/　≧il_ｨZﾞ/ ／／ ´　 =＝　ヽヾ,ヽ
　　　　　　　/r| .l　! .l~'iil〃／　￣｀く l/ ／　　　　　 llﾏﾊ
　　　　　 // l　! .|　', ヾﾑz‐-..､　　　ヾi　　　　　　　　　 }l l .l
　　　　 / l　l　l　'　.ﾞ　ll (::::::::::::ヽ　　 l　　　　　　　　　 iノ./

そんな視線に根負けして、懐剣を取り出し、渡した。

425 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:08:49 ID:U58wBXLx0 [12/49]

　　　　　　　　　　 r ー┐
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　　　｛　｛　　　　 /　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼＿＼＿＿＿
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　　　　　　　　　　　レ:::::／::::::／::::/.::::::::::::::::::::::::::::::.::::ヽ::::|　　' ￣)::.
　　　　　　　　　　　／.:::::/::::::／:::::::/.::::::::::::::::::::::::::::::::::}:::::::';::`ー f=｢:::::::.
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　　　　　　　　＼__,ノ::::::::{::::{:::::::::::::人:::::::::::::::}:::::::/:::::::/ }:::/｝:/＼:::::::`ーf―一 '゛　　　　＼＼
　　　　　　　　　　　/::::::{::::::レ)／)／　　＼::::::/:::::/::::／　レ　ﾚﾞ　 }::::::::/八=====ミ､　　　　 '　:,
　　　　　　　　　 {::::::::{:::::::::::i‐r┬――┬)ノ)／)／ ┬──┬┬；:::::/::::::::＼　 __}|____　　　}　}
　　　　　　　　　＼__,ゝ:{:::｛！､..........ノ　　／ﾞ　　､..........ノ / /レ':::::::＼／　　　　　　＼/　'
　　　　　　　　　　 __,ノ:::::::八::::.　` ー-　　　　　　　　　` ー-　／:::/::::/:::::/　　__,_,_,_,_,_,_ 　 ∨
　　　　　　　　　　　｀フ:::´::::::＼:＼　　　　　　 _　　　　　　／::::／::::/:::::/_r f{¨::........::::::¨}ト､　,
　　　　　　　　　　　⌒>.:::/::::::::::ﾏ⌒　　　　 └'　　　　 /::::::´:::::::ノ::::::,′ヽ `　ｰ--‐　'/　ﾉ！

そっと受け取った代理職員さんは、くるくるとそれを回し見て、鯉口を切ろうと力を込めてみるような仕草をした後、

　　　　　　　　　　　　　　　　・ ¨¨￣¨ ヽ，＿
　　　　　　　　　， ´　　　　＿＿_ﾐ:::::::::::::::..
　　　　　　　　／　 ,　　　。''ﾏVﾟﾟﾟﾟﾟ`¨ヾ:::::_::::＼
　　　　　　　　ｰ彡 ´／' 　｡ °./ :ﾊ　 i:　＼::{└┐:ヽ
　　　　　　　　　ｰ=彡.{:　｡°.:// :::| }　:|:　　└‐┘:::::::.
　　　　　　　　　 / /ﾊ＼l{ ｲ:/|ﾊ_::::!/　八　　|::::::::::::::r::::|
　　　　　　　　 / / l { | jl| l!℡z廴j| .:/_/_/::.::::::::::::ヽ| ｀
　　　　　ｰ=彡'　ﾊ! ヽ { |:弌ンヾﾚ゜ ' ﾚレ:::::::::::::::∧
　　　　　　　　　丿イ人　ﾄ､|:　￣　　　`ｰ=::::::::::::::::/　‘，　　　　　　　……なるほど。
　　　　　　　 ,　-‐ ＜V ヾ　　　 ′ /／/:::::::/　　 ‘，
　　　　　　　　｡゜　　　　　ヽ　丶　￣　イ:(::::从乂{　　　　’，
　　　　　　 |　　　　　　　l`ｰz{｀ﾆ升(_/ノ｀ヾ　　　　　 ‘，
　　　　　／|　　　　　ﾊ: {⌒´.}: ＼:ヽ　l}　　　　　　　　 ‘，
　　　　／　 |　　　　　/　::::V＼_/＼　ゝ_V　　　　　　　　 ‘，
..　　／　　 |　　　／　 .::::::’;::: ＼?¨/､＿ヽ　　　　　　　　 }
　　／　　　 | 　／　　..::::::::::::`ー‐＼ヽ `ﾟ'.ノヽ　　　　　　　 /　　　　__
..／.　　　　　_j ／　／:::::::::::::::‘，　　 Ⅵ丁｀＼＼　　　　　／　 _,　 ´ 　｀ .
'　　　　　　　}´ 　／´￣￣｀:::::::::l: 　　 lﾊヽ　}ﾉ　｀¨¨¨¨¨´。≦_j　 ..　　　　,＿＿＿
　　　　　 /　　 ′ー―....　＼:::'; 　　 lﾐ} l}　ヽ　　　｡イﾆﾆr┘　 .::.　　　　}＿斗 'l
　　　　　 ,′　　 '　　　: ::::＼: :::';.　　ハ l}　/{　。 °厂ﾆ/.　　 ,′　　　 ,::/::::ノ /ヽ＝ミ、
　　　　　　,　　　　 -=ﾆ二三ヾ:::::::::.　{?}/ ,。 ℃=ミ/ﾆﾆ_j　　 ,:′　　　 {:::└‐_'　/、　　＼､
　　　　　 j　　／　　　゜￣／￣｀: :::::::::::乂'´　　/(_〕八ﾆﾆ{__.　/ 　　　　 ,⌒)ヾー'_ノ　　　　.＼､
　　　　　 /::／　／　　／}　＿＿: ::::::::::::::｀:.　└―'　}ﾆﾆニ}/　　　　　　＜ミ└ '＜)　　　　　 .＼､
　　　　./ '　　　　＿＿__/　　 l:＼:::::::::::: : : . .　　 ´＼ﾆﾆ廴　　　　　　 '―　 ´￣｀ヽ　　　　　　 }｝
　　　　/　　｡-､，＜ノノノノ|　　　ヽ　＼、:::: : : : : .　　　ヽﾆﾆﾆヽ　　　 .′　　　　　 ‘，　　　　 }｝
　　　 {　r ┘ (＿ノノノノノ｜　　　‘，:　ヽ＼::::::: : : : .　　ヽﾆﾆﾆ!_　　　ﾊ　　　　丶　 l 　　　　 }｝
　　　　}　廴＿j／￣　ー　__ヽ　　　 ‘，::　∨}::::::::::::::: :.　　　 Yﾆﾆﾆ}_.　　'ﾆ}　　　　.:-:::::..',　　　　 }｝
　　　　}　／＿l　　　　　　　 ::＼　　　ヽ::　‘，ヾ:::::::: : : .　　　∨ ﾆﾆ:}　 ,′辷⌒!:/　　　　,__　　　　 }｝
ー―‐匕'⌒!　|　　　/:、　　　 ::::ヽ　　 ‘，:: ＼｀:::: : : : ::.　　　∨ﾆﾆヽ∧ﾏﾆﾆ}ハ　　　　 ∨廴_　〃
　　　//ノノ.し'|　　 /:::: ｀　　　　 :::::＼　　 !::: :　 `＜⌒Vヽ　　　lﾆﾆﾆ('ﾆ:} }ﾆﾆ}/∧ 　　　 ∨＼㍉′
　　 V＿＿__|　　ヽ:::　　　　　 : : :＼ノ　　　　　｀　ー‐.､　 Vﾆﾆ∧ﾑヽニ} /∧　　　　 ∨/＞｡㍉、
　　　 { ／ )／ヽ　　 ‘，:　　: : ::: : : : .　　　　　　　　　　: ::: :::‘，　}ﾆﾆ{　lﾆ} }ﾆi}// ∧　　　　　∨///＼㍉
　　　｀¨¨ }{　　＼　　}::　　 : : : : :: : :　　　　　　　　　.: :::　　｀＼lﾆﾆ〉 ∨} }ﾆi}///.∧　　　　　∨////＼㍉
　　　　／.ヽ　　　ヽ　!:　　　　: : : : :　　　　　　　／￣{　　　｀ヽ　　Ｈ }ﾆi}////.∧　　　　　∨////∧ﾏ

と一言だけ呟いた。

426 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:09:54 ID:U58wBXLx0 [13/49]

　　　　　　　　　　_,ノ）──- ､.,_
　　　　　　　,　'"´　　　＿,,,....,,,__ ｀　､
　　　　　／　　 ,.　'"´　　　　　　`' ､＼.
　　　　 ./（｀'´）'´　　　|　　　　　　　　　　`ｰノ
　　　　 | 　Y　　　　　/__　 |　　 ,|　　　､｀ヽ｀ヽ.
　　　　 ',　 |　/ 　!. ´| ＿ /!　 / |　 ,'　 .∨　!.　　 ',
　　　 _ノi_.ﾉ　| 　 |ｨｿ￣ﾘヽ|／　 !/‐ﾄ　 ! ﾄ､（.　　 |
　　 /　.ﾉ｀ヽ ', 　|,,´￣　　　　､__, !　/ノ　｀　　 !　　　　　　ありがとうございます。どうぞ。
　　 ! ./　　　）＼,ゝ　　　　　 .　　,,ﾚ（　　　　　 ,'
　　ヽ!　　 /　　＼　　 ` ｰ　　　八　＞　　　 /
　　　/ヽ、　 _人　　）ヽ、　　_,,. イ　ノ´　　　 , '
　　 ,' 　　）'´　＼）イ＼　￣|ヽノ |／　　　／
　　 ! 　　　_,,.イ´ ＼>､＼_rﾍ　|＼-‐-､　/´
　　 ',　 /´　　　、　＼＼/（｀'´）!,. --､／、
　　　＼|　　　　　∨　　Y 　 Y　 !＜O>!/ ＼
　　　　 ! 　　　　　 '.,　　＼ ( `')' ､__,.ノ　　ヽ、⌒ヽ.
　　　　,'　　　　　　ﾊ　　　　｀Y　_ノ　 ∨　／ﾄ､　　|
　　　 ∧　　　　,.イ /|　, '"´￣(')´|　　　|_./|　 |__| 　 !
　　く　∧ｰ-イ___|／∨　　　　し'　　　 |＿|_ /　　 ./
　　／｀＼!＿∧　　　 '＞- ､,　　(') 　, '"´｀ヽ!　／
　/　　　　　　 ∧　　 .〈_/ / , ｀ヽ. l　/　　　ﾉ´∨

　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　／　　　　＼　　　
　　　　　　　　　　／　─　　 ─　＼　　　　　もういいんですかお？
　　　　　　　　／　（●）　（●）　＼　　　　
　　　　　　 |　　　（__人__）　　　 |　　　　
　　　　　　　　＼　　　｀⌒´ 　　　,／　　　　
　　　　　　　　／　　　　ー‐　　　　＼　　　

　
剣を返される。

1分と経っていない。本当に少しだけだった。

427 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:10:50 ID:U58wBXLx0 [14/49]

　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿ ,. ノ　　　　　　 7 ヾ≧ x ､　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　￣ 7　　　　　　　　/　　　｀ヾﾍ､r ─- ､　、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　/　　　　　　　7　　　ノ-､ '.
　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　＿_　 /　　　　　　}　　i　 '.　　　　　)ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　 _　イ　　/　　　 7 ﾊ　　　 _/}、　 }　ゝ､＿, ｨ ´　l
　　　　　　　　　　　　　　　　 / 　　 /　　/l/　}　　 / ﾘ　｀　メ､{　　　| |　　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　　 l ｲ　 ,′{{下心　ト､/N ＿ﾍ､　リ　　　| |　　,′
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |/!　ノイ　!弋:り　　　　　下心､／　　　 '､＼/
　　　　　　　　　　　　　x=＝＝==}/ 　 }　l　　 , 　　　弋tソ´　　　　/　〉〈_　　　　　　　　【メイデン・ブレード】。
　　　　　　　　　　／　　　　　 / }　ﾄ､ゝ＼　　　_　　　／　　　／　 /｀丶＼
　　　　　　　　　　 /　　　　　　 l∧　|　＼　＞　､｀　_／ィ　　　／　　 .′ 　＼'.
　　　　　　　 /　　　　　　　　 } 1　　 )リ´　rｭ Y_/´ / ィ／{__ ﾉ／{_　　　　 '.1
　　　　　　　　　 ′　　　　　　　　 l|ﾘ＼,　7　f}　　/　　　　　 rｭ　/{(　/}　　　　　|l
　　　　　　　　　l|　　　　　　　 l| ／　 {r 7⌒}r- ､　　　　fソ, ′T´ '､　　　 !}
　　　　　　　　　;|　　　　　　　　　　ﾍ　ノ　 {　　　　ﾉ､ =＝__,ノ Y⌒ 　 l　　　ﾉj
　　　　　　　 |､　　　　　　　　 / 　 7 ､___ l＿,.　´　　}￣￣}_／　-　　 !　__x≦ソ
　　　　　　　　ヾ､　　　　　,.　´　　 l　二7｀<f´￣￣ヾ､　　／　＿,. ≠＝ '´
　　　　　　　　　＼_＿.　'´　　　　１ f___ｿ　 { lて心､　ﾄ≠＝＝￣/
　　　　　　　　　＿_ ノ　ﾉ　　　　　 !__/_　　ﾍ丶二} ﾉ/　　　　　　l
　　　　　　　／　　　,′　　　　　　 }___ﾉ/￣￣｀丶､＜_」　　　　 |
　　　　　 __ノ￣｀　　/　　　　　　 lﾘ　,′　　　　＼　　　　　 |
　　　　／　　　　　 l　　　　　　　＿|─ﾍ　　　　　　　　　　　 |
　　　/　　　　　　　､　　　　　／ }}-　　_1　　　　　　　　　　 |丶、
　　 |　　　　　　　　＼　　／＼__1_／　､　　　　　　　　　　　 |─ﾍ、
　　 |　　　　　　　　　　￣} l 　_〉v' ＼／ﾍ　、　　　　　 / 　　ノ　　　' ､
　　　' ､　　　　　　　　　 f__> くr=彡　{_　 /＼}ト､　　　／￣￣　　　　　/
　　　　＼　　　　　　　　　　　　　 i ｀ｰ ´ ⌒}__r1{ 　￣￣　　　　　　　､/
　　　　　　＼＿＿,.ノ　　　　　　　 Y´　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾍ、
　　　　　　　　　｀丶　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　,′　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　、　ﾉ
　　　　　　　　　|　　　　　　 {　　　　　　　　 /　　　　　 ,　 ´￣ヾ､￣
　　　　　　　　　　､　　　　　　　〉 ´￣￣｀丶、　 /　　　　　　　 l　　_　　 }}
　　　　　　　　＼＿＿＿ ,１　　　　　　 ∧　{　　　　　　ﾉ　/└ｧ='
　　　　　　　　　　　＼　　 i　　　　／　｀ー──── ´　　￣

　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　／　　　　＼　　　
　　　　　　　　　　／　─　　 ─　＼　　　　　……お？
　　　　　　　　／　（●）　（●）　＼　　　　
　　　　　　 |　　　（__人__）　　　 |　　　　
　　　　　　　　＼　　　｀⌒´ 　　　,／　　　　
　　　　　　　　／　　　　ー‐　　　　＼　　　　

428 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:11:46 ID:U58wBXLx0 [15/49]

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,　　　 -‐- 、
　　　　　　　　　　　　　　　　　 (　　 (｛=ミ:/　　　　＼_ノ)
　　　　　　　　　　　＼　　／￣＼　　　 )㌻´　___.'..__⌒ヽ＼　　⌒ く)
　　　　　　　　　　⌒V＾ /　　　　｡　／´ rぉ冖冖冖㍉_r┐＼　　 ⌒ヽ
　　　　　　＼　　　：　　　　　　｛　　,/｛　 (　｛＼{___/　　ヽ、　 )人_,
　　　　　　　⌒V＾　　　‘。　　　　　 _)　｛　{_ 　）斗-　＼:：　　　}八/ 　 /
　　　　　‐…・・…‐ 。　°∽。⌒ヽ ∧ ィ)／筏ラ);　 }：　}　/ 　｀ヾ｛
　　　／　＿∧　　　＼｡° 　 °乂j }ｉ筏ﾗ　　彡j／ﾟ｡/　'　ﾉ　　ﾉﾉ　　。…．
　　　。　　 ⌒V´　　　r―ｧ…⊂ﾆミ〔＼乂}！｀　　 ( 　／)。／　 /´　。°　　：
　　：　　　　　　 ⊂ﾆ/ __⊂ニﾆ: 　｀＼ノ＼　'　　,.)ノ　ﾉ　'°,.,人°　　　　　。　　　　それを抜く事になった時、そう唱えるといいでしょう。
　　　．　　　　　　 ⊂ﾆ｛ﾉ＠⊂ﾆフ　　　　＼ﾉ_〕爪 ⌒て乂人(.,__°…‥…　°
　　　　‘ ‥┓ 　　 ⊂八`ー└‐ 个:　.,_　　 }〔´　_,) ／　r卍以以ﾄ､　　　　　　　　　　　きっと役に立つはずです。
　　　　　　。°　／￣＼／￣＼j　ﾟ,　　　′　}〔　,{ _/　 r卍............}弋]i､
　　　　。°　　　　　　/ 　　　ヽﾟ,r┐/}　厂￣)____r卍................}∨ﾊ〕､_
　　　　§ 　 / 　　／　　　　　 [彡'厂}　厂￣{以以┘................}..}‐┴‐┘
　　　　　` ｰ　　　　'　　　　　　,　　 [_｛⌒'} 厂￣｛.................................}..}　　 ‘，
　　　　　　.:ﾟ　　　/　　　　｛　　　[_｛⌒{厂￣｛.............................../...}。。。；。。。。
　　　　 ′　　 {　　　　　 }　　　 [_｛ノ{/￣￣]............................/....〈．．． ’　　　　 °
.　　　　　{￣￣ /￣￣￣｀ヽﾉ　　　 [_｛ノ}/￣￣]....r┐...............'........}＿＿　　　　　　　°
.　　　　　{　　　:{　　　　ノ　　　　 [_｛人_／￣]く_,ﾉ................{.........}.............｀　　　　　。
　　 x==i{:　　￤　　　 ':　　　　　　 [_｛ノ^}_／￣＼................/......./..........ヽ.......＼　　　。
　　〃::::::] 　　 ’ 　　 ,:'　:.　　　　　　 [_｛ノ^}／￣￣].........../......./................i...........{　　　°
　　[i:::::ノ]　　 ′　　 .ﾉ　 :,　　　　　　 [_｛ノ^},／￣ [ー―'.....／................./...........{。 °
　〃:::::(_{′　 :　　　 ´ヽ　　.　　　　　　 [_｛ノ￣＼__7.................................................../
. [i::::::::（{　　.,′　　　　ﾉi} 　〉、　　　　　　}　｝⌒ヾ....................................................../
. [i::::::::/￣￣{＿＿　　'//　 ,{冫>.,　　　人_[ 　　＼....................................／￣‘，
　＼/r┐ ／　　　　∨厂⌒厂⌒厂⌒厂⌒⌒{　　　＼........................／　　　 /
.　　 {［__|:/　　　　　　}il⌒V⌒V⌒V⌒V⌒V⌒¨＼＿＿＿￣￣￣￣ ,＿＿／
.　　 ∨　{　　　　　 /厶イ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼＿＿／
　　　ｰ=ﾐ､＿__,. 彡'⌒冖⌒冖⌒冖⌒冖⌒冖⌒冖⌒冖⌒´
.　　　　　｀¨¨¨´

　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　／　　　　＼　　　
　　　　　　　　　　／　─　　 ─　＼　　　　　…………しっかり覚えておきますお。
　　　　　　　　／　（●）　（●）　＼　　　　
　　　　　　 |　　　（__人__）　　　 |　　　　
　　　　　　　　＼　　　｀⌒´ 　　　,／　　　　
　　　　　　　　／　　　　ー‐　　　　＼　　　　

……乙女の剣？

物が何かと考えると意味深ではあるが……よくはわからないが、覚えておく。

ぼろマントが手に入ったのは彼女のおかげだ。きっと悪いようにはならないだろう。

429 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:12:28 ID:U58wBXLx0 [16/49]

　　　　　　　　　　　　　　　,.　-―…―,=､　__
　　　　　　　　　 -=ﾆ¨￣￣￣￣￣弋 `′ヽ､
　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　＞-<　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　ヽ
　　　　 /　　i　　　　ヽ　　　　　ﾄ､　　　　　　＼
..　　　　/　　 |　　　　　　＼＿＿|_‘.＿　　　　　ヽ
.　　　　′　　 |　　_ 　　　ﾊ　　:|　ヽ｀ヽ　 |:　　 |l ＼ﾊ
　　　　| i　　.从／　ﾄ､　　　|l　ヽ : |-- ‘. 　　ﾄ　　 |l　/ ヽ
　　　　| i　　 /| ＼ .|　＼　 |l　 rf竓斧ミメ　　 |　i　 |l　　　|＼
　　　　| ‘,　　 | 　斗ｪ　＼!　´ 　.rう_)ﾊΥヽ .|　|　/:　　　|　ヽ　　　　　　ああ、あと、一つだけ。
　　　　| 　ヽ　∧〃うﾊ　　　　　 V辷ソ　　}/　.ﾚ'　　i　　|　　 i}
　　　乂　＼} ヾ　Vﾘ　　　　　　 .....:::::::::::/ 　　　 /　　|　　 {}
　　　　　ヽ　　:ﾊ　.......　 ′　　　　::::::::::::::::/　　　　 /　　　{ 　　 {}
　　　　　　 f^ヽ:::} :::::::::　　　　　　　　／　／　 /　从.　i　　　 {}
　　　　　　 |从}:::ヽ　　　　ヽ二⊃　　　７／　　./:::://:∧ !
　　　　　　ﾉ　ヽ: : ::＞　　　　　　　ィ / 1　　.／::::/ }/　弋!
　　　　／　　 }/＼::::::::::::≧=- r'　　　ﾚ' |　イヽ^i/
　　　　　　　　　　　｀ｰ-≧=-_ |　　　　／　　.＞x　　＿＿
　　　　　　　　　　　　＿　-=ﾆ /|　　　／　　　　　rｧ　＿＿/^i
　　　　　　　　　　　/　／　　〃　　／　　　　　　〃　 /⌒´｀ヾ
　　　　　　　　「　 f7　　 {{　／　　　　　　　〃.rﾍ/
　　　　　　　　　く　　rｧ　　　 Ⅳ　　　　　　　rｧ　　{　　　　　　 i

　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　／　　　　＼　　　
　　　　　　　　　　／　─　　 ─　＼　　　　　　はい？
　　　　　　　　／　（●）　（●）　＼　　　　
　　　　　　 |　　　（__人__）　　　 |　　　　
　　　　　　　　＼　　　｀⌒´ 　　　,／　　　　
　　　　　　　　／　　　　ー‐　　　　＼　　　　

430 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:12:58 ID:U58wBXLx0 [17/49]

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　」`´ 　＿＿__　　　　｀丶
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´　　　　´￣㍉:::::｀丶　　　　＼
　　　　　　　＿__　　　　　　／　　　　　　 /　　　丶:::::＼　　　　　ヽ＿＿＿__
.　　　　　／￣｀丶.　　　　　／／　　　　 /　　　　　　丶:::＼　　／´￣￣￣｀ヾ
.　　　〃　　　　　＼　 _／　/　　　　　　 /　　　　　　　 `/｀L〃
　　　〃　　　　　＼　　/ 　　＼／}/　　 l.　　　　　　　 {＿ノ　　　　i
　　　　{{ 　　＿　　　　　＼/　　/ / {/＼{:　　ハ |　　　 i　　　　　　 |
　　　 > ´　　　｀ヽ　　　／i/　/　{fぅ　　|l　　 /　} i　　　 |l　　　　　　　　 |
　　　 /＼｀ヽ　　　 V　　／　ｲ八んﾊ　八　./　 j/ヽ　　　ﾘ　　　　　　　 |
.　　∧ r::＼　　 r┴r=ミY　ﾉ　/`Vソ　　ﾞ {　￣｀}ﾍ　　/　　　　　　　 |　　　　　　古明地さとり、です。
.　　 i　込_:::::＼　　｀丁　　}}ｲ i　{　　，　　　r ぅx.　　}＼/　　/　　　　　　 }|
.　　〉、　￣￣　　　′　〃 }　从　　　　　 {_ﾉ心､/'イ　 /　　　　　　_ 八　　　　　　どうぞお見知りおきを。
　　ヾゝ　　　 rｭ／　 .〃 ∧　　ヽ　､ _　　　ゞ辷ﾝヾﾉ　 ,　　/ 　／　}　
　　　　　　　￣｀Y{　　〃　{_/＼__ へ　　　　　　 -=彡'　／　／ ,.／　　ﾉ
　　　　　　　　　 |{　　〃　rﾍ{　　　 r'7ー　　ィ＜ /／　　_,　'／　／
　　　　　　　　　 |{ 　 {{　ノ〈{　　　　ﾉ　　　　ﾉ〉／⌒> ´　／　／
　　　　　　　　　 |{　　.У 　廴＿∠r―――f⌒７　　/￣fﾌ　　／｀ヽ
　　　　　　　 `ーｸ＝====ミ　　 ⌒)　　　／　　/ 　 fﾌ　　　 i　　〉、
　　　　　　　　　　　 {　　　　f⌒ｰ､　 ∠ __　イ　　 ./　　fﾌ　､　_/ 　 /　ﾊ
　　＿＿＿＿＿＿__}　　　厶斗 '　　　　　　i7　　　 f八　　｀丶_／／/
　￣￣￣￣￣￣￣/　　　　　　　　　　　 l{　　　　〈}::.. `　､＿｀ヽ ´
　　　　　　　　　　　{/　　　　　　　　　　　　 !　　　　八::::.. 　 }　厂
　　　　　　　　 /　　f⌒ｰ､　　　　　　　　　　 |＿）:::.　/厂
　　　　　　　　　　/}　　ﾑ斗 '　 i/　　　　　Vi 　　　fi⌒:::　 / {
　　　　　　　 {/　　　　　 / 　　　　ﾘ　　　 j{_::::: 　廴ﾉ
　　　　　　　　小　　f^つ　　　　　　　　 ∧　　　 /厂　　j{＿__／}
　　　　　　く八　　 V´　　 {　　　　／　〉　　 {　)　　/ }　　ヽ　}
.　　　　　　／　＼　　　　　　＿彡　　　 /　　ﾉイ　／ /　　　}r'　

　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　／　　　　＼　　　
　　　　　　　　　　／　─　　 ─　＼　　　　　　……やる夫と申しますお。
　　　　　　　　／ u （●）　（●）　＼　　　　
　　　　　　 |　　　（__人__）　　　 |　　　　　コンゴトモヨロシク……。
　　　　　　　　＼　　　｀⌒´ 　　　,／　　　　
　　　　　　　　／　　　　ー‐　　　　＼　　　　

……名前を知らない事が態度にでも出ていただろうか。

気持ち深めに頭を下げながら、今更ながらの自己紹介をしたのだった。

432 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:14:06 ID:U58wBXLx0 [18/49]

　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　／　　　　　＼
　　　　　　　／ﾉし' "＼ , ､/ﾞ＼
　　　　　　／　⌒(（ ◯）ヾ'（〇）ヽ,　　　　　えいしゃおらっ
　　　　　 |　　　 "⌒（__人__）⌒ﾞl
　　　　　　＼　　　　 `i ヾ/´　／
　 ,､　　　　／￣　　　　　　　　⌒＼
　ヽヽ　 /　 ,、　　　　　　　　　|
　　＼＼|　　||　　　　　　　 || 　　,|
　　　　`/　　＼　　　　　　 |　　 /　　　　　　　　　　　 |li　　|li　　|li
　　　　,-ヽ＿「＼　　　　 |　　/　　　　　　　　　　　|li　|li　　|li　　|li
　　　　|　　　_＼＼――､　|　 /　　　　　　　　　　|li/￣￣￣￣./|
.　　／　　/　　.＼＼　ヽ|　 |　＼　　　　　　　　|li/　　　　　 / .| |li
　　(　　　 / 　　　＼＼_|_　ヽ　ヽ、　　　　　 |li/　　　　　 ./ .,-|.|li
　　 `ー‐'′　　　　　　＼_ｍｍ,＼二二二二二二二　　　　　　|（（､,;;）
　　　　　　　　　　　　　　ヽ､__`'/,　　 `､　　　　 / 　　　　　　 .トー'|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ､,,＿ノ　　|li ./　　　　　　　　 |　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|li/　　　　　　　　　 |　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　 | |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ﾞﾞヽ､､＿＿＿＿,_,,..-‐|/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞﾞヽ､､＿＿＿＿,_,,..-‐'´

生業に変化はない。

2、3匹のウサギの首をラモールし、血抜きをして、先日買った荷車（銀貨5枚ナリ）に載せて帰る。

　　　　　　　　　　　　　　 ||
　　　　　　　　　　　　　　　 |''|
　＿＿＿＿　　　　　　 __.|‐|__　　　　　＿＿＿＿
　|　＿＿＿｀＼. 　　／　|ー|　＼　　／´ ＿＿＿　|
　＼l　　　　＼　｀ヽ<　　|'ー'| 　　>-''´　／　　　　ｌ／
　　　＼　　　　＼. 　＼|'ー '|／　　.／　　　　／
　　　　　＼　＼　＼　 |'ｰ―'| 　／　／　／　　　　　気がついたら首に斧が刺さってるって……。
　　　　　　　／／　／　　　　　　　＼　＼＼　　　　　　　
　　　　　　/ ./　　|　 |￣＼　／￣|　 |　　ヽヽ　　　　　　死は明日への希望でもなんでもないんですがそれは。
　　　　　　|　|　　　l　＼／ｉ　i＼／　 l　　　|　|　　　　　　
　　　　　　|　|　　　＼　_／　＼_　／　　　.|　|
　　　　　　ヽヽ　　　＞、　Y　,.＜　　　/ ./
　　　　　／＼ヽ　　／ヽ_l_/ ＼　　　/ ／＼
　　　　彡　　　＼ヽ,-'＼　　　　／ヽ､/／　　　ミ
　　　　　 ~'''''"￣￣'ｖＶｖ'￣￣￣'ｖＶｖ'￣￣"'''''~

それを一日おきに繰り返して、今日でちょうど28日の14回目だ。

今のところ、2匹が5回、3匹が9回。調子も繰り返している、というところだろうか。よくわからない。

433 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:15:01 ID:U58wBXLx0 [19/49]

　　　　　　　　　　　/⌒ヽ
　　　　　　　　　 i　　　l
　　　　　　　　　ノ　　　ヽ､
　　　　　　, 　´　　　　　　｀　、
　　　　／　　　　　　　　　　　ヽ.
　　　　 /　　　　, - ､　 , - ､　　　　',　　　　　ギロチンの瞬間に最高の快楽とかよく考えなくてもキチガイの発想ですよね。
　　　 i 　　　 { ● }　 { ● }　　　　i　　　
　　　 | 　　〈＼ｰ‐'　　ｰ‐' ／〉　 |
　　　　＼　　＼｀ｰ‐―‐一'´／　／　
　　　　　　ヽ､　　￣￣￣￣　　／
　　　　　　　｀￣￣￣￣￣￣´

一度だけ、スライムを狙ってみた事もある。

真後ろから唐竹にしてみたが、硬式野球ボールのような感触で芯を捉えられずに少し側面を叩いてしまい、断ち切る事は出来なかった。

　. 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　。　　　ﾛ　囗　　　ﾃｨｳﾝﾃｨｳﾝ
　....　　　　　　　　　　　　。　　　　　　ﾛ　　　　　[] ロ
　　　　　　　　　　ﾛ　　　　　　　　　　　ﾛ　　ロﾛ
　......　　　　　　　　　　ﾛ　　　　　　　　[]　　[]　ﾛ囗
　......　　　　ﾛ　　　　　　　[]　　　　囗　　　　ﾛ　[]
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾛ　 [] 囗　囗　　　　　　まあ、わたし、首ないんですけどー！　ヨホホホホ！！！
　　　　　　　　　　　　　　[]　　　　ﾛ　　　[]　囗
　　　。　　　　　　　　。　　[] 　ロ []
　　　　　　　　　　　ﾛ　　　　ﾛ　　 []┌┐ 　囗
　　　　　　　　　　　　　　ロ　 []　 └┘囗
　　　　　　　　　　　　　　　　ﾛ　　　　ﾛ囗
　　　　　　　　　　　　　　。　　　　ﾛ　　[] 囗
　　　　　　　　　　　　　　　　　。　ﾛ囗
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾛロ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　。　┌┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾛ└┘
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾛ囗

スライム自体は吹っ飛んでいってよろめいていたので、そのままもう一度どうにかこうにか斧を当てたら、ばちゅんと弾けてしまった。

やはり動物型の解剖学上の弱点を狙うというのが重要なのだ、と、スライムはそれっきりにしている。

434 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:16:01 ID:U58wBXLx0 [20/49]

　　　　　　　　　　 _＿_　　＿
　　　　　　　　＞ｰ:::::::`´:::::::::;Ｚ._
　　　　　　　　∠:::::::::::::::::::::::::::::::::＜
　　　　　　　 /:::::::;ｨ::ｨ ;ハヽ;::::､:::::ヾ
.　　　　　　　１:: ﾉﾌjメ._v _>ﾍ｢ﾊ. :↑
　　　　　　　　ｈ.ﾋr',ニヽ＿r'ニ.ヽ.〕r|
　　　　　　　 |ｆ|| い)-ﾟﾉｰﾍﾟ-t)丿||ｆ|
.　　　　　　　 ,ゞ|:u ￣〈_ _ _〉￣ u |K
　　 _,,　-‐''7::: |　）(二ﾆﾆニつ（　|:::ヾ''‐- ､._
‐''"´:::::::::::::::i:::::::ヽ._　　 ‐一　　_.ノ ::::::ｉ:::::::::::::::｀'''‐
::::::::::::::::::::::: |::::::::::ﾄ､ `:ー─‐''´, |:::::::::::|:::::::::::::::::::::::
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　 (._,,. -‐' ,"＼ l　　　　　　 l　,へ、　 |
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　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
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　　　　　　　　　　／　─　　 ─　＼　　　　　……またいるお。
　　　　　　　　／　（●）　（●）　＼　　　　
　　　　　　 |　　　（__人__）　　　 |　　　　
　　　　　　　　＼　　　｀⌒´ 　　　,／　　　　
　　　　　　　　／　　　　ー‐　　　　＼　　　　

今日も狩りだ、とウサギの姿を探していると目に入ってくるのは、何かを探しているような、こう言ってはなんだが、うだつのあがらなさそうな男達の姿。

いや、自分も大差ないとはわかっているのだが。

435 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:16:54 ID:U58wBXLx0 [21/49]

　　　　　　　　　　　　　　＿､ｰ-､, ‐'''Ｚ..＿
　　　　　　　　　　　　　　　＞. `　　　　′　＜
　　　　ｚヾ'`＾`'``' ' 'ィ_　　∠ 　 ,　ﾊ.　、　　　　ヽ
　　　　７"`"'＾'"`"'ﾍ　ヽ　 / ,　/{ / uヽ.|＼ﾄ､　　 l
　　　　/＝ﾐ、　r,=＝1　.l 　 /,ｨ＝ﾐ‐'　`ァ＝､ヽ　　|
　　　　| r～`　"=ｰ､ 1,、|. 　 { l「 `｡lﾆﾆ{ ｡´ ） }'Tｎ　!
.　　　 |ゝuﾟｌ　 l ﾟ-､< ||f|.|.　　`(ﾉﾆｲ v' ヽﾆゝ)'　||ｆ｝ |
　　　 |ｕ _L__.｣ __ 0 |lﾉ |　　　|u_└-- ┘, -､u llｿ　ﾄ､
.　　　 l（__｀二´＿）ﾊ　ﾄ、　 l（__｀ﾆ二´＿ﾉ（ﾄ､　|::::ヽ､.__
_,,　-‐''Tヽ.u ー　／　ﾝＨ,＞‐ﾍ __　ｰ‐ v　__ ノ　ヽ|::::::::l:::::
: : : : : : Ｈ::l`‐--‐' ,､-‐'' ´:::::::::::|:::::::「￣￣´u　　v　/|:::::::::|:::
: : : : : : :Ｈ::ヽ.　　/:::l::::::::::::::::::::::|:::::::::ﾄ､　u　　　／ ,|::::::::::|::
: : : : : : : Ｈ_::/Ｖ/::::::|:::::::::::::::::::::|::::::::::l、`ｰ---‐'　.／|:::::::::::|:
: : : : : : : :`<エ.7:::::::::|::::::::::::::::::::|:::::::::_」` ｰ---‐ '　　L_:::::::::|

　　　　　　　　＿､ｰ- 、＿
　　　　　　　　＞　` 　 ′,∠.._
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.　　　　　　ｌ　　ノﾆ= 　ｧ=ヽヾ
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.　　　　　　 |.　しl!　ｰ　」 l_ｰ .|
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　　　　　　｣__/　ｌ　￣￣￣ .l
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　　,.ｲ　/　　　　／　　ヽ
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　　　　　/　|/（●）::::::::::::＼　　　　　ヽ
　　　　　{　〈　　（__人__）　>　／　　ｲ
　　　　　トゝ＿｀ ⌒´　イ_∠_ｨ_イ´
　　　　　　ｲミー￣フ二￣´＿〆゛ゝ
　　　　　ん＿＝　ー三　イ､_＿─＼

　＼
　＼＼
　　＼＼＼
　　　＼＼＼
　　　＼＼＼＼＼
　　　＼＼＼＼＼＼＼
　　　＼＼＼＼＼＼＼＼＼　　　ﾌｯ

最近ちょくちょく目立つようになったそれらは、今日も草むらをガサゴソやっている。

今回は、運よくやくそうを見つけたようだった。しかし、摘み始める様子はない。

436 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:17:54 ID:U58wBXLx0 [22/49]

　　　　r ､
　　　　｀ `　　　＿
　　(丶.　　／__ 　￣ ¨丶、
　　　｀　　/ / v ｀ｰ-‐''^ヽ.ヽ
　⊂=　　_|/ __,ノ.ﾌv　(ヽ._　}.|
　　　ｆｎl|Ｔ''r｡￢--r‐_-ﾆ.jｈ　　　　　　　なあ、ホントにあるのかよ……。
　　　　 |h|| ヽ｀ﾆｲ￣Lﾟ-'_.ﾉl|,ﾘ
　　　＿,ゞ| u . . .L___.| .　v lﾚ'　 __n__
　￣::::::::::::l: :ｆこ二ﾆ二_ヽ: .ﾊ.　　,ｺに.lゝ
:::::__ｎ__::::::l:.:ヽ-～ｰ- ､_ｿ:/:::`ｰ（.(l ｢ﾞ)ﾉ　　　　　　　　 (^Y^ｈ
:::: ,ｺに.lゝ:ﾄ:､:_: : ⌒:v:.:_ノ:::::::::::::::￣:::l)l)　　　　　　ｉ＾)　}: }..j(ヽ
:::（.(l ｢ﾞ)ﾉ:::| ＼￣ﾞﾞﾞフ´/:::::::::::::::く∨ﾌ:ﾊ　　　　　ﾉ ,レ'‐´ ' ﾉ..〉
::::::￣:::l)l):::l　　,＞く　 /::::::::::::::: （.(´_:/:::ヽ　　　　　　 {　´、｀ヽ. ｀/
:::: く∨ﾌ :::::ｌ／ |:::/ ∨::::::::::::::::::::: ｀:７´::::::ﾄ､　　　　　 ,〉、 }' ´ ／
::: （.(´__:::::::::!　/:::l　/::::::::::::::::::::::::::::O::::::::/:::}.　　　／:ヽ._^-rく
:::::::::￣´:::::::::V::::::|./::::::::::::::::::::::::::::/:ｏ :::/:::/::＼.／ :::::::::::::｀¨ラ′
:::::::: ｏ :::::::::::::::::::::′::::::::::::::::::::::: /:::::o:::::::/:::::／::::::::::::::::::::::／
:::::::::ｏ :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ ＼::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／

　　　　　　　　　　 _＿_　　＿
　　　　　　　　＞ｰ:::::::`´:::::::::;Ｚ._
　　　　　　　　∠:::::::::::::::::::::::::::::::::＜
　　　　　　　 /:::::::;ｨ::ｨ ;ハヽ;::::､:::::ヾ　　　　　　　　　あるって……思うしかないだろ……！
.　　　　　　　１:: ﾉﾌjメ._v _>ﾍ｢ﾊ. :↑
　　　　　　　　ｈ.ﾋr',ニヽ＿r'ニ.ヽ.〕r|　　　　　　　　　金貨……！　金貨なんだ……！　見つけるだけで金貨……！
　　　　　　　 |ｆ|| い)-ﾟﾉｰﾍﾟ-t)丿||ｆ|
.　　　　　　　 ,ゞ|:u ￣〈_ _ _〉￣ u |K　　　　　　　　　一発逆転……！　これはチャンス……！
　　 _,,　-‐''7::: |　）(二ﾆﾆニつ（　|:::ヾ''‐- ､._
‐''"´:::::::::::::::i:::::::ヽ._　　 ‐一　　_.ノ ::::::ｉ:::::::::::::::｀'''‐　　じっと理不尽に耐えていた俺達に天がくれたチャンス……！
::::::::::::::::::::::: |::::::::::ﾄ､ `:ー─‐''´, |:::::::::::|:::::::::::::::::::::::
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::::::: ｛. -ー{_ﾉ:::::::::|　｀　‐-‐ '´　 |:::::::::し}ｰ-　｝::::::::
:::::::; ﾍ. ',二j ）‐''ﾌ|　　　　　　 |く⌒（〈こ¨ 人:::::::
:／:{:::::ヾ＝ｲ::::::|oレ;:=＝＝=､、 |o|:::::::ヾｰ''´:ノ:`ｰ
:::::::::`::ｰ::フ′:::|:::|´∠二二＼ヾ;|:::|::::::::::‘く´::::::::::::

　　　　　　　　　 ,. -──-､
　　　　　　　　 / ,.-､　　 ,､ヽ
　　　　　　　　　　l_/＿ `ー '　 !|
　　　　　　　　,..イｆ|r,==ヽ._∠ﾆ､h ､._　　　　　　　そ、そうだよな。じゃあ……！
　　　　　／　バl.ヽﾆﾟｲ'＾|ﾟﾆﾞｲﾘ‐-ハ
　　　　／　／|　 |.u.＿.ﾞ二.__vjl　 / .∧
.　　　/⌒Y´　.|／ヽ:_ : : --: ;ノ | ./ /　ﾊ
　　 ∧.　　l　　　　　｡|ニニﾌ_￣ /　／ ,ｲ
　　∧　　　|　　　　　 |　　 |.　にｽ.__,／　|
　 /〉､_　　 |　　　　｡| 　 /l _.L/　.}ｰ‐　 |
　/'　　￣7´　　　　 |_,∠._|.　 {　 l　　　,'
. ﾊ　　 -〈. 　　　｡ /ノ　ヽ. , ＼|　　 /

　　　　／　　　　　　　　∧　　　::　　　:::＼
　　　／　　　　/　/|　/:: |　|　　　　　::::＼
. 　　 /::　　::　　/ | /:| /::::　| |::| |＼:　　　::ゞ
　　　/:::　　/|./─|/ :|/::: 　 _|＿|─＼　　:::ゝ
.　　　|　　:/::/＿＿￣ U　　　＿＿　＼::　::|　　　　　　　　ど、どうせやくそうなんて二束三文……！
　　　| ＿|_／＿＿＼＿＿_／＿＿＼_|＿::|
..　　　l⌒| | |.（￣￣o .|　　　|. o￣￣.）| | |⌒l　　　　　　　　持っていったところで上にあがりを吸われるだけ……このっ、このっ！
..　　　|| :||:|: ＼──／￣￣:＼──／ :|:|:/ |
.　　　|δ||　 v￣￣ /　　v::::|: ￣￣　:::::||:６:|
...　　　| :）|　　　　　 /　　　::::: |:　　 U ::::|:（ |
　　　ゝ_|　　　　（＿　:::::＿）　　　 :::::|_ノ
.　　／:: |　　　）(￣￣￣￣￣￣)（　　:::::| ::＼
... ／::::::::::|　　　　￣￣￣￣￣￣　　 :::|::::::::::＼
／::::::::::::::|＼　　　　　　──　　　　 ::::／|::::::::::::::＼＿＿
:::::::::::::::::::|　::＼　　　　　　　　　　　 ::／::　|:::::::::::::::::＼:::::::
: ::::::::::::::::| 　 :::::￣￣────￣￣::::: 　 |::::::::::::::::::::＼::::

何かをうだうだと相談していて、意を決したように頷くと、そこに生えていたやくそうをぐしゃぐしゃと踏み潰し始めた。

ああ、もったいない。2束分ぐらいはあったろうに。

437 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:18:55 ID:U58wBXLx0 [23/49]

　| , ――-- ..,,＿
　|' ,－- ､　　_,,..,_ `、
　|/::::::U:::｀-' :::::::::`､ !
　|:.:.―ヽ:.:.:.:.: ,-―- |
　|T'(・二 i⌒i ・二)'フ　　　　　ど、どうだ……？
　| `ー- ┤,├― -'.|
　|　 u　　!.___! 　　 |
　| ::::=========:::: |
　|:.:.:.:.:.:.:.:==.:.:.:.:.:.:/
　|ヾ､::::::::::::::::::::／
　|＼￣／￣
　|＼` <
　|　＼ >
　|　　　ヾ

　　　　　　　　　　　 -､─-､ , -─;z..__
　　　　　　　　 -､─ゝ　 ′　　　＜
　　　　　　　 ∠-‐ゝ　　　　　　　　ヽ
　　　　　　／　 ,＞　　,　.ﾊ　i　,、　　ｌ
　　　　／　　∠-ｧ　,.ｨ /、ゝトゞ＼　　|　　　　　……だめ、みたい？
　　／　　　　 //イ'=＝　 u ＝=　|.r.､!
.　/　　　　 /　　 | ､f;j　ｌ　ｌ　f;j , u||ﾕ}ﾄ、
　l　　　　　ｲﾍｰr-､l/// ﾉ　ヽ ///　!ｰ':! ヽ､_
.　ヽ.　　　 |　|　ｌ　 l r‐-`ニ´-─､　ﾄ､.|　 |- 二
　　＼　　 |　!　l　ド､ｰ─── '／　〉　:|
.　　　　＼　 |　!　　 |　 lﾞヽ二 ‐ ´　／/　 |
　　　　　　 ` く　　　 |　 |　ﾄ､　　／ /　　 |
　　　　　　　　　＼　 |　:|／｀ヾー/／　＼　|
　　　　　　　　　　　ヽ|　　　　o∨´==　　 `

　　　　　　　　　　 _＿_　　＿
　　　　　　　　＞ｰ:::::::`´:::::::::;Ｚ._
　　　　　　　　∠:::::::::::::::::::::::::::::::::＜
　　　　　　　 /:::::::;ｨ::ｨ ;ハヽ;::::､:::::ヾ　
.　　　　　　　１:: ﾉﾌjメ._v _>ﾍ｢ﾊ. :↑
　　　　　　　　ｈ.ﾋr',ニヽ＿r'ニ.ヽ.〕r|　　　　　　　　ぐっ……ぐっ……！　ちくしょう、ちくしょう……！
　　　　　　　 |ｆ|| い)-ﾟﾉｰﾍﾟ-t)丿||ｆ|
.　　　　　　　 ,ゞ|:u ￣〈_ _ _〉￣ u |K　　　　　　　　　
　　 _,,　-‐''7::: |　）(二ﾆﾆニつ（　|:::ヾ''‐- ､._
‐''"´:::::::::::::::i:::::::ヽ._　　 ‐一　　_.ノ ::::::ｉ:::::::::::::::｀'''‐　　
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:::::::::::r',二Yﾍ ::::::::ﾄ､｀ ‐---‐'´ノ|:::::::::r'Y二.ヽ::::::::::
::::::: ｛. -ー{_ﾉ:::::::::|　｀　‐-‐ '´　 |:::::::::し}ｰ-　｝::::::::
:::::::; ﾍ. ',二j ）‐''ﾌ|　　　　　　 |く⌒（〈こ¨ 人:::::::
:／:{:::::ヾ＝ｲ::::::|oレ;:=＝＝=､、 |o|:::::::ヾｰ''´:ノ:`ｰ
:::::::::`::ｰ::フ′:::|:::|´∠二二＼ヾ;|:::|::::::::::‘く´::::::::::::

しばらく潰れてしまったやくそうを眺めて、何も起こらないと見ると、男達は肩を落として去っていった。

438 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:19:54 ID:U58wBXLx0 [24/49]

　..　.:.:.:.　　... ...:.:.:.:.:. .:.:.:.:.:.... ....　..　... ..　　.... .. ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:...　......　　. .... . .... .. .:.:.:.:. ....　r ⌒ヽ .:.:.. .. .
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'::',:'':'`::'::',:'':'`::':'::',:'':';:;..,"'`',:'':'`::'::''::',:'':';:;..,"'`,:'':'`::'::',:'':'::',:'':';:;..,"'`::'::',　'""''|i!''"　　,i|! .....i|!,.,;:;；`;；i`:;：i;,.
'::',:'':';:;'"'"''::',:　'"'"''::',:::'::',:'':'`::'::',:'':';:;..,"'`'::',:'':';:;..,"'`'::',:'':';:;..,"'`'::',:'':';:;..,":,.,i|!、'`'::',:、'':';:;..,..、""'|i!''"
',:'':';:;..,"'`',:'':'`::'::''::',:'':';:;..,"'`,:'':'`:: 　　　　　　　　　　　　　'::',:'':'::',:'':';:;..,"'`::'::',:'':'`::'::　'::',:'':';:;..,":,.,i|!、
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　　'':'`::'::',:'':';:;..,.　　　　　　　　　 ';:;:;..,"'`',:'':'`::'::'':　　　　'':'`::'::',:'':';:;..,"'`'::',:'':';:;.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'':'`　　　　　　　::'::',:'':';:;:;..,
　　　　"'"'''':'`::':;:;..,"'`',:'':'`::'::'':':';:"'"'''　"''''':'`::':':',　　　　　:'':';:;:;..,"'`',:'':'`::'::'':;:;..,　　　　"'`',:'':'`::'::'':

　　　　　　　　　　/´三三`､　　　ﾕﾗｧ
　　　　　　　　　//":::::::::::ﾞヾ､
　　　　　　　　　l;;| （_人_） |;;|　　　　　　……こりゃあ、どっかから話が漏れたかお。
　　　　　　　　｀i:;｀ゞoヾ;;´i´
　　　　　　　　/´::::::|i|:::::::ﾞヽ
　　　　　　　 |::::::::::|i|:::::::::::|
　　　　　　　 |::::::::::|i|:::::::::::|
　　　　　　　ｊ;;;;;;;;;;|i|;;;;;;;;;;」
　　　　　　　　し　　　Ｊ

その背中が見えなくなるまで見送った後、【クローキング】を解除して、一息。

439 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:20:54 ID:U58wBXLx0 [25/49]

　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　／￣´　　　｀＼
　　　　　　　 / 　　　　　　　　　＼
　　　　　　 / 　　ｨヘ､　　　　　　ヽ　　　　　阿求さんなら、こんな杜撰な計画は立てんだろうしお。
　　　　　 / 　／　　　ヾ　　　　　　ヽ
　　　　　/　|/（●）　　　＼　　　　　ヽ　　　　そもそも自分でやりそうだし。
　　　　　{　〈　　（__人__）　>　／　　ｲ
　　　　　トゝ＿｀ ⌒´　イ_∠_ｨ_イ´
　　　　　　ｲミー￣フ二￣´＿〆゛ゝ
　　　　　ん＿＝　ー三　イ､_＿─＼

あれらが探していたのは、【いのちのきのみ】だろう。

阿求さんが研究者だか研究所だかに持ち込んで、そこから漏れたか適当な破落戸にでも確認させているか……。

それとも、あの資料室でのやり取り自体を誰かに聞かれていたか。

　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　,. -'"´　　　　　　｀¨ー､
　　　　　　　　　／　　　　　　　/￣ヽ＿.ヽ　ヽ、
　　　　　　 ,,.-'"＿＿＿/Ｖ￣　,,.-'"｀　　＼..　ヽ、
　　　　　　 /　｀ﾞノ''ﾞﾞﾟ　　　､_,,.-'' 　　　　':'"　＼..　ヽ、
　　　　　　i　／.　　　　　　．。- = ナ '´　　　|..　　　ヽ
　　　　 / )ﾏ=t7心。、　　ー―――.　　　　 |.　　　　ヽ
　　　　　/ ./. 弋ﾓ_无　　　　　｀¨¨´　　　　　　 |　　　　　　 i
　　　　 /　 )　　｀¨´　ﾉ　　　　＼　　　　| |　　　/. 　　　　 l
　　　　,'　　＼　　　 ,'　　　　　　ヽ　　　U　／　　　　　　 l
　　　　i　　　ﾍ　　（　　　i　　　　　）　　　／　　　　　　 /
　　　　',　　　　＼..　｀ﾟ''｀｀ﾟ''ー' ´　　　 /.　　　　　　／
　　　　ヽ、　　　　ヽ　　　へ　　　　／.　　　　　　　/
　　　　　　ヽ　　　　　￣￣￣￣￣￣.　　　　　／
　　　　　　　　｀¨ｲ　ー￣三￣二三￣二三[]=イ"ゝ
　　　　　　　　　 /　　ー　　＝＝＝＝＝　ーノヤ彡 .ヽ
　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ

…………もしそうだとしたら恥ずかしすぎるんですけど。

いやいや、そもそもだとしたら【いのちのきのみ】なんか狙う前に自分を襲って剣を奪う方が手っ取り早いだろうから、そんな事はなかったという事にしておこうそうしよう。

……部屋の出入り口にワイヤーでも仕掛けておこうか。今も鳴子は仕掛けてあるけど、もう少し殺傷力の高いヤツでも。

440 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:21:54 ID:U58wBXLx0 [26/49]

　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　／（●）　（●）＼　　　　　　一応、報告しとくかお。
　　　　　　／　　（__人__）　　　＼
　　　　　　|　　　　｀⌒ ´　　　　　|　　　　……ほっといても近いうちにいなくなってそうだけどお。
　　　　　　＼　　　　　　　　　　,／
　　　　　ｲ　ー￣三￣二三[]=イ"ゝ
　　　　 /弋＿ー　　＝　ーノヤ彡ﾉヽ

　　　　　　　 _ _　　　　　　　　　　　　。　　o　Ｏ
　　　　　　, ´　｀ヽ　　　　○　　。
　　　　 ! 　　　　!　　　o　　　　○　Ｏ　　　_ _゜
　　　　　　ヽ、__,.ノ　　　　　　　　　　o　　　, ´ 　｀ヽ
　　　○　　　　　　Ｏ　　o　゜　　　Ｏ　　 ! 　　　　!
　　　　o　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ、__,.ノ
　　　　　　　　。　o　　　Ｏ　　゜。　　　Ｏ　゜
　　　　　　ﾟ　　　　　○ 　　　　　 _ _
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , ´ 　｀ヽ　゜　　Ｏ　　。
　　　　o　　　ﾟ　○　。　　Ｏ　　　! 　　　　!　　o
　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ、__,.ノ

光の粒になって消えていくやくそうを見ながら、さらに一息吐き出した。

光が溶けた後には何も残っていなかった。妙に胸騒ぎがした。

441 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:22:55 ID:U58wBXLx0 [27/49]

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／＼
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　　　　　　　　　　　　　　　　　 .／／／:|| || ||＼＼＼
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.　【全ての学びを志すもの、この門をくぐれ。受講大銅貨1枚から。未成年無料。昼食支給】　　　艸艸艸
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寺子屋は、傍から見ているだけでもフル回転で稼動している事が良くわかる。

その多くは孤児院に住んでいる未成年の子供だ。わざわざ反対区画の孤児院からでも通いに来る子がいるぐらいだとか。

中から子供の笑い声が響いている。明るい雰囲気に、思わず微笑みが零れてくる。

まあ、狙い通りなんだろう。

442 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:23:54 ID:U58wBXLx0 [28/49]

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　時間割表
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　 ┌――――┬――――┬――――┬――――┬――――┬――――┬――――┐
　　|　　　　　　|　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |
　　|　　　　　　| 第一教室 | 第二教室　| 第三教室 | 第四教室 | 第五教室　|　　茶室　 |
　　|　　　　　　|　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |
　 ├――――┼――――┼――――┼――――┼――――┼――――┼――――┤
　　|　　　　　　 | 　　　　　　|　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |
　　|.1時間目　｜　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |
　　|　　　　　　 |　　　　　　|　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |
　 ├――――┼――――┼――――┼――――┼――――┼――――┼――――┤
　　|　　　　　　|　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |
　　|.2時間目　｜　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |
　　|　　　　　　|　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |
　 ├――――┼――――┼――――┼――――┼――――┼――――┼――――┤
　　|　　　　　　|　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |
　　|.3時間目　｜　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |
　　|　　　　　　|　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |
　 ├――――┼――――┼――――┼――――┼――――┼――――┼――――┤
　　|　　　　　　|　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |
　　|.4時間目　｜　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |
　　|　　　　　　|　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |
　 ├――――┼――――┼――――┼――――┼――――┼――――┼――――┤
　　|　　　　　　|　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |
　　|.5時間目　｜　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |
　　|　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |
　 ├――――┼――――┼――――┼――――┼――――┼――――┼――――┤
　　|　　　　　　|　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |
　　|.6時間目　｜　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |
　　|　　　　　　|　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　　 |
　 └――――┴――――┴――――┴――――┴――――┴――――┴――――┘

評判が広まっているのか広めているのか、高等学問や礼儀作法など、銀貨以上を取る講義の方もぽつぽつと稼動し始めているらしい。

専用の受付があり、飛び込みで受けられるその日の時間割が張り出されている他、予約可能な講座の一覧が冊子にまとめられている。

それ以外でも希望があれば要相談で受け付けるとか。

人材がオールマイティすぎると思う。

443 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:24:54 ID:U58wBXLx0 [29/49]

　　　　　　　　　　　　　　　／:.￣:.｀ヌ:´. : :￣:_:二ﾆＸ _
　　　　　　　　　　　　　 . : : : : :/⌒ヽ-‐‐ｧ ´. : : :.Ｘ⌒ヽ⌒ヽ__
　　　　　　　　　　　　　 /: : : :／乂_.ノ:.／: : : : : ∠二ヽ: ::＼ Y:ﾊ
　　　　　　　　　　　/: : : /､＼: : :／: : : : :.／. : : : : : : :⌒∨:.:.i
　　　　　　　　　　　　ム斗く: :.＼:7´. : : : : . ' : : : :/: : : : : : : : ∨:|
　　　　　　　　　　／: : : ﾑ:/＼ /: : : : : : / :/: : :/: : : : : : : : : : Ⅵ
　　　　　　　　　 . : : : : :/: /: /:/: : : : : : /:.::i: : :/: : : : : : :.:i: : : : : :.
　　　　　　〃: : : : :i: :/: /:/: : : : : : :Ｔ: 十:.ナ: : : : : : : i: : : : : : :.
.　　　　　　　　i:ｌ: : : : : .!/: /:/: : : : : : :i: |芋〒ﾐxj: : : : : : :ﾘ i: : : : : : :.　　　　　　いらっしゃいませー。受講希望者の方ですか？
　　　　　　　　从: : : : : :∨:/: : : : :.:i: : i: |上ｿ　　}:i : : : : /!メi:|: : : : :.:i
　　　　　　　＼: : : : V: : : : : : :l: : l: |~¨´ 　从: : ／ム斗!: : : : : |
　　　　　　　　　　　＼: : }.: :.i: : : :.:l: : lＮ"""　　　　 jkｿ!: ｲ:ﾘ: : : : : ﾘ
　　　　　　　　　　　　　): 从:.j: : : :.从:.|　　　、　　 ' ""ﾘ': :/: : : : : /
　　　　　　　　　ｰ＝≦:X: :ハ: : : : : : ＼　　　　 ´　　. ｲ:／: : : : : /!
　　　　　　　　　(__ ／: :Ｘ／＼⌒Y ＼: ヽ　 _ ..　＜:／/:: : : :.／:ﾘ
　　　　　　　　 r─く: :　／　∠ ＼(｀T１　片〉　／／ ∨:/: :／: ::人
　　　　　　 _片ミx}Ｋ＼∠二二7＼ム斗く＼し / r ∨:/: : ／
　　　　　　「　＼　＼〉/＼ﾆ二7　/＼ Y/ ＼// し'　 ∨: /(
　　　　　　　｀Yニ{ﾄ、　＼　〉ニ∧/二7∨ﾆ二/∧ 　　　∨＼
　　　　　　　ﾑﾆ7乂＼　＼レ'〉 7＼7 / ＼_.7　j　＼　 /|ﾆ二＼
　　　　　　　ﾑ斗!　　　}＼ /⌒ヽ/＿__/__ 斗＜⌒ｰ/⌒ヽj 二二!＼
　　　　　　/　　ムヌ Kﾆ7乂__ノ´　　　　　　　　乂_ソﾑ二二|.　＼
　　　　〈　　　　ム斗く　　ﾉ　Ｋ　Ｏ　Ｓ　Ｕ　Ｚ　Ｕ　∨　＼ﾆ|　　　ト、
.　　　　 Ⅴ二7´　　　　}下{　　　　　　　　　　　　　 |　　ヽ!二二|　＼
　　　　　　〉二!　　　 __ムj八　　　　　　　　　　　　　 |＼　　 |二二j　　 iヽ
　　　　　　ム. 斗＜二二二}∠＼　　　　　　　　　　 _　メ.二＼ﾉ二二{　　 | ハ
　　　　　く　　　　 Ⅴ二　斗ﾆ二7´￣￣/二二ﾆ≠x≦　Ⅴ二{´　　　「二ﾑイ.ト、
　　　　　　＼　__ ノ＼＜　ﾑ二.7　　　 /二二二７　＼ .ム .斗　　　ﾉ二二ﾉムﾄ、

受付には、まだ女の子、と言っていいような女性が一人詰めていた。

近寄っていくと、愛想のいい声をかけられる。

444 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:26:01 ID:U58wBXLx0 [30/49]

　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　／　　　　＼　　　
　　　　　　　　　　／　─　　 ─　＼　　　　　ああいえ、阿求さん……稗田阿求さんはいらっしゃいますかお？
　　　　　　　　／　（●）　（●）　＼　　　　
　　　　　　 |　　　（__人__）　　　 |　　　　
　　　　　　　　＼　　　｀⌒´ 　　　,／　　　　
　　　　　　　　／　　　　ー‐　　　　＼　　　　

　　　　　　　　　_..-───-..＿,rz､
　　　　　　　 _..／'　　　／,.-7´:::⌒ヾ.
　　　　 ,r＜〈::/　. 　 /／../...|　........:::丶
　　　　/:::::__,ｲY　 :　 /'....../|::/|ヽ:::::::::l:|:､:＼
　　　ﾉ:／イヽﾊ　 ! /:::::::,',ｲﾁﾐヽ､:::l:::从:ｌ､ヾ!　　　　　　
　　　"´ {:::::/::::∧ |/ ::::: l{乂ｿ}　　ｰrﾒ从|:ﾄ､|　　　　　……今は席を外しています。
　　　　　＼{::::/r─{::::::::::|` ー'　　 {ｿ}､ﾉ|ﾉ､ヽ　　　　　
　　　 `ー=彡/ ／∧:l ::::し)　　　 '　ﾊ::､::-ﾐ_ﾉ　　　　　御用でしたら承っておきますが。
　　　　　`ー')_,..<´＼≧＝≦_　 ´ イ､|:､:＼ー｀‐　　
　　　　　　　　　 <＞┴┴＜lフ´ｰ'⌒ﾉ' ｀ー‐' 　　
　　　　　　　　　<≫=-､＼／ ≫>､　　　　　　　 _-ｸ-,　
　　　　　　　　 //イ＜≫､ｆy'＿＿,:＼　　　　 / r'ｧク
　　　　　　　　,'/iiiiiiiii,' ／|ゝ' Kosuzu｀ヽ　　　 l　 }'ｲ-}
　　　　　　　 /'´ ￣/'iヽ/| ＼　　　ヽ　 l　　 _/　 _／
　　　　　　　,''　　/iiiiii/iii|　　＼　　丶.ﾊ__,r/≧亠､
　　　　　　 /──!─/iiiiﾊ　　-､ヽ.　　/ ﾊi/　　　 /
　　　　 /iiiiiiiiiiiii　,'　　l─f￣￣二T'┬-{　　　 /
　　　　,'iiiiiiiiiiiiii!　　　 |＿ゝ､＿ｨ‐┼┼.､ゝ.　 /|
　　　　 ,'ー──!─-..._|　　　　|　ﾞ．l　＼､ /iii!
　　　　 ,'　　　　,'iiiiiiiiiiiiiii!＿__　　 |　　l　ヽ　ヽ'iiiii|
　　　 /　　　 ,'iiiiiiiiiiiiiiiii＝　!　　ﾞ.　　!　ﾞ．　丶|
　　　 ,'───|─-..iiiiiiii　　 |　　　ﾞ．　ﾞ. 　　､　＼

声をかけると、愛想の良かった笑顔が消え、スッと目が細められた。

あ、やべ。怪しまれてるか。

445 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:26:56 ID:U58wBXLx0 [31/49]

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´.::::::::::::.｀　、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , ´ .::::::::::::::::::::::.　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　.:::::::::::::::::::::::::::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {　　ーｔｭヽ!/ｨﾁﾉ　　　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ゝ　　' ::::::::::::::::ヽ　　ノ　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　 , '　　　 .:::::ゝ:::::入::::::ノ:::::::.　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　γ　　　　 .:::::::::::::::::::::::::::::::::::.　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 /　　　У　.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.　ヽ　　　Ｙ
　　　　　　　　　　　　 |　　　ﾉ　　.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.　　　　ｌ
　　　　　　　　　　　 {　　 {　　　.::::::::::::ノ::::ヽ:::::::::::::::.　　} 　　.λ
　　　　　　　　　　　　　ハ　　 j、　 .:,::::::::::::::::::::::::::::::::.､:. 　ノ　　　　 ∨
　　　　　　　　　　ﾘ　 /　￣::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::￣　 ∨　　　 ∨
　　　　　　　　　　　　　　/　 ./　　.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.　　 ∨　　　　|
　　　　　　　　　　　　 { 　 ′　 .::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.::.　　 ∨　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　 /　 ′　 .:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.　　 ∨　　　　∨
　　　　　　　　　　　ハ　　　 .:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.　　　　　　　　 ∨
　　　　　　　　　　　　 ′　 {　　 :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 　　 λ　　　　　|
　　　　　　　　　　 ′　　　　 :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::　　 /　 >､　　　 |
　　　　　　　　　　　ｊ　　　　/ゝ　　 ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::　　ｲ　　{/∧.　　Y
　　　　　　　　　　 /　　　 /　 /;:;:≧ー::--:::::::‐ﾞ‐:::::::--::―匕;:;:∧ 　 7/〉_　　|
　　　　　　　　 /　　　 /　./;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:∧　{'// } 　 |
　　　　　　　　　　{　　　　}　/;:;:;:;:;:;:;:;ｘf"”ヽ::::〃::ヾ::: ／”"'''''‐≦;:;∧ ∨ノ　 ′
　　　　　　　　　　ヽ　ﾄ　 | /;ｘf"”　　 .::::::::::::ゝ＿ノ::::::::::::::::::.　　　　ゝ‐'´∧
　　　　　　　　 //}.ノ　 ′ 　　 .::::::::::::::::::/;:;:;:',::::::::::::::::::::::. 　　 |　　　 ∨∧
　　　　　　　　　　 ///　　 ′　　.:::::::::::::::::::::, ';:;:;:;:;:ﾍ::::::::::::::::::::::.　　 |　　　 ∨∧
　　　　　　　 ///　　 .{　　 ::::::::::::::::::／￣￣￣ヽ::::::::::::::::::::.　　 |　　　　 ∨∧
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　　　　/::::::′///　　　　　＼___, ::::::::::::'从　　　　　　　从、＿_　,从　　　　　 __∨∧　　　　　 _
.　　　/::::::::|_//∧　　　　　　ﾊ＿___／从/|　　　　　　　　|/从从从 /}　　　　 |:::::l∨∧　　　 /ﾐ|
　　　′:::::::::::}/l:::|　　　　　　从从从//ﾘ　　　　　　 ∨///////}　　　　 |:::::| ∨∧ . 　 /ﾐ/
　　　|:::::_::::::/ ':::::| 　　　,. =ニ}///////!､＿　　　　　　 ∨/////,〔　　　　.|:::::ﾑ ∨∧　./ﾐ/
　　　|::::{/` /::::::/　　　ノﾆﾆ二}//////∧ニﾆ｀ー―´ニヽ,∨////λ 　　　 |:::::::ﾑ ∨/∨ﾐ/
　　　|::::|l_ノj:::::/ 　　 /三三／////////ｊ三三三三三三三ニ= ､/∧　　　 |::::::::::::｀∨∧/
　　ヽ/　ノ:::/　　　 /ﾆﾆ／////////／二二二二二二二二二二ニヽ＿＿_ :::::::::::::::::∨∧
　　　　〈___/ 　　 /ﾆﾆﾊ////////'´三三三三三三三三三三三三三三三∧::::::::::::::::∨∧
　　　　　　　　　　 /ニﾆゝ-----　'ニニニニニニニニニニニニニニニニニニ∧::::::::::::::_∨∧
　　　　　　　　　 , '三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三ヽ:::::::::{　∨/
.　　　　　　／ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニﾆ＼:::ヽ

……ぼろぼろのマントで斧ぶら下げた与太者がいきなりオーナー尋ねてきたら怪しむか。

怪しむな。うん。誰だってそーする。俺もそーする。

ここで懐剣とか見せたら……手が後ろに回るかもしれない。

446 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:27:56 ID:U58wBXLx0 [32/49]

　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　／　　　　＼　　　
　　　　　　　　　　／　─　　 ─　＼　　　　　……あー。いえ、いいですお。
　　　　　　　　／　（●）　（●）　＼　　　　
　　　　　　 |　　　（__人__）　　　 |　　　　ちょっと報告があっただけなんで……出直しますお。
　　　　　　　　＼　　　｀⌒´ 　　　,／　　　　
　　　　　　　　／　　　　ー‐　　　　＼　　　　

　　　　　　　　　　　., -‐-､ '"´￣￣｀''　､.,,_
　　　　　　　　　　　{　　r　)　 ,.. -　　　　、｀'　、
　　　　　　　　　　ノゝ-'イ／　　　｀ヽ　ヽ　｀' ＜ゝ-､
　　　　　　　　 , '´ ／　　, '　　／ ,　'"´＞　　　ｒ‐く　ｒｧ )
　　　　　　　／ , ､　　　/　　 / ／　 ,:'´　　　　ヽ、ヽイﾊ
　　　　　／　 /　＼　/　　　l, ' /　/　　　　　　} 　 ',　∨l|
　　　　 /　　 ,　　　 '　　　 /‐ナト{　　　　　　ﾊ　 . 　| |　　
　　　　.{　　{/　　　 '　　　/彡テミ､　 ,'　　,' -/､| 　 l　 | |
　　　　 ',　八　　　//　　,ｲん　ﾊ　 ∨| 　/!_/　|| 　 | 　| |　　　　　……はい。
　　　　 ∨　　、　;　{ 　　|乂__クヽ　"´　f斤ﾐ　　,'　 ;　|.
　　　　ﾉ　　　ヽ;　　、　 |､　　　　ﾉ ⌒Y んｸ }　 /　./　|l　　
　　`ｰ''´ ）　ﾊ､{.　　l＼　､　｀"´　　　､＿.ノﾑｲ／　八
　　　　＜.,__ノ　　| 　　　`r-ヽ　　 ,　-､　　　∠ イ/　　,'　ﾊ　
　　　　　　ノ　　人　　　|＼　　(　　ﾉ　　 / 　 /　　/ ノﾉ
　　　　 ∠.. -‐''　　ヽﾄ､　、　　、　　 _,,.. イ　 , '　／_　（
　　　　　　　　　ノ￣}::::::::＼{.＼　/｀て＿　ノ ∠...//´　｀'' ､.,__,. -=､
　　　　　　　r'コ二＞､:::::/　＼＼r'{＞r 、　　 .// 　　　　//　　/
　　　　　ｒ､／　　＼　∨　　 /ヽヽ/::∨ 、　　// 　　　　 // 　　/
　　　　 ,ﾍ＼　　　　∨ l＼ /:::::::Yヽ/　 }ヽ／l/ 　　　　//　　 /､
　　　 /:::::::＼/ヽ　　　 ∨ヽ　ヽ／　/　 / / 　L.. -‐ つ　//　　r‐'　}

……振り向いてその場を去る。

背中に視線を浴びながら角を曲がった。

448 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:28:28 ID:U58wBXLx0 [33/49]

視線を切ったところで、【クローキング】で潜入してみようか、と一瞬考える。

　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　／　　　　＼　　　
　　　　　　　　　　／　─　　 ─　＼　　　　　　……さすがにやめとくかお。バレたら首が落ちそうだお。
　　　　　　　　／　（●）　（●）　＼　　　　
　　　　　　 |　　　（__人__）　　　 |　　　　
　　　　　　　　＼　　　｀⌒´ 　　　,／　　　　
　　　　　　　　／　　　　ー‐　　　　＼　　　　

しかし、別に緊急の用事であるわけでもなし、わざわざリスクを被る事もない、と寺子屋を後にした。

結局その後も、一週間、二週間、とズルズル阿求さんには会えないままだった。

449 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:28:55 ID:U58wBXLx0 [34/49]

　　　　　　　　　　　―――この時、無理矢理にでも会っていたら、どうなっていただろうか。

450 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:29:55 ID:U58wBXLx0 [35/49]

ヽ..　　::::|　 ,i´ヽ
ヽヽ. 　:::|　 |　　＼
　 i i 、:::|　〕__＿＿＼　　　　ノ;ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　†＿＿＿＿
　　`: `: |　 |;;;;;|￣|￣|　　 _／;;;;;;;;;＼_　　　　　　 †__　　　　　　　　　　　　/ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;
　　 `: `:　.| ;; |＿|;;; | 　　|￣￣￣~|　　　　　　　　/ヽ/山　　　　　　　　　 //ヽヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;
　　　 ` ゝ |ｿ└ ┘;;;|　　.|:::| 口 |::::|　　　　　　　//iiヾ￣ヽ　　　　　　　　　 //　√;;;;;;;;;;;;;;;;;;
　　　 .|　 |;;;ゞ;;;;;;;／≡ヽ |:::|::.*.::|::::|　　　　　　 //:皿:ヾ　┌i　　　　　　　　　//　　　 l;;;;;;;;;;;;;;;;;;
　,-.､　 |　 |;;ゞ== //／　/ヽ::|　 . |::::|┌───// ﾄ＝ｲヾヽ| |　　　　　　　　ヽ | || | |　|;;;;;;;;;;;;;;;;;;
,i:::::::i.　.|　 |（( ─ )）ﾉ　〔（）〕::|　　|::::|_ﾉ;;;;;;;;;;;/L/四品四ヾ| |ヽ　　‡ 　　　 / | || | |　ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;
l i::::::l　 |───┬┬─￣|@.~￣　 ||ﾉ| /|／イ─────ヽ　ゝ／＼　　　/　　　 _,,.. -;;;;;;;;;;;;;;;;;;
|;;;i:::::|　.|ゞヽ .┌┴┴┐ | |ヽ＿　 |;| Kﾉ／ || ||ﾛ||ﾛ||ﾛ||ﾛ||;|￣|ゝ/￣ヽ　　/‐エ''"´──
|;;;i:::::|　.|l;;　　│Ｃａｆｅ.|　| |@/;;;;;;ヽ |;| |ﾑ-|‐|||──┬──||　 | /;;|[]|;;;ヽ─┌|┌┐l┌┐
|;;;l:::::|　.|;|ヾ;ｿ└──┘ | | .|　　　| |;| |＿.| .||ﾄ ─ .┴ ─ ┘___|_||~:[]　||;;ヾ l|;;|││|││
|;;;|.....|　.|;|　;;ゞ ...:::::|| .|≡| |┘　　└!;|| 乍.| ||┌田田田┐|　 |..||~:[]　||l─ﾉ|ヾ;;;i::;;ゞ;;;ヽｿ
|;;;|　 |　.|;; ヽヾ .. ::::|| .|三| | |　　　　ヽ. ヽi_,-,-,-,- ヾ;;;i::;ｿ┘|　 |..||~:[]　|||　/ ヽ────
|;;;|　 |　.|;; | | ゝゝ.─┘／／　　　　　　) )　! ! ! ! ! |───|─ ;;ゞ:::[] 丿|/─ヽへ [￣￣]
|;;;| 　|　 |　|:|= 　　　／／　　　　　　　＼＼──[.i───! i .| |ヾ　　ヽ─|[][| |;;;| .￣￣
|;;;| 　|　 |　|:|三三　// /　　　　　　　　　`'‐.､＿　||｀`'‐.._.| |ﾄ‐.､.､.._. ii .|　.|;;;;;| |;;;| 〔〕〔〕
i;;;|　 .| 　|　トヽ　　 l l .l　　　　　　　　　　　　　　｀`'‐.､､.._.|..|ﾄ'‐.､.､.._ | ﾄ‐--.､_____　　　＿
i;;;|─.|-'`|￣　　　　.| | | 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀`''‐.､､.._. | ﾄ‐--.､_____￣￣| | |
i;;;| 　.|　 |　　　　　　| lヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`'‐.､　　　　￣￣ | | |
ヽ| 　.|　 .|＿　　　　 |　l ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ `'‐‐‐‐‐‐‐| | |
. l|＿ | ／／　　　　ヽヽ＼
. ||／／／　　　　　　i、 i、 i、
　　/　/　　　　　　　　ヽ. ヽ. ヽ.

　　　　　　(ヽ、００　　∩
　　　　⊂ニ、ﾆ⊃　⊂　⊃
　　　　 ,, -‐- ＼　　　| |／⌒ヽ
　　　　（ ⊂ニニ　　 /　／⌒) ）　　　(ヽ、００　　∩
　　　　｀ｰ――'′　し∪　（ノ　　⊂ニ、ﾆ⊃　⊂　⊃
／￣ー―‐　、　　　　　　　　　　　 ,, -‐- ＼　　　| |／⌒ヽ　〇　〇
:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ　　　　　　　　　（ ⊂ニニ　　 /　／⌒) ）
:::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ヽ　　　　　　　　｀ｰ――'′　し∪　（ノ
:::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ::::i　　 ., -―- 、　 ___
:::::::::::::::::::_＿_ノ､/〉'　／::::::::::::::::::て/::_:::ヽ
:::::::::::::::/ u　て;/7　/::::::::::::::::::;ｧ､､:::「ｪヽ::〉 __
::::::::::::/　　　　 /〈　 i::::::::r､::／=ﾐ｀く.u J／:::::::::＼
:::::::::::j　u　　､ ´_}ヽ.|::::::iｵ/u　ﾆi < iヽｧ/:::::r----J　　.r:´二ﾆヽ
::::::::::i　　（二７´_.L.,　､ハ　〉　_　_ﾏ/ﾝ::::r ' ;tr /;j　　　i::/r-､r-|　 r一ー､
::::::::::|、　　 .r ' c ／､:.:.:ヽヽ　ｰ」: : : : ii ヽu.___､/　＿ん' ｀´ム.'　 |:::r―┤
:::::::::／￣ ´」ｰ／:.:.:.:.＼:.:.＼＼__j: : : : : ヽ　ヽフ｀ヽ´　 | | ヽ'ｰン､ _/ﾊu.'_' |
i:i i:::i:iヽi　´　!':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼:.:.',:.:i: : : : : : : :「=| : : : |: !　　７!｀:´|<　７ﾏ.ヽー'

その日のアオバ通りは、人でごった返していた。

451 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:30:24 ID:U58wBXLx0 [36/49]

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i|::::::::::::::::::::::::::}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　八从人从八__}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　 }　)
　　　　　　　　 r-‐‐-　、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　 /.|/
　　　-‐‐┐　　　　{:::::::::::::::::}　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿　　　＼_／　|　　r―‐- 、　　　　　　　あれが―――
　　　::: : {¨', 　　 ({.:::::::::::::::::}　　　　　　　　　　　　　　／::::::::::|／￣｀‐---‐´￣＼:::::::::}
　　　::: : }_'ﾉ　　　　ヽ:::::::::::/　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::::::::::::::　|.　　　　　　　 /ヽ:::::|　　
.　　　=r'〉　＼⌒　___r==┐　　　　　　　　　　　　　 ,-‐‐、　　ゝ::::::::/ヽ|　　　　　　　 /　　∨　　　　　　　　皇都の記録で数百年前に出たっていう―――
　　　　|¨￣＼ v ￣　　￣￣＼/⌒ヽ/⌒ヽ/⌒ヽ . {:: : / }⌒'.__r=={ 　 |　　　　　　 |　　 |ニ､
　　　　| 　　 /. }　　　　　　|/. |/⌒ヽ:::::::::::: . /⌒ヽ}-┘ﾉ　　{|.　　| 　 |　　　　　　 |　　 |
. 　　ﾉ . ＼/　 |　　　　　　|　 |.::::::::::::::::::::::::::::::::::／￣￣＼/⌒ヽ. !____|　　　　　　 |＿＿|ﾆﾆ
　　　　　　　7￣|　　　　　　|____｝::::::::::::::::::::::::: : ∧　　　　 |￣ |　}. | 　|　　　　　　　　　|　　|
. 　　　　 /＿_|　　　　　　| |　|:::::::::::::::::::::::::::::::| |　　　　　{　　|　}. | 　|　　　　　　　　　|　　|＝＝
.　　　　　　　　 |　　　　　　| |　|:::::::::::::::::::::::::: : ヽ|　　　　ｒ===ih |. | 　|　　　　　　　　　|　　|
　　　　======={.　　　　 |/ /.:::::::::::::::::::::::::::::: : |　　　〔二二}i:｣|. |　 |　　　　　　　　　|　　|二二

周囲の人々の口さがない噂でわかった限りでは、討伐された緊急討伐対象が、相当に珍しいモンスターであった、という事のようだ。

今日は休養日で政庁にも顔を出していない（今から資料室に向かうところだった）ので、今の自分はまさしく純粋に群衆の一人だった。

452 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:30:54 ID:U58wBXLx0 [37/49]

.　　　 r‐┐　　 /⌒ヽ　　　　　　　　　 rｰ_､　 /⌒ヽ.　　　ｒー-､　　　　　　　　　　　　　　　　 ∠二ヽ
.　　　 ]ｪｪi　,.-r{＿ノ　　　　　　　　　　　(__{ﾉ　人＿ﾉ　　　 | /⌒}／⌒ヽ　　／⌒ヽ.　　　 /⌒ﾉ　ヽ　｝
.　　　/￣¨Ｙ　　　　ヽ　　　　　　　＿　 /¨¨∨　|　.}ヽ.　　 /＼__ﾉ　 /'¨}　　i{　　　　|　　　 {＿人___ﾉ　ﾉ
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. 　　　　 }__}.　　 | |　{　ﾉ )　　　/}v|ヽ人.＼|.　|＼_／　 .|: |　 |{/￣￣ヽ　 /八リり.ノ＼　 {　　　.∧　　 ∧　　　　　　魔法を操り、言葉を話すとか―――
.　　＿＿/} |＿＿| |/￣ ∨ヽ.　 ! |: |　|｛￣|}.__|＿.}」　　.|: |　 |'. ＼　　ト､{　　　　　　| |　｜　　/　|　　 |　}
.　　　　　 | |′　　.}ﾉ/　　/　}　　L|:_|..ﾉ |　| ||　　　 {　　 }: |. /　　＼＿_∧　　　　　 | | 　| 　 /　 :|　　 |　|
　　　 |　 | |　 f:　 |/} 　　}＿|　　 | | |　 |　| ||　 /}　|　　 }: |/　　　　　|:|　 /　　　　 :| | 　|　 :{　　:|　　 |　|
　　　 |　 | |　 |:　 | /￣￣}　|　　 | | |　 |　|/|　 | |　|　　　}:｛.　　　　　 |:| ./　　　　　 |.」　.|　 :|　　:|　　 |　|　　　　　　魔王―――
　　　 |　 | }　 |:　 | ニニﾆ}_.」　に}つ /__{...|　 { |　|　　｜＼_________从.{＿＿＿_____:|　　.|　 :j　　:|　　 |　|
　　　 |＿| |＿|:　 |　 | | |　| |.　　　　　　 |__∧|__}_　　　|　｜　　　 {　/.　　　　　　 | 　 .|　 :j}_＿|　　 |　|
.　　　 └─|＿つ⊃　とつ匕　　　　　　　　└‐┴‐┘　　|　 |　　　 |　{.　　　　　　 | 　 .| 　 :{}二|＿　|ﾆ|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 |＿＿＿| 人＿＿＿＿__} 　 .|　 /　 }{_|　　| ｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　{　 |　　　 | 　 |　 |　 |　　 | . {　　|.人｝｝} ｜

その躯は荷車に積まれ、自分のいる前方を進んでいるらしい。

人の群れに遮られて、その姿を見る事は出来ない。

453 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:31:55 ID:U58wBXLx0 [38/49]

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　　　　　 /: : : :＞‐, : : : : : : : ／ :｜: : : : ∧ : : : : : : ヽ　　　　　　　　 ,..:´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀丶
　　　　　　 : : : : : : / : : : : : : :/ : : : ｲ : : : /｀ﾞ　ﾍ.: : : : :.∧ 　　　　 ,.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　 l : : : : : / : : : : : : :/: : ／｜: :／　　　ｖ : ∧: ∧ 　　　 /.:.:.:.:.:./.:.:.:.:.:.:.:.:. ;:.:./.:.:..:.:.:.:.:.:',:.:.:.:.:.:.:.、
　　　　 |: : : : : :| : : : : : : :/: ィ≧､ﾉ／　　　　 Ⅶ :∧ :∧ 　　 /.:.:.:.:.:./.:.:.:.:.:.:.:.:.:. |:.:.|l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
　　　　　 l : : /⌒! : : : : : :/´ん心　Ｙ　　ｰ=≦´　!: : : :} : : }　　　'.:.:.:.:.:./.:.:.:.:.:.:.:.:.:／{:.:.{l:.:.:.:.:.:.:.:.:.八:.:.:.:.:.:.:.:.:.
　　　　　　ｖ: / ,ハl : : : : :∧ 乂_リ　　　〃んﾊ｀! : : :从: :j　　 i.:.:.:.:.:.ｉ:.:.:.:.:.:.:.:.:/≧ｘ:.从:.:.:.:.:.:. ｲ:.:.}:.:.:.:.:.:.:.:.:}
　　　　　 Ⅵ　!　ﾍ : : : : {　ー―　　　　　　ゞ-'　从 : /　)ﾉ　　从:.γ|.:.:.:.:.:.:.:./ｨ芹ミx　丶:.:.:/x≦ ∨.:.:.:.:.:
　　　　　　　Yゝ __ｰ＼: :从　　　　　　　　/　｀¨¨ / : ／　　　　ｲ:.:.:.Y　|:.:.:.:.{:.:/{ 弋__リ　　ソｨｆ芥ﾐ､}:.:.:.:.:/　　　　　もう、何よこの騒ぎ……遅れちゃうじゃない。
　　　　{　　　} : : : }｀:ー.､: : ゝ　　　　　　　　彡＜　　　　　,.´:.:.:.:.八　ｌ:.:.:.:Ⅳ 乂＿_,　　　弋_ﾘ　从.:.;
　　　乂:ｰ:' : : : : |: : l : {　　　　　 -　　 ‐　　ｲ　　　　　/:.:.:.:.:ノ:.:. ヽl:.:.:.:|{　　　　　　　　ゝ--'{:.:.イ
　　　　＞　: : : /: :∧:∧　丶　　　　　／　　　　　　 {.:.:.:.:.:.:.:.:.:.{:.: Ⅷ:.|:.、　　　　 __ ′　　从:.｛　　　　　　　何でもいいから早く行ってよね……。
　　　　　　｀フ : : : :{ゝ:_ゝ　　＞　 _ 　ィ　　　　　　　乂:.:{.:.!.:.:.:ﾊ:.:.:Ⅶ:{:.|　、　　 /‐.、}　　ｨ.:.:.:.:.:.
　　　　{ゝ _　イ : : : ､ :乂　　　　　 /: : ﾄ :乂__ノ　　　　　　　　｀ヽ乂:.{　Ｖ:.V∧!　丶　乂: :ｿ ..:.´:.:八:.:.:.:.}
　　　　乂: : : : :＿_: : ＞一　　　 { : : 乂__,　　　　　　　　　　　ヽ　丶,＼{　　　＞r　　´ﾉ;イ/　 ):／　　　　　　　あんなもの見せびらかして何が楽しいのかしら。
　　／´￣￣ヽ /∧､　　　　　　　ト　ﾆ=‐　、　　　　　　　　　　　 x-zz≦Zく｀　　　　Ｌ _　　　}′
　　 ′　　　　　Ｖ/∧＞ー --　、　　 __｀V7ヽ｀丶　　　　 ,　´　∨ZZZZZ≧s。　　ｰ=ﾐーzz.、
　イ　　　　　　Ｖ/∧　　＞　＿　　 ∧/∧　＼　　　 ′　　　マZZZZZZZZ≧s。　 }ZZZﾊ｀ヽ
〈｀丶　　　　　Ｖ//≧s｡　　　　　　￣　Ｖ/∧、　'，_　　 !　　　　＜ZZZZZZZZZZZXZZZZ｝　 ∨
　ヽ|　＼　　　　 }////////≧s。　　　 /////ﾍ　 }　 Y　|　　　　　　　＜ZZZZZ＞'==＼Ｚ∧　　i
　　| 　　ヽ　　　 ///////////////≧=彡/////∧　　/　 ! 　　　 l　　　　　￣　　　　　　丶　'，

集まった（もしくは通りがかった）人々に、凱旋、というほど歓迎の意はない。

何かが話題になれば天邪鬼な人間も出てくるものだが、冒険者の街の冒険者の扱いというのは、基本的にそういうものだった。

センダイ一つを滅ぼせるような怪物を倒した勇者も、化け物が化け物と戯れている、といった程度の事だ。

英雄を妄信して頼りきる事と、果たしてどちらがマシだろうか。さて。

　　　　　　　　　　　　　　　　_, -===＝＝＝===ー-、
　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　ー--=、　＼
　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　／　　ヾ　　｀l
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　 ∥　＿__ |　　 .|　　　　　　　破壊神を破壊した男……とはちょっと違うかお……おっ。
　　　　　　　　　　　　| 　　　　　　　　　　　ヾー-ーナ　　 |
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ、
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　（,,＿,,人）
　　　　　　　　　　　　 !、＿_,,,,,,＿＿　　__　　　　　　￣￣７
　　　　　　　　　　　　　〉＿＿＿ __￣￣〈　　　　　　　／
　　　　　　　　　　　　　＞三三三三》:.::.:.:..＼　　　　／´/

人ごみを掻き分け掻き分け歩いていると、ようやく混雑の中心が見えてくる。

454 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:32:55 ID:U58wBXLx0 [39/49]

　　　　| ┌-´´ヽ|/　廿--（（__○__））~∪　　　|　 |　iヽヽ
　　　　＼＿＿／|　　Ｕ　　　　　　　∪　　　　i　　|　 i .ヽ＼
　　　　／ﾉ |　|　 .i　 i　 ∪/￣~ヽ∪　 __＿___i　　　|　 i　　＼＼
　　／／　| 　|　　i　 ~--|　◯ 　|　／　　　　ヽ　　|　　|　　　|　　|
　／ .／　　|　i~　　ヽ_　　ヽ、＿/ /　　／　　　＼ |　　|　＿|　　|
/　　|　　　　ソ　　　　　ヽ___　　／　／　　　　　　|　　　.／　|　　|
|　　|~＼__/~　＿＿ ___＿　　 /　　／　　-（⌒）ヽ　|　／　　/　／
＼ヽ　　 i~__＿__　　~~~　　　　　／　__／／.Ｖ　二_|~~　　　/／
　　ヽ」　_|-──ヽ＿＿　　--～　　（　／;;;;;;;;;;;;─┐|
　　　∠ヽ／~~／　　／ヽ__＿---／Ｖ─;;;;;;;;;;;;;;;;;;;Ｖ
　　　　　 ,￣￣「-─~

以前一度だけ見かけた事があるまるごとババコンガより、一回り小ぶりのようだ。

それでも10メートル弱の、衣服らしき布を身につけた、かろうじてドラゴンと言えなくもないトカゲ頭の巨体は、横たわって動かないとしても相当な迫力だった。

　　　　　　　　　　　　　　　　_, -===＝＝＝===ー-、
　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　ー--=、　＼
　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　／┬-ヾ　　｀l
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　 ∥　 i、:::::|　　 |　　　　　　あれは―――。
　　　　　　　　　　　　| 　　　　　　　　　　　ヾー-ーナ　　 |
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ、
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　（,,＿,,人）
　　　　　　　　　　　　 !、＿_,,,,,,＿＿　　__　　　　　　￣￣７
　　　　　　　　　　　　　〉＿＿＿ __￣￣〈　　　　　　　／
　　　　　　　　　　　　　＞三三三三》:.::.:.:..＼　　　　／´/

"見覚えのあるそれ"が何かを思い出そうとしたところで、異変は起きた。

455 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:33:55 ID:U58wBXLx0 [40/49]

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　空が、闇になった。

456 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:34:28 ID:U58wBXLx0 [41/49]

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＊　　　／　　　　　　　　　　 , ''./ 　., ゞﾞ.／ .i!'゛　　,..;;ﾒジ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　＋゛ .″,./ 　,./ ..‐ゞ　, ;;シ"／　 ._,,,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　 ,..-'./　,rン´.,./,r/ |'".,,/,, イ',ﾞ./
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　 _..．　＊　　　　　　ﾞ'"_／／゛　._,,　ゞシ/″
　　　　　　　　　　　　　＊　　／　　　　　　　　　 / . lﾞ　　　　　　　　／ン^_.. ‐''´ _,／ﾞ.／　　＋

-　＊　,,, .ｌｭ　　ｌ＼.ｌ .`.,　　　　lﾞ　　　　　　　　　　　　　　｀''-､、　　　｀'-ヽ. ＼　　　＊
l, `-、 .ｌヽ|ﾞ.ｌ､ .,,.ｌ　ｌ､l｀'､　　　!　　＋　　　　　　　　　　　　｀''-､.　　　`ﾞ　 .＼ｈ、
..ｌ　　＼.ﾞ'! !..ｌヽ.ｌ'L'ﾄ　ｌ￢|　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀''-､　　　　 .ﾞﾍ＼
＋ｌ ,　　.＼ .ｌ..ｌ. ﾞ'Ｕ l ﾞ'､ヽ.|　　.!　　<> 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀'-､　　　　　＼
　 .|ヽ　..ｌ. ｀'.ｌ＼ヽl,i､　 .゛　　 .ｌ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀'-､　　　　＼
　　ｌ lY'-..ｌ　　'-, ﾞ.ｌ .ﾘ |j　　　　　ｌ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　 .＼
　　.ヽ|.､、ヽ.　　＼″.ｌ.゛　　　　 . ｌ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＋　　＼.　　＼　　＊
　　　″ .ｌゝ.ﾞへ､　ｌ＼　　　＋　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼,　＼
　　　._.　ヽ　＼ ` |､ .ヽ,　　　　　 .ヽ　　　　＊　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀'-、ヽ
　 .、 .!彡 ,,ヽ..ｌ､..ｌ,　.ｌ＼ｌﾞ'‐　　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　<> 　　｀'-. ヽ
　 .'!ﾐ'､ﾞぐ' |７-ヽｌ　.ヽﾞ'-、　　　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ヽ,
　　　`'.ｌ、ヽヽヽ,｀' .ｌ、 .ﾞレｌ"　　　　　　 .ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`' !､
　ﾞた､.　　｀│.＼..´ . ､.ヽ " 　　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ'.ｌ､
　 . ｌﾞ!ﾐ; ﾞ.ｌ-､　＼　`ぐ--ゝゝ　　　　　　　　　ヽ,　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　゛　＋
　　＼ﾞ'､.＼ﾞ'-､" i､ .、ヽ　　　　　　　　　　　　ヽ
　＊ .､ .＼､,,　ｌｰ､　l､ﾞ'./ -ヽ　　　＋　　　　　　　ヽ　　<>
　　　!ﾐヽ＼｀''|i、 : ＼.ｌ .、ﾞ.ｌ-､　　　　　　　　　＼
　　.i､、｀″ .＼.ｌヽ,-､ﾞﾌ｀''､ヽ｀'　　　　　　　　　　　ヽ,
　　 .ﾞ'ﾐ!ｉ;;､、　｀'|, ｀､,｀'ヽ、 .ﾞ'ﾐ'-、　　　　　　　　　　　　＼　　　＊
. ,,,,　　＼｀' ｌ;; 、　ｌヽ､ヽ,　`､、."　゛　　　　　　　　　　　　　＼
　.ヽ,ﾞ''t-..＼ﾞ'.ｌ'ﾐ-,.ｌ,., ﾞ'-ヽ .ﾞ'ﾐ'-､,　　　　　　＊　　　　　　ヽ,
　　 `'､ﾞ'"'､ﾞ'ゝﾐ,.`.｀.ｌ.＼..ｌ/Ｌ＼ .｀'‐.'〔' 、　　　　　　　　　＼
　　　　＼ .`!￢-i/ｌs..,!、 ...ヽ｀､｀　　　＼.＼　　　　　　　　　　　　＼　　<>
　　＋　　｀-i ﾐ;;､｀'‐`'.ｌi,　　" .`　　　　　｀'､.ｌ,　　　　　　　　　　＼
　　　　ﾞﾞミ'''' !､.｀＼,ﾞ!ｾx＿　　　.|ヽ　　　　　ﾞ′　　　　　　　　　　　　　ヽ,
　　　　　　｀'''ｰゞ'､.　`''ﾐ-｀''ﾐヘ､,.ヽ.ｌ　　　　　　　　　　　　　　　＋　　＼
＊　　　　　 'tｙ..,＼.　 `｀'-,ﾞ!!ト二″　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　｀'ﾐ-ﾐ'ゝ ..、　｀'- ＼ﾞ'″　　＊　　　　　i､,　　　　　　　　　　　　＼
　　＋　　 t､,　　＼`'-,,,..｀''ｰ ,,,｀'-.＼　　　　　　ｌ .＼　　　　　　　　　　　　＼　　＊

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､　 l　　<> 　　　　ヽ　　　 .ｌ　　 .!　　　　　＋.,!　　　 .ｌ　　　 .|/　!　　ｌ゛　　/　　　　　 l′
.｀' ′　　　　　　　　　　ヽ　　　!　　l　　　　　　　!.ヽ　　.! .ｌ　　　│　.!　./　　/　　　　　　　　　　<> 　　　 ,, ‐〕
　　　　 ,　　　　　　　　　ヽ.　　l　 !　　　　　　 .lﾞ　..ｌ.　 l　 !　　　 !　〉 /　 ./　　　　　　　　　　　　 ,..‐″　!
　　　　ト,　　　　　　＊ヽ,　" !　　　　ト､　 |　　ｌ,./　　l　　　.|　 : "　./　　　　　<> 　　　　 ,..-'"　　＋/
＊　　　.| .ｌ　　　　　　　　　　＼ !　　　　 !　｀'､!　　 .|′＊ﾞl　　　.!　　 ./ 　　　　　　　　　　　 , ‐´　 .l　　　　!
　　　　　ヽ.!　　　　　　　　　　　　、　　　,!　　i,l､　　.!　　　l　　　│　./<>　　　　　　　　　＋/ 　　　 |　　 _,,lﾞ
　　　　　 . ｌ｝　　　　　ﾄ、　　　　 ,/.ﾞ'､　＋!　　.! .ヽ　.!　　 .|　　　　.ｌ / 　　　　　　　　　　　 /　　　　 / ‐'´ ./
　　　　　＊ﾞ′　　　　|'lヽ　　　 .lﾞ､,,, .ヽ　 l 　-′ ﾞ!、!　　 l　　　　　　　　　＊　　　　 / 　　　　./ 　　/
　　　　　　　　　　　　 ! .ｌ.ヽ　　　!　｀i ﾞl　 .ｌ　　.ヽ　ﾘ　＊.!　　　　　.|L　　　　./.ヽ　　　　!　ー￢''' ﾞ-．,./ 　　　 .／
　　　　　　　　　　　　 !　ｌ　ヽ　　.ｌ　i./ .l　　ヽ　　 !　,!.lﾞ　.!　　　　　.| .ｌ　　　 / 　ヽ＋　 |　　 .,..-'''￣　　　＊./
､　　　　　<> 　　＋│._.ｌノ !　　..ｌlﾞ　ｌ.!　　　ヽ　 .|　!.|　 l　　　　　/ .ﾘi　　/ 　　　 .ﾞｌ　 !_..-'"゛　./.l　　　　　/
　ﾞ''､　　　　　　　　　　ヽ　､ .!　　./ 　 .ｌ　　　　ヽ　l .li.lﾞ　.!　　　＊.lﾞ　,! ! / .､　　　 ,/｝　゛　　＊./ lﾞ.ｌ　　　　 .l
　/ l　　　　　　　　　　　ヽ |..!　 ,/､　　 l　　　<>.ヽ .lﾞ..ｌ,　|､　　　　ｌ　ｌ　ﾘ　　ヽ　 / 　.!　　　　./ 　|　ｌ　　　　.l
./ 　!　 .'{'-、　　　　　　　ヽ'lﾞ　 .|　ヽ　│　　　 . / ゛　 .ｌ｝｀-..,,_. lﾞ　│　l.　　ヽ/　　 .｝　　 / 　　ｌ　.ｌ　　<>.!
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ヽ.　│　　l. ヽ　　.＼　　　/ .ｌ　|　│/､ ,i′　.,ii　./ |　/＊ .ｌ　 !、　"　　│　 !　　　　/ l 　 ./ 　　　.∨　　　 ._..-''、
　.ヽ. |　　 .!　ヽ.　　<>ﾞ''､/ 　　ｌ ,!　ｌ./ . ﾞ!､　 ./　!"　 7　　　 .ｌ. l |　 .｝　　i.!　i′　　 / 　.l　./ 　　　　　!　 .／´ ,,-'/
　＊ﾞ'″　 .l　＋ヽ　　 i　.ヽ　　.||　'/　　　ヽ /　 .ｌ　 /　　　　 .ﾘ .!　　ｌ　 .l | /＋　　/＊　|./ 　　　　　 .! ./ . ／　/
、　　　　　 .ｌ　　 .＼　.!　　ヽ　 .| ./　　 ,i′ﾞlﾞ　　.ｌ .i! .'､　　　.│ !　　.ｌ　,! .l　　　 ./　　　.ﾘ　　＊　 ,ゞ／　 ./
.ヽ　　　　　　ｌ　　　ヽ.|　　　＼ゞ !ﾞﾞ￣.､　│　　 |lﾞ＊.＼..-'゛.|　.!＋　l .!　.!　　　ｌ　　　./ 　　　　._..-'ブ゛　　 ./
　ヽ　　　　　 .ｌ　　　　ｌ　＋　ヽ│　　│ .l　　　 .!　　　lﾞ　　.!　.! ./ . |　　ｌ　　 .!　　 /<>　　.／ .／　　　　/
＋.ヽ　　　　<>ｌ.　　　　 !　　　　　＼.　＋ｌ ,!　　　　ｌ　　 /　　 |　 ./ 　　!　 .|　　 .!　 ./ 　　　/ .／　　　　　/

次いで、響く轟音。どこか透き通ってさえ感じられるキンキンとした音に、悲鳴が混じる。

宙空に突如現れた、水晶を思わせるような氷の塊が、冒険者と群衆を薙ぎ倒し、凍り付かせていた。

457 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:34:55 ID:U58wBXLx0 [42/49]

　　　　　　　　　　　　　 "._　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　、　　./''．
　　　　　　　　　　　　　 ,ﾉ'λ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 lﾞヽ　　∨
　　　　　 ,...，　　　　／　" l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,..-. i　　　.!　ヽ
　　　　　　/ 　.!　　　 ,./ 　 .，　!　　.ッ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　″　,!　　 /　　ｌ
　　　　　 .lﾞ .／　　.／i　　 ,i′　ｌ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:!／゛　　 .l　　　l ｌ
　　　　　.l／　 . ／　!　 ./ 　　　l.　　　　　　　.,,.,　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | 　　 .! ヽ
　　　　　　　／　　 /　/ 　　　　i′　　　　　　""　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　ｌ.　 !　.ヽ
　　　　　　 / 　　　 / /　 ,　　　 !　　　　　　　　　　 i､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !　 .ﾞ､ .l　　.ヽ
　　　　　./ 　　　 . ..!/　　!　　　.|　　　　　　　　　　　!.ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │　　ゝ
　　　 _,r./ 　　 .,ｲ .″　 .：　　　l　　　　　　　　　｝　.ヽ　　　　　l....′　　　　　　　　　　　　　　 !.ｌ　　 'i
　 .／　　.!　　/ .!　　　　.′　　l　　　　　　　　　　　│　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ! .ｌ.　　l
　./,,,...... ″./ 　,!　　　　　!　　.!　　　　　　　　　 |ヽ　　!.ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｝　ｌ.　│
　 ./ 　 /　′　,!　　　 .、　/ . !　　　　　　　　　　　　|　ヽ　.!　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!　 .ｌ　.!、
　/ 　./ 　　　 /　　　./ ,!　.>.,l　　　　　　　　　　　　│　.ヽ│　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !　 .ヽ/ﾞ’"'‐
/゛　/　i'　　 ./ 　 .　/ .│ .ノ.!　　　　　　　　　　 l、　 .".′　 .ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　 'l''-､_
.､ ,i′.″　 ./ 　　.|　　 ,!　.| |　　　　　　　　　　　 !　 : " .＼　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　 .l　　ﾞ{゛
".ﾚ　/ 　　/ 　　　|　 / 　 .Ｕ　　　　　　　　　　　　　│　|,!　　,　ｌ　　.ｌ　　　　　　　　　　　　 ,i !　　　!　 .|　　　 !
../　/ . ､./ 　　　 .lﾞ./　　　 l′　　　　　　　　　　　　 !　　!　 .,′ ｌ　　ｌ,　　　　　　　　　　　　　｀　　　 .|　 .|　i　； .′
/　/　/.″　 .．　/ 　　　 . !　　　　　.|＼　　　　ﾝ'! .　 l.　i′　.!　 . ｌ　　　 ,,-､　　　　　　　　　　　　,!　.． .ﾞ'､.'、
　/　././　　 /　./ 　　　　.!　　　　　│　＼　　　.／　./ 　 ./ 　　　|　　 .ｌ,　　.!　..．　　　　　　　　　　　 ! ./ヽ　.'．|
./ . / / .;' .ｌ./ ./ 　　　　 .,!　　　　　 .|　　　ヽ　　｀--'ﾞ,!.ヽ,　ｌ　　　 .|　　　ｌ　　!ヾ　　　　　　　　　　　　 ,!.′ .ゝ .ｌ　/
′./ / / // ./ 　　　､　.!　　　　　　:!　〟　ｌ　　　　│　.ヽ,　　　　l､　　 i.ヽ　　　　　　　　　　　　　　│ .ゝ .i.'. l,
　/ ././ //　.ｌ　　　　/　.!　　　　　　 l　　ｌ　　.ｌ　　　　.!　　 .`j .!.'､ 'l! ヽ　│..ｌ,　　　　　　　　　　　l'､　　.l　 'i　.∩.!
./ ./ / //　ｌ　 .r 　/　 lﾞ　　　　　　│ ． !　　.ｌ　　　　ｌ　　　ｌ　ｌ.'i.ﾞ/､ .ﾞ'　|　 .ｌ　　　　　　　　 ! ヽ　 !　 .!　 !..ｌ.ｌ
′// .〃　./　 lﾞ .//　.!l　./ ''''i　　　.|　.　l|　　 .ｌ　　　　 .ｌ .'i,　ﾞj ゝﾞi .ｌ.ｌ '､　'､　ｌ　　　　　　　　　　|、 l.ｌ .l　　!　 ! .ｌ.l
　i./ .〃　./　 .lﾞ /.lﾞ　/lﾞ .!　 .,ﾉ　　　 !　.：.｝、:　.|.ｌ　　　　 ! .ll,　ﾞ､.‐ .ｌ .ｌ.ｌヽ ...ｌヽ.ｌ.　　　　　　　　　.!..ｌ.．.!.l　　1　.!　!
. l/ .i|′ ./　　! .lﾞi′/i" ﾞ‐''´　　　　│　　! .ｌ.'y ! ヽ　　　 .ｌ..|.!　.| .ｌ　ｌ. l,.ｌ　ヽ　ｌﾞΛ　　　　　　　　 l　ｌ　Ｕ　　|　 |　"

闇の中でふわふわと舞い輝いている光の粒は、ダイヤモンドダスト―――人が凍り付いて死ぬほどの寒さの中でしか見る事の出来ない、死の芸術。

458 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:35:54 ID:U58wBXLx0 [43/49]

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　わっはっはっ！

　　　　　　　　　　　　　　　　　　心地よい絶望溢れる街に無粋な希望の光よ。だがそれもまたよい。

459 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:36:30 ID:U58wBXLx0 [44/49]

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太陽が出ているのに、空は暗く染まっている。

そこに夜の安らぎはない。押し潰されるような不安と暗渠の恐怖が具現したような、黒い闇の塊だ。

　　　　　　　 //::ﾉ:　/　　|:::::　|||＿_||:::::::::::::::::::||─‐|||　ヽ､ﾍ　 |　|　|
　　　　　　　//::　　/ 　　|:::::　|||＿_||::::::::::::::::::||─‐|||　　　　|:　　|　|　|
　　　　　　//:　　 /:　　　　|:::::　||| ／ゞ＝=＝´'＼ |||　　　　|:::　　|　|　ヽ
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　　ヽ_|　　 ^､,'／~~~`‐-､＿　　　　　　　　　　　　　_＿＿|;;;;;-‐''''´,`ヘ､.
　　　　　　　／￣`ヽ＿...-‐'´　￣￣￣￣￣￣￣￣￣　　　￣~`‐‐'-----'
　　　　　　　￣￣￣

そうして、闇と氷の空に、大きく半透明の人影が映し出されている。

四肢を持ち、二本の足で立っている人型ではある。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_..= Ｔ￣|￣Ｔ` = ､.
　　　　　　　　　　　　　　　 ∧／ヽヽ | -┴-､|　/／＼∧
　　　　　　　　　　　　　　　 |　＼＿../:::::::::::::::::::ヽ...＿／　|
　　　　　　　　　　　　　　　| l＼_. （(:::::::; "~丶::::::::)）　_／| |
　　　　　　　　　　　　　　　| |ヽヽ~ Υ:::ﾞ､_ﾟ_ノ::::Υ／~／ | |
　　　　　　　　　_,.........＿　ゝ＼ヽヽ|::;;‐､::||::;:-､:| ／／／--‐‐‐‐--､
　　　　　　　　（--＿_:::::::￣~＼,Ａ､ |::| `､※ノ |:|/　／::::::::::::＿＿／/
　　　　　　　　ヽ　／二二_-- | .,|丶::）V~~V|（ﾉ∠`‐‐‐‐~~´ ヽ／
　　　　　　　　　　/／　lゝ､　￣| _|彡.,ﾍ|l二'ﾚ||‐：‐ |||　　　　　 |､ヽ

しかし、その肌は青く、鋭い牙を剥いた顔には太い角が二本生えている。

　　　　　　　　　　>|/ -‐＼.` -'　ゝ.⊥⊥二､:::||‐：‐ ||／　＿|　|_>
　　　　　　　　　　 >|　　　　)　　∠　_,...-''´:::::::||：‐‐|||,イ´￣　|´|
　　　　　　　　　　　|_,ゝ-‐'´　 _/ 　,/|：::::::::::::::：||‐／/`/⌒　ノ　||
　　　　　　　　　　　|`´￣|´ｌ|:::::ｌｌｌ二_||::::：:::::ヾ､‐､:::/　 |､　／ |　||
　　　　　　　　　　 ||:|::::::::|　|::::::|||＿_||::ｌ`,--;'lヽ　｀＼　　`~二)＞||
　　　　　　　　　 //:|::::::::|　|:::::::|||＿_||（(_太_)）ゝ､　 |ヽ／|　 |　 | |
　　　　　　 //::|::::: /　|::::::: |||＿_||:::V^^V:::::||‐`---､　＼　 |　 | |

組んだ手の指は四本。

それらを包み、いかめしくも優雅に翻る法衣……それは、すぐそこで横たわっている"魔王"とは全く違う、しかし全く同じ、決して人の姿ではないものだった。

460 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:37:30 ID:U58wBXLx0 [45/49]

_　-‐……‐- ､
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿
ﾏ＝=- ､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ}`i‐z ＿　　ｲ　　　　　＿＿＿　　　　　　　　　　　　　 γ´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`
...＼:.:.:.:.:.ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.} !:.:.:.:.:.:. ヽY i　 xz=＝ﾆニ＝=z`ヽ、__,ｲ　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀ｰ-
　　＼:.:.:.:.ﾍ:.:.:.:.:.:.:.λ!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|　V´　〉'´/// ヽ/｀ヾx:.:./ jｭ＿_　　　_　ィチ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:_　-―…‐- ､:.:.:.:.:
　　　　｀ヽ、{:.:.:.:.:.:ｨｭ､%:.:.:.:.:.:.:.:.:.ﾄ　｀ｰｧ'///////∧ ＿ィム=＝ﾆﾆ二_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　 %:.:.:.:.i　　ヽ＼:.:.:.:.:.:.!!ヽ、{{V/.（◎）///}}　_ ィ}:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＞>:.:.:.:.:.:_ノ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:%
　　　　　　　　ヽ、＼　　}､ヽ、:.:.:.%＼.｀Vrx. Y .xt/V´ __//:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／イ/ﾆﾆ二＿＿＿＿:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
　　　　　　　　　＞zﾍ　ヽ`ｰ=z_:.%.､＼'{!ヽ※ノj}/'／//:.:.:.:.:.:.:.:._ イィ:.://　　　　　　　　　　￣￣ヽ、:.:.:.:.
　　　　　　　_≦z‐…ｧﾍ　ﾍ､ｭ､ `r≧z__ﾊﾏVVｱ/__／'- z =＝-‐ ' . ∨/　　　　　　　　　　　　　　　｀　､:.
　　　　　〈（　　｀ ‐-､-}-'　＞‐… '´　ﾉ }xxx{γヽY丁,=‐‐＿＿二テ､!
　　　　　　｀ー-＜__ｨ__ノ /　　r‐ ｲT爪|γ￣ヽ{　ﾍｲ!__／　＿_レ‐-ｭ}
　　　　　　　 _　=一' ⌒/　　　ﾉ／.| !|○ ヽ__ ノ|ﾊ　　ヾ￣￣　　､　 _ﾑ
　　　　　　,ｲ　　ｨ--t'　　　グ/ /.| !| ○:::::::::::::!.|ﾍ　　 '　丁ｱ￣{
　　　　　　ヾz=‐'　　｀ー一'／ / . ! !| |○:::::::::::| ! {　　　|　⌒ゝ＜%
　　　　　　　　　　　 / ／. 　 | |j｜トz==zOィゝ､　 } ヽ__{_　' ｀ヽ
　　　　　　　　　　　　イ　　　 / .| |　! {`__　}　_ノ |ﾊ　 {　ヾ　｀ヽ_ノ}
.　　　　　　　　　／／　　 {　.| |　! （◎ ◎}| |｜|｀ｰ-､　 `ヽ　｀ヽ
　　　　　　　 γ´｀￣　／　　j　 | |　!::::ﾄｪｪｪｲ:! l｜|ﾍ　 } ｀ヽ__ﾊ _ノ　%
　　　　　　　　 ,廴＿__／　　　 i　 .| |　!::::::::::::::::::| |｜| ﾊ　|　　　 ´　　　ヽ、
　　　　　　　／　　　　　 {　　八　.| |　ヽ::::::::::::::ﾉﾉ .! |　ﾊ |　　|　　　＼　　＼_
　　　　　　,ヘ＿　　　　　　ノ　 ,ﾍ八ヽ　｀ー一 '　ﾉ.ﾉ　　 j　∨　|　　二￣￣　 }
　　　　γ´￣`ー―-‐＜_＿　　　　＼＼＿＿／／　　／　/　 {　γ　￣￣￣｀ヽ、
　　　　{, -=ﾆ＝＝=z_　　　＼`ヽ　｀　　ー―一　　／　_／　ム'　　 γ´￣￣｀ーヽ、
　　／　　　｀ヽ、　　￣`ー- z≧､　　＝==-　＿_　_／＿_／　　　_ノ　　　　　　　　 %
.γ´　　　＿_ -‐z`ー---一 '　　　｀ー-====-一＜＿　　　／__／ `｀ - _　　　　　　ﾉ j
.{￣￣￣＿　-‐ ´　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣　　　　　｀　‐- 二二二ノ
. ￣￣￣

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　わしはゾーマ。

　　　　　　　　　　　　　闇の世界を支配する大魔王ゾーマじゃ。

461 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:37:55 ID:U58wBXLx0 [46/49]

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　光溢れれば闇もまた深さを増す。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　希望が絶望へと堕ちる瞬間こそ、我が美酒となろう。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　此度は興が乗った。わし自ら、そなたらの絶望を啜りに向こうてやろうぞ。

462 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:38:26 ID:U58wBXLx0 [47/49]

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　　:　　.　:　:　:　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 : .　:　:　:　:　:　:　:　:　.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　:　　.　.　.

　　　　　さあ、苦しみ悩むが良い。そなたらの苦しみはわしの喜びなのじゃ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　わっはっはっ…………。

463 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:39:29 ID:U58wBXLx0 [48/49]

太く、強く、邪悪な声が笑う。

それが遠くなっていくと同時に、その姿も陽炎が揺れるように消えていき、闇の空も晴れていった。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　　　　 __　- ´´￣　　　　｀¨ ‐ ､
　　　　　　　　　 , -'"´: 　　　　　　　　丿　ヽ
　　　　　　　　／. : : : :　　　　　　　　　　＿／　　、　丶
　　　　　 ,,.'. : : : :　　　　　　　　　　/　/::::::ヽ　ｌ　ヽ、
　　　　 /. : : : : :　　　　　　　　　　 {　 {:::::::::ﾉ　!　　　ヽ　　　　　　　―――バラモスに、ゾーマ。
　　　 /. : : : : :　　　　　　　　　　丶　｀　´ ノ　　　ヽ
　　　 /. : : : : :　　　　　　　　　　｀ー‐ ´　/　　　　　　ヽ　　　　マジかお。
　　 ./. : : : : :　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!、　　　　人ノ
　　/. : : : : :　　　　　　　　　Ｕ　　　　　　　　　　　｀i｀ﾆ二--　i
　 /. : : : : :　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀´ 　　　 l
　,'. : : : : : :　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /
　i : : : : : : :　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /
　i : : : : : : :　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /
　', : : : : : : :　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／
　', : : : : : : :　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／
　ヽ、: : : : : : .　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／
　　　ヽ､:_: : : : .　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／
　　　　　｀¨i : : : : :　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ

体中を凍り付かせたままの冒険者たちの呻き声にようやく気づいたように騒然としだす周囲をよそに、自分は空を見上げたまま―――

"見覚えのあるその姿"に呆然としていたのだった。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　へべく。

464 名前： ◆O3SFWv6iLE [sage] 投稿日：2016/07/01(金) 04:40:30 ID:U58wBXLx0 [49/49]
以上、投下終了です。ありがとうございました。
次かその次で最後でしょうか。お付き合いいただければ幸いです。

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No title

まとめ乙、続きがもう見れるとは…。
アイエエエ!?ゾーマ!?ゾーマナンデ!?

え、もう次回か次々回で終わりなんすか残念。

2016-07-01 21:54 : URL : 編集

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☆凛冒険者シリーズ二次創作 やる夫はあんまり冒険とかしないようです。６

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