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やらない夫は約束を守るようです Episode II．大盗賊団ティターンズの挑戦！　第四章　五人　前編

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253 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:00:00 ID:qLkNzrF6

四１．

γ´　｀ヽ
.',　　　 ,:
..:`:‐-‐:　‘　　　　　　　｀　　, .. . 　　　+　　　　’‘ 　　　　:: . ..
　.　　　　.　　　　　　　　　，　　，:‘.。　+　　，..
　　　　，　　　　　　　　　　　　　　’‘ +　　，..　. ..; '，　　，:‘
　　　　　　　　　. .; : ’　　 '　，:‘.
　　，:‘. 　　　　　+　　　　　，..　　　　　　　，..　. ..; '，　　，:‘
.　　　　　　　　　　　　　　i　　.. '　，:‘.. ...::　　　　　　’‘ ’‘.;　。　　　　　　　，..　. ..; '，　　，:‘
　　　.　　　　　。　　，:‘. .傘　　　　，..　. 　　　.; '，　　，:　　‘　　　　　　　　|
　　　　　　　　，　　　　傘傘　　　　　　　　　　　，:‘.　　　　　，　；　　　｀　　r^t
:: . .. 　　　　　　　　　　.傘∩傘　　　　　　　　　　　　　　　　　　.. '　，:‘.　　./.:::ﾍ
　　，　　，:‘. 　　　　傘傘傘傘　　　　　　　　　　　　　'，　　，:‘　　’‘ 　.| : :::::|
.　　　 |　　　　　　.　［IIIIIIIIIIIIIII］_____________________________________________　 .r".: ::::`i‘.;　。
　　 .r'^ー--------..i..::::::::::::;;;;i|;;;;::::;:::;::;:::;::::;::::;:::::;:::;:::;::::;::::;::::;::::;::::;::::;:::;ヽ_|.:_;_;;;_;;|_____________.
　　/::;::;:::;:::;:::;:::; ::;:;::;;;| ..:::;:::::;;;;;i|;;;:;::::;::::;::::;::::;::::;::::;／|＼::::;::::;::::;:::;:::;:::;:::;::;..ヽ.;;;;;:;;:;;::;:;:;;::;:;:;;::;;::;＼
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　|: : Ll:.:: Ll::.: Ll:.:: L.| . .::: .:;;;;;;i|;;;:Ll;::;:Ll;.:..Ll;: ［IIIIIIIIIIIII］ ;Ll;;: Ll;::::Ll;;:::Ll::i;;: : ;: .:.; :.: ;.: .:;.. :.; ;.i
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　| :: Ll;;: .Ll;;:. Ll; ::.Ll| .:: .:: :: ;;!i|;;::Ll:;:::Ll;;::.Ll;:::|| | ...l.....i ||;;:LI;; .LI;;: LI;;:.Li,::|;:; .;:. :;..: : ;.:;.: ;.:;;;.; :;|
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　　　　　　　　　　　 '''ｰ----‐:' ''' ' '''' ''''' '''' '::＝:/三ﾍ＝''' ''''' '' '''' ' '''''

――――――――――――――――――――――――――
　　グラナダ王城がやっと冷静さを取り戻した午後六時過ぎ。
――――――――――――――――――――――――――

ショートカット
・二話

254 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:01:00 ID:qLkNzrF6

四２．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　用意された―――お世辞にも王宮の食事とは言えなかった―――まかない程度の
　　夕食を終えた後、後片付けの娘達が退出するのを待ってからエルは言った。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　／,.. .:-ﾆ''"_＿　_
　　　　　　　　　　　　　　　〃ﾝ::::::::::::::三ニ=::::::.:::
　　　　　　　　　　　　　（l!i´::二ﾆ＝-:;;;;:::..-.:::::::::::
　　　　　　　　　　　　　,-'从ミへ:::::ヾ::::::.,ヽ::::::::::::::､
　　　　　　　　　　　　 /::'!::::::､､::::､::ヾ:::ヽヽ:::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　/:::.!l/::::::ヾ::::::､:::::ヽヾ.:＼:::::ヽ::
　　　　　　　　　 ,'i!:::::.:i.!:lｬ,:::::::..ヽ､＼::::::::＼:::ヽ:::
　　　　　　　　　　,' l!i:l::!!:ヾ.i-ｬ.::::､::::::::._ヽ､:::::::ヽ:::::　　　　　　　　「………もう少し豪勢な内容を
　　　　　　　　　_,ヘ!_l. !y::|::l!ｌrt:ｯﾐ＼:ヾ rt:ｯﾃ､::::::::　　　　　　　　期待していたのですがね」
　　　　　　　 ,-=ニ-ﾐﾍﾊ:::::::ｌ `''''"_`_｀ヽ`'''"　ｌ:::ヽ::::
　　　　　ンﾆ二｀ヽ;=､!ﾊl!y''~´　　 ~`ヽ　　!:::::/i!､
　　　 _..ｨf´　､　`'''‐ﾆ'ヽ..ッ'ｩ､　　　　　　ｌ／ﾘl::ﾚｌヽ
　 _.-ﾆ／　　`'ﾌ´~｀ヽ..X´｀`''''ｦ, r'''~''ｯ ..〆 / ,liｿ |　,.ｧi
‐ﾆ‐'八-､_...:::::n⌒`!~ ヾ' ､.　ヾ､`'''ｬ''''~´　/ // ,ン´　ヽ､
´ .ｌ /　ヽ >::::!ｿ/ ＼＼ |ヽ'i 　　ヽヽ､_゛_,,...-zﾝ. - '''´~｀`''ｰ-
　ヽ　、＼__ﾝ￣~`'''''- ..,　ｌ　　　゛ｰ-ｰ'´ /,'　,:-‐''　､'‐- .,.
　　　　＞._/ 　　　　 ;　ﾔ ! 　　　 ',　　/､ /　　　 !　ヽ　　｀く::　ヽ､
　　　_,.::;;;;/　　　　　　　|　 'i::i　　　　',　〈', ｌ i　 ,'　 ,'　　ﾄ　　　ヽ,　ﾔ
‐-‐''　~ ｱ　ヽ　　　　　ｌ.､　ヾ　　　　　,　 i_jy'　,'　./ 　　ｌ ', 　　', iノ !`
　　　　〈 i　＼　　　　　 !ヽ　＼　　ｌ ,　 / |　i　./ 　　ｌ　', 　　',|､ｌ
　　　　　ヽ!　　 ' ,　　　li 　'i＼ .liヽ　　ｌ　'. /　| ,' /　　　　ｌ　 ,　　　|　>
.　　　　 |:',　　　＼　　',i　 ', ヽ |､ヽ　l.　ヽｌ | ﾚ　　　　　ｌ　/',　　 'ｌﾒ､
　　　　　|:::',　　　　ゝ　 i ',　ｌ　 ' ,', ＼ｌ　　 |! |!|　　　　　ｌ /　i 　　ｌ　ヽ

　　　　　　　　　　 ,..::;ﾆ＝-､
　　　　　　　　　 i::/　　　、
　　　　　　　　　　　,ゞｰ--‐::':::|,..-;:ァ
　　　　　　　　　／:::::::::::::::;::::::::!::::::｀丶、
　　　　　　　　/::/::::::::::/:/|;:::::;!i::i::::::....､ヽ
　　　　　　 l:/::;'::::'オ/　!:::/へ|:::::::::::ﾞ:.ヾ:、
　　　　　　　 ,!,イ:::::/ !′ l::/　 .lﾊ:::::|;;::::l
　　　　　 /i:::::!::/iTﾆT ,!;'　ｲﾆﾘ,!:::l｀､:|
　　　　　　 !:（|:'!::l ゜┘/　　ﾟ‐：!:}::!　ﾞ!
　　　　　　 |::::M::::!､　 ο　 .ィ:i!ﾘ　　　　　　　「作法、ちょっとは勉強したのに………」
　　　　　　 |::::|:::l:::ﾚﾞ'ﾏ￢＜:!::|::|
　　　　　　 !::::|x<!:l　 |―|　,l:::|:::!
　　　　　　　 l::::::;!ヾｌ:ﾄﾐヾ、l〃!:ハ:|
　　　　　　 ,':::::::|　ヾ＞ﾐV∠}′ i|
　　　　　 l::::::::{　,r=-=ニＬ._〉,ノ l|
　　　　　　 ,!:::::::::l　　　　 |l!l!|´ 　 |!
　　　　　　 !:::::::::::ﾄ、　　　|＜　＿/:|
　　　　　 !::::::::::::ﾞ7ーイ丁´「〈::::::|
　　　　　 l::::::::::::/　l　 |　|　 l　ﾞ､::::|
　　　　　　 l::::::::::/　l. 　|　 |　 l　ﾞ､:|

――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　食欲に忠実な彼の向かい、作法教本を読んだ知識を早速活かせるかも、と
　　期待していたコナタも残念そうにしていたりする。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

255 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:02:00 ID:qLkNzrF6

四３．

- 　 ..;;_:::::::::::::::::::,.:　'´　　　 | |　　　 | |
::::.::: :.:.:.:.｀:.`ﾞｰi´＝==ｰ_ｰ- ｣Ｌ.. __　 | |
:.::::::.:.:.:... 　　 |　　　　￣ｉ i￢＝ｰt |
::.:..　　　　　 |　　　　　 | |　　　 | |
:.　, -rｔ--　 ...」_,　　　　　　 | |　　　 | |
　 !　| | F＝=ﾐ. |＝＝‐_ー-''└ー　.._| |
　ｉ　| | |////,| |　　　　　￣| |￣￣｀'ｉ |　　　　　／￣￣￣＼
　 |　| | |////,| |　　　　　　 | |　　　 | |　　　　／　　　　　　＼
　 |　| | |////,| |　　　　　　 | |　　　 | |　　　 /ﾉ　ヽ､_　　　　　ヽ
　 |　| | |////,| |　　　　　　 | |　　　 | |　　　（ ●）（ ●）　　　　|
　 |　| | |////,| |＝＝‐_ー-''└ー　.._| |　　　 | {　.!　　)　　　　 |.
　ｉ　| | |////,| |　　　　　￣| |￣￣｀'ｉ |　　　 |. ¨´ ｀¨´　　　　　 l.　　　　　　「グラナダの状況は相当悪い。
　 |　| | |////,| |　　　　　　 | |　　　 | |　　.　 |　　　　　　　　　 /.　　　　　　城の人達も手助けに出ているんだろう」
　 |　| | |////,| |　　　　　　 | |　　　 | |　　　　|　　　　　　　 /
　 |　| | |////,| |　　　　　　 | |　　　 | |　　　　＼__　　　　（
　 |　| | |////,| |＝＝‐_ー-''└ー　.._| |　　　　　　 _）_ =＝＝＼
　ｉ　| | |////,| |　　　　　￣| |￣￣｀'ｉ |　　　　　／　　　　　＼
　 |　| | |////,| |　　　　　　 | |　　　 | |　　　　 /　　　　　　　　　ヽ
　 |　| | |////,| |　　　　　　 | |　　　 | |　　　　 |　　　　,　　　　　　　 i
　 |　| | |////,| |　　　　　　 | |　　　 | |　　　　 |　　　 |　　　　　　 l.|
　 |　| | |////,| |＝＝‐_ー-''└ー　.._| |　　　　 |　　　 l　　　　　 | |
　ｉ　| | |////,| |　　　　　￣| |￣￣｀'ｉ |　　　　 |　　　 |.　　　　　 |. l
　 |　| | |////,| |　　　　　　 | |　　　 | |　　　　 l　　　　|　　　　　　 |.│
　 |　| | |////,| |　　　　　　 | |　　　 | |　　　　/　　　ﾉ　　　　　 |　|
　 |　| | |////,| |　　　　　　 | |　　　 | |　　　 / 　　 /　　　　　　 l /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（ヽ､__,/＿＿__ 　_＿,У
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ_ｨ　 __ __￣￣_￣_,|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￤　￤　￤　j l　　|

――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　食事の用意をしてもらえるだけでもありがたいじゃないか、と
　　暗くなるまでに何度か窓の外を確認していたやらない夫は二人をたしなめ、
――――――――――――――――――――――――――――――――――

　､　　 _, .}　,メ　　　 l　　 ',::　　ヽ::::.　　 ',:　ヽ
　￣,´/F>｀ミi_　i　　i　　 ';::　　　' ;:　　　';::　 ',
　　,⌒Yiー<⌒ﾊL　　i 　　 '::;　　　 ',､　　 ';::　 }
　 ,ｲ冖!/てヾVYjヽ_,　l､ ,　　',斗七　 '.,ヽ　人,,ﾘ
　从r'弋心ノ',ｲj从i 　 l....ヽ／ '; :::＼　ｌ ::/イ
.<　ゝ._｀フノノﾊ､ .i　　l::::''ゞ从_i⊥､;＼j .i
　弋 _､.＞√勿/ヽi.　ハ　　 V{ｨrｬﾐ <　丶_
　　))　/´　｀.i`...'.,::､　'､ﾊ　｀．辻,ィ'}　　　￣|
　　　　l　　 ::: 　 ::',::＼　iヽ　　 |下乙　　　　　/
　　　　l　　 :: 　　 ;;; ::ヽ|　ゞ　　　　　　　　　/
　　　 ,'　　..::　　　 ,:'::,　:::|　　　　　　　　　　 (
　　 ,'　　 ::　　 .::　 :::　::|｀(　　Y ヽ､　　　 /　　　　　　（手伝いに行きたそうだね）
　　 ,'　　.::　 .::　.::..　 :::　:|　,ゝ‐ｲ　.ﾉゝ___,,ノ
　　,'　 .:::　 ..::: .:::　　:::　:::!"　｀丶、s￣｀)
　 ,'　.:::/　 :::　.::　　 :: ::/　　　l　　.l ヽ￣)
　,'　::; '　 .::　:::　　　ﾉ,/　ヽ、　ヽ / ／､ゝ
.　／　..:::　:::　　／／　`丶､｀　 '彡,廴`;;;;;
　　..,,,_::,,__.:,,,,:::／／‐-､__　　｀丶 .ヽ /∧/|
　Y　　　　　　￣ -　　,,,,　｀　‐ - ､ .Y..∧/|
　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ　　ヽ|∧//|

――――――――――――――――――――――――――――――――
　　そんな彼の背中が落ち着かない様子だと雪華綺晶は見て取っていた。
――――――――――――――――――――――――――――――――

256 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:03:00 ID:qLkNzrF6

四４．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　それから、さて、と窓際を離れたやらない夫は準備の再開を促した。

　　体力もだいぶ回復したので夕食が始まる前から必要と思われる魔符の作成や配布、
　　戦闘時の陣形、戦術などの相談を進めていたのだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ノ　　ヽ、　　＼　　,.:┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .（ ●）（ ●）　　..|　／　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人__）　　　　.|./　　 /
　　　　　　「とりあえずさっきまでの続きをするぞ。　　　　　　　　　　　　　　　 i⌒ ´ .r－､　　|/　／
　　　　　　魔符は一通り作ったからエルとコナタで分けてくれ」　　　　　　　　 { 　　ヽ,　',. .,/　:/',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ヽ　　　.|　 l_/_, -‐､',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ヽ　.　| 　 / , -－'i|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　 {　　V , -－ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　ヽ　Ｌ|　r=　|

　　　　　　　 ,ｨ,"二､ヽ、
　　　　　　　　　/'′　　｀ヾ:、
　　　　　　　　 l!、＿_　　　 _,.､
　　　　　 ,. :':": : : ; : : : : :｀: : :!－-. .､
.　　　／: : : : :／: : : : : : : ,　 ! ｀ヽ￣｀`
　　　 ,/: : : : : :,:'.:/: : : : : :,ｲ : . |. .　、＼
　　　.i: : : : : :,:': /: : : :-ｧ'ﾞ i.:j: :ﾊ: ::. :ヾ:､ヽ
　　　j: : : : :./: /: .:: : ;,''　 j:,ｲ / V :::. :i
　　　.!: i: : ;': ;ｨ.::::: :ｫｵ云r!' !:伝;ﾊ:!|!:. !
　　　 ! |: :.ﾚｸｲ::::;ｲ | トｲ　 / ﾄｲ::,!:ハ:|
　　　ｌ:j: : .::! |:::/:l|　└''　　　ﾞ'{:!::/　ﾘ
　　　 j:!: :.::: `!ｲ:::::!　　　ｰ'‐,ﾉ|/
　　　ｊｌ: :.:::: i:::;!:: :.l ''r‐--r.1!::::|
　　　 l!: .::::::|::/ !: : ! `ﾐ:､ﾉ: l:|::::|　　　　　　　「次は支援に徹するよ」
　　　 !: ::::::::k'､、V:ﾍヾﾞﾞ:､ﾞく,!::::!
　　　j: :::::::/ﾆミﾐﾐ:Vﾍ｀､ﾞ､.|!:::j
　　　! :::::::i　　 `ヾ`Vﾐ:ﾞ､ i.l!;/
　　 ! ::::::;!　　　　 `ヾﾐVi{
　　｜::::/　　　　　ﾞ{　　　 ,}ﾊ
　　 |　::ﾍ、　　　 ,ﾉ　　 /　｀ヽ
　　！ ::::::l三三三!　　〈　 ,!、,

257 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:04:01 ID:qLkNzrF6

四５．

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　___　　__　_))r-､ィ⌒ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {薔}　　　　　 λ廻 }⌒ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／.／　　　　　　辷ﾆｿ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　/　　 l　　l　l　 l　(( ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　/　ｌ　ｌ|　/i| i|　i|　|　| ｌ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　 /　/ l　|　l | / i|/_|/ |　!　! |　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / 　| /!　| r//　ｲ示ﾊ|/! /l l　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　 /　 /ﾚ' l　l必}）　弋沙/ l l　l|　 |
　　「そう言えば、エル？　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　 /　　 l,ﾘゞ彳,　　　　　ﾚ!　ｌ　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　 /　 /　　　/ ﾉ八　 _　　　　 /　/　 i!
　　随分とたくさん、魔石を持って行ったけど　　　　　 /　 /　　　/　 l　l　ゝ､　　 _ ｲ　/ 　｜
　　余らなかったの？」　　　　　　　　　　　　　　　　　 .′　i　　／　 / /　/＿fTフ./　/ ﾍ. ｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　／／　　/ /　/r| ／ノ　i　 i! しﾍ　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / / ／　　 / / ／ﾉfi　ﾌしﾍ!　 |ｨ⌒´ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ / /　　　 / / {　 {　ﾉ≫≪　|　 |ノ⌒てi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i i　ﾉ　　／ /　ヽ　У|≫≪ λ　＼￣｀＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 // ( 　　 (　　＼　 i fてzr-z＿ﾉ＼　＼　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ﾉ　　i　　　＼　　)　 )　　　⌒乙　 /　　/

　　　　　　　　　　　　　　／,　'"´:／,.. -‐ﾆ＿＿_
　　　　　　　　　　　　/ /／／::‐''"_;:ﾆ＝== ｀`ヽ、｀`
　　　　　　　　　 {ﾚ:1:::∠二::__::::::::::__:::::`ヾ.ﾆ._ゝ
　　　　　　　　 ,.ゝ::_:; -──- ﾆ:_:::::::''::‐ﾆ__:::::＼
　　　　　　　　 /::::/:､::::::::｀`ヽ､:ヽ::::｀丶､:::::─--｀ヾ__
　　　　　　　　　 /;:ｲ:l:::|::ヽ､:::::::｀ヽ::ヽ＼::ヽ::｀丶､:::::＜￣
　　　　　　　〃/::::/:l:::､:ヽ:`::ｰ-:::::ヽ:::＼::::､:::::::::::::::＼
　　　　　　　 / /1l!:|:i::|:i心::＼:::ミ_ヽ､:ヽ::::＼::::::::弋_⌒`
　　　　　　　 !　|l::|!::!::|{.Ｏヽ:､:::ヽ{.Ｏヽ::::::::::ヽ::::ゞヾゝー
　　　　　　　　　| ／!::|i:::::i｀"´ .;!`　｀ヾ"　|:!:::::::::::ﾄ､|｀ヽ、
　　　　　　_, ‐'7´ 　 !ハ::N 　〈l,. _　　　　ﾊﾄ､!｀iヽ､`　　｀丶､
　　　　　/　〃　　 |　|:ﾊヽ　_,,.......__　　 / ::　ヽ::!　　　　　　　ヽ
　　　 /／￣｀`ヽ､　　 {.　ヽ　ｰ　　／　.:::　／ ,. -- ､　　 /　 ',
　　　 ,: ′　　　　　ヽ＿＼. ` -‐ '′　　:／.／　　|　＼/　　iﾊ
　　./　　　　　　　　い　　｀ヽヽ､＿_ , ‐-'-./　　　 l |　　　ヽ　 || |
　　.!　1 　　　　　　　i !、 |　|　! 　／/　　/ / 　　| |. 　　　 ', || {　　　ｷﾞｸｯ
　　,|　 |　　　　　　　　| !|　|　|. i|　/ /〈､t'ﾚ'′　　 |　|　　　|　iﾉ　}
　 / !　　　　　　　　　 | |'　i〉 l　|　ヽヽヽ/ 　　　　|l　|　　　|　|__`'}
　 |! ヽ|　　　　　　　　 | |,.ｲl　|　!　　ヽ.∨ 　　　　 il　 | 　　.!　|　〉 !
　 | ヽ.| 　　　　　　　| |ハ!r|.r| 　　 /　　　　　　 |　 |　　 ! /|V._　i
　 |　　| 　　　　　ヽ`i　|　｀｢|'′　 /　　へ　　　　 |　　i/ ! ! ヽ＼!
　ヽ　 l 　　　　　ヽ !. l.　 |:|　　./　　ヽ　ヽ　　　　 | 　 !　| | 　ヽ !
　　　　　　　　　　　　　|　| 　|:|　_ﾑ rへ　　　ヽ　　 | | 　!|　| | 　 /!.!|
　　　　　　　　　　　　　|　|　 |:| {っ iﾆＹﾆv‐､＼　ヽ　 |/ / |　| |､ //　|
　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣ﾞｰ'＾'''＾￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣

258 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:05:00 ID:qLkNzrF6

四６．
―――――――――――――――――――――――――――――――
　　その他、やらない夫からは体型に合わせる必要のない装備―――
―――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, ｨヘ￣＞y‐ｧ-─ -､＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|/　〈(薔)Y⌒ヽ　　　　　　｀`丶､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　/( >‐<　,　/　　 !　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　//　こ)　/ /　 !　!　　　　　　　　（(_/⌒Y⌒ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　 l/　, /　/ / 　 !　! 　　 |　　| 　　i|　/Y ﾆYi　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ 　 /　// l/i /　　l　,!　,　　|　　 ! 　　||.:i 人式i|　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / 　 /　　 ,ｲ　/ 　　l　）/ 　 l　　/ 　 / l|::|! /^Y^i　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,/　 / 1　!（(　/　 ,rr＝' l/　 /l　 /　　/ / l::|　 _ノﾉi　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / 　/ 　|　|:.:〉こ二仆 l　/1　/ l　/　　/ /　|.:|（( _ ノ　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,/　/　　|　|:〈{ (Y) ））}l/　l / ─‐- ､./ /　/^i^7 　　　 |
　　　　　「エル………？」　　　　　　　 /　/ 　　〉ﾄﾄ､ﾄ､こﾆソ::::::::::::::r=＝ﾐ､ヽ| ,/ / |/　　　 ,′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,/　/ 　　 // V^l/ ー‐'′::::::::::::{ ,f○} 〉i::/　/　/　　,　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　/ 　　 //　 l{ _)　　　　　　ゞ‐‐ < :/ｨｲｲ /　　 / / |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,/　/　　　 //　　|,.ﾍ　　　ヽ＿, 　　　　／　 / /　　 / /　.!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　′/ 　人//　　/(⌒) 、　　　　　,.ィ:/ 　 / /　　/ /　 .:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ ／　　 >イ　入L1 >‐──一<⌒/ 　 / /／!// /　 . :.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_／　　　　（　〉二ﾆ　　 / ⌒Y⌒ Y　/ 　 ,/ /　　|/ /　 .:.:::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Vr‐-,　　, 人＿人＿人/ 　 / / ～～＼　.:.:.::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　）.::<＿ノ入＿ _ノ入_/ 　 //´　　　　ヽ:::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　─ <⌒Y´.:.:/｡ﾟ /´￣｀7弐く7 / 　 //　　　　　　 `,::::::|

　　　　　　　　　　　,
　　　　　　　　　,r/　,;-ー_
　　　　　　　　　/:::レ:::::三:::::｀ミ::=-､
　　　　　　　　 ,i::::::::::::::::､:::::::､::::ヾ::ヽﾐｰ-､
　　　　　,r'::::::::::::::::::ヽ::::::::＼.:::::::::::::＼
　　　　　　//:::::/:::;:::i:::::ヽ:::::::::::::＼::::::::::::::ヽ
.　　　　/::/:::::::/_ヽ:!:::::ヽ:::i`_､:::::ヽ ::ヽ:::::::!
　　　　 i::/::::::::/'oヾ､:::|ヽ::Y o＼:::::i!::::ヽ::::＼
　　　　　l:::i:::::::::lゝ- '　ヾ、ﾞ ! ｰ '､ヽ:::::!:::::ヽ::i ヽ　　　　　　「嫌ですねネコババするわけ無いじゃないですか
　　　　　!::!:::i:::::!　　　` ｀ヽ　　　　 i:::::!::::::::::::i　　　　　　　私達の戦いもこれからですし来るべき戦闘に備えて
　　　　l:!:::l:::l !　　,r_ー‐-､　　　l::::!::::::::::;::i　　　　　　　万全を期すために魔石を手元に持っておくのは
　　　　　　!|:.!::', 　　i'/￣￣ i 　　　l:::::::::::::ハ:!　　　　　　　精霊使いとして当然の判断ですよ？」
　　　　.　　 l::::::ヽ.　ｉ　　　　i　　　ｨ::/i:::::ﾊi　 !
　　　　　　　i::li:::＼ `ｰ--‐' 　　／ﾘ　|:::ﾘfﾊ､_　　ﾍﾟﾗﾍﾟﾗﾍﾟﾗ
　　　　　 _..!:ﾊ::::l;ヽ､　　　／　　"　l::/i　ヽ. ｀`''ｰ- ､._
　　　,r‐'''"´　 !　ﾘ!i ヽ `＝'"　　 ,　　ﾘ /　　ﾝ　　　　 /ヽ、
　　 /ヽ　　　　　　ヽヽヽ　　　/　　／　　　　　　　　/ 　ヽ
　　l 　＼　　　　　　＼　 '　　　　　／／　　　　　 /　　　 i

―――――――――――――――――――――――
　　魔法の腕輪や指輪などの装飾具の貸し出しの他、
―――――――――――――――――――――――

260 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 21:06:04 ID:8l2edAzM

なんてぶれないひｔ・・もう言い飽きたわ

259 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:06:00 ID:qLkNzrF6

四７．
―――――――――――――――――
　　惜しみない魔石や霊薬の配布など、
―――――――――――――――――

　　／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　（ ●）（●）
.　|　　　　（__人__）
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　　「良いって良いって、
.　 |　　　　　　　 }　　　　　　　　エルの言うとおり持っておいてくれ。
.　ヽ　　　　　　 }
　　ヽ　　　　　ノ　　ｍm　　　　雪華綺晶も十分持っているか？
　　　/　　　￣￣￣　つﾉ　　　　足りなかったら渡すぞ」
　　　|　　　　|￣￣￣

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , -┐_rｭ　　　　 ,-v- ､ _, -z__,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ / ,ィ´ ..斗-z―r-ｌ f:! __r'_ｨ7､ __ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {!｣_/ ／ _ ノ　　､_ヾ=' l　!｀ヽi__ﾉ　｝ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ィレi　　´ /　　　､_　￣ヽ:!_ｰ＜-'´ヽｉ!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（/ ﾚ′ , 　　 i　　　ヽ￣､_ノ´i｀ｉLィ´　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　〃　　　 |　　　　 l　ヽ　r' (｣_　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ′ /　　　　, = ､_ﾉ　　|　　}　｢｀iﾉ　　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ i　l _{_＞-､{｛ ! -――!‐i　! 　ｌ ´　　　｜
　　　　　　　　　　「もう。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Lﾊ,ｲ_r'_ﾍ.! 'r'└'ィﾁ孑ｚﾙ'ｌ　ｌ　　　　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｛ｉY ゞ'_ﾉ_ﾉ　　辷シ /　ｌ　 l　　　　　|
　　　　　　　　　　必要消耗品だからって　　　　　　　　　　　　　　７ト仟'´　'　　　　 ; 　r'　　､　　　ﾄ､
　　　　　　　　　　決して安くないんだからね？」　　　　　　　　　　　/ 　iT>､　＾　　　,. ｲ　 l:　　 i　　　ｌヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　く　ｔ＞-r__7-ｌ l 　 !､　　 l　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　 /｀:､_）　ヽ（_　　〈ヽ._ ､j　　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　__,ゝヘ　 _ﾉ　｢､　r< :! ノ､ }　　′ ;'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　く‐-L.. _　7 !＞ﾆ＜｀l　厂__　;　／　,ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　／　 , --'_ ｰﾄ　rヽ」＞ニ＜ﾉ_｣'´ （ﾙ′　/ l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ .　´　r‐' ｨ- { z'Y´ﾄ､ヽ.辷'⌒Lz'´ _r‐y┴z,　｛　､　 :､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―-　'´　　　 , ﾍム､ノヽr'__}_｝,ィヽ.厂｀Yヾ.　/r'⌒Y_ーｭ　ヽ　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾚ ´　 ! }　_.｢　rくiL../´ﾌv'´f'ヽ Yi/ ,r' ﾉ　｀Yヾ!　〉　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / 　　　ﾚ´!ﾉ_ノfﾚハｉ L.L､ト､v'_j｀ヽ._ﾘｲK｀Vリハ　{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　　　　　〈　　　　'　ハ _.ノ　L.ﾑ-v !l　ヽﾄ､｀Y　! ﾚ'_r‐ ' r )ヽ　｀ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∧r- ､　〈　!r-｢（_　＞ﾘ｀￣｀ヽ=≧､>､__rに｀!_.ノ　　　＼

―――――――――――――――――――――――
　　万が一、今ここで妖術師が現れても良いようにと
　　出来るだけのことをされている。
―――――――――――――――――――――――

261 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:07:00 ID:qLkNzrF6

四８．

　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　_ノ　　ヽ、　　＼
　　　　　　　　　　　　（ ●）（ ●）　　　|
　　　　　　　　　　　　（__人__）　　　　 | ..／}
　　　　　 _　　　　　ヽ｀⌒ ´　　　　　| /　/ 　　　__
　　 (＾ヽ{　ヽ　　　　　 {　　　　　　　　./　/　 .　／ .ﾉ
　(￣ヽヽ　i　　　　　　ヽ　　　　　　/　厶-　´ ／　　　　　　「おっと、今回に限っては言いっこ無しだ。
.(二ヽ　i　i　|,r‐i　　　　ﾉ.　　　ヽ /　　　　／
　　ヽ　　／　ノ　　／　　　r一'´　ー､　　￣￣￣）　　　　消費を気にして勝てる相手じゃない」
　　 i 　 {　　ｲ―イ　/　　.`ー―.　､＿_　.〈￣￣
　　　ヽ.　`ｰ '/　　　/　　　　　　　　　　/＼＼
　　　　　 `ー ' ￣￣!　　　　　　　　　　|　　ヽノ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, 　 ,,,.:-‐,,..... -
　　　　　　　　　　　　　　　　　　, ::':ﾙ'´:ｰ''´::::≦-
　　　　　　　　　　　　　　r''ﾆ、:::::ニ＝-:､::::二ｪｪｯ=-‐
　　　　　　　　　　　　　　　 r'::::::ﾆ-､::::::::ミﾐヽ､::::::::::::::＝ﾆ＿
　　　　　　　　　　　 /:://:::::ミ､::::::::::::＼ヽ､:::::::::::::＜
　　　　　　　　　　　,':::,'::::iヽヽ:::ミ:::::､:::::::::＼:::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　 /::::!:::::ヽ:ヽ::::::::::`:::::::::ヽ:::ヽ::::::ヾヾ､
　　　　　　　　　　　　/"i::::::::::::ｉﾞ_､:::::::::!＼vヽ、:::::::::ヾ:::＼
　　　　　　　　　　　　 i:;::::l::',:li ｏヽ`ヾi. Y'ｏﾞﾘ､:::::::::::iｰ=ヾ
　　　　　　　　　　　　/ lﾊ::::',ｉﾞー" 　 ′ ー" i:::::::::ヾ､　　　　　　　「リーダー様の言うとおりですとも」
　　　　　　　　　　 rｲ￣'",ﾆ､!:::::i.　　　. . 　　　,':j::lヾﾔ-､_
　　　　　　　　　／ |　　　l　lｻ!::iヽ　 . --､　,.ｲ::l!';:l　　　 ,ヽ
　　　　　　　　　|〉　!　　　|　l八ﾞ!　＼　￣ .ｨ'　/ｉ! i '!　　　i　i
　　　　　　　／<　';,.　　 l　| ヽゞｬ-､`＝ﾝ　_ｿ, !　i　　　 ,'　ヽ
　　　　　　　〉ヽ-`'　i!/｀`ｉｰ',　｀`-ﾆ_--‐'ﾆ-' ,'　 / ｉ　 / i　i l
　　　　　　　/ 　' , ,,,i'´!、 l-　ヽ=- -‐-;'''´　　　　　ｌ　　, ' ,' .i
　　　　　/　　　ﾞl　i　 'i　j/　 ,..-‐'￣　　　　　　　 !　/　　　|
　　　　　 /　　　　 ll､ヽt,ｹﾝｪ‐'´　　　　　　　　　　　 ,!'　　　　.|
. 　　　 i┴､＞ﾆﾝ`''＝ｰﾝ´ヽ　　　　　　　　　　　/ヾ!ー,-,ﾝ.i
　　　　ﾘﾝニ--/　　　, ' 　　ヽ　　　　　　　　　　 /　 |､-‐'´　 i

264 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 21:09:08 ID:FCxxeoak

確かに採算だの気にして勝てる相手じゃないよな

265 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 21:09:26 ID:8l2edAzM

魔法戦になったらまず勝ち目ないもんなぁ・・・

262 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:08:00 ID:qLkNzrF6

四９．

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　´ 　　　　　　　　 r-ト､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　{ {:必 }､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　|l　　　　　　|　　　　ゞ辷ｼ　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　 / ,　　　|l　　　　　　|　　　　　　 i| 　　|＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.′i|　 |　ﾊ　　 |　　 |.　　　　　八　　ヽ　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 l|　 | / |　 |　|　　 |　　ｌ　　　|,　＼　 }＼. ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 l|　∥ 厶./l　|　　 |　　 |　　　| 　　ﾉ　ﾊ.　＼. ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄ､ l|ﾍイrぅｭ､_!ﾊ|　　 |　　 |　　　|　　/　/　 }　　)　　)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ.　 }c::::ﾘ　/　　/　　/　　　 | ／／　／／　／
　　　　　　「エルは本っ当に　　　　　　　　　　　　ｒ　　　{沙'"./　　/　　/　　　　{{　 ( 　 /　（　　（
　　　　　　調子良いんだから！」　　　　　　　　| _ 　　　 / 　 /　　/　　　＼＼　＼{　　＼　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ｀ヽ　　 / 　 /　　/　　　　　 :　＼　＼　　　＼　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ .}　 / 　 /rzr─ ｧ　　　i　 i　　　＼　＼　　　＼　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ー/　／　　　 /　　　　｝　｝　　　＼　＼　　　)　　 )
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／_／　＿,厶ｲ⌒! 　　/　 /　　　/　 } }　　)　 /　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｨ ⌒ Y⌒!７ﾌ7ｧ/　　　/　　{　／／　　　　／　ﾉ　 /　/　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 (＼　　 }_/////_ﾄｧ　　　　　 |　／　　.　イ　／　／　/　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　弋三.r┴ミ了く／ﾉ　　　　　 |　　　／.　 /／　／　 ./　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（＿＿rイ　兀け　　　　　 |　／　　　く　　｛　　 /　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |＼､. イ ⌒i､　　　_＿ｊ　/　　　　{　＼　ヽ　{　　￤
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　＼　　人 /￣/　 {　.＼　　　＼　＼　}/　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ / r‐ {　 /　 /　 /　　＼　＼　　　 )　　＼}　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∠厶⊥!.　＼　／　 / 　　　＼　＼　/　　　/　{

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　渡りに船とばかりに悪びれないエルを見て、いつか天罰が当たるわよと雪華綺晶は言った。
　　その口調が妙に強いのは、迫り来る強敵との戦闘への不安をごまかす分もあったのだろう。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

266 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 21:09:47 ID:lMCd7AkY

エルの調子の良さがいい方向に向きそうだw

263 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:09:00 ID:qLkNzrF6

四１０．
――――――――――――――――――――――
　　口には出さないが、誰もが不安を抱えていた。
――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　ヽ､_　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人__）　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　「コナタ、魔符で分からないのはあるか？」　　　　 .　　　　{　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ⊂ ヽ∩　　　く
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | '､＿＼　／　 )
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　 |_＼　 “　.／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ､＿_＼_／

　　　　　　　／ '´　　｀ヽ
　　　　　　　 //
　　　　　　 !i　　　　　／:ヽ-.‐: : :ﾆ二＝‐
　　　　　　　　ﾞ､　,. : ':": : : : : : ､: :、　_ .｀.ヽ､
　　　　　　　ゝ゛: : : : : : : :　. .:i、:ヽ: :｀ヾ､_:.＼
　　　　　　　, ':i: : /: : : : :ﾄ､: i: : :.i x-ﾞi: : : :.ヽ　｀`
　　　　　　 /: :.!:/　. .,.-|:.| ∨!: : :l　ヾ:i,: :ヾ:. ｀､
.　　　　　 i　　}l. : : /: i'| |　 !|、: | _,,⊥!: : i;::: :｀､
　　　　　 !. : :l: : : : : :! |:|,,.、l|ヾ:| 彳ﾊ`ﾄ､:.|｀ヾ:.i
　　　　　　 l: : !: ;l: : : :!ｯi"､ﾊ　ﾘ　､_j! l ヾ!　ヾ
　　　　　 V:|:/:.!: : :!ﾍ' ､__j!　　　　`゛･|i
　　　　　　　ヾ": : !: :,! i　`''"　　　。　／:|　　　　　　　「この二枚、知らない」
　　　　　　 i: : !: l ハﾊ.＿＿＿,.／）|:: : |
　　　　　　　　|: :!: : {: : :ヾ;|　r く,/　ﾑ:.!: : |
　　　　　　　　j:/: : :∧: : : :＼ヽ＿　｛.:ﾄ: :.!
　　　　　　　 l/: : /==`ｰ､: ＜!三ﾐﾐヾj Υ
　　　　　　　 /: : : |=＝==≧ｼl二`ヾﾐﾐ｝｜
　　　　　 /: : : : !、　　　 |　　　｀ヾﾐ!　!、
.　　　　　 /: : : : : :}ヽ　　 |　　　　　ﾉ`ヽ｀、
　　　　　 !: /: : : :.∧｣:､　　　　　 /　　　,l
　　　　　 l: /: : : : ;': /.ﾊ＼　　　　,/　　／
.　　　　　l.:,!: i : : :i!:.(　　＼_〕ト､_ノl_,.ィ'｢
　　　　　l:.!|: :!: : :.!|: ;>､　　 |`ァ''＾ヽ |く
　　　　　|:l l: l: : : l／ / `ｰr-l∠ィ"＾ヾ、ヽ

267 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:10:00 ID:qLkNzrF6

四１１．
―――――――――――――――
　　仲間を護る事は出来るのか。
　　仲間を救うことは出来るのか。
　　仲間を失う事はないだろうか。
―――――――――――――――

　　　　　　　　　　　l:|　　__,, . . . . . . ／: :.｀、 __
　　　　　　　　　 ,.-`'": : : : : : : : : /: : : : :.l: :‐-､二ニ＝‐-
　　　　　　 ,.:.': : :, ': : : : : : : : : :/: .　　｜!　｀､: :｀:ヽ.、
　　　　　／: : :.;.'　,: : : : : : :/: :/:./: : : : !:l､. . ヽ＼　＼
　　　　 ,.'　　..:/: :/: : : : : ;,厶､/:.ｲ: : : : :!:j ∨: :.i:. . ヽ　ヽ
.　　　　　,'　. : :/: :./: : : :／:/ :〃:/ !: : : : l::l ⌒v、:!: : : .ﾞ､,　｀､
　　　　　i . : : /: :./: : : : : :./:.//;.′l: : : :.//　　 V: :!: : : :.ﾞ:.丶、ヽ
　　　　 l: : : ;': : ;l: : : : : :./∠/ム　l: : : /:' ≧､、∨:!: : i: : :i.　ヽ｀、
　　　　　!: : :,: :/:l: : : : :ォ=ﾆ示了' l: : :/"　仗ホｧ,!:l: : : !: : :!　　ヾ:、
　　　　　l: : :!:/:::l: : : : /N !ﾚ、ｨ|　l: ; '′　 !、川.ﾊj:: : :.l､: :.l
.　　　　　l: :.l/: ;ｲ: : :/l:::l　 l {　'}l　! '　　　　l{ }/ i:､::::. : :| l: :.!
.　　　　　 !:.i: :.| |: :/:::::l:::!　ヾ-゛' /　　　 ,　`｀"・l::::i::: : :.!　!:.!　　　　　　「うん。
　　　　　 l.:|: : `!/|:::::::ﾍ::!　　　　　　,_,_,　　　 ,!:::;!: : :l　 l/　　　　　　岩を投擲する戦技だよ」
　　　　　　l:j: : : ':|::!: ::::::ﾍl　　　　　（_ノ　　_,. .::'ﾞ:::: !l: :,'
　　　　　 |: : : : |::l: : : :::ﾍ｢!丶　､,_. . .＜:|:|:::::::::: : l l/
　　　　　　 |: : : ::l::i:!: : : : ::ﾞ| 　　 {ヽ｀:､:::::!l::::::: : : l　　 ,.、　　 ,.-､
　　　　　 !: : : ::!:j/l: : : : : ﾍ＿,,,,..`ﾆ、＼l!:: : : : i　　/　}　　／／　__
　　　　　　l: : : ;rく＼l、: : : : ﾍ:､　　　 l　　 |: : : : ,{ 　 l　/_,／_∠-',ﾆ-､'
　　　　 !: : :.{,ヘ｀ヽ`、: : : :ﾍヽ　　 ! 　 !: : : :/|　 i′　　　 _,.-'",／
　　　　　 l: : :./　　＼｀ヽ: : : : ﾍ. ＼　ｌ　 l: : : /､| 八　　　 ,. -‐＜

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　__　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿　（ｍ）　＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|ミ|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　.｀´　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　./=={廻!=---------､_　.,-､_!‐i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / ∥≧´　　　　　　　　｀''i行ﾐil /｀''i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i　/'.／　　　　　　　　　　ヾ彡F!ヽ,　`i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ..l/ /　 /　　　l ..l　　 i　l　　　￣ii｀il　i .|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.i l .l　　l　 l　　|　l　　 |i　l　i　　.　l''.|　| |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 li .l　| .l i/i |　 li .|i　　li. .l　|　　..　| l　| .l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ! .ll,_!､fｬ､| l　/i .l i､| /i .l　.!　　　/ l　l .l
　　　　ｸﾞﾗｳﾞｨﾃｨ　　　　　　　　　　　ゞ!!lf凾}.,i.!!!'' ,-i乞弌 l .! /i　　　l　| .l　|
　「そこに重力倍化をかけたら、　　　　　　　 !.lF彳"´　ヽ弋汐/　 y/!　 l　|　l .l　l
　どうだろ？」　　　　　　　　　　　　　　　　　./i , .!　 '　　　｀w// / /　!　l　|　l l　.l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 //i　l ゝ､`'ｰ ..　　// /_/=--!､.!　l .l .l　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / ,!/ ./　 i｀ゝ-===/ ./`´　　　 ! !　!.l .l　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／／// 　　l／f⌒i/. /　　　　　　.! l `i .l　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　/　 l　!､　-‐l,x lf=.l/ .l　　　　　　　＼　! .!　l--､___
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　/　 .l　l ｀i　　..ヽfx) .l .l　　　　　　　　　＼! ＼l_`'''`‐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..!　　/　　 !　l､ .l　　 .i>,　 l |　　　　　　　　　　.|＼､､ヽ､

268 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 21:10:43 ID:lMCd7AkY

投擲する前に重力かけるんですねわかりますw

271 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 21:11:18 ID:oz1A1tnk

きらきーが合体技を閃いたwww

269 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:11:03 ID:qLkNzrF6

四１２．
―――――――――――――――――――――――――――
　　戦いでは何が起こるか分からない。
　　どれほどの予測と戦術、準備を以てしても勝利はおろか、
　　犠牲を防ぐ事すら確実なものではない。
―――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　ノ　　　ヽ
　　　　　　　　　　　| 　（●）（●） |
　　　　　　　　　　　 |　　（__人__）｜
　　　　　　　　　　　|　　｀ ⌒´ 　 |　　　　　　　　　　　ﾐｭｰﾄ
　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　 }　　　　　　　　　　　「沈黙封じはしてくるだろうな………」
　　　　　　　　　__,, -ヽ　　　　　ノ　-､
　　　　　　　/⌒ヽ　 |　＼＞<ﾍl　ヽ　＼ .
　　　　　　 {:::　　 l　＼　ヽ };;{ | 　 | i　 }
　　　　　　　 {:::::..　〈;;,, 　ヽ　V;;;}ﾉ　　l彡ヽ
　　　_,,.-‐''" |::::::::　ヽ--､＼ >--'⌒ヽ::.　 }
　　　||　|_,,.ィ'|::::.....　　 }_,,.-‐''"~ヽ_,,.-し'::　　）_,
　　　||　|　||　!::　　　/　　　　 .::ﾉ::::::::::.　　ノ
　　　||　|　|| _ヽ,,　.;:::　　 _,,.-‐''"ー''--''￣
　　 _,,. -‐''"　　｀ｰ---''"

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,／　 ,,､-‐=''
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:i,､ｨ'´::::∠､,,,,,,___
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::,ﾆ=-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,-'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::､'=、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, 、 i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ｀
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l .|　|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, --‐'　i, '!i'!:::::::::::::::,=-‐'""゛゛゛゛￣￣｀'''‐､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　7 　　　 i, !ヽ::::::／´ 　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀i　　　　l,　　ﾘ/　　ヽ　　　　　　　　　　　　　 '､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞｰ-､　　i, 　 !　　　　 ',　　　　　　　　　　　 'i,
　「風属性を封じるのであれば、　　　　　　 '!　　'i,　 l　　　　 ',　,　ﾉ　　　　　　　　　　'､
　土属性を使いやすくなります。　　　　　　!､-‐''"i,| 　　　　/ /　/　　　　　　　　　　　　Ｌ.＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,／　　　ﾞl′　　　lﾞﾉ　´　　　　　　　　　　//
　防御は私に任せてください」　　　　　　　｀ヽ　　　 i　　　　lﾞ､,　　　　　　　　　　　　 //
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　,|　　　 l'ヽ｀ｰ　　　　　　　　　 //
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　iヽ　 ( ｌ,　　　,|　'!、　,　　　　　　　　　　//
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　ｌ,　ヾ'､ヽ　 i　　｀!、l　　　　　　　　　 //
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l＼i,　　　　 /　　　ﾄ､!　　　　　　　 //
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゝ､＼、　_,ノ　　　 |　ｌヽ　　　　　　 //
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ｀'-二、　　　　!　l ＼　　　　　//
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　｀"ヽ　　　　!,,_ 丶　　　 //
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼_＿__＼＿＿__i＿＿＿__//
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'´―､――‐､:::::::::::::::,――‐ヽ i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　i,::::::::::::l｀"‐-､_ 'i |,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　|,:::::::::::!　　　｀ l, l

272 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:12:01 ID:qLkNzrF6

四１３．
――――――――――――――――――――――――――――――――
　　だからこそ彼らは一秒でも無駄には出来ない、と相互理解と戦力分析、
　　戦術の検討に余念がない。
――――――――――――――――――――――――――――――――

　　／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　（ー）（ー）
.　|　　　　（__人__）
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　「奴の防御障壁は
.　 |　　　　　　　ｎｌ^l^l　　　　　高位竜並と考えた方がいい」
.　ヽ　　　　　 |　　ﾉ
　　ヽ　　　　ヽ　く
　　　/　　　　　ヽ　＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_ , - - ― ´ ￣　｀ - ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_ _ γて_,､/／　　　　　　 ― ､―yﾐＸヽ_=r= ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/／| Kr-､|ヾ､　　　　　　　　　　 >ﾛ>＜ァトミヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ Xヾ彡 //　　　　　|　　　ヽ　ヾ|＼ﾃｿノﾍヽ｀､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| | |ﾄ｀´ﾉ/　　|..|　　 .|　　 |　 |　　゛　て‐<ゝ｀　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| | |｀､/ |　/　| |　 .ﾊ|　　ヾ　 |　　ヽ |ヽ ||(｀　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | | /ﾍ/ | /　 .| |　 | |ヽ　｀､_._|＿　 | li ｀､＼||　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　|　.ﾊ .|　|　 |大-.| | .|､　 .|ﾊ | |　　|　|　|　 ||　|
　　　　　　「貫けるかな………」　　　　　　　　 ,/　///　 ||　|　ﾉﾚﾊ,､|､＼＼ﾊi_, =-､ | | .|　|　　|　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　/ /ｲ　 | | .| Kr/ﾏｱ冫　｀｀´ｲ::..::ﾊ |　|　|　　|　.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／／/ / | | | ﾍ Y｀.ヾ斗ｿ　　　　弋;;ｿ / .|　.|　　ヽ .|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／／ / /　 | | |　ヾ|ﾄ,　゛´゜　　　　　　　ノｲ　|　 |　　　| .|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ ／／／ｲ　.| | |　ヽ)　>　　　　_　_　U　ﾉ彡/　 /　　　｀､ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　../　 /　/　　|　 | | | |　 |ﾉ i |>､　　｀ ´　／ｲ / ./ /　　　　　｀､＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　 / イ　 / |　 | | | |l　ｙ | | r-ﾉ＞ - ＜　　|/ / /　　　　　　　ヾ｀
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　 |　 |l　..　 ||　|　 | |　/| .| | ＼>_)(⌒)(＼ﾉ/ / /｀､,_ /｀´ |＿　ヾ　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　 |　 ||　|　　|ヾ　　　X .| .| |_ , )､ｿ　(　 )　( / /ﾃアﾉ￣r/./　ヽﾉ　　｀､

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　全てを出し切る必要がある、でなければ後悔する羽目になる。
　　それが四人の共通認識であり、先程からこの部屋に満ちているピリピリとした緊張の正体だったのだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

274 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 21:13:18 ID:lMCd7AkY

おちゃらけた合いの手入れないと、緊張感に押しつぶされそうだ

273 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:13:00 ID:qLkNzrF6

四１４．
――――――――――――――――――――――――――――
　　十九時を回って一段落したところで、扉が勢いよく開かれた。
――――――――――――――――――――――――――――

　　　＼　　　　　＼　＼　　　　 | ,,,--'''''￣　| // ＿,,,,--┐ 　 |　／　　＿,,,...---
. 　　　 ||￣　/l‐|、-/l　＼┌'￣|　　　＿,,,,-ゥ/i｀ヽ、　　.ィ-ァ|　| 「￣' 　 |
. 　　　 ||　 ./,'　| | |、|￣''''ー-____,,--''''',,,-'''~/　＼|..　.／／　|　| |　　　　|
. 　　　 ||　//==| |=|/ー-＜￣__,--'' ￣　　 /.　　　／／.|　　|　| |　　　　|
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　　 ||　ロ(()==| 　　　　 |　|　|　　　　　　　　　　　　　＼|　　|　| |　　　　|｀''--
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　　 ||　 ||　 |　|.／　／. 　 |　|　|　　　　　　　　　　　　　＼|　＼ |,,,,....--- |----
　　 ||　 ||　 |／　／..　　　.|　|　|　　　　　　　　　　　　　　 |＼..|..＼...　＿__|,,,,,,,,,,

275 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:14:00 ID:qLkNzrF6

四１５．
―――――――――――――――――――――――――――――
　　急ぎ足で入ってきたのは国王キャスバルと王妃ハマーンの二人。

　　ここに来るまでにかなりの事をこなしてきたのだろう、
　　顔からは血の気が引いており声にも力が残っていなかったが、
―――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　- －＝－- ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　.　: ´　　　　　　　　｀ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　 ',
　　　　　　　　　　　　　 j　　　　　　　　　　　　　 ',
　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　ｉ | !　　　　 ',
　　　　　　　　　　　　　 .:　　　　　 {｛彡イノノノハソﾊ　　i
　　　　　　　　　　 {　　 {　　从////////ﾊィ//ﾊリ　}
　　　　　　　　　　　 i　　乂У　∨/////／∨////ソﾉ
　　　　　　　　　　乂　　い　Ｙ｀ー "´　　 ∨/ｲ′
　　　　　　　　　　　　　彡　　　Ｙ从ミ　　　　'"´ ７　　　　　　　　「すまん、随分待たせてしまった」
　　　　　　　　　　　　　　八　　　ミ、　　　 ⊂ﾆ7　/ﾐ
　　　　　　　　　　　　　　い　　　У ヽ　u　　. ｰ　 /ﾊ
　　　　　　　　　　　　　ゞ＝=ﾘﾉ､、　＞、　　 /ﾉ
　　　　　　　　　　　　　 /:::::::::/:.:.:.:.:.:.≧ｘ､、_￣彡､、
　　　　　　　　　　 /:::::::::/:.:/　　｀ '･＜: : |!:.:.:.:|:.:.|
　　_ ...... _　　　　 .．＜｀::::::､/:.:/ ☆ ☆ ☆　〉:|!.:.:.:.|:.:.|
／::::::::::::: ｀Y￣｀ヾ::::::::::::::／:.｀:.:.＞．　　　/:.:.|!:.:.:.:|.:..|､、_ 　　＿
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　　　　　　　　　　 _.,..､:-:─:-..､、
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　　　　　　,.':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
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　　／:::::::::i:::::::::{こj::::i　弋ｹﾆゞ､イｲｦイ:::::::＼
　／:::::::::::::i!:::::::::じｲ::::|　　　　　　｛　　/::::ヽ::::::＼
　＼:;ｲ::::::i!|::::::::: ゝｊ:::::!　　　　　　ゝ /:::::!:.::ヽ:::::::::>　　　「早速だが始めようか」
　　　'＜::il:|:::::::::::::;:!::::ｊ　　　ー－ , ′::::!::::::::ﾄ／
　　　　　ヽi;;;;;;;;;;;;;j'"´　＼　　　／::::|::::::＞'"´
　　,.､rｰへへ/´;;＼　　　トﾆ´_＿"´
／´￣｀ヽ;;;;＼＼;;;;;;;;｀ヽ、　!＼;;＼;;;＼__
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γ;;⌒ヽｲ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;＼;;;;;;｀＼;;;;;;;;;／;;;;;丿;;;イ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;',
´￣｀ヽ;;;;＼;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀＼;;;;;;;￣;;;;;;;／／;;;;;};;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;j

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　　気にした様子もなく、侍女に飲み物を運ぶよう指示をして
　　窓際のテーブルへと歩み寄ってくる。
――――――――――――――――――――――――――

276 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:15:00 ID:qLkNzrF6

四１６．
――――――――――――――――――――――――――――――
　　床の上などに並べていた道具などを片付け、
　　返す手で手帳を取りだしたやらない夫が最後に席に着いた時には
　　すでに湯気を立てる紅茶が六つ、並べられていて、
――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　（
　　　　　　　　　　　 `.
　　　　　　　　　　　､　｀ヽ. 　｀ヽ
　　　　　　　　　　　　ﾉ　　 ,!　　ﾉ
　　　　　　　　　 ,r　　　'´　_　　 '　 _,
　　　　　　　　　!　　　　 r'´　　 r‐'
　　　　　　　 , , -─=＝i＝＝i=‐- .._　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（
　　　　　　 // 　 ,＿.......i............___　ヽヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　`.
　　　　　　ﾄヽ.-''´:.:.:::::::.:.:.:.::::::::::::::.ソﾉl　　　　　　　　　　　　　　　　　､　｀ヽ. 　｀ヽ
　　　　　　 l ｀｀ー＝＝＝＝-―´´　/ ‐- ､　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　　 ,!　　ﾉ
　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　ゝ!─､　l　　　　　　　　　　　　,r　　　'´　_　　 '　 _,
　　　　　　　!　　　　　　　　　　　　ﾉ､＿j　j　　　　　　　　　　　　!　　　　 r'´　　 r‐'
　　　　　　　',　　　　　　　　　　　　ゝ＿ノノ　　　　　　　　　　, , -─=＝i＝＝i=‐- .._
　　　　　　　ゝ､　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　// 　 ,＿.......i............___　ヽヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄヽ.-''´:.:.:::::::.:.:.:.::::::::::::::.ソﾉl
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l ｀｀ー＝＝＝＝-―´´　/ ‐- ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　　　　　ゝ!─､　l
　　　　　　　　　　　　　　　（　　　　　　　　　　　　　　　 !　　　　　　　　　　　　ﾉ､＿j　j
　　　　　　　　　　　　 `.　　　　　　　　　　　　　　　　　 ',　　　　　　　　　　　　ゝ＿ノノ
　　　　　　　　　　　　､　｀ヽ. 　｀ヽ　　　　　　　　　　　ゝ､　　　　　　　　　／
　　　　　　　　　　　　　ﾉ　　 ,!　　ﾉ
　　　　　　　　　　 ,r　　　'´　_　　 '　 _,
　　　　　　　　　　!　　　　 r'´　　 r‐'
　　　　　　　　 , , -─=＝i＝＝i=‐- .._
　　　　　　　 // 　 ,＿.......i............___　ヽヽ
　　　　　　　ﾄヽ.-''´:.:.:::::::.:.:.:.::::::::::::::.ソﾉl
　　　　　　　 l ｀｀ー＝＝＝＝-―´´　/ ‐- ､
　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　ゝ!─､　l
　　　　　　　　!　　　　　　　　　　　　ﾉ､＿j　j
　　　　　　　　',　　　　　　　　　　　　ゝ＿ノノ
　　　　　　　　ゝ､　　　　　　　　　／

277 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 21:15:01 ID:lMCd7AkY

テーブルの上、ごちゃごちゃになってそうだがw

278 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:16:03 ID:qLkNzrF6

四１７．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　猶予はおそらく残されていまい、と表情を引き締めた国王が早速本題に入った。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　__＿＿___
　　　　　　　　　　　　　 ∠´　　　　　　｀　､
　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　｀　､
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　｀ .､
　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i
　　　　　　　　 l　　　　　　　　　　　γ　　　　　｝　（　　l
　　　　　　　 l　　　　　　　　　　　 i　／ノノﾉル））ｊ　ヽ
　　　　　　 ,'　　　　　　　　　　　{　｛｛　｛彡≦≠ｭ/　! リ
　　　　　　 ,'　　　　　　　　　　　　ゝ､ゝｰ( ´`ヽﾆｾヾ　〉ｿ
　　　　　 {　　　　　　　　　　　｛´ヾﾒ　）　　　　　　'､
　　　　　　　ヽ､　　　　　　　　　　ヽ)）（ (　　　　　　　ヽ　　　　　　　　「宝具の説明、であったな。
　　　　　　　　　ヽ　　　　　　　 i トゝ　　　　　ｒｰ′
　　　　　　　　　　ミ　　　　　　　　　ノﾉ! 　　　　　´￣」′　　　　　　　　　ならばエゥーゴ建国当時から
　　　　　　　　　γ⌒ 　　　ヽ　｛（　　ヽ、　　　｀{　　　　　　　　　　　順を追って話すべきだろう。
　　　　　　　　　ゝ,　　　　　　!ニﾆヾ彡｀::.. ＞　　　j
　　　　　　　　（　つ　　　　　ﾉ　 | |　ﾍ　　　┬‐｀ｰ ´　　　　　　　　　　　………時は総歴一六六七年。
　　　　　　　　ミ彡 γ〃〆　　　| |￣￣￣｀ヽ==＝＝＝y　　　　　　　　今から三百年以上も昔、
　　　　　　　｛　　｛（(ﾍ　　　| |　　　　　/ 　　　 //　　　　　　　　　エゥーゴ建国歴三年の事だ―――」
　　　　　　　ゝ、 _丿　　　　　| |　　　　　| 　　　 i l
　　　　　　　　　｛　　　　　　　　　| |　　　　　|　 i　　　| l
　　　　　　　 __＿彡ニニ二二ヽヾニニヽノハ | 　　l | 　　ｒー - ､
　---ｰ　''''"´　　　　　　　　ヽヽ　＼　　ヽゝ　!|　　くくヽｰ--　､ヾヽ
　　　　　　　　　　　　　　　ヽヽ　＼（（　　ヽ　　〉〉　　　　ヽ　＼
　　￣￣　───ー　￢　　　　ヽヽ　　＼＼　ヽ　| |　く´￣　ヽ　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　ヽ　ヽ　＼＼　ヽ| | 　ヽ　　　ヽ　　ヽ

――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　エゥーゴが長い間国宝としてきた大地の女神の宝具とは何なのか。
　　そして妖術師は、盗賊団は何故それを欲するのか。

　　事件の根源であり、エゥーゴ繁栄の源であり、大いなる存在の加護が今初めて、
　　王家の者以外に語られようとしていた―――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――

279 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:17:00 ID:qLkNzrF6

四１８．

┏┓　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┏┓
┗╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋┛
┏╋──────────────────────╋┓
┃｜　　～　やらない夫は　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜┃
┃｜　　　　　　約束を守るようです　～　　　　　　　　　｜┃
┃｜　　　　　Episode II．大盗賊団ティターンズの挑戦！　.｜┃
┗╋──────────────────────╋┛　　:::::
┏╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋┓ ::::::　　　:::
┗┛　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┗┛:::　 :::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　:::::/::::::::::::　　:::::::::　　　　　::::::::::::::　 ::::::　　　::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　| :::::/:::::::＿,,..r-＝77= ‐- = ≦ー＝へ､_:::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　,/　 :::::ﾞ＜´::::::::::::::::;;;;;;;;;::::;:;:;:;:;::::::::::::::::::::::::::::＼_＿
　　　　　　　　　　　　　　　　＼／::::::::::::::ﾊ　　|;;;;;;小.:::::::　__,.　-ｧ　 ∠._,'　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼:::::::::::/::::::|　 |;;;;;;;i;;;;ゝ. 　　￣　　_,.r- !／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / :::::/::::::::::::|　|:;;;;;;;;;;;;;;;;;｀ヽ.＿,. ／　:::::::::::::　　:::::_,.;r=
　　　　　　　　　　　　　　.　　　 / ::::/　:::::::::,'　,':;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;／　 ::::::::　　　　　::::／､::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　＼ー-- ､,,_ー=ミ‐-..､.:,'　/;;;;;;;;;;;;;;;;;_:;;;;─────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　＿＿＿ﾐ::::::::::::::::｀¨ミヽ､::::::ヽ./;;;;;;;;;;;;;;;;|　ヽ-'´:::::::::::::　　第四章　　五人
　　　　　　＜:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::::ヽ.──-ﾄ､　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────
　　　　　　　　ヽ､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾄ､..　　　'{　　≦=≠ 　　　　　　　　　　　　　　　:::::{
　　　　　ー=ﾆ､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::j::ﾊ　　　　　　　　　　　　　　　／.:￣￣￣￣￣＼j
　　 --─=＝ﾆ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ヾミ:::::::::::}　　　 ,.---- ､　　　　　／: : :: : :: : :: : :: : :: : :: :＼
　　　 ,,ｨ彡:::::／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::彡ｲﾊ::く　　　/　　　　ヽ　　 ..／: : : :: : :: : :: : :: : :: : :: : :: : :＼
　　／::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::l::::::::',　 .{　　.出　 }　　.／: : : : : :: : :: : :: : :: : :: : :: : :: : :: : ＼
..／---─ｧ':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／::::::::::::／:::ﾘ:::::::}ﾊ　.ヽ.　 || 　ﾉ　　 : : : : : : :: : :: : :: : :: : :: : :: : :: : :: : :: : :＼
.　　／/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::イ:::ﾂ<彡'/:::;イ::::::::::l:::|　　||||==||||　　　 : : : : : :.; '⌒｀: : :: : :: : :´⌒ヽ: : :: : :: : : l　　＿,-ｰ､
　　　　/::::ｨ::::::::::::::::::::::::::,ｨ/ 　¨''=ｲ _,ｲ:::ｲﾃ ::::::::::ハj....　　　|::|　　　　 : : :.:;;（w●w）: : :: : :（w●w）: : :: : :: : |／'､=--ｰ: :ﾒ,
　　 _,,ｲ／/:::::::::::::::::::::ｲ/ |　　　　　ノ　|¨ .::::::ｲ/.　　　　 |::|　　　　: : : : : : : ´'==´: : :: : :: : :`==´: : :: : :: :／: ／' _.,,=-ー`´ｉ
　　　　∠ イ:::::::::ｨ::/ .|　　　　　　､ _｣ｲ:／.j'.　　　　　 |::|　　　　 : : : : : : . ..: : :: : :: : :: : :: : :: : :: : :: : :'ｰ／／´,_=-ー'': : :)
　　　　 /ｲ:／ .|ｲ　　＼　　　‐--- ／|:/　　　　　　　　　|::|　　　　＼: : : : : : :: : :: : :: : :: : :: : :: : :: : :／　'ｰ(,,r'"_,--一,ｰ ,.ﾞ(,
.　　　 __,-,ﾆ二ニ=､　　　＼　　ﾞﾞﾞ／　.ｿ.　　　　　　　　 |::|　　　／ヽ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : イ＼　ゝ: :￣.:ﾞｉ,: : :: : :,r': ヽ

　　　 .／／　　　　　　　／ヽ- '　　　　　　　　　　 |::|　　　　　　　　 ,ィ''´_二----`' - ､__　: ＼　｀`-" ＼,_､: : :: : : :
　　／/:/　ヽ､　　　　　_ ｲ　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::|　　　　　　　／, イ_,　_, - '´　　　　　｀｀`'‐､:＼　　　｀｀ヽ: : :: : ::
　／　ヾ`､　　ヽ､　　Y　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::|　　　　　　/7'´／／　,　　 / i|　　　|　　　　 `ヽ､
　　　　　＞+:‐: ´:￣: ￣: :`:'￣:l.､＿＿＿,／　　　　　　　 |::|　　　　　// ./７/　／　／ / l　　　　`､　　 ,__rfミヽ
　　　／: : : : ／: : : : : : : : :/ : : l: : : :く‐´´　　　　　　　　 |::|　　　　 {i'.l // /../　／ .／.i |　　　　　　ゝ､ﾄ{ ,r‐i ､
　　../: : : ／: : : : : : : :/: :/: : : : l: : : : ､:＼　　　　　　　　　 |::|　　　　 Vr-i ./　/ ｲﾉ/ ll　l　　i i　 i　i　　< f ､ニノ_
　　l: : : /: : : : : : : : :/: /l: : : : ∧ l: : : :ヽ: :ヽ.　　　　　　　 |::|　　　　 {薔!i′/ /／i'li　il　 //　 / .i 　　＼＼彡ン
　 /: :/: :/: : : _,:_∠Ｌ､:::/: : : /::::l l: : : : :ヽ: : ヽ　　　　　　　 |::|　　　　 __ｰi Ⅳ / ノc!l､ l/　/∥ /　/　　　　　　i .l　i
　 l: /://: : : : :／::/':::::/: : : /::::-H､: : : : : lト､: ヽ　　　　　 |::| 　　　 i'　　　　 i'.i' 汐 /　ｲ.ﾉ　ﾉ /　　　　 /　/i　!　!
　 l://://: : : ｲミ土=､_/: : :/:::::::::l∧: : :l: : :l　｀ヾ､　　　　 j::! 　　　 }　　　　ゝ｀ｰ- ナｲノ.／ .ﾉ /　／　i'　 l　l　! l
　 l/: :l l: : : ｲ:llo:::::::/:::/://:::テﾃヵl: : :ﾊ: : l.　　　　　　　　　` ´　　　 'i､　　　　　　　／イ -彡イ／イ　l　　l　 l　l ヽ
　.l: : :l: l: :/.:l.:l し: 」:::::l/:'::::::P::::/'/l: : :l:N: :l　　　　　　　　＿＿　　　　 i ′　　　　_,,イ'´_ ィ/　／イ　i　l　　.l　　i　l　l､
　l: : : W/: : N　　　　　　､ `‐':::l::l: : lN　V.　　　　　　／　　　 .＼　 r､!　　　　　{ i　／／　／イ/l　　l　l　　l　　!l　ヽヽ､_
　l: : : : :ﾊ: : : ト､　　ー=　　　ノlﾊ: :ハl 　　　　　 /　　　　　　ヽ　｀i i`ｰ-　､_ ヾ　{./　ィ　　 l l　　 l　l　　l　　ヾi　＼､
　l: : : : : :､: : : 「ﾌ｀‐- ,､-┬:Ｔ´: :l　l/　　　　　　　　　|　　　　　　 |　　 ! 'i i'´ l:::::ノlヽヽ< |　　　 ll　　 l　 !　　ゝ､　＼
　l: : : : :,レ､: : :ヾ､　　/､｀Y/:l:l: : l　　　　　　　　　　 |　　　　　　 |　　 |　i＞_.､_　 / i､｀i |l　　　 ll　　 l,　　　　　ゝ､__ ＼
/: : :rﾆミミヽ: : ヾ､-─┤ `┤: : l　　　　　　　　　　 |　　　　　　 | 　　 l -'´__r_'f´i　i-}　l !l　　　 l　　　lii　　　　､　､｀-i､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,.､／:∠＿
　　　　　　＿＿_, - ､　　　　　　　　　　　　 __,. -――＜二二二＞≦――-,､　　　　　　　　　　　,. ‐'´::::ヽ:.:.:.:.:二ﾆヽ
　　　　　ﾞーｧ:.:.:|::::::::｀` ―- ､、　　　　_r:'Ti::､:::::::::::::::::::::::::: |:::::::::::::::::::::::::::::::/:ﾊ、　　　　　　　,. ‐'´:::::::::::::::::|‐--―一'
　　　　　／:_,:.:.,|::::::::::::::::::::::::::::｀`ｰ-‐'´:::::::ヾ', '、::::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::://:ｨ::｀＞―‐-- ‐'´::::::::::::::::::,. - '
　　　　　'-´一'´`ー- ､、:::::::::::::::::::::::::::::::｀丶:ヾ}｝:::::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::/:'ｼ':／::::::::::::::::::::::::::::::::,. ‐ '´
　　　　　　　　　　　　　｀` ‐- ､_::::::::::_,. -‐`｀^ヾ::::::::::::::::::::〈:::::::::::::::::::::::::fr‐ '＜-_::::::::::::::::::::_,. ‐'´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀￣　　　　　 /:::::::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::〈　　　　 `'-一''"´

281 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:18:00 ID:qLkNzrF6

四１９．

┌─────────────┐
│　　総歴一六六三年　　　　　　 .│
│　　シアード大陸東部周辺　　　.│
└─────────────┘
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　神峰ロストロギア
　　　　　　　　　:.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.　Λ　　,,
　　　　　:.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.: .: ΛΛ　|
　　　:.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.:タオ砂漠::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.:::.;;;;ΛΛΛ |
　　　:.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.ΛΛΛΛ:|
　　　:.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　ファイブリア
　　　:.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:.::.:　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!
　　　　　　　 __/l‐'ﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞヾ'　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│
　　　ﾞ''''''''''''''"’　　　　　ｷ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!
　　　　　　　　　　　　　　l'　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!
　　　　　　　　　　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l～ーーーーーーーー
　　　　　　　　　　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l
　　フリート神聖王国　　]　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!
　　　　　　　　　　　＿ｙ┘　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　丿
　　　　　　　　　　　ヾ..、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　丿’
　　　　　　　　　　　　　ヾ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　../‐
　　　＿＿　　　　　　　亅　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__..ﾉ"
　　''"￣￣ﾞ冖'''''''''''''''''''ゞ-＿＿＿＿＿---亠――‐'十―‐ｰｮｯ-ｭ＿＿＿......ｭ-ｒl‐'ﾞ'´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!_　　　　　　 ∠’　　　　ﾍl_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│ｶﾘｵｽﾄﾛ./'’　　　　　　! ､　　　　　　　　　　　　　　フォーセリア
　　　　　　ローンデルギア　　　　　　亅公国 l^　　　　　　　　　l
　　　　　　　大湿原　　　　　　　　　　｛　　　　│　　ﾛｰｾﾞﾝ　　　　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｛　　　　│　　　公国　　　　ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ!　　　/ 　　　　　　　　　　　｀ﾍ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　.|　　　　　　　　　　　　　　　|.

┏───────────────────────────────┓
│　　隣のフリート神聖王国の第二王子であった祖王ブレックスは　　　　　　 │
│　　賛同者と共にこの地でエゥーゴ王国を興したのだが―――　　　　　　　 .│
┗───────────────────────────────┛

503 名前なんて無いだろ 2011/05/02(月) 23:21:33 ID:rA.KpKOY

はげしく今さらだが、>>281のローゼンの隣国がカリオストロ公国とかww
ロリコン伯爵が統治してそうな国だなおい

504 名前なんて無いだろ 2011/05/02(月) 23:31:56 ID:R3tHvQwA

>>503
現在ではローゼンの領地だから滅亡して併合されたんかねw

282 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:19:00 ID:qLkNzrF6

四２０．

┏───────────────────────────────┓
│　　荒れ果てた国土にどうする事も出来ず、頭を悩ませていたと言う。　　　 │
┗───────────────────────────────┛

　　　_,r'"　　 i i　l　　　　　ヽ.
　　 i"　　　　i. l　ヽ　　　v ）　＼
　　 j　 i　　　　,ゞ-ゝ‐'"~ヾ_　　ヽ
　 r'　　,＞r―''　　　　　　ヽ　　|
　ゝ　 .i　　　　　　　　　　　|　　i
　　ゝ　 |　　　　　　i!　_,_;;;ﾆﾐ､ ,j!
　　 .!　ﾚ'二ニ≧jiヾ≦'o ,)ﾞレ(
　　　ヽ､Y"'≧ﾟ:ク(. !ヾ:.￣　ﾉ!ｨ､|　　　　「………なんと荒廃した土地なのだ。
　　　｢iヽi　　　　 ! !ノ　　　/i!k |
　　　 | ゝ|i　　ノ~'Y〃＼　ハﾉ　　　　丸三年かけて何も変化が見られないとは、
　　　＼j' i　　　rｰ‐--､　　|　ﾄ,　　　　　精霊力やテラの力（※）が途絶えているとしか思えん」
　　　　　!八　　　〃　　　,/　,|
　　　　　!,,　｀ヽ､_,,r(,,＿,,ノ　　ji.　　　　　 ┌────────────┐
　　　　｢'ヽ,,　　　　　　　　　,,ノ |　　　　 │　　エゥーゴ建国王　　　　　....│
　　　　|　　ﾞ''ｰ-､,,__,,,r―''"　　 |　　　　 │　　ブレックス＝フォーラ　　　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 └────────────┘

※自然の多いところに多い、妖精界より流れ出てくる力で
　白魔術、黒魔術の魔法原動力にもなる。
　一部の妖精族（ハイ・エルフやピクシーなど）はこの力が無い土地では長く生きられない。

283 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:20:01 ID:qLkNzrF6

四２１．

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::〃i::::',::::ヽヾヽ::ヽ＼:､＼:'.,',`ヽ::::::::::ミｪ､､､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::::/::!::'::::::':,:'.,::::ヽヽ､::::::::::＼＼',:::::::::::::::ヽ￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::i:::::::i:::､::::::::ヽ:::､､:::ヽ::::､::::::＼ヽ､:::::::::ヽ:ミｰ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,'::;::::i:::::::ｌ!::!ｧ､:::::::::ヾ:､rﾞ=､::::ヽ::::::::::ヽ::::::::::::`、ヾ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ｼi::::i::i::::!:ｉi （::ﾒヾ､::'.,ﾒ（::ｿ,ﾞi::::ヽ:::::::::ヽ::::::::::::ヽ、
　　　　　　　「荒れ果てた………？　　　　　　　　　　　　　　 /'　i:::i::!::::::i '=ﾃ'　｀ヾ::ﾐ＝"　ﾘ::::ヽ::::､:::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　　　　エゥーゴはこんなにも豊かではないですか」　　　　　 i:::!:::i:::::!. ヾ　.、　　`　　　 l!i:::::::::::::'::::::::::::::ﾐ｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 'i::::l !i:::'､　｀　　　　　　　　! i:::::ｌ::::::::::::::::::::ヽ`ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'i::l　i;lヾ､. ＝=-　　　　　, ｲﾘ,:::iﾞﾃ､::::::::::::ミヾ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　';i　il 'i:ヽ 'ー　　　　,...:':　: i! ';:i'ｼ' ｀` ｰ-=:､ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!　!　'i:::'、　　 ,...:'::::::　　: ! // , ', -‐'''''ｰ､＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘ　`ｰヽ､::::::　　 ; ,'/／〃　　　　　｀　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀`ヽ､ //　〃　　　　　　　　　ヽ

――――――――――――――――――――――――――――――
　　精霊使いであれば誰でも分かる程に高まっている土の精霊力や、
　　肥沃な穀倉地帯として大陸東部に名を轟かせている現状からは
　　とても信じられません、と驚くエルに頷いてキャスバルは続けた。
――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　_ ,､-―- ､_
　　　　　　　, - ﾞ´　　　　　　 `ヽ、
　　　　　, '　　　　　　　　　　　　`ヽ、
　　　　　,'　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　i　　　　　　　　　　　　　　　　',
　　　　ﾉ　　　　　　　　　　ノﾉ八 ,）　　ﾍ
　　　（　　　　（(　ノﾉ∠ｲ＿　ﾉハ_リﾘｿ
　　　　｀)　　　　 Y＜;;::;;;;;:::;;;;｀´;;;;;;;;;!ﾉ
　　　　ﾌ　　　,ﾍ　|ヽ;;;::;;;;;:::／ヘ;;;;;;;ﾉ　　　　　　　　　　　　「今は、な。
　　　　ヽ　　｛Kﾉ　ゝ`'''ｰ''′　, 〉 i
　　　　　）)　ヾﾄヾ　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　それまでは国のない空白地だった事が証明するように
　　　　ラ　( （ﾉﾚ＼　　　´ ￣ /　　　　　　　　　　　　毎年のように氾濫するアクシズ大河、
　　　　,イルゝトミtr､. ＞　_＿/　　　　　　　　　　　　　　　タオ砂漠と同様に栄養のないグリーンノア平原。
　　　ノ::::::::::::::::/:.:.:.ヾクﾊ_入くヽヽ_,,､-ｰｰ-.,､
,､-＜:::￣:｀ヽ;/:.:.:.:.:.:.:.ヾｔｆｰ┬イ:.|ヽ;:ヽ:::::::::::/ﾍ､　　　　　　作物を育て、人を育むには最悪の環境に
､:.:.:.:.:.:｀ヽ;::／:.:｀ヽ;.:.:.:.:.||:.:.:.:|.:.:|.::|トヽ:.:ﾍ:::::/:.:.:.ﾍ　　　　どうしようもなくなったブレックスはダカールの丘に祭壇を造らせ、
:::ヽ:.:.:.:.:.:.:.y:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ､;.li:.:.:.:i:.:.:!ノ｀ヽゝ:.::∨:.:.:.:.:.:.:ヽ.　　　毎日のように大地の女神に祈っていた」
;;;;;;ゝ-ｰ:':':′:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ｲiｰ-十イ:.:..:.:.:.:.:.:.:.il!:.:.:.:.___ノ)）

284 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:21:00 ID:qLkNzrF6

四２２．

　　　／　　　　　　,_, 　　　　　　　　　　 ',
　　 /　　　　　　　（ l ､　　　　　　　　　　　 ',
　　 l　　　　　,i､/ 〉ヽ!ヽ、ヽヾ　　｀ヽi　　　l
　　 l　　 i　, ノﾊ( ､ ,-‐..'´｀ｿ'｀ヽ　i ﾘ　　 /
　　│　　i、l=‐':´｀"ﾞ:::::::::::::.　　: ﾉノ/､　　/
　　 | i i |/::｀ :: ::::::::,i ヽ ;::::::..　 .:: l l　 l 　ヽ　　　　　　「そしてある新月の夜、夢を見たと言う」
　　 l ヽゝ l:::　::: :::/ |　　｀' ､::: -'´j l' /　　　）
　　ヽ、ヽ｀､､:::/　 !､-　　　　　ゝ,l '　　　/
　　　　ﾞ''- ､ﾐ ',　　　_,　- ‐-　　　/r, ､　｀（ _
　　　　　 _ﾉヽ＼　　　 -　　　　, '//　＼　　）
　　　　　　｀ｦ.　＼　　　　／ // 　　　｀''‐'-,
　　　　,　=＝l ,　　l ｀　- ‐ '　　// 　　,---､ /
　 , , ' '´　　　!li　　ｌＬ. 　　, - ' 7/　　 |=000| ）
／/　　　　　　｀ﾞﾞﾞ_)|　｀' '´　　 l（　　　ﾞｰ ' ´く
ヽ.ヽ、　　　　　　　 l　　　　　　ヽ >　　　　　　l
.　　　　　 └

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　___　　__　_))r-､ィ⌒ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {薔}　　　　　 λ廻 }⌒ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／.／　　　　　　辷ﾆｿ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　/　　 l　　l　l　 l　(( ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　/　ｌ　ｌ|　/i| i|　i|　|　| ｌ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　 /　/ l　|　l | / i|/_|/ |　!　! |　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / 　| /!　| r//　ｲ示ﾊ|/! /l l　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「夢、でございますか」　　　 /　 /ﾚ' l　l必}）　弋沙/ l l　l|　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　 /　　 l,ﾘゞ彳,　　　　　ﾚ!　ｌ　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　 /　 /　　　/ ﾉ八　 _　　　　 /　/　 i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　 /　　　/　 l　l　ゝ､　　 _ ｲ　/ 　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .′　i　　／　 / /　/＿fTフ./　/ ﾍ. ｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　／／　　/ /　/r| ／ノ　i　 i! しﾍ　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / / ／　　 / / ／ﾉfi　ﾌしﾍ!　 |ｨ⌒´ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ / /　　　 / / {　 {　ﾉ≫≪　|　 |ノ⌒てi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i i　ﾉ　　／ /　ヽ　У|≫≪ λ　＼￣｀＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 // ( 　　 (　　＼　 i fてzr-z＿ﾉ＼　＼　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ﾉ　　i　　　＼　　)　 )　　　⌒乙　 /　　/

285 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:22:00 ID:qLkNzrF6

四２３．

┏───────────────────┓
│　　もしかしたら違ったのかもしれん。　　　　　.│
│　　だが、顕れた大地の女神は言った。　　　...│
┗───────────────────┛

　　　　―――ブレックスよ―――

　　　　　　 W:ゝ　ミゝヽ!　　 ´￣´　　　　　　　　　　　　　　　　￣.彡／:/|:}
.　　　　　　 ||∨＼ '∧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / ／: : /: ||
　　　　　　　|: ∨: ::ーﾍ.　　　　　　　　　　　 !　　　　　　　　　　 /-': : : :/: ::i|
　　　　　　　|: ::∨ ____ ∧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:|: :_: :/: : : i
　　　　　　　|: : :「　　 |. 丶　　　　　　 f￣￣￣｀!　　　　　　／: :i ￣ |: : : : |
.　　　　　　 |: : : |　　 |: : : :＼　　　　丶ー一'ノ　　　　／: : :::|　　|: : : : |
　　　　　　 |: : |∧　　 |＜へ／ヘ、　　　￣￣　　　　イへ＞,┤　　|__: : : |
.　　　　　　」.∠´|　　.|:::/´　　丶｀ヘ . 　　　　　　＜　/　　　》|　　 |:::::｀:ヽ!、
　　　　／/::::::/　　 |::/　　　　　ヽ　　｀ー　´　　　　　　　　/:|　　 ∨:::::::::| ＼
.　　　／　 |:::::::|　　　/:::{　　　　　　!　　　　　　　　　　　　　　/::∧　　 ∨:::::::| 　丶
　　 /　　　|:::::::|　　　|::::∧＼_　　　　　　　　　　　 /　　　_イ|::::::∧　　　V:::/　　　ヽ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　―――わらわの敬虔なるしもべ、ブレックス＝フォーラよ―――

┏────────────────────────────────────┓
│　　黒瑪瑙にてわらわの六つの武具を模し、それを百年の間地中深くに埋めよ。　　　 .│
│　　さすれば国土は豊かになり、エゥーゴは繁栄するであろう、と―――　　　　　　　 ...│
┗────────────────────────────────────┛

286 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:23:00 ID:qLkNzrF6

四２４．

　　　　　　　　　　　　　　　　　__＿＿___
　　　　　　　　　　　　　 ∠´　　　　　　｀　､
　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　｀　､
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　｀ .､
　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i
　　　　　　　　 l　　　　　　　　　　　γ　　　　　｝　（　　l
　　　　　　　 l　　　　　　　　　　　 i　／ノノﾉル））ｊ　ヽ
　　　　　　 ,'　　　　　　　　　　　{　｛｛　｛彡≦≠ｭ/　! リ
　　　　　　 ,'　　　　　　　　　　　　ゝ､ゝｰ( ´`ヽﾆｾヾ　〉ｿ　　　　　　　　　「目覚めたブレックスはすぐに黒瑪瑙で
　　　　　 {　　　　　　　　　　　｛´ヾﾒ　）　　　　　　'､　　　　　　　　　　六つの宝具を造らせ、
　　　　　　　ヽ､　　　　　　　　　　ヽ)）（ (　　　　　　　ヽ　　　　　　　　　それをグリーンノア平原の地中深くに埋めた」
　　　　　　　　　ヽ　　　　　　　 i トゝ　　　　　ｒｰ′
　　　　　　　　　　ミ　　　　　　　　　ノﾉ! 　　　　　´￣」′
　　　　　　　　　γ⌒ 　　　ヽ　｛（　　ヽ、　　　｀{
　　　　　　　　　ゝ,　　　　　　!ニﾆヾ彡｀::.. ＞　　　j
　　　　　　　　（　つ　　　　　ﾉ　 | |　ﾍ　　　┬‐｀ｰ ´
　　　　　　　　ミ彡 γ〃〆　　　| |￣￣￣｀ヽ==＝＝＝y
　　　　　　　｛　　｛（(ﾍ　　　| |　　　　　/ 　　　 //
　　　　　　　ゝ、 _丿　　　　　| |　　　　　| 　　　 i l
　　　　　　　　　｛　　　　　　　　　| |　　　　　|　 i　　　| l
　　　　　　　 __＿彡ニニ二二ヽヾニニヽノハ | 　　l | 　　ｒー - ､
　---ｰ　''''"´　　　　　　　　ヽヽ　＼　　ヽゝ　!|　　くくヽｰ--　､ヾヽ
　　　　　　　　　　　　　　　ヽヽ　＼（（　　ヽ　　〉〉　　　　ヽ　＼
　　￣￣　───ー　￢　　　　ヽヽ　　＼＼　ヽ　| |　く´￣　ヽ　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　ヽ　ヽ　＼＼　ヽ| | 　ヽ　　　ヽ　　ヽ

――――――――――――――――――――――――――――――
　　黙って情報を書き留めていたやらない夫はふと手を止めて、
　　アンマンの町で見た錫杖を思い返してみた。

　　質感は石であったが仄かに発光していたし
　　魔法を付加されているかのように硬質な印象だった事からすると、
　　模造品ではなくやはり本物だったのだろうと思う。
――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　／￣￣￣ヽ
　　　　　　 /　　　　　　　ヽ
　　　　　 | 　 _,ノ　ヽ､_　 |
　　　　　 |　（●）（●）　|　　　　　　　　　　　　　ﾌﾞﾗｯｸ･ｵﾆｷｽ
　　　　　　 |　　（__人__）　 |　　　　　　（錫杖はただの黒瑪瑙には見えなかった。
　　　　　ヽ.　　　　　ﾉ
　　　　　 .>　　　　　く　　　　　　　やはり何らかの力を受けていると言うことか………）
　　　　　　／　　　　　　　ヽ　ｶﾘｶﾘ
　　　　＿/((┃))＿＿_＿i　|
　..　／ /ヽ,,⌒) ￣￣（,＿,ノ＼
　／　 /＿＿＿＿＿＿＿ヽ.. 　＼
　 .￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣

――――――――――――――――――――――――――――――
　　問題はそれほどまでに大切な宝具を、
　　何故目立つように、各地の領主に持たせていたのかだが―――
――――――――――――――――――――――――――――――

289 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 21:25:22 ID:lMCd7AkY

ない夫はすごいな
そんな昔話をただ聞くんじゃなくて書きとどめて置くんだもんな
博識になるはずだ。

306 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 21:38:08 ID:dlMpQEsY

>>289
奥義：メモを取る

これの使い手はなかなか居ないからな・・・

310 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 21:39:08 ID:2u2E.a7k

>>289
そういえばローゼンの国王が亡くなったときもメモとってたなｗ

287 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:24:00 ID:qLkNzrF6

四２５．

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ハ :::: :::: :::::::::::.::::::::::::::::ヽ::::::::､::::::::::::ヽ ::::::..ヽ::::::`､ :. ::::::ヽ :::::.:.::｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|／| ::: :::リ､:::rＮヽ＼::::ヽ､::::ヽ､::::::丶＼　::.＼:::::ヽ .:. :::::｀ヽ‐- ､_:::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　ﾊ ::.:.::!　V　/　＼ヽ::i ヽ:::| ｀ヽ::､::｀ヽ丶､:::丶､::､ :::::...､::::＼　｀`ヽゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 { ヽ.: ::l 　　/　　　　ヾ　ヽ:i　　i| ヽ::::ヽ＼｀`'' ‐---::::ヽ:::＼rヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ';:: :! 　〈　　__　　　　　ヽ　　|　 ',::::::: :＼:.::､｀ヽ:＼::::::ト､::丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:: ﾊ　　`　　　　　　　　　　　 }:::::::. ::::ヽ::ヽ::.:＼:ヽ､ヽ　｀` ｰ-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|/l:ハ　　､　＿＿　　　　　　　ﾊ:::::.::| :i:.:ヽ.:i::: :､:ヽ}　｀`
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノﾉ'　l心　　`ー‐一`　　　　　 ,. '|:::::::| :| :.::.N :;､!`､ヽ
　　　　「それで、大地が………？」　　　　　　　　　　　　　 |ハ　　　　　　　　　,　'´　i!::::::| ::|　:.ハ | ＼ヽ!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘヽ　　　　　 ,.　'´　　 ,/!/ |: :::､　!　 i|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__　 __,.ノ/ 　ヽ __,,.　'´　　　　　ノ　l,ｲ:: ﾊ:{ 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,..､,.ィ"r''"´　 .:::　　　　r　　　　　　　　　/ /　|､:! ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,.. -‐''"´　{　　ヽ　　 r　　 i　ヽ＼　　　　　　／　　　: ヾ丶､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　 |　　ヽ＼　　　　ｌ　　＼!　　　　　/　　　　　　ヽ　｀ヽｰ-､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　|　　　　　ヽ　＼　　ヽ　　　　　　　　i　　　　　　　　　　ﾉ /　ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､　 |　|　　　　　　　､　＼　　　　　　　　　　ノ　　　　　　　　／ / r　　　｀`丶､

―――――――――――――――――――――――――
　　やらない夫の手が止まるのを待ってからの問いに、
　　国王は深く頷いた。
―――――――――――――――――――――――――

288 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:25:00 ID:qLkNzrF6

四２６．

┏────────────────────────────────────┓
│　　変化は本当にゆっくりだったが、確実に現れたそうだ。　　　　　　　　　　　　　　　　　..│
│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.....│
│　　昨年は五十しか実をつけなかったリンゴの木が今年は五十五のの実をつけ、　　　 .│
│　　翌年には六十の実をつけるようになった。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　....│
┗────────────────────────────────────┛

　　 {ヾ｀Y＾)　　　　ﾊﾞ⌒Y〃__{ L)'／　　　　　　　　　　　　　　_,,; -､
　 (´ >cｿ ( ｡；○（__ﾉb'＾)ヾ,二ノソﾟ　　　　　　　　　　　　　　ヽ-''-`ヽ､　　 /）
　　`r 人_ノ爻二f{　ｿ、）ノ＾`~´　o　　,　　　　　　　　　　　,-､　　　＼（
　　　ﾒﾐ､(⌒`rｰバ´`ｰ'　　""　,,,　　"/　　　　　　　　　　　（　(ヽｃ==（　)`)i　iヽ
　。　(ﾟ,ﾊ(⌒ ｆゞく:*ﾟo 　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　（::彡`（　　￣`ヽヽ)
※;,_,ｨ○=（_,ンｰ='′　 "" ,,. 　""　/ 　　　　　　　　　　　ヽ（　ヽ　　　,,　＼|i
ﾆ二{ヾ`Y＾ヽ　　　"　,,,　,　　c3　,,/　　　　　　　　　　　　　　　　　　.'　　,,
￣/´ゝq'､_ ﾉ　　　。　　　　ヽﾚ　/ 　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　""　,,,,
　 `く__ﾉ､_ノ　　"　　""　　 "''　/　　　　　　　　　　　　　　　 /　""　　@
　￣　　　　,,--､`ヽ､　　　　 /　　　_　　　　　　　　　　　　　/''"　,,, 　ヽ}丿　'',,,
　　　　　　　｀ー'￣`＼　,､　./　　　/_）　　　　　　　　　　　　/　　　　　　~｀
　　　""　,,　　'' 　, -､,､ ( ） .'　　　〉ノ　　　　　　　　　 /"""　　"　　　""
　　　 ,,,,　　/⌒'i　　_）-､＼　　 /　　　　　　　　　　　/　　　""　,,
　　　　　　　>　 ::))),'　　） iヽ|）/　　　　　　　　　　　　 /　"",,,　　,,,　　"''
　""",,　"　（___､ノ;' '-'"ヽ '＼Ｖヽl）　　　　　　　　　　　/
　　　　　,-､,-､ﾉ　（　　,ノ===;;ヘヽ.)) 　　　　　　　　　/　,,　　c3　　"　''
　 ,-'~`ヽ....　　）"~）ヽ~　　　/``＼＼　　　　　　　　 /　　　　ヽﾚ　　,,　""
　ヽ,　　)))／⌒`,ｰ'ヽ）⌒,,,^-, ,ー`　ヽ,,__　　　　　 /　"　,,　　"''"
　　ﾆ= ''''iヽ＿ノ!!!ヽ_）ー;;;;;ヽ__）``ー-､,, "'-- 、　'"",　,,,　""　　　"

290 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:26:00 ID:qLkNzrF6

四２７．

┏─────────────────────┓
│　　同時にアクシズ大河も落ち着きを見せて、　　 .│
│　　エゥーゴはようやく一端の国となった。　　　　　...│
┗─────────────────────┛

　＿　＿　＿　　　　　　　　　＿＿_
l＾lニl＾lニl＾lニl　十/i~i~i~i#::/______/~ヽ个卅
'"''^^^^"''"''"''"''"''"''"'''''''''''"| 田　| 田|'"''"''''
''"''"''^^^''"''''''''"''"~~~''"''～"''"''"^^^^'"""'"''"'～～'"''"''"''～
|- - - -/⌒ヽ　 - - - - - - - ／￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
' /″⊂￣￣￣⊃″″″ /″ |　　今年は氾濫が無くて助かったなぁ………
/″″（::.´д｀.）″″″' /″″＼＿＿　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
″″ .（　）Ｕ（）″″″/″″″″″ ∨″″' / ″″″″ ″″″″″″″/ ″″
''"''"''　|_#_i__i!i|"''"~~~''"'　.∧＿∧. 　 ∧∧ "''"''"''"''"''""''""''""'~~~"''"''"''""''"''~
.　　　（_＿）＿）.　　　　　.（；´－｀）　( ,,ﾟД)　　　　　　　　　　　　　　　∧∧
wji!w rw,'rilwji!w、　wWkil （　　　　）　（　　）　rw,'rilw'rrr、　wjWilw'r　(ﾟ-;;ﾟ ,) rw,'
''"''"''"''"~~~''"''"''"''"''"''　｜｜　| 　　| 　０　"''"""''"''～"''"'''"''""' 　| ; ;U ~''"''"
　　　　　　　　　　　　　　　（_＿）＿）. 　し´　　　　　　　　　　　　　　 |;; ;; |～
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　し~'J

'"''"''"'''～'''''"''"'~~~"''"''"''""''"~~~''"''"''"''"''"~''"''"''~''"''"''''"''"''"''"''"''"''""''"''"'～'"
WWWwwwjij,,.、,、,,,vWWwjjwvjiiijwwiijijyyywWwWWjjwl|ili、,、,,　　　　,,　,;;iijwiijiyw
::::l:::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::|:::::::::::::＿:::::::::::从从:::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::|::
″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″
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291 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:27:00 ID:qLkNzrF6

四２８．

┏──────────────────────────────────┓
│　　―――そしてエゥーゴ建国歴百年、再び大地の女神の神託が下された。　　　...│
┗──────────────────────────────────┛

　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,､-‐'"´｀l
　　　　　　　　　　　　　 _,､-‐'"´: : : : : : イｊ
　　　　　　　　　　　　／: : ／: ／: : : : : |⊥ｌ
　　　　　　　　　／: : ／: ∠＿＿＿__| Yｊ
　　　　　　　／: : ／: ／: : : : : : : : : : ヾj
　　　　　　 _ ／: : ／: ／__Oニに)二二二〕
　　　　　∠─二二:／:.:.:.:.:.:./　＼＼: : : ヽヽ
　　　　　｀￣ゝ":.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:彡_,,,,,,,ヽ_＞:.､_:.) ）
　　　　　　､_/:.:.:.:.:.:.:.γヽ:.:{ "´ ーｪ冫"〈` ｰ´
　　　　　　ヾ､:.:.:.:.:.:.:.:.:.!{ｿ｝:｝　　　 ´　　ヽ,
　　　　　　　彡、:.:.:.:.:.人ｿ:.:ﾐ　　　　　 "ｊ´　　　　　　　「聞け、エゥーゴの民よ！
　　　　　　　　　ゞｰ--ミ　｛:.:.:ゝ、　 ´￣」　　　　　　昨夜大地の女神が私にお告げをくださった！
　　　　　　　　　 |　　　　　ヽ彡彡　　　ヽ
　　　　　　　／´ ￣￣￣｀ﾍ､、＞ｰ--- ′　　　　　グリーンノア平原に埋められている
　　　　___ ／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./ ∧:ヾ＝==┐Tヽ　　　　　　六つの宝具を掘り出して各地の代表者に預けよ、
　　　|´￣.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l l:::::::ﾍﾞ ─┐|i |::::ﾍ　　　　　　さすればこの国は今の何倍も豊かになるであろうと！」
　　　|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l l:.::::::::ﾍ─┘|l |::::::ﾍ
　　　|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l l　:::::::::ﾍ、_| !l |::::::::ﾍ
　　　ゝ＝＝＝＝＝＝＝＜二ニﾆヽヽ￢jヾ:::::::ｸ
　／´:::::／:::::::::::::::::::::::::::::::ヘ;:::::::::::::::::＼＼
に二＞::::::::::::::::::::::::::::::／:::::::::ヽ;:::::::::::::::::＼ヽ

┏─────────────────────────┓
│　　当時の王、カクリコンにそう言い残したと言うのだ。　　　...│
┗─────────────────────────┛

292 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:28:10 ID:qLkNzrF6

四２９．

　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_　　　　　　｀,
　　　　 !　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ　　　　　l
　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !　　　　 !
　　 /　　　　 /　 /　　　　　　　　　　　　　､l , -　　　 ',
　　 l　　　　　l 　 !,ｨ　　　　　　　　　　　　　　ﾉ'　　　　　　 ',
　　ヽ　　　　 !　 !l!　　　　　　　　　　　　 , , ノ　　　　　　　 /
　　　ヽ　　　ﾄ､ヽ　 ! /,　_,.-＿ ,ノノ ,ｨﾉl'ヽ/,　　　　　　　,'
　　　,...ﾉ'　　　| ﾍｰヽヽl（/ l'´ ≧ﾐ､_ ,ノ'　!　ﾘ! l　　　　　ﾄ!_
　r'´イﾉ　　　ヽﾘ　　 r'｀　　ヽヾ歹､=､ヽ　,_ﾘ=､　 l　ﾉ l ｀
　!（　ゞ,.　　　　 ´r､　r'　　　　　　￣｀ヽ　 /ゞｸｲﾉ /ノﾉﾉ
　}ヽ､｀` ｰ-　_i´, ﾉ'.lﾍゝ　　　　　　　　　　/　 /ｰ '´_, '´
　l　　￣｀ｰ- ､｀ヽ､l,_　　　　　　　　_　　 l　 /　,(´　　　　　　　　　　　「………その後の変化は急激だったと言う。
　!　　　　　　　｀ｰ-､ヽ　　　　　　　ヾ=-' ,.', ィ､丶､
_,ゝ　　　　　　　　　_レ'-―- ..,'' ―＝- ,ｲ(　　　｀ヽ＼　　　　　　　休耕も不要な程に富んだ田畑は
　　　　　　　　　　　`iｰrﾍ￣｀ヽ､｀ｰ, - '一ｰ- ､　　ヽ.ヽ　　　　　　　毎年春になると再生されているかのようで、
　　　　　　　　 l　lｰ-ヽ _, -｀´　, --‐_ﾚ‐- ｀)　 /∠、　　　　　それは今でも続いているのだ」
　　　　　　　　 |　| ヽ.／ r=ー'―‐'´-､￣｀ヽ///ﾆ,
　　　　　　　　　　 !　ト.ﾉ　　　, ―---=､_ヽ　l　/　＼ヽ
　　　　　　　　　　　　ヽ〉′　　　　　　, - ､｀i.| !/　　〃,.､!
　　　　　　　　　　 /　　　　　　　 '　　　ヽ_!!l'　　　ヽ'へ＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ィ''´_二----`' - ､__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／, イ_,　_, - '´　　　　　｀｀`'‐､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/7'´／／　,　　 / i|　　　|　　　　 `ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　// ./７/　／　／ / l　　　　`､　　 ,__rfミヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {i'.l // /../　／ .／.i |　　　　　　ゝ､ﾄ{ ,r‐i ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Vr-i ./　/ ｲﾉ/ ll　l　　i i　 i　i　　< f ､ニノ_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {薔!i′/ /／i'li　il　 //　 / .i 　　＼＼彡ン
　　　　　「そのままでも十分だったのに、　　　　　　　 __ｰi Ⅳ / ノc!l､ l/　/∥ /　/　　　　　　i .l　i
　　　　　どうして女神は掘り出すように　　　　　　　 i'　　　　 i'.i' 汐 /　ｲ.ﾉ　ﾉ /　　　　 /　/i　!　!
　　　　　言ったのかな………？」　　　　　　　　　　　　}　　　　ゝ｀ｰ- ナｲノ.／ .ﾉ /　／　i'　 l　l　! l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 'i､　　　　　　　／イ -彡イ／イ　l　　l　 l　l ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i ′　　　　_,,イ'´_ ィ/　／イ　i　l　　.l　　i　l　l､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r､!　　　　　{ i　／／　／イ/l　　l　l　　l　　!l　ヽヽ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀i i`ｰ-　､_ ヾ　{./　ィ　　 l l　　 l　l　　l　　ヾi　＼＼ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ! 'i i'´ l:::::ノlヽヽ< |　　　 ll　　 l　 !　　ゝ､　＼　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　i＞_.､_　 / i､｀i |l　　　 ll　　 l,　　　　　ゝ､__ ＼　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l -'´__r_'f´i　i-}　l !l　　　 l　　　lii　　　　､　､｀-i､｀-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　＿__ﾉ,.!にニｲ lヽ　　　l　　　 illi　　　ヽ, i　　 i　ヽ　＼

――――――――――――――――――――――――
　　これまでの話で各自、色々思うところはあったようだ。
　　雪華綺晶は不思議そうに女神の真意を量り、
――――――――――――――――――――――――

293 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:29:00 ID:qLkNzrF6

四３０．

.　　　／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ｀ヽ-.‐: :￢
　　　,.': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :,r.: : : : : : : : :.|
　　 /　　　. . : : : : : : : . . . . . : :.／:, : : : : : : : : : :|:､
　　, . . : : : : : : : : : : : : : : : : ／／　　　　 /　.| ｀､
　 ,'::.::.::.::.::.:.: : : : : : : : : : : ; ': :/: : : : . . .　,/ / 　 |！ヽ
.　!::.::.::.::.::.::..: : : : : : : : : ; ': ／:,/ : : : : :／,':./: .　 !: :l: :.､
　!.::.::.::.::.::.::.:.: : : : : : : :./／:/;.': : : : :.／ /:/: : : : :|: : lﾞ､:ﾞ、
. !::.::.::.::.::.::.::.: : : : :/: :/:'ﾞ:,r//: : : :.／　 //|: |: : : :|: : :| ﾞ､ﾞ、
.::.::.::.::.::.::.::.::.: : : :./: /': : i/': : : :,:ｲ　　〃 ,!:.|: : : l: : : |　ヾ:.
:.::.::.::.::.::.::.::.: : : :./:./ ::.::.:/: : :／:||　　/'　/|::!|:: : ﾊ: : :|　　ﾞ｝
::.::.::.::.::.::.::.:. : :.::/: :.::.::.::/. :,ｲ::.::.:|!　 /　｜.|:! !: :,'　'; :.|
.::.::.::.::.::.::.:. : .::./: .::.::.::./／|:|::.::.:.|　　　 |　ﾘ｜;'　　'; |
:.::.::.::.::.::.:: :.::.:/ ..::.::.::.//,<,､!!::. : | ^　_..ノ,､　 j/　　　ﾘ　　　　　「再生………」
::.::.::.::.::.:: ::.::./.::.::.::.::/／　ヽ|::. : :|￣　
.::.::.::.::.::.::.::./.::.::.::.:/:'ﾞ　　／ヽ: : :|　　 ,.＿
:.::.::.::.::.::.::/::.::.::.::/′ ／／／〉: :|　／　､!　
::.::.::.::.::.:/:.::.::.::/　／／／'´　ﾞl :|_,!　　　　`ﾉ
.::.::.::.::./::.::.::./ 　 / / ./　　　 l ﾄ､＼　 _,ノ´

――――――――――――――――――――――――
　　ただじっと聞いているだけだったコナタは、
　　奇跡の名を呟いて自分の手に視線を落としている。
――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,' i l::::::入:::::::､:::::::ヽ::::::::ヾ ::',:::ミﾆ-､_::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 /,i! l:::ン　ヽﾐ::::iヽﾐ::::､:::::::::ヽ::',:',::::`ｰ-`:.､::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 iｿl|.／　　　`ﾞ'､｀ヾ::::ヽ:::::::'::',!',::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　「再生………　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　　　l!. l!ヽ､_　ー　　　ヽ　＼':,ヾ:::::::'!i'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!　'i!; l|!ﾞi　　　　　　　　　ﾞ'ｬ,＼､:::::::::::::i::::::ｬ::ヾ､:::::: ／／
　　　　確かに大地の女神の司る神聖魔法には、　　　　　　　li､ l!:i　　　　　　　　　　ヽ `ﾞYi:::::::ili:::::i',ヾi;,'／／
　　　　ﾘｼﾞｪﾈﾚｰｼｮﾝ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ!ヽ::`ｬ-⊆＝ｯ-　　　　　　　i:!;:::::i! ',:::l ' ,Y ／
　　　　再生の奇跡がありますが………」　　　　　　　　　　　　　　ヾ､,ﾍｧ'｀　　　　　　　　 l!';::::i　ｿ! /!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ、　　　　　　　　　ﾝ'i:ﾘ　ﾘ'/!i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'　　　　　　　_,.-'"'　ｿ　 '/ｉｌ＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　　 _,_'"::::　　　ﾞ ,r ' ￣　　` ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ､＿_､ｼ'ﾞ'"ﾏTﾐヽ　／　　　　　　　　 `ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽヽｿ

―――――――――――――――――――――――――――――
　　肉体の失われた部位や機能を再生する神聖魔法は
　　大地の女神が司るもので、高位司祭職のみに扱えると言う。

　　同等の効果を得られる再生の霊薬もあると言うのに、
　　五体満足なはずのライトは大地を再生させるほどの力を使って
　　いったい何をしようと言うのかエルには分からない。
―――――――――――――――――――――――――――――

294 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:30:02 ID:qLkNzrF6

四３１．
―――――――――――――――――――――――――――――――
　　数秒、場の空気が止まったあとの事である。
　　重々しく口を開いた国王と、やらない夫の声がテーブル上で交差した。
―――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ ........ _
　　　　　　　　　　　　　　　　　. : ´ 　　　｀　､
　　　　　　　　　　　　　　 . : ´　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　 , ´　　　　　　　　　　　　　　ヽ
.　　　　　　　　　　 i　　　　　　　　　　　　　　　　 i
　　　　　　　　　ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　（　　　　　　　　　　　　　　 j
　　　　　　　　　　） {　　　　　　　　　　　　 :′
　　　　　　　　　　　　乂乂　　　　　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　｀Ｙ｀ヾ　　　　　　　く
　　　　　　　　　　彡ｲУ　　　　　　　　　 У　　　　　　　　　　「………実は―――」
　　　　　　　　　　　　　　ﾘ从乂　　　　　　　ミ彡
　　　　　　　　　　　　　 . イ::::::::::::::｀ソ　　　　　 }::ﾍ　　　　　　　　　　f´￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ
　　　　　　　　　　　く::::::::::::::::::::::-=彡ｲ　））ノ:::/　　　　　　　　　　|　　あの、国王様。　 |
　　　　　　　　　　　　　＼:::::::::::::::::／::: 乂__У:::_/ 　　　　　　　乂＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
　　　　　　　　　　　　〃::::::::／＝ニ二三ミ〈_＿
.　　　 ,ィイヽ　　　 _＿ｿ´￣￣二ニ＝ニ二三::::::::￣::.:.rーｖﾍｰ:.､
　　　 /:::::::＼::￣￣::::::::::::::::::::＿＿＿:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::￣｀Y:::::::ﾍ
　　　ハﾍ::::::::Уj´￣￣￣￣.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ:::::::::i:::::::::/￣￣.:.:.:.:.:.:.∨:::::Y
.　　 /　　 ∨:::jヽ＼.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:∨::::ｌ::::::/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i:!::::ハ
　　 ′　　　｀ヾ:::::У:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:∨ !:::/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ij:/　ｊ

295 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:31:00 ID:qLkNzrF6

四３２．

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　ヽ､_　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人__）　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「あ、お話の途中で　　　　　　　（｀⌒ ´　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　申し訳ございません」　　 . 　　　 { 　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　 |

―――――――――――――――――――――――――――――――
　　遮ってしまった、と恐縮するやらない夫に微笑んだ国王が先を促し、
―――――――――――――――――――――――――――――――

　　　／　　　　　　,_, 　　　　　　　　　　 ',
　　 /　　　　　　　（ l ､　　　　　　　　　　　 ',
　　 l　　　　　,i､/ 〉ヽ!ヽ、ヽヾ　　｀ヽi　　　l
　　 l　　 i　, ノﾊ( ､ ,-‐..'´｀ｿ'｀ヽ　i ﾘ　　 /
　　│　　i、l=‐':´｀"ﾞ:::::::::::::.　　: ﾉノ/､　　/
　　 | i i |/::｀ :: ::::::::,i ヽ ;::::::..　 .:: l l　 l 　ヽ
　　 l ヽゝ l:::　::: :::/ |　　｀' ､::: -'´j l' /　　　）
　　ヽ、ヽ｀､､:::/　 !､-　　　　　ゝ,l '　　　/　　　　　　　「いや、構わぬ。
　　　　ﾞ''- ､ﾐ ',　　　_,　- ‐-　　　/r, ､　｀（ _
　　　　　 _ﾉヽ＼　　　 -　　　　, '//　＼　　）　　　　　ビップ殿から先に話されよ」
　　　　　　｀ｦ.　＼　　　　／ // 　　　｀''‐'-,
　　　　,　=＝l ,　　l ｀　- ‐ '　　// 　　,---､ /
　 , , ' '´　　　!li　　ｌＬ. 　　, - ' 7/　　 |=000| ）
／/　　　　　　｀ﾞﾞﾞ_)|　｀' '´　　 l（　　　ﾞｰ ' ´く
ヽ.ヽ、　　　　　　　 l　　　　　　ヽ >　　　　　　l
.　　　　　 └
.　　　　　 └

296 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:32:00 ID:qLkNzrF6

四３３．
――――――――――――――――――――――――――――――
　　それでは、と会釈した彼はかなり言葉を選びながらも言ってみた。
――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ――　､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／〉´.,,,,,-----,,,,...ヽ_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／／_;_;_;_;_;_;_;_;_;_;_;_;_;_|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　/／〉　 ( ー)　(ー )　ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　 ´ イｌ　　 (___人___)　　ｌ
　　「あの、お国の事情などを鑑みない　　　　　　　　　　.　　　　　　　ｌ　　ｉYｌ　　｀ ⌒ ´　　ｌ
　　個人的な意見なのは重々承知しておりますが。　　.　　　　　　　/　　ﾊ !.!　　　　　　　　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 /　　/　 ' ヽ　　　　　 /
　　宝具を―――　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　／/ ､ゝ　　　　　　／ヽ_
　　女神の宝具を他国へ、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ´｀ー‐ '｀./　　｀ー､　　,－´　　/ 　＼
　　砂漠の周囲を囲んでいる他の五国へ　　　　　　　　.　　　　ｉ　　　　ｉｉ　　 / ｀:.ｉ　ｉ´ヽ.　 /　　　｀　､
　　譲渡する事は出来ませんか？」　　　　　　　　　　　 . 　　 , 'ｌ　　　　　ｌ.!　 /　　ｌ　 !　ﾊ　/　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / ,:|　　　　　| ヽ/　　　!＿'　　 V　　　　 ,　 ,　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　/ / ｌ　　　　　|　　　　 /:.:.:.:ヽ　　　　　　　/　/　／　ｉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　!/　 !　　　　ｌ＼.　　ｉ:.:.:.:.:.:.ｉ　　　　　／　/　 /　　　ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　 !　ヽ.　 !:.:.:.:.:. !　　　 ´　　 !　 /　　　 !

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　他の砂漠の何倍も広大で、生物らしい生物が殆ど居ないタオ砂漠。
　　土の精霊力すら枯渇しており、サンド・ワームぐらいしか生息していないあの土地も
　　あるいはこの宝具の力を使えば再生出来るのではないか。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

297 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:32:59 ID:qLkNzrF6

四３４．

　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　／　_ノ　ヽ_　＼
　　　　　　 | 　（●）（●） |
　　　　　 |　　（__人__）　|
　　　　　 |　　｀⌒´　　|
　　　　　　 |　　　　　　　}　　　　　　　　　　　　　「エゥーゴは平均前後の国土になる可能性が高いのですが、
　　　　　　ヽ　　　　　　.}　　　　　　　　　　　　　砂漠に悩まされている他の国が共に富む事で
　　　　　__,_,,.ヽ＿　　　ノｰ- ､　　　　　　　　　　　やがては砂漠を小さくしていく事が出来るかも知れません」
　　　　ハ　　/ 　Ｖ又ｲ ::::〉::::::i:
　　　　 }　ヽ〈　　 l |;;|ﾉ　/::::::::::i 　-,,_
　 r iY'ﾉ.;;　 }::ヽ　　l|;;|　/::::i::::::::}‐　|　||
　.|| | ﾉ:::: 　 }:::::::＼|;;;ﾚ'ｰ'' ⌒.:::: ヽ |　||
　.|| | {,,;;;; .:::: ヽｰ---ｹﾄ､, へ､:::: 　 |　||
―──.::::::::::::ノ.:::/　/　　　彡}――─────
　　　　 "￣｀ﾞﾞ ''ｰ-､'ー----'

―――――――――――――――――――――――――――――――――
　　そして長い時間がかかったとしても、
　　砂漠が無くなるのであれば宝具も要らなくなるのではないか。

　　少年が―――
　　ローゼンの英雄がそこまで考えて言っていることを悟り、国王は息を呑む。
―――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀;
　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ、
　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Ｙ
　　　　　　　　　　　　｛　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i
　　　　　　　　　　　 ∨　　　　　　　　　　 |　ｉ|　　　　　　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　 ,ｲ|　　　ｲ　　　从　ｊノい八ｉ　　　　　　　｀ヾ　　　　　!
　　　　　　　　　　　　ハ! 　　 :|:!　　ノ八（　 Уハ乂　｀ヽ　　　|i　　　　ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　乂､　 :|:!i / Ⅵ､、ｿ　ﾒ　ﾉ　｀ヾ｀Y､、　　ﾘ　　　!/
　　　　　　　　　　　 / /:.＼从!{//∨77777ﾊ-ﾊ77777∨777У乂　　ｲヽ、
　　　　　　　　　　　　　 / /:.:.:.:.:｀Y小/////////r－//////////イノ　　／: :∧ ﾍ　　　　　　「………！」
　　　　　　　　　　　　 _,/ /:.:.:.:-=彡ハ∨///////.:i　＼//////ｲ彡/　（.:.:.:.:.:.:∧ ﾍ
　　　　　　　 __/￣／／:.:.:.:.:.:./ｲ乂_ﾍヽ///／:.:.:|　　ヽ///／从′ ﾉ:.:.:.:.:.:.:. :∧ ﾍｰ: . . __
　　　　　　三三／／:.:.:.:.: //:.{八　　从　￣　　､ｊ;,_ 　　￣　/ｲ　 Y:.:.:.:.|!.:.:.:.:.:.:.∧ ﾍ三三二ニ
.　　　　　三三/ /:.:.:.:.:.:.:.:.:///:.:.:.:｀ソﾊﾍ　　　＿＿__ ,　　　 /ﾙﾍﾘハ:.:.i.:|!:.:.:.:.:.:.:. ∧ ﾍ三二ニ
　　　　　三三/ / :.:.:.:.:.:.:.:.:./// :.:.:.:.:.:.:.:j　＼　｀二 ´　　／彡ｲ:.:.:.:.:.:. i.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}　j三二ニ
.　　　　三三/ /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.://:.:.:.:.:.:.:./　　ヽ　　　　／　.: 　 !:.:.:.:.:.:.//:.:.:.:.:.＞ "´ .ｲ三二ニ
　　　　三三くく:_:_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ハ.　　　｀ー― ´　 ..:.: 　从:.:.:.／＞ "´. ．＜三三二ニ
　　　　三三｀ー―ｰ＝=　､:.:.:.:.:.:.:.:.{　ヽ.　　　　　　　　／ /:.:.:.:.:／.．＜三三三三二ニ
　　　　 =三三三三三三｀ヽ＼:.:.:.:.:.:＼　＼　　　　　／／/:.:.:.:.:/ /三三三三三三二ニ
　　　　 =三三三三三三三＼ヽ:.:.:.:.:.:ﾍ、　　　　　　　／　/:.:.:.:.:/ /三三三三三三二ニ
　　　　　　　 =三三三三三三三＼ヽ:.:.:.:.: ＼　　　　イ　　/:.:.:.:.:/ /三三三三三三二ニ

298 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 21:33:33 ID:okGwu2Vw

いちいち視野がデカいな

299 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 21:33:52 ID:rfIhMWr2

国の一つや二つどころでなく
大地をも救おうと考える英雄…か

300 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:34:07 ID:qLkNzrF6

四３５．

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／´　　　　｀:,:ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_ _ , . . ./｀ヽ-.-.‐: :‐.-. . 、　 !/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,. ‐:'':´; :-: : : :l: : : :.i: : : : : : : : : : :｀ヾ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,.-'ﾞ''",´ '´ . . : : : :l: : : : :l: : : : : : : ＼: : .　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´　　, '　 . . /. : :./: j: :,: : : ﾞ;､:.V: : : : : ｀､: . . 　｀、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /. : : : :.,': : : 厶ハ:.!: : : :l.ヾ´V`ヽ: : i.:ﾞ､: : : : .ﾞ:
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/: ／: : .:!: : :ｲ /　ﾞ:l.i: : : :!　ヽ:.V: : : : i,:.i,: : : : :i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .,':/ ': : .::::l: : :,' ,'　　ﾞ:, V: :.j ,__ ＼ヾ: : : :!Vi: : : : l
　　　「私も思った。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '/　!: : ::::;:l: : i:,'友忝　ﾞ:,∨:.! 茯笊キｽ: : :!ヾ: : : :.!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　i′j: : :::/::j: :.!{ﾞ! ﾚu､!　　 Vj　レu､,!/i::Ｖ: j:: ﾞ: : : j
　　　分散すれば持っている国同士の　　　　　　　　　 !: ::/ !:::l: :!ﾍﾞく;;ｿ　　　ヾ　ヾ-`' /;'::::ヾN: : : :.!
　　　奪い合いを抑制出来るし、　　　　　　　　　　　　　 !: ,'　l:::::Ｎ.|:}　-‐'　′　　　￣・/:::::::::/ｿ: : : :,!
　　　外部から狙われた時には協力できるよ」　　　　　　ﾞ:.!　 l:::::|' |:!、　　　 r_;　　　　 /:::::. :/":::: :!: :i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 V:j　|.:iベ‐....._　　　_ _.,.':::. : :./:|:. :.:: :!: !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ　|: l　|::::::::::｀¨ﾞﾞ! , ': : : :.,.'::i::|:: : :: :!:i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l:.;L⊥イ):::l::::;:!': : : :／ﾞ!::l::|::. : : :.!!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l,!　ニｺ,.‐-/: : : :∠.,,_ l:::l::l::: : : : !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　rｧ゛,.:/: : ;.=三三ﾐﾐ:!::!:l::: : : : i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,r<!__ノ' ／/;.-'"´　　　｀ヾ!:i:j:::. : : :.i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾐ=-:/ /彡'" /　　　　　ﾞi::!l:::. : : : l

――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　殆どのことに興味が無く、平坦に物事を見るコナタもそれが良い、と頷いた。

　　エゥーゴのみならず大陸東部広域の、未来への共通利益を生み出す上に
　　宝具を狙う者へのけん制にもなるはずだと思えたのだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

302 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 21:35:37 ID:FCxxeoak

この国の官僚達が了承するとは思えんなぁ

301 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:35:01 ID:qLkNzrF6

四３６．
――――――――――――――――――――――――――
　　だが、エゥーゴの祖王が手に入れた豊穣を
　　他国に分配するなどあり得ない、とエルが即座に否定し、
――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, 　 ,,,.:-‐,,..... -
　　　　　　　　　　　　　　　　　　, ::':ﾙ'´:ｰ''´::::≦-
　　　　　　　　　　　　　　r''ﾆ、:::::ニ＝-:､::::二ｪｪｯ=-‐
　　　　　　　　　　　　　　　 r'::::::ﾆ-､::::::::ミﾐヽ､::::::::::::::＝ﾆ＿
　　　　　　　　　　　 /:://:::::ミ､::::::::::::＼ヽ､:::::::::::::＜
　　　　　　　　　　　,':::,'::::iヽヽ:::ミ:::::､:::::::::＼:::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　 /::::!:::::ヽ:ヽ::::::::::`:::::::::ヽ:::ヽ::::::ヾヾ､
　　　　　　　　　　　　/"i::::::::::::ｉﾞ_､:::::::::!＼vヽ、:::::::::ヾ:::＼
　　　　　　　　　　　　 i:;::::l::',:li ｏヽ`ヾi. Y'ｏﾞﾘ､:::::::::::iｰ=ヾ
　　　　　　　　　　　　/ lﾊ::::',ｉﾞー" 　 ′ ー" i:::::::::ヾ､　　　　　　　「二人とも無茶を言いますね。
　　　　　　　　　　 rｲ￣'",ﾆ､!:::::i.　　　. . 　　　,':j::lヾﾔ-､_
　　　　　　　　　／ |　　　l　lｻ!::iヽ　 . --､　,.ｲ::l!';:l　　　 ,ヽ　　　　　どうやらエゥーゴの豊穣は六つの宝具があってこそです。
　　　　　　　　　|〉　!　　　|　l八ﾞ!　＼　￣ .ｨ'　/ｉ! i '!　　　i　i　　　　　単独で効果を発揮するかも分かりませんし、
　　　　　　　／<　';,.　　 l　| ヽゞｬ-､`＝ﾝ　_ｿ, !　i　　　 ,'　ヽ　　　　この豊かさにどっぷりの国民が手放すわけがないでしょう」
　　　　　　　〉ヽ-`'　i!/｀`ｉｰ',　｀`-ﾆ_--‐'ﾆ-' ,'　 / ｉ　 / i　i l
　　　　　　　/ 　' , ,,,i'´!、 l-　ヽ=- -‐-;'''´　　　　　ｌ　　, ' ,' .i
　　　　　/　　　ﾞl　i　 'i　j/　 ,..-‐'￣　　　　　　　 !　/　　　|
　　　　　 /　　　　 ll､ヽt,ｹﾝｪ‐'´　　　　　　　　　　　 ,!'　　　　.|
. 　　　 i┴､＞ﾆﾝ`''＝ｰﾝ´ヽ　　　　　　　　　　　/ヾ!ー,-,ﾝ.i
　　　　ﾘﾝニ--/　　　, ' 　　ヽ　　　　　　　　　　 /　 |､-‐'´　 i
　　　／r'　 ii" 　　　/　　　　　　　　　　　　　　 /　　ｌ　　、　 i
　　　く lハ　l:l　　　ｲ＼　　　　　　　　　　／　 /　　<　ﾐ､､`ｰ.k
　　　　|.　　 l::',　　/ｼ　　　　　　　　　　,　'　　, 〈　　ノﾞ -ｰ､-ヽ.i
　　　　!､　　 !､::ｰ::k ヽ　　　　　　　　' 　　,　'　メ､　ﾉ　　　　`ヾ,!
　　　　　`ー-､_ﾆｨ_ ､ﾆー　　 '''' ーー '　　,　- .ﾒ∠､.　　　 /

　　　　　　 __　　 ,､ .（(,､-―‐''''''''''―-､,　　　　((
　　　　　　,ｲ `'ｨｹ´vﾄr,,)）　　　　　　　　　｀ヽ, ,ｨｭ))-､
　　　　 l　　 ,ゞﾍﾉﾌｨ　 .／　　　 i 　　　 `､Yﾉ　 l!
.　　　　 j　　ゞ〃‐'´　/　　/ 　　 | 　　 | 　((ヽ､　 i!
　　　　 / 　 //.（(　　　/ 　 / |　|　 | 　　 | 　 )）ヽ　.i!
.　　　 / 　 // 　 )）　:/ 　 /.　|　|　 | 　　 | 　　　　i!　|
　　　/ 　　/　　 "　 / 　 / 　 |　| 　|　　|　|　 |　|　 i!| |
.　　 ′ 　.i　　/　 l .|　　l!　.)）|　|　|.| ｌ　|　|　 |　||　|: /
　　　l　　　|　 i!　　.| |　　ﾄ､（(ｨｭ, |　l.| |　|　|　 |　||　|: {
　　　V　　i!i　 |　　 |.i　,ｲ´ｨY^ﾔﾊ| i!|| | l:|　|从| l:|! ||:ハ
　　　ﾍ　ﾉﾉ　 |!　　 |! _Vゝ~ﾝ'.ﾉ j`´ ｀ γﾃｫ､// i!/　l ∧　　　　　（私もエルと同意見、だけど………）
　　　　,ｲ,ｲ .l　 l!　　 l!ゝ_ゝ｀´ﾝﾝゝ　　　込ｿ.ﾉ/.| .〈ヽ,l:　＼
　　／／|　.ﾘ　 .|!　　ヽ　((`ｰ'´`　　'　　￣ /　|　.ﾍ .ヽ　　＼
,ｨ'´／　 l　/ ,ｨ　 |! 　 ,､`､))　 ,､,　.ｰ.,､　_, ｨ' 　 |　| ゝ　＼　　:.
　/　　ﾉ／ｨ'　_,､ｨ'ヽﾉ,ﾊ､,` ﾉ´ ｲ,-‐ﾉ `ｰ'r-､､.ヽ l　ヽ　ﾉ　　}
　{_,､ｨ´,ｨ'´　ｨ'´　　　　__,ﾊ,　ﾉ (__ -‐　 '´ （,､‐-`､!　　〉/　　　〉

―――――――――――――――――――――――――――――
　　その隣ではどうしてなのかな、と雪華綺晶が疑問を抱いている。
―――――――――――――――――――――――――――――

303 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:36:03 ID:qLkNzrF6

四３７．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　なぜ、無味乾燥で他人に全く興味の無かったコナタとやらない夫が同じ発想なのだろうか。

　　可能性として思いつくことは出来るが、
　　立場ある人に自分の意見として述べるとなると話は別だ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　|　　　（ ●）（●
.　　　　　　　　　|　　　　（__人__）
　　　　　　　　 |,　　　　｀ ⌒´ﾉ
　　　　　　　　 │ 　　　　　　｝
　　　　　　　　　ヽ､　　　　　ｿ　　　　　　　　　　　　　「神様にとって、人間の国なんて区分けは
　　　　　　　　ｲ斗┴r┐｀ .;　　　　　　　　　　　　　　　意味のないものだと思う。
　　　　／￣`ーゞ､　 /　|__ 〈ー─r､
　　　/　　　　　＼ ∨＼　|,ベ._ /　|　　　　　　　　　　　だから一つの国になければならない、
　　｛　　　 . : : : . ヽ＞ｰ＼[￣{ 〉＼|､_　　　　　　　　　　なんて事はないんじゃないか？
　　　| 　　　　｀丶}＼　 __＼_]~∨'＼｀ヽ
　　　:|　　　._　　　　＼_}/r‐-}＼　ﾞ,`''く l　ﾞ,　　　　　　　お互いの距離的な制約はあるかも知れないが」
　　　ﾄ､: :./ ／￣｀` ぐ└f'二）::{　 ',　 | !,ゞ┐
　　　 `､∨ ´　,.､-''"~￣}_｛‐''く:::{_　 ', _|_|_,rｰ'､_
　　　　 }｛　／　_､-'''"~￣{_＼;;;;;ｊ;＞＜;:::::＼:::ﾍ}＼
　　　　}∨: ／　　_､-''ﾞ~￣￣　　　　　＼::::},之_　ヽ
　　　　〉∨ 　／　　　　　　　　　,.､イ;;ノ_ 　｀ヽ}
　　　　　{:　＼,/＼　　-‐　'"　　　／｀￣　　　　　:.:｝

―――――――――――――――――――――――――――――――――
　　多くの人が縛られる枷。

　　立場や収入、実力や種族、性別、名声に生まれなど―――
　　それは多くの先天的、あるいは後天的条件によって当然発生するもの。
―――――――――――――――――――――――――――――――――

307 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 21:38:39 ID:8l2edAzM

環境が良くなるのにはすぐ順応するけど
環境が悪くなるのには耐えられないのが人間だよなぁ

304 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:37:00 ID:qLkNzrF6

四３８．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　これまでの事情からして、コナタがそれに縛られないのは分かる。

　　しかし多くの人や国、様々な事に触れてきたはずのやらない夫が縛られないのは驚きだ。
　　まるで己を縛るのは己の信念のみ、と言わんばかりではないか。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　 /　 /{必}　　　　　　　　　　　　　　　 r=ﾐ　|　|
　　　　　　　　　　　　　 /　 //)厂　　　　　　　　　　　　　　　ゞ彳i |　|i
　　　　　　　　　　　　　　　/　 //(( /　　　　　　　 i　|　　　|　　　　)) 　 !　i|
　　　　　　　　　　　　 /　 //　 /　 /　ｌ　ｌ |　l　|　|　　　|　|　　|丶i　'　.'.|
　　　　　　　　　　　　"　　/ 　.′ i |　l|　| |　|/.i　ﾊ .l　 |　| l ｌ |　 l　　/ |
　　　　　　　　　　　／　　 /i　　i　　l.|　l|　| |　i　:!/:ﾊ┼-|　| l | |　 i/ / | |
　　　　　　　　／　　　／　!　　i l　l ! 从r-､_)) /i i/ﾙ'ハ!ﾙ/! !i/i / /i　! !
.　　　　　　　／　　　／　　 | ｌ　ハN nn{ィ示｝}　　　　r:行芯ﾍ,ﾚ |/ /i |　! !
..　　　　　　／　　　／　　　　/ ./ | |.// )辷_ソノ　　　　込ｚソｲiｎ./ / li |　| 丶
　　　　／　　　／　　　　　/ /　i /i { /.）ーｲ　　　,　　　　ｎ| | 〉/　ﾊ.|　|　　＼
　　　　（　　　　(　　　　　　/ /　ハヽ|,| i }　)) 　　　　　 / ﾉﾉﾉ） ,　 |　､　　　＼
　　　　　＼　　　)　　　／./　 /　 l＼ `　＼　　 ⌒　　.／.　　 /./ｌ　 |　ヽ　　　 ,　　　（………ローゼンの女王様。
　　　　　 )　　:　　　／　./　 / 仁へ._＼　　＼　　　／　　　／./ l　ﾊ　ハ　　　人
　　　　 /　　/　　（　　/fニフ(_　/ ⌒ `⌒ヽ　}≧≦{　　／＿'　 |　i　i /　＼／　＼　　　貴女にとって、やらない夫とは
.　　　　 /　　/　　　ノ　/rイ / ( //　　　／　人__i＼r─'⌒ー'　ﾄTフi|　/　＼　＼　　　　どんな存在でしたか―――？）
　　　　/　　/　　／/r─{.`ー　 i /　　　　／ _,イ }／　　　　　　　ﾉ､ﾄイ}＿　　＼　＼
.　　 /　　/　　(　 i {　　　　ﾉ .ノ　　　　　イ　　八　　　　　　　 /／＼/　　）　　　.　　}
　　 /　　/　　　|　　|　　　／　　　　　　　　　／j__､＼　　　　　　い､厂/　〈 i　　　ﾉ　/
　 ./　　/　　　｛　　} r─'´　　　　　　　　　　　イ≫<＼　　　　　　.∨ｲ　　　} i　／　 /
　/　　/　　　　/　／　　　　　　　　　　_ ＜二二二ニ| ﾄ.　　　　　　＼　　　} i /　　人

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　本当はローゼンでも多くの人がやらない夫を手放したく無かったのでは。

　　しかし風のようにつかみ所のない彼を求めるのであれば、
　　追いかけ、共に歩むことが最低条件なのかも知れない。
　　そしてそれには自由な立場、共に歩むだけの実力、そして何よりも運命が必要なのだろう。

　　そんなふうに彼の歩いてきた道程に何人かの―――特に女性の―――影が見えたところで、
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

305 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:38:03 ID:qLkNzrF6

四３９．
―――――――――――――――――
　　国王がごくり、と唾を飲み込んだ。
―――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　,_, 　　　　　　　　　　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　（ l ､　　　　　　　　　　　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　　,i､/ 〉ヽ!ヽ、ヽヾ　　｀ヽi　　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　 i　, ノﾊ( ､ ,-‐..'´｀ｿ'｀ヽ　i ﾘ　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　i、l=‐':´｀"ﾞ:::::::::::::.　　: ﾉノ/､　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | i i |/::｀ :: ::::::::,i ヽ ;::::::..　 .:: l l　 l 　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「………驚いた」　　　　　　　 l ヽゝ l:::　::: :::/ |　　｀' ､::: -'´j l' /　　　）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ、ヽ｀､､:::/　 !､-　　　　　ゝ,l '　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ''- ､ﾐ ',　　　_,　- ‐-　　　/r, ､　｀（ _
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ﾉヽ＼　　　 -　　　　, '//　＼　　）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ｦ.　＼　　　　／ // 　　　｀''‐'-,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　=＝l ,　　l ｀　- ‐ '　　// 　　,---､ /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , , ' '´　　　!li　　ｌＬ. 　　, - ' 7/　　 |=000| ）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／/　　　　　　｀ﾞﾞﾞ_)|　｀' '´　　 l（　　　ﾞｰ ' ´く
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ.ヽ、　　　　　　　 l　　　　　　ヽ >　　　　　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 └

　　　　　　　　　　 _.,..､:-:─:-..､、
　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::.:::｀:ヽ.
　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀:､
　　　　　　,.':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
.　　　　　/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
.　　　 /::::::::::::::::::::::ﾍノ!::::|::::::!::::::|:::!:::}:::i:::::}
　　　　/:::::::::::::::::::::::::::厂 ≧rx|::::::j:/:ｲ:ノﾉ:ｲ
　　／:::::::::i:::::::::{こj::::i　弋ﾆｾゞ､イｲfｱｲ::::::＼
　／:::::::::::::i!:::::::::じｲ::::|　　　　　　｛　　/::::ヽ::::::＼
　＼:;ｲ::::::i!|::::::::: ゝｊ:::::!　　　　　　ゝ /:::::!:.::ヽ:::::::::>
　　　'＜::il:|:::::::::::::;:!::::ｊ　　　　-─　, ′::::!::::::::ﾄ／　　　　　　　　　「キャスバル？」
　　　　　ヽi;;;;;;;;;;;;;j'"´　＼　　　／::::|::::::＞'"´
　　,.､rｰへへ/´;;＼　　　トﾆ´_＿"´
／´￣｀ヽ;;;;＼＼;;;;;;;;｀ヽ、　!＼;;＼;;;＼__
;;;;;;;;;;;;;;;;ﾍ;;＼;;;＼＼;;;;;;;;;;;;｀ヽ､__>;;;;ヽ;;;;ト;;｀ヽ、
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l;;;;;;;＼;;;＼＼;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾉ::::l;;;;ヽ;;;;;｀;,,､
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`;;ー───''"/;;;;;i!;;;;;;;｝;;;;;;;;;;;＼
γ;;⌒ヽｲ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;＼;;;;;;｀＼;;;;;;;;;／;;;;;丿;;;イ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;',
´￣｀ヽ;;;;＼;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀＼;;;;;;;￣;;;;;;;／／;;;;;};;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;j

309 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:39:00 ID:qLkNzrF6

四４０．

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　 l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　ﾊ　|　、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　 | |　| 　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　いl ヽ,l＼＿＼　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | / 　　ﾄ'　　__ , --｀ｰ｀ｰ､ __ゝ　　l　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|! 　 ,-＝､__f´::,.- =‐'´:.:.:.:.:.:.::::::）　ﾉノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l 　 |:::::::::::::::::::::::´ ,‐tｧ‐=-　　`r‐ｲ　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽヽ|:::::::::::厂ヽ:::::. :￣:.:.:.:.:.:.:.:::/　{　　　ﾄ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼!::::::::/　　＼:::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/ 　ヽ　　 | ＼
　「実は、私もそれを考えていた。　　　　　　　　　　　　　 l::::/ 　　　ヽ---一 ' 　　､_ノﾉ　　ﾄ､ハ　l
　我が国の歪みの一因は宝具にある。　　　　　　　ヾヽ､_ -　　　　　　　　　　､_フ′/ /　＿/ヽ!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ',　__　　　　　　　ヽ＿∠ノ　/　ヒ´ノ
　それをなるべく穏便な形で　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ', ,-―‐--　　　　　　　　 /｀l
　改善したいと思っていたのだ」　　　　　　　　　　　　　　　　　 ',　--　　　　＿＿_＿　　　 /　ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　　　| r――-　ニニニニニヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　 | |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾉ　ﾉ |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r,――‐　´￣ヽ＿＿　‐┤l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::―‐/ ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {{:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.| 　 l　｜|:::::::::::::┌────‐┐ヽ! ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:_ノ　　 l　 | |::::::::::::: |=<>ﾆ<>ﾆ<>=|::::::::::::ﾉ　　,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ＿,.r┴┤|::::::::::::└――――‐┘:::::::ヽ＿_ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ!　　', ',::::::::::::::::::::::::::::, -――::::::::::::::::::::::´＜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|　　〉〉:::::::::::::::::, -'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l

――――――――――――――――――――――――――――――――
　　夫が、過ぎた力を持て余し振り回されているのだよと言い切ったので、
――――――――――――――――――――――――――――――――

312 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:40:00 ID:qLkNzrF6

四４１．
――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　貴族達ではなく、貴族達を腐らせやすい環境から変えていこうとすることが、
　　彼が常々言っていた緩やかな変化だと知って妻は神妙な表情だ。

　　確かにそれは思っても簡単には言い出せない事。
　　穏便という言葉とは裏腹に様々な下調べと準備、
　　内外への根回しも無くては口に出すのも憚られる荒唐無稽な夢物語。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　 . : ´: : : : : : : : : ｀: ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　 . : ´: : : : : : : : : : : : : : : :.＼
　　　　　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.',
　　　　　　　　　　　　／ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ',
　　　　　　　　　／ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ',
　　　　　　　／／: : : : : : {: :i| : i : /: : : : : : : : : : : : : : : : : : :.:',
.　　　　　　／／: :／: : : : : ∨ﾍ: |: :{: : : : : : :!: :.i: : :i:}: : : : : : : : ',
　　　　　　｀ヾ:／／: : : : : :__!ミヾ: :ﾍ: : : : :从:ノ:_:ノﾉ: : : : : : : : : ':,
　　　　　　　　　 ∨: : : : : : : :.{h!｀ヾえｱ乂:.:ノｨえア´!_: : : : : : : : : : : ':､
　　　　　　　 ∨: : : : : : : Ｖi　　　　　.:′　　　　ﾊ） : : : : : : : : : : : :＼
.　　　　　　　　　＼: : : : /:.:八　　　　 i .:.　　　 ,小 : : : : | : : : : : ／　　　　　「そういう事だったか………」
　　　　　　　　　　＼//:./:.| ﾍ　　　__`´_　　ｲ/ハ.: : ｉ: :|i : : :／
　　　　　　　　　　　　　　　＼: :|　:|＼　　､　　／　ｲ .:|: : |i_:|i＞"
.　　　　　　　　 ,rf777777777L...j｛ヽヽ _ 　イ／　L.:j､＜.._＿＿___
　　　　　　　　　//////////////,|:!　｀ー一 ´　　ｲ////////////ﾊ
　　　　　　 ///////////////,|j､　　　　　／i//////////////ﾊ
.　　　　　 ////////////////,|　｀ー一彡'　ﾊ//////////////ﾊ
　　　　　 /////////////////,|　　　　　　 /////////////////∧
.　　　　 //////////////////ﾊ　　　　　 ///////////////////∧
　　　　 ///////////////////,∧ 　　　 /////////////////////∧
.　　　 /////////////////////,∧ 　　 .ｲ//////////////////////∧
.　　　　j//////////////////////,∧ ／/////////////////////////ﾊ

313 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 21:40:31 ID:okGwu2Vw

しかし達成できれば「連邦」だぞｗ
胸が熱くなるよな

315 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 21:41:13 ID:lMCd7AkY

>>313
しかし連邦がつくるモビルスーツはバケモノだぞww

314 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:41:01 ID:qLkNzrF6

四４２．

　　　　　　　　　　_ ,､-―- ､_
　　　　　　　, - ﾞ´　　　　　　 `ヽ、
　　　　　, '　　　　　　　　　　　　`ヽ、
　　　　　,'　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　i　　　　　　　　　　　　　　　　',
　　　　ﾉ　　　　　　　　　　ノﾉ八 ,）　　ﾍ
　　　（　　　　（(　ノﾉ∠ｲ＿　ﾉハ_リﾘｿ
　　　　｀)　　　　 Y＜;;::;;;;;:::;;;;｀´;;;;;;;;;!ﾉ
　　　　ﾌ　　　,ﾍ　|ヽ;;;::;;;;;:::／ヘ;;;;;;;ﾉ
　　　　ヽ　　｛Kﾉ　ゝ`'''ｰ''′　, 〉 i　　　　　　　　　　　　　「もはや、六つも必要ないであろう。
　　　　　）)　ヾﾄヾ　　　　　　 /
　　　　ラ　( （ﾉﾚ＼　　　´ ￣ /　　　　　　　　　　　　　　私は大方、本来は土壌が平均になったところで
　　　　,イルゝトミtr､. ＞　_＿/　　　　　　　　　　　　　　返却か廃棄か分散するように言われていたのを、
　　　ノ::::::::::::::::/:.:.:.ヾクﾊ_入くヽヽ_,,､-ｰｰ-.,､　　　　　　　そのまま持っていただけと思っている」
,､-＜:::￣:｀ヽ;/:.:.:.:.:.:.:.ヾｔｆｰ┬イ:.|ヽ;:ヽ:::::::::::/ﾍ､
､:.:.:.:.:.:｀ヽ;::／:.:｀ヽ;.:.:.:.:.||:.:.:.:|.:.:|.::|トヽ:.:ﾍ:::::/:.:.:.ﾍ

――――――――――――――――――――――――――――――
　　タオ砂漠に面した国はエゥーゴを含めて六つ、宝具も六つ。
　　ただ先祖からの口伝には無いがな、と苦笑した国王は肩をすくめ、
――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,--ｘ－k´／´　　　　　　　＿｀≧/´-il｀l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|l, >+／´　　　　　　　　　 |/{(´<て)) ヽ´/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,三Ｋ／　　　　　　　　　　　　(ヾー彡ﾐﾉ　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／,__) i/　　　　　　/　 /　ﾊ　　　>__==-､| |　　| ｀、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　 i__/ /　////　|　|　 |　 |　|　| ヽ　ﾉノ | |　　ﾉ　ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　/ / 　// | ||　|　|　 |/;/ ハ　|　|　 | |　/　　/　 i ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　　 / //i　ll　 l l l ll |　　|　| /　|　|　|　|　||/　 /　　| | ｀､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　|　/ |　| |　| | |il |l　 l|　|i |ノ　|　| |　| l| ;|　 il　　 |　|　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　 |　/ | | | ||　| |_ il l|　|ゝ-ﾌﾆ--+- ､_ﾉ / /　/l　　 |　|　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　 | /l　|| | | | -tｴ‐ｲi/／il| |_,==＝代ｿ///　//　　|　　| |
　「しかし、言うことを守らなければ　　　|　 i/ l　i l | |rーﾄｙﾆミゝ､ lｿｲテ:::::::ヾ｀//　 l il　　 |　 | | |
　女神が見捨てる事も………」　　　　　|　il　 l　 l| Yl ( r参ﾐﾋｲＹ　 l　　'っメｿ //il　l l　　ﾉ　 | 　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　| l　ヽ　ヾi kl、ソﾉノ_/　　　　　￣゜゜//il　 l l　　 l　　l 　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　|　　＼ﾍ｀十ーﾌノ　、　　　　　　 ///l　 i |　　|　　||　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / /　/　ﾉ｀　　ヽ￣　　　,- ､　　　　/// il　 | |　 |　　 ||　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ /　/　//　　　/　ﾄ､　　￣　　 i￣/// ゝﾄト--､l　　il　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / / /　//　　　/　 ,､- ｀ヽ､　　 ,イil //i/ /　ﾊ l"　＞　i l　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ / /　/ /　　/　／ヒ---､　｀´=ﾚ、ﾉ// /　ヾヽ／ｲ　 i　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　;// /　/　/　 /i　/　　/ヽ-ﾌl　__|　　 // /　　 /ヽ＼　li　　l　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´//　/　/　/ / ｲ/-　/　ヾ-ﾋｲｲ　ﾉ/ ノ　＿,---ｌ　トー-､ l　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　//　/　/　/ /　/ il /　￣いnﾉ l　 //／　i　　l　＿lﾌ　ヽﾉ　ｌ　l|

―――――――――――――――――――――――
　　この状況を利用して改革を狙う彼に
　　本気ですか、と雪華綺晶は驚きの視線を向けた。
―――――――――――――――――――――――

316 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:42:01 ID:qLkNzrF6

四４３．

　　　　　　　　__,r'"　　　　~ヽ.
　　　　　　_ノ~　　　　　　　　　＼
　　　　／　　　　　　　　　　　ヽ
　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ!
　　　i　　　　　　　　　　　　　　　ﾞi
　　 ,i　　　　　　　　　　　　　　　　　 l
　 ./　　　　　　　 i　　　　　　　　　 ( .
　,i　/　　　　ﾉ,ﾉノi i i　　　　　　　　　）
　! ,ヽ,　∧ﾆ'ﾚ'ｰ'　!､j､　､　　　　　　 i
　ヽ＼ソ,ﾉ''ﾐｪf､　　,__二ミ　　　　　　j
　　"Yヽ.ﾄ　　　）　　''ﾐｪｧ,;ﾞ）　'"　　）
　　　ﾘゞ.l　_　/　　　　　　~i　／/,＼　　　　　　　　「………そこが肝でな。
.　　　ﾞヽ!ﾄl ,＼ヽ　　　　　 j　!, (/iﾞ｀' ＼　　　　　　　あれは誓約の宝具なのだ」
　　　__,j,ﾊL!ヽ.ﾞy‐'"￣ﾞヽ'"j j. ,r┴‐‐'ﾞ7i!
　 (~r'　!　ヽ.／__,r＝~ヽｲ｢｢｀^~　　(（　 !
　　!.l　　) ,f~　＿,,ｨ､＼,i !j! ,.へ　　）/
　　| |　( /　　　　　ヽ./,/／　/ﾞ^ヽ.__/
_,..-.! !　 i　　　-=＝ｰ/／j､,､)）　　 /)
　　 !ヽ　j　　　　　　）ｰ'Y ("　　 //
　　＼V　　　　!i~_／　　ﾄｰﾞ　　//‐-r'"￣~ヽ､
　　　／　　　　 ,j~_＿ _,.ノ!.　　 //　　　　　　　＼_
　 _j'~　　　　　/　　　　 ,八　 //　　　　　　　　　　i.

――――――――――――――――――――――――――――――
　　口に手を当てて厳かに言った国王は、
　　それほどまでに大きな力をエゥーゴに与えてくれた大地の女神に
　　感謝を忘れてはいないが―――
――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,, -‐'''″￣｀ミ`{.{@yiゝゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,,,,i=η／　　　　　　　ヾ､`ヾ､)) l　｀'i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,//,i<迴'j　　　i　　　　,　ゝ＼. (( .i i　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l l　/ //　i　i 7 .i　　　ヽ,ヽヽ i i　l l ﾊ　｀!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l i　 / i　l l　l .i| |　　 i i　i　,ﾊ　il　i i ,ヽ　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l i　i l ,　l. !　|i|i　l　i i l i　l l　ﾊ7i　i l i ゝ,.｀'i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,i i l l　!　i ヾ i　l ＼i i lﾊi i i l　ﾉl　| i l　 .l　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. // /i|　| i | i l_.,,((、ii､ |il! .だ｀｀'i.7　l l|　 .'y l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　//,'´　i＼＼ヾiFｯﾐ''ｼi　　弋__沙7　//i　./ ./
　　　　　　　　　　　　　　　「誓約………でございますか？」　　　　イ　.,/′ヽゞゞ≦汗彡'　 ,　　　.//　li　| / /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /,,_　　 }li ゝ､i,　))　　｡　 . lil　.li l i ,l .{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　　　　7 i! !i)..ゝ．.,_. 　　,.／il　 il　＼＼＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ i/ //-‐'′κ,｀"-　>ヾ　! >.-‐'ゝゝ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/''"　~´ ,/ | k>っ>b, ,,.,ciyi)-ゝ　　　＼ヾ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 7ζ　　_ / l　ξl lゝ､ . ／l .!　i l　　　　　iゝ｀l

317 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:43:00 ID:qLkNzrF6

四４４．
―――――――――――――――――――――――――――――――
　　人に扱うには大きすぎるのだよ、と含ませた言葉に、
　　ようやく合点がいったエルはそういう事でしたか、と眉を動かしている。
―――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , '::::::::〃:::::::::::.i::::::::ヽヽ:ヽ ::::::､::::::::::::::::':::､､,__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_ｨ:::::::::〃::::::::::::l!::!:::::::::::＼ヽヽ:::::ヽ:::::::::::::::::::t=ｰ-.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ｨｼ='7:::〃::::ｨ''|!i:::!i::,::::::､::::::ヽ::::::':,',､;,:::::::::::::::::::::ﾝｯy､,_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´"　　/::::::/:::/,.-ｬj:::l 'i!';::::i＼::::ヽ:::::::',',',i!::::::::::::::f"''''＝=-''
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.ｼｨ::::::::ｿ !. (::)ﾘ!　ﾍ',:::l,,､ﾇ;:::ヽ::::::',',',':::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃ｼi::::::::ｌ　｀""゛　　` 'ﾘ (:::)ﾔ､:ヽ:::!:','::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '　'　.ｌ::::::::l　　　　　　ヾ'''''" Y:::::::::::::!::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i::/ｌ::::!　　　ヽ　、　　　　ｌ:::::::::::::::'::::::::ｯ::::::',
　　　　「ああ、そういう事でしたか。　　　　　　　　　　 l/　!:::'､　ｧ､.　　　　　　　 !:::::::::::::::::ｫ:::::!';::::::',
　　　　ならその話も分かる気がしますね」　　.　　　　 ,!. 　|/ ';､. ヾﾐ.`j 　　　 ,イ::ｧ:::::::::::::::i '､::',ﾔ::::､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　" . ';ヽ　　　　　,､y'´ /ｼｌ::::::ヽ:::::ｌ　ヾ;　゛丶
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'|!`=tｰ:::'"／　 /'　ﾊ::;::::il!';::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　　　'i::: '　　　　　　　ﾘｿヽ'ﾘ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!'i　　　j　　　　 ~ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘ､　／　 ―ー '''"""f,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / _冫'''~ 　　　　　　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ ´　　 ,､　　　　￣~ ヽ　 'i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l!~　　　　/　　　　　　　　ヽ.　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｿ. 　　　/　　ﾝ　　　　　､　',　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　 /　　 / 　　　　　',　', 'i

　　　　　　　　　　 ,..::;ﾆ＝-､
　　　　　　　　　 i::/　　　、
　　　　　　　　　　　,ゞｰ--‐::':::|,..-;:ァ
　　　　　　　　　／:::::::::::::::;::::::::!::::::｀丶、
　　　　　　　　/::/::::::::::/:/|;:::::;!i::i::::::....､ヽ
　　　　　　 l:/::;'::::'オ/　!:::/へ|:::::::::::ﾞ:.ヾ:、
　　　　　　　 ,!,イ:::::/ !′ l::/　 .lﾊ:::::|;;::::l
　　　　　 /i:::::!::/iTﾆT ,!;'　ｲﾆﾘ,!:::l｀､:|
　　　　　　 !:（|:'!::l ゜┘/　　ﾟ‐：!:}::!　ﾞ!
　　　　　　 |::::M::::!､　 ο　 .ィ:i!ﾘ　　　　「どゆこと？」
　　　　　　 |::::|:::l:::ﾚﾞ'ﾏ￢＜:!::|::|
　　　　　　 !::::|x<!:l　 |―|　,l:::|:::!
　　　　　　　 l::::::;!ヾｌ:ﾄﾐヾ、l〃!:ハ:|
　　　　　　 ,':::::::|　ヾ＞ﾐV∠}′ i|
　　　　　 l::::::::{　,r=-=ニＬ._〉,ノ l|
　　　　　　 ,!:::::::::l　　　　 |l!l!|´ 　 |!
　　　　　　 !:::::::::::ﾄ、　　　|＜　＿/:|
　　　　　 !::::::::::::ﾞ7ーイ丁´「〈::::::|
　　　　　 l::::::::::::/　l　 |　|　 l　ﾞ､::::|
　　　　　　 l::::::::::/　l. 　|　 |　 l　ﾞ､:|

319 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 21:43:11 ID:2u2E.a7k

わろたｗ
話が大きくなってきたな

321 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:44:00 ID:qLkNzrF6

四４５．

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　ヽ､_　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. （　（● ）　　　　|
　　　「普通、司祭さん達が神々と結ぶ『契約』は　　　　　　　　　　　　　　　　 . （人__）　　　　　 |
　　　信仰の対価として与えられる奇跡に過ぎない。　　　　　　　　　　　　 r-ヽ　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（三） |　　　　　　 |
　　　だから教えに反する行動をすれば破棄される事もあるし、　　　　　　　 >　ノ　　　　　　 /
　　　助力を願っても見捨てられる事もある」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / 　/ ヽ　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / 　/　へ>　　　 <
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |＿__ヽ　　＼／　 )
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|＼　　　／|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　＼_／　|

――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　最悪天罰が下る可能性だってある、とあごに触れたやらない夫の言に頷き、
　　エルが続きを受け持った。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

.　 /,/;:;:;:;/;:;:;/;:;:;:;l;:、;:;ヽ;:;:;:;:ヽ;:;:;:ヽ;:;:;＼;:;:;:;:;:;l;:;:;:;:;:!｀'＼
　/　ｌ;:;:;:/ //;:;:!;:;:;ﾍヽ;:;:;:;＼;:;:;:＼;:;:;＼;:;:ヽ;:;:;:;:!;、;:;:|
./　/;:;:;/ //;:;:;:|ヽ;:;:'､;:;＼;:;:;l;:;ヽ;:;:＼;:;:ﾍ　i',:;:;:;| ヽ:;:;i
　　|;:;:/l;:l/;:;:l;:;:!ヽ＼.＼;:;:＼ヽ、＼;:;:＼ ', | i;:;:;i':,::＼|
　　| /;:;:/l |;:l;:;:| i´ f::::j ､＼;:＼　,rt:::j フl .! |ヽ:! !;:ヽi＼
　　| ヽ/ |､ヽヽ {　`＝‐' ヽ|｀ｰゝ`ｰ＝'　l ! |;:;:;l !ヽ＼- ゝ
　　|　 |;:;l ヽ＼ヽ　　　　　　　　　 / | i;:;:;:!.|:;::|:;:!
　　　 |;:;l　|＼ヽ_,ゝ　　　　　i 　　　　 / ,! :;:! !;:;:l;/
　　　 | ∧ |;:;:ヽ' 、　　　｀ ´　　　　　/|/ l;:;:;ﾍ;:;:i　　　　　　　　　「………ですが『誓約』は違います。
　　　 |/　ヽ ∧ヽ,＼　　‐‐---‐‐　　ｲ/;:;:;:|;:;:/ ヽ!.
　　　　　　 |/　|∧|　＼　　　　／ .| / l/;:;:l　　　　　　　　　　　　　　一度結んでしまえば、自動的に―――
　　　　　　　　 |'　 l　　ヽ、　　／　　 l'／ヽ/　　　　　　　　　　　　　　あるいは強制的に御力を行使出来るのですよ」
　　　　　　　　 l　　　｀￣´　　　　l､
　　　　　　　　　,. '´　　　　　　　　　　　ヽ､_
　　　＿_ ,..　'' ´ 　ヽ　　　　　　　　 /　　　｀'ー-　..__
-‐ '´ {´　　　　　　　ヽ　　　　　　　/　　　　　　　　｀} ￣ 'ー- ､
　　　ヽ　　　　　　　ヽ　　　　 / 　　　　　　　　　/ /　　　ヽヽ
　　ヽ　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ /　　　　 |　ヽ
　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　 /　　　　 ',
　　　　　　　｀'ｰ-　 _　　　　　　　　＿　 -‐ '´　　　　　 /　　　　　l
　　/　　　　　　　　　｀'ー----‐ '´　　　　　　　 /　　　 l 　　 l　　　!

322 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:45:02 ID:qLkNzrF6

四４６．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　もちろん願えば結べる類のものでも無いのですが、と付け加えた上でエルは言葉を止め、
　　それで二人の娘達もようやく腑に落ちた様子。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ィ''´_二----`' - ､__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／, イ_,　_, - '´　　　　　｀｀`'‐､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/7'´／／　,　　 / i|　　　|　　　　 `ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　// ./７/　／　／ / l　　　　`､　　 ,__rfミヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {i'.l // /../　／ .／.i |　　　　　　ゝ､ﾄ{ ,r‐i ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Vr-i ./　/ ｲﾉ/ ll　l　　i i　 i　i　　< f ､ニノ_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {薔!i′/ /／i'li　il　 //　 / .i 　　＼＼彡ン
　　　　　　　　　　　　「なるほど。　　　　　　　　　　　　　　　　　　 __ｰi Ⅳ / ノc!l､ l/　/∥ /　/　　　　　　i .l　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i'　　　　 i'.i' 汐 /　ｲ.ﾉ　ﾉ /　　　　 /　/i　!　!
　　　　　　　　　　　　だから言いつけを守らなくても　　　　　 }　　　　ゝ｀ｰ- ナｲノ.／ .ﾉ /　／　i'　 l　l　! l
　　　　　　　　　　　　宝具は使い続けられるし………」　　　　 'i､　　　　　　　／イ -彡イ／イ　l　　l　 l　l ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i ′　　　　_,,イ'´_ ィ/　／イ　i　l　　.l　　i　l　l､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r､!　　　　　{ i　／／　／イ/l　　l　l　　l　　!l　ヽヽ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀i i`ｰ-　､_ ヾ　{./　ィ　　 l l　　 l　l　　l　　ヾi　＼＼ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ! 'i i'´ l:::::ノlヽヽ< |　　　 ll　　 l　 !　　ゝ､　＼　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　i＞_.､_　 / i､｀i |l　　　 ll　　 l,　　　　　ゝ､__ ＼　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l -'´__r_'f´i　i-}　l !l　　　 l　　　lii　　　　､　､｀-i､｀-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　＿__ﾉ,.!にニｲ lヽ　　　l　　　 illi　　　ヽ, i　　 i　ヽ　＼

　　　　　　　　　 _,-,ﾆ二ニ=､
　　　　　　　　／／
　　　　　　　 /:/
　　　　　ヾ`､
　　　　　　　　＞+:‐: ´:￣: ￣: :`:'￣:l.､＿＿＿,／
　　　　　　／: : : : ／: : : : : : : : :/ : : l: : : :く‐´´
　　　　 /: : : ／: : : : : : : :/: :/: : : : l: : : : ､:＼
　　　　　l: : : /: : : : : : : : :/: /l: : : : ∧ l: : : :ヽ: :ヽ
　　　　 /: :/: :/: : : _,:_∠Ｌ､:::/: : : /::::l l: : : : :ヽ: : ヽ
　　　 l: /://: : : : :／::/':::::/: : : /::::-H､: : : : : lト､: ヽ
　　　　l://://: : : ｲミ土=､_/: : :/:::::::::l∧: : :l: : :l　｀ヾ､
　　　　l/: :l l: : : ｲ:llo:::::::/:::/://:::テﾃヵl: : :ﾊ: : l
　　　 l: : :l: l: :/.:l.:l し: 」:::::l/:'::::::P::::/'/l: : :l:N: :l
.　　　 l: : : W/: : N　　　　　　､ `‐':::l::l: : lN　V
.　　　 l: : : : :ﾊ: : : ト､　　ー=　　　ノlﾊ: :ハl
　　　 l: : : : : :､: : : 「ﾌ｀‐- ,､-┬:Ｔ´: :l　l/　　　　　　「あいつでも
.　　　l: : : : :,レ､: : :ヾ､　　/､｀Y/:l:l: : l　　　　　　　　使おうと思えば使えるのか」
　　 /: : :rﾆミミヽ: : ヾ､-─┤ `┤: : l
　　 /: : /￣＼ヾヽ: : :ヾ､　　 l　　ll: : l
　　/: : /　　　ヽヾヽ: : lヽ　　l　 /l: : l
　 /: : /　　　 l ＼ヾ､: l ヽ　 l //l: :/
　/: : :l　　　　 l ハヾ､l､､l　 l////l

323 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:46:00 ID:qLkNzrF6

四４７．

　　　　　　　　　　　　　　　／,.. .:-ﾆ''"_＿　_
　　　　　　　　　　　　　　　〃ﾝ::::::::::::::三ニ=::::::.:::
　　　　　　　　　　　　　（l!i´::二ﾆ＝-:;;;;:::..-.:::::::::::
　　　　　　　　　　　　　,-'从ミへ:::::ヾ::::::.,ヽ::::::::::::::､
　　　　　　　　　　　　 /::'!::::::､､::::､::ヾ:::ヽヽ:::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　/:::.!l/::::::ヾ::::::､:::::ヽヾ.:＼:::::ヽ::
　　　　　　　　　 ,'i!:::::.:i.!:lｬ,:::::::..ヽ､＼::::::::＼:::ヽ:::
　　　　　　　　　　,' l!i:l::!!:ヾ.i-ｬ.::::､::::::::._ヽ､:::::::ヽ:::::
　　　　　　　　　_,ヘ!_l. !y::|::l!ｌrt:ｯﾐ＼:ヾ rt:ｯﾃ､::::::::　　　　　　　　　　　　　　「祖王ブレックスの後も長きにに渡って、
　　　　　　　 ,-=ニ-ﾐﾍﾊ:::::::ｌ `''''"_`_｀ヽ`'''"　ｌ:::ヽ::::　　　　　　　　　　　　　自動的に土壌の改善するには
　　　　　ンﾆ二｀ヽ;=､!ﾊl!y''~´　　 ~`ヽ　　!:::::/i!､　　　　　　　　　　誓約をする必要があった。
　　　 _..ｨf´　､　`'''‐ﾆ'ヽ..ッ'ｩ､　　　　　　ｌ／ﾘl::ﾚｌヽ
　 _.-ﾆ／　　`'ﾌ´~｀ヽ..X´｀`''''ｦ, r'''~''ｯ ..〆 / ,liｿ |　,.ｧi　　　　　　　　　　　　しかしそれを逆手にとって、
‐ﾆ‐'八-､_...:::::n⌒`!~ ヾ' ､.　ヾ､`'''ｬ''''~´　/ // ,ン´　ヽ､　　　　　　　　　　本来は分散するはずの宝具を持ち続ける事で
´ .ｌ /　ヽ >::::!ｿ/ ＼＼ |ヽ'i 　　ヽヽ､_゛_,,...-zﾝ. - '''´~｀`''ｰ-　　　　　　　エゥーゴはまれに見る豊かさを得た」
　ヽ　、＼__ﾝ￣~`'''''- ..,　ｌ　　　゛ｰ-ｰ'´ /,'　,:-‐''　､'‐- .,.
　　　　＞._/ 　　　　 ;　ﾔ ! 　　　 ',　　/､ /　　　 !　ヽ　　｀く::　ヽ､
　　　_,.::;;;;/　　　　　　　|　 'i::i　　　　',　〈', ｌ i　 ,'　 ,'　　ﾄ　　　ヽ,　ﾔ
‐-‐''　~ ｱ　ヽ　　　　　ｌ.､　ヾ　　　　　,　 i_jy'　,'　./ 　　ｌ ', 　　', iノ !`
　　　　〈 i　＼　　　　　 !ヽ　＼　　ｌ ,　 / |　i　./ 　　ｌ　', 　　',|､ｌ
　　　　　ヽ!　　 ' ,　　　li 　'i＼ .liヽ　　ｌ　'. /　| ,' /　　　　ｌ　 ,　　　|　>
.　　　　 |:',　　　＼　　',i　 ', ヽ |､ヽ　l.　ヽｌ | ﾚ　　　　　ｌ　/',　　 'ｌﾒ､
　　　　　|:::',　　　　ゝ　 i ',　ｌ　 ' ,', ＼ｌ　　 |! |!|　　　　　ｌ /　i 　　ｌ　ヽ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　ヽ､_　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（ー）（ー）　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人__）　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「それに目をつけた者がいる、か」　　 .　　　　{　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ⊂ ヽ∩　　　く
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（なるほど、リフはそれで………）　　　　　　　| '､＿＼　／　 )
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　 |_＼　 “　.／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ､＿_＼_／

―――――――――――――――――――――――――――
　　やっと、かつての疑念に納得がいって目を閉じる。

　　正気を失った高司教が女神の誓約の宝具と―――
　　聖遺物を三つ所持し、仕える神と誓約する事で昇格可能な
　　伝説の司祭職を結びつけても不思議ではない。
―――――――――――――――――――――――――――

324 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:47:00 ID:qLkNzrF6

四４８．

　　　 /:.／　　　　　　ヽ
　　｛:/　　　　　　　 |
　　　 l{
__,,... . .ゝ､、
: : : : : : : : : : : ｀:丶.､
.: : : : : : : : : : : : : : : : ｀ヽ:-:':＾ヽ
: : : : : : : : : ;.-:'':´: : : : : : ; : : : l｀`:丶.、
.: : : : : : ;. '′　　. . : : : ｨj::: : 　|: :ヽ`丶`ヽ､
: : : : ／ ,.,／: . : : : : :, ' !,!: : :　l: : : ｀､　　　｀
.: :／,.-'ﾞ/::::: : : : : :／-〃!: : : ,!.: : : :.丶
／'": :./::::: : : : :／　〃 l: : :/:::. :|、 : ﾍ
: : : : /:::: : : : ;ｨ|　　__/′,'.: :/::::::. :!ヽ: : l
.: : :/::: : : :／|::|　示牙 ,': :/:::i:::::. :|　ヽ:.l
: : /:: : :／: :.:l::l　 | |:'::|./／::ｉ::,!::::. :l 　ヾ!
.: /:.／ |: : : :.!:l　　 l.Ч'゛|::::,'!ハ::: ,!　　 |
:/:'ﾞ:.ヽ､| : : : |:!　　 'ｰ'　 |::/ |　 ',::;!　　　　　　　　　「どうして女神は、
.: : : : / !: : : :!'　　　　Ｙ　　 /　　　　　　　　　　そんな都合の良いものを？」
: : : :./　!: : : l　　　　　／
.: : :./ヽ,|: : : l､＿_, ィ'l´
: : :/　ヾ : : l　　　 l.｜
.: /　　　'､: :.!　　,.-'.　!
:/　／,.三ﾐ､|　 /　{`_⊥-､
　〃〃'"　｀ヽ〈￣　　　_,.｣
'゛／／´￣｀ヽV=ニ二 -ｲ

―――――――――――――――――――――――――――――――
　　便利すぎるし他の国が知ったらエゥーゴを妬むよ、と言うコナタに
　　もっともだと思ったやらない夫はしばし考え込んだ後。

　　推測に過ぎないが―――と前置きをしてから自分の考えを述べた。
―――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ――　､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／〉´.,,,,,-----,,,,...ヽ_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／／_;_;_;_;_;_;_;_;_;_;_;_;_;_|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　/／〉　 ( ー)　(ー )　ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　 ´ イｌ　　 (___人___)　　ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　ｌ　　ｉYｌ　　｀ ⌒ ´　　ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　/　　ﾊ !.!　　　　　　　　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 /　　/　 ' ヽ　　　　　 /
　　「人々の信仰心や感謝を増すため、　　　　　　　　　ｌ　　　／/ ､ゝ　　　　　　／ヽ_
　　かも知れない」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ´｀ー‐ '｀./　　｀ー､　　,－´　　/ 　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　ｉ　　　　ｉｉ　　 / ｀:.ｉ　ｉ´ヽ.　 /　　　｀　､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　　 , 'ｌ　　　　　ｌ.!　 /　　ｌ　 !　ﾊ　/　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / ,:|　　　　　| ヽ/　　　!＿'　　 V　　　　 ,　 ,　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　/ / ｌ　　　　　|　　　　 /:.:.:.:ヽ　　　　　　　/　/　／　ｉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　!/　 !　　　　ｌ＼.　　ｉ:.:.:.:.:.:.ｉ　　　　　／　/　 /　　　ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　 !　ヽ.　 !:.:.:.:.:. !　　　 ´　　 !　 /　　　 !

325 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:48:00 ID:qLkNzrF6

四４９．
――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　それで雪華綺晶も気がついた。
　　大いなる存在である天界の神々とて、万能でも全知全能でもない、
　　この大地に生きる者達と持ちつ持たれつの関係である事を思い出したのだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　,, -‐'''″￣｀ミ`{.{@yiゝゝ
　　 _,,,,i=η／　　　　　　　ヾ､`ヾ､)) l　｀'i
　 ,//,i<迴'j　　　i　　　　,　ゝ＼. (( .i i　 !
　 l l　/ //　i　i 7 .i　　　ヽ,ヽヽ i i　l l ﾊ　｀!
　 l i　 / i　l l　l .i| |　　 i i　i　,ﾊ　il　i i ,ヽ　!
　 l i　i l ,　l. !　|i|i　l　i i l i　l l　ﾊ7i　i l i ゝ,.｀'i
　 ,i i l l　!　i ヾ i　l ＼i i lﾊi i i l　ﾉl　| i l　 .l　}
. // /i|　| i | i l_.,,((、ii､ |il! .だ｀｀'i.7　l l|　 .'y l
//,'´　i＼＼ヾiFｯﾐ''ｼi　　弋__沙7　//i　./ ./　　　　　「ああ、そっか………
イ　.,/′ヽゞゞ≦汗彡'　 ,　　　.//　li　| / /
　 /,,_　　 }li ゝ､i,　))　　｡　 . lil　.li l i ,l .{　　　　　　　神々の力の源は、大地に生きる者達の
　l　　　　7 i! !i)..ゝ．.,_. 　　,.／il　 il　＼＼＼　　　　　　感情や信仰心なんだっけ」
　　　　ノ i/ //-‐'′κ,｀"-　>ヾ　! >.-‐'ゝゝ＼
　　　/''"　~´ ,/ | k>っ>b, ,,.,ciyi)-ゝ　　　＼ヾ
　　 7ζ　　_ / l　ξl lゝ､ . ／l .!　i l　　　　　iゝ｀l

　　　　　　　　　　　　「そこだ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 rヽ　　／　ノ　　＼＼
　　　　　　　　　　　　明確な御力を示す宝具があれば　　　　　　　　　 i　!　　|　（●）（●）　|
　　　　　　　　　　　　人々の気持ちは嫌でも高まって、　　　　　　　 .r;r‐r/　|. 　|　　（__人__）　 |
　　　　　　　　　　　　連鎖して女神の力も高まっていく。　　　　　〈_L (｀ヽ .}　　|　　｀ ⌒´　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l｀（｀`/　.　 |　　　　　　　 }
　　　　　　　　　　　　女神の力が高まれば、　　　　　　　　　　　ヽ　　l　　.　ヽ　　　　　　}
　　　　　　　　　　　　宝具の効果も高まって………」　　　　　　　　　　　|,. 　 l　　 /⌒　　ー‐　　ｨヽ

―――――――――――――――――――――――――――――――――
　　信仰を維持するために完全に隠しておく事は許されず、
　　領主の証とすることで人の目に触れさせて信仰を高める必要があった。

　　あるいは、そういった循環を狙った特区とするほどで無いと、
　　広い土壌の改善は出来ないのかも知れない。
―――――――――――――――――――――――――――――――――

326 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:49:01 ID:qLkNzrF6

四５０．

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,／: : : ;; : : : : : : i: : ::|: : : : : : : : : : : : : : ､ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　／: : _／　　　　　:i!::: /|: : : : : :i : : :　　　　ヽ｀,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 /:,, ィ／　　　 /: : : | : / .|: i: : : : |:ﾊ,: : : : . . .　ﾍi!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /／ ./　. : : : :/: : : ,,|-‐ﾄ､.|: |: : : ::|!_⊥ _ : i: : : ::i: ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　/　　/: : :/: : :::i!: :／/|: /　 |::|i; : ::::|　　ヽ｀ヾ|: : : :i!: :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l: : ::i: : : ::l: : : ./ |/　　 !:| l! : : :|　　　Y: :|:::: : ::| : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 l: : /l: : ::::l: : :/　 | 　　 !|　l.: ::::|　　　ヾ:}::: : : |};: |
　「繁栄に気をよくした当時の国王が　　　　　　　 l: :/ |: : :::::l: : !　＿＿_,　i! 　ﾍ: ::|＿＿＿i!;:: : ::l::i!::|
　独り占めを画策した？」　　　　　　　.　　　　　!/.　l: : ::ﾊ:!: i!. ━━━　　　ヽ:|━━━ i!::::: l:::|ﾍ!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l. 　 !: ::{::!,X:|:i 　,,,, 　　　 .　｀　.,,,,,　・i!::|::::l::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾍ:::|!:｀ﾍ| l　　　　　　　　　　　　　 l::::|::i!:: |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾔﾚﾔﾚ　　　ヾ||:::::|:::::ﾞ's､.,　　⊂ﾆニ⊃ 　 ,..ィﾞ:::::ﾚ' : :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | ::::|: : : .|::::≧=‐----‐=≦::::|::: : :|:::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　 _y⌒ヽ-一ｯ　　|:::::::l: : : :i!´　 {~ 　　 ~}　　｀|::: : :|:::::: |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´　　　　 <´ 　 .|::::::::}: : : :|　.　ﾍー-一ﾉ　　. l: : : i!､::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（　　　　　 }　　l:::::::ハ: : : lヽ　　',　　 /　　 |: : : l /,:::: |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　_,,ノ　　 l ::::/　ﾍ: : ::l ､ヽ　ヽ　/ 　 .ノ|: : ://:ﾊ :: |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゝ一'' 　　　|:::::!　　ヽ: ::l ヘヽ　V　／´l: : /' 　ﾊ:: |

　　　　　　　〆´__t=lニﾆ　　　　￣｀`'ｰ l　.＼
　　　　　　 l __,,fゝ }==-　　　　　--==--r-,　 l
　　　　　　　l　 /　　　i　,　　　　､　　　 i`ｰ'l　 li
　　　　　　 l ./ |　i i　l i　l i　　l l　.li　l i　 |､l　l .l､
　　　　　　/ ./　l .l ll l l 　l　l　 l .l　l l　l i　/l l　l/. }
　　　　ﾉl 7 ll　 l l.l l l　_!_ l ((l　l .l l　l/ i　 l　l　λ
　　　７λli　 ` i lヽli.ﾉr-. ､=l))l .l　l l / ./　l iλ .| `ｰ､
　　.　/ i　l l　　 i l　lく　ﾚ`　r′lⅥ V7l l　 l　li 入乂　 l　　　　　　　「………気持ちは分かるよ。
　　 /　　l/ヽヽ　.! i (( F､,,i_/　'　　　ヽ{li　l.i　λ .|ヽ｀l　l　　　　　　　そんな良いものだもん、独り占めしたくなる、よ」
　　l　 ,　 l　 i　l　lヽ! !l.ゝ､　　-　　,,ｲll./､.l.i　　 i　 i .l .入
　 .l　　l　l　　l__l　l }　i i┌＞- , イ´└l　{./ }　r-,　.l l　　｀ヽ,
　λ　　i .l､　入'´|Ⅵ λ､_）　つ　　 7l l / l-z,) !､ .l ヽ　　l　 l
..7　`　.7 l ../　　フ / .l lｰz )´乙__凡＼ll .l　　 .ハλ l　　l　 l
　　　　{　.Y　　　 {.! l__.l l／´ 　＼ .| .| .l }　}　　　/ 入.　 .l　 .l
　 /　　＼.＼-､...._i .y L ＞i_f‐ｧ＜ ,l､_f// /____ ./ ;　　l　　l　　l
　i　　　　 l ゝ　　ﾉ　}　　　　　`'''ﾟと- /i l l　　　!､!l　　　ヽ　ヽ入
　!　　　　　l　l　 /　/　　　　　て､ろ　 !l l .l-- ,, 《 .l　　　　ゝ,　`　＼

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　推測の域は出ないものの、もしそうなら不敬も良いところだよと遠慮ないため息を吐くコナタ。
　　やらない夫の方をちらりと見ながら、そっと目を伏せる雪華綺晶―――
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

327 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:50:01 ID:qLkNzrF6

四５１．

　　　　　　　　　　　　　＼ー-- ､,,_ー=ミ‐-..､
　　　　　　　　　　　　＿＿＿ﾐ::::::::::::::::｀¨ミヽ､::::::ヽ.
　　　　　　　　　　＜:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::::ヽ
　　　　　　　　　ヽ､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾄ､
　　　　　　　ー=ﾆ､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::j::ﾊ
　　　　　 --─=＝ﾆ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ヾミ:::::::::::}
　　　　　　　 ,,ｨ彡:::::／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::彡ｲﾊ::く
　　　　　　／::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::l::::::::',
　　　　／---─ｧ':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／::::::::::::／:::ﾘ:::::::}ﾊ
　　　　　／/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::イ:::ﾂ<彡'/:::;イ::::::::::l:::|
　　　　　　　　/::::ｨ::::::::::::::::::::::::::,ｨ/ 　¨''=ｲ _,ｲ:::ｲﾃ ::::::::::ハj
　　　　　　 _,,ｲ／/:::::::::::::::::::::ｲ/ |　　　　　ノ　|¨ .::::::ｲ/
　　　　　　 ∠ イ:::::::::ｨ::/ .|　　　　　　､ _｣ｲ:／.j'
　　　　　　　　　　/ｲ:／ .|ｲ　　＼　　　‐--- ／|:/
　　　　　　　 __ ｲ　　 j　　　　　＼　　ﾞﾞﾞ／　.ｿ
　　　　　　　　 /＼　　　　　　　　／ヽ- '　　　　　　　　　　「………よくもまあ、こんな凄いものを持ちながら
　　　　　　　／　　ヽ､　　　　　_ ｲ　　　　　　　　　　　　　　これまで無事でしたね」
　　　　　／　　　　　　ヽ､　　Y
　　　　 /　　　　　　　　ー┴､
.　　　/　　　　　　　　　　　　　 |
　　　/　　　　　　＼　　　　 |､
　　 i　　　／　　　　　＼　　ﾊ
　　 |　　/　　　　　　　　　　ヽ　　 |
　　 |　 ,'　　　　　　　　　　　 }　　|

――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　―――情報もそれなりに漏れていたようですし、狙われて当然ですと呆れたエル。
　　常に必要最低限の力しか使おうとしなかった父の背を思い出すやらない夫。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　_ノ　ヽ､.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | 　（ー）（ー）　.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!　　（__人__）　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　「人には過ぎた力を扱うってのは　　　　　　　　 , っ　｀⌒´　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　本当に難しい事なんだな………」　　　　　　　 /　ミ）　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　./　ノゝ　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　ﾚ'´　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　|／|　　　　 |　|

―――――――――――――――――――――――――――――――――
　　たった四人でも宝具に対する感想が一致しないのだ。

　　これがもっと大勢の知るところとなれば、
　　悪用したり私利私欲のために使おうと思う者が現れても不思議ではない。
―――――――――――――――――――――――――――――――――

328 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:51:00 ID:qLkNzrF6

四５２．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　善きにつけ悪しきにつけ、禁忌とされるような強すぎる力なんてものは
　　全て無くなってしまった方がいい。

　　そう信じているエルは、やらない夫の呟きを聞きつけて険しい表情を浮かべると
　　近い将来、そうなる可能性をはらんでいる目の前の少年を確認するように尋ね、
――――――――――――――――――――――――――――――――――――

.　 /,/;:;:;:;/;:;:;/;:;:;:;l;:、;:;ヽ;:;:;:;:ヽ;:;:;:ヽ;:;:;＼;:;:;:;:;:;l;:;:;:;:;:!｀'＼
　/　ｌ;:;:;:/ //;:;:!;:;:;ﾍヽ;:;:;:;＼;:;:;:＼;:;:;＼;:;:ヽ;:;:;:;:!;、;:;:|
./　/;:;:;/ //;:;:;:|ヽ;:;:'､;:;＼;:;:;l;:;ヽ;:;:＼;:;:ﾍ　i',:;:;:;| ヽ:;:;i
　　|;:;:/l;:l/;:;:l;:;:!ヽ＼.＼;:;:＼ヽ、＼;:;:＼ ', | i;:;:;i':,::＼|
　　| /;:;:/l |;:l;:;:| i´ f::::j ､＼;:＼　,rt:::j フl .! |ヽ:! !;:ヽi＼
　　| ヽ/ |､ヽヽ {　`＝‐' ヽ|｀ｰゝ`ｰ＝'　l ! |;:;:;l !ヽ＼- ゝ
　　|　 |;:;l ヽ＼ヽ　　　　　　　　　 / | i;:;:;:!.|:;::|:;:!
　　　 |;:;l　|＼ヽ_,ゝ　　　　　i 　　　　 / ,! :;:! !;:;:l;/
　　　 | ∧ |;:;:ヽ' 、　　　｀ ´　　　　　/|/ l;:;:;ﾍ;:;:i　　　　　　　「善なる気持ちや信仰心である
　　　 |/　ヽ ∧ヽ,＼　　‐‐---‐‐　　ｲ/;:;:;:|;:;:/ ヽ!.　　　　　　　光の神々の御力ですら言わずもがな、
　　　　　　 |/　|∧|　＼　　　　／ .| / l/;:;:l　　　　　　　　　　堕ちた超越者の恐怖は
　　　　　　　　 |'　 l　　ヽ、　　／　　 l'／ヽ/　　　　　　　　　　数多くの逸話や伝説で耳にしているでしょう？」
　　　　　　　　 l　　　｀￣´　　　　l､　　
　　　　　　　　　,. '´　　　　　　　　　　　ヽ､_
　　　＿_ ,..　'' ´ 　ヽ　　　　　　　　 /　　　｀'ー-　..__
-‐ '´ {´　　　　　　　ヽ　　　　　　　/　　　　　　　　｀} ￣ 'ー- ､
　　　ヽ　　　　　　　ヽ　　　　 / 　　　　　　　　　/ /　　　ヽヽ
　　ヽ　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ /　　　　 |　ヽ
　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　 /　　　　 ',
　　　　　　　｀'ｰ-　 _　　　　　　　　＿　 -‐ '´　　　　　 /　　　　　l
　　/　　　　　　　　　｀'ー----‐ '´　　　　　　　 /　　　 l 　　 l　　　!

―――――――――――――――――――――――――――――――
　　試されている、と分かったやらない夫は目を閉じて少し間をとった後、
　　常に心の中にある教えを以て答えた。
―――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　ヽ､_　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（ー）（ー）　　　|
　　　「俺の親父は言っていた。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人__）　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（　　　　　　　 |
　　　『純粋な力とは善でも悪でもない。　　　　　　　　　　　　　.　　　　{　　　　　　 |
　　　　力にそれらを与えるのは行使する者の心なのだ』と。　　　 ⊂ ヽ∩　　　く
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | '､＿＼　／　 )
　　　そして………」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 |_＼　 “　.／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ､＿_＼_／

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　　　　　　　　　　　　――――――――――――――――――――――――――――――
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―――――――――――――
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―　―　―

329 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:52:00 ID:qLkNzrF6

五５３．
――――――――――――――――――――――――――――――――
　　―――父曰く、それは代々『Ｄ』の洗礼名と共に引き継がれてきた教え。
　　強い魔力や類い希なる身体能力、多くの才能を受け継ぐ一族の、
　　決して忘れてはならない言い伝えなのだそうだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノヽ)）ヽ,,rｰrヽ,, ,,ﾉi
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ﾉ~'tiii"（t　i}}|j　　　　　"　"ﾂヽ|t
　　　　　　　　　　　　　　　iヽ/ﾂii|}}从､}iii)''ijﾘﾘ}　､　　　　　ﾉﾂﾘ､
　　　　　　　　　　　　　　　ii}}y"}!､iii､'';/r"t}}}（iij,yiiヽ-ﾘヽii}j､,,　"ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　t,｀､i､}ヽ''ii）;;|iMtヽ''" ｀" ﾉ　""ノﾉﾉjjり ''ﾌ
　　　　　　　　　　　　　､)" ミ;;,,t､ti;i､ t;;､､）)ﾘiﾉﾂノ／""''彡"彡ョ
　　　　　　　　　　　　　　i､｀''i ;;;;:::ijj}､｀';;;;;;'"":::;;;'"　,,,,　　廴r''ﾂ r'
　　　　　　　　　　　　　 't､ ;;;､ t;; ::;;;｀;;;;;;;;;;|}:::'"::;;'"ii"　　､迄彡ﾉﾂ
　　　　　　　　　　　　　　ヽ, ;) (|;;ヽ;;､;;;;;;;;;ﾉ':::i:::;'":::';;"　　::'≡　" ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　 'i ,;i,,､;;､､,;; ;;;;､;;;i'i},,ir')ノ,,,,,,,,___　:::ミ≡:r'i
　　　　　　　　　　　　　　　t ;t;;iitｰﾐｩﾃ;;､刈ｼ='r'-ﾐｭｫヲｦ　 ')'''/'|:|
　　　　　　　　　　　　　　　 '',､,i'"｀￣"::::了 j''"｀￣:::::"　　 ;;ﾘ/)ﾘ/i　　　　　　　,,
.　　　　　　　　　　　　　　　　t､i'::::　　:::::::| ,'　 j""　　　　 :::ﾘ'､/ｲ'(,, ､､ -ｰ '",､　~ヽ　　　　「そして―――
　　　　　　　　　　　　　　　　ヽt::::::: :::::t,,ハ　,､)　　　　;;;;:::i-ｰ'"t)）::::: ..;､-'",, "　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　i;t :::::::::::~'- '":"　　　了 ,i;;;;:::　 t:::;､-'"　'"　　　　 /　　　力無き理想は詭弁に過ぎぬ。
　　　　　　　　　　　　　 ,,, ､ - ｰt;ヽ ::::::::;;､､､:::,,,　　　;;'" /;;;;:::　,､'":::::彡　　　　　　　　　　善き心を持ち、力を御してこそ初めて、
　　　　　　　　　 ,,､- ''":::::::::::::::::::t:;ヽ :::::":::::::::::::｀'　 /　, ';;;;;;;r''":::::::...　　　　　　　　　理想を語る事を許されるのだ」
　　　　　　 ,,､-'"::::::::::::::::::::::::::::::::::t::;;ヽ ;;;:::::::::　　　 "／;;;;／::::::::::
　　　,,､- '"::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::t:::;;;ヽ　:::::::::::: 　､';;;;;r'"::::::::
.　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::t:::;;;;;;'､;;;;;;;;;,､ -';､-'":::::
　/　::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ｿ:::;;;､ - ｰｰ'''":::::::::::　....::''"
./　 ;;;;;;;;;;､ -ｰｰ ''''' """ '''' ｰ,-ｰ''''::":::::::::::::::::::::::::::::::::::::

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , ノ　､　､　 ┏━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　　　 l（● ●）|　　　 ┏┛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　　　 | (_人_)　|　　　 .・
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　　ヽ　　　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「………口先だけの男になるなって事？」　　　〔__≧＜__〕
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　　　　 |　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.し　　　Ｊ

330 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 21:52:51 ID:2u2E.a7k

>>329
チート一族ｗｗｗｗｗｗ
サイヤ人みたいなもんかｗｗｗｗｗｗｗ

331 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:53:00 ID:qLkNzrF6

五５４．

　　　　　　　ヾ
　　　　　　　ゞゝｿ<ゞゝヽ　ｿ　ソゞ〆/丿ノ
　　　　　　ゞ　、　　　　　　　　　　　　　　　　ν
　　　　　　ヾヽゝゞ〃γゞγゞγゞγゞλ　　　ν
　　　　　　ゞ〃　ミヾヾソ／ミミﾐ〃ν　　　ν
　　　　　　ヾι　　ミヽﾐミﾐﾐ Zミ　 ζ　　　ν
　　　　　　ゞζ　ミヽミZﾐΞ/Ξ/　ζ　　ヽ　τ
　　　　　ヾ/　ヽZﾐくﾐヾﾐ/ﾐνﾐ´ﾐνﾐνζ　　ν
　　　　　　|ヾ:: ー::;＼ν.ゞー‐::;‐｀゛　　＼　　ζ
　　　　　　ゝ ´￣7　/.λ　´￣ Z7｀´　ヾ＼　τ
　　　　　　..|ヽ　/　　　彡　　　ﾐZ　　.|　|　τ
　　　　　　 | |　Z　´　ν　　　　　Z　　|　| ν
　　　　　　 | |　　　ゞつ　　　ヽ　.　ﾐ　　|／ ν　　　　　　「お前にはまだ難しいやもしれぬ。
　　　　　　　|.ゝ　ヽ――――　、..ミﾐ..　ヽ　τ　　　　　　かく言う私とて、やりきれているとも思えぬのだからな。
　　　　　　 |　|ﾐ　´ ｀―　―イ´　　　　/　　τ
　　　　　　 |　ヽ　　　　Z　　　　　　〃.彡　ヽ　　　　　　　常に心に留め、
　　　　　　 |　　|　　　/、　　　　〃　　彡　　＼　　　　力を振るう際に思い出せばそれでよい」
　　　　　　 |ﾐ　ヽゞ＿＿＿　　／　　　ﾐ　　　　＼
　　　　　　 |ﾐヾ　　ミ　ヾ　　　　|　　　ﾐ
　　　　　　 |ﾐ　　　　ﾐ　　　　／　　　　ﾐ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ノ　､　、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ● ●） l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（人__）.u|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「よく分からないけど、　　　　　 /^)　　.ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　覚えておくよ………」　　　　　　　ヽ ⊂ニ〕
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | 　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゝl 　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀(＿ﾉ

332 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:54:00 ID:qLkNzrF6

五５５．
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―　―　―
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―――――――――――――
　　　　　　　　　　　　　――――――――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――――――――――――
　　強すぎる力は本人や周りを狂わせやすい。
　　実際に力に魅入られた者の逸話など腐るほどあるし、
　　一時は英雄と讃えられながらも堕ちた者だって歴史上には何人か居る。

　　また、強すぎる力を持つ者は人々から恐れを抱かれやすい事も
　　それに拍車をかけるのだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　＼ー-- ､,,_ー=ミ‐-..､
　　　　　　　　　　　　＿＿＿ﾐ::::::::::::::::｀¨ミヽ､::::::ヽ.
　　　　　　　　　　＜:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::::ヽ
　　　　　　　　　ヽ､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾄ､
　　　　　　　ー=ﾆ､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::j::ﾊ
　　　　　 --─=＝ﾆ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ヾミ:::::::::::}
　　　　　　　 ,,ｨ彡:::::／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::彡ｲﾊ::く
　　　　　　／::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::l::::::::',
　　　　／---─ｧ':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／::::::::::::／:::ﾘ:::::::}ﾊ
　　　　　／/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::イ:::ﾂ<彡'/:::;イ::::::::::l:::|
　　　　　　　　/::::ｨ::::::::::::::::::::::::::,ｨ/ 　¨''=ｲ _,ｲ:::ｲﾃ ::::::::::ハj
　　　　　　 _,,ｲ／/:::::::::::::::::::::ｲ/ |　　　　　ノ　|¨ .::::::ｲ/
　　　　　　 ∠ イ:::::::::ｨ::/ .|　　　　　　､ _｣ｲ:／.j'
　　　　　　　　　　/ｲ:／ .|ｲ　　＼　　　‐--- ／|:/
　　　　　　　 __ ｲ　　 j　　　　　＼　　ﾞﾞﾞ／　.ｿ
　　　　　　　　 /＼　　　　　　　　／ヽ- '
　　　　　　　／　　ヽ､　　　　　_ ｲ　　　　　　　　　　「………なるほど」
　　　　　／　　　　　　ヽ､　　Y
　　　　 /　　　　　　　　ー┴､　　　　　　　　　　　（母のような、封印指定研究者の理とは少し違うようですが………
.　　　/　　　　　　　　　　　　　 |
　　　/　　　　　　＼　　　　 |､　　　　　　　　　　素晴らしいお父さんだったのでしょう。
　　 i　　　／　　　　　＼　　ﾊ　　　　　　　　　　もしかして名のある人なのかも知れません）
　　 |　　/　　　　　　　　　　ヽ　　 |
　　 |　 ,'　　　　　　　　　　　 }　　|

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　接触したはずのライトとの共鳴や同調を心配したが、どうやら大丈夫のようです、と
　　彼に対する疑念を取り払ったエルは
　　険しい表情になっていた事に気づいて二度、意識して深呼吸をした。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

333 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:55:00 ID:qLkNzrF6

四５６．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　それで大まかなところは把握できたので、やらない夫はこれからの事に目を向けた。
　　何はなくとも妖術師の行動を制限する必要があるだろう、と指を立てて提案すると、
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 rヽ　　／　ノ　　＼＼
　　　「………そうだ、エル。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　!　　|　（●）（●）　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r;r‐r/　|. 　|　　（__人__）　 |
　　　妖術師については国王様にご報告して　　　　　　　　　〈_L (｀ヽ .}　　|　　｀ ⌒´　　|
　　　大陸東部に限らず全域で注意をするよう　　　　　　　　　　　　 l｀（｀`/　.　 |　　　　　　　 }
　　　各国に展開してもらった方が良いんじゃないか？」　　　　　　　ヽ　　l　　.　ヽ　　　　　　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|,. 　 l　　 /⌒　　ー‐　　ｨヽ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　- －＝－- ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　.　: ´　　　　　　　　｀ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　 ',
　　　　　　　　　　　　　 j　　　　　　　　　　　　　 ',
　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　ｉ | !　　　　 ',
　　　　　　　　　　　　　 .:　　　　　 {｛彡イノノノハソﾊ　　i
　　　　　　　　　　 {　　 {　　从////////ﾊィ//ﾊリ　}
　　　　　　　　　　　 i　　乂У　∨/////／∨////ソﾉ
　　　　　　　　　　乂　　い　Ｙ｀ー "´　　 ∨/ｲ′
　　　　　　　　　　　　　彡　　　Ｙ从ミ　　　　'"´ ７
　　　　　　　　　　　　　　八　　　ミ、　　　 ⊂ﾆ7　/ﾐ　　　　　　　　　「むっ？
　　　　　　　　　　　　　　い　　　У ヽ　　　　ｰ　 /ﾊ
　　　　　　　　　　　　　ゞ＝=ﾘﾉ､、　＞、　　 /ﾉ　　　　　　　　　　　何か情報を持っているのか？」
　　　　　　　　　　　　　 /:::::::::/:.:.:.:.:.:.≧ｘ､、_￣彡､、
　　　　　　　　　　 /:::::::::/:.:/　　｀ '･＜: : |!:.:.:.:|:.:.|
　　_ ...... _　　　　 .．＜｀::::::､/:.:/ ☆ ☆ ☆　〉:|!.:.:.:.|:.:.|
／::::::::::::: ｀Y￣｀ヾ::::::::::::::／:.｀:.:.＞．　　　/:.:.|!:.:.:.:|.:..|､、_ 　　＿

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　ティターンズの黒ローブについては、殆ど情報を得られていなかった国王が身を乗り出した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

334 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:56:00 ID:qLkNzrF6

四５７．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　これから戦いに赴くと言うのに、
　　自分達が負けた場合の事、
　　ライトを取り逃がした場合の事まで視野に入れている。

　　絶対に負けも犠牲も許さないと言わんばかりの入念な事前準備と
　　負けた場合でも妖術師の好きにはさせないと言ってのける二面性を感じ取り、
　　これが英雄か、とエルの背筋を緊張に似たものが突き抜けた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ハ :::: :::: :::::::::::.::::::::::::::::ヽ::::::::､::::::::::::ヽ ::::::..ヽ::::::`､ :. ::::::ヽ :::::.:.::｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|／| ::: :::リ､:::rＮヽ＼::::ヽ､::::ヽ､::::::丶＼　::.＼:::::ヽ .:. :::::｀ヽ‐- ､_:::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　ﾊ ::.:.::!　V　/　＼ヽ::i ヽ:::| ｀ヽ::､::｀ヽ丶､:::丶､::､ :::::...､::::＼　｀`ヽゝ
　「なるほど。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 { ヽ.: ::l 　　/　　　　ヾ　ヽ:i　　i| ヽ::::ヽ＼｀`'' ‐---::::ヽ:::＼rヽ、
　これまで証拠という証拠を残さず　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ';:: :! 　〈　　__　　　　　ヽ　　|　 ',::::::: :＼:.::､｀ヽ:＼::::::ト､::丶、
　足取りや目撃者も殆ど残さなかった奴ですが、　　　　　　　　|:: ﾊ　　`　　　　　　　　　　　 }:::::::. ::::ヽ::ヽ::.:＼:ヽ､ヽ　｀` ｰ-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|/l:ハ　　､　＿＿　　　　　　　ﾊ:::::.::| :i:.:ヽ.:i::: :､:ヽ}　｀`
　各国から手配され危険指定される事で　　　　　　　　　　　　　ノﾉ'　l心　　`ー‐一`　　　　　 ,. '|:::::::| :| :.::.N :;､!`､ヽ
　多少なりとも行動の制限が出来るかも知れませんね」　　　　　　　　 |ハ　　　　　　　　　,　'´　i!::::::| ::|　:.ハ | ＼ヽ!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘヽ　　　　　 ,.　'´　　 ,/!/ |: :::､　!　 i|
　（………ですがやらない夫、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__　 __,.ノ/ 　ヽ __,,.　'´　　　　　ノ　l,ｲ:: ﾊ:{ 　 |
　あなた自身の欲求が希薄すぎる事が、私は心配です）　,..､,.ィ"r''"´　 .:::　　　　r　　　　　　　　　/ /　|､:! ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,.. -‐''"´　{　　ヽ　　 r　　 i　ヽ＼　　　　　　／　　　: ヾ丶､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　 |　　ヽ＼　　　　ｌ　　＼!　　　　　/　　　　　　ヽ　｀ヽｰ-､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　|　　　　　ヽ　＼　　ヽ　　　　　　　　i　　　　　　　　　　ﾉ /　ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､　 |　|　　　　　　　､　＼　　　　　　　　　　ノ　　　　　　　　／ / r　　　｀`丶､

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　究極のところでは自分を駒にする事も厭わないと言うのだ。
　　なんと言う理念、なんと言う意思か。

　　であれば、先程の心配も杞憂に過ぎないだろう。
　　少なくとも力に魅入られてやらない夫が堕ちる事はないと信じる事が出来る。
　　―――たとえ新たな心配が、芽生えたとしても。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

335 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:57:01 ID:qLkNzrF6

四５８．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　もちろんライトに対する包囲網については、エルもこれまで何度か考えたことがあるが、
　　一介のハーフ・エルフが危険を告げたところで国などの巨大組織が動いてくれるはずもない。

　　実行できるのはローゼンの英雄と言う繋ぎ役と、聞く耳を持つ一国の助力があってのことだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　（ ●）（●）
.　|　　　　（__人__）　　　　　ﾎﾟﾘﾓｰﾌ･ｾﾙﾌ
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　「自己変化の魔法を使えるのであれば
.　 |　　　　　　　 }　　　　　どこまで有効かは分からないが、
.　ヽ　　　　　　 }　　　　　ぽっと出の大魔導師級ともなれば必ず目立つだろう」
　　ヽ　　　　　ノ
　　　.>　　　 <
　　　|　　　　 |
　　 |　　　　 |

　　　／　　　　　　,_, 　　　　　　　　　　 ',
　　 /　　　　　　　（ l ､　　　　　　　　　　　 ',
　　 l　　　　　,i､/ 〉ヽ!ヽ、ヽヾ　　｀ヽi　　　l
　　 l　　 i　, ノﾊ( ､ ,-‐..'´｀ｿ'｀ヽ　i ﾘ　　 /
　　│　　i、l=‐':´｀"ﾞ:::::::::::::.　　: ﾉノ/､　　/
　　 | i i |/::｀ :: ::::::::,i ヽ ;::::::..　 .:: l l　 l 　ヽ
　　 l ヽゝ l:::　::: :::/ |　　｀' ､::: -'´j l' /　　　）　　　　　「なにやらそなたらにも事情があるようだな。
　　ヽ、ヽ｀､､:::/　 !､-　　　　　ゝ,l '　　　/
　　　　ﾞ''- ､ﾐ ',　　　_,　- ‐-　　　/r, ､　｀（ _　　　　　良かろう、その件は私に任せてもらいたい」
　　　　　 _ﾉヽ＼　　　 -　　　　, '//　＼　　）
　　　　　　｀ｦ.　＼　　　　／ // 　　　｀''‐'-,
　　　　,　=＝l ,　　l ｀　- ‐ '　　// 　　,---､ /
　 , , ' '´　　　!li　　ｌＬ. 　　, - ' 7/　　 |=000| ）
／/　　　　　　｀ﾞﾞﾞ_)|　｀' '´　　 l（　　　ﾞｰ ' ´く
ヽ.ヽ、　　　　　　　 l　　　　　　ヽ >　　　　　　l
.　　　　　 └

336 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:58:00 ID:qLkNzrF6

四５９．
―――――――――――――――――――――――――――――――――
　　自分は殆ど口を挟まず、だだ彼らのやり取りを黙ってみていたハマーンは
　　感嘆の吐息を人知れず漏らしていた。
　　やはり冒険者の知識や見聞の広さ、柔軟な発想力は侮れない。
―――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　 _.,..､:-:─:-..､、
　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::.:::｀:ヽ.
　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀:､
　　　　　　,.':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
.　　　　　/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
.　　　 /::::::::::::::::::::::ﾍノ!::::|::::::!::::::|:::!:::}:::i:::::}
　　　　/:::::::::::::::::::::::::::厂 ≧rx|::::::j:/:ｲ:ノﾉ:ｲ
　　／:::::::::i:::::::::{こj::::i　弋ｹﾆゞ､イｲｦイ:::::::＼
　／:::::::::::::i!:::::::::じｲ::::|　　　　　　｛　　/::::ヽ::::::＼
　＼:;ｲ::::::i!|::::::::: ゝｊ:::::!　　　　　　ゝ /:::::!:.::ヽ:::::::::>
　　　'＜::il:|:::::::::::::;:!::::ｊ　　　ー－ , ′::::!::::::::ﾄ／
　　　　　ヽi;;;;;;;;;;;;;j'"´　＼　　　／::::|::::::＞'"´　　　　　　　（冒険者、か―――）
　　,.､rｰへへ/´;;＼　　　トﾆ´_＿"´
／´￣｀ヽ;;;;＼＼;;;;;;;;｀ヽ、　!＼;;＼;;;＼__
;;;;;;;;;;;;;;;;ﾍ;;＼;;;＼＼;;;;;;;;;;;;｀ヽ､__>;;;;ヽ;;;;ト;;｀ヽ、
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l;;;;;;;＼;;;＼＼;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾉ::::l;;;;ヽ;;;;;｀;,,､
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`;;ー───''"/;;;;;i!;;;;;;;｝;;;;;;;;;;;＼
γ;;⌒ヽｲ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;＼;;;;;;｀＼;;;;;;;;;／;;;;;丿;;;イ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;',
´￣｀ヽ;;;;＼;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀＼;;;;;;;￣;;;;;;;／／;;;;;};;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;j

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　昔からそう思っており、だからこそ夫が冒険者のふりをして
　　酒場に行ったりするのを黙認していたのだが
　　今日この四人を―――そしてローゼン女王の言う少年を―――見たことで、
　　ますますその思いは確固たる物になっている。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

337 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 21:59:01 ID:qLkNzrF6

四６０．
―――――――――――――――――――――――――――――
　　いっそ母国のように冒険者を養成する学校を作るのも悪くない、
　　そんな事を彼女が考えたところで扉がノックされた。
―――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　＜ｺﾝｺﾝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.:- ' ￢ ─ ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∠´　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 γ　　　　　　～ヽ　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　ヽ　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ λi_λ_(_ﾉ!_ﾉ__火,　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ　　i'ta:、　ｲtｦフ' | 　　　　＼　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「入って良いぞ」　　　　　／/　　| .ﾌ　　　″　 | | γ　　　＼　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　　　< ノ　　ゝヾ___　　　　|i.レ'　　　　＼　ゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾﾉ i ヾ!ヽ　　　_　　|i.| ﾉ　　　　　＼／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`'-、ﾉ　 `- ┐　　ﾉﾉ/ 　ﾊ　　_,／´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'-ﾉ,_/.　|　　　ヽ　ﾉ/ル-"＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／´￣ヽ｀フ　　　　／/　ヽヽ＼　｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / 　　ヽ＼＼ﾍ　／　/ 　　｝ ∧ ＼　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　＼＼｀￣´　／　　/ /　｝　ヽ　 ',

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::::::::::::|＼＼　　　　　　　　.|:::::::::::::::::::::::::::::::: |::::
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::::::::::::|:::||＼:::::＼＼　　　　!:::::!:　／￣￣￣￣￣￣￣￣
::::::::::::|:::||:::::＼:::::|lll|　　　 |:::::|:＜　　失礼いたします！
::::::::::::|:::||::::::::::|::::|lll|　　　 |:::::|:　＼＿＿＿＿＿＿＿＿
::::::::::::|:::||::::::::::|::::|lll|　　　 ||]::|:::::::::::::::::::::|:::::|::::
::::::::::::|:::||::::::::::|::::|lll|　　　 |:::::|:::::::::::::::::::::|:::::|::::
::::::::::::|:::||::::::::::|::::|lll|　　　 |:::::|:::::::::::::::::::::|:::::|::::
::::::::::::|:::||::::::::::|〔 !lll!　　　 !:::::!:::::::::::::::::::::!:::::!::::　　ｶﾞﾁｬｯ
::::::::::::|:::||::::::::::|::::|lll|　　　 |:::::|＿＿＿___|:::::|::::
::::::::::::|:::＼:: :: |::::|lll|　　　 |:::::::::::::::::::::::::::::::: |::::
￣￣:＼:::＼::|::::|lll|　　　￣￣￣￣￣￣￣
::::::::::::::::::＼::::`:::::!lll!　　　　 :::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::: ＼:::: !lll!　　　　　::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::＼|lll|　　　　　　 ::::::::::::::::::::::::::::::
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:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::　　　　　　　 :::::::::::::::

338 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:00:00 ID:qLkNzrF6

四６１．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　戸口で最敬礼をしてから並んで入ってきたのはアグリアスとブライトの二人で、
　　数歩室内に入ったところで踵を揃えた彼女は
　　待ちに待った情報が届きました、と持っていた書簡を胸の前に差し出す。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.　-──-　、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ﾊ　　　　､　　 l　 l:...|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l:l＼　　ヽ　ヽ　 .l　 l:.:.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l:l 　＼,. イ　　 l　　}　ﾉ:人
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　！ﾐ　 ´i::ﾉ人　　V⌒).イ｀ヽ＼
　　「盗賊ギルドより、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ:l　　　　 ';　 l _ノミﾐﾐヽ.: .ヽ＼
　　ティターンズの本拠地が判明したと　　　　　　　　　　　 ,.小　__ 　　ﾉ　「_⊥ミﾐ:ミﾐヽﾉ. :人
　　報告がありました！」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　}　ヽ __,. イ　 /.:.:.:.:.:.ﾄミﾐヽ彡'.:.ﾉﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　/　　.:::::ﾉ/　 /.:.:.:.:.:.:人ミ辷彡'ﾉﾉﾊﾊヽ,. -─- ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　/ 　,. ィ´/　／.:;.ｨ´／ /´ ￣￣｀`ヽ彡'ﾉﾉ´ ￣｀ `
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　/　／/　/ イ.::://:/　 /　　　　　　　ヽ￣｀`ヽミミﾐヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　/　/ ./　/ __」ｲ/:::′./　　　　　　　　 j　　　　`ミﾐヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l/′/ / ／　　　｛::::l　/　　　　　　　　／`ヽ　　　　ヽﾐヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｛　1　´ 　　　　ヽ:ヽ＼　/`ｰ-----‐'　　　j!　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Vハ　　　　　　　＼＼＼ヽ　　　　__ ,.. イ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　い::ヽ　　　_ ＿ _ 　　　爪　ミｰ __--‐‐イ{L_

　　　　　　　　　　　　　　　￣　　､_
　　　　　　 ´　　　　 __....--‐'''"´: :＼
　　　　　 _/_....-一'''".／ : : : : : : : : ／ヽ
　　,.ｘ‐て/: : : : : : : ／ : : : : : : : : ／: : : :ヽ
　/::,;:/そ|_:_:_:_:_:_／_:_:_:_:_:_:_:_:_／_:_:_:_:_:_:_|
./:/V　　 l　　　　　　　　　　　　　　,‐-,.._ ゞ
.V.　　　 l　　　　　　　　　　　　　　l　弋心 l
.　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　冫.ー　く
.　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　ﾉ!　　　　「来たか！」
.　　　　 l　　　　　　　　　　　　　　｀ー‐ f ｒ'
　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ'
　　　　　!　　　　　　　　　　　　　　 /
　　　　 ,'　　　　　　　　　　　　　　　 /
　　￣　｀ー -　　　　　　　　　　　　 /
　　　　　　　　　｀　､　　　　　　　　/
　　:.:.:.:.:.:...　　　　　　　　､　　　／
　　:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..　　　　　　.:.:ヽ _　´
　　ー-　:.:.:.:.:.:.:.:..　　　..:.:.:.:.:.:ヽ
　　　　　｀　､:.:.:.:.:.:.:...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　　　､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
　　　　　　　　　..:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　　..:.:.:.:.:.:.:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./

339 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:01:02 ID:qLkNzrF6

四６２．

　　　　　　　　　　　 ,　--- ､
　　　　　　　,. -一'´　　　　｀ヽ、_
　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　｀＼
　　　　 r'´　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　ﾉ　 ,.ヘ、　　　,. ‐'＾ヽ､　　　　 l
　　（.　 / 　 /'l,ｨi ´　　　　ゝ　　　　 |
　　　ﾉ　,'　　 |l |l ＼､　　　　　ヽ　　　　ヽ
　　（　 |　　 l' ヽ、 `'ｰ　　＿（　　　　　 }
　　　ヽ. |´`==｡､　　ー=＝'｡､　 } ,r‐､　　ﾉ
　　　）|.　　　 }　　　　　　　　{ {,r‐.|　〈
.　　　　ヽ|　　ﾉ　　　　　　　　 } } ;,ﾘ　ﾉ　　　　　「報告によれば、彼奴等の根城はグラナダより南西、
.　　　　 |　　!._　　　　　　　　ﾙ'_ノ <´　　　　　　ダカールの丘から見て北にあるとの事です！」
　　　　　　ｌ.　　｀＿＿　　　　　 |_,r'´
　　　　　　 l　　ヽﾆﾆ二)　　　　　|
　　　　　ヽ　　ー　　　　／　 |
　　　　　　　　ヽ. 　　 _, ‐'´　　＿|、
　　　　　　　　　｢l`T ｢￣￣￣　　 |
　　　　　　　　　|.||￣|　　　　　　　│

――――――――――――――――――――――――――――――
　　急ごしらえの砦のような物も確認されたそうですと忌々しげな報告に、
　　魔獣や妖魔なども徘徊する危険地域の中と知って国王は驚いた。
――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　,_, 　　　　　　　　　　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　（ l ､　　　　　　　　　　　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　　,i､/ 〉ヽ!ヽ、ヽヾ　　｀ヽi　　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　 i　, ノﾊ( ､ ,-‐..'´｀ｿ'｀ヽ　i ﾘ　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　i、l=‐':´｀"ﾞ:::::::::::::.　　: ﾉノ/､　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | i i |/::｀ :: ::::::::,i ヽ ;::::::..　 .:: l l　 l 　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「あのような辺境に―――　　　　　　 l ヽゝ l:::　::: :::/ |　　｀' ､::: -'´j l' /　　　）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　いや、大地の祭壇の近くを　　　　　ヽ、ヽ｀､､:::/　 !､-　　　　　ゝ,l '　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　あえて選んだのか？」　　　　　　　　　　ﾞ''- ､ﾐ ',　　　_,　- ‐-　　　/r, ､　｀（ _
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ﾉヽ＼　　　 -　　　　, '//　＼　　）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ｦ.　＼　　　　／ // 　　　｀''‐'-,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　=＝l ,　　l ｀　- ‐ '　　// 　　,---､ /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , , ' '´　　　!li　　ｌＬ. 　　, - ' 7/　　 |=000| ）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／/　　　　　　｀ﾞﾞﾞ_)|　｀' '´　　 l（　　　ﾞｰ ' ´く
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ.ヽ、　　　　　　　 l　　　　　　ヽ >　　　　　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 └

340 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:02:00 ID:qLkNzrF6

四６３．

　　／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　（ ●）（●）
.　|　　　　（__人__）
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　「グラナダからはどのぐらい離れているのですか？」
.　 |　　　　　　　 }
.　ヽ　　　　　　 }
　　ヽ　　　　　ノ
　　　.>　　　 <
　　　|　　　　 |
　　 |　　　　 |

―――――――――――――――――――――――――――――――――
　　そう言って道具入れからエゥーゴの地図を取り出しテーブルに広げると、
　　のぞき込んだ王妃が指したのはアンマンとオーガスタの中間のあたり。
―――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.:- ' ￢ ─ ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∠´　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 γ　　　　　　～ヽ　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　ヽ　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ λi_λ_(_ﾉ!_ﾉ__火,　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ　　i'ta:、　ｲtｦフ' | 　　　　＼　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／/　　| .ﾌ　　　″　 | | γ　　　＼　＼
　　　　　　　　　　　「街道があるわけはない、　　　　　　　 . 　　　< ノ　　ゝヾ___　　　　|i.レ'　　　　＼　ゝ
　　　　　　　　　　　徒歩で急いでも五日はかかるだろう」　　　　　ヾﾉ i ヾ!ヽ　　　_　　|i.| ﾉ　　　　　＼／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`'-、ﾉ　 `- ┐　　ﾉﾉ/ 　ﾊ　　_,／´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'-ﾉ,_/.　|　　　ヽ　ﾉ/ル-"＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／´￣ヽ｀フ　　　　／/　ヽヽ＼　｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / 　　ヽ＼＼ﾍ　／　/ 　　｝ ∧ ＼　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　＼＼｀￣´　／　　/ /　｝　ヽ　 ',

341 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:03:00 ID:qLkNzrF6

四６４．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　人の行き交う比較的安全な地域から、大きく外れた丘陵地帯のど真ん中だった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：　　ΛΛ
　　　　：：：：：：：：：.┌───────┐：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：　　／ΛΛΛ
　　：：：：：：：：：：：：：.│　タオ砂漠　　　...│：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：　/　　　　　　　ヽ
　：：：：：：：：：：：：：： └───────┘：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：　/　　　　　　　　　|
　：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：＿＿＿＿＿＿＿＿/　×ソロモン　　 |　 .
　：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：ーーーーーーーーーーー” .┌─────────┐　　　　　　|
　：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：　×ニューホンコン　　　　　│　エゥーゴ王国　　　 .│.　　　　 |
　：：：：：：：：：：：：：：：：：：：：　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 └─────────┘ 　　　　 |
　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　ノ　　　　　　　　グリーンノア平原　　　　＿=================================
┌─────┐＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝￣　　　　　アクシズ大河　　　　　　　　 |
│フリート　　 .│　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|
│神聖王国　 │　|　　　　　　　　　×王都グラナダ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゼダン×|ー
└─────┘ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |
　　　　　　　＿＿ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |
　　　　　　＼×オーガスタ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 N　　　　　　　/
　　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Δ　　　　　　/
　　　　　　　 /.　　 ☆ティターンズ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │　　　　／　　　.
　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　アンマン　　　　　　　　　　　　　　 ─┼─　　 |
ーーーーーー┴ー-..、凸ダカールの丘　　　　 ×　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　　｜
┌───────┐..、　　　　　　＿＿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │　　　ﾉ　＿＿＿
│ローンデルギア .│　）''''"丶---‐''　　　' ､＿..-..＿＿＿_＿＿＿___....-....＿＿＿＿＿__..-
│　　大湿原　　　 .│／　　　　　　　　　　　　◎　　　　　　　　　　　　　　　/
└───────┘　　　　　　　　　マリアンデール　　　　　　　 _..ﾉ
　　　　　　　　　　 ./

342 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:04:00 ID:qLkNzrF6

四６５．
―――――――――――――――――――――――――――――――――
　　やっかいな場所に、と目を閉じたやらない夫はどれだけ時間を短縮して、
　　かつ消耗の少ない移動が出来るかの検討を始める。

　　しかし。
―――――――――――――――――――――――――――――――――

　　／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　（ー）（ー）
.　|　　　　（__人__）
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　「馬や馬車で急ぐ事も出来ないか」
.　 |　　　　　　　ｎｌ^l^l
　ヽ　　　　　 |　　ﾉ　　　　　（霊薬の手持ちも多くない、
　　ヽ　　　　ヽ　く　　　　　　いつかの手も難しいな………）
　　　/　　　　　ヽ　＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／/y　　　　　　　 _　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r''´Xﾒ})　／　／　　／　　　　　　　　　　＼＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ./ /(/┘ ./　 /　　／　ノ　 /　　　　　　　　　 X糸
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　|　// ./　 /　／ - ´　／　/　/　　　　　 |　≧┤ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　//　 /　 ./　/　　　／　　/　/　､　|　　　ﾉ／KZソア
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| |/　 ./　 ./／　　／　　／/ ./　ﾄ/ |　　 ≦xくノ|lハﾀ)､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|/　//　　/　　　／/　　/､ﾉ　 / /|　|| /　 XK＜ニﾐ彡　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　 |/|　 / |　／　/　／ / ｀'-/､_//　/　 / /ヾーﾐﾃン　　 )
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |／|/|／|　ﾚ´アミゝく　./ﾐ=､＿ /ヽ| /　 / /　／　|　　　　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　|li　ﾚ　|　K薔>ｲﾏ　　ｲﾃ￣ﾟミ､/　／ /　/　/ .　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| |　|l　|　|　ト=ｹソ　　　　廴oﾟソ/ .／　 /　/　/　 /　　.,'´
　　　　「直線距離を徒歩、しかないね」　　　　 .i | ..|　|　i　 K´ ｀　ヽ　　　　￣／　/　 /／　/　/　　　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾊ| 　 |　|　 |(ヽ　､ _　　　　　フ´/　.//　　　 /　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|/　 i　 i　 |)(i.＼　' ｀　　　／/ /　./　　　　/　　/　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　il　　　　|　| ) ilﾊ､>.- ‐＜仝/ /　./　　　　　　 /　　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　｝|　|ﾒ )､,(⌒)､,/⌒ / /　./　　　　　　 /　　　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| -―´/|　|-､　,- ､　　,､ /　　 /　｀'''- ､_ﾉ　/　　　　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　ゝ i｀-´｀-´｀-´｀/　　 /　　　　　ヽ　　　　　 i

――――――――――――――――――――――――――――――
　　雪華綺晶とやらない夫の二人だけ飛行の魔法で先行したとしても、
　　長時間の飛行は消耗も大きいし戦力の低下が大きすぎる。
　　さらには飛行の魔法は基本、自分一人しか支えられないため
　　エルやコナタを連れて飛ぶ事も難しい。

　　かと言って二人に魔符を使わせて自力で飛行させたとしても、
　　慣れていないので呪力の制御もおぼつかないだろう。
――――――――――――――――――――――――――――――

343 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:05:03 ID:qLkNzrF6

四６６．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　長距離の転位を可能とする妖術師は、おそらくすでに六つの宝具を本拠地に集めているに違いない。

　　時間的不利は覆せそうにない、と厳しい表情を浮かべたやらない夫は
　　ならばどうするべきかを決めるため相手の傾向を探ろうと考えた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　／ヽ､.　_ノ　＼
　　　　　　　|　（●）（●）　|
　　　　　　　|　　（__人__）　｜　　　　　　　　　　　　　「エル。
　　　　　 |　　｀ ⌒´　　|　　　　　　　　　　　　これまで、妖術師は―――ライト＝ヤガミは、
　　　　　　　 |　　　　　　　}　　　　　　　　　　　　　　目撃者などを残していたか？」
　　　　　　　ヽ　　　　　　}
　　　　　　　　人＿__＿_ノ"⌒ヽ
　　　　　　／　　　　　　　　　　　＼
　　　　　/ 　　　　　　　　　　へ　　＼
　　　　（　　ヽγ⌒)　　　　　| 　＼　＼
　￣￣￣＼＿＿／￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
　　　　　　　　　　　｛;;;;;;;｝
　　　　　　　　　　　 L;;;;」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ハ :::: :::: :::::::::::.::::::::::::::::ヽ::::::::､::::::::::::ヽ ::::::..ヽ::::::`､ :. ::::::ヽ :::::.:.::｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|／| ::: :::リ､:::rＮヽ＼::::ヽ､::::ヽ､::::::丶＼　::.＼:::::ヽ .:. :::::｀ヽ‐- ､_:::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　ﾊ ::.:.::!　V　/　＼ヽ::i ヽ:::| ｀ヽ::､::｀ヽ丶､:::丶､::､ :::::...､::::＼　｀`ヽゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 { ヽ.: ::l 　　/　　　　ヾ　ヽ:i　　i| ヽ::::ヽ＼｀`'' ‐---::::ヽ:::＼rヽ、
　「いいえ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ';:: :! 　〈　　__　　　　　ヽ　　|　 ',::::::: :＼:.::､｀ヽ:＼::::::ト､::丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:: ﾊ　　`　　　　　　　　　　　 }:::::::. ::::ヽ::ヽ::.:＼:ヽ､ヽ　｀` ｰ-
　殆どの場合、協力者や目撃者、　　　　　　　　　　　　　　|/l:ハ　　､　＿＿　　　　　　　ﾊ:::::.::| :i:.:ヽ.:i::: :､:ヽ}　｀`
　証拠を全て隠滅して　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノﾉ'　l心　　`ー‐一`　　　　　 ,. '|:::::::| :| :.::.N :;､!`､ヽ
　足取りを途絶えさせておりまして………」　　　　　　　　　　　　　 |ハ　　　　　　　　　,　'´　i!::::::| ::|　:.ハ | ＼ヽ!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘヽ　　　　　 ,.　'´　　 ,/!/ |: :::､　!　 i|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__　 __,.ノ/ 　ヽ __,,.　'´　　　　　ノ　l,ｲ:: ﾊ:{ 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,..､,.ィ"r''"´　 .:::　　　　r　　　　　　　　　/ /　|､:! ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,.. -‐''"´　{　　ヽ　　 r　　 i　ヽ＼　　　　　　／　　　: ヾ丶､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　 |　　ヽ＼　　　　ｌ　　＼!　　　　　/　　　　　　ヽ　｀ヽｰ-､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　|　　　　　ヽ　＼　　ヽ　　　　　　　　i　　　　　　　　　　ﾉ /　ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､　 |　|　　　　　　　､　＼　　　　　　　　　　ノ　　　　　　　　／ / r　　　｀`丶､

344 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:06:05 ID:qLkNzrF6

四６７．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　運良く生き残った者がまれに居る程度です、と自分とコナタとを暗に指したエルの言葉は
　　これ以上ないぐらい無力感に溢れ、そして乾いている。
　　それは幾度となく妖術師の爪痕を目の当たりにし、心を痛めているのがありありと伝わってくる
　　悲鳴にも近しい声だった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　／￣￣＼
　　／　　　　ノヽ
　　|:::::: 　　　（● ）
.　　|:::::::::::　　　（__人）　　「………となると、目指すは祭壇だな。
　　 |::::::::::::::　　　⌒ﾉ
.　　 |::::::::::::::　　　　}　　　　残念ながらティターンズを
.　　ヽ:::::::::::::: 　　 }　　　　正式な裁きの場へ出すことは難しいようだ」
　　　ヽ::::::::::　　ノ
　　　　/:::::::::::: く
　　　　|:::::::::::::: 　|
　　　 |:::::::::::::::|　|

――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　それでやらない夫も理解させられた。
　　相手の目的である全ての証が揃った以上、移動の遅れは致命的なのだ、と。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,. ''"｀`ヾ:、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i:〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,r:､,,...-..-.. ､ノ'′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,. _-|: :.:.::::::::::::::::::::::｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'′/｜ ,{　　. .:ヾ!:::::::::::::`、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:;!:l:::ハt:､:::::::::ﾞ;::.:. . .　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l:/|::V　ﾞ{ヾ::::::|､:ｌ:::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'　Ｖﾘ　芯ﾄ;::::!-;|::::::::::::j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（それって………　　　　　　　　　　　〈　、　|::∨ノ`::::::::::ｉl
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　` ｰr|:::':ﾊ::::::l:::::::::{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　盗賊達もあいつからは　　　　　　　 l::!:;'/'^､::::l:::::::::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　守りたかったって事？）　　　　　　　　 l:;l:;/彡=ヾ::i::::::::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /'/〃　　　l::ｌ:::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｨ彡' ,j 　　 !〉!::!:::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃'｀、　}　　　 l'::l:::i::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | |　 ,l　 l.　　　 |:::!:::l::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾚ'|／　 l　　　 !:::!::::l::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /`iー!　　　 !::l:::::ｌ::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 /　,′|　　　　Ｎ::::::!:::::!

345 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:07:03 ID:qLkNzrF6

四６８．

　　　　　　　　　　||: :|: :'.　　　　　　　　 /!::::::::ヽ
　　　　　　　　　　ﾘ', |:|: :ヽ　 -―-　　/:::::::::x:ヽ:＼
　　　　　　　　　 '　ヾ.!}: :|.>､. ￣　.／:::l::::::/,ヾfﾍ::|
　　　　　　　　　　　　　ﾘﾒ! 　 .￣::::::::::::::',::|､ﾘ､ヾ/
　　　　　　　　　　　ｨ､―'　　　`:::::::::/::::::'ヾゝ､_
　　　　　　 _,,-‐'' ´　ヽ`　､.　ゝ:::::::' ,彡'´ ﾝ　｀`ｰ-､_
　　　　ｨ'.´　　　　　　　｀.ﾄ､＿＿　x≠ '´　　　　　　　｀ヽ
.　　　ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　/ｧ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　 .|
　　　|, ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　ｼ　 ..::!
　　　|　＼ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/,' ::::'' |
　　　|　　＼｝　　　　　　　　　　　　　　　　　　　::　ｼ´ ::::::::::::!
　　　{　　　　{　　　　　　　　　　　　　　　　　　..::::::::::::::::::::::::::::!　　　　　「全ての証が奪われた今、
　　　|　　　 }　　　　　　　　　　　　　　　　..::::::::::::::::::::::::::::::::::|　　　　　確かにティターンズが皆殺しにされる
　　　{　　 ::　ﾄ､　　　,　..::::　　　　　　　..::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!　　　　　可能性は濃厚です。
.　　 }::.　.::　 :: |::::::::'´ ''::::'´　　　　　..::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
.　　　}　　　　 ::|　..::::　　::'　　　..:::::::::::::::::::::::::::::::::::;､::::::::::::::::::::!　　　　　急いで間に合う距離でもありません、
.　　　|_,ノ　　／'' '' ,　..::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/　!::::::::::::::::::|　　　　　であればおそらく何らかの儀式をするであろう
.　　〈ン　 ..:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/　ノ:::::::::::::::::::!　　　　　祭壇を目指すべきですね」
　　　|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!　ヾ:::::::::::::::::ﾘ
　　ﾉ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!　ﾉ:::::::::::::::::::|
.　　|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|　|:::::::::::::::::::::!
　　{':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾘ }':::::::::::::::::::::}
.　　|,::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| /::::::::::::::::::::/
　　ﾘ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!':::::::::::::::::::::,'
.　 {::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
　　'.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ｿ
　　ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
　　　{::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::f‐'
　　　ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　六分の一と言えど、長期に渡って錫杖を持っていた領主がその力を知らなかった以上、
　　六つ集めたところでいきなり何かが起こるとも思えない。

　　つまりどのぐらい時間がかかるかまでは分からないが、何らかの儀式なり準備をする必要があるはず。
　　そしてそれは、神託がなされた大地の祭壇で行われる可能性が高い。

　　―――と言うより、彼らには他に向かうべき選択肢が無かった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

346 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:08:01 ID:qLkNzrF6

四６９．

　　　 _＞yえ}ﾄｖ^ー　　　　　　　　　　　　　　｀丶へv七たﾍﾞ
　　　》ゞそヅ/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼乂v匕人
　　　＾｝乂=ｧ'　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Y^＞=ﾍ V
　 _＿_ﾉ/7 /.′ 　　　　　|　l|　l　　 |! i　　 |　!| 　　　　{　　　 ) ）
((´~7￣/ /　　　　 |　ｌ |　|　l|　l　　|! |　|　|　!| 　ｌ　　　　| 　　 ( (＿_
_)} ./　/　′　　　 |　| |　|　l|　|((⌒|! |　|　|　!| 　|　　　　l　　　｝｀￣)）
.　/　/　 |　　ｌ　　 |　| |　|　l|　| ｀)l |! |　|　|　!| 　l/　　　}　　　ﾊ　　´
　l!　｛　 ! 　 |　 _　 |　| |　|　l|　レ'/ |! |　|　|　!|　/! 　　　ｌ　　/　|
　｝　Ｖ　|　　|ﾍ｀}!　|　|_l_⊥斗ﾍくi　|! ト┼- ､!| / !　　　　|　 /　 |　　　　　　「その時………
　＼　ヽ.| 　 | ∧ゞ==く rｯ7そト〉{　　ｨfﾗ冬圷　/ ./ ″　!　{. 　 |　　　　　　キル夫はどうなる、の？」
　　　）　∧　＼∧　　》ゞト=ン^〈　　　弋ぅﾂ´′/ / 　八　＼人
　　 /　/ ∧　　Ｖ）＿ﾉ!ーv__ゾ´　　　　　　　/ /.|　l!　 / ∧　　＼＼
.　 /　/　　 }　　ﾚ'ﾉ´~ 丶　　　　_'._　　　イj |　|　l!　｛　　ﾊ　　ヽ）
　/　/　　 /　　ﾉ＾　/　　＞　　 ´｀　　＜=ﾍﾞ} |　|　l! 　＼　ｌ　　　 |(
ノ　/　　 /　　（　 ./　 r=くｘﾍト=ー=ヘ人　 | l　|　l! 　　ヽｌ　　 | ＼
　 /　　 ∧　　　｀ヽ′ ノ　ｨ^ー～v-～ yへｖﾉ j　|　|!　　　ｌ　　 |　　）

―――――――――――――――――――――――――――――
　　協力者や目撃者が消されてしまうのなら、
　　洗脳され手駒にされているキル夫も含まれてしまうのか。

　　そんな事、考えたくないよと首を振る雪華綺晶であったが、
　　どう考えても楽観的な材料が無かったエルは判断を保留する。
―――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,' i l::::::入:::::::､:::::::ヽ::::::::ヾ ::',:::ミﾆ-､_::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 /,i! l:::ン　ヽﾐ::::iヽﾐ::::､:::::::::ヽ::',:',::::`ｰ-`:.､::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 iｿl|.／　　　`ﾞ'､｀ヾ::::ヽ:::::::'::',!',::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　　　l!. l!ヽ､_　ー　　　ヽ　＼':,ヾ:::::::'!i'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!　'i!; l|!ﾞi　　　　　　　　　ﾞ'ｬ,＼､:::::::::::::i::::::ｬ::ヾ､:::::: ／／
　　　　　　　　　　「………分かりません。　　　　　　　　　　　　　　li､ l!:i　　　　　　　　　　ヽ `ﾞYi:::::::ili:::::i',ヾi;,'／／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ!ヽ::`ｬ-⊆＝ｯ-　　　　　　　i:!;:::::i! ',:::l ' ,Y ／
　　　　　　　　　　手駒として残しておくか、　　　　　　　　　　　　　　　ヾ､,ﾍｧ'｀　　　　　　　　 l!';::::i　ｿ! /!
　　　　　　　　　　用済みとして処分してしまうかは」　　　　　　　　　　　　ヽ、　　　　　　　　　ﾝ'i:ﾘ　ﾘ'/!i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'　　　　　　　_,.-'"'　ｿ　 '/ｉｌ＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　　 _,_'"::::　　　ﾞ ,r ' ￣　　` ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ､＿_､ｼ'ﾞ'"ﾏTﾐヽ　／　　　　　　　　 `ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽヽｿ

347 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:09:00 ID:qLkNzrF6

四７０．

　　　　　　　　　　 ,..::;ﾆ＝-､
　　　　　　　　　 i::/　　　、
　　　　　　　　　　　,ゞｰ--‐::':::|,..-;:ァ
　　　　　　　　　／:::::::::::::::;::::::::!::::::｀丶、
　　　　　　　　/::/::::::::::/:/|;:::::;!i::i::::::....､ヽ
　　　　　　 l:/::;'::::'オ/|::|:::/:廾!::::::::::ﾞ:.ヾ:、
　　　　　　　 ,!,イ:::::/ !':|:l::l::/::::::lﾊ:::::|;;::::l
　　　　　 /i:::::!::/ｉTﾆT::,!;':::ｲﾆﾘ,!:::l｀､:|
　　　　　　 !:（|:'!::l::ﾟ‐':::/:::::::ﾟ‐：!:}::!　ﾞ!
　　　　　　 |::::M::::!､　　_ 　 .ィ:i!ﾘ
　　　　　　 |::::|:::l:::ﾚﾞ'ﾏ￢＜:!::|::|　　　　　　「ちょっと寄り道すれば奴らの砦だよ。
　　　　　　 !::::|x<!:l　 |―|　,l:::|:::!　　　　　　行ってみないの？」
　　　　　　　 l::::::;!ヾｌ:ﾄﾐヾ、l〃!:ハ:|
　　　　　　 ,':::::::|　ヾ＞ﾐV∠}′ i|
　　　　　 l::::::::{　,r=-=ニＬ._〉,ノ l|
　　　　　　 ,!:::::::::l　　　　 |l!l!|´ 　 |!
　　　　　　 !:::::::::::ﾄ、　　　|＜　＿/:|
　　　　　 !::::::::::::ﾞ7ーイ丁´「〈::::::|
　　　　　 l::::::::::::/　l　 |　|　 l　ﾞ､::::|
　　　　　　 l::::::::::/　l. 　|　 |　 l　ﾞ､:|

―――――――――――――――――――――――――
　　可能性は必ずしもゼロじゃないよ、と
　　その選択を選んでも文句を言うつもりの無いコナタも
　　以前のような硬い表情になってしまっている。

　　その場の全ての視線を一身に受けるやらない夫は
　　困った様子でバンダナを触ること、暫し―――
―――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ――　､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／〉´.,,,,,-----,,,,...ヽ_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／／_;_;_;_;_;_;_;_;_;_;_;_;_;_|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　/／〉　 ( ー)　(ー )　ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　 ´ イｌ　　 (___人___)　　ｌ
　　　　「………難しい。　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　ｌ　　ｉYｌ　　｀ ⌒ ´　　ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　/　　ﾊ !.!　　　　　　　　 !
　　　　ただ、今から根城に急いだところで　　 .　　　　　 /　　/　 ' ヽ　　　　　 /
　　　　間に合うとも思えない。　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　／/ ､ゝ　　　　　　／ヽ_
　　　　経由して祭壇に向かうと、　　　　　　　　　　　　 ´｀ー‐ '｀./　　｀ー､　　,－´　　/ 　＼
　　　　儀式を防げない恐れもある」　　　　　　 .　　　　ｉ　　　　ｉｉ　　 / ｀:.ｉ　ｉ´ヽ.　 /　　　｀　､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　　 , 'ｌ　　　　　ｌ.!　 /　　ｌ　 !　ﾊ　/　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / ,:|　　　　　| ヽ/　　　!＿'　　 V　　　　 ,　 ,　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　/ / ｌ　　　　　|　　　　 /:.:.:.:ヽ　　　　　　　/　/　／　ｉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　!/　 !　　　　ｌ＼.　　ｉ:.:.:.:.:.:.ｉ　　　　　／　/　 /　　　ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　 !　ヽ.　 !:.:.:.:.:. !　　　 ´　　 !　 /　　　 !

――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　もう一度、現在得ている全ての情報と自分達の目的とを一塊にして、
　　優先度の高い順番から並べ現状を加味して、思う。

　　一番恐ろしいのは、儀式を終えた妖術師が宝具ごと行方をくらませてしまう事だ。
　　それだけは約束を守るためになんとしてでも避けなければならない。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――

348 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:11:00 ID:qLkNzrF6

四７１．

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.r-､_,, - ''´￣￣｀`'-､,　_,,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〆´__t=lニﾆ　　　　￣｀`'ｰ l　.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l __,,fゝ }==-　　　　　--==--r-,　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　 /　　　i　,　　　　､　　　 i`ｰ'l　 li
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l ./ |　i i　l i　l i　　l l　.li　l i　 |､l　l .l､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ ./　l .l ll l l 　l　l　 l .l　l l　l i　/l l　l/. }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉl 7 ll　 l l.l l l　_!_ l ((l　l .l l　l/ i　 l　l　λ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　７λli　 ` i lヽli.ﾉr-. ､=l))l .l　l l / ./　l iλ .| `ｰ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　/ i　l l　　 i l　lく　ﾚ`　r′lⅥ V7l l　 l　li 入乂　 l
　「キル夫がまだ手駒にされている可能性を祈って、　　　 /　　l/ヽヽ　.! i (( F､,,i_/　'　　　ヽ{li　l.i　λ .|ヽ｀l　l
　祭壇に直行するのが一番、か………」　　　　　　　　　l　 ,　 l　 i　l　lヽ! !l.ゝ､　　-　　,,ｲll./､.l.i　　 i　 i .l .入
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .l　　l　l　　l__l　l }　i i┌＞- , イ´└l　{./ }　r-,　.l l　　｀ヽ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　λ　　i .l､　入'´|Ⅵ λ､_）　つ　　 7l l / l-z,) !､ .l ヽ　　l　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..7　`　.7 l ../　　フ / .l lｰz )´乙__凡＼ll .l　　 .ハλ l　　l　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{　.Y　　　 {.! l__.l l／´ 　＼ .| .| .l }　}　　　/ 入.　 .l　 .l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　＼.＼-､...._i .y L ＞i_f‐ｧ＜ ,l､_f// /____ ./ ;　　l　　l　　l

―――――――――――――――――――――――――
　　間が開いて、冷静に考えてみた雪華綺晶とて分かる。
　　何を選び、何を捨てなければならない時なのか。
―――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　|　　　（ー）（ー
.　　　　　　　　　|　　　　（__人__）
　　　　　　　　 |,　　　　｀ ⌒´ﾉ
　　　　　　　　 │ 　　　　　　｝
　　　　　　　　　ヽ､　　　　　ｿ　　　　　　　　　　　（それに………）
　　　　　　　　ｲ斗┴r┐｀ .;
　　　　／￣`ーゞ､　 /　|__ 〈ー─r､
　　　/　　　　　＼ ∨＼　|,ベ._ /　|
　　｛　　　 . : : : . ヽ＞ｰ＼[￣{ 〉＼|､_
　　　| 　　　　｀丶}＼　 __＼_]~∨'＼｀ヽ
　　　:|　　　._　　　　＼_}/r‐-}＼　ﾞ,`''く l　ﾞ,
　　　ﾄ､: :./ ／￣｀` ぐ└f'二）::{　 ',　 | !,ゞ┐
　　　 `､∨ ´　,.､-''"~￣}_｛‐''く:::{_　 ', _|_|_,rｰ'､_
　　　　 }｛　／　_､-'''"~￣{_＼;;;;;ｊ;＞＜;:::::＼:::ﾍ}＼
　　　　}∨: ／　　_､-''ﾞ~￣￣　　　　　＼::::},之_　ヽ
　　　　〉∨ 　／　　　　　　　　　,.､イ;;ノ_ 　｀ヽ}
　　　　　{:　＼,/＼　　-‐　'"　　　／｀￣　　　　　:.:｝

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　判断材料として皆には言えなかったが、先の戦闘に於いて自分はコナタを護る為に窮地に陥った。
　　それを相手が見ていた以上、自分達への人質としてキル夫を残しておく可能性が高いのでは。

　　勝った相手がそれを思うかは微妙だが儀式の最中の護衛は少なくとも必要だろう、
　　だからキル夫は最後の時まで無事だとやらない夫は考えている。

　　―――そう信じたかった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

349 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:12:00 ID:qLkNzrF6

四７２．
―――――――――――――――――――――
　　その時。
　　一歩前に出たアグリアスとブライトが言った。
―――――――――――――――――――――

　　　　　 / 　fｌ　 / |l　　　/|| ! 　＼＼　　ﾊ
　　　　　 | 　 |l 　/　|l　　/　|リ　　　＼＼　}}
　　　　　 | 　 |　/　/|　　　　|　　　　　ヽﾐVl}
　　　　　ｌ　 |ｌ/　/^|　　　　｢￣¨¨"''　　''¨}lﾘ
　　　　　 V 　/　/　:|　　　　|　｢|｢｢`　　　ﾘ｢
　　　　　 ∧V　人_.,｣　　　　|: 　じ　　　　゛{
　　　　　_{ {ﾐ`─---|　　　　| 　　　　　 |
　　　　 { ＼＼＿＿_|:　　　ﾊ　　　　　ﾊ
　　　こ＼　＼　〔77|　　　　 ',　　　 ‐　,ｲ　!
　　 =─‐==ﾆﾆﾐ〕/∧　　　　∧r‐rr-イ　!　|　　　　　「国王様！
　　　　　　　　　ヽ¨ヽ,　　　 V》》　|　 l　|
　　　　　　　　 }　 }　　　 ∨{,　 | 　|　|　　　　　どうか私達に、彼らと共に行く許可を！」
　　　　　　　　 | 　l　　　　　 Vミx|　 |l　l
　　　　　　　　 | 　|l､　　　　　V､ | 　 |　ｌ
　　　　　　　　 |　ﾉ∧　　　　 V,| 　 |l　|
　　　　　　　　 |///,∧.　　　　　Vｌ　 |　l
　　　￣¨'''￢=‐-　//////A　　　　 Vl　 |l　|

　　　　　　　　　　　,.-―-- .,_ 　 _
　　　　　 ,----‐ '´　　　　　　｀´　｀ヽ
　　　　 !　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　i　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　／　　　　　　　 ,.-.､r.､　　　　　　 ',
　　r'´　　　　　　 ,. '"　　　　｀''‐.､　　,.､　　l
　　ヽ　　　　　　/　　　　　　　　ノiヾ´　ヽ　 ',
　　　';　　　　　 'ri　,.-- ､,,＿　´　! l'　　 i 　 i
　　 /　　　r-､　 {.　　 -t;;ｪ-"ヽ　 ,.-_--､! /
　　ヽ　　 i "i i　l　　　　　　　　　 |. 'ｰ'` .i ﾉ
　　　ヽ　 ', r' i　|　　　　　　　　　 i　　　l.i
　　　　 ',.　ヾｰl　l　　　　　　　　　 ,ゝ　 .l,'
　　　　　ヽ､ `!ヽ !　　　　　　＿_ 　　 ;'　　　　　「すでに多くの騎士や衛兵が、彼らへの協力を希望しております。
　　　　　｀!　ヾ　　　　　　 ,,,,, ｀　 /　　　　　　私の隊だけではなく、他の隊からもです」
　　　　　,.-_､|　　'; ＼　　　　　　　 /
　　　　 !　｀''ｰ- _!　｀' ､　　　 /
　　　　 !　　　　　| n'i　　｀ー‐r‐ 'ヽ
　.　　　 l　　　　 ! !i !　　　　 |　　!ni

350 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 22:12:43 ID:2u2E.a7k

アグリアスさんだけは来てほしいなｗｗ
足手まといになっちゃうんだろうけど…

351 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:13:00 ID:qLkNzrF6

四７３．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　キャスバルにとって、これはにわかには信じがたい事だった。
　　助力を得たアグリアス達やブライトの隊が自発的に協力を申し出るのはまだ分かる。
　　だが、謁見の間であの態度だった他の騎士達からも
　　自ら動こうとする者が現れているとは。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　,_, 　　　　　　　　　　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　（ l ､　　　　　　　　　　　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　　,i､/ 〉ヽ!ヽ、ヽヾ　　｀ヽi　　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　 i　, ノﾊ( ､ ,-‐..'´｀ｿ'｀ヽ　i ﾘ　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　i、l=‐':´｀"ﾞ:::::::::::::.　　: ﾉノ/､　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | i i |/::｀ :: ::::::::,i ヽ ;::::::..　 .:: l l　 l 　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l ヽゝ l:::　::: :::/ |　　｀' ､::: -'´j l' /　　　）
　　　　　　　　　　　　　　　　「………騎士団が？」　　　　ヽ、ヽ｀､､:::/　 !､-　　　　　ゝ,l '　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ''- ､ﾐ ',　　　_,　- ‐-　　　/r, ､　｀（ _
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ﾉヽ＼　　　 -　　　　, '//　＼　　）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ｦ.　＼　　　　／ // 　　　｀''‐'-,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　=＝l ,　　l ｀　- ‐ '　　// 　　,---､ /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , , ' '´　　　!li　　ｌＬ. 　　, - ' 7/　　 |=000| ）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／/　　　　　　｀ﾞﾞﾞ_)|　｀' '´　　 l（　　　ﾞｰ ' ´く
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ.ヽ、　　　　　　　 l　　　　　　ヽ >　　　　　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 └

　　　　　　　　　　 _.,..､:-:─:-..､、
　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::.:::｀:ヽ.
　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀:､
　　　　　　,.':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
.　　　　　/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
.　　　 /::::::::::::::::::::::ﾍノ!::::|::::::!::::::|:::!:::}:::i:::::}
　　　　/:::::::::::::::::::::::::::厂 ≧rx|::::::j:/:ｲ:ノﾉ:ｲ
　　／:::::::::i:::::::::{こj::::i　弋ｹﾆゞ､イｲｦイ:::::::＼
　／:::::::::::::i!:::::::::じｲ::::|　　　　　　｛　　/::::ヽ::::::＼
　＼:;ｲ::::::i!|::::::::: ゝｊ:::::!　　　　　　ゝ /:::::!:.::ヽ:::::::::>
　　　'＜::il:|:::::::::::::;:!::::ｊ　　　ー－ , ′::::!::::::::ﾄ／
　　　　　ヽi;;;;;;;;;;;;;j'"´　＼　　　／::::|::::::＞'"´　　　　　　「……………」
　　,.､rｰへへ/´;;＼　　　トﾆ´_＿"´
／´￣｀ヽ;;;;＼＼;;;;;;;;｀ヽ、　!＼;;＼;;;＼__
;;;;;;;;;;;;;;;;ﾍ;;＼;;;＼＼;;;;;;;;;;;;｀ヽ､__>;;;;ヽ;;;;ト;;｀ヽ、
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l;;;;;;;＼;;;＼＼;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾉ::::l;;;;ヽ;;;;;｀;,,､
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`;;ー───''"/;;;;;i!;;;;;;;｝;;;;;;;;;;;＼
γ;;⌒ヽｲ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;＼;;;;;;｀＼;;;;;;;;;／;;;;;丿;;;イ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;',
´￣｀ヽ;;;;＼;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀＼;;;;;;;￣;;;;;;;／／;;;;;};;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;j

――――――――――――――――――――――――――
　　対照的に、王妃は口の端で笑う。
　　その表情はまるで目論見通りになったと言わんばかりだ。
――――――――――――――――――――――――――

352 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 22:14:42 ID:we4YVUlI

傍観してたら裏切り者出した上に、何もしなかった卑怯者だもんなぁ

355 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 22:15:06 ID:TOJsIHUI

>>352
まぁ、あとがないわな。

354 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 22:15:05 ID:8l2edAzM

やっぱり一度やらない夫と直に話したり、
戦場を共にした人間は例外なく彼の味方になるんだな

353 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:15:05 ID:qLkNzrF6

四７４．

　 |　:::::::|　　　 ::::::::　　　　:::　　 |:　　::::::::|
　 .|　::::::|　　　 :::::::::　　　　:::::　　|:　　 i⌒
　　!__::::::|　　　 :::::::::　　　 ::::::::　 |--'''~
　　　￣i_＿,,,,,,--,,_　_,,--""i"~　|
　　　　　　　　|　　 |~　　　　　|　　 i
　　　　　　　　|,,,,,,,, |　　　　　 !;=＝i
　　　　　　　　!'　 ''i:|　　　　　 i)　　 '!,　　　　　　　「失礼します」
　　　　　　　 /　　 .i:|　　　　　 !i,　　　!,
　　　　　　 ./　　 .//!　　　　　 i.i　　　 i,
　　　　　 /￣￣∨/''　　　　　　ii／￣~ヽ
　　　　 ./　　　 //　　　　　　　 'i,_　　　ﾉ
　　　　ゝ---='''　　　　　　　　　　~'''''''~

――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　そこへノックと共に現れた、十二歳ぐらいの利発そうな少女が
　　そのうねりは騎士団のみにとどまらず、貴族達にも広がっている事を告げる。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　 ,.　 - ――- ､ _
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　ヽ｀丶､
　　　　　　　　／　　　　　　　　　｀ヽ　＼
　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　ﾐ　　ヽ
　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　 l　　lヽl　　　　',
　　　　　　　i　　　　　　　　　　　 |　l l　||　　　 l
　　　　　　　|　　　　　　　　　　 j l l j　lﾊ　　　　 l
　　　　　　　l　　　　　　　　ノノﾉ/ﾘ/ハ　丶l　 !
　　　　　 !　　　､＿ , ==≦彡 '´´ ', --ヽ､ﾘ　j
　　　　　　　 ',　　　 _　ﾄイﾌﾃlヽ　　　r ｨﾌﾊ｀=!´　/　　　　「父上、母上。
　　　　　　　　',　　/ ヽ| ヽ==' '　　　　｀ﾆ '　ﾘ) /　　　　　何名かの貴族が国庫からの支援だけでなく、
　　　　　　　　ヽ　l　ﾄヽ _　　　　 ,　　　 l/ /　　　　　　自分達も今回の被害者達へ義援金を送りたいと。
　　　　　　　ヽヽ _ ﾆ、　　　　､-,　　　ﾉ /
　　　　　　　ヽ　　　lヽ、　　　-　　 ,.ｲ〃　　　　　　　それから、家屋が失われた者達の避難所として
　　　　　　　　　　　}l!　　ll}､_｀丶 ..＿ィ、ｲ|{　　　　　　離れや屋敷の一部を提供したいとの事です」
　　　　　　　　　　ノﾉ|　ll ﾘ｀lr､ﾆｰ┬_'ｨ|ヽヽ
　　　　　 ,_- ニ､ｰ＜ヽヘ ´ヽl-_ l｀l !! F!-'´-､-､-r- 、　　　　┌──────────────┐
　　　／　　　　｀K､￣ヽ｀ｰヽ_ヽ!!!'7'ィ　r―Tr1i　＼　　　│　　エゥーゴ王国　王女　　　　　　..│
　　　//　　　　　　l ヽ-　´　 l￣｀ヽ-!/　 l　￣_ j lﾊ l ､ヽ〉....　│　　　　　ｻﾞﾋﾞ　　　　　　　　　 .│
　　ヽ!　 / 　 /　 l !. ヽ／　　!　　 l l !　 |　､ /　l Ll　!_ゝ　 │　　ミネバ＝Ｚ＝エゥーゴ　　　　　 .│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 └──────────────┘

356 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:16:00 ID:qLkNzrF6

四７５．

　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　- －＝－- ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　.　: ´　　　　　　　　｀ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　 ',
　　　　　　　　　　　　　 j　　　　　　　　　　　　　 ',
　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　ｉ | !　　　　 ',
　　　　　　　　　　　　　 .:　　　　　 {｛彡イノノノハソﾊ　　i
　　　　　　　　　　 {　　 {　　从////////ﾊィ//ﾊリ　}
　　　　　　　　　　　 i　　乂У　∨/////／∨////ソﾉ
　　　　　　　　　　乂　　い　Ｙ｀ー "´　　 ∨/ｲ′
　　　　　　　　　　　　　彡　　　Ｙ从ミ　　　　'"´ ７
　　　　　　　　　　　　　　八　　　ミ、　　　 ⊂ﾆ7　/ﾐ
　　　　　　　　　　　　　　い　　　У ヽ　　　　ｰ　 /ﾊ　　　　　　　　　　　「………どう言った風の吹き回しだ」
　　　　　　　　　　　　　ゞ＝=ﾘﾉ､、　＞、　　 /ﾉ
　　　　　　　　　　　　　 /:::::::::/:.:.:.:.:.:.≧ｘ､、_￣彡､、
　　　　　　　　　　 /:::::::::/:.:/　　｀ '･＜: : |!:.:.:.:|:.:.|
　　_ ...... _　　　　 .．＜｀::::::､/:.:/ ☆ ☆ ☆　〉:|!.:.:.:.|:.:.|
／::::::::::::: ｀Y￣｀ヾ::::::::::::::／:.｀:.:.＞．　　　/:.:.|!:.:.:.:|.:..|､、_ 　　＿
::::::::::::::::::::::∧__＿:j＞.:"´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀:.:.:.:.＞.:.:.:.:|!.:.:.:.|:.:.|:::::::|｀`:y':::::::::｀ヽ.
::::::::::::::::::::::／∨:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀.:.､j!_＿j／i!｀ｰ:.:､:ｊ::::::::::::::::::ﾍ

―――――――――――――――――――――――――――――――
　　あまりにも急すぎる変化で開いた口がふさがらない夫に、
　　何が起きているか分かっていた妻が言った。

　　人を変えるのは環境だけではない、出会いもその一因となるのだと。
―――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 . : :´￣ . : : : :￣｀: : . 、
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 . . . . : : : : : : :.:.:.:.:.:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　. . . : : : : : : : : : : : :.:.:.:.:.: : .､
　　　　　　　　　　　　　　　　 , ′　. . . : : : : : : : : : : : : : : :.:.:.:.:.:. : :､
　　　　　　　　　　　　　　　　　/　 . . : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.:.:.:.:.: : : '.
　　　　　　　　　　　　　　 /　. . : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .:.:.:.:.: : : : '.
　　　　　　　　　　　 /　 . . : : i、: :、乂: : : :{: : : j!: :.ﾉ: :!:l:.:.:.: : : : :'.
　　　　　　　　　　　　　　／　. . : : : :从乂:＞､｀ソゝ:ノﾉイ__ノｲノ:.:. : : : : '.
　　　　　　　　　　　／/　. : : : : :,小　弋¨えゞ、 /,ィえ¨才从:.:.:.: : : : : :'.
　　　　　　　　／／　. . : :/　. いﾍ　　　　 :　　　　　ムﾉ:.:.:.:. : : : : :'.　　　　　「比較される事を恐れたのだよ。
.　　　　　　　／／ . . . : :// 　. : : |:.ﾍ　　　　､;　　　　 / Ｎ:.:.:.:.:.:.:. : : : :.',
　　　　　　　　　　ヽ . . : : // . . : : : :Niハ　　 , - ､　　 /:.:.|:.:.:.:.:. i!.:.:. : . . :.'.､　　　流れの冒険者が国難を廃した時、
　　　　　　　　　　　＼. //:/　. : : : : :|:.:.: ＼　｀二´　　ｲW/:.:.:.:.:.:.:|!:.: : : : . . .:ゝ　　自国の者が何もしなかったとあっては
　　　　　　　　　　　　　ヾ.:/ 　 . :i : : :i|:.:.:.:.:.:| 　、 _　イ!.:.:.: |i:.:|i:.:.:.:.:|!i:.:.: : : ／　　　民が黙っていない」
　　　　　　　　　　　　　　　｀＜. ｉ|: : :.ｉ|:.:.:.:.:.:|　　　　　 |.:.:.:.:|i:.:|ｉ:.:.:.:.:|!::＞ "
　　　　　　　　　　　　　　　｀＜:_ｉ|!＿:.:.j　　　 / |:.:.:.:.|i:.i|i＞ "´
　　　　　　　　　　　　__＿......,,,,r≦≠＝′　　　/　い≦＜,,,_＿__
　　　　　　　　　　　 ,イ//////////ﾊ､、　　　　　__ ....　∠////////ﾊ､_
　　　　　　　　　 ///////////////ﾊ､、　 __ ノ　 _ .イ/////////////ﾊ
　　　　　　　　　　　////////////////////≧==≦//////////////////ハ

383 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 22:31:05 ID:hWCUbafQ

>>356
> 口がふさがらない夫

新しい「ない夫」シリーズかと主た

386 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 22:32:32 ID:TOJsIHUI

>>383
常に絶叫してるのかw

357 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 22:16:41 ID:2u2E.a7k

きっかけはどうあれいい流れだよな

358 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:17:00 ID:qLkNzrF6

四７６．

　　　　　　　　__,r'"　　　　~ヽ.
　　　　　　_ノ~　　　　　　　　　＼
　　　　／　　　　　　　　　　　ヽ
　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ!
　　　i　　　　　　　　　　　　　　　ﾞi
　　 ,i　　　　　　　　　　　　　　　　　 l
　 ./　　　　　　　 i　　　　　　　　　 ( .
　,i　/　　　　ﾉ,ﾉノi i i　　　　　　　　　）
　! ,ヽ,　∧ﾆ'ﾚ'ｰ'　!､j､　､　　　　　　 i
　ヽ＼ソ,ﾉ''ﾐｪf､　　,__二ミ　　　　　　j
　　"Yヽ.ﾄ　　　）　　''ﾐｪｧ,;ﾞ）　'"　　）　　　　　「………そう言う事か」
　　　ﾘゞ.l　_　/　　　　　　~i　／/,＼
.　　　ﾞヽ!ﾄl ,＼ヽ　　　　　 j　!, (/iﾞ｀' ＼
　　　__,j,ﾊL!ヽ.ﾞy‐'"￣ﾞヽ'"j j. ,r┴‐‐'ﾞ7i!
　 (~r'　!　ヽ.／__,r＝~ヽｲ｢｢｀^~　　(（　 !
　　!.l　　) ,f~　＿,,ｨ､＼,i !j! ,.へ　　）/
　　| |　( /　　　　　ヽ./,/／　/ﾞ^ヽ.__/
_,..-.! !　 i　　　-=＝ｰ/／j､,､)）　　 /)
　　 !ヽ　j　　　　　　）ｰ'Y ("　　 //
　　＼V　　　　!i~_／　　ﾄｰﾞ　　//‐-r'"￣~ヽ､
　　　／　　　　 ,j~_＿ _,.ノ!.　　 //　　　　　　　＼_
　 _j'~　　　　　/　　　　 ,八　 //　　　　　　　　　　i.

――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　大勢の目の前で、ローゼンの英雄がそう言う少年なのだと証明するために、
　　敢えて子飼いの提案をした意味もある、と知った国王は納得して目を細める。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　 _.,..､:-:─:-..､、
　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::.:::｀:ヽ.
　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀:､
　　　　　　,.':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
.　　　　　/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
.　　　 /::::::::::::::::::::::ﾍノ!::::|::::::!::::::|:::!:::}:::i:::::}
　　　　/:::::::::::::::::::::::::::厂 ≧rx|::::::j:/:ｲ:ノﾉ:ｲ
　　／:::::::::i:::::::::{こj::::i　弋ｹﾆゞ､イｲｦイ:::::::＼
　／:::::::::::::i!:::::::::じｲ::::|　　　　　　｛　　/::::ヽ::::::＼
　＼:;ｲ::::::i!|::::::::: ゝｊ:::::!　　　　　　ゝ /:::::!:.::ヽ:::::::::>　　　（そして―――）
　　　'＜::il:|:::::::::::::;:!::::ｊ　　　ー－ , ′::::!::::::::ﾄ／
　　　　　ヽi;;;;;;;;;;;;;j'"´　＼　　　／::::|::::::＞'"´
　　,.､rｰへへ/´;;＼　　　トﾆ´_＿"´
／´￣｀ヽ;;;;＼＼;;;;;;;;｀ヽ、　!＼;;＼;;;＼__
;;;;;;;;;;;;;;;;ﾍ;;＼;;;＼＼;;;;;;;;;;;;｀ヽ､__>;;;;ヽ;;;;ト;;｀ヽ、
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l;;;;;;;＼;;;＼＼;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾉ::::l;;;;ヽ;;;;;｀;,,､
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`;;ー───''"/;;;;;i!;;;;;;;｝;;;;;;;;;;;＼
γ;;⌒ヽｲ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;＼;;;;;;｀＼;;;;;;;;;／;;;;;丿;;;イ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;',
´￣｀ヽ;;;;＼;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀＼;;;;;;;￣;;;;;;;／／;;;;;};;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;j

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　一方、騎士団のみならず貴族にも影響があったのは期待以上だったハマーンは、
　　やらない夫の横顔を見ながら思った。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

359 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:18:00 ID:qLkNzrF6

四７７．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　人は、誰かを見たときに自分と比較する。
　　相手が下ならば訳もなく優越感を感じ、上ならば嫉妬を感じる生き物だ。

　　出る杭は打たれ、異端児は追われ、そうして国という小さな世界は回っていく。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　￣　　､_
　　　　　　 ´　　　　 __....--‐'''"´: :＼
　　　　　 _/_....-一'''".／ : : : : : : : : ／ヽ
　　,.ｘ‐て/: : : : : : : ／ : : : : : : : : ／: : : :ヽ
　/::,;:/そ|_:_:_:_:_:_／_:_:_:_:_:_:_:_:_／_:_:_:_:_:_:_|
./:/V　　 l　　　　　　　　　　　　　　,‐-,.._ ゞ
.V.　　　 l　　　　　　　　　　　　　　l　弋心 l
.　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　冫.ー　く
.　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　ﾉ!
.　　　　 l　　　　　　　　　　　　　　｀ー‐ f ｒ'
　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ'
　　　　　!　　　　　　　　　　　　　　 /
　　　　 ,'　　　　　　　　　　　　　　　 /
　　￣　｀ー -　　　　　　　　　　　　 /
　　　　　　　　　｀　､　　　　　　　　/
　　:.:.:.:.:.:...　　　　　　　　､　　　／
　　:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..　　　　　　.:.:ヽ _　´
　　ー-　:.:.:.:.:.:.:.:..　　　..:.:.:.:.:.:ヽ
　　　　　｀　､:.:.:.:.:.:.:...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　　　､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
　　　　　　　　　..:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　　..:.:.:.:.:.:.:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./

―――――――――――――――――――――――――――――
　　だがそれが外部から突如現れた、
　　比較されるのを恐れるほどに突き抜けた存在の場合は―――
―――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　 . : ´: : : : : : : : : ｀: ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　 . : ´: : : : : : : : : : : : : : : :.＼
　　　　　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.',
　　　　　　　　　　　　／ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ',
　　　　　　　　　／ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ',
　　　　　　　／／: : : : : : {: :i| : i : /: : : : : : : : : : : : : : : : : : :.:',
.　　　　　　／／: :／: : : : : ∨ﾍ: |: :{: : : : : : :!: :.i: : :i:}: : : : : : : : ',
　　　　　　｀ヾ:／／: : : : : :__!ミヾ: :ﾍ: : : : :从:ノ:_:ノﾉ: : : : : : : : : ':,
　　　　　　　　　 ∨: : : : : : : :.{h!｀ヾえｱ乂:.:ノｨえア´!_: : : : : : : : : : : ':､
　　　　　　　 ∨: : : : : : : Ｖi　　　　　.:′　　　　ﾊ） : : : : : : : : : : : :＼
.　　　　　　　　　＼: : : : /:.:八　　　　 i .:.　　　 ,小 : : : : | : : : : : ／
　　　　　　　　　　＼//:./:.| ﾍ　　　__`´_　　ｲ/ハ.: : ｉ: :|i : : :／　　　　　　（我が身を振り返らせる、
　　　　　　　　　　　　　　　＼: :|　:|＼　　､　　／　ｲ .:|: : |i_:|i＞"　　　　　　　　或いは引き寄せ、時に強く反発させる。
.　　　　　　　　 ,rf777777777L...j｛ヽヽ _ 　イ／　L.:j､＜.._＿＿___
　　　　　　　　　//////////////,|:!　｀ー一 ´　　ｲ////////////ﾊ　　　　　兄上はそう言う存在を『カリスマ』と呼んでいたな）
　　　　　　 ///////////////,|j､　　　　　／i//////////////ﾊ
.　　　　　 ////////////////,|　｀ー一彡'　ﾊ//////////////ﾊ
　　　　　 /////////////////,|　　　　　　 /////////////////∧
.　　　　 //////////////////ﾊ　　　　　 ///////////////////∧
　　　　 ///////////////////,∧ 　　　 /////////////////////∧

360 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:19:04 ID:qLkNzrF6

四７８．

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　,_, 　　　　　　　　　　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　（ l ､　　　　　　　　　　　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　　,i､/ 〉ヽ!ヽ、ヽヾ　　｀ヽi　　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　 i　, ノﾊ( ､ ,-‐..'´｀ｿ'｀ヽ　i ﾘ　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　i、l=‐':´｀"ﾞ:::::::::::::.　　: ﾉノ/､　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | i i |/::｀ :: ::::::::,i ヽ ;::::::..　 .:: l l　 l 　ヽ
　　　「そうだな。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l ヽゝ l:::　::: :::/ |　　｀' ､::: -'´j l' /　　　）
　　　ビップ殿、彼らを同行させて貰えるだろうか。　　　　　　　　　　ヽ、ヽ｀､､:::/　 !､-　　　　　ゝ,l '　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ''- ､ﾐ ',　　　_,　- ‐-　　　/r, ､　｀（ _
　　　必要に応じて腕の立つ者を選別してくれて構わない」　　　　　　　　 _ﾉヽ＼　　　 -　　　　, '//　＼　　）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ｦ.　＼　　　　／ // 　　　｀''‐'-,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　=＝l ,　　l ｀　- ‐ '　　// 　　,---､ /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , , ' '´　　　!li　　ｌＬ. 　　, - ' 7/　　 |=000| ）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／/　　　　　　｀ﾞﾞﾞ_)|　｀' '´　　 l（　　　ﾞｰ ' ´く
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ.ヽ、　　　　　　　 l　　　　　　ヽ >　　　　　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 └

――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　足手まといになってはいけない、と精鋭での申し出をやらない夫は即座に断った。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　―
　　　　　　　　　　　／　　　　　＼
　　　　　　　　　　 /＿＿＿＿＿ノ::｝
　　　　　　　　　　 |:::::::::::::::::::::::::::::≦|
　　　　　　　　　　｛＞-----≧´ｨ句|
　　　　　　　　　　∧　　　ー ´ 　¨ i
　　　　　　　　　く:::ハ　　　　　　 _冫＿
　　　　　　　　レ' ∧ 　 `　 ´　 .|:::￣〉｝,.～:､　　　　　　　　　　　「いいえ、それには及びません」
　　　　　　　　-‐, ～//::＞　　＿　ｲ:厂八/::::::::广
　　　　　／　　〈::::::∧∨　　　　　　/　/／:::::／　　　　＼
　　　　/　　　　ﾊ8{　＼`ー―　／　, く:8::イ　　　　　　　 ' ,
　　　く　　　　　　Ｙ　　　＞ｖ＜　　　　　Ｙ:{　　　　　　　　　〉
　　く　`ー　､　 /　　　　　　　　　　　　　 V＼　　　　　　　八
　　く__ `ー　 ∨　ノイ　　　　　　　　　　　 i!::::!＞　―　- ｲ:::::＼
　　/＿／:::::::::∧く_メ≧　　　　　　　　　　八:::＼`ー　--〈|:::::::::ハ
　 /_／:::::::::／:::∧ー―＜￣＞――　　イ　/〉::::::＼＿＿_/::::::::::::::｝
　｛:::::::::::::::::::イ　ﾄ､　　　Ｙ　　　　　　ノ _ﾉ::::::::::::::::::::::ｲ　:::::::::::::::ﾉ

361 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:20:00 ID:qLkNzrF6

四７９．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　無論、実力では彼の足下にも及ばないと重々承知しているが、
　　少なくとも神聖魔法で援護する事は出来るし、
　　何よりも他人任せにすのは我慢ならないアグリアスは強い口調で再度、同行を願う。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　-‐…‐- 　 .
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,..　´::,,..　ヾ　　　　｀ﾐ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　γ　 ! ヾ､　　　　ヽ　　　　ﾐ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / 〃ヽ　ヽ　ヽ　　　　　　　ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　 /, ﾄ､　ﾄ､　、、　､　　　　　ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾚ. / И､＼ヽ＼弋ヽ、ﾍ　　　　　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　.,'´　ヽヽ　｀`斗ﾍﾍ　　 ! 　　|
　「決して足手まといにはなりません！　　　　　　　　ﾄ: :ｆﾃｧz､　　ィﾗ〒7}　　1|: :　∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !　:|　じ'　　　　じｿノ{ 　　|〃/ヽ｝
　それに、この国の事は　　　　　　　　　　　　　　　 /　:1　　　　　　　　　　| 　　| /ヽ　》
　我々が主となって成さねばならぬ事のはずです！」　 /　 :人　　　　　　　　/ 　　,|《彡ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　:::./＼　「￣ヽ　　/　　 ∧彡,／ﾞ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　 /　./.,＞-､　-イ/ 　　/ :ﾍ／/／ミ}＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/,/ 　γ´/　 /r-ﾍ＿,イ　　 /: : : ﾍ/ｰ-:.:∧ミヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　/　/　|/: : { 「 [_ / 　　/: : : : : :＞-‐… ‐-、＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　,/　Ⅳ,/´: : :| |　|/ 　　/: : : : ／　／　　　　　ヘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 ,〃// /::: : : / / / 　　/: : : : /　　/　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∠　　　　/_ノ厶ｲ : :／／ / 　　/-‐…/　　/　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　 /; ; / 　 |／／|　/ 　　１　　∧　　　　　　　　　　　　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 1 ∧　∧　/ 　 /|／ヽ　1 .　　 |　　. | |　　　　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ﾚ　 ∨　ｿ1　 / .|/　 |＼んｲﾘW　　 |;|;1　　ﾄ　　＿＿＿　　　　1
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　い::ヽヽ　!　１　| 　| 　 |　　ソ└ソ｀┴一　　　　　　ソ─┘

　　　／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　（一）（●）
　　|　　　　（__人__）
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ
　　 |　　　,.<))／´二⊃
　　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃　　　　　　「はい。
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉
''"::l:::::::/　　　 __人〉　　　　　　　ですが、同じぐらい………
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_　　　　　今のグラナダにはあなた方の力が
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､　　　必要なのではありませんか」
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|

――――――――――――――――――――
　　だが彼は、至って冷静にもう一度断った。
　　そちらにもやるべき事があるはずです、と。
――――――――――――――――――――

362 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:21:02 ID:qLkNzrF6

四８０．
――――――――――――――――――――――――――――――
　　それでブライトも気がついた。

　　中央騎士団にはまだ監査を終えていない者が大勢居り、
　　裏切り者を抱えた状態で主力が王都を離れる事は危険であると。
――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　--- ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,. -一'´　　　　｀ヽ、_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　｀＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r'´　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　 ,.ヘ、　　　,. ‐'＾ヽ､　　　　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（.　 / 　 /'l,ｨi ´　　　　ゝ　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　,'　　 |l |l ＼､　　　　　ヽ　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（　 |　　 l' ヽ、 `'ｰ　　＿（　　　　　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「………造反者の事か」　　　　ヽ. |´`==｡､　　ー=＝'｡､　 } ,r‐､　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　）|.　　　 }　　　　　　　　{ {,r‐.|　〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　ヽ|　　ﾉ　　　　　　　u } } ;,ﾘ　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 |　　!._　　　　　　　　ﾙ'_ノ <´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ.　　｀＿＿　　　　　 |_,r'´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　ー　　　　／　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ. 　　 _, ‐'´　　＿|、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｢l`T ｢￣￣￣　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|.||￣|　　　　　　　│

　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　／　　ヽ_　　＼
　　　　　　　|　　　（⌒ ）（⌒）
　　　　　　.　|　　　　（__人__）
　　　　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
　　　　　　.　 |　　　　　　　 }　　　　　　　　「ゴーレムとの戦いと同じです。
　　　　　　.　ヽ　　　　　　 }
　　　　　　　　ヽ　　　　　ノ　　　　　　　　俺達は俺達に出来る事をします。
　　　　　　_,,,,ノ|､￣／/／/ ＼、　　　　　　あなた方は、あなた方にしか出来ない事をしてください」
　　_,,..r''''"/　|　＼`'／　 /　 | ￣`''ｰ-､
　 / 　　 /　 |　／＼　 / ／　　　/　ヽ
　ﾉ　|　　＞　|／）::::/＼/　＼　　ノ　／}
　{ 　 |　{　　 | ,r":::ヽ　/ 　 /　　/　// ハ

363 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:22:00 ID:qLkNzrF6

四８１．

　　　　　　　　　　　　　　　￣　　､_
　　　　　　 ´　　　　 __....--‐'''"´: :＼
　　　　　 _/_....-一'''".／ : : : : : : : : ／ヽ
　　,.ｘ‐て/: : : : : : : ／ : : : : : : : : ／: : : :ヽ
　/::,;:/そ|_:_:_:_:_:_／_:_:_:_:_:_:_:_:_／_:_:_:_:_:_:_|
./:/V　　 l　　　　　　　　　　　　　　,‐-,.._ ゞ
.V.　　　 l　　　　　　　　　　　　　　l　弋心 l
.　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　冫.ー　く　　　　　　　　「そしてもし、俺達が駄目だった時。
.　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　ﾉ!、
.　　　　 l　　　　　　　　　　　　　　｀ー‐ f ｒ'　　　　　　　　その時の為に一枚岩となり
　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ'　　　　　　　　　戦力を回復しておいてください」
　　　　　!　　　　　　　　　　　　　　 /
　　　　 ,'　　　　　　　　　　　　　　　 /
　　￣　｀ー -　　　　　　　　　　　　 /
　　　　　　　　　｀　､　　　　　　　　/
　　:.:.:.:.:.:...　　　　　　　　､　　　／
　　:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..　　　　　　.:.:ヽ _　´
　　ー-　:.:.:.:.:.:.:.:..　　　..:.:.:.:.:.:ヽ
　　　　　｀　､:.:.:.:.:.:.:...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　　　､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
　　　　　　　　　..:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　　..:.:.:.:.:.:.:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　後の事はお任せします、と二人を納得させた横顔を
　　じっと見つめていた雪華綺晶には分かる。

　　一丸となった彼らの力は、民衆の目に直接触れる王都回復の為に使われるべきだ、と
　　やらない夫は言っているのだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ﾐﾚ__＿__／三ﾆ　　　－　　　　ヾ　ミヽ＿__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_ _　>//K/ｆ´　　　　　　　　　　　　　　　＼　｀ー｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀゛=っﾉノ　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　｀|　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ >/　　　　　　　　/　　　 ;　 ;　　　　　　|ﾍ　 |　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i´　　 /　 ,　　　　 ,　 / /　　　|　 |　 ;　　　　 | |　 |　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　 /| ; |　　　　 / / /　 ;　__ﾉ=+- ､|　 ;　　　| |　 | |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　;　|　|| |　;___　. | | /i　 /　//_/__　ﾉ｀ﾊ　|　 |　|　| |
　　　　　　　　（駄目になるつもりなんて、　　　　　 | |　 | ﾍi　 ||｀iﾚﾐﾍiﾊli //　//,=ﾃ＝ミﾉl ノ　ﾉi　l　 | |
　　　　　　　　全然ないくせに）　　　　　　　　　　　 | |　　i　ﾐ　 |ﾄ　i ilﾄ哀ﾉ>ｲ´　´f::::::ﾊ jﾒﾉﾊﾉ//i　i　 l l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　;| |　　　| ヽlヾミfﾆ及彡ﾉ ,　　弋:.:ｿﾉ /y/ｲ　l　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| ﾊ　　　ヾ　　ﾄ゛´-Ｚ/　　　　　　　　ﾉ l　 i　ヽ　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|ﾉ　i　　　|　　|　｀>｀)　　ー -　　／;;;ill　 |　|　ﾍ　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　|l　　 |　　| //ト=i-= ､_ _　イﾐﾉil l |　 |　|　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　||　　|　　|ｿノ/ノつ= ≧≦三ﾊ＿ﾑ　 ilＹ　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /i　 . l　　|　|　|－ﾐ彡ｰ-゜/ii iiヽ｀、ミrル　 ) li　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ li　 l i　　l ﾉ/　　　｀/oﾌ＞｀´＜l oヽ　　ﾉ　 il　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　i　il　　 //　ヽ　-ﾉo/<　＜＞　>ioﾍノ/　　　　　　　/

364 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 22:22:31 ID:8l2edAzM

ない夫の器がデカ過ぎて、生きるのが楽しい＆続きが待ち遠しい・・・

365 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:22:59 ID:qLkNzrF6

四８２．
――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　情報は出そろい、出来る準備は終えた。
　　ならば後は行くだけだ、と椅子を立ったやらない夫は各自に補給を指示し、
――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　／ _ノ　 .ヽ、＼
　　　　　　　　　　　　　|　（●）（●） .|
.　　　　　　　　　　　　　|　　（__人__）　|
　　　　　　　　　　 ∧ .|　　｀ ⌒´　ﾉ
　　　　　　　　　／＼ヽヽ　　　　　 }
　　　　　　　 ,r―''''''ヽ,　ヽ　　　　ﾉヾ、　　　　　　　　　「すぐに出るぞ！
　　　　　　,r‐' ,､;-‐''''""''ヾ､､,　　く　l
　　　　　/ .／　　　　　r''"ヽ, ＼, 　　 l｀ヽ､　　　　　　　学院の状況から白符の補充は出来ないな、
　　　　 j　l　,.　/　　　 '　　 l　　ヽ､　ﾄ, 　ヽ　　　　　　エルとコナタは霊薬の補充に当たってくれ。
　　　　,.Lj∠､'´　　 , i,　　 /　　　　｀ヾ､｀'ヽゝ
　　　　l,　　　　　／　二'''"　　 ,;､, 　　｀''ｰﾞ--､　　　　雪華綺晶は食料品、俺は装備を見てくる」
　　　 /ﾞヽ-ｯ-‐'´　.／｀ト-:rイ｢´ ﾞl;:｀''ト-､,＿　ノ'i,
　　／　／　,;∠∠,ノ´　ｲ　 l l,　├''|　 |､,／ l　　|
..／ﾉ　.／　／､,　　　 ,､'　./　 / .l　|:::::l,.　|　ﾞヽ､!_,,､L,
ヽ---ﾂ　 ∧　　￣￣　　/　　　　| |:::::::|　|　　r'"/　　l,
　　 /　 ./　.ト､,_　　　　/　　　　 | |:::::::|.　! l'´! /　　　|
　 ./､ ./　　 l,　　｀￣ ./　　　　 |.|::::::::l　|. !. l, l 　　 l
　.l､,.ノ　　　 l,　　　 ;'　　　　　　.j |:::::::::!

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,r/　,;-ー_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::レ:::::三:::::｀ミ::=-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,i::::::::::::::::､:::::::､::::ヾ::ヽﾐｰ-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,r'::::::::::::::::::ヽ::::::::＼.:::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　//:::::/:::;:::i:::::ヽ:::::::::::::＼::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　/::/:::::::/_ヽ:!:::::ヽ:::i`_､:::::ヽ ::ヽ:::::::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i::/::::::::/'oヾ､:::|ヽ::Y o＼:::::i!::::ヽ::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l:::i:::::::::lゝ- '　ヾ、ﾞ ! ｰ '､ヽ:::::!:::::ヽ::i ヽ
　　　　　　　　「私が食料品の方が！」　　　　　　!::!:::i:::::!　　　` ｀ヽ　　　　 i:::::!::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l:!:::l:::l !　　,r_ー‐-､　　　l::::!::::::::::;::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!|:.!::', 　　i'/￣￣ i 　　　l:::::::::::::ハ:!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　 l::::::ヽ.　ｉ　　　　i　　　ｨ::/i:::::ﾊi　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i::li:::＼ `ｰ--‐' 　　／ﾘ　|:::ﾘfﾊ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _..!:ﾊ::::l;ヽ､　　　／　　"　l::/i　ヽ. ｀`''ｰ- ､._
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,r‐'''"´　 !　ﾘ!i ヽ `＝'"　　 ,　　ﾘ /　　ﾝ　　　　 /ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ヽ　　　　　　ヽヽヽ　　　/　　／　　　　　　　　/ 　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l 　＼　　　　　　＼　 '　　　　　／／　　　　　 /　　　 i

――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　また町を離れるのであれば今の内に、と考えたエルが担当変更を申し出る。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

366 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 22:23:55 ID:okGwu2Vw

「すぐに」出られなくなるわｗ

368 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 22:24:14 ID:Wld/9VhQ

甘いものだらけになるだろうがｗｗｗｗ

369 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 22:24:17 ID:FCxxeoak

お前買い食いで時間掛かるだろｗ

370 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 22:24:42 ID:8l2edAzM

このスイーツ脳は・・・

367 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:24:14 ID:qLkNzrF6

四８３．
―――――――――――――――――――――――
　　だが、もはやその狙いも仲間達にはばればれだ。
―――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　 _,-,ﾆ二ニ=､
　　　　　　　　／／
　　　　　　　 /:/
　　　　　ヾ`､
　　　　　　　　＞+:‐: ´:￣: ￣: :`:'￣:l.､＿＿＿,／
　　　　　　／: : : : ／: : : : : : : : :/ : : l: : : :く‐´´
　　　　 /: : : ／: : : : : : : :/: :/: : : : l: : : : ､:＼
　　　　　l: : : /: : : : : : : : :/: /l: : : : ∧ l: : : :ヽ: :ヽ
　　　　 /: :/: :/: : : _,:_∠Ｌ､:::/: : : /::::l l: : : : :ヽ: : ヽ
　　　 l: /://: : : : :／::/':::::/: : : /::::-H､: : : : : lト､: ヽ
　　　　l://://: : : ｲミ土=､_/: : :/:::::::::l∧: : :l: : :l　｀ヾ､
　　　　l/: :l l: : : ｲ:llo:::::::/:::/://:::テﾃヵl: : :ﾊ: : l
　　　 l: : :l: l: :/.:l.:l し: 」:::::l/:'::::::P::::/'/l: : :l:N: :l
.　　　 l: : : W/: : N　　　　　　､ `‐':::l::l: : lN　V
.　　　 l: : : : :ﾊ: : : ト､　　ー=　　　ノlﾊ: :ハl
　　　 l: : : : : :､: : : 「ﾌ｀‐- ,､-┬:Ｔ´: :l　l/　　　　　　　「めっ、するよ」
.　　　l: : : : :,レ､: : :ヾ､　　/､｀Y/:l:l: : l
　　 /: : :rﾆミミヽ: : ヾ､-─┤ `┤: : l
　　 /: : /￣＼ヾヽ: : :ヾ､　　 l　　ll: : l
　　/: : /　　　ヽヾヽ: : lヽ　　l　 /l: : l
　 /: : /　　　 l ＼ヾ､: l ヽ　 l //l: :/
　/: : :l　　　　 l ハヾ､l､､l　 l////l

　　　　　　　　　　　　　　　　＿_
　　　　　．-――z^＾7￣｀((⌒ ．_
　　　　／　　　／　　　}(勾},ﾄ､　　 `ｰ　．_
　　／　　　／　　　　 ((乂ミ=　　　　　　ヾﾐ　．　　 _
　／　　　　　　　　　 _)} 　．-‐　　　　　　　λ--__))
´ 　　／7　／　　　　　　／　　 -～＿_　　　　ゞ勾ハ
　　／　/／　　／　　　　　／　　　　((⌒'　/　　　 Ⅵ　ｉ
＿ノ　　'　　　　　　　イ　／　　　／／｀).l　/!　/　,　 Ⅶ !
.　　／　　　　　　　　/　　／／l＼レ'/ / } / //　　:.　!
￣´　　　　　　　 {./　／／ r=＝＞ﾐ / // 〃ﾙ　　ｉ　l
　　　　／　　　　／ｽ／／{,// 7rｯそ》}　八､/　} l 　}　|
　　／　　　　 ∠ゝ､ﾝ　　　 _《　ゞﾄ=ン　γ=ミ　/ ﾘ ./ ノ!
　／　　　　／__.У::. 　　 ((⌒ｰv_ｿ"　　辷ｿⅣ／ノ　　l|　　　　　「どうせ甘味ばっかり
　　　　　／　ﾄ､_ ハ::.　　　　　　　　､　ﾊ　／|　　 l|　　　　　買い込んでくるつもりなんでしょ！」
＿　　／　　 {　￣ﾄ､::.　　　　, r‐=z 、 ′/ ／ｉ　l|　　 l!
7} `ー- ．＿ノ　　ﾑ丶:. 　　 l　　ヽ:/ 　ｲ:. 　 |　l|　　 l!
/　　　　　　　　　 {__ヽ、ヽ:. 　 `ゝ=ｧ’ イ　!:.　　|　l|r―-lﾄ､
i　　　　　　　　　　　／}　　≧x.._ ィ～zﾘ √￣￣〃　　　　⌒ヽ‐z

373 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 22:26:42 ID:okGwu2Vw

これがチームワークか…

371 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:25:00 ID:qLkNzrF6

四８４．
―――――――――――――――――――――――――――――
　　見破られた九十三歳はだだっ子のようにおねだりを繰り返すが、
―――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , '::::::::〃:::::::::::.i::::::::ヽヽ:ヽ ::::::､::::::::::::::::':::､､,__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_ｨ:::::::::〃::::::::::::l!::!:::::::::::＼ヽヽ:::::ヽ:::::::::::::::::::t=ｰ-.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ｨｼ='7:::〃::::ｨ''|!i:::!i::,::::::､::::::ヽ::::::':,',､;,:::::::::::::::::::::ﾝｯy､,_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´"　　/::::::/:::/,.-ｬj:::l 'i!';::::i＼::::ヽ:::::::',',',i!::::::::::::::f"''''＝=-''
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.ｼｨ::::::::ｿ !. (::)ﾘ!　ﾍ',:::l,,､ﾇ;:::ヽ::::::',',',':::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃ｼi::::::::ｌ　｀""゛　　` 'ﾘ (:::)ﾔ､:ヽ:::!:','::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '　'　.ｌ::::::::l　　　　　　ヾ'''''" Y:::::::::::::!::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i::/ｌ::::!　　　ヽ　、　　　　ｌ:::::::::::::::'::::::::ｯ::::::',
　　　　「神様、女神様、雪華綺晶様！　　　　　　　　 l/　!:::'､　ｧ､.　　　　　　　 !:::::::::::::::::ｫ:::::!';::::::',
　　　　なにとぞ、なにとぞ甘味を………！」　.　　　　 ,!. 　|/ ';､. ヾﾐ.`j 　　　 ,イ::ｧ:::::::::::::::i '､::',ﾔ::::､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　" . ';ヽ　　　　　,､y'´ /ｼｌ::::::ヽ:::::ｌ　ヾ;　゛丶
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'|!`=tｰ:::'"／　 /'　ﾊ::;::::il!';::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　　　'i::: '　　　　　　　ﾘｿヽ'ﾘ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!'i　　　j　　　　 ~ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘ､　／　 ―ー '''"""f,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / _冫'''~ 　　　　　　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ ´　　 ,､　　　　￣~ ヽ　 'i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l!~　　　　/　　　　　　　　ヽ.　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｿ. 　　　/　　ﾝ　　　　　､　',　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　 /　　 / 　　　　　',　', 'i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　 '　　 / 　　　　　　 i.　', ｌ

　　　　　　　　　,, -‐'''″￣｀ミ`{.{@yiゝゝ
　　 _,,,,i=η／　　　　　　　ヾ､`ヾ､)) l　｀'i
　 ,//,i<迴'j　　　i　　　　,　ゝ＼. (( .i i　 !
　 l l　/ //　i　i 7 .i　　　ヽ,ヽヽ i i　l l ﾊ　｀!
　 l i　 / i　l l　l .i| |　　 i i　i　,ﾊ　il　i i ,ヽ　!
　 l i　i l ,　l. !　|i|i　l　i i l i　l l　ﾊ7i　i l i ゝ,.｀'i
　 ,i i l l　!　i ヾ i　l ＼i i lﾊi i i l　ﾉl　| i l　 .l　}
. // /i|　| i | i l_.,,((、ii､ |il! .だ｀｀'i.7　l l|　 .'y l
//,'´　i＼＼ヾiFｯﾐ''ｼi　　弋__沙7　//i　./ ./　　　　　　　「集合は？」
イ　.,/′ヽゞゞ≦汗彡'　 ,　　　.//　li　| / /
　 /,,_　　 }li ゝ､i,　))　　｡　 . lil　.li l i ,l .{
　l　　　　7 i! !i)..ゝ．.,_. 　　,.／il　 il　＼＼＼
　　　　ノ i/ //-‐'′κ,｀"-　>ヾ　! >.-‐'ゝゝ＼
　　　/''"　~´ ,/ | k>っ>b, ,,.,ciyi)-ゝ　　　＼ヾ
　　 7ζ　　_ / l　ξl lゝ､ . ／l .!　i l　　　　　iゝ｀l

――――――――――――――――――――――――――
　　貨幣の入った革袋を受け取る雪華綺晶は全力で無視。
――――――――――――――――――――――――――

372 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:26:00 ID:qLkNzrF6

四８５．
―――――――――――――――――――――
　　集合時間と場所を告げたやらない夫も無視。
―――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　 rヽ　　／　ノ　　＼＼
　　　　　　　　 i　!　　|　（●）（●）　|
　　　　　 r;r‐r/　|. 　|　　（__人__）　 |　　　　「二十二時までに東の門だ」
　　　〈_L (｀ヽ .}　　|　　｀ ⌒´　　ﾉ
　　　　　l｀（｀`/　.　 |　　　　　　　 }
　　　　　ヽ　　l　　.　ヽ　　　　　　}
　　　　　　|,. 　 l　　 /⌒　　ー‐　　ｨヽ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／⌒ヽヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 __＿　　 ,、＿＿　　 |/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　‐＝ﾆ_ : : : : ｀Y: :`: : : : : : ｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , イ: : : : : : : :l: : : : l: : : : : : : : : ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／;:／: : : : : : : |: l : : |、: l: : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/／/ , : : : : :l_:_/|: l : : l l_:_|_: : : :ヽ: : : : l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / /: : : :/ 'l:./｀|: l: : { ´l: |､｀ヽ: : l: : : : !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,' /| : : /: :/|{　 l/l: : |　ヽl　＼: : :l : : : l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|/ |: : /: :ﾊr┯┯ l : | 　┯┯yl : |: :＼l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「了解」　　　　.　　 |: :lｲ ;'ハｂ::|　ヾｌ　　ｂ::!　l l: l｀ｌ:`ﾒゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ| ﾚ |: :ｌ￣　　　　　￣・ｌ l/ｰ': :l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l.:|: :ゝ､._　ｰ'ｰ'　　_,.ｨ': : l:: : :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |.:|: : : :__二７T ¨´lヽ､| : :l: : : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |.:|: : :|| 　　 l´＿__7　|: : |､: :│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:,ゝ､:ヽ　 │　　/　/: :/　!:: :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:l＼ヽ: l 　 |　　/　 l: :/／.|:: :|

――――――――――――
　　頷いたコナタも無視だ。
――――――――――――

374 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:27:00 ID:qLkNzrF6

四８６．

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ｨ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,　　　　　　　　　　　　,,. 　　 ,.　　　　.／::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / | 　 /|　／|　　　　 _,,.ｒ':/　／::|　　／::::::/
　　　　　　　　/|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::::i　 /::i　|:::::i　 ./'''"´:::::/ .／:::::::|　 ./::::::::::/
　　　＼_WＷ/ |WWWWWWWWWWWWW／　　　　　 ./::::::::i　 |::::! .i::::::i　/::::::::::,,./／:::::::／　 /::::::::::/
　　　≫　　　　　　　　　　　　　　　　　　　≪ 　　　　 i::::::::::i　 i::::i　i:::::::i/:::;.r''" ／:::::::／　　/::::::::／
　　　≫　　リーダー殿にもの申す！　　≪　　　　　　　i:::::::::i.　i::::i,/i:::::/'"´　.／:::::::／　　 ./::::::／
　　　≫　　　　　　　　　　　　　　　　　　　≪　　　　　 i:::::::::i. i:::/::::i:::/　　／:::::::／　　　 /::::::/
　　　／MMMMMMMMMMMMMMMMM､＼　　　　　　 i:::::::::i i/:::::::i/:| ／::::::::／　　　　/::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i:::::::::"::::::::::／ |:::::::／　　　　　 /::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i:::::::::::::::／　　i::／　　　　　　./::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i:::::::::／　　 i/　　　　　　 /:::／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .i::::::::i　　　　　　　　　　　　/／
　　　　　　　///　//　///　　　///　　　　　　　　　　　 i:::::::i　　　　　　　　　　　　^
　　　　　　//// // ////　　　///　　　　　　　　　　　 i:::::::i　　　　　　　　　／i
　　　　　//// // ////　　　///　　　　　　　　　　　　 .i:::::::i　　　　　　　　　　／::::::i
　　　　　／￣￣´｀ヽ _　 // // //　　　　　　　　　　　 .i::::/　　　　　　　　　　i::::::／
　　　　 (　　ゝ/￣ ,　　￣￣￣￣　　　　　　　　　　　　　　 i/　　　　　　　　　　　i／
　　　　 (｀ー‐|　 /!
　　　　 (｀ー‐し'ゝL _
　　　　　(--‐‐'´}　　　 ;ー------
　　　　　｀ヾ-‐' ーｒ‐'"
　　　　　)　　　　　て
　　　　／^⌒`Y´^＼
　　　　　　ﾚY^Ｖ^ヽ

―――――――――――――――――――――――――
　　自業自得なのだが、あまりにも冷たい彼らの反応に
　　酷いじゃありませんか、とテーブルを叩いたエルは、
―――――――――――――――――――――――――

381 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 22:30:10 ID:2u2E.a7k

>>374
つぼったｗｗｗｗｗ

375 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 22:27:37 ID:Wld/9VhQ

マジギレすんなｗｗｗｗｗｗｗ

376 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 22:27:39 ID:8l2edAzM

※3人とも遠い目です

377 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 22:27:43 ID:TOJsIHUI

なんて仲良し家族w

378 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:28:00 ID:qLkNzrF6

四８７．

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ハ :::: :::: :::::::::::.::::::::::::::::ヽ::::::::､::::::::::::ヽ ::::::..ヽ::::::`､ :. ::::::ヽ :::::.:.::｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|／| ::: :::リ､:::rＮヽ＼::::ヽ､::::ヽ､::::::丶＼　::.＼:::::ヽ .:. :::::｀ヽ‐- ､_:::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　ﾊ ::.:.::!　V　/　＼ヽ::i ヽ:::| ｀ヽ::､::｀ヽ丶､:::丶､::､ :::::...､::::＼　｀`ヽゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 { ヽ.: ::l 　　/　　　　ヾ　ヽ:i　　i| ヽ::::ヽ＼｀`'' ‐---::::ヽ:::＼rヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ';:: :! 　〈　　__　　　　　ヽ　　|　 ',::::::: :＼:.::､｀ヽ:＼::::::ト､::丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:: ﾊ　　`　　　　　　　　　　　 }:::::::. ::::ヽ::ヽ::.:＼:ヽ､ヽ　｀` ｰ-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|/l:ハ　　､　＿＿　　　　　　　ﾊ:::::.::| :i:.:ヽ.:i::: :､:ヽ}　｀`
　　　　「戦闘中に私が貧血になっても　　　　　　　　　　ノﾉ'　l心　　`ー‐一`　　　　　 ,. '|:::::::| :| :.::.N :;､!`､ヽ
　　　　良いのですか！？」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |ハ　　　　　　　　　,　'´　i!::::::| ::|　:.ハ | ＼ヽ!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘヽ　　　　　 ,.　'´　　 ,/!/ |: :::､　!　 i|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__　 __,.ノ/ 　ヽ __,,.　'´　　　　　ノ　l,ｲ:: ﾊ:{ 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,..､,.ィ"r''"´　 .:::　　　　r　　　　　　　　　/ /　|､:! ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,.. -‐''"´　{　　ヽ　　 r　　 i　ヽ＼　　　　　　／　　　: ヾ丶､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　 |　　ヽ＼　　　　ｌ　　＼!　　　　　/　　　　　　ヽ　｀ヽｰ-､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　|　　　　　ヽ　＼　　ヽ　　　　　　　　i　　　　　　　　　　ﾉ /　ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､　 |　|　　　　　　　､　＼　　　　　　　　　　ノ　　　　　　　　／ / r　　　｀`丶､

――――――――――――――――――
　　涙目で戦力への影響を大いに訴る。
――――――――――――――――――

　　／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　（ ●）（●）
.　|　u.　　（__人__）
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　「………そんなにか？」
.　 |　　　　　　　 }
.　ヽ　　　　　　 }
　　ヽ　　　　　ノ
　　 i⌒＼ ,__(‐- ､
　　 l ＼　巛ー─;＼
　　　|　｀ヽ-‐ーく＿）
.　　　 |　　　　　　l

―――――――――――――――――――――――――――――――――
　　あまりの真剣さに腕を組んだやらない夫が、仕方ないなと思ったところで、
―――――――――――――――――――――――――――――――――

379 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:29:00 ID:qLkNzrF6

四８８．
―――――――――――――――――――――――――――
　　ニヤリと笑ったコナタがハッタリである事をばらしてしまい、
―――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, ': : : :／/: : : : : : : :/: : : :/＿/ / l: : : : : : :|: : :|: : : :l: : : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : :／　/ : : : : : : :/: : : :/´: :/ l｀　|: : : : : : |: : :|､: : : !: : : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. /: :／　 /,ｲ: : : : : /: : : : /: : /　!　　l: : : : : ∧: : ! ＼: :!: : : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/／　　 // |: : : : : :!: : : : ,! : /　 !　　 !: : : :/ ヽ: :|　ヽ｀ヽ､ : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!'　 l: : : : : l: : : :/.|: ,' 　 !　　　 !: : : ! 　 l: |　ヽ: ヽ: : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | : : : : |: : :/ !|/'ｰ- |､　　　 l: : l　　 ', l　　ヽ: ヽ: : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | : : : : |: :/l　 |__　　 |　　　 !: |.　　､'|　　　ヽ;!､: : : :
　「平気。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|: : : : :,!: !: l　 r ' 　i !　　　　| |　　　/｀''―- ､ヾヽ: : :
　貧血なんて今まで見たことない」　　　　　　　 !: : : ｲ|/: :,!　 !ヽ-'/ 　　　 l:! 　　!_ 　　　 /l: :∧: :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　',: : l l |': / 　｀ｰ'　　　　　 |　　 r‐' 　 i　./ ,' / : l : :!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ:| | |: :!　　　　　　　　　　　　 l､ヽ.ノ,. ' /:/ : : | : l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'.| | |: : ＼　　　　､__　　　　　 `　'´　/:/ : : : ,!: |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | |: : : : |ヽ､　___　 `ｰ'　　　　　　･ /:/: : : : :/!/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | |: : : : |: :／／ヽ　　　　　　　 ,.. /:/: : : : :/´|: :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | |: : : : |/ /　/´.,'‐;!ー――,.i' ´-.//: : : : :/ : :|: :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | |: : :/7 /　/　/　l｣　,.. ''´:::::::::::::/': : : : : / : : |: :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | |: : !　　　　　 |／::::::::::::::::: , ': : : : : , ': : : : |: :

　　　　　　　　　　　　　　　　,､　　_　.　---　‐-　 .,_
　　　　　　　　　　　 ,r' ｀ｰ､ ,ﾊ｀ヽ／(⌒　　　　　　　｀ﾐ､
　　　　　　　　　　　　ｌ　　　rｧｫ7ﾊフー'　　　 ,　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　ｌ i　　ｲゞﾝ7ﾊ!_　 /　　/　　　　　　　　ﾌ､￣了
　　　　　　　　　　　/　　　ゞアン'　　/　　 /　　　　　　　　　ヽヽﾌ　ヽ
　　　　　　　　　/　　 //　｀Y　　'　　　/　　　　　　　　　　　ヽ'　　i
　　　　　　　ｿ　　 ./.ｌ　　　　）/　　 / -/-/─ /　,　 /｀　　ヽ　 l
　　　　　　　　,／,　　　　 i　　￣　/　　/　 / / / /　/　/ｌ､　　　ヾ i　 l
　　　　　　　/／/　　　　|　　　 i　i　　,'r{辷ト､/ /　/　/ﾘ　＼ l 　 i .l　l
　　　　　　（　 i　　　 i.　l l　 l　l　l　　.ﾊﾞY^ド{ /／／ / / 　 i　　l　i .l
　　　　　　　　 l　　　l　　ｌ　 l　 l. ! 　ゞ弋ソソ　　　 ,ｨfﾃﾄ､　ﾘ　　|l　l l
.　　　　　　　　ヽ　 / i.　 l　 l　 l. !　 .| ｀)）　　　　込ﾝ/　､ .i.　 l　l l
　　　　　　　　　 i /. /　　i 　i　 l　　 | .((　　　　 ,　　　/,.イ / 　 i　lノ　　　　「………そんな事だろうと思った、よ」
　　　　　　　　／／　i　ヽ l　ヽ　 l 　　　　　　 / ,'　/　 ./　 i
　　　　　　　／／i　　ｌ　　ヽ　　　 | 　　　´￣　イ l/.イヽ　ヽノ
　　　　　 ./　／　 i/　/　　ｌ　　　 |　 ‐- t‐＜　　ﾘﾘ　,ﾊ　＼　ヽ
　　　　　 /　/　　 / ／／　l　　 .从ﾉ～ヽ～'. /　 .//　/　　ヽ　l 　l

――――――――――
　　その結果―――
――――――――――

380 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:30:00 ID:qLkNzrF6

四８９．
―――――――――――――――――――――――
　　演技ではない悲鳴が、夜空にこだましたのだった。
―――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　γ´　｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.',　　　 ,:
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..:`:‐-‐:　‘　　　　　　　　　　　　　　　＼_人＿人∧从＿人_∧_人_从_/／
　　　　　　｀　　, .. . 　　　+　　　　’‘ 　　　　:: . ..　　　　　　　　　　　　　　　　　　　)　　　　　　　　　　　　　　　　　＞
　.　　　　.　　　　　　　　　，　　，:‘.。　+　　，..　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜　　う、裏切り者ォォォォ！！　＞
　　　　，　　　　　　　　　　　　　　’‘ +　　，..　. ..; '，　　，:‘　　　　　　　　　　　　<　　　　　　　　　　　　　　　　　(
　　　　　　　　　. .; : ’　　 '　，:‘.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／＾Y￣∨￣∨^Y^⌒Y^YY^^Y^
　　，:‘. 　　　　　+　　　　　，..　　　　　　　，..　. ..; '，　　，:‘
.　　　　　　　　　　　　　　i　　.. '　，:‘.. ...::　　　　　　’‘ ’‘.;　。　　　　　　　，..　. ..; '，　　，:‘
　　　.　　　　　。　　，:‘. .傘　　　　，..　. 　　　.; '，　　，:　　‘　　　　　　　　|
　　　　　　　　，　　　　傘傘　　　　　　　　　　　，:‘.　　　　　，　；　　　｀　　r^t
:: . .. 　　　　　　　　　　.傘∩傘　　　　　　　　　　　　　　　　　　.. '　，:‘.　　./.:::ﾍ
　　，　　，:‘. 　　　　傘傘傘傘　　　　　　　　　　　　　'，　　，:‘　　’‘ 　.| : :::::|
.　　　 |　　　　　　.　［IIIIIIIIIIIIIII］_____________________________________________　 .r".: ::::`i‘.;　。
　　 .r'^ー--------..i..::::::::::::;;;;i|;;;;::::;:::;::;:::;::::;::::;:::::;:::;:::;::::;::::;::::;::::;::::;::::;:::;ヽ_|.:_;_;;;_;;|_____________.
　　/::;::;:::;:::;:::;:::; ::;:;::;;;| ..:::;:::::;;;;;i|;;;:;::::;::::;::::;::::;::::;::::;／|＼::::;::::;::::;:::;:::;:::;:::;::;..ヽ.;;;;;:;;:;;::;:;:;;::;:;:;;::;;::;＼
　./;;;;_;.;;;_;;:;_;_;;;._;.;;;:;.;;| ∩ ::::;;;;;/;;_;:;;;_;;:;:_;:;:; ;_;::／＼|／＼;;;_;:;;_;_;;:;;_;:;;:;_:;;_;.:;ゝ.:-:;:-:-::-::-:-::-.-ヽ
.´|.::::::: ::::::: : :: :: ::: : :;;| ..:::::::::;;;;;i|;;: : : : : : : : : : :［IIIIIIIIIIIII］: : : : : : : : : : : : : :|;.:;ﾍ.;: ;ﾍ:.: ;ﾍ:. :;ﾍ.: :|
　|: : i^i: : i^i: : i^i: : i^i| ∩ .:::;;;;;i|;;::i^i::: i^i::: i^i::::||: i'⌒`i: ||..:i^i::: i^i::: i^i::: i^i::|;.:|_j; :.|_j; .:|_j:: :|_j;: :|
　|: : Ll:.:: Ll::.: Ll:.:: L.| . .::: .:;;;;;;i|;;;:Ll;::;:Ll;.:..Ll;: ［IIIIIIIIIIIII］ ;Ll;;: Ll;::::Ll;;:::Ll::i;;: : ;: .:.; :.: ;.: .:;.. :.; ;.i
　|≡≡≡≡≡≡≡.| ∩...:::;;;;;i|!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i||: i'⌒`i...||;i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!| ≡≡≡≡≡≡≡|
　|:: ::::: ::::::: ::::: ::::: :.:.;;| . ..:: .::;;;;;i|;;: :: :::: : : ::: :: ::［IIIIIIIIIIIII］:: ::: : : :::: ::: :: :...::::|; ;ﾍ;.::;ﾍ. :.:;ﾍ.: .;ﾍ.: .|
　| : :i^i: : i^i: : i^i::...i^i| ∩.. ::;;;;i!|;;.:i^i:: :i^i: .:i^i: :|| r'⌒`.i..||;;;i^i:: :i^i: ::i^i:: i^i:..i:..LI;:.:LI: :..Li; ::LI;:::.|
　| :: Ll;;: .Ll;;:. Ll; ::.Ll| .:: .:: :: ;;!i|;;::Ll:;:::Ll;;::.Ll;:::|| | ...l.....i ||;;:LI;; .LI;;: LI;;:.Li,::|;:; .;:. :;..: : ;.:;.: ;.:;;;.; :;|
　|;;:..,,;; ;:,,.: ;::,,.:;. ;;,:.;;i!i::.:.:::..::.;;i!Ii!;,.:::.:.:.:::;.: : .:: : :|| L...|., 」.||;;::...:.::: .:::..::.:.:;.:...;;.|"` ""`` ""``"""`"
　　　　　　　　　　　 '''ｰ----‐:' ''' ' '''' ''''' '''' '::＝:/三ﾍ＝''' ''''' '' '''' ' '''''

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382 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:31:00 ID:qLkNzrF6

四９０．
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――――――――――――――――――――――――――――
　　やらない夫達四人がグラナダを出発したのと同時刻―――
――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　γ´　｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.',　　　 ,:
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..:`:‐-‐:　‘
　　　　　　｀　　, .. . 　　　+　　　　’‘ 　　　　:: . ..
　.　　　　.　　　　　　　　　，　　，:‘.。　+　　，..
　　　　，　　　　　　　　　　　　　　’‘ +　　，..　. ..; '，　　，:‘
　　　　　　　　　. .; : ’　　 '　，:‘.
　　，:‘. 　　　　　+　　　　　，..　　　　　　　，..　. ..; '，　　，:‘
.　　　　　　　　　　　　　　i　　.. '　，:‘.. ...::　　　　　　’‘ ’‘.;　。　　　　　　　，..　. ..; '，　　，:‘
　　　.　　　　　。　　，:‘. .　　　　　　，..　. 　　　.; '，　　，:　　‘
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿　　　　　　 ____
　　　　＿　　　　　　　 |　　 _,,-''".:.i.:.:..i"''-,,_　　　|i|:':|
　　　　　||＇　　　　_,,-''||￣／i.:.:.i : .!..: ! : i.:.:.i.:.:＼　|i|:::|
　　　　　||　　　　／　,,,;;;;;;;/..i.:.:.i : .!..: ! : i : .!..: ! : i.ヽii|:.:|
　　　　　||　 ___ /　,,,;;;;;ﾉi.:.:.i : .!....:;　 ;　.;　 ;　 ;　.;　.!..￣ヽ　　　 ___
　　　､__ || __|.:.:.l;;;;;;l⌒i . :.i.___!__;___;__._;___i___;___;___;___;,. .; ..⌒l＿l.:.:.i
　　　 | . || } |..:..i.:.:.i.:.:.i : lll||::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::||..: ! : i : .!..:.!.l
　 _,,-iiiiiiii;;;;;;|. i.:.:.i : .!..: ! : ~;~~.;~~;~~;~~;~~;~~;~~;~~i~~i~ : .!..: ! : i.:.:iﾞ|
∠; ; ;;;;;;;;;;;;;;;|i.:.:.i :. ;　 ;　.;　 ; .__.;___;__.;　 ;　.;__.;___;_.;　 ;　 ;　 i.:.:.i.:.: {__,,___,_,_,____,___
______| ; ;;;;;;;;;;|.:.i.:.:.i .,=､ : ; .. ; ..| ;;;;;;;;;;;|;　 ;　 | ;;;;;;;;;;;|;　.;　 ; ..,=､.. .i.:.|メﾒメﾒヽヽヽヽ
; ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|i : .!..（(|||)）.: !..: ;.|;;;;;;||;;;;|　 ; . ;.|;;;;;;||;;;;|　 ;　 ;（(|||)）.; :!lヽﾒヽ__メヽヽヽ
; ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|i.:.:.;　 `='　.;　 ;　|;;;;;;||;;;;| ;　.; . |;;;;;;||;;;;|! : i : .!..`='! : i :.|ヽヽ; | |ヽﾒヽヽ
ヽヽヽヽヽ l￣l..i.:.:.i.:.:.i.:.:.i.:.:.i : .!..: ! : i : .!..: ! : i : .!..: ! : i : .!..: !.:.:.i.:.:.i !ヽヽ|:| |ヽヽヽヽ
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385 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:32:00 ID:qLkNzrF6

四９１．

　　　　　　　| 　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿　＿_　　＿＿＿______＿＿＿______＿＿＿　　::. .: :. :..|: .: ..: .: .: . :..
　　　　　　　ｌ　　|「￣￣￣￣|￣￣￣|￣|　l __ |　　|iﾟ　＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_|＿___ . 　 |　: . :. .: .:.:.:.: .:. :.
　　　　　　　ｉ　　|l　「￣￣ l　!　　　　.ｉｌ `|　|.こ'|　　|ｌ　|┌────────────┐| 　 | 　 |＼:. :. ::..: .: .: .:.
　　　 /〉 . |　　|ｌ　L　＿」 .|　　　 |i . ｌ　| lil |　　|ｉ　|│～～～　　 OO→ノ⌒v´｀ー‐ │| 　 | 　 | 　l＼ :.: .: .. :. :.:.
. 　　 //.!　.|　　|l 　　　　 | 　　　 |＼ｌ　|(:::)|　　|i｡ |│～～～　　　　　.i'　n_＿Ω_,←│| 　 | 　 |　 l　 |　　:. :. :. :.: .
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　　　 li.!/l　 ! 　 |ｌ　　　　　 l_|　　　 | 　|　|,ｪｮ'!　..　　|└────────────┘| 　 |. .: .:＼l　 |　　　: .: . :.:.:. :. .:
　　　 iｌ　ゝ　　. |l 　　　　 | 　　　|　 |　lli'tl:|　　　　￣￣「| ￣￣￣￣￣￣￣「|￣￣ .:..:.::|: .: . :.: .＼|　　　 : ..: .: .:. . :.
　　　 l!v´ 　ｌ ,､--､　　　　　 | 　　　ｌ　 |　l,lLl.|　　　　　　　|.|================|.|　　.: .:.:.:.:.::|. :. :. . :.: . :. 　　 |＼: .: .:. :. .
　　　く>　　 |_l ￣ l＿＿＿_.|＿＿_ _＼|　￣　　　　　　 .|;|　　　　　　　　... ..|;| :. :._:._.:.:_.:_|: .: .: .: .: : .: 　　 |　 l＼ :.. .:
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　　 <> 　/ 　￣　　　　/￣￣￣￣￣￣￣￣|￣￣￣￣￣￣￣￣ﾞ､　　　　　　◎　　　　 :.: . :.ﾞ､ :.: : :. :. ..　　|　 l　 |
.　〈> 　 / 　　　　　　　 /　　〈〉　　く<<> ＿＿ |　「￣」ﾛ /　　.､,`;　　ﾞ　　　　　　　　　　　　　　: :.ﾞ､ .: .:. ..:.:: .: .. ＼l　 |
　＜ｌ　 /　　　　　　　　 /_､y'＿＿＿＿＿||l|l|i|l|||＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ､　　　　　f´￣￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ :. :. .:＼|
　 l> . /　　　　　　　　 /　i､,l ﾟ､,`,.　<>>　 ||l|i|l|l||| 「「「「」 ,.;`,　　　[o]~　　ﾞ､　　　　|　　ようやく戻ったか。　 | .: .:. :. :. .
　　　/　　　　　　　 /　　/三三/　　 kl　,,　_,,｡| 　　l￣￣| /　　　　　　　　､　　　乂＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ: . :. : .: . .: .:
.　　/ 　　　　　　 /　　/三三/　　＼　　ﾘ ,ｉHｉ.|　　 l＿三l　　　　<>　「」　　ﾞ､　　　　　　　　　　　　　　ﾞ､ :. :.: . . .: .: .: .. .
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387 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:33:00 ID:qLkNzrF6

四９２．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　ティターンズの本拠地にある会議室では、
　　錫杖、鎚矛、盾、冠、腕輪、そして剣の六つの宝具を挟んでの探り合いが行われていた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿ _
　　　　　　　　　　　,r'"´　　　　　　＼
　　　　　　　　　　/　　　　〈±〉　　　ヽ
　　　　　　　　 |　　　, -──‐‐- ､　　|
　　　　　　　!　,r'´.:.::::::::::::::::::.::.:.:.:＼ !
　　　　　　　　　ﾚ'.:.::::r'"´￣￣￣｀ヾ､:::.:.!
　　　　　　　　　 |;r'"´-‐`ヽ　 ,/´-ｰ-､`^i
　　　　　　　　　!jィ〔´（◯）｀二´（◯）｀ﾄ､|
　　　　　　　　　ﾊﾚ' ﾞｰ＝'ﾞ´.:;! ' ｀ﾞ＝‐'ﾞ^ﾚj､　　　　　　　　　　「随分と遅かったな。
　　　　　　　　　l ﾄ､'.., 　 / .::;j,_　｀ヽ　ノｲ !　　　　　　　　　　どこをほっつき歩いていた？」
　　　　　　　　　! ﾘj　i　　　 ^"^　　　 l^iｲｿ
　　　　　　　　　ヾU　',　 ''ｰ＝＝‐''´ ,! |ノi
　　　　　　　＿ _」^i　 ',　　｀ﾆ二"´　,' ,!　ﾄ､＿ _
　　　,r'"´.:.:.:.:.::::::|　ﾞ､　 Y´　　　｀)　/　 |:::::::::.:.:.｀`ヽ
　　 ,!.:.:.:.:::::::::::::::::j　　＼,ゝ‐---‐ 'ﾞ,イ　　」::::::::::.:.:.:.:.:.:!
　　 |/＼.:.:.:.:::::::::|￣￣｀¨`ヾ｀二´イ"´￣ i:::::::::::::::::／|
　　 |.:.::::::＼.:::::::::|　　　　　｀ﾞYi"´ 　　　|:::::::::::::/::.:.:.|
　　 |::::::::::::::i:::::::::| 「***j」　　!l |　「***j」/:::::::::::/:::.:.:.:.:|

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,.. -rー-- .,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 / ,r ''ー　_｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　_,.. ｣ --- ..,_´ ｀ヽ.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　／,. -―‐ ''' ｰ-｀`_- 、ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　/／　　　　　 ,. -　　｀ヽヽ. ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i l/ 　　　　 /r= ､　　　　ヽ_j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　r'"７/´ｰ'´　　＼　　　　',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !　ィ　 ! l　　　　　　　ヽ、　　 ',
　「少々野暮用でな。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　 /l　　｀ヽ　　　　_,__-‐ !'　　　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　 l l‐┬--､　 , ィ--‐'　 l'´l.　　 l
　 ………早速本題としよう。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　ゝ',´ ￣　　　　　　　　|ﾘi　　　|
　最初の契約通り、最初は私が使わせてもらう。　　　　　　　　 |　!ヽﾍ　　　 _ ,.　　　　 /.7i |　　l
　預けておいた証を渡してもらおうか」　　　　　　　　　　　　　　　 ',l l　l`ｰヽ　　､｀__,.　　 /|´ 〃 i　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽヽヽ　 |ヽ　 ''　　／　!ィ'　/ ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿,,ゝヽ_ｰ'r､ `,ｰ-‐_,. -,'- 1ノ- '´ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　｀|｀ヽl r,ﾆ ‐'"　　l .ﾉ　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　r.| 　 l ||　　　　／　／!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r 7ー―‐ ヽ＿_　　|ｨl､　 | !!　_,. -.7　／/　｀' - .,_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾚ' - ..,,_　　　!ﾚ'　　l r､`ﾆ_'_'ﾆ,- ,.ｲｰ'　/　　　　　｀` ｰ-､, -､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ lヽ　　.!.ﾄヽ=‐ '´／ﾉ　／ , -------―‐／　／i

388 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:34:06 ID:qLkNzrF6

四９３．
―――――――――――――――――――――――――
　　否、探り合いや交渉と言う程のものでもない。
　　互いはすでに裏切り、裏切られる事を織り込み済みで、
―――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_ ＿_ _
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　＿　　｀`ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　 /ﾉゝヽ　　 .: .＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　　 ,j　Y　/｀`ヽ､ .:. :.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　/ ｀ｰ‐'_＿__　＼. :.:. :＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !　」イ二＿,/ / ＼.ヽ..: .:.:.:.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,イ二ﾌr =､二´r＝､.:.;ﾞヾj､ .: .:.: .:.〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣｀1(◎,)元,(◎,)_j」＼.::ヽ」.:／
　「………その後、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｲｰ-‐j⌒ゝ‐-‐'ﾞ^iｰ;:'乍7'´
　お前が証を返す保証はあるのか？」　　　　　　　　i{t､　,ｨﾆ>'ヾ､　　j;:;:,ﾍ;「
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゝj,'　 _ ＿,,､､　 .::;ﾚ'ｿ;/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　jﾘ　'"￣｀ｰ'ﾞ ,'　,'::;i;:ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ!　　´￣`　,'　.:j;::;!;:1
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄ､　　　　　.:,ｲィ;:;:/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ｲ!. `ー一‐''.:´/.:.j:;:;:ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| ﾄﾐt､.: .:. .:_,､-‐''"´ .:.::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| | T j 「￣ T　　　.: .:.:.:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿_, イ」 | ,! |　　 |　　.: .: .::.::L_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r77´￣￣　　　　 `ヾj ,! ,! 　　」＿,．-‐'"´.:.:.:`ｰ- ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　//j′　　　　　　　　　」 ! 7´￣　　　. :. ..: .: .:. :. :.. :. : :; ￣

　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,..､-..――..-...､,,_
　　　　　　　　　　　　　　／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　 /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＞￢─＜ﾍ:｝
　　　　　　　　　　　　　　 ,'.:.:.:.:.:.:＞ " ´_.,､:＜:´:￣｀:ヽ、
　　　　　　　　　　　　　 {､∠....､:＜´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヾ:ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　,'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ∧ﾉ
　　　　　　　　　　 ,'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. / ｿ
　　　　　　　　　　　　　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ｲﾉ〈
　　　　　　　　　　 /:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. K}　 /
　　　　　　　　　　　　 /:.:!:.:.|:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ﾉﾉ　/
　　　　　　　　　　　 {:.:.|:.:.:!:.:. |:.:l.:.i:.:.:.:.i:|:.:.:.:.|:.|!:ソ;　/　　　　　　　「………何が言いたい」
　　　　　　　　　　　　 ∨ﾘ:.l|.:.:.:l:.:|:.:|.:.:.:｛{￣｀ :＜ｲｰ ′
　　　　　　　　　　　　　ヾﾍ:,ﾍ:.:.ヾ;.ﾍへ:.ノ: : : : : : :＞:.､
　　　　　　　　　　　　　　∨: :.:｀ー'": : : : : : : : : : : : : :/
　　　　　　　　　　 __ 　　 `_ソ´￣￣￣￣￣｀"ｰ=￢′
　　　　　　　　　　ﾑ7＞＜´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＞､rｪｭ、
　　　　　　　　 .,/ /ー―､:.:.:./:.:.:.:／´￣￣￣￣￣￣´ｰ‐<Kヾ､
　　　　　　　 ,ｲ:{´:::::::::::::::ヽ:/:.:／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ノﾉ:.:｀ヽ
　　　　　　　ハ{{::::::::::::::::::::::／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: //:.:.:.:.:.:.:.:',
　　　　　　 ,'.:.:Y､::::::::::::::::::::i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::://:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.',

389 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 22:34:08 ID:2u2E.a7k

仲間割れフラグ？

390 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:35:00 ID:qLkNzrF6

四９４．
――――――――――――――――――――――――――――
　　後は同盟の破棄をどちらが先に言い捨てるかだけの関係だ。
――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l､　　　　 | _,,.―ｰ''''''''''''''''''''''''―-､,,,、　　　ヽ　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　 |'";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;~ﾞ'ｰ､,,,_　ヽ　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　＼.,,,こ,,,,,,,.､.----―',!'''''''''ｉ￢￢┬---､,_「', ヽ　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,,―''"゛;;;;;,/,,,,ﾆ'"'';,ｿ-ﾆl'|　　｀! ﾞ|　 `'|'ヽ、::;;ﾞ`＼, ＼　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　;;;;;;;;;;;;;;,〈ｰ、　|'l',,.､＿リ､,,,,,ノ　,!　　 |「 ,!广-､,::`'-,|'-、　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　＼,,,,,,,__　;;|:l'　ﾉ　,!」゜ |　ﾞ'ﾆ､.,,,,.／′ ,r'''ヽl'|　.,.-二;､ﾞ|;;;;;ﾞ>　　,/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣ﾟｉヽ／ ,/,l］　|　　 /''ｰ----''"　ヽ　ﾞ/ ,i´iﾝ､|'シ'゛_／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　ﾞi―''ソﾞ,l'　|　 ..,,|　`'ｰ-、　　　　｝　| ヽ| | |;;;,ト''"
　　　　　　　　「妖術師の言葉など、　　　　　　　　.　　　　　　　　 l'￣　ﾚ-'''ﾆ-､,,ﾉ　　　　　,,／″　ﾉ ,i´,ﾉﾞ,|,］
　　　　　　　　誰が信用するのかと聞いている」　.　　　　　　　　＼　　"″　　　　　　　へ、l'　　　ヽ`'',,r"::ﾞ|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　ヽ　　 .,,,,,．_,,,.,,,.､-‐ ″| ﾞi　　　　ｒ‐′ﾞ''l,i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| Ｌ_,,,,,.ﾆﾆヾ＾　　　　　　ヽ　　　|::::::::::::::〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　 .,,,,.――‐‐　　　　　 }　　　l::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　 /.ｒ'"￣｀　　　　　 ,ﾉ　　　/　.:::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ.　 ″　　　　　　　　 '′ ,,／,!　 ..:::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　　 │　　　　　　　　　 ,,/,-'′,/　　 ..::::::::l'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　／　;::::::,／ .__,,,,,,,.､､-ト-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　　　ﾞ-y,,,,,,,,,,.―‐'";;::::,―ｰ''""ﾞﾞ＾::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　　　 ,,,,ｺ::::::::._,,,,,.--‐''ﾆコ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|"ﾆｉＺ'|ﾞﾞンｰ''''"ﾞﾞ゛;;;;;;l'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〔
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　" ":::"."."::::::::::::::::::::::::"　　　　　　　　　　　"

391 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:36:00 ID:qLkNzrF6

四９５．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　バスクも妖術師も、もちろんそれなりの対策と準備をしてこの場に望んでいる。
　　後はどちらがより上手か、でしかない。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　!_,..::::::::=＝:＝=::::;,,,　　　　　　　ヾ
　　　　　　　　　　　 ,／"　　ゞ_,.;:"`~`ヾ,　~`;:::,._　　　　　　`;,.
　　　　　　　　　　　/　,.r-・”~~　　　　　ヾ　　　~~=-;;:...　　　 i
　　　　　　　　　　/　 ,.i　　　　　　　　　　ヾ　　　　　 `;:,,,　　 i
　　　　　　　　　/　　,.ｒii　　　　　　　　　　　ヾ　　　　　　~`;::,,i
　　　　　　　　 /　　i,i　ii　　　　　　　_,,,,:=-- .ヾ::　　　　　　　ヾ_
　　　　　　　 ,/　　 i;i　 ,,i　　　　 _,,.;'ゝ.-.-;;'　　ヾ:::::....　　　　　ヾ
　　　　　　　.r　　yii, =;,.. -;" 　,"~/'-'"ﾆ;'"　　　.ヾ　,.:"^;.　　　ヾ
　　　　　　　l　:': ::::i.∠.,(ﾂﾍ　　　　"　　　　　　　. i: i r　 i　 :　:　　i
　　　　　　 .l　::: ::::::l　　'　 .,i　　　　　　　　　　　　.i::i.iﾍ　i　 :::.:::　　|
　　　　　　,l　:::: :::::::::;,　　.:;" ,　　　　　　　　　　　.i:i　　,i　..::::::::::::　|
　　　　　　l　:::::: ::::::::'.　　　`　　　　　__.,,　　　　 .i!　 /.::::::::::::::::::::::|　　　　　「つまり同盟は解消、
　　　　　 ,l　::::::::.::::::::::{　　　　 -=＝二..ｿ　　　　　　=":::::::::::::::::::::::::|　　　　　そう言いたいのだな？」
　　　　　 l　:::::::::::::::::::ﾍ　　　　　　"`::.,　　　　　　　l::::::: i::::l:::::::::::::|
　　　　　,l　:::::::::::::::::::::::ﾍ　　　　　　　　　　::::/　　j::::::: l::::ll:::::::::::i
　　　　　 ,l .::::::::::::::::::::::::::ﾍ　　　　　　　　:::::/　　 "";'ノj丿|:::::::::l
　　　　　` ,,,,,::::::::::::::::::::::::ヽ　　　　　　.::::/　　　　　　　 ,j:::::ノ
　　　　　　　 ~`=-;,:::::::.___;;i,m;,:::_::;.;:`_;,,/　　_-=＝;""l　""
　　　　　　　　　　　　　　　　　i＼　　　_,...;;:::""　　　　　l
　　　　　　　　　　　　　　　 ___,i ﾍヾ,/"~　　　　　　　　　 l＜,.........____
　　　　　　　　　　　　　　／　,i.,_　］［_}β　　　　　　　___ゞ　　　　　　~~~~~~~~~~
　　　　　　　　　　　　,／　　 i.,_　.］［_}β　__,.-=ゞ"-"~~~~
　　　　　　　　　　,／　　　　i_　 =i i==＝,""~
　　　　　　　　,／　　　　　　　`　i, i
　　　　　　;／/　　　　　　　　　 ,i　i
　　　　/"~//

392 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:37:00 ID:qLkNzrF6

四９６．
―――――――――――――――――――――――
　　茶番は終わりにしよう、と先に動いたのはバスク。
―――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿ _
　　　　　　　　　　　,r'"´　　　　　　＼
　　　　　　　　　　/　　　　〈±〉　　　ヽ
　　　　　　　　 |　　　, -──‐‐- ､　　|
　　　　　　　!　,r'´.:.::::::::::::::::::.::.:.:.:＼ !
　　　　　　　　　ﾚ'.:.::::r'"´￣￣￣｀ヾ､:::.:.!
　　　　　　　　　 |;r'"´-‐`ヽ　 ,/´-ｰ-､`^i
　　　　　　　　　!jィ〔´（◯）｀二´（◯）｀ﾄ､|
　　　　　　　　　ﾊﾚ' ﾞｰ＝'ﾞ´.:;! ' ｀ﾞ＝‐'ﾞ^ﾚj､
　　　　　　　　　l ﾄ､'.., 　 / .::;j,_　｀ヽ　ノｲ !
　　　　　　　　　! ﾘj　i　　　 ^"^　　　 l^iｲｿ　　　　　　　　　　「フン、そう言う事だ。
　　　　　　　　　ヾU　',　 ''ｰ＝＝‐''´ ,! |ノi
　　　　　　　＿ _」^i　 ',　　｀ﾆ二"´　,' ,!　ﾄ､＿ _　　　　　　　いかにお前と言えど、
　　　,r'"´.:.:.:.:.::::::|　ﾞ､　 Y´　　　｀)　/　 |:::::::::.:.:.｀`ヽ　　　　この距離でこの人数を相手には出来まい」
　　 ,!.:.:.:.:::::::::::::::::j　　＼,ゝ‐---‐ 'ﾞ,イ　　」::::::::::.:.:.:.:.:.:!
　　 |/＼.:.:.:.:::::::::|￣￣｀¨`ヾ｀二´イ"´￣ i:::::::::::::::::／|
　　 |.:.::::::＼.:::::::::|　　　　　｀ﾞYi"´ 　　　|:::::::::::::/::.:.:.|
　　 |::::::::::::::i:::::::::| 「***j」　　!l |　「***j」/:::::::::::/:::.:.:.:.:|
＿,ノ.:::::::::::::|:::::::::!　　　　　　 | ||　　　　/::::::::::::/::::::.:.:.:.:L_ ＿
::::::::::::::::::::::::!:::::::::ﾄ､｀`二二ﾆj i |　-ー'/:::::::::::/::::::::::::::::::::.:.:.:.:.:

　　　＼　　　　　＼　＼　　　　 | ,,,--'''''￣　| // ＿,,,,--┐ 　 |　／　　＿,,,...---
. 　　　 ||￣　/l‐|、-/l　＼┌'￣|　　　＿,,,,-ゥ/i｀ヽ、　　.ィ-ァ|　| 「￣' 　 |
. 　　　 ||　 ./,'　| | |、|￣''''ー-____,,--''''',,,-'''~/　＼|..　.／／　|　| |　　　　|
. 　　　 ||　//==| |=|/ー-＜￣__,--'' ￣　　 /.　　　／／.|　　|　| |　　　　|
―--,,,___||_// ┌| |‐---,,,,__￣|　|　|　　　　.　　　／／　　|　　|　| |　　　　|
＿＿＿ .||l /|　| 'l |　　　　　|　|　|　　　　　　　／'''~. 　　 |　　|　| |＿,,,,--|--''''
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　　 ||　 ||/ .|　|　'!　　　　 .|　|　|　　　　　　　　　　　　　　 |　　|　| |　　　　|
　　 ||　 ||　 |　|　　　　　 |　|　|　　　　　　　　　　　　　　 |　　|　| |　　　　|
――||―||　 |　|　　　　　 |　|　|　　　　　　　　　　　　　　 |'.―|‐.| |-,,,,,__　|＿,,,,
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　　 ||　 || 　|　|　　　　　 |　|　|　　　　　　　　　　　　　　 |　　|　| |‐-,_____|
　　 ||　ロ(()==| 　　　　 |　|　|　　　　　　　　　　　　　＼|　　|　| |　　　　|｀''--
　　 ||　 ||　 |　|.　　　／ .|　|　|　　　　　　　　　　　　　　 |＼..|　| |　　　　|
　　 ||　 ||　 |　|.／　／. 　 |　|　|　　　　　　　　　　　　　＼|　＼ |,,,,....--- |----
　　 ||　 ||　 |／　／..　　　.|　|　|　　　　　　　　　　　　　　 |＼..|..＼...　＿__|,,,,,,,,,,

393 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:38:00 ID:qLkNzrF6

四９７．

　　　　　　　7　　　　　　.１　i;;;;;;;;;;;:;;;l　　　　　　ヽ、;;;ｿ;;;;;;;;;;;;;;i!
　　　　　　　ゞ　　　　　　　｝. i!;;;;;;;;;;;;;;i　　　　　　　ヽ;;;i;;;;;;;;;;;;;;;;i
　　　　　　　｀ヾ‐------‐'i　 |:::::::::::::（　　　　　　　ｿ｛i!‐-＿__〕
.　　　　　　　　ゝ;;;;;;;;;;;;;;;;;;|　ヽ_;;;;;;;;;;ﾉ. 　　　　　　ﾉ::::｛..:::::::::::く
.　　　　　　　　　)::::::::::::::::::i　　　￣~~ 　　　　　　　｀--｀ヽ:::::::::::ヽ
.　　　　　　　　 /::::::::::::::::::::）　　　　　　　　　　　　　　　　｀‐----'
　　　　　　　　/:::::::::::::::::.//
.　　　　　　　｛―--―-',/
　　　　　　　　`--――'
　　　　　　　i !　　　　　　　　　_　　　i !　　　　　　　　　_　　　i !
　　　　　二　二~i　　　｛｝｛｝//　二　二~i　　　｛｝｛｝//　二　二~i　　｛｝｛｝//
.　　　　　　|_|　|_|.　　　　　// 　　　|_|　|_| 　　　　　// 　　　|_|　|_| 　　　　//
　　　　　　　　　　　　　　　 " 　　　　　　　　　　　　 "　　　　　　　　　　　　"

―――――――――――――――――――――――――――――
　　見計らっていたのだろう、
　　乱暴に開かれた扉から武器や魔符を持った数人の盗賊―――
　　騎士の格好をした者も混じっていたが―――が現れ、
―――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　 _,,. ----- ､
　　　　　　　　 , -‐ '"　　　　　　　＼
　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　 , '　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l
.　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l
.　　 ,'　　　　　　　　　　　 !　　　　　　　 !
　　 !　　　　　　　　　　,　　,!　　　　　　 !
　　ﾘ　 r　　/　　　/ //　/! l !　!　　　　 !
　　 !　 l!　 /　ｨ／／/ ノ　ヽ!|　|.　　　　　,'
　　 l　 !|　|／ィ -‐ィ／　 __,,.-ヽヽ _,i　　/
　　 ',　ヽ（ヾr't:j､　　　ィ‐t:jｰ,　 lヽl　! 〃
　　　ヽ　ヾ,　￣　　　　｀￣　　 }ィ! l. /
　　　　 lヽ, ﾍ　　 |　　　　　　　　f´ノ /　　　　　「妙な動きはするなよ。
　　　　　ヽヽ '、　ヽ ‐　　　　　 ´ﾆｲﾉ　　　　　　このナイフにはデッド・ニードルが塗ってある」
　　　　　　ﾉｱ∧　ー一　　　ﾉ　!〃
　　　　　　ｰ'ﾉ　ヽ　 "　　　／　　,ｲ
　　　　　　｀　　　ゝ- ‐__´!,,.. -‐' ヾ
　　　　　　　　　　l ,!ﾆi´　 _, -‐_j　 |
　　　　　　　　〃f 7!　　l‐_,ﾆ-'_,..!_

―――――――――――――――――――――――――
　　大仰にソファに座っていた妖術師を取り囲んだのだ。
―――――――――――――――――――――――――

394 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 22:38:26 ID:rfIhMWr2

死亡フラグ確認

395 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 22:38:57 ID:8l2edAzM

ティターンズ
棺おけ行きまで
あと1分

396 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 22:38:59 ID:Wld/9VhQ

暗殺に定評のあるデッド・ニードルさん

401 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 22:41:25 ID:8l2edAzM

>>396
しかしながら暗殺成功率は未だゼロ

397 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:39:00 ID:qLkNzrF6

四９８．
――――――――――――――――――――――
　　そしてバスクが取り出したのは沈黙の魔符。
――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_ ＿_ _
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　＿　　｀`ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　 /ﾉゝヽ　　 .: .＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　　 ,j　Y　/｀`ヽ､ .:. :.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　/ ｀ｰ‐'_＿__　＼. :.:. :＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !　」イ二＿,/ / ＼.ヽ..: .:.:.:.＼
　　　「いかに貴様とて、　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,イ二ﾌr =､二´r＝､.:.;ﾞヾj､ .: .:.: .:.〉
　　　この距離でこの人数を相手は出来まい」　　　　　￣｀1(◎,)元,(◎,)_j」＼.::ヽ」.:／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｲｰ-‐j⌒ゝ‐-‐'ﾞ^iｰ;:'乍7'´
　　　┌― '´￣∧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i{t､　,ｨﾆ>'ヾ､　　j;:;:,ﾍ;「
　　　 ∨ 　　　 ∧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゝj,'　 _ ＿,,､､　 .::;ﾚ'ｿ;/
　　　　∨　　　　 ∧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 jﾘ　'"￣｀ｰ'ﾞ ,'　,'::;i;:ｲ
　　　　　∨　_fヽ　 ∧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ!　　´￣`　,'　.:j;::;!;:1
　　　　　 ∨{ ヽ. ∨ ∧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄ､　　　　　.:,ｲィ;:;:/
　　　　　 ',_}　}　L.... l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｲ!. `ー一‐''.:´/.:.j:;:;:ﾄ､
　　　　　　　|　l　 | , -ミ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| ﾄﾐt､.: .:. .:_,､-‐''"´ .:.::i
　　　　　　　|　l　 l/　 ,'＾r,　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| | T j 「￣ T　　　.: .:.:.:|
　　　　　　　ﾉ　l　/ 　 }　{ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　＿_, イ」 | ,! |　　 |　　.: .: .::.::L_
　　　　　　　{　　　　　 ',　　　　　　　　r77´￣￣　　　　 `ヾj ,! ,! 　　」＿,．-‐'"´.:.:.:`ｰ- ､_
　　　　　　　＼　　　　 ',　　　　　　　　//j′　　　　　　　　　」 ! 7´￣　　　. :. ..: .: .:. :. :.. :. : :; ￣
　　　　　　　　　＼　　　　　|

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　多人数での包囲、対魔法使いに効果の高い複数の魔符、そして致死性の毒を塗った刃物。
　　確かに魔法使いを相手にするには十分過ぎる程の戦力で、
　　彼らが勝ちを確信するのも無理はなかった。

　　もし妖術師がここへの帰還を遅らせてまで準備をしてこなければ、勝負は五分五分だった可能性もある。
　　しかし―――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

398 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:40:00 ID:qLkNzrF6

四９９．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　盗賊達は誰も気づいていなかった。
　　これまで護衛兼手駒としてそばに置かれていた、あの男の姿が最初から無かったことに。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　,,.. -rー-- .,
　　　　　　　／　 / ,r ''ー　_｀ヽ
　　　　　　　　／　_,.. ｣ --- ..,_´ ｀ヽ.＼
　　　　　　　 /　／,. -―‐ ''' ｰ-｀`_- 、ヽ
　　　　　　　l　/／　　　　　 ,. -　　｀ヽヽ. ',
　　　　　　　i l/ 　　　　 /r= ､　　　　ヽ_j
　　　　　　　/　　r'"７/´ｰ'´　　＼　　　　',
　　　　　 !　ィ　 ! l　　　　　　　ヽ、　　 ',
　　　　　　 l　 /l　　｀ヽ　　　　_,__-‐ !'　　　 !
　　　　　　 l　 l l‐┬--､　 , ィ--‐'　 l'´l.　　 l
　　　　　　 |　ゝ',´ ￣　　　　　　　　|ﾘi　　　|　　　　　「つまらん、その程度か。
　　　　　　 |　!ヽﾍ　　　 _ ,.　　　　 /.7i |　　l
　　　　　　 ',l l　l`ｰヽ　　､｀__,.　　 /|´ 〃 i　l　　　　　　………やれ、ジ・夫」
　　　　　　ヽヽヽ　 |ヽ　 ''　　／　!ィ'　/ ノ
　　　　＿＿,,ゝヽ_ｰ'r､ `,ｰ-‐_,. -,'- 1ノ- '´ヽ
　　　　ヽ　　　　　　｀|｀ヽl r,ﾆ ‐'"　　l .ﾉ　　／
　　　　ヽ　　　　　r.| 　 l ||　　　　／　／!
r 7ー―‐ ヽ＿_　　|ｨl､　 | !!　_,. -.7　／/　｀' - .,_
ﾚ' - ..,,_　　　!ﾚ'　　l r､`ﾆ_'_'ﾆ,- ,.ｲｰ'　/　　　　　｀` ｰ-､, -､
　　　　｀ヽ lヽ　　.!.ﾄヽ=‐ '´／ﾉ　／ , -------―‐／　／i

399 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 22:40:42 ID:PZ9CK4Tk

ジ・Oかｗｗｗｗｗ

400 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:41:00 ID:qLkNzrF6

四１００．
――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　所詮、凡夫の集団などこの程度、との命令が下されるなり
　　轟音と共に壁が西から東へ吹き飛ばされて数名の盗賊が巻き込まれる。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　 .,､-ｰ''ｱ:;､-'/　　　　　　 ,,､-'７　　　　　 /￣/＿
　　　　　　　ﾉ　／／／/了　　　 /　／　　　 ,-ｰ―"　＿＿/
　　　　　 .ｲ　　i::/　/ / / 　　　 / ,r',,,,,､- ｧ／-z''"　　/
　　　　　　,|　ノ:ﾉz''"/／ ,,､-ｰ ''"　　,､-ｰ''"　／／/　/
　　　　　 ,ﾘ　/;;;､-''了　 / ,､z''"／|　/ 　　　 |／ ./　/ 　.／＼
　　　　　 i　　 ,､-ｰ'　　 '"／／　/ /　　　　　　　 /／　　＼／;;､-'/
　　　　　/　「"　　　　 ,ﾉ／　 / /　　　　　　　　　　　　　　､-",､ '
　　　　 /　/　　　　　 |/　　ﾚ　　　　　　　　　／　／
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　　　 |／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾚ"

.　　　 l　/　　　ヽ-'　　　　　　　　ﾞｉ,　　ﾞｉ　,　　　　,　　　,　/ 　　,/　　　′,)ﾞｉ　　　　　　　　　　　　　　/(,′
　　　　 .ﾚ′　/(,′　　　　　　　'　ﾞｉ　　ﾞｉ　　ﾞｉﾞｉ　　,.,,' ,,　　/ /　　/　　/　'　ﾞｉ,　　ﾞｉ　,　　　　,　　　,　/ 　　,/
' ,,　　/ /　　/　　/　'　,,_ 　　　＼　　,　' ,　　,'　,; 　　 ;,　',　　, '　,　　／　　　 _,,　　　ﾞｉ.,' .,-` ,. ',./　　　, '　　　　　　／
` ,. ',./　　　, '　　　　　　／r　　｀　　＼　　' ,　';,_,',　　,',_,;'　, '　　／　　´　　r"　　　　　／　　 ;,　',　　, '　,　　／　　　 _,,
　 ;,　',　　, '　,　　／　　　 _,, ｀-.　＼　＼,(　　　　,　′　　　　),／　／　.-´ 　　　　_,-´_,',　　,',_,;'　, '　　／　　´　　r"　　　　　／
　,',_,;'　, '　　／　　´　　r"　　　　　／　　　　ﾞｉ　r　　　 /　　　　　　_,."_,..)　`-"_,,.-´　　／　　-"　　),／　／　.-´ 　　　　_,-´
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　/　　　;,　　　　　';,／_,,.-´　",.- ´　　ヽ　　　　,-"　　　　/,／`;"' ,/_,.-´　 ,.-"　,_,,._　　ノ　V　　　　 ';,　　 ,.;'/　　 _,.-´ _,-"
V　　　　 ';,　　 ,.;'/　　 _,.-´ _,-"　　゛-.,)　　　　　　,　　　　　　(,.-"　　　.-´　　　　_,._,,.-´　　　_,.-´／`;"' ,/_,.-´　 ,.-"　,_,,._　　ノ
　　　　/,／`;"' ,/_,.-´　 ,.-"　,_,,._　　ノ　　　　　　　　　　　　　　　　　,-´　_,-"_,,.-´　　_,,.. -´　　　　　(,.-"　　　.-´　　　　_,._,,.-´
,　　　　　　(,.-"　　　.-´　　　　_,._,,.-´　　　_,.-´　∴∴　, ′　　　　(,..´_,-",::.)_,,.-_,,.-´　　　　　 .,-"　　　　　,-´　_,-"_,,.-´　　_,,..
　　　　'-.,　　　　 ,-´　_,-"_,,.-´　　_,,.. -´. -　　　　　　　　　- .　　　　　　　_,,..-´　　　　　　　,.-'　, ′　　　　(,..´_,-",::.)_,,.-_,,.-´
∴∴　, ′　　　　(,..´_,-",::.)_,,.-_,,.-´　　　　　 .,-"　　　　　`　,　　　　-"　　　ヽ　`､　　　　　　　_,,.- "　　　　　　_,,..-´
　　　　- .　　　　　　　_,,..-´　　　　　　　,.-'　　,　　　　　,　　　　　　　-＝―　　　　） _,,..=-　　　　　`　,　　　　-"　　　ヽ　`､
　　　　　`　,　　　　-"　　　ヽ　`､　　　　　　　_,,.- "" ' 　 '　　　　　　　_,..-"_,,..__、-",　　　　　,　　　　　　　-＝―　　　　） _,,..

403 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 22:42:05 ID:TOJsIHUI

そう来たかwww
高機動化されてそうだw

404 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 22:42:33 ID:8l2edAzM

やっぱりこれって「アイツ」だよな？

402 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:42:00 ID:qLkNzrF6

四１０１．
―――――――――――――――――――――――――――
　　突然すぎる攻撃で現状が把握できないバスクは
　　もうもうと部屋を満たす土煙の向こうを見通そうと目をこらし、
―――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　 -─‐ ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　＃　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　＿＿　i　＿」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |＿＿___／　, =ミV_/,r=┤
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾚr‐､匚}{__　{（　）r‐､{{__j|
　　　　　　　　　　　　　　　　　＿ﾊ〈^ Y　 i　ヽ三彳! ﾄ- ｿ　　　　　　　　＼_人＿人∧从＿人_∧_人_从_/／
　　　　　　　　　　　　　　　　/　 {　ヽ__ ﾄ　＼　　r'　 _〉 ||　　　　　　　　　)　　　　　　　　　　　　　　　　　＞
　　　　　　　　　　　　　　　/　　_|　　　 |　　　　　 , ==ｧ　j ＼　　　　　　　＜　　な、何事だぁっ！？　　　＞
　　　　　　　　　　　　　　/　　 ∧ヽ i￤{　　 i　　￣´　/　　｀ヽ　　　　　　<　　　　　　　　　　　　　　　　　(
　　　　　　　　　　　　　/　　　 |　ヽヽヽ､`ヽ、! 　　　 j　　　　　＼　　　　／＾Y￣∨￣∨^Y^⌒Y^YY^^Y^
　　　　　 _　 -──イ　　　　ヽ　　＼＼`ー､｀ニニﾆ1
/￣⌒V　　　　　　　| 　　　　＼　 r--　､ー‐〒r＝|
＼　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　＼|三三| 　 | | | 匕{

――――――――――――――――――
　　生き残りの彼が最後に見たものは、
――――――――――――――――――

405 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:43:00 ID:qLkNzrF6

四１０２．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　三階にある部屋の壁をぶち抜いて、中をのぞき込んでくる淡黄色の巨大な顔。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　y　　　　　＼　　　　　　　　　　　／　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　ヽW／＼x…/――y＿／＼_,,.,,,.,／　　,,,,m-~＼yzw／'''-z＿人
　　　　　　　　　　　　ゞ/／##　::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヾゝ／
　　　　　　　　＼／$:::::::::::!:::::::::::::::: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::<ゞ　　／
　　　　　　　　　　　＼〉##　 .;:;:;:;.../　　　　＿,,,,,,. !　 ;:;:;:;:;:　! .|　|　　 .!　　　　　　　　　 |　゛#〉　／
　　　　　　　　　　　人##　　,,..ｒ'";: l　　 .i'''.............. !　 .;:;:;:;:;:;:;:.ｌ｀ﾞﾞ¨''''''''"''''''一―-- ､,　　　 .lﾊﾟﾗ##＼

　　　　　　　　　／##　　　　.;:;:;:;:;:;:"　　|　　　　 /　　 ;:;:;:;:;:;:;:..ｌ￣ﾞﾞﾞﾞ"''''''^ﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞ.l;:;:!　　 ,ノ､　##/
　　　　　　　　/＼〉## 　　 :;:;:;:;:;:;:;:.｀'-,!　　　　 !　　　;:;:;:;:;:;:;: ｌ　　　　　　　 |;:;:| .／　　ヽ　###＼／＼
　　　　　　　　　人##　　　　;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;＼　　　,!.i‐'''''''''''j;:;:;:;:;:;:;"　　　　　　　 !;:;:l　　　　　ﾞ'‐　#〉ゞ
　　　　　　／##　　　　､,;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;|_,,,,_,..,' :!;:　　　.ｌ ;:;:;:;:;:;:;＼　　　　　 |;:: `　　　　　　　##＼
　　　　　　　＼〉##　　　　　 .｀'､,;:;:;:;:;:;:;:;:;:　　　l　.l;:;:　　 . ', ;:;:;:;:;:;:;:;:.＼　　,.----;;‐　　　　 . ,./　　　##/　/.
　　　　　　　人##　　　　　　　　 ',;:;:;:;:;:;:;:;:　　 ,!　,!;:;:　　 : ;.! ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;ﾞｰ !　　　 !　　　　.／ ;:;／　　###＼
　　　　　＼/从##　　　　　　 .ｌ;:;:;:;:;:;:./ 　 ,!　 !;:　　　 : ;:', .;:;:;:;:;:;:;:;:;:;: .,'　　　 .!　　　 / 　./　　　　#〉
　　　　　　／##　　　　　　　　　　.!;:;:;: / 　　/　 :! 　　　　,ilーl"ﾞ'i　　　./　　　　ヽ　 ./ .;:,i′　　_＿_　_＿_　_＿_　_＿_　_＿
　　　　／＼〉##　　　i　　　　　　　!　/ 　　 .!　　.!-、　　/! _,, ﾚ''゛　　　ｌ　　　　 ;:　ヽｌ　./　　　　|￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ |
　　　　　　人##　　　・　ﾊﾟﾗ　　..　‐ﾞ　　　　!　　 '-.｀'‐.'"´;::./　　　　 i′　　　 ;:　.,' .、 /　　　 |　コロセ………　　　　 |
　　　　＼/从##　　　　　 .,/　 ,, -一‐i . !　　　l　　;:;:;:.,'　　　;:;:;:lﾞ ..,,＿　　 . ! : .＼. 　　　 |　　コロセ……… 　　　 |
　　　　　／##.　　　　　 .-'"　　... -‐''　　ﾞ'-..,,_ l'-,,,;:;:_../　　 : _ / .ヽ;:;:;:;:;:.,' 　;:｝　,:、;＼..　　　|＿_　_＿_　_＿_　_＿_　_＿|
　　　／＼〉##　　　　　　　　　　　　/　　　!　　　　　　　 '―‐'´　　l　ﾞﾞ"''''" ...／ ./ .ﾞ'､;.＼　　￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
　　　　　人##　　　　　　　　　　　　l　　　l　　　　　　　　　　　　　　　 lﾞ　　　 : ;:/　　l　　ﾞｰ'"　"　　　　　###＼
　　　＼/从##　　　　　　　　　 !　　 .l　　　 .,._,,,,,,,,,,,,,,,＿__.　　　　l　　　　 ;/　　│　　　　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　 .!　　 .l　　　　" ---------ゝ　　 .|　　　　 ,!　　　ヽ..
　　　　(⌒;;;;,,.⌒）:::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;;;;;;;;;;;:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: (;;　｀)⌒;;,,.⌒）
　　　　（⌒;;;;;⌒;ソ⌒;;):::::::::::::-:::::::-:::;;;;;;;;;;;;;;;::::---::::::::::::::-::::::::---::::-::::::::---::::::::::::::-::::::::;:::::---::::::::(⌒;;⌒ヽ;;　｀)⌒;;,,.⌒
　　　　;;;; )(⌒;;ヽ;;｀)⌒;;,,.⌒）::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::(⌒;;;ソ⌒)(⌒;;ヽ;;｀)⌒;;,,."）
　　　　⌒;ソ⌒;;;;'''）ヽ）;;;;;;;,,,,,,）/´〉,､　　　　　|￣|rﾍ'）ヽ）;;;;;ｿ⌒;;;;!"';;;;ｿ⌒;;;;!"'''）ヽ）;;;;;ｿ;;,,,,,,）ソ''"'''）ヽ）;;;;;ｿ;;,,,,,,）ソ''⌒
　　　　⌒;;;;!"'''）ヽ）l､￣￣了〈_ノ<_/（＾ｰヵ　L__」L/　　 ∧　　　　　 /~7 ／））;;;;;;;,,,,,,）ソ'';｀)⌒;;;;'''）ヽ）;;;;;;;
　　　　　　　　　　　　二ｺ ,|　　　　　r三'_」　　　 r--､　（/ 　 /二~|/_/∠／
　　　　　　　　 /＿＿」　　　　　　　　　　　_,,,ﾆｺ〈　〈〉　/￣」　　　　／^ヽ､　／〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__,,,-ｰ''　　　　~~￣　　ャｰ-､フ /´く／／>
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`ｰ-､__,| 　　　`"

407 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:44:00 ID:qLkNzrF6

四１０３．
――――――――――――――――――――――――――――――――
　　どこに待機させていたのだ、と気づかなかったバスクは呪詛を漏らした。
――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　 -─‐ ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　＃　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　＿＿　i　＿」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |＿＿___／　, =ミV_/,r=┤
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾚr‐､匚}{__　{（　）r‐､{{__j|　　　　　　　　「ゴ、ゴーレムか！？
　　　　　　　　　　　　　　　　　＿ﾊ〈^ Y　 i　ヽ三彳! ﾄ- ｿ　　　　　　　　おのれ、おのれぇぇぇぇ！！！」
　　　　　　　　　　　　　　　　/　 {　ヽ__ ﾄ　＼　　r'　 _〉 ||
　　　　　　　　　　　　　　　/　　_|　　　 |　　　　　 , ==ｧ　j ＼
　　　　　　　　　　　　　　/　　 ∧ヽ i￤{　　 i　　￣´　/　　｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　/　　　 |　ヽヽヽ､`ヽ、! 　　　 j　　　　　＼
　　　　　 _　 -──イ　　　　ヽ　　＼＼`ー､｀ニニﾆ1
/￣⌒V　　　　　　　| 　　　　＼　 r--　､ー‐〒r＝|
＼　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　＼|三三| 　 | | | 匕{

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,.. -rー-- .,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 / ,r ''ー　_｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　_,.. ｣ --- ..,_´ ｀ヽ.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　／,. -―‐ ''' ｰ-｀`_- 、ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　/／　　　　　 ,. -　　｀ヽヽ. ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i l/ 　　　　 /r= ､　　　　ヽ_j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　r'"７/´ｰ'´　　＼　　　　',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !　ィ　 ! l　　　　　　　ヽ、　　 ',
　　　　「古代魔法文明が生み出した芸術品を、　　　　　　 l　 /l　　｀ヽ　　　　_,__-‐ !'　　　 !
　　　　ただのゴーレムと一緒くたにしないでもらおう」　　　　l　 l l‐┬--､　 , ィ--‐'　 l'´l.　　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　ゝ',´ ￣　　　　　　　　|ﾘi　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　!ヽﾍ　　　 _ ,.　　　　 /.7i |　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ',l l　l`ｰヽ　　､｀__,.　　 /|´ 〃 i　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽヽヽ　 |ヽ　 ''　　／　!ィ'　/ ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿,,ゝヽ_ｰ'r､ `,ｰ-‐_,. -,'- 1ノ- '´ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　｀|｀ヽl r,ﾆ ‐'"　　l .ﾉ　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　r.| 　 l ||　　　　／　／!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r 7ー―‐ ヽ＿_　　|ｨl､　 | !!　_,. -.7　／/　｀' - .,_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾚ' - ..,,_　　　!ﾚ'　　l r､`ﾆ_'_'ﾆ,- ,.ｲｰ'　/　　　　　｀` ｰ-､, -､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ lヽ　　.!.ﾄヽ=‐ '´／ﾉ　／ , -------―‐／　／i

――――――――――――――――――――――――――
　　対して、終始冷ややかな態度を崩さない妖術師は
　　全く次元の違うものなのだがな、と苦笑しつつも
　　今の間に宝具を回収して廊下側の扉まで待避しており、
――――――――――――――――――――――――――

408 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:45:36 ID:qLkNzrF6

四１０４．
――――――――――――――――――――――――――――――
　　決着―――と言うにはあまりにも一方的な虐殺が始まってしまう。
――――――――――――――――――――――――――――――

　　　ﾞ'''-､｀'-､　｀'-_;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ｀'ﾐ〟　｀'''.ｌｼ､　 .ｌ.;;;;;,i∴;;.″　,-　, ;;ｿ｣彡"　 .,ﾉ".｀--│　　_..-'";;
　　　　　　｀'''''≒　 .｀'-､;;;;;;;i..､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ　ﾞ〈ヽ、　　.ﾞ'､"x. l;;;;;|. ..!./ 　/ .,rｼ",il'"　　　　亠　　　 ._iir㍉;;;;;;;;;;;;;;;
...,,、　　　　　　　　　　　｀''-_ヽ｀'-､;;;;;;;;;.;_;;;;;ヽ,　ﾞ'ﾍ　　　. ｌ;;;丶;;;;｝｀　　.,;;ｿ゛　　　　　　　　　 ´　 /ﾞ;;;;;;;; ／
ー二ﾞﾞヽ ,,、　　　　　　　　　｀'!‐　｀'-,;;;{. ｀'-､;ﾞ!、　　　 .l-'､.ｌ.;;;;;;;;;.!　　.,il″　　　　　　　　　 _,,　-'";;;;;;;;;;;｀￢
..,,..........ﾌ;;;;;;;;｀''‐ ,,、　　　　　　　　 ,ﾞli/､　｀'､.ｌ,　　　 .｀'/'./ ;;;;;lﾞﾞ　./　　　　　　　　 , r二-''''"￣￣´ﾞ''y;;;;;
^ﾞﾞﾞﾞﾞﾞ'''''".'''''.'''ヽ-..;,ﾞﾆ＿　　　　　　　　｀ﾞﾞ''''＞x, ﾞ ll、　　　 .!､/.ｌ;;;,!　i'　　　　　　　　　 ''"　　　　　｀-￢'''
　　　　　　　　　　　　｀'''｀-ヽ,,　　　　　　　|､｀''ﾆi几　　　　 ″|;;'!
..,......xi，　　　　　　　　　　　｀'''ﾐ;;ｘ、　　　　´　　 .｀ l､　　　　　l､;.ｌz'ｱ　　　.,i;;|lrl!!!!¨'″　　 ,,,
　￣　 ..,,u．.-..、　　　　　　　　　｀''ｽｯ、　 y ..、　　 !li　　　　 `l/ l/　　 ..il′　　　　　　 ,,iｌ'"´
:ﾆﾆ;;;;ｭiｘ..,,,,,_.　.｀'s､　　　　　　　　　　ﾞ''く、 |;,_｝　　　.ゝ　　　 .″,l′.,，　　　　　　　　 .,.″ .＝　　.r!″　'.ｌy
　　　　　 . ｀''-ﾞ二;;;;｀ﾞ''''､　　　　　　　ﾞ" ″　　　　　　　　　 iﾘ.,〃　　　　　 , .｀ j,i′　　　　　　　　 l!
＿__,＿_＿_＿_＿_i;;;;;;;;;;;;"―　..,_　　　　　　　　　　　　　 l;;ﾘ"　 i､　　　　.,ij"　_,/.ｌ_、　,,irｰ　　　　 .∧　._.
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.xｯ----｀-=- ..　　　　　　　　　　 i|'" -｀--ﾐヽ､..,,ノ;フ'"ﾞ'-ぃ〈￣.ｺ;;-､___,.. -";;;;;~ﾞｨ
.,ﾝ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,,..一'''''''ｰ､,;;;;;;;;｀'ｰ- ..,,、　　　　　　　　　　　　゛　　　　　｀'.ｌﾐ,ﾞ゛　　　　　　＼;;ヽ＼ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;./ 　　　　　　｀くv-￢'''"ﾞﾞ´　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!.i''~ｌｭi,,、　　　　ヽ,,,,ﾞ' ＼ ;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i‐′　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !;ヽ　　｀'Ｌ　　　　ﾞ".! !　`ぃix,;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;/　　　　　　 : _,i〟　　　　　　　　　　　　　　 _..〟　　　　　　　 |;;;;;;;ﾞ''-､、.ﾘi　　　　!＞　　　ﾞ'ｉｌヽ.;;
;;;;;;;;;;;;./　　　　　 ,..r/「″ 　　　　 ,,rj″　　　　 Y''フ'´　　.▽　　　　　　　,i";;;;;;;;;;;;;;.ｌ'!ﾐiv ､　　　,.ｌ|x,　　　ﾍ.ｌ.ヽ
;;;;;.／　　　　 .,r彡'" 　　　　　 '!レ'"　　　　　 .//　　 .,r､　　　　　　 f'"｀''./ ;;;;;;;;＼.ﾞ'-､''-..,,,｝;;;;;ヽ　　　ｌ"l,.
／　　　　　　 ´　　　　　　　　　　　、　　　　　,ノ;/　　　 ¨゛　　　　　.,,〟　　　　.ヽ;;;;;;;;.ｌﾞ'!)i、｀＼;;;/'''''-＼,　　∨
　　　　　　　　　　　 ,,、　　　,,〃　　　.,..;;ﾆi /　　　　　　　　 ´　　　　　　ヽ;;;;;;;ﾞ;;､ `　　ﾞ'ﾐ､　　ﾞﾞ'ﾆ;;､
　　　　　　　　　　　　　,i彡　　　/│　　　 ″.,〃　　 .,i;;　　　 .,-、　　　.i;;;;;i　　　　　.ｌ.;;;;;|..ﾞ'|l、　　　ﾞ'li、　　　ﾞ'ﾐ
　　　　　　　　　 ,iｸ゛　　　　l";!I　., ―--ｸﾞ　　.n /゛　　　l/　　　　 .ﾞ‐'"　　　　　.ｌ;;;;;.ｌ　.ﾞ'ｆ、　　　ﾞ.ｌx　　　　ﾞ'
　　　　　.,l　　　　.,ﾝｸﾞ　 ,．　　/ ;;;;ﾞ‐',,､;;;;.;i′　　 :!┤　.lL　 .`　　　　　　　　　　　　ｌ;;;;;.ｌ　　ﾞ|''､　　 . ｌヽ
　　　　 .,l|　　　../ ;/　〃　 ./ ;;;;;;;;ｒ'" !" .lﾞl　　　 : |;;|　　｀　　　　　　　　　ﾞlｭ　　　!;;;;;.!　　ﾞ'ｉ;ヽ　 i､゛

409 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:46:06 ID:qLkNzrF6

四１０５．

　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　!_,..::::::::=＝:＝=::::;,,,　　　　　　　ヾ
　　　　　　　　　　　 ,／"　　ゞ_,.;:"`~`ヾ,　~`;:::,._　　　　　　`;,.
　　　　　　　　　　　/　,.r-・”~~　　　　　ヾ　　　~~=-;;:...　　　 i
　　　　　　　　　　/　 ,.i　　　　　　　　　　ヾ　　　　　 `;:,,,　　 i
　　　　　　　　　/　　,.ｒii　　　　　　　　　　　ヾ　　　　　　~`;::,,i
　　　　　　　　 /　　i,i　ii　　　　　　　_,,,,:=-- .ヾ::　　　　　　　ヾ_
　　　　　　　 ,/　　 i;i　 ,,i　　　　 _,,.;'ゝ.-.-;;'　　ヾ:::::....　　　　　ヾ
　　　　　　　.r　　yii, =;,.. -;" 　,"~/'-'"ﾆ;'"　　　.ヾ　,.:"^;.　　　ヾ
　　　　　　　l　:': ::::i.∠.,(ﾂﾍ　　　　"　　　　　　　. i: i r　 i　 :　:　　i
　　　　　　 .l　::: ::::::l　　'　 .,i　　　　　　　　　　　　.i::i.iﾍ　i　 :::.:::　　|
　　　　　　,l　:::: :::::::::;,　　.:;" ,　　　　　　　　　　　.i:i　　,i　..::::::::::::　|　　　　　　　「まあ、肉片には不要な教養だがな」
　　　　　　l　:::::: ::::::::'.　　　`　　　　　__.,,　　　　 .i!　 /.::::::::::::::::::::::|
　　　　　 ,l　::::::::.::::::::::{　　　　 -=＝二..ｿ　　　　　　=":::::::::::::::::::::::::|
　　　　　 l　:::::::::::::::::::ﾍ　　　　　　"`::.,　　　　　　　l::::::: i::::l:::::::::::::|
　　　　　,l　:::::::::::::::::::::::ﾍ　　　　　　　　　　::::/　　j::::::: l::::ll:::::::::::i
　　　　　 ,l .::::::::::::::::::::::::::ﾍ　　　　　　　　:::::/　　 "";'ノj丿|:::::::::l
　　　　　` ,,,,,::::::::::::::::::::::::ヽ　　　　　　.::::/　　　　　　　 ,j:::::ノ
　　　　　　　 ~`=-;,:::::::.___;;i,m;,:::_::;.;:`_;,,/　　_-=＝;""l　""
　　　　　　　　　　　　　　　　　i＼　　　_,...;;:::""　　　　　l
　　　　　　　　　　　　　　　 ___,i ﾍヾ,/"~　　　　　　　　　 l＜,.........____
　　　　　　　　　　　　　　／　,i.,_　］［_}β　　　　　　　___ゞ　　　　　　~~~~~~~~~~
　　　　　　　　　　　　,／　　 i.,_　.］［_}β　__,.-=ゞ"-"~~~~
　　　　　　　　　　,／　　　　i_　 =i i==＝,""~
　　　　　　　　,／　　　　　　　`　i, i
　　　　　　;／/　　　　　　　　　 ,i　i
　　　　/"~//

――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　もはや詮無い、と肩をすくめた妖術師は悠々と血なまぐさい廃墟を後にする。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

410 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:47:00 ID:qLkNzrF6

四１０６．

　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:::::::::ﾍ
　　　　　 /　　　 / 　　　　　　　　　　　　　　ﾍ:. 　　　 :::::::::::ﾍ
.　　　 /　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾍ::. 　　　::::::::::::ﾍ
　　　　/　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::: 　　　 :::::::::::::|
　　　 | 　　 / 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::: 　　　 :::::::::::::|
.　　 |　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i|:::　　　　:::::::::::::|
　　　|　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::: 　　　 :::::::::::::::|
　　　| 　 / 　＿,,..r-＝77= ‐- = ≦ー＝へ､_　　　i|::::　　　　::::::::::::::|
　　,/　　ﾞ＜´:::::::::::::::::::::::　ﾍ Vﾀ':::::::ヽ::::::::::::::::＼　 }::::　　　　:::::::::::::::|
　　{ 　　　／::::::::ﾊ　　{::::丶ﾐ::::::::: '　　　　　　／　＞"::::　　　　:::::::::::::::|　　　　　　「では祭壇で待つとするか。
　　＼／::::::::::::::ﾊ　　|::::::小.:::::::: 　　 _,　　 ∠._,'＼　　　　　 :::::::::::::::/
　　　　＼:::::::::::/::::::|　 |:::::::i::::ゝ. 　￣　　　_,.r- !／　　　　　:::::::::::::廴,　　　　　　 ………果たしてどんな顔を見せてくれる？
　　　　 / :::::/::::::::::::|　|::::::::::::::::::｀ヽ.＿,. ／　　　　　　　　　_,.;r=≠≦::::｀ヽ　　　　いや、そもそも気づくのか？」
.　　　 / ::::/　:::::::::,'　,'::::::::::::::::::::::::::::::／　　　　　　　　　／､::::::::::::::::::　::::::::}
　　　/ ::::/ 　　　,'　/:::::::::::::::;;_::::::::::/___,.. -─　　　　　　　　~ﾞ'-=　￣::::::::/
.　　/ ::::/ 　　　,'　/::::::::::::::::|　ヽ-'´　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ::::::〈
　　/::::::/ 　　　/.､-───-ﾄ､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　::::::/
.　/::::::/ 　　　/.::::》　　　　　　'{　　≦=≠ 　　　　　　　　　　　　　　:::::{
. /:::::/ 　　　/ :::::::＼_,.=＝≠､/二￣　　　　　　　　　　　　　　　　　　:::::j

――――――――――――――――――――――――――――――――
　　もし見られるならあの小僧が絶望に歪み、泣き叫ぶ様子が見てみたい。
　　その上でやむを得ず殺すか、殺されるかを選ばせたい。

　　珍しく高揚した様子でフードをかぶった妖術師はそう独りごち、
――――――――――――――――――――――――――――――――

411 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:48:00 ID:qLkNzrF6

四１０７．
――――――――――――――――――――――――――――
　　一足先に大地の祭壇へ―――
　　自分の目的地であり、決戦の場であろうそこへと赴いたのだ。
――――――――――――――――――――――――――――

f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ
|　　変わり果てた知り合いの、この姿に―――　　 .|
乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 rrﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {{　〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r{}]、　　　　》く
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　│　　　　 /　/　＿＿
　　　　　　　　　　　　／⌒ヽ、　　　　　　l　ﾊ　　　 /　/　ノ {二}　＼
　　　　　　　　　　／ {二}厶ｨヘ､　　　「ﾄ､|│　　 /　厂⌒L__　　八
.　　　　　　　 /　　厂｀⌒Y^ハ＿＿ {」_j込二二二ﾉ　 rｭ　　ヽ　|　＼
　　　　　　 /　ﾑ_/　/7　　ヾ_」コ}　ﾉY7厂]疔ﾐ､_/　　ﾄj　　　ﾉY ⌒ヽ_〉
　　　　　　　　〈／　〈　〈7 ＿, ／ィ＝＝ァ　_ノ／ﾘ「|　　　＿,ィﾆ　ヘ､__／
.　　　　　　　　＼／7⌒厂７┐　　　　　　r┬ｭ　 ⌒厂厂{　＼　＼　＼
　　　　　　　　　　　 /　/}　{「¨´ r一-､　　　￣　　「]「了Lﾊ　　＼、＼　ヽ
　　　　　　　　 /　/ ﾉr八　　!　　ﾉ>　　　　　　　 |川　∨⌒「　| 　＼ﾉ
　　　　　　　　　　/　/ 厂¨７＼仏rｰK_厶ィー―‐rヘくｰ{　ノTLﾉァﾊヘ」_
　　　　　　　〈_.ノ /　　厂{ （に(Zrｭ二(ココｺｺ广ヽ＼＼|　[彡ｲ「　　 |
　　　　　　　　　　 / 　 /,Lr厂７ｰr冖f⌒「7ー'´ ＼　＼　ヽ_ LL! |　　 |　　　　「コロセ………
.　　　　　　　　　 / 　 //　/　/　ト-ﾉ　亅|　　　　ヽ、ヽ　　|　　厶ヘ_ l　　　　コロセ………」
.　　　　　　　　　厶ィ〈/　 /　/ 　丨　!　￤ ! 　　　　ヽ厂７7≦厂ヽﾉ」
.　　　　　　　　　{{ァﾉ７　 /　/　　 !　 !　 |　|　　　　　　|止ヲ〈ｰ∠ミ､ﾉ
.　　　　　　　ヾ彡　 /　/　　　│　|　￤ l　　　　　,ィ} ]ト-くヾニﾆﾌ
　　　　　　　　〈　 /　〈　　　 i　 L__」　!　　　くノ厶ィミ、
　　　　　　　　　　　＼{「￣ヽ,　　　|　 l「⌒ヽL__／ヽ　 /　　　ヽ
　　　　　　　　　　　ﾉ!L.＿_〉、　厶　lL＿_」く_／　／　　　　　＼
　　　　　　　　　　厂ーr一ｧﾊノ＿} 厂￣ヾソ___／　　　　　　　　ヽ
.　　　　　　　　　 /　　　!　　　　〈　　　　　　l　　　　「l　　　　　、
　　　　　　　　　 /,ｨ　　/　　　　　　　ヽ　　　　　|　　　　L!　　＿　　　ヽ
.　　　　　　　　 /〈/　 /　　　　　　　　∧　　　　　　　　 -　ﾆ　-　､＼　「
　　　　　　　　　/ﾊ-､_/　　　　　　 /　L.　　　　l　　/ rく　　　 |　　　￢L
　　　　　　７’　/＼　　　　　　　厶　 |　　　　　 |　|　ヽ　　ﾊrf{￣￣ l
　　　　　　　　　「ヽ/　　＼　　　　 r弌ヽノ　　　　　ヽ」　L＿_Y⌒｀Ⅵ＿＿」
.　　　　　　　 |　|　　　／マー{厂　￤ﾊ　　　　　　　｀￣厂￣L__/厂　ト､
.　　　　　／⌒ー≦く／　　｀⌒ヽ」ﾉト､　　　　 r-イ|　「]　　　〈7　i　厂ヽ
　　　　　　／　　　／　　/　　　　　 | rf￢｝　　　ﾉ　 | l 　　　　　 | 仄ｧハ
　　　　　くー―‐く　　　/ に二ｺ[二]_⊥ﾆ二ﾌ　　　に(ｺ| ヽ､＿＿＿＿ﾉ L厶「ﾘ
　　　　　　￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣´　　　　　　｀￣￣￣￣￣￣￣￣￣

―――――――――――――――――――――――――――――
　　全長十メートルを超える、古代の殺戮兵器に身を変えた―――
　　キル夫だったものを引き連れて。
―――――――――――――――――――――――――――――

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━━━━━━━━━━━……

413 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:48:22 ID:qLkNzrF6

本日の投下は以上になります。
ご閲覧、合いの手ありがとうございました！

次回は第四章第二話になります。

414 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 22:48:48 ID:oz1A1tnk

ちょ、ここでヒキとか！

乙でした！
次回が待てない、待ち遠しい！

415 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 22:49:46 ID:TOJsIHUI

乙
なんてこったい…
せめてMHだったら…ファティマ化してる可能性もあったのに

421 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 22:50:18 ID:okGwu2Vw

乙でした
初めて投下に立ち合いましたが
合いの手を入れるのが躊躇われる緊張感でした

425 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/24(日) 22:58:05 ID:qLkNzrF6

>>414-424
乙と閲覧をありがとうございました！

>>414
最初はエルの悲鳴で〆ようかなとも思ったんですが、
ここまで引っ張りました(´･ω･`)

>>421
気にせず合いの手いれてくれてもいいんですよー

でも自分も投下中、緊張して歯を食いしばったり、
肩がこってたりする事が多いです。

428 名前なんて無いだろ 2011/04/24(日) 23:11:27 ID:8wEtFqj2

乙！！
化け物化って、けーねと同じパターンじゃないか！！

そうか…そういう事か…
この章のヒロインはキル夫って事なんだよーー！！！

457 名前なんて無いだろ 2011/04/26(火) 08:40:14 ID:u920LP6U

乙
しかし、長時間の過酷な運動はハンガーノックを引き起こす可能性が有り
短時間で吸収される砂糖、甘味類はその予防、回復に有効であるとエルに知恵を付けてみる
でも、現代日本人とは身体能力も経験も桁違いだろうし、その辺の見切りや対策もしっかりしてそうではあるｗ

※おまけ：>>457より

460 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/26(火) 09:56:26 ID:VIJ.lGv2

　　　　　　　　　　　,
　　　　　　　　　,r/　,;-ー_
　　　　　　　　　/:::レ:::::三:::::｀ミ::=-､
　　　　　　　　 ,i::::::::::::::::､:::::::､::::ヾ::ヽﾐｰ-､
　　　　　,r'::::::::::::::::::ヽ::::::::＼.:::::::::::::＼
　　　　　　//:::::/:::;:::i:::::ヽ:::::::::::::＼::::::::::::::ヽ
.　　　　/::/:::::::/_ヽ:!:::::ヽ:::i`_､:::::ヽ ::ヽ:::::::!　　　　　　　　　　>>457
　　　　 i::/::::::::/'oヾ､:::|ヽ::Y o＼:::::i!::::ヽ::::＼　　　　　　　　　「ほらほら！こんな科学的根拠もあるのですよ！
　　　　　l:::i:::::::::lゝ- '　ヾ、ﾞ ! ｰ '､ヽ:::::!:::::ヽ::i ヽ　　　　　　　　やはりクリームは正義！カスタードは愛！
　　　　　!::!:::i:::::!　　　` ｀ヽ　　　　 i:::::!::::::::::::i　　　　　　　　　あんこはウチュウなのです！」
　　　　l:!:::l:::l !　　,r_ー‐-､　　　l::::!::::::::::;::i
　　　　　　!|:.!::', 　　i'/￣￣ i 　　　l:::::::::::::ハ:!
　　　　.　　 l::::::ヽ.　ｉ　　　　i　　　ｨ::/i:::::ﾊi　 !
　　　　　　　i::li:::＼ `ｰ--‐' 　　／ﾘ　|:::ﾘfﾊ､_
　　　　　 _..!:ﾊ::::l;ヽ､　　　／　　"　l::/i　ヽ. ｀`''ｰ- ､._
　　　,r‐'''"´　 !　ﾘ!i ヽ `＝'"　　 ,　　ﾘ /　　ﾝ　　　　 /ヽ、
　　 /ヽ　　　　　　ヽヽヽ　　　/　　／　　　　　　　　/ 　ヽ
　　l 　＼　　　　　　＼　 '　　　　　／／　　　　　 /　　　 i

　　　　　　　　　　 ,..::;ﾆ＝-､
　　　　　　　　　 i::/　　　、
　　　　　　　　　　　,ゞｰ--‐::':::|,..-;:ァ
　　　　　　　　　／:::::::::::::::;::::::::!::::::｀丶、
　　　　　　　　/::/::::::::::/:/|;:::::;!i::i::::::....､ヽ
　　　　　　 l:/::;'::::'オ/|::|:::/:廾!::::::::::ﾞ:.ヾ:、
　　　　　　　 ,!,イ:::::/ !':|:l::l::/::::::lﾊ:::::|;;::::l
　　　　　 /i:::::!::/ｉTﾆT::,!;':::ｲﾆﾘ,!:::l｀､:|
　　　　　　 !:（|:'!::l::ﾟ‐':::/:::::::ﾟ‐：!:}::!　ﾞ!
　　　　　　 |::::M::::!､　　_ 　 .ィ:i!ﾘ
　　　　　　 |::::|:::l:::ﾚﾞ'ﾏ￢＜:!::|::|　　　　　　「やかましい」
　　　　　　 !::::|x<!:l　 |―|　,l:::|:::!
　　　　　　　 l::::::;!ヾｌ:ﾄﾐヾ、l〃!:ハ:|
　　　　　　 ,':::::::|　ヾ＞ﾐV∠}′ i|
　　　　　 l::::::::{　,r=-=ニＬ._〉,ノ l|
　　　　　　 ,!:::::::::l　　　　 |l!l!|´ 　 |!
　　　　　　 !:::::::::::ﾄ、　　　|＜　＿/:|
　　　　　 !::::::::::::ﾞ7ーイ丁´「〈::::::|
　　　　　 l::::::::::::/　l　 |　|　 l　ﾞ､::::|
　　　　　　 l::::::::::/　l. 　|　 |　 l　ﾞ､:|

461 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/26(火) 09:56:49 ID:VIJ.lGv2

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, 　 ,,,.:-‐,,..... -
　　　　　　　　　　　　　　　　　　, ::':ﾙ'´:ｰ''´::::≦-
　　　　　　　　　　　　　　r''ﾆ、:::::ニ＝-:､::::二ｪｪｯ=-‐
　　　　　　　　　　　　　　　 r'::::::ﾆ-､::::::::ミﾐヽ､::::::::::::::＝ﾆ＿
　　　　　　　　　　　 /:://:::::ミ､::::::::::::＼ヽ､:::::::::::::＜
　　　　　　　　　　　,':::,'::::iヽヽ:::ミ:::::､:::::::::＼:::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　 /::::!:::::ヽ:ヽ::::::::::`:::::::::ヽ:::ヽ::::::ヾヾ､
　　　　　　　　　　　　/"i::::::::::::ｉﾞ_､:::::::::!＼vヽ、:::::::::ヾ:::＼
　　　　　　　　　　　　 i:;::::l::',:li ｏヽ`ヾi. Y'ｏﾞﾘ､:::::::::::iｰ=ヾ
　　　　　　　　　　　　/ lﾊ::::',ｉﾞー" 　 ′ ー" i:::::::::ヾ､
　　　　　　　　　　 rｲ￣'",ﾆ､!:::::i.　　　. . 　　　,':j::lヾﾔ-､_
　　　　　　　　　／ |　　　l　lｻ!::iヽ　 . --､　,.ｲ::l!';:l　　　 ,ヽ
　　　　　　　　　|〉　!　　　|　l八ﾞ!　＼　￣ .ｨ'　/ｉ! i '!　　　i　i
　　　　　　　／<　';,.　　 l　| ヽゞｬ-､`＝ﾝ　_ｿ, !　i　　　 ,'　ヽ　　　　　　「だから甘味を買ってきてもいいですよね！
　　　　　　　〉ヽ-`'　i!/｀`ｉｰ',　｀`-ﾆ_--‐'ﾆ-' ,'　 / ｉ　 / i　i l　　　　　　ね！？」
　　　　　　　/ 　' , ,,,i'´!、 l-　ヽ=- -‐-;'''´　　　　　ｌ　　, ' ,' .i
　　　　　/　　　ﾞl　i　 'i　j/　 ,..-‐'￣　　　　　　　 !　/　　　|
　　　　　 /　　　　 ll､ヽt,ｹﾝｪ‐'´　　　　　　　　　　　 ,!'　　　　.|
. 　　　 i┴､＞ﾆﾝ`''＝ｰﾝ´ヽ　　　　　　　　　　　/ヾ!ー,-,ﾝ.i
　　　　ﾘﾝニ--/　　　, ' 　　ヽ　　　　　　　　　　 /　 |､-‐'´　 i
　　　／r'　 ii" 　　　/　　　　　　　　　　　　　　 /　　ｌ　　、　 i
　　　く lハ　l:l　　　ｲ＼　　　　　　　　　　／　 /　　<　ﾐ､､`ｰ.k
　　　　|.　　 l::',　　/ｼ　　　　　　　　　　,　'　　, 〈　　ノﾞ -ｰ､-ヽ.i
　　　　!､　　 !､::ｰ::k ヽ　　　　　　　　' 　　,　'　メ､　ﾉ　　　　`ヾ,!

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ ,, -=_‐‐‐-､,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 __,, ==-‐''´,..ｨﾗ'''..`'''､))　'i,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　./｀／ .,　､　 !,,-'已＼　l,　 ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,-'-,　　 i　i　 i !, {l .炒　 l'´! ､　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ./7'"i`/ ,　/ .i､ヽ　l,ヽ__T_='__/ i　l　 .l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !./后/　l　 l　li.､ヽ, ＼　i　 l .l＼ l .l　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　"ヒl　 .l 　.l　l i, l､入_,,i--- l.l　 i l .l　　l
　　　　　　　　「そうだねえ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l l　 .li ! ヽ,　 iゝlゝ､ _ ____, l.i .i l l l　　 l
　　　　　　　　意外に重要なんだねぇ、血糖値」　　　　　　　　　　　　　l l　 .l,,'"--､　　　〃´￣　l.l　.l l,　l　　.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　　　ヽ,､, l l｛秘}i　　　　　""　 l　 .l l i .l　　.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. l ヽ,ミ彳"　' 　　　　 .l.　　l! l .l ,　 .|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l .l　lゝ　　ー'′ 　,.ｨ　　./　!/ l　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'l　l　l　`'-､_　.　__／-'--'-､ ./　l　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l.. l　l　l_,,--'''´_´／￣｀'､　__.f'´　!　 .il
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ..　　　　i　l　 l,／　　ﾋ／　　　　　 i `l　　　／i

462 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/26(火) 09:57:00 ID:VIJ.lGv2

　　　　　　　　, ｨヘ￣＞y‐ｧ-─ -､＿
　　　　　　　　|/　〈(薔)Y⌒ヽ　　　　　　｀`丶､
　　　　　　　　 /　/( >‐<　,　/　　 !　　　　　　＼
　　　　　　　　 /　//　こ)　/ /　 !　!　　　　　　　　（(_/⌒Y⌒ヽ
　　　　　　 /　 l/　, /　/ / 　 !　! 　　 |　　| 　　i|　/Y ﾆYi　i
　　　　　　　/ 　 /　// l/i /　　l　,!　,　　|　　 ! 　　||.:i 人式i|　|
　　　　　 / 　 /　　 ,ｲ　/ 　　l　）/ 　 l　　/ 　 / l|::|! /^Y^i　|
　　　　　 ,/　 / 1　!（(　/　 ,rr＝' l/　 /l　 /　　/ / l::|　 _ノﾉi　|
　　　　 / 　/ 　|　|:.:〉こ二仆 l　/1　/ l　/　　/ /　|.:|（( _ ノ　 |
　　　　,/　/　　|　|:〈{ (Y) ））}l/　l / ─‐- ､./ /　/^i^7 　　　 |
　　　 /　/ 　　〉ﾄﾄ､ﾄ､こﾆソ　　　　r=＝ﾐ､ヽ| ,/ / |/　　　 ,′
　　 ,/　/ 　　 // V^l/ ー‐'′ 　　 { ,fか} 〉i::/　/　/　　,　/
　　/　/ 　　 //　 l{ _)　　　　　　ゞ‐‐ < :/ｨｲｲ /　　 / / |
　,/　/　　　 //　　|,.ﾍ　　　ヽ＿, 　　　　／　 / /　　 / /　.!　　　　　「………じゃあ、これをあげるから
　′/ 　人//　　/(⌒) 、　　　　　,.ィ:/ 　 / /　　/ /　 .:|　　　　　好きなだけ飲めばいいと思うよ。
　　/ ／　　 >イ　入L1 >‐──一<⌒/ 　 / /／!// /　 . :.|
　_／　　　　（　〉二ﾆ　　 / ⌒Y⌒ Y　/ 　 ,/ /　　|/ /　 .:.:::::|　　　　　効果は一緒だよね？」
　　　　　　　　Vr‐-,　　, 人＿人＿人/ 　 / / ～～＼　.:.:.::::::|
　　　　　　　　）.::<＿ノ入＿ _ノ入_/ 　 //´　　　　ヽ:::::::::|
　　　─ <⌒Y´.:.:/｡ﾟ /´￣｀7弐く7 / 　 //　　　　　　 `,::::::|

　　　　　　　 .┌ ‐‐┐
　　　　　　　　.!====.!
　　　　　　　　｝: :: :｛
　　　　　　　,r'´　　　ヽ,
　　　　　　　!,._,._,._,._,._;,:!
　　　　　　　!　.特濃　;,!
　　　　　　　! ;,:砂糖　;;!
　　　　　　　!　　水　;,:!
　　　　　　　!　　　　　;,:!
　　　　　　｛"""""""".｝
　　　　　　｛"""""""".｝
　　　　　　｛"""""""".｝
　　　　　　　 '''''''''''''''''''''

463 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/04/26(火) 09:57:20 ID:VIJ.lGv2

465 名前なんて無いだろ 2011/04/26(火) 11:28:47 ID:nAV30UQY

乙

砂糖水wwww

メルヘンならボトルのデザインに入ってるよ、エルwww
ラッパ飲みにロマン感じろwww

468 名前なんて無いだろ 2011/04/26(火) 15:45:06 ID:GyJ5W3eo

乙！
エルが糖尿にならないか心配だwww

472 名前なんて無いだろ 2011/04/26(火) 20:56:59 ID:kwHm5gLY

「砂糖水にはメルヘンが含まれていない」ってめちゃ魅力的な言い回しｗ

575 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:00:00 ID:KHv/Msrg

四１０８．
━━━━━━━━━━━……
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

――――――――――――――――――――
　　グラナダを出ておよそ八十六時間―――
――――――――――――――――――――

┌─────────────────────┐
│　　ダカールの丘までおよそ二十五キロ地点　　　...│
└─────────────────────┘

　　　　　　 _ィ'⌒ﾞ''ｰ-､,,_
＿,,. r‐'''"~　　　　　　　　￣｀''ヽ､,,＿__
:::.:.:.:.:.:.:.:.:.:. :. :. :. :. :. :. : :: . : . :. .,,.r-～''´￣　　　.. .. .. 　　..:　　　　. ...　　...
:.:.::::::.:.:.::.:.:.:.::.:.:.:. :. _,,.ｨ～'⌒ﾞ'''"　.::::　..　. .... .. .. 　　. ...　　...　　　　..:　　　　　　　　. ..
´~￣~~"＾´￣~ﾞ＾´　　　_,,,..,,_,. -─- ､..,,＿___,,.....,,,＿.. .. 　　　　　　　　　　　　　　 _,,. -ー'''
　.... .　.. :...　 -─-= 二､..,,＿___,,.....,,,＿.._,..r-'''"´　　　　　　.. .　..　　　　　-='､'ﾞ´:.::.:.:.:.:.:.:..:.:
...　　...　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ~｀"ﾞ''ー- ､
.　:;:;'r-=´へ　　.. ... .. .. 　　. ...　...　　　　..::　　　.　　　　　　　　 ,ﾍ
／　/　'::... `:.＼、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ﾊ';'ヽ、. .. .. 　　..:　　　　. .
.::"/::..`._　;'".へ'´｀yヽ√´＼,ﾍヘ,、 :.　　　　,ﾍ　　　　　　　ノﾊil;:ヽゝ　. : .:,ﾊ. .. .. 　　..　:　:
　"`''''''ｰ――-´---------　，....へ.,.,.,,,,,,,.. ﾊ';'ヽ、　 __,.,,, ノ'ﾉ,'ﾊハ,ゝ..... ,ﾌ;:,'ゝ------‐―
　　　.　:　..:　.:.　､,､w..:､,､､,､w:.､,､v､,､v、;. ノﾊil;:ヽゝ　　　ノﾉ;:'ﾍ;;ﾊﾊﾞゝ, ﾌ.:;ilゞ,ﾊ.:.....:.,ﾍ..::::
,､,､,､wﾘﾞW゛jﾘwj从ﾘj"WﾞﾘwﾘﾞW゛j;yﾉw''" ノ'ﾉ,'ﾊハ,ゝ　ﾊ　彡ﾞ;:.'ﾊヾゞ';'ヽﾍ;;ﾊﾊﾞゝ;>.:,ﾊ';'ヽ、
　从;:　｀:､ﾘﾞW゛jﾘw''､`'.､,:｀:,,‐'゛'　~　　　彡;:'ﾍ;;ﾊﾊﾞノﾊヽ、,ﾂﾉﾉ;:'ﾊ;;:.　ノﾊil;:ヽゝノﾊil;:ヽゝ
｀wﾘﾞW゛jﾘwj从ﾘj`'.､-='´　　_,ywj从ﾘWv,ﾊヾゞ;;:.　ゞﾉｖﾉ;:,l'ﾚゝ,ﾊ';'ｼハﾉｼ;:,ﾍ,　ノﾉノ'ﾉ,'ﾊハゝ
.wj从ﾘj`'.､　,:,-‐'゛,,vw-‐W゛w从　W:;,',:从ｼハﾉｼ;:,';,ノﾉゝﾊハ,ゝﾍ,::..ﾍ.:;ilゞ　ﾊ';'ヽ..::...,ﾍ、ﾊ.:;>
￣~＾￣＾￣￣~`＾ﾞ'､,゛jﾘw :;.:".:;.:'"ﾞ:.:ﾞ,;｀彡ﾊﾉ;|ililヾｖフﾉ;:,'ﾊ';'ヽ;;ﾊﾊﾞゝﾊ';' ﾊ';'ヽﾊil;:ヽﾊ,ﾊ';'ヽ、
''　ﾟ　　;~　,;　　　　ww:,､v､从ﾘjwv,:.:.､;..:...: ;:ﾉﾊil;:ヽノﾉハﾊｌ;:.'ilゞノﾊil;:ﾊil;:ヽハﾊｌ; ノﾊil;:ヽゝﾌ
　　　　　　　　　　　｀ﾞ''､::wj,､,､,､从ﾘj":::",:.:.､;:...:　｀ヽ､ﾉﾊノハゝ;ﾉ,'ﾊハﾊｌ;:.'ilﾊil;: ノ'ﾉ,'ﾊハ,ゝ
　　~'　',;　　　''"'　　　　　､,,'.､゛jﾘwj从ﾘ､从:'"ﾞ:.:ﾞ,:;、｀ﾉ;:'ﾍ;;　ノﾉ;:'ﾍ;;ﾊﾊﾞゝ　ハﾊｌ;:.'ilゞヾﾍﾞ .:;
~　　　　　　　　　　　　　　｀`'‐;.:".:;.:'"ﾞ:jﾘw",:.:.､;:...: ﾉﾊハ　彡ﾞ;:.'ﾊヾゞ;;:.　,ﾊ';'ヽ、 .:;>ﾍ:..::ﾊ::
　　　　　~'　'　　,;''　　　　　　　　~'ｰ:;.:;;wﾘﾞ､从ﾘj"::.:;.:'lilﾍﾞ: ﾌﾌ,ﾂﾉﾉ;:'ﾊ;;:.ノﾊil;:ヽゝ li＞ノﾊﾊ
　　　　　　　　　　　~'　　　'　　　　　　｀`ﾘﾞ jﾘwj从jｒ、'＾　ｼハﾉｼ;:,';:,　ノﾉハﾊｌ;:.'ilゞヾﾉｖﾉ;:,l'
~ 　　　　　　　　'ﾟ　　 ;　　~'　',;''　　　　　　　｀ﾞ''、:w从jﾘ彡ﾊﾊﾉ;;:,　フﾉ;:,'ﾊﾉハﾊﾚ;;:ノﾉハﾊ
　　~'　',;''　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ﾞ'':::..wj 彡ヾ;:ﾉﾊﾊﾚ;:,.'ilヾノノﾊﾊノﾉ;:'ﾍ;;ﾊﾊ

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　休息らしい休息もとらず、四人は外敵の徘徊する危険地域を突き進んでいる。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

576 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:01:14 ID:KHv/Msrg

四１０９．
――――――――――――――――――――――――――――
　　もちろん安全な平原地帯の移動とは訳が違う、
　　これまでに何度か危険な魔獣や妖魔の類との接触があった。
――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,,､_
　　　　　　　　　　 _r='''''/ﾞiｰ--､ｰｰ-､,,r='ﾞii::i:::ﾞi,
　　　　　　　　_,,,r'ﾞ　　 ,/::::,)-'''ﾞ⌒`'''ﾞ⌒''-i,:::i:::ﾞi、
　　　　　　／ ./::　　,/i:::／　:::::::::/::::　　　＼::::）＼
　　　　　 /:::　,i::::　:::/ 'Y:::　 :::::::::i::::::::　 ::　　ﾞiﾞ:::＼＼_
　　　　　/:;i::　ﾞi::: 　/／iﾞ彡､;;;;;i / ::::::--､ﾐ　　,i:::　 i:: ﾍ＼
　　　 ,ｒ-i::i:::　 'i::: ／.　/<.(ﾟ)､ﾉ .i　(ﾉ<(ﾟ)>-　 i'::　　）::::: ﾞi､＼
　　 /::　`-''i::　::::/　 /.i:: ﾞ彡ﾞ　　　ミ:::::::彡　 i:::::　,(:::::::: ﾞi:: .ﾞi,
　 ./::::　　:::::)-､/::　｜:ﾞi,::i:i::　　　､ミ:::ﾐ::::彡　ﾉ:::::/　i::::::: ﾞi:::: .ﾞi,
　,iﾞ::::i:::::::::::/ :::/:::::　iﾞi ::ﾞ') i　 :::: ､　　::::: /-' / ;::/ 彡ミ::: ,i::::::　|
　| :::::i::::::::/ :::::| ::::: .ﾉ:i :::＼i--､,,,ﾞi　 _ノﾉ::／'/:::'::::::彡::::　)::::　 |
　|: :::: ::::::::i ::::::|　:Ｖ i:iﾞ ::::::＼,___ｿ_,,r'''ﾞﾞﾞ＜: ﾉ:::::／::::::ﾐ:::: .i:＼/iﾞ　　　＼_人＿人∧从＿_∧__从/／
　i:: :::: ::::::ﾉ ::::::i :::::＼／:::::::::::::::＼　　　　　i::::'':::::　　ﾞi, / ::/ ,i　　　　)　　　　　　　　　　　　　　＞
　い::: 7　∧::::::i ::::::::::Y::::　　　､::::::)＞　　ノ＼::::::::　　ﾞ)／ﾞ ./　　　＜　　グルルル………！　＞
　ﾞi,:::::::i /ﾞ:: :::::: ﾞi,::::::::::ﾞi:::　　::::::::ハ:::~''''''<:::　::ヽ,:::::　　 /::::: /　　　　　<　　　　　　　　　　　　　　(
　ﾞi,-ｰい i:::　ノ>､:::::::ﾞi::　:::::::/ﾞ::::::::) 　i:::　 ::::::＼::::::　 iﾞ:::::ﾉ　　　　　／＾Y￣∨￣∨^YY^YY^^Y
　 ./　ノ:::i i::::,r'''i:::::iY::: `-==､:::::::::::::　_人::　:::::::::::ノ:::::ノ／
　 .i ／::::iﾞ i :iﾞ　.i:::::| i::::i, <:::ｲミ"'''''''ﾞ~ﾞ::::::`''=--ｦ'ﾞ） Y:://ﾞi
　 .i :::::::::　i::::ﾄ-'ﾞ:::ﾉiﾞ:::::::i　:::::ﾞi＼＿__人＿__,,､-ﾞ/ﾞ::::: //:: ﾞi
　　i:::::::::: .iン`-='ﾞ　i::::::::i　:::::iﾞ::::::　/　　　　　　 (::::::::∥:::: |
　　ﾞ'､:::::: ﾉ　　　　　ﾞi::::::::i ::::::i:::: ／　　　　　　　.|::::::::iﾞi::　/
.　　＼:::iﾞ　　　　　　i::::::::i i::::|,r''ﾞ　　　　　　　　 |::::り iﾞ ./
　　　 .i::::i,　　　　　　ﾞi ヽ i,　/　　　　　　　　　　 i::::::: Y i
　　　 i::::ﾊ　　　　　　 i ::::::i, iﾞ　　　　　　　　　　　i::://ﾞ iﾞ
　　　 iハ i　　　　　　 i :::::::i/　　　　　　　　　　　 i/ﾊ　.i
　　　（　.ﾞi　　　　　　　i:::::::::i,　　　　　　　　　　　 .V i :::|
　　　iﾞ　 iﾞ　　　　　　　|:::::::::|　　　　　　　　　　　 /::::i, :|
　　 /_i__ﾄ､　　　　　　ﾄ:::iﾞ　)　　　　　　　　　　　 i::::::iトi
　　(ﾞﾞ i　）　　　　　　 /人　i＼　　　　　　　　　 .）::: i .i
　　`'''''''''ﾞ　　　　　　 ,// ヽ iｰｰ'　　　　　　　　　　i,:::: i i,
　　　　　　　　　　　 //-i'ﾞ`i:i　　　　　　　　　　　　i　Y Y＼

┌───────────────────────────────────┐
│【種族名】　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　....│
│魔獣　ヘル・ハウンド　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
│【怪物辞典より抜粋】　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.....│
│遭遇した者に死をもたらすと言う魔界の犬。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..│
│荒れ地をまれに徘徊している事もあり、遭遇時は必ず敵対的な反応を見せる。　　　 │
│目は業火のように赤く燃え、口からは硫黄の臭いを伴う灼熱の火炎を吐く。　　　　　 .│
│大きさは子牛ほどもあり俊敏で、人の足で逃げることは難しいだろう。　　　　　　　　....│
└───────────────────────────────────┘

577 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:02:00 ID:KHv/Msrg

四１１０．
―――――――――――――――――――――――――――――――
　　しかし懸念されていた戦闘による消耗、時間の浪費には繋がらない。
―――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/´〉,､　　　　　|￣|rﾍ
　　　　　　　　　　　　　　 l､￣￣了〈_ノ<_/（＾ｰヵ　L__」L/　　 ∧　　　　　 /~7 ／）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　二ｺ ,|　　　　　r三'_」　　　 r--､　（/ 　 /二~|/_/∠／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /＿＿」　　　　　　　　　　　_,,,ﾆｺ〈　〈〉　/￣」　　　　／^ヽ､　／〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__,,,-ｰ''　　　　~~￣　　ャｰ-､フ /´く／／>
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　 _＿＿ノ　　　 ^ー―－　　　|　　　　　　 '''';;;;;　　　 ,,,,;'';,
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;;;;;''　　''';;;;;''';,,,,;;;''';　　　　　　　　　 l. 　ヽ　,　　彡!!!!!!ゞﾐ､　　 /　　 '　　　　　f´￣￣￣￣￣｀ヽ,,,,
　　　　　　;;;'';　　　　　　　　　　　　　　',　　 /　　　　|　　　ヽ　　　　/　　　　　　　|　　邪魔だ。　　 |''';;,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　ゝ＿／＼＿ﾉ　　 /　　　　　　　乂＿＿＿＿＿_ ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　｀ー―― ´　　　∧__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　／ / 〉::｀丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／＼　　　　　／　/ /::::::::::::::丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::l　　ー――‐ ´　／ /:::::::::::::::::::::::｀丶 _

　　　　　　 l.､
　　　　　./ : :ヽ　　　　　/＼|
　　　　　/: : : : :|____,,,,,,,___!: : :.|
　　　　 ,': : : : : : : : :｀､｀､: : : : !､　　て
　　　　ｌ: : : : : : : : : : :`､ `､: : : :ヽ　　そ
　　　　.冫: : : : : : :,-ｰ'´l 　 l｀ｰ-､!
　　　　/ : i: : : : :.i:::::●:::l 　 l:::●::|
　　　 /.: : / : : : :l:::::::::::;;,!.　＿､ /
　　　l: : :　l,: : : : :!::::::/　　（::::::）丶　　ﾋﾞｸｯ
　　 |: : : :l.ヽ.: : : l:::/.　　　￣　ヽ
　　　|: : : .!　ヽ: : / 　　　　, '´`､　l
　　　|: : : :!　　　 i　　　　/..,,,,,,,.i. /
　　　!: : :/　　　　`ｰ--- '　ヽ　 `.'

578 名前なんて無いだろ 2011/05/08(日) 21:02:13 ID:WnTzkCNQ

ない夫にとっちゃヘルハウンドも子犬みたいなもんだよな…

582 名前なんて無いだろ 2011/05/08(日) 21:04:35 ID:MrCjYh5Q

こんな犬と戦いたくねーと思ったら我らがやらない夫のほうが
怖かったでござる

579 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:03:00 ID:KHv/Msrg

四１１１．
―――――――――――――――――――――――――――――――――
　　何しろ現れた敵の殆どは、やらない夫が睨み付けただけで逃げていくか
　　敵対心を失ってしまうのだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　,:''ﾞヾ;、
　　　　　　　　　　　　　;:　　　':;　　　　　　　　　　　　　　　　 ,::'⌒ヽ、
　　　　　　　　　　_,:'ヽ:.._〃´':.,　　　　　　　　　　　　　　,′ _{,　　｀' ,
　　　　　　　　　　　,.:'　　　　　　　:.':;.,　　　　　　　　　　　.,:'⌒~　　　　　＼
　　　　　　　　　.::´　　　　　ｃ｡　(　　,':.　　 .., .,,_._...．．´^　　　　　　　　　　ヾ.、
　　　　　,:'¨´¨''´　　　　　　　ｰ´　ヽ　　λ.'　　,;　,;ﾞﾞ　　　　　, '　｀ヽ、　　::　　゛:;.
　　　　　 ':.　　 .:;'　　｡　　 ,...　ヽ n　　 ::　,;　 ,;　　.;'　,...:::'　　　　　:. 　 .: 　　　::
　　　　　　ヽ、ﾂ　じﾟ　 ;',;,;ﾉ　_/{　　,ｲﾘ　 ,;,'　　　　　　　　　 :.　.:　　　　,:'
　　　　　　　　＼:　　.,_　_{　　／ﾉ　　 //　／　　　 :.　　　　　　　　　 i,ｲ　　　　 ::　　　　　＼_人＿人∧从＿人_∧_人_从_/／
　　　　　　　　ﾞ'ヽ.　　｀ー('´　　　//　.:;　　　　　:: 　　':.,　':.,　　　,:' :|　　　　 /　　　　　　)　　　　　　　　　　　　　　　　　＞
　　　　　　　　　　　 '`' :,..　　.,.,.,　　,イ　.:´゛　　　　　:,'　　　　　／　　`ー .;′':,　　　　　＜　　キャイン！キャイン！　　　＞
　　　　　　　　　　　 ¨~^ ⌒ヽ/У,.:′　　　　　　　　　　／　ヽ、　　　ヽ　'::,　　　　　<　　　　　　　　　　　　　　　　　(
　　　　　　　　　　　　　　　　　 )／　　　　　　,.::'´ 　　 .,:　'´　　　　 ¨ー、　ﾞ':;　}　　　　　／＾Y￣∨￣∨^Y^⌒Y^YY^^Y^
　　　　　　　　　　　 γミｘへ.,....,,;^　　　　　　,,.:'⌒ーr.ー´　　　　　　　　　　 .:　　ﾞｒ'
　　　　　　　　　　　　∨ｼ　つ,.　　　　　　.:ｰ´　　　　,:'　　　　　　　　　　 ::　　ﾞ:
　　　　　　　　　　ヽ.:;' (_ノ　:..::,,;:.　´　:i　　　　 ,:.'　　　　　　　　　　　 ':,　.,:'
　　　　　　　　　　　　　　¨¨　ﾞ'′　　　　　::　　　 ,;'　　　　　　　　　　　　　　　`´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i　　　ヾ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ、　　　´'　,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`ヽ、__　ﾉ

581 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:04:06 ID:KHv/Msrg

四１１２．

　　　　　　　　　　　　　　　　,. -、
　　　　　　　　　　　　　　　/／⌒ヽ
　　　　　　　　　　　　　　〃　　　　　 ,r:､
　　　　　　　　　　　　　 ,⊥.-.. ..､ ..,／.::.::|＿
　　　　　　　　　　 , .::'".::.::.:;.::.::.::.::.::.::.::.::.:l.::.::.::｀_`::‐-. .、
　　　　　　　　 , ' : : : ; :.'.: :: :: :: ,! /::.::.::.l.::.::.::. : :｀ヽ￣｀`丶
　　　　　　　　/　　.／ﾉ.::.::._::_::./.:;{:;!.::.::.|:.:;.::.::.:.ヽ:. . ヽ
.　　　　　　 i..:..:../／::.::.::´::.::/.;7 l'.::.::.:ﾊ:.:|､::.::.':;.:'､、:.｀.、
　　　　　　　 l.::.:/ｲ:.::.::.::.:;∠/∠　,!:.::.:/ .!个l.::.::.::';:.:､ヾ::.:',
　　　　　 |::/:/.::.::.:;:ィ｢｢示芥 /::.::/ _､|ハ:l.::.::.::.';.:i.　ヾ:.i.
　　　　　 /:/.::.:／::|:|　ト-ｲ! /:.:;/　＾}≧ｫ!|.::.::.::.:l.:!　　ﾞ'}
　　　　　　 /,ｨ;:イ`!.::.::.!! └-'' /, '　　 /ｰ/∧::.::.::.::.:!l
　　　　 /' l':;.:人.!.::.::.|　　　/'゛　 ,　ヾ‐ﾞ/::.j|::.:l!::.::.l!
　　　　　　　l:/::.::::::}.::.::.l　　　｀ｰ､_,　　　i.::.:l !:/ !::.:;l
　　　　　 !'.::.::::::ハ.::.::l`ト､　　　_ ..　イ.::.:l l/　|.:/　　　　「楽ちん」
　　　　　 ,'.::.:::::/:::::;l.::.:K、　乃「:::|::::::::||.::.:;!　　 l/
　　　　　 /.::.:::::ﾑ＜.　l::.:l ＼＿ゝﾄ､!::::::|l.::.:ﾊ
　　　　 /.::.:::/ﾆ､ヾミﾐ.l.::.i.　ヽ　｜＼:|'::./:::l
　　　 /::.::::/′　｀丶ヾ:!::l.、｀、l 　 /l::./::::::!
　　　 ,:.:.:::::;'　　　　　 |｀ヾ:ﾄﾐヽﾞ､|　//!∧::::::|

――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　これまで決して仲間達に見せなかった殺気丸出しの眼光。

　　コナタは深く考えずに楽だと思うだけだったが、
　　普段の朗らかさからは全く想像も出来ない、
　　冷たい表情を目の当たりにした雪華綺晶は少し背筋の寒くなる思いをしていたし、
――――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　 __　　 ,､ .（(,､-―‐''''''''''―-､,　　　　((
　　　　　　,ｲ `'ｨｹ´vﾄr,,)）　　　　　　　　　｀ヽ, ,ｨｭ))-､
　　　　 l　　 ,ゞﾍﾉﾌｨ　 .／　　　 i 　　　 `､Yﾉ　 l!
.　　　　 j　　ゞ〃‐'´　/　　/ 　　 | 　　 | 　((ヽ､　 i!
　　　　 / 　 //.（(　　　/ 　 / |　|　 | 　　 | 　 )）ヽ　.i!
.　　　 / 　 // 　 )）　:/ 　 /.　|　|　 | 　　 | 　　　　i!　|
　　　/ 　　/　　 "　 / 　 / 　 |　| 　|　　|　|　 |　|　 i!| |
.　　 ′ 　.i　　/　 l .|　　l!　.)）|　|　|.| ｌ　|　|　 |　||　|: /
　　　l　　　|　 i!　　.| |　　ﾄ､（(ｨｭ, |　l.| |　|　|　 |　||　|: {
　　　V　　i!i　 |　　 |.i　,ｲ´ｨY^ﾔﾊ| i!|| | l:|　|从| l:|! ||:ハ
　　　ﾍ　ﾉﾉ　 |!　　 |! _Vゝ~ﾝ'.ﾉ j`´ ｀ γﾃｫ､// i!/　l ∧　　　　　　（こんな顔をすることもあるんだ。
　　　　,ｲ,ｲ .l　 l!　　 l!ゝ_ゝ｀´ﾝﾝゝ　　　込ｿ.ﾉ/.| .〈ヽ,l:　＼　　　　　ちょっと怖い、かな………）
　　／／|　.ﾘ　 .|!　　ヽ　((`ｰ'´`　　'　　￣ /　|　.ﾍ .ヽ　　＼
,ｨ'´／　 l　/ ,ｨ　 |! 　 ,､`､))　 ,､,　.ｰ.,､　_, ｨ' 　 |　| ゝ　＼　　:.
　/　　ﾉ／ｨ'　_,､ｨ'ヽﾉ,ﾊ､,` ﾉ´ ｲ,-‐ﾉ `ｰ'r-､､.ヽ l　ヽ　ﾉ　　}
　{_,､ｨ´,ｨ'´　ｨ'´　　　　__,ﾊ,　ﾉ (__ -‐　 '´ （,､‐-`､!　　〉/　　　〉

583 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:05:00 ID:KHv/Msrg

四１１３．
―――――――――――――――――――――――――――
　　アンマンからグラナダへの移動とは異なり、
　　仲間達の体力を気遣う余裕すら無いやらない夫の背中に
　　焦りが浮かんでいる事を、エルは敏感に感じ取っていた。
―――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　 ∠,,,,,,,,　,,,,,,,ヽ
　　　　　　　　　　　　　 |:::::::::::,＠,:::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　 |~~~~'|人|'~~~|
　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　│　　　　　　 |,-'i,,_,,、
　　　　　　　　　　　 __、ヽ　　　　 /j .ｌ,,ゞヽ＼ .＿_
　　　　　　　　　　　 ..ｭ、|r‐ﾋ‐ｸii,,_、　　┤! / ｌ .ヽ.ｌ, '､　/ｌ
　　　　　　　　,..イ〈llｨ'´＼＼＼ .''q￣.´.,ﾉ'/　ｌ　〔 .ｌ .ｌ＼ !
　　　　　　　 i′｀-ﾞ＼ヽo.＼　　`ぐ㍉;;'ﾞ_/　 l　|、ｌ.ｌ　ﾞ;/　　　　　「……………」
　　　　　　　│.,　　　＼ヽ　ﾍ　　　.＼　　　　!　l． l.′ |
　　　　　　 .,i　　　　　＼ヽムヽ　　　ヽ　　!　..ｌ.　l　/
　　　　　　,yハ、　　　 ;;;; ＼ヾ i ＼　　　.ヽ, |　 .ｌ　ﾘ
　　　　　,,i' ヽ,　.´`ー.､.;;;;/,　　＼ヽスヽ、、　｀ !　!､ .!
　　　　　|、　　｀'､　 .;;;;┤　　　　＼ヽ)｀ヽ.ﾞ､　　ｌ　　.ｌ
　　　　　l｀-.、　　ﾞﾆ;;;;;;;;ﾉ　　　　　　＼　ソヽ､　　 !､　ヽ
　　　　　ヽ、　 .""ｰ ;;;;;;l′. 　　　　 .＼'くゝヽ'､、　　ヽ
　　　　　》ゝ─‐ ｲ;;;:;;./;;　　　　　 . 　＼マ､ヽ、　　ヽ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ハ :::: :::: :::::::::::.::::::::::::::::ヽ::::::::､::::::::::::ヽ ::::::..ヽ::::::`､ :. ::::::ヽ :::::.:.::｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|／| ::: :::リ､:::rＮヽ＼::::ヽ､::::ヽ､::::::丶＼　::.＼:::::ヽ .:. :::::｀ヽ‐- ､_:::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　ﾊ ::.:.::!　V　/　＼ヽ::i ヽ:::| ｀ヽ::､::｀ヽ丶､:::丶､::､ :::::...､::::＼　｀`ヽゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 { ヽ.: ::l 　　/　　　　ヾ　ヽ:i　　i| ヽ::::ヽ＼｀`'' ‐---::::ヽ:::＼rヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ';:: :! 　〈　　__　　　　　ヽ　　|　 ',::::::: :＼:.::､｀ヽ:＼::::::ト､::丶、
　　　（鬼気迫る、とはこの事ですか。　　　　　　　　　　　　　　　　 |:: ﾊ　　`　　　　　　　　　　　 }:::::::. ::::ヽ::ヽ::.:＼:ヽ､ヽ　｀` ｰ-
　　　ですが、なぜ彼はこんなにも焦っている？）　　　　　　　　|/l:ハ　　､　＿＿　　　　　　　ﾊ:::::.::| :i:.:ヽ.:i::: :､:ヽ}　｀`
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノﾉ'　l心　　`ー‐一`　　　　　 ,. '|:::::::| :| :.::.N :;､!`､ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |ハ　　　　　　　　　,　'´　i!::::::| ::|　:.ハ | ＼ヽ!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘヽ　　　　　 ,.　'´　　 ,/!/ |: :::､　!　 i|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__　 __,.ノ/ 　ヽ __,,.　'´　　　　　ノ　l,ｲ:: ﾊ:{ 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,..､,.ィ"r''"´　 .:::　　　　r　　　　　　　　　/ /　|､:! ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,.. -‐''"´　{　　ヽ　　 r　　 i　ヽ＼　　　　　　／　　　: ヾ丶､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　 |　　ヽ＼　　　　ｌ　　＼!　　　　　/　　　　　　ヽ　｀ヽｰ-､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　|　　　　　ヽ　＼　　ヽ　　　　　　　　i　　　　　　　　　　ﾉ /　ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､　 |　|　　　　　　　､　＼　　　　　　　　　　ノ　　　　　　　　／ / r　　　｀`丶､

584 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:06:00 ID:KHv/Msrg

四１１４．

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::::::::::::::::::::::::|　 |::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::::::::::::::::::::::::| 　.|::::::::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::::| 　 |::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::::| 　 |:::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::::| 　 |::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::::|　 /:::::::::::::::::::::::::::〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::::| ./::::::::::::::::::::::::::y'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::::ﾚ:::::::::::::::::::::::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::/　　　　　　　　.,,,,,,　 ,,..､ .,i､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::/　　　　　　　　　:| │　!　l,ﾞ.ｌ'"
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::/　　　　　　　　:l''''′ﾞ‐'''" ﾞ''ﾞ'j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::／:::::::::::::::::::::::::::/　　　　　　　　　:!ｰｯ .r‐┐┌┘
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈::::::〈二二二＼:::::／〈　　　　　　　　　　　:| │ .lﾞ　!　　　　 ,,、 .r‐┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /＼/::/::/::/::∧ ＼:::::::〉　　　　　　　　　　‘'''"./ . ｌ　 ._,,-,'l″,!,/　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈::::::::∨::/::/::/::∧　∨￣＼　　　　　　　　 .／　/　　ﾞl、.ﾞlﾞl-'ﾅ　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`─‐∨ /::/:::/ /＼　　　〉　　　　　　 .ヽ‐゛　　ﾞ‐'｀丿丿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.:.;::;.:;.; ..;:`ー─--- ───′　　　　　　　　　　　　　　　｀冖'"
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　...:;.:;.:;;:.;:::;;;;;;;:: :;;;...:;;..;;;...:;;...:;;
　　　　　　　　　　　 ...:;:;:;.:.;:.:;.:;.:;.:;.:;:.;.:;.;. :;;;;;;;:::; ;;;;;;:: ;......:;;
　　　　　　　　　　...:;:.;:.;:;..:.;:;.:.;::.;:;.;:.;:.:;.;:.:; :;;;;;;;: : :;;;...:;;...:

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　魔獣が逃げ去ったのを確認し、抜いていた剣を鞘に戻す。

　　無言のやらない夫は皆の状態を確認しないままに歩を進めてしまい、
　　てっきりそろそろ休憩が入ると思っていた雪華綺晶は驚いてその後を追いかけた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

　､　　 _, .}　,メ　　　 l　　 ',::　　ヽ::::.　　 ',:　ヽ
　￣,´/F>｀ミi_　i　　i　　 ';::　　　' ;:　　　';::　 ',
　　,⌒Yiー<⌒ﾊL　　i 　　 '::;　　　 ',､　　 ';::　 }
　 ,ｲ冖!/てヾVYjヽ_,　l､ ,　　',斗七　 '.,ヽ　人,,ﾘ
　从r'弋心ノ',ｲj从i 　 l....ヽ／ '; :::＼　ｌ ::/イ
.<　ゝ._｀フノノﾊ､ .i　　l::::''ゞ从_i⊥､;＼j .i
　弋 _､.＞√勿/ヽi.　ハ　　 V{ｨrｬﾐ <　丶_
　　))　/´　｀.i`...'.,::､　'､ﾊ　｀．辻,ィ'}　　　￣|
　　　　l　　 ::: 　 ::',::＼　iヽ　　 |下乙　　　　　/
　　　　l　　 :: 　　 ;;; ::ヽ|　ゞ　　　　　　　　　/
　　　 ,'　　..::　　　 ,:'::,　:::|　　　　　　　　　　 (
　　 ,'　　 ::　　 .::　 :::　::|｀(　　Y ヽ､　　　 /　　　　　「あ、待ってよ」
　　 ,'　　.::　 .::　.::..　 :::　:|　,ゝ‐ｲ　.ﾉゝ___,,ノ
　　,'　 .:::　 ..::: .:::　　:::　:::!"　｀丶、s￣｀)
　 ,'　.:::/　 :::　.::　　 :: ::/　　　l　　.l ヽ￣)
　,'　::; '　 .::　:::　　　ﾉ,/　ヽ、　ヽ / ／､ゝ
.　／　..:::　:::　　／／　`丶､｀　 '彡,廴`;;;;;
　　..,,,_::,,__.:,,,,:::／／‐-､__　　｀丶 .ヽ /∧/|
　Y　　　　　　￣ -　　,,,,　｀　‐ - ､ .Y..∧/|
　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ　　ヽ|∧//|

585 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:07:02 ID:KHv/Msrg

四１１５．
――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　明け方から正午近い現在まで早足で歩きずくめであるし、
　　そもそもグラナダを出てから四時間以上のまとまった睡眠すらとっていない。

　　さすがに休憩しないと保たないかも、とコナタが進言するも、
　　耳に入っていない様子のやらない夫が立ち止まろうとしないので、
――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　（:i′
　　　　　　　　　ヾ:､, . . .-:￢_,,.. -.―: : - : ､
　　　　　　　 ,.-:':"´: : : : : : : : :!: : : : : :‐＝､'''' ｀`
　　　　　　／: : ﾊ : : : : : : : : : : | : . .　　　　｀ヽ
.　　　　　/.　　（,ﾉ . . i : :! l : : : ;|、:ヽ　　　｀ヾ､＼
　　　　　i: : : :!: . . . . ,l : :ﾊ:!: : : ;.|｀、: !: : ヽ: : :.｀､ `ヾ:、
　　　　　l.: : :.!: : : :_;ﾑ:､/ .li: : :./j　,.x‐ト: : :ﾞ!: : : : :.
. 　　　 l: : :.|: : : :./ |:/　 |! : ;ｲ:! 　ヽlﾞ､: : :!: ､: : :i
　　　　 !: : :l|: : /ｪ土ﾆ､｜:/ ﾘ ,ﾆ≧ヵヽ: :l: : },: : l
　　　　　 l.:/r|: ∧｢代ﾙ|　|/　　代り,!/l: :l: : j i.: j
　　　　　 ,!',{ |/: : i ヾ上!　　　　　ヒｼ　l.:.!:.l: :.,'　l :!　　　　　「そろそろ休まない？」
　　　　　/ｲ:ヽl: :､:.i　　　　　　　　　　・l: :lｲ:./　　ﾘ
　　　　　　|: : :l.: :ﾏト.､　 r_―ｭ　 _ , ィﾞ|: : :l'
　　　　　　|.: : :}: : V!r;ｸ｀: ェ_＜｢:::::::,':lj: : :l
　　　　　 |: : :.|:l: :ﾍ''ﾊ　　　 j　＼:,'::;ｲ: : !
　　　　　 |.: : :,:ﾍ: :.V!ヾ´￣｀l　　　ﾞlト!: :/　 l＾i　／）
　　　　 |: :,<＼ﾍ :Y　ﾞ、　 l　　　lｌ l: :/ /ﾏﾉ'゛∠- つ
　　　　 !: iﾍ.ヽ､`l: :!　｀、　,!　　 ll ,l.:/ ∧ ヽ、　‐'二､
　　　　　ｌ: :|　｀ヽ､ﾞl: :!　丶 l　　〃ﾚ　∧｀:、＼ ‐=ニ′

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,' i l::::::入:::::::､:::::::ヽ::::::::ヾ ::',:::ミﾆ-､_::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 /,i! l:::ン　ヽﾐ::::iヽﾐ::::､:::::::::ヽ::',:',::::`ｰ-`:.､::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 iｿl|.／　　　`ﾞ'､｀ヾ::::ヽ:::::::'::',!',::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　　　l!. l!ヽ､_　ー　　　ヽ　＼':,ヾ:::::::'!i'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,-
　　　　　「……………。　　　　　　　　　　　　　　　!　'i!; l|!ﾞi　　　　　　　　　ﾞ'ｬ,＼､:::::::::::::i::::::ｬ::ヾ､:::::: ／／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 li､ l!:i　　　　　　　　　　ヽ `ﾞYi:::::::ili:::::i',ヾi;,'／／
　　　　　ダカールの丘までもう少しです、　　　　　ﾞ!ヽ::`ｬ-⊆＝ｯ-　　　　　　　i:!;:::::i! ',:::l ' ,Y ／
　　　　　そこまでは頑張りましょう」　　　　　　　　　　　　　ヾ､,ﾍｧ'｀　　　　　　　　 l!';::::i　ｿ! /!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ、　　　　　　　　　ﾝ'i:ﾘ　ﾘ'/!i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'　　　　　　　_,.-'"'　ｿ　 '/ｉｌ＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　　 _,_'"::::　　　ﾞ ,r ' ￣　　` ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ､＿_､ｼ'ﾞ'"ﾏTﾐヽ　／　　　　　　　　 `ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽヽｿ

―――――――――――――――――――――――――――
　　やはり何かあるな、と察したエルが
　　もう少しですから、と彼女の背を押して移動が再開される。
―――――――――――――――――――――――――――

586 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:08:00 ID:KHv/Msrg

四１１６．
――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　―――自分で道を選び続けるやらない夫だからこそ、嫌う事がある。
　　どれ程までにそれが悲しい事かを知っているからこそ、許せない事がある。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , ----- 、　　　　　　　　　　　　　　　／ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／＿＿＿　＼　　　　　　　　　　　／ヾ／
　　　　　　　　　　　　　　　　 i.ノ/: : : : : : ｀ヽ;-,　　　　　　　　　　／ヾ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:_/_:_:_:_:_:_:_:_:_:ヽ:|　　　　　　／ヾ／
　　　　　　　　　　　　　　　　｜（ー）（ー）｜.､-- ､　　　／ヾ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　　（__人__）　　i　　弋||ニi／ヾ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　 , -!　　｀⌒ ´　　 !-､　　／○||´
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |､ヽヽ　　　　　　 / / |...／ト､／弋｀||
　　　　　　　　　 , 　―;;;;;;;―´　| |､｀ ――― ´.,| | 　｀-;;;;;--　､｀弋 |
　　　　　　　　／ヽ　 ▽ 　ヽ　ヽ￣￣￣￣/　／　　▽／＼　 ´　　　　　（助ける………
　　　　　　　　 .i　　　｀　-　　r―‐/＼　　　／ヽ― ､　 - ´　　　 i　　　　　　今度は必ず助ける………）
　　　　　　　　／　　　　　　 |　／－ ―┬― －＼　|　　　　　　＼
　　　　　　　　　>､｀ー--　　　,／　　　｜　　　　＼　　--―　´ ,<
　　　　　　 .>､　ｰ――‐,‐ ´ 　<＾＾>　　|　　　　　｀ｰ､－――‐ ,<
　　　　　　　 >､　ｰ‐,―､´....　　　Ⅴ 　　｜　　　　　　　　 ,｀ｰ､‐―‐ <
　　　　　　　 / 　　　／::::::i＼.　　,.　-－―┴―－-　､　／!::::::::＼　　ヽ
　　　　　 /＿　／:::::::::八　Ｙ　　　　　　　　　　　 Y　　八::::::::::＼＿ヽ
　　　　　　　　i::::::::::::: ／:i;;;;;ヽ. ヽ　　　　　　　　　　　 /　 ,/;;;;;;ト:::::::::::::::::<
　　　　　　 i::::::::::::::::::::/;;;;;;;;|ヽ´ ＼, -――――- ､／ヽ´|;;;;;;;;i::::::::::::::::::::i
　　　　 , - !::::::::::::::::::::|;;;;;;;/　　　　|　　　　　　　　 |　　　ヽ;;;;;;;.!::::::::::::::::::::!- ､
　　　　　 i｀ｰ――――i;;;;/＼　　 !　　　　　　　　 !　　／ヽ;;;;i――――‐ ´i
　　　　 .|------i　　　.|/　　｀ー―――――――― ´　　　.｜　　.ｒ‐‐‐‐‐|
　　　　　 .|　　　　.|　　 .|　　　　　　　 / :::::::::::::∧　　　　　　 |　　　.|　　　 .|
　　　　 |----- .!　　　.!＼　　　　　../:::::::::::::::::::∧　　　　　..／.|　　　.|-----|
　　　　　 |　　　 .i　　　.|　 .＼　　 /::::::::::::::::::::::::∧　　 .／ . . |　　　.|　　　 |

―――――――――――――――――――――――――――――
　　同行している三人の体力や消耗も忘れ、
　　まるで一人で行動していた時の様に急ぐ彼の脳裏には―――
―――――――――――――――――――――――――――――

587 名前なんて無いだろ 2011/05/08(日) 21:09:00 ID:WnTzkCNQ

慧音さんか…

589 名前なんて無いだろ 2011/05/08(日) 21:09:07 ID:MrCjYh5Q

唯一守れなかった約束か・・・・・

588 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:09:01 ID:KHv/Msrg

四１１７．
――――――――――――――――――――――
　　邪な者の企みによって未来を奪われた女性、
　　自分を信じてくれた親友の父、
　　見込んでくれた上司や仕事仲間など―――
――――――――――――――――――――――

　　　―――もう、あんな思いはしたくないんだ―――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ:::Y:::/::::::::::::::::::::';::ヽ/／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｒ─-'--=== ､..,,,_:|::::::i':/____
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,,!_:::!]:::::::lｺ:::::::::r-､｀"'':::::::::::::::｀ゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　｀ヽ,.-､_;;:: -‐- ､::/〉:::::/::::::,'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/'　　　　　/::::::::ヽ.　　｀ヽ.｀ヽ/::::::,'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i　 !　/|　ﾊ_;:::::::::::i 　 ',　 ', 　',｀ ', ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i　/::/ |/´_ ',:::::i::::ﾊヽ､!_　i　　i 　i　',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i　i:::ﾊ,r;ｧ-!､ﾊ:::|/　!　ﾊ　 |　　| 　|　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i　ﾚ|:::|　!　r}　|/　 'ｧ='-!､ﾊ　 |　 i　|
　　　　　　「………さようなら」　　　　　　　　　ヽﾍ|:::!" ￣　　　　 !__,r!/ i,へ! 　|´ |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|从　　　 ,　　　　 " /::::|　　!　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::|＼　　ｒ-､　　 .／/:::;'　 ,' 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ|:::l:|　.i｀ヽ.,__　,. イ |7:::::/　./i　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/_,.|:::l:|,.ｧイ´ヽ､　 _ |>':::::/　 /　|　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／´　 ';:::ヽ:;:ﾍヽ､　｀ハﾝi:::::i｀ヽ/　 ! 　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / 　　　　〉::::i::ン＼>7 ﾊ ',|:::/i｀ 7｀ヽ! 　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〉ン､_　　レ'Y:::ゝ-'/ /　| 〉:::::Y　　　〉 |

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿__
　　　　　　　　　　　　 _　-―――――-＜￣} }!
　　　　　　　　　　　 ´　　　　　 -――７　く.７./-､
　　　　　　 ,　 ´　　　　　￣　　,. -―/　　　Ｙ´ ＼＼
　　　　　 /　　　　　,　　　,　イ　　 /　　　　　　　ヽ.｀　､＿.ノ
　　　　　/ 　　　 ,／　　／　,/ 　　 { 　 {　　　　　　　＼￣
　　　　 /　　　　/ 　　　　,ﾉ　　　 }　　ﾊ　 }　　　　　、ヽ.
　　　　 |! 　　 /　　　　_.／ ,ｨ /　/　　　}　 !　　　　　ヽ.}ヽ、
　　　　 |　　　/　　　｀才　 /:/　,　　　/　/　　　　ヽ. 　ヽ.　}
　　　 {　　/　　､　.＿__.／ /　/ ,.　__/　ハ　　ハ　 }!　i {
.　　　　Ｙ　/　　　｀　.ナｰ-r七´ /／７ :/二.!_/}!　}　ハﾊ!
　　　　　| /　,　-―　〈 /　 {!　 ,ｲ | ／ ´tﾃ::ナ}ﾉ ./　/　ﾘﾉ
　　　,イ⌒Y´￣￣　　ハヽ (ヽ. i ヾ､_　　￣ノイ}／　
　　〈　　　人　　――-　ヽゝxくヽ、　　　　　　　∨　　　　　　　「ああ、信じているよ」
　　 }!　　∧_ ヽ. ,ｘxzrく⌒´ヽ!　　　　　　　／
　　八　{〈　 ,.イ}　　｀　　　 {　　　　 , 　 _ '´
　　　 }ハﾘ　{´　i　　　　　　　ヽ　　　　　　 /
　　ノ'　 }! 　ヽ/　　　　　　　　{ヽ.　＿＿_/
　　　　＿∠__＿＿＿　　　ヽ.
　　　　　/: : : : : : : : : : : : ￣￣￣＼
　　　　入＿＿＿＿＿＿　　　＿厶、
　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:￣￣:.:.:.:.:.:.:＼

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　護りたかったのに、自分の手からこぼれ落ちてしまった命の記憶が蘇っていた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

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━━━━━━━━━━━……

590 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:10:00 ID:KHv/Msrg

四１１８．
━━━━━━━━━━━……
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　　二時間半後。
　　四人はようやくダカールの丘に到着していた。
―――――――――――――――――――――

┌──────────┐
│　　ダカールの丘　　　　.│
└──────────┘

　　　　　　　＿＿ __,,...ノ⌒`ー＝=-- ..,,_＿
　　　　─=≡＿三≡ニ二三三三二ニ≡人＿＿　　　　　　　　＿＿f≡二ー'二⌒ヽ
　　　　　　　　　｀~^^''ー--＝=≡三三≡‐'''""￣　￣￣　　　　　￣`''(三三ノ⌒ヾ≡三ｿ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿　　　　　　　　＿＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,イ´ヾ､:　:￣`ー-、　　　　 /_　_　　　　　 `ー┬- ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿/　|:　:　〉､　:　:　:　:＼,　.,／:　:　｀ヽ　　　　　　 |!　　＼　　　　 _,,..
　　　　　　 _,,.. -‐──-　　..,,_ 　　 /|!　l　 |:　:/　: ＼　:　:　:　i三|:　:　:　:　:ﾄ､　　　　　　　　　 ∧,,..-‐''":.::.::
　　　_,,..-'":.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀'''ｰ┤.!　　 i. :　:　:　:　:　:　:　: |三l!:　:　:　: / 　＼　　　　　　　/　iﾄ､:.:.:.:.:.:.::..:
,,.‐''":.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./　＼　 .l:　:　:　: / : 丶:　 : |三|:　:　:　/　　　　　　　　　　　　ヾ;;＼:.:.:.:.:.:
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:._｣　　　|　 |!:　:　／/_: :　: 〉: : |三|: :! |:　: 　〃　　　　l!　　　　　〈　　　|_;;;;;;＼:.:.:
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:._l　ヽ　 .l! . |!､ :　:　:| :　: 〃 :　:|三|:! | :　／.{ 　　　 :　　　　 lヾ、　ヾ､;;;;;＼
:.:.:.:.:.:.:.:.,i!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./ 　ノ　　　.ヾ＼:　:　:　:∧:　:　|三|:! |／　　　、　　 / ＼　　　,!　　､＿∧;;;;;;;
:.:.:.:.:.:.:.彡ミ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,〈　　　／ l　　､ `　､:／　l:　:　|三ｎ.〃　　　　ヾ　　　 ,ゝ　　＼　　　 }　ヾ;;;;
:.:.:.:.:.彡三ミ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／/　　／　 _!.从　　`┬‐ 、: : 　: |三l !|L　　　　＿ｿ　　　《　　　　　从　　　＼
:.:.:.:.彡三三ミ.:.:.:.:.:.:.., 、:／;;;,i! 　 ,..､　 / .彡ミ. 　　!| 　从 :　:.|三l〃　＼　 , 、　　 ,i! 　 ,､　　　彡ミ.
:.:.:.:.彡三三ミミ:.:.:..彡ミ´;;;;;彡ミ彡ミ从 .彡ミミ　　,､　,!::::::ヾ,,,,l／　　 .}.彡ミ　　彡ミ彡ミ从 .彡ミミ　　,､
.:.:.彡彡三三ミミ:.:.彡::ミ;;;;;彡::ミ, 三彡ﾐ彡,il､ミ　彡ミ {!:::::::::l! 　 ,､　　　 .彡::ミ　彡::ミ, 三彡ﾐ彡,il､ミ　彡ミ
:.:.彡彡三三ﾐミミ:.彡三ミl彡三ミ ::: 彡::ミ .彡ミ　彡::ミゞ;;;;:ｿ　.彡ミ　　彡三ミ彡三ミ ::: 彡::ミ .彡ミ　彡::::ミ
彡彡三三三ミミﾐ.　|li|.从从|li|W |i|..　|i|　彡三ミ. 　|i| 从 |il| 从彡::ミ.,.,,.,.W |li|.从从|li|　 |i|　 |i|　彡三ミ., 　|i|
.: .ﾐ彡:.:.|!|l|　ミ彡w､w|w,, .,, |li|., ..w,,...,|,r':":ゞ:ﾐヾ,....,,.Ww,,,...Ww..从从从､ w|w,, 从, |li|从从 .,|r':":ゞ:ﾐヾ,....,,..Ww
: :从从.,|! f''≡ｰ‐-、 r''ﾞゞ彡ミヾゞ ...,　ゞミヾ彡ｿ....,.,., 　 .............,,,,　 ...,.,.,.,　　　　　　　　ゞミヾ彡ｿ.
ww,,,..... | 《:彡:三:ミ:Y＾彡巛ヾミミ》　　""""　　　　　　,,,,....,.,..,,,　　　　.,,,,,,,､Ww.,,　　　　www,,,.......　....,.,　　,,,,....,.,..
　　　ノ,! ゞw､ww,,.W,,,,,,...Ww,,,.ww､ww,,.,,,,　　　　,....,,.ww,,,...w　　　　　　　

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　切り立ったテーブル状の丘には、人の手で作られた階段が道筋となっている。
　　あれを上がれば祖王と女神との誓約が交わされたと場所、大地の祭壇があるはずなのだが。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

592 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:11:00 ID:KHv/Msrg

四１１９．
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　　階段の手前に、明らかにこの場には似つかわしくない
　　金属質の巨躯が立ちはだかっているではないか。
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593 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:12:00 ID:KHv/Msrg

四１２０．
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　　同じ人型でも岩塊や土から無造作に組み合わされたゴーレムとは全く異なる、
　　機械的に設計されたと一目で分かる構造。
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 rrﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {{　〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r{}]、　　　　》く
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　│　　　　 /　/　＿＿
　　　　　　　　　　　　／⌒ヽ、　　　　　　l　ﾊ　　　 /　/　ノ {二}　＼
　　　　　　　　　　／ {二}厶ｨヘ､　　　「ﾄ､|│　　 /　厂⌒L__　　八
.　　　　　　　 /　　厂｀⌒Y^ハ＿＿ {」_j込二二二ﾉ　 rｭ　　ヽ　|　＼
　　　　　　 /　ﾑ_/　/7　　ヾ_」コ}　ﾉY7厂]疔ﾐ､_/　　ﾄj　　　ﾉY ⌒ヽ_〉
　　　　　　　　〈／　〈　〈7 ＿, ／ィ＝＝ァ　_ノ／ﾘ「|　　　＿,ィﾆ　ヘ､__／
.　　　　　　　　＼／7⌒厂７┐　　　　　　r┬ｭ　 ⌒厂厂{　＼　＼　＼
　　　　　　　　　　　 /　/}　{「¨´ r一-､　　　￣　　「]「了Lﾊ　　＼、＼　ヽ
　　　　　　　　 /　/ ﾉr八　　!　　ﾉ>　　　　　　　 |川　∨⌒「　| 　＼ﾉ
　　　　　　　　　　/　/ 厂¨７＼仏rｰK_厶ィー―‐rヘくｰ{　ノTLﾉァﾊヘ」_
　　　　　　　〈_.ノ /　　厂{ （に(Zrｭ二(ココｺｺ广ヽ＼＼|　[彡ｲ「　　 |
　　　　　　　　　　 / 　 /,Lr厂７ｰr冖f⌒「7ー'´ ＼　＼　ヽ_ LL! |　　 |　　
.　　　　　　　　　 / 　 //　/　/　ト-ﾉ　亅|　　　　ヽ、ヽ　　|　　厶ヘ_ l
.　　　　　　　　　厶ィ〈/　 /　/ 　丨　!　￤ ! 　　　　ヽ厂７7≦厂ヽﾉ」
.　　　　　　　　　{{ァﾉ７　 /　/　　 !　 !　 |　|　　　　　　|止ヲ〈ｰ∠ミ､ﾉ
.　　　　　　　ヾ彡　 /　/　　　│　|　￤ l　　　　　,ィ} ]ト-くヾニﾆﾌ
　　　　　　　　〈　 /　〈　　　 i　 L__」　!　　　くノ厶ィミ、
　　　　　　　　　　　＼{「￣ヽ,　　　|　 l「⌒ヽL__／ヽ　 /　　　ヽ
　　　　　　　　　　　ﾉ!L.＿_〉、　厶　lL＿_」く_／　／　　　　　＼
　　　　　　　　　　厂ーr一ｧﾊノ＿} 厂￣ヾソ___／　　　　　　　　ヽ
.　　　　　　　　　 /　　　!　　　　〈　　　　　　l　　　　「l　　　　　、
　　　　　　　　　 /,ｨ　　/　　　　　　　ヽ　　　　　|　　　　L!　　＿　　　ヽ
.　　　　　　　　 /〈/　 /　　　　　　　　∧　　　　　　　　 -　ﾆ　-　､＼　「
　　　　　　　　　/ﾊ-､_/　　　　　　 /　L.　　　　l　　/ rく　　　 |　　　￢L
　　　　　　７’　/＼　　　　　　　厶　 |　　　　　 |　|　ヽ　　ﾊrf{￣￣ l
　　　　　　　　　「ヽ/　　＼　　　　 r弌ヽノ　　　　　ヽ」　L＿_Y⌒｀Ⅵ＿＿」
.　　　　　　　 |　|　　　／マー{厂　￤ﾊ　　　　　　　｀￣厂￣L__/厂　ト､
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　　　　　　／　　　／　　/　　　　　 | rf￢｝　　　ﾉ　 | l 　　　　　 | 仄ｧハ
　　　　　くー―‐く　　　/ に二ｺ[二]_⊥ﾆ二ﾌ　　　に(ｺ| ヽ､＿＿＿＿ﾉ L厶「ﾘ
　　　　　　￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣´　　　　　　｀￣￣￣￣￣￣￣￣￣

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　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　／　_ノ　ヽ､.＼
　　　　　 | 　（●）（●）　.|
　　　　　　　!　　（__人__）　 |　　　　「なんだあれは？
　　　　　 , っ　｀⌒´　　 |　　　　ただのゴーレムには見えないな」
　　　　　　 /　ミ）　　　　　/
　　　　　./　ノゝ　　　　　/
　　　　　i　ﾚ'´　　　　　ヽ
　　　　　|　|／|　　　　 |　|

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　国王は祭壇に守護者が居るなどとは言っていなかったので、
　　おそらくは妖術師が用意したものなのだろう。

　　未知の敵が居るとは言え、少なくとも目的地に対する予測は間違っていなかった。
　　それでまず一つ、胸のつかえが下りたやらない夫が
　　注意を払いながら少しずつ距離を詰め始めた途端、
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

595 名前なんて無いだろ 2011/05/08(日) 21:13:00 ID:g2fnFkio

遂に出会ったか

596 名前なんて無いだろ 2011/05/08(日) 21:13:25 ID:KdP4Ql.w

気づいて救い出せるのか…

594 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:13:00 ID:KHv/Msrg

四１２１．
―――――――――――――――――――――――――――――――
　　草むらから開けた場所に出るなり、赤く光る双眸が四人を捕らえる。
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　　　　　　　　　. '､,;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;|_,,,,_,..,' :!;:　　　.ｌ ;:;:;:;:;:;:;＼　　　　　 |;:: `
　　　　　　　　　　 .｀'､,;:;:;:;:;:;:;:;:;:　　　l　.l;:;:　　 . ', ;:;:;:;:;:;:;:;:.＼　　,.----;;‐　　　　 . ,./
　　　　　　　　　　　　ﾞ',;:;:;:;:;:;:;:;:　　 ,!　,!;:;:　　 : ;.! ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;ﾞｰ !　　　 !　　　　.／ ;:;／
　　　　　　　　　　　　　.ｌ;:;:;:;:;:;:./ 　 ,!　 !;:　　　 : ;:', .;:;:;:;:;:;:;:;:;:;: .,'　　　 .!　　　 / 　./
　　　　　　　　　　　　　 .!;:;:;: / 　　/　 :! 　　　　,ilーl"ﾞ'i　　　./　　　　ヽ　 ./ .;:,i′
　　　　　　　　　　　　　　!　/ 　　 .!　　.!-、　　/! _,, ﾚ''゛　　　ｌ　　　　 ;:　ヽｌ　./
　　　　　　　　　　　　 ...　‐ﾞ　　　　!　　 '-.｀'‐.'"´;::./　　　　 i′　　　 ;:　.,' .、 /
　　　　　　　　　　　 .,/　 ,, -一‐i . !　　　l　　;:;:;:.,'　　　;:;:;:lﾞ ..,,＿　　 . ! : .＼
　　　　　　　　　　.-'"　　... -‐''　　ﾞ'-..,,_ l'-,,,;:;:_../　　 : _ / .ヽ;:;:;:;:;:.,' 　;:｝　,:、;＼
　　　　　　　　　　　　　　/　　　!　　　　　　　 '―‐'´　　l　ﾞﾞ"''''" ...／ ./ .ﾞ'､;:;:.＼
　　　　　　　　　　　　　　l　　　l　　　　　　　　　　　　　　　 lﾞ　　　 : ;:/　　l　　ﾞｰ'"　"
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　　　　　　　　　　　　　,ｨ,ﾆニｭ､_
　　　　　　　　　　　　 //　　　｀`ヽ
　　　　　　　　　　　 __《__＿_＿__
　　　　　　　　　 ,ィ´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀‐-ｨ´ヽ、_
　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ﾉ.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.::|:::`ニﾆ=‐-
　　　　　 / : : : :.:.:.:.::.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|::.:.｀ヽ、
　　　　　　ｊ: : : : : : : : .／:.:./:.:.:..::ﾉ:.::.:λ:.:ﾘ::::.:.:..:.ﾍ、
　　　　　　 { : : : : :.:.:∠:ｊ:.::/::.:;／'⌒／|:.:/::::::::ﾄ､:.:.:ﾊ.
　　　　　　 ∨:.::.:.:.:..:::.:.:|::/:;／|/:;／＿ｊ;/,':/|:::|　＼:.:|
　　　　　　　∨:.:.:.:::::.:.(_|::'"::::::|´ ≡≡ 〈:/　|/　　ヽl
　　　　　　　ｊ:.:.:.:.:::.:ｉ:.:/:|::::.:.ｉ::|　　　　〉
　　　　　　　 |:.:.:.:::::.:|/::..,|::::.:|::|　 (.｀ゝ／　　　　　　　「カッコイイ」
　　　　　　 |::.:.::::::./:.:./､|:.:.:|::|‐-‐::'l´
　　　　　 |:.:::::::./:.:./　ﾍ:.:.::λ:::::::::|
　　　　　　　|:.:.:::::/:.:./=＝､ヽ:.:.ﾍ､_::::}
　　　　　　 |:.:.:::/.::/ ,　　　＼＼::|,ｊ::ﾘ
　　　　　　　|:.:.:.:／ｊｉ　　　ｉ {.＼｀_　|
　　　　　　　|:.:/::|」| |　ヽ､ | ｀V 　 V}
　　　　　ｊ:.:|:::::゛}.|　　　　{　｀ヽ、｀|
　　　　　 |:.ｊ::::::::｀|　　　 |　　　〉 ;}

―――――――――――――――――――――――――――――――
　　拠点防衛の指示でも与えられているのだろうか。
　　一定の距離に近づくまでは動こうとしない相手を見て
　　手のひら大のおもちゃなら欲しいなどとコナタが暢気なことを呟くが。
―――――――――――――――――――――――――――――――

597 名前なんて無いだろ 2011/05/08(日) 21:13:56 ID:NBSZeGu2

うん・・・かっこいい・・・

598 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:14:15 ID:KHv/Msrg

四１２２．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　遙か昔の記憶の中に、あれと符合する知識があったエルが警戒と後退を発す。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,r/　,;-ー_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::レ:::::三:::::｀ミ::=-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,i::::::::::::::::､:::::::､::::ヾ::ヽﾐｰ-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,r'::::::::::::::::::ヽ::::::::＼.:::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　//:::::/:::;:::i:::::ヽ:::::::::::::＼::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　/::/:::::::/_ヽ:!:::::ヽ:::i`_､:::::ヽ ::ヽ:::::::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i::/::::::::/'oヾ､:::|ヽ::Y o＼:::::i!::::ヽ::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l:::i:::::::::lゝ- '　ヾ、ﾞ ! ｰ '､ヽ:::::!:::::ヽ::i ヽ
　　　「まさか魔導兵！？　　　　　　　　　　　　　!::!:::i:::::!　　　` ｀ヽ　　　　 i:::::!::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l:!:::l:::l !　　,r_ー‐-､　　　l::::!::::::::::;::i
　　　これ以上進んではいけない、　　　　　　　　!|:.!::', 　　i'/￣￣ i 　　　l:::::::::::::ハ:!
　　　戻って下さい！」　　　　　　　　　　　　　 .　　 l::::::ヽ.　ｉ　　　　i　　　ｨ::/i:::::ﾊi　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i::li:::＼ `ｰ--‐' 　　／ﾘ　|:::ﾘfﾊ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _..!:ﾊ::::l;ヽ､　　　／　　"　l::/i　ヽ. ｀`''ｰ- ､._
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,r‐'''"´　 !　ﾘ!i ヽ `＝'"　　 ,　　ﾘ /　　ﾝ　　　　 /ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ヽ　　　　　　ヽヽヽ　　　/　　／　　　　　　　　/ 　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l 　＼　　　　　　＼　 '　　　　　／／　　　　　 /　　　 i

　　　　　／￣￣＼
　　　　／　　　 _ノ　＼
　　　　|　　　（ ●）（●）
　　　｜　　　　（__人__）　　　　　　　　　　「全力で後退！」
　　　 |　　　　　|r┬| .}
　　　 | 　　　　 |　| | }
　　 ,..-'ヽ　　　　｀ﾆﾆ }
　 ./::"::::`ヽ､.,＿＿ __ノﾞ
　/::i::::::::::::"'弋'!ｰ',イ>|'_ノ´｀ｰ -,,＿ _
. }:::ﾞ|::::::::::::::::::::~ﾞ:_戈;f"　、　　　ｲ/ `i
/:::::::!;:::::::::::::::::::/',r.ﾃ　　　＼xｰ.ｫ､__ノ
::::::::::::ヾ!:::::::::::::l .l r'　　 `　､_冫y"
:::::::::::::::::＼o:::::l .ﾄ、　ヽ,＿ﾉ"ｰ'
:::::::::::::::::{::::{＼代 l>ｰ､,_ノ

――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　やらない夫も反応素早くそれを肯定し、四人は身を翻して距離をとり―――
――――――――――――――――――――――――――――――――――

599 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:15:00 ID:KHv/Msrg

四１２３．
――――――――――――――――――――――――――
　　敵の視線が通らない林の中で向かい合った四人の内、
　　厳しい表情の雪華綺晶が言った。
――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　 __　　 ,､ .（(,､-―‐''''''''''―-､,　　　　((
　　　　　　,ｲ `'ｨｹ´vﾄr,,)）　　　　　　　　　｀ヽ, ,ｨｭ))-､
　　　　 l　　 ,ゞﾍﾉﾌｨ　 .／　　　 i 　　　 `､Yﾉ　 l!
.　　　　 j　　ゞ〃‐'´　/　　/ 　　 | 　　 | 　((ヽ､　 i!
　　　　 / 　 //.（(　　　/ 　 / |　|　 | 　　 | 　 )）ヽ　.i!
.　　　 / 　 // 　 )）　:/ 　 /.　|　|　 | 　　 | 　　　　i!　|
　　　/ 　　/　　 "　 / 　 / 　 |　| 　|　　|　|　 |　|　 i!| |
.　　 ′ 　.i　　/　 l .|　　l!　.)）|　|　|.| ｌ　|　|　 |　||　|: /
　　　l　　　|　 i!　　.| |　　ﾄ､（(ｨｭ, |　l.| |　|　|　 |　||　|: {
　　　V　　i!i　 |　　 |.i　,ｲ´ｨY^ﾔﾊ| i!|| | l:|　|从| l:|! ||:ハ
　　　ﾍ　ﾉﾉ　 |!　　 |! _Vゝ~ﾝ'.ﾉ j`´ ｀ γﾃｫ､// i!/　l ∧　　　　　　「なんだっけ。
　　　　,ｲ,ｲ .l　 l!　　 l!ゝ_ゝ｀´ﾝﾝゝ　　　込ｿ.ﾉ/.| .〈ヽ,l:　＼　　　　　どこかで聞いたことあるけど………」
　　／／|　.ﾘ　 .|!　　ヽ　((`ｰ'´`　　'　　￣ /　|　.ﾍ .ヽ　　＼
,ｨ'´／　 l　/ ,ｨ　 |! 　 ,､`､))　 ,､,　.ｰ.,､　_, ｨ' 　 |　| ゝ　＼　　:.
　/　　ﾉ／ｨ'　_,､ｨ'ヽﾉ,ﾊ､,` ﾉ´ ｲ,-‐ﾉ `ｰ'r-､､.ヽ l　ヽ　ﾉ　　}
　{_,､ｨ´,ｨ'´　ｨ'´　　　　__,ﾊ,　ﾉ (__ -‐　 '´ （,､‐-`､!　　〉/　　　〉

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　おそらく出所は過去の伝説や逸話の中。

　　しかもかなり良くない部類の話だったはず、と形の良い眉をしかめる彼女の隣でも、
　　コナタが記憶に引っかかる単語だった事を確認して顎に手をやっている。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　／ '´　　｀ヽ
　　　　　　　 //
　　　　　　 !i　　　　　／:ヽ-.‐: : :ﾆ二＝‐
　　　　　　　　ﾞ､　,. : ':": : : : : : ､: :、　_ .｀.ヽ､
　　　　　　　ゝ゛: : : : : : : :　. .:i、:ヽ: :｀ヾ､_:.＼
　　　　　　　, ':i: : /: : : : :ﾄ､: i: : :.i x-ﾞi: : : :.ヽ　｀`
　　　　　　 /: :.!:/　. .,.-|:.| ∨!: : :l　ヾ:i,: :ヾ:. ｀､
.　　　　　 i　　}l. : : /: i'| |　 !|、: | _,,⊥!: : i;::: :｀､
　　　　　 !. : :l: : : : : :! |:|,,.、l|ヾ:| 彳ﾊ`ﾄ､:.|｀ヾ:.i
　　　　　　 l: : !: ;l: : : :!ｯi"､ﾊ　ﾘ　､_j! l ヾ!　ヾ
　　　　　 V:|:/:.!: : :!ﾍ' ､__j!　　　　`゛･|i
　　　　　　　ヾ": : !: :,! i　`''"　　　。　／:|　　　　　　　「えーっと………」
　　　　　　 i: : !: l ハﾊ.＿＿＿,.／）|:: : |
　　　　　　　　|: :!: : {: : :ヾ;|　r く,/　ﾑ:.!: : |
　　　　　　　　j:/: : :∧: : : :＼ヽ＿　｛.:ﾄ: :.!
　　　　　　　 l/: : /==`ｰ､: ＜!三ﾐﾐヾj Υ
　　　　　　　 /: : : |=＝==≧ｼl二`ヾﾐﾐ｝｜
　　　　　 /: : : : !、　　　 |　　　｀ヾﾐ!　!、
.　　　　　 /: : : : : :}ヽ　　 |　　　　　ﾉ`ヽ｀、
　　　　　 !: /: : : :.∧｣:､　　　　　 /　　　,l
　　　　　 l: /: : : : ;': /.ﾊ＼　　　　,/　　／
.　　　　　l.:,!: i : : :i!:.(　　＼_〕ト､_ノl_,.ィ'｢
　　　　　l:.!|: :!: : :.!|: ;>､　　 |`ァ''＾ヽ |く
　　　　　|:l l: l: : : l／ / `ｰr-l∠ィ"＾ヾ、ヽ

600 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:16:00 ID:KHv/Msrg

四１２４．
―――――――――――――――――――――――――――
　　しかしもったいぶるつもりの無いエルは
　　名前ぐらいは聞いたことありますよね、と早速答えを告げた。
―――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ハ :::: :::: :::::::::::.::::::::::::::::ヽ::::::::､::::::::::::ヽ ::::::..ヽ::::::`､ :. ::::::ヽ :::::.:.::｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|／| ::: :::リ､:::rＮヽ＼::::ヽ､::::ヽ､::::::丶＼　::.＼:::::ヽ .:. :::::｀ヽ‐- ､_:::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　ﾊ ::.:.::!　V　/　＼ヽ::i ヽ:::| ｀ヽ::､::｀ヽ丶､:::丶､::､ :::::...､::::＼　｀`ヽゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 { ヽ.: ::l 　　/　　　　ヾ　ヽ:i　　i| ヽ::::ヽ＼｀`'' ‐---::::ヽ:::＼rヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ';:: :! 　〈　　__　　　　　ヽ　　|　 ',::::::: :＼:.::､｀ヽ:＼::::::ト､::丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:: ﾊ　　`　　　　　　　　　　　 }:::::::. ::::ヽ::ヽ::.:＼:ヽ､ヽ　｀` ｰ-
　「竜の戦士、シュウジ＝クロスの話は　　　　　　　　|/l:ハ　　､　＿＿　　　　　　　ﾊ:::::.::| :i:.:ヽ.:i::: :､:ヽ}　｀`
　知っていますか？」　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノﾉ'　l心　　`ー‐一`　　　　　 ,. '|:::::::| :| :.::.N :;､!`､ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |ハ　　　　　　　　　,　'´　i!::::::| ::|　:.ハ | ＼ヽ!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘヽ　　　　　 ,.　'´　　 ,/!/ |: :::､　!　 i|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__　 __,.ノ/ 　ヽ __,,.　'´　　　　　ノ　l,ｲ:: ﾊ:{ 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,..､,.ィ"r''"´　 .:::　　　　r　　　　　　　　　/ /　|､:! ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,.. -‐''"´　{　　ヽ　　 r　　 i　ヽ＼　　　　　　／　　　: ヾ丶､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　 |　　ヽ＼　　　　ｌ　　＼!　　　　　/　　　　　　ヽ　｀ヽｰ-､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　|　　　　　ヽ　＼　　ヽ　　　　　　　　i　　　　　　　　　　ﾉ /　ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､　 |　|　　　　　　　､　＼　　　　　　　　　　ノ　　　　　　　　／ / r　　　｀`丶､

　､　　 _, .}　,メ　　　 l　　 ',::　　ヽ::::.　　 ',:　ヽ
　￣,´/F>｀ミi_　i　　i　　 ';::　　　' ;:　　　';::　 ',
　　,⌒Yiー<⌒ﾊL　　i 　　 '::;　　　 ',､　　 ';::　 }
　 ,ｲ冖!/てヾVYjヽ_,　l､ ,　　',斗七　 '.,ヽ　人,,ﾘ
　从r'弋心ノ',ｲj从i 　 l....ヽ／ '; :::＼　ｌ ::/イ
.<　ゝ._｀フノノﾊ､ .i　　l::::''ゞ从_i⊥､;＼j .i
　弋 _､.＞√勿/ヽi.　ハ　　 V{ｨrｬﾐ <　丶_
　　))　/´　｀.i`...'.,::､　'､ﾊ　｀．辻,ィ'}　　　￣|
　　　　l　　 ::: 　 ::',::＼　iヽ　　 |下乙　　　　　/
　　　　l　　 :: 　　 ;;; ::ヽ|　ゞ　　　　　　　　　/
　　　 ,'　　..::　　　 ,:'::,　:::|　　　　　　　　　　 (　　　　　　「………ＤＧ事件の事？」
　　 ,'　　 ::　　 .::　 :::　::|｀(　　Y ヽ､　　　 /
　　 ,'　　.::　 .::　.::..　 :::　:|　,ゝ‐ｲ　.ﾉゝ___,,ノ
　　,'　 .:::　 ..::: .:::　　:::　:::!"　｀丶、s￣｀)
　 ,'　.:::/　 :::　.::　　 :: ::/　　　l　　.l ヽ￣)
　,'　::; '　 .::　:::　　　ﾉ,/　ヽ、　ヽ / ／､ゝ
.　／　..:::　:::　　／／　`丶､｀　 '彡,廴`;;;;;
　　..,,,_::,,__.:,,,,:::／／‐-､__　　｀丶 .ヽ /∧/|
　Y　　　　　　￣ -　　,,,,　｀　‐ - ､ .Y..∧/|
　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ　　ヽ|∧//|

601 名前なんて無いだろ 2011/05/08(日) 21:16:59 ID:MrCjYh5Q

ここでもガンダム話が！？

602 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:17:00 ID:KHv/Msrg

四１２５．
―――――――――――――――――――――――――――――
　　それはこの大陸に住む者であれば、九割以上の者が知る逸話。
　　英雄ではなく武侠として名を馳せた、伝説の戦士の物語。
―――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , '::::::::〃:::::::::::.i::::::::ヽヽ:ヽ ::::::､::::::::::::::::':::､､,__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_ｨ:::::::::〃::::::::::::l!::!:::::::::::＼ヽヽ:::::ヽ:::::::::::::::::::t=ｰ-.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ｨｼ='7:::〃::::ｨ''|!i:::!i::,::::::､::::::ヽ::::::':,',､;,:::::::::::::::::::::ﾝｯy､,_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´"　　/::::::/:::/,.-ｬj:::l 'i!';::::i＼::::ヽ:::::::',',',i!::::::::::::::f"''''＝=-''
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.ｼｨ::::::::ｿ !. (::)ﾘ!　ﾍ',:::l,,､ﾇ;:::ヽ::::::',',',':::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃ｼi::::::::ｌ　｀""゛　　` 'ﾘ (:::)ﾔ､:ヽ:::!:','::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '　'　.ｌ::::::::l　　　　　　ヾ'''''" Y:::::::::::::!::::::::::::::::',
　　　　「それです。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i::/ｌ::::!　　　ヽ　、　　　　ｌ:::::::::::::::'::::::::ｯ::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l/　!:::'､　ｧ､.　　　　　　　 !:::::::::::::::::ｫ:::::!';::::::',
　　　　古代魔法文明が生み出した忌まわしき兵器に　　　　.　　　　 ,!. 　|/ ';､. ヾﾐ.`j 　　　 ,イ::ｧ:::::::::::::::i '､::',ﾔ::::､
　　　　魔界から喚び出した高位魔族を融合させた結果、　　　　　　　　　　" . ';ヽ　　　　　,､y'´ /ｼｌ::::::ヽ:::::ｌ　ヾ;　゛丶
　　　　凄まじい攻撃能力や再生能力を備えた　　　　　　　　　　　　　　　　　　'|!`=tｰ:::'"／　 /'　ﾊ::;::::il!';::!
　　　　悪魔のようなゴーレムが生まれてしまった事件です」.　　　　　　　　　　　　'i::: '　　　　　　　ﾘｿヽ'ﾘ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!'i　　　j　　　　 ~ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘ､　／　 ―ー '''"""f,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / _冫'''~ 　　　　　　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ ´　　 ,､　　　　￣~ ヽ　 'i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l!~　　　　/　　　　　　　　ヽ.　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｿ. 　　　/　　ﾝ　　　　　､　',　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　 /　　 / 　　　　　',　', 'i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　 '　　 / 　　　　　　 i.　', ｌ

603 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:18:00 ID:KHv/Msrg

四１２６．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　今よりおよそ四百年前。
　　デビル・ゴーレムと名付けられた絶望の化身は大陸北部の数国を滅亡直前に追い込みなお、
　　その被害を拡大せんと破壊の限りを尽くしたと言う。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

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.　　　　＼　＼　　 _____＿_i{　ｲ　‘　…ー　一| ____]仁三三l[＿　|ー一…　’　ﾄ､　廴________ 　　／　／
　　　　　＼　ヽ i{|　￣￣|} 川　＿　　　　 |_ﾄ､ヽ　　__　／x|__,! 　　　　___　川　}厂￣￣li　／　／
　　　　　　　　＼　‘廴_______i}_｀¨＼　　￣　 …|ィ　＼＼n／／¨∨|… 　￣　／ ¨’_j廴__＿_ﾉ　　／
.　　　　　　　　＼　　＼￣{八厂¨ト､＿＿＿ﾑ| ｰｲヽ〔〕,‘ト一|ﾐ廴＿_...ｨﾍ￣ヾ八厂￣, ‘　　／
　　　　　　　　　＼　 ×⌒人　〈ｿ／~~¨¨¨ﾏ|＿i|{ﾄﾄ羊ﾃ}i|＿_|/ ｀¨¨¨＼ヾ〉　K　　／　／
　　　　　　　　　　　　 Y’　∠ _ 　ｰく　　 _____｢￣込ｪ]{}!ｪ升￣|!　 _＿　　〉＿_ 人＼　／
　　　　　　　　　　ﾚ7 ’￣＼/　｝　／ ⌒｜r=ﾐ￣||￣/=ﾐ |! / ⌒ ＼{¨〉-‐… ﾐ、レ’
　　　　　　　　　　　　　ん’　‐=ﾐ、 Y_/ 　∨　　人ト}ﾐ廴_||__ｲﾃﾘ|」// ⌒ 　ﾚ'7　,二　ヾ}
　　　　　　　　　　　 {｛　 rﾃぅ》　/¨ ＼　∨＿//八}辷Ω三ﾚ//八_　　　/{｛l　｛_jミ}　 }}
　　　　　　　　　　　人ヽﾋ彡’　人　　　¨ ＜/////}=｛二｝ｰ{/////＞”´　ト廴ゞ=’　丿
　　　　　　　　　　 ≧ｰ==イ｜|＼　　　ヾ///}‐｛三｝ｰ{///，　　　　×ー ==≦
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　　　　　　　　　　　　　乂／//レ///＼　＼iY/¨¨¨¨¨¨¨Y/／　／//////＼}_＿__
　　　　　　　　　　　 __＿／'////////r＝ヘ　ｌ|｜　　　｜|ｌ　 ,.r＝ﾍ///////＞ ¨¨¨iﾄ､
　　　　　　　　 /i}¨¨¨¨¨ヾ////////∧三三＼||｜　　　｜|ｌ∠三三∧/////∧　　　弋}_
　　　　　　　　　　＿{i:i}　　　　 }ﾚ//i///;八￣¨＜三|ﾄ＼　／メ/三＞ ¨フ///i///∧　　／ i}
　　　　　　　　_[=弋廴_＿___////l//////＞ .. 　ヾ．__ Y∠ ノ￣　イ/////l////∧∠￣￣|!
　　　　　　 i{￣￣￣￣{//////l///////＞ _＞ー￣]|[￣ー＜_／//////l/////li￣　　 |!
　　　　　　 l{　　　　 [/////个///////厂'…一｛¨¨¨¨¨｝ー…勹//////个////廴__＿__,’
　　　　　　廴＿_＿_彡/////个///////] 　　　 ‘_TT_’　　　　{///////个////}厂￣
.　　　　　　　　￣｀¨¨¨{//////|///////∧　　　 [彡| トミ}　　　，}///////|/////}
　　　　　　　　　　　　　　 {//////|////////{l　　　　[彡ｌ_トミ}　　 '　l}///////|////リ
　　　　　　　　　　　　　＼////|////////{ｉ＿、个ｰ‐一个　/＿j}///////|///リ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ‐＜|////////////,＼|ｌ　￣　ｌ|／///////////j¨i二i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼///////＞ ¨⌒|! 　　 l|⌒¨＜//////／

604 名前なんて無いだろ 2011/05/08(日) 21:18:17 ID:Jtpnvc6g

DG細胞かｗｗｗ

606 名前なんて無いだろ 2011/05/08(日) 21:19:18 ID:jAUH2BlY

Gはガンダムじゃなくてゴーレムかw

605 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:19:07 ID:KHv/Msrg

四１２７．

　　　　　　　／: : : :／ : : : : : : i: : : : : :ヽ : : : : ｰ､ : : ＼
　　　　　 /: : : ／ : : : : : : : ,ｲ : : : : : : :l: : : : : : : ＼- ､:＼
.　　　　 /: : : / : /: : : : : : / |: : : : : :| : |､: : : : : : : : ＼＼
　　　　　.' : : :/ : /: : : : : : /　ｖ : : : : l : |斗-: : ヽ: : : : ﾍ
　　　　　|: : :/ : /| : : :― ｘ　　 ∨: : :∧ |　∨: : :ﾊ: : : : :ﾊ
　　　　　|: :/ : /: | : : : : /　｀　　|: : :/　j/-　∨: : :l: : : : : :|
　　　　　r┴､/:ヽ| : : : / 　　　　|: :/　示旡ｱV : :|: :|ヽ: : |　　　「もちろん知ってる。
　　　　　|　　| : :│: : /|.　　　　 | / 　ﾄ::爿/ ハ: :|: :|　',: :|
　　　　　'vｰく ,ｘ┤: / :|三≧x　ｊ/　　込;ﾘ　{ : | ∧ |　 ∨　　　それを伝説の戦士シュウジが
　　　　／　　ヽ. | /: :│ ,／　　　 ' 　　 .:・} : |/　i/　　　　　　仲間達と退治したんだよ。
　　　 |　　／⌒}:Ⅵ : :ﾍ:.:.:. 　　ー'ｰr' 　／: : |
　　　 {　　　／´}_ﾑ: : :≧ｒ､ .. _ ｰ ' .. ＜/: : : |　　　　　　　　　この大陸の中でも
　　　ヽ　　　／　}ﾍ: : ＼＼　厂}ヽ._/ | : : : |　　　　　　　　　三本指に入る程有名な話だよね」
.　　　　＼　 __／　＼: : ＼＼x-┴くヽ| : : :.′
　　　　／　　 /ヽ　　＼ : ヽ＼　 | 　|: : :/
　　　　/　　　 {ヽ}} 　　　　ヽ: : }　＼ l 　|: :∧

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　幼い頃は何度、伝説の戦士ゴッコを興じたかも分からないコナタの言うとおり、
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　ヽ､_　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人__）　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「竜の戦士、シュウジか………」　　.　　　　{　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ⊂ ヽ∩　　　く
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | '､＿＼　／　 )
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　 |_＼　 “　.／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ､＿_＼_／

607 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:20:00 ID:KHv/Msrg

四１２８．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　そのデビル・ゴーレムを仲間達と共に破壊したシュウジ＝クロス―――

　　女神の神剣ライトブリンガーを所持し、竜の力を操ったとされる伝説の戦士と言えば
　　古代魔法文明の前と後を合わせても三指に数えられる有名人であった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　 i　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　／
　　 i　　　　　　　　　|　　　　　　/　　　　　　 /　　　　　　／
　　　 i　　　　　　　　 |　　　　　 /　　　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　 ,,,､､---､､,,,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､-'"/　.i.i　//. ／＼
＼　　　　i　　　　　　　　､-‐-､　　　　　 /　　 /　r /､､　i.i　／,,､='''ヽ
　＼　　　i　　　　　　　 i　　 .iヽ　　　　/　　　|ミ//　　"'''‐'''"" ／"ヽ=|
　　　　　　 i　　　　　 .| .i　　 i　i　　　 /　　　 iﾐ.ﾚ　　　　　　／　ヽ|彡　　　　　　┌────────────────┐
　　　　､'''""'i､　　　 | i　　.i　i　　　　　　　　ﾄ､>､-､､,,__ .| |　,,､､-､<人　　　　　　│　　シュウジ＝クロス　　　　　　　　　　　│
＼　　.（　　　i.ヽ　　　 |.i　､,､-.ｉ　　　　　　　 |ﾄ/|　.-､,,､-"ﾄ.|"-､､- ヽヽ）　　　　　 │　　（総歴１５６０年～１６２２年頃？）......│
　＼　.ヽヽ　　ヽ　　 .|i　　　 i　 /　　　／　ヽ彡／ -‐'''ﾉ| .|"''‐-　 / |".　　　　　 └────────────────┘
　　　＼ヽヽ　　ヽ　　.i　　　 i　/　　／　　　| へ　　　.ゝ| |.>　　　/|ｉ|
　　　　　　ヽ -''" .ヽ　 .i　.i　 .i /　　　　　　　'"| |.|.､､‐二二二‐､ /|人　 .,,,､-‐''"
　　､　　　ヽ　　 i ヽ､丿 i　ヽ､　　　　､-　　　.|.|ﾄ,_.￣'-‐‐--'￣.|､|ﾉ）''"
.　　　＞-､＼ヽ　 .i　　　 i､,,､　×　,,-''　　　 ,,-''"￣ヽ　'''""''"　/ |ノ）
-､, /"　 "ゝ''‐ヽ＼.i　.|　　/ ／　ヽ<　 .,,,､‐''　,,,､-‐'''人,,,,､､,,,,ノ‐─|ノ）
　　ヽ､‐'　）丿､ヽヽ .|　 /　／　　￣　　､　　　　 / 　 |　　|　　　　|_人
　　　|　 .,,,､＼ヽ､＼＼| / .／　　-‐''"￣　＼.,,,､-'''‐--|.　　|､--‐''""　　"'''‐--､,,,＿,,,､､､､,,
─-　＼(　）-）─ / >＊<.i二＿　　　　､､,,,ｒ二─''''""￣　　 .|､､,,,　　　　,,,,,,＿＿＿　　　　　ヽ､
　　ｒ'''".ヽ､丿,,,､/／/|ヽ i "‐､,　　､､,,＿ﾉ　　　＿＿,,,,,,,､､､､|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　 ./,,､､ヽノ　　-/　/　| | i　　　　　　　／''‐|"￣､,　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
-‐'< ─ --､／/　/ .i. .|　　フ'''‐--‐''"＼二二| |　"'''‐--､　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　ヽ
　　＼─､-､＼　/　　　ｒ‐''"　／　/　ﾉ＼|　　　　　　　　　　　　　‐-､､　　　　　　　　　　|　　　　　）
　　／"＼丿丿　　　ノ　／　 .／　 /|　　.|　　　　　　　　　　　　　　 "'''‐--　　　　　　|　./　　　/
.／　　　|''‐''"''''''＜"‐'''"　 i ／　　/二二二二||　-- "‐､　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　/　　　/
　　／　ヽ　　　 /　ヽ､i＿､／　 .／　|＼　|　　　　　　　　"‐､　　　　　　　　　　　　　　　.|./　　　　>
　／　　／＼　./　　　i 　　　／　　 |　＼|　　　　　　　　　　"‐､　　　　　　　　　　ﾚ　　　　　ヽ
　　　　／　　 "/''‐--┼┬-''"─　　 |　　 |＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　 __>''"＼
　　　／　　　 /　　　　　 .|.─ .i　　　.ヽ　　ヽ　　　　　､-‐''"､-‐''''　　　　 ''‐､,,　　　　　 ./　　　　ｒソ､''"＼|
　　／　　　　　　　　　　　.|　　 i　　　　ヽ　ヽ .､-‐''"､､-''"　　　　　　　　　　　''　　　　/　　　　ｒ"￣＼　　＼

608 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:21:00 ID:KHv/Msrg

四１２９．
――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　そんな超越者の集団が多大な犠牲を払って退治した悪魔とは違うでしょうが、
　　と前置きした上で続けたエルの声は少しかすれている。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,' i l::::::入:::::::､:::::::ヽ::::::::ヾ ::',:::ミﾆ-､_::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 /,i! l:::ン　ヽﾐ::::iヽﾐ::::､:::::::::ヽ::',:',::::`ｰ-`:.､::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 iｿl|.／　　　`ﾞ'､｀ヾ::::ヽ:::::::'::',!',::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　「おそらくあれは、　　　　　　　　　　　　　. 　　　l!. l!ヽ､_　ー　　　ヽ　＼':,ヾ:::::::'!i'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,-
　　　　　　　その素体となった古代魔導兵でしょう。　　　　!　'i!; l|!ﾞi　　　　　　　　　ﾞ'ｬ,＼､:::::::::::::i::::::ｬ::ヾ､:::::: ／／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 li､ l!:i　　　　　　　　　　ヽ `ﾞYi:::::::ili:::::i',ヾi;,'／／
　　　　　　　もちろん魔族などは　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ!ヽ::`ｬ-⊆＝ｯ-　　　　　　　i:!;:::::i! ',:::l ' ,Y ／
　　　　　　　融合されていないようです、が………」　　　　　　　　　ヾ､,ﾍｧ'｀　　　　　　　　 l!';::::i　ｿ! /!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ、　　　　　　　　　ﾝ'i:ﾘ　ﾘ'/!i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'　　　　　　　_,.-'"'　ｿ　 '/ｉｌ＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　　 _,_'"::::　　　ﾞ ,r ' ￣　　` ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ､＿_､ｼ'ﾞ'"ﾏTﾐヽ　／　　　　　　　　 `ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽヽｿ

　　　　　　　　　,, -‐'''″￣｀ミ`{.{@yiゝゝ
　　 _,,,,i=η／　　　　　　　ヾ､`ヾ､)) l　｀'i
　 ,//,i<迴'j　　　i　　　　,　ゝ＼. (( .i i　 !
　 l l　/ //　i　i 7 .i　　　ヽ,ヽヽ i i　l l ﾊ　｀!
　 l i　 / i　l l　l .i| |　　 i i　i　,ﾊ　il　i i ,ヽ　!
　 l i　i l ,　l. !　|i|i　l　i i l i　l l　ﾊ7i　i l i ゝ,.｀'i
　 ,i i l l　!　i ヾ i　l ＼i i lﾊi i i l　ﾉl　| i l　 .l　}
. // /i|　| i | i l_.,,((、ii､ |il! .だ｀｀'i.7　l l|　 .'y l
//,'´　i＼＼ヾiFｯﾐ''ｼi　　弋__沙7　//i　./ ./
イ　.,/′ヽゞゞ≦汗彡'　 ,　　　.//　li　| / /　　　　　　　「………が？」
　 /,,_　　 }li ゝ､i,　)).　　 __,,　　lil　.li l i ,l .{
　l　　　　7 i! !i)..ゝ．.,_. 　　,.／il　 il　＼＼＼　
　　　　ノ i/ //-‐'′κ,｀"-　>ヾ　! >.-‐'ゝゝ＼
　　　/''"　~´ ,/ | k>っ>b, ,,.,ciyi)-ゝ　　　＼ヾ
　　 7ζ　　_ / l　ξl lゝ､ . ／l .!　i l　　　　　iゝ｀l

609 名前なんて無いだろ 2011/05/08(日) 21:21:59 ID:MrCjYh5Q

もっと身近な人と融合されてますハイ

610 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:22:00 ID:KHv/Msrg

四１３０．
―――――――――――――――――――――――――――――
　　知っているのだ。
　　あれを稼働させるための前提条件を。

　　人を人とも思わない、部品として扱う工程が含まれている事を。
―――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　||: :|: :'.　　　　　　　　 /!::::::::ヽ
　　　　　　　　　　ﾘ', |:|: :ヽ　 -―-　　/:::::::::x:ヽ:＼
　　　　　　　　　 '　ヾ.!}: :|.>､. ￣　.／:::l::::::/,ヾfﾍ::|
　　　　　　　　　　　　　ﾘﾒ! 　 .￣::::::::::::::',::|､ﾘ､ヾ/
　　　　　　　　　　　ｨ､―'　　　`:::::::::/::::::'ヾゝ､_
　　　　　　 _,,-‐'' ´　ヽ`　､.　ゝ:::::::' ,彡'´ ﾝ　｀`ｰ-､_
　　　　ｨ'.´　　　　　　　｀.ﾄ､＿＿　x≠ '´　　　　　　　｀ヽ
.　　　ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　/ｧ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　 .|
　　　|, ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　ｼ　 ..::!
　　　|　＼ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/,' ::::'' |
　　　|　　＼｝　　　　　　　　　　　　　　　　　　　::　ｼ´ ::::::::::::!
　　　{　　　　{　　　　　　　　　　　　　　　　　　..::::::::::::::::::::::::::::!　　　　「母の研究資料を盗み見した中にはこうありました。
　　　|　　　 }　　　　　　　　　　　　　　　　..::::::::::::::::::::::::::::::::::|
　　　{　　 ::　ﾄ､　　　,　..::::　　　　　　　..::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!　　　　あれを動かすには知能ある生物を
.　　 }::.　.::　 :: |::::::::'´ ''::::'´　　　　　..::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|　　　　部品として組み込む必要があり、
.　　　}　　　　 ::|　..::::　　::'　　　..:::::::::::::::::::::::::::::::::::;､::::::::::::::::::::!　　　　当時は理力魔法の使えない
.　　　|_,ノ　　／'' '' ,　..::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/　!::::::::::::::::::|　　　　下級民族と呼ばれた人間が使われていたと。
.　　〈ン　 ..:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/　ノ:::::::::::::::::::!
　　　|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!　ヾ:::::::::::::::::ﾘ　　　　そして魔導兵は部品の持つ技術を反映する、と………」
　　ﾉ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!　ﾉ:::::::::::::::::::|
.　　|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|　|:::::::::::::::::::::!
　　{':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾘ }':::::::::::::::::::::}
.　　|,::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| /::::::::::::::::::::/
　　ﾘ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!':::::::::::::::::::::,'
.　 {::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
　　'.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ｿ
　　ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
　　　{::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::f‐'
　　　ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!

611 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:23:00 ID:KHv/Msrg

四１３１．

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 ,,　　、　　　　　　　ｌ
　　　　　　　　ゝ_　　　 _/　 .. ＞..、　　　　　l
　　　　　　　　　　`''''''‐" 　_ __ ﾆ:＿丶　　　 1
　　　　　　　/　、　　　　　　＾''''ー､__　ゝ　　 │
　　　 / . ｌ丿　　l'"! 、、　'''-ｰ-､ ´　^ｰ-..､　.
　　　 |　」　|　　|　|| ! 　! ｌ　│　'　　 ,ｒ _..,,　ｆ.
　　　 `、　 '、　ゝ　ﾉ　/ l　..′ ,´　　|　l│l .ｉ
　　　　　　　｀- －ﾞ‐'′　 --"　　,ﾍ ∪ ﾉ l.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´ /
　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　｀）
　　　　　　　　　　 f　　　　　　　丿　　ヽ/
　　　　　　　　　　入＿＿＿ -'　　　　　,′
　　　　　　　　　（　V ｖ　　　　"‐＿ -'′　　　　　「人を………
　　　　　　　　　　''-二ﾆ -=　　`'`ソ　/　　　　　　　部品にだと！？」
　　　　　　　　　　　 ´　‐‐;ｭ｀' ､ノ　 /...
　　　　　　　　　　　　　ニ　　　′ 丿　　ｷﾞﾘｯ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !.
　　　　丶.._ 　　　　　　　　　　　　 /
　　　　　　　｀ﾞ　‐--- ＿＿＿＿-''
　　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　息を呑む音が重なった。
　　グラナダから感じていた嫌な予感はこれなのか、と歯を食いしばるやらない夫と―――
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　 |　　{　　 |　　　　ﾊ　　　'　　乂込りｲ､｀ヽ
　　 |　　 '　　｜　　ミ､　i　　　|ハゞ＝彡ﾉ/z　i
　　 |　　　ヽ　.!　　　ﾊ:}｜i: !　{　 '　　i 　ゞ=ｿ i:!
.i 　 |　　　ハ:{.　 r＝彡｜{｜ﾉi　 |.　｜ヽ　　八
:| 　 !　＞ー从＿}{　i ! |.川 i{ ｀ヽ | 　 !　ﾊ　､　ﾞ
　　 |{　／　ーヽメ　八ﾊ!{ !ﾉj_z＿j 　 |　　.'{　ヽ
ﾊ　人ハr＝ﾐハﾊ　ﾉ从７Zﾏく_,　'　| {八
　 / }込八irくｲ_ノノ　　　　 i.iﾞ;;;}j ﾊk 　 ! i　　ヽ
　{　:{ゞ＝ミ＿ﾉ／　　　 ,　　ゞ彡<././　.|i ゝ
.八 ∧　　　　j:i　　　　ﾉ　　　　'イ./{　八　｀ー
.　ヽ∧　　八{_ﾉ ,　-.､　　　/rーﾐ八　　｀ー -　　　　「じゃあ今は！？
　　　＼ヽ. 　　　ゝ:::ノ　　 .ｲハ　　}vー､｀ー -　　　　誰が入っているのよ！
　｀ヽ　　＼＞　　　　　／⌒´　　　　　　ノ　｀ヽ
ハ　　＼　　ヽハ≧=彡｝　｀ヽ　　　　　　｀ヽ　ハ　　　　まさか………」
　丶.　　＼　　 }､　{　/　　　　　　　　　　ﾉ　　 }
　　　＼　　ヽﾉ iﾄ､∨　　　　　　　　　　　＼　 '

――――――――――――――――――――――――――――
　　茂みから顔を出し、階段前の魔導兵を振り返った雪華綺晶。
――――――――――――――――――――――――――――

612 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:24:00 ID:KHv/Msrg

四１３２．
――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　沈黙が満ちて、初めて聞こえた。

　　巨大な身体のどこから音を出しているかも分からない、
　　悲鳴とも、呪詛ともつかぬ声は機械的に拡声されているのだろうが―――
――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 rrﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {{　〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r{}]、　　　　》く
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　│　　　　 /　/　＿＿
　　　　　　　　　　　　／⌒ヽ、　　　　　　l　ﾊ　　　 /　/　ノ {二}　＼
　　　　　　　　　　／ {二}厶ｨヘ､　　　「ﾄ､|│　　 /　厂⌒L__　　八
.　　　　　　　 /　　厂｀⌒Y^ハ＿＿ {」_j込二二二ﾉ　 rｭ　　ヽ　|　＼
　　　　　　 /　ﾑ_/　/7　　ヾ_」コ}　ﾉY7厂]疔ﾐ､_/　　ﾄj　　　ﾉY ⌒ヽ_〉
　　　　　　　　〈／　〈　〈7 ＿, ／ィ＝＝ァ　_ノ／ﾘ「|　　　＿,ィﾆ　ヘ､__／
.　　　　　　　　＼／7⌒厂７┐　　　　　　r┬ｭ　 ⌒厂厂{　＼　＼　＼
　　　　　　　　　　　 /　/}　{「¨´ r一-､　　　￣　　「]「了Lﾊ　　＼、＼　ヽ
　　　　　　　　 /　/ ﾉr八　　!　　ﾉ>　　　　　　　 |川　∨⌒「　| 　＼ﾉ
　　　　　　　　　　/　/ 厂¨７＼仏rｰK_厶ィー―‐rヘくｰ{　ノTLﾉァﾊヘ」_
　　　　　　　〈_.ノ /　　厂{ （に(Zrｭ二(ココｺｺ广ヽ＼＼|　[彡ｲ「　　 |　　　_＿_　_＿_　_＿_　_＿_　_＿_
　　　　　　　　　　 / 　 /,Lr厂７ｰr冖f⌒「7ー'´ ＼　＼　ヽ_ LL! |　　 |　　 |￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ |
.　　　　　　　　　 / 　 //　/　/　ト-ﾉ　亅|　　　　ヽ、ヽ　　|　　厶ヘ_ l　　　|　　コロセ……… 　　　 |
.　　　　　　　　　厶ィ〈/　 /　/ 　丨　!　￤ ! 　　　　ヽ厂７7≦厂ヽﾉ」...　　|　　　コロセ………　　　 .|
.　　　　　　　　　{{ァﾉ７　 /　/　　 !　 !　 |　|　　　　　　|止ヲ〈ｰ∠ミ､ﾉ　　　 |＿_　_＿_　_＿_　_＿_　_＿|
.　　　　　　　ヾ彡　 /　/　　　│　|　￤ l　　　　　,ィ} ]ト-くヾニﾆﾌ　　　￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
　　　　　　　　〈　 /　〈　　　 i　 L__」　!　　　くノ厶ィミ、
　　　　　　　　　　　＼{「￣ヽ,　　　|　 l「⌒ヽL__／ヽ　 /　　　ヽ
　　　　　　　　　　　ﾉ!L.＿_〉、　厶　lL＿_」く_／　／　　　　　＼
　　　　　　　　　　厂ーr一ｧﾊノ＿} 厂￣ヾソ___／　　　　　　　　ヽ
.　　　　　　　　　 /　　　!　　　　〈　　　　　　l　　　　「l　　　　　、
　　　　　　　　　 /,ｨ　　/　　　　　　　ヽ　　　　　|　　　　L!　　＿　　　ヽ
.　　　　　　　　 /〈/　 /　　　　　　　　∧　　　　　　　　 -　ﾆ　-　､＼　「
　　　　　　　　　/ﾊ-､_/　　　　　　 /　L.　　　　l　　/ rく　　　 |　　　￢L
　　　　　　７’　/＼　　　　　　　厶　 |　　　　　 |　|　ヽ　　ﾊrf{￣￣ l
　　　　　　　　　「ヽ/　　＼　　　　 r弌ヽノ　　　　　ヽ」　L＿_Y⌒｀Ⅵ＿＿」
.　　　　　　　 |　|　　　／マー{厂　￤ﾊ　　　　　　　｀￣厂￣L__/厂　ト､
.　　　　　／⌒ー≦く／　　｀⌒ヽ」ﾉト､　　　　 r-イ|　「]　　　〈7　i　厂ヽ
　　　　　　／　　　／　　/　　　　　 | rf￢｝　　　ﾉ　 | l 　　　　　 | 仄ｧハ
　　　　　くー―‐く　　　/ に二ｺ[二]_⊥ﾆ二ﾌ　　　に(ｺ| ヽ､＿＿＿＿ﾉ L厶「ﾘ
　　　　　　￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣´　　　　　　｀￣￣￣￣￣￣￣￣￣

613 名前なんて無いだろ 2011/05/08(日) 21:24:33 ID:NBSZeGu2

うわあぁ・・・

615 名前なんて無いだろ 2011/05/08(日) 21:25:20 ID:MrCjYh5Q

正に外道

614 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:25:00 ID:KHv/Msrg

四１３３．
――――――――――――――――――――――――――――――
　　彼の、喉が潰れたようながらがら声をよく再現していたのである。
――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ハ :::: :::: :::::::::::.::::::::::::::::ヽ::::::::､::::::::::::ヽ ::::::..ヽ::::::`､ :. ::::::ヽ :::::.:.::｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|／| ::: :::リ､:::rＮヽ＼::::ヽ､::::ヽ､::::::丶＼　::.＼:::::ヽ .:. :::::｀ヽ‐- ､_:::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　ﾊ ::.:.::!　V　/　＼ヽ::i ヽ:::| ｀ヽ::､::｀ヽ丶､:::丶､::､ :::::...､::::＼　｀`ヽゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 { ヽ.: ::l 　　/　　　　ヾ　ヽ:i　　i| ヽ::::ヽ＼｀`'' ‐---::::ヽ:::＼rヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ';:: :! 　〈　　__　　　　　ヽ　　|　 ',::::::: :＼:.::､｀ヽ:＼::::::ト､::丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:: ﾊ　　`　　　　　　　　　　　 }:::::::. ::::ヽ::ヽ::.:＼:ヽ､ヽ　｀` ｰ-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|/l:ハ　　､　＿＿　　　　　　　ﾊ:::::.::| :i:.:ヽ.:i::: :､:ヽ}　｀`
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノﾉ'　l心　　`ー‐一`　　　　　 ,. '|:::::::| :| :.::.N :;､!`､ヽ
「………キル夫、でしょう」　　　　　　　　　　　　　 |ハ　　　　　　　　　,　'´　i!::::::| ::|　:.ハ | ＼ヽ!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘヽ　　　　　 ,.　'´　　 ,/!/ |: :::､　!　 i|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__　 __,.ノ/ 　ヽ __,,.　'´　　　　　ノ　l,ｲ:: ﾊ:{ 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,..､,.ィ"r''"´　 .:::　　　　r　　　　　　　　　/ /　|､:! ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　,,.. -‐''"´　{　　ヽ　　 r　　 i　ヽ＼　　　　　　／　　　: ヾ丶､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　 |　　ヽ＼　　　　ｌ　　＼!　　　　　/　　　　　　ヽ　｀ヽｰ-､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　|　　　　　ヽ　＼　　ヽ　　　　　　　　i　　　　　　　　　　ﾉ /　ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　､　 |　|　　　　　　　､　＼　　　　　　　　　　ノ　　　　　　　　／ / r　　　｀`丶､

　　　　　　　　 r,/''"´￣｀
　　　　　　　　　 l::|　　　　　／!
　　　　　　　　 l:!　　　　　／.::/
　　　　　　　　　　ヾ:.　　＿/.::.:∠-.－::.::ァ
　　　　　　　　 , ゝ´.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::＜、
　　　.　　　　／.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.:｀ヾｰ
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　　　　　 l.::;';';';';';';';';';';';';';'.::.::.:.:/:.::ﾊノ.::|ヾ|　　　　「あのヤロウ………！」
　　　　　 !.;';';';';';';';';';';';';';';.::.::./::.::|　|::.:|
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　　　　　　 l.::.!.';';';';';';';';';';';'/::.::.;;.::.:|l!ヾ、
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616 名前なんて無いだろ 2011/05/08(日) 21:25:37 ID:KdP4Ql.w

よし、とりあえず気づいてくれたみたいだな

619 名前なんて無いだろ 2011/05/08(日) 21:27:46 ID:g2fnFkio

元に戻せるのか？

617 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:26:00 ID:KHv/Msrg

四１３４．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　ぶっ殺す、と呟いたコナタの頭の上をやらない夫の大声が通り過ぎていった。

　　返事をしてくれ、と祈るような呼びかけはしかし、
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　ノし. u:_ノ｀ ,,＼.
　　　　　　　　/⌒`　（ ◯）（Ｏ):
　　　　　　　　.:| 　　j（　　（__人__）
　　　　　　　　　:|　　＾　　､｀ ⌒´ﾉ:
　　　　　　　　　　|　　u; 　　　ﾞ⌒}:　　　　　　　　　ヽ人_从人__从__从人_人_从人__从人__从人ﾉ
　　　　　　　　　　ヽ　　　ﾟ　　" }:　　　　　　　　　＜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞
　　　　　　　　　　ヽ　:j　　　ノ:　ｉ |ｉ　|　　　　＜　　　キル夫ォォォ！！！　　　　　　　　　　＞
　　　　　　　　　／⌒　　　ヽ　 | ||　|　　|　　＜　　　聞こえてるか、キル夫ォォォ！！！　　＞
　　　　　:: ／￣￣ヽ :: 　　　＼　|| 　　 |i　　　＜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞
　　　　:: （｢　　　｀rﾉ ::　　　　　　＼　　　||i　　　　 Y⌒YW⌒Y⌒WW⌒⌒YW⌒Y⌒WY⌒Y⌒W
　　　　　:: ヽ　　　ノ ::　　　　　　　＼
　　　　　　　|　　 | r 　　　　｢＼　　＼
　　　　　　　|　　 | | 　　　　　ﾉ　　＼　　＼
　　　　　ヽ＿ノ　　　　 /||| l　　＼_, 　｀ヽ
　　　　 || ｉ　　/　　　　　　 | ||| |　　　　(つと_ノ)
　　　　 || ||　 |　　　　　　　 | ||| |　　　　　~~~ ~~

――――――――――――――――――――――――ｚ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
　　　　　　　　　　 ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;＼　　　,!.i‐'''''''''''j;:;:;:;:;:;:;"　　　　　　　 !;:;:l　　　　　ﾞ'‐
　　　　　　　　　. '､,;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;|_,,,,_,..,' :!;:　　　.ｌ ;:;:;:;:;:;:;＼　　　　　 |;:: `
　　　　　　　　　　 .｀'､,;:;:;:;:;:;:;:;:;:　　　l　.l;:;:　　 . ', ;:;:;:;:;:;:;:;:.＼　　,.----;;‐　　　　 . ,./
　　　　　　　　　　　　ﾞ',;:;:;:;:;:;:;:;:　　 ,!　,!;:;:　　 : ;.! ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;ﾞｰ !　　　 !　　　　.／ ;:;／
　　　　　　　　　　　　　.ｌ;:;:;:;:;:;:./ 　 ,!　 !;:　　　 : ;:', .;:;:;:;:;:;:;:;:;:;: .,'　　　 .!　　　 / 　./
　　　　　　　　　　　　　 .!;:;:;: / 　　/　 :! 　　　　,ilーl"ﾞ'i　　　./　　　　ヽ　 ./ .;:,i′
　　　　　　　　　　　　　　!　/ 　　 .!　　.!-、　　/! _,, ﾚ''゛　　　ｌ　　　　 ;:　ヽｌ　./　　　　　　　「コロセ………
　　　　　　　　　　　　 ...　‐ﾞ　　　　!　　 '-.｀'‐.'"´;::./　　　　 i′　　　 ;:　.,' .、 /　　　　　　　　コロセ………」
　　　　　　　　　　　 .,/　 ,, -一‐i . !　　　l　　;:;:;:.,'　　　;:;:;:lﾞ ..,,＿　　 . ! : .＼
　　　　　　　　　　.-'"　　... -‐''　　ﾞ'-..,,_ l'-,,,;:;:_../　　 : _ / .ヽ;:;:;:;:;:.,' 　;:｝　,:、;＼
　　　　　　　　　　　　　　/　　　!　　　　　　　 '―‐'´　　l　ﾞﾞ"''''" ...／ ./ .ﾞ'､;:;:.＼
　　　　　　　　　　　　　　l　　　l　　　　　　　　　　　　　　　 lﾞ　　　 : ;:/　　l　　ﾞｰ'"　"
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

―――――――――――――――――――――――――――――――――
　　表情を変えることすら出来ない、金属の表面にぶつかって霧散するだけ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――

635 名前なんて無いだろ 2011/05/08(日) 21:40:28 ID:OKhZRuTA

K（キル夫）デバイスにされてたか・・・

618 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:27:00 ID:KHv/Msrg

四１３５．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　その時、彼にだけには分かった。
　　キル夫が執拗に繰り返す『殺せ』が、『殺してやる』ではなく『殺してくれ』だと言うことを。

　　心や魂までは、邪悪な者の思い通りになりたくないとの抵抗だと言うことを。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ‐――――‐‐ ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　.　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　ｉ
　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　二二二二三二二二二　　ｉ
　　　　　　　　　　　　　　　　 | 　 ― ― ― ＝＝ ― ― ― ‐　 |　　　　　　　＼_人＿人∧从＿人_∧_人_从_/／
　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　 _＿＿ノ　　　 ^ー―－　　　|　　　　　　　　)　　　　　　　　　　　　　　　　　＞
　　　　　　　　　　　　　　　 l 　 / 　　ヾ≧=≦Ｙ　　　ヽ　　 l　　　　　　　＜　　くそおおおっ！！！！　　＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　!　 |　{:::::::}　| }llllllll{ |　{::::::}　|　　 l　　　　　　　　<　　　　　　　　　　　　　　　　　(
　　　　　　　　　　　　　　　　　l. 　ヽ　,　　彡!!!!!!ゞﾐ､　　 /　　 '　　　　　　　　／＾Y￣∨￣∨^Y^⌒Y^YY^^Y^
　　　　　　　　　　　　　　　　 ',　　 /　　　　|　　　ヽ　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　ゝ＿／＼＿ﾉ　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　｀ー―― ´　　　∧__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　／ / 〉::｀丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／＼　　　　　／　/ /::::::::::::::丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::l　　ー――‐ ´　／ /:::::::::::::::::::::::｀丶 _
　　　　　　　　　　　　　　　　-‐::::::::::::::l　　　　　　　　／　 /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::

――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　その願いが、かつて目の前で自ら命を絶った女性にかぶって見えて仕方が無い。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――

　､　　 _, .}　,メ　　　 l　　 ',::　　ヽ::::.　　 ',:　ヽ
　￣,´/F>｀ミi_　i　　i　　 ';::　　　' ;:　　　';::　 ',
　　,⌒Yiー<⌒ﾊL　　i 　　 '::;　　　 ',､　　 ';::　 }
　 ,ｲ冖!/てヾVYjヽ_,　l､ ,　　',斗七　 '.,ヽ　人,,ﾘ
　从r'弋心ノ',ｲj从i 　 l....ヽ／ '; :::＼　ｌ ::/イ
.<　ゝ._｀フノノﾊ､ .i　　l::::''ゞ从_i⊥､;＼j .i
　弋 _､.＞√勿/ヽi.　ハ　　 V{ｨrｬﾐ <　丶_
　　))　/´　｀.i`...'.,::､　'､ﾊ　｀．辻,ィ'}　　　￣|
　　　　l　　 ::: 　 ::',::＼　iヽ　　 |下乙　　　　　/
　　　　l　　 :: 　　 ;;; ::ヽ|　ゞ　　　　　　　　　/　　　　「ど………どうしたの？」
　　　 ,'　　..::　　　 ,:'::,　:::|　　　　　　　　　　 (
　　 ,'　　 ::　　 .::　 :::　::|｀(　　Y ヽ､　　　 /
　　 ,'　　.::　 .::　.::..　 :::　:|　,ゝ‐ｲ　.ﾉゝ___,,ノ
　　,'　 .:::　 ..::: .:::　　:::　:::!"　｀丶、s￣｀)
　 ,'　.:::/　 :::　.::　　 :: ::/　　　l　　.l ヽ￣)
　,'　::; '　 .::　:::　　　ﾉ,/　ヽ、　ヽ / ／､ゝ
.　／　..:::　:::　　／／　`丶､｀　 '彡,廴`;;;;;
　　..,,,_::,,__.:,,,,:::／／‐-､__　　｀丶 .ヽ /∧/|
　Y　　　　　　￣ -　　,,,,　｀　‐ - ､ .Y..∧/|
　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ　　ヽ|∧//|

620 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:28:01 ID:KHv/Msrg

四１３６．
――――――――――――――――――――――
　　あまりの豹変ぶりに驚き、
　　落ち着かせようとする雪華綺晶の声も届かず、
――――――――――――――――――――――

　　　　, r ' ⌒ ヽ､
.　　／　　　　　　ヽ,
　 /　　　　　　,，ヽ､_ヽ
.　|　　　　__,ノ彡（○ ）
　 |　　　（○　）彡　　|
. 　|　　　　　　　　入,__）
　　|.　　　　　ﾞ'ｰ'´　　　　　　　　　「どうすれば良い！
.　　|　　　　　　ﾞヽ､__ﾉ　　　　　　　どうすればキル夫を助けることが出来る！？
　　ヽ､　　　　　　　ﾉ＼.
　　／::ヽ､＿　　／ﾉ:::::|　　　　　　妖術師を斃せば良いのか！？」
.　/:::::::,::::＼ゝ､◇ノ::::i:::|
.　|:::::::::|:::::::::＼¶/::::::::|:::|
.　|:::::::::|::::::::::::::::|::::::::::|:::|
.　|:::::::::|::::::::::::::::|::::::::::|:::|

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,r':i::::､::::､:::::ヽ::::::::::::::ヽ､::ヾヽ::::::::､:::::::ヽ､､:::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i:::i:::!::ヾヽ､::ヽ､::::::::::::::::::::::ヽ:::::､ヽ:::::::::ヽ､::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i:::i::::',:::::::`'-.:::::ヽ､、::::::::::::::::::::::::::::ヽ､::::::::::::::::::::::
　　　「いいえ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !:､i::::ヽ:::::､:::::__ヾ::::`::::::::::::::::::､:::::::::::::::`ヽ::::::::::::::
　　　すでに命令に対して自律行動を　　　　　　　　 .　　　　　　　　 l:! ki::､:ヽ::',ヽi,､`ikj､:::`:::::::::::::::ヽﾐ､::::::::::::::::::::::::::::
　　　とるようになっているはずです。　　　　　　　　　　　　　　　　 i!　ヾ:､:::::::::､ 'J ;::"　ﾞヽ::i､:::::::::::::ヽ9`i､:::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!　　ヾｿ＼::､ '" 　　ヾ!ヽ::i::､::::::;X".i`:::::::ヽ:::::::
　　　たとえライトを斃したところで、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　ヽ､　　　 l!　';:iヽヾ:::'rヽ.`ヾ::::::､::::
　　　延々とあの場所を守り続けるだけでしょう」　　　　　　　　　　　　　　　'､＿-‐　　　　　　 !　ﾘ　ヽヾ:',　:: 　ヾ:',`
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀i　　　　　　　　　′　ｿヾ;　';　　ヾ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　　　　　　　'ｰ‐ｧｯ　　　　　　　 ,:':　　ヽ ',　　//
　　　（強い怒りと、憎しみ………これは、自己嫌悪？）　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ､、　　　　／::::　　　　:　//
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i　　　 ., '""'-､,,_＿.._　//
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞｰ-‐ "　　　〈'i ヾ:､:::i`/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |. 　ヾ､:/

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　努めて冷静に答えるエルも、やらない夫がここまで取り乱すなんて信じられない、と
　　精霊視力で彼の精神状態を確認せざるを得ず、
　　そこに見えたのは外部―――妖術師―――ではなく内部へ、
　　自分へと向けられた、溶岩のように熱く煮えたぎった感情だった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

621 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:29:02 ID:KHv/Msrg

四１３７．

　　　　　　　　　　　　 -　　　　　　　　‐-､　 ((__､__
　　　　　　　　　 ,. '　　　　　　　 ┏┓┏┓ ＼ﾉ rミ＜|
　　　　　　　　／　　　　　 ┏┛┃┃┗┓　ﾏλ }7_
　　　　　　　/　　　　　l　　 l　┗━┛┗━┛　　ヾﾆ/ヽ､
　　　 (( 　 /　 l l　　　 l　　ｌ　┏━┓┏━┓　　.　トｲ) ∧
　r-､__))r7　　l　l　　l　l　　 l　l┗┓┃┃┏┛l　　l ∧((　ﾍ
　ﾏlﾌワ７　　 l　l　　l　l　　ｌ　ｌ　┗┛┗┛　 l　　l　 l　　　 l
　 7 L＿| |　　 l　l　　l　l　　 l　l　　l　　l　 l　_.. l　 l　　l　　　 l
　＼r-f | |　　 l　l　 .__ ll　　 l　l　　l　､」ィi´　l l l ﾍ　　l　　　l
　　l　　l　ll　　 l　､l　　､_￣_､ﾍﾏ　 l　 l　 l!＿!l lﾍﾍ　　l　　　l
　　 l　 l　 l　　 ll　 rノ r-､　ﾍ＼ V Ⅵ lf"だ;::狄l　ﾍﾍ　 l　　　ｌ
　　l　 l　 l l　　 l　ﾏ/ミシ } /　　　　　込;;;;彡　l l　　　l∨　　∧
　　 l　l　　ｌl　　ﾍ　f=--ノ !_}　　　　　　￣~　　 l　l　　　l ∨　　∧　　　　　　「そんな………」
　　l　 l　　､ l　　　ﾍ　＼ツ ))　　　　　　　　　　　!　 l　　　l .∨ 　 ∧
　　l　 l　　ﾍﾏ　　ﾍ　　　　　　　　　　　ｲ l　 l　　　l　 ∨ 　 ∧
　 l　　l　　　l ﾍ　　.∧､　　　　　ｒ:=:ァ　　／ l　 l　 l　　　l.　 ∨　　∧
　l　　7　　　l l　∨.　 ∧`. ､.　　　￣　　／l l_..＿_ノｲ l　　 l　　 ∨　 ∧
　l　　l　　　　ll　　∨　 ∧l　l `　　.　_. ｲ r､　{　　　ﾉ　 l　　　l　　 ∨　 ∧
/　　l　　　　 l　　　 ∨　 ∧-f⌒}_ r-ｧﾑ `'′　ｲ--'´ﾞ l　　　l　　　∨　∧
l　　 l　　　　l　l　　　} ＼　　＼＼　 {_.{　　 l　　　　　　　 l　　　ﾄ-i.　　∨　∧
!　　ｌ　　　　l　l　　ｲ- ､_＼　　＼　　　　＼　　＼　　　　 l　　　l　　l　　_V　∧
　　l　　　　l　 l　）ー---ﾃ　＼　　＼　　　＼　　　` >､_ノ ∨　　f⌒`'´ﾌ　∨ ∧
　 l　　　　　　l-!　　　　　　　 _＼　　＼　　　r-､　　l-!　l　（ ∨　 l　　　{　　∨ ∧

――――――――――――――――――――――――――――
　　対照的に二人の娘は妖術師に対する怒りを募らせており、
　　暗い表情のコナタが端的に、最善策と思われる提案を告げる。
――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　 ,. ‐,ニﾆ丶、
　　　　　　　　　　　　／／´　　　｀ヾ:
　　　　　　　　　　　 j.:/
　　　　　　　　　　　 {:{　　　　　　　　　　_,.,
　　　　　　　　 ,. -:`: :":￣:ﾞﾞ: :'':‐- :'": :|
　　　　　　　　／: : /: : : : : : : : : : : ; : : : :｢￣二: :_‐.､
　　　　　　　, ': : : :/:.／: : : : :,: : :.ｨ::!: : : : j: : : :｀ヽ、｀`丶、
　　　　　 ,': : : :./, ':::; : : : :./: :, ':|::!: : : : ;{: : . . ､　｀、
　　　　　 i: : .:: :,!':::::/: : : ;/: ; '::::::!l: : ; : :ハ: : : : :､: : .ヽ
　　　　 !: : :::/::::::/: : :7ﾌア'‐::::::l!: /: :.,'_;;;j: l: : : ヾ::､: :ﾞ:
　　　　　 .|: ; /::::::;,': : :/_l/＿__::::::j.:/ : /::::::::i:.|: : :i: l`ヾ: :l
.　　　　　 ,!',/:;:イ,': :./!{Ｔ示干':::::;!/: :/ｨ夫ｫｷ|: : :l: :!　ヾ}
　　　　 /ｲj/:/_|:!: /::|::.!_　l｜::::/ｲ:./::l_ l | lﾊ{: : :{: :|
　　　　 /　!: :ﾞ ' ||;/::ｌ:|:::ヽ-' .::::::::::!/:::::iｰ' :::!:l'|: : ﾊ:｜
　　　　　 .!: :: ﾞl'||:::: ｉ:|::　￣　　 '′　￣・l::l !: ,'　ﾞ:,!　　　　　「早くあいつをぶっ殺そう。
　　　　　 j: : : l::l :::: :i:ﾄ,､　　　 ,，　　_,..ィ:.|. |/　　　　　　　　それしか無いよ」
　　　　　 /: : :/::;ｌ ::: : iﾍ.　｀ 7 ､-‐ｧ:'/|:l::::: :|
　　　　　/: : ;!く . l: :: : :i.ﾞ:、　い｀ヾ､/ |:|:: : :|
　　　　 /: :./＼＼.!; ; ; ;.i ﾞ:、-┤　|| ﾄ.||: : :.|
　　　 /: :.{'＾ヽヽ.ヾ: : : :l　ﾞ:、 |　 || |ﾊ|: : :.|

622 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:30:00 ID:KHv/Msrg

四１３８．
―――――――――――――――――――――――――――――
　　相手が単機で拠点防衛をしているのならば
　　分散し引きつけての突破と、諸悪の根源への接触は可能だろう。
―――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　＿_
　　　　　．-――z^＾7￣｀((⌒ ．_
　　　　／　　　／　　　}(勾},ﾄ､　　 `ｰ　．_
　　／　　　／　　　　 ((乂ミ=　　　　　　ヾﾐ　．　　 _
　／　　　　　　　　　 _)} 　．-‐　　　　　　　λ--__))
´ 　　／7　／　　　　　　／　　 -～＿_　　　　ゞ勾ハ
　　／　/／　　／　　　　　／　　　　((⌒'　/　　　 Ⅵ　ｉ
＿ノ　　'　　　　　　　イ　／　　　／／｀).l　/!　/　,　 Ⅶ !
.　　／　　　　　　　　/　　／／l＼レ'/ / } / //　　:.　!
￣´　　　　　　　 {./　／／ r=＝＞ﾐ / // 〃ﾙ　　ｉ　l
　　　　／　　　　／ｽ／／{,// 7rｯそ》}　八､/　} l 　}　|
　　／　　　　 ∠ゝ､ﾝ　　　 _《　ゞﾄ=ン　γ=ミ　/ ﾘ ./ ノ!
　／　　　　／__.У::. 　　 ((⌒ｰv_ｿ"　　辷ｿⅣ／ノ　　l|　　　　　　「コナタの言うとおりだよ！
　　　　　／　ﾄ､_ ハ::.　　　　　　　　､　ﾊ　／|　　 l|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾌﾗｲﾄ
＿　　／　　 {　￣ﾄ､::.　　　　, r‐=z 、 ′/ ／ｉ　l|　　 l!　　　　　　今はやらない夫だけでも飛行の魔法で
7} `ー- ．＿ノ　　ﾑ丶:. 　　 l　　ヽ:/ 　ｲ:. 　 |　l|　　 l!　　　　　　先に上がっていって！」
/　　　　　　　　　 {__ヽ、ヽ:. 　 `ゝ=ｧ’ イ　!:.　　|　l|r―-lﾄ､
i　　　　　　　　　　　／}　　≧x.._ ィ～zﾘ √￣￣〃　　　　⌒ヽ‐z

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　エルの口ぶりからしてキル夫はもはや助けられないと思った方が良い。
　　むしろ、その為の時間を割くことが良くない展開に繋がると思った雪華綺晶はコナタに賛成し、
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

.　 /,/;:;:;:;/;:;:;/;:;:;:;l;:、;:;ヽ;:;:;:;:ヽ;:;:;:ヽ;:;:;＼;:;:;:;:;:;l;:;:;:;:;:!｀'＼
　/　ｌ;:;:;:/ //;:;:!;:;:;ﾍヽ;:;:;:;＼;:;:;:＼;:;:;＼;:;:ヽ;:;:;:;:!;、;:;:|
./　/;:;:;/ //;:;:;:|ヽ;:;:'､;:;＼;:;:;l;:;ヽ;:;:＼;:;:ﾍ　i',:;:;:;| ヽ:;:;i
　　|;:;:/l;:l/;:;:l;:;:!ヽ＼.＼;:;:＼ヽ、＼;:;:＼ ', | i;:;:;i':,::＼|
　　| /;:;:/l |;:l;:;:| i´ f::::j ､＼;:＼　,rt:::j フl .! |ヽ:! !;:ヽi＼
　　| ヽ/ |､ヽヽ {　`＝‐' ヽ|｀ｰゝ`ｰ＝'　l ! |;:;:;l !ヽ＼- ゝ
　　|　 |;:;l ヽ＼ヽ　　　　　　　　　 / | i;:;:;:!.|:;::|:;:!
　　　 |;:;l　|＼ヽ_,ゝ　　　　　i 　　　　 / ,! :;:! !;:;:l;/
　　　 | ∧ |;:;:ヽ' 、　　　｀ ´　　　　　/|/ l;:;:;ﾍ;:;:i　　　　　　　　　　　「そうです、一刻も早くライトを止めて下さい！
　　　 |/　ヽ ∧ヽ,＼　　‐‐---‐‐　　ｲ/;:;:;:|;:;:/ ヽ!.　　　　　　　　　　　ここは私達が！」
　　　　　　 |/　|∧|　＼　　　　／ .| / l/;:;:l
　　　　　　　　 |'　 l　　ヽ、　　／　　 l'／ヽ/　　　　　　　　　　　　　（最悪、キル夫を殺す事になろうとも………）
　　　　　　　　 l　　　｀￣´　　　　l､
　　　　　　　　　,. '´　　　　　　　　　　　ヽ､_
　　　＿_ ,..　'' ´ 　ヽ　　　　　　　　 /　　　｀'ー-　..__
-‐ '´ {´　　　　　　　ヽ　　　　　　　/　　　　　　　　｀} ￣ 'ー- ､
　　　ヽ　　　　　　　ヽ　　　　 / 　　　　　　　　　/ /　　　ヽヽ
　　ヽ　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ /　　　　 |　ヽ
　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　 /　　　　 ',
　　　　　　　｀'ｰ-　 _　　　　　　　　＿　 -‐ '´　　　　　 /　　　　　l
　　/　　　　　　　　　｀'ー----‐ '´　　　　　　　 /　　　 l 　　 l　　　!

―――――――――――――――――――――――――
　　解放してやることが私達に唯一出来る事でしょう、と
　　エルも現状からして当然の判断を下した。
―――――――――――――――――――――――――

624 名前なんて無いだろ 2011/05/08(日) 21:31:53 ID:MrCjYh5Q

だめなんだよそれじゃ・・・
あの時と同じ結末じゃあ

623 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:31:01 ID:KHv/Msrg

四１３９．
――――――――――――――――――――――――――――――――――
　だが。
　抜き身を構えて茂みから飛び出したやらない夫は一人、その案を突っぱねる。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　＿＿
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　　　　　　　　　　／　　　　　＼
　　　　　　　　　　|　　　　　:　:::::::::::|
　　　　　　　　　　|　　　　　:::::::::::::::|
　　　　　　　　　　|　　　　::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　|　　　:::::::::::::::::::|ヽ
　　　　　　　　ヽ　　　　　　 /_./|:＼
　　　　　　　　　＼＿＿,-‐´~/:::::::＼
　　　　　　　　　　 ∠＿＿＿ ,-‐'~.:::::::::::::::)
　　　　　　　 /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
　　　　　　　 /::::＿＿::::::::::::::::.::::::::::::::/
　　　　　　　　/／:::::::::::::＼::::::::::::::::::::::/　　　　　　　　　「駄目だ」
　　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::::＼:::::::::::::::|
　　　　　　　　ヽ:::::::::::::::::::::::::::＼::::::::::|
　　　　　　　　　|＼::::::::::::::::.:::::::::＼:::::|._
　　　　　　　　　 |::::＼＿::::::::::::::::::::＼|:＼
　　　　　　　　　〈:::::::::::＼:::::::::::::::::::::::|::::::::|
　　　　　　　 /:::::::::::::::::::/:::::::::::::::::|::::::::＼
　　　　　　　 /:::::::::.::::::::|::::::::::::::::::|:::::::::::｀|
　　　　　　　　 |:::::::::::::::::::|::::::::::::::::::|:::::::::::::/、
　　　　　　　＼:::::::::::::|::::＿＿／|＿／:::::ヽ
　　　　　　　　　　　/＿_|￣＿＿__/::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　ヽ:::::::￣|　　 |::/＼＿:::::::::::::＼
＿＿＿＿＿＿＿＿＿ヽ／|/　　　＼＿__＼:::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　|　|　|￣〉〉〉〉〉＿| 　＼:::::::::::::ヽ
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ|￣::´::´´´ヽ　　　　＼:::::::::::ヽ
　　　　　　　　　. 　　　　　ヽ:::::::::::::::::::ヽ　　　　　ヽ:::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ::::::::::::::::::::ヽ　　　　　ヽ:::::::::::ヽ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::〃i::::',::::ヽヾヽ::ヽ＼:､＼:'.,',`ヽ::::::::::ミｪ､､､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::::/::!::'::::::':,:'.,::::ヽヽ､::::::::::＼＼',:::::::::::::::ヽ￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::i:::::::i:::､::::::::ヽ:::､､:::ヽ::::､::::::＼ヽ､:::::::::ヽ:ミｰ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,'::;::::i:::::::ｌ!::!ｧ､:::::::::ヾ:､rﾞ=､::::ヽ::::::::::ヽ::::::::::::`、ヾ､
　「何を言っているんですか！？　　　　　　　　　　　　 /ｼi::::i::i::::!:ｉi （::ﾒヾ､::'.,ﾒ（::ｿ,ﾞi::::ヽ:::::::::ヽ::::::::::::ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/'　i:::i::!::::::i '=ﾃ'　｀ヾ::ﾐ＝"　ﾘ::::ヽ::::､:::::::::::::::::::::ヽ、
　やらない夫以外、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i:::!:::i:::::!. ヾ　.、　　`　　　 l!i:::::::::::::'::::::::::::::ﾐ｀ヽ
　ライトを止められる者は居ないんですよ！？」　　　　　　 'i::::l !i:::'､　｀　　　　　　　　! i:::::ｌ::::::::::::::::::::ヽ`ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'i::l　i;lヾ､. ＝=-　　　　　, ｲﾘ,:::iﾞﾃ､::::::::::::ミヾ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　';i　il 'i:ヽ 'ー　　　　,...:':　: i! ';:i'ｼ' ｀` ｰ-=:､ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!　!　'i:::'、　　 ,...:'::::::　　: ! // , ', -‐'''''ｰ､＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘ　`ｰヽ､::::::　　 ; ,'/／〃　　　　　｀　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀`ヽ､ //　〃　　　　　　　　　ヽ

625 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:32:00 ID:KHv/Msrg

四１４０．

　　　 ,. :'",,. -‐ァ'": : : : : : : : : : :|: : : : : ::::ﾍ: : :.i : : : : : : : : ､: :｀:､
　　 ,〆 ' ´　／: :,: : : : ; : : : : /: : |: : : : : :::|::|V: . :i.　　　　｀､丶: :ヽ
　／　　　 , ' 　 , ′　 /　 . . /: .::;ｲ: :l: : : : :l::| ∨: :.i:. : : .　　丶｀、: i 　　　　／￣｀丶、
　　　　　/ 　 ./　　　.:i: : : :.::;': .::/｜:::l: : : : l::!　∨: :i:::. : :ヽ: : : `、:. : !　　　　　 |　/⌒ヽ　ﾞ!
　　　　/　　イ　 . : :.::i: : : .::::i: :::i　｜::jl: : : ::l:!　　Ｖ: :ﾄ;::. : :ﾞi:. : : :.i::.ｉ: |　　　　　 `''′　ﾉ .ﾉ
　　　 /　, ' /. : : : :.:::i: : : ::::::!:.::i　　 !: | i: : : :{、､,,_ V: i_;ノ.: :.i:::. : :.i:::.i:|　　　　　 ,.‐''"_／
　　 ,' , '　 i: : j: : .:::::|: : : ::`ト-i-‐'ﾞ　i::|. V: :｜　　￣､:ｌ ∨: : i::. : : ﾄヽ　　　　〈_,/´
　　 ,'/　　 !:.:;ｲ: : ::::::|: : :.::::ｉ | l　　　 !|　Ｖ: :!　　　　ヾ　∨: :l:::. : :.l::､ﾞ､　　　（__）
　　/　　 .|: :i |: : :::::::l: : .::::i　!|　　　ﾞ　ヾ: l.　--‐―― V: :!::::. : l::!ヾ!
　　　　　 |:::l. l: ::::::::::l: : ::::l　--‐――　　　ヾｌ　三三三三 V:ﾄ;:::. :.|l
.　　　　 l::l　l: :::::::::::}.: ::::ﾄ三三三三　　　 `　　　　　　・ﾊ:|::i::: :.{
　　　　　　 !j　 i.::::::::::jﾍ: ::|:::.　　　　　　　　　　　　　　 l:::l|::|:i:: :!
　　　　　　｛.　ヾ:::::::|:`ﾄ:::|:::l　　　　　　　　　　　　ﾉ:::::: |: i: |　　　　　　「なんでそんなにキル夫を助けたいの？
　　　　　　　ヾ::::|: :!ﾍ:l::::ﾄ.､　　　　　　'⌒　　　　 ,,..イ::l:::::: :|: :.N|　　　　　　仲良かったっけ？」
　　　　　　　　　　ﾄ::l: :l: :ヾ:l:::::::｀`:::::-....,､,,__,,. ,-:::'"::::::::l:::l:::. : :!:: :|
　　　　　　　　　　　l::N.::l: : :::l::::::::::::::::／r| 　　 !｀ヾ::::::::::l::l: : : :j::: :|
　　　　　　　　ｌ:|: :::i: : : :l:::::::::;ノ　 |'′　　ﾞ|　＼:::ｌ:l: : : :j:::: :|
　　　　　　　　　 l:!: ::::i: : : :l;､く　　 l'''""""'''j　　　//|: : : :j::::: :l
　　　　　　　　　　 ll: : :::i!: : : :ﾄヽヽ　　 i.　　　 j　　 // ｲ: : : ,{:::::. :l
　　　　　　　　　 ,!: :.:::|ﾍ: : : :iヽヽヽ　 i.　　 i　 // //l: : : ,〈l:::::: :.l

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　むしろ、キル夫はやらない夫の事をとても嫌っていたと記憶している。

　　当然、そんな相手を仲間と呼び、
　　この状況でも助けようとするやらない夫の気持ちが分からなくてコナタが首を傾げ、
　　エルと雪華綺晶も同様の視線を彼に向けた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――l

626 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:33:01 ID:KHv/Msrg

四１４１．
―――――――――――――――――――――――――――
　　三人の注目を集め、たっぷり十五秒はあった沈黙の後。
　　握りしめた拳をかすかに震わせながら少年は答える。

　　キル夫が敵の手に落ちたと聞いたときから思っていた事を。
―――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　 i| :;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:; |:
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　　　　　　　　　　　　　 :/:::.　　　　　　　　　　 |:　　　　　「嫌、なんだ………」
　　　　　　　　　　 :/:　　　　　　　　　　　　 |:
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　　　　　　　　　//:　　　　　　　　　　　　　 |:
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　　　　　　　　ｉ,':　　　　　　　　　　　　　　　 ||
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　　　　　　　　 :|:　　　 | :／　＼　　 /:　 /:　//:
　　　　　　　　 :ヽ＿＿_人.＿＿_＿_／:. ／_／´
　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣￣

　　　　　　 __　　 ,､ .（(,､-―‐''''''''''―-､,　　　　((
　　　　　　,ｲ `'ｨｹ´vﾄr,,)）　　　　　　　　　｀ヽ, ,ｨｭ))-､
　　　　 l　　 ,ゞﾍﾉﾌｨ　 .／　　　 i 　　　 `､Yﾉ　 l!
.　　　　 j　　ゞ〃‐'´　/　　/ 　　 | 　　 | 　((ヽ､　 i!
　　　　 / 　 //.（(　　　/ 　 / |　|　 | 　　 | 　 )）ヽ　.i!
.　　　 / 　 // 　 )）　:/ 　 /.　|　|　 | 　　 | 　　　　i!　|
　　　/ 　　/　　 "　 / 　 / 　 |　| 　|　　|　|　 |　|　 i!| |
.　　 ′ 　.i　　/　 l .|　　l!　.)）|　|　|.| ｌ　|　|　 |　||　|: /
　　　l　　　|　 i!　　.| |　　ﾄ､（(ｨｭ, |　l.| |　|　|　 |　||　|: {
　　　V　　i!i　 |　　 |.i　,ｲ´ｨY^ﾔﾊ| i!|| | l:|　|从| l:|! ||:ハ　　　　　「何、が………？」
　　　ﾍ　ﾉﾉ　 |!　　 |! _Vゝ~ﾝ'.ﾉ j`´ ｀ γﾃｫ､// i!/　l ∧
　　　　,ｲ,ｲ .l　 l!　　 l!ゝ_ゝ｀´ﾝﾝゝ　　　込ｿ.ﾉ/.| .〈ヽ,l:　＼　
　　／／|　.ﾘ　 .|!　　ヽ　((`ｰ'´`　　'　　￣ /　|　.ﾍ .ヽ　　＼
,ｨ'´／　 l　/ ,ｨ　 |! 　 ,､`､))　 ,､,　.ｰ.,､　_, ｨ' 　 |　| ゝ　＼　　:.
　/　　ﾉ／ｨ'　_,､ｨ'ヽﾉ,ﾊ､,` ﾉ´ ｲ,-‐ﾉ `ｰ'r-､､.ヽ l　ヽ　ﾉ　　}
　{_,､ｨ´,ｨ'´　ｨ'´　　　　__,ﾊ,　ﾉ (__ -‐　 '´ （,､‐-`､!　　〉/　　　〉

627 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:34:00 ID:KHv/Msrg

四１４２．
―――――――――――――――――――――――
　　あまりにも美しく、そして見果てぬ夢物語―――
―――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　／　　　＼
　　　　　　　　　　／　　　　　＼
　　　　　　　　　　|　　　　　:　:::::::::::|
　　　　　　　　　　|　　　　　:::::::::::::::|
　　　　　　　　　　|　ノし　:::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　|　⌒ ::::::::::::::::::::|ヽ
　　　　　　　　ヽ　　　　　　 /_./|:＼
　　　　　　　　　＼＿＿,-‐´~/:::::::＼
　　　　　　　　　　 ∠＿＿＿ ,-‐'~.:::::::::::::::)
　　　　　　　 /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
　　　　　　　 /::::＿＿::::::::::::::::.::::::::::::::/　　　　　　　　　_人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人
　　　　　　　　/／:::::::::::::＼::::::::::::::::::::::/　　　　　　　　__,ﾉ
　　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::::＼:::::::::::::::|　　　　　　　　　　）.　嫌なんだ！
　　　　　　　　ヽ:::::::::::::::::::::::::::＼::::::::::|　　　　　　　　　ｿ.　　誰かの悪意で誰かが傷つくのはもうたくさんだ！
　　　　　　　　　|＼::::::::::::::::.:::::::::＼:::::|._ 　　　　　　,）
　　　　　　　　　 |::::＼＿::::::::::::::::::::＼|:＼　　　　　　⌒ヽ　　ましてや、未来が失われてしまう事なんて
　　　　　　　　　〈:::::::::::＼:::::::::::::::::::::::|::::::::|　　　　　　　ﾉ.　あってはならないんだ！
　　　　　　　 /:::::::::::::::::::/:::::::::::::::::|::::::::＼　　　　　　）
　　　　　　　 /:::::::::.::::::::|::::::::::::::::::|:::::::::::｀|　　　　　　⌒Ｙ⌒Ｙ⌒Ｙ⌒Ｙ⌒Ｙ⌒Ｙ⌒Ｙ⌒Ｙ⌒Ｙ⌒Ｙ⌒Ｙ⌒Ｙ⌒Ｙ⌒Ｙ
　　　　　　　　 |:::::::::::::::::::|::::::::::::::::::|:::::::::::::/、
　　　　　　　＼:::::::::::::|::::＿＿／|＿／:::::ヽ
　　　　　　　　　　　/＿_|￣＿＿__/::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　ヽ:::::::￣|　　 |::/＼＿:::::::::::::＼
＿＿＿＿＿＿＿＿＿ヽ／|/　　　＼＿__＼:::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　|　|　|￣〉〉〉〉〉＿| 　＼:::::::::::::ヽ
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ|￣::´::´´´ヽ　　　　＼:::::::::::ヽ
　　　　　　　　　. 　　　　　ヽ:::::::::::::::::::ヽ　　　　　ヽ:::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ::::::::::::::::::::ヽ　　　　　ヽ:::::::::::ヽ

――――――――――――――――――――――――
　　誰もが思いながらも抗えぬ現実に打ちのめされて、
　　口には決して出すことのない青臭い理想を。
――――――――――――――――――――――――

628 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:35:00 ID:KHv/Msrg

四１４３．

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ハ :::: :::: :::::::::::.::::::::::::::::ヽ::::::::､::::::::::::ヽ ::::::..ヽ::::::`､ :. ::::::ヽ :::::.:.::｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|／| ::: :::リ､:::rＮヽ＼::::ヽ､::::ヽ､::::::丶＼　::.＼:::::ヽ .:. :::::｀ヽ‐- ､_:::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　ﾊ ::.:.::!　V　/　＼ヽ::i ヽ:::| ｀ヽ::､::｀ヽ丶､:::丶､::､ :::::...､::::＼　｀`ヽゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 { ヽ.: ::l 　　/　　　　ヾ　ヽ:i　　i| ヽ::::ヽ＼｀`'' ‐---::::ヽ:::＼rヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ';:: :! 　〈　　__　　　　　ヽ　　|　 ',::::::: :＼:.::､｀ヽ:＼::::::ト､::丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:: ﾊ　　`　　　　　　　　　　　 }:::::::. ::::ヽ::ヽ::.:＼:ヽ､ヽ　｀` ｰ-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|/l:ハ　　､　＿＿　　　　　　　ﾊ:::::.::| :i:.:ヽ.:i::: :､:ヽ}　｀`
　（………ああ、そう言う事ですか）　　　　　　　　　ノﾉ'　l心　　`ー‐一`　　　　　 ,. '|:::::::| :| :.::.N :;､!`､ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |ハ　　　　　　　　　,　'´　i!::::::| ::|　:.ハ | ＼ヽ!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘヽ　　　　　 ,.　'´　　 ,/!/ |: :::､　!　 i|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__　 __,.ノ/ 　ヽ __,,.　'´　　　　　ノ　l,ｲ:: ﾊ:{ 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,..､,.ィ"r''"´　 .:::　　　　r　　　　　　　　　/ /　|､:! ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,.. -‐''"´　{　　ヽ　　 r　　 i　ヽ＼　　　　　　／　　　: ヾ丶､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　 |　　ヽ＼　　　　ｌ　　＼!　　　　　/　　　　　　ヽ　｀ヽｰ-､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　|　　　　　ヽ　＼　　ヽ　　　　　　　　i　　　　　　　　　　ﾉ /　ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､　 |　|　　　　　　　､　＼　　　　　　　　　　ノ　　　　　　　　／ / r　　　｀`丶､

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　初めて垣間見えたやらない夫個人の欲求で、エルはなるほど、と深く頷いた。

　　自分が両親や住む場所を失った時の喪失感、それに近いものを彼は経験している。
　　ただ自分はそれを復讐心に変え、やらない夫は別のものに変えただけなのだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

629 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:36:00 ID:KHv/Msrg

四１４４．

　　　　 .:': :/: : : :／: : : : : : : : ::: : : : : : ﾍ: : : : : : : : : : : :.　｀ヽ
　　　　 /: :/: : :.／　　　　: : : : j::: : : : : : : :!: : : i:.. : : : : :　､　　＼
　　　 ,': :/: : ; '　　. . . : : : :!: :.j|::: : . . .　　 !: : : V::.　　　　　ヽ　　ヽ
　　　 ,': :.i: :,:'. . : : : : : : : : :i: :/ |::|: : : : : : : |ﾍ: : :.V:::. . . i...　　ヽ　　｀､
　　　.i: : i.:/: : : : : : : : :_;,,;/:_/　.!:|: : : : :.l: : |　v‐'个-:.､: :V::. : :Vﾍ丶、 `、
　　　j: : l/: : .::j: : : :':´: :./l:./`ﾞ　!j: : : : :.!: : l`'゛V: :.!::::::. : :.V::.: : V:ﾍ　＼ﾞ、
　　　l: :./: :.::::j: : : : : : :/.j:/　　 :||: : : : ﾊ: :.j　　∨:.|V::::. : :.i!:::. : :.!､:ﾞ',　　 `
　　　!:./: .::;:イ: : : : : :/_/ﾞ-―　 |!: : : /　!: !--- V:.| V::::. : :.!::::. : :!｀、!
　　 !:l: :／_:l: : : : r主圭王羊　.|: : :/　 :|:.E玉圭主ｮ∨::. : j:::::. : :!　Vi
　　 lj:/|:./ i: : : : :У.|:::::;;;;::::|　 l: :./　　 !:,!|::::;;;;::::,!/ λ::: : :!:::::: : l 　ﾞ}
　　 }': j: ﾍ !: : : :∧　!V　 С　 !, '　　　j/ lV　С　 /:::i::: : l::::::: :.j
　　　l: :l: : :ﾞ|: : :∧::l　ヾ、__ﾂ　/'　　　　　ヾ､_,ﾂ　 ,'::::::ｉ:: :ﾊ:::::: :,!
　　　.!:.!: : : |: :/:::ﾍ::i　　‐''"´　　　、　｀`'''‐ ・ i:::::::::!:/　!::: /　　　　「未来………」
　　　 !j: : : :.|∧: :::ﾍ:j.､　 ' '　　　　　　　　　 ' '　,ﾉ::::::: l/　 |:::/
　　　 li: : : : .::|ﾍ: : ::ﾍi:::;＞:...,_　　 ´｀　_ ,,. ,-::''ﾞ:|:|:::::: : :! 　 !/
　　　 }: : : : : :|::ﾍ: : : ﾍ . 　 {'゛｀` ''''' {´| `ヾ{::::::::::!|:: : : :.| 　 '′
　　　.!: : : : :,:-＜ﾞ､: : :.ﾍ　　l ｰ-､　　,-l　　｀ﾌ7||: : : : l
　　　l: : :.／　　　ヾ､: : :ﾍ.　 !'´￣￣￣|　　　// |l: : : : l

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　それがたとえ青臭い理想だとしても、
　　グラナダでは窮地を救われ、実際に絆を繋いでもらったコナタは分かるよ、と頷いた。
　　今は完全ではないのかも知れないが、それを目指して歩むことも尊いと思うから。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

630 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:37:06 ID:KHv/Msrg

四１４５．

　　　　　　　　　　.r-､_,, - ''´￣￣｀`'-､,　_,,
　　　　　　　〆´__t=lニﾆ　　　　￣｀`'ｰ l　.＼
　　　　　　 l __,,fゝ }==-　　　　　--==--r-,　 l
　　　　　　　l　 /　　　i　,　　　　､　　　 i`ｰ'l　 li
　　　　　　 l ./ |　i i　l i　l i　　l l　.li　l i　 |､l　l .l､
　　　　　　/ ./　l .l ll l l 　l　l　 l .l　l l　l i　/l l　l/. }
　　　　ﾉl 7 ll　 l l.l l l　_!_ l ((l　l .l l　l/ i　 l　l　λ
　　　７λli　 ` i lヽli.ﾉr-. ､=l))l .l　l l / ./　l iλ .| `ｰ､
　　.　/ i　l l　　 i l　lく　ﾚ`　r′lⅥ V7l l　 l　li 入乂　 l
　　 /　　l/ヽヽ　.! i (( F､,,i_/　'　　　ヽ{li　l.i　λ .|ヽ｀l　l
　　l　 ,　 l　 i　l　lヽ! !l.ゝ､　　-　　,,ｲll./､.l.i　　 i　 i .l .入　　　　　　（ねえ、君はこれまでに何を………
　 .l　　l　l　　l__l　l }　i i┌＞- , イ´└l　{./ }　r-,　.l l　　｀ヽ,　　　　誰を失ったの？
　λ　　i .l､　入'´|Ⅵ λ､_）　つ　　 7l l / l-z,) !､ .l ヽ　　l　 l
..7　`　.7 l ../　　フ / .l lｰz )´乙__凡＼ll .l　　 .ハλ l　　l　 l　　　　家族？友達？仲間？
　　　　{　.Y　　　 {.! l__.l l／´ 　＼ .| .| .l }　}　　　/ 入.　 .l　 .l　　　　それとも―――）
　 /　　＼.＼-､...._i .y L ＞i_f‐ｧ＜ ,l､_f// /____ ./ ;　　l　　l　　l
　i　　　　 l ゝ　　ﾉ　}　　　　　`'''ﾟと- /i l l　　　!､!l　　　ヽ　ヽ入
　!　　　　　l　l　 /　/　　　　　て､ろ　 !l l .l-- ,, 《 .l　　　　ゝ,　`　＼

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　また、目を伏せる雪華綺晶は知った。
　　女性の冒険者が戦う事を嫌う考えを彼が持っている事から、その中に女性が含まれていたのだと。

　　それが彼にとってどれだけ大切な人だったのだろうか、と考えるだけで胸がちくりと痛む。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

631 名前なんて無いだろ 2011/05/08(日) 21:37:11 ID:MrCjYh5Q

正に、黄金の理想だな

632 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:38:00 ID:KHv/Msrg

四１４６．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　三人共に感じ入るものがあったのちに、この中で一番の大人が言った。
　　それを言うのはやらない夫と正反対、暗い感情で歩む自分の役目だと分かったのだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 /,/;:;:;:;/;:;:;/;:;:;:;l;:、;:;ヽ;:;:;:;:ヽ;:;:;:ヽ;:;:;＼;:;:;:;:;:;l;:;:;:;:;:!｀'＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　ｌ;:;:;:/ //;:;:!;:;:;ﾍヽ;:;:;:;＼;:;:;:＼;:;:;＼;:;:ヽ;:;:;:;:!;、;:;:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　./　/;:;:;/ //;:;:;:|ヽ;:;:'､;:;＼;:;:;l;:;ヽ;:;:＼;:;:ﾍ　i',:;:;:;| ヽ:;:;i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|;:;:/l;:l/;:;:l;:;:!ヽ＼.＼;:;:＼ヽ、＼;:;:＼ ', | i;:;:;i':,::＼|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| /;:;:/l |;:l;:;:| i´ f::::j ､＼;:＼　,rt:::j フl .! |ヽ:! !;:ヽi＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| ヽ/ |､ヽヽ {　`＝‐' ヽ|｀ｰゝ`ｰ＝'　l ! |;:;:;l !ヽ＼- ゝ
　「それがあなたの選択なのですね？　　　　　　|　 |;:;l ヽ＼ヽ　　　　　　　　　 / | i;:;:;:!.|:;::|:;:!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |;:;l　|＼ヽ_,ゝ　　　　　i 　　　　 / ,! :;:! !;:;:l;/
　最悪、ライトを取り逃がして　　　　　　　　　　　　 | ∧ |;:;:ヽ' 、　　　｀ ´　　　　　/|/ l;:;:;ﾍ;:;:i
　宝具を取り戻せなくなったとしても？」　　　　　　 |/　ヽ ∧ヽ,＼　　‐‐---‐‐　　ｲ/;:;:;:|;:;:/ ヽ!.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |/　|∧|　＼　　　　／ .| / l/;:;:l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |'　 l　　ヽ、　　／　　 l'／ヽ/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　　｀￣´　　　　l､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,. '´　　　　　　　　　　　ヽ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿_ ,..　'' ´ 　ヽ　　　　　　　　 /　　　｀'ー-　..__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　-‐ '´ {´　　　　　　　ヽ　　　　　　　/　　　　　　　　｀} ￣ 'ー- ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　　ヽ　　　　 / 　　　　　　　　　/ /　　　ヽヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ /　　　　 |　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　 /　　　　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀'ｰ-　 _　　　　　　　　＿　 -‐ '´　　　　　 /　　　　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　｀'ー----‐ '´　　　　　　　 /　　　 l 　　 l　　　!

633 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:39:00 ID:KHv/Msrg

四１４７．
――――――――――――――――――――――――――――――
　　低く言い聞かせるような、語りかけるような問い。

　　それで取り乱していたと気づいたやらない夫は目を閉じ、
　　教えてくれたエルに内心頭を下げてからじっくりと考えを巡らせる。
――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　　　　　 _／_,,.......,,,,..ヽ_
　　　　　　　　　　　　　　　　 .,,i_:_:_:_:_:_:_:_:_:_:_:ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 /;;|　　（ー）（ー）|
　　　　　　　　　　　　 |;/|　　　（＿人_）│
　　　　　　　　　　　　　　 | 　　｀ ⌒´　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　 .　ヽ　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　 / lヽ　　　　/
　　　　　　　　　　　　　＿／ﾞヾヽﾉ_ヽ￣ﾉ　,r‐;=　　　　　　　　　　　「……………」
　　　　　　　　,r‐＜￣´､ⅴヽ、｀ﾄ-＝==＝ﾊ| 　 ,`v-, ､__
　　　　　　 /　　　｀ｰ-｀､ｰ_`､ ,!'｀`'┴┴ヘ,|／.-'_´.-' 　｀ヽ
　　　　　　 l　　　　　　　　 r-ｨヽ.}ヽ､__　　_,.-ﾍ´‐'r-ｨ　　　　 |
　　　　　ﾉ、　　　　　　ヽ_ｿ≠====:三===キヲ_ノ　　　　 |
　　　　　〉､丶､ _　　 __,. ゝシ｀`ー---ll--‐‐ﾍゞ‐′ 　　 ,. ヽ、
　　　　　 !、 `丶--'丶､＿_,ノ　　<＾＾>　||　　　ヽ,--､ -‐',. イ´
.　　　　　 }､`_ー_'二フ７'､_}ヽｭ__,.., Ⅴ　´￣｀丶､_,ｯ}:::ゝ-二._,.ｲ
.　　　　〉､_ 二 -ｨ′八ヽﾞ´Y　　　　　　　　　　}ﾘ::::::::{'ｰ--〈
　　　　　/ｰ--‐''´::::::/;;;;;ヽヽ､_>､　　,. -─‐- ､ノﾚi:::::::::ゝ､ーｲ
.　　　　 l::::::::::::::::::::::/;;;;;;;;;;;;〉｝　　Ｙ´　　　　　ｌ　|;;|::::::::::::::￣l
　　　　ゝ:::::::::::::::ノ;;;;;;;;;;;;くﾉ　　 }　　　　　　{　l;;|::::::::::::::::丿
　　　　,〉:::::::::::::::/;;;;;;;;;;;;;/ ｀ヾ丶ゝ、　　　　　ゝ'〈;ヽ､::::::::::`ヽ､
　　　　{:::::::::::::::::く;;;;;;;;;;;;r'､　　　,.､`丶` =--=''´'´ ,..ヽ､|::::::::::::::::::|

―――――――――――――――――――――――――――――――――
　　生体核とされたキル夫の状況だって分からない。
　　すでに手遅れの可能性も決して小さくない。

　　宝具を取り戻し、妖術師を斃すためにはこの場を通り抜ける事に専念し、
　　後回しにするべきなのだろうとも思う。
―――――――――――――――――――――――――――――――――

634 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:40:00 ID:KHv/Msrg

四１４８．
――――――――――――――――――――――――――
　　ところが、である。
　　彼が答えを出す前にエルがその思考を遮った。

　　質問をした理由は考えを改めて欲しかったのではない、
　　やらない夫に冷静さを取り戻して欲しかっただけなのだ。
――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,' i l::::::入:::::::､:::::::ヽ::::::::ヾ ::',:::ミﾆ-､_::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 /,i! l:::ン　ヽﾐ::::iヽﾐ::::､:::::::::ヽ::',:',::::`ｰ-`:.､::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 iｿl|.／　　　`ﾞ'､｀ヾ::::ヽ:::::::'::',!',::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　　　l!. l!ヽ､_　ー　　　ヽ　＼':,ヾ:::::::'!i'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!　'i!; l|!ﾞi　　　　　　　　　ﾞ'ｬ,＼､:::::::::::::i::::::ｬ::ヾ､:::::: ／／
　　　「すみません、意地の悪い質問でした。　　　　　　　　li､ l!:i　　　　　　　　　　ヽ `ﾞYi:::::::ili:::::i',ヾi;,'／／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ!ヽ::`ｬ-⊆＝ｯ-　　　　　　　i:!;:::::i! ',:::l ' ,Y ／
　　　納得は出来ませんが、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ､,ﾍｧ'｀　　　　　　　　 l!';::::i　ｿ! /!
　　　私はやらない夫の指示に従います」　　　　　　　　　　　　　　ヽ、　　　　　　　　　ﾝ'i:ﾘ　ﾘ'/!i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'　　　　　　　_,.-'"'　ｿ　 '/ｉｌ＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　　 _,_'"::::　　　ﾞ ,r ' ￣　　` ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ､＿_､ｼ'ﾞ'"ﾏTﾐヽ　／　　　　　　　　 `ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽヽｿ

　　　　　　　　　　＿_
　　　　　　　／￣｀ヾ:`:.
　　　　　　　{　　　　　ﾞ!:.}
　　　　　　　　/:＼＿,∠.._
　　 _,. _-_:‐:‐:|: : : : : : : : ､:｀: .、
　　　　／´: i.:,!: : :|:i!: ､: : :丶: : ヽ
　　／ｨ: : : ｌl. !: : |:!､ﾄ､: : : : ＼: :i
　 .//./: : : ;1! ∨: l|_､斗‐: : : :ﾄﾞ:､
　〃　!: : : {T￢Ｖ:.{. __⊥:ヾ: : l: : !
　'′ |: :.;!:iﾊ_z=T ﾞ､:. T不l ハ: l: ;l
　　　.ｌ :ハl:::i ヾﾂ　 `　ﾞｰ：i::::ﾍ:|/　　　　　「あいつはぶっ殺したいけど………
　　　 V　ﾞ!::ﾄ..,,_　 ,､　_,､ｲ:::::バ'　　　　　　人助けも悪くないよ」
　　　　　　 l::::|::::::;ﾌﾌ .,!'ﾞ'l: :/:::::i.
　　　　　 l!::|／/´>'゛_,!:./ｭ::::::l
　　　　　 l};.|i!.j /,,-''.ｲ/‐￢;::::l
　　　　　　./ ﾞ{､i!/''／// 　　 i::::!
　　　　　 / _,,.-火ﾞ､　'"i　　　　i:::i
　　　　　ﾞく　　ｨ､　＼j　　　　,l:::|

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　そこにはどれほどの葛藤と、やらない夫への期待があったのかは分からない。
　　ただ二人は自分達の目的である妖術師を目の前にしても、彼の気持ちを認めてくれた。

　　もしも奇跡が起こせるのなら、見てみたい。
　　少年が二つを手に入れられる存在になるのであれば、懸けてみたい。
　　もしかしたらそんな思いがあったのかも知れない。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

636 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:41:00 ID:KHv/Msrg

四１４９．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　そして雪華綺晶はやらない夫の判断の一因として、
　　辛い経験を繰り返したくないとの自己防衛と、傷ついてもなお―――

　　否、傷ついたからこそ理想を抱いた性根がある事を見抜いた上で一つだけ注文をつける。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　 ,ｨ　　　　　　　　　　（{
　　　　　　　　　　　　　　(( _　-=＝=＝=-　．_ )）　 _＿
　　　　　　　 _ｨ爪ふ_,,,ｨ　}}　　-= - - =-　　 {{Y　ｨf=ム
　　　　　　从{己})）ソﾐ=〃　　　　_ _　　　　-=ﾐ{　弋ソ人ヽ
　　　　　 ,' と辷イr_ﾉ　　　　　／　　　　　ヽ　､__」ﾄ､_ﾆ彳　 }
　　　　 {　ﾉヾイ　　　　　／　 /　　　　　　＼￣　 Yﾊ　　ヽ
　　　　 / /　__ ﾉ　　　〃/　 ,'　　　　　ヽ　　ヽ　ハ　　　 ',
　　　　イ　　77!　　　　/　 {　 .i　　　　　i　 i　　　| 　　i! }　　　}!
　　　　/ 　 // |　　　 ,'　　|i　 |i　　 /　 :|　 |　}　 i　　 :| |!　　||
.　　　/　　イ　 !　　　i　/　|!　.ﾘ__ｨ/i　　ﾘ　八 Ⅴ从　 :| |!　　ﾘ
..　　/ ／ / 　ｲ　 i　|!/-=≠=く　/ﾘ　 /-/―-ヾ/　　;{ |　　 /　　　　　「どうなっても後悔だけは許さないよ？
　　,' ｲ彡ﾊ　{i!　 l　|!r(Y⌒ミﾒ}）　／ ,ｨﾁ示ｧ_ }ｿ　　ハ!　　i　　　　　　いい？分かった？」
.　/　.{{　　{ﾘ.川,　 |　ﾄ八ムzソﾉ　　　　弋zzン /　 i　　 i!　 │
　{　乂　 / 　ﾘ　i　|ﾊゞ辷ツ　　　　　　￣　/イ　|　　 |　　 !
　ヽ　　 /　　/　　|　| ∧{{_　　　　　'　　　　 / ,.'z　|　　 | 　八　　　　　（自己嫌悪と失う事への恐怖心、か。
　　＼彡／,'　　 |!　!i{　ゝ､　　 - -_--　　./ /　　ﾘ　　 j　./　ヽ
　　　 }　/　/　　 ∧　ヽ　　 }ﾄ､　　　　　　ｲ ,.'　　/　　八 {!　　　ヽ､　　いつかもっと大きなものを失った時、
　　　 i ,'　.,'　　 /　ヽ　＼⌒}r､＞-＜ i ム{　,イ　　　　　＼　　　　 i　　それでも誰かの為に君が立っていられるのなら………）
　　　 /　/　　./　　　　}　Y.）　⌒)__r- '^Y´ 7　 i　ヽ　　　　　｀ヽ､　 .!
　　 ,.'　　　　,.'　ﾘ　　├ｰ'´　　　　 ))　　　ム ,∧　 }　　　　　　　＼,'
.　 /　　　　r=､_./＿｝　!＿　　　　　（　　__　　　_ﾉ⌒i!　　　ヽ　　　　 Y
　/　 /　　/　　　´　＞i￣`ーtt=''´￣｀''tt=ーイ ⌒ヽ,, - ､ｨ　＼　　　!
.,'　 ,.'　　/　　　　　 |　.!　　　jo!＞Ⅹ＜joi　 } ﾄ､　 Y　　 V　　ヽ. /
　　{　　/ 　　　　 !　ﾄ､　 ⊥ ヒニ=ニｲ⊥r 人　　.ﾉ　　 i 　　乂
　　{!　 i　　　　　　 |　|　｀ｰ'⌒ヽ､__,ｨ⌒ソ ,人　　　　　　　 V　　　　ヽ
　　Ⅴ .|　　　　　 |　|　　 i　　 |!　　 /　/⌒Vv/　　　　　　}＼　　　　}

―――――――――――――――――――――――――――――――
　　目の前の少年がいつの日か―――
　　自分の為ではなく誰かの為に、真に英雄たる存在になると言うのなら
　　必ず訪れるであろう黒い予感を感じながら。
―――――――――――――――――――――――――――――――

637 名前なんて無いだろ 2011/05/08(日) 21:41:14 ID:MrCjYh5Q

仲間って素晴らしいものなんだな

638 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:42:00 ID:KHv/Msrg

四１５０．
―――――――――――――――――――――――――――
　　エルとコナタにぺこり、と頭を下げ、
　　雪華綺晶にはっきり頷いたやらない夫は強く心に刻み込む。

　　この選択は自分の独りよがりでしかないのだ、と。
―――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , ----- 、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／＿＿＿　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　 i.ノ/: : : : : : ｀ヽ;-,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:_/_:_:_:_:_:_:_:_:_:ヽ:|
　　　　　　　　　　　　　　　　｜（ー）（ー）｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　　（__人__）　　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　 , -!　　｀⌒ ´　　 !-､　　　　　　　　　　　「ありがとう。
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |､ヽヽ　　　　　　 / / |...　　　　　　　　　　みんな………」
　　　　　　　　　 , 　―;;;;;;;―´　| |､｀ ――― ´.,| | 　｀-;;;;;--
　　　　　　　　／ヽ　 ▽ 　ヽ　ヽ￣￣￣￣/　／　　▽／＼
　　　　　　　　 .i　　　｀　-　　r―‐/＼　　　／ヽ― ､　 - ´　　　 i
　　　　　　　　／　　　　　　 |　／－ ―┬― －＼　|　　　　　　＼
　　　　　　　　　>､｀ー--　　　,／　　　｜　　　　＼　　--―　´ ,<
　　　　　　 .>､　ｰ――‐,‐ ´ 　<＾＾>　　|　　　　　｀ｰ､－――‐ ,<
　　　　　　　 >､　ｰ‐,―､´....　　　Ⅴ 　　｜　　　　　　　　 ,｀ｰ､‐―‐ <
　　　　　　　 / 　　　／::::::i＼.　　,.　-－―┴―－-　､　／!::::::::＼　　ヽ
　　　　　 /＿　／:::::::::八　Ｙ　　　　　　　　　　　 Y　　八::::::::::＼＿ヽ
　　　　　　　　i::::::::::::: ／:i;;;;;ヽ. ヽ　　　　　　　　　　　 /　 ,/;;;;;;ト:::::::::::::::::<
　　　　　　 i::::::::::::::::::::/;;;;;;;;|ヽ´ ＼, -――――- ､／ヽ´|;;;;;;;;i::::::::::::::::::::i
　　　　 , - !::::::::::::::::::::|;;;;;;;/　　　　|　　　　　　　　 |　　　ヽ;;;;;;;.!::::::::::::::::::::!- ､
　　　　　 i｀ｰ――――i;;;;/＼　　 !　　　　　　　　 !　　／ヽ;;;;i――――‐ ´i
　　　　 .|------i　　　.|/　　｀ー―――――――― ´　　　.｜　　.ｒ‐‐‐‐‐|
　　　　　 .|　　　　.|　　 .|　　　　　　　 / :::::::::::::∧　　　　　　 |　　　.|　　　 .|

―――――――――――――――――――――――――――
　　その結果、どのような宿命が生まれ、どのような因果が巡り、
　　どのような結末を迎えるのか―――

　　今は誰にも分からないとしても。
―――――――――――――――――――――――――――

639 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:43:01 ID:KHv/Msrg

四１５１．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　とにもかくにも方針は決まった。

　　具体的な手段が短時間の内に出ない限り、
　　やはり上を目指す方針に切り替えさせるつもりの雪華綺晶は剣を抜いて集中を高め、
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　 ,.ｨｰｭ.
　　　　　　　　 r=}7´　. :　ﾊ∧
　　　　　　　　 l! //, . :l! ｣l|i :∧
　　　　　　　　　 } l　rｯﾊrt_j,k: :∧
　　　　　　　　 / :ゝゞ'　_　/: :ヾ《　　　　　　　　　　　　「で、どうするのかな？」
　　　　　　＿_.「¨!彳＞イﾊ_,､ : .｀ヽ
　　　 ‐＝f」」」j|　|三三三三三三三三三三三二＞
　　　　　 ⌒.:!_」ﾄ. 　￣`7{　,ｲ: :イ´
　　　　　　　 _ﾚ'.::::::} 　 ,イ .ｲ　{: : : ヽ
　　　　 .　´ ..:ﾄ-ｲ　/´　(::::　 i: : : r '　　ﾁｬｯ
　　　　 / . : ／`ｰ=彳ﾊ　ﾍi　 l: : : L .
　　　　《{: :く　　　　＿/　　 }　 !: : : : : ﾊ
　　　　ヾ: :ﾊ　　/´　　　 /、_ﾑ : : : ／
　　　　ノ}/　}　＼　　　ハヽｰ ': : : {
　　　　／ `ｰ=彳⌒ｰ1,ｨ彳: : : : : : ノ
　　　　｀ヽ : : : :ﾄ∨{:::::.　　: : : : ; ´
　　　　 },ｲ: : | X |::::∧x ∨て
　　　　　　ﾑ,: :| X ｌ::::::∧x:.∨{｀ヽ
　　　　　　　 ) l X |::::::::∧x為!
　　　　　　　 | X i/´　　ⅥIIi
　　　　　　　　 l X |　　　 ⅥIi
　　　　　　　　 | X i　　　　 Ⅵi
　　　　　　　　　l x :|　　　　 Ⅵ
　　　　　　　　　|　 i|　　　　　 `
　　　　　　　　　ゞ彳

.　 /,/;:;:;:;/;:;:;/;:;:;:;l;:、;:;ヽ;:;:;:;:ヽ;:;:;:ヽ;:;:;＼;:;:;:;:;:;l;:;:;:;:;:!｀'＼
　/　ｌ;:;:;:/ //;:;:!;:;:;ﾍヽ;:;:;:;＼;:;:;:＼;:;:;＼;:;:ヽ;:;:;:;:!;、;:;:|
./　/;:;:;/ //;:;:;:|ヽ;:;:'､;:;＼;:;:;l;:;ヽ;:;:＼;:;:ﾍ　i',:;:;:;| ヽ:;:;i
　　|;:;:/l;:l/;:;:l;:;:!ヽ＼.＼;:;:＼ヽ、＼;:;:＼ ', | i;:;:;i':,::＼|
　　| /;:;:/l |;:l;:;:| i´ f::::j ､＼;:＼　,rt:::j フl .! |ヽ:! !;:ヽi＼
　　| ヽ/ |､ヽヽ {　`＝‐' ヽ|｀ｰゝ`ｰ＝'　l ! |;:;:;l !ヽ＼- ゝ
　　|　 |;:;l ヽ＼ヽ　　　　　　　　　 / | i;:;:;:!.|:;::|:;:!
　　　 |;:;l　|＼ヽ_,ゝ　　　　　i 　　　　 / ,! :;:! !;:;:l;/
　　　 | ∧ |;:;:ヽ' 、　　　｀ ´　　　　　/|/ l;:;:;ﾍ;:;:i
　　　 |/　ヽ ∧ヽ,＼　　‐‐---‐‐　　ｲ/;:;:;:|;:;:/ ヽ!.　　　　　　　　「万に一つの可能性になりますが。
　　　　　　 |/　|∧|　＼　　　　／ .| / l/;:;:l
　　　　　　　　 |'　 l　　ヽ、　　／　　 l'／ヽ/　　　　　　　　　　　身体を動かす生体核とは別に、
　　　　　　　　 l　　　｀￣´　　　　l､　　　　　　　　　　　　　　命令を与えられている制御核がどこかにあるはずです。
　　　　　　　　　,. '´　　　　　　　　　　　ヽ､_　　　　　　　　　　　　おそらく、こぶし大の大きさですが………」
　　　＿_ ,..　'' ´ 　ヽ　　　　　　　　 /　　　｀'ー-　..__
-‐ '´ {´　　　　　　　ヽ　　　　　　　/　　　　　　　　｀} ￣ 'ー- ､
　　　ヽ　　　　　　　ヽ　　　　 / 　　　　　　　　　/ /　　　ヽヽ
　　ヽ　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ /　　　　 |　ヽ

――――――――――――――――――――――――――
　　可能性はゼロではないが、限りなく低いとエルが告げる。
――――――――――――――――――――――――――

640 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:44:28 ID:KHv/Msrg

四１５２．

　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　|＼_ 　 _ノ .|
　　　　　　　　　　　　　　　　|( ●) （●)|
　　　　　　　　　　　　　　　＿|　(__人__） |
　　　　　　　　　　　　　　　　,-ヽ、ヽ｀⌒´　/＞..、
　　　　　　　　　　 r ´::::::,::-ヽｌゝ　／ゝｌ:::::::｀＞､
.　　　　　　　　　　　 /:::::::::::＼::::∧　∧ ／ヽ|::::::::::::l　　　　　　　　　　　「制御核！
　　　　　　　　　　　　／ ::::::::::: 「´:::::/∨　｀|:::＜ﾞ:::::::::::::＼　　　　　　　　　　動きを止めた後に
　　　　　　　　　　／:::::::::,／| ::| ::::/ //　　|::::::/:::::::,､::::::::::＼　　　　　　　　それを破壊すれば良いんだな！？」
　　　　　　　／:::::::::／　 | ::|:::/ . |.|　／|::::/::::::/　.＼:::::::::＼
.　　　　　　　／:::::::::／　　　/::::|/　　|.|　／|::/ :::: | 　　＼:::::::::＼
.　　　　／:::::::::／　　　　 | :::/｀　　|.|　　 |/ :::::: |　　　　＼:::::::::＼
　　　　／:::::::::／　　　　／´:::/　　　 |.|　　 |::::::::::∧　　　　　　＼:::::::::＼
.　　/彡＼／　　　／:::::::::/:l. 　　 |.|　　 |::::::::::::∧　　　　　　　＼::／ゝ､
　（/＼）/　　　／::::::::::::/ ::|　　　// . ∠|::::::::::::::∧　　　　　　　　| l, , , , |
　 /ヽ/ﾞ´　　　　　|:::::::::::／￣|　　 .|.|　―‐|::::::::::::::::∧　　　　　　　｀'￣￣
. /　/　　　　　　 |::::::::/　　〈　二|.|二´　∨:::::::::::::::｀＼
/　/　　　　　　 .∨ /　　 ∠､＿／ｌ＼＿＿∨:::::::::／￣
　/　　　　　　　　　∨　　　/::.::::::::::::::リ:::::::::::::::∨／

――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　魔導兵の戦力は未知数だが、力尽くなら何とか出来るかも知れない。
　　戦力の必要分はどのような消費、消耗を以てしても自分が支払ってみせる、と
　　やらない夫は気合いを入れたのだが―――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　＿＿＿ﾐ::::::::::::::::｀¨ミヽ､::::::ヽ.
　　　　　　　　　　＜:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::::ヽ
　　　　　　　　　ヽ､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾄ､
　　　　　　　ー=ﾆ､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::j::ﾊ
　　　　　 --─=＝ﾆ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ヾミ:::::::::::}
　　　　　　　 ,,ｨ彡:::::／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::彡ｲﾊ::く
　　　　　　／::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::l::::::::',
　　　　／---─ｧ':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／::::::::::::／:::ﾘ:::::::}ﾊ
　　　　　／/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::イ:::ﾂ<彡'/:::;イ::::::::::l:::|
　　　　　　　　/::::ｨ::::::::::::::::::::::::::,ｨ/ 　¨''=ｲ _,ｲ:::ｲﾃ ::::::::::ハj
　　　　　　 _,,ｲ／/:::::::::::::::::::::ｲ/ |　　　　　ノ　|¨ .::::::ｲ/
　　　　　　 ∠ イ:::::::::ｨ::/ .|　　　　　　､ _｣ｲ:／.j'
　　　　　　　　　　/ｲ:／ .|ｲ　　＼　　　‐--- ／|:/　　　　　　「違います！
　　　　　　　 __ ｲ　　 j　　　　　＼　　ﾞﾞﾞ／　.ｿ
　　　　　　　　 /＼　　　　　　　　／ヽ- '　　　　　　　　　　　魔導兵の破損が進むと
　　　　　　　／　　ヽ､　　　　　_ ｲ　　　　　　　　　　　　　　　生体核として融合されているキル夫にも
　　　　　／　　　　　　ヽ､　　Y　　　　　　　　　　　　　　　　　負傷や打撃が連動する可能性があります！
　　　　 /　　　　　　　　ー┴､
.　　　/　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　魔導兵には極力被害を与えずに
　　　/　　　　　　＼　　　　 |､　　　　　　　　　　　　　　　制御核のみを破壊して下さい！」
　　 i　　　／　　　　　＼　　ﾊ

―――――――――――――――――――――――――
　　勘違いしないで下さい、と強い声でそれを否定された。
―――――――――――――――――――――――――

641 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:45:19 ID:KHv/Msrg

四１５３．

　　　　　　　　（:i′
　　　　　　　　　ヾ:､, . . .-:￢_,,.. -.―: : - : ､
　　　　　　　 ,.-:':"´: : : : : : : : :!: : : : : :‐＝､'''' ｀`
　　　　　　／: : ﾊ : : : : : : : : : : | : . .　　　　｀ヽ
.　　　　　/.　　（,ﾉ . . i : :! l : : : ;|、:ヽ　　　｀ヾ､＼
　　　　　i: : : :!: . . . . ,l : :ﾊ:!: : : ;.|｀、: !: : ヽ: : :.｀､ `ヾ:、
　　　　　l.: : :.!: : : :_;ﾑ:､/ .li: : :./j　,.x‐ト: : :ﾞ!: : : : :.
. 　　　 l: : :.|: : : :./ |:/　 |! : ;ｲ:! 　ヽlﾞ､: : :!: ､: : :i
　　　　 !: : :l|: : /ｪ土ﾆ､｜:/ ﾘ ,ﾆ≧ヵヽ: :l: : },: : l
　　　　　 l.:/r|: ∧｢代ﾙ|　|/　　代り,!/l: :l: : j i.: j
　　　　　 ,!',{ |/: : i ヾ上!　　　　　ヒｼ　l.:.!:.l: :.,'　l :!　　　　「………いやそれ、無理だよ」
　　　　　/ｲ:ヽl: :､:.i　　　　　　　　　　・l: :lｲ:./　　ﾘ
　　　　　　|: : :l.: :ﾏト.､　 r_―ｭ　 _ , ィﾞ|: : :l'
　　　　　　|.: : :}: : V!r;ｸ｀: ェ_＜｢:::::::,':lj: : :l
　　　　　 |: : :.|:l: :ﾍ''ﾊ　　　 j　＼:,'::;ｲ: : !
　　　　　 |.: : :,:ﾍ: :.V!ヾ´￣｀l　　　ﾞlト!: :/　 l＾i　／）
　　　　 |: :,<＼ﾍ :Y　ﾞ、　 l　　　lｌ l: :/ /ﾏﾉ'゛∠- つ
　　　　 !: iﾍ.ヽ､`l: :!　｀、　,!　　 ll ,l.:/ ∧ ヽ、　‐'二､
　　　　　ｌ: :|　｀ヽ､ﾞl: :!　丶 l　　〃ﾚ　∧｀:、＼ ‐=ニ′

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　数秒空気が凍った後に、出来るわけないじゃん、とコナタがあきれ顔で言ったので、
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,r/　,;-ー_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::レ:::::三:::::｀ミ::=-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,i::::::::::::::::､:::::::､::::ヾ::ヽﾐｰ-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,r'::::::::::::::::::ヽ::::::::＼.:::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　//:::::/:::;:::i:::::ヽ:::::::::::::＼::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　/::/:::::::/_ヽ:!:::::ヽ:::i`_､:::::ヽ ::ヽ:::::::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i::/::::::::/'oヾ､:::|ヽ::Y o＼:::::i!::::ヽ::::＼
　　　「知ってますよ！　　　　　　　　　　　　　　　　　　l:::i:::::::::lゝ- '　ヾ、ﾞ ! ｰ '､ヽ:::::!:::::ヽ::i ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!::!:::i:::::!　　　` ｀ヽ　　　　 i:::::!::::::::::::i
　　　だから『万に一つ』って　　　　　　　　　　　　　l:!:::l:::l !　　,r_ー‐-､　　　l::::!::::::::::;::i
　　　あらかじめ断ったじゃないですか！」　　　　　　　!|:.!::', 　　i'/￣￣ i 　　　l:::::::::::::ハ:!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　 l::::::ヽ.　ｉ　　　　i　　　ｨ::/i:::::ﾊi　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i::li:::＼ `ｰ--‐' 　　／ﾘ　|:::ﾘfﾊ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _..!:ﾊ::::l;ヽ､　　　／　　"　l::/i　ヽ. ｀`''ｰ- ､._
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,r‐'''"´　 !　ﾘ!i ヽ `＝'"　　 ,　　ﾘ /　　ﾝ　　　　 /ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ヽ　　　　　　ヽヽヽ　　　/　　／　　　　　　　　/ 　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l 　＼　　　　　　＼　 '　　　　　／／　　　　　 /　　　 i

――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　全く同感だったエルは、だから言いたくなかったんですと金切り声を上げる。

　　言わなかっただけで彼も、味方の戦力と自分の持つ情報とを組み合わせ
　　可能な限りの検討をしていたのだろう。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

643 名前なんて無いだろ 2011/05/08(日) 21:46:00 ID:MrCjYh5Q

難易度むちゃくちゃベリーハードじゃねえか・・・・

642 名前なんて無いだろ 2011/05/08(日) 21:45:52 ID:g2fnFkio

酷い無茶振りだなｗ

645 名前なんて無いだろ 2011/05/08(日) 21:46:40 ID:OKhZRuTA

なんか発想が直接的過ぎる…よほどショックだったのか、動揺が残ってるのかな。

644 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:46:04 ID:KHv/Msrg

四１５４．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　そんな二人を余所に、やらない夫は諦めようとはしていなかった。

　　制作者がひねくれ者でなければ、だが、
　　人間の心理からして人型の制御をする部分であれば、頭部か胸部に配置する可能性が高い。

　　最悪二択、或いは二回で仕留めることが出来れば、と
　　その中心を見定めんと魔導兵を睨み付けている。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,..イ　　　 |
　　　　　　　l　　　　　　　　　　_,,,...イ´ 　 |　　　　　|
　　　　　　　ヽ、ヽ＿_,,..-t''"´:::::::::::|　　 l　　　　　|
　　　　　　　　　　　　|　　ヽ:::::::::::::ノ　　 /　　　　 .|
　　　　　　　　　　　　ヽ、　　￣　　　／　　　　 |　　　　　　「何とか制御核のある場所を
　　　　　　　　　　　　　｀　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　調べられないのか？」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　　　　 |
.人　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　 |

646 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:47:00 ID:KHv/Msrg

四１５５．

　　　　　　　　,, -‐'''″￣｀ミ`{.{@yiゝゝ
　　 _,,,,i=η／　　　　　　　ヾ､`ヾ､)) l　｀'i
　 ,//,i<迴'j　　　i　　　　,　ゝ＼. (( .i i　 !
　 l l　/ //　i　i 7 .i　　　ヽ,ヽヽ i i　l l ﾊ　｀!
　 l i　 / i　l l　l .i| |　　 i i　i　,ﾊ　il　i i ,ヽ　!
　 l i　i l ,　l. !　|i|i　l　i i l i　l l　ﾊ7i　i l i ゝ,.｀'i
　 ,i i l l　!　i ヾ i　l ＼i i lﾊi i i l　ﾉl　| i l　 .l　}
. // /i|　| i | i l_.,,((、ii､ |il! .だ｀｀'i.7　l l|　 .'y l
//,'´　i＼＼ヾiFｯﾐ''ｼi　　弋__沙7　//i　./ ./　　　　「外見からは無理だね。
イ　.,/′ヽゞゞ≦汗彡'　 ,　　　.//　li　| / /　　　　　キル夫自身が教えてくれれば良いんだけど」
　 /,,_　　 }li ゝ､i,　)).　　　　　.lil　.li l i ,l .{
　l　　　　7 i! !i)..ゝ．.,_. ⌒",.／il　 il　＼＼＼
　　　　ノ i/ //-‐'′κ,｀"-　>ヾ　! >.-‐'ゝゝ＼
　　　/''"　~´ ,/ | k>っ>b, ,,.,ciyi)-ゝ　　　＼ヾ
　　 7ζ　　_ / l　ξl lゝ､ . ／l .!　i l　　　　　iゝ｀l

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　洗脳されているのと同じだろうし無理だよねぇ、と口をへの字に曲げた雪華綺晶に頷き、
　　エルは盗み見の受け売りですがね、と母の研究から知り得た最後の知識を告げた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　＼ー-- ､,,_ー=ミ‐-..､
　　　　　　　　　　　　＿＿＿ﾐ::::::::::::::::｀¨ミヽ､::::::ヽ.
　　　　　　　　　　＜:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::::ヽ
　　　　　　　　　ヽ､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾄ､
　　　　　　　ー=ﾆ､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::j::ﾊ
　　　　　 --─=＝ﾆ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ヾミ:::::::::::}
　　　　　　　 ,,ｨ彡:::::／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::彡ｲﾊ::く
　　　　　　／::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::l::::::::',
　　　　／---─ｧ':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／::::::::::::／:::ﾘ:::::::}ﾊ
　　　　　／/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::イ:::ﾂ<彡'/:::;イ::::::::::l:::|
　　　　　　　　/::::ｨ::::::::::::::::::::::::::,ｨ/ 　¨''=ｲ _,ｲ:::ｲﾃ ::::::::::ハj
　　　　　　 _,,ｲ／/:::::::::::::::::::::ｲ/ |　　　　　ノ　|¨ .::::::ｲ/
　　　　　　 ∠ イ:::::::::ｨ::/ .|　　　　　　､ _｣ｲ:／.j'
　　　　　　　　　　/ｲ:／ .|ｲ　　＼　　　‐--- ／|:/　　　　　　　「魔導兵は理力魔法を強く遮断し、
　　　　　　　 __ ｲ　　 j　　　　　＼　　ﾞﾞﾞ／　.ｿ　　　　　　　　魔の戦技も殆ど効果がありません。
　　　　　　　　 /＼　　　　　　　　／ヽ- '
　　　　　　　／　　ヽ､　　　　　_ ｲ　　　　　　　　　　　　　　　　他体系の魔法はそれほどでもないようですが………」
　　　　　／　　　　　　ヽ､　　Y
　　　　 /　　　　　　　　ー┴､
.　　　/　　　　　　　　　　　　　 |
　　　/　　　　　　＼　　　　 |､
　　 i　　　／　　　　　＼　　ﾊ
　　 |　　/　　　　　　　　　　ヽ　　 |
　　 |　 ,'　　　　　　　　　　　 }　　|

648 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:48:00 ID:KHv/Msrg

四１５６．

　　　　　　　／ '´　　｀ヽ
　　　　　　　 //
　　　　　　 !i　　　　　／:ヽ-.‐: : :ﾆ二＝‐
　　　　　　　　ﾞ､　,. : ':": : : : : : ､: :、　_ .｀.ヽ､
　　　　　　　ゝ゛: : : : : : : :　. .:i、:ヽ: :｀ヾ､_:.＼
　　　　　　　, ':i: : /: : : : :ﾄ､: i: : :.i x-ﾞi: : : :.ヽ　｀`
　　　　　　 /: :.!:/　. .,.-|:.| ∨!: : :l　ヾ:i,: :ヾ:. ｀､
.　　　　　 i　　}l. : : /: i'| |　 !|、: | _,,⊥!: : i;::: :｀､
　　　　　 !. : :l: : : : : :! |:|,,.、l|ヾ:| 彳ﾊ`ﾄ､:.|｀ヾ:.i
　　　　　　 l: : !: ;l: : : :!ｯi"､ﾊ　ﾘ　､_j! l ヾ!　ヾ
　　　　　 V:|:/:.!: : :!ﾍ' ､__j!　　　　`゛･|i　　　　　　「エル、制御核にも
　　　　　　　ヾ": : !: :,! i　`''"　　　。　／:|　　　　　　精神の精霊が居たりしない？」
　　　　　　 i: : !: l ハﾊ.＿＿＿,.／）|:: : |
　　　　　　　　|: :!: : {: : :ヾ;|　r く,/　ﾑ:.!: : |
　　　　　　　　j:/: : :∧: : : :＼ヽ＿　｛.:ﾄ: :.!
　　　　　　　 l/: : /==`ｰ､: ＜!三ﾐﾐヾj Υ
　　　　　　　 /: : : |=＝==≧ｼl二`ヾﾐﾐ｝｜
　　　　　 /: : : : !、　　　 |　　　｀ヾﾐ!　!、
.　　　　　 /: : : : : :}ヽ　　 |　　　　　ﾉ`ヽ｀、
　　　　　 !: /: : : :.∧｣:､　　　　　 /　　　,l
　　　　　 l: /: : : : ;': /.ﾊ＼　　　　,/　　／
.　　　　　l.:,!: i : : :i!:.(　　＼_〕ト､_ノl_,.ィ'｢
　　　　　l:.!|: :!: : :.!|: ;>､　　 |`ァ''＾ヽ |く

―――――――――――――――――――――――――――――――
　　生体核を押さえつけ、命令に従うぐらいの知能があるのならば
　　感情や精神があっても不思議じゃないかも、とのコナタの閃きには、
　　すでに試していたエルが無念そうに首を振る。
―――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,' i l::::::入:::::::､:::::::ヽ::::::::ヾ ::',:::ミﾆ-､_::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 /,i! l:::ン　ヽﾐ::::iヽﾐ::::､:::::::::ヽ::',:',::::`ｰ-`:.､::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 iｿl|.／　　　`ﾞ'､｀ヾ::::ヽ:::::::'::',!',::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　　　l!. l!ヽ､_　ー　　　ヽ　＼':,ヾ:::::::'!i'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,-
　　　　　「試してみたのですが、全く分かりません。　　　　　　　　!　'i!; l|!ﾞi　　　　　　　　　ﾞ'ｬ,＼､:::::::::::::i::::::ｬ::ヾ､:::::: ／／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　li､ l!:i　　　　　　　　　　ヽ `ﾞYi:::::::ili:::::i',ヾi;,'／／
　　　　　あるいは読心の魔法のように、　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ!ヽ::`ｬ-⊆＝ｯ-　　　　　　　i:!;:::::i! ',:::l ' ,Y ／
　　　　　思考の流れに触れる事が出来れば………」　　　　　　　　　　　ヾ､,ﾍｧ'｀　　　　　　　　 l!';::::i　ｿ! /!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ、　　　　　　　　　ﾝ'i:ﾘ　ﾘ'/!i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'　　　　　　　_,.-'"'　ｿ　 '/ｉｌ＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　　 _,_'"::::　　　ﾞ ,r ' ￣　　` ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ､＿_､ｼ'ﾞ'"ﾏTﾐヽ　／　　　　　　　　 `ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽヽｿ

――――――――――――――――――――――――――――
　　そして。
　　禁呪でも使えばあるいは、と言う何の気無しの呟きが―――
――――――――――――――――――――――――――――

649 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:49:09 ID:KHv/Msrg

四１５７．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　―――やらない夫と雪華綺晶の二人に、とある手段での可能性を思い描かせた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ――　､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／〉´.,,,,,-----,,,,...ヽ_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／／_;_;_;_;_;_;_;_;_;_;_;_;_;_|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　/／〉　 ( ー)　(ー )　ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　 ´ イｌ　　 (___人___)　　ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　ｌ　　ｉYｌ　　｀ ⌒ ´　　ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　/　　ﾊ !.!　　　　　　　　 !
　　　　　（思考の流れに触れる？　　　　　　　　　　 .　　　　　 /　　/　 ' ヽ　　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　／/ ､ゝ　　　　　　／ヽ_
　　　　　 ………相手の心のあり方を感じ取れると言う　　　　　 ´｀ー‐ '｀./　　｀ー､　　,－´　　/ 　＼
　　　　　雪華綺晶の力なら、もしかして………）　　　　　.　　　　ｉ　　　　ｉｉ　　 / ｀:.ｉ　ｉ´ヽ.　 /　　　｀　､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　　 , 'ｌ　　　　　ｌ.!　 /　　ｌ　 !　ﾊ　/　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / ,:|　　　　　| ヽ/　　　!＿'　　 V　　　　 ,　 ,　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　/ / ｌ　　　　　|　　　　 /:.:.:.:ヽ　　　　　　　/　/　／　ｉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　!/　 !　　　　ｌ＼.　　ｉ:.:.:.:.:.:.ｉ　　　　　／　/　 /　　　ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　 !　ヽ.　 !:.:.:.:.:. !　　　 ´　　 !　 /　　　 !

　　　　　　　　　 ∠乂ﾆヅ´　　　　　　　　　　　　ヽ､＿（(＿
　　　　　　　 /{｛　 ((　/　　　　　　　　　　　　　　 ∨辷ﾍY ｀丶
　　　　　　　　 ′　/　))　′　　.′!　　 l　|　　｀　弋ニツ｀ヽ　ヽ
　　　　　　　 /　　/　/　/ !　|　 |　l| ｉｌ　|l　|　! 　 l|　　|　))ヽ　 |　　|
　　　　　　 ./　　/　, 　 ′!　 )) |　l| ｉｌ　|l　|　! 　 l|　　| ((　 l　 ! 　 |
　　　　　　/　　/　/ 　 l!　|　|{｛ |　l| ｉｌ　|l　|　! 　 l|　　|　　ｉl　ｌ　 |
.　　　　　/　　/　/　　 ! ⌒＼ト|　l| ｉｌ　|l　l ／⌒l|　　|　　ｉl　 | 　 |
　　　　　′　,'　 l　 |　 l|ｨｾﾆﾐﾍﾞ}从八|ノ|lｨ彡＝ﾐ l|　　|　　ｉl　 l　　|
　　　　/　　/　　Ⅳ八从K( くﾉ》　　　　　　{ ! }　》lN从　　ｉ　 | 　 |
.　　　/　　 '　　　 l　　 !ゝ二_ツ　　　　　 :.=' 彡i| 　 !　　 :. 　i 　 i
　　　′　/　　　ノ　　∧　((　　　　 .:i　　　　　 l 　 i　　ｌ　 l 　 |
　　/　　/　　／　／ ∧　))　　　　　　　　　　　ﾊ　 !　　 .|　 l 　 |
　 ,'　　/　　 /　,　〃　/　i､　　　　 r―‐ｭ　　　ｲ　ｉ　|　　 {　ヽ　ヽ
ノ　ノl　　 ,'　 i　/　 /　 l| ヽ　　　｀￣　　　／_ !　i 八　　丶　＼
{　／　l! 　 i　　l./　 /　　ｉ　_{＞　、　　　ィヘ /.i 　ゞ　ヽ
i,/　ノ　　/(　〃　ノ　　 .i　ﾄ､｀￣}　r'⌒ｰﾚ7 イﾊ　　　　＼　　　ヽ
′　　／　ゞ　 (r‐､　　/ ﾉ　￣不´＞　 /　〈　　ヽ　　　　　ヽ
　/　／ √~￣ﾞ￣’　￣￣｀　　{「ヽ√　　　　 `ー､＿,　,..-―‐￢，

――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　しかしやらない夫は見た。
　　その瞬間ハッと息を呑んだ彼女の表情が、紛うことのない拒絶だった事を。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

650 名前なんて無いだろ 2011/05/08(日) 21:49:12 ID:MrCjYh5Q

それだぁぁぁぁぁぁっ
きらきーっ！！

651 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:50:05 ID:KHv/Msrg

四１５８．
――――――――――――――――――――――――――――――――
　　その能力が彼女にとって重荷だと知っているのに、頼めるわけがない。
　　たとえこの状況を打破する可能性を秘めているとしても、
　　雪華綺晶に負担をかけるような真似はしたくない。

　　なんとか別の手段を考えようと、拳で顔をごしごしと擦って
　　今の策を頭から追い出そうとした時、
――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , ´ ￣￣｀、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　_,ノ_ ｀ヽ-、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　(√丶丶´v　〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　U 　 {　)　　　　　j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.ｲ､　　　 V　　　　/
　　　　（………やってもらう訳にはいかないだろ）　　　　　　　　　　　　　　　_,／(:::ヽ.ヽ　　 {　　　　 r
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_, ､ -― ''":::::::::::::＼::::ヽヽ., __r　／⌒ヽﾆ‐-、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::::::::ﾞ:':､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::V／.....￣　'.,:::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　丿::::::::::::::::i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::(　:::::::::::::::... '.,::: |
　　　　　　　　　　　f´￣￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ　　　　　　　　r ::::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ　::::::::::::::::.. '.,::i
　　　　　　　　　　　|　　良いよ、やるよ。　　.|　　　　　　　/ ::::::::::::::::::::::: !:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ　::::::::::::::::::. '.,
　　　　　　　　　　　乂＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ　　　　　　 / ::::::::::::::::::::::::::!:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ　::::::::::::::::::::. '.,

―――――――――――――――――――
　　雪華綺晶の淡々とした声が割り込んだ。
―――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　.r-､_,, - ''´￣￣｀`'-､,　_,,
　　　　　　　〆´__t=lニﾆ　　　　￣｀`'ｰ l　.＼
　　　　　　 l __,,fゝ }==-　　　　　--==--r-,　 l
　　　　　　　l　 /　　　i　,　　　　､　　　 i`ｰ'l　 li
　　　　　　 l ./ |　i i　l i　l i　　l l　.li　l i　 |､l　l .l､
　　　　　　/ ./　l .l ll l l 　l　l　 l .l　l l　l i　/l l　l/. }
　　　　ﾉl 7 ll　 l l.l l l　_!_ l ((l　l .l l　l/ i　 l　l　λ
　　　７λli　 ` i lヽli.ﾉr-. ､=l))l .l　l l / ./　l iλ .| `ｰ､
　　.　/ i　l l　　 i l　lく　ﾚ`　r′lⅥ V7l l　 l　li 入乂　 l
　　 /　　l/ヽヽ　.! i (( F､,,i_/　'　　　ヽ{li　l.i　λ .|ヽ｀l　l　　　　　　「私なら探れるかも、ね。
　　l　 ,　 l　 i　l　lヽ! !l.ゝ､　　-　　,,ｲll./､.l.i　　 i　 i .l .入　　　　　試してみるから接触出来るようにみんなで援護して？」
　 .l　　l　l　　l__l　l }　i i┌＞- , イ´└l　{./ }　r-,　.l l　　｀ヽ,
　λ　　i .l､　入'´|Ⅵ λ､_）　つ　　 7l l / l-z,) !､ .l ヽ　　l　 l
..7　`　.7 l ../　　フ / .l lｰz )´乙__凡＼ll .l　　 .ハλ l　　l　 l　　　（馬鹿だね、君は。
　　　　{　.Y　　　 {.! l__.l l／´ 　＼ .| .| .l }　}　　　/ 入.　 .l　 .l　　　今ここでそれを天秤にかけるなんて）
　 /　　＼.＼-､...._i .y L ＞i_f‐ｧ＜ ,l､_f// /____ ./ ;　　l　　l　　l
　i　　　　 l ゝ　　ﾉ　}　　　　　`'''ﾟと- /i l l　　　!､!l　　　ヽ　ヽ入
　!　　　　　l　l　 /　/　　　　　て､ろ　 !l l .l-- ,, 《 .l　　　　ゝ,　`　＼

652 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:51:01 ID:KHv/Msrg

四１５９．
――――――――――――――――――――――――――――――
　　その声で、やらない夫は自分がどれだけ甘かったかを思い知って
　　恥ずかしさに顔を覆う。
――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　───- 、
　　　　／　　　　　　,-‐- ､
　　　/　　　　　　　,-`--　ヾ､
　　　|　　　　　　 ,-‐ー-､`ヽヾ
　　　|　　　　　　 `ー--、`ヾ'　}
　　　|　　　　　　.--‐一ｰ､’　" }　　　　　　　「ああ、くそ………！
　　　|　　　　　　ゞ-一ヽ､　　　/　　　　　　　なんて俺は腰抜けなんだ………！」
ノへﾉ　　　　　　　　　ﾉ　　　i
、::＼＼　　　　　　　r´　　　ゝ,、　　　　　　　（なぜ自分から言わせた！？
ヽ:::::::＼＼ヽ＿_　　ヽ､_　　／　|:::ヽ　　　　　　どうして、俺が責任を負わなかったんだ！）
ヽヽ::::::::＼ヾ　　　＞´ヽ､／　　ﾉ::::::＼
::::＼ゞ::::::::ヽ`>､√:::::::ヽ、　／::::::::::::::::　＼
:::::::::::`‐ー-Y;;;_ヽゞ)､＿_ゝt_＿:::::::::::::::　　　＼

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　他に選択肢があるわけが無い。
　　なのに仲間に、特に女性に負担を負わせる事に怯えて言えなかった自分が情けない。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　｀ﾐﾚ__＿__／三ﾆ　　　－　　　　ヾ　ミヽ＿__
　　　_ _　>//K/ｆ´　　　　　　　　　　　　　　　＼　｀ー｀ヽ
　　　｀゛=っﾉノ　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　｀|　|
　　　　／ >/　　　　　　　　/　　　 ;　 ;　　　　　　|ﾍ　 |　|
　　 i´　　 /　 ,　　　　 ,　 / /　　　|　 |　 ;　　　　 | |　 |　|
　　 |　　 /| ; |　　　　 / / /　 ;　__ﾉ=+- ､|　 ;　　　| |　 | |
　　 |　;　|　|| |　;___　. | | /i　 /　//_/__　ﾉ｀ﾊ　|　 |　|　| |
　　　| |　 | ﾍi　 ||｀iﾚﾐﾍiﾊli //　//,=ﾃ＝ミﾉl ノ　ﾉi　l　 | |　　　　　　「君の手助けになるのなら、
　　　| |　　i　ﾐ　 |ﾄ　i ilﾄ哀ﾉ>ｲ´　´f::::::ﾊ jﾒﾉﾊﾉ//i　i　 l l　　　　　　キル夫を助ける事が出来るのなら………
　　　;| |　　　| ヽlヾミfﾆ及彡ﾉ ,　　弋:.:ｿﾉ /y/ｲ　l　　　 |
　　　| ﾊ　　　ヾ　　ﾄ゛´-Ｚ/　　　　　　　　ﾉ l　 i　ヽ　　　|　　　　　　なんてこと無い、よ」
　　　|ﾉ　i　　　|　　|　｀>｀)　　ー -　　／;;;ill　 |　|　ﾍ　　 |
　　　|　　|l　　 |　　| //ト=i-= ､_ _　イﾐﾉil l |　 |　|　　　　　|
　　　|　　||　　|　　|ｿノ/ノつ= ≧≦三ﾊ＿ﾑ　 ilＹ　　　　　 |
　　 /i　 . l　　|　|　|－ﾐ彡ｰ-゜/ii iiヽ｀、ミrル　 ) li　　　　　 |
　　/ li　 l i　　l ﾉ/　　　｀/oﾌ＞｀´＜l oヽ　　ﾉ　 il　　　　　|
　/　　i　il　　 //　ヽ　-ﾉo/<　＜＞　>ioﾍノ/　　　　　　　/

――――――――――――――――――――
　　その笑顔に潜む覚悟がどれほどのものか、
　　その言葉の重みはいかほどのものか。
――――――――――――――――――――

653 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:52:00 ID:KHv/Msrg

四１６０．
―――――――――――――――――――――――――――――
　　それを受け止め、自分の責とせずに何がリーダーか。

　　時には仲間に負担を強い、傷つける事があったとしても―――
　　選ばねばならない時がある。選ばねばならない事がある。
―――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　￣　　､_
　　　　　　 ´　　　　 __....--‐'''"´: :＼
　　　　　 _/_....-一'''".／ : : : : : : : : ／ヽ
　　,.ｘ‐て/: : : : : : : ／ : : : : : : : : ／: : : :ヽ
　/::,;:/そ|_:_:_:_:_:_／_:_:_:_:_:_:_:_:_／_:_:_:_:_:_:_|
./:/V　　 l　　　　　　　　　　　　　　,‐-,.._ ゞ
.V.　　　 l　　　　　　　　　　　　　　l　弋心 l
.　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　冫.ー　く
.　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　ﾉ!
.　　　　 l　　　　　　　　　　　　　　｀ー‐ f ｒ'　　　「すまん。
　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ'　　　　　そして、頼む」
　　　　　!　　　　　　　　　　　　　　 /
　　　　 ,'　　　　　　　　　　　　　　　 /
　　￣　｀ー -　　　　　　　　　　　　 /
　　　　　　　　　｀　､　　　　　　　　/
　　:.:.:.:.:.:...　　　　　　　　､　　　／
　　:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..　　　　　　.:.:ヽ _　´
　　ー-　:.:.:.:.:.:.:.:..　　　..:.:.:.:.:.:ヽ
　　　　　｀　､:.:.:.:.:.:.:...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　　　､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼

――――――――――――――――――――――――――――――
　　それを刻み込んだやらない夫にゆっくりと首を振った雪華綺晶は、
　　十分対価はもらっているよ、と言った。
――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ィ'´￣　＿　＿￣ /⌒ﾞー　．、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／,ｨ＝=‐' 　￣　　ｲヽ､ヽ　ヽ　 ≧ ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ｨｭﾘ　　　　/　　　　　　　　`　､ヽ　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ (弋ｿ　　　　 '　　　　　　　（(_,､＿ ` ー.､　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　 )）≧＝‐'　　　　　　ヽ　　ゞ少￣`ｰ　＼　　ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / （(　　　i!　 l　　　　l ヽ　ヽ　（(ヽ　ヽ　ヽ　　ヽ　　 l
　「ううん。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　 l.`l　　 i! l l!　 l!　l .ll lヽ　ヽ.. )）ヽ　ヽ l　　　ヽ! 　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈　　.l .l!　l　l! l l!　 l!　l　l l l l!　ヽ　l　ヽ　ヽ　　　 l　　l
　私にとっては、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨　l l.l! ll　l! l l! 　 l!　l　l l l l!　l. ヽ.l　ヽ!　 l　　　 l　　l
　君が覚えていてくれていた事の方が大きい。　　　∨. l .l　l!　l!l l l! l　l! l l l l li!.l! l 　 l!　 l .l　 l　　　　l. 　∧
　信じてくれていた事の方が嬉しい」　　　　　　　　　 l!.　∨.i! l从斗､ l l ll!l/!､!l l从l! 　 l　/!　 /　 l　　ヽ.　 ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　l l　　ﾍ!从ｲﾝ仆､.l! l l l ､_＿_, l　l　 / 　 /　　l l　　　＼　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　 / .l　　ﾘ/`ﾊゞ薔ｿ　　　￣　| 　 / 　 /　　/ ヽ　　　＼　ヽ
　（でもね。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　 l　／　 ./_ゞУ　｀､＿　　　 |　　　 /　.／　　ヽ　　　　　l　 l
　そういう君だから、私は―――）　　　　　　　 .　 l.　　l.l´ r‐､ﾉ　`ｰ'`ｰ､､` ´　, ィ'.ﾘ　　／_,､ r―ｙヘ. ヽ　　　 l　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 ∨　l l　.|ヽ　 |　/　　/ ￣,ｨ　 |/ ,イく.し'　 ´　 /　　〉　＼　　 l　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　ヽ　.〉ゝｌ　　ｊ　　ｉ./ゝ‐^ｰｯノ　　 ¨´ 　　　　（_,､　＼　!　　｀ｰ

655 名前なんて無いだろ 2011/05/08(日) 21:53:48 ID:OKhZRuTA

なんかヤバイフラグが、立ったような気がいたしんす…

654 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:53:00 ID:KHv/Msrg

四１６１．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　そこへ、戦闘開始前なので二人の世界に浸るのはほどほどにして下さい、と
　　空気を読んだのか読まなかったのか分からないエルが口を挟み、
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::〃i::::',::::ヽヾヽ::ヽ＼:､＼:'.,',`ヽ::::::::::ミｪ､､､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::::/::!::'::::::':,:'.,::::ヽヽ､::::::::::＼＼',:::::::::::::::ヽ￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::i:::::::i:::､::::::::ヽ:::､､:::ヽ::::､::::::＼ヽ､:::::::::ヽ:ミｰ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,'::;::::i:::::::ｌ!::!ｧ､:::::::::ヾ:､rﾞ=､::::ヽ::::::::::ヽ::::::::::::`、ヾ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ｼi::::i::i::::!:ｉi （::ﾒヾ､::'.,ﾒ（::ｿ,ﾞi::::ヽ:::::::::ヽ::::::::::::ヽ、
　「………自分達の事を話していない私達は、　　　　　　　/'　i:::i::!::::::i '=ﾃ'　｀ヾ::ﾐ＝"　ﾘ::::ヽ::::､:::::::::::::::::::::ヽ、
　きっと事情を聞いちゃいけないんですね？」　　　　　　　i:::!:::i:::::!. ヾ　.、　　`　　　 l!i:::::::::::::'::::::::::::::ﾐ｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 'i::::l !i:::'､　｀　　　　　　　　! i:::::ｌ::::::::::::::::::::ヽ`ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'i::l　i;lヾ､. ＝=-　　　　　, ｲﾘ,:::iﾞﾃ､::::::::::::ミヾ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　';i　il 'i:ヽ 'ー　　　　,...:':　: i! ';:i'ｼ' ｀` ｰ-=:､ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!　!　'i:::'、　　 ,...:'::::::　　: ! // , ', -‐'''''ｰ､＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘ　`ｰヽ､::::::　　 ; ,'/／〃　　　　　｀　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀`ヽ､ //　〃　　　　　　　　　ヽ

　　　　　　　　　 _　､　　＿　　＿_　　,r　＿_
　　　　　　　 ,.ｨ´yヽﾉ）'´　　｀´　　｀'ゞ､ｲyヽ.ヽ､
　　　　　　 /　辷_ソ　　　　　　　　　　　辷ツ）　ヽ
　　　　 /l 　)）　ゞ=-'/　 l l　 l l　　､　（( ､ゝ=-' ﾍ
　　　　　/　l　'´ l　　 l l　l　l l l l l! l　ヽヽ｀､　ヽ　ﾍ
　　　　,'　 /!　　l　　 l l　l　l l l l l ll　､　ヽ l　l!　l', 　ﾍ
　　　　,'　 / l　　l　＿l l!（(　l l l l l´l｀l' ､　l l　l!　l.ﾍ　　ﾍ
. 　　 ,'　 ,'　.',.　 l´￣/示´｀ヽl从!ｨｮｮｭ､､l　l /lヽl　ヽ　ヽ　　　　「分かってるじゃない」
.　　　,'　 ,' 　 l　　l 　〉jY ﾘﾉソ　辷ツ' l!　'´　　ヽ　ヽ　　',
.　　　l 　 l　　ﾄ､　 !　ゝ-､ﾉ_ノ　' 　￣　!l　　 l　　　ヽ. ',　　',
　　　 ! 　 !　/　ﾍ　l.　ﾍ､（(　ｰ ‐ _　／ l　l　 l　　　　`ﾍ　　ﾍ　　　　　　＿＿
　　　 l 　 l /　　∧ ヽヽr‐｀z,ｨ'ｰ'´ﾉ`´〉.l　l　 l　ヽ　　ヽ　　ヽー‐‐ ' ´　　　｀ヽ､　＿＿
　　　 l 　 l'　　./　ﾍ　ヽヽヽ /〉ﾉヽ___`〉､ヽ､＿　ヽ　　ヽ　　＼＿, -‐-､ _, -‐ '´　　　｀ｰ- ､
　　　 l　　l 　 /　i´ ヽ　　ヽ_ノ〉__/｡l､ﾉ´ ゝ--､-､ヽヽ　　ヽ　　　＼__, -‐'´　_, -―､―――-､｀ヽ
.　　 /l　　l　./ r‐'‐t‐ヽ　　ヽ＞＜.l｡l r‐/`ｰ‐十ヽヽ　　　ヽ　　　＼ -‐ '´　　　　l　　　　　 lヽ　l
　　 l　l　　l /　ヽ　 /ヽヽ　　ヽー'`ｰ'´ノ　 l　/｀ｰ-､　ヽ　　￣ヽ　　　　｀ー――----､_　　 /　／
　　 l　l　　l'　 /ノ　 `/`/＼　　＼　ヽ〈ﾉ　　　　／､　　＼　　　＼　　　　　　＿, -―-､＼ /／
　　 l　l　　l　〈　　　ゝ /　､＼　　＼　ノ　／　 ´t‐‐'　　　＼　　　｀ー― ' ´　　　　　　ヽ　l'´

――――――――――――――――――――
　　くすり、と微笑む余裕が出来た雪華綺晶は
　　話の見えない彼の追求をさらりとかわす。
――――――――――――――――――――

656 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:54:01 ID:KHv/Msrg

四１６２．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　不満そうなエルが再び口を開く前に、時間がもったいないとコナタが行動を促した。
　　こういう時に彼女の固執しない気質は非常に頼もしい。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　 _＿＿__　　　　_
　　　｀ヽ､:_:.:.:.:.:｀ヽ,ィ´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:｀ヽ、
　　　　　　　｀＞: : : : : : : : :.:.:.:.:::.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::::.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀ヽ、
　　　　　／: :,ｨ': : : : :/ : : : : : .:|::.:.:::.:.:.:.:.:.:.:.:|:::::.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ﾍ
　　　　 /::;／/:.:.:.:.::::/:.::::::::/:.:.:/|:.:.::::.:.:.:.:.::|:.:|:::::.:.:. ﾍ: : : : ｀ヽ、.:.:.:.::ﾍ
　　　　　ｊ:;/　/:.:.:.:.::::/.:.:::::::/:.:.:/　 |:.::::::.:.:.:.:.:|:.:|ヽ､::::.:.ﾍ.:.:.: .: : ハ::.:.:.:.:ﾊ
　　　　´　/:.:.:.:.:.:::::|:.:::::::/::.::/ 　 |.:::ｉ|:.:.:.:.:.:|:.:|　＼::::.:ﾍ.:.:.:.::::.:.::ﾍ:.:.:.:.:}
　　　　　ｊ:.:.:.:.:.|:.::::|:.:::::::|:､/ 　　 |:::|:ｉ :.:.:.:.:|::|　　 Χ:::.|::.:.:ヽ､:::.::ﾍ:.:.::|
　　　　　 |:.:.:.:.:.|:.::::|.:::::::::|:.;|＼　 |::| |:.:.:.:.:.|:|　／　 |:.:.|.:.:.:.:.:.ﾍ:::::::ﾍ:::|
　　　　　　|:.:.:.::/|: ::::|:.:::::/|;/＿_ヽ､|:| ∨:::ヽ|ｊ／ _＿_.|:/.､.:.:.:.:.:.:.ﾍ::::.:ﾍ|
　　　　　 |:.:.::/　|:.::::|:::::ﾊ. }ﾃﾆ弍ｵ|:|　∨:.:.::|　ﾃﾆ弍ｵ7|:＼:.:.:.:.:.:..ﾄ､::ﾍ、
　　　　　　|:.:/ 　 |:.::::|/:::λi |ｏ:tｨ::;|`　　∨:::|　 |ｏ:tｨ::;| '|:::::::|＼:.:.:.|:::＼::〉
　　　　　　|:/　　ヽ､::::|.|::ﾊ､i込:沙　　　ヽ:|　 !込:沙　|:::::::|ﾉ::｀ヽ|::.:.:{｀　　　　「何でも良いから早く！
　　　　 i＾ヽ　　　ヽ:|ｊ::::::ｊ　　　　　　 ,　　　　　　 ’ |:ｉ::::.|:::::::::::.::.:.:.|　　　　　時間は無いんだよ！？」
　　　　　 |　,| 　　　 |::::::::l、　　　　　　　　　　 , ':|::|:::.:|:::::::::::::::.:.:|
　　　　ｊ.　| 　　　 |: ::::::|:ヽ、　　　 Δ　　　　ィ´:::::|::|::::.:|::::::::::::::.: :|
　　　　ｊ＾ヽ、.|/´ｊ　　 |:.::.::::|::|　｀＞‐ ｧ -- -‐ "/　　 |:'::::::.:|:::::::::::::::.:.:|
　　　/^ヽヽ_〉　/　　 |:.:.:.::::|::|ィ´　　 |　　　　 /　　　 |:::::::.:.:|`‐-､_:::.: :|
　　〈___,>-'´　　}　,-‐|:.:.:.:.:::|:|　　　 |-─‐-､/　　　 |:::::::.:.:| ,/ / ｀ヽ::|
　　　｀ヽ、　　 ,ﾉ / 　 |:.:.:.:.:::|:|　　　 |　　　 /　　　　　|::::::.:.:.|/ /　　 .ﾊ

　　　　　　／￣￣＼
.　　　　 _ノ,､＼_　　＼
　　　　 ( ●）（ ●）　　 |
　　　　　（__人__）　　　　 |
　　　　　(｀⌒ ´　　　　　|　　　　　　　　　　　　　　「よし………！
　　　　　{　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾌﾗｲﾄ
　　　　　　{ 　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　俺が囮になる、雪華綺晶は飛行の魔法で上空へ！
　　　　　　ヾ　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　エルとコナタは遠距離から撹乱してくれ！」
　　　　　　ｿｇﾍ二ﾆ=7⌒￣"⌒￣〆"⌒ﾆつ
　　　　　 ∧ii/　oィ/"　　〃　　（乙ﾉ≠＾ｿﾉ
　　　　　/ .|/／＝ゝー─～ﾞ─‐ﾞ～'´
　　　　 l 　|｡　　　｀~/
　　　　 /　|｡　　　　/
　　　 /ｿ　|｡　　　（
　　 / ﾘ∠＼＿＿__ﾆゝ

―――――――――――――――――――――――――――――――
　　改めて指示を出したやらない夫にも、らしさが戻りつつあるのを見て、
―――――――――――――――――――――――――――――――

657 名前なんて無いだろ 2011/05/08(日) 21:54:33 ID:MrCjYh5Q

ない夫パーティーが正常運転に戻ったようです

658 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:55:00 ID:KHv/Msrg

四１６３．
―――――――――――――――――――――
　　三人の返事が一つになった時、
　　五人目を取り戻すための戦いが幕を開ける。
―――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　,, -‐'''″￣｀ミ`{.{@yiゝゝ
　　 _,,,,i=η／　　　　　　　ヾ､`ヾ､)) l　｀'i
　 ,//,i<迴'j　　　i　　　　,　ゝ＼. (( .i i　 !
　 l l　/ //　i　i 7 .i　　　ヽ,ヽヽ i i　l l ﾊ　｀!
　 l i　 / i　l l　l .i| |　　 i i　i　,ﾊ　il　i i ,ヽ　!
　 l i　i l ,　l. !　|i|i　l　i i l i　l l　ﾊ7i　i l i ゝ,.｀'i
　 ,i i l l　!　i ヾ i　l ＼i i lﾊi i i l　ﾉl　| i l　 .l　}
. // /i|　| i | i l_.,,((、ii､ |il! .だ｀｀'i.7　l l|　 .'y l
//,'´　i＼＼ヾiFｯﾐ''ｼi　　弋__沙7　//i　./ ./
イ　.,/′ヽゞゞ≦汗彡'　 ,　　　.//　li　| / /
　 /,,_　　 }li ゝ､i,　)) 　､ __ﾌ　lil　.li l i ,l .{
　l　　　　7 i! !i)..ゝ．.,_. 　　,.／il　 il　＼＼＼
　　　　ノ i/ //-‐'′κ,｀"-　>ヾ　! >.-‐'ゝゝ＼
　　　/''"　~´ ,/ | k>っ>b, ,,.,ciyi)-ゝ　　　＼ヾ
　　 7ζ　　_ / l　ξl lゝ､ . ／l .!　i l　　　　　iゝ｀l

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　人人人人人
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜　　　　　　　＞
　　　　　　　　　　　　　＼ー-- ､,,_ー=ミ‐-..､　　　　　　　＜　　了解！　＞
　　　　　　　　　　　　＿＿＿ﾐ::::::::::::::::｀¨ミヽ､::::::ヽ.　　　　　＜　　　　　　　＞
　　　　　　　　　　＜:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::::ヽ　　　　　　Ｙ`Ｙ`Ｙ`Ｙ`Ｙ`
　　　　　　　　　ヽ､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾄ､　　　　　　　　　　　　　／: : : :／ : : : : : : i: : : : : :ヽ : : : : ｰ､ : : ＼
　　　　　　　ー=ﾆ､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::j::ﾊ　　　　　　　　　　　 /: : : ／ : : : : : : : ,ｲ : : : : : : :l: : : : : : : ＼- ､:＼
　　　　　 --─=＝ﾆ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ヾミ:::::::::::}　　　　　 .　　　　 /: : : / : /: : : : : : / |: : : : : :| : |､: : : : : : : : ＼＼
　　　　　　　 ,,ｨ彡:::::／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::彡ｲﾊ::く　　　　　　　　　 .' : : :/ : /: : : : : : /　ｖ : : : : l : |斗-: : ヽ: : : : ﾍ
　　　　　　／::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::l::::::::',　　　　　　　　　 |: : :/ : /| : : :― ｘ　　 ∨: : :∧ |　∨: : :ﾊ: : : : :ﾊ
　　　　／---─ｧ':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／::::::::::::／:::ﾘ:::::::}ﾊ　　　　　　　　　|: :/ : /: | : : : : /　｀　　|: : :/　j/-　∨: : :l: : : : : :|
　　　　　／/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::イ:::ﾂ<彡'/:::;イ::::::::::l:::| 　　　　　　 r┴､/:ヽ| : : : / 　　　　|: :/　示旡ｱV : :|: :|ヽ: : |
　　　　　　　　/::::ｨ::::::::::::::::::::::::::,ｨ/ 　¨''=ｲ _,ｲ:::ｲﾃ ::::::::::ハj　　　　　　　　　|　　| : :│: : /|.　　　　 | / 　ﾄ::爿/ ハ: :|: :|　',: :|
　　　　　　 _,,ｲ／/:::::::::::::::::::::ｲ/ |　　　　　ノ　|¨ .::::::ｲ/　　　　　　　　　　　'vｰく ,ｘ┤: / :|三≧x　ｊ/　　込;ﾘ　{ : | ∧ |　 ∨
　　　　　　 ∠ イ:::::::::ｨ::/ .|　　　　　　､ _｣ｲ:／.j'　　　　　　　　／　　ヽ. | /: :│ ,／　　　 ' 　　 .:・} : |/　i/
　　　　　　　　　　/ｲ:／ .|ｲ　　＼　　　‐--- ／|:/　　　　　　　　　　　　 |　　／⌒}:Ⅵ : :ﾍ:.:.:. 　　ー'ｰr' 　／: : |
　　　　　　　 __ ｲ　　 j　　　　　＼　　ﾞﾞﾞ／　.ｿ　　　　　　　　　　　　 {　　　／´}_ﾑ: : :≧ｒ､ .. _ ｰ ' .. ＜/: : : |
　　　　　　　　 /＼　　　　　　　　／ヽ- '　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　／　}ﾍ: : ＼＼　厂}ヽ._/ | : : : |
　　　　　　　／　　ヽ､　　　　　_ ｲ　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　＼　 __／　＼: : ＼＼x-┴くヽ| : : :.′
　　　　　／　　　　　　ヽ､　　Y　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 /ヽ　　＼ : ヽ＼　 | 　|: : :/

659 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:56:00 ID:KHv/Msrg

四１６４．

　　　＼＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿_
　　　　　＼＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　＼
.　　　　　　＼＼　　　　　　　　　　　　　 |　＼　／　|
　　　　　　　＼＼　　　　　　　　　　　 | (●　(●) |,,.____
　　　　　　　　　＼＼　　　　　　　　　　 |　 (._,､_,)　jヾ／::::ヽ､,,,　　　　　　ヽ人_从人__从_从人__从人_人_从人_人_从从人__ﾉ
.　　　　　　　　　　＼＼　　　　　　　　　　 | 　{:::::::}　ム/:::::::::::∨/｀ゝｰ....､＜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞
　　　　　　　　　　　＼＼　　　　　　　　　　ヽ、￣／/´::::::::::::::::j/／::::::::::＜　　聞いてくれキル夫！俺はお前を助けたい！　＞
　　　　　　　　　　　　　　＼＼_,∠>　　　　　　　｀/:::::::l!:::::::ヽ::ヾ::!;;;;;;;;;;;;;;;;;;＜　　文句は後でいくらでも受け付ける！　　　　　　＞
　　　　　　　　　　　　　　　　 ,>X;,;く、　　　　　 /:::::::::j::::::::::::!:::::∧ノ´　　　　＜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞
　　　　　　　　　　　　　 <;シべマ;ゝ、　　　　　ム-＝＝￢､ｊ;;;;/　　　　　　　　Y⌒YW⌒Y⌒WW⌒⌒YW⌒Y⌒WY⌒Y⌒WY⌒Y
　　　　　　　　　　　　　　　｀マ;;ゝ、r― ､　 k:ノ:⌒:ヽ::/;;;く
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀マ';}　ﾚ　ヽく:::::::::::::::::::!;;;;;;<
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `>ｰ/　/　ヾヽ:::::::::::j;;;;;;;;!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　く__ ヘノ__ノ }｝:｝::::／L;;;;;（
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ<>く;j::j／::ヽ　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ´::::::::／::j;;ヽ:::｀＼_ノ::::ゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　く:::::::::::／:::::人;;:::::::::::::::／＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::＼::::::::::／;;;;ﾍ;;:::::::／::::::::::::ﾍ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::::ヽ／;;;;;;;;;;;;;ヽ∠:::::::::::::::::::::ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::＞"´　　　　｀ヾ;:::::::::::::::::::::ﾍ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::::::::::::::::::::::＞"´　　　　　　　　　＼:::::::::::::::::::ト.、
　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ;;;;;;;;::::::::::::／　　　　　　　　　　　　　＼:::::::::::::j;;;;｀ゝ、
　　　　　　　　　　　　 /;;;;;;;;;;::::::::j/　　　　　　　　　　　　　　｀ﾞ＜;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀ヽ
　　　　　　　　　　　 /::::::::::::::::／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀`ヾ､;;;;;;;;;;;ﾍ
　　　　　　　　　　 /::::::::::::::／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨;;;;;;;;;ﾍ
　　　　　　　　　　 /:::::::::::::::/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｝;;;;;;;;;;;;;;＼
　　　　　　　　　　 /::::::::::::::::/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀`￢j三三ｒ､
　　　　　　　　　　　/::::::::::::::::::l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ三三≧ｒ、
　　　　　　　 /:::::::::::::::::::::l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀`＝ｰ"´
　　　　　　　　　ム;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;j
　　　　　　 ,ｨｊ|三彡/
　　　　 ,､イ三三三!ｊ
　　　 ,ｲ三三三彡≠
　　　ヾ≡≡＝'''"´

―――――――――――――――――――――――――
　　三〇メートルほど歩を進めての宣言。
　　全ては命あっての物種だ、と言う英雄候補と―――
―――――――――――――――――――――――――

660 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:57:00 ID:KHv/Msrg

四１６５．
――――――――――――――――――――――――――
　　感情も感慨もなくただ、冷たく無機質に
　　圏内に踏み込んだ存在を排除せんとする魔導兵の内、
――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　|| .|.|
　　　　　　　　　| |.| .|　　　　　 |＼　　　　　　　　 ∧
　　　|ヽ　　　　||.| | | |.　　　　　＼＼　　　　　 /∨
　　　|　`,　　 | | | | | |　　　　　　＼＼　　　　 /∨
　　　l　　`､／　! |j　|j　　　　　　　　＼|　　　 /∨
　　　l　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　 /　/
　|` ,/　 ,､／|　 |　　　　　　　　　　　　　　　　/　/
　|　 .,／　　 |　 |　　　　　　　　　　　　 /　/
　＼＼　　 |　 !　　　　　　　　　　　／　,/ 　 ,,r‐ ､
　　　＼ヽ, 　 |　|　　　　　　　　　　＜ _ ／　　|i! 　 j
..　　　　＼j 　 .| .|　　　　　　　　　　　　　　　　 |i!,. イ
',　　　　　　　　| .|.　　　　　　　　　　 fiヽ　　　　　ﾉ　.i
::', 　　　　　 | |　　　　　　　　 j i! ヽ　　　　 i　　 i
';::',　　　　　 | |.　　　　　　　　　　 r″　ヽ　　 l　　 .i
_';::',　　　　　　 {j　　　　　　　　　」　　　',　　 _|_　　 i
　';::',　　　　　　　　　　 _,　-‐f ￣￣ j　　f' ,fヽ　/./ヽ　 j!　　　　　　,,r‐‐‐‐‐‐､
　 ';::',　　　　　　　 r　´/ ⌒　ﾞ""¨￣.!　　', ヾ､く_7＿_V′　　　 __,rfi　「l ￣￣i',
　　';::',　　　　　／__　ノゝノィ"""¨ 7''ヽ　'　ヾ､ﾄ､¨　‐-r─ ‐ｧイ7i!:!　l l ‐‐‐‐i;',
　　 ';::',　　　　 }＿__! ' ´ ｀',　ヽ-_,イ　　ヽ ',　 iヾ!',　,.‐-j ,.ィ《_{77ゞ,!　l l　　　 l.',',　　　_＿_　_＿_　_＿_　_＿_　_＿_
　　　';::',　　　　ィ"´l|　,r,´ﾍヽ‐〈/　,!.　　　', ､　j　／__／ jィ"rfii{{ゞ､j　l l─‐─...',.',　　 |￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ |
　　　 ';::',　　i´＿　 i〈rﾜ"´ 　 /__/{　　　 /__　　/　 /. 'jｨ| ﾞ''i i〉イ´　 ,l_l〃/´:::::::;r′　.|　　コロセ……… 　　　 |
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　　　 fヽ,,..ハi､r-'‐''"ｰ'_`ヾ!　.〃　、｀_""¨¨´/　 /./　 lﾞi、　 l　! i　　　 ','r_-‐_彡r'　　￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
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　　　　 `ゞ亥ヌ'-‐…､!．-ｧゝ､　　　　 ′　 i　　i′ し _ィ　 “/^'rﾐ:i　 _i_ノ
　　　　　　ヽ　〉　　　　　/　ヾ″　　　　　 ___＿ｰ‐　´'^}　ノ)　ト=ヾ　ヽ
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　　　　　　ゝﾊ≦f＜i,　　 V　 ./　 ∧_　 l 　 l!「　ii.　　',V i>"'´　　　　､ヽヽi!
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　　　　　　　　　ヽ´ 　 /{_亡!fﾆｺt!',､　 ,,＞ミ.._/´ '7'..　　／,く> -i! ,fﾌ"ヽ',',i!. ﾘ
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣

661 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:58:00 ID:KHv/Msrg

四１６６．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　先手をとったのは魔導兵だった。
　　まだ距離は八十メートル以上離れていると言うのに、地響きを立てて右足が踏み込まれたのだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

　_＿_　_＿_　_＿_　_＿_　_
　|￣￣￣￣￣￣￣￣￣ |
　|　　爆……裂……….....|　　　│　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ>
　|_＿_　_＿_　_＿_　_＿_....|　　　││/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　＿＿＿＿＿ヾ_>
　￣￣￣￣￣￣￣￣￣　　　　││　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　 /＿＿＿　　 ./
　　　　　　　　　　　│　　　　　│││　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　　　　 / 　 /
　　　　　　　　　　││　　　　／,,,,,,,,,,,＿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　 /　　＼
　　　　　　　　　　││　　　/　　　　　　｀｀｀｀｀'''‐-,,,,__　　　　　　　　　　　　| 　　　　　　　 / 　/＼/^
　　　　　　　　　│││　 /　　　　　　　　　　　　　　｀'''‐-､　　　　　　　　　|　　│　　　　　　 ,/ 　/
　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀'''''-､　　　　　/　││　　　　　　/ 　/
　　　　　　　　　　　　　/,,,,---‐――――---､　　　　　　　　　　＼　　/　　││　　　　　 ,^--'　＿　ヾ>
　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　　　　　　`ｰ--､　　　　　　　　＼/.　　 │││　　　　　　　 /　 /　ヾ_>
　　　　　　,r'　　　　　　|　　　　　／　　　　　　　　　　＼　　　　　　　／─ヽ､　　　　　　　　 /　 /
　　　　ﾉl　　,》'　/　　　|　　　　　|　　　／　　／　　　　　＼　│　　/　　　　ﾞi　　　　　　　　　　 /　　＼
　　　　|/　　 |lﾚ　　│　ﾞi　　　　　ﾞi　　 |　　　|　　　／　　　││ /　　　　 |　　　　/ 　　　 / 　/＼　＼
　　　　　 '　　　 `││＼　　　　へ　　ﾞi　　　ﾞi　　|　　　／││ |　　Ο　　|　　　,/ 　　　 / 　/　 ´＼/^
　　　　　　　　　　││　　--‐'´　　`ｰ----,,, 、　　ﾞi　　|　││ │　　　　/　　／　　　　　/ 　/
　　　　　　　　　│││-‐'／ │／／　‐'´‐'´`ｰ----,,,　ﾞi　　　　　,r'　　　　　／＼　　　　^--'　　　　　　＿
　　　 ,r'l　　　　／／≡││／≡／／≡／／／≡／ｰﾉl　　,》'　/￣￣　　|　　 ,r'ﾉ　　　　＿＿＿　　/ 　/
　　　|/､　　　／´／／￣／ ││／／≡／／／≡／　／ |　 |/　　 |lﾚ　　　　　 | 　　　 /＿＿＿/　,/ 　/
　i　　　' 　,　i`ｰ-､　　　／│││　￣￣／ .＿￣　／ | 　|　　 '　　　 `　　　　　|　　　　　　　　　　 / 　/
　l|.　　､　　|　　　＼／／／／　／／／　／／　／　　i　.,|　　　,r'　　　　　　　　|　　 / 　　＿＿＿/ 　/
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　; 丶i:､　.　　ﾞi　　　ﾞi　　　|　　　　 |　　　　　|　　　　　　　|　　'　　　 `　　　　　|　.　　　　´.　 ,',i
i　, ﾉ ;丶,r'　　＼　＼　　ﾞi 　　　 |　　　　 |　　　　　　　|　　　　　____....__‐‐''ﾞ^´　 /l' 　|　　　,:'. ,|
　l: 　　.＼　 .　ﾉ　　 ^ヽ　|;､　ﾉ　　 ^ヽ､,.,ゝλ　ﾉ　　 ^ヽ､,.,ゝλ　ﾉ　　 ^ヽ､,.,ゝλ,v,v,v ,r'i´　ﾉi　　/ ´ ,i
､　,.　　　､ヽ＼r,∧,､.　ﾉl,ﾉ　＼r,∧,､.　ﾉl,/ .ﾚゝ,＼r,∧,､.　ﾉl,/ .ﾚ＼r,∧,､.　ﾉl,/ .ﾚゝ,／ゝ,／／ .,　,:ゝ､　, . 　;,i

662 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 21:59:00 ID:KHv/Msrg

四１６７．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　アンマンで一度見ていたせいもあって、
　　それが円周状に衝撃波を吹き上がらせる棍技だと感づいたエルが警告を発すが―――
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , '::::::::〃:::::::::::.i::::::::ヽヽ:ヽ ::::::､::::::::::::::::':::､､,__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_ｨ:::::::::〃::::::::::::l!::!:::::::::::＼ヽヽ:::::ヽ:::::::::::::::::::t=ｰ-.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ｨｼ='7:::〃::::ｨ''|!i:::!i::,::::::､::::::ヽ::::::':,',､;,:::::::::::::::::::::ﾝｯy､,_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´"　　/::::::/:::/,.-ｬj:::l 'i!';::::i＼::::ヽ:::::::',',',i!::::::::::::::f"''''＝=-''
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.ｼｨ::::::::ｿ !. (::)ﾘ!　ﾍ',:::l,,､ﾇ;:::ヽ::::::',',',':::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃ｼi::::::::ｌ　｀""゛　　` 'ﾘ (:::)ﾔ､:ヽ:::!:','::::::::::::::::',
　 |＼　　　　 /＼　　　　　/ |　　　／/　 /　　　　　 '　'　.ｌ::::::::l　　　　　　ヾ'''''" Y:::::::::::::!::::::::::::::::',
＿|　＼/＼/　　＼／＼/　|∧／　/／/　　　　　　　　　i::/ｌ::::!　　　ヽ　、　　　　ｌ:::::::::::::::'::::::::ｯ::::::',
＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　 l/　!:::'､　ｧ､.　　　　　　　 !:::::::::::::::::ｫ:::::!';::::::',
∠　　爆裂陣です！下がって！！　＞　　　.　　　　 ,!. 　|/ ';､. ヾﾐ.`j 　　　 ,イ::ｧ:::::::::::::::i '､::',ﾔ::::､
／＿　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＼　　　　　　　　　　　" . ';ヽ　　　　　,､y'´ /ｼｌ::::::ヽ:::::ｌ　ヾ;　゛丶
￣　/　／∨|　/Ｗ＼　　/＼|＼　 .|　￣　　　　　　　　　　　　　'|!`=tｰ:::'"／　 /'　ﾊ::;::::il!';::!
　　/／　　　|/　　　＼/　　　＼|　　　　　　.　　　　　　　　　　　　'i::: '　　　　　　　ﾘｿヽ'ﾘ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!'i　　　j　　　　 ~ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘ､　／　 ―ー '''"""f,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / _冫'''~ 　　　　　　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ ´　　 ,､　　　　￣~ ヽ　 'i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l!~　　　　/　　　　　　　　ヽ.　!

　　　　　　　　　　　　　　　　＿_
　　　　　．-――z^＾7￣｀((⌒ ．_
　　　　／　　　／　　　}(勾},ﾄ､　　 `ｰ　．_
　　／　　　／　　　　 ((乂ミ=　　　　　　ヾﾐ　．　　 _
　／　　　　　　　　　 _)} 　．-‐　　　　　　　λ--__))
´ 　　／7　／　　　　　　／　　 -～＿_　　　　ゞ勾ハ
　　／　/／　　／　　　　　／　　　　((⌒'　/　　　 Ⅵ　ｉ
＿ノ　　'　　　　　　　イ　／　　　／／｀).l　/!　/　,　 Ⅶ !
.　　／　　　　　　　　/　　／／l＼レ'/ / } / //　　:.　!
￣´　　　　　　　 {./　／／ r=＝＞ﾐ / // 〃ﾙ　　ｉ　l
　　　　／　　　　／ｽ／／{,// 7rｯそ》}　八､/　} l 　}　|
　　／　　　　 ∠ゝ､ﾝ　　　 _《　ゞﾄ=ン　γ=ミ　/ ﾘ ./ ノ!　　　「せ………戦技まで使うの！？」
　／　　　　／__.У::. 　　 ((⌒ｰv_ｿ"　　辷ｿⅣ／ノ　　l|
　　　　　／　ﾄ､_ ハ::.　　　　　　　　､　ﾊ　／|　　 l|
＿　　／　　 {　￣ﾄ､::.　　　　, r‐=z 、 ′/ ／ｉ　l|　　 l!
7} `ー- ．＿ノ　　ﾑ丶:. 　　 l　　ヽ:/ 　ｲ:. 　 |　l|　　 l!
/　　　　　　　　　 {__ヽ、ヽ:. 　 `ゝ=ｧ’ イ　!:.　　|　l|r―-lﾄ､
i　　　　　　　　　　　／}　　≧x.._ ィ～zﾘ √￣￣〃　　　　⌒ヽ‐z

663 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 22:00:00 ID:KHv/Msrg

四１６８．
―――――――――――――――――――――――――――――――
　　エルのベヒモス召喚も、雪華綺晶の防御魔法も間に合わず、
　　全方位に爆散した土砂混じりの衝撃波に四人は飲み込まれてしまう。
―――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　 .　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:;:.,':;":..,,,
　　　　　　　　　　　　　　ヾ>　　　　　　　　　　　　　　　　/＼
　　　　　　　　　＿＿＿＿＿ヾ_,ゝ __,,:::=====:::,,　　./^＼/　 / 　 _　　"　';:.　:,;':.:
　　　　　　;"　/＿＿＿　　 ./ 　　　 .　　｀　´　´､ゝ'' ＼　　 /　　/,/
　　　　:　;　　　　　　　/　 /　　..‐´　　　ﾞ　　　　　　　/　　＼　　　＿　　;　:.:,;'
　　　　　　.;,..::,:'" 　　 /　　＼　　　　　　　　　　　./ 　/＼　＼　/_,/
　　　::,;''　,.,..; 　　　　/ 　/＼/^　　　　　　　　　　　　/　 /　 /　`.　　　　"';:;　:.:,
　　　　　　　　　　; ./ 　/　,;　　　　　　　　　　　＼/ 　/　 /　;.　　　　　;:; :.:,
　　　　　　　　　/ / 　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　 / 　ｷ　　i^＼
　　　　　　　　 ;ﾞ　^--'　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　^--'　　　ﾞ;　　＼, ＼
　';:.:,;'　　　　 .;　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ;.　／丶, .ヽ
　;　:.:,;'　　　　i;　　　　　　　　　　、,.　　　　　　　　　　;i　　　　　　.i￣　／--;"´
:.　:;:; 　　　　/i|lli;　i　. .;,　､　　　　,.,.... {il:::ii::li},.,..., 　　\　　　` 　 ,i|;iil￣
　　　;:;:.:,　　　 /ﾞ||lii|li||,;,.il|i;,|il　.:." 　i'i l:]::::::[:l i'i　　.;,,　.i|i,..,.i|||l´i,.il|lヽ　,　　　;:..,;::.''"
..,.,;　　　　　　　｀;;　":':....:...　.:.　　 i^i,,[>-<],,i^i　　,,::　..:.::.:..;,.. .从　　::.,　　;:;..,
　　"　';:.　:,;':.:　　　　　　　'　　 ". ..: . ,く,_,ｨ,__ゝ..: . ..:;"　　　　　..,.,;;:　.:':.,,"'"
　　　　　　　　　　　　　　'　　　　　　...(,,_ﾉ　ヽ_,,)...
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 :::::::::::　　　:::::::::::　　　　　　 _＿_　_＿_　＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　.::::::::::::::. 　　 .:::::::::::::.　　　　　|￣￣￣￣￣ |
　　　　　　　　　　　　　　　　　.::::::::::::::::::::...:..:...:::::::::::::::::::.　　　 |　陣………...|
　　　　　　　　　　　　　　　　..::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..　　　|_＿_　_＿_　_..|
　　　　　　　　　　　　　　　..::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.　　￣￣￣￣￣￣

664 名前なんて無いだろ 2011/05/08(日) 22:00:05 ID:NBSZeGu2

誰一人として、欠けることがありませんように・・・

666 名前なんて無いだろ 2011/05/08(日) 22:01:22 ID:MrCjYh5Q

辛うじて接近できてもコイツ絶対隠し腕もってるだろ

665 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 22:01:00 ID:KHv/Msrg

四１６９．

┌────────────┐
│　　大地の祭壇―――　　　...│
└────────────┘

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨………

　　　　　　　　 ,．=三三三三: ＼
　　　　　　　　　／三三三三三三三ヽ
.　　　　　　　 //三三三三三三三三:ヽ＼、
　　　　　　　 //三三三三三三三三三:ヾ三ﾄ､
　　　　　　　ﾊ三三三三三三三三三三三三:ヾ:､
　　　　　　ﾊ三三三三三三三三三三三三三ﾂﾘ
　　　　　 i三三三三三三三三三三三三三/:/
　　　　　 |:三三三三三三三三三三三三:/:/
　　　　　 !:三三三三三三三三三三三:／:/
　　　　　　,!三三三三三三三三三三;:< :三{
　　　　　 /ｌ:三三三三三三三三:／　 / 三!
　　　　　ﾊ三三三三三i三三三/　　ｧ' :三:!　　　　　「む………
　　　　ﾊ三三l!三三三l!三三ﾊ＞- ' :三:シ
　　　 //:三://l:三三三:!l三三三ヾ/三／　　　　　　　もう来たのか」
　　　ﾊ三三/::i!:三三三:､ヾ三三三l三{
　　 .ﾊ三三'三!三三三ヾヽ:＼三三ﾄ､:i
　　ﾊ:三:/:三三三三三:＼ヾﾐ､三三｀ヽ
. 　ﾊ三:/:三三三三三三:｀ヽヾﾄ､＼三/
　　ﾊ三/:三三三三三三三三三三:∨{:i

―――――――――――――――――――――――――――――――――
　　大気を震わせる轟音が伝わってきたので、
　　魔方陣の中央に立っていた妖術師は下方で戦闘が始まった事を知った。
―――――――――――――――――――――――――――――――――

667 ショボン玉 ◆Shobon.2x. 2011/05/08(日) 22:02:01 ID:KHv/Msrg

四１７０．
――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　こちらも可能な限り急いだと言うのに、儀式完遂の前に到着するとは驚きだ。
　　やはりあの盗賊共とはひと味違う、と頭に入れておく必要がある。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　／　　 :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::　　　:::::::::ﾍ
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　　,/　 :::::ﾞ＜´:::::::::::::::;;;;;;;;;:::::;:;:;:;:;::::::::::::::::::::::::::::＼_＿}:::: 　　　　:::::::::::|　　　　　「予想より半日ほど早いな。
　　＼／::::::::::::::ﾊ　　|;;;;;;小.::::::::　＿_ ,.　　 ∠._,'　 /　　　　 :::::::::::::::/　　　　　つくづく面白い奴だ」
　　　　＼:::::::::::/::::::|　 |;;;;;;;i;;;;ゝ. 　　　　　　_,.r- !／　　　　　:::::::::::::廴,
　　　　 / :::::/::::::::::::|　|;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀ヽ.＿,. ／　:::::::::::::::::::::::::::::_,.;r=≠≦::::｀ヽ
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　　/::::::/ 　:::::::/.､-───-ﾄ､　　　　 ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::　::::::/
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　　いまだ魔法で変化していると言うのだろうか。

　　そんな風に魔法騎士の少年を認めるよう呟いた声は、
　　老人のしゃがれ声ではなかった―――
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