────　今にして思えば、あの電話と手紙が届いた頃には、

　　　　　　　　　　　　もう既に運命の歯車が回っていたのかも知れない。


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　　　 〈＼〉 ﾄ､__ 　.イ　 /　　　,斗‐――-　, 　 　　ﾏ`ー--У
　　　 〈＼〉　　｀マ＿ ノ 　 ／ 4k__)(__)(__) 2＼　 　 ヽ＿／
　　　 〈＼〉　 　 　 　f｢ 　 ' 5k__)　 ＿　　 (__).1　　　l|
　　　 〈＼〉　 　 　 　ｌ|　,' 6k__)´g㌢￣｀守。 　 　 　 l|　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　 〈＼〉　 　　 　 ||　l　k__)i {iii{<（_ _）>}iiｉ} 　 　; 　l|　　　　電話の相手は学生時代の親友、できる夫・ギルフォード。
　 　 f^YYYYYYY^ー||　li 7k__) ⅥiマニフiⅣ 　 　'　 l|　　　　この声を聞くのはもう、かれこれ５年ぶりになるだろうか。
　　〈 Уｰyｰ'ｰ'ｰ'ｰ'＾||　∨ k(__)､`定主亥〈＼　 ,' 　 l|　　　　できる夫は現在、ニューヨークで雑誌記者をやっている。
　　〈/ 　/ 　 　 　 　.l| 　 ヽ 8`ﾄ(__X__)＿　 〉 У　　 l|　　┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　〈 　 ﾄ､　 　 　 　 l|　　　　＜ 9　0　　 ＞'　　　　 ｌ|
　 　 ヽ　Y^ヽ　 　 　 l|　 　 　 　 ｀ ¨¨¨¨´ 　 　 　 　 ｌ|
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　　　　　　　 ヽ |　 ﾄ-仏
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　　 　 　　 , ' ￣￣￣￣ ｀ヽ
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　　　　 /　　　　　　　　 　 　　　ヽ
.　　　 /　 '´￣`　　 "￣`　　　　　ヽ　　　　　　　　　┌【できる夫・ギルフォード】
　　　 | 　 ( ⌒)　 　 ( ⌒)　 　 　 　 |　　　　　　　 　 │ 　『エンパイア・マガジン』社の雑誌記者。
　　　 i　　´""　　　　 ""゛　　 　 　 j　　　　 　 　 　 .│ 　学生時代はリバティタウンに住んでいた。
　　　 ゝ 　 　 　 '　　　　 　 　 　 ／　　　　　　　　　 └───────────────────────
.　　　　 ＼ 　 ' 二 ￣　　　　__, "
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　　　　　　　 /:/ /:::::入 　 　 ./::::::::::|""＼
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　　　　／/:::::|V∧::::::/　 ＼/::::::::::::::|::::::::::::::::::::::
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￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ 　 ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
　いやぁ、別に何かあったって訳じゃないんだけどさ。
　ただ……久しぶりに友の声を聞きたくなったってだけでね。
　これも一種のホームシックってやつかな？
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　　　　　　　　　　　　　　　 　 l　　　　　　　　　　　　　　冫.ー　く
　　　　　　　　　　　　　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　ﾉ!
　　　　　　　　　　　　　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　 ｀ー‐ f ｒ'
　　　　　　　　　　　　　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾉ'
　　　　　　　　　　　　　　　　　!　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /
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　　　　 /: : :　　　　　　　　　　 　 　 ＼
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　　　 |: : : ::;　　（　● ）　　　（　● ） .;::　|
　　　 |: : : : :　 　 ´"''"　 　 　 "''"´ 　 　 l
　 ,＿ ヽ___　　　　　　　　ゝ　　　　　　 ／＿_
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: : : :::| .|　|　/ 　) ｀)　　 　　　 　 ／: :.ﾍ : :: :: :: :: :: :＼＿_
　: :　|.ﾉ. ﾉ /　　⌒ヽ＿ 　_　 ,　´　|: : : :ﾍ: :: :: : : : : : : : .ハ
　: :: ::＼　　　　　　　　　`ト､　　　/: :､ : : ＼: :: :: : .i i: :/: ::ﾍ
　: :: :: :l: ｀ー┬-､　 　 　 |ii入　／|:: :: :＼／: : : : {. ﾚ /: :: : ﾍ
　 : :┐|: :: :: :: :＼）　 ７ ./iiii〈　 　 |: :: :: :: :＼: :: :: :Ｖ /: :: :: :: :}
　: :イ .|__/ ,へ/⌒＼　./iiiiiiii｝ 　　| : : : : : ::/: :: :: : Ｖ: :: :,ｲ: : :!
　イノ: : / /: :: :＼＿ ￣＼iiii｝ 　　|: ::|＼: :/----: : .| ／ノ: :: :|
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣　 　￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
　しかし、あれ程親父さんと同じ仕事だけはしたくないと言ってた君が、
　まさか刑事になってるとは思わなかったよ。
　やっぱきっかけは彼女の、みゆ……
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿__
　　　　　　l. 　ヽ　,　　彡!!!!!!ゞﾐ､　 　 /　　 '
　　　 　 　 ',　　 /　　　　|　　　 ヽ　　　　/
　　　　　　　ヽ　 ゝ ＿ ／＼ ＿ ﾉ 　 　 /
　　　　　　　　ヽ　　 ｀ ー―― ´　　 　∧__
　　　　　　　　　＼　　　　　 　 　 　 ／ / 〉::｀丶、
　　　　　　　　　／＼　　 　 　 　 ／ 　/ /::::::::::::::丶、
　　　　　　　 ／:::::l　　ー――‐ ´　 ／ /:::::::::::::::::::::::｀丶 _
　　　　　-‐::::::::::::::l　　　　　　　　／　 /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::

　　　　　　　　 　 　 　 ＿＿＿
　　　　　　　　　　　 ／　 　 　 ＼
　　　　　　　　 　 ／_,ﾉ　　　＼　 ＼
　　　 　 　 　　／　（ー） 　（ー）　　 ＼
　　 　 　 　 　 |　　　　　 ' 　　　　　 　 |　　　　　……ごめん、今のは失言だった、忘れてくれ。
　　　,'⌒　＿　＼ 　　⊂ﾆﾆ⊃　　　／
　　　ヽ＿ノ　　 ／　　　　　　　　　 ＼



　　 　 　 　　　＿＿＿_
　　 　 　　　／　　　　　＼
　　 　　　／　　⌒　　　⌒＼
　　 　 ／ 　　（● ） 　（＜）　＼　　　　　　ま、それはさておき。
　　 　 | 　　　　　　__´___　　　　|　　　　　　もしニューヨークに来る事があったら、是非僕の所にも寄ってみてくれよ。
　　　　＼ 　　 　 　`ー'´ 　　／　　　　　　　歓迎するからさ。
　　 　 　 〉　　　　　　 　 ⌒ヽ
.　　　　　|　　 　　　　　　 ､　 ＼＿
　　　　　 !　　　　　　　　　 ヽ 　 ＿⌒)

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,. ～
　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿　　　　　　　　　　　　 ノ
　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　　 ヽ　　　　　　.:;. ~
　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　 ,. _ >,r‐, __　/ /
　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　__,.ノく( ＼.＼＼７ ﾑ
　　　　　　　　　　　　　 |　　　　 ｀ﾆ=ﾂﾍ,＼ ＼＼｀ 〈 ｀､
　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　 r　　 ﾉ､_ )､ ヽ ヽ ヽ ﾄ、
　　　　　　　　　　 　 　 |　 　 　 　 ｀-ｰ´　 丿Y　｀　｀ 　 v
　　　　　　　 　 　 　 　 |　 } 　 　 　 　 ´ ¨ |　∧ 　 　 　　'､
　　　　 　 　 　 　 　 　 | 　 '丶　　 　 　 　 |　　∧　　　　 _.ﾄ､__　　　　　　　　『　────　待ってるよ、やらない夫。　』
　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　 ＼ ｀ - 、 __＿j丿　　　ヽ　／＞ｰ弌┐
　　　　　　　　　　　　　r二ニ＝=- 、,__ _「　　　　　 7／ : : : : : : ',
　　　　　　　　　　　　/ : : : : : :＞、　λ::;;}＞- 、　　〈 : : : : : : : :.∧
　　　　　 　 　 　 　 /＿／.: : : : : .＼{ ヽ:::ヽ :.＼＞ ､_∨ : : : : : : :.∧
　　　　　　　　　 ／_____、: : : : : : : : . ＼ヽ:::::ヽ :.＼: :.:.∧ : : : : : : : :∧
　　　　　　　　／ : : : : : : : : : : : : : : : : . ＼ヽ::::ヽ : :＼:..∧ : : : : : : : :∧
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　　　　　　У : : : : .:.:.:.: : : : .:.:.: : : :.:.:.:. : : : : : : ｀､::::::: : : ',::.∨ : : : : .:.:.: :∧
　　　　／´￣¨¨. : . .＼ : .:.:.:.:.:. ﾉ: :.:.:.:.:. : : : : : : ∧::::::i : :|:::ﾊ : : : : : :.:.:.:.:.: }
　　／ : : : : : : : : : : :.＼::.} .:.:.∠: : .:.:.:.:.:.:.:. : : : : : ∧::::} : :|.:::::.. : : : :.:.:.:.:.:. /
／ : : : : : : : :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨八: : :.:.:.:.:.:.:.:. : : : : : : : : Λ::i : :|--＜.:.:.:.:.:.:. ／

┌【ヤラナイ・Ｏ・ハロルド】
｜通称「やらない夫」。本編の主人公。
｜ニューヨークから遠く離れた田舎町・リバティタウンの敏腕刑事。
｜できる夫とは学生時代の親友同士だった。
└─────────────────────────────

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　 |　|ヽノ|　| f 　　|　 f 　　 | . | 　　 |. f 　　|　.[　].[　] f 　　|　 f 　　 |:: :::::: ::::::::::::::: ::: : ::::::::.:...
　 |　|.　.｜ |　二]｜　| |￣| |　| |￣| |　二]｜　| |　| |　.二]｜　| |￣| | :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　[＿]　 [＿]（ Ｏ　ヽ [__]. [__] [__]. [__]（ Ｏ　ヽ .Ｌ_]Ｌ_]（ Ｏ　ヽ [__]. [__]＿＿＿:::::::::::::::::: :::: :::::::...
　　　　　::::: ::: :: ￣￣　　　　　　　　　　　￣￣　　　　 　 ￣￣:: :: ::: :+:|lll| |lll|lllllllllllllllllll!::::::::::::::::::::::
　　　　 ::: :: :: ::: ::::: ::::[￣￣丶o:::::::: ::: :: : :干::::::::::::: :::: :::::: ::::: :::::::: :: :: :|ﾛ| |ﾛ||||||||||||||||:::::::: :::::::: :::::::
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　　::: : : ::: :::: ::: :::: :::::::.|　.￣f''　／三ヽ ／二￣] |　|　|　.] [￣| ／三ヽ.f .__　__ .|　llllllll!:::::::::::: ::::::::::::
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::: : : :: :: :::::: :::: :::: :::::: :[＿] .[＿]ヽ二７　ヽ二　.|　ヽ 二＿] [＿] ヽ二７ [__][__][__] |||||||:::::::::::: ::::::::::::
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:: :: : :三|三::: ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━.|||||||┌┌┌┌ |:::::::
: : ＿＿i＿＿　　闇　　に　　翔　　ぶ　　薔　　薇　　乙　　女　　た　　ち　　 |||||||┌┌┌┌ |:::::::
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　 |Ll Ll Ll |ii|i: :+:::: o:: | 「 「 「 「 「 「 「 「i |ii| ﾛﾛﾛ|o :|┌┌┌┌┌┌┌|￣￣￣|||||┌┌┌┌ |:::::::
同|Ll Ll Ll |ii|ユ+: :o :o| 「 「 「 「 「 「 「 「i |ii| ﾛﾛﾛ|Ｌ |┌┌┌┌|￣￣￣￣| iエ!i|||||┌┌┌┌ |:::::::
廿干 Ll Ll |ii|_＿_ f!f!| | 「 「 「 「 「 「 「 「i |ii| ﾛﾛﾛ|Ｌ |┌┌┌┌|i ﾛ ﾛ ﾛ ﾛ | iエ!i|||||┌┌┌┌ |:::::::
|￣￣￣￣￣| ｺ | f!f!| | 「 「 「 「 「 「 「 「i |ii| ﾛﾛﾛ|Ｌ|ii￣￣￣￣￣| ﾛ ﾛ ﾛ | iエ|三三三三|i┌ |:::::::
| iエ! iエ! iエi.| ｺ | f!f!| | 「 「 「 「 「 「 「 「i |ii| ﾛﾛﾛ|Ｌ|ii　田田田田 | ﾛ ﾛ ﾛ | iエ| 　 　　 　 |l┌ |:::::::
| iエ! iエ! iエi.| ｺ | f!f!|合 |￣::::: :o: :::￣￣￣￣￣从ii　田田田田 | ﾛ ﾛ ﾛ |Hl‐|合　　　　 |l┌ |:::::::
| iエ! iエ! iエi.| ｺ |三三三| ロ ロ ロ ロ ロ ロ ロ ﾐ;;:;:ﾐ;从　　　門　| ﾛ ﾛ ﾛ |三三三三|￣￣￣￣|

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ _ノ　　　　.＼　　 　 　 _,,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　（ ●）　（●） |.　 　 　 ｌ;ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　|　　 （__人__）　 |　　＿,_,|,|_,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　｀ ⌒´　　|,　ト-=y 　丶
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 |　　　　　　 　 }　 ヽ `ｉ,￣‐^ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 ヽ　　　　　 　 }　　　ヾ~　`　 ｉ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　　　　ノ　_　　　ヽ、　　 ;ｉ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,＿,ｉ　　　　　y,ｿﾄ,,__　　ヽ、　　 ;ｉ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,/r-'"j　　／ ／　ｉｉ,　`ヽ､-x,,゜r　　;ｉ
　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,／'/__.L、　　　　／ヾ、"ｉ　　　`ヽ　`;ｉ　　ｉ,
　　　　　　　　　　　　　　　,／　 /_ｉｰﾍ,ヽ､ , ／ｉ"　ヽ、 ｉ　　　　 `、'ｉ　　 ｉヽ、
　　　　　　　　　　　　　　_,） ヽ　"　　　ﾈﾒ、_ｉｉ"~　　　　　　　　＿Yrｉ　　　ｌ, ヽ、
　　　　　　　　　　　　 _,,,>t 、ヾ、　　　　ゞ;;/　　　　　　　　　／　 ,￢　　　 V⌒ｌ
　　　　　　　　　　　 ,y`;,,__　　 ,ｉ　　　　 /ｉｉ'　　　　　　　　　／　r-／|　　　　ｌ　ｌ
　　　　　　　　　_／^,,,　　ヘ　　ｌ　　　 /ｉｉｌ　　　　　　　　／　 ｌ"v'　ｙ　　　　 }　 ｌ
　　　　　　v=4⌒ヽ、　j　　--,,,ｉf　　　/ｉｉｉ|　　　　　　　,,　　〈-ﾍ_,、 <、　　　 /　 ｉ|
┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　友からの懐かしい電話────。
　　唐突ではあったが、それだけに嬉しいハプニングでもあった。
　　しかしこの電話が理由だけでわざわざニューヨークに出向くほど俺は暇じゃない。
┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛





　　　　　　　|￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣|
　　　　　　　|　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |
　　　　　　　|　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |
　　　　　　 /　　　￣￣￣￣　　 　　　/＿＿＿__　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　 　 /　　 　 　 　 　 　 　 　 　 /ヽ＿＿／/　　　実は今の電話が来る少し前に、
　　　　　/　 　 　 　　　　　　　　 　 /　　/　　　/　　　 奇しくも同じニューヨークから一通の手紙が届いた。
　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　/　　/　　　/
　　　　/　　　＿＿＿＿　　　 　 /　　/　　　/　　　　　差出人は『サラ・水銀燈・ローゼン』。
　　 ／　　　　　　　　　　　　　／　　/　　　/　　　　　 .かつてリバティタウンで起こった殺人事件を
　／　　　　　　　　　　　　　／ 　 　/　　　/　　　　　　捜査している時に知り合った女だ。
　￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣/　　　/　　　/　　　　 ┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ￣￣￣￣￣

　　 　 　 　 　 　 　 　 ＿＿＿_　 ＿＿__
　　　　　　　,. -‐'ニ￣　　　　　￣>､:::::::.｀ー┐､__
　　　　 　／ ‐'￣　　　　　　　　　 ﾇ、 　　:.:.ヾ>、 ＼
　　 　 ／ ／　 ／　　,／　 　 /　 ,' ﾀ、.....　　ヾﾀ、　 ＼
　　　　　/　 ／ ／ ／　 　 ／!　/ 　 ｔ〉:::::::::::::::::iｽ　 　　ヽ、
　　　 　 i. 〃.//　/　/ /／/　 / /! / ﾃ>、::::::::::::I>,　　　　ヽ、
　　　 　 ﾚ'′ﾚ' ./_,ノ,ィｰ‐/―-　/,.ｲ　 ヾ!:::::::::::::::i_〕　　　　　i
　　　　　　　　∨／ .f弍''≒ｧ-ノ-　/　＿＞::::::::ノ、 　 　 :..　！
　　　　 　 ｒ-―'´　　込ﾝ= '′　 //　〔 r‐勹´∧! ヾヽ　 　l:.　ｉ|
　　　　　　〉　　　　　　　　　　／　　 :::>ヽノ /　| '、ヾヽ　　l:.　|
　 　 　 　 ヽ、　　　　 　 _,.- "　　,.-‐'´ヽ__,/　｜ i=='-'　　 ｌ:.:.|
　　　 　 　 { ｀　　　ｰ=ﾆ二-―'￣〉:. ;:　 / l　　 ! 「　.:. .　　 ヽ:.ヽ　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
.　　　 　 　 〉　　　　 　 　 . : :.:.:.:/　/ 　,' /i|　　| |　 .:.:. .　　　　　　　　　サラ・ローゼン……
　　　　　　 |　　　　　　 . . .:.:..:.:./　/　　| l　ｌ　　| | 　.:.:.:. .　　　　　　　　　俺と彼女は特別な関係でも何でもない。
　　　　　　 ｀ヽ、 　 . : : : . .:.:.:./　/　 　.| |　ｉ 　 ヽヽ、.:.:.:. . ,.-―
　　　　　　　 　 ｀ ―- ､ ..:.:.:./　/　　 ,/| |　i 　 　 ヽ_>:.:.／　　　　　　　　昔解決した殺人事件の証人……ただそれだけの繋がりだ。
　　　　　　　　　　　　　,|.:.:.:/　/　　 メ ヽ!　i　　 ／　レ'　　　　　　　　　　事実、手紙をよこすまでは名前すら思い出さなかった。
　　　 　 　 　 　 　 　 / |.::/ ,〃　／宀ヽ.:.:. i 　/　　　 　 ＿___ _　　 ┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　 　 　 　 　 　 ／ /７'´　／´.:.:.:.:.:.:_〉-―く__　 ,. =≠三ヲ
　　　　　　　 　 .／ ／ /　／.:.:.:.,.‐´￣.: :.:.:.:.: :.. ｀ヾ.三三く 　ﾆ _
　　　　 　 _, -'ﾆ -'´,／／.:.:.:.,ィ´　.: :.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : :.　ヽ三三三 _ _
　　　　　　￣　 -='　''´ゝソブ　 ..: :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.. : : .　ヽ,三三三
　　　　　　 　 　 　 　 / ん/　　.: : .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : :.　i､三三 ‐
　　　　　　 　 　 　 , / /Z/　 ..: : : :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : .　 i､三三三
　　　　　　 　 　 ／/ <ｿ/　 ..: : : :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : :.　 i､三 三



　　　　　　　|￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣|
　　　　　　　|　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |
　　　　　　　|　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |
　　　　　　 /　　　￣￣￣￣　　 　　　/＿＿＿__　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　 　 /　　 　 　 　 　 　 　 　 　 /ヽ＿＿／/　　　それだけに、彼女から俺個人に宛てた手紙が
　　　　　/　 　 　 　　　　　　　　 　 /　　/　　　/　　　 送られてきたのは意外だった。
　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　/　　/　　　/　　　　 手紙の内容は、当たり障りの無い挨拶だけの
　　　　/　　　＿＿＿＿　　　 　 /　　/　　　/　　　　　つまらない文章……。
　　 ／　　　　　　　　　　　　　／　　/　　　/
　／　　　　　　　　　　　　　／ 　 　/　　　/　　　　　　だがその手紙には一枚のカードが同封されていた。
　￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣/　　　/　　　/　　　　 ┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ￣￣￣￣￣

　　　　　　　　/ 　 ＼
.　　　　　　　 /　 　 　 ＼
.　　　　 　 ,　/　Ｍ 　　　 ＼
　　　　 　 ｆ}Y　　　＆　　　 /
　　　　　 ,' /　　　　　Ｍ　 /
,　_ 　 　 ,' /　　　　 　 　 /　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
ヽ、丶　/ /　　　　　　　 /　　　　　　　『Ｍ＆Ｍ』…………
　 ヽ　Y　/　　 ,.-、　　 ,/　　　　　　　 その名称は恐らく、ニューヨークのクラブの名前であろう。
　　 ! /　/__,／　 ,i、　 ,/
.　　∨　,／ 　 ／　.i　,/　　　　　　　　 そのカードは店名のロゴがプリントされているだけで、
.　　/ ｒ'　 _,.-´ 　 _ﾚ.i,/　　　　　　　　　他には何も書かれていない。
.　　＼!　 !　 -‐ '´ 　 ,　　　　　　　 ┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　 ＼ヽ 〈　〈　｀Y-
　　　　 ＼　　 　 　 'ヽ
　　　　　　＼　　　　　
　　　　　　　 {ヽ.　　　

　　　　　　　 　 　 　 　 ／￣￣￣￣＼
　　　　　　　　　　　　 ,'　　　　　　　 　 ＼ 　 　 　 　 _,,
　　　　　　　　　　　　i 　 　　ヽ,_　　　　　|　 　 　 　 ｌ;ｌ
　　　　　　　　　　　　 !,_ノ、　（● ） 　 　.|　 　 ＿,_,|,|_,
　　　　　　　　　　　　 （●）　　　 　 　 　 |　　.ト-=y 　丶　　　　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　　　　　　　　　! （__人__）　　　　,,|　　 ヽ `ｉ,￣‐^ｌ　　　　　　　　　　　できる夫からの電話を受け取った時は、
　　　　　　　　　　　　　 ', 　　　　　　　　 |　　 　 ヾ~　`　 i,　　　　　　　　　　　「ああ、そういや手紙もニューヨークからだな」
　　　　　　　　　　　　　　',　 　 　 　 ／　| 　 　 　 ヽ、　　 ;ｉ,　　　　　　　　　 という程度にしか気にしてなかった。
　　　　　　　　　　　　　　 ＼r‐- _／　　　y,ｿﾄ,,_.　　ヽ、　　 ;ｉ,　　　　　　.┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　　　　　　　　　　　　 ,/r-'"j　　／ ／　ｉｉ,　`ヽ､-x,,゜r　　;ｉ　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　 ,,／'/__.L、　　　　／ヾ、"ｉ　　　`ヽ　`;ｉ　　ｉ,
　　　　　　　　　　,／　 /_ｉｰﾍ,ヽ､ , ／ｉ"　ヽ、 ｉ　　　　 `、'ｉ　　 ｉヽ、
　　　　　　　　　_,） ヽ　"　　　ﾈﾒ、_ｉｉ"~　　　　　　　　＿Yrｉ　　　ｌ, ヽ、
　　　　　　　 _,,,>t 、ヾ、　　　　ゞ;;/　　　　　　　　　／　 ,￢　　　 V⌒ｌ
　　　　　　 ,y`;,,__　　 ,ｉ　　　　 /ｉｉ'　　　　　　　　　／　r-／|　　　　ｌ　ｌ
　　　　_／^,,,　　ヘ　　ｌ　　　 /ｉｉｌ　　　　　　　　／　 ｌ"v'　ｙ　　　　 }　 ｌ
　v=4⌒ヽ、　j　　--,,,ｉf　　　/ｉｉｉ|　　　　　　　,,　　〈-ﾍ_,、 <、　　　 /　 ｉ|



　　　 　 　 　 　 　 　 　 _＿r‐ｭ.........................rｭ＿__
　　　　　　　　 ＞　´ 　-―――――――――- 　　｀ ＜
　　　　 　 rf「＿, 　 　 　 ＿＿＿＿＿＿＿＿_　　　　　_＿〉
　 　 　 ／/|　　 　 　　　厂￣｀マﾆニニニｙ' ￣ヽ　　　　　　',
　　　　_〉{　l　　　　　 ／1　　　　 ｀¨¨¨¨¨´　　　 ｀ﾄ､　　　 　ｊ
　　　 〈＼〉 ﾄ､__ 　.イ　 /　　　,斗‐――-　, 　 　　ﾏ`ー--У
　　　 〈＼〉　　｀マ＿ ノ 　 ／ 4k__)(__)(__) 2＼　 　 ヽ＿／
　　　 〈＼〉　 　 　 　f｢ 　 ' 5k__)　 ＿　　 (__).1　　　l|　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　 〈＼〉　 　 　 　ｌ|　,' 6k__)´g㌢￣｀守。 　 　 　 l|　　　　　　　しかしその数日後、俺宛に掛かって来た一本の電話により、
　　　 〈＼〉　 　　 　 ||　l　k__)i {iii{<（_ _）>}iiｉ} 　 　; 　l|　　　　　　　あの手紙と電話は重大な意味を持つ事になった。
　 　 f^YYYYYYY^ー||　li 7k__) ⅥiマニフiⅣ 　 　'　 l|
　　〈 Уｰyｰ'ｰ'ｰ'ｰ'＾||　∨ k(__)､`定主亥〈＼　 ,' 　 l|　　　　　　　電話の相手は俺の元先輩刑事。
　　〈/ 　/ 　 　 　 　.l| 　 ヽ 8`ﾄ(__X__)＿　 〉 У　　 l|　　　　　　　そして電話の内容は…………
　　〈 　 ﾄ､　 　 　 　 l|　　　　＜ 9　0　　 ＞'　　　　 ｌ|　　　　 .┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　 　 ヽ　Y^ヽ　 　 　 l|　 　 　 　 ｀ ¨¨¨¨´ 　 　 　 　 ｌ|
　　 　 ＼|　 ﾄ､　　　 i|　　　　　　　　　　　　　　　 　 ｌ|
　　　　　 l　 Lﾑ　　　 、＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ﾉ
　 　 　 　 ヽ｣　 ﾄ､ 　 　 ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
　 　 　 　 　 l　 Lﾑ｀ヽ
　　　　　　　 ヽ |　 ﾄ-仏

　　　　　　　　　　　　　 　　＿
　　　　　　　　　　　　　＞ｾ乙ト＜、
　　　　　　　　　　,. ...:::::::::::::::::::::::::::::::≧ﾍ、
　　　　　　　　 ／-冖-冖ｰ￢＜::::::::::::::Y>＼
　　　　　 　 , '::::::.....　　　　　　　 └ﾍ::::::::::::Ｚ＼
　　　　　　.,':::......　/　/　/　　　 i 　 l└ﾍ:::::::::|｝'.,
　　　　 　 i::::.....　,'　,'　/　　　|　l　　|　||　r介=、i
　　　　　　|:::....　i　,'　　 　 　 |　| 　 |　／/l ﾄ､_〉〉
　　　　 　 l:::...　 |　i!　　　　　 !　| 　 〈 く__川ヽ_/
　　　 　 　|:::.. 　|　! 　 ..::..　　 　 ! 　 ! ＼_/|l|　i|
　　　　　　|:.　　|!　　 :::::::::..　　　 　 　 　|l| |l|　!|　　　　　　　『　────　サラが自殺したお。　』
　　　　　　|　　 |!　　::::::::::::::.. 　　　 　 i　|ｌ| |l|ﾄ､i
　　　　　　|　　 ! 　:::::::::::::::::　 　 　 　 |　| | |_〉 ＼
　　　　　　| 　 　 :::::::::::::::::　　　　　 i　|　ﾚ' |　|ヽ　ヽ
　　　　 　 |　　　 :::::::::::::　　　　　　i|　|　　　|　|i| )　 )
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　　　　　　| i　　　::::::::　　　　　　　i|　| 　　　 |　ヽ､
　　　　　　| l　 　 　:::: 　 　 　 　　 i|　| 　　　 卜、_ヽ_
　　　　　,.ｲ|　 i　　　::　　　　　　　 i|　|　　　　　|　　　:::ヽ
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　　! ::::::: |　　|　　　　　　| 　　　　 |　| 　　　　　　　 | ::::::::::::　:::::ｌ

【第１話】

　　　　　闇に堕ちた薔薇乙女

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　　　　|　 　　　 ヽ
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　　　　　／　　 　., ーヽ　　　,'. ｰ-、 　 　＼
　　 　／ 　　 　 （　● l 　 　l　●　）　　　　＼　　　　　おお、やらない夫かお。
　　　 | 　 　 　 　 ｀ｰ ノ　　　 ヽ.ｰ '　 　　　　　|　　　　　わざわざリバティタウンから駆けつけてくれて感謝するお。
　　　 |　　　　　"⌒（_＿__人_＿__）⌒ﾞ 　 　 　 |
　　　　＼　　 　 　 　　! ,-ｰ- 、!　 　 　 　　 ／
　　　　　 ＼　 　　　 　 ｀ーｰ ´　 　　　 　／
　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　 〈

┌【やる夫・グレゴリー】
｜　　元リバティタウンの刑事で、やらない夫の先輩。
｜　　現在はニューヨークで保険調査員として生計を立てている。
｜　　ニューヨーク市立図書館に勤めている娘のやる実と二人暮らし。
└───────────────────────────────






　　　　　　　　　　 /⌒ヽ, 　　　　　.,,;-―――――-;;,,
　　　　　　　　　　 |　　　{　　　　／　　　 　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　 l 　 　 ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　 ＼　　　ヽ　　　　　　　　　　__.＿ノ 　　＿〉
　　　　　　　　　　　　}ヽ.　　 ＼　　　　　 　`i |;;;:::| i　　〈{::} 〉
　　　　　　　_,. -―‐く`　　　 　 ヽ　　　　　　　　⌒ﾞ''''''´"　ヽ　　　　　　ま、立ち話も何だから、上がるといいお。
　　　　　　 {′　　　　i　ヽ　　　　}ヽ_　　　　　 （,,＿＿,,ノ!_ノ .|　　　　　早速詳しい話をさせてもらうお。
　　　　　　　`ーｧ= ＜　　,}　､　　ﾊ!＿ 　　　　　　￣￣￣　 /
　　　　　　　　 {　　　{￣ヽ　 _＞ ´ r‐_)　　　　　　　　　　／
　　　　　　　　 ヽr―― '´￣　　　／´　　 ＞ .　 ｀ﾆ´　,.メヘ、
　　　　　　　　 /.{　　　　　 __.. イ ,ﾊ＼　　＼　 ｀ ｰ‐ ´/＼､ ヽ
　　　　　　　　 |　ヽ.　-‐ ¨´　　 ノ}＼| ＞ ､ ヽ　　　 ∧　ヾi､ l. |
　　　　　　　　 }　　ﾊ　 　 　,／　∧ヽ＼　.ヽ ヽ　 　/　 l　　}il! } |
　　　　　　　　ハ　 ヽｰ､―--- '´ﾉﾉ ト､ ヽ　　　 　　　　　 ,iﾘ/-{
　　　　　　　 {　　　　＼＼ ＿／ｲ　.|ヽ.ヽ ヽ　　　 l　　　///ﾄ､ﾉ
　　　　　　　　｀７ヽ、　　` ＝ﾁ'´/　ﾉ
　　　　　　　　 /　　{＼＿_ ノ .ノ ／

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　　　　　　　　　　　　/　　　 　　　　　丶　　　　_,～'_ｯ'-
　　　　　　　　　　　　|　　　　　_ノ　 （ ●）　　.厂
　　　　　　　　　　　　i　　　　　（ ●）　　!　　.⊃
　　　　　　　　　　　　 |　　 　　　　（__人_） /〉
　　　　　　　　　　 ／∧ 　　　 ,.<))／´二//⊃　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　　　　　／ : |　ヽ　　/ ／　 '‐､二ﾆ⊃`　　　　　　　やる夫からの電話でサラの訃報を聞いたときは、
　　　　　, -‐'´: : : : :l　　 丶ｌ　　　　´ヽ〉: : : : ＼　　　　　　　にわかに信じられなかった。
　　　 ／: : : : : : : : :|　　／_/　　　 __人〉｜: : : : :|　　　　　　しかしやる夫はそんな低俗なジョークを言うような男じゃない。
　　 ｢ヾ: : : : : : : : : :l_／:_/ヽ. 　 /´　　 　 | : : : : :|　　　　　　少なくとも、サラの死は本当なのだろう。
　　〈＼ : : : : : : : :,、: :/´∨/`ｰ'〉　|＿|　｜: : : : :|　　　 ┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　!: : :ミヽ: : :／ `ｙ′.: ',ゝ､_/　　　　　l: : : : : :|
　　　! ⌒ヽ: : : :.ヾ／: :／/: : : :|　　　　　 l: : : : : :|



　　　　　　　　　　　　 ／.:￣￣￣￣￣ ＼
　　　　　　　　　　　／: : :　　 　 　 　 　 　 ＼
　　　　　　　　　 ／: : : :　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　／: : : : : :　　　　　　　　　　 　 　 ＼
　　　　　　　/ : : : : : : :　.._　　 　　　　　　_　　　　＼　　　　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　　　|: : : : : :　 ´⌒＼,, ;、､､／⌒｀ 　 　　 　 l　　　　　　　　　　　そのくらいはニューヨークでちょいと調べりゃすぐに分かる事だ。
　　　　　　　|: : : ::;;　（　ー ）　ﾉヽ　（ ー　）;;:::　 　　 |　　　　　　　　　　　ただ気になったのは、サラの死は真実だとしても、
　　　　　　　|: : : : :　 ´"''"　,　　 　 　"''"´ 　　 　　 l　　r‐ ' _ノ　　　　　　やる夫はどうもただの自殺だとは思ってないようである。
　　　　　　　＼ : : : : . . （　　　 j　　　 ）、 　　 　／　＿ ) (_　　　　　┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　　　　　　 .＼: : :: : :.｀ｰ-‐'´｀ｰ<´ヽ　　 ／　（⊂ﾆﾆ⊃)
　　　　　　　　　／ヽ: : : : : : : : : : : : :＼;;;),"´　＼｀二⊃ﾉ
　　　　　　　　／　∧::::::::::::::＞､r‐'".:::::::＼＼　l| （(､￣
　　　 　 　 イ　　　|　'::::::::::/￣￣ヽ:::::::::::::::＼,;;)ｰ'ノ　}丶 、
　 ,.　 '" 　 /　　　 |　 ヽ::∧　　　 /＼::::::／ 　丿　 　 !　　｀　、

　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　＼.........:::::::::::...
　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::　:　　　　　 |　.... .........::::::::::...r‐ ' ノ.
　　　　　　　　　　　　　　　.　|:::::::::::::　　　　　|　.... .........::::::::＿ ) (_
　　　　　　　　　　　　　　　　 |::::::::::::: 　 　　　|..　..... ......:::（⊂ﾆﾆ⊃)
　　　　　　　　　　　　　　　.　 |:::::::::::::::　　 　 }　　..... ......: ::::｀二⊃ﾉ.
　　　　　　　　　　　　　　　.　 ヽ＿＿__　 　 }　　..... ......: :::: （( ￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　 r'ﾆﾆヽ._＼. ﾉ..　..... ......: ::::::　 ;;.
　　　　　　　　　　　　　　　 r':ﾆニ:_`ｰ三`:く._　　 　 　 　 　 [l、.
　　　　　　　　　　　　　　／: : : : : : :｀,ニ､: :_:_;＞　　　 　 ／,ｨつ
　　　　　　　　　　　. 　 /: : : : : : : : / : : : ヽ＼　　　　 ,∠∠Z'_つ
　　　　　　　　　　　　　| : :.:.:.:.:.: . :/: : : : : : l : ヽ.　　 / .r─-'-っ
　　　　　　　　　　　. 　 |:.:.:.:.:.:.:.:.:.,' ''"￣: : :l: : : :l 　 /　 ）:::厂 ´
　　　　　　　　　　　　　 |:.:.:.:.::.:.:.:ｌ -─-: : /:_:_:_:_l　/￣｀Y´
　　　　　　　　　　　.　　 |:.:.::.:.::.::l._＿: : : :/::: : : : :l/⌒ヽ: :〉
┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　その事は電話口からもうっすらと伝わっていた。
　　それこそが、俺が田舎町からニューヨークへわざわざ出向いた理由である。
　　サラの手紙、親友の電話、サラの訃報……一見関係無さそうな３つの知らせは、
　　ニューヨークという共通点を伴って俺の心に圧し掛かっているのだ。
┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛



　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　 ,,.-´　　　｀｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　 .／ 　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　 .|　　 .'⌒`　　'⌒丶　　.|
　　　　　　　　　　　／ | 　 （ ●）　　（● ）　 .|＼
　　　　　　　　　 ／　　 ＼　　（__人__）　　 ／　　＼
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　　　　　　　　,＼　　　.l　|　　∧ /　　　　　　　 　/　／
　　　　　　　／　.＼　 i　l　　.|　/　　 　　　　　⊂)／丶
　　　　　　./　　　　.＼|　|　./　/　　　　　　　⊆) 　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ￣￣￣￣￣￣
┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　やる夫から「頼みたい事がある」と言われた時には、
　　俺は既にニューヨークに出向く事を決めていた。
　　恐らくやる夫もそれを頼むつもりだったのだろうが、
　　俺はどうしてもサラの死の真実を知りたかったのだ。
┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛

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　　 　 　　／: : : :　　　　　　　　　　　 ＼
　　　　 ／: : : : : :　　　　　　　　　　 　 　＼
　　　 / : : : : : : :　.. 　　 　　　　　　 　　　　＼
　　　 |: : : : : :　 ,,,,ノ⌒" '' ``⌒＼,,, 　 　　 　 l　　　　　さて、順を追って説明するお。
　　　 |: : : ::;;　（　(・) ）　ﾉヽ　（ (・)　）;;:::　　　 |
　　　 |: : : : :　 ´"''"　 　　 　 　"''"´ 　　 　　 l　　　　　電話でも伝えた通り、サラ・水銀燈・ローゼンが自殺したお。
　　 .　＼ : : : : . .（　　 　 j 　　　 ）　 　　 　／　　　　　　死亡時刻は今月９日の夜２時頃。
　　　　　 ＼: : :: : ＞ｰ-‐'=ｰ-ｰ＜　　　 ／　　　　　　　　ソーホーにある自宅、サクラダアパートの２５階の窓から飛び降りての転落死だお。
　　　　　／ヽ: : : : : : : : : : : : : : : : : : イ＼
　　　　　: : : : : : : : :｀`ｰ- -‐'"´　　　 　　＼
　　　　　: : : : . : : . : : .　 　 　 　 　 　 　 　　＼






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　　　　　　　　　　　　　　　┃: : :＼: : : : : : V/: : K: : : ミ'´　　　　　　　　　　 　 　 　 ┃
　　　　　　　　　　　　　　　┃: : : : :＼: : |: : V: ∨: V: 入　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ┃
　　　　　　　　　　　　　　　┃ : : :: ::: : :V: : : : : : ＼//: :/ヽ　　　　　　　　　　　 　 　 ┃
　　　　　　　　　　　　　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　 ┌────┐
　　　　　　　　　　┌┤ やる夫 . ├──────────────────────┐
　　　　　　　　　　｜└────┘　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜
　　　　　　　　　　｜　第一発見者は向かいのアパートに住んでるジュン・ベイカー。　　　｜
　　　　　　　　　　｜　飛び降りた所を目撃して、ニューヨーク市警に通報したんだお。　 .｜
　　　　　　　　　　└────────────────────────────┘

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_　 -‐-　 ､
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ,　´　　　　　　　｀ 、
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／　　 　 　 　 　 　 　 ＼
　　　　　,. -‐'ｆﾌﾌ 　 　 　 　 　 ７　　 　　　　　　　　　　 　 ｀､
　　 　 / 　 ｒ‐´ ｒ‐､ 　 　 　 　 / 　 　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　ﾉ　 _/＿ 」　 .l　　　　　　|　　　ー‐-‐'　　 `ー‐-─ 　 　 !
　　 i　　 _ ＿　.） ,'　　　　　　 |　　　（ ー‐）　'"　（ ー‐ ）　　　!　　　　　サラの死体にはとりたてておかしな所は無かったお。
　　 !　　　　　｀{ ﾉ　　　　　 　 ヽ　　 　 ,　 　 !　　　　　 　 　 /　　　　　　強いて変わった事といえば……
　　 |　　ｰ ― ､}´;￣￣;｀ ｰ‐-/;:;＼　　ヽ＿人＿_,ノ｀ 　　／,.,.,.
　　 l　　 ,.-ｒ　/;:ヽ:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;/:;/:;:;:;ヽ＿ ｀　ー 　 　 __, ｲ:;ヽ:;:;:;
　／i!　　　 〕〈:;:;:;:;:i:;:;:;:;:;:;:;:;:;/:;/:;:;:;:;:;!　　＼ _ｰ‐_,.／　　i:;::;:ヽ:;:;
´:;:;:!ヽ ＿∠);;',|:;:;:;!:;:;:;:;:;:;:;:;:;:/:;:;:;:;:;:;ﾄ､　／!;;;;;;;;;;〉、　,,.ｲ:;:;:;:;:;:ヽ
:;:;:;:;:ゝ､_　 /;;;;ﾉヽ:;:;!:;:;:;:;:;:;:;:;:|:;:;:;:;:;:;:;ト.｀'　 ヾ--〈　 Ｖ　 !:;:;:;:;:;:;:;
:;:;:;:;:;O /｀:;´/;:;;:;:|:;:;l:;:;:;:;:;:;/└-､:;_:;」　　　　!;;;;;;;!　 　　 |ヾ､:;.-‐
:;:;:;:;O:;':;:;:;:;/:;:;:;:;:;l:;:;:!:;:;:;:;/:;:;:;,.-‐´:;:;:|　　　 |;;;;;;;;|　　 　 !:;:;＼_:;:
:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;/ ､:;_:;_:;:;:;:;:;:;:;/:;:;;:;:ヾ:;:;:;:;:;:;:!　　　!;;;;;;;;;!　　　/:;:;:;:;:;:;:;7









　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　/''''~ヽ.　　　/　　ヾ
　　　　　　　　　　 /,___,　r`i、　{'ｰ-' /.|
　　　　 ／~' - ._　 ヽ,__,,/　　'i ＞tー'　|
　　　　 }　 　,i　 ＼.　 |　　　 'i　 ノニ　|
　　　　/ｰ'　/、　　丶'ﾉ　　__ ノ　　 　｀ヽ
　　　　`- '　 >ノ ´　｀¨¨´　　　　 　 　 　 i　　　　　　　　　────　右手にハート型のブリキのオルゴールを
　　/￣~''-ｰ'/　　　　　　　　　　　　　 　 }　　　　　　　　　　　　　　　　しっかりと握り締めていたらしいんだお。
　 .{　　 i　　　　　　　 　　　　　　　　　　'ﾉ、
　　ヽJ_ﾉ`-,　ﾊ　　　　　　　　　　　 　／　`'''' -ｰ,　　　　　　　　　　　無論、そのオルゴールはニューヨーク市警が預かってるお。
　　　　　　)　　ヽ、　 　 　 　 　 　 ／　 　 　,　 　.}
　　　　　　 !、　　`丶、　　　　 ／　　　_,,.. -!、 　.{
　　　　　　　/ヽ、　　　＞ ､　/..,,,....-=ﾆ',　　　　>ｰ'
　　　　　　/　　 　 　 　 　 　`'/'

　　　　　　 ,　―――― 、
　　　　　／　　_ノ ' ;、ヽ_ ＼
　　　 ／　　 （ ●）　 （●）　＼
　　　/　　　　　　（__人__）　　　）
　　　|　　　　　 /　　　　 ゝ 　　ﾉ　,.､,_ ,..._　　　　　　　　　　自殺の現場となったサラの部屋だけど、
　　　_ヽ、　　　､`ー―'´,)r‐ｧ‐''"／ _／　＞-‐ 、　　　　　　変わった事といえば飛び降りた窓の枠に、何か固いものをぶつけたような傷があった事、
　 '／ /　＼ 　　　￣￣ (ﾞ＼`マ -‐ﾄ-.r '`';ーく__＼　　　　　　それからカーテンの一部が裂けていたというくらいだお。
, '/　 '、　　　ゞ　　＿_　,ｨ ヽ ＼＼　,）/　ノ　／　ﾉ
/　　　 ｀' ｰｧ､　　;;:／　 /￣iヽ ｀々゛　　、　　 ／　　　　　　その他に誰かと揉み合ってたというような形跡は無かったお。
　　　　　　 |　ヽ　　;ﾉ　〈　 ',ヽ `、　　:i　ﾉ　 　 |
　　　　　　 l　　＼　　　 ヽ /, ＼l 　　 ! /　　　｜
　　　　　　 ヽ ,､ -〉　 , --〉/⌒i'ﾊ　 　 ;　 　 　 ト､
　　　;　　　　 |　　＼ 　／_ﾉi＼l ',＼　ヽ,　　　 !　＼



　　　 ／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　 （ 一）（●）
　　|　　　　 （__人__）
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ　　　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　 |　　　,.<))／´二⊃　　　　　　　　　逆に言えばその窓枠の傷と裂けたカーテンこそが、
　 　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃　　　　　　　　　　揉み合いの証とも取れなくもないが……
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉
''"::l:::::::/　　　 __人〉　　　　　　　　　　　　しかし確かにそれだけでは他殺とは断定できない。
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_　　　　 　 ┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|






　　　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　　　 ,,.-´　　　｀｀ヽ
　　　　　　　　　 .／ 　　　　　　　　＼　　　;' 　　,　;'
　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　ヽ　,;' 　　,;'
　　　　　　　　 .|　　 ｀＼　　　,,_／'　　　.;'ﾞ　,;　　　　　　　さて、以上がサラの自殺の状況説明だお。
　　　　　　　／ | 　 （ ●）　　（● ）　　;'ﾞ ､ﾞ
　　　　　 ／　　 ＼　　（__人__）　　　'.,,､'ﾞ　＼　　　　　　　次はサラの生前の人となりについて説明するお。
　　　　／　　　　/　`ー∥──　,;'ﾞ ′　　　 ＼　　　　　　これこそがやらない夫を呼んだ理由に関係しているお……。
　　　　,＼　　　.l　|　　 ・.,. 　 . .､ﾞ　　　/　　　／
　　　／　.＼　 i　l　　　 　 ' ''ﾞ'　　　　/　　／丶
　　./　　　　.＼|　|　./　　ヽ　/　 |　/　.／　　　＼








.

　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 _rｖｸﾍｙ之―-　_
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 , ...::.::.::.::＞ｰ一＜―- ､::.::.::.　、
　　　　　　　　　　　　　　／.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.:＼::.::.::.＼
　　　　　　　　　　　　　/::.::.　-―……───-　､::.::.::.＼::.::.::.:ヽ　　　　　　　　　　　　────　サラ・水銀燈・ローゼン　────
　　　　 　 　 　 　 　 ／　　 　/　　　　　　　　　　　＼::.::.::.ヽ:.::.::.::ﾄ
　　　　　　　　　　 , '　　　　 /　　　　　　　|　 　 |　　ｌ ヽ::.::.::.l::.::.:ハ
　　 　 　 　 　 　 /　　　 　 ,′　　　　　　/　　 /| 　 |　　 >斗-く　 |
　　　　　　　　　.′　ｉ　 |　 |　　　　　　 /　　 / ,′　|　／ ｲ仆{ヽ＼ｌ　　　　　　　　　　　出身はここマンハッタンで、一度はマンハッタンを離れて
　　　　　　　 　 | |　｜　|　 |　 l 　 　 //　　 ,　/　　/く::<_/:/ハ＼_〉〉　　　　　　　　　　 リバティ･タウンで暮らしていたお。
　　　　　　　 　 | |　｜　|、 |　 |　　 // 　 ／ /　／ |　＼_/|:| 　 ト-'　ｌ
　　　　　 　 　 　 |/ﾍヽ　!ヽｌ⊥lﾍ／/　／-‐/＿￢ ﾘ 　 /　|:| 　 |::|　　ｌ　　　　　　　　　リバティ・タウンのパブではピアノ弾きをしており、
　　　　 　 　 　 　 　 | l＼ﾄｰｷ .ﾐ ∨／才弋_ツ／　′ /　 :|:|｜ |::|　　 ｌ　　　　　　　　　マンハッタンに戻った時もブロードウェイのクラブ『Ｍ＆Ｍ』で
　　　　 　 　 　 　 　 | |　 ヽ _ゝ'　　　 　 〝￣ '" /　 /　　/ | |::|　　　l　　　　　　　　　ピアノ弾きをしていたお。
　 　 　　　　 　 　 　｜ﾞ、 ﾍ　 〈　　　　　　　　　/　／ 　 /ヽ|　 ｌヾ| 　　　ｌ
　　　　　　　　　　 　 | 　＼丶　 　 ,.＿　 　 　 /／′　 /｜　 　ｌ　 　 　 　ｌ　　　　　　　　彼女がマンハッタンに戻って来た理由は、
　　　 　 　 　 　 |l／/|　　 |＼＼　　ｰ　　　　／,./ 　 ,ｲ 　 ｌ　　　ｌ　　　　　 ｌ　　　　　　　　母親に会いに来たためらしいお。
　　　　 　 　 ﾄ､ ﾍ∨ ｜　｜　｀　＼　 　 _　＜／　／::|　　 ｌ　　　ｌ　　ﾉ|　　　　　　　　　　　この事はサラのルームメイトから証言を取っているお。
.＼ 　 、　 ∠＼＼ ＼ ｌ　　l　　　　　ﾌ爪＼／　／l::.::.:| 　 　ｌ 　ｲ　／::/　 ／.::
＿_＼::＼ ＼::::.::＼＼ ヽ　　ｌ二ニ イ/∧／　へ＼ｌ::.::.:ﾄ､ 　 ／/／ :::厶／ /:::::
::::::::::::::::::::＼ ＼::::::＞''"￣＼ヽ_／///／イﾍ::.::.::）ﾉヾﾉ|　へ　∠　-‐　＿＼:::／
二二＞:::::::::＞ ／.::.::.::.::.::.::.::.＼ 彳V::| | |:|＜二二 ｲ ／::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::＼＼
:::::::::::::::::::／ ／::.::.::.::.::.::.::.::.::／/:::|/ﾚ ハ::ヽ=≠― ／::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::ヽヽ
:::::::::::::／ ∠::.::.::.::.::.::.::.::.::／;:ｲ|:::/ 　 　 l::::|　 　 ／::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.
／::::/| ＿＿＼::.::.::.::.::／.:./{ﾉ ﾚ′　　　|::/　 ／::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.
::::: ｲ::| ｌ::.::.::.::｀ ＼::／.:.:.:/{ﾉ　 ＿_　　　　　 /::.::./::.::.::.::.::.::.:／.::.::.::.::.::／　＿＿
:::/ |:::| ｌ::.::.::.::.::.::.Ｙ:.:.:.:.::く Y⌒l´ 　 ｢厂￣〉/::.::./::.::.::.::.::.／ｲ.::.::.::.::.::/　／.::.::.::.::

　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ,　'´￣｀ .､
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ,.'　　　　　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 　 /　　 　 　 　 　_j_
　　　　　　　　　　　 　 　 　 i　　　　,..:.':.´;:.-:'ヽ:.:｀.:､:..､
　　　　　　　　　　　　　　　 　 　,...'".':.´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀:.:ヽ:.ヽ
　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:､
　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 , ':.／:./:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.';:.:.:.:.:.:.';..:.:.
　　　　　　　　　　　 　 　 /:;.:':.:.:./:.:./:./:!:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.:.: !
　　　　　　　　　　　　 　 ,':/;':.:.:.:.:.:,ィチ了:.:.:.:.:./了ミト､:.:. :i:.:.i
　　　　　　　　　 　 　 　 i/ i:.:/:.i:.:.:i ,x=ミヽ:.／　,x=ミ. i:.:./:i:.ﾘ　　　　ルームメイトの名前は西園寺世界。
　　　　　　　　　 　 　 　 i.　ｉ/:ｉ:.i.:.:.〈.{r';;:i　 ヽ 　 ir';;:}.〉:./:.:i∧_　　　　「シアター・ララ」という映画館でチケット売りのバイトをやっているお。
　　　　　　　　　　　　 　 　 V:.Vヽ:.､弋ソ　　 　 弋ソ　; ^j/:.∧ヽ
　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 /:.:.:弋∧'　 　 　 ′　　　./.ノヽ.:.:∧ ',　　　　彼女は９日の夜、友達のパーティに出ていて不在だったらしいお。
　　　　　　　　　　　 　 　 /:./:i:.ﾊ:.i.:.ヽ　 　 ´ ｀　　 .ｲ:.:.:.:.:.:';..:.:.j. i
　　　　　　　　 　 　 　 　 { /:.:i/ 乂:.:.:.:＞　　　 ,.＜:.:i:.:.:.:.:.:.:i:.:;.' ,'
　　　　　 　 　 　 　 　 　 乂,　-, ― '"´.j　 ｀´　.!｀ ｰ--.､ :.:乂
　　　　　　　　　　　 　 　 ,.':::::::/　　 　 ∧‐　 -'/　 　 　 V:::∧
　　　　　　 　 　 　 　 　 /:::::::::i. 　 　 　 ∧　　/　　 　 　 V::::∧






　　　　　　　　 　 　 　 ,.､-rｧｧｧｧｧ‐-,.、
　　　　　　 　 　 　 　 ﾊｼ'"`''ｰ‐''"`ヾ;ﾊ
　　　　　　　　　　　　lﾐ' 　 _ ､__,. _ 　 ﾞﾐl
　　　　　　　　　　　　|| へ､_｀ｰ '_,._へ ||
　　 　 　 　 　 　 　 rｮl　,.=｡=ﾞ　'=｡=､　ｈ　　　　　　　　　　　　それから、サラの父親である利根川幸雄もここマンハッタンにいるお。
　　 　 　 　 　 　 　 |ﾋ|.　｀二｝ ｛二´　:|j.|　　　　　　　　　　　　彼は５番街で「利根川宝石店」を経営しているお。
.　　　　　　 　 　 　 ,ゞ|　　 人__人　　 |く
　　　　　_,,.　-‐''"´| : lヽ、{.￣-￣.｝,.イ: :|｀`'''‐- ､.._　　　　　　父親といっても血の繋がりは無く、サラは彼の元妻”鈴美・ローゼン”の
　　　/´l : : : : : : : :|: : |.＼｀'' ‐-‐''´／|: : ｌ: : : : : : : : ｢ヽ　　　　連れ子だったんだお。
　　 /: : l : : : : : : : |: : :|.　 ＼　　／　 |: : :| : : : : : : : |: : l
　　ﾊ : : |: : : : : : :│: : | 　 　 ><　　　| : :│: : : : : : :| : : 〉　　　……ちなみにその鈴美だけど、現在は行方不明だお。
.　 {: : : : | : : : : : :│: : :|　 ／| /|＼.　|: : :│: : : : : : | : / }
　 ﾊ : : :│: : : : : : ＼;ノﾚ'´　 〉〈.　 ヽlヽ;／ : : : : : : |: : : ;ﾊ
　 〉:＼ :│: : : : : :.／: :│　　|/ |　　 | : :＼: : : : : : :|: : :/:〈

　 　　　＿＿＿_
　　　／　　 　 　＼
　 ／　　＿ノ　 ヽ__＼
／ 　　 （─） 　（─　＼　　　　　　　　　さてと……やらない夫なら、ここまで説明した時点で
|　 　　 　 （__人__）　　│　　　　　　　　　きっと疑問を感じてるお？
/　　　 　 ∩ ノ)━━／【】[]　ｼｭﾎﾞｯ
(　 ＼　／ ＿ノ´.|　 |　 □
.＼　 " 　／　　　| 　 二⌒)
　　＼ ／



　 　　　＿＿＿_
　　　／　　 　 　＼　（ ;;;;(
　 ／　　＿ノ　 ヽ__＼) ;;;;)
／ 　　 （●） 　（─ /;;／
|　 　　 　 （__人__） l;;,　　　　　　　　　何でやる夫がここまで調べ上げているのか。
/　　　 　 ∩ ノ)━・【】[]
(　 ＼　／ ＿ノ´　　□
.＼　 " 　／　　　　(⌒)
　　＼ ／



　 　　　＿＿＿_
　　　／　　 　 　＼ （ ;;;;(
　 ／　　＿ノ　 ヽ__＼) ;;;;)
／ 　　 （─） 　（─ /;;／
|　 　　 　 （__人__） l;;,´|　　　　　　　　……今のやる夫は刑事でも何でもないお。
./　　　 　 ∩ ノ)━・'／　　　　　　　　只のしがない保険調査員だお。
(　 ＼　／ ＿ノ´.|　 |
.＼　 " 　／＿＿|　 |
　　＼ ／＿＿＿ ／

　　　 　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　|　　　 （ ●）（●
.　　　　　　　　　|　　　 　 （__人__）
　　　　　 　 　　 |,　 　　 　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　　 　　 │ 　　　　 　　 ｝　　　　　　　　　　　　保険調査員が個人の身辺を調べ上げる理由は決まっている。
　　　　　 　　　　 ヽ､　　　 　　ｿ　　　　　　　　　　　　　……サラは保険に加入していた、という事なんだろう。
　　　　　　　 　 ｲ斗┴r┐｀ .;
　　　　／￣`ーゞ､　 /　|__ 〈ー─r､　　　　　　　　　　けど普通、自殺となると保険金は下りない。
　　　/　　　　　＼ ∨＼ 　|,ベ._ /　|　　　　　　　　　　やる夫が俺を呼んだのも、その辺りに関係があるのだろうか？
　　 ｛　　　 . : : : . ヽ＞ｰ＼[￣{ 〉＼|､_　　　　　 ┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　| 　 　 　　 ｀丶}＼　 __＼_]~∨'＼｀ヽ
　　　:|　　　._　　　　＼_}/r‐-}＼　ﾞ,`''く l　ﾞ,
　　　 ﾄ､: :./ ／￣｀` ぐ└f'二）::{　 ',　 | !,ゞ┐
　　　 `､∨ ´　,.､-''"~￣}_｛‐''く:::{_　 ', _|_|_,rｰ'､_
　　　　 }｛　／　_､-'''"~￣{_＼;;;;;ｊ;＞＜;:::::＼:::ﾍ}＼
　　 　 　}∨: ／　　_､-''ﾞ~￣￣　　　　　＼::::},之_　ヽ
　　 　 　 〉∨ 　 ／　　 　 　　　　　　,.､イ;;ノ_ 　 ｀ヽ}
　　　　　{:　＼,/＼　　-‐　'"　　　／｀￣　　　 　　:.:｝






　　　　　　　　　　　　 　　　　＿＿
　　　　　　　　　　 　　　 ,,.-´　　　 ｀｀ヽ
　　　　　　　　　　 　 ／ 　　　　　　 　　＼
　　　　　　　　　　　/　　　 _＿ノ　　'⌒　 ヽ
　　　　　　　　　 　 | 　　　（ ● ）　 （● ） .|　　　　　　　　　察しの通りだお。
　　　　　　　／,〉／.| 　　　　　（__人__）　　|＼　　　　　　　　ニューヨーク市警はサラの死を自殺と断定する予定なんだお。
　　　　　 ／　/　　　.＼　　　　　　　　　／　 .＼　　　　　　　……毎日のように事件に追われるニューヨーク市警にとっては、
　　　 .／,二ニヽ　　　/　`ー───ー′ヽ　　 .＼　　　　　　しがないパブのピアノ弾きの死に構ってられないんだお。
　　_ /　 ,-― ､}l　 　.l　|　　∧　　　.∧　 　|　 　.／
　/　|　　 ノｰﾍJ　　 i　l　　.|　.i　　 .ｌ ..| 　 /　.／丶　　　　　そして警察以外の人間も、利害が絡まなけりゃ誰も興味を持たない……。
./　　|_,イ　　{　　＼ | . |　/　　ヽ＿/　.|　/ ／　　 ﾊ
　　　 ＼＿/　　　　 |　| /　　　/::::亅　|/／　　　/　|

　　　　　　　　　　　　 ／.:￣￣￣￣￣ ＼
　　　　　　　　　　　／: : :　　 　 　 　 　 　 ＼
　　　　　　　　　 ／: : : :　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　／: : : : : :　　　　　　　　　　 　 　 ＼
　　　　　　　/ : : : : : : :　.._　　 　　　　　　_　　　　＼　　　　　　　　　唯一興味を持ったのが、サラが加入した保険の会社なんだお。
　　　　　　　|: : : : : :　 ´⌒＼,, ;、､､／⌒｀ 　 　　 　 l　　　　　　　　　確かに大方がサラは自殺という見解で決まりそうだけど、
　　　　　　　|: : : ::;;　（　● ）　ﾉヽ　（ ●　）;;:::　 　　 |　　　　　　　　　まだまだ不審な点が存在するのも事実。
　　　　　　　|: : : : :　 ´"''"　,　　 　 　"''"´ 　　 　　 l　　r‐ ' _ノ
　　　　　　　＼ : : : : . . （　　　 j　　　 ）、 　　 　／　＿ ) (_　　　　　保険会社としては、何としても自殺と確定できる証拠が欲しくて、
　　　　　　　　 .＼: : :: : :.｀ｰ-‐'´｀ｰ<´ヽ　　 ／　（⊂ﾆﾆ⊃)　　　　　やる夫にサラの身辺調査を依頼したんだお。
　　　　　　　　　／ヽ: : : : : : : : : : : : :＼;;;),"´　＼｀二⊃ﾉ
　　　　　　　　／　∧::::::::::::::＞､r‐'".:::::::＼＼　l| （(､￣
　　　 　 　 イ　　　|　'::::::::::/￣￣ヽ:::::::::::::::＼,;;)ｰ'ノ　}丶 、
　 ,.　 '" 　 /　　　 |　 ヽ::∧　　　 /＼::::::／ 　丿　 　 !　　｀　、






　　　　　　　　　　　　　　　　　　―――― 、
　　　　　　　　　　　　　　　／ 　　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　,,ｨｚ'　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　!　　　　　　　　　rツ"　　ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　! ｒ⌒ｚ｀ﾐｩ,,　::::::::::（● ） 　 !　　　　　　　　　…………だけどやる夫はそのクライアントの事情など知ったこっちゃないお。
　　　　　　　　　　　　　　!/　　ﾍ　● ）/　　i　　 ヽ　.|　　　　　　　　　やる夫がこの仕事でやりたい事はただ一つ、真実を知る事だけだお。
　　　　　　　　　　　　　／　ﾍ___}´::::　 ゝ__ノ ヽ__ノ ／ ｀ー-- 、
　　　　　　　　　　　　/＿__/ /、　::　　 ゝ+--ノ ／ｧ　　　　　　ヽ　　　それがクライアントに都合がいい事実かどうかはどうでもいいお。
　　　　　　　　　　／ヽ　　ナ∧ ＼＿　　　￣ / 　 i!　　　　　　　i
　　　　　　　 　 /　　　　　 /　ﾊ　 ﾊ　｀ニ'´￣!　　 |　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　/　　　　　 /　 　 ',　　',　 V　　 i!　　i　　　　　　　　!}

　　　　　　　 　 　 　 　 ／￣￣￣￣＼
　　　　　　　　　　　　 ,'　　　　　　　 　 ＼ 　 　 　 　 _,,
　　　　　　　　　　　　i 　 　　ヽ,_　　　　　|　 　 　 　 ｌ;ｌ
　　　　　　　　　　　　 !,_ノ、　（⌒ ） 　 　.|　 　 ＿,_,|,|_,
　　　　　　　　　　　　 （⌒）　　　 　 　 　 |　　.ト-=y 　丶
　　　　　　　　　　　　　! （__人__）　　　　,,|　　 ヽ `ｉ,￣‐^ｌ
　　　　　　　　　　　　　 ', 　　　　　　　　 |　　 　 ヾ~　`　 i,
　　　　　　　　　　　　　　',　 　 　 　 ／　| 　 　 　 ヽ、　　 ;ｉ,
　　　　　　　　　　　　　　 ＼r‐- _／　　　y,ｿﾄ,,_.　　ヽ、　　 ;ｉ,
　　　　　　　　　　　　　　 ,/r-'"j　　／ ／　ｉｉ,　`ヽ､-x,,゜r　　;ｉ
　　　　　　　　　　　 ,,／'/__.L、　　　　／ヾ、"ｉ　　　`ヽ　`;ｉ　　ｉ,
　　　　　　　　　　,／　 /_ｉｰﾍ,ヽ､ , ／ｉ"　ヽ、 ｉ　　　　 `、'ｉ　　 ｉヽ、
　　　　　　　　　_,） ヽ　"　　　ﾈﾒ、_ｉｉ"~　　　　　　　　＿Yrｉ　　　ｌ, ヽ、
　　　　　　　 _,,,>t 、ヾ、　　　　ゞ;;/　　　　　　　　　／　 ,￢　　　 V⌒ｌ
　　　　　　 ,y`;,,__　　 ,ｉ　　　　 /ｉｉ'　　　　　　　　　／　r-／|　　　　ｌ　ｌ
　　　　_／^,,,　　ヘ　　ｌ　　　 /ｉｉｌ　　　　　　　　／　 ｌ"v'　ｙ　　　　 }　 ｌ
　v=4⌒ヽ、　j　　--,,,ｉf　　　/ｉｉｉ|　　　　　　　,,　　〈-ﾍ_,、 <、　　　 /　 ｉ|

┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　この真実を追究する事に常に貪欲な姿勢……。
　　やはりこの元先輩刑事は、現役の頃から変わってない。
　　俺はそれがたまらなく嬉しかった。

　　そして俺も……やはりこの先輩と同じくらい貪欲な人間らしい。
　　やる夫もそれを分かっていて俺に電話してきたんだろう。
┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .!　　　　 　`'ｰ ,,_
　どうだお、やらない夫。　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　-.、　　 ｀''ｰ ..,、　　　| |
　都会の泥沼に埋もれて消えそうな真実……　　　　l 　 　 　 　 广''┬--v-‐．　　 ゛
　白日の下に晒してみないかお？　　　　　　　　　,..-'".ｌ　　　　　　ヽ,、.ゝ-'ﾞ _./
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´　　　 ヽ　　　　　　 .｀ﾞﾞﾞﾞﾞ./
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.＼　　　　　　　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .｀'-､,　　　　　ゝ..＿__＿,..-ｰ









　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　　　　 |
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ,,..イ 　 　 　 |
　　　　　　　l　　　　　　　　　　_,,,...イ´ 　 |　　　　　|
　　　　　　　ヽ、ヽ ＿_,,..-t''"´:::::::::::|　 　 l　　　　　|
　　　　　　　　　　　　|　　ヽ:::::::::::::ノ　　 /　　　 　 .|
　　　　　　　　　　　　ヽ、　　 ￣　　　／　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　 ｀　　　　　　　　　　　　 　 |　　　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |　　　　　　　　　　　……そう言われて俺が断らない人間だというのを、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 |　　　　　　　　　　　この男は知ってて言ってる訳だ。
　　　　　　　　　　　　 　 ヽ　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　 .┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　　　 　 |
.人　　　　　 　 　 　 　 　 /　　　　　　　　　　 　 |








.

┏━━━━━━━━━━┓ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : /　　　　　　　　　　. . : : :
┃┌────────┐┃ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ;　　　　　　　　. . . : : : : : : :
┃│　ソ 　ー 　ホ 　ー　｜┃: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :|　　　　　　 . . . : : : : : : : : : : :
┃└────────┘┃ : : : : : エ: : : : : : : : : : : : : : : : .、 　　　　　　　. : : : : : : : :
┗━━━━━━━━━━┛: : : : :､｣L : : : : : : : : : : : : : : : : ＼ 　　　. . : : : : : : : : : : : :
＞' ト..、＼　　　ヾ　 |:|　　　＼::.､ : : : |::::| : : : : : : : : : : : : : : : : : : :` ー-　-‐. ´: : : : : : : :
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　　　　　　　　　　　　 　.／￣￣＼
　　　　　　　　　 　 　_ノ　　ヽ,_　.　＼
　　　　　　　　　　　 （●）（● ）　　　|　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　　　　 　　　（__人__） 　　　　|　　　　　　　　常識的に考えて、捜査でまず最初に行うのは現場の確認だろう。
　　　　　　　　　　　 ヽ｀⌒ ´　　.　　 |　　　　　　　　それと第一発見者の証言を確認。
　　　　　　　　　　 　　{ 　 　　　 .　　i
　　　　　　　　　　 　　ヽ　　　　　　ノ　　　　　　　　 それはどんな事件の捜査であろうと変わらない基本だろう。
　　　　　　 　 　 　 　 　 ＞ー,-- ':;＼　　　　　　　　俺はまずサラの自殺現場である、
　　　　　　　　 　 　 　 /:;:/ﾚ'／;:;:;:;;:;:;:＼　　　　　　 ソーホーのサクラダアパートに向かっていた。
　　 　 　 　 　 　 　 　 {:;:〈／:;:;:;:;::;:;:;:;:;:;:;:;＼　　┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　　　　 　 　 　 　 ∧:;:;:;:;:;:;;:;:;:;＼:;:;:;:;:;:;:;}
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'T''''T T''''T　T'''''T／:;:;:;:;:;;:;:;:;:;:{　　 厂┐　 ┬─┐ 　 ┬─┐　　 ┬‐
｜ ｜ |　｜　| ／:;:;:;:;:;::;:;:;:;:;:;:;::￣~7|　 |　　｜　　|　　　|　　｜　　　|



　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　 ／　　　　 　 ＼
　　　　　 　 　 　 　 |　　　　　 　 　 :|
　　　　　 　 　 　 　 |　　　　　　　　.:|　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　　　　　　　 |　　 　 　 　　.::|　　　　　　　その道中、俺はやる夫から貰ったサラの生命保険申込書のコピーを
　　　　 　 　 　 　 　 | 　 　 　 　...::::|　　　　　　　思い出していた。
　　　　 　 　 　 　 　 ヽ　　　.......:::::/
　　　　　　　　　　　　 ヽ.......:::::::::::/　　　　　　　　あの申込書に書かれていた、保険金の『受取人』の名前……
　　　　　　　　　　 _, - ''"￣ ￣` ｰ､　　　　　 ┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　　　　　　　　ヽ＿..:::-=―--:..、＞
　　　　　　　　_＞'"::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀丶、
　　　　　　 斤ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶､
　　　　　 .<:::::::::: 丶:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;::::::::i
　　　　　　 .〉:::::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/;::::::::',
　　　　　　 i:::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/´::::::::/

　　　　　　　　　　　　　　　_　-─ ─- ,-　､
　　　　　　　　　　　　rメ´── ､::::::::::::::｀ヽ ＼
　　　　　　　　　 　 〆　　 　 ／　 ｀ヽ;:::::::::::＼ ヽ
　　　　　　　　　　// /　/　/　　　　　 ＼::::::::::ｌ 　',
　　　　　　　　 ,イｲ　| メ、 ｌ　　　,イ 　l 　}＿::_}　　!
　　　　　_, -ｰ' /ﾙ|　ｌ ｧ=ﾐ､! 　 // |　/! //｀ｌ|ヾ》　 i　　　　　 　 　 　 　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　/／￣　{|　| l ﾄ､ﾋｿ |　/二Zナ | ヾﾆｿﾍヽ 　 !　　　　　　　　　　　┃　スピードワゴン生命　生命保険加入申込書...┃
　　　　　　　　　､__}ﾊヽゝ , ｀´　 r'::ﾝヽ}／ }| |　ヾ＼ i　　　　　　 　 　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　｀ヽ:::| ∧　､ _　　｀´ ／　 /| | 　 ｀ヽﾆゝ
　　　　　　　　＜￣:::| 　|＼｀__　 ,ィ//　 ハ| |　　 l 　',　　　　　　　　　　　申込者氏名　：　サラ・水銀燈・ローゼン
　　　　　　　-=ﾆ´::::::| 　ｌ^｀}ノ}バ7/　 /!_ﾉ}/l__ ,ィヽ ヽ
　　　　　　　　／ｨ／:ｌ　 |::/､/ｌ|　∨　/￣｀ヽ::::::∠ __＼＼
　　　　　　　　　/::::::::ｌ　 !{／ .ト=/　/::::::::::::::::l:::::::::::＜__ヽ ヽ
　　　　　　　　　ヽ:::::::|　ハｰr'ﾞY/／:::::::::::::::::::}:::::::::::::::::＜ !　＼　　　　　　受取人氏名　：　サラ・金糸雀・ローゼン
　　　　　　　　　ノ 〉:::| /::::￣｀／:::::／:::::::::::::/::::::::::::::::::::::::＼　 ヽ
　　　　　　　　/　/::::::{ﾊ::::::::::/::::／::::::::/::::::::{::::::::::: ト､:::::､ｰ-ゝ　 ',
　　　　 　 　 /　/:::::::::::∧:::::::ヽ/_/:::／::::::::::::〉､::ﾄ､! | ＼::〉　　　　ｌ
　　　　　　 /　r'::::-::､:/　{:::::::/´::::｀ヽ:／￣:｢､ ﾚ'　　!　 ハ　!　 　 !
　　　　　　,'＿ﾉ_::::__::/　ノ:／::::::::::／::::::::::::::| }/|　　,'　/　ｌ　|　　　ｌ
　　　　　　ｌゞ/／＼〈／／:::､__:／:::::::::::::::::::ﾉ　 |　 /! /　 l　ﾊ　　/

　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　　|　　　 （ ●）（●）
　　　　　　　　　　|　　　　 （__人__）　　 　 　 　 ┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　 　 　 　 　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　　　そう、サラは自分と同じ名前の人間を
　 　 　 　 　 　　　 |　　　　　　 　 }　　　　　　　　　受取人として書いていたのだ。
　 　 　 　 　　　 　 ヽ　　　　　 　 }
　　　　　　　　　　　 ヽ､.,＿＿ __ノ　　　　　　　　　このサラ・金糸雀という女性も実在の人物で、
　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､　　　　　　　　しかもこのマンハッタンに住んでいるらしい。
　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_　　　　┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::＼:::::ﾞ､|||:::/::::::::::|:::






　　　　　　　　　　　　　. - ― - ､
　　 　 　 　 　 　 　 , '´　 　 　 　 ｀ヽ、　, =＝ ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　,　-‐￢Ｖ '´ ￣ ミ 丶､
　　　　　　　　　　　　　 　 ,　´　'´　, '＾Ｙ　⌒丶、｀ヽ､＼
　　　　　　 　 　 　 　 　 , ′' ,　'^7 ,ｲ ハ ､ ｀ 、 ヽ　 丶 ヽ
　　　　　　　　　　　　　,′/ /　　i / | ﾄ､ヽ丶　＼　､ 　 丶｀、
　　　　　 　 　 　 　 　 i　/l ｉl　　 }ﾉ　ヽ　)､＼丶、r‐┬rxヽハ
　　 　 　 　 　 　 　 　 |Ｖ　)ﾘ　　　 　 　 　 ＼丶r勺/ﾍヽえｒｔﾍ
　　　 　 　 　 　 　 　 / |　 , - ‐ ､　　 　 　 　 ｀ {ｰｲＬ/芯Ｙ^Ｖﾊ　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　　　　　　　　{　l　´ ,二、　　 　 　 ￣｀ヽ}ｰ| 人辷ハﾉ ７　　　　　　　　やる夫も何度か金糸雀のアパートを訪ねたらしいが、
　　　　　　　　　　　　　,1 Xびtrﾍ 　 　 　 ,ｘ=ミ、{/V　 ||_し'＾メ　　　　　　　　 .いつ訪ねても留守だった。
　　　　　　　　　 　 　 / !　 {廴j丿　　　　 びrうぃ}Ｚ仁斗- '´八　　　　　　　　 同じアパートの別の部屋に恋人も住んでいるのだが、
　　　　　　　　　　　　,' ｌ| 　 ｀ﾞ "　 ,　　 　 廴rジ　　７ /｀Ｙ く　 ヽ、　　　　　　 その彼氏に尋ねても、ここ数日姿を見ないというらしい。
　　　　　　　　　　 　 | 八　　　　　 　 　 　 ｀ﾞﾞ′　 /rく　人丶ヽ＼ )　　.　 ┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　　 　 　 　 　 　 乂　ヽ、　 　 )　　　 　 　 　 ,ﾍ-‐彳　} ｌﾄ 、＼｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　 ）ﾘ　丶、　　 　 　 　 . イ７ (_ ノ　/ 八　丶 )　 )）
　　　　　　　　　　　　　 / / ﾉ / ＞‐￢ 千>┴┴'-　､=彡ｲ ヽ｀丶 ｀ ＜＿
　　　　　 　 　 　 　 　 /r―' く く⌒Ｖ　／　　　　　　　＼ ﾉ　人＼　｀ ｰ-=ﾐヽ
　　　　　　　　　 　 , イ , 二ヽ ∨{i⌒Ｖ　　　　　　　　 　 ｀Ｙ＾丶ヽ ｀ー '⌒7 ) ）
　　　　 　 　 　 r≠ﾆ//し- ､｀　ﾄ､ヽ ′　　　　　　　　 　 _|｀ヽ、＼丶＼ / //
　　　　　　 　 ,厶=彡'　(_￣｀ 　 ! >ｰ{　　　　　 r,＝=r_ｭ《__》､　＼ ｀ヽ、（ ( ( _＿_
　　　　　　　 {　 l /⌒)人 ｀　　　｀rく 〉- ､　 　 {レ=彳　｀＝=ﾍ 丶ヽ　 ） ｀) ）ｰｸ ﾉ
　　　 　 　 　 )　|{_／/,1 /＞ｰ ､　} /　 　 ｀ く　　　 |!　　　 　 ヽ　〉 }（　 （ (　〈（＿

　　　　　　　　　　　　　ｒ'''~｀i｀''､
　　　　　　　　　　　 　 i,,,,r'''i'''ｭ,i_
　　　　　　　　　　._,,r''' ,,r'''i.||'|　 ''‐,,
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　　　　　　「ソーホー　サクラダアパート」

　　　　　　　　　　　　 ＿
　　 　 　 　 　 　 　 //⌒ヽ
　　　　　　　　　　 //　　　 ＼ 、
　　　　 　 　 　 　 | |　　 　 　 }_}､__　-┐
　　　　 　 　 　 　 | 廴r…‐ /⌒｜ｉ　 卞ﾐ‐ ､_
　　　　 　 　 　 r ヘヽl|　｢　|　　！|　　} ﾉ　　 ＼
　　　　 　 　 　 ＞ '⌒ヽ_ヽ 　 　 ｌ/ _,ノｲ　 -､ 　 ヽ
　　　　　　　／ ／/ ／ｲ ∧　　 / ｨﾊヽ＼　　ﾞ,ヽ　 ',
.　 　 　 　 / ／　/〃/ il ﾄヽ＼//厶ハﾍ　＼　!　ﾞ　 i
　 　 　 　 ' /　/// | 「｀l |｀⌒ ^""´ ⌒ｌ |^ヽ.ヽﾄ 、ｌ　l
　　　　　 {/　 ′′ﾚ′l |　　　　　　　 l |　 |l　|　} |　|
　　　　　/ 　 |　|｜ト .,_ｌ'__　　　　 　__,.斗 ‐|l　|　'！ L　　　　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　 　 |,ｨ　 l　|i ! ｌ　_⊥_　　　　　　 ＿l_　l　/∧ｲ ﾉ 冫　　　） ）　　　　　水銀燈……紛らわしいので、便宜上ミドルネームで呼ぶ事にする。
　　　　 （　ｰ人八 {,ｲ㌃i^ﾄﾞ　　__ 　 '1㌃i小!//-､} ヽ {　　　　　　　　　　　 水銀燈の自宅であるサクラダアパートの前に差し掛かった時、
　　　　　 >'　 ﾉ { ﾊ. ゞ-'ノ　 }´　 ｀{　ゞｰノ　ｲ　リ　ハ｀ト､　　　　　　　　　 管理人とおぼしき女性に引き止められた。
　　 　 ∠_ -く_rﾍ, ﾊ　￣ 　 ′、　 、 ￣ 　 /_.ｨ_∠.ノノ__ﾉ　　　　　　　┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　 （廴_）　）ノ _ﾌﾍ ー‐ 　 _ ＿　　ー‐ ｲ: : 卞　{ ｛ {
　　　　｀ァｰr'´／ ﾉ/: へ、　 ヽ　 ′　 ／ハ: : : ｉ ＼, -ﾐ⌒i
　　　　（ 　 ゝァ '´ i: : : :ハ＞　 __,　＜彡'/ |: : : |　　＼ﾉ,ノ
.　　　　 　 ／　　　|: : : l|　ヽ｀ ｰ -　　 ／　 |: : : | 　 　 ヽ
　 　 　 　 |　　　　 |: : : ｌ|　　 ＼ 　 ／ 　 　 |: : :.:|　　 ,　'|　　　　　┌【桜田のり】
　 　 　 　 |　　＼. へ、 :|ヽ　　 / く　　　　.ｲ|: :_:人 ／　 | 　 　 　 .｜　　サクラダアパートのオーナー兼管理人。
　　　　　　､　 　 ′: : :｀: ┴─'ー-ﾍ　 ／:':￣: : :ﾊ'　 　 |　　　 　 .｜　　噂好きで、他人のプライバシーに大きな興味を持つ。
　　　　　　 ﾄ､　 l: : : : : : : : : : : : : : : ｀´: : : : : : : : :|　　　|　　　　　.└─────────────────────────
　　 　 　 　 ｌ　　l: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ｌ　　　|



　　　 ／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　 （ 一）（●）
　　|　　　　 （__人__）　　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ　　　　　　　　　俺がリバティ･タウンの刑事である事、
　　 |　　　,.<))／´二⊃　　　　　　　 そして水銀燈の自殺を私的に調べている事を伝えると、
　 　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃　　　　　　　　途端に彼女は目を輝かせた。
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉
''"::l:::::::/　　　 __人〉　　　　　　　　　 どうやらこの手の話題に興味深々な、噂好きの女性らしい。
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_　　　　　┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|

　　|　　　Ｌ　-=ニ二（　　／ /　　　 }　}　}　 ｀ヽ
　　|　　　| ／　　 ´二ヽ（（　{　　 　 '　ﾉノ　､　l！ ､
　　|　　　|'　／ 　 　 ,　 ﾆ二￣ 　 /　 / 　 j ｝ヽし' }
　　|　　　| /　／　／ ∧へｉ　 ! , /　 /ヽ‐=く　　`ｰi
　　|　　　|'　/　／ / /ヽﾊハ ﾉ// ／　} ｝　ヽ＼　　l
　　|　　　| / 〃　/ /　 　 　 ヾ└=￢ァハ 　 　 ヽ ！
　　|　　　|' / ﾍ / /　　　　　　 　 　 //　l|　ｉ　　　',　!
　　|　　　|/ / ∧/　　　 　 　 　 　 //　 .l|　|　　　 Ⅵ
　　|　　 ｜/_,_ ∧　 　 　 　 　 　 //　　 l|　| 　 ｉ　 ｌ|′
　　|　　　Ｋ⌒iく　ヽ　　　　　　　//　　 〃 ,′　|　 ｌ|
　　|　　　|个个}､　　　　　 　 ／ '　　／　/　/　|　 ﾘ　　　　　┼
　　|　　　|^Y^ソ Ｌ. _ 　 　 　 　 ー '´/　/　/}　 ｌ　'′　　_人_
　　|　　　|￣´　 ｌ　　 ヽ.　 　 ,　=＜/　/　//　 ,’/　＋　　Y　　┼　　　　やっぱサラちゃんの事って自殺じゃなくて事件なのかな？
　　|　　　|　　/７ -　_　 〉´　ハｰ个｢ /／〃　ｲ/　　　　　　　　　　　　　考えてみれば、あの子が自殺するような人間にはとても見えなかったからねぇ。
　　|　　 ├‐ｧ '　　 　 7′　 V＾Y＾ｿ　 ∠/／ /　　 　 _人_ *
　　|　　　| /　　　 　 / |　　　 ｀¨´　 ,.ｲ　 ｉ} X　ヽ　　　 Y　　┼
　　|　　　|'　　　　　/　 ､　　　　　／ /　 ハ　ヽ　!　　　　+
　　|　　 ｜　　 　 /　　　＼＿ ／_／ ／　 l}　ｌ|　| 　 ┼　 _人_
　　|　 ／⌒ヽ､.._/_＿＿__　 イ ｀7¨¨´}　　/　 l| ｜　　　　　Y　　+
　　| /　　 　 ｀Y　 /　＼　 （(　 /　 ／　イ　　ﾉ,ノ　*
　　|.Ｌ ィ　　　〈 ∨　　/ﾊ　 ヽ ｛　〃￣　｀ヽ（(　 　 _人_　 　 _人_
　　|　/　　　　 }/ 　 〃　|　 丿 ヽ{{　　　　　}　ヽ 　　Y　　＋　Y



　　　　　　 　 　 　 　／.: : : :.:.:.::l.:.:./.:ミﾐ､ｨｲ彡i.:.:.::l:.:.:.: : : : :､ヽ
　　　　　　　　　　　/ . : : :.:.::l.:.:.l.::/ 1:lミﾐV/彡l.:.:.:.l.:.:.:.:.:..:. : : ヽヽ
　　　　 　 　 　 　 /　: : : :.l.:.l:.:.:l.:l　 |.:l´｀`'"´　|.:.:.:l:::::::::::::.:.:.:.: : : :',
　 　 　 　 　 　 　,′. : : l:.:l.:.l.:.:.l.:l　 |.:l 　 　 　 |.:.:/l.:.ﾄ､:::::::::l.:l.:l.:.:.:!
　　　　　　　　　 i.:l.:.: : : l:.:l.:.l.:.:.l:.l＿|:.lノ　 　 ､_|./_.j.::! i:::::::.:l.:l.:l.:.:.:|
　　　　　　　　　 |.:l: : : : |.:.l.:.K´l:「二l/　　　　　l'￣l./｀|::::::./.:l.:l.:.:.:!
　　　　　　　　　 |.:l: : : : |:.:l.:.l.ィ行〒｀ヽ 　　 / ィ行〒ﾃ.::/i.://:.:.;′
　　　　　　　　　 |:ハ. : .:l:.:ﾄ､l/ l f:11　 !ﾆﾆﾆ!　　iﾄ‐ｲ! l:/ l//:.:./　　　　　ルームメイトの世界ちゃんとも、お父さんともあんまり仲良くなかったみたいだし。
　　　　　 　 　 　　 __ヽ.:.l.:.|ﾄ､. ヽりﾉ　ﾉ　　　 ',　　リﾉ　 ﾉ ハV　　　　　　　サラちゃん、大人しそうに見えて結構男の出入りが激しかったからね。
　　　　　　 　 ,．'´. : : .｀Yい ｀ー‐一'　　.　 　 ｀ｰ---‐'　,ﾍく::i　　　　　　　　この前だって世界ちゃんのボーイフレンドが言い寄ってきて……
　　　　　　　/ . : : :.:.:.:.:.:.::＼ヽ　　　　　　'　　　　 　 　　/_ノﾉ.:',
　　　　　 　 l : : ::::.:.::.::::::::::::「｀ヽ　 　 　- ‐‐-　　 　 　.ｲ.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　 　 |: : :::.:.:.:::.::::::::;． '"´ ＼　　　　 　　　　／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i
　　　　　 　 |: :.:.:.:.:.:.:.::／　　　　　 |｀ヽ､ _＿ _,. ィ ´￣｀ヽ.:.:.:.:.:.:.:.i
　　　 　 　 ∧:.::.:.:.:.::/ 　 　 　 　 　|　　 　 　 　 ﾉ　　　 /.:.::::::::::::::i

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,. .:.:.: ￣｀`ヽゝ- _ﾉ:ﾉ､
　　　　　　　　　　　　 　 , -‐='ﾆ´.:.:.:.:　　.:.:.:.:.L,.::ﾍV/^ヽ
　　　　　　　　　　　　　　／,.ィ.:.::／:; . .., .;ｨｲ.:ｨｲﾐ彡ﾍ::.:. ﾞ､
　　　　　　 　 　 　 　 　/:〃.::.:://.:/.:::/:/ /::://^"｀`ヾ:::::l:ﾄ､_
　　　　　　　　　　　　　l//.::/://::/::::/l/ /.:;.ｲノ　　　　';:::l:ﾄ､!::.ヽ
　　　　　　　　　　　 　 　l.:.:l/l/:l/l:::/　 一' 　　　 ヽ___, !::l:l:::!:::::l::!
　　　　　　　　　　　 　 　l::::l:::ﾄ､VV（　　＼　l ┌_＿　 /:l/:::j!::::l::!
　　　　　　　　　　　　　　 VV:::ﾉ　　ヽ_ ￣ノ⌒1 ＼　/::/:／l::/l/
　　　　　　　　　　 　 　,　-‐1い､　　' ' ' ' ' 　 　ゝ--j::ノ´　 l/　　　　　　　あらあらゴメンナサイ、
　　　　　　　　　　　　〈　　.:.::ﾄ､ __　　　　 |￣｀7　' ' 'ﾚ'⌒ヽ　　　　　　　　これ以上は住民のプライバシーを侵害しちゃうわね。
　　　　　　　　　　　 _ノ　.:.:::::i::!`ヽ＼.　　 |.:.:.:/　　 ノ.:::::.:.:.l
　　　　　　　　　　　 /　.:.::::::ﾉﾉ 　 　|＼　 l:.:/ ,. イ ＞=､.:.:ﾉ
　　　　　　 　 　 　 〈(⌒¨¨´,r‐- ､ _」 __｀`二´ ／　　　 V
　　　　　　　　　 　 　 　 　/　/　ノ/rttｭ 7´ﾚ'´ ./　　　　',
　　　　　　　　　　　 　 　/　/　に八___ノ/　| !.:/　　　　　,!
　　　　　　　　　　　　　　', 」　　//　ﾄ､/_＿」 !:l /　　　 V　　　,r--‐┐
　　　　　　　　　　　　　　 V　 //　　 / ￣｀`7V　　　　　}_r'⌒ヽ ,/　ﾉ.ｰ､
　　　 rﾉ￣｀`ヽ__　　　 　　l　 l/　　/　　　／　{　　 　 ,.ｲ l　 　 ﾉ<､ヽヽﾉ
　 　 ﾉし'´￣` 「 7⌒ヽ､ 　.l　 ﾄ､ ,.ｲ .:.:::／.:.:.:.:::|　　／　 V 　　 し'　）ﾉﾉ
　 　 }_ﾉ　　 ,.r:|/　 　 　 ｀`ﾄ､:.',　/.:.:／.:.:::::::::::::|　/　　　　＼ﾉ.:ﾉ`"´
　 　 (_＿_ノ　 L_ .　　　 　 {ハヽ|.::/.:.:.:::::::::::::::::| ﾉ　 　 　　　ﾌ´
　　　　　　　　　　 ｀`ヽ:::.:.:.　　',:l::ﾉ.:.:.:.:::::_ノ.:::人　　.:.:.:.:.:.／
　　　　　　　　　　　　　 ｀`ヾ:.:.:.V.:.:.::; ィ´　　　　｀`ー'"´￣＼


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 ＼　 　 ＼
┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓ .（●）（● ） 　u.　|
　　もう充分侵害しているだろう……という突っ込みはやめておいた。　　　　（__人__） 　u　 　|
　　事の真偽はともかく、意外と手掛かりになる話が聞けそうだから。　　　　.(｀⌒ ´　　　　　|
┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛　 { 　 　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{ 　 　　　u.　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　 　 　 　 　 　　＿＿＼　　　　 /ﾘ 厂`'‐- .._
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ :　　: :介ｰz＜__｣// |: : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 | : : : : ::〈　｢｀乂/ 　/ 丿: : : : : : : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| : : : : : /: |　{::::}　/ `7: : : : : : : :│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 　 　 　 | : : :　〈: :│ {::::l /. :/. : : : : : : : : |

　　　 ／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　 （ 一）（●）
　　|　　　　 （__人__）　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ　　　　　　　　 来客があったのか……。
　　 |　　　,.<))／´二⊃　　　　　　　口ぶりからすると、ルームメイトの世界とも違うようだが……？
　 　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃　　　　　　　　とりあえず今は、これだけで充分だろう。
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉　　　　　　┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
''"::l:::::::/　　　 __人〉
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|



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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 〈::::::〈二二二＼:::::／〈
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　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　〈::::::::∨::/::/::/::∧　∨￣＼
　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　`─‐∨ /::/:::/ /＼　　 　 〉
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　　.:.;::;.:;.; ..;:`ー─--- ───′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　...:;.:;.:;;:.;:::;;;;;;;:: :;;;...:;;..;;;...:;;...:;;
　　　　　　 　 　　　 　 ...:;:;:;.:.;:.:;.:;.:;.:;.:;:.;.:;.;. :;;;;;;;:::; ;;;;;;:: ;......:;;
　　　　　　 　 　　　...:;:.;:.;:;..:.;:;.:.;::.;:;.;:.;:.:;.;:.:; :;;;;;;;: : :;;;...:;;...:

　　　　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　　　　　　　　俺は彼女に礼を言うと、向かいのアパートに足を進めた。
　　　　　　　　　　　　第一発見者……ジュン・ベイカーを訪ねるために。
　　　　　　　　　┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛








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　　　　　　　　 　　　　　 |　 　 |　 　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　|　 　 | ＼　.:;,　||　　 　 ||
　　　　　　　　　　　　 　 |　 　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 |　 　 |　　＼　::||　　 　 ||
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　　　　　　　.＿_|＼　＼＼　＼＼
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　　　　　　　　＼|￣´

┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　そういえば２５階もある高層アパートなんて、リバティ・タウンの田舎じゃ考えられなかった。
　　こういった建物こそ、毎年何万の人間が入り込む大都会ならではなんだろう。

　　向かいのサクラダアパートと似た作りのこのアパートの２５階に、ジュン･ベイカーの部屋がある。
　　位置・方角・高さから見ても、丁度サラの部屋の窓と向かい合わせになるようだ。
┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛

　　　　　　　＼ ,,_人､ノヽ
　　　　　　　　)ヽ　　　　（
　　　　　-　＜　　　　　　 ＞　　　　 　 , ￢―‐､
　　　　　　　　)　　　　　て　　 　 　 ／　　 ＼　}　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　　　／^⌒`Y´^＼　　 　 ／　　ヽ｀ヽ ノヽ　　　　　　呼び鈴を鳴らし、４回ほど扉をノックしたところで、
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　 ＼人_/　　　　　　ようやく扉が開き、部屋の主が顔を覗かせた。
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 　 tく＿/／　　　　　 ┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　　　　　　　　　　　　　./　　　＿ノー'’
　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　Ｙ
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: : 〈　　　　　　　　　　＼　　　　　　 ', .:.::::::::::::::::::|＼.::.:|
: : : :',　　　　　　 .:.:.:.:.:　 ＼　　　　　 ',::::::::ﾄ､.::::::::|　ﾊ:.:l
: : : : :',　　　　　 .:.:.:.:.:.:.ﾄ､　＼　　　　 ',::::::lﾆ＼:::::|　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
: : : : : .',　　　　　.:.:.:.:.:.:l　＼　＼／　　',::::l　　 ﾄ､|　　　　　　　　その男は見るからに、他人との接触を嫌っている風に見えた。
: : : : ::::::',　　　　 .:.:.:.:.:.:l　　　`y':／ﾆヽ ',::l1 　 l |　　　　　　　　　事実その目は「早く出て行け」と言わんばかりに俺を睨みつけ、
.:.:.:.:::::::::∧ 　　　 .:.:.:.:.:.:l　 ／／／　 い / l　　l |　　　　　　　　　　口は貝のように閉ざしたままだった。
:.:.:.::::::::/　ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l ..／∠　　　 い /ハノ/　　　　　 　 ┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
.:.::::::::./　　　＼.:.:.:.:.:.:.:.:.:V彳o:::ヽ　　　j! !　　`ヽ
.:::::::::〈 　　 　　 ＼.:.:.:.:.:.:.:}ﾑ:::::::ノ´ ／／　　　 /
､::::::::::.＼_,,　-‐　　＼.:.:.:.:l　￣　／／　　 　 ,.ｲ
　ヽ　　　　　　 　 　 　＼:L＿／／　　　　　 /
　　＼　　　　　　　　　　└＝＝'　　　　 ／/　　　　　　　　┌【ジュン・ベイカー】
　　　 ＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　 　 　 .│　　水銀燈自殺の第一発見者。
　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　 ,′　　　 　 　 　 .│　　日中から部屋に閉じこもっており、他人との接触を拒み続けている。
　　　　　　 ＼　　　　　　　　　　　　　　 ,′　　　　　 　 　 .└─────────────────────────────────
　　　　　　　　＼`ー--------r---‐‐'´
　　　　　　　　　 ＼　　　　　 ∠￣`ヽ

　　､＿＿／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::/: /::/::::::＼ﾍ
　　 ＞::::::／::::::::/::::::::::/::::::::::::::::: |:::::::::::::::::::/::::V:::/:i::::::ﾍ:::＼
　　　 ／:::::::::::::/::::::::::/::::::::::::::::: : |::::::::::::::ﾄ::iト::┴<:::|:::i::::::＼::＼
　　 /:::::::::::::::::/:::::::: /::::::::::::::::::: ::ｲ::::::::::::::ﾊ::|　 　 Vﾉ: |:::::::::ﾊ￣
.　 /:::::::ｨ:::::::/::::::::: /::::::::::::::::::::::/-∠ヽ:::::',　ヽ　　.ｲ:::/:::::::::i::ヽ
　/:::／ |::::: {::::::::::::i:::::::::::::::::::／＿＿≧:::::ﾊ　 ＿∠:/:::::::::人:::::ゝ
./／　　.}::::::i::::::::::::|::::::::::::／ ||' r￣ (:::). Yヾ:::i　 r===ﾚi::::::/:}＼i
　　　　 ﾉ::::::|::::::: : |::::::／|　 .||　＼　＿　i　ﾊﾄ=ｲ(::)ヽ{:l:: /:::i
　　 　 ハ:::/i::::::::::ﾊ／ヽ/　　ヾ＿＿＿ノ　　　}､-　i::./ハ.|　　　　　……警察に話した事以外は何も無いよ。
　　　／=＼ ﾚﾍ::ﾊ ヽ　{　　　　￣￣￣　　　 ノ　　|'´　　　　　　　　あの日、星を眺めていたら、向かいの窓からあの女が飛び降りるのを見た。
　　/'´　　　＼＼::::ヽ ヽi　　　　　　　　_ ＿　　　 /　　　　　　　　　それだけだ。
　　{　　　　　　￣＼￣｀ー ､　　　　　 'ー-' 　 ／
　 ノ｀ー ─　ミ､　　.＼＼　 ￣}　　　　　｀　／┐
. (　／　　　　　 ＼　　 ＼＼　 i　　>──'´　　ヽr-､
　.Y　　　　　　　　 ＼　　 ＼＼廴r　＞'´　　　/　　 /
　/　　　　　　　　　　ﾊ　　　　ミ＝V　　　 /／　　イ



　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ|:.:.＼
　　　　　　　　_ - ' ´:.:.::.:.:.:.:.:.:.:_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.::＼　　 ,
　　　　　　　ヾ､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::､:.:.:.:/ ／/
　　　　　　　　　＞:.:.:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:./:.:.:.:.:.:.:.:ﾚ:.:.:/
　　　　　　　　 /:.:.:.:.:.:./:.:.:.:._;,;,-‐''''´:.:.:.:.:./:.:.:./:.:.:.:.-='´
　　　　　　　　｀ -､:.:.:/:.／/ ゞ:.x ､-ー ''´|:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.＼
　　　　　　　　　　ﾚ､:ﾚ´∧ /　｀　 ＼　.ヾ|:.:/|:.:.:.:.:.|:.:.:r､_::ゝ
　　　　　　　　　　　 ミ,;,;:.::|　　　　 　 ｀＞ミ_.|:.:.∧|:.:.:.:}　　　　　　見ちまった以上、市民としての義務感から一応通報はした。
　　　　 ,＿＿ r‐─ v'´　 ヽ　　　　　／ヾ∠.|:/|:./:.:.:.:.|　　　　　　それ以上の事は知らない……。
　 　 /.: : : : : : ＼: : : :＼ 　 ､　　　_　ヽ '´ |'' ´ ﾚハ:.:./　　　　　　他人がどうなろうと、僕は知ったこっちゃない……。
　　/／＼: : : : : : ＼: : :: :>v ＼　 ヾ_ , -―
　.//: : : : :＼: : : : : : V/: : K: : : ミ'´
../: : : : : : : : :＼: : |: : V: ∨: V: 入
/: : : : : : : :: ::: : :V: : : : : : ＼//: :/ヽ

　　　　／::::::::::::/::::ハ::::::/:::|::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::＞．
　　 ／:::::::__:::::/::::::{ﾄ::V::}:::::|::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,
...／-=イ::::::／:::::: : |::ハ:|:::::|::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾑ
　 　 /:::::::/:::::::::::::::::!ミﾐⅣｿ|:::::::::::::::::',::::::::::::::::::::::::::::::::::＼:::::::＼
　 . /:::::::::i:::::::::::::::::::|r"￣　 !:::::::::::::i::::V::::::::::::::::ヽ::::::::::::::ハ＞ー
　 /::::::::: :|::::::::::::::::::::|　　　.ﾘ:::::::::::: |::::::V::::::::::::::::::',:::::::::::::::::',
. /::::::::::: ∧:::::::::;:::::: |　　　,'::; ｲ:::::: |ヽ::::ヾ ､::::::＿ﾊ:::::::::::::::∧
ｲ:::::::::; ｲ:::∧::::_|ﾑ＝!＿＿/__. V::: | _..≧__,,ｨ≦_:::`:V::::::::::::::::＼　　　　　あんたは何でそんなに死んだ人間の事を調べるんだ？
- ' ¨　/:::::::::::>､:{r¨￣￣ ≧ミ}ﾄV:: |r＝″￣￣ } }::::V::}`ー──　　　　　そんなもん、ほっときゃいいじゃないか……
　　　,'::::::::}:: i r }!{　,,＿＿ｪz .}}==={{　zｪ＿＿,　}i{ Y::rﾊ
　　 /:::,ｨ/ﾄ.人　{i{ ´￣￣￣` }}￣ {{　´￣￣ ` .}i} ﾉｲ
　 ./／ノ　＞ミﾄ _ﾊ＝＝＝＝"　i} ゛＝＝＝＝ｲノ_＿
　　　　　 ,/　//￣八　　　　　＿＿　　　　　/" .ト　}}ハ
　　　　i７　　{ {　　　 ＞　.　　　　　　　　　ｲ　　 i!　.}}　廴_
　　　 ﾉ　　　 ヾ;､　　　　　＞　　_　　＜　　　　 /　/　　　ハ
　　 /　　　　　　＼　　　　＼　 　　　 /　　　_＿ ノ　　　　　 }
　 ./ ＼　　　　　　 ＼　　　　＼　 .／ ,．＜　　　　　　　　 ..人 _
　/　　　`ー＝ミ､　　 ＼　　　　N/　/　　　　　　　　　　 イ　　　ヽ



　　　　　　　　　　　　　　　 ――　､
　　　　 　 　 　 　 ／ 〉 ´　　　　　　＼
　 　 　 　 　 　 ／ ／'　 __ ノ 　 ゝ.__　ヽ　　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　　 　 /　/／〉　 ( ー)　(ー )　 ｌ　　　　　　　　　ようやく口を開いてくれたと思ったら、ご覧の通りだ。
　　　 　 　 　 ｌ　 ´ イｌ　　 (___人___)　　ｌ　　　　　　　　　もしかしたら例の「来客」も目撃してるかもと期待したのだが、
.　　　　　　　 ｌ　 　 ｉYｌ　 　 ｀ ⌒ ´　　 ｌ　　　　　　　　　当てが外れたのだろうか……？
.　　　　　　　/　　 ﾊ !.!　　　　　　　 　 !　　　　　　　.┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
.　　　 　 　 /　　/　 ' ヽ 　 　 　 　 　 /
　　　　　　 ｌ　　　／/ ､ゝ　　　　　　 ／ ヽ_
　　　 　 ´｀ ー‐ '｀./　　｀ー､　　,－´　　/ 　 ＼
.　　　　 ｉ　　　 　 ｉｉ　　 / ｀:.ｉ 　 ｉ´ヽ.　 /　　 　 ｀　 ､
. 　 　 , 'ｌ　　　　　ｌ.!　 /　　 ｌ 　 !　ﾊ　/　　　　　　　 ＼
　 　 / ,:|　　　　　| ヽ/　　　!＿'　　 V　　 　 　 ,　 ,　 　 ヽ
.　　/ / ｌ　　　　　|　　　　 /:.:.:.:ヽ　　　　　　　/　/　 ／　 ｉ
.　　!/　 !　　　 　 ｌ＼.　　 ｉ:.:.:.:.:.:.ｉ　　　　　 ／　/　 /　　　ｌ
　　/　　　　　　　 !　 ヽ.　 !:.:.:.:.:. !　 　 　 ´　　 !　 /　　 　 !

　　　　,,,,,,,_　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┏━━━━━━━━━━━┓
　.r''~~ﾞ|　　￣ﾞﾞﾞ"''''─ｰ--､､､､,,,,,,,,,,__　　　　　　　　　　　　　　 　 　 .┃┌─────────┐┃
　　　　|　　　　　　　　　　　　　　　 　￣~~''''''ｰ―----､､､､、　 　 　 ┃│ 　バ ワ リ ー 通 り　..｜┃
　　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　| |　　　　 ┃└─────────┘┃
　　　　| .|　 　THEATER LALA＿_　　　　　 　 　 　 　 　 .| |　　　　 ┗━━━━━━━━━━━┛
　　　　| .|　 |￣￣|￣￣|｀ｰ───｀　　　　＿＿＿＿＿　| |
　　　　| .|　 |＼＼|＼＼|＼＼|＼＼|　　　［:|　iyou-re2:::|　| |
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　　　　| ,|　[l_l_l_l_l_l_l_l_l_l_l_l_l_l_l_l_l_l_l]　 　 [:|::::(・ω)丿;;;;;|　| |
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　　　　| ￣￣￣￣ ￣￣ ￣￣ ￣￣ ￣|　　 ﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞ　| |:ﾞ;:":;:ﾞ::｀ﾞ;:":;:ﾞ::｀‐''､
　　　　| .l￣￣ll￣￣￣ll￣~~|','|_＿______|:　[: :］┌───┐| |ﾞl ﾞ;:":;:ﾞ::｀ﾞ;:":;:ﾞ::｀_;:
　　　　| .l　// ll　 //　 ll　/　|','|［ﾁｹｯﾄ］|　 |l:| l,,,,,上映中,,,,,l、|ﾞ'''''''ﾟﾞ“　: : ｀ _＿_
　　　　| [ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ］' |━━━l|　 |l:| l　 l:l: : : l:l 　 l | |　──,,_　　|:←:|
　　　　| [:::::::::::ll￣l￣ll:::::::::::::]',',|l (~) (~)||　 |ll| l　 l:l: : : l:l,,,,,,,l | |　　　　 　￣|..P..|
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　---､ヽ[---ｰ''''''"~ﾞ＿,,,,,,,,,､￣---ｰｰ┴''''''""~ﾞ￣: 　 :　._,,,,,,,,,,､､､ｰ''''''"ﾞﾞﾞ~￣
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　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　ノ　ヽ､＼
　　　　　　　　　. |　　 （●）（●）|
　　　　　　　　　. |　　　（＿人_）│　　　　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　　　　　　| 　 　 ｀ ⌒´　 |　　　　　　　　　　　これ以上ジュンを問い詰めても余計口を固く閉ざすだけと判断した俺は、
　　　　　　　　　　 | 　 　 　 　 　 |　　　　　　　　　　　バワリー通りにある映画館「シアター・ララ」へ足を運んだ。
　　　　　　　　　.　 ヽ　　　　　　/　　　　　 　 　 　 ┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　　　　　 　 　 ∧...__　　 ヽ/／＞
　　　　　　　　　／　 ､i i!「Tiｧ￢ﾄ､__
　　　　　　　 ／｜　　〉￣¨¨ﾃァﾍ ＼｀.¨　､
　　　　　, ィ´､ｰ┴一'　'.ヽ　f'´,,ィ'ﾍｰ｀ ´|一' .
　　　／　　'.　＼　　　　 '. ヽ!'´ ,,ィ'ﾍ　　.!　　 ＼
　　 l　　　　 '. 　 ＼　　　 '.　ヾ'´　,,ｨ'.　｜　　　 .i
　　,'　　 　 　 V　　 ＼　　 '.､　ヾ'´ } '. ｜i!　　　 i
　　l　　　　　　! 　 　 | ＼ 　 '.｀　､Y／! |　|　　　 |
　 .,'　　　　　 ,'　 　 　!　　＼　'.　 {f:)　|j　 |　　　 |



　　　　　　　 _,.　-ー- ､、
　　　　　　／　　　　 　　＼
　　　　　/　　　　　　　　　 _>、_,ｨー-- ､,_
　　　 　 |　　　　　　_,.-‐'"/　　　　ヽ　　　`ト､
　　　　　　　　　_イ´／　　　　　　　　＼　　 　 ＼
　　 　　　　　／　 /　　　　　　　:　　　　＼:. 　 　 ﾍ
　　　　　　 /　 　　　 |　　 :.:|　　:|　|＼:..　 ヽ、　 :.:∧　　　　　　　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
.　　　　　 /　 /　 /　:|　　 :.:|　-┼--＜_　　 |:.　　　 i,　　　　　　　　　　　　　目当ての人物は切符売り場にいた。
　　　　　 l　.:/　:.:|　:..|／　:.:| :.:./-ｪ,＿　 '|:.:.:.|:.:.:|:.、　ヽ　　　　　　　　　　　　西園寺世界────
　　　　　 | ./!　:.:.|:.::./＼　:.:.|:../　ｲi爪心､|::.:.:|:.:.:|:.｝＼::.＼
　　　 　　||　|　 :.:| :.:.:|r'示Y:.!/　　{l:.O:ﾘ　/／|:.:/V　　＼_）　　　　　　　　　　水銀燈のルームメイトである彼女は、
　　　　　 |{　l 　 :.| :.:.:l{ ﾔo:}＼　　 `-‐'　/ 　 jﾚ' 人..　　　 `ｰ─-- ､、　　　　ここニューヨークで最も水銀燈の近くにいた人物のはずだ。
　　　　　 ヽ　＼　V :.ﾍ　Vﾉ　　　　　　　　 　x_／:.:..＼:..　　　　＼ 　　）　　　 彼女から水銀燈の事を色々と聞けるんじゃないだろうか……。
.　　　　 　 　 　 ＼＼∧　　'　　 　 　 　 　 /.＼:.:.:.:.:.:.:.＼:.:.＼.. 　 ＼　　 　┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　　　　　 　 　/ l/:.:.ﾍ、　　⌒　　　　 ｲヽ.:.:..＼:.:.:.:.:.:.:.＼:.:.＼:..　 |
　　　　 　 　 　 　| /|:.:.:..:.:.＞ 、　 　 _.　　　 ∨:.＿＼:.::.　 　＼　＼: |
　　　　　　　　 　 |　ヽ:.:.:.:.:.:.:.＼＞'"i　　　 ／￣ 　 ＼＼　　）　)　　）
　　　　　　　　　　|　　＼　＼:.:. ＼ /〉　／　　　___,,.イ:＼.　/.／　／　　　　　┌【西園寺世界】
.　　　　　 　 　 　 |　　　 ＼ 　＞'／ ＜ 　 　 ／:::::::::::::::::::ﾍ /　〆　　　　　　 │　　水銀燈のルームメイト。
　　　　　　　　　　 ＼ v-､, ／_イ、　　　 　／::::::::::::_＞‐--ﾍ　　　　　　　　　 │　　映画館「シアターララ」のチケット売りをしているが、給料は安い。
　　　　　　　　　　 　/　 V⌒~　 〉　　　　/::::::::_＞'"　 　　　i｝　　　　 　 　 　 └──────────────────────────────
　　　　　 　　　　　 ｛ヽ ノ弋__ノ　〉 　　 /::: ／ 　 　 　 　 　 |
　　　　　　　 　　／/　ﾊ ＼　 __＞‐┬┘:/　　　／　　　　　|
　　 　　 　　　. /／ ／人.　ﾍ /　 　 |::::::./ 　 ／ 　 　 　　　j

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.ｨ''´￣｀''‐.､
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ＿＿_ /　 　 　 　 　 ｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　 ,..:.:.':.:.;:.:,:.ｧ:.':/ヽ＞.､,　　　　　　 ',
　　　　　 　 　 　 　 ／:.:.:.:／:.:.:':.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:ヽ＞､
　　　　　　　　　　,.':.:.:.: ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:.＼
　　　 　 　 　 　 /:.:.:.:.:/:.:.:.:.:./:.:.:/:.i:.:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:ヽ
　　　　　　　　　i､:.:.: /:/:.:.: /:.: /:.:.:i:.:.:.:.:.:.:.:.:i:.:.:.:.:.:.::.∧∧
　　　　　　　 　 |: ゞ/:.:ｉ:.:.:./i:. / i:.:.:i:.:.:.:.:.:.:.i:∧:.:.i:.:.:.:.:∧∧
　　　　 　 　 　 |:.:.:.i:.:/i:.:.,ィチ了下 ヽ:.ｉ:了ミﾄ.:.:.i:.:.:i:.:.:.:i.i:.|
　 　 　 　 　 　 i:.:.:.:i:.i-i:.:.i.ｨfﾃ示ヾi　 V:.;ｨ＝xi:/ｉ:.:.i:.:.i:.:|.i/
　　　　　　　　/:.:.:.i ヾi V:ｉ. 伝刈　　　ｉ:/伝;} ﾞ'r.i:.:/i:/i:/
　 　 　 　 　 /:.:.:.:.:＼ ヽヾ! 弋;ﾂ　　　　弋ﾂ　,' i:/ i/ '　　　　　　いらっしゃいま……あら、お客さんじゃないんですか？
. 　 　 　 　 /:.:.:/:.:.:.:.:.:T:.､　　　　　　　,　　　.ﾊ:.|
　 　 　 　 /:/:/i:.:.:.:.:.:.:i:.:.:.ヽ.　　　　　 　 　 /:.i:.:|
. 　 　 　 /:/:/ i:.:.:.:.:.:.:i:.:.:.:.: |.丶　　｀ ´ _.イ:.:.: i: |
　　　　　{/.i:i　i:.:.:.:.:.:.:i:.:; ‐=i　　 ＞.＜:.:.:.i:.:.:.:.ii:.|
　　　 　 　 V　|:.:.:.::.:.／　　 ＼　　　|_,＼.:.:.:./ i/
　　　　　 　 　 ￣￣　 　 　 　 ＼　　 i!　ヽ'



.　　　　　　 　 　 　 ,　' ´ ￣￣ ｀ ヽ.,
　　　　　　　　　 ／　　 　 　 　 　 ＿i＿_
.　　　　　 　 　 /　　 ,....-:.:ニ:.￣:.＞:ﾉィ!:.:.｀:....､
　　　　　 　 　 　 ／:.:.:;.:.':.:.:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:|:.:ヽ:.:.:.:.ヽ
　　　　　 　 　 ,..:'／/:.:.:／:.:.:/:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:.:.∧
　　　 　 　 　 /／ /:.:.:/:./:.:/:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.l:.:.i:.:.:∧:.:.:ﾊ
.　　　　　　　 i/　/:.:.:/:.:.i:.:/ｉ:./i:.:.:.:.:.:.:.:i:.:i:.:.i:.:.:.:.:i:.:.:.:.:!
　　　　　　　　　 i:.:.:/!:.:.:i:/ _少:.:.:.:､:.／/.|:.:i:.:.:.:.:i:.:i:.:.:|
.　　　 　 　 　 　 |:./ .!:.:.ｉ≦ i　i:.:.;/ﾉ＞之!:/i:.:.:/Ⅳ:.:.:!
.　　　　　　 　 　 |:i　 V:.ｉ. 乍ﾊ.V 　 /ｫzx､＞:./:.i:.:.:.:.:|
.　　　　　　 　 　 ヽ!　 ヾ!　ﾋ:ﾂ　　 　 |r';沁 i:/};/:.:.:.:.:|　　　　　　……へえ、リバティ・タウンの刑事さんなの？
　　　　　　　　　　　　 /八　　 ,　　　 ゞ:シ / ./:.:.:.:.:.∧　　　　　　そういえばサラも前はリバティ･タウンに住んでたって言ってたわね。
　　　　 　 　 　 　 　 /:.i:.:.:＼.　 ､　 　 　 .ｨ:ｰ':.:.:.:.:.:.:.:∧
　　　　　　　　　　　/:/.|:.:.:.:.:.:.:..､　_ ,. イ　L_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:∧　　　　　　で、サラの事が聞きたいのね？
　　　　　　　　　 　 {:.i　|:.:.:.:/:.:.:.:こ!　　 　 ゝヽ:.:.:.:.:.:.:.:ｉ:.|
.　　　　　　 　 　 　 ヾ　V:.:.:i＞'' /　 ./ ／　　ヽ:.:.:.:..:.//
　　　　　　　　　　　 　 ,.ィ'´ 　 ./ヽ. ／　　　　　＼／
　　 　 　 　 　 　 　 ／:./　 　 /　／, - '　 　,..-―-ヽ
.　　　　 　 　 　 　 ∧::/rェzx,.i／zｭ.､　 　 /::::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　 　 　 |　V7}以少弐以ﾘ廴__ /:::::::::::::::::::::|
　　　　 　 　 　 　 |. //.ゞ‐ﾂoゞ≠‐///./＞''´ ￣￣V!
　 　 　 　 　 　 　 | {//i　 {.o.{　 　 { i i i´　　　　　　 |'

　　　　　　　　　　　　　　　,....:':´:.:.ｧ:.:.ハ｀ヽ.､
　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／:.:.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:.:ヽ
　　　　　　　　　　　　/:.:.:.;:':.:.:.:.:.:.:.:,:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　 　 　 　 　 　 i==/:.:.:i:.:.:.i:.:,A--､:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:ハ
　　　　　　　　　　　 i:.:./:ｉ:.i.:i:.:.:.i:.i　i:.:i､:.:i:.:.:.ヽ;:.i:.:.:i:.ﾊ
　　　　　 　 　 　 　 i:.:.ｉ:.:ｉ.:i:.i:.:.'イ示ﾞ　ヽi:.:./ .i:.i:.:.:.i iﾘ
　　　　　　　　　　　i:.:.:i:i V:.iヽi 弋ｿ　　　 だ}.i:.!:.:i:.! '
　　　　　　　　　 　 ｉ:.:.:.:ヽヽi　　　　　　　 ゞ' ;ﾘi:ﾉiﾘ　　　　話す事ったってねぇ……正直サラの話はもうしたくないのよね。
　　　　 　 　 　 　 /:.:.:.:.:.:/:.ﾍ.　　　　 　 '　 .ﾊ!　　　　　　　あれは私にとっても不幸な事件なんだから。
.　　　 　 　 　 　 /:.:.:.:.:.:/:.:.:. |＼fヽ　 ´　, ｲ:.:.!　　　　　　　　一人じゃとても部屋代を払いきれないから、
　　　　 　 　 　 /:.i:.:.:.:.:.i:.:.:,. ﾉ　 .| ト, .イ:.:.:.i:.ハ　　　　　　　　また新しいルームメイトを探さないと……
.　　　　　 　 　 {:.:ﾊ:.:.:＞ 'ﾞ f. 　/ /_i . ﾞ`＜:!:i:.:.|
　　　　　　　　　Vイ　　 　 .|　/　 ‐‐} 　 　 ﾞiヽ}
　　　　　　　　 /:::ﾊ　　　　 i i.| . 　こ} 　 　 i::::::ヽ



　　　　　　　, ､' ¨ ´｀ ¨ヽ,
　　　　　／　　　　　　　　＼
　　　.／　　　　 , -－　:.￣:.　:.￣:.ー－-、
　　./　　　　 ／:.　:.　:.　:.　:.　:.　:.　:.　:.　:.＼
　　,!　　　／.:.　:.　:.　:.　:.　:.　:.　:.　:.　:.　:.　:.＼
　　　　／:／　:.　:. :,　,:　:.　:　:.、　、:.　:.　:　:.　 ﾞ、
　　　/　:/ :　:　:　/ /　:　:　: i .i　: i　:　: i.　i.　:　:i
　　 / ; /　:　:　: /: :/　:　:　:　|│: :| ヽ :　|　l 　:　l
　　// ./　:　:　: |._-〈　:　:　: :ﾉ |￣ﾉｰ-i　:|　| ｌ,　: |　　　　　あとサラの事で話せそうなのは父親とか職場の人の事とかかな？
　　|l : .l　:　|　: :|:　:lヽ　:　: ノ / ,,　　　 i,　!　|　!　:|　　　　　サラはお父さんとあんまり仲がよくなかったみたいよ。
　 　!.　|:　:| |:　: ヽ ヽ,,ヽ;／ .ﾉ"ｲニ〒ﾄ|　:,--、:　: |　　　　　私も何度か会ったことあるけどね、あのおじさん。
　　　　|:　:|　|:　: l ｲ〒ﾌ.ヽ　 　　ち:::::ﾘ.|ﾉ　ぅ ）　:　|
　　　.　ﾞ＼ﾞ, ヽ,; : :| ち:ﾘ　　　　　~""゛ﾉ　ひノ:　:　: ｌｌ
　　　　　　＼,　　i ヽ ~　,.:　　　　　　　　/　:　:　:　: :ｌ.i
　　　　　　　　 　.l: 丶.＿ 　ｰ一　　　／i　:　:　: i　:　i ｌ
　　　　　　　　　 |: :ｌ/´,-.｀.ﾌ,　　　,／　 | 、 i　: :|　:　| l
　　　　　　　　　.| l ／ _　ヾ l ｀i´　　　　,　ゝ|　: :|　:　:ｌ .l
　　　　　　　　　.| |.| -´-,ﾗヽi .ﾉ　　　　/　.|　ヽ .ﾉ :　:ﾉ ﾉ

　　　 ／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　 （ 一）（●）
　　|　　　　 （__人__）　　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ　　　　　　　　　会ったことあるという事は、その父親とも知り合いなのだろうか？
　　 |　　　,.<))／´二⊃　　　　　 ┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　 　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉
''"::l:::::::/　　　 __人〉
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|



　 　 　 　 　 　 　 　 , - ― - ､
.　　　　　 　 　 　 ／　　　　　 ヽ
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ＿ 〉＿
　　　　　　　　 　 　 ,...:≦´:.:.／:.V-､＞.､
　　　　　　 　 　 ／.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:..:.:.:.ヽ＼:ヽ
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.　　　　　 　 ,':.:.i:.:i:.:.:|:.:/|:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.||
.　　 　 　 　 |:.:.:|: |:.: ァ≦:|:.:.:|: ＞之|:.:|:.:|:.:.:.|!　　　　　私の彼氏……伊藤誠って言うんだけど、
　　　　 　 　 V:.|:.:Ⅵ :f示jヽ:.|//rzx､:/:./:.| /|　　　　　彼の職場がそのお父さんの宝石店なんだよね。
　　　　　　　　　〉:.:.ﾋ!弋リ　ヾ　 !rtﾘ i:/:./.:.∧　　　　　その関係で何度か顔を見た事があるってくらいよ。
　　 　 　 　 　 /:.:.:.:八.　 　;　 　 ｰﾞ /／:.:.:.:.:.:i
　　　　　　 　 ,::.:.:.:.i:.:.:.＼.　ｰ　　 イ:.:.|:.:.:|:.:.:.:.:!
　　　 　 　 　 |:.:.＞''"´　|｀.ｰ チzx `' ＜:|:.:.:.:.:|
　　　　 　 　 ／:| 　 　 .∧､ ,仁｀　}.　　./:入:./
　　　　　　 /!::::::|　　 　 .∧ .Y　 .人　 /::/ ∧
.　　　　　　|. V::::i　　 ,ィ=x∧{_／ .∧./:/　　 |
　　　 　 　 |.　V:.i ィﾁ{: : : : :Y 　 　 ∧/　　　|

　　　　　　　　　　　　　　　,....:':´:.:.ｧ:.:.ハ｀ヽ.､
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　　　　　 　 　 　 　 i:.:.ｉ:.:ｉ.:i:.i:.:.'イ示ﾞ　ヽi:.:./ .i:.i:.:.:.i iﾘ
　　　　　　　　　　　i:.:.:i:i V:.iヽi 弋ｿ　　　 だ}.i:.!:.:i:.! '
　　　　　　　　　 　 ｉ:.:.:.:ヽヽi　　　　　　　 ゞ' ;ﾘi:ﾉiﾘ　　　　　あとはサラの職場の人についてだけど……
　　　　 　 　 　 　 /:.:.:.:.:.:/:.ﾍ.　　　　 　 '　 .ﾊ!　　　　　　　　彼女の勤め先の「Ｍ＆Ｍ」のマダムがとても優しくていい人だ、
.　　　 　 　 　 　 /:.:.:.:.:.:/:.:.:. |＼fヽ　 ´　, ｲ:.:.!　　　　　　　　　っていつも話してたわね。
　　　　 　 　 　 /:.i:.:.:.:.:.i:.:.:,. ﾉ　 .| ト, .イ:.:.:.i:.ハ
.　　　　　 　 　 {:.:ﾊ:.:.:＞ 'ﾞ f. 　/ /_i . ﾞ`＜:!:i:.:.|　　　　　　　よっぽど可愛がられてたみたいよ。
　　　　　　　　　Vイ　　 　 .|　/　 ‐‐} 　 　 ﾞiヽ}
　　　　　　　　 /:::ﾊ　　　　 i i.| . 　こ} 　 　 i::::::ヽ



　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ＿ヽ
　　　　　　　　　　　 　 　 ,....:.:':.:´.:.:.:.:.ハ:｀:.:..､
　　　　　　　　　　 　 ,...':.:.:.:.:.;.:.:.':´:.:.:.:.:.:i:.:.:ヽ:.:.:ヽ
　　　　 　 　 　 　 ／:.:.:.:.:.:..:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:.: ＼
　 　 　 　 　 　 ／ .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.
　　　　　　　　/:.:.:.:.::.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧
　　　　 　 　 /:.:/ :.:.:.:.::.::.:/:_」_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./i:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.
.　　　　　 　 i:.:/:.:.::.:.::.:. ,ｨﾁ:/.!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:‐-.､:,i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i
.　　　　　 　 i:.i:.:.:/:.:/:.:/　V　i:.:.:.:.:.:.: ／ i .:/ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!
　 　 　 　 　 Vi:.:.i:.:.:i:.:.iィﾃ示 V:.:.:.／　,メ./　j:.:.:i:.:.:.:.:.:.:.i
　　　　　 　 　 Ⅵ:.:/Ⅵ {r';;:::!　ヽ:.:!　　7示ﾄ, i:.:/:.:.:.:.:.:.:.i
　　　　　　　　　 Ⅵ!　i 弋zﾂ 　 ヽi 　 ん;;: ﾘ i/i:.:./:.:.:.:.:i　　　　　そのマダムの名前？
　　　　　　　　 　 i:.:ゝ.i　　 　 　 　 　 之少' ,:'.:., -,:.:.:.:.:.!　　　　　えーっと…………そうそう、御厨ナギって名前だったかな。
　　　　　　　　 　 i:.:. 八　 　 　 ′　　　　　 ／i　/:.:.:.:. i
　　　　　 　 　 　 ｉ:.:.:.:.:.:＼　　 '‐'　　　　 ／:ﾆ-:':.:.:.i:.:.:. i
　　　　　 　 　 　 i:.:.:.::.:.:.:.:.＼　　 　 _ ..ィ:.:.:.i:.:i:.:.:.:.:.:i:.:.:.:.i
　　 　 　 　 　 　 i:.:.:.:.:.:.:.:.:_| .__ ´., 'ﾞ/ﾄ､i:.:.:.:i:.:i:.:.:.:.:.:i:.:.:.:.:i
.　　　　　　 　 　 i:.:.:.,..:＜´ 人ﾍ_/ / j　｀＞.!.:i:.:.:.:.:. i:.:.:.:.:i
.　　　 　 　 　 , ＜´ 　 　 くヽ.ヽヽ i　　　　　 ｀＞　､i:.:.:.:.:i

　　　　　　　　 　 　 　 ￣　 　 ､
　 　 　 　 　 　 ´　　　　　 　 　 ＼
　　　　　／　　　　　 　 　 　 　 　 ヽ
　 　 　 /　　　　　　　　　　　､＿　　ヽ
　　　　'　　　　　　　　　　　　　　 ｀　､ヽ
　　　 l　　　　　　　　　　　　　　,‐-,.._ ゞ
.　　　l　　　　　　　　　　　　　　l　弋心 l
.　 　 l　　　　　　　　　　　　　　冫.ー　く
　　　l　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　ﾉ!　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　l　　　　　　　　　　　　　　 ｀ー‐ f ｒ'　　　　　御厨ナギ……覚えておく必要がありそうだ。
　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾉ'　　　　　　Ｍ＆Ｍのマダムならば、サラが俺に送りつけたカードの事も知ってるかも知れない。
　　　!　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /　　　 　 ┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　 ,'　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /
￣　｀ー -　　　　　　　　　　 　 　 /
　　　　　　　 ｀　 ､　　　　　　　　/
:.:.:.:.:.:...　　　　　　　　､　 　 　 ／
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..　　　　　　.:.:ヽ _　´
ー-　:.:.:.:.:.:.:.:..　　　..:.:.:.:.:.:ヽ
　　　 ｀　､:.:.:.:.:.:.:...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
　　　　　　　..:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　..:.:.:.:.:.:.:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./

　　 　　　 ／￣￣＼
　　　 　／　 ヽ､_　　＼
　　　 （●）（● ）　　　|　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┓
　　　 （__人__）　　　　 |　　　　　　まあそれはさておき、今は目の前の女性に聞き込みだ。
　 　　（　　　　　 　 　 |　　　　　　他に聞かなきゃならない事は……
.　　　　{　　　 　 　 　 |　　　　.┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┛
　　　 ⊂ ヽ∩　　 　 く
　　 　 | '､＿ ＼　／　 )
　 　 　|　 |_＼　 “　.／
　　 　 ヽ､ ＿_＼_／



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.ｨ''´￣｀''‐.､
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ＿＿_ /　 　 　 　 　 ｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　 ,..:.:.':.:.;:.:,:.ｧ:.':/ヽ＞.､,　　　　　　 ',
　　　　　 　 　 　 　 ／:.:.:.:／:.:.:':.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:ヽ＞､
　　　　　　　　　　,.':.:.:.: ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:.＼　　　　　　　.┏━━━━━━━━━━┓
　　　 　 　 　 　 /:.:.:.:.:/:.:.:.:.:./:.:.:/:.i:.:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:ヽ　　　　　　┃ 　９日の夜のアリバイ　.┃
　　　　　　　　　i､:.:.: /:/:.:.: /:.: /:.:.:i:.:.:.:.:.:.:.:.:i:.:.:.:.:.:.::.∧∧　　　 　 .┗━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　 　 |: ゞ/:.:ｉ:.:.:./i:. / i:.:.:i:.:.:.:.:.:.:.i:∧:.:.i:.:.:.:.:∧∧
　　　　 　 　 　 |:.:.:.i:.:/i:.:.,ィチ了下 ヽ:.ｉ:了ミﾄ.:.:.i:.:.:i:.:.:.:i.i:.|　　　　　　９日の夜？
　 　 　 　 　 　 i:.:.:.:i:.i-i:.:.i.ｨfﾃ示ヾi　 V:.;ｨ＝xi:/ｉ:.:.i:.:.i:.:|.i/　　　　　　えーっと……その日は誠と一緒に友達のパーティに出て飲んでたわね。
　　　　　　　　/:.:.:.i ヾi V:ｉ. 伝刈　　　ｉ:/伝;} ﾞ'r.i:.:/i:/i:/　　　　　　　.その後も誠と朝までずっと一緒だったわよ。
　 　 　 　 　 /:.:.:.:.:＼ ヽヾ! 弋;ﾂ　　　　弋ﾂ　,' i:/ i/ '
. 　 　 　 　 /:.:.:/:.:.:.:.:.:T:.､　　　　　　　,　　　.ﾊ:.|
　 　 　 　 /:/:/i:.:.:.:.:.:.:i:.:.:.ヽ. 　 　 ,.--,　 　 /:.i:.:|
. 　 　 　 /:/:/ i:.:.:.:.:.:.:i:.:.:.:.: |.丶 　 ー'　 イ:.:.:.:i: |
　　　　　{/.i:i　i:.:.:.:.:.:.:i:.:; ‐=i　　 ＞.＜:.:.:.i:.:.:.:.ii:.|
　　　 　 　 V　|:.:.:.::.:.／　　 ＼　　　|_,＼.:.:.:./ i/
　　　　　 　 　 ￣￣　 　 　 　 ＼　　 i!　ヽ'

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.ｨ''´￣｀''‐.､
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ＿＿_ /　 　 　 　 　 ｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　 ,..:.:.':.:.;:.:,:.ｧ:.':/ヽ＞.､,　　　　　　 ',
　　　　　 　 　 　 　 ／:.:.:.:／:.:.:':.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:ヽ＞､
　　　　　　　　　　,.':.:.:.: ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:.＼　　　　　　　.┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　 　 　 　 　 /:.:.:.:.:/:.:.:.:.:./:.:.:/:.i:.:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:ヽ　　　　　　┃ 水銀燈が加入した生命保険について ┃
　　　　　　　　　i､:.:.: /:/:.:.: /:.: /:.:.:i:.:.:.:.:.:.:.:.:i:.:.:.:.:.:.::.∧∧　　　 　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　 　 |: ゞ/:.:ｉ:.:.:./i:. / i:.:.:i:.:.:.:.:.:.:.i:∧:.:.i:.:.:.:.:∧∧
　　　　 　 　 　 |:.:.:.i:.:/i:.:.,ィチ了下 ヽ:.ｉ:了ミﾄ.:.:.i:.:.:i:.:.:.:i.i:.|　　　　　保険？ああ、それは私達の友達……ちゅるやって言うんだけど、
　 　 　 　 　 　 i:.:.:.:i:.i-i:.:.i.ｨfﾃ示ヾi　 V:.;ｨ＝xi:/ｉ:.:.i:.:.i:.:|.i/　　　　　そのちゅるやが入らないかってしきりに勧めてきたのよ。
　　　　　　　　/:.:.:.i ヾi V:ｉ. 伝刈　　　ｉ:/伝;} ﾞ'r.i:.:/i:/i:/　　　　　　 私はそんな余裕無いから断ったけど、サラは入ったみたいね。
　 　 　 　 　 /:.:.:.:.:＼ ヽヾ! 弋;ﾂ　　　　弋ﾂ　,' i:/ i/ '
. 　 　 　 　 /:.:.:/:.:.:.:.:.:T:.､　　　　　　　,　　　.ﾊ:.|
　 　 　 　 /:/:/i:.:.:.:.:.:.:i:.:.:.ヽ.　　　　 ,_,　 　 /. i:.:|
. 　 　 　 /:/:/ i:.:.:.:.:.:.:i:.:.:.:.: |.丶　　　　　イ:.:.:.:i: |
　　　　　{/.i:i　i:.:.:.:.:.:.:i:.:; ‐=i　　 ＞.＜:.:.:.i:.:.:.:.ii:.|
　　　 　 　 V　|:.:.:.::.:.／　　 ＼　　　|_,＼.:.:.:./ i/
　　　　　 　 　 ￣￣　 　 　 　 ＼　　 i!　ヽ'



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ,.. -―- ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,....．．．､,,._ ／　　 　 　 ｀ヽ
　　　　　　　　　　　　 　 ,...:':´:.:.:.:.:.:;:.:.ｧ‐|:ヽ､＞､　　　　　　＼
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.　　　 　 　 　 　 /:.ミ//:/:.:.ｉ:,斗:七了≧:.:.:.:.:.:.i:.|i:.:.:∧:.:.:∧:∧
　　　　　　　　　/:.:.:.:|:|:.|:.:.:/l:.:/　 .!:.:|　V:.:i:.:.:.:≦ヽ:.:.:|:.|:.:.:.|ヽ:.!
　　　　　　　　 /:.:.:.:.:Ⅳ|:.:.| ,.ィfﾃ示ﾞ':!　ヾ |:.:.:/:/ .|:.:./: !:.:.:.|. V!
　　　　　　 　 /:.:.:.:.∧Ⅳ!:.!　f,ﾉ;;刈　　　　|:.f示ﾊ |:./:.:.|:.:.: |　ﾘ
　　　　 　 　 /:.:.:.:.:.{ {　＼:!　弋;炒 　 　 ノ'ﾞ{,乃　/:.:.:./:.:.:./ ./　　保険の事を聞きたければ、ちゅるやに直接聞けばいいんじゃない？
　　 　 　 　 /:.:.:.:.:./:.丶ﾆ_ヾ　　　　　　　　 弋ﾂ　/:.／i:.／／　　　彼女はブロードウェイ近くにある「ルーシーズ」ってデパートで働いているわよ。
.　　　　　　/:.:.:.:.:./:.:.:.:.:./∧.　　　 　 ＿_　 ` 　 イ:l ,/;'"
.　　　　　 /:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.//:.:.ﾄ.､ 　 　 {　　 /　　 /:.:|
.　　 　 　 i:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.//:.:.:.!.　＼ 　 ゝ‐'´　.イ　|:.:|
.　　 　 　 |:.:.:. /:.:.:.:.:.//:＿,|＿_.　＞,....＜:./:/　 !: |
　 　 　 　 V:.:/:.:.:.:.:./-'´　　 　 ＞.､|:.:.:.:.:./:/ 　 |:.:|

┏━━━━━━━━━┓　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i／|￣￣￣￣|
┃┌───────┐┃　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ,／...:::| LUCY 'S.|
┃│　 ルーシー ズ　 │┃__＿＿＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　 　 |..::: ／i￣￣￣￣￣|
┃└───────┘┃::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|＿＿＿＿＿＿＿＿|／ _ｌ [二i二i二i二il|
┗━━━━━━━━━┛￣￣ll二二二二二二二二二二二二二二l|.　　 ｌ [二i二i二i二il|
　 ／il／|日|￣￣i|￣￣￣li工i￣|　|＿＿＿_,| |＿＿＿_,| |＿＿＿_,|　 |.　　 ｌ [二i二i二i二il|
／i／i／|曜|＿＿,|＿＿＿＿＿,,i|　|二|　 |　 | |　 |　 |　 | |　 |　 |　 |　 |.　　 ｌ [二i二i二i二il|
　 | . .::::::|朝|二二iｌ二二二il二二i|　|二|＿|＿| |＿|＿|＿| |＿|＿|＿|　 |.　　 ｌ [二i二i二i二il|
i　. . .:::::::|市| ￣| ￣| ￣| ￣| ￣|.|　 ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ 　 |.　　 ｌ [二i二i二i二il|
　 . ..::::::::|開| 　 | 　 | 　 | 　 | 　 |.|　|| ￣￣￣| || ￣￣￣| || ￣￣￣| . | ,,''⌒ヽ二γ⌒ヽ,,''⌒ヽ
..::::::::::::::::|催|二二iｌ二二二il二二i|　|l　　 　 　| |l　　 　 　| |l　　 　 　|　(:::::::::ヽ⌒ヽ⌒:::::::ヾ::::(:::::::)
　,,,,　 ,,,,.|中|　／／＿＿＿／／_|　||＿＿＿_| ||＿＿＿_| ||＿＿＿_| ヾ:::::::::::::　｀):::(..::::::)::)⌒)::::::）
,";;;`,,";;;`,";;;;;`ﾞ二二二二二二二|　 ＿＿＿＿＿＿[_キ_印_良_品_]_　(:::::(⌒::/:::ノ⌒:::ゞ:ﾉ::ゞ:::)::)
;;;ﾞ!!;;:;;ﾞ!!;;;ﾐ;;!!;;ﾐ ||／／||／／||／..| .|　|＿_／／＿＿_／／＿＿_／／_,,|ゝ::ﾞ| |/:::) ヽ| |:::::）ﾞ| |:::::ﾉ
;;;;||;;ﾐ;;||;;ﾐ;;;||;;;;ﾐ||／　 ||／　 ||／..| .|　|￣||￣||￣||￣||￣||￣| ￣ | ￣ |.! ( ::| |:;ﾉ ヽﾞﾞ| |::ﾉ( :| |;/
. ﾞ||　 .||　　||. 　|| 　　[||]　　 ||　　| .|　|／||／||／||／||／||／| 　 [|] 　 |.! 　 | |.　　　.| |　　 | |
.l'l'l'l. l'l'l'l. l'l'l'l.　||　 　 ||　 　 ||　　| .|　|／||／||／||／||／||／| ／ | ／ |.! |~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|
=||==||==||==||==||==||==||==||==||==||==||==||==||==||==||==||==||==||==||==||==||==||==||==||==||=

　　　　　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿
　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　 '￣￣￣￣￣￣ ヽ
　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　 　 　 ┃①やる夫の事務所　　　　　　　⑥ルーシーズ　　　　　　 .┃
　　　　　＼　　　　　　　　　④　　　　　　　　　　　　　　　　　　.＼　　　　 　 　 　 　 .┃②市立図書館　　　　　　　　　 .⑦利根川貴金属店 　 　 ┃
　　　　　　 ＼　　　　　　③　　　　　　⑤　　　　　　　　　　　　　　.＼　　　　　 　 　 .┃③サクラダアパート　　　　　　 .⑧エンパイアマガジン社..┃
　　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼　　 　 　 　 ┃④ジュンのアパート　　　　　　 .⑨クラブＭ＆Ｍ　 　 　 　 ┃
　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　⑥　　　　　　　　　　　　 ＼　　　　　┃⑤シアター・ララ　　　　 　 　 　 ⑩金糸雀のアパート　　...┃
　　　　　　 　 　 .|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⑨　　　　　＼　　　.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　 .|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　②　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　 　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⑦　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　ゝ、　　　　　　　　　　　　　　　　①　　　　　　⑧　　　　　　　　　　　.＼
　　　　　　　　　　　　｀丶、　　　 ,..-―-、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　｀ ー ´　　　　丶-、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⑩
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀丶
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼


┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　本当ならルーシーズよりも先に利根川宝石店で聞き込みをしたかったところだが、
　　シアター・ララから５番街までの途中にルーシーズがあったので、
　　先に保険の事から調べる事にした。
┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛

　　　　　　　 　 ,　'´￣￣｀ ｰ-､
　　　　　　　 ／　　 〃" ｀ヽ､　＼
　　　　　　 /　/　 ﾊ/　　　　 ＼ﾊﾍ
　　　　　　 |i │ ｌ |ﾘ＼　　　 ／}_}ハ　　　　　　こんにちは。世界ちゃんから電話で聞いたにょろ。
　　　　　　 |i　|　从 ●　　　 ●ｌ小N　　　　　　貴方がやらない夫・ハロルドさんにょろ？
　　　　　　 |i （| ⊂⊃　､_,､_, ⊂lｉ|ノ
　　　　　　 |　 i　ﾉ、　　　　　　ﾉi|
　　　　　　 | 　l　　x＞､ __,　イｌ　|
　　　　　　 |　 ｌくﾐヽ::::ﾍ三l:::::ﾉl　lヽ
　　　　　　 |　 l( ⌒ )..::::V::／　( ⌒ )

┌【スモッチ・ちゅるや】
│　　デパート「ルーシーズ」の婦人服売り場担当。
｜　　既婚者で、夫は生命保険会社に勤務している。
└───────────────────────────






　　　 ／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　 （ 一）（●）
　　|　　　　 （__人__）　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ　　　　　　　　もちろん一番聞きたいのは生命保険の事についてだが、
　　 |　　　,.<))／´二⊃　　　　　　ついでにサラ・ローゼンの事についても何か聞けないだろうか……？
　 　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃　　　　　┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉
''"::l:::::::/　　　 __人〉
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|

　　　　　　　　　　 　 -‐ '´￣￣｀ヽ､
　　 　 　 　 　 　 ／　／" ｀ヽ ヽ　　＼
　　　　　　　　　//, '/　　　　 ヽﾊ 　､　ヽ
　　　　　　　　 〃 {_{'´　　　 ｀ヽﾘ| ｌ │ i|
　　　　　　　　 ﾚ!小ｌ●　　　 ● 从　|、i|　　　　　サラ・ローゼン？それは水銀燈と金糸雀のどっちの事にょろ？
　　　　　　　 　 ヽ|l⊃　､_,､_,　⊂⊃　|ﾉ│　　　　　実は私の友達に、サラ・ローゼンという名前の人が二人もいるにょろ。
　　　　　　　　　　|ﾍ　　 　　　　　j. 　| , |　　　　　　こういうのって、結構珍しいにょろ？
　　　　　　　　　　|　/⌒l,､ __,　.イァト|/ |
.　　　　　　　　　 | /　 /::|三/::/／　 ヽ |
　　　　　　　　　 | |　　l ヾ∨:::/ ヒ::::彡, |






　　　　　　　　　　 　 -‐ '´￣￣｀ヽ､　　　　　　　　┏━━━━━━━━━┓
　　 　 　 　 　 　 ／　／" ｀ヽ ヽ　　＼ 　 　 　 　 .┃ 生命保険について 　┃
　　　　　　　　　//, '/　　　　 ヽﾊ 　､　ヽ　　 　 　 ┗━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　 〃 {_{　　　 　　　ﾘ| ｌ.│ i|
　　　　　　　　 ﾚ!小ｌノ　　　 ｀ヽ 从　|、i|　　　　　　ああ、それは……うちの主人が保険会社に勤めてるんだけど、
　　　　　　　 　 ヽ|l　●　　　●　 .|　|ﾉ│　　　　　　新規契約のノルマがあと１件足りないから、私の友達を当たってみたにょろ。
　　　　　　　　　　|ﾍ⊃ ､_,､_, ⊂⊃j　| , |　　　　　　　それでまあ、かなり無理言って入ってもらったのがサラ・水銀燈にょろ。
　　　　　 　 　 　 |　/⌒l,､ __,　.イァト|/ |
.　　　　　　　　　 | /　 /::|三/::/／　 ヽ |
　　　　　　　　　 | |　　l ヾ∨:::/ ヒ::::彡, |

　　　　　　　　　　 　 -‐ '´￣￣｀ヽ､
　　 　 　 　 　 　 ／　／" ｀ヽ ヽ　　＼
　　　　　　　　　//, '/　　　　 ヽﾊ 　､　ヽ
　　　　　　　　 〃 {_{｀ヽ　　　ノ ﾘ| ｌ │ i|
　　　　　　　　 ﾚ!小ｌ●　　　 ● 从　|、i|　　　　保険の事を聞くって事は、受取人の事も知ってるにょろ？
　　　　　　　 　 ヽ|l⊃　r‐‐v　⊂⊃　|ﾉ│　　　　サラには無理に入ってもらったから、誰を受取人にするかは考えてなかったにょろ。
　 　 　 　 /⌒ヽ__|ﾍ　　ヽ ノ　　　j /⌒i !
　　　　　　＼ /:::::|　l＞,､ __,　イァ/　 /│
.　　　　　 　 /:::::/|　|　ヾ:::|三/::{ﾍ､__∧ |
　　　　　　　｀ヽ< |　|　　ヾ∨:::/ヾ:::彡'　|



┏━━━━────
┃　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＿r=ｧ=､ィfZｧ､,、
┃　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　 ´fフ:´-=_:三ｰ_ｰ^ヘ
┃　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　_r/／'_ｧ'='^ー'｀´｀ ^ｰ＼
│　　　　　　　　　　　　　　　　　/r＝､ｿィｰ'7´　　　　　　　　　 ヽ
│　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾊ L／ｲ| ヽヽ　　　　　　　　　ヽ　 l
│　　　　　　　　　　　　　　　　,　ｿ/ l ﾊﾚ´イ{ {　　 |{.　 　｜　 |　 ﾊ
│　　　　　　　　　　　　　　　 //:/　ﾉj ｀´i |｀ヽト ､ |:ヽ. 　 }　, ﾘ　｜!
　　　　　　　　　　　　　　　　 ハ:{／ｲ: {　 小7ﾃﾐﾄ､ {ヽ!:　/ / / 　 l l
　　　　　　　 ヽ.＿ヽｰ ､　　 /　/／ |:.　ヽ. {　'赳ハ＼ }:/_ｵメﾘ　 ｲ/
　　　　　　　　　￣二ﾆヽヽ/　-ﾍ､:.. l:...　 lト＼｀　　　 /ｨ亙ﾌ'´／/′
　　 ヽ､＿　_-ｧ.:´__::.::.::.:ヽ::＼　 j:〉..:.l:...　 l!　　　　　 ,!　　７´ |　 　/
　　　 _,._-ﾆ-ｧ‐´ィ二;:-- ､::.::..｀ヽ､..:∧:..　lﾄ_､　　｀ ｰ　 イ.:　j|　 /{ ﾉ′
　 ‐ ´/´　／´￣´／::.::.::.::.::..‐.-_､::＼:.ヽ:.. l::.::＞ー＜l!:..:.|:.　ﾘ‐／/ﾚ
　　　　　/′　 ／-‐ｧ::´::, ｧ::／.::.:￣:.｀ヽﾄ､.V／::}:ﾊ:{ﾄヽ/!:.　!:/‐'::/
　　　　　　　／´ ／::.:／ノ／..::..::.::.::.::.::.:..:ヽヽヽ=l:| ト='ｲ-!: /::;∠ イ_
　　 ┌────┐　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｜
　┌┤.ちゅるや.├────────────────────────────┐.　｜
　│└────┘　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .│.　｜
　│　「私の友達に、同姓同名の人がいるにょろ」って話をした事があったから、　　 　 .│.　｜
　│　「じゃあ面白そうだからその人を受取人にしましょう」　　　　　　　　　　　　　　　 　 .│　.┃
　│　って事になったにょろ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 .│　.┃
　│　……要は誰でも良かったにょろ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 .│　.┃
　└──────────────────────────────────┘　.┃
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　────━━━━┛

　　　　　　　　　　 　 -‐ '´￣￣｀ヽ､
　　 　 　 　 　 　 ／　／" ｀ヽ ヽ　　＼
　　　　　　　　　//, '/　　　　 ヽﾊ 　､　ヽ
　　　　　　　　 〃 {_{　　　 　　　ﾘ| ｌ.│ i|
　　　　　　　　 ﾚ!小ｌ/ 　　　 ｀ヽ 从　|、i|　　　　普通、保険の受取人なんて家族がなるもんなんだけどね。
　　　　　　　 　 ヽ|l　ー　　　ー　　|　|ﾉ│　　　　でもサラのお母さんは行方不明で、
　　　　　　　　　　|ﾍ⊃ ､_,､_, ⊂⊃j　| , |　　　　　　血の繋がってないお父さんとは仲が良くなかったにょろ。
　　　　　　　　　　|　/⌒l,､ _ /, イァト |/ |
.　　　　　　　　　 | /　 /::|三/::/／　 ヽ |
　　　　　　　　　 | |　　l ヾ∨:::/ ヒ::::彡, |



　　　　　　　　　　 　 -‐ '´￣￣｀ヽ､
　　 　 　 　 　 　 ／　／" ｀ヽ ヽ　　＼
　　　　　　　　　//, '/　　　　 ヽﾊ 　､　ヽ
　　　　　　　　 〃 {_{'´　　 　　ヽﾘ| ｌ.│ i|
　　　　　　　　 ﾚ!小ｌ●　　　 ● 从　|、i|　　　　　サラは母親に会いにマンハッタンに戻ってきたにょろ。
　　　　　　　 　 ヽ|l⊃　　　　 ⊂⊃　.|ﾉ│　　　　　そのお母さんからの手紙を持ってその住所を訪ねたらしいけど、
　　　　　　　　　　|ﾍ.　　r‐-､　 　 j　 | , |　　　　　　結局会えなかったみたいにょろ。
　　　　　　　　　　|　/⌒l｀ﾆ｀,　.イァト|/ |
.　　　　　　　　　 | /　 /::|三/::/／　 ヽ |
　　　　　　　　　 | |　　l ヾ∨:::/ ヒ::::彡,

　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　 ／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　 |　　　 （ー）（●）
　　　　　　　 |　　　　 （__人__）　　　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　 　　　 　 　 |　 　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　　　　　手紙か……そういえばやる夫の事務所で話を聞いた時は、
　　　　　　　　|　　　　　　 　 }　　　　　　　　　　母親からの手紙の事は一言も出ていなかった。
　　　　　　　　ヽ　　　　　ﾍミ|　　　　　　　　　　 という事は警察は手紙を押収してはいない可能性がある……。
　　　　　　　　／,`　、` -`,--` ,
　　＿＿,---/;;;;;`　　`-,-/ニﾆ |　　　　　　　　　ひょっとしたら、まだ水銀燈の部屋に残ってるかも知れないな。
　/;;;;;::::、:::::::::|、_ ,＞、 /::l,_l･　,<、__　　　　　　　後でもう一度サクラダアパートを訪ねてみるのもいいだろう。
ノ;;;;;;;;;;;;:::|::::::::::＜:::::::ヽ``l::::|　　|`l,::::ヽ　　　 .┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
|;;;;;;;;;;;;;;:::::|:::::::::::::ヽ:::::::＼|:::|`-‐'/::ヽ::::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;:::::::::::::::::::-、:::`;:ヽ;-';;;;;:::ヽ::l
;;;;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;:::::::::::::::::::::`、;`l;;;;;8;;;;;::::`ヽ
;;;;;;;;;;;;/、;;;;;;;;;;;;::::::::::::::::::::::;`l;;;|;;;;;;;;;;;::::: `l|、
;;;;;/'　 `,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::|;;;::l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::l
;;;く　　　';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::::::::;;;;;;;l;;;;;;;;;;;;;;;;;;/

┏━━━━━━━┓　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　〃|ＬＬＬＬＬＬＬ| |
┃┌─────┐┃￣, ＝=ｰ-　､ _　　　　　 　 　 　 　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 /　〃/|ＬＬＬＬＬＬＬ| |
┃│　.５ 番 街 . ｜┃　 / | r=ー' ､　 l|　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 /　〃//|ＬＬＬＬＬＬＬ| |
┃└─────┘┃　{　l| l｣冂｜|　｜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /　〃///|ＬＬＬＬＬＬＬ| |
┗━━━━━━━┛　 ＼｀ ｰ-_'ノ'　 |l　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ＿＿＿＿＿_| 。ｌ ////|ＬＬＬＬＬＬＬ| |
｜|r=v┐|　| |　①　|ー--- ニ二 ＿＿||l　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /|」｣｣｣｣｣｣｣｣｣｣｣l| 。| ////|ＬＬＬＬＬＬＬ| |
｜|Ｌ!]_ﾘ｜ | ｢￣￣l|　 匚|匚||<Ｉ|匚|匚|||　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 //|幵幵|ｴl｢幵幵| 。| ////|ＬＬＬＬＬＬＬ| |
｜|r==、 |　| |　　　 |　 匚|匚||l{ |匚|匚|||l　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ//|幵幵|ｴl| ／ | |　 | ////|ＬＬＬＬＬＬＬ| |
｜||_Ｌ!｣l |　| |　　　 |　 匚|匚|lﾃl|匚|匚|ｌ|l　　　　　　　　　　　　　　　　　|//|幵幵|ｴl||[ﾚl | |　 | / ／l|[][][][][][][]| |
｜|r ､rｧ｜ | |　　　 |　 匚|匚||ﾚl|匚|匚|ｌ||l　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 |//|幵幵|ｴl||L］ | |　 |／[／|ＬＬＬＬＬＬＬ| |
｜|<へ>｜ | |--─ 「¨ 匚|匚||ﾋﾞ|匚|匚|冂　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |//|幵幵|ｴl||{_〕 | |　 | ／／|ＬＬＬＬＬＬＬ| |
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三　|　 ｢三 ∥　　　|}三三{　r‐　∥‐┐　 l| |｢∥r|rrｨｲﾐｿ、ﾐミ彡｡．｣|_l|__l|ﾆ'ｲiト､|二ﾑ'´ || 二|_　￣｢ ｢´二GiG０二
三　|　 |三=∥　＿｜}三三{ |￣ ∥　l|　　l|_/'｣|ｧ flfl',fl'fl' fl'fi'ffi' fi fi ｰ-= ､ _ i|｀ |=三fﾆｌ|| fifir　￣l| l|￣|￣￣|￣|

124 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/11/28 07:43:52 ID:93inYg9r >>74 80年代なのにDVDがｗｗ

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三三三三三／￣￣＼三三三三三三三三≧　 　 　 　 　 | |l二l || l二l| |　 　 　 　 　 |
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　 　 ||　 （__人__）　　　　 |l| |　　　　 || 　 　 　流石に世界トップクラスの商店街と言われるだけあって、
　 　 ||　 （｀⌒ ´　 　 　　.|ｰ、　　 　 || 　 　 　庶民である俺なんかが気軽に入れないような、お洒落な店が多い。
.　　　　　,{.　　　 　 　　 ,| 　ヽ__　 　 || 　 　 　これから向かう利根川宝石店も、そういった店の一つだと思うと足が重くなる。
＿＿||／ {　　　　　　 __ハヽ　ヽ＼___||____┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
二二/　 ｒ,´ヽ　　　,ﾍ´　　/|ヽ　＼｀ｰ-　、　二|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ＼
ﾆﾆ/ 　　!.!（ 〉 　 /} ヽ　/　| | 　 　> 　 ⌒ヽﾆﾆ]＼￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
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ｒ'^＞ 　!!　　.!⌒ｿ　　　　　|　|　　 ｀ｿ 　　 　|========================================================

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┃│利根川宝石店｜┃ . .|　|　 　 　 　 |　　　　　　|　:|　 |￣￣￣||￣￣￣||　:|　 |＼＼＼＼
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　　　 　 ＼|＿|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:＼|＿|　　　　　　　　　　＼|＿|

　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　　しかし予想に反して店は寂れているように見える。
　　　　　　ここは５番街の中でも特に時価が高く人通りも多いはずだ。
　　　　　　見たところ客が入っている様子は全然無いが、
　　　　　　宝石店のように高級品を扱う店というのはそういうものなんだろうか？
　　　　┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛

　　　　　　　　　　　　　　_,,,..-.ｰ.─.-.-....､._
　　　　　　　　　二ヽ,,..::"::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀:..､
　　　　　　　／::::::::｀`:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　 /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼::::::::::::ヽ
　　　　　 /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヾ:::::::::::ヾ:::::＼:::::::::',
　　　　　/:::::::::::::::i:::::i!::::::::::::::::ヾ:::::,,∠,､ _:::::＼::::＼:::::',
　　　　　i::::::::::::::::!:::::i i:::::::::l::::::::イ＼＼＼:::::::::＼:::＼::',
　　　　　l:::::::i::::::::!::::i,,ゞ;::::::::i:::::::::l　 >≧r､＼::::::ヾ＼_::＞　　　　　　　　いらっしゃいませ……って、客じゃないの？
　　　　　ｌ::::::i!:::i::::l;/i ._,,＼::::!､::::::l 　 辻ヾ〉　＼:::ヾ）::::＞　　　　　　　　サラの事を聞きたいって、あんた一体…………
　　　　　i:::::ﾊ::::|::::l:::i〈｀（ﾍ＼! ＼:', 　 ゞ-′　　ラ∨/"´
　　 　 　 l:::i　l:::|::::lヾ､ 弋i;） ヽ　 ＼ 　 　　　┌::ソﾉ
　　　　 　∨　l::::l::::l:::＼　" 　　　　　　　　　　ﾍ::::/
　　　　　　　 　＼|＼!＼　　′　　　　　　 　 　∨
　　　　　　　　　　ヾ ヾ　､　　　 ｰ　´　　　,　　　ゝ､
　　　　　　　　　　　　　　｀　 ､　　　　　 , ′　 ／ 　＼＿
　　　　　　　　　　　　　　 　　　｀ ｰ　＜　 ／´ 　　　／:::::￣｀ｰ-
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 _ノ´∧_∧　　　　／::::::::::::::::::::::



.　　　　　　　 　 　 ／::::／::::::::／::::::: ／:::: /::i::::::::::∨::::::＼:::: ＼
　　　　　　　　 　 /::::::/:::::::::::/::::::::; ｲ:::::::::/:::::ﾄ;::::::::::∨:::::::∧:::::∧
.　　　　　　　 　 /::::::/:::::::::::/::::::::/　|:::::::/::::::::! ＼:::::∧ :::::: ∧:::::∧
　　　　　　　 　 '::::::/:::::::::::/i:::::::/⌒ﾞi::::::ﾊ::::::::|￣｀∨::∧:::::::::∧:::::::i
　 　 　 　 　 　 i::::/:::::::::::/:::l::::/　__,,,Ⅳ|　Ⅵ::i　ィｔ=∨::::i:: ∨::∧::: !
　 　 　 　 　 　 |:/i::::::::::/::::::l:::l ん:刋Ⅵ!　 Ⅵ!　 斥圷::::iﾍ:::∨::∧::!
　　　　 　 　 　 '　|:::::::/i::::::::ｌ::l〈 比::ﾘ ＼　　＼　比::ﾘ∨　∨∨::: ﾘ　　　　　　　　へえ、リバティ･タウンから来たヤラナイ・Ｏ・ハロルドさん、ね。
.　　　　　 　 　 　 |::::/　ｌ::::::/::i 　ゞ-′　　　　　　ゞ-′　　jK_∨:::＞　　　　　　　そういやサラも前にリバティ･タウンに住んでたって言ってたな。
.　　　　　 　 　 　 |:/　　ｌ:::/小　　　　　く:.　　　　　 　 　 　 {__j ∨::::＞
　　　　 　 　 　 　 ′ 　 !/　 !　　　　　　　　　　　　　　　 j___ソ＼!´
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 '､　　　　　ｒ _，　　 　 　 　 /／　　　　　　　　　　　┌【伊藤誠】
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ＼　　　　　　　　 　 　 ／!　　　　　　　　 　 　 　 │　　利根川宝石店の従業員。
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ｀　､　　　　　　　 ／ .:.:|　　　　　　　　　　　 　 │　　要領のいいプレイボーイ。西園寺世界のボーイフレンド。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼__　 ..　　´ 　 ..:.:|　　　　　　　　　　　 　 └─────────────────────────────
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　 　 ...:.:.:_jｰ 、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　__j　　 __ ..　-　´　　　ヽｭ､、
　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ノ ハ_／　　　　　　　 　 /:i:i:i:i:iヽ､、
　　　　　　　　　　　　　　　　.．＜/　/////∧　 　 　 　 　 /:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:
　　　　　　　　 　 　 　 .．＜:i:i:i:i:/　///////∧　 　 　 　 /:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:

　　　 　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　|　　　 （ ●）（●
.　　　　　　　　　|　　　 　 （__人__）
　　　　　 　 　　 |,　 　　 　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　　 　　 │ 　　　　 　　 ｝　　　　　　　　　　随分水銀燈と親しげな言い回しだ。
　　　　　 　　　　 ヽ､　　　 　　ｿ　　　　　　　　　　 恋人の世界を通じて水銀燈とも知り合っていたのだろうか？
　　　　　　　 　 ｲ斗┴r┐｀ .;　　　　　　　　　 .┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　　／￣`ーゞ､　 /　|__ 〈ー─r､
　　　/　　　　　＼ ∨＼ 　|,ベ._ /　|
　　 ｛　　　 . : : : . ヽ＞ｰ＼[￣{ 〉＼|､_
　　　| 　 　 　　 ｀丶}＼　 __＼_]~∨'＼｀ヽ
　　　:|　　　._　　　　＼_}/r‐-}＼　ﾞ,`''く l　ﾞ,
　　　 ﾄ､: :./ ／￣｀` ぐ└f'二）::{　 ',　 | !,ゞ┐
　　　 `､∨ ´　,.､-''"~￣}_｛‐''く:::{_　 ', _|_|_,rｰ'､_
　　　　 }｛　／　_､-'''"~￣{_＼;;;;;ｊ;＞＜;:::::＼:::ﾍ}＼
　　 　 　}∨: ／　　_､-''ﾞ~￣￣　　　　　＼::::},之_　ヽ
　　 　 　 〉∨ 　 ／　　 　 　　　　　　,.､イ;;ノ_ 　 ｀ヽ}
　　　　　{:　＼,/＼　　-‐　'"　　　／｀￣　　　 　　:.:｝



　　 　 /: : /:: : : / : : :.!:: : : : !: : !: : : ヽ:: : : : : ',
　　　/: : /: : : 斗--､ :|: : : : :|: : | ,ィＴ: ',: : :ヽ : !
　　　|: : |: : : : : |: /　 ＼: : /|:.ィ: :ヽ: : :.|.: : : ﾄ､:|
　　　|: : |: : : : /!/ ⌒ヽ| :/　|:./⌒ヽＶ: |.: : : | V
　　＜ : _: : : / 〈　{} 　 |/　 .ﾚ　{} 　} |:./ヽ: : |
　　＜:: |. 小{　　 _,,.. -　　　　､-.,_　 ﾚ{: :.|ヽ:|　　　　　　　ああ、そうだぜ。世界の家行った時に何度か……
　　　厶ﾍ　ﾊ　　　　　　　　 ､　　　　 {ﾊ/　V　　　　　　　って、世界と恋人ってのはやめてくんないかなぁ。
　　　　　 ＼_!　　　　　　＿　'　　　　 !　　　　　　　　　　アイツは本気で俺と結婚したがってるみたいだけど、
　　　　　　　 ヽ　　　Tﾆｰ‐‐‐,‐''　 ／　　　　　　　　　　　あいつはただの「ガールフレンド」だぜ。
　　　　　　___,ｒ| ＼　 ｀二二´　／
　　　　／:/::::| ＼　 ヽ ｀_⌒ ィ´
　　／::::::/::::::|　　＼　　　´ ∧＞､
／:::::::::::/::::::::|　　　　＼　 /　 !＼::`ｰ- ､

　　　　　　　　　　　　　　　　　.／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　 .／ 　　　 _ノ ⊂_ ‐-' ＜
　　　　　　　　　　　　　　　 |　 　　　（ ―）　 λ　　 ヽ　　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　　　　　　　　　 ,ﾍ__|　　　 　　（__人）　　ヽ　　',　　　　　　　　ガールフレンド……よくあるズルい言い回しだ。
　　　　　　　　　　　 __,/　　　｀ ＜　 　　⌒ﾉ　　. ｒ'-‐￢　　　　　　　 恋人とも解釈できるし、只の女友達とも取れる。
　　　　　　　　　 ／---‐――--.､ゝ＼　 ノ　　　」-‐＞ヽ　　　　　　 これだけでこの伊藤誠という男の事がおおよそ分かってきた。
　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／⌒ヽ. ´_ノ　　　/　 ´　　 l
　　　　　　 ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　／´ ｀ヽ　　　　 ヽ.　　,　, .!　　　　　　こいつは男にも女にも敵を作りやすいタイプだ。
　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　／　　　　 ヽ　　　　 l｀ / / /!　　　　 ┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　 　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／　 ./　　　　＿ __ヽ-､　　 !/. ,'　l　!
　　　/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l　＿十''''''''""　　　　　＼ ＜　　　'　l






　　　　　　　　　　　　　　　 _.._　｀`､,.､-::─::-..、
　　　　　　　　　　　　　 ／:::::::::｀:く:ﾉ:::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　 /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　 　 　 　 　 　 /:::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾍ
　　　　　　　　　　　/:::::::::::::::::::::::ｲ:::::::::::丶::::::::::::::::::::::::',
　　　　 　 　 　 　 /::::: /:::::::::::::/ l::::::: !:::::::|＼::::::::::::::::: l
　　　　　　　　　　i::::: /:::::::::::::/一V:::::| :::: |ーヽ:::::::::::::::!
　　　　　　　　　　|:: /:::::: /::: |　　∨ |V::::| 　　ヽ::::::::!イ　　　　　　　可哀相に、サラの奴死んじまったんだよな……。
　　　　　　　　　　|:/ |::: /::ﾊ::|､＿__,V|　ヾ!､＿_,ヽ::ﾄ::::::＞　　　　　　うちの社長も随分と落ち込んでたみたいだったぜ。
　　　　　　　　　　|′|::/|:::|ﾈﾍ ￣　ヽ　　　￣　ﾊ!ﾉﾘ｀ヽ
　　　　　　　 　 　 　 i/　V､_ﾍ 　 　 　 !　　　　　ﾑﾘ′
　　　　　　　 　 　 　 ′　　　 ヽ、　　- -　　　, ′
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 |ヽ　　　　イ/
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ,.ｲ 　 ｀　´　 ﾊ

　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　 　　／　ノ　　 　 ヽ
　　　　　　　　 　　　| 　（●）（●） |
　　　　　　　　　　　 |　　（__人__） ｜　　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　　　　　　 　|　　 ｀ ⌒´ 　 |　　　　　　　　　　さて、忘れないうちに９日のアリバイを聞いておかねば。
　　　　　　　　　　　 ヽ　　　　　 　 }　　　　　　　　　　ここでは世界の名を出さずに純粋にアリバイを聞いた方が、
　　　　　　 　　　__,, -ヽ　　　　　ノ　-､　　　　　　　　正確な情報が聞けるだろう。
　　　　　 　 　/⌒ヽ　 |　＼＞<ﾍl　ヽ　＼ .　　　.┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　　 　 　 {:::　　 l　 ＼　ヽ };;{ | 　 | i　 }
　　　　　　　 {:::::..　〈;;,, 　ヽ　V;;;}ﾉ　　l彡 ヽ
　　　_,,.-‐''" |::::::::　 ヽ--､ ＼ >--'⌒ヽ::.　 }
　　　||　|_,,.ィ'|::::.....　　 }_,,.-‐''"~ヽ_,,.-し'::　　）_,
　　　||　|　||　!::　　　/　　　 　 .::ﾉ::::::::::.　　ノ
　　　||　|　|| _ヽ,,　.;:::　　 _,,.-‐''"ー''--''￣
　　 _,,. -‐''"　　｀ｰ---''"


　　 　 /: : /:: : : / : : :.!:: : : : !: : !: : : ヽ:: : : : : ',
　　　/: : /: : : : :|: : ／|: : : : :|: : |: : : : :',: : :ヽ :
　　　|: : |: : : : : |: /＿ |: : :,/|: : /ヽ: : :.|.: : : ﾄ､:|
　　　|: : |: : : : /!/´　　|: :/　|:./￣｀'Ｖ: |.: : : | V
　　＜ : _: : : /.　　　　 |/　　ﾚ　　　}|:./ヽ: : :|
　　＜:: |. 小{ 　 -‐''"´　　 　 ｀''ー　ﾚ{: :.|ヽ:|
　　　厶ﾍ　ﾊ　　　　　　　　 ､　　　　{ﾊ/　.V　　　　９日の夜？
　　　　　 ＼_!　　　　　　　 　'　　　　!　　　　　　　　ああ、確か世界と一緒につまんねーパーティに出てたぜ。
　　　　　　　 ヽ.　 　 ー――　 　 ／　　　　　　　　　けど……
　　　　　　___,ｒ| ＼　　 　 　 　 ／
　　　　／:/::::| ＼　 ヽ _　,　ィ´
　　／::::::/::::::|　　＼　　　´ ∧＞､
／:::::::::::/::::::::|　　　　＼　 /　 !＼::`ｰ- ､

　　 　 /: : /:: : : / : : :.!:: : : : !: : !: : : ヽ:: : : : : ',
　　　/: : /: : : 斗--､ :|: : : : :|: : | ,ィＴ: ',: : :ヽ : !
　　　|: : |: : : : : |: /　 ＼: : /|:.ィ: :ヽ: : :.|.: : : ﾄ､:|
　　　|: : |: : : : /!/ ⌒ヽ| :/　|:./⌒ヽＶ: |.: : : | V
　　＜ : _: : : / 〈　{} 　 |/　 .ﾚ　{} 　} |:./ヽ: : |
　　＜:: |. 小{　　 _,,.. -　　　　､-.,_　 ﾚ{: :.|ヽ:|　　　　１０時頃には世界と別れたけどな。
　　　厶ﾍ　ﾊ　　　　　　　　 ､　　　　 {ﾊ/　V
　　　　　 ＼_!　　　　　　＿　'　　　　 !　　　　　　　　……その後？野暮な事聞くなって。
　　　　　　　 ヽ　　　Tﾆｰ‐‐‐,‐''　 ／　　　　　　　　 そのパーティで知り合った女の子と朝まで一緒だったよ。
　　　　　　___,ｒ| ＼　 ｀二二´　／
　　　　／:/::::| ＼　 ヽ ｀_⌒ ィ´
　　／::::::/::::::|　　＼　　　´ ∧＞､
／:::::::::::/::::::::|　　　　＼　 /　 !＼::`ｰ- ､



　　　 ／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　 （ 一）（●）
　　|　　　　 （__人__）　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ　　　　　　　　…………おや？
　　 |　　　,.<))／´二⊃　　　　　　.世界の話と微妙に食い違うな。
　 　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉　　　　　　　 .これは一体どちらが嘘をついているんだろうな。
''"::l:::::::/　　　 __人〉　　　　　　　　そして何故そんな嘘をつく必要があるのか……。
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_　　　　┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|

　　　　　　 　 /: : /:: : :./: : : :.!:: : : !: : : !: : : ヽ:: : : : : ',
　　　　　　　/: : /: : : : |: : : : :|: : : :|: : : | ,: : : ',: : ::ヽ : !
　　　　　　　|: : |: : : : : ,,=''".＼: : /|"''=:;,ヽ: : :.|.: : : ﾄ､:|
　　　　　　　|: : |: : : : /" _,=､ | :/　|:./,=､ Ｖ: ..|:.: : : | V
　　　　　　＜ : _: : : /　 ((;･.,;)|/　　ﾚ((･.,;) |:./ ヽ: : |
　　　　　　＜:: |. 小{　 　 ￣　　　　　￣　　ﾚ{: :.|ヽ:|
　　　　　　　厶ﾍ　ﾊ　　　　　 　 　 ､　　　　 {ﾊ/　 ／⌒ヽ_ノ） ) ）
　　　　　　　　　 ＼_!　　　　　　＿ '　　　　 !!　　 ,'　;'⌒'ー''´
　　　　　　　　　　　 ヽ　　＼ｰｪｪｪｪｧt　　 ／　　 |　i|　　　　 (⌒)
　　　　　　　　　　___,ｒ| ＼　 ､＼＿ ｀ヽ ／　　　 ﾉ ,'.!　　　　ﾉ ~.ﾚ-r┐､
　　　　　　　　／:/::::| ＼ ::::: ＼＿｀＼　＼'、　.／ //､　　ノ__　 |　.|　|　|
　　　　　　／::::::/::::::|　　＼　　　´ ∧.＼､_＞'´　ノ'´ 〈￣ 　　｀-Lλ_ﾚﾚ
　　　　／:::::::::::/::::::::|　　　　＼　 /"''-　 `ｰ一''´　　 　 ￣｀ー‐---‐‐´

┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　主観ではあるが、この男は嘘をついているとは思えない。
　　まかりなりにも彼女持ちの男が、「他の女と一緒にいた」という嘘を
　　でっち上げる理由がまるで無い。
┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛






　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　 /　ヽ､_　　　＼
　　　　　. （　（● ）　　　　|　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　. （人__）　　　　　 |　　　　　　　どちらにしろ、後でジュン・ベイカーかサクラダ・アパートの管理人に
　　　　　r-ヽ　　　　　 　　 |　　　　　　　聞いてみる必要がありそうだろう。
　　　　 （三） |　　　 　　　 |
　　　　　>　ノ　　　　　　 /　　　　　　　 可能性は極めて低いだろうが、このどちらかが水銀燈の部屋を
　　　　/ 　/ ヽ　　　　 /　　　　　　　　　訪ねているかも知れない。
　　　/ 　/　へ>　　　 <　　　　　　　┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　|＿__ヽ　　＼／　 )
　　　　　　　|＼　　　／|
　　　　　　　|　 ＼_／　|

　　　　　　　　　　　　　　　 _.._　｀`､,.､-::─::-..、
　　　　　　　　　　　　　 ／:::::::::｀:く:ﾉ:::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　 /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　 　 　 　 　 　 /:::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::: ﾍ
　　　　　　　　　　　/:::::::::::::::::::::::ｲ::::::::::: 丶::::::::::::::::::::::::',
　　　　 　 　 　 　 /::::: /:::::::::::::/ l::::::: !:::::::|＼::::::::::::::::: l
　　　　　　　　　　i::::: /:::::::::::::/一V:::::| :::: |ーヽ:::::::::::::::!
　　　　　　　　　　|:: /:::::: /::: |ィ云∨ |V::::| ィﾃﾍヽ::::::::!イ
　　　　　　　　　　|:/ |::: /::ﾊ::| 迂:ﾘ V|　ヾ! 迂:ﾘハ::ﾄ::::::＞　　　　なあ、アンタ……ヤラナイさん。
　　　　　　　　　　|′|::/|:::|ﾈﾍ ｀ｰ´　ヽ　　 ｀ｰ´　ﾊ!ﾉﾘ｀ヽ　　　　あんたはサラの奴が、本当に自殺したと思うかい？
　　　　　　　 　 　 　 i/　V､_ﾍ 　 　 　 !　　　　　ﾑﾘ′
　　　　　　　 　 　 　 ′　　　 ヽ、　　- -　　　, ′
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 |ヽ　　　　イ/
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ,.ｲ 　 ｀　´　 ﾊ
　　　　　　　　　　 　 　 　 ,.イ:!　 ＼　　 ／　 ヽ..､、
　　　　　　　　　　　 ,...::::´/::::::l　　 /;⌒;ﾍ　 　 j:::::ﾍ:｀:::....、



　　　　　　　　　　 /::::::::::::/::::::::::::/:::::::::::::::::::::i::::::::::::::::::::::',:::',
　　　　　　　　　 /:::::::::::/:::::::::::::/::::::::::::::::::::::::i:::::::::::::::::::::::!::::i
　 　 　 　 　 　 ,'::::::::::::/::::::::::::: /::::::::::／::::::::::::|:::::::::::::i:::::::::i::::l
　　　　　　　　 l:::::::::::/:::i::::::::: /＿::／|::::::::|::::::::|:::::::::::::l:::::::::l::::l
　　　　　 　 　 i:::::::::/:::/::::::丁:::／￣i::::::::l:::ｰ∧一:::::::|!:::::::|'ﾘ
　　　　　 　 _ノ::::┌i:::/:::::://／　 　 i::::::::i::::ﾒ　i:::::::::::::i:!::::::!
　　　 　 　　＞:::::｛ ﾚ' |:::::7ﾚ′ 　　/:::／|:/　　.l::::::::::ハ:::::!
　　　　　　_,＞::::::::i ヘ|:::/　ゞ＝'"/／　 ′ゞ='"l::l:::/　 ∨　　　　　警察は自殺で片付けるつもりらしいけどさ、
　　　 　 　 ￣｀￣｀＼:|:/ 　 　 　 ′　　　､ 　　∧!/　　　　　　　　　俺はどーもサラが自殺だなんて思えないんだよな。
　　　　　　　　　　　　 ＼|＼ 　 　 　　＿　 　 /　 ′
　　　　　　　　　　　　　_{i　　　　 　 ´　　　／
　　　　　　　　　　　　//　｀＼　 ＞　_　イ
　　　　　　　　 _,､-;'´;;;i　　　　 `ｰ ､, _ﾉ iヽ、
　　　　 _,､-;;"´;;;;;;;;/;;;;;l　　　　　　／ﾍ　l;;;;;ﾍｰ,,､
_,､-;ｰ'´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;;;;ヽ　　　 ／::::::::∨;;;;;;;;ﾍ;;;;;｀';;;;;;;､_

　　 　　 ＿_　　　　 ━┓
　　　 ／　～＼ 　　┏┛
　　／ ノ　　(●)＼　・
.　｜　(.／) 　 ⌒）＼　　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
.　｜　　 （__ノ￣　　 ＼　　　　　　　　自殺だとは思えない？
　　＼　　　　　　　　　 |　　　　　　　　そう思う根拠は一体何だろうか。
　　　　＼　　　　　　　/　　　　　 .┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
.　　　　　 ＼　　⊂ヽ∩
　　　　　　/´　 　 (,＿ ＼.
　　 　 　 /　　　　　　 ＼. ＼
　 　 　 ./ 　 / 　 　 　 |. ＼ソ
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　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ｊ/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
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　　　　　　　　　　　　| |.　　　 　 　 i::::::/::::::i::::::::!:::::::::::::､::::::::::::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　| |　　　　　　 |:::/::::::::ｉ::::::∧:::::::::::::ﾄ､::::::::::::::::::i､::l
　　　　　　　　　　　　| |.　 　 　 ､__Ⅳ::::/:::i:::::/__!::::::::::::匕ヽ:::::::::::::ハ:|
　　　　　　　　,-〈｀ヽＪ |　　 　 　 ﾌ::l::ｒ'l:::/!::/ｾﾐl::::::ﾊ:::尨_ハ::::::i:::ﾄ､`!　　　　　いや実は俺、サラが死ぬ前に彼女とデートする約束してたんだよ。
.　 　　　　 /´⊂´￣ヽ　|　　　　´￣]八!/i」:瓜ﾘ !／ Ⅳ　　　小ハl　　　　　　　あ、この話、世界には内緒な。
.　　　　　 ヽ_弋 入　｀　}　　　　　　 　 ｊ､八i　　´　　ｊ〉　　 爪i
　　　　　　 /　/　　　 /　　　　　　　　　 　 ｊヽ､　 ｔ＿ｱ　.ｨ
　　　　　　 |　{　　　 /　　　　　　　　　 _＿／/| ヽ　__／/ |＼
　　　　　　 ヽ　　　 _丶　 　 　 ,--－゛:::::／::::| 〈　　　 ／　.|::::＼ﾞ''ｰ-::､_
　　　　　　　|_,.．-´ /::}　　　　/::::i:::::::::/:::::::::/∧。V￣＼　 |:::::::::＼:::::::::::::｀ヽ,
　　　　　　,zi_,.．-´:::::::|　　　 |::::/::::∠:::::／::|/＼丱／/ ヽ/|:::::::::::::::ゝ::::::::::::::::|::}
　　　　　　|。|::::::::::::::::::|　　／:::::|:::::::／:::::::::|　　 |＿/　　　.|―ー＜::::::::::::::::::::|::::i
　　　　　　|::::|::::::::::::::::::.|／:::::::::::::|:::::|:::::::::::.|　 　 |;;|　　　　|::::::::::::::::/::::::::::::::::::|::::|
.　　　　　　|。|::::::::::::::::::::|::::::::::::::::|:::::|::::::::::::|　　 |;:;;|　　　　|:::::::::::::/::::::::::::::::::/:::::.i

　　　　　　　　　ヽ丶ｨ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`丶
　　　　　　.　-－- γ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::'ヽ
　　　　／::::::::::::::::::::::`::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ゝ、
　　　 /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ゝ
.　　 /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　 /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|＼ｨ:::: ﾒ::::::::::::::::::::::＼ィ
.　ｌ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ｌ:::::::::::::::＼::::::: 〆 ＼::::|＼::::::::::::::::::::::_＞
　ｌ::::::/:::::::::::::::::::::::::::::ｌ　＼:::::::::::::|.＼　 ,,,;;ｨ=≦≠＼》::::ｌミヽ::::＼___
　ｌ::::/|:::::::::::::::::::::‐‐-ｌ─X´＼:::::::|　　≧'´　　　　　　|＼}　 } <／
　ｌ/　|::::::::::::::::::::::ﾊ::::|　,,,ｨ≦　＼.|　　　　　　　　。　 j∧　 ﾉ　 ＼
　|　　|::::::::::::::::::/　 {ｌｨゞ"　　　　　　　　　　　　　u　 }ゝィ／　￣￣　　　　１１日にさ、一緒に食事をする事になってたんだよ。
　　　　ｌ::::ﾊ│::::|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ´'　　　　　　　　　　　……だってのにあんな事になっただろ？
　　　　ヽｌ　ｌｌゝ::|ヽ　u　　　　　　　ｌ~｀丶 　　 　　 /
　　　　　　　ｌV_ 人　　　　　　　　　＾　　　　　　ｲ　　　　　　　　　　　　　　自殺するつもりだったんならさ、
　　　　　　　　　　　丶､　　　　　　　　　　　,♂　　　　　　　　　　　　　　　最初からデートの約束なんてしないだろフツー。
　　　　　　　　　　　　　　´　ゝｰ一　七ゞ´　ｌ＼＼
　　　　　　　　　　　　　　　　/´|/　　＿　 　ﾍ/　/ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　八　|＼〔三　〕/ ./　/:::::::＼



　　　 　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　|　　　 （ ●）（●
.　　　　　　　　　|　　　 　 （__人__）
　　　　　 　 　　 |,　 　　 　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　　 　　 │ 　　　　 　　 ｝　　　　　　　　　　突発的な自殺も考えられない訳ではないから、
　　　　　 　　　　 ヽ､　　　 　　ｿ　　　　　　　　　　 有り得ない訳ではないと思う……が、確かに不自然といえば不自然だ。
　　　　　　　 　 ｲ斗┴r┐｀ .;
　　　　／￣`ーゞ､　 /　|__ 〈ー─r､　　　　　　　　とすると、事故か他殺の可能性がますます濃くなったことになる。
　　　/　　　　　＼ ∨＼ 　|,ベ._ /　|　　　　　 .┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　 ｛　　　 . : : : . ヽ＞ｰ＼[￣{ 〉＼|､_
　　　| 　 　 　　 ｀丶}＼　 __＼_]~∨'＼｀ヽ
　　　:|　　　._　　　　＼_}/r‐-}＼　ﾞ,`''く l　ﾞ,
　　　 ﾄ､: :./ ／￣｀` ぐ└f'二）::{　 ',　 | !,ゞ┐
　　　 `､∨ ´　,.､-''"~￣}_｛‐''く:::{_　 ', _|_|_,rｰ'､_
　　　　 }｛　／　_､-'''"~￣{_＼;;;;;ｊ;＞＜;:::::＼:::ﾍ}＼
　　 　 　}∨: ／　　_､-''ﾞ~￣￣　　　　　＼::::},之_　ヽ
　　 　 　 〉∨ 　 ／　　 　 　　　　　　,.､イ;;ノ_ 　 ｀ヽ}
　　　　　{:　＼,/＼　　-‐　'"　　　／｀￣　　　 　　:.:｝

　　　　　　　　　　 /::::::::::::/::::::::::::/:::::::::::::::::::::i::::::::::::::::::::::',:::',
　　　　　　　　　 /:::::::::::/:::::::::::::/::::::::::::::::::::::::i:::::::::::::::::::::::!::::i
　 　 　 　 　 　 ,'::::::::::::/::::::::::::: /::::::::::／::::::::::::|:::::::::::::i:::::::::i::::l
　　　　　　　　 l:::::::::::/:::i::::::::: /＿::／|::::::::|::::::::|:::::::::::::l:::::::::l::::l
　　　　　 　 　 i:::::::::/:::/::::::丁:::／￣i::::::::l:::ｰ∧一:::::::|!:::::::|'ﾘ
　　　　　 　 _ノ::::┌i:::/:::::://／　 　 i::::::::i::::ﾒ　i:::::::::::::i:!::::::!
　　　 　 　　＞:::::｛ ﾚ' |:::::7ﾚ′ 　　/:::／|:/　　.l::::::::::ハ:::::!
　　　　　　_,＞::::::::i ヘ|:::/　ゞ＝'"/／　 ′ゞ='"l::l:::/　 ∨　　　　にしても、ここんとこ全然ツイてねぇや。
　　　 　 　 ￣｀￣｀＼:|:/ 　 　 　 ′　　　､ 　　∧!/　　　　　　　　世界にはうるさがられるし、デート約束した女は死んじまうし、
　　　　　　　　　　　　 ＼|＼ 　 　 　　＿　 　 /　 ′　　　　　　　　店も赤字だし給料安いし……
　　　　　　　　　　　　　_{i　　　　 　 ´　　　／
　　　　　　　　　　　　//　｀＼　 ＞　_　イ
　　　　　　　　 _,､-;'´;;;i　　　　 `ｰ ､, _ﾉ iヽ、
　　　　 _,､-;;"´;;;;;;;;/;;;;;l　　　　　　／ﾍ　l;;;;;ﾍｰ,,､
_,､-;ｰ'´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;;;;ヽ　　　 ／::::::::∨;;;;;;;;ﾍ;;;;;｀';;;;;;;､_






　　　　　　　　 　 　 　 ,.､-rｧｧｧｧｧ‐-,.、
　　　　　　 　 　 　 　 ﾊｼ'"`''ｰ‐''"`ヾ;ﾊ
　　　　　　　　　　　　lﾐ' 　 _ ､__,. _ 　 ﾞﾐl
　　　　　　　　　　　　|| へ､_｀ｰ '_,._へ ||
　　 　 　 　 　 　 　 rｮl　,.=｡=ﾞ　'=｡=､　ｈ　　　　　　…………おい。
　　 　 　 　 　 　 　 |ﾋ|.　｀二｝ ｛二´　:|j.|
.　　　　　　 　 　 　 ,ゞ|　　 人__人　　 |く
　　　　　_,,.　-‐''"´| : lヽ、{.￣-￣.｝,.イ: :|｀`'''‐- ､.._
　　　/´l : : : : : : : :|: : |.＼｀'' ‐-‐''´／|: : ｌ: : : : : : : : ｢ヽ
　　 /: : l : : : : : : : |: : :|.　 ＼　　／　 |: : :| : : : : : : : |: : l
　　ﾊ : : |: : : : : : :│: : | 　 　 ><　　　| : :│: : : : : : :| : : 〉
.　 {: : : : | : : : : : :│: : :|　 ／| /|＼.　|: : :│: : : : : : | : / }
　 ﾊ : : :│: : : : : : ＼;ノﾚ'´　 〉〈.　 ヽlヽ;／ : : : : : : |: : : ;ﾊ
　 〉:＼ :│: : : : : :.／: :│　　|/ |　　 | : :＼: : : : : : :|: : :/:〈

.　　　　　／: : : :u: : : : : : : : : : : : : : : : : : ＼
　　　　 /: : : : : : : : : : : : : : : : :.、: : : : :u: : : ヽ
.　　　 /: : /:: : : / : : : !:: : : : !: : !: : : ヽ:: : : : : ',
　　　/: : /: : : 斗--､ :|: : : : :|: : | ,ィＴ: ',: : :ヽ : !
　　　|: : |: : : : : |: /　 ＼: : /|:.ィ: :ヽ: : :.|.: : : ﾄ､:|
　　　|: : |: : : : /!/ ⌒ヽ| :/　|:./⌒ヽＶ: |.: : : | V
　　＜ : ｣_: : / 〈　（・）　|/:::::::ﾚ（・）　}|:./ヽ : |
　　＜:: |. 小{　　 _,,.. -　:::::::::::､-.,_　 ﾚ{: :.|ヽ:|　　　　　ゲッ！？
　　　厶ﾍ　ﾊ　　　::::::::::::::::::::､::::::::::::::: {ﾊ/　V　　　　　しゃ、社長……
　　　　　 ＼_!　u 　　　　＿　'　　　　 !
　　　　　　　 ヽ　　　 ／　　 ｀t　u ／
　　　　　　___,ｒ| ＼　 {　　　　/　／
　　　　／:/::::| ＼　 ヽ ｀_⌒ ィ ´
　　／::::::/::::::|　　＼u　　´ ∧＞､
／:::::::::::/::::::::|　　　　＼　 /　 !＼::`ｰ- ､
::::::::::::::/:::::::::∧　　　　/二＼　|::::::ヽ::::::::::::＼
::::::::::::/::::::::::::::∧ヽ　 /: : : : :}ヽ!::::::::::〉:::::::::::::::!



　　　　　　　　　　　　　　＿,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,___
　　　　　　　　　　　　 .／=--- ､ヾい| | | / / -─ ､三､
　　　　　　　　　　　　 l三!　　　　　￣￣￣　　　　 ヾE|
　　　　　　　　　　　　 !彡　　-- ､ ─── ,─　　　 lミ!
　　　　　　　　　　　　.F!／＼￣＼三三三／￣_, ヘ ',ﾐ!
　　　　　　　　　　　　F!´　｀'-ﾆ､ ､__　　　　, -' - '"｀'.ﾊ!
　　　　　　　　　　 , -l=!　　 二二､ノ　　　L二二_　　F/､
　　　　　　　　　　 | f=E!　 ﾆ‐-ﾟ- 7　　　 f ‐ﾟ--‐ﾆ　|;f_!l　　　　　仕事サボって何してるかと思えば、
　　　　　　　　　　 | |ソ!!　　__二ﾆ,'　　　　.! ﾆ二__　 |kﾋl!　　　　　客に向かって店の悪口か？
　　　　　　　　　　 ヾ ､!;! -＿__／!　　　　　!＼＿-　.!ノﾉ
　　　　　　　　　　　 ￣|　/　＿_ L＿　　＿!__＿ ＼ |''"
　　　　　　　　　　　　 /!.　 / -──────--!　.|､
　　　　　　　　　　　 /::::!.　 ヽ二二二ニニニ二ソ　 /:ヽ
　　　　　　　　　　 /:::::::::ヽ､　　　　　 ─　　　　　 ／:::::::|-､
　　　　　 _,､-‐ '''"|::::::::::::|　 ヽ､　　　　　　　 ,　 '　.!::::::::::|:::::::｀"''- ､
_,,､-‐ '":::::::::::::::::::::|::::::::::::|＼　　｀ ─── '"　　／|::::::::::|::::::::::::::::::::::｀"'''-

┌【利根川幸雄】
│　　利根川宝石店の社長。
｜　　サラの元父親だが、血の繋がりは無い。
｜　　店の経営状態は…………
└───────────────────────────

　　 　 /: : /:: : : / : : :.!:: : : : !: : !: : : ヽ:: : : : : ',
　　　/: : /: : : 斗--､ :|: : : : :|: : | ,ィＴ: ',: : :ヽ : !
　　　|: : |: : : : : |: /　 ＼: : /|:.ィ: :ヽ: : :.|.: : : ﾄ､:|
　　　|: : |: : : : /!/ ⌒ヽ| :/　|:./⌒ヽＶ: |.: : : | V
　　＜ : _: : : / 〈　{} 　 |/　 .ﾚ　{} 　} |:./ヽ: : |　　　　　　いやいやいやいや、滅相もありませんよ！
　　＜:: |. 小{　　 _,,.. -　　　　､-.,_　 ﾚ{: :.|ヽ:|　　　　　　ただこちらの方がですね、サラお嬢さんの事を聞きたいと……
　　　厶ﾍ　ﾊ　　　　　　　　 ､　　　u {ﾊ/　V　　　　　　ホラ、前にお嬢さんが住んでいたリバティ・タウンてとこの刑事さんです。
　　　　　 ＼_!　u　　　　＿　'　　　　 !
　　　　　　　 ヽ　　　Tﾆｰ‐‐‐,‐''　 ／
　　　　　　___,ｒ| ＼　 ｀二二´　／
　　　　／:/::::| ＼　 ヽ _￣ ィ ´ 　 　 　 　 　 　 (⌒)
　　／::::::/::::::|　　＼　　　´ ∧＞､　　　　　　 ﾉ ~.ﾚ-r┐､
／:::::::::::/::::::::|　　　　＼　 /　 !＼::`ｰ- ､　 ノ__　 |　.|　|　|



　　　　　　　 ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
　　　　　 /´　 , -‐- ､.　　　　　　　　　　 /
.　　　 　 i　　/::::::::::　　`''‐ ､..__,. ‐'´ヽ.　/
.　　　 　 ! 　,'::::::::::　 　 、　　　　　　　∨
　　　　　|　 i::::::::::　　、 ､`''ｰ---‐''´　 ヽ
　　　　　|.　l:::::::: ／へ.＼` ｰ---‐ ´／,.ﾍ
　　　　 │　＼::::::::　＿＼＼,　　　/∠_　 |
　　　 　 |. /"ヽヽ:::=＝｡＝`,,　　 /=｡＝=│
　　　 　 | { i⌒| |:::::` ｰ-‐'　 　 .::.＼-‐ ´│　　　　　ほう……リバティ・タウンの刑事ね。
　　　 ／|. l ト､|.|:::::: ｰ-‐ '　　 ::::::::::: l::-‐'.|　　　　　　では私が彼の相手をするから、お前はさっさと仕事に戻れ。
　　／　 |　ヽ.._||::r':; -‐‐'　r __::::::::::::: l ｰ､|　　　　　　　でないと給料さっ引くぞ。
_／　 　 |　　 /l!:::/:: ー----------ｰ'--.|
.!　　 　 .|　 ./ ::|::::::::::　　　　　 　 　 　 　 |
|　　 　 │./　 ::|::::::::::: 　 　 =====　　 　 |＼
|　　　　 |/　　 ::|:::::::::::::...　　　 　 　 　 ,.イ　 .!`
|　　　　 |＼　　 :`'' ‐- ､::_:....... 　 ,. ‐'´/|　　│
|　　　　│　＼ 　 ::::::::::::::::::｀~`''"::::::::/ .|　 　 |

　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : : : : : : : : : : : : : :.、: : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　.　　　 /: : /:: : : / : : : !:: : : : !: : !: : : ヽ:: : : : : ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　/: : /: : : 斗--､ :|: : : : :|: : | ,ィＴ: ',: : :ヽ : !
　　　　　　　　　　　　⊂ 　　　　|: : |: : : : : |: /　 ＼: : /|:.ィ: :ヽ: : :.|.: : : ﾄ､:|　⊃
　　　　　　　　　　　　　　　　　　|: : |: : : : /!/ ⌒ヽ| :/　|:./⌒ヽＶ: |.: : : | V
　　　　　　　　　　　　⊂ 　　　＜ : ｣_: : / 〈　　{}　|/　　ﾚ　 {}　}|:./ヽ: : |　　 ⊃
　　　　　　　　　　　　　　　　　＜:: |. 小{　　 _,,.. -　　　　､-.,_　 ﾚ{: :.|ヽ:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　厶ﾍ　ﾊ　　　　　　　　 ､　　　　 {ﾊ/　V　　　　　　は、はい～～～～～っ！
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼_!　u　　　　＿　'　　u 　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　　 ／　　 ｀t　　 ／　　　　　（　このクソ社長！客もいないのに仕事なんてあるかよ！　）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　 {　　　　/　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ ｀_⌒ ィ ´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⊂　　　 ⊃
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 （　ヽノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾉ>ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　三　 レﾚ

　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　　|　　　 （ ●）（●）
　.　　　　　　　　　|　　　　 （__人__）
　　　　　　　　　　 |　 　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　.　　　　　　　　　 |　　　　　　 　 }　　　　　　彼が水銀燈の父・利根川幸雄か……。
　.　　　　　　　　　 ヽ　　　　　 　 }　　　　　　 似てない親子だな。……血の繋がりは無いんだから当然か。
　 　 　 　　 　 　　　ヽ　　　　　ノ　　　　　┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　 　 　　 　 　　 _,／(　｀'　､ _ﾞT
　　　　　　　　ノ.ヽ｀ヽ.　ヽ｀ヽﾑ　｀
　 　 _..　-‐ ´ 　ヽ　　 ＼　　l;;::ヽ
/´　　　　　　　　 ヽ　　　ハ/｀ｧﾍヽ
. : .　　　　　　　　　｀ ー/ 　 ヽ|:. ﾍ ＼､_
, : : . ＼　　　　　　　 ヽ　　　　ヽ:::. ' ＜. ヽ
l: : : : .　ヽ: .　　　　　　 ヽ　　　 ﾍ:::. l　^l　|
!: : 　　　 ヽ: : : : 　　　 　 ヽ　　　ﾍ:: l　 .! .|



.　 　　 　 ┌r┬r┬r┬r┬r┐
　　　　　　ドﾐヾ＞冖┴冖く'/
　　　　　　|ニ/　__￣ニニﾆヽ
　　　　　　|=〈 /ベ≧ｚｚ　jｚｚﾍ
　　　　　　|Fｔ|　==｡＝:::/=｡=〈　　　　　　　　　失敬、随分とお見苦しい所を見せてしまったようだな。
　　　　　　|{(||　｀ﾆﾆ´　ヽ｀ご.|　　　　　　　　　で、サラの事を調べているんだって？
　　　　　　ﾄ=|　 , -‐ '-　_}｀ヽ|
　　　　 ／|ｼ'l　/ (二ﾆニﾆ⊃|、
-一''¨´| 　ﾄ､｀丶、　　≡　　ハ｀'ｰ-､＿
-‐　¨´| 　 |　＼　｀'ー--‐''´!　|｀'ｰ-､＿￣
　　　｜ 　 |　　 ＼　　 　／|　 |

　　　　　　 ＿＿＿＿＿
　　　riff7//////〃〃∠ヽ
　　　ﾚ"⌒''ｰ''"´　 ｀ヾﾆ三|
　 　 l　 ﾆ_ー‐'_ﾆ　　　|ﾆ三|
.　　 ﾚヘ＼￣､／,へ　 }ﾆ三!　　　　　　　　　　サラが亡くなった事については、非常にショックを受けたもんさ。
　 　 } ==,=>　_=,=＝　 |r=､ |　　　　　　　　　　あの娘は私に似て美人でいい娘だったからな……。
.　 　 | 二/　 　 二´ 　 |.６.| |＼
　　　 |　 |_,　-`　ヽ　　 k‐':ﾆ|　 |`''ｰ-　　　　　血の繋がりは無く、幼い頃に手放してはいるが、
_,　-‐''|　ｌ⊂ﾆﾆ⊃ l　　 | ＼│　:|　　　　　　　　それでもサラは私のたった一人の娘なんだ……。
　　 　 ヽ!　 ---　　l , ‐'　 ／|　　|
　　　　　/` r､-‐ ' ´ 　 ／　 :|.　　|
　　　　 / 　 |　＼　 .／　　　 |　　 |



　　　　　　　 ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
　　　　　 /´　 , -‐- ､.　　　　　　　　　　 /
.　　　 　 i　　/::::::::::　　`''‐ ､..__,. ‐'´ヽ.　/
.　　　 　 ! 　,'::::::::::　 　 、　　　　　　　∨
　　　　　|　 i::::::::::　　、 ､`''ｰ---‐''´　 ヽ　　　　　　　┏━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　|.　l:::::::: ／へ.＼` ｰ---‐ ´／,.ﾍ 　 　 　 　 .┃..　鈴美・ローゼンについて　..┃
　　　　 │　＼::::::::　＿＼＼,　　　/∠_　 |　 　 　 　 .┗━━━━━━━━━━━━┛
　　　 　 |. /"ヽヽ:::=＝｡＝`,,　　 /=｡＝=│
　　　 　 | { i⌒| |:::::` ｰ-‐'　 　 .::.＼-‐ ´│　　　　　　鈴美か……彼女とは別れてから一度も会っとらん。
　　　 ／|. l ト､|.|:::::: ｰ-‐ '　　 ::::::::::: l::-‐'.|　　　　　　　何故別れたかだと？……性格の不一致だよ。
　　／　 |　ヽ.._||::r':; -‐‐'　r __::::::::::::: l ｰ､|
_／　 　 |　　 /l!:::/:: ------------ '-- |　　　　　　　　……彼女は、仕事に生きる私の生き方が理解できんかったようだ。
.!　　 　 .|　 ./ ::|::::::::::　　　　　 　 　 　 　 |
|　　 　 │./　 ::|::::::::::: 　 　 =====　　 　 |＼
|　　　　 |/　　 ::|:::::::::::::...　　　 　 　 　 ,.イ　 .!`
|　　　　 |＼　　 :`'' ‐- ､::_:....... 　 ,. ‐'´/|　　│
|　　　　│　＼ 　 ::::::::::::::::::｀~`''"::::::::/ .|　 　 |

　　　　　　 　 __,,,....　-――‐-　.._
　　　　 　 ／vV/／／∠∠彡:ﾆﾆヽ
　　　　　 {/`ｰ-‐'''"´　 　二二ニニl　　　　　　　　　┏━━━━━━━━━━┓
　　　　　/ｰ--‐''''"´　　　 二二ニﾆ|　　　　 　 　 　 ┃ 　９日の夜のアリバイ　.┃
　　　　,/ー---‐'''"´＿_ 　 ﾆﾆ二二|　　　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━┛
　　　 〈べヽ ｌ. ヾニ-‐'''ヾ> =r-､ニﾆ|
　　　　},-o->　 ヽPニﾆ　　ﾐ ｽ.|ﾆ二|　　　　　　　　　　ああ、あの夜は友人の店がオープン前日でね。
.　　 　 |二/,'　　　ー― '　 `に!|二ﾆﾄ､　　　　　　　　　徹夜で飾り付けを手伝っていたんだ。
　　　　｜/,'　__ ヽ＼　　　　r＜二ニ|　＼
　　　 　 | ｢r---一ァ'!　　　｜　＼ニ|　 　|`'ｰ-､__　　　グリニッジビレッジの「ブティック・アベニュー」という店だ。
　　 　 　 | !｀ 三￣　 ｌ　　　 | 　　 ＼!　　｜　　　　　　　そこのオーナーである黒井ななこという女性に聞けば、
　 　 　 　 ＼　　 　 　 _.. -''" 　 　／| 　 　|　　　　　　　　私のアリバイの裏も取れるだろう。
　　　 _,.. ‐'''"`ー ＜´　　 　 　 ／　｜　　｜



　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　　|　　　 （ ●）（●）
　　　　　　　　　　|　　　　 （__人__）　　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　 　 　 　 　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　　　　グリニッジビレッジか……丁度シアター・ララの近くだな。
　 　 　 　 　 　　　 |　　　　　　 　 }　　　　　　　　　 やれやれ、またあの辺りに戻ってアリバイの裏取りか。
　 　 　 　 　　　 　 ヽ　　　　　 　 }　　　　　　　　　 仕事で日常的にやってる事とはいえ、面倒な事には変わりないな。
　　　　　　　　　　　 ヽ､.,＿＿ __ノ　　　　 　 　 .┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､
　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::＼:::::ﾞ､|||:::/::::::::::|:::

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::::| ./::::::::::::::::::::::::::y'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::::ﾚ:::::::::::::::::::::::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::/　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::/　　　　　　　俺は利根川社長に礼を言って店を出た。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::／:::::::::::::::::::::::::::/　　　　　　　　その直後、誰かが俺を呼び止める声が聞こえた。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 〈::::::〈二二二＼:::::／〈　　 　 　 .┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /＼/::/::/::/::∧ ＼:::::::〉
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　〈::::::::∨::/::/::/::∧　∨￣＼
　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　`─‐∨ /::/:::/ /＼　　 　 〉
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　　.:.;::;.:;.; ..;:`ー─--- ───′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　...:;.:;.:;;:.;:::;;;;;;;:: :;;;...:;;..;;;...:;;...:;;
　　　　　　 　 　　　 　 ...:;:;:;.:.;:.:;.:;.:;.:;.:;:.;.:;.;. :;;;;;;;:::; ;;;;;;:: ;......:;;
　　　　　　 　 　　　...:;:.;:.;:;..:.;:;.:.;::.;:;.;:.;:.:;.;:.:; :;;;;;;;: : :;;;...:;;...:












.　　　 /: : /:: : : / : : : !:: : : : !: : !: : : ヽ:: : : : : ',
　　　/: : /: : : : |: : : : :|: : : : :|: : | ,: : : ',: : :ヽ : :!
　　　|: : |: : : : : |: /　 ＼: : /|:.: :: :ヽ: : :.|.: : : ﾄ､:|
　　　|: : |: : : : /!jニﾆｺ| :/　|:./iﾆニＶ: :|.: : : | V
　　＜ : _: : : / 〈fｴ:ｴi |/　　ﾚ fｴｴ)　|./ヽ: : |　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　＜:: |. 小{　　 　　　　　　　　　　 ﾚ{:.| ヽ:|　　　　　　　　誰かと思えば、さっきの若い店員だった。
　　　厶ﾍ　ﾊ　　　　　　　＞　　　　 {ﾊ/　.V　　　　　　　　微かに煙草の匂いが残ってるという事は、
　　　　　 ＼_!　　　　　　　 　　　 　 !　　　　　　　　　　　　さっきまで裏でこっそりサボって煙草を吸ってたんだろう。
　　　　　　　 ヽ 　 　 !ー―‐r　 　／　　　　　　　　　 ┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　　　　___,ｒ| ＼　 ｀ー―'　 ／
　　　　／:/::::| ＼　 ヽ _￣ ィ ´ 　 　 　 　 　 　 (⌒)
　　／::::::/::::::|　　＼　　　´ ∧＞､　　　　　　 ﾉ ~.ﾚ-r┐､
／:::::::::::/::::::::|　　　　＼　 /　 !＼::`ｰ- ､　 ノ__　 |　.|　|　|

　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ､
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 _ヽ ,. -―‐-:::、
　　　　　　　 　 　 　 　 ／´｀v'::::::::::::::::::::::｀ヽ
　　　　　　　　　　　　/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::ﾊ
　　　　　 　 　 　 　 /:::::/::/:::/l:::::::ヽ::::＼::ﾍ:::;ﾊ
　　　 　 　 　 　 　 ,':::::/::/:::/,_l::ヽ:::::ﾄﾍ::::＼::ヽ:}
　 　 　 　 　 　 　 ,'::/l:::/:::/ｾ=',:::iヽ::|ﾔﾐ::ﾍ::::::::l__
　 　 　 　 　 　 　 l/ .|/l::rY弋i} ヽl ｀ヽ{iｿ｀ YヾΣ　　　　なあヤラナイさんよ……今さっきサボリから戻った時にさ、
　　　　　　　　　　 　 |! ヾ{､｀ｰ　　,　　｀ﾞ´ ./ゾ｀　　　　　「黒井ななこ」って名前がちらりと聞こえたんだが……。
　　　　　　　　　　　　　 　 ﾊ　　　_ _　　 ,ｲ/　　　　　　　その黒井って女と社長の関係、知ってるか？
　　　　　　　　　　　　　　　　｀　､　　 ,／ |
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾉ ｀ｰ _,,='´＼__
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　_／/ /｀ﾍ　　 / ∧｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　, r'/　 {∨l__,∧_,/　　∧　　 ＞ 、
　　　　　　　　　　　r'"´::〈　 /|　/ｿ |　∧ 　 　 〉　　　　,＞､



　　　 　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　|　　　 （ ●）（●
.　　　　　　　　　|　　　 　 （__人__）
　　　　　 　 　　 |,　 　　 　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　　 　　 │ 　　　　 　　 ｝　　　　　　　　その黒井って女性の事は、まだ会ってないから分からんが、
　　　　　 　　　　 ヽ､　　　 　　ｿ　　　　　　　　　その持って回った言い方で大体の想像がつく。
　　　　　　　 　 ｲ斗┴r┐｀ .;　　　　　　　　　　……あまり深く突っ込むのは下衆の勘繰りというやつだろう。
　　　　／￣`ーゞ､　 /　|__ 〈ー─r､　　　　　┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　/　　　　　＼ ∨＼ 　|,ベ._ /　|
　　 ｛　　　 . : : : . ヽ＞ｰ＼[￣{ 〉＼|､_
　　　| 　 　 　　 ｀丶}＼　 __＼_]~∨'＼｀ヽ
　　　:|　　　._　　　　＼_}/r‐-}＼　ﾞ,`''く l　ﾞ,
　　　 ﾄ､: :./ ／￣｀` ぐ└f'二）::{　 ',　 | !,ゞ┐
　　　 `､∨ ´　,.､-''"~￣}_｛‐''く:::{_　 ', _|_|_,rｰ'､_
　　　　 }｛　／　_､-'''"~￣{_＼;;;;;ｊ;＞＜;:::::＼:::ﾍ}＼
　　 　 　}∨: ／　　_､-''ﾞ~￣￣　　　　　＼::::},之_　ヽ
　　 　 　 〉∨ 　 ／　　 　 　　　　　　,.､イ;;ノ_ 　 ｀ヽ}
　　　　　{:　＼,/＼　　-‐　'"　　　／｀￣　　　 　　:.:｝

　　 　 /: : /:: : : / : : :.!:: : : : !: : !: : : ヽ:: : : : : ',
　　　/: : /: : : 斗--､ :|: : : : :|: : | ,ィＴ: ',: : :ヽ : !
　　　|: : |: : : : : |: /　 ＼: : /|:.ィ: :ヽ: : :.|.: : : ﾄ､:|
　　　|: : |: : : : /!/ ⌒ヽ| :/　|:./⌒ヽＶ: |.: : : | V
　　＜ : _: : : / 〈　{} 　 |/　 .ﾚ　{} 　} |:./ヽ: : |
　　＜:: |. 小{　　 _,,.. -　　　　､-.,_　 ﾚ{: :.|ヽ:|　　　　　さっすが現役の刑事サン。察しがいいねぇ。
　　　厶ﾍ　ﾊ　　　　　　　　 ､　　　　 {ﾊ/　V　　　　　そう、社長と黒井って女は愛人関係にあるらしいぜ。
　　　　　 ＼_!　　　　　　＿　'　　　　 !
　　　　　　　 ヽ　　　Tﾆｰ‐‐‐,‐''　 ／　　　　　　　　　あの女がオープンした店だって、社長が資金を出したんだ。
　　　　　　___,ｒ| ＼　 ｀二二´　／
　　　　／:/::::| ＼　 ヽ ｀_⌒ ィ´
　　／::::::/::::::|　　＼　　　´ ∧＞､
／:::::::::::/::::::::|　　　　＼　 /　 !＼::`ｰ- ､



　　　　　　　　　　 /::::::::::::/::::::::::::/:::::::::::::::::::::i::::::::::::::::::::::',:::',
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　 　 　 　 　 　 ,'::::::::::::/::::::::::::: /::::::::::／::::::::::::|:::::::::::::i:::::::::i::::l
　　　　　　　　 l:::::::::::/:::i::＿:: /:::::::／|::::::::|::::::::|:::::::::::::l:::::::::l::::l
　　　　　 　 　 i:::::::::/:::/::::::/＞､/ 　i:::::::::l:::::∠⌒:::::::::|!:::::::|'ﾘ
　　　　　 　 _ノ::::┌i:::/::::::/斤心ヘ i:::::::::i::::ﾒ≦i::::::::::::i:!::::::!
　　　 　 　　＞:::::｛ ﾚ' |:::::7ﾚ升::｝　/:::／|:/辻:｝l::::::::::ハ:::::!
　　　　　　_,＞::::::::i ヘ|:::/　ゞ‐"　/／　 ′ゞ‐' l:::l:::/　 ∨　　　　……別によ、いくら俺でも只の愛人関係ならこんな事喋りゃしないさ。
　　　 　 　 ￣｀￣｀＼:|:/ 　 　 　 ′　　　､ 　　∧!/　　　　　　　　問題なのは、金なんて持ってるハズのない社長が、
　　　　　　　　　　　　 ＼|＼　　　　　＿ 　 　 /　 ′　　　　　　　　どうやって愛人の店の資金を出したか、だ。
　　　　　　　　　　　　　_{i　　　　 　´ 　 ｀　／
　　　　　　　　　　　　//　｀＼　 ＞　_　イ
　　　　　　　　 _,､-;'´;;;i　　　　 `ｰ ､, _ﾉ iヽ、
　　　　 _,､-;;"´;;;;;;;;/;;;;;l　　　　　　／ﾍ　l;;;;;ﾍｰ,,､
_,､-;ｰ'´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;;;;ヽ　　　 ／::::::::∨;;;;;;;;ﾍ;;;;;｀';;;;;;;､_

　　　　　　　　　　　　　　_,,,..-.ｰ.─.-.-....､._
　　　　　　　　　二ヽ,,..::"::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀:..､
　　　　　　　／::::::::｀`:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　 /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼::::::::::::ヽ
　　　　　 /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヾ:::::::::::ヾ:::::＼:::::::::',
　　　　　/:::::::::::::::i:::::i!::::::::::::::::ヾ:::::,,∠,､ _:::::＼::::＼:::::',
　　　　　i::::::::::::::::!:::::i i:::::::::l::::::::イ＼＼＼:::::::::＼:::＼::',
　　　　　l:::::::i::::::::!::::i,,ゞ;::::::::i:::::::::l　 >≧r､＼::::::ヾ＼_::＞　　　　　どーせどっかで借金でもしたんだろうけどよ、
　　　　　ｌ::::::i!:::i::::l;/i ._,,＼::::!､::::::l 　 辻ヾ〉　＼:::ヾ）::::＞　　　　　正直言って、今の社長……
　　　　　i:::::ﾊ::::|::::l:::i〈｀（ﾍ＼! ＼:', 　 ゞ-′　　ラ∨/"´　　　　　いや、うちの店に金貸してくれるところなんて、もう無いんだ。
　　 　 　 l:::i　l:::|::::lヾ､ 弋i;） ヽ　 ＼ 　 　　　┌::ソﾉ
　　　　 　∨　l::::l::::l:::＼　" 　　　　　　　　　　ﾍ::::/　　　　　　　　そんだけウチの店の経営は逼迫してるってのに……
　　　　　　　 　＼|＼!＼　　′　　　　　　 　 　∨
　　　　　　　　　　ヾ ヾ　､　　　　‐-　　　　,　　　ゝ､
　　　　　　　　　　　　　　｀　 ､　　　　　 , ′　 ／ 　＼＿
　　　　　　　　　　　　　　 　　　｀ ｰ　＜　 ／´ 　　　／:::::￣｀ｰ-
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 _ノ´∧_∧　　　　／::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　:::::´￣／ /〈::ヾ∧ 　　 /:::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　:::::::／　 / ﾉ::::〈　ヽ 　/::::::::::::::::::::



　　　　　　　　　　 /::::::::::::/::::::::::::/:::::::::::::::::::::i::::::::::::::::::::::',:::',
　　　　　　　　　 /:::::::::::/:::::::::::::/::::::::::::::::::::::::i:::::::::::::::::::::::!::::i
　 　 　 　 　 　 ,'::::::::::::/::::::::::::: /::::::::::／::::::::::::|:::::::::::::i:::::::::i::::l
　　　　　　　　 l:::::::::::/:::i::＿:: /:::::::／|::::::::|::::::::|:::::::::::::l:::::::::l::::l
　　　　　 　 　 i:::::::::/:::/::::::/＞､/ 　i:::::::::l:::::∠⌒:::::::::|!:::::::|'ﾘ
　　　　　 　 _ノ::::┌i:::/::::::/斤心ヘ i:::::::::i::::ﾒ≦i::::::::::::i:!::::::!
　　　 　 　　＞:::::｛ ﾚ' |:::::7ﾚ升::｝　/:::／|:/辻:｝l::::::::::ハ:::::!　　　　　社長もまだ借金できるってのなら、
　　　　　　_,＞::::::::i ヘ|:::/　ゞ‐"　/／　 ′ゞ‐' l:::l:::/　 ∨　　　　　　その金を店に使えばいいものを……。
　　　 　 　 ￣｀￣｀＼:|:/ 　 　 　 ′　　　､ 　　∧!/
　　　　　　　　　　　　 ＼|＼　　　　　＿ 　 　 /　 ′　　　　　　　　ま、この事はサラの死とは関係無いとは思うけどよ、
　　　　　　　　　　　　　_{i　　　　 　´ 　 ｀　／　　　　　　　　　　　　妙にタイミングが良すぎたから、どうにも気になってたんだ。
　　　　　　　　　　　　//　｀＼　 ＞　_　イ
　　　　　　　　 _,､-;'´;;;i　　　　 `ｰ ､, _ﾉ iヽ、
　　　　 _,､-;;"´;;;;;;;;/;;;;;l　　　　　　／ﾍ　l;;;;;ﾍｰ,,､
_,､-;ｰ'´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;;;;ヽ　　　 ／::::::::∨;;;;;;;;ﾍ;;;;;｀';;;;;;;､_

　　　 ／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　 （ 一）（●）
　　|　　　　 （__人__）
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ　　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　 |　　　,.<))／´二⊃　　　　　　　　成る程……俺が見たこの店の第一印象は間違ってなかった訳か。
　 　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃　　　　　　　　 それにしても借金と経営難……それが水銀燈とどんな関係があるのか。
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉　　　　　　　　　 まさか水銀燈に貸せる程の金があったとは思えないし……
''"::l:::::::/　　　 __人〉　　　　　　　┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|








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＿＿＿＿＿＿＿
―――――――|　　 ＿＿＿＿　　 | | （（（（（((（（（　（(（（(（　　　　　ノ　┏━━━━━━━━━━━━━┓
　fashion　　　 　 |　　|＿＿＿＿|　　| |　　（（　（（(（（（（（（(（（(　　　ﾉ）......┃┌───────────┐┃
＿＿＿＿＿＿＿|　　＿＿＿＿_　　| |＿＿＿＿（（（(（（（(（（ヽ　　 ﾉ)）））┃│ 　ブティック・アベニュー　..｜┃
　　l＿＿＿ｌ 　 | |　/ ,-------- ､ヽ |＿＿＿＿＿（（（（（（(＼＼|　|)））））┃└───────────┘┃
　　,,,,　 　 　 　 | |　| |　 　 | |　 　 | |　|　＿＿＿_　 　 　 　　　＼ 　|／)）..┗━━━━━━━━━━━━━┛
　　Uﾐ 　 , _,、　| |　| |＿＿| |＿＿| |　|　||￣||￣||　　 |￣￣￣　 |　／　 　 　 　 　 |:::::||┬┴┬
　≪__〉　 〉 〈　 | |　| |￣￣| |￣￣| |　|　||＿||＿||　　 ||＿　　 ／|　|　　 　　　　　　|:::::||┴┬┴
　 ノ__ゝ　l＿.／| |　| |＿__.△＿＿| |　|　||￣||￣||　　 ||／　∠＿|　ｌ　　 　　　　　　|:::::||┬┴┬
　　 》|　　 ／／| |　| |￣.[open]￣| |　| ｌニニニニｌ ＿ |＿＿__　 ｌ　|　　　　　　　＿l＿||＿┬┴
＿＿＿＿＿___.| |　| |＿＿| |＿＿| |　|　 ‡/　　 ／oﾟ｡ﾟoﾟo｡／|　 |　| 　/＾l　 　／　　。　　　＼‐
□□□□□□.l |　| |_＿＿＿＿_.| |　|　ロ　 　 | 二二二 |／l|　 |　| 　|　|＿ |　　 c（）'　　　　|
￣￣￣￣￣￣￣　　　　　　　　　 　 ￣￣￣￣||　||　　　||　.||　 |　|￣|/ 　/|＼＿＿＿＿__／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ||　 ﾟ　 　 ||　 ﾟ　 .|　| 　||￣||.|　 ￣￣||￣￣
　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ﾟ　　　　　ﾟ　　　 .|　|　 ||　 ||.　 　 　 八
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　 　 ／　 ,ｌ　l、/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ／　　＾ ＾＾＾/

　　　　　　　　　　　_　　　 /｀ヽ、,,_
　　　 　 　 　 　 ／　｀ ＜/　　　ヽ　｀`ヽ､
　　　 　 　 　 , '　　　　　/ ﾊ 　 　 　 　 　 ＼
　　　　　　　/　　　　/:ヽ. i:;:zＶ　i　 ｀ｖ　　 ヽﾞ:,
.　　　　 　 /　　　 j .j'ﾞﾞ｀`` ヽ V　!　　V　　　ﾞ､',
　　　　　 / ,　　　 | j 　 　 　 i. V .!;.‐-､、　　　','.
　　　　　,' ,'　｜　 }ィ⌒　　　 l　i　!､　 .|｀`　 i.　ij
　　　 　 ! ,!.　 !　 '!l.|　　 　 　 |　i j ｀、 !i,　　 l.　{　　　　　　いらっしゃいませー！
　　　　 .l.i.| 　 |　 | {|　　　　　 |　l.l　_,}_｣,,i_ 　 lﾞ､ i
.　　　　 !ｌ l　　}　 ! ,ﾞ､＝-ﾐ　　　 ﾘ´Z.-―ｷ　 |Y:, i
　　　 　 {: l 　 !i . ﾄ"'"￣｀`　　　　　　　　 i　 ｌﾉ ヾ!
.　　　　　　i　 | ﾞ、! i　　　　　_'__,.｡、　　　 ,:! .l
　　　　　　 V｜ ﾞ､ｉ 〉、　　　{　　　,!　　 ∠!} ,!
　　　　　　　Ｖ| 　 ﾞ! !;;｀;;;,,,,,、` ｰ ' ,.. ＜;;;;;!ﾊ{;,、
　　　 　 　 　 ﾞ{ ／;!.|;;;;;;;;;;;r'i"|` ''":::;ﾚ' {;;;j.!;;;;;;;;;;;,、
　　　 　 　 　 　 ﾞ:;;;;!|;;;;;:ィ　 ヾ　::;／ 　 ,'メ､:::;;;;;;;/
　　 　 　 　 　 ,.- ''"!!　 l　∧｣∠ヘ 　 ,'/　　 ｀ヾ　　　　　　　┌【黒井ななこ】
　 　 　 　 　 /　!　　｣!-:|/Υ　　〉" ヽ/､　　 , '　｀:、　　 　 　 ｜　　ブティック・アベニューのオーナー。
　　　　　　 / 　 ! '"　{　 　 },-､/　　　　　｀/　　　 ｀:.　　　　　｜　　長い事男日照りが続いており、さらに両親からも結婚を急かされているため、
　　　　 　 /　　 Y　　　　 / 　 |　　　　 i　,{　　　　　i 　 　 　 .｜　　早いとこ利根川と結婚できないものかと焦っている。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 .└──────────────────────────────────

┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　流行を取り入れたお洒落な店内から、営業スマイルを浮かべて一人の女性が現れた。
　　恐らく彼女が利根川の言っていた、黒井ななこという女性だろう。
┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛

　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　　|　　　 （ ●）（●）
　　　　　　　　　　|　　　　 （__人__）　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　 　 　 　 　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　　　俺は彼女に自身の身元を明かし、
　 　 　 　 　 　　　 |　　　　　　 　 }　　　　　　　　 水銀燈の自殺のを調べている事も同時に伝えた。
　 　 　 　 　　　 　 ヽ　　　　　 　 }　　　　　　 ┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　　　　　　　　　 ヽ､.,＿＿ __ノ
　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､
　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::＼:::::ﾞ､|||:::/::::::::::|:::



　　　　　　　　　　　　　_,.-‐'´￣￣￣￣`ｰ-､
　　　　　　　　　　　 ／　　　　/｀ヽ./｀ヽ、　　｀ヽ、
　　　　　　 　 　 　 /　/　　　/　/ヽ:ﾍ　 ﾍ　 :: 　 ﾍ
　　　　　　　　　　 ｊ　/　 ::　/ :/:|`゛｀´|　λ　ｉ::　　∧
　　　　　　　 　 　 |　| λ::　|| :| |　　　|　| |　.|:::　　 ﾊ
　　　　　　　 　 　 {-,|:（_j::　||-|‐|　　　} ,ｊ‐|-ｊ|::: 　 |､ |
　　　　　　　　　　 ヽ| 　 ::　|:ヽ|__,　 　 ｊ/__ｊ,/ |:: 　 | |.|　　　　　そう、刑事サンやったんか……。
　　　　　　　　　　　 |∧ 　 | zﾆ彡　　　 ﾐﾆｚ ﾊ: 　 | ﾘ　　　　　　サラちゃんの事はなぁ、ホンマショックやで。
　　　　　　　　 　 ／|ｊゝ∨ |　　　　　､　 　 　 {:}　| ｊ
　　　　　　　　 　 ＼::::::::::ヽ|､　　　　　　 　 ,.ｨ::|ｊ/ｊ/　　　　　　　ゆっきー……あ、サラちゃんのお父さんの事やけど、
　　　　　　　　　　 〈::::::::::;/_/＞‐--ﾆ-‐ｒ＜:::::::||　　　　　　　　　彼も随分ショックを受けてたみたいですわ。
　　　　　　　　　　　/´￣´　 ＼_,,／7rｧヘ,〉`ｰ||､_
　　　　　　 　 　 ／　::｀ヽ,　　　 /　　 |'　 λ　.ﾘ,ハ
　　　　　　　　/´　　　::::/　　　/　　　|　　 ﾊ　λ　`ｰ､
　　　　　　 ／｀＼､ 　 :::{　 　 〈__　　 | 　 　 }　 }　　　 ,〉
　 　 　 　 〈　　　vヽ､_ ::∨　　　{＿__ｊ;＿,ノ´　/ 　 ,／＼
　　　　　　 ＼　　 ＼ `‐-〉　　　　　 ,':::.　 　 〈ｰ‐'/　　 /

　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ,、
　　　　　　　　 　 　 /＼,. --／　＼ _
　　　　　　　　 ,　 ´′　ヽ　′　　　　 ｀　、
　　　　　 　 ／　　　i　 ,､ /´丶　、　 　 　 ＼
　　　　 　 /　　　　 l　/''７´￣ ヽ ヽ 　 ヽ　　 ＼
　　　　　/ 　 /　l　 ! i.　 |　　　　ヽ ト、　丶　 、 ヽ
　　　　 i.　 , i 　 |　,| 1⌒! 　 　 　 l l⌒ヽ　i 、 ヽ　丶
　　　　 |　 | | 　 |　ﾊ |　 {. 　 　 　 l !　 ヽ　! ヽ　',.　 ヽ　　　　　┏━━━━━━━━━━┓
　　　　 l　 l/! 　 !　! -_-_､　　　 　 !}, - _i,. |　 }　il＼　! 　 　 　 ┃ 　９日の夜のアリバイ　.┃
　　　　 ｌ　/ | 　 「Y「{__,ハ`　　　　 ｒ_,ﾌi ﾊ |　　　|　 ヽ! 　 　 　 ┗━━━━━━━━━━┛
　　　　 ヽ{　|　　ヽ`l !rｰﾍ! 　 　 　 トﾍ.} ハ!　 　 |
　　　　　 ヽﾊ. |　 |､代'zrｿ　　　 　 込ｸ ｉ　　、　 l　　　　　　　　　９日の夜ですか？
　　　　　 　`_} |　 ! N　　 　　 　 '　　 　 } 　ハ　,!　　　　　　　　　その日はゆっきーと一緒に、この店の飾り付けを徹夜でしてました。
　　　　,.　´: : ヽ!、l. ﾄ､　　　 　_ 　　　,. ﾍ! /　 !/　　　　　　　　　　オープン前日で色々と忙しかったもんで……朝まで休むヒマ無しでしたよ。
　　 ／ : : : : : : : ヽ! K_i`_ ｰ--r_-‐ ' ヽ　lｲ　　′
　　 ヽ; : : : :_:＿__/l. !　 　 ヽ　l　,｀ｉ　　 〉!l
　　　 {.: :／　＿__｀ヽ! 　 /、ヽl /､ ｌ― '-l!､
　　　　`{　 　 　 　 　 ヽ/＼>┴ ､Ｎ￣ ｀　 ヽ
　　 　 r′　　､　　　　　 　 ヽ..:..:..}　 　 　 　 }
　　　/ 　 　 　 ヽ　　　　　 　 `r‐{　　　､　!　｀i
　 ／　　　　　　 }　　＿＿＿　|..:..ヽ　　 Ｖ　　 ＼



.　　　　　　 ／　　　　ヽ ' x　　　　　　　 `　､
. 　 　 　 ／　　　　 /ヽ. / ∧ ∨　∨ 　 ハ　＼
　　　 ／/　　　 / /-ｰ^‐ﾍ´ ',　,::.　∨　{.__j ∧ ﾍ
.　　 　 / 　 /　.:　l 　 　 　 ',　,　;､:.　∨　　/　 V‘，　　　　┏━━━━━━━━━━━┓
　　　 / 　 /　.:xヒl￣｀ヽ 　 |　',. l.x.ヒ T' ト{　　 }. ﾊ　　　　.┃ゆっきーという呼び方は？┃
.　　 /　　　　.::::ｌ ,'　　 　 　 |　 ｲ|　∨ ﾄ ::. ゝ- ' ∨　　　　 ┗━━━━━━━━━━━┛
　　　　　 l　.::::ﾏ＝=ミ.､　　 |　　!|zr==気rァ　 |:　∨
　　　　　 l　::λY らｲ ﾊ`　｜　 l| ら仆 ;}〈::::.　|､:.　　　　　　あー……アハハハハ………
　　　　　.:l　::ハ.lj V辷:ﾘ 　 j　　jl 之:タｿ　V::.｜∨　　　　　ま、まあ今更隠してもしゃあないかぁ。
　　　!　 :∧ :! /}　´　 　 　 ,　 　 　 　 ｀ 　 ∨ ! ﾉ∨
　　　∨ ｌ　Ⅵ' ,:!　 　 　 ,.ｰ--‐ v､　　　　 /:!: |´
　　 　 Ⅵ　　| ; ゝ、　　弋_　　　_ﾉ 　 　 .ｲ |l|: |
　　　　 `'　　| !　 x:≧;- ､　￣　_ .　＜`;.:.:`!j ﾉ
　　　　 　 　 ﾚ／:_: _/　　;} ￣　　 V　 ∧ｰﾚ'-` 、
.　　　 　 　 γ´　　/　　 /　 　 　 /　　 ∧　　　 ﾊ
　　　　　　 /　 　 /　 　 l　 　 　 /　　　　 }.　　 　 l

　　　　　　　　　 ／｀ヽ､__,/´｀ヽ-──-.､_
　　　　　　　　／　　 ｉ､:: .'::| :　　､　　　 　 ｀ヽ、
　 　 　 　 　 /　　　 /ヽ､, ;;| ﾄ､::　 ヽ:　　ヽ、:　＼
　　　　　　 /　　　 /|`゛｀゛"| |　|∨:: |::　:　 ﾊ::　　ﾊ
　　 　 　 //　　 /ヽ|　　　 | |　| ∨ |::. ｉ.　　|::　 　 }
　　　　　 l ,'　:　 |'　 |｀　 　 | | ,|─|‐ｉ-:.|:　　|::　 　,'|
　　 　 　 | ｉ　ｉ　 |＿_､ 　 　 |/　|　 | |､:.:|:　　|::　 /::|
　　 　 　 ! ! .:| ﾊ!ﾏ弐ｫ､　　 　 ,_＿| | ∨:､　 |､ /:.:ﾘ
　　　　　ｊ || ::|ｉ |:}､V:::;|　　　　ｨ弐ヰﾐ ﾚ∨|ヽ| }::: /　　　　　　　　まあつまり……アレですわ。
　　　　　|/|! :|ﾚ' ｊ ゛-‐　 　 　 　 　 |/ 　 | |_,,ノ:∠＿　　　　　　　男と女の……ってね。
　　　　　　 | :|　 ヽ、　　'　　　　　　　 ／| |'::ヾ:::__::::::|__ ＿__
　　　　　　 | :| 　 　 ヽ､lヽｰ(　　　 ,.ィ,ｨ'´| |＼::::::::￣:::/´;;;／　　　ウチみたいな女の店のために資金まで提供してくれて……
　　　　　　 ヽ| 　 　 　 ﾉ ﾉｰ-‐ '"´／　　ｊﾉ／ヽ:__::;;ノ::_;;/　　　　　ゆっきーにはホンマ頭が上がりませんわ。
　　　　　　　　　 　 ／　´￣_〕　／ ,ィ'´￣￣ ｀ヽ､ヾ~｀ヽ、
　　　　　　　　　　/　　　二､〉 /,／ /　　　　　　 ﾊ::ヽ､::.∧
　　　　　　　　 　 ｊ　　r-‐r_/,ﾉ'"　./ 　 ｉ　　 　 　 ,}::　 ::　.ﾊ
　　　　　　　 __l￣二ﾆ=‐┐/ ＿_/　　 :|　　　 　 ,'.|::　 !:: :　|
　　　　　 　 |゛￣"　 : : :::::/　 ＼　　　 :|　 　 　 　 |::　 !:: :　|
　　　　　　　|　 　 　 : :::::::|　　／　　　 :|　 　 　 　 |::　 |:: :　|



　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 l´｀丶ﾐ￣　ｰ-､
　　　　　　　　　　 ┌─--＜¨´ﾉ ∧ 　 　 　 　 　｀ヽ
　　　　　　　　　　　|　　　|ミヾY　''ﾍﾍ　 　 　 ｀､　 　.ゝ､
　　　　　　　　　 　.j 　 　 |　　 　 　 | ｷ.l　 　 　:|ヽ　　ミヽ　＿_
　　　　　　　　　　 | 　 　 :|　　 　 　 | .ｷﾄ､ヾ ___:|　ｿ　ﾆ三{}气　｀,
　　　　　.　　　　　|　　 　.:|ｰ一-､　 |　l.| .ﾔ´ 　:|　}　　/　{}ﾐ　 　 }
　　　　　 .　　　　 |　　　　:|　　　　　　 ｿ　 ヽ 　:|　j　/　.ハ　　　 |
　 　 　 　 　 　 　 | |　　　l|fミﾐ≧､　　　　 　 ｿ. :|　j　/ /　 |　　　|
　 　 　 　 　 　 　 | |　　　:ﾄ .ｲ:::::::l　　　　　ﾐ三ﾁ| ｽ-､/　　.|　　　|　　　　ウチ、本気でゆっきーとの結婚を考えてはりますよ。
　　　　 　 　 　 　 |ﾍ 　:|　{　ゝｰ''　　　　　　　　 |/|　ﾉ　 　 |　　　|
　　　　　　　　　　 |　i　:|､ :',:::::::::　　　　 ｨ　 ::::::: l jｰ'　　. 　|　　　|
　　　　　　　　　　　　ヾ.| l　|＞‐-　.　￣　 ,,,; ＜| l.　　　　 .|　　　|
　　　　　　　　　　　　　ﾘ .} ﾄ､;;;;;;;;;;:ﾊ￣￣l;;;;;;;;;;;:|'　　 　 　 |　　　|
　　　　　　　 　 　 　 　r爪ﾘ　';;;;;;Z二二二ｿ;;;;;;;;;|辷ヽ　　　|　　　|
　　　　　　　　　　　 ／　 　 l　Y　　　　　f-─一　　ｽヽ. 　|　　　|
　　　　　　　　　　rｲ　 ::::Y　　 j　　　　 ./　　　　　 / /.　　|　　　|
　　　　　　　　〃¨¨ r三ヽ　＿j＿＿ .y'　　　／　 j ./　 　 |　　　|
　 　 　 　 　 人-ｰZﾆ-ｰ'''¨　　　　　　｀y──--､j .|.　 　 |　　　|
　　　　　　 〈::::|　　　　　　　　＞-─一¨¨''ヽ　 　 ヽl.　 　 |　　　|
　　　　　 　 ヾ:|＿＿ ＞'' ¨´＞- 　　　　　　 ヽ　　 ﾊ.　　 |　　　|
　　　　　　　　　　　　ｿ /　　　　　　 Tｰ-----ｿ　 .ノ. 　　|　　　j
　　　　　　　　 　 　 / .ﾉ　 　 　 　 　 i　　　＼__／.　　 　 |　　 /

　　　 ／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　 （ 一）（●）
　　|　　　　 （__人__）　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ　　　　　　　ま、他人の男女関係にどうこう言うつもりは無いが、
　　 |　　　,.<))／´二⊃　　　　　 利根川と黒井が恋人関係だというなら、
　 　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃　　　　　　二人のアリバイはどうにも信用できない事になる。
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉　　　　　┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
''"::l:::::::/　　　 __人〉
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|



　　　　　　　　　　　　　　.／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　 .／ 　　　 _ノ ⊂_ ‐-' ＜
　　　　　　　　　　　　 |　 　　　（ ―）　 λ　　 ヽ　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　　　　　　 ,ﾍ__|　　　 　　（__人）　　ヽ　　',　　　　　　ひねくれた考えかも知れんが、アリバイの証言者が恋人や家族のみの場合、
　　　　　　　　 __,/　　　｀ ＜　 　　⌒ﾉ　　. ｒ'-‐￢　　　　　 口裏を合わせている可能性がある。
　　　　　　 ／---‐――--.､ゝ＼　 ノ　　　」-‐＞ヽ　　　　 .実際こういったアリバイ工作は手軽な分、よくある事なのだ。
　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／⌒ヽ. ´_ノ　　　/　 ´　　 l　　 ┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　 ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　／´ ｀ヽ　　　　 ヽ.　　,　, .!
　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　／　　　　 ヽ　　　　 l｀ / / /!
　/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／　 ./　　　　＿ __ヽ-､　　 !/. ,'　l　!
/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l　＿十''''''''""　　　　　＼ ＜　　　'　l

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　／　_ノ　 ⌒ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　|　（ ●）　（●） |
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　.　|　　 （__人__）　 |　　　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　　 |　　　｀ ⌒´　　|,　　　　　　　　とりあえず今聞けるのはこんなとこだろう。
　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　 .　 |　　　　　　 　 }　　　　　　　　 俺は黒井に礼を言うと、店を後にした。
　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　 _, -ヽ　　　　　 　 }　　　　　　.┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　　　　　　　　　　　　　 　 ,,-‐'':::::::::::ヽ　　　　　ノlヽ
　　　　　　　　　　　　　　　 　 >iヽ:::::::::;/ l ヽ　￣,イ　 l　　＼.
　　　　　　　　　　　　　　　 　ﾞ!i!　　 ::/　l :lr'´};;;r ､r'l　 i!　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　 /i!ヾ　 /　,/ :l　/:::l　/ l　　i!　　 / i}
　　　　　　　　　 　　　　 　 r''　 l ,／　 /　:l,/::::::l /　l　　:i!　/　/
　　　　　　　　　　　　　　　 〉ヾ／　　 / 　 l!::::::::l/　 l　　 i! }-‐{
　　　　　　　　　　 　 　 　 /,／ 　 　 .i!　　 {:::::::::} 　 l　　　i!　　ﾞｩ
　　　　　　　　　　　　　　/ ´- ､,,＿_ i!＼　 l::::::::l 　 l 　 　 ﾞi!　ﾞ i{
　　　　　　　 　 　 　 　 /　　_,,r''´　 i!　　ヽ l::::/　,,rl_,,,＿ 　 ＼ .i!
　　　　　　　　　　　　 /　 l￣　　　　i!　　　i!ﾞy,,r'　l!　 　 こ￣　 i!
　　　　　　　　　　　　 ＼'''l　　　　　i!　　　 ,/'　 　 l　　　　｀`!　 i!
　　　　　　　　　　　　　 '-,l　　　　 i!　ﾐ　　l!０　　　l!　　　　 :l　丿
　 .　　　　　　　　　　　　　）　　　/　　　　 i!　　,,''　l!



　　　　 　 /::ノﾉ::::::::::::::::::;ｲ::::::::::::::::::::,〉
　　　　 ／:::::::_:＿,..-ー‐':;`ーー--.イ
　　　　 ￣`下､:::::::::::::::ノﾉ!: :::::::::::::::`〉
　 　 　 　 　 |:::::::::::::::::::::::::|!:::::::::::::::::: !
　　　　 　 　 |::::::::::::::::::::::::!.l:::::::::::::::::::|　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
.　 　 　 　 　 |:::::::::::::::::::::::| |::::::::::::::::::|　　　　　　次に行くべき所はＭ＆Ｍと金糸雀のアパートくらいか。
　　　　　　　 ﾄ,::::::::::::::ｰ‐〈 ﾄ-＝:::::::;ｲ　　　　　　ああ、ついでにできる夫のいる「エンパイア・マガジン社」に
　　　　　　　 |::::::::::::::::::::::::| |::::::::::::::::::〉　　　　　　顔を出すのもいいかもしれない。
　　　　　　　 |::::::::::::::::::::::::| |:::::::::::::::〉|　　　　┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　　　　　 |::::::::::::::::::::::::| |:::::::::::::ﾉ::|
　　　　　　　 |::::::::::::::::::::::::| |::::::::::::::::::|
　　　　　　　 |:::::::::::::＝-:,〈 ﾚ::::::::::::::::|
　　　　　　　/::,r-ー--;;,､:.|〈::::::::::::::::::〉
　　　　　　　ﾚ ,,..;;-ー-;;..,,〈.ﾄ`ー---ｲ
　　　　　　　〈/:..:.::.:..:.:.:.::..ヽ.`-──-'
　　　　　　　 |::.:.:.::.:..:.:.::..::..:|
　　　　　　　 `ー-------'

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,　-‐
　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,　-‐　￣ ‐=ﾆ=-
　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣￣＼　　　　　　　　　　　_,　-‐　￣‐=ﾆ二ﾆ=-　_,　-‐　￣
　　　　　　　　　　　　 / 　　　　 　　 ヽ 　　　　　　　,～'_,　-‐　￣`ｰ-----― '
　　　　　　　　　　　　/　　　 　　　　　丶　　　　_,～'_ｯ'-
　　　　　　　　　　　　|　　　　　_ノ　 （ ●）　　.厂
　　　　　　　　　　　　i　　　　　（ ●）　　!　　.⊃
　　　　　　　　　　　　 |　　 　　　　（__人_） /〉
　　　　　　　　　　 ／∧ 　　　 ,.<))／´二//⊃　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　　　　　　　／ : |　ヽ　　/ ／　 '‐､二ﾆ⊃`　　　　　　　だがその前に、
　　　　　, -‐'´: : : : :l　　 丶ｌ　　　　´ヽ〉: : : : ＼　　　　　　一旦、仕入れた情報を整理してみよう。
　　　 ／: : : : : : : : :|　　／_/　　　 __人〉｜: : : : :|　　 ┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　 ｢ヾ: : : : : : : : : :l_／:_/ヽ. 　 /´　　 　 | : : : : :|
　　〈＼ : : : : : : : :,、: :/´∨/`ｰ'〉　|＿|　｜: : : : :|
　　　!: : :ミヽ: : :／ `ｙ′.: ',ゝ､_/　　　　　l: : : : : :|
　　　! ⌒ヽ: : : :.ヾ／: :／/: : : :|　　　　　 l: : : : : :|

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│　　　　　　　　　　　　,. -ｭ,ﾆニ弌垳ト､　　　　 　 　 　 .│
│　　　　　　　　　　／r'^　_rﾍ-ﾍ/＾ヽr宀､　　　　　　 　 │
│　　　　　　　　　/!７ト､7′ 〃　　　 ｌ ヽ ヽ　　　　　 　 │
│　　　、　　　　/ l//L｣| ∧ｌ |　! |l　 ｜　!　ヽ　　　　 　 │
│　　　|:l　　　 / 〃 ||丁l トH､lV| |l　 /l　 } l　|　　　　　 .│　　　　　　まずはサラ・水銀燈・ローゼンについて。
│　　　ヾヽ　 / 〃　|l　| ｌ抔卞｀ヽ{　/-ト/ //ﾘ　　 　 　 .│
│　＼　 ヽ:∨　|」 /ｌ|　ｌﾄヽ￣　　 ﾚ'戎ｼ' ／ ′　　 　 　 │　　　　　　彼女は今月９日夜、自宅アパートの２５階から飛び降りて亡くなった。
│⌒ヽ!ヽ._j＼＼ / 八　|ヽ　　　__ ' ∠r1=彳　　　　　　　│　　　　　　ニューヨーク市警の見解では自殺との事らしい……。
│::..::..::..::..::..｀::..::ヽ/　ﾊ ヽ‐ >､　 ,. イ|　}::..｀ヽ、　　 　 　 .│
│::..::..::..::. ／⌒ヽ､ヽjノヽ.∨r 芥､/:./ /::..::..::.､＼　　　　 .│　　　　　　右手にハート型のオルゴールを握り締めていた事以外、
│::..::..::.::./:.:.:.:.:.:.:.:.:ヾ⌒Tlヽ｝l,ハ/-/ 〈::..::..::.｀ヾ＼ヽ　 　 .│　　　　　　遺体には変わった所が無いとのこと。
│::..::..／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:∨_　||　ヽ:ﾚ':.:ヽ::..::..::.くヽ.j　　 　 │
│::.r'´.:.:.:..::.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨_ ||ｰrﾍ.:.:、:.:.＼ヽヽ:〉　　　　..│
│仆､ :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ∨_l〉 ri心:.:',:.:.:.:.:ヽ｝　　　　 　 │
│′　＼_.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ∨_　ゞ=仆ヽ.:.:_ノ　　　　　　 .│
│　,　　　〉个､:.:.:.:./.:.:.:.:.:.:.:.:.∨_　ｌ　 }〉:.}'´　　　　　　 　 .│
│　|　　く_/^ﾄ､>:.∧:.:.:.:.:.:.:.:.:. ∨_ﾘ　〈|:.ハ　　　　　　　　 │
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　　　　　　　　【サラ・水銀燈・ローゼン】



┌───────────────────────┐
│　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ|:.:.＼　　　　 　 │
│　　　　　　　　_ - ' ´:.:.::.:.:.:.:.:.:.:_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.::＼　　 ,　 │
│　　　　　　　ヾ､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::､:.:.:.:/ ／/. . │
│　　　　　　　　　＞:.:.:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:./:.:.:.:.:.:.:.:ﾚ:.:.:/ 　 .│
│　　　　　　　　 /:.:.:.:.:.:./:.:.:.:._;,;,-‐''''´:.:.:.:.:./:.:.:./:.:.:.:.-='´　　...│　　　　　第一発見者は向かいのアパートに住むジュン・ベイカー。
│　　　　　　　　｀ -､:.:.:/:.／/ ゞ:.x ､-ー ''´|:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.＼　　.│　　　　　飛び降りる瞬間まで見たようだが、
│　　　　　　　　　　ﾚ､:ﾚ´∧ /　｀　 ＼　.ヾ|:.:/|:.:.:.:.:.|:.:.:r､_::ゝ..│　　　　　他にも何かまだ見ているのかも知れない。
│　　　　　　　　　　　 ミ,;,;:.::|　　　　 　 ｀＞ミ_.|:.:.∧|:.:.:.:}　　....│
│　　　　 ,＿＿ r‐─ v'´　 ヽ　　　　　／ヾ∠.|:/|:./:.:.:.:.|　　....│
│　　　/.: : : : : : ＼: : : :＼ 　 ､　　　_　ヽ '´ |'' ´ ﾚハ:.:./　　....│
│　　/／＼: : : : : : ＼: : :: :>v ＼　 ヾ_ , -―　　　 　 　 　 　 .│
│　.//: : : : :＼: : : : : : V/: : K: : : ミ'´　　　　　　　 　 　 　 　 .│
│../: : : : : : : : :＼: : |: : V: ∨: V: 入　　　　　　　　　　　　　　 │
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　　　　　　　　　　　　【ジュン・ベイカー】

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│　　　　　　/　　 　 　 　 　_j_　　　　　　　 　 　 　 │
│　　　　　　i　　　　,..:.':.´;:.-:'ヽ:.:｀.:､:..､　　 　 　 　 .│
│　　　　　　　　,...'".':.´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀:.:ヽ:.ヽ　　　　　 .│
│　　　　　　 ／:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:､　　　　..│
│　　　　　, ':.／:./:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.';:.:.:.:.:.:.';..:.:.　　　　│　　　　ルームメイトの西園寺世界はその日、
│　　　　 /:;.:':.:.:./:.:./:./:!:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.:.: !　　　..│　　　　彼氏の伊藤誠と一緒に友人のパーティに出ていたため、アパートには不在だったらしい。
│　　　　,':/;':.:.:.:.:.:,ィチ了:.:.:.:.:./了ミト､:.:. :i:.:.i 　 　 .│
│　　　 i/ i:.:/:.i:.:.:i ,x=ミヽ:.／　,x=ミ. i:.:./:i:.ﾘ　　　　│　　　　彼女自身の証言では、伊藤とずっと一緒だったと言う……
│　　　 i.　ｉ/:ｉ:.i.:.:.〈.{r';;:i　 ヽ 　 ir';;:}.〉:./:.:i∧_　　　 │
│　　　　　 V:.Vヽ:.､弋ソ　　 　 弋ソ　; ^j/:.∧ヽ　...│
│　　　　　/:.:.:弋∧　　　　 ′　　　 /.ノヽ.:.:∧ ',......│
│　　　　 /:./:i:.ﾊ:.ｉ.:.ヽ　　　⌒　　　ｲ:.:.:.:.:.:';..:.:.j. i　..│
│　　　　 { /:.:i/ 乂:.:.:.:＞　　　 ,.＜:.:i:.:.:.:.:.:.:i:.:;.' ,'　..│
│　　　　 乂,　-, ― '"´.j　 ｀´　.!｀ ｰ--.､ :.:乂　　　│
│　　　　 ,.':::::::/　　 　 ∧‐　 -'/　 　 　 V:::∧　 　 │
│　　　 /:::::::::i. 　 　 　 ∧　　/　　 　 　 V::::∧ 　 . │
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　　　　　　　　　　　【西園寺世界】



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│　　　　　　　 _.._　｀`､,.､-::─::-..、　　　　　　　　　│
│　　　　　 ／:::::::::｀:く:ﾉ:::::::::::::::::::::::ヽ　　　 　 　 　 .│
│　　　　 /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ　　　 　 　 .│
│　　　 /:::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::: ﾍ　 　 　 　 │
│　　　/:::::::::::::::::::::::ｲ::::::::::: 丶::::::::::::::::::::::::', 　 　 　 │
│　　/::::: /:::::::::::::/ l::::::: !:::::::|＼::::::::::::::::: l　　　　　..│
│　　i::::: /:::::::::::::/一V:::::| :::: |ーヽ:::::::::::::::!　　　 　 .│　　　　……が、当の伊藤誠は、世界とは１０時頃に別れたという。
│　　|:: /:::::: /::: |ィ云∨ |V::::| ィﾃﾍヽ :::::::!イ　　 　 │　　　　この矛盾、少なくとも確実にどちらかが嘘をついている事になる。
│　　|:/ |::: /::ﾊ::| 迂:ﾘ V|　ヾ! 迂:ﾘハ::ﾄ::::::＞ 　 　 │
│　　|′|::/|:::|ﾈﾍ ｀ｰ´　ヽ　　 ｀ｰ´　ﾊ!ﾉﾘ｀ヽ　　　..│　　　　世界と誠、どちらの証言が正しいのか…………
│　　　 i/　V､_ﾍ 　 　 　 !　　　　　ﾑﾘ′　　　　 　 │　　　　そして、何故嘘をつく必要があるのか…………？
│　　　 ′　　　 ヽ、　　- -　　　, ′　　　 　 　 　 .│
│　　　　　　　　　　 |ヽ　　　　イ/　　　　　 　 　 　 │
│　　　　　　　　　,.ｲ 　 ｀　´　 ﾊ　　　　 　 　 　 　 .│
│　　　　　　　,.イ:!　 ＼　　 ／　 ヽ..､、　　　　　　 .│
│　　　 ,...::::´/::::::l　　 /;⌒;ﾍ　 　 j:::::ﾍ:｀:::...、 　 　 │
└───────────────────┘
　　　　　　　　　　　　【伊藤誠】

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│.　 　　 　 ┌r┬r┬r┬r┬r┐　　　　 　 　 .│
│　　　　　　ドﾐヾ＞冖┴冖く'/　　　　　 　 　 │
│　　　　　　|ニ/　__￣ニニﾆヽ　　　　　　 　 .│
│　　　　　　|=〈 /ベ≧ｚｚ　jｚｚﾍ 　 　 　 　 　 │　　水銀燈の義理の父・利根川幸雄。
│　　　　　　|Fｔ|　==｡＝:::/=｡=〈　　　 　 　 　 │　　会った時は娘を可愛がっていたかのような口ぶりだったが、
│　　　　　　|{(||　｀ﾆﾆ´　ヽ｀ご.|　　　 　 　 　 │　　西園寺世界曰く、「水銀燈は父を嫌っていた」らしい。
│　　　　　　ﾄ=|　 , -‐ '-　_}｀ヽ|　　　　　　 　 │
│　　　　 ／|ｼ'l　/ (二ﾆニﾆ⊃|、　　　　　　　│　　また、店の経営は思わしくなく、もはや融資も困難なくらいだとか。
│-一''¨´| 　ﾄ､｀丶、　　≡　　ハ｀'ｰ-､__　 　 .│
│-‐　¨´| 　 |　＼　｀'ー--‐''´!　|｀'ｰ-､＿￣　│　　９日の夜は、黒井ななこの店の開店準備を朝まで手伝っていたらしい。
│　　　｜ 　 |　　 ＼　　 　／|　 |　　　　　　　│
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　　　　　　　　　【利根川幸雄】



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│　　　　　　　 ,､　 ,ィ'´ヽ‐-.､_　　　　　　　　　　.│
│　　　　 ,..-‐/　∀〃　　＼　 `ｰ-､　　　　　　　│
│　　 ,ｨ'´,.　/　,;ﾍ:,ｨ'::＼ ｉ　､　　 　 ｀ヽ、　　　　 │
│　　/　/　 |　/'゛｀`|"´| |､　ﾊ　　 ､　　ﾍ、　　　.│
│　/　/ 　 i|-|-‐､　|　 |.| ,|-‐|-::　ﾍ.　 ﾊ＼　　 ..│
│ |　j:.:　 :|:| | 　 　 |　 ||　∨:|､::.　　ﾊ　 ﾄ､ﾍ、　 .│
│ |　|: :　 |_|/___､　 |　 |',___∨_|:::　　 |　 |　｀゛`　.│　　利根川のアリバイは黒井が証言してくれている。
│ j._,|ｉ: :　ﾏ弐ﾃｫ゛　| 　 'ｨﾁ弐ｱ::::. 　 |､ |　 　 　 │　　辻褄は合ってるが、黒井は利根川の愛人で、随分と惚れ込んでいるようだ。
│ {: ::||: :　|､ {:ｨ::;| 　 ! 　 {:ｨ::;ﾘ,,'ﾊ::: 　 | | |　　　　│　　アリバイの裏づけとしては、いささか信用に欠けるようだが……？
│ ∨:ﾘ: :　l　゛-‐'　　　　 ｀‐-" {::|∨　|.ｊ/　　　　.│
│ （ |: : :,:'|、　　　　　'　　　　　;::| ∨ﾘ　　　　 　 .│　　また、黒井の店の開店資金は利根川が出したらしいが、
│　　`|:.:/|:| .ヽ、　 　 - 　 　 ,.ｨ'.|:|　ｊ/　　　　　　│　　経営難で借金もままならない利根川がどうやって資金を調達してきたのだろうか？
│　　 |;/ ,||'´:::::;＞‐ｒ -r;‐＜:::::`|:|、　　　　 　 　 │
│　　 ／:::|'ｒ‐'/　 {'´　 ｀ヽ　∧ｰﾘ:::＼　 　 　 　 .│
│　　ヽ:/'´　/　 λ‐-　 ,-}　 ﾍ　 ﾊ::/　　　　 　 .│
│　　　/ 　 /　 　 ﾊ　　　 ,|　 ハ　 ∧　 　 　 　 .│
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　　　　　　　　　【黒井ななこ】

　　　　 ,从ハ.__＿　 .. ィ　/ l　| l/〉 ｌ| l_ﾚィ´
　　　　　　ヽ乂￣Ｖ　　　/ _｣人V｀＾ﾘ´
.　　　　　　　　　　 v'二￣--＼
　　　　　 　 　 　 　 ',　　 ＿__　＼
　　　　　　　 　 　 　 }／＿_　 ＼__',　　　　　　　　そして、水銀燈事件の捜査により浮かび上がった、
　　　　　　　　 　 　 //´　　｀ヽ　　∧　　　　　　　　二人の行方不明者……。
　　　 　 　 　 　 　 / i　　　　　',　　　',
　　　　　 　 　 　 ,.'　ｌ|　　 　 　 Ｖ　　 '.　　　　　　一人は水銀燈の母、鈴美・ローゼン。
　　　　　 　 　 ／　 l i､　＿_　 //　 　 }　　　　　　水銀燈は彼女に会うためにマンハッタンに戻ってきたのだが、
　　　　　　　 .'　　　ヽＶ´ 　 ｀ｖ/ /　　 ;　　　　　　結局会えず終いだったらしい……。
.　　　 　 　 〈　　　　 .:l　　　　|／　　 /l
　　　　　　　 ヽ. 　 ..: :l　　　　lヽ　　 /│
　　　　　　　 　 ｀ヽ:::::ｌ　　　　|






　　　　　　　　　　　　　. - ― - ､
　　 　 　 　 　 　 　 , '´　 　 　 　 ｀ヽ、　, =＝ ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　,　-‐￢Ｖ '´ ￣ ミ 丶､
　　　　　　　　　　　　　 　 ,　´　'´　, '＾Ｙ　⌒丶、｀ヽ､＼
　　　　　　 　 　 　 　 　 , ′' ,　'^7 ,ｲ ハ ､ ｀ 、 ヽ　 丶 ヽ
　　　　　　　　　　　　　,′/ /　　i / | ﾄ､ヽ丶　＼　､ 　 丶｀、
　　　　　 　 　 　 　 　 i　/l ｉl　　 }ﾉ　ヽ　)､＼丶、r‐┬rxヽハ
　　 　 　 　 　 　 　 　 |Ｖ　)ﾘ　　　 　 　 　 ＼丶r勺/ﾍヽえｒｔﾍ
　　　 　 　 　 　 　 　 / |　 , - ‐ ､　　 　 　 　 ｀ {ｰｲＬ/芯Ｙ^Ｖﾊ　　　　　　もう一人の行方不明者、サラ・金糸雀・ローゼン。
　　　　　　　　　　　　{　l　´ ,二、　　 　 　 ￣｀ヽ}ｰ| 人辷ハﾉ ７
　　　　　　　　　　　　　,1 Xびtrﾍ 　 　 　 ,ｘ=ミ、{/V　 ||_し'＾メ　　　　　　　彼女が、水銀燈が友人の勧めで加入した生命保険の受取人になっている。
　　　　　　　　　 　 　 / !　 {廴j丿　　　　 びrうぃ}Ｚ仁斗- '´八　　　　　　　　 .水銀燈は金糸雀と面識がある訳じゃないが、友人の
　　　　　　　　　　　　,' ｌ| 　 ｀ﾞ "　 ,　　 　 廴rジ　　７ /｀Ｙ く　 ヽ、　　　　　　 「同姓同名の友人がいる」
　　　　　　　　　　 　 | 八　　　　　 　 　 　 ｀ﾞﾞ′　 /rく　人丶ヽ＼ )　　　　　　という話により、面白半分で受取人に氏名したようだ。
　　　　 　 　 　 　 　 乂　ヽ、　 　 )　　　 　 　 　 ,ﾍ-‐彳　} ｌﾄ 、＼｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　 ）ﾘ　丶、　　 　 　 　 . イ７ (_ ノ　/ 八　丶 )　 )）　　　数日前から自宅に戻っておらず、ぷっつりと行方が途絶えている。
　　　　　　　　　　　　　 / / ﾉ / ＞‐￢ 千>┴┴'-　､=彡ｲ ヽ｀丶 ｀ ＜＿
　　　　　 　 　 　 　 　 /r―' く く⌒Ｖ　／　　　　　　　＼ ﾉ　人＼　｀ ｰ-=ﾐヽ
　　　　　　　　　 　 , イ , 二ヽ ∨{i⌒Ｖ　　　　　　　　 　 ｀Ｙ＾丶ヽ ｀ー '⌒7 ) ）
　　　　 　 　 　 r≠ﾆ//し- ､｀　ﾄ､ヽ ′　　　　　　　　 　 _|｀ヽ、＼丶＼ / //
　　　　　　 　 ,厶=彡'　(_￣｀ 　 ! >ｰ{　　　　　 r,＝=r_ｭ《__》､　＼ ｀ヽ、（ ( ( _＿_
　　　　　　　 {　 l /⌒)人 ｀　　　｀rく 〉- ､　 　 {レ=彳　｀＝=ﾍ 丶ヽ　 ） ｀) ）ｰｸ ﾉ
　　　 　 　 　 )　|{_／/,1 /＞ｰ ､　} /　 　 ｀ く　　　 |!　　　 　 ヽ　〉 }（　 （ (　〈（＿

　　　　　　　　 　 　 　 ￣　 　 ､
　 　 　 　 　 　 ´　　　　　 　 　 ＼
　　　　　／　　　　　 　 　 　 　 　 ヽ
　 　 　 /　　　　　　　　　　　､＿　　ヽ
　　　　'　　　　　　　　　　　　　　 ｀　､ヽ
　　　 l　　　　　　　　　　　　　　,‐-,.._ ゞ
.　　　l　　　　　　　　　　　　　　l　弋心 l
.　 　 l　　　　　　　　　　　　　　冫.ー　く
　　　l　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　ﾉ!　　　　┏　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┓
　　　l　　　　　　　　　　　　　　 ｀ー‐ f ｒ'　　　　　　　今のところ分かっているのはこんな所だろうか。
　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾉ'　　　　　　　　現時点で気になる疑問点は、
　　　!　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /
　　 ,'　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /　　　　　　　　　①　世界と誠のアリバイ矛盾
￣　｀ー -　　　　　　　　　　 　 　 /　　　　　　　　　 .②　利根川と黒井のアリバイ
　　　　　　　 ｀　 ､　　　　　　　　/　　　　　　　　　　 ③　黒井の店の開店資金の出所
:.:.:.:.:.:...　　　　　　　　､　 　 　 ／　　　　　　　　　　　.④　水銀燈が送ってきた「Ｍ＆Ｍ」のカードの意味は？
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..　　　　　　.:.:ヽ _　´
ー-　:.:.:.:.:.:.:.:..　　　..:.:.:.:.:.:ヽ　　　　　　　　　　　　　　……他にも細々と気になる点はあるが、この４つが特に気になるだろ。
　　　 ｀　､:.:.:.:.:.:.:...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ　　　　　　　　　　　┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
　　　　　　　､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼



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　 　 　 　 　 　 　 　 　 　　 　　|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i :::::::::::::::::::::::::::!　　　　　さて、そろそろＭ＆Ｍに向かうとするか。
　　　　　　　　　　　　　 　　　　|:::::::|!::::::::::::::::::::::::::::;i :::::::::::::::::::::::::::!　　　　　あのカードの意味が分かればいいんだがな……
　　　　　　　　　　 　 　 　　　　|:::::::|!:::::::::::::::::::::::::::::l:::::::::::::::::::::::::::::|　　　┗　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┛
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-_-_-/.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.:.L-_-_- -_-_- -_-_- -_-_-
ﾆ ﾆ. l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.:.:.ヽ ﾆ ﾆ ﾆ ﾆ ﾆ ﾆ ﾆ ﾆ ﾆ
二三 l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.:.:.:.｀ヽ三 二三 二 三
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三二三 二 三二i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::「三二三 二 三二三二三
二三二三二三ﾆ|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼三二三 二 三二三二

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　────　ｔｏ　ｂｅ　ｃｏｎｔｉｎｕｅｄ．

112 千 ◆jYAU23xcn2 10/11/28 00:56:02 ID:Wcsok8xn 以上で本日の投下を終了します。 この話は全部で５話を予定しておりますが、何分原作からして膨大なまでの情報量のため、 最悪７話までズレ込む可能性があります。そこは御了承下さい。 （ズレ込みそうなら、予め告知しておきます） 尚、次回は１２月４日（土）の２３：００から開始いたします。 113 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/11/28 00:58:00 ID:G3AZISXU 乙でした。 続きを楽しみに待たせていただきます” 114 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/11/28 00:59:54 ID:BeHXP1h9 乙乙ん DSで殺人倶楽部はやった事あるがこっちは知らなかったな 115 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/11/28 01:00:36 ID:ycEvQiu2 乙 たしかに情報量多いなぁ しかし、行って戻って総当り、を繰り返す昔のゲームの気分をすごく味わえる 116 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/11/28 01:01:24 ID:7VidVWfO 乙でした 原作知らないから続きが凄ぇ気になるぜ～ 117 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/11/28 01:02:36 ID:xYg66gC0 ハードボイルドな気配が強くて合いの手を入れるタイミングに困って結局何も書き込めなかったｗ 乙であります 118 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/11/28 01:02:51 ID:iHGxil6N 乙 かなり登場人物がいるけど分かりやすい 楽しみ 119 千 ◆jYAU23xcn2 10/11/28 01:06:08 ID:Wcsok8xn この手のコマンド選択式アドベンチャーって、当時より随分昔から 「コマンド総当りすれば解けるんだから、そういうのゲームと言えるのか？」 という問題を抱えてたらしいですね。 原作のあの情報量は、実はその問題に対する対策の一つだったらしいです。 少なくとも、ちょっとでも進展がある度に達成感は得られますね。 ゲームの進行状態をグラフ表示してくれるのも、またいい要素になってると思います。 120 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/11/28 01:10:26 ID:kjIIG0sT くそっ、投下終わっちゃったか…… リアルタイムで読みたかった、乙です 121 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/11/28 01:34:50 ID:RMIFoVKi 乙でした 面白そうだぁ 122 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/11/28 02:25:20 ID:Zn2pYI/k 乙でした。俺好みのハードボイルド風、いいなぁ。