まずは簡単なあらすじを。
　　　　　　／　 ／　　 　 　　ﾄ､　　　　　 ＼:.＼
　 　 　 　 ' /　 /　　,　 　 |　　|　＼　　　　　 ヽ:.:ヽ　　　　　　　 ＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋
　　　　/ ,′ ,′／ 　 　 |　　|　　 ヽ ､　 　 　 :. :.:'.
　　　 ,′　　.::/　　_｣.:/.::|　 /'´￣ ｌ|｀ヽ :!　 　 l.:.:..:.　　　　　　　　　　主人公は一人の作家。
　　 　 ′!　　j!: ／.::／ﾉ:/l..:/　　 __.ﾘ 　 ':|　 　 |.:.:.ﾉﾄ､　　　　　　　　彼はずっと「世界の果てにある食堂の物語」の
　　　 ′ !　　:|.:.::／:｣L、 j:/　　 'r‐- ミｭ､　} 　 !.:_;ノ}〉〉　　　　　　　 構想を練っていたけど、
　 　 l　 :l　 　ﾚ' /ﾝ'⌒`／　　　　　　　'' | /　　|彡ｨ//　　　　　　　　 どう書き始めたものか考えあぐねていた。
　　 |　 l|　　 'ﾍ　　　　　 ,:　　　　　　　 j/|　 | |:.:.:.{〈
　　 |　/|　 　 {:'.　　　　　′　　 　 　 ／ :|　 | |:.:.. |ヾ:.、　　　　　　　 しかしあるきっかけでビートルズの
　　 |　| l　 　 ﾄﾑ.　　　 　 v'_フ　 　 　 　 j! 　 |:.:.. '.　}｣　　　　　　　　『ホワイトアルバム』というCDの存在を知り、
　　 |　l |　 　 |:.:.ﾊ、　　　　　‐　　　　 ／/　|.::l:.:.:.　､　　　　　　　　　その初回限定版のジャケットには
　　 '. :l | :. 　 ! :.l.:.:.|l::...　　　 　 　 ,.　ﾟ／ 　 .:.:ハ:.:..　＼　　　　　　　 通し番号が振ってあることから、一つのアイデアを思いつく。
.　　　ヽ! ､:.::..　 :.:.:.:.|:!:.:.:.:｀:.:..‐r:　´　/　　　 ﾚ':.:.:..＼:. 　 ＼
. 　 　 　＼ヽ:.. 　.:.:.:l:.:.:.:.:.:.ヽ:._｣ 　／{　　 .:　{ ＼:.:.:.. ＼　　 丶　　　　彼は『ホワイトアルバム』を持っている人から
　　　　　|　 ＼　､:.:ヽ:.:.:.:.:rくr＜　 丿　 .:.: lﾉ'´　 ,＞ 、:＼　　 ヽ　　　それに関する思い出話を聞いて集め、
　　　　　|　 .::}:.＼＼:.:.:,.ｨ::｢:ヽ　 )' 　 .:.:.::jﾉ ,． '′　　ヽ.　ヽ:..　 }　　　それを元に小説を書き始めた――
　　　　 J__,ノ}:.:}:.:.}: ／:::L}::::::∨　／.:_;ノ／　　／￣ 　 ',:.　}:.. 丿
　　　　　　　 ﾚﾉ:.:.:/.::::::/.::::::::/　,.　'"/ /　　／　　　　　 }}（::. (　　 ＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋
　　　　　　,.ｲ {:.:.:/.::::::::{::::::::::{　ん'　 { i{　／　　　　　　　}!::.ヽﾉ
　 　 　 　 /　| {:.:/.:::::::::∧::::::::lﾊ{　 　 { {, ′／　　　　　 /|::..丿　　　 と、こんな感じね。





　　　　　　　　　 ／: ／. : : : : : : : :|: :/　l: : : / l : l: ＼
　　　　　　　　／. : /. : : : : :/ Tﾒ､:|/ 　 l: : /　 |:.:l: : :.!＼
　　　　　　 ／. : : / . : : : : / r ≠ｘ! 　 /: /ﾆ二| ﾒ､: :.!: : l　　　　　　　本作はこのスレの原作『空ばかり見ていた』と同じく、
　　　　　／. : : : /. : : : : :/:l1 ﾄ‐ｲ1!　/: /　,ﾃﾃﾒ､ l: : !: : l　　　　　　　ある共通点を持ったお話を集めた短編集ですね。
　　　_／. : : : ; ｲ. : : : : :/:/弋辷ｿﾉ /: /　 f辷ｿlﾉ l: /: : : ＼
　　　｀¨¨¨¨¨´/. : : : : /l/　 ､ ＿ノ/: :ハ 　￣｀ヽ//: : : : : : :＼　　　　『空ばかり見ていた』は、流しの床屋がモチーフで、
　　　　　　　　l: 〃: : /: ﾊxxx　 　 l／ 　 ヽ ＿,.ｲ1: : : : : : :|＼: ＼　　『フィンガーボウルの話のつづき』は
_ ＿ 　 　 　 　l〃: : /ll/: :ヽ　　　(　　 ﾉ　　　　ﾉﾉ: :/ : :/l /　　￣　　 ビートルズの『ホワイトアルバム』となっています。
／　 ￣｀`ヽ＼l/l/ /. :ヽ＼ :.＼　 ｀ー'　　 　 .ｲ/l: /: : / ､′
　 　 　＿∠ : : : l/: : :( ￣　　|　ヽ　 __, ..ィ´ ノ: :l/: : /: : :＼
　　／. ∠: : : : :　: :￣｀ヽ /´￣￣7入　L 」＞＝.l: :/: : : :`ヽ＼
／. : : : ／:／ ⌒ヽ: : : :/＼　　 //. : : : : `ヽ: : : l:/.､`ヽ: : : 〉: :!　　　　主人公が『ホワイトアルバム』を持っている人々の思い出を元に
. : : : :/ : / 　 　 　 ＼/＼: ＼.// . : : : : : : : ヽ : : : :〉 /: : //: :!　　　　書いていく物語、それがこの作品です。
: : : :/ : /　　　 　 　 , 　　 ＼: :_:ﾌ. : : : : : : : : : : : :/　`ヽ//: :/
: : :〈: :ノ　　　 '; : ://　　　　　〈.:.:.:.:. : :.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:/ ＼　　＼/



.

　　　　　　 ／／.　　　　　　 ヽ　二二,＼
　　　　　／／　　　　　　 　 　 　 　 　ヽ ヽ　　　　　　　デビュー作だからか、
　　　　 / /　 　 　 　 　 　 /　ﾄ　　　　　Vﾍ　　　　　　 これは吉田篤弘という作家の個性が
　　　　' / ./　　　／　　　/　 ハ　　　　　V '.　　　　　　色濃くでている作品だと思うわ。
　　　 l ,　/ 　　 /　　　// /./ 　'. ﾄ､　 ｌ　 l　l
　　　 l l ,' 　_　/ -― /　/ /―‐.ｌ ト､　ｌ　 ｌ　l
　　　 l l l　　 / __.ェ_/　/./　 ェ=ﾚ､_ ｌ ｌ.　 lノl　　　　　 語られるのは、現実の世界の話ようで、
　　　 l l l　 ./vｲろ:::l　/./ 　　.ろ::::::<l l 　 lノl　　　　　 ちょっとだけ不思議な物語ばかり。
　　　ﾉﾉ l　 l　_大_zﾀ // 　　　辷zﾀ　l.l 　 l　l　　　　　 それぞれバラバラなんだけど、
　　//　ｌ　 ∧　　　　　 ,　　　　　　　/　　ｌ　l　　　　　 うっすらとした繋がりがある。
　 //　 :l　 「 ﾍ　　　 　 ＿　　 　 　 /　　 j 人
　{ {　　 ｌ 　 V. 丶 　 　`ー' 　 　 ,.ｲ l　　/ |　 }　　　　　これは本作以後の作品にもよく見られる特徴ね。
　l ヽ 　 l　　 ', : ｌ : ｀ト.､　　　. イ:l: : :l　　|ｌ {　/
　ヽ ヽ　{ l　　' : l: : 人　　　 　人l: : /　.f.l　∨
　　｝ ﾉ　ヽ.　　レ'〈　 / >‐<＼.　 〉/　　l l　　＼
　 ／　ﾑｲ|　　 | 　 >'.:./:l.:.lヽ:＼/ | l　　|‐-- __ l　　　　決して派手な立ち回りや、深い意味はなかったりするけど、
/　,へ　 ||　　 |／.:.:.:.:.:.:冂.:.:ヽ ＼! l 　 l　／　.l　　　　 読んでいて不思議な感覚がしてくる、雰囲気重視の作品だわ。
l　f　ヽ＼|　　 l＼.:.:.:.:.:./　|l.:.:.:.:.:.人ヽ　 V.　　 l
l　|　　 　.}　　 }＿＞‐く　 .＼∠____＼ヽ　l 　　l／　　　文章のリズムやふと頭の中に浮かんでくるイメージが
ﾉ.ﾉ|.　　　 |　　 |　　　　 ＼／　　 　 　} }　}　∠＿＿　 何とも言えず魅力的ね。
ノ l　 l　　|　　 |＼　　　　 ＼　　／　 | |　|/　　　　　　そう言うのがすきな人には自信を持ってオススメするわ。
´　 l　 V　.ﾚl　 .|　 ｀'丶､　 　 `く 　 　 | |　|
/　|　　ヽ 　|　 |　　　　　￣￣￣＼　 | |　|






　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　>>1が特にオススメなのは
　　　/　／ ／　　　　:/ミヾ＼/|　 　|/〃ヽ　 　 ヽ 　 ､＼
　　 /／ , /　　 　 　 /￣ﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞ|　　|"""""ヽ　 :　ヽ　 ヽ ＼　　　　　　 変わり者で口癖が「ろくろく　さんじゅうろく」の青年と、
　 ／　/ /　　　　　:/　　　　　　| 　 |　 　 　 ヽ : :　 ﾞ　　ﾄ　 ＼　　　　　彼の前にふらりと立ち現れる
/　　. : / 　 : 　- ､l　　　　　　　|: 　| 　 ,,... ∠l :|l: :　l 　 | ＼　ヽ　　　　 風変わりな「エム」という女性の物語、『ろくろく』
　 . : : /　 : :　 |　: l＞＜二_ヽ､, |　 | ,∠'"´＿|:ﾄ|: :　|　　|　　＼ヽ
. : : : / /: : :l ,､| : :|_,,...,,,, __ ､ﾞﾞﾞヽ|　 l/ 〃てヽ || |: :　|. 　 |　　 　ヽ ､　　 二人の小さな男の子が、留守番をしていた時に
:　イ/ / :_,.-ｦ　) :ﾄ　f:::｡〇lヾ　　|　l|　ｲ::::::::::l　| !:　/. 　　| 　　　　ヾ　　ピザを買いに行ったときのお話、
´　/ :ｲ　､rヘ /|: |　弋;;;;;ノ　 　 ,|　l ゛　`＝´ " /: / : 　　 |　　　　　　　 『ピザを水平に持って帰った日』
　/ /::|　 ヾゝ ＼＼　ﾞ'''''''"　 　/ | /　ﾞ ､ _　　_/／l : : 　l　|
　| /､〈　　 ` ｀ｰ''､__ゞ..___,,.. ‐ "　l/ r 　 　 ￣／|:　: : 　l|　|　　　　　　　あとタイトル失念したのですが、
　|/ 　 | 　　　＼　`-く 　ｒ'''"　　/､＿ ノ　　　　ﾉ:l : : :　| l: |　　　　　　　この世のどこかにあるレインコート博物館で
　|　 　 | 　 　 　 ﾞl　 　 　|　　　/　　　 　　_ イ: : | l: :　/ |/　　　　　　　 レインコートを保存する、三人の男性の話。
　　　　|　　 ､_　 '　　 　ﾉ‐　_　 　 　 _ - ´,-‐-く| |l: :/　/
　　　 /´　　　`, 　　／l 　　　｀ﾞﾞ ''' "|‐､-レ´￣|/| /､
　　　/　 　 　 /　ｒ ´|　 ｀＞ ､_　　　/､　` ﾞ､: : /`|/ヾﾞ ‐ ､　　　　　　　　この三つですね。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　この他にも素敵な短編が全部で１６入っています。




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　　　　　　　　　 ,.　'´. : : : : : : : : : : :｀ヽ､
　　　　　　　　／ . : : : : : : :, :‐:‐: : : : : : : ＼
　　　　　　／. : : : : : : : : :/ : : : : : ｀ヽ: : : : : ＼
　　　　　 //: : : :｀Y^ヽ: :/ﾐヽ: : : : : : : ＼: : : : : ＼
　　　　 ///.:./.:.:.:;ﾐ.:.:.:.ﾉ彡'ヽ. :ﾄ､: : : : : : : :､: : : : :＼
　　　　//:.l:.:.|.:.:..:/ l.:!´　　 　 ';:|　ヽ: : :.|: : : :ヽ: : : : : ＼　　　　　　　　　　パン屑一つ取り上げるにしても、
　　　/.,′l . |.:.:.:l　 l::!　　 　 ,. ﾘ =＝ヽ:|.:.: : : l: ＼: : : : : ＼　　　　　　　　 そう言う見方が出来るのかと感嘆する、そんな作品です。
　　　|:.l: : l.:.:.|.:.:.:l =-l:.:､　　　/　 rt≠ミ､: : : :.ﾄ､: :「￣ ￣￣
　　　|:.l: : l.:.:.|:. イ ,ィ云ヽ　 ,′ｲ　ｆんｨﾘ: : : : ﾚ'.:l.:l　　　　　　　　　　　　　 吉田篤弘という作家の書く、
　　 /: l: : 1:.:|.:.: !ｲ‐ｆんｨﾐ＼ヽ 弋_辷ｿﾉ:.l: : :.:l:ﾉﾉﾉ`ー ､ ---‐──　　　　派手さはないけれどどこか不思議で温かい物語、
　　/: /l: : 1:.:|.: ハL込ｿﾉヽ ＼ヽ_＿_ノl/l: : : :K´ﾐヽ.:.:.:..ﾊ ｀`ヽ ￣｀`　　　ちょっとでも興味を持ってもらえれば幸いです。
　/／　l: /:ﾄ､|:ヽ:. l_＿_ノ､ ￣　　〃〃〃: : : :.!　l !.:.:.:.:/人: : : : ＼ :
　´　　 l/　Ⅳ . : : ヽ〃〃 r- っ　　　 /:./: :/l:!　l !.:.:./.:/⌒ヽ: : : : : :
　　　　　　l.:.ﾊ: : l: :| 丶､　　　　　　,.ｲ:./: :/　ﾘ.//: :/.:/　　 / ＼: : :
　　　　　　l/　',: :l: :|　/: : ＞:.‐‐.＜.　l/: :/　　//://.:/　　 / 　　 ＼:
　　　　　　　　∧:l: :|/ : /: :/ ノ: : : ､: :l: /ヽ　// //.:,′　 /
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　　　　　　　　　　 ∠::／ｌ::(６ｌ::ｌ::l､.＿ ﾉ ヽ _・ノ〉ｌ:::ｌ　　　　　　それでは、また次回　　　　　 　 　 | Ｖ| ´⌒'　 　 ⌒''.|　ﾚ|
　　　　　　　　　　　　　 ＼ｉ:_ｌ::l::l　w　ｌ￣ﾉ ／ｌ ｌｌN　　　　　　　お会いしましょう！ 　 　 　 　 . 　 ヽ l ﾄ､"""r:┐"""ﾉ　| |　
　　　　　　　　　　　　　 ／::::ｌ::l::lｰ ‐　二－:＼ｌ/l　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 <＼ .} ∥　l＞r ｪ :＜|| } .| {
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