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【 比津府岳温泉街　『本陣』 】


淡淡淡淡爻爻爻淡淡爻爻淡淡淡淡爻彡'⌒
=-　_爻爻爻爻淡淡淡淡爻爻爻⌒　　　　　　　　　__
　　　￣　=-　_爻爻爻淡淡爻爻　　　　,､,､,､,､,､　　r‐ト．
＿　　　　　　　 ￣　=-　_爻爻爻刈⌒:;.:,:;.:,:;.:,:;.:,:,､＜＞-=≧s｡
二二二ニ=-　　　　　　　￣　=-　__ミﾐ:;.:,:;.:, ,､＜=｡s个s｡｀` -=ﾆ≧s｡.,_　　 ｨ
─　二二二二二二ﾆ=-　＿　　　　｀`''　＜ﾆ_,x竺竺竺竺≧s｡＿＿ -=ﾆ「｣｣　　　　　　　　,､､;';';';';';';'
　　　　￣　　─　　二二二二ﾆ=-　　＿　　　｀`'' ＜////////////////ﾍ⌒丶､　　　_､;';';';';';';';';';';';';'
　　　　 　 　　　　　　￣　　─　二二二二ﾆ=-　 　 　 ｀`'' -　 _,///////|　 ｀　 .,_｀`'弌77＿;';';';';';';';';';';
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣　　─　二二二ﾆ=-_乂||　　 |‐=ﾆ| 〕トｒ=弌;';';';';';';
＝=-　　｡｡。。...,,,,＿＿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣　─ ニ|＿||　　 |￣l:ト｡｢≧s｡Y/／
三三三三三三三三三三三三三二二こﾆ＝=-　｡｡。。...,,,,＿＿_ 　 　 　|i:i:i｢Ｔi=-|＿l:|トﾐs｡￣|i:|/i:
i:i:i:i:i|:|i:i:i:i:i|:|i:i:i:｢丁~~丁¨ TTTTTTTTT'冖冖宀￢…‐--==ﾆﾆ二二三三|i:i:i:i:i:i:i:i:i|i:i:i:ｉ|ＬL｣|从ji:|::|i:
i:i:i:i:i|:|i:i:i:i:i|:|i:i:i:i:ｉ||i:i:i:i||i:i:i:i||i:i:i:||i:i:||i:i:ｉ||i:i:ｉ|i:i|i:ｉ:||i:||ｉ|lj:||j:||:|:|:|:|:|:|:|:|:|:|:|:|:|: |i:i:i:i:i:i:i:i:i|i:i:i:ｉ|ＬL｣|爻爻从
i:i:i:i:i|:|ｉ:ｉjjjj|:|｣LL:||LL:||-- ||ー:||=ｉ||宀||冖|T|l｢:|l｢||{||i:||ｉ:||:|:|:|:|:|:|:|:|:|:|:|:|:|:_|i:i:i:ｉ:ｉ:ｉ:jjj|─┼‐「||爻爻爻
「「「i|:|「i:i:ｉ:|:|i:i:i:i:ｉ||i:i:i:i||i:i:i:i||i:i:i:||i:i:||i:i:ｉ||i:i:||i:i||i:i||i:||j||jＩＬ⊥ -┴=ﾆニ二三|-Ｔ丁{_」|=‐┴-ﾆﾆ=-　￣
i:i:i:i:i|:|i:i:i:i:i|:|i:i:i:i:ｉ||i:i:i:i||i:i:i:i||i:i:i:||ijjＩＬ ┴…=ﾆ二三三二ﾆ=-　丁￣{: :}:_:}_|┬厂]_Ｌ-二 _-¨
i:i:i:i:i|:|i:i:jjＩ｣｣L -┴…==ﾆ二三三三三二ﾆ=-　丁｢: i: : }: : :|: : :|: ノ:|丁: |_|⊥-三=-　￣
ﾆ二三三三三三三三二ﾆ=-T ￣: : }: : : }: : :}: : i: }ノ⌒{ヽ┴r'⌒}_┴二二- ￣
三三二ﾆ=- 丁￣: :|: : : { : : : |: : : : : {: : : {: : }─{￣{: : :| _｣-_ ‐二ﾆ- ￣
￣: :{: : : : :}: : {: : : : | : : :| : : : |／^7‐乂_:_{￣}: :_L=-_ -二二- ￣
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::: : :{ : : : : }／￣ ア⌒ヽ￣＼ﾉ_ﾆ=-_ ‐三三ﾆ=-￣　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　.　.　.　.　.　.
: : : :}: : : ::ﾉ＿: :／: : ;_⊥-__ -=三三ﾆ=-￣:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:
.:>'´￣＼√_ ﾆ=-__ -=三三三ﾆ-￣　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:


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　 　 　 　 　 　 , -‐────‐-､
　 　 　 　 　 ／　　　　　　　　　　 ＼
　 　 　 　 　 i....　　　聖也様..　　　　i
　 　 　 　 　 {　　　　　　　　　　　　　}
　 　 　 　 　 ゝ､_　　　　　　　　　　／
　　 　 　 　 　 　 ￣￣￣￣￣￣

:::ノ::ヾ:::ソｿ::::::::ゞ:::爻:::::::ﾏiﾑ::::::.　:.;　: |i|: ::.　::|{:.　}{　:.　;:　.:l洲|　::　::　::　::　.:　.:;　;::　ﾊ:: :: ::|{ :: |i:|::
^l{~~`::|l|^}l|~爻~ll{^Yl::::::ﾊﾏiﾑ::　;:.　::. :|il::　::　lll: : :|ｌ:: :: :: ::.::l洲|　: :ヾ:: :: ::: : : : 　:. :　;::爻:: : |{ :: |i:|:::
:::l|:': :: l!{::从::ゞ::::|l :,l{::^ﾞﾞ洲ﾏiﾑ:. ;: :､: :;l:i|::: ::: :|l|:: ::}l::::::／:::::l洲|　::　爻ﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞ爻:: :: :: :: :: ::):: :.:|{ : :|i:|:::
ﾞﾞ^"ヽ"""　"ﾞﾞ^"ヽﾞ^ヾ　:|ｌ|{:lﾏiﾑ゛`^ゞｿ||,'´ﾞヽ:|ｌ|／ﾊ／:::／ l洲|:　:.从:::::::::::::::ﾊゞ::||:乂乂:!: : |{: : jiﾘ::
王王王王王王王王l{ :: l:i:l:|l|ﾏiﾑヽ:; : }:l|:　:.: Y{^~ﾞﾞl{⌒'　:　l洲|　;;　乂::::ｿ::::爻 ヽll/::l:　:.|　::l{: :/;/::
圭圭圭圭圭圭圭圭ムノノ:|l| ﾏiﾑ:.:＼l|:{: :.　::|l:. ;: :|{　:.　　 l洲|:.　:.　.:　 |ｌ :},.:'´´´ll{''ﾞﾞ"^,.:'´´'ﾞ/;/'ﾞﾞ"
:. ;: :::゛　:.　: : : : : ; ;;;::::::::::.__从 .}洲ﾞ"ﾞ ヾl'''::fffIL,,..-|{77x-‐::l洲|､:.　:;`　: |lノ　,.:'´:从,...::'´,...::'´ﾉｲ,...::'´
ﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞ´´´´´´´___.....-‐‐-: :;: :}洲　:: : }l:　ゞ'''ﾞ::.｀´l{:.ヽ'´￣l洲|ゝ-----从─--＿,..:'´,...:'´,..:'´,....::'´
　　　　　　　　 ( rv:､: : : : : : :‘:, '´￣ヽ⌒ヽ:.`　ﾞﾞﾞ''‐l{--`ｰ-l洲|　　　 ん'⌒ヽ／//ハ｀｀｀｀｀'''　ー─
　　　　　　 　 　 |: : :`ー‐-: : :ｧ :,. x'´,.'´¨¨´￣｀ヽ､:l{: ::　:.ノｲ爪ア⌒ヽ-ｧ…<///{i:i:i:>､
　　　　　　 　 　 |: ‘:,＼{≧=‐}: :‘:,:i:i:),..:'´,,,...::'´,,..'´从:.:.:.:.｀ヾ:.:.:.:.:.⌒ヾ''∨///ﾑ-ゞ---'
　　　　　　 　 　 |/ヽ} ﾉ　 ,　/: |: :‘:,..ﾞ￣｀:..､,..:'´,...:'´´｀ﾞヾ:.:.:.:. ﾞヾ:::::;::::::::::::ヾ///)'´二二)ぇ__
　　　　 　 　 　 　 　 ＼_´／: : | : : ‘:,..: : : : ヽ二ﾆ=--=≦l{:.:.:.:.:.:.:.:.:.ﾞ､｀:.､｀:.､＼'⌒'ー=ﾆ二ﾆﾌ
　　　　　　　　　　 　 /|: |/ |:.:.:.|＼: 「｀ヽ.'´￣: : : : : : : :ノ;;;l{:.:.:.:.;,;:;;:.:.:.ﾞ､:.:.｀:.､＼:.ヽ
　　　　　 　 　 　 　 /=!///|:.:.:.|ニ丶..　乂: : : : : :: : ／:::;;;;;l{:.:.:.;.:;:.:.:;:.:.:.ﾞ､:.:.:.ノ;;;;;;;)´　r‐‐､
　　 　 　 　 　 　 　 }=///ﾆ!∧{ニ /‘:, 　 , -‐────‐-､:.:.:.:.;;;;;;;.:.:.:.:.',｀｀｀｀｀｀｀　乂:::::ヽ
　　　　　　　 　 　 / ｛//｛＼!二ﾆ/ニ｛ﾞ／　　　　　　　　　　 ＼.ﾞ;;;;;;:.:.:.:.:.:',　　　　　　　｀｀｀｀
　　　　 　 　 　 　 -=ﾆ,／二二ニニﾆ..ﾞ{　　　　どうした.　　 　 }.ﾞ;:.;:.;:.;:.;:.;:.;ﾞ､
　　　　　　　　 　 -=／ニニニ=∧ニニゝ､_　　　　　　　　　　／ :.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;￣｀::...､
　　 　 　 　 　 　 ｝「ニニニニ /　}二二 |.....￣￣￣￣￣￣ ;;:.:.:.::.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;｀ヽ､
＿＿,,....　----.　｝{二ニニニ〈　/ニニ /.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;`ー──-
;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:; /ﾆ}二二二ニ／ニニ /ﾞ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:


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　　　　　　　　　「桐条美鶴様が御到着のご様子で、お目通りを乞うておりますが」


　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　 　 　 　 　 ┌―――――‐┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::,"｀'､::::::::::,　´',::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:'　 　｀ﾞ"´　　 ',:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ll , ‐-､　　, -‐､ll
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l´||三三l＝l三三||｀l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽi!｀￣´_| |_｀￣´i!ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i! 　 └L┘ 　 i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i ',　―――　/i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,／|　',　｀￣´　/　|＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ‐ﾆ三/三l‐-｀ ―― ´-‐|ﾆ∧三ﾆ-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 -=ﾆ三三三|三l|　　〉-‐-〈　　 lﾆ三l三三三ﾆ=-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｨﾆ三三三三三|三l|＼∧＿_∧／ !ﾆ三l三三三三三ム
　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 |三l三三三三三＞ﾆｌ　　 | 　 |　　 l三＜三三三三三l三l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 l三l三三三三三l三ﾆ|　　l　　 l　　l三三ｌ三三三三三l三l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 ｌ三l三三三三三|三ﾆl 　 !　　 ｌ　 ｌ三三ｌ:三三三三三l三l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 !三ｌ三三三三三|三ﾆl 　 !　　 ｌ　 !三三ｌ三三三三三ｌ三l


　　　　　　　　／: : : : : : : : ､: : : >i: : : : : : : : : : :.ヽ
　　　　　　 ／: : : : : : : : : :.ii:i',:.:/i:i|: : : : : : : : : : : :.:ヽ
　　　　　 /: : : : : : : : : : : : ii:i:i',´i:i:i|: : : : : : : : : : : : : ﾊ　　　　　　　　　　　　　　　　「美鶴嬢が？」
　　　　　 i: : : : : : : : : :/ :.:.iﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞ i: : :l: : :l: : l: : : : : :ハ
　　 　 　 i: : : : : :.:i: :.:/: : / 　 　 　 i: : i: : :i: : i: : : : : :ﾊヽ
.　　　　　{: : : : ,: :ｲ: ﾉ: :./　　　　　　i: :.i∨:i､: i: : : : : :.ﾊ
　　　　　i: : :.:./: ｲ://／‐‐-‐´ヽ 〉　 ヽ|-‐:ゝ＼: : :l: :l: l
　　　 　 ﾚ´: /／ｲ ≠＝ == x　}ｲ　　./__==≠, 〉:.:.i: :i
　　　　 /: :./´-i: i 　ゝ､.（:::ﾟ)　ヾ　　 /´{::ﾟ)　ノ }ﾊ:/i:/
　　　　 i: :´:i i__i: i 　 　 ｀¨¨´.　　 　 ',｀¨¨¨´　.i　l　i
.　　　　 i: : :.i ヽi:.i　　　　　　　　　　　ヽ_　　　.i /
　　　　　i: : :ヽ _l:ii　　　　　　　　　　　　/　　 .iｲ
　　　　　}: : : : : :.:i　　　　　　　　-‐ r‐ ´　 　 i:.i
　　　 　 }: |: : : : : i　　　　__________________　 　.i: i
　　　　 ,': :|: : : : : i 　 　 ´　　　　　　　　｀ 　 i:.:.i　　　　　　　　　　　　　　「あぁそうか、今日は会いたくもないやつに会う日だったか。
　　　　,': : |: : : : : i.ヽ　　　　　ー――　　　 ｲ: : i
　　　 ,': : :.|: : : : : i　:::::> 　　　　　　　　 ／: : : : i　　　　　　　　　　　　　　　　 道連れに美鶴嬢を呼び寄せたんだったなぁ」
　 　 ,': : _/i: : : : :.:i　　　 :::> 　 　　　 ∠i: : : : : :.i
.　　/x ´ﾆ i: : : : : :iヽ_　　　 :::＞ _ <´::　i: : : : : :.i
　∠三三ﾆi: : : : : :.i//>､　　 　 　 　 　 ,i: : : : : :.i≧ｘ


.

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「まさかお忘れではないと存じますが」
＿＿＿
::::::::::::::::: : ￣二ﾆ=‐┐
::::::::::::r――‐ -- ミ:/
:::::::::: ‘:,　　 　 　 　 ＼
:::::::::::::/　　　＿__　　　丶　　　　　　　　　　「聖也様、本日のご予定につきましては、
:::::::::::｛　　　 　 　 ＼　 /
-＜:::｛====== 7777ト､　　　　　　　　　　　　　　御本家からの……」
ん{ }:｛　　　　　寸//∧{
Vハ}｛　　　　　　｀¨´}　V
､込{:｛　　　　　 　 　 　 ‘,
　ｰ　　　　　　　　　ゝ--'′
　　l　　　　　　　 ＿_{
　　丶　　　　　´　こ ）
､　 　 ＼　 　 　 　 ｛
　トミ　 　 　 　 　 　 }
､ 　 　 トミ ≧=‐=≦
∧　　 　　 >､__}_
ﾆ‘:､　 　 /////｛
二=‘:､　/＼///｛
ニニ=‘:､　　丶/∧
ニニニ=‘:､　　}/,∧
二二ニニ ‘:､ ｛//∧
二二ニニニ ‘ ｝//ハ
ニニニニニニ‘:,///∧
ニニニニニニﾆ‘:,// ∧


.　∨: /､: : : :ヽ: : :＼: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ﾊ
　　∨: :.＼: : : ヽ: : :.＼: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : }　　　　　　　　　　　　「わかっている。
.　　 i: :|: ヽ_: :.ヽ__二-／ ￣ ‐-ト- -ェ__: ヽ: : : : : : : : : :|
　　　i: iヽ:/ ￣ -- ／ ==≠=ﾌ :',:.:l⌒il }: ト､: : : : : : : : :.|　　　　　　　　　　　　　　差出た口をきくな」
.　　　＼i L .ゝ__／ イ　　 ／　　:',:.l⌒l il: :.:.l:ヽ､ヽ: : : :.:.:l
　　　　　 ゝ ヽ 　 ´ {i}　,.´　　　　:',:l _ﾉ i}: : :.l: : : : : : : : :.|
　 　 　 　 　 　 〉　　ソ´　　　　　　ヽ_ノ: : : :.:l: : : : : : :.:.:.|
　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　 i: : : : : : :l: : : : : : : :.ﾊ
　　　　　　 ／　　　　　　　　　　　　 i: : : : : :.:|: : : : : : : : :ﾊ
　　　　 < ´ 　 　 _　　　　　　　　　　 i: : : : : :.|､: : : : : : : : ハ
　　　　　 ｀ ‐‐ノ　　　 _ - ‐ ヽ　　　　i: : : : : :| ヽ: : : : : : : : :.ヽ
　　　　　　　 ヽ､__=f ´　　　　　　　　 }: : : :.:.:.|　 ヽ: : : : : : : : : ＼
　　　　　　　　　 　 |___ -ｲ　　　　　,.´:|: : : :.:.:|　　 ￣>､: : : : : : : :.＞､__
　　　　　　　　　　　　 |　　　　 　 /:: : |: : : :.:.:|　　 ／//＞､: : : : : : : : : ＞__
　　　　　　　　　　　　 |　　　　 , ::::::／{: : : :.:.:|　／//////三＞-ェ: : : : : : : ＞､_
　　　　　　　　　 　 　 i　　 　 /:::／　 |: : : : :.|イ//// / /三 三 王三三三＞-- ゝ
　　　　 　 　 　 　 　 〈____ ﾆ イ ヽ 　 .|: : : :.://///////三三三.王三三三三三三
　　　　　　　　　　　　　　|: : : : //ゝ- ﾚﾊ从|////////三三 三 王三三三三三三
　　　　　 　 　 　 　 　 ノ.ｌ: : :.:///￣￣ ､//////// /三三三三王三三三三三三
　　　　　　　　　___x／ﾆ.ｌ: : : :}//　　　　 ∨///// /三三三三 王三三三三三三
　　　　　___ｘ=三 三 三/: : : :l/i　　　　　 ∧/////三三三三三王三三三三三三
____ｘ＝´三三三三三./／: :./ノl　　 　 ／//∨／}三 三 三 三 王三三三三三三
三三三三三三三三三/:／///〉-‐ .f/////////三三三三三 王三三三三三三
三三三三三三三三三´三ヽ//　　　|////////三三三三 三 王三三三三三三


.

　　　　　　「失礼いたしました」


＿＿＿
::::::::::::::::: : ￣二ﾆ=‐┐
::::::::::::r――‐ -- ミ:/　　　　　　 　 　 　 　 　 ＿_　　_
:::::::::: ‘:,　　 　 　 　 ＼　　　　　　 　 　 　 ,.イ///////＼　　　　　　, -‐────‐-､
:::::::::::::/　　　＿__　　　丶 　 　 　 　 　 ／///////V///ﾊ　　　　／　　　　　　　　　　 ＼
:::::::::::｛　　　 　 　 ＼　 /　　　　　　　 //////／/　 V///l...　　　{..　失礼いたします　　}
-＜:::｛====== 7777ト､.　　　　　　 　 l//／__ヽ　　'⌒__//!..　　　ゝ､_　　　　　　　　　　／ﾞ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
ん{ }:｛　　　　　寸//∧{.　 　 　 　 　 f.ヽ;;;;;;;;;;;;;ﾆﾆ;;;;;;;;;;;;;ﾘ'ヽ.　　　 　 ￣￣￣￣￣￣　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ＼
Vハ}｛　　　　　　｀¨´}　V.　　 　 　 　 l.{｀ト::＿,.l　 l､__:;::イ´,'.　　　 　 ′.....　聖也様、あの、そろそろ彩園様のほうに　 　　　ヾ
､込{:｛　　　　　 　 　 　 ‘,　 　 　 　 　 ､_l u.　 ,　　;　　　!ノ.　　 　 　 i　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i
　ｰ　　　　　　　　　ゝ--'′　　　　　　 　 ,　r―｀´―.､　'　　　　　 　 i..　　　目通りをお許しになったお時間となりますが 　 　 i
　　l　　　　　　　 ＿_{　　　　　　　　　 　 ﾊ {二ニﾆ二} ﾊ　　 　 　 　 丶　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／
　　丶　　　　　´　こ ）.　　 　 　 　 ＿_-ニl､ 　 --　　/ニ‐＿_.　　　　　　 ─　───　　--　-　----　　──────
､　 　 ＼　 　 　 　 ｛....　　＿‐ニニニニニ| 丶 ＿_　ｲlニニニﾆﾆ‐＿
　トミ　 　 　 　 　 　 }..　,ｲﾆニニニニニニ| ＼ 　 ／ .!ニニニニニニﾆヽ
､ 　 　 トミ ≧=‐=≦　 /_!ニニニニニニニ!　　><　　lニニニニニニニﾆi＼
∧　　 　　 >､__}_...　　/ニニニニ二二二二'／V,/＼,ニニニニニニニニjニヽ
ﾆ‘:､　 　 /////｛...　/ﾆﾆ'ﾆﾆニニニニ二二',　!ハ　,二二二ニニニニニ,ニニ',
二=‘:､　/＼///｛..../ニニ'ﾆニニニニニニ二, l//l /二ニニニニニニニ,二ニﾆ,



.　　 　 　 　 ,': : : : : : : : : : : /: : : /　　　　　　　 ∨: :!: : |: : : :|: : |
　　　　　　　|: : : : : : : : : :.:./: : : /　 　 　 　 　 　 ∨:|: :.:|: : : :|: : |
　　　　　　　|: : : : : : : :.:.／,': :／ヽ　　　　　　　　　Ⅵ: : |: : : :|: : |
　　　　　　　|: : : : : :.:.／'´ ／ミﾒ、ゝ--､　}〈　　_　-ヾ'´:|: : : :|: : |
　　　　　　　|: : : :.:.／}　ヽ　　　 ｀ミﾒ、　´　} ≦竓芋ミ :!: : : :!: : !
　　　　　　　|: :.:.／!:.:|　　 ＼　以　　　　　/ '´　　　　　,': : :.:.|: : |
　　　　　　　|:.:.ｲ i {: :|　　　　｀¨¨¨´　　　 { ゝ O＿／ /ヽ: : ∧: :!　　　　　　　　　　「ん？なんのことだ」
　　　　　　　|: : ! i! }: |　　 　 　 　 　 　 　 乂__　　　　i!　}／　 ヽ!
　　　　　　　 : : ﾟ｡ﾟ｡!:.l　　　　　　　　　　　　　/　　　 　 ,'
　　　　　　 ,: : : : ﾟ｡_!:!　　　　　　　　　_　 r''ﾞ´　　　　i_/
　　　　　　,': |: : : : : :|　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 i: !
　　　　　 ,': :.|: : : : : :|　　　　-――――----､　　　: :|
　　　 　 ,': :.:.|: : : : : :|　　　　　　 ､＿＿＿_　　　　 i: : |
　 　 　 ,': : : :!: : : : : :!ヽ　　　　　　　　　　　　　　　i:.:.:.|
.　　　　: : : :.:|: : : : :.:.|　 ＼　　　　　　　　　　　　 ｲ: :.:.|
　　　/: : : : : ﾟ｡: : : : :.!　　　≫　　　　　　　　 ≪: : : : :.|
　　 ,': : : ,イニ!: : : : : !7ヽ_　 　 ≫　　　　≪　|: : : : : :.|
　　,'_　イニニ|: : : : : ﾟ｡// ≧x 　 　 　 　 　 __!: : : : : :.!
=≦/ニニニﾆ|: : : : : :.:ﾟ｡//////＞＝＝＜ / !: : : : : :.!
==/ ニニニ= |: : : : : : :.:ﾟ｡//// {　　　　　 }//|: : : : : :.|
　 　 　 ───━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ┃
　　　　　　　　　　　聖也は不思議そうな顔をした。
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━───


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　　　　　　「早朝に、聖也様がお電話にて彩園様にお申しつけになったと記憶いたしておりますが」



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.-‐-､／//,＞ 、
　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　 　 　 ／/////////////ヽ
　　　　　　　　　　　　　.　　 　 　 　 　 ,ｲ////////////////ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ｲ///////／∨///////ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i//////／　　 ヽ///////ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l////／　　　／＿二V/⌒',l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　V／＿ヽ＿_／ ''　.::::ﾊ'!´: l'!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ':::ヽ＿ﾞ --‐､::￣::::ノ V!':j.|,l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`ｰ---|　　 ', ￣´　　'! ノ/l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　', 　.l 　 　 :.　　u　 ;V//l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　 ｰ ､ -　－､　　 ヽ/,lヽ
　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　 　 　 　 「￣　　＿.ノ　 '　　V!ﾆ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,` ￣　　 　 　 ,　　./lニニ＞-＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　、　￣　　　ノ　　' .!ニニニニニ＝--＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 __＞-　-‐　　 , '　 lニニニニニニニニニニ=-,､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＿‐=ニニ!＼　　 ,.'　　.lニニニニニニニニニニニ,ﾆ
　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 　 __‐ﾆニニニニl　 ＼,.'　 　 lニニニニニニニニニニニ,二
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/lﾆﾆニニニニ二l　.///l＼　!二ニニニニニニニニニﾆ,ﾆﾆ
　　　　　　　　　　　　　. 　 　 　 /ﾆ!ﾆﾆニニニニ二',/ ∨ﾘ 　 !二二ニニニニニニニニﾆlニﾆ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾆﾆ,ﾆニニニニニニ',　.!/,!　 lニニニニニニニニニニニlニニ


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　=====
　　　　　　　　　　　　　,====__　__≦////////≧==_
　　　　　　　　　　　／/////≧≦//////////////∧
　　　　　　　　　　 ／///////////ヽ////////////∧　　　　　　　　　　　　　　「俺がか？」
　　　　　　　　　　ﾑ////////ｎ ∧///////////////∧
　　　　　　　　　　 :////////}^^^^∨///////////////}
　　　　　　　　　　////////ii}　　　 ∨//////////////}
　　　　　　　　　:/／//////}　　　 　 ∨/////////////}
　　　　　　　　　´//////‐-_　　　　　 __-―‐‐////////}
　　　　　　　　　 Ⅵ//´______￣ヽ　　イ ________∨//////ﾉ
　　　　　　　　　　　 ﾊ乂　て::ﾟ）｀}　　X て::ﾟ厂￣八;////}　　　　　　　　　　　　　「あぁ、そういえばおかしな時間に目が覚めて
　　　　　　　　　　　　ﾊ　　ー―┤　　　ゝ＝－　 |i|ヽ///}
　　　　　　　　　　　　 ﾊ　　　　,ノ　　　　　　　　　|i|n}///}　　　　　　　　　　　　　　　無聊ついでに彩園のやつにそう連絡した気もするな」
　　　　　　　　　　　　 ﾊ　　　　＼ ヽ　 　 　 　 　 |i|u}///}
　　　　　　　　　　　　　ﾊ　　　　　　 　 　 　 　 　 |i|i|i|i|i|/|
　　　　　　　　　　　　　 ﾊ　　γ二二二二ヽ　 　 |i|i|i|i|/|i|
　　　　　　　　　　　　　　ﾊ　　　　ー―　　　 　 　|i|i|i|/三ﾆ、
　　　　　　　　　　　　　　 |ヽ　　　　 　 　 　 　 / :|i|i|/||三三≧==--_
　　　　　　　　　　　　　　 |i|ii >　　　　　　　イ:::::　ﾚ´王三三三三三≧==__
　　　　　　　　　　　 _=≦i川i|i||i|≧- ≦: : :　　　　/:{王三三三三三三三三三≧=_
　　　　　　　　　 ≦三三三王}::ヽ: : : :　　 　 　 ／::{王三三三三三三三三三三三≧x
　　　　　　 ∠三三三三三王}::::∧　　　　　 ／:::::::{王三三三三三三三三三三三三ii∧
　　　　,＜三三三三三三王ii}:::::::∧ 　 　 ／::::::::::{王三三三三三三三三三三三三三ii∧
　　　/三三三三三三三ii王ii}::::::::::∧__／::::::::::::::{王三三三三三三三三三三三三三三i∧


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　　　　　「それでは、彩園様がお見えになったらどうなさいますか」


　　　　　　　　　　　　　　,. -- ､.＿
　　　　　　 　 　 　 　 ,イ////////ヽ
　　　　　　　　 　 　 /////＞'"ヽ///!　　 っ
　　　　　 　 　 　 　 l//／ヽ　,. ⌒V/l
　　　 　 　 　 　 　 ｒヽ! ￣￣￣￣ l/ヽ　　 つ
.　　　　　　 　 　 　 , ｒト--'"⌒' ー'l.ｿｊ
　 　 　 　 　 　 　 　 ､.,　 _ ､__.; _ u.!ノ　 　 ⊃
.　　　　　　 　 　 　 　 ,l. {―――}.ﾊ
　　　　 　 　 　 　 __.イ.ﾍ ー―一/ﾆ=-＿
.　　　　　 ＿-ニニニニl.＼＿_／.!二二二ニ=-＿
　　 　 ,.ｲニニニニニニ| ＼　／ .!二二ニニニニニヽ
　 　 ,ｲﾆlニニニ二二二!　 >< 　.l二二二ニニニニ,二,
. 　 /ﾆニ!ニニニニニニl, 'V//ヽl二二ニニニニニ,二ﾆ,
　 /ﾆﾆニ,ニニニニニニｌ　l/,l　 l二二二ニニニニ,ニﾆﾆ,


　　　 　 　 　 　 ,　 -… …-　 .
　　　　　　fﾆ＜:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: .
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　　　 /:.:,:.:.:|}:.:.:r:.:.:.:.:.:._:.、:＼:.:.:.:.:.:ヽ:.:.:.:
　　 〃:/:.:.{ﾑﾍ:.{ ＼xく:.:._＼:.:＼:.:.:.:.:.:.;.:.:i
　　 {:./:.:.:.:{　　＼〃彡 rｯ⌒`｀Yヽヘ:.Ⅵ{　　　　　　　　　　　　　「彩園のほうは目通りかなわん。
　　 ﾚ}:.:.:.:ﾊ‐‐x 　 'ー　´　　　 仆{ﾍi 〉:V
　　　.i:.:./:.:.≦ﾂ }　　　　　　　　ﾘ厂/:.:.ヽ＼　　　　　　　　　　　　　そんなことより美鶴嬢をお通しして、車を回せ」
　　　.|:/　}:ﾍ　く　　　　　　　　　_ ｨ:.:.:.:.:.:.ト:.＼
　　　　　　　 , 　 _　　 　¨ 　 　 厂Ⅵ:.:.:.:.{　 ￣
　　　　　　 　 ヽ　　　　　　　／　　ヽ:.:.:.:.:＼
　　　　　　　　　　　,.　 　 ／　　　　 }:.:.八:.:.:＼
　　　　　　　　　　　　>=く　　　　　ｲ:.:./i//:i:i:＞-…――:..、
　　 　 　 　 　 　 　 //／ﾊ___ ＜//:.:/:.ﾚ:i/:i／:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:iﾊ
　　　　　　　　__　ィ77{//r‐､////ハＶ:i:i/:i:i:i:i:i:i:i:i:i／:i:i:i:i:i:i:i:,
　　 　 　 f'¨:i:i:i:i:i:iノ:i:ﾘ/: : : :∨///／:i:/:i:i:i:i:i:i:i:／:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ﾊ
　　　　〃:i:i:i:i:i:／:i:iル{: : : : ハ/／:i:i:i/:i:i:i:i:i:i:i:/:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i}.、
　　　　{{:i:i:i:i:i:i:V:i:i///￣ :Y///:i:i:i:i:i:i{:i:i:i:i:i:i:i:i{:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i＼
　　　 ﾉ{:i:i:i:ir‐':i:i:///: : : :/ ／:i:i:iｰ＜:i:i:i:i:i:i:i:i:{:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i: ＼


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　　 　 　 　 　 ‐ﾆ三/三l‐-｀ ―― ´-‐|ﾆ∧三ﾆ-
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　　,ｨﾆ三三三三三|三l|＼∧＿_∧／ !ﾆ三l三三三三三ム
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　　　　＜￣ﾆ ﾐ　-─　　､　 ＼
　　　 ／／／r .ﾆ､　ヽ ＼＼＼ヽ
　　　ﾚ'〃,' ｌ f'''ﾞﾞl ∥　 ｌ　 l　 ! ヽ.l
.　　 /ｲ//,.1.|　　l　l、i　､　|　∥ l.|
　　　 ﾚ/ｲ-lﾉ、　 ゝlﾍ.｢ヽ＼　| l　|
　　　　　 |＝=ij　　=＝i;j＝''|　| l |　　　　　　　　　　　　　　　「ん……？そうだ、そっちのお前」
. 　 　 　 │"ー)　　 ー‐ 'ﾞ　|lゝ、 !
　　　　 　 | ＜ ､　　　 　 　 |Lﾉ│|
.　　　　 　 | ヽニニニフ 　 ,| l |.∥|
　　　 　 　 ヽ、　ー　　 .／ﾘ ﾉﾊ l !|
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　　　　　　　　　　 ,」 -‐ ｲﾙ',. -‐}ﾙ}
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　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／///////V///ﾊ
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　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ﾊ {二ニﾆ二} ﾊ
　　　　　　　　　 　 　 ＿_-ニl､ 　 --　　/ニ‐＿_
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　 /:/: :/: : : /: : : :／: : : : : : : : : : : -=: : : : : : : : : : : : : : ∧
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: /: : /: : : : /:｜トY/: :　-=: : : :　 -=　寸}メ、 ／: :. ／ /　 :|:{
/: : /: : : : /: :∧|ﾉ/: : :　 -‐=　　　 　 　 ＼／: : :／/:ﾞ/　　 |'′
: : /: : : : /: :/: : V￣: :／　　　　　　　　 ／´ 　 lト./: /
: /: : : : /|: /: : :/: /／　　　　　　　　 　 　 　 　 ∨:./
/: : : : /: |/: : :/: //　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨
: : : : /: : |: : :/: /∧　　　　　　　 ＼　　　　_　　 一
: : : /: : : |: :/: //　　　　　　　　　　 `丶、　「
: : ∧: : : |:/: //　　 　 ､　 　 　 　 ＼　　_r┘
: //∧: : |: ://　　 　 　 ＼　 　 　 　 ／　　　　　　　　　　　　　 「”しのぶ”が来ていたな。
////∧: |: :｜　　 　 　 　 丶　　　 /
/////∧|: :｜　　　／:. :.≧=＼___/　　　　　　　　　　　　　　　　　 あいつにも客待に来るようにいっておけ」
//////∧ : | 　 ／: : : : : : ‘:,
///////∧ |.／: : : |: :.∧: :.「｀ヽ
////////∧′: : :.｜/　|: : |
V ///////∧ : : : : | |　 |: :/
∧//////／ `:､: : :.| |　 |:/
/∧/// /　　　/: : :.| |　 |′
V ∧///　 　 /: : : : ∧
=V ∧/}　　 /: :.丶:/: ∧
= ∨//{　　/: : : : :|＼: ∧
ニ ∨/{ー｛: : : : : :|　 丶:{
ニ= ∨{ 　｛.:. :. :. :.|　　　＼
ニニ Ⅵ　 {: : : : : :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 _,.ィ//＞.-‐ ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ,.イ///////////＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ////////,ｲ///////!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 l/////／　 V//////l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　V二‐､＿,.-二ヽ////!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!::ヽ.ｔｧ:＿:::ｔｧフ::ｊハ}/!　　　　　　　　「かしこまりました」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ｀!ー‐j　 ',ー一'.ﾘソ/!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!　 ､ 　 :.　 　 .!ノ/,!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 - ｀´ ― 　 ﾊ/八
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 '. 　 ー　　　/　Ｖ/ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ヽ　　 　 , '　／ｲ二ﾆ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__-ニT ー　 ／ ./ニニニﾆ＞．_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ＿-ﾆﾆ二二l　ヽ／　 /二ニニニニﾆﾆ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ﾆﾆニニニニ| ,.ｲﾆヽ./ニニニニニニニ



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::ノ::ヾ:::ソｿ::::::::ゞ:::爻:::::::ﾏiﾑ::::::.　:.;　: |i|: ::.　::|{:.　}{　:.　;:　.:l洲|　::　::　::　::　.:　.:;　;::　ﾊ:: :: ::|{ :: |i:|::
^l{~~`::|l|^}l|~爻~ll{^Yl::::::ﾊﾏiﾑ::　;:.　::. :|il::　::　lll: : :|ｌ:: :: :: ::.::l洲|　: :ヾ:: :: ::: : : : 　:. :　;::爻:: : |{ :: |i:|:::
:::l|:': :: l!{::从::ゞ::::|l :,l{::^ﾞﾞ洲ﾏiﾑ:. ;: :､: :;l:i|::: ::: :|l|:: ::}l::::::......＿＿＿＿＿＿ﾞﾞﾞ爻:: :: :: :: :: ::):: :.:|{ : :|i:|:::
ﾞﾞ^"ヽ"""　"ﾞﾞ^"ヽﾞ^ヾ　:|ｌ|{:lﾏiﾑ゛`^ゞｿ||,'´ﾞ.,　'"´　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　乂:!: : |{: : jiﾘ::
王王王王王王王王l{ :: l:i:l:|l|ﾏiﾑヽ:; : }:l.／ 　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　 　　`､...:.|　::l{: :/;/::
圭圭圭圭圭圭圭圭ムノノ:|l| ﾏiﾑ:.:＼l.｛. 　 　 　 今私の事呼びましたか？ 　 　 　 ｝...._.へ./;/'ﾞﾞ"
:. ;: :::゛　:.　: : : : : ; ;;;::::::::::.__从 .}洲ﾞ"ﾞ ヾﾞ`､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／..:＞-＜＼. ::'´
ﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞ´´´´´´´___　,.-'´:: : :;: :}洲　:: : }l:　`　　─--　　　　　　---- 　　　　　　´|:::::|/⌒ ⌒V::::〉´
　　　　　　　　 (//ノ‐---..､ﾞ:'´,.:'´￣ヽ⌒ヽ:.`　ﾞﾞﾞ''‐l{--`ｰ-l洲|　　　 ん'⌒.　o=|:::|:::::x=ﾐ　､ x=:/
　　　　　　　　　⌒'ｰ-ｧ'´: : :)'´r‐rx'´,.'´¨¨´￣｀ヽ､:l{: ::　:.ノｲ爪ア⌒ヽ-ｧ…</..( (|::::{　　r‐┐ }　　　　　ひょこっ
　　　　　　　　　　　　(:,..'´,..:'´(:::::{i:i:i:),..:'´,,,...::'´,,..'´从:.:.:.:.｀ヾ:.:.:.:.:.⌒ヾ''∨///ﾑﾞヽ::::::. 　 V / 人
　　　　　　　　　　　　ノ´￣￣ ゞ‐ゞ'´￣｀:..､,..:'´,...:'´´｀ﾞヾ:.:.:.:. ﾞヾ:::::;::::::::::::ヾ///)'´|:从(ー┬く::ﾊ:〉
　　　　　　　　　　　　ゝ----(,: : ,: : : : : : : : ヽ二ﾆ=--=≦l{:.:.:.:.:.:.:.:.:.ﾞ､｀:.､｀:.､＼'..ﾞ/_＼ニﾆＨmm
　　　　　　　　　　　　　　|....　`ー-----r'´￣: : : : : : : :ノ;;;l{:.:.:.:.;,;:;;:.:.:.ﾞ､:.:.｀:.､＼:.∧　　ﾏﾆ人 　 }}
　　　　　　　　　　　　　ノ|＼|人o |　 =.ﾞ乂: : : : : :: : ／:::;;;;;l{:.:.:.;.:;:.:.:;:.:.:.ﾞ､:.:.:.ノ;;;;/　|＼　∨ﾆ}―ｒ‐へ
　　　　　　　　　　　／／⌒＼ |Ｏ|∨／|　 ﾞﾞﾞ´´´´´´´´´´ l{:.:.:.:.;;;;;;;.:.:.:.:.',｀｀｀｀ﾞ|／|＿|___∨ﾆ---./=ヽ
　　 　 　 　 　 ＿_/／|　 ／ ∧ﾆ ／/=.|ニ|ﾆ|.　 　 　 　 　 l{:.:.:.:.;;;;;;:.:.:.:.:.:',.　　 |／/ ／／| ニニ/ニﾆ|
　　　　　　 ／(／　 |　／'|,,ノ　／／二 |ニ|_∧　　　 　 　 爪:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;ﾞ､...∧　l/ﾆ |ﾆ |ニﾆ./|ニﾆ.|
　　 　 　 / ﾆ人( ／|/　　|　／／=ニニ|ニ|'ﾆ∧.　 　 ,,,,,ﾉ;;;;;;;:.:.:.::.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;.ﾞ|　∨|Ｏ | ､ﾆﾆ=/＼__／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿,,.......　-‐　''´:.:.:.:.;;;;;;;;:.:.:.::.;:.;:.;:.;:.;:.;:.; ノ|＼|人o |　 =匕〕_］_
＿＿,,....　----───　''''"""｀｀￣:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.;:.; ／／⌒＼ |Ｏ|∨／|ニ|ﾆ|
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　　　 　 　 　 　 　 i: : :ﾉ/‐--、　二===: :.}_
　　　 　 　 　 　 　 ﾘ: ﾊ ﾆ芸ﾐ }::: ゞ♀´ifヽ:i
　　　　　 　 　 　 　 ∨fi　￣ く 、 　 　.i|i)}:i
　　　　　　　　　　　　∨.i. ､_______ --ｲ .iｲ: i
　　　　　　　　　　　 　 }: i　ゝ三ﾆ＞´　i: : i　　　　　　　　　　　　　　　　　　「なんだそんなところにいたのか」
　　　　　　　　 　 　 　 i: :.ヽ 　ー-‐　 _ﾉ: :.i
　　　　　　　　　　　　 i: : : : ＞　_　＜i: : : i ヽ　__ -‐‐--
　　　　　　　　　　　　 i: : : i∧__ - ≦: : : / 王三 三三三∧
　　　　　　　　　 ______.i: : :.i/f￣∨/: : ／ 王三/三三三三ﾊ
　　　　　＞≦三三三.∨:.i/| 　 ///´三王三/三三三三三 }
　　　　 /三三三三王ﾆ 从〉-f///三 王三/三三三三三三i
　　　　 |三三三三王∨//i.　ii// 三王 ﾆ/三三三三三三 ﾉ
　　　　 |三三 三 王 ///i　　ﾚ三三王ﾆ/三三三三三三 /
　　　／三三三三王}//i　　/三三王 r‐ー-x三三三三 /
　　　}三三三 三 王}//i　 /三三王ﾆf￣ ﾆ-､三三三三 }
　　　 〉三三三三王 }/i　/三三王_ }-‐ゝ-､¨´ 三 三 三ｆ
.　　 /三､三三三王ﾆ}.i /三三王ﾆ}___rﾆﾆ二三三三三/
　　∧三 ヽ 三 三 王 ﾚ三三王三ｆ--‐ーゝｲ三 三 三/
.　 i三三三ヽ､三三三三三三＞≦三三三三三三三/
　 i三三＞´ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆｘ≦三三三三三三三三 /
　 i＞＜ 三三＝＝＝≦三三三三三三 三 三 三 /
　ｆ　　　　｀￣|/}三三三三三三三三三三三三三/
　i　　　 　 　 |/}三三三三三三三三三三 三 三/


.

　　　　　　　　　　　　　　「薬草園の様子を見てました。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　ずっと続いてるこの長雨で全体的にちょっと生育不順みたいですね」



　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /::::::::::::::::::::::)／＿＿:::::::::::::＼ ::::::::::::/＼/ /　 |
　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::::/￣:＼:/::::::::::::::::::::＼ :::::::|＼ :::/::::::::∨　 /
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ..:::/::::::|:::::＞'⌒｀｀⌒＼:::⌒::::::::::|:::::∨::::::::::::::.　/
　　　　　　　　　　　 　 ／:::/ :::::::|'"　　　　　　 　 ｀^⌒i:::::::|:::::::|:::::: ::/:::::./
　　　　　　 　 　 　 　 '⌒|::::::::|:::::|　　　　　　　　　　　/|:::::::::::::::|:::::::/::::::::i＼
　　　　　　　　　　　　　　| :|::::|:::N⌒　 　 　 -‐…‐-/:::::::::/ ::::::|::: /:::/:: :|　 )
　　　　　　　　　　　　　　|/|::::|:::|　　　　　　　　　　/:::::::::/ ::::::: |::/:::/ :: ::|( 〈
　　　　　　　　　　　　　 　 八::从=ミ　　　　 _,,..,,_⌒:|:::::/ ::::::／|:::::/::::::::::| ＼､
　　　　　　　　　　　　　　　　∧::|　　}　　　 ＾¨^⌒刈:::::::::／|::从V:::::::::: /　　＼┐
　　　　　　　　　　　 　 　 ／::::::::|　 〈　　 　 　　　　ﾉ:::／|::/|/'　 |::::::／
　　　　　 　 　 　 　 　 ／.::::::::/:::.　　 ＿　　　　　　⌒|:::::/:::| )　人 '
　　　　　　　 　 　 　 /.:::/::::::/::::∧　 {　　　>　　　　　|::/::::::|,／
　　　　 　 　 　 　 　 |:::::|:::::::|::::/　　､　ー　　 　　　／|::::::::::::〈＼／＼
　　　　　　　　　　　 从::|:::::::: /　　　 ＼＿＿　. . : : :/:::::::::::::::}_/　　　|
　　　　　　　　　　　　　＼从:(＿　　＿ 　_/＼.:_: :-/::::::::::|:::://　　＼＼
　　　　　　　　 　 　 　 　 ＿ | i⌒V|⌒ｉ ∧-ニニ /⌒¨¨ ::://　 　 　 　 ＼　　　　　　　　　　「ところでなにかご用事ですか？」
　　　　　　　　　　　　　　|ｉ⌒| |　 | |　 |/_∧-=ニニニニ /　　　　　　 　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　||　 | |　 | |　 |⌒)　-=ﾆニニニ/　　 　 　 　 　 　 　 ＼
　　　　　　　　 　 　( ＼. ||　 | |　 | |　 | /-=ﾆ＼ニ=-ﾆ/　　　　　　　／　　　　　＼
　　　　　　　　　 　 (＼ ＼　 | |　 | |　 |' /-=ﾆﾆニニ ./　　　　　　／＼　　　 　 　 |
　　　　　　　　　　　 ＼＼ ＼＼_　＼　V ○-=ニニ ./　 　 　 　 /　　　＼￣￣　　|



　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ＿_　　_
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ,.イ///////＼
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／///////V///ﾊ
　　　　　　　　　　　　 　 //////／/　 V///l
　　　　　　　　　　　　 　 l//／__ヽ　　'⌒__//!
.　　　　　　　 　 　 　 　 f.ヽ;;;;;;;;;;;;;ﾆﾆ;;;;;;;;;;;;;ﾘ'ヽ
　　　　　　 　 　 　 　 　 l.{｀ト::＿,.l　 l､__:;::イ´,'
　　　　　　　　 　 　 　 　 ､_l u.　 ,　　;　　　!ノ
　　　　　　　　　　　 　 　 　 ,　r―｀´―.､　'　　　　　　　　　　　　　　　　　　（あそこには立ち入らないようにとの
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ﾊ {二ニﾆ二} ﾊ
　　　　　　　　　 　 　 ＿_-ニl､ 　 --　　/ニ‐＿_　　　　　　　　　　　　　　　　　　持ち主との約束だったんだが……）
　　　　 　 　 ＿‐ニニニニニ| 丶 ＿_　ｲlニニニﾆﾆ‐＿
.　　　　　　,ｲﾆニニニニニニ| ＼ 　 ／ .!ニニニニニニﾆヽ
.　　 　 　 /_!ニニニニニニニ!　　><　　lニニニニニニニﾆi＼
　　　　　/ニニニニ二二二二'／V,/＼,ニニニニニニニニjニヽ
　 　 　 /ﾆﾆ'ﾆﾆニニニニ二二',　!ハ　,二二二ニニニニニ,ニニ',
.　　　 /ニニ'ﾆニニニニニニ二, l//l /二ニニニニニニニ,二ニﾆ,



.

.　　　　　 　 　 ／: :／／ : : : : : : : : : : : ⌒＞: : :⌒＞ﾊ
　　　　　　　／ .: :/／..: : ／ : :／ : : : : :／: : : : : ´ : : :ｉ|.:ﾍ
.　 　 　 　 /: : : :／..: : ／ : :／ : : : : :／: : ／ : : ィ. :/ :ｉ| : ‘,
　　 　 　 /.: .:／..: : ／ : :／..: : : : : :/.: : ィ.:.:／､:/.:./:}:小:. :.‘,
.　 　 　 / : : : : : ／ : :／.: : :／ ／/´ ¨メイ 　 /.:./:/.:.i :|: : :.ﾊ
　　 　 /: /: : .: : : : ／.: : :／ ／「¨　 ＜　 ＼ /／　 ｀弋|i: : : :|:
.　 　 /: /.: .: /.: :イ.: : :／イ/　八 fぅ　　ヾ　／　　＿_　 |ｉ: :ｉ: :ﾄ:
　　 /: /.: : :/ィrぃ!.:／/　 /　　　｀　 -　 '　　　∠　　　｀|ｉ: :|: :| :
.　 　 /.:／/: 八ゝ|: : /　　　　　　　　　　 　 　 { rｯ　｀ヾ从.:. :.:　}
　　 / ｲ.:ｉ: : :ｉ.:i ｀ |: /　　　　　 　 　 　 　 　 　 :.｀　 イ/.:.: ｲ /
.　 /　 |: | : : : | : :Ⅳ:!:　　　 　 ト　.　　　　 =‐- '　　 ｲ: /　|/
　　　 / : : / : |: : /　l::.　 　 　 ゝ 　 ｀　　 .　 　 　 .:　|:/　,ﾉ
.　　 / /: /|:.:/l: : |　 |:::::..　　　　　｀ 　 . 　 _＞‐　/　ﾉ'
　　/ /: / .l:ヘ|ｉ: :|　 |:::::::丶　　　　　　　　　　　.ｲ
　ノィ:/:¨::, {　 ||: :ﾄ､　､::::::::::＼　　　　　　　.ィ.:　　　　　　　　　　　　　　　「用がどうこうじゃない。
。r≦l::::::::‘:,　八:ﾊ. ＼　､::::::::::::...　　　　..:　ﾉ′
:::::::::::|::::::::: ‘:,　　ヾ　　＼}::::::::::::::::::＞ :尓　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 これから人に会う。
:::::::::::ｌ::::::::::::::‘:, 　 }　　　 ＼:::::::::´ﾊ∧ :| }
:::::::::::|::::::::::::: : ‘:,　　　 　 　 ＞‐く　}､ﾊ:|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 お前にも会わせておく。
:::::::::::l:::::::::::::::::::::‘:, 　 　 　 /　　　V‘: . }
:::::::::::|::::::::::::::::::::::::‘:　　　 /　　　 ｲｉ::::‘:;:＞　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　それだけだ」
:::::::::::l::::::::::::::::::::::::::::‘:,　 /ヽ 　 　 |:l::::::::‘:;::::::::＞
:::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::: ∨　　〉ー‐ﾍ|:::::::::: ‘:;:::::::::::::::＞
:::::::::::ｌ::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼　!　　　 |:::::::::::::: ‘:;::::::::::::::::::::::＞
:::::::::└－─－─－/::::::::: ＼　 　 .|::::::::::::::／:::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::＼　 |::::::::::::::＼:::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::: ＼!:::::::::::::::::: ＼:::::::::::::::::

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 「はぁ、そうですか。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /::::::::::::/　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::::::::/:::::　　　　 私と関係のある人ですか？」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::::::::::: '　　　　　 　 　　　　 　 　 　 | ::::: /::::::/::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 /::::::|::::::::i⌒ 　 　 　 　　￣￣￣￣＼ | ::::/::::::/:::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:::::: |::::::::|__ 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |:::/::::::/:::::::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 |::|:::::::::::x冬ﾐ`､　　　　　　-―-　 　 　 ∨:::::::::::::::::::/__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 |人:::::|:::⌒示ヽ 　 　 　　 xy＝ミト ＼　 .::::::::::::::::::/:::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 )从::::::f;';'ﾊ　 　 　　 〃 '⌒ヽ　ヾx /::::::::::/:::::/㍉ﾆ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 /:::::人;';ﾉ　　　　　　 f;';';';',}　　)刈/|::::/| ::/ |y x
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ノ::::/:::|r '　　　　 　 　 乂;';ノ　　　 |:::|ノ::: :/::::|ノ^
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /::::::/ .:::| ヽ　 　 　 　 　 ｀^｀^^´　　 |:::::::::::/:::::ﾉ　)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:::::::::::::|::::.　　　　　　　　　 　 　 　 　 |:::::::::::::::::::|ノ⌒
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ' :::::: |:::|:::∧　､ ､　 　 　 　 　 　 　 　 |:::: / :::::::::|　　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 |::::::::::|:::::/::∧　　　　　　　　　　　　　ノ:: /:::::::::::::|¨¨´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 人::::::::|:::::: / /:.　　 　 　 　 　 　 　 ⌒7::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ＼八::::〈:/ 　＼＿＿　　　　　-=ﾆ/::/:::::::::::::::从
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ＼( 　　　　　　}　　　　　　 ⌒7:::::::::::::／


.

　　　　「関係はないだろうな。だが、ことによっては面白いつながりが期待できるかもしれんぞ」


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ,..-‐　´￣￣￣｀ ｰ ､
　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::::::::::::::ー:::::::＿:;::::':::::::::::::::::::j::::､
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／:::::::;:へ::::ー-----､-―イ::::::/::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:;:'::::::/.ヽ'::;:'　　ゝｔｯ＼ヽ、./::／　}::::::::l
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 〉::::::::{ ':/:/　　　　　　 ｌ ／'"　 　 j::::::::l
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /:::::/:::ゝ.l/ 　　　　　　　　　 ,._-ー/::::/:l
　　　　　　　　　　　　　　　 　 /:::::/:::::::::/　　　 ﾊ 　 　 　 　 {" `/:／ﾊ:l
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　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ,::::::::i:::::::::::ハ　 　 　 ＼ ＼　　　　ﾊ:/
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　　　　　　　　　　_ f ヽ‐.､-r'"　.l:::::ｌ::::ト､　 　 　 /.!:::::::::|　　　　　　　　　　 　 / '　/　i
　　　　　　　 ＿ !　',　 ',　'ニ　　 V::ﾄ:::l　 ＼ 　 /　!:::::::::|　　　　　 　 　 　 　 / .l　.l　 .!
_　-―=＝ﾆｒ-､ .|　 ｌ　 ｌ　.lニ､　　ヽ! ヾ／`―- ヽ.|:::::/ﾘ　　 　 　 　 　 　 　 '　.!　ｌ　/.ヽ
ニニニニニl　 '_l　 j　 .!　 !ﾆﾆ､　　 ／　｀∨/// }j:::/ l＞ ､　　　　　　　 　 '　 !　.!　!　.l
ニニニ二二' 　ﾘ　 .!　 l　 .!ﾆニヽ_,_'　　　　ヽ￣`/:ｲ　 'ニﾆ＞ 、　　 　 　 .i　 !　 !　ｌ　 '
'ニニニニ二l　 l　 .j　 -　 .!ニ／　/　　　　　 l//ハ　/　'ニニニ＞＿　＿ j　 '　 l　 ',　 ',
.'ニニニニニ!　.l　 '　 　 　 !=.'　 ,ｲ-、 　 　 　 !//ハ.　　 '二二二く_.　｀ヽｿ　　￣　ｰ　　 ,
'ニニニニ二ｌ　´　 　 _　-　ノ　 /ニニ、　　 　 .ｌ'//ハ.　　 'ニニニニヽ.　 '　- ､　＿
ニー―＝＝l　 -‐　　 ／　　　 'ニニニ､　　 　 .l///ハ　　 lニニﾆﾆ'ニ',　 　 　 ヽ　 ;　　　',
ニニニニニj　　　 ヽ '　　　　 /ニニニニ､　　　 l'///ハ　　ｌニニニﾆl二,　　　　 　 ,:　　　　__
二二／{＞ '　　　　　　　　　ノﾆニ二二二ヽ　　　l////ﾊ 　 !二ニニﾆ!ニゝ _　　　 {.　 　 　 Ｖヽ
二／二'／　　　_　　- ,. ＜ﾆニニニ二二二ヽ　　 !////ﾊ　 !二二ニﾆｌニニﾆ＞ 　 ､ 　 　 　 }ニ､
／ﾆﾆ二＼　　 　 　 .ハニニニニニニニニニヽ　 .l////ハ .ｌニニニニl二二ニ{ ヽ　｀　ｰ　 ／ﾆﾆ＼
ﾆニニ二二＞.､　　/:::::〉ﾆﾆニニニニニニ二二＼. !////ハ.!二二ニニｌ二ﾆﾆ入　',　 ＿／ニニニﾆヽ

　 　 　　　　　─────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┃
　　　　　　　周囲のすべてのものが傅く聖也に対し、臆する様子もなく”しのぶ”はうなずいた。
　 　 ┃
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r ､
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　　　　　　　　　　　　　　 ／⌒:Y::￣￣＼:::::ヽ　∧
　　　 　 　 　 　 　 　 　 /::::::/⌒'⌒＼::::::::::::::::∨/
　　　　　　　　　　　 　 /::::::,: 　 　 　 ＿:::::::|:::::::i/　　　　　　　　　　　　 「面白いつながりというのが
　　　　　　　　 　 　 　 |:::::::i⌒　　　´　 |::::::|:::::::|＼
　　　　　　　　 　 　 　 |:::::::代ﾗ 　 弋_刈:::::|:::::人　)　　　　　　　　　　　　なんなのかはよくわかりませんけど、
　　　　　　 　 　 　 　 人::从　　'　　　ノ::::::::／ 　 ＼､
　　　　　　　　　　　　⌒/::::|:､　､　 ,　⌒Y::::|　　　　 L〕　　　　　　　　　　　まぁいいでしょう。会いますよ」
　　　　　　　　　　　　　 ＼从:＼__ . : : :/::::::|
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 __)_ -=ﾆニ /￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　 ／ 〕ﾆ=- -=ﾆ | 　 ⌒＼
　　　　　　　　　　　　　　 /　/ﾆ|O-=ニﾆ./　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　 ∥／ﾆ |-=ニニ７　 　／￣￣ ＼
　　　　　　　　　　　　　∥-ニﾆ.|-=ニ二|　　/ 　　　　／¨＼
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　　　　　　　　　　　　 八-=ﾆ_-=ニニﾆ｜　 /　 　 /　／　 　 ∧
　　　　　　　　　 　 〈/　　､-={O-=ニニﾊ 　 　 　 /　　　　　 / ∧
　　　　　　　　　 　 /(　 　 ＼〕-=ニニ,　 　　　　/　 　 　 　 　/ ∧
　 　 　 　 　 　 　 /　＼ 　 ト‐-----‐|　　 　 　 |　　　　　 　 　/ ∧
　　　　　　　　　 /　　 　 　|__|￣| |＿_|　　 　 　 |　　　 　 　 　 　 / ＼
　 　 　 　 　 　 / 　 　　　/|__|i／＿___|　　 　 　 |　　　 　 　 　 　 　 　 ＼
　　　　　　　　/　　　 　 /ﾆ |-=ニﾆ二|　　 　 　 |　　　　　　　　　 　 　 　 ＼


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【 比津府岳温泉街　『本陣』内　客待の間 】


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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ┃
　　　　　　脇息でごく自然にくつろぐ聖也の一段下、しのぶは直に畳に座っている。
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━────────────

　丁''＜二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二:::/|::|
　 |::::|　｀''＜////////////////////////////////////////////////////////////////// |::|
　 |::::|　　　 ｀`''＜二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二7　|::|
　 |::::|　　　　　　 ｀`'＜//////////////////////////////////////////////////////// 　 |::|//
　 |::::|　　 　 　　 　 　 ｀` ＜二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二|　 　 |//
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=-廴|　　　　　　 　 　 　 　 :|　|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_| :|:::::|　|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_| :ｌ|　 //
ﾆ二二ﾆ=-　_　　　　　　 　 :|　|[|[|[|[|[|[|[|[|[|[|[|[|[|[|[|[|[| :|:::::|　|]|]|]|]|]|]|]|]|]|]|]|]|]|]|]|]|]|]|]| :ｌ| .//　／
　 「丁　-=ﾆ二ﾆ=-,,＿　　　|＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿|:ﾛ:|＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿____l|//／ ｉ||
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￣丁::T　‐-　　＿}}　 }}　}}　|弋＿ゝ＿ゝ＿ゝ＿ゝ＿ゝ＿乂ゝ＿ゝ＿ゝ＿乂乂＿ﾉﾉ＿ﾉﾉ＿ノl|　|:|　 i||
　　|::|i:|　　　　　|:|「「丁Ｔ≡=イ「丁T≡　＿| 　 |　￣|　 |　　|＿＿___,|　　:|:||￣||￣||￣||￣| | l|　|:|　 i||
　　|::|i:|　　　　　|:|:|Ｌﾆ|ﾆ|ﾆ|:|::|」」」L||　 |:|　 ￣|「TＴュ　|　　| |＿＿| |　　:|:|ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆニ:ｉ| | l|　|:|　 i||
　　|::|i:|　　　　　|:|:|Ｌﾆ|ﾆ|ﾆ|:|::|」」」L||　 |:|　 　 |_l_l_l|:|　 |　 (二二二ニ)　 |:| |　　 rzzzzz|　| | l|　|:|　 i||
　　|::|i:|　　　　　|:|:|Ｌﾆ|ﾆ|ﾆ|:|::|」」」L||　 |:|　 　 |_l_l_l|:|　 |　 ｀¨¨二¨¨¨´　.:|:| |‐ー┴ｭ 　 |　| | l|　|:|　 i||
　　|::|i:|　　　　　|:|:|Ｌﾆ|ﾆ|ﾆ|:|::|」」」L||　 |:|　 　 |_l_l_l|:|　 |＿＿{｀¨´}___＿__|:| |￣ ﾉ~乂　 |　| | l|0:|:|　 i||
　　|::|i:|　　　　　|:|:|Ｌﾆ|ﾆ|ﾆ|:|::|i:i:i:i:i:i||＿|:|　-- |i:i:i:i:|:|≦=====ゝ-ｲ=====|:|,」￣ ゝノ ￣＼| | l|　|:|　0||
　　|::|i:|　　　＿,,|:|:|Ｌﾆ|ﾆ|ﾆ|:|::|i:i:i:i:i:i||:. _,.　 -=　'' ￣￣￣￣￣￣ ,.￣´￣￣￣￣￣￣￣∧| l|　|:|　 i||
　　|jI斗r≦:.:.:.:. |:|:|i:i:i:i:i:i:i:i:|:|┴=ﾆ　￣　　　　　　　　　　　　 ,.　' ´　　　　　　　　　　　　　 ∧l|　|:|　 i||
s≦:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:|:|i:i:i:jI斗r≦ＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺZZZZZZZ|　|:|　 i||
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.｡+'ﾟ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∨

　 　 　 ─────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ┃
　　　　　　　二人の視線のまっすぐ先、閉ざされた本式の襖の向こうに何者かが侍る気配が現れた。
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━──────────────────


.

　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 -------　　──　　　　　　　────　---
　　　　　 　 　 　 　 ,　'"´　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　 　 　 　 　 　 ／ 　 　 　 　 　 　 　 聖也様　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　 　 　 　 　 ′　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ
　　　 　 　 　 　 i　　　　　　 　 　 　 　 桐条美鶴様をお連れ申しました.　　　　　　 　 　 i
　　　 　 　 　 　 丶　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ─　───　　--　-　----　　──────








　 　 　 ───────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ┃
　　　　　開かれない襖の向こう、声だけが聖也としのぶに届いた。
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ,　 -… …-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 fﾆ＜:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ｰ=ﾆﾆ :.:!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /:.:,:.:.:|}:.:.:r:.:.:.:.:.:._:.、:＼:.:.:.:.:.:ヽ:.:.:.:
　　　　　　　＿__　　　　　 　 ＿＿　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 〃:/:.:.{ﾑﾍ:.{ ＼xく:.:._＼:.:＼:.:.:.:.:.:.;.:.:i
　　　　　／ ＿ O＼　　　 ／　_O |　 ＿＿＿ 　 　 　 　 　 　 　 　 　 {:./:.:.:.:{　　＼〃彡 rｯ⌒`｀Yヽヘ:.Ⅵ{　　　　　「ご苦労」
　　　 　 |O|＼__＼O＼.／_／_/O ／:::::::::::::::::::＼　　＿.　　　 　 　 　 ﾚ}:.:.:.:ﾊ‐‐x 　 'ー　´　　　 仆{ﾍi 〉:V
　　　 　 |O|⌒＼　＞''"::::::::::::::::／:::::::::::::::::::::::::＼)／:::::::＼　　　　　　　i:.:./:.:.≦ﾂ }　　　　　　　　ﾘ厂/:.:.ヽ＼
　　　 　 |O|＼ ア::::::::::::::::::::::::::'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼:::::::::::::::. 　 　 　 　 |:/　}:ﾍ　く　　　　　　　　　_ ｨ:.:.:.:.:.:.ト:.＼
　　　　　 oV// :::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::/ :::::::::::::::::::::::}:::::::::::::::::　　　　　　　　 　 , 　 _　　 　¨ 　 　 厂Ⅵ:.:.:.:.{　 ￣
　　　　 　 o∨::: ＼ ::::::::::::/::::::::::::::::::::/:⌒＞‐-=ミ::/:::::::::::::::::::　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　　／　　ヽ:.:.:.:.:＼
.　　　　 　 Ⅵ::::::::::::＼:::::/::::::::::::::::::::/::／　　　　　　 ＼::::::::::::::|　　 　 　 　 　 　 　 　 ,.　 　 ／　　　　 }:.:.八:.:.:＼
　　　　　 ／:| :::::::|::::::::∨ :::::::::::::::: /::/　　　　　　　　　 ｉ::::::::| :|　　　　　　 　 　 　 　 　 >=く　　　　　ｲ:.:./i//:i:i:＞-…――:..、
　　　　／／] :::::: |::::::::::|:::::::::::::::::::::|:/ 　　 　 　 　 　 　 |::::::::| :|　　　　　　　　　　　 　 //／ﾊ___ ＜//:.:/:.ﾚ:i/:i／:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:iﾊ
　　　 (O/⌒|:::::::::|:'⌒, |:::::::::::::::::::::|／￣￣￣　　 　 ＿|::::::::| :|　　 　 　 　 　 　 __　ィ77{//r‐､////ハＶ:i:i/:i:i:i:i:i:i:i:i:i／:i:i:i:i:i:i:i:,
　　　　( )／∧::::::|　/　|:::::::::::::::::::::|　　　　　　 　 　 　 /::::::::| :|.　　 　 　 　 f'¨:i:i:i:i:i:iノ:i:ﾘ/: : : :∨///／:i:/:i:i:i:i:i:i:i:／:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ﾊ
　　　　 /　/ 　 ::人（　 |:::::::::::::::::::::|y''庁云ミk　　　_.ノ ::::::::::|八　　 　 　 〃:i:i:i:i:i:／:i:iル{: : : : ハ/／:i:i:i/:i:i:i:i:i:i:i:/:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i}.、
　 　 　 |//　　 ∨:: ＼_|::::::::::::::::::从､ {;';';'ノ 　 　 /;'7::::::::::::: |　　 　 　 　 {{:i:i:i:i:i:i:V:i:i///￣ :Y///:i:i:i:i:i:i{:i:i:i:i:i:i:i:i{:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i＼
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　　 　 〔_〕　　　　/::::|　|::::::::::::::::::: 乂　　　　　　　>:::::::::::::/
　　　　　　　　　 {:::/:|　|::::::::::::::|＼|⌒　　　 　 　 人 :::::::/
　　　　 　 　 ＿／|=:|.八::::::::::: |:､ 　　　　`　 -／::::::＼/
　　　　　 ／　／ 人-= ∧::::::::::::: 〕ト　　＿_／ |::::::::::::|
.　　　 ／　　 |-=ﾆﾆ＼-ﾆ _ :::::::::: ＼ /　　＼ 八 ::::::: |
　 　 /_|　　　　､-=ニﾆ＼-=＼::::::::::::＞ヽ　　＼ ＼::从
. 　 //∧　　　　＼-=ニﾆ＼-= (￣ -=ﾆ∧　　 |＼ ＼

.

　　　「美鶴嬢、堅苦しい真似は無用だ。早く入ってきて顔を見せろ」


//// |　　　　　 　 　 　 }｝ン/
//// |　　 　 　 　 　 　 }｝イ、
//// |　　　　　　　　　/州‘:,＼
// ＼|__／　　　　 　 /｝州iハ= ヽ
/////＿__,,..　-‐'′/ {州州ハニ‘:,≧=‐-
////こ¨¨´ 　 　 　 　 }州!州i∧ニ‘:,ニニニﾆ≧=‐-
､///｛　　　　　／　 /｛州州州 }二 ‘:,二二二ニニニニ≧=‐-
/＼//}　　　／ 　 ,/: :.}州州州ﾘニﾆ ‘:,ニニニニニニニニニニ
///≧= =≦　　　/: : :.}i州i州i/ニニニ‘:,ニニニニニニニニニﾆ
/////////　　／: : : :.}州州/二二二ニ‘:,ニニニニニニニニニ
＼///// 　 ／: : : : : : }!州i/二二二二二‘:,ニニニニニニニニ
: : 丶//　／: : : : : : : : :}州,′ニニニニニﾆ‘:,ニニニニニニニニ
: : : : :〕}{｛: : : : : : : : : : :}i{/}二ニニニニニ ／ニニニニニニニニ
: : : :/ 　 ‘:,: : : : : : : : /}//ニニニ r‐‐=≦ニニニニニニニニニ
: : :/　　　 ‘:,: : : : :. :./: :/ニニニニ＼ニニニニニニニニニニニ...　, -‐────‐-､
: :/､　　　　∧: : : : :/: :/二二ニニニ 丶ニニニニニニニニニニﾞ／　　　　　　　　　　 ＼
:/: :‘:,　 　/: :‘:,:. :./: :/二二二ニニニ/ニニニニニニニニニニ...{..　　……はっ 　 　 　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ゝ､_　　　　　　　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ￣￣￣￣￣￣
　 　 　 ────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ┃
　　　　　　その聖也の声に一拍遅れて美鶴が短く応え、すっとふすまが開いた。
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━────────────
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 , :＜: : : ￣:＞. .、.　 　 　 |i:::::||
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,. :´: : : : : : : : : : :＼: :＼　　　 |i:::::||
　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 , ' : : : : : : : : : : : : : : : ＼: :ヽ.　　|i:::::||
　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : : : : : : : : : : : : : :＼ :ヽ:∧.　|i:::::||
　　　　　　　　　　　　　　　　　,' : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ',: :',: :!....|i:::::||
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ; : : :ﾄ､ : ',: : : : : : : : : : : : : : i : |: :!..ﾞ|i:::::||
　　　　　　　　　　　　　　　　 i: : : :|　ヽ.:＼: : : ＼ : : : :l : : |: :l: :|　|i:::::||
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 l:!: : : ｌ ＿＼: ＼: : : ヽ : : l: : ｌ: :l : l....|i:::::||
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 lﾊ: :l: :lｬ‐ｔz:ﾐ＼ :＼: : :Ｎ: :ｌ: :l : l : :l...|i:::::||
　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ｌ! V:!: :!ヽ｀ｰ'　 ｀ヽ: ＼| ヽ:l /: /l: : i..|i:::::||
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 l!　V＼!、　　 　 　 ＼!　　} : /:∧: :',|i:::::||　　　　 ＿
　　　　　　　　　　　　　　　　 {.　 V: :∧　 　 ヽ'　　　　 j//:/ : ＼:|i:::::||　　　∥⌒
　　　　　　　　　　　　　　　 　 ヽ　ヽ : : ＼ 　 ｰ 一　 ／l:i/､: : : :.ﾞ|i:::::||　　　i{　___
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｉ＼: : : ＞　、_／　/ｲ／ヽ:......|i:::::||　　　　`冖
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: l :＼ : : : :{┬一'´ /!　／ : :ﾞ|i:::::||
　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 / :/ : : : ＼:_:ﾉ」ﾍ、　〈_／: : : :..ﾞ|i:::::||　　　　　　　...:::::::
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ／: /: : : ｘ＜ ｀ｰ{___∧　/: : : : :／.|i:::::||　　　　.....:::::::
　　　　　　　　　　　　　_. .-:‐:´: ／　／　　　　'´/│ ∨_: : : :/...　|i:::::||..:::::......::::::....::::::
　　　　　　　 　 　 , ＜: : : : : ／: : : |　　　　 ／/　　　|: : ￣:｀ミ | |i:::::||.....:::::::::::::::::.....:::: 、
　　　　 　 　 　 ／: : : : : , : ': :＿＿_|　　 ／　/　　 　 ト-＝: : : }...|i:::::||::...:::::......:::::.......:::::::::
　　　　　,ｨﾆヽ（: : : : : ／: : :〈-、 　 ＼／ 　 / 　 　＿_＼:_: : ＼!. |i:::::||::::::::::::::::............::::::::::::::::::::



.

　　　　　　　「いつも通り直答を許す。

　　　　　　　　　　　　で、息災かよ、美鶴嬢」



　　　　　　　　　　　 i: : :/: : : : : : :.:.:／　 ≠-____　　＼　　　　　　 　 i: : : i: : : :i.i: : : : :i: :i: : i: : i
　　　　　　　　　　　 i:／: : : : : : :.／i 　 彡´￣　＝=x　＼　　　　　　 i: : :i i: : :.i i: : : : ii:.:i: :.:i ､:.}
　　　　　　　　　　 ／: : : : : : :.／: :,' 　　 ヽ. 　 　___ . ｀ヾ　ヽ __ ﾍ　　 i: :.i_.i: : :i-‐: : :.,': :i､:.:.i　i:}
　　　　　　　　　 {: : : : : : : :／-i: :,'　 　 　 ヽ､_.Yc:::Y　　ヾ　　　´　　_〉i:.:i__∨:i　 i: :.,':.:. i i: :i　i:|
　　　　　　　　　 l: : : : : :／ i　 i:.,'　　 　 　 　 　 ￣ テ‐´　 　 　 　 /≠ﾃ＝=ミi　i: ,': : : i. i:.i　 i
　　　　　　　　　 i: : l:.／ 　 i‐-i:,'　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 i　 γヽ　　》 , 'i,': :.／i. V
　　 　 　 　 　 　 i: :i´: :||　 i　 i:.i　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ヽ､-_::ﾟﾉ_／ .,': :i／ ヽi
.　　　　 　 　 　 /: :i: : :ヾ　 ヽ i:i　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ｀ ┐　　 ,'／
　　　　　　　　 /: :.|: : : : ヽ､___i:}　　　　　　　　　　　　　　＿　　　　 　／　 　 ,'
　　　　　　　／: :.: ／: : : : : : :.:i　　 　 ､　　　　　　　　　　　´ 　 -‐ ´　 　 　 ,'
..　　　　　／: :.: ／: : : : : : : : :.:i　　　　 ゝ- ＿_　 　 　 　 　 　 ´　　　　　　 ,'
　　　　／_ -.／三i: : : : : : : : : i　　　　　　　　 ￣¨¨‐---　＿　 　 　 　 　 ,'
三三三三／三ﾆ i: : : : : : : : :.:i　　　　　　　　　　　　　　　　　￣ ‐- _,　　,'
三三三 /三三三i: : : : : : : : : :l　　　　　　　　　ー　‐ -- ＿＿　 　 　 　 ,':i
三三ニ/三三三 i: : : : : : : : : :l　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ,': i
i三三 /三 三 三i: : : : : : : : : i ｀ヽ　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ,': :i
三三/三三三三.i: : l: : : : : : :i､　 　丶　　　　　　　　　　　　　　　　　　,': :,i
三ﾆ,'三三三三ﾆi:.:. l: : : :.l: : :i ヽ､　 　 ヘ　　　　　　　　　　　　　　 _ ｲ: : i
i三,'三三三三三i:.:.:.l: : : :.l: : :i///ヽ､　　　 ＞､　　　　　　　 _　 イ´: : : : :i
iﾆ,'三三三三三 i: : :l: : : :.l: : :i///// ＼　　　　 ＞　__ 　 ＜//i: :i: : : : l:.:i



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「一条家と若君の御威光をもちまして」



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜　　／／ ﾊ　　　　l　＿＿／ ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｊ　／／　　) ｌ　　　 {　 l_　-― '´'､
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 / / /　　　/ ∧　　　ヽ　ヽ　　　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 { /　　　　　l/　 `－- ､ヽ　 ヽ　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/′　　/ 　 l′　 　 　 l ヽ､__　` ニ　-‐
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 /　　　 ´￣　{　　　　　　ヾ　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 }　　　　　　,ｨ　　　/＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　 ／　　 　 /　　　 _,,..-へ___／○　｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｒl　　　　　　/ _,,..-''´　　　　　　￣`＞ -､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　__/.ｌ　　　　　 /'´　　　　　　　_,,..-‐''´
　　　　　　　　　　　　　　　　　/ヽ.７.　　　 　 ,'　　　　　,.-‐''´
　　　　　　　　　　　　　 　 　 /　　/　　　　　,'　　 _,.-''´
　　　　　　 　 　 　 　 _,. --＜　,-/　　　　　,' ,.-''´
　　　　 　 　 　 　 　 {-/ヲ 　 Y､__｀ ー- ､_/´
　　　　 　 　 　 　 　 `''ﾆ ､__,.ｲ　　 ｀　‐- ､｀ﾞヽ､　　　　　　　　　　 _,,..-‐ｧ'´_
　　　　　　　　　　　　 　 　 ノ　　　　　　　 ｀ﾞ`ｧ'　　　　　　_,,.. -‐''´　_／ ／
　　　　　　　 　 　 　 　 　 /　　　　　　　ｒ ,　/　　　,.-‐'''´　　　　　 _,.- '´__／
　　　　　　　 　 　 ,.-;;､___/-- ､　　　　　｀／＿__／　　　　　_,,..-＝-‐'"´
　　　　　 　 　 　 ｒ'ｊ ｒｧ''__　　　 ｀７て￣~　　　　　＿,,..-‐''´
　　　　　　　　　 ;''`'ﾉノ;;;;ﾉ／-‐''´　 ｀　ー―‐''"´
　　　　　　　　　 　 　 　 ´


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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｨ/////ﾊ__ -- ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／////////////ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ////////rﾍﾐr≦///,ﾊ　　　「ふん、そうか。入ってこい」
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 //////.／}　　　 7////,|
　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 /////／x'　　　　/j//// |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 //ｨ=,/ r= ､＼　 　}ﾘiⅥ//,|
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 //,八/ 　　ｒｯヽ_ 　 ム-iﾘ /ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　 　　　 ノ////　　　 　 　 :ｲrｧ=x }///
　 ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ィ///7/,i　ト　,　 　 _ :V　　,/／
　 :ｉ:ｉ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ﾘ/'ﾘ Ⅵﾟ｡　＼ ＞　_. ｰ　／
　 :i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:八 '　 ﾘ ﾊ 　　｀　 =一 ｲ'
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　 :i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:|　　　ィ ﾍ　　/:ｉ:i:i:i:i:i:i:i:＼
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　　　　　　　　　|: : : :.:.:|: :i| -‐ｧzﾐ､　 V: : : :| : :| : :::|:: : : : :!　　　　　　　　　「失礼いたします」
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　　　　　　　　　|: : :.|ｉ ﾍ : ﾄ.､ 　 　 　 　 V: | : :| : :::|: |: : : :|
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　　 　 　 　 ／: :／: : /: :/:|　　＼　　　 　 .ィ::|:|{:/: :∧
　 〈:.ゝ=-＜: :／: : :.:/: :/::::|　　　 ≧=-　 |: | :|:|〈: :/: :ゝ.,
　　 ー=ｧ: : :/: : : :::/: :/ :::├ -､ r――一ﾍ:|:::::| :V: : : :!::::::､
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　 　 : : : /: : ゝ. : ::|ﾆﾆﾆﾆニi}￣{i＜二>'′: : : : ／_:::::　'′
　　　 ゝ.＿: : : : ｨ弋＿＿ .イ 　 i!/7>' : : : :＞':､￣　　 ｀ヽ
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　　　　　　 ／ . . .:i :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. 　、
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.　　　　 ,' . . . : : : ∧.::.. .:::.: .: .:. :、 : .: .: .: .:.i
　　　　/. . . . : :_:ﾉ＿∨:..::::..　　.:ル.: .: .: .: . i
　　　 /　. . . : ｲ　　　 ∨:::::::....А‐i-、_..::...　l
.　　 λ　. . : :::k‐＝ミ、ゞ.::::::/ ,ｨ=＝rｧ::::..... し′
　 　 {:K　: . .:ん 辷:り　　＼:{　ﾋz.ぅ' / ::,:':: {
.　　　!l ﾞ、 ::弋ﾘヽ.　　 　　　ヽ　　　 l.:! ::/:..i
.　 　　|　.ゞ　.:::ヽ　＼_, 　 、 　 　 　 ﾘ::/::./
　　 　　　　ヽ:::ハ　 　　__　 __　　　ム:,:::::{
　　　 　　　　}7:::::＼　　　- 　 　, ｲ::,::'::::::.＼
　　　　　　 / .. ..:::::::::＞ 、_ , イ!!ﾘ::;::::ﾞ::, ::::　＼
　　　　　／　:: . .::::::j:}　}＾lV＾j二ﾗ::, .::.. ヽ::::...　ヽ
_, -≦￣　 ...:::＿!￣￣ヽr-<_,フ::::., ::::.∠＿:j::... '.,
　　....,:::rー ￣　 ｀y √ /L_.ｿ ., :::' ...イ:ﾉ　 　￣￣へ
-ー::':::::}　i　　　　.レ-イ　 .(.:::'　rそ:. く　　　　／　 り



　　　 　 　 　 　 　 　　＼ (　 ⌒＞'" :::／ :/::::::::／::::｀`::<／⌒　　> /
　　　　　　　　　　　　　　 ＼ ／ :::::::／ ::::/::::::::::::::::::::}:::::::::ヽ('⌒　／
　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /::::＿__( :::::::::{::::::/￣￣:::＼::::::::}＼／
　　　　　　　　　　 　 　 　 /／:::::::::::::＼::::{:::/⌒＼::::::::::::＼::}:::::::.
　　　 　 　　 　 　 　 　 　 /::::::::::::::::::⌒＼:::::／:::::::`､:::::::::::::＼ ::::}〉
　　　　　　　　　　　　 　 /::::::::::::::::/⌒＼::∨::::::⌒＼:::::::::::::::::::＼}＼､
　　　　 　 　 　 　 　 　 /:::::{ ::::::::/⌒｀｀｀´¨¨´｀｀｀⌒ヽ:::::::::::::::::::::＼ ＼､
　　　　　　　　　　　　 / ::::::{:::::::/　　　　　　　　　　　　 ヽ::::::::::＼::::::＼　O
　　　　 　 　 　 　 　 / ::::::: { ::: {／￣　　　　　　　￣￣＼}:::::::::::: ＼:::/
　　　　　　　　　　　/ :{:::::::::{ ::: {　＿　　　　　　　　 ＿ 　 }::::::::::}::::::::＼
　　　　 　 　 　 　 /:/ {::::/:人:ィ笊芋㍉　 　 　　ィ笊芋㍉} ::::::::}::::::::}⌒
　　　　　　　　 　 (:八 ∨:::::::::从 乂:':'ﾉ　 　 　　　∨;';'ﾉ　从:::::人::::/
　　　　　　　　　　 ＼.:/::::::::::::∧ ｀´´´　　　　　　 ｀｀｀´ /　}／:( ∨
　　　　 　 　 　 　 ／/／ ＼/::∧ 　 　　 　 `　　 　 　 /_,ノ}::::::::＼＿＿
　　　　　　　　　 /(ノ:::::::::::::::::/^个　　　ヽ　 　 ノ　　 ｲ　＼}:::::＼::::::::::::＜⌒
　 　 　 　 　 　 /:::::::::::::::::::／　　 　 ＞　　　　　　＜ (_　　人::::::: ＼￣￣:＼
　　　　　　　　/{:::/ ::::::::: /　　　　__|＼}. . ＞＜. . ／{ |＼ 　 ＼:::::::::＼:::::::::: ＼
　　　　 　 　 (( {八::::::::::::{　　　／　l.ニ＼_________／ニ|. 　＼ 　 ｀¨¨¨´＼::::::::::(
　　　　　　　　＼　＼ :::八　／　　∧ ニニ.〕|〔 ニニ.∧ 　　 ＼￣￣＼　｀¨¨⌒
　　　　　　　　　　　　＼:(⌒ 　 　/ニ＼＿_〕|〔＿_／ニ-_　　　 ＼　 　 ＼
　　　　　　　　　　　/　 /　　　　_-ニニニ/ニニニニニﾆ-_　　 　 ＼　 　 ＼
　　　　 　 　 　 　 /　 / 　 　　_-ニニニ∥(〇=ニニニニ=-_　　　　 ＼＿＿＼
.　　　 　 　 　 　 /　 /　　　　 _-ニニニ.{iニニニニニニニ=-_　　 　 　|　 ＼　 ＼
　　　　 　 　 　 /　 /　　　　　_-ニニニ }{ニニニニニニニニ-._ 　 　　 ＼　 ＼　 ＼
　 　 　 ──────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ┃
　　　　　　美鶴は、聖也の横の”しのぶ”に気づいたが、表面上には何もあらわさない

　　　　　　先ほどの半分ほどの距離まで近づき、再び膝をつき、指をついて深く辞儀をした。
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━───────────────


.

　　　　　　　　　 　 /: : :.:}　　ヾ＼ヾ_: : : :i
　　　 　 　 　 　 　 i: : :ﾉ/‐--、　二===: :.}_　　　　　　　　「商売のほうはどうだ？軌道に乗りそうか」
　　　 　 　 　 　 　 ﾘ: ﾊ ﾆ芸ﾐ }::: ゞ♀´ifヽ:i
　　　　　 　 　 　 　 ∨fi　￣ く 、 　 　.i|i)}:i
　　　　　　　　　　　　∨.i. ､_______ --ｲ .iｲ: i
　　　　　　　　　　　 　 }: i　ゝ三ﾆ＞´　i: : i
　　　　　　　　 　 　 　 i: :.ヽ 　ー-‐　 _ﾉ: :.i
　　　　　　　　　　　　 i: : : : ＞　_　＜i: : : i ヽ　__ -‐‐--
　　　　　　　　　　　　 i: : : i∧__ - ≦: : : / 王三 三三三∧
　　　　　　　　　 ______.i: : :.i/f￣∨/: : ／ 王三/三三三三ﾊ
　　　　　＞≦三三三.∨:.i/| 　 ///´三王三/三三三三三 }
　　　　 /三三三三王ﾆ 从〉-f///三 王三/三三三三三三i
　　　　 |三三三三王∨//i.　ii// 三王 ﾆ/三三三三三三 ﾉ
　　　　 |三三 三 王 ///i　　ﾚ三三王ﾆ/三三三三三三 /
　　　／三三三三王}//i　　/三三王 r‐ー-x三三三三 /
　　　}三三三 三 王}//i　 /三三王ﾆf￣ ﾆ-､三三三三 }
　　　 〉三三三三王 }/i　/三三王_ }-‐ゝ-､¨´ 三 三 三ｆ
.　　 /三､三三三王ﾆ}.i /三三王ﾆ}___rﾆﾆ二三三三三/
　　∧三 ヽ 三 三 王 ﾚ三三王三ｆ--‐ーゝｲ三 三 三/
.　 i三三三ヽ､三三三三三三＞≦三三三三三三三/
　 i三三＞´ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆｘ≦三三三三三三三三 /
　 i＞＜ 三三＝＝＝≦三三三三三三 三 三 三 /
　ｆ　　　　｀￣|/}三三三三三三三三三三三三三/
　i　　　 　 　 |/}三三三三三三三三三三 三 三/



　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 _,,,-　　　　　　　　　　　ヽ、
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／""　　　　　　　　　　　　　　＼、　　　　　　　　　 「予期せぬトラブルもございましたが、
　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /::　　　　　　 　 ::...　　　::..　 　　　ヾ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::.. 　　　　 　 　 ::::::.　　::::::...　　 　 ::`、　　　　　　　　　 一条家の御威光、この地にも届きおりまして
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::;,、:::::　　　　　　　　::::::::.. 　 :::::::: 　　　::::`、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::::ハ:;;;::;;;_ヾ-;、............. 　.::::::..　　::::: 　　　.::::::`、　　　　　　　　　　おおむね順調かと」
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 /::::/i!ｲ`ヾ;;`rー,,_ ヽ、:::::...　::::::::　　:::　　　 ..::..::::`、
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 !::/ i;: ト　ヾ"i;;冫 ﾉ　ヾ;;;::::　:::::::::　　　　　　　::; 　::`、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　;i'　　ゞｿ　 　ヾ''`　　　ヾ;;;;;:::.....::::..　　　　　　 ;::　 ::::`、
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 :;　　ノ　　　　 　　 　 　.ヾ:::.:::::::;;:::::.　　 :.　　 ::.　　 :::`、
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 :::i　 ヽ、　　　　　 　　　 　冫::ハ..:::::::..　 ::...　;;:::　　　:;;！
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 i;;　 　 !、　 　 　　　　　　;;:::;/ `ハ :::::::　 ;;::::;;　　 ....::;;ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　::. 　 　::t=--　　 　　　...::::::/　/::`ヽ::::ﾉ　　く　　.:::::／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　:::　　　:::i"　　　　　　　"""　/::::　 ヾ/　　　::::ノ:／
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 `　　:::　!　　　　 　　　　　.:::::::/...　　　.....::::::y:/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　::　　`ー--、,,.::::.:.::／::::::/:::::::::::::::...:::::::::::/
　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 :::; 　　____,,,-"／...:::::::::"...:::::::::::::::;;;;;;;;;;;;;;::;;;、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞﾞﾞ;;　|　`"　/,,-::::::.::::::::::::::: ::;;／￣i!ｿ:::::!....ヾ、
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 メ　ヾ_,,;;;'''´::::::::::::::::::::::::／"　　　ヾ;;::::::::'''ｿ
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 i|!`i:::::::::::::::::::::::::::／"　　　　　,,__》;;;;;;;く、
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ﾉ::ﾐ;;;::::::::::::::::::／"　　　　ｒ-／-、....`i　＼


.

　　　　 州州州i州州州州州州州州州}
　　　　州 州州 州州州州州州州州州}　　　　　　　　　「ハン、よくいう。
　　　　i ii　州 ヾ州i州i州i州i州i州i州iⅣ
　　　　i ﾘ　川　 ヾ州 ゞ州州州州州iⅣ　　　　　　　　　　 まぁなんにせよ順調なのはなによりだ」
　　　　　　　ﾘi　　 ＼ -‐ゞヾ州州/⌒iil}
≧ｘ__　::: :::　､-‐二___ ===ｧヾ　ilii -xﾊ/
////∧: :::: :　　x汽:::ﾟ㌻_ﾉ　　　ili___7 〉
///// {　　　　　｀￣￣´　　　　ili　//
/////∧　　 　 　 　 　 　 　 　 ili_//
////// |　　　　　　　　　　　　 ii _/i}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「ときに美鶴嬢、こっちの女は”しのぶ”というものだ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　まぁ何かの縁があればよくしてやってくれ」
　　＿＿.　 　 　 　 /⌒＞''"~~~~~"'＜⌒ヽ
　　|＿__|　　　　 　 |／::／⌒ヽ::／::⌒:＼ |
　|￣￣￣|　 　 　 /::/.:::::/⌒｀｀｀⌒ヽ::::::::::
　 二二二.　 　 　 |:::|:::|:::|⌒　　　 ⌒|:::|::::|:::
　 |＿＿　 |　　　 ∧:::::|从＿　 　 ＿从|::::| :::〉
　 ＿＿|　 |　　　 {::::::从x==ミ　　 x==ミ::从:/
　 |＿＿＿|　　 　 ∨(:.　　　　 `　　　　 }:| )
　　　＿_.　 　 　 　 |::::∧　　　r‐┐ 　　∧〈
　　　|　 |　 　 　 　 |::::::込　 　 ー　　　.:|::::::|
　　　|＿|.　　　　　人::::∨_＞　 __　＜_ 从:ﾉ
　　　　　　　　　　　　＞ |ニニ| | |ニニ|＜
　　　　　　　　　　／ /　 ＼==| | |==／　　＼
　　　　　　　　　/ 　/　　|-=ﾆフニニ=- |　　| ＼
　　 　 　 　 　 /|　/|　　 |-=ﾆ＼O二=- |　　|＼∧
　　　　　　　 /| |.//|　　 |-=ﾆﾆ lﾆﾆﾆ=-|　　|　 /∧
.　　　　　　 //|./　｜ 　 |-=ﾆﾆ lﾆﾆﾆ=-|　　| 　//∧
　　　　　　/ l /　　 |　　 |-=ﾆﾆ lﾆﾆﾆ=-|　　|　　 / ∧


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　'´:::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/.::::::::::::::::::::ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄ､::::::::::::::::::::::::i　　　　　　　　「はっ、かしこまりました」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 八ｒj::::::::::::::::::.八
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｿﾄ､:::::::|:ヽ:::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〉j::::ヽミﾄ､`ｰ､::::::ﾐ::､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（ｲノi::::ト､::::ヾ::::ヽ:::::::ヾｰ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}彡ｒ'´￣}::::i}:::::::ヽ i:::::::ヾ`}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {ミ ﾉ　　J::::::::::::::::） ヾ.:::::::::し
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾃ（__ｰ=ｲ人:::::::::::::::::::::::::::::ト､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　f￣￣i}　 `ト､::::::::::::::::::{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Ｌ二二i　　 /）::::::::::::::::ﾐ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾑ 　　 |ｰ‐-{（::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / .〉-　 }￣　.｝ﾘ:::::::::/::::::::::（＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i /.　　/‐---.ﾄiﾊｿY:::::::::::j´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / 　　 {.;;;;;;;;;;;ヾ　　 }::::::::ﾘし　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　〉;;;;;;;;;;;;;}　ノｿイ´

.

　　　　　 　 　 　 ＿　　　　　＿
　　　　　　　,　-─ゝ ｀ヽr'´　 　 ｀＞
　　　　　∠　　 -─- ミ 　 二　´￣　＞
　　　　, '　　 ﾆ-‐ r─ ﾐ　 -‐　　　　､＼
　　　/　／　　　　|　r;ﾆV三､ ヽ ヽ.　 l　 ＼
.　　 l　/　　　　　　 :|　　　　 |　 　 l　 |　ヾ`
　　│　 　 /　 　 l　|　　　　 :|. ﾄi　　　　　|　　　　　　　「”しのぶ”よ、こっちは美鶴嬢。
　　│　　 /　/　,１ L_　　　　:!│l　ﾄ、ヾ　|
.　　 !　!　　 /　/ ﾚ'　 ｀ヽ　　 ゝ!´ヽ! ＼ ､|　　　　　　　　　覚えておいて損はない相手だぞ」
.　　 |　|　　　ノヾ､二raﾆ　　 （'ra二フ"ﾚ′
　 　 |　 _,､イ|　　　 　 　 　 　 `ｰ-;　　:|
　　　|　 ヾﾆ|:|　　　　 　 　 　 -　/　　 |
　　　|　|　|　 |　　ヽｰ----------‐ｧ :|
　 　 |　|　 |　 |　　　` ｰ-------‐´　 ﾄ
.　　 |　l／ヽ.　ヽ　　　　　ー一　　　 / |
　　_レ':::;;;;;;;;ﾄ､　l.＼ 　 　 　 　 　 ,.ｲ , l
￣:::::::::::;;;;;;;;;;| ヽ. l l　ヽ､..＿＿.／/ |ﾙ^::ｰ-
:::::::::::;;;;;;;;;;;;;;;;|.　 ＼! 　 　 　 　 , '　:|;;;;;::::::::::
::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|　　　 ＼　　　／　　:|;;;;;;;;;:::::::



　　　　　　　 　 　 　 |o〈＾ ／.:.:.:.|.:.:.:.:.:|.:.:.:.:.: ／￣￣￣ :＼:＼０｜
　　　　　　　 　 　 　 |.O∨'"￣￣￣￣＼／.:.:.＼.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼:＼|
　　　　　　　　　　　　＼/ :./.:.:.:.:.:.:.:/￣＼.:. ／￣＼.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼:＼
　 　 　 　 　 　 　 　 |￣ :./.:.:.:.:.:.:.:/⌒ヽ'⌒｀｀⌒´⌒＼.:.:.:.:＼.:.:.:.＼.:.
　 　 　 　 　 　 　 　 |.:.:.:.:'.:.:.:.:.:.:.:/／⌒　 　 　 　 　 　 `､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
　 　 　 　 　 　 　 　 |.:.:.:.| .:.:.:.|.:/ 　 　 　 　 　 　 　 　 　 '.:| .:.:.:.|.:.:.:.:|.`､
　　　　　　　　　 　 /|:.:.:.:| .:.:.:.|.:　　　　　　　　　 　 　 　 　'| .:.:.:.|.:.:.:.:|.:.:.:..
　　　　　　 　 　 　 | |:.:.:.:.:.:.:.:.:|:　 　 ＿_　 　　　　 ´´￣￣~"''.:.:|.:.:.:.:| .:.: i
　　　　　　 　 　 　 |/.:.:.:.:.:.:.:.八-''"´ 　 　 　 　 　 　 　　　/.:.／|.:.:.::.| .:.: |
　　　　　　 　 　 　 |.:.:.:.:.:.:.:|.:(.:.:＼　　　　　　　　　　xXううミx,　|.:.:.:.:| .: /
　　　　　　 　 　 　 |.:.:.:| .:.:.|＼.:ｘXううミx. 　 　 　 〃f';';';';';';' } Yj.:.:.:.八/
　　　　　　 　 　 　 |.:.:.:| .:.:.|　〃f ';';';';'; ﾊ　　　　　　 乂';';';';ノ　/.:／.:|
　　　　　　　 　 　 人 .:|.:.:.∧八 乂';';';';'ノ 　 　 　 　 　､､､､ ''　／l .:.:.|　　　　　　　　　　 「まぁ、そうですか。
　　　　　　　　　　　　＼.:.:.:.∧ 　 ､､､､　''"　 　,;; 　　　　　　　　 八 .:|
　　　　　　　　　　　　　　 T⌒::..　　　　　　　　 ､:　 　 　　　　　/.:|.:.八　　　　　　　　　　　　はじめまして、しのぶです。
　　　　　　　 　 　 　 　 　 |.:|.:.:.:.:､　　　　　 ＿　　 　ノ 　 　　..:|.:.:|.:.:.:.:.:.
　　　　　　　　　　　 　 　 ﾉ.:|.:.:.:|.:.＼ 　 　 　 　 こ::: ´ 　　 ／.:.|.:.:|.:.:.|.:.:.i　　　　　　　　　　　　宜しくお願いしますね」
　　　　　　　　　 　 　 　 .:.:.:.:.:.:.:|.:.:| 个 　 　　　 　 　 　 ／　|　|.:.:|.:.:.|.:.:.|
　　　　　　　　　　　　　_{.:.:.:.:.:.:.:|.:/- |- _ ﾆ-　 .,＿,.. -ﾆ　_ -|-:|.:.:.: /|.:./
　　　　　　　 　 _.､-''"/人(＼.:.:.＼ .人ニニ-　_　　 _ 　-=二|.ノ.:／.:／_
　　　　 　 　 ／ ／( /　　 ＼ ＼(⌒|ﾆ＼ニニﾆ|　|　|ニニ ／ニ|　　＼　｀`～､、


.

.　　　 　 　 |:::ｌ:::::: |::::::::{　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 |::::|::|:::: |
　 　 　 　 ハ::|:::::: |::|::: |-‐=＝ミ　　　　 　 宀＝=‐-|::::|::l::::::|
.　　　　　」f入l:::::: |::|::: |　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 |::::l::{::::::|
　　 　 　 )r{ f'l:::::: |::|::/x≠宀ﾐx､　　　 　　,x≠宀ﾐxl::::::::::::: |
.　　 　 　j ,ﾊ　',:::::::::从 fxixixixiド^　　　　 ^fxixixix}从:::::/}:: l
.　 　 　 //　ヽﾊ::::::/从乂ixixiノ　　　　　　 乂xixノ　/V　j::/
　　　　f_j　 　 }::::V:{ヽ　 ｀¨¨　　 　 :::　 　 　　¨¨´ /:l:ﾊ

　 　 　 ───━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ┃
　　　　　　　しのぶは、美鶴の目をじっと見つめる

　　　　　　　何かを見定めるようなまなざしだ。
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━───


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「桐条美鶴と申します。どうぞよしなに」


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::;,、:::::　　　　　　　　::::::::.. 　 :::::::: 　　　::::`、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::::ハ:;;;::;;;_ヾ-;、............. 　.::::::..　　::::: 　　　.::::::`、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　./::::/i!ｲ`ヾ;;`rー,,_ ヽ、:::::...　::::::::　　:::　　　 ..::..::::`、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.!::/ i;: ト　ヾ"i;;冫 ﾉ　ヾ;;;::::　:::::::::　　　　　　　::; 　::`、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　;i'　　ゞｿ　 　ヾ''`　　　ヾ;;;;;:::.....::::..　　　　　　 ;::　 ::::`、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ..:;　　ノ　　　　 　　 　 　.ヾ:::.:::::::;;:::::.　　 :.　　 ::.　　 :::`、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 :::i　 ヽ、　　　　　 　　　 　冫::ハ..:::::::..　 ::...　;;:::　　　:;;！
　 　 　 ───━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ┃
　　　　　　　”しのぶ”の視線の意味は分からないが

　　　　　　　そんなことで美鶴がひるむわけもなかった。
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━───

.

　　　　「桐条さんは、比津府の町の人間ですか？」



　　　　 　 /::::|:::::::/:::::::::/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼:::::::::::::::＼
　 　 　 　 .::::::|::::::::::::::::/　　　＿＿　　　　　　　＿＿＿　　 　 |:::::::|:::::::::::::.
　　　　　 |:::::::|::::::|::::::〈 　 ／　　 　　 　 　 　 　 　 　 　 ＼　　|:::::::|::::::::::::::〉
　　　　　 |:::::::|::::::|::::::::|／　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ＼/ .:::/ .:::::::::/
　　　　　 |:::::::|::::::|::::::::|　　-‐…‐-　　　　　　　　 -‐…‐-　ノ:/::/:::::::/::/ |
　　　　　 |:::::::|::::::|::::::::| ,,.xf竺竺ミk　　　　　　　 y竺竺ミkx,.7::/:::::::/::/::::|
　　　　　 |:::::::|::::::| :::: 〈 〃´｀｀｀｀⌒　　　　　　　⌒｀｀｀｀`㍉ｼ/:::::::/:::::::::/
.　　　 　 八::::|::::::|:::::::::::.　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ノ::/::::::::::::::::::::(
　 　 　 /:::::::::::／从::::::::}　　　　　　　　`〈　　　　　　　　　　⌒7:::::::::／⌒
　　 　 ⌒7:／　∨:::＼N　　　　　　　　＾　 ＾　　　　　　　　　 / )::／
　　　 　 /　　　/|::::::::::::.　　 　 　 　 - ‐……‐ - 　 　 　　　/::::∧
　　　　　　 　 / :|:::::::::::::::.　　　 　 　 ∨￣￣∨ 　 　 　 　 ..::: / ::::.
　　　　　　　 .::::::|:::::::::::::::| :､ 　 　 　 　 ､:⌒:ノ　　　　　　. :|:::/ ::::::::.
　 　 　 　 　 { :::::::::::::::::::::| 　＼　　 　 　 ｀¨´　　 　 　 ／　|.:::::::::::::::}
　　　　　　　八:::: ∧ :::::::| ／|: : : . .　　　　　　　　. . : :|＼.从::::::::: 八
　　　　　 　 　 ＼(　＼ ∧＼|_: : : : :.＞----＜: : : :.__:|／|　 ):::／
　　 　 　 　 　 　 　 　 　 |ニニ- _　 …‐┬‐…　 _　　-= |　／
　　 　 　 　 　 /￣￣＼/|ニニニニニ||　|　||ニニニニニ|/￣￣＼


　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　r‐--　、＿__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , .:´i　　 　 　 　 ￣｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／ . . .:i :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. 　、
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,:′. . : : i :::..　 .: .: .: .: .: .: .: .: :..':.,
　　　　　　　　　　　　.　　　　 ,' . . . : : : ∧.::.. .:::.: .: .:. :、 : .: .: .: .:.i
　　　　　　　　　　　　　　　　/. . . . : :_:ﾉ＿∨:..::::..　　.:ル.: .: .: .: . i
　　　　　　　　　　　　　　　 /　. . . : ｲ　　　 ∨:::::::....А‐i-、_..::...　l　　　　　　　　　 （比津府の町……？
　　　　　　　　　　　　.　　 λ　. . : :::k‐＝ミ、ゞ.::::::/ ,ｨ=＝rｧ::::..... し′
　　　　　　　　　　　　　　　{:K　: . .:ん 辷:り　　＼:{　ﾋz.ぅ' / ::,:':: {　　　　　　　　　　 　VIP市あたりは市制で改まるまではそう呼ばれていたと、
　　　　　　　　　　　　.　　　!l ﾞ、 ::弋ﾘヽ.　　 　　　ヽ　　　 l.:! ::/:..i
　　　　　　　　　　　　.　 　　|　.ゞ　.:::ヽ　＼_, 　 、 　 　 　 ﾘ::/::./　　　　　　　　　　　　　たしか比津筆がそう言っていたか）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ:::ハ　 　　__　 __　　　ム:,:::::{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }7:::::＼　　　- 　 　, ｲ::,::'::::::.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / .. ..:::::::::＞ 、_ , イ!!ﾘ::;::::ﾞ::, ::::　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　:: . .::::::j:}　}＾lV＾j二ﾗ::, .::.. ヽ::::...　ヽ
　　　　　　　　　　　　_, -≦￣　 ...:::＿!￣￣ヽr-<_,フ::::., ::::.∠＿:j::... '.,
　　　　　　　　　　　　　　....,:::rー ￣　 ｀y √ /L_.ｿ ., :::' ...イ:ﾉ　 　￣￣へ
　　　　　　　　　　　　-ー::':::::}　i　　　　.レ-イ　 .(.:::'　rそ:. く　　　　／　 り


.

　　　　　　「いえ、私はこのVIP市には職務で来ておりますので、地縁はございません」



　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 . : : : :￣￣￣: : : .
　　　　　　　　　　　　　 　 ／: : : : : : : : : : : : : : : : :＼
　　 　 　 　 　 　 　 　 　 / : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .
　　　　　　 　 　 　 　 　 ′: : i|: : : : / : : : : : : : : : : : : : : .
　　　　　　　 　 　 　 　 ;:　: : :i|: : :.λ: : : : : : :|i: : : : : : : : :
　　　　 　 　 　 　 　 　 |: : : : i|: : /　ヽ: : : : :.:.|i: : : : .:.:|i : :|
　　　　　　　 /　　　　　| : : :ﾍ|: : |─ -ヾ＼: : .|i: : : : .:.:|i : :|
.　　　　　　 /ゝ　　 　 丿: :《.{ｉl: : 杙ソヽ　＼ .:}i､ : : : : |i: : |
.　 　 　 　 〈: : :　:￣: : : : : : ゞ|: : ﾄ　 　 　 　 } ﾘ i: :,! : .:|ｉ: :′
　　　　 〈　 ＞=-: : : : : : : : ）圦.､|　 　 　 　 ﾚ1 | /: : /1/
　　　　　＞=-: : .:＿ :ノ :／ /　|､　 　 　 　 '　　,!′ｨ′!
　　　 ／ : :.:／: : : : : :／ .ィ　 ∧ ＼　 ‐ =　　／: :ﾚ1: :ﾉ
　　 / ／ ／: :, -一 : : : : .:.:／　 ＼ 丶 ＿ ィ}: : : :|! ゝ､
. 　/: :i ／: : / : : : : .::.-=ﾆ　｀ヽ ／ ￣｀ヽ.ィ ¨｀ヽ ﾘヽ: :＼
　〈: :／: : : : : .:.:.-=ﾆ　　　　　　 〉＿ ｀ヽ }i|}　 　 i}: :∧／ ヽ
.　 }'´: : : : : .:.:.i{¨｀ヽ　／　　　　｀ヽ r‐=ｧ´|ﾄ､─=i} / /: : : : 〉
　/: : .:／: : : : |　　　＼　　 　 　 　 >'´ ￣ﾘ i}丶_ﾘ.／: :/ ／､
./: : .:/: : : : : : |　　　　 ＼_　　 ,､　《.　　 λ　》 .／ : : /'´　　丶



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／O O＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　_ 　 -‐…‐-ミ⌒i o|
　　　 　 　 　 　 　 　 　 ...:::::::::::::::::::::::::＿＿:::｀丶 |
　 　 　 　 　 ＿＿＿／:::::{ :::::::::::::::／::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　| O __...:::::::::::人::::::::／ :::::''"~~~"'':::::::::::::::＼
　　　　　　　|O |:/:::::::＿＿_＼/::::/ ::::::::::::￣＼::::::::::::::::::ヽ　　　　　　　　　　「そうでしたか。失礼しました」
　　　　 　 　 ＼/／:::::::::|::::⌒:::＞'''"｀｀~⌒＼::::＼:::::::::::::::::.
　　　　　　　 _／ ::/ :::::::|::／´　 　 　 　 　 　 ＼|::::::::::::::::::.:|
　　　　 　 　 |:::::::::::::::::::::|'　　　　　　　　 　　＿_:|:::|:::::::::::::: |
　　　　 　 　 |:::::::| :::::::::::|　　　　　　　　　／　　 |:::|::::: |:::::: |
　　　　 　 　 |:::::::| :::::::::::|　　＿　　　　　　　　　_|从::::∧:: ∧
　　　　 　 　 |:::::::| :::::::::::|:.／　　　　　　 　　 ／,,....,,∨　∨:: i
　　　　　　　 ＼ :| :::::::::::::::.　 　＿_　　　　　 y''"⌒＾　　 |::::::|
　　　　　　　　　|:| :::::::::::::::::.／ ,,......_　　　　　　　　 　 　 |::::::|
　　　　　　　　　|:| ::::::::::::::＼:y'"⌒´　 　 ､　　　 　 　 　 |:::从
　 　 　 　 　 　 八∧:::::::人 ''　　　　　　　　　　　　　　　.::::: |::＼
　　　　　　　　　　　 ∨　|::::...　　　　　 　 ｉ⌒ｉ　ノ　　　.:::|:::::|::::::::＼
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　　　　　　　　　　　　| ::::|:::::::::|　　|-|＞/　 /- ＜　／　ﾉ|:::::: /
　　　　 　 　 　 　 　 八从 ::::::|　　|-= /　／⌒＼_　 -=ﾆ|::／
　　　　　　　　　　 　 　 ＼::::从　 ,|- /　　　￣￣） -=ﾆﾆ|￣￣＼


.

　　　　　　　　「”しのぶ”女史は、この町の方で？」


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,.....-―-....､.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／:.:.:.:.:.:.:.:`ヽ:.:.:.:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∧:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:.:.:ﾊ:.:.:.:.:、:.:.:.:ヽ:.:.:.:.:.:.:ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:.:!:.:Ｌ_＼＼＼:.:.:.:i:.:i:.:.:.:.:.:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:.:.|:.|「,ｨ_=ﾐヽヽ:＼:|:.:ﾚ^V:./
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:.∧ﾄ`ゞ^　 ）ハ:.:.|:.:|ﾋ}.〉:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:.| { ! ヽ　 j、　　}:!:..レ':.:.:!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:.|　人　　_ _ 　.ﾉ:.:.:|:.:.:.:.人
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ!　　 ＼　ｰ　'イ:.:.|:.:.:.:..:.|:.:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼_　{:.:〕ｰ＜ :.:.:.ﾄ､:.:.:.:.|:.:.:.:.:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　冫[><＿_j:./_ﾉ:.:.:.:.「￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r‐‐／:.:-〈_{､:.:.:j/／:.:.:.:./＼ ＼＼＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 レ:.:.:.:.:.:.:.ハ:.:./:.:.:.:.:.:.:.:/　　|　　| .|　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　（{,. ＜＿＿_／|:.:.|〈:.:.:＼:_／　 　 | 　 | .|　|＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　／:.:／／j__厂}{:.＼:.:.:.＼{　 　 |　　| .|　ヽ＿フ
　　　　　　　　　　　　　　　　　/／厂ヽ-'´／　　／　　￣＼:.:.:.:.￣}　|＿_.|_.|＿ﾉ_ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,.r' ／／　　／　　/　　L_:.:＼/／＿__￣　二 }
　　　　　　　　　　　　.　　　 　　／／ /　　 /　　　　　　　　}〉ヽ〉ヽ{{＿_ 　 ├　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　{　　{　　 {　　　　i 　　r':.:.:.:〉　|､＿__）・ Ｌ__ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　i　　i　　 i　　　 　 　 人:.:.:{　　|_／／￣￣￣ﾄ、
　　　　　　　　　　　　..　 　　　八　　　　　　　　　　　　　　　`〈｀ヽ　ヒ「　　　　　 「:.＼



　　　　　　　　　　 　 　 　　 　 　 　 　 　/＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /o/o|
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /o/ lo|　　　＿＿＿＿＿
　　　　 　 　 ＿＿＿＿＿_　 　 　　 /o//＞''".:::::::::.::::::::::::::::::::::::: ＼
　　　　　　　[Ｏﾆニニニﾆﾆ=- _　　 |o／:::::::::::::::::／￣￣::::＼:::::::::::::＼　　　　　　　　　　　　 「ええ。
　　　　　　　 (○ Ｌ￣￣￣ ＼ﾆ＼ ／:------／::::::／:::::::／:::＼／￣￣:＼
　　　　　　　　(＿O＼￣￣￣ ＼ /::::::::::::::::／ :::::: / ::::::::/::::::::::::::|／:::::::＼::::＼　　　　　　　　　　といっても”鳥も翔らぬ深山の谷”の
　　　　　　　 　 　 (O（￣￣￣￣/::＼::::::::/:::::::::::::::| :::::::/:/⌒^⌒⌒＼::::::::::::::::::＼
　　　 　 　 　 　 　 (_o ＼＿＿∥::::::::::＼::::::::::::|::::::|::::::/:/　　　　 　 　　:::::::|:::::::::::::＼　　　　　　　 ものですが」
　　　　　　　　　　　　( ○＼＿:|:::＼ ::::::: |::::::::::|:::::::::::/／￣￣　 　 　　 |:::::|::::::::|:::::)⌒
　　　　　　　　　　　　 ｀⌒＞匕|:::::::::＼ : |::::::::::|::::::: /::|　　　　　　　　＼|:::::|::::::人:/
　　　　　　　　　　　　　　 (O)/ |:::＼ ::::::: |::::::::::|::::::/ 斗ｬ＝ミk　　 =ミ　八:::::::/⌒
　　　　　　　　　　　　　　 (O)/ |:::::::::＼ : |::::::::::|::::::代∨;';'ﾘ 　 　　 ﾋﾃＹ::::::::::〈
　　　　　　　　　　　　　　 (O) 八:::: /⌒＼ :::::::::＼(　 ´＾＾¨´　 　 　 ┐|::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　//／　 ､::{〈⌒)八::::::::::::(　　 　 　 　 　 　 　 从::::::::::::::: ＼
　　　　　　　 　 　 　 　 //　　　　 ＼＼_)　＼:::::::::＼＿　　　-　　 ﾌ /　 )::∧:::::::::::::)
.　　　　　　 　 　 　 　 //　　　　　 ﾉ个 -- (　)::::::::::::::::::::)　 　 ｀¨¨( ＼ /:/　 〉:::::／
　　　 　 　 　 　　 　 (_/　　　　　 (_/　　＼::У::::::::::::::／　　　　　 /＼ ＼ ／⌒´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(___彡::/::::::／ー------ く＿__＼ ＼＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 うT爪:::／----=ﾆＬ_　　(＿＿＿＿＿ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣／￣|￣＼=----L　 (＿＿＿＿_　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ＿／　 ／　　 /　　 | ＼ニニ||　　 (＿＿＿　 ＼　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　 　 ／ 　 　 /　　　]　 | ﾏﾆ.八　 　 　 ＼ 　 ＼ 　 　|
＿＿＿＿＿　 　 　 　 　　__／　　／　 　 　 / 　 　 〕 　|　∨.○＼____　 人 　　{ 　 　|
( )二○ニニニニ- _　 　 /　/　／　　 　 　 /　　　　〕　｜　〈ﾆ-_ﾆﾆ- ＼ 　|＼　＼　/＼＿＿＿＿＿＿＿＿＿_
ニニニニニニニニニ- / ／／　 　 　　 ／　　　　 /　 /　　∨ニ-_ﾆニ-＼|人＼　 [￣ ＼⊂⊃（⌒）ﾆO(⌒)ﾆ /
　 |　 |　 　 ∨　-ﾆＯ／　／　　　　　 ／|　　　　　/　 /｜　　∨ニ-＼ニニ＼ ＼＼_〕＿___）￣|￣／￣/￣￣/
＼|　 |＿＿∧_____／　／　　　　　 ／　｜　 　 ／　 /　∧　　 ∨ニニ-_ ニニ∨ ＼＿＿_∧＿／　　 /　／ /
／|￣| ＼_/ 　 ／　／　　　　　 ／　　　　　 ／　 ／　//∧　　 ∨ニニﾆ}ニニ_∨ニニニニニ〉/＼ _/__/_／
　 ＼　　 /__／　／＿＿＿__.／　　 　 　 ／　 ／ 　 　 //∧　　 ∨ニニ.}○ニﾆ}ニニ○ニﾆ/＼／ ＼.／
　　　＼__／　／　　　　　 ／　　　　　 ／　 ／　　　　　　/ ∧　　 ∨ニ /ニニﾆ八ニニニ=/ ○ ＼／ ＼＿＿


.

　　　（妙に芝居がかった物言いだな）


　　　　　　　（どうも少し変わった人のようだが……さて、この御仁、若君とどのような）


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::;,、:::::　　　　　　　　::::::::.. 　 :::::::: 　　　::::`、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::ハ:;;;::;;;_ヾ-;、............. 　.::::::..　　::::: 　　　.::::::`、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ./::::/i!ｲ`ヾ;;`rー,,_ ヽ、:::::...　::::::::　　:::　　　 ..::..::::`、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .!::/ i;: ト　ヾ"i;;冫 ﾉ　ヾ;;;::::　:::::::::　　　　　　　::; 　::`、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ;i'　　ゞｿ　 　ヾ''`　　　ヾ;;;;;:::.....::::..　　　　　　 ;::　 ::::`、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..:;　　ノ　　　　 　　 　 　.ヾ:::.:::::::;;:::::.　　 :.　　 ::.　　 :::`、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:::i　 ヽ、　　　　　 　　　 　冫::ハ..:::::::..　 ::...　;;:::　　　:;;！
─────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────
　　　　　　　　　 ＼⌒＼＿／＿.∥＼￣￣ ::::::::::::::|:::::::::::::::::: /^ 　 　 　　 　 }＼:::|＼
　　　　　　　　　　　＼<>＼__/　 .::::::::::＼ :::::::::::::::::::|::::::::::::::::::: 　 ／　　　　　 }ｉ:::::::|:::::|
　　　　　　　　　　　　 `＜ oしへ.|: ＼:::::::＼:::::::::::::::|:::::| ::: |:::::|／　　　 　 　 ∥|::::::::ﾊ|
　　　　　　　　　　　　　　　`'＜o |::::::: ＼:::::::: ――:|:::::|::|:::|:::::|　／⌒　　　　ﾊ |从/
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 八:::＼::: ＼ :::::::::::: |:::::|::|::::: Ｎ/　,..=ミ　　　 [;;}::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ゝ∧:::::::＼:::::::::::＿_:|::从:::::::/　 ｨｆ;;;;;;;;}　　　　＼::::::::..
　　　　　　　　　　　　　　　　　(( ∨|＼::::::::::::/ '⌒八[:::＼/　^Y乂:::ノ^ 　 　　 ｲ:::::::::}
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　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　,..:::::::￣｀´:::::::::::::｀::..､
　　　　　　　　　　　　 　 　 ／::::::::::::::::::::::::;:::::::::::::::::::＼
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 /::::::::::::::::::::ヽ:::/:::::::::::::::::::::::::ヽ　　　　　　　　　　　　　 「特にどうという関係があるわけでもない女だ。
　　　　　　　　　　　 　 　 '::::::::::::::::::::::へ::::ハ::::::::::::::::::::::::',
　　　　　 　 　 　 　 　 　 l::::::::;:::::::::;:::l＿V＿!::::i:::::l:::::::::::::i　　　　　　　　　　　　　　　美鶴嬢がさほどに改まることもないぞ」
　　 　 　 　 　 　 　 　 　 l::::::/:::::::::;:::j　　　　V::l::::::!::::::::::::!
　　　　　 　 　 　 　 　 　 l:::/:::::::::/::/ 　 　 　 Vlヽ::ﾄ､:::::::〉
　　　　　　　　　　　 　 　 V::::::／／￣ ‐ 、　／ゝ__ヽ::::/
　　　　　　　　　　 　 　 　 V/ ':!　ー‐ｔﾃ- 　.{　'"`’ .!::!
　　　　　　　　　　　　　　　l:ヽ　!　　　　　　　',　　　 ｌ::l　　　　　　　　　　　　　　　　　､.ハ
　　　　　　　　　　　　　 　 l:l::::｀:l　　　　　　　 ヽ　　.ｌ::l　　　　　　　　　　　　 　 　 ,.､{　'.　'
　　　　　　　　　　　　　　 ,:::!::::::::,　　 ＿＿＿_ ´ 　 ;:::|　　　　　　　　　　　　　 , 、{. ヽ､ '.　'
　　　　　　　　　　　　 　 /:::|::::::::::, 　 ヽ ＿＿ ノ　./::::l　　　　　　　　　　　　　 {　' ヽ. ',ｉ　i　}
　　　　　　　　　＿　　-―'"!:::::::::l＞ 、 　 　 　 ／::::::ｌﾆ＞ ._　　　　　　　　　　 '　'　l　 !　! .!
　　　　　 /二ニニニニニニ!::i::::::!＼　＞ 　_／,.!::::::::lニニニニ=-＿　　　　　　.}　',!l　 ',　' l
.　　　　 /ニニニ二二二/ニl::l::::::!　 >ｰ--＜　 l::::::::;ニニニニニニニﾆ‐＿　　,l　 l '　　　. !
　　　　/ﾆ,ニ二二二二/ﾆニ';:l::::::! ////ﾊ　 　 l::::/ｿニﾆﾆ!ニニニニニニニ／;'　　 　 ;　'/
　　　 /ニlﾆニニ二二/ﾆニニヾ::::l'V////.l 　 /!//ニニニｌニニニニニニ／ '　　　/　　 '
. 　 ,.ｲﾆﾆｌﾆﾆニニニ/ﾆﾆニ二/ヾl. V///　!. /　/ニニニﾆ!二二ニニﾆﾆ/.'　　　　　　/
　　lﾆﾆニ!ﾆニニ二/ﾆﾆ二二/ ヽ! .///l 　.l/　/二二二ニlニニニニニ八　　　　 　 /
　　!二二lﾆニニニｌﾆニニニ,'　　 ////!　 　 /二二二ニﾆ|二二ニニニﾆ}　　　　　/ﾍ,.､
　　!ニ二lﾆニニニｌﾆニニニ{　　/////!　　/二二二ニﾆﾆｊ二二ニニ/ニ,!　 ＿.／ ／ﾆ}


.

　　　「ええ、そんな身構えなくてもいいですよ。

　　　　　　別に私は偉いわけでもすごいわけでもないんですから」


　　　　　　　　　　　　　　 　 へ-‐…--へ
　　　　　　　　　　　　　　 /::／::＼:ノ⌒ヽ::＼
　　　　　　 　 　 　 　 　 /:::::::／⌒｀⌒＼ :::::i
　　　　　　　　　　　　　/::/::/ '⌒ 　 ⌒　ヽ:::|
　　 　 　 　 　 　 　 　 ⌒i::::' ,,,.._　　　_..,,　|:::|
　　　　　　 　 　 　＿_　 八l〃⌒　､　⌒ヾ|:::|
　　　　　　　　　 「| | |L_（.从　　 r―┐　 从)
　　　　　　　　　 | | | | | ||::::::|:､.　∨:ノ　 .:ｉ::::|
　　　　　　　　　 { 　　ﾉ [|::::::||ﾆぇー‐＜］:|::::|
　　　　　　　　　人　 　 ﾉУ八ﾆﾆlＴlﾆﾆ.八从
　　　　　　　 　 L　￣_|__/　 | ＼_l.|.l／|　 |　 ＼
　　　　　　　　/ニニﾆﾉ∥　 -ニニ|Oﾆ|　 |＼| ハ
　 　 　 　 　 /ニニニ{L{ 　 -ニニ |ニ-.　 | 　|　 |
　　　　　　 /ニニニﾆ|ﾆ| 　-=ニニ|ニ-_　 L__|＼|
　　　 　 　 {ニニニﾆ√l|　|ニﾆﾆﾆ Oニ-　 [/　|∧
　　　　 　 人ニニニ√八 |ニニニ|ニニ-　 [＼|　 ＼




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　'´:::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/.::::::::::::::::::::ハ　　　　　　　　「……は」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄ､::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 八ｒj::::::::::::::::::.八
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｿﾄ､:::::::|:ヽ:::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〉j::::ヽミﾄ､`ｰ､::::::ﾐ::､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（ｲノi::::ト､::::ヾ::::ヽ:::::::ヾｰ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}彡ｒ'´￣}::::i}:::::::ヽ i:::::::ヾ`}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {ミ ﾉ　　J::::::::::::::::） ヾ.:::::::::し
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾃ（__ｰ=ｲ人:::::::::::::::::::::::::::::ト､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 f￣￣i}　 `ト､::::::::::::::::::{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Ｌ二二i　　 /）::::::::::::::::ﾐ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾑ 　　 |ｰ‐-{（::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / .〉-　 }￣　.｝ﾘ:::::::::/::::::::::（＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i /.　　/‐---.ﾄiﾊｿY:::::::::::j´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / 　　 {.;;;;;;;;;;;ヾ　　 }::::::::ﾘし　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　〉;;;;;;;;;;;;;}　ノｿイ´


.

　　　　　　　「戸惑っているようだな。まあそれはいいとして、車は回してある。

　　　　　　　　　　　予定通り昼食に向かうとしよう」


　　　　　　　　　　　　 l: : : : : : : : :.|ﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞ|: : : : : : : :.:.､: : : :.:l
　　　　　　　　　　　　 |:/: :.,': : l: : ,'　 　 　.',: :.l: : |: : ',: :.ヽ:.:.: |
　　　　　　　　　　　　 /: :./:.:.:/}:./　　　　　',: :}､:.:}､:.:.',: : :.ヽ: }
　　　　 　 　 　 　 　 /: :./: :/‐- .____　　　　∨} ∨}弋:',: : : .ヽ
　　　　　　　　　　　 {: :./／ ≠=-x_｀ヽ　　　_>､二ｲ-≠ゝ､: : ヽ
　　　　 　 　 　 　 　 ',:.:f i .|.　>､.. C 丶 　 /:x´ C　, .<´.iﾋヽ: :,'
　　　　　　　　　　　　 }:.i r i.　　 ｀￣´　/:| |､　｀￣´　　 i_ﾉ/:.,'
　　 　 　 　 　 　 　 　 }:.ゝ-i::　　　　　/::::| | ',　 　 　 　 i_ノ:.,'
　　　　 　 _____ --‐‐ﾆ |: :.:.:.i　　　　　ヽ:: | |_ }　　 　 　.i: : : :.|--- ＿＿＿_
__ ===_三三三三三三.i: : :.: i　　　　　　ゝノ　　　　　　i: : : : i､三三三三三≧ｘ＿___
三三三三三三三三王|: : : :.i　　｀ー―‐‐--‐‐一´ 　i: : : : :i王三三三三三三三三
三三三三三三三三王|: l: : :ヽ　　　　　ー‐　　　　　ｲ: : : : :i 王三三三三三三三三
三三三三三三三ﾆ王. i: l: : : : ＞ ._　　　　　　　 ＜: : : : l: :iﾆ王三三三三三三三三
三三三三三三三 王ﾆ i:.l: : : :.:.|＼ .＞　 __　＜.／i: : : : ,': ,'三王三三三三三三三三
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三三三三三三三王三 .|: l ',: |:.:}//// }---∨/// i: : :.,':.,'三三王三三三三三三三三


　　　　　　　　　　　　　　　　　__,,_
　　　　　　　　　　　 ,,,-ー"""　　　｀ー-、
　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　 ｀ヽ、
　　　　　　　 ／　　　　　　　　　　　　　　　　丶、
　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　 ..　　　　　　ヽ、
　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　 :::..　　　　　　｀、
　　　　 /:::　　 ..　　　　　　　　　　　..:::　　　　　　　!
　　　　!::::ｒ、　 ::.. 　　　　　　　　　　 :::..　　　 ..　　!
　　　 /::::! ｀、　:::::..　　 ...::　:: 　　　　::::　　　 ::: 　/　　　　　　　　　　　　　　「かしこまりました」
　　　｀!::::ﾐー、ヾ、:::::... 　:::::..:::..　　　 ::: 　　 ..::::　ゞ、
　　　 !::::ト!　 ``ヾヽ::::::....　.:::、:::.....　 ::: 　　 ,,r-、ｿ
　　　ヾ::::/ﾐ ヾｲ=ｪ、ヾ、ｒ-ヾヽ::::::.....::::::..　　/ 　）ﾐ
　　　 ゞ::! ミ、｀ -"´　　ヾ、く´ヾ;;;:ゝ::::::..　 彡　! ヾ、
　　　　ｿ 　 トゝ　　　　　　　 ""ﾐ｀、:::::::....::/ノ´::　!
　　　　　　　 、 　 　、　　　　　 ヾ !::::::::::::::::::.　:::.丶、
　　　　　　　　ヽ、 　｀ 　　　　　ｿ！:::::::::::::::　　::::.ヾ
　　　　　　　　　 ＼ ヽ=ー,　　　 ィ::::/_!:::::::..　　　:::ﾍ
　　　　　　　　　　　丶｀　　_,,,イ_/r/　ﾐ:::::::.　　　.:::::.｀、
　　　　　　　　　ー/"::::｀rｿ　　ノハ、 ミ::::　　　.:::::::::. ::｀、
　　　　　　　　　,,/-ー"〈"ヾ、、 　ゞ　ゝ........::::::::::::::::::....!
　　　　　　　／"..........ト;;;;〉ヾ.;.;.;ヽ／.......::::::::::::::::::::::....ノ
　　　　　く"......./´;;;;;;;....　　　 ....,,／.......::::::::::::::::::::..::::::/"
　　　　__,,,ﾉ..／;;;;;;;;...　　　....／......:::::::::::::...._,,-,、:::::/
　　　/....;.;.;/;;;;;;;;;;;;;.....;;;;......./"::::::::::::::::::::／　　　　丶、
　　ノ..　　..::;;;;..............;;;;........!ヽ、　　........!　　　　　　　ヽ彡
／.　　........／...　　　　..........i.;;;;;〈::::.............ﾐ　　　　___ 　／!
...　　...／;;;;.....　　　.......／;;;;;;;;｀ー、.... ミ　　　/:::::::::::::::｀、
;:;:;:;:ノ"ヽ、;;;;...............,,/;;;;;;;;;;; ／""　..:::ﾐ　　　　.............__,,--、
ヾ"....::::...ヾ、;;::::::::::/;;;;;ゞ彡　　..::／.......　　　　　／,,,;;;...."ヾ、


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　　　　　　　　　　　　{O{　／:::::::::::::::::::／￣￣:::＼＼＿
　　　　　　　　　　　　∨∨::::::::::::::::::::/＼::::::::::::::::::::＼:〈O）
　　　　　　　　　　　　　'::/⌒＼::::::::/::::::: ＼ ::::::::}:::::::::＼o)　　　　　　　　　　「いってらっしゃい」
　　　　　　　　　　 　 / ::::::: {:::::::＼::::::_／:::::::::::::::} ::::::::} ::＼
　　 　 　 　 　 　 　 /:::::::::::::{／⌒｀｀　　￣￣＼:} ::::::::}::::::}::＼
　　　　　　　　　　 /::::::{::::::::::／￣　　　　　　　∨＼::::}::::::}::{⌒
　　 　 　 　 　 　 / :::::::{::::／:＼　 　 　 　 　 ＿__　 | ::::::从:{
　　　　　　　　　/:::::::{:::{:::::::::::{　 ____ 　　　 〃⌒⌒ | ::::∧　)
　 　 　 　 　 　 ⌒＼{:::{: ＼:八〃⌒ 　　 　 　 ' '　 从/::::::.
　 　 　 　 　 　 　 　 {从 ::::{::::::ゝ ' '　　`　　　 　 ノ:::::::::::::::}
　　　　　　　　　　　　　 }::::::::::込 　 　　　　　ｧ　 /}:::::::::::::ﾉ　　　　　　　　　　　　　「桐条さん、またお会いするかもしれませんね」
　　　　　　　　　　　　　 }::::::::::::::个　　　｀　　　 ｲ_从:::::::::(
　　　　　　　　　　　　　 }八:::::::::::}r＜}＞ --＜／ﾆ| ＼/⌒
　　　　　　　　　　　　　＿__＼∧}|ニニニYニ／) ∧＼＿＿
　　　　　　　　　　　 ／　　　/　 ∧ニニ／／／) )ﾆ| 　 〔　　＼
　　　　　　　　　 ／/　　　 /　 /ニﾆ,／／／／ /ニ|. 　 〔 　 　 ＼
　　　　　　　　 /　〈　　　}/ _ -ニ ／　　　／'　/ニ.人 　 〔　 　 　 |
　　　　　 　 　 |　　　　　_ -ニ ／ 　 　 ／　　/ニニﾆ-._　〔　 　　 |
　　　　　 　 　 |　　　 ／-ﾆ_／　　　 ノ/　　 /ニ|￣￣＼ヽ}.　　　人
　　　 　 　 　 /　　 _-ニ／{　　　__／(　　　ｲ二 |＿＿＿}=∨　 /
　　　　　　　/　　　{ﾆ／ {.人　／二/O ､　／ ／へ__ニニ- }.　/　　 }
　　 　 　 　 { 　 　 ／/⌒'.//＼ V〈 ﾆﾆ У'／////| ＼ニ-.八　　　 {
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　　　　　　　}　 /　　{___ノ=∨/ ノニ-O<////////.〔/⌒ヽ〕ト　　　　}
　　　　　　　〉 /　 　 }ニニﾆV　}ニニ〔ﾆ＼////// 〔　　 ∧　 ＼　　}


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＞''"´: : : : ｀"''＜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞''"´: : : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ＼
　　　　　　　　　　　　　　 ／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :V　　　　　　　　　「？”しのぶ”女史は、御一緒ではないので？」
　　　　　　　　　　　　　 {: : : : ＼: : : : : : : : : : : :V: : : : : : : : : : :V
　　　　　　　 　 　 　 　 ∧: : : : : : : : : : : : : : : : : V: : :/⌒V : : : :}!
　　　　　　　　　　　 　 　 l＼: : : : : :＼ : : : : : : : : V /　　 } : : : : }!
　　　　　　　　　　　 　 　 l: i ＼: : : : : :＼: : : : : : : ヾ　　 /: : : : : :}!
　　　　　　　　 　 　 　 　 l : . ⌒ヾ＼ : : : : : : : : : : ＼ /: : : : : : : }!
　　　　　　　　 　 　 　 　 ',: i ∧r冰､: : : : : : : : : : : : : : V: : : : : : i{
　　　　　　　　　　　　　　　',: : ∧`　iﾉ｀""'''＜: : : : : : : : :',: : : : : : : :""'''': : 、
　　　　　　　　　　　　　　　 }: :j:込 　　　　　　｀""'ヾ: : : :}: : : : : : : : }: : : : : :}
　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 }: :l ヾ: ＼　-　‐　　 　 ／V: / : : : : : ／: : : :／
　　　　　　　　　　　 　 　 　 V:i　　｀""''ヽ　　　 ／　 ／: : : : : ／: : : ／: ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ､､＿／ノ ー''"　ヽ/: : : : : :／: : : : （: : : : : :＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ: : : : : : l /: : : : : /: : : : : : : :ヾ、: : : : }!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／: : : : : : : i/: : : : : /{: : : : : : : : : : }: : : :i{
　　　　　　　　　　　　　　 -=＜ ""´＞=-　ﾆﾆﾆ/: : : : : /／＼＝=-: : :/: : : : : }!
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　　 　 　 　 　 　 　 　 V　　　　　　V::::::::::::::::::::::ヾ: : : :/: : : : ／~ }　　　　　　　　　 i
　　　　　　　　　　　 　 }　　 　 　 　 V:::::::::::::::::::::::只 :/: : : :/: : ／　　 　 　 　 　 　 }
　　 　 　 　 　 　 　 　 { 　 　 　 　 　 ＼::::／:::::::/∧::::＼: {'''"　　　 )} 　 　 　 　 　 }
　　　　　　　　　　　　　}　　　　　　　　　}:::::::::／:/　V::::::::ヾ＼　　'／　　 　 　 　 　 }
　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　 ヾ'"::::::/　　V::::::::::::}　 -　　　　　　　　　　/


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　　　　　　　　「こいつと食事を一緒にする理由はないさ」


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ,..-‐　´￣￣￣｀ ｰ ､
　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::::::::::::::ー:::::::＿:;::::':::::::::::::::::::j::::､
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／:::::::;:へ::::ー-----､-―イ::::::/::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:;:'::::::/.ヽ'::;:'　　ゝｔｯ＼ヽ、./::／　}::::::::l
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 〉::::::::{ ':/:/　　　　　　 ｌ ／'"　 　 j::::::::l
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /:::::/:::ゝ.l/ 　　　　　　　　　 ,._-ー/::::/:l
　　　　　　　　　　　　　　　 　 /:::::/:::::::::/　　　 ﾊ 　 　 　 　 {" `/:／ﾊ:l
　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /:::::::::::::::::::{　　　　､ ＼ 　 　 -‐'　,::::/´　 `
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ,::::::::i:::::::::::ハ　 　 　 ＼ ＼　　　　ﾊ:/
　　　　　　　　　　　　 　 　 ,:::::::::l:::::::::::l　 ヽ 　 　 　 　ｰ 　 ／　'ﾞ
　　　　　　　 　 　 　 　 　 /:::::::::l::::::i::::l　　　＼ 　 　 　 ,.イ
　　 　 　 　 　 　 　 　 　 /::::::＞l::::::l::::|　　　　　 　 _／::|　　　　　 　 　 　 　 　 ,.,'⌒!_
　　　　　　　　　　_ f ヽ‐.､-r'"　.l:::::ｌ::::ト､　 　 　 /.!:::::::::|　　　　　　　　　　 　 / '　/　i
　　　　　　　 ＿ !　',　 ',　'ニ　　 V::ﾄ:::l　 ＼ 　 /　!:::::::::|　　　　　 　 　 　 　 / .l　.l　 .!
_　-―=＝ﾆｒ-､ .|　 ｌ　 ｌ　.lニ､　　ヽ! ヾ／`―- ヽ.|:::::/ﾘ　　 　 　 　 　 　 　 '　.!　ｌ　/.ヽ
ニニニニニl　 '_l　 j　 .!　 !ﾆﾆ､　　 ／　｀∨/// }j:::/ l＞ ､　　　　　　　 　 '　 !　.!　!　.l
ニニニ二二' 　ﾘ　 .!　 l　 .!ﾆニヽ_,_'　　　　ヽ￣`/:ｲ　 'ニﾆ＞ 、　　 　 　 .i　 !　 !　ｌ　 '
'ニニニニ二l　 l　 .j　 -　 .!ニ／　/　　　　　 l//ハ　/　'ニニニ＞＿　＿ j　 '　 l　 ',　 ',
.'ニニニニニ!　.l　 '　 　 　 !=.'　 ,ｲ-、 　 　 　 !//ハ.　　 '二二二く_.　｀ヽｿ　　￣　ｰ　　 ,
'ニニニニ二ｌ　´　 　 _　-　ノ　 /ニニ、　　 　 .ｌ'//ハ.　　 'ニニニニヽ.　 '　- ､　＿
ニー―＝＝l　 -‐　　 ／　　　 'ニニニ､　　 　 .l///ハ　　 lニニﾆﾆ'ニ',　 　 　 ヽ　 ;　　　',
ニニニニニj　　　 ヽ '　　　　 /ニニニニ､　　　 l'///ハ　　ｌニニニﾆl二,　　　　 　 ,:　　　　__
二二／{＞ '　　　　　　　　　ノﾆニ二二二ヽ　　　l////ﾊ 　 !二ニニﾆ!ニゝ _　　　 {.　 　 　 Ｖヽ
二／二'／　　　_　　- ,. ＜ﾆニニニ二二二ヽ　　 !////ﾊ　 !二二ニﾆｌニニﾆ＞ 　 ､ 　 　 　 }ニ､
／ﾆﾆ二＼　　 　 　 .ハニニニニニニニニニヽ　 .l////ハ .ｌニニニニl二二ニ{ ヽ　｀　ｰ　 ／ﾆﾆ＼
ﾆニニ二二＞.､　　/:::::〉ﾆﾆニニニニニニ二二＼. !////ハ.!二二ニニｌ二ﾆﾆ入　',　 ＿／ニニニﾆヽ


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　　　　　　　　　　　　　|:::::|:::::::|:::::/　　　　　　　 　 　 |: ∧ ::::::::::::::::|::::::::|　　　　　　　　　　　　　　「はい、ありませんので」
　　　　　　　　　　　　　|:::::|:::::::::::/　　　　　　　　　　　|/　 :::::: /::::::::::::: /
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　　　　　　　　　　　　　|:::::|::::: Νy＝ミ　　　　　 y=＝=ミ |::/|／:/^∨）　)
　　　　　　　 　 　 　 _ 从人:::∧　　　　 　 ､　 　 　　　 　 /::::::::/)　 }＾＼＼_
　　　　　　　　　　　(_／　/::::::::{　　　　　　　　　　　　 　 /::::::::/ 　 ノ　　 ＼__)
　　　 　 　 　 　 　 　 　 /::|:::::八　 　 　 一　⌒ヽ 　 　 /::::::::::(¨¨´
　　　　　　　　　　　　　⌒ |:::::::::|＼　　　 ＼　 ノ　　　 .:::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　 　 　 人::::从　 ＼　　　　　　　 ／ｉ::::::::::/ '⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　＼(　／ | 〕ト　 --　＜-Z|:::::::::{＼＿
　　　　　　　　　　　　　　　 　 _／　／＼-=ﾆ| |-=ニﾆ从ﾊ八　 　 ＼
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　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 / ,　_/　　　￣￣)　　 Y -=二/　　　　 /＼.|　 ＼
　　　　　　　　　 　 　 　 /　| /〕 　 　 　 厂　 　 }}ミ-=./　　　　 /　　 |　　 ∧
　　　　　　　　　　　　　/|　 /八　 　 　ノ､ ＿_彡'　　 Y　 　 　　|　 　 | 　 / ∧
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　　　　　　　　「……さようですか、お二方がそうおっしゃるのであれば」


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　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.ｨ.:´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀:. 、
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　　 　 　 　 　 　 　 　 　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
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　　　　　　　　　　　　　 !:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!:.:.:.:.:.:;! 　 _メ:.:.:.:.:!:.:.:.:.:.i
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　　　　　　 　 　 　 　 　 |:.:.:.:.:γ¨ヽ;ﾄ.:.:',ﾏ;;;;ｿ　　　 j/ }:.:.:/
　　　　　　　　　　 　 　 ﾉ:.:.:.:.:.:ヽ　　　ヾ　　　　　　'　/:.:/
.　　　　　 　 　 　 　 ／.:.:.:.:.:.:.:.:.:ゝ-ヘ 　 　 　 ｒ_ｯ ／:.:.:!
　　　　　　　　 　 ／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/ｰ-ミ＞．..　__／/ﾚﾍ:乂
..　　r ''￣｀ヽ.　　{.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,r ''￣￣￣,.｀ヾ:.:.:.:.:.:{ｲミ､ ｀
......　!/´￣ ヾ!　.∧.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:{　 ,r .,ﾉ　,.ｨ　∨}_,.ｨ=ｰ- ;;::}__
......　ゞ､_＿＿ .ノ.:.:.',:.:.:.:.:.:.:,r' ／／　ノ　　　ヽ. : : : : : : : : {



　 /:/: :/: : : /: : : :／: : : : : : : : : : : -=: : : : : : : : : : : : : : ∧
. /:/: :/: : :./: : : :/: : : : : : : :　-=: : : : : : : : : : : : : : : : : :./: :‘:,
/:/: :/: : :./: : : :/: : : : : :-=: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :｛
/: : /: : :/: : : :/: : -=: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.-=ｧ : : : ∧{
: : /__,,..　 -=ﾆ　__,,..　: : -‐=ﾆ二: : : : : : -=　＼　／: : /:./　|:{
: /: : /: : : : /:｜トY/: :　-=: : : :　 -=　寸}メ、 ／: :. ／ /　 :|:{
/: : /: : : : /: :∧|ﾉ/: : :　 -‐=　　　 　 　 ＼／: : :／/:ﾞ/　　 |'′
: : /: : : : /: :/: : V￣: :／　　　　　　　　 ／´ 　 lト./: /
: /: : : : /|: /: : :/: /／　　　　　　　　 　 　 　 　 ∨:./
/: : : : /: |/: : :/: //　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨
: : : : /: : |: : :/: /∧　　　　　　　 ＼　　　　_　　 一
: : : /: : : |: :/: //　　　　　　　　　　 `丶、　「
: : ∧: : : |:/: //　　 　 ､　 　 　 　 ＼　　_r┘　　　　　　　　　　　　　　　　「ああ、そういうことだ」
: //∧: : |: ://　　 　 　 ＼　 　 　 　 ／
////∧: |: :｜　　 　 　 　 丶　　　 /
/////∧|: :｜　　　／:. :.≧=＼___/
//////∧ : | 　 ／: : : : : : ‘:,
///////∧ |.／: : : |: :.∧: :.「｀ヽ
////////∧′: : :.｜/　|: : |
V ///////∧ : : : : | |　 |: :/
∧//////／ `:､: : :.| |　 |:/
/∧/// /　　　/: : :.| |　 |′
V ∧///　 　 /: : : : ∧



.

　　　　　　　　　　　 ,.-‐-､／//,＞ 、
.　　　　　　 　 　 ／/////////////ヽ
.　　 　 　 　 　 ,ｲ////////////////ﾊ
　　　　　　　 ,ｲ///////／∨///////ﾊ
　　　　 　 　 i//////／　　 ヽ///////ﾊ
　 　 　 　 　 l////／　　　／＿二V/⌒',l　　　　　　　　　　　　「聖也様、お車のご用意は整っております」
　　　　　　 　 V／＿ヽ＿_／ ''　.::::ﾊ'!´: l'!
　　 　 　 　 　 ':::ヽ＿ﾞ --‐､::￣::::ノ V!':j.|,l
　 　 　 　 　 　 `ｰ---|　　 ', ￣´　　'! ノ/l
　 　 　 　 　 　 　 ', 　.l 　 　 :.　　u　 ;V//l
　　　　　　　　　　　,　 ｰ ､ -　－､　　 ヽ/,lヽ
.　　　　　　　 　 　 　 「￣　　＿.ノ　 '　　V!ﾆ＼
　　　　　　　　　　　　,` ￣　　 　 　 ,　　./lニニ＞-＿
　　　　　　　　 　 　 　 、　￣　　　ノ　　' .!ニニニニニ＝--＿
　　　　　　　　　 　 　 __＞-　-‐　　 , '　 lニニニニニニニニニニ=-,､
　　　　　　　　　 ＿‐=ニニ!＼　　 ,.'　　.lニニニニニニニニニニニ,ﾆ
.　　　　　 　 __‐ﾆニニニニl　 ＼,.'　 　 lニニニニニニニニニニニ,二
　 　 　 　 /lﾆﾆニニニニ二l　.///l＼　!二ニニニニニニニニニﾆ,ﾆﾆ
. 　 　 　 /ﾆ!ﾆﾆニニニニ二',/ ∨ﾘ 　 !二二ニニニニニニニニﾆlニﾆ
　 　 　 /ﾆﾆ,ﾆニニニニニニ',　.!/,!　 lニニニニニニニニニニニlニニ



.　　′: : :/: : : :／: :／′/: /　/:.:／｀/: :./　　　　　　　　|: : : :/: : : :/: :‘:,
　　|: :. :./: : :／: :／ /　/／　/／ 　,/ : ∧　　　　　　　　|: : :/: : : :/: : :　‘,
　　|: : /: :／: :／: :./　,ｨf笊芹ミメ. / ／　|　/　　　 ´￣｀|: :/､ : : /|: : : ∧{
　　|: /／: :／:|: : :/　人　　　　　マx　　　ﾚ　　／__,　　　|:∧ :}: /: |: : /
　　|: : /／ｨ⌒! : ,′　　≧=‐-くc）,._ `　　 　 //　　　 　 |′}/:/: : |: /
　　|: : : :|　|⌒|: /　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 仏斗-=ミx　　/:/:.:.: :.|/
　　ｌ: : : :|　|⌒|/　　　　　　　　　　　　　　 　 {､_ O　　　}} /:/ : : : /
...　′: :｜,乂｜　　　　　　　　　　　　　　　　乂_ ≧=‐'′{/: :　／
　 ′:.:.:∧　｀｜　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 /　　　　 }{､:_／
　′: :./: : ≧}′　　r‐　　　　　 　 　 　 _　　／　　　　　}{}ﾊ
/: : : /: : : : :｜　　 　 ＼ト-　..,,_　　　　　　　　　　　　　/ｿ/　　　　　　　　　　　「ご苦労。それではいこうか、美鶴嬢」
: : : /: : : : : :｜　　　　 　＼ー‐--　..,,_‐-　　　　 　　　/ﾝ/
: : /: : : : : : :｜　 　 　 　 　 ≧=‐‐--　　　 - ..,イ´　 /／
: /: : : : : : : :｜　　　　　　　　　　　　　　　　 ￣　　　′
/ |: : : : : : : : |　　　　　　　　　　ー―――　　 　 　 ′
= |: : : : : : : : l ＼　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ′
= |: : : : : : : : |　　＼　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /


.

　　　　　　　「では御供つかまつります」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.ｨ.:´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀:. 、
　　　　　　　　　　　　　 　 ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
　　 　 　 　 　 　 　 　 　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　　　　　　　 ,.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:'
　　　　　　　 　 　 　 　 i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,ﾍ.:.:.:.:.:..:ヽ:.:.:.:.:.:',
　　　　 　 　 　 　 　 　 i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.i　ヽ.:.:.:.:.:.:.';:.:.:.:.:.:
　　　　　　　　　　　　　 !:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!:.:.:.:.:.:;! 　 _メ:.:.:.:.:!:.:.:.:.:.i
　　　　　　 　 　 　 　 　 }:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i:.:.:.:ｘ≦二,,　｀ヽ:.ﾄ:.:.:.:.:!
　　　　　　 　 　 　 　 　 |:.:.:.:.:γ¨ヽ;ﾄ.:.:',ﾏ;;;;ｿ　　　 j/ }:.:.:/
　　　　　　　　　　 　 　 ﾉ:.:.:.:.:.:ヽ　　　ヾ　　　　　　'　/:.:/
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　　　　　　　　 　 ／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/ｰ-ミ＞．..　__／/ﾚﾍ:乂
..　　r ''￣｀ヽ.　　{.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,r ''￣￣￣,.｀ヾ:.:.:.:.:.:{ｲミ､ ｀
......　!/´￣ ヾ!　.∧.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:{　 ,r .,ﾉ　,.ｨ　∨}_,.ｨ=ｰ- ;;::}__
......　ゞ､_＿＿ .ノ.:.:.',:.:.:.:.:.:.:,r' ／／　ノ　　　ヽ. : : : : : : : : {


　 　 　 ───━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ┃
　　　　　　　　　美鶴が”しのぶ”に一礼する。

　　　　　　　　　”しのぶ”も美鶴に頭を下げた。
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━───

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　::＼::::::::::::::::::::::::::::::::_____:::｀丶、
　::::::::＼::::::::::::::::: ／:::::::::::＼::::::}___
　::::::::::::::::::::::::::／::::::::::::::::::::::}／::::::::ヽ
　:､:::::::::::::::::／::::::::::::::::::/:::::::}_:_:___::::::::.
　::::＼___: /:::: /::::::::::::/＼rﾍ} :::::::::}::::::}
　:::::::::／/:::: / ::::::::::: }　　　 ｀ヽ:::::}::::::}
　::::::/:::::}:::::/:::::::::::::::::|　　 　 　 ∨::::: }
　＼{::::: }: /::::::::／|:::::}　　　　　　} ::::: }　　　　　　　　　「足元が悪いでしょうから
　> ,|::::: }/:::::／　 j／¨¨¨　　‐-/:::::::〈
　、 |:::::ムイ　　　　　　　　　　/::::::::::::　　　　　　　　　　　　気を付けてくださいね。転ばないように」
　、_|:::/:::::::}　`ミ==≠　　 ／/:::/／V
　二|::::::::::: |　　　　　　　 ヾ７l::/
　ﾆ/ :::::::::: l　　　　　 　 , -‐::l:'
　'/／}:::ﾊ/ 　 　 ｀　一／:::::::}
　ﾆ二j/ﾆﾆ＼　　 　／}::::/:::::}
　.、ニニニニ/77´　 /::/::::::ﾉ
　ﾆ`'＜二ニ///＼__⌒＾´
　ニニニ／（　)っﾆ＼｀`丶、
　∨ニニヽニニニニ=ヽ 　 i
.　 ∨ニﾆﾆ＼二二ニﾆ∧　}
　　 ∨ニニニ＼ニニニ∧ }
.　 　 }二二二ﾆ込(　）＾ﾆﾆ｀`ヽ、
.　 　 }ニニニニﾆﾆ｀ヽ、ニニﾆ=＼


.

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│ 　　　　│
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 └───┘

　 　 　 ─────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
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　　　　　　　聖也と美鶴を乗せた車が黒塀の大門から走り出ていく。
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────


.　　　＿　 ==--――――――――Y⌒ヽ……―――---==　　　　＿
　　 i{ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ二乂,,ノﾆ{ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ}rﾍ
　　 i{ ￣￣}i{￣￣￣￣}ﾆ{￣￣￣￣ └}r|ﾆ|＼＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿マ
　　 i{ 　 　 }i{　 　 　 　 }ﾆ{ 　 　 　 　 　 }r|ﾆ|　　　　　 ＼　 　 ＼　 　}i{_
　　 i{ 　 　 }i{　 　 　 　 }ﾆ{ 　 　 　 　 　 }r|ﾆ|　　　　　 　 ＼　 　 ＼　}i{ﾆ|
　　 i{＿＿_}i{＿＿＿＿}ﾆ{＿＿＿＿＿_}r|ﾆ|　　　_　　-‐====‐-　　_}i{ﾆ|
　　 i{__＿___|＿_＿_＿＿}___＿____＿_____ﾆ|ﾆ|V⌒ヽ_三二ﾆ=-=ﾆ二三}i匚＿　 ○　　　　　　 　 ◎
　　 i{二ニﾆ|ﾆﾆﾆﾆニ⊂i}⊃ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ二|ニ乂_,ノﾆﾆﾆ／　⌒ﾆ=-‐　　 　 　_￣⌒ニ=‐　　＿r┴t
　　 i{二ニﾆ|ﾆﾆﾆﾆニ二i}ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ二二|ﾆｲﾆ} {ー- ∥―--　　　　　　＿　　　　 　 　 　 ／　／　｀ヽ_
　 /⌒＼^＼ﾆﾆﾆﾆニ二i}ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ二二|／i} {i:i:i:i:i:i:t.､ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ＝==―--/　 /―――tミ､　　＿_
　_ニﾆ=-＼__＼ﾆﾆニ二i}ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆニ,／i:i:i:i} {i:i:i:i:i:i:i:ｉ:ｉヽﾆ| i{ i{ i{ i{ i{ i{ i{ i｢ iT i￢ﾆﾆﾆj′　{ }i=-=ミ{i }ﾆ／ /´　｀v
. {ニ/i:i:i:i:ｉ:ｉ:＼__＼ﾆﾆニi}ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ/i:i:i:i／￣｀ヽi:i:i:i:i:i:i:ﾍ| i{ i{ i{ i{ i{ i{ i{ i{f⌒ヽi{|ﾆﾆﾆ|　　 {　 /´　｀v}/.. . ′　　ﾘ､
. {ﾆi:i:i:/⌒ヽi:i:}____j}ﾆﾆﾆi}ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆi:i:i:i/ 　 　 　 Vi:i:i:i:i:i:ｉﾊi{ i{ i{ i{ i{ i{ i{ i{乂,ノ,i{|ﾆﾆﾆ|　　 { . ′　　ﾘ○ 八　　,/　 ＼
.　~{i:i:{　　　 i:i}____j}ﾆﾆﾆi}ﾆﾆﾆﾆﾆﾆニ{i:i:i:i{ 　 /⌒ヽ. 'i:i:i:i:i:i:i:ｉ:}{ i{ i{_　-=ﾆ＾~￣￣　 　ｰ={　　 {.八　　,/ }ﾆﾆ〉 }￣　　　　 ヽ
　　i:i:i:,　○ }i:i}____j}ﾆﾆﾆi}ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆi:i:i:i:,　 乂_,ノ　 }i:i:i:i:i:i:ｉ:}{,／　_二ﾆ=ﾆ二,_　　 　 　 ＼　{ ー ￣r　､◯≠　 　 ＿＿__}
　　､i:i:i:,､__,ﾉi＜_　　　￣　ｰ=ﾆ_ﾆﾆﾆﾆﾑi:i:i:,､　　　　　ﾘi:i:i:i:i:i:／／´＞i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:≧x　 　 　 ＼==◯~ ｰ 'ﾆﾆ} {　　{:i:i:i:i:i:i:,
　 　 ＼i:i:i:i:i:i:i:i:⌒ﾆ=-　　_　　　￣　ｰ=ﾍi:i:i:i＼＿_,／i:i:i:ｉ:／／ニ/i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i＼　 　 　 〉､ }i }i }|ﾆ二} {　　 }:i:i:i:i:i:i:,
　　　 　 ー=　´　 　 　 　 ⌒ﾆ=-　　_　　 ＼i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:／／ﾆﾆ,/i:i:i:i:i:i:i:＞―＜i:i:i:i:i:i:ｉ:ｉ＼__,／ニ＼i}i }|ﾆﾆﾆ＼ 　 }i:i:i:i:i:i:i:}_｣＞
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　　　　　　　　その場面を、ちょうど彩園とできる夫が目撃した。
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　 　 　 　 　 {　　　　あら？　　　 　 }　　　　　　 ′　　　　　　 ｀　､ﾞｉ 　 　 　 　　　　　 {......　／ 　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　 　　`､
　 　 　 　 　 ゝ､_　　　　　　　　　　／　　　　　 /　　　　　　　　　 　 ｀`～､、　　　　 　 i{. 　 i.....　なんかすごい車が出てきましたけど.　 i
　　|i　 　 　 |!../. ￣￣￣￣￣￣　　＼＼.　　∥　　_,,　　　-‐…････…‐-　~"''～､...　}} 　 ｛ 　 　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ｝
　　|ｉ　　l..　／　　　　 　 　 　 -‐……‐＼＼_∥''"~　　､.ﾞ---　.._　　　　　　　　~"7....　{{......　`､..ﾞここを訪問するんですか？　　 　 　 ／
　　|}　　l／　　_,,　　　"~￣~ﾟ"''～､、　‐- ＼ｉ|⌒. ,　'´.　　　 .　　＼　　　 　 　 　 l...　　　__n.　 `　　─--　　　　　　---- 　　　　　　´
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　　　｀、　　　　 　 　 　 　 、 `　　　　 　 j{　|i|　! . ::::i-Vﾐ､:::::;'-ﾍ:::::::: !. 　 ,...::::::::::::_　 -=≦|｢￣￣≧=-　 _:::＞ 、. 　 　 　 {
　　 　 ｀、　　　　　　 　 ／　　　　 　 　 j{ﾞ　.|i|....､ :ヽ|１::j｀ V l:::j`!::::./. ／::::＞'"´{　　　,ィﾌ|ﾄ､￣ 　 ﾘ　　　 ｀ヽ:::＼.　　　　{
　　　　|ﾞ｀、　　　　　 ／　　　　　 　 　 .j{　　|i..∠}::::人　　　　　 人::i../:: ／　 ／´ヽ／ /___|| ＿＿＿_.　　　　　＼:|.　　 　 {
　　　　|.　｀、　　　／　　 　 　 　 　 　 j{　　 |i|......j::;ﾂﾞ^　､ ー ,. 'ヾ::::..l／　 ／ 　 ／￣/......／ 　 　 　 ＼....　　　／..　　　　{
　　　　|....　｀､　／　　　　　　　　　 　 j{ﾞ　 　|i|.　 ´ 　__　j ￣ i,.へ ｀`ヽ ／　　／　　 /.ﾞ／　　_,ﾉ　 　ー ＼ヽ／.　　　　 　 {
　　　　|....　　〈/　　　　　　　　　　　　j{ﾞ　　 .|i|.　 　 /　 ｀ヽ_ri´　　〉. ,､.⌒ ヽ/＿　　 ／ 　　（●） 　（●）　ヽ
　　　　|.　　 　 　 　 " ''　　　　　　　 j{ 　 　 |i|. ,..r ' ＼　/､i_ハ ／ ｀ i-､....　'´ 　 ｀.　|　　u.　　　　'　　　　　 |
　　　　|　　　　　　　　　　　　" ''　　 j{　　＿|i|ﾊ三! 　 `ベ;l:l;У´　　,三ﾊ.　　　 　 　 ＼ 　 　 　 - ―　 　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i｣ 　 　 |ﾞ!　Ⅶ!　　　　　　　　　,ﾆ/　',. 　 　 　 　 ／　　　　 　 　 　 　＼
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　　　　　折しも二人が『一条の若君』への取次ぎを門前で待っている所だった
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　　　　　　　／ .: :/／..: : ／ : :／ : : : : :／: : : : :...../
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　　 　 　 /.: .:／..: : ／ : :／..: : : : : :/.: : ィ.:.:／､ﾞ/
.　 　 　 / : : : : : ／ : :／.: : :／ ／/´ ¨メイ　　/
　　 　 /: /: : .: : : : ／.: : :／ ／「¨　 ＜　 ＼../
.　 　 /: /.: .: /.: :イ.: : :／イ/　八 fぅ　　ヾ...../
　　 /: /.: : :/ィrぃ!.:／/　 /　　　｀　 -　 '　/
.　 　 /.:／/: 八ゝ|: : /　　　 　 　 　 　 　 /
　　 / ｲ.:ｉ: : :ｉ.:i ｀ |: /　　　 　 　 　 　 　 /
.　 /　 |: | : : : | : :Ⅳ:　 　 　 　 　 　 　 /
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:::::::::::ｌ:::::::::::::::::::::::::::::::/＼斗≠ミ.　 '. :..ﾞ│　　聖也とすずの視線が交わった　 .│
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:::::::::::::::::::::::::::::::::::/..ﾞ＼乂　　　　　　　 　 　 　 　 从 : :八.;ノ
:::::::::::::::::::::::::::::::ﾞ/...: : : .＼　　　　　　　　　　　 ／. : :乂: : ＼
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:::::::::::::::::::::::::::/..ﾞ: : : : : ; : 人　　　　　 　 ／｀　 ミ ￣



.

　 　 　 ────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┃
　　　　　　　　　　　聖也はすずの姿を見て、うっかり片付け忘れたおもちゃを見るような表情をした。
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━──────────────────

. {ﾆi:i:i:/⌒ヽi:i:}____j}ﾆﾆﾆi}ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆi:i:i:i/ 　 　 　 Vi:i:i:i:i:i:ｉﾊi{ i{ i{ i{ i{ i{ i{ i{乂,ノ,i{|ﾆﾆﾆ|　　 { . ′　　ﾘ○ 八　　,/　 ＼
.　~{i:i:{　　　 i:i}____j}ﾆﾆﾆi}ﾆﾆﾆﾆﾆﾆニ{i:i:i:i{ 　 /⌒ヽ. 'i:i:i:i:i:i:i:ｉ:}{ i{ i{_　-=ﾆ＾~￣￣　 　ｰ={　　 {.八　　,/ }ﾆﾆ〉 }￣　　　　 ヽ
　　i:i:i:,　○ }i:i}____j}ﾆﾆﾆi}ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆi:i:i:i:,　 乂_,ノ　 }i:i:i:i:i:i:ｉ:}{,／　_二ﾆ=ﾆ二,_　　 　 　 ＼　{ ー ￣r　､◯≠　 　 ＿＿__}
　　､i:i:i:,､__,ﾉi＜_　　　￣　ｰ=ﾆ_ﾆﾆﾆﾆﾑi:i:i:,､　　　　　ﾘi:i:i:i:i:i:／／´＞i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:≧x　 　 　 ＼==◯~ ｰ 'ﾆﾆ} {　　{:i:i:i:i:i:i:,
　 　 ＼i:i:i:i:i:i:i:i:⌒ﾆ=-　　_　　　￣　ｰ=ﾍi:i:i:i＼＿_,／i:i:i:ｉ:／／ニ/i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i＼　 　 　 〉､ }i }i }|ﾆ二} {　　 }:i:i:i:i:i:i:,
　　　 　 ー=　´　 　 　 　 ⌒ﾆ=-　　_　　 ＼i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:／／ﾆﾆ,/i:i:i:i:i:i:i:＞―＜i:i:i:i:i:i:ｉ:ｉ＼__,／ニ＼i}i }|ﾆﾆﾆ＼ 　 }i:i:i:i:i:i:i:}_｣＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ⌒ﾆ=-=ﾆ=-=ﾆ二／￣￣　i:i:i:i:i:i:i/　　　 　 ＼i:i:i:i:i:i:i:iVﾆﾆﾆ二ﾍi }|ﾆﾆﾆニi＼ }_ﾆ=‐　r_ - }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 {i:i:i:i:i:i:′　　　　　　Vi:i:i:i:i:i:i:Vﾆﾆﾆ二ﾍ}|ﾆﾆﾆﾆ=‐　　 _ﾆ-　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 {i:i:i:i:i:i{ 　 f⌒ヽ　　　}i:i:i:i:i:i:i:i:}ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ=‐ r　_ﾆ-　~i:i:i/~
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 i:i:i:i:i:i:, 　 乂,ノ 　 　 }i:i:i:i:i:i:i｢￣￣　 __ -ﾆ | ~　　　_｣´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ､i:i:i:i:i:ﾍ　　　　　　　ﾘi:i:i:i:i:i:|　[＿ﾆ- 　 -ﾆ|_ 　-ﾆ⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼i:i:i:i:i＼＿＿__／i:i:i:i:i:i:ｉ:|ｧ――　´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ｀ ＜i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ￣￣￣￣

　 　 　 ─────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ┃
　　　　　　　水たまりを踏みちらしながら車は走る。

　　　　　　　結局は聖也はそれ以上の何物も二人に与えず、車窓さえ開かず走り去っていった。
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━────────────


.

　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ,　-─-､
　　　　　 　 　 　 　 　 　 γ　　　　　　､　　　　　　　　　　　　　「今の車、お知合いですか？彩園さん」
　　　 　 　 　 　 　 　 　 /　⌒　　⌒　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　 i　（●）　（●）　 l
　　　　 　 　 　 　 　 　 t　　　__｀__,　　　ﾉ
　　　　　 　 　 　 　 　 　 ゝ.._　　_ _　 イ、
　　　　　 　 　 　 　 　 　 / ＼／Y ､／　 :,
　　　 　 　 　 　 　 　 　 ﾉ　　　　||　　　 　 、
　　　　　　　　　　　 　 /　　　 　 ||　　 V　　、
　　 　 　 　 　 　 　 　 '　'　 　 　 ||　　./　　　、
　　　 　 　 　 　 　 　 l　.'　　　　 ||　,ノ--､　 /
　　　 　 　 　 　 　 　 L_!　　　 r'´￣　　 _,ヽ'
　　 　 　 　 　 　 　 　 | |　　　 `^ー-''"´　|
　　 　 　 　 　 　 　 　 | l　　　 　 ||　 　 　 |
　　 　 　 　 　 　 　 　 l |＼　　　 ||　　　／|


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「ええ、多少ね。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,.　- - - 　.,　　　　　　　　　今から会う約束をしてたはずの人ってだけ」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ,　'　　　　　　　　`ヽ,
　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 , '　　　　　　　　　 ,　　　＼
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 , '　　　 , ';　 ,.　　　,' ' ,　　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　,　 ,'　.;., '　' ,　 ;' 　 '.,　 ,' ,　ﾞ､
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 i 　 ,' ; ,.'　,.　 ,ｨ　 ', ,'　ﾄ､　' , ;　',　 'i
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 |　,'　i　　/l　/ ヽ　 '　 !　ヽ　'　, ',　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　i　;　 i　ｧ-t‐'.､　ヽ　　!-─ト　 j　;　 |
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ',　',　ヽ,! '|~｀ヽ　 i　/ ｨ'~ ﾄ､i　i　,'　 ,'
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ',　;　 i　 |;;;;;|　　 i/　 |;;;;;| 　ﾚ　,'　/　　　　　　　しれっ
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ,.ヽ'　　!　　　　　 '　　 　　　!　,' ,ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　__,.ノ___j　 ハ　　　　　　　　　　,'　;'./ ＼
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ,! /　ノ^ヽ､　　-　　 ,.イ､　 ;.i`ｰ ､ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ノイ´　　　|` ｰ　'"| 　　 ゝ､i､　　 ｀
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ^｀`ー/_　　　　i,. - '"^ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /　　　　　 `,　 ／ 　　 　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.ゝ､　　　　　i,.-'ヽ　　　　　　,ﾉ
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／　　 ＼　　　 !　　 ヽ　　　 ／ヽ



.

　　　　　　　　　　　　　「え？それってどういう」



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　´　　　　　 ｀　、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,. '　　　　　　　　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃　　　　　　　　　 　 　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,′　　　　　　　　　　　　 　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i　 :ー‐-‐'　　 `ー‐-　 　　　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　 （◯　）　　　（◯　）　　 　 .|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:、　　 　 　 　 　 　　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ヽ.　 　　__´　_　　　　u 　 ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀::...___　￣　　　　ｚ≦彡
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ミﾘ }　　.T　二　≠ ヘ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 ヾミリ―‐　´　　　_.ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　./.　.i　　　}　 　　　　　　〈//∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｉ　　|　　　|　　　　　　 ,:　∨/∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　|　　　|　　　　　　 {　　ヾ≠ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｊ　 .,'　 　 :|　 . 　 　 　 |　　　　| |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　 ,′　　 |　　　　　　 .l} 　 　 .l |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　.ｉ　　　　|　　 　 　 　 l|　　　　.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .l　 |　　　　|　 　　　　　 ｌ}ｌ　　 　.|



　　 ::
　　::::
　 .:::::　　::::　　　　　　:::　　　　:::
　 ::/i　 ::::ト､　　　　　:::ﾄ､　　 ::ﾄ､　　　　　　　　
　.::|. |　::::|　∨　　　::::::|　∨　::| ∨　　 　::.　　　 |
　::|.　|　::|. 　 ∨　　　...|. 　∨::|　 ∨　　:::i:.　　　 i
. ::|'"´∨ i`ヽ.　∨　　:::| , -=∨￣ Y　　:::　　　　 i　　　　　　　　　　　「……どうやら約束を反故にされたみたいね」
　:|.　,ｨ∨ﾄ､.　 　∨　::::|　 　厶=-､ |　::::/::. 　 　 ,
　 k'´ 鄙鉤` 　　 ∨ :::i　 '".鍬鞠 .Y :::/::::　　　 ′
:ﾄ､{. 　陦醪　　　　∨:/.　　 陬効　| ::/::::: 　　 /
:ﾊ ＼ ￣￣ 　 　 　 i/　　　 ￣￣　ﾚ'::|::::　　 /
. ﾊ　　　　　　　　　　　　　　 　　 　 /::|::　　.∧
　∧　　　　　　　 　,　　　　　　 　 /:::::|::. 　/　 ＼
./.　＼　　　　　　　　　　　　　 　ｲ {:::::|::　/`ｰ──
. ,イ/ノ`. ､　　　　 _　　　　　 イ　　∨　　ﾄ､
　　´ヾ丶　＞　　　　　　 ＜/　 　　 ∨ ./　丶
　 　 　　 　＼　`　- 　´ .／　　 　/ 　∨ 　　　＼
　　　　　　 　 ＼.　　　／　　　　/　　　　　　　　　＼


.

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 「え、ちょっと待ってくださいよ。
　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　 　　_..-''''ﾞﾞﾞ´　 　　　ﾞﾞﾞﾞ'''ｰ,,、　　　　　　　　　 ということはもしかして今の車に」
　　　　　　　　 　.／　　　　　 U　　　　　　　＼
　　　　　　　　 , '　　 　 ＿＿＿　　　　 ＿＿ .ヽ
　　　　　　 　./　　　　（　　● 　.）　　（　●　)　 '.,
　　　　　　　/　 u　.　　 ￣￣￣　　　　￣￣　　　'.,
　　　　　.　.,'　　　　　 　 　 　 　 　 ､　　　　　　 　 .l
　　　　　　 l　　　U　　　　　　＿＿＿＿ 　 　 　 　 l
　　　　　　 .'.,　　 　 　 　 　 （ 　 　 　 　 ） 　 　 　 ,'
　　　　　.　 　' ,　　　　　　　　￣￣￣￣　　　　 ／
　　　　　　　 　 ゝ、　　　　　　　　　　　　　　 ／
　　　　　　　　　／｀　ー――――― ‐='''　く
　　　　　　　 ／　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＼
　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　. /.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　',
　　　　　/ 　 　 　 /　　　　　　　　　　　　　　　 i　　 l
.　　　　/　 　　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　|　　 |
　　　　|　　　　　　|　　　　　　　　　　 　 　 　 　 |　 　|




　　　　　　　　　　　　　　 ---　.._
　　　　　　　　　　 ,　'´.　　　 .　　＼
　　　　　　　　　 /　　.:::: .:.　 ::::.　 :. ヽ
　　　 　 　 　 　 l　 :..:/!:::;:::..:::::ﾊ::...::.　l
　　　 　 　 　 　 ! . ::::i-Vﾐ､:::::;'-ﾍ:::::::: !
　　　　　　 　 　 ､ :ヽ|１::j｀ V l:::j`!::::./　　　　　　　　　　　「さっき言ったじゃない。
　　　　　　　　 ∠}::::人　　　　　 人::i`:.､
　　　　　　　　 　 j::;ﾂﾞ^　､ ー ,. 'ヾ::::{￣　　　　　　　　　　　　　　今から会うはずだった人が乗ってたのよ」
　　　　　　　　　　´ 　__　j ￣ i,.へ ｀`
　　　　　　　　　　　 /　 ｀ヽ_ri´　　〉
　　　　　　　　　,..r ' ＼　/､i_ハ ／ ｀ i-､
　　 　 　 　 　 ﾊ三! 　 `ベ;l:l;У´　　,三ﾊ
　　　　　　　　!　Ⅶ!　　　　　　　　　,ﾆ/　',
　　　　　　　 ,'　　Ⅵ　 　 　 　 　 　 |7　　 ',
..　　　　　　 ,'　 　 ｀i　 　 　 　 　 　 i'　　 　',　　　　　　　　　　　　「私たちを呼びつけた相手がね」
　　　　　　　!　　　　ヽ　 　 　 　 　 /　 　 　 ',
　　　　　　 └=r―‐ｧ':.　　　　　　/T ¨¨T'''´
　　　　　　　 　 !　　', 　:.　　　 　,::　!　　;
　　　　 　 　 　 ﾍ　　ﾞ､　:.　　　 ,::　,'　　,'
　　 　 　 　 　 　 ﾍ　　V´　　　 ｀ ,'　　/
　　　　　　　　 　 _j〉, 　V　 　 　 ,' 　 /、
　　　　　　　　　 {　　ﾞ:,　':, 　 　 /　 /　｀!
　　　　　　　　　 !,...．ｭ:、 ⅴT:iﾌ　 ,ｲTTi{
　　　　　　　　　 | | |_|_|_i　 ヾ'´　.r'-'-'-':!
.　　　　　　　　　「::::::::|::::|　　､ヽ　|::::::|:::::」
.　　　　　　　　　ﾄ-==L;;;!　　 ヾ∠--￣!
　　　　　　　 　 ,'　　　　 /｀ー‐r‐'　　　|
.　　　　　 　 　 ,'　 　.　 ,'　　　 |　　　　.!


.

　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ-'（＿＿__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 （＿＿_
　　　　　　　　　＿＿＿＿＿　　　　　　 ／
　　　　 　 　 ／ |　|　|　|　|　|＼　 ） ） ./
　.（ （　　 .／..|　|__|ノ|　|ヽ|__|　 ＼　 　ヽ、　　　　　　　　　　「そんな！いったいなんで急に」
　　　　 ／ 　 ／|　|　|　|　|　|｀　　＼　　_＞-
　　　　.l　　　　　　　　　　　　　　 　 l　（
　　　　.|　　 　 U　　＿'＿_ 　u　 　 .| っ
　　　　 ＼　　　　　 |:::::::::::|　　　　／ ﾉﾉ
　　　　　　＼　 　U |:::::::::::|　　 .／、＿＿__
　　　 　（（　 ｀＞-..,,_￣￣_,,..イ|::::::::::::::::::::::::｀ヽ
　　　　.,..-''"´:::::::::| |　　　 　 //:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　 /::::::::::::::::::::::ヽヽ ＿_ ノ/:::::::::::::::::::::::::::::::::::: ヽ
　　　 l::::::::::::::::::::::::::::｀"'''''''''":::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ



　　 ::
　　::::
　 .:::::　　::::　　　　　　:::　　　　:::
　 ::/i　 ::::ト､　　　　　:::ﾄ､　　 ::ﾄ､　　　　　　　　
　.::|. |　::::|　∨　　　::::::|　∨　::| ∨　　 　::.　　　 |
　::|.　|　::|. 　 ∨　　　...|. 　∨::|　 ∨　　:::i:.　　　 i
. ::|'"´∨ i`ヽ.　∨　　:::| , -=∨￣ Y　　:::　　　　 i
　:|.　,ｨ∨ﾄ､.　 　∨　::::|　 　厶=-､ |　::::/::. 　 　 ,
　 k' {　　　}` 　　 ∨ :::i　 〃{　　　} Y :::/::::　　　 ′　　　　　　　　　　　「さぁ……？」
:ﾄ､{　ﾏ. 　ｯ 　　　　∨:/　　　ﾏ　　| ::/::::: 　　 /
:ﾊ ＼ ￣￣ 　 　 　 i/　　 　 ￣￣ ﾚ'::|::::　　 /
. ﾊ　　　　　　　　　　　　　　 　　 　 /::|::　　.∧
　∧　　　　　　　 　,　　　　　　 　 /:::::|::. 　/　 ＼
./.　＼　　　　　　　　　　　　　 　ｲ {:::::|::　/`ｰ──　　　　　　　　　　　　　　「私に聞かれても困るわ」
. ,イ/ノ`. ､　　　　 _　　　　　 イ　　∨　　ﾄ､
　　´ヾ丶　＞　　　　　　 ＜/　 　　 ∨ ./　丶
　 　 　　 　＼　`　- 　´ .／　　 　/ 　∨ 　　　＼
　　　　　　 　 ＼.　　　／　　　　/　　　　　　　　　＼



.

　　　　　　　　　　　「さぁって……いったい誰と会う約束だったのかは知りませんけどね。

　　　　　　　　　　　　　　むこうからの話だったんでしょ？それなのになんなんですかこの扱いは」

　　 　　　＿＿＿_
　　　　／:::::::::　 u＼
　 　／ﾉ└ ＼,三_ノ＼　 　,∩__
　／:::::⌒（ ●）三（●）＼ fつuu
　|::::::::::::::::　 　＿'__　　 ｜| 　 |
　＼:::::::::　　 ´-―-'　,／_ | 　 |
　　 ヽ　　　 　 　　 　 i　　　　丿
　 /(⌒)　　　　　 　　/￣￣´
　/　／　　　　　　　/

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「まぁよくあることよ」


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _..　--　.._
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.　'´ ..　　　:　 ｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 .　.::::.　 .　:.　　 .　､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　.::: .:::::::::.. :::::::::　　::.　',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ! :. .:/|::::/ ＼::::ﾄ;:::::　.　:::　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i　::::',_!/､　　,V'ﾍ::' .:::: :::::　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ', ::::::!L!　 　 1:::i l: .::::::::::: /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∠}::::::|　　　　 ﾞｰ'/:::;'::::::,.ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　j:::;;:へ　｀､　　/:::/!::::/:::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '¨´＿_...＞--r''¨´」/ﾍ¨_`
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼　 ﾄ,￣:!　,ィ _／　 〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､--'‐'|::ﾍ　i/,イ　　　 ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　T::>'　/　　　 l　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r､.i　 ﾉ'　　├―--┘_.　-ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀! 「|／　　　 ,ゝ..:/´　 　 　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | .i/　 ,...::''´::::::::/　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 :::!/ ／　　　.::::::/ 　 　 　 ,,'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/´　　　　..:::::::;'　　　　,.::,'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　 ..:::::::::;'　　 ,..:'::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　..:::::::::::/_,..　' : ::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　.::::::::「￣　　: :.::::::;'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　 .:::::／ヽ￣ 　―-::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　:::／｀ヽ　＼---,　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　{　　　　＼ ＼/-''
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　i　　　　　 i／|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　ヽ.._　　 /::::::::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　 : : :.:.:.::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∠...＿＿_　　　　　: : : :.:.:.::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::＞､　　: : :.:.:.:.::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣ |　　｀ヽ..:_: :.:.:.:.::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　　 　 |　｀iヾ:.:.:::::::::::::::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　 　 !　 ﾍ　 ｀ ー--|


.

　　　　「ふ、ふざけたやつ！なんなんだこの町は！」


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　 　 　 　 　 　 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　 　 　 　 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　、　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　＼ゝ:::::::::::::::<／　　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　|　 　 　（　 ◯　）三三三（　◯ 　） 　 　 .|
　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　ミ≡≦　　　　　≧≡彡 　 　 　|
　　　　　　　　　　　　　　＼　　 　 　 　　＿__ ´＿_　 　 　 　 　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　 ＼　　　　　〈　+++++ ‐〉 ,　 　　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　／ヽ　　　　｀ -──- 　　　　イ＼
　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ＼



　　　　　　　　　　　　　　 ---　.._
　　　　　　　　　　 ,　'´.　　　 .　　＼
　　　　　　　　　 /　　.:::: .:.　 ::::.　 :. ヽ
　　　 　 　 　 　 l　 :..:/!:::;:::..:::::ﾊ::...::.　l
　　　 　 　 　 　 ! . ::::i-Vﾐ､:::::;'-ﾍ:::::::: !
　　　　　　 　 　 ､ :ヽ|１::j｀ V l:::j`!::::./
　　　　　　　　 ∠}::::人　　　　　 人::i`:.､　　　　　　　　　　　　「怒るのはまぁわかるけど、そういう相手だしねぇ」
　　　　　　　　 　 j::;ﾂﾞ^　､ ー ,. 'ヾ::::{￣
　　　　　　　　　　´ 　__　j ￣ i,.へ ｀`
　　　　　　　　　　　 /　 ｀ヽ_ri´　　〉
　　　　　　　　　,..r ' ＼　/､i_ハ ／ ｀ i-､
　　 　 　 　 　 ﾊ三! 　 `ベ;l:l;У´　　,三ﾊ
　　　　　　　　!　Ⅶ!　　　　　　　　　,ﾆ/　',
　　　　　　　 ,'　　Ⅵ　 　 　 　 　 　 |7　　 ',
..　　　　　　 ,'　 　 ｀i　 　 　 　 　 　 i'　　 　',
　　　　　　　!　　　　ヽ　 　 　 　 　 /　 　 　 ',
　　　　　　 └=r―‐ｧ':.　　　　　　/T ¨¨T'''´
　　　　　　　 　 !　　', 　:.　　　 　,::　!　　;
　　　　 　 　 　 ﾍ　　ﾞ､　:.　　　 ,::　,'　　,'
　　 　 　 　 　 　 ﾍ　　V´　　　 ｀ ,'　　/
　　　　　　　　 　 _j〉, 　V　 　 　 ,' 　 /、
　　　　　　　　　 {　　ﾞ:,　':, 　 　 /　 /　｀!
　　　　　　　　　 !,...．ｭ:、 ⅴT:iﾌ　 ,ｲTTi{
　　　　　　　　　 | | |_|_|_i　 ヾ'´　.r'-'-'-':!
.　　　　　　　　　「::::::::|::::|　　､ヽ　|::::::|:::::」
.　　　　　　　　　ﾄ-==L;;;!　　 ヾ∠--￣!
　　　　　　　 　 ,'　　　　 /｀ー‐r‐'　　　|
.　　　　　 　 　 ,'　 　.　 ,'　　　 |　　　　.!


.

　　　　　　　　　　　　「ええ、ええ、さぞかしそうなんでしょうよ！」


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　´　　　　　 ｀　、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,. '　　　　　　　　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃　　　　　　　　　 　 　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,′　　　　　　　　　　　　 　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i　　 __＿ヽ　　 ノ＿___　　　　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| 　 （　●)　　　( ●　）　 　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:、　 `== ´　　　 ﾞ＝=´　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ヽ.　 　　＿´＿　　　　　 ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀::...___　　 　 　　　ｚ≦彡
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｲミ ー￣フ二￣´＿〆゛ゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ん＿ ＝　ー三　イ､_＿＿_ゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　./.　.i　　　}　　　　　　　〈//∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｉ　　|　　　|　　　　　　 ,:　∨/∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　|　　　|　　　　　　 {　　ヾ≠ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｊ　 .,'　 　 :|　 . 　 　 　 |　　　　| |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　 ,′　　 |　　　　　　 .l} 　 　 .l |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　.ｉ　　　　|　　 　 　 　 l|　　　　.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .l　 |　　　　|　 　　　　　 ｌ}ｌ　　 　.|


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「そうそう。そう割り切ったほうが精神衛生上いいわよ」
　　 ::
　　::::
　 .:::::　　::::　　　　　　:::　　　　:::
　 ::/i　 ::::ト､　　　　　:::ﾄ､　　 ::ﾄ､　　　　　　　　
　.::|. |　::::|　∨　　　::::::|　∨　::| ∨　　 　::.　　　 |
　::|.　|　::|. 　 ∨　　　...|. 　∨::|　 ∨　　:::i:.　　　 i　　　　　　　「でも、どうしようかしら。
. ::|'"´∨ i`ヽ.　∨　　:::| , -=∨￣ Y　　:::　　　　 i
　:|.　,ｨ∨ﾄ､.　 　∨　::::|　 　厶=-､ |　::::/::. 　 　 ,　　　　　　　 これじゃ私のほうも困るっていうか」
　 k'´ 鄙鉤` 　　 ∨ :::i　 '".鍬鞠 .Y :::/::::　　　 ′
:ﾄ､{. 　陦醪　　　　∨:/.　　 陬効　| ::/::::: 　　 /
:ﾊ ＼ ￣￣ 　 　 　 i/　　　 ￣￣　ﾚ'::|::::　　 /
. ﾊ　　　　　　　　　　　　　　 　　 　 /::|::　　.∧　　　　　　　　　　　　　　　「あら？別に困らないのかしら？」
　∧　　　　　　　 　,　　　　　　 　 /:::::|::. 　/　 ＼
./.　＼　　　　　　　　　　　　　 　ｲ {:::::|::　/`ｰ──
. ,イ/ノ`. ､　　　　 _　　　　　 イ　　∨　　ﾄ､
　　´ヾ丶　＞　　　　　　 ＜/　 　　 ∨ ./　丶
　 　 　　 　＼　`　- 　´ .／　　 　/ 　∨ 　　　＼
　　　　　　 　 ＼.　　　／　　　　/　　　　　　　　　＼


.

　　　　　　　「考えてみれば私はどちらかといえばちょっと助かった気がするわ」


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　　　　　　,. = ''"¨　　　　　　　¨"'' ‐=.._

　　　　　　　　 　 　 　 ／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ﾄ､　　　 i:､　 　 　 　 ＼
　　　　　　　　　　 /　,i 　 　 ,ｨ 　 　 i､　　.|:.:ヽ　　 l:.:＼　}>、
　　 　 　 　 　 　 /　/:|　　 /.ﾊ､　　 l:.＼　|:.:.:.ﾍ 　 !:.:.:.:.ヽ!:.:.＼ 　　 ﾞ.
　　　　　　　　　 ′,': :{ 　 .':.:.:.:.:＼　{:.:.:.:ヽ!:.:.:.:.:ﾍ　}:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ヽi､ 　 .
.　 　 　 　 　 　 i　 i:.:.: ､　i.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ!.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.V.:.:.:.:.:j!:.:.:.}ﾞ､:.:.:.:ﾞ:、 i
　　　　　　　　　{　 |:.:.:.:.ヽ{.:.:.:.:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.i､:.:.iV:.:.:.:.:.:.:.:.:.ハ:.:.厂V:.:.:.:.　|
　　　　　　　　　:.　 !:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.{＼:.:.i､:.:{=ヾLV:.:.:.:.:.:.:/ /Ⅴｬ､ !.:.:.:.:　|
.　　　　 　 　 　 :　｜:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: .V´ヾ､ ＞-=､ V:.:,ｲ:/ 　 1: :}　′:.:.:.: |
.　 　 　 　 　 　 ﾍ　:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ﾍ　 /!.:.:　.::｝　V　i' 　　 辷ｊ　! : :.:.:.: |
　　　　 　 　 　 　 ､i.:.:.:.ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ﾍ ヽヾ辷ﾂ　　 　 　 　 　 　 V.:.:.: : ﾄ､＿,
　　　　　　　　　　　ﾞ､:.:.:.:.:.:＼ :.:.:.:.:..:ﾍ、　　　　　　　　 　 　 　 八:.:.:.:.:.､:.:ノ
　　　　　　　　　　　　＼:.:.:.:.:.:.＼:.:.:ヾ¨`　　　　　 　 　 　 　 ／.:.:.:＼:.＿＞
　　　 　 　 　 　 　 　 　 ＼:.:.:.:.:.:`''＜:≧=-　　　､＿,　 　／r------`
　　　　　　　　　　　　　 ﾉ:.:.ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.;､:.＼.._　　　　　 ／￣
　　　　　　　　　　　　 ←--/.:.:/.:.:.:,.ｲ　＼{　 ≧=r‐=´
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /:／}:.／｝ﾊ　　　　　　 V-=ニ¨¨¨ﾄ､
　　　　　　　　　　　 　 　 " 　 ´　 '´ ﾊ　　 　 　 　ﾞ､　　　　 |::.ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r '" '-――‐ｒ.､ 　 ヽ 　 　 |:::::...ゝｭ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {　　 　 　 　 {　＼　　＼　 K´三三三ﾆ=--
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　　 　 　 　 | 　 　＞-=ヽ | ヾ三三三三三
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 └=-,､_　　 　{　　　　　　　　　 ＼三三三三
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r='==≧=--`三三三三三三三三三三三
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /三三三三三三三三三三三三三三三三



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＿＿＿_　　　　　　　　　　　「そりゃよござんしたね。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／::::－::::::::::::－:::＼　　　　　　　　 私のほうはぜんっぜんですけどね！」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　（ ○ ）:::::（ ○ ）　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　 :::::::__´___:::::::　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ 　　 :::::::::::::::::::: 　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　:::::::::::::::::::::::::::::::　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　...|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |


.

　　　　　　　　　 _,.　- - - 　.,
　　　 　　 　 ,　'　　　　　　　　`ヽ,
　　　　　　, '　　　　　　　　　 ,　　　＼　　　　　　　　　　「それはそうなんだろうけど」
. 　　 　 , '　　　 , ';　 ,.　　　,' ' ,　　　 ヽ
　　　 /　　,　 ,'　.;., '　' ,　 ;' 　 '.,　 ,' ,　ﾞ､
. 　　 i 　 ,' ; ,.'　,.　 ,ｨ　 ', ,'　ﾄ､　' , ;　',　 'i
. 　　 |　,'　i　　/l　/ ヽ　 '　 !　ヽ　'　, ',　 |
　　　 i　;　 i　ｧ-t‐'.､　ヽ　　!-─ト　 j　;　 |
. 　　 ',　',　ヽ,! '|~｀ヽ　 i　/ ｨ'~ ﾄ､i　i　,'　 ,'
　　　　',　;　 i　 |;;;;;|　　 i/　 |;;;;;| 　ﾚ　,'　/
. 　　　,.ヽ'　　!　　　　　 '　　 　　　!　,' ,ｲ
　 __,.ノ___j　 ハ　　　　　　　　　　,'　;'./ ＼
　　　　　,! /　ノ^ヽ､　　-　　 ,.イ､　 ;.i`ｰ ､ヽ
　 　　　/ノイ´　　　|` ｰ　'"| 　　 ゝ､i､　　 ｀
　 　　　　　ﾉ^｀`ー/_　　　　i,. - '"^ヽ
　　 　 　　 /　　　　　 `,　 ／ 　　 　　 ヽ
　　　　　 ,.ゝ､　　　　　i,.-'ヽ　　　　　　,ﾉ
　　　　／　　 ＼　　　 !　　 ヽ　　　 ／ヽ
　 　 　 ──────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ┃
　　　　　　二人が言い争っていると、開いたままの黒塗りの門から、ゆるゆると人影が現れた。
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淡淡淡淡爻爻爻淡淡爻爻淡淡淡淡爻彡'⌒
=-　_爻爻爻爻淡淡淡淡爻爻爻⌒　　　　　　　　　__
　　　￣　=-　_爻爻爻淡淡爻爻　　　　,､,､,､,､,､　　r‐ト．
＿　　　　　　　 ￣　=-　_爻爻爻刈⌒:;.:,:;.:,:;.:,:;.:,:,､＜＞-=≧s｡
二二二ニ=-　　　　　　　￣　=-　__ミﾐ:;.:,:;.:, ,､＜=｡s个s｡｀` -=ﾆ≧s｡.,_　　 ｨ
─　二二二二二二ﾆ=-　＿　　　　｀`''　＜ﾆ_,x竺竺竺竺≧s｡＿＿ -=ﾆ「｣｣　　　　　　　　,､､;';';';';';';'
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　　　　 　 　　　　　　￣　　─　二二二二ﾆ=-　 　 　 ｀`'' -　 _,///////|　 ｀　 .,_｀`'弌77＿;';';';';';';';';';';
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i:i:i:i:i|:|i:i:i:i:i|:|i:i:i:i:ｉ||i:i:i:i||i:i:i:i||i:i:i:||i:i:||i:i:ｉ||i:i:ｉ|i:i|i:ｉ:||i:||ｉ|lj:||j:||:|:|:|:|:|:|:|:|:|:|:|:|:|: |i:i:i:i:i:i:i:i:i|i:i:i:ｉ|ＬL｣|爻爻从
i:i:i:i:i|:|ｉ:ｉjjjj|:|｣LL:||LL:||-- ||ー:||=ｉ||宀||冖|T|l｢:|l｢||{||i:||ｉ:||:|:|:|:|:|:|:|:|:|:|:|:|:|:_|i:i:i:ｉ:ｉ:ｉ:jjj|─┼‐「||爻爻爻
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i:i:i:i:i|:|i:i:i:i:i|:|i:i:i:i:ｉ||i:i:i:i||i:i:i:i||i:i:i:||ijjＩＬ ┴…=ﾆ二三三二ﾆ=-　丁￣{: :}:_:}_|┬厂]_Ｌ-二 _-¨
i:i:i:i:i|:|i:i:jjＩ｣｣L -┴…==ﾆ二三三三三二ﾆ=-　丁｢: i: : }: : :|: : :|: ノ:|丁: |_|⊥-三=-　￣
ﾆ二三三三三三三三二ﾆ=-T ￣: : }: : : }: : :}: : i: }ノ⌒{ヽ┴r'⌒}_┴二二- ￣
三三二ﾆ=- 丁￣: :|: : : { : : : |: : : : : {: : : {: : }─{￣{: : :| _｣-_ ‐二ﾆ- ￣
￣: :{: : : : :}: : {: : : : | : : :| : : : |／^7‐乂_:_{￣}: :_L=-_ -二二- ￣
::: : ::} : : : 〔: : } : : : :| : : :|: : ／7: : |: : : :|_⊥-_‐二二=- ￣
::: : :{ : : : : }／￣ ア⌒ヽ￣＼ﾉ_ﾆ=-_ ‐三三ﾆ=-￣　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　.　.　.　.　.　.
: : : :}: : : ::ﾉ＿: :／: : ;_⊥-__ -=三三ﾆ=-￣:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:
.:>'´￣＼√_ ﾆ=-__ -=三三三ﾆ-￣　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:


.

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ┃
　　　　　　　　　その人影は”しのぶ”だった。しのぶはすずの姿を見ると軽く会釈した。
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「あら」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　　　 /＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿/:/＼＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／⌒＼.:.:.:／:￣｀`丶、_ 　　-‐…‐-ミ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ／.:/.:.:.:へ.:.:/／￣＼.:.:.:.:＼___／￣￣|　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 / .:./ .:./ー=ミ.:.⌒＼.:.: ＼ .:.:.ヽ ＼⌒／／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／:/ .:./ .:./　　　　｀⌒ヽ:〉 :.:.:.|.:.:.:.:.:|⌒／／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⌒/.:.:.:.:.:.:/―　　　　　 .:/ .:.:.:.:.|.:.:.:.:.:|／／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 j|.:.: |:.斗ミ､ 　 　 ￣＼ .:.:/ .:.|.:.:.:.:/／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 八 : |/j　Vﾂ　　 斗=ミ.:／.:.:./.:.:.:/〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:／＼..: 　 　 　 　 Vツ 〉.:.:.:/.:.:.:/ノﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 /ｲ .:.:.:.:.八　 `　　　　__彡.:.:.:/Y:イ//|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 | .:.:.:./　　　` 一　フ.:.:.:.:.:./ノ´￣＼ ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ＼.:(＿＿ ＞--./.:.:.:.:.:／　　 　 　 } !
　　　　　　　　　　　＿　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ／⌒＼　／{ 〉ト{.:.:.:／ |＼＿　　 (_,ﾉ
　　　　　　　　　／ニニ＼__　　　　　　　　　　　　／＿　 _　-ﾆﾆr＜/＼(/ /＼ ＼＼
　　　　　　　　/ﾆ|　ノ／ ＼ ＼　　　　 　　 ＿_／ _ -=ﾆニニ)／O二二/ /　 /＼ )　|
.　　　　　　　/ニ<> /￣￣ ＼ 二=‐-‐=ﾆ二ノ ／-ニニ=- -=ニﾆﾆ=-/ / ＼(　 | ＼ ＼
.　　　 　 　 √＼ﾆ/＼＿＿___＼＿_＼＿＿__√ニ=-／O-=ニニ=- / /　 |　＼ 〉　.|＼|
　　 　 　 　 |--く./＿__＼＿＿＿＼　　　 ＼r＜ﾆ-./ -=ニニニ=- / / 　 ∧／ ＼.∧　〉
　　 　 　 　 | 〈_〉| ＼　　　　　　　　 ＼_,／　|_　ﾉX＜-=ニニニ=-/ / 　 /　' 　　 | ＼＼＼
　　 　 　 　 lノ＼|＿＿､⌒＼＿＿＿／＿＿/〕ト　 X`'＜ﾆﾆﾆ／| / 　 /＼|　　 /＼　＼＼＼
　　 　 　 　 厂＼〉　　　＼,／　 　／　　 　 /ニニ 〕ト　 X`'' /　/ |　　 | 　 |　∨ 　 　:､　￣三二ﾆ=-------ミ
　　　　　　√＼_.|　　　 ／＼＿＿＿＿＿∧ニニニニ..〕ト　 X〕￣＼　|　 〈　/ 　 　　| ＼　　 　 　 　 ／/￣〉 ＞――┐
　　　　　 √ニﾆ |＿＿___________／　 ／ /　 |＼..ニニニニ7⌒ト--＜　|　　 ＼　　　 _|　　＼　 　 　 /ﾆ/＿/　　 / ―く
　　　 　　|ニ／ヽ〉　　　／　 ／　 ／　 /　　|・ ∥￣￣￣ |　/　||〕　　 | /　　 /＼ 　 〕　　　|＼＿_/ﾆ<>ﾆ/＼__　 イシ
　　　　　 '=〈　　|.　　／　 ／　　 /　　/　 ／＼L__ 　 ・ ∥|,/・ /八　　 〈　　./　　 ＼.〕　　　|　　 ./ニニﾆ|／|　　〉/
　　　　　　'ニ､_∧／　 ／　　　,/　　/ 　 .|ニ / 二=---------=ﾆ:, 　 　∨/　　 　　 ＼_ 　 |　 ／ニニﾆ/ﾆﾆ＼／
.　　　　　　 ＼ ＼＼／ /　 ／/　　/ 　 　|ﾆﾆ|ニニ|ニニ|ニニニ|ﾆ-_　 　　＼ 　 　 /　 |　　　/ﾆ/＼ﾆ /／￣/|
　　 　 　 　 　 ＼／/　/.／　/　　/　　　/ﾆﾆ.|ニニ|ニニ|ニニニ|ニ-_　 /　　 ＼　/　　 ＼　/ニ|＿/ /〈＿／/
　　　　　　　　／　/　／　　/　 ／　　 ./ニ＼ ニニ|ニニ|ニニニ| ／=∨　　 /　 ＼＿＿＿/ﾆﾆﾆﾆ_,/ ／　|./
　 　 　 　 　 ∧　/／./　　/　 /　　　 /ニニﾆ＼ ニ＼ﾆ｜ニニ／ニニ{　　　|　／￣￣＼( ＼ニニ_／　| ／


.

　　 ::
　　::::
　 .:::::　　::::　　　　　　:::　　　　:::
　 ::/i　 ::::ト､　　　　　:::ﾄ､　　 ::ﾄ､　　　　　　　　
　.::|. |　::::|　∨　　　::::::|　∨　::| ∨　　 　::.　　　 　　　　　　　　　　「……！」
　::|.　|　::|. 　 ∨　　　...|. 　∨::|　 ∨　　:::i:.　　　 i
. ::|'"´∨ i`ヽ.　∨　　:::| , -=∨￣ Y　　:::　　　　 i　
　:|.　,ｨ∨ﾄ､.　 　∨　::::|　 　厶=-､ |　::::/::. 　 　 ,
　 k' {　　　}` 　　 ∨ :::i　 〃{　　　} Y :::/::::　　　 ′
:ﾄ､{　ﾏ. 　ｯ 　　　　∨:/　　　ﾏ　　| ::/::::: 　　 /
:ﾊ ＼ ￣￣ 　 　 　 i/　　 　 ￣￣ ﾚ'::|::::　　 /
. ﾊ　　　　　　　　　　　　　　 　　 　 /::|::　　.∧
　∧　　　　　　　 　,　　　　　　 　 /:::::|::. 　/　 ＼
./.　＼　　　　　　　　　　　　　 　ｲ {:::::|::　/`ｰ──
. ,イ/ノ`. ､　　　　 _　　　　　 イ　　∨　　ﾄ､
　　´ヾ丶　＞　　　　　　 ＜/　 　　 ∨ ./　丶
　 　 　　 　＼　`　- 　´ .／　　 　/ 　∨ 　　　＼
　　　　　　 　 ＼.　　　／　　　　/　　　　　　　　　＼



　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　 　 　 　 |＼／:::::::::::::::＼／|
　　　　　　　　　 　 　 　 |／:::::|''⌒⌒ヽ :＼|　　　　　　　　　　「先生。先日はどうも。
　　　　　　　　　　　　　/ :|::::::::|-　　 -И::::::〉
　　　　　　　　　　　　　|::::|:::/,,..,,　　　,,..从/:|　　　　　　　　　　 こんなところでお会いできるとは思いませんでした」
　　　　　　　　　　　　　|:::::::〃⌒　 ､ ⌒ヾ::从
　　　　　　　　　　　　　Y:从　　　　　　　 〔ﾉ
　　　　　　　　　　　　　 V:::.　　 〈 ⌒)　　∧
　　　　　　　　　　　　　　|::::＼　　　　　 ｲ:::|
　　　　　　　　　　　　　　|从|~〕ト-- ＜|从ﾘ
　　　　　　　　　　　　＿／　|＼__||__／l￣＼
　　　　　　　　　 　 /／|　　 | ／＼ﾆﾆ.|　　 |＼
　　　　　　 　 　 　 |／ |　　 |{Y⌒ヽﾏZ|　　 |　 |
　 　 　 　 　 　 　 /　/ |　　 〈彡⌒Y lz|　　 |＼|
　　　　　　　　　 /　∧ |　　 ∧ ⌒〈_,ノ＼　 |　 |
　 　 　 　 　 　 /___〈＿ ､_／〈 ＼_,ノ＿／＼＿ ヽ
　　　　　　　　//　 /O.／ニﾆ _ 　∧ニニニ ＼| ∧
　　　　　　　ノ/― |o/ニニニニ〉O∧ニニニ L|/
　　　　 　 /　|＼ /| |ニニニ ／ﾆ|ﾆﾆ|､二ニﾆlr|　　|
　 　 　 　 |＼|　　/・|ニニﾆ/o|＿|____|∧ニ_,/O| 　 |
　　　　　　＼ ＼/O ＼ニノO | |　　| lO ￣ O / /　|


.

　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　＼
　 　 　 ／　　　　　　　　　　　　　 　 　 　ヽ
　　 　/　　　　　　　　　　　　　　　,、　　　　 ､
.　　 /　　　　　　　::{ :::::∧　　::::::::::| ヽ :::::ヽ　::::i　　　　　　　　　　「”しのぶ”……あなたがなんでここに……」
　　/　　　　　　|　::::| ::/‐-＼　:::::::.{　 ヽ ::::::l　::::ｌ
　　ｉ　　　　　　 |　::::∨　／/ ＼　:::|　　-‐ヽ|　::::|
　　|　　　　　　∧　::::|.　　 { 　　 ﾄ､| 　　,ィ┤　::::|
　　ｌ　　　　　 　　}　::::|　　_| ._＿L　 　　ｌ｜|　　::ｌ
　　ヽ　　　　　　　ﾄ､　| 　　　 　 　 　 　 Lｌ｜　/
　　　 ､ 　 　 　 　 ヾヽｌ　　　　　　　　　　　 |. /
　　　ノ　　　　　　　　ｌ.　　　　　　　　　　　//
.　／　　　 　 　 ﾊ、　ｌ　 　　　￣　-　　／､
　　￣/／ !　 /　 ＼ |　　　　　　　　／ ト､_ ＞
.　 　　 　　レ'　　　　　/｀　-､＿ ,ィ'　ﾄ､ |
　　　 　 ＿/　　　　　/　　　　　 　ヽ｜ ヽ
　 　／　r/　　　　　 ,
- '´　　｜　　　　　　ト､
　　　　　＼ 　 　　　 |　＼
　 　 　 ─────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ┃
　　　　　　　　そう言ってすずは、走り去った車の方向に視線を向ける。
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━──────


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿.　 　 　 　 /⌒＞''"~~~~~"'＜⌒ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|＿__|　　　　 　 |／::／⌒ヽ::／::⌒:＼ |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|￣￣￣|　 　 　 /::/.:::::/⌒｀｀｀⌒ヽ::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 二二二.　 　 　 |:::|:::|:::|⌒　　　 ⌒|:::|::::|:::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |＿＿　 |　　　 ∧:::::|从＿　 　 ＿从|::::| :::〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＿＿|　 |　　　 {::::::从x==ミ　　 x==ミ::从:/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |＿＿＿|　　 　 ∨(:.　　　　 `　　　　 }:| )
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿_.　 　 　 　 |::::∧　　　r‐┐ 　　∧〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　 |　 　 　 　 |::::::込　 　 ー　　　.:|::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|＿|.　　　　　人::::∨_＞　 __　＜_ 从:ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞ |ニニ| | |ニニ|＜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ /　 ＼==| | |==／　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ 　/　　|-=ﾆフニニ=- |　　| ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /|　/|　　 |-=ﾆ＼O二=- |　　|＼∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /| |.//|　　 |-=ﾆﾆ lﾆﾆﾆ=-|　　|　 /∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　 //|./　｜ 　 |-=ﾆﾆ lﾆﾆﾆ=-|　　| 　//∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ l /　　 |　　 |-=ﾆﾆ lﾆﾆﾆ=-|　　|　　 / ∧


.

　　　　　　　　　　　　　　 ---　.._
　　　　　　　　　　 ,　'´.　　　 .　　＼　　　　　　　　　「そういうこと、なんでしょうね」
　　　　　　　　　 /　　.:::: .:.　 ::::.　 :. ヽ
　　　 　 　 　 　 l　 :..:/!:::;:::..:::::ﾊ::...::.　l
　　　 　 　 　 　 ! . ::::i-Vﾐ､:::::;'-ﾍ:::::::: !
　　　　　　 　 　 ､ :ヽ|１::j｀ V l:::j`!::::./
　　　　　　　　 ∠}::::人　　　　　 人::i`:.､
　　　　　　　　 　 j::;ﾂﾞ^　､ ー ,. 'ヾ::::{￣　　　-3
　　　　　　　　　　´ 　__　j ￣ i,.へ ｀`
　　　　　　　　　　　 /　 ｀ヽ_ri´　　〉
　　　　　　　　　,..r ' ＼　/､i_ハ ／ ｀ i-､
　　 　 　 　 　 ﾊ三! 　 `ベ;l:l;У´　　,三ﾊ
　　　　　　　　!　Ⅶ!　　　　　　　　　,ﾆ/　',
　　　　　　　 ,'　　Ⅵ　 　 　 　 　 　 |7　　 ',
..　　　　　　 ,'　 　 ｀i　 　 　 　 　 　 i'　　 　',
　 　 　 ─────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ┃
　　　　　　あきらめたように言うすずに、しのぶがうなずいて見せた
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━──────


　　 　 　 　 　 　 　 ／⌒＼＼
＿＿＿＿_,,..､､､､､､､､..,,_⌒}O}
　⌒＞''"::::::::::::＿__::::::::::::::＿｀丶、
　／::／::::::::／::::::::::::＼／::::::: ＼:::＼
/:::::/:::::::::::::::::::／:::⌒＼／:::::::::::::＼:::＼
:::::/:::::::::::::::::::/:::: /´｀｀｀｀｀｀｀｀＼:::::::::::::::..　　　　　　　　　　「はい」
:::::::::::::::::::::::: {:::::/　　　　 　 　 　 ヽ::: /:::::}
::::{:::::::::::{::::::::{::::{　　　　　　　　　　 ∨:/::::}
::::{:::::::::::{::::::::{::::{　　　　　　　　　　　∨:::: {
::::{:::::::::::{::::::::{::::{　 ／￣￣　　　￣＼}::::::::＼
::::{:::::::::::{::::::::{::::{／　　　　 　 　 　 　 } ::: /⌒
::::{:::::::::::{::::::::{::::{　　　＿_　　　　　_　从:/
::::{＼:::::::::::::::{::八 ｙ'''"⌒^ 　 　　 ⌒{:::〈
::/(　}＼(＼:::＼　, ,　　　　　　 　 ┐}:::::}
人__ﾉ::::::::::::}/⌒　　　　　　　　　　　从::{
＼/:::::::::::::::{　 　 　 　 　＿　　 ,　 /::::::::}
　.::::::{:::::::::::{＼　　　　 　 　 　 　.::::::::::::::}
　{ ::::{:::::::::::{＿＞　　　 ＿＿／}:::::::::::::八
　{ ::::{:::::::::::{ニニニニニ}}}|　　 }:::／)/
　{/＼::::::::::{ニニニニニ}}}|＼　}/
／⌒＼(⌒ニニニニニ／＼ ＼＿＿
　　　　∨￣￣￣￣　/〇ﾆ-_　　 ＼　＼
.　 　 　 ∨ニニニニ〈ニニニ-_　　　＼　＼
＼　　 　 ∨ニニニニ＼ニニﾆ-_　　　 |　　|


.

　　　　　　　　　　　　　　　「先生、一緒に薬草つみにいきませんか？

　　　　　　　　　　　　　　　　　この辺にはあまりないですけど、山の中に入れば」


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::::::::::::::::::::::)／＿＿:::::::::::::＼ ::::::::::::/＼/ /　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::::/￣:＼:/::::::::::::::::::::＼ :::::::|＼ :::/::::::::∨　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ..:::/::::::|:::::＞'⌒｀｀⌒＼:::⌒::::::::::|:::::∨::::::::::::::.　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::/ :::::::|'"　　　　　　 　 ｀^⌒i:::::::|:::::::|:::::: ::/:::::./
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '⌒|::::::::|:::::|　　　　　　　　　　　/|:::::::::::::::|:::::::/::::::::i＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| :|::::|:::N⌒　 　 　 -‐…‐-/:::::::::/ ::::::|::: /:::/:: :|　 )
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|/|::::|:::|　　　　　　　　　　/:::::::::/ ::::::: |::/:::/ :: ::|( 〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　八::从=ミ　　　　 _,,..,,_⌒:|:::::/ ::::::／|:::::/::::::::::| ＼､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∧::|　　}　　　 ＾¨^⌒刈:::::::::／|::从V:::::::::: /　　＼┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／::::::::|　 〈　　 　 　　　　ﾉ:::／|::/|/'　 |::::::／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／.::::::::/:::.　　 ＿　　　　　　⌒|:::::/:::| )　人 '
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/.:::/::::::/::::∧　 {　　　>　　　　　|::/::::::|,／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::|:::::::|::::/　　､　ー　　 　　　／|::::::::::::〈＼／＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 从::|:::::::: /　　　 ＼＿＿　. . : : :/:::::::::::::::}_/　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼从:(＿　　＿ 　_/＼.:_: :-/::::::::::|:::://　　＼＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＿ | i⌒V|⌒ｉ ∧-ニニ /⌒¨¨ ::://　 　 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|ｉ⌒| |　 | |　 |/_∧-=ニニニニ /　　　　　　 　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　||　 | |　 | |　 |⌒)　-=ﾆニニニ/　　 　 　 　 　 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　( ＼. ||　 | |　 | |　 | /-=ﾆ＼ニ=-ﾆ/　　　　　　　／　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(＼ ＼　 | |　 | |　 |' /-=ﾆﾆニニ ./　　　　　　／＼　　　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼＼ ＼＼_　＼　V ○-=ニニ ./　 　 　 　 /　　　＼￣￣　　|
　 　 　 ─────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ┃
　　　　　　しのぶは屈託ない声で誘ったが、すずは首を横に振る。
　 　 ┃
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　　　　　　　　　　　　　　　　　 _＿ _
.　　　　　　　 　 　 　 　 ´　　　　　　　　 ミ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀
.　　　　　　 　 ／　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ＼
. 　 　 　 　 ／　　　　　　　　　　　　　　　　i.　 ＼ 　 　 ヽ　　　　　　　　　　　　 「そうね。いえ、今日はやめておくわ。
　　　　　　　 /| 　 ∧　 　 　 　 　 |＼　　　|: ＼　＼　　　 ,
　　　　　/　/ :|　　 : ’ 　 　 |＼　￤: .ヽ 　 : : : .ヽ|: : .　 　 ′　　　　　　　　　　　　 人を連れているから」
.　 　 　 ′　.: :　　i : : .＼　￤: .＼| : : : ’.　} : : : : : ｉ. : ＼　 ’
　　　 　 　 ｉ :八　 | : : : : .＼|: : : : : : : : : .∨ : : | : : }.∨.: .ヽ. i
　　 　 ｜　| : : .＼| : : : : : : : : : l＼: :小 : : : : : ﾘ∨:厂∨: : 　|
　　 　 ！　: : : : : : : : : : :ゝ; : : .:|:|‐＼|　，: : : /　斗=ﾐ. } : : :｜
　　　 　 　 } : : : : : : : : : :∨＼斗≠ミ.　 '. :/./ 　 }ﾉ:} } ｆ: : : : |
.　　　 　 ∨ : : : : : : : : : : :’　爪ﾉ::::::} ｀　ｊ/}/　　 ﾋﾂ　 {: : : :￤
　　　　　　 ，: : ＼ : : : : : :‘, ` 辷ﾟツ 　 　 ″　　　　　　: : : :乂 _,
. 　 　 　 　 人: : : .＼: : : ＼乂　　　　　　　 　 　 　 　 从 : :八.;ノ
.　　　　　　 　 ＼: : : : : : : : .＼　　　　　　　　　　　 ／. : :乂: : ＼
　　　　　　　　　 }ヽ: : : : : ≧.: .＼　　 　 ､　　'　 ／. : : : : : ; ≧¨´
　　　　　　　　　ﾉ. :ｆ. : : : : : ; : 人　　　　　 　 ／｀　 ミ ￣
.　 　 　 　 ｰ=彡　小: :／ :∧ ＞ ＼ ≧ ｔ-イ



.

　　　「そうみたいですね。そちらの人も幽波紋遣いですか？」


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 -‐……‐-　　　＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　...'":＿:::::::::: ／::＿__:::::`'＜.］o|
　　　　　　　　　 　 　 ┌―／:／:::::::::＼:::::／::::::::::::＼::::::::＼|
　　　　　　　　　　　 　 | [ｱ:::::::::／::::::::::::∨,,..､､､､...::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　∨/::::::::::／"⌒¨´　　　　　 ＼::::::::::::::::::::.
　　　　　　　　　　　 　 /::::::::::::/　　　　　　　　　 　 　 ＼|:::::::::::::::.
　　　　　　 　 　 　 　 ﾉ:::::| ::::::|　　　　　　　　 　 　 　 　 |::: |:::::::::::.
　　　　　　　　　　　　|:::|:::| ::::::|　　　　　　　 　　 ￣￣＼|::: |:::::|:::::i
　　　　　　　　　　　　|:::|:::| ::::::|／￣　　　　　　　　 ＿　/:::::|:::::|:::::|
　　　　　　　　　　　　|:::|::::::::::::|　　 ＿　　 　 　 ／_,,..,,_ノ|:::::::::::|:::::|
　　　　　　　　　　　　|:::|:::::::: N ／_,,..,,_ 　　 　 　 ^^⌒^' |:::::::::∧:::|
　　　　　　　　　　　　|:::|:::::::::::::. 〃^⌒´　　　　　 　　 　 |／)/:: ∨
　　　　　　　　　　　　|:::|::::|＼(::＼　　　　　〈　､　 　 　　 　 .:::::::＼
　　　　　　　　　　　 人:|::(:∨:::〈⌒　　　　　　　＿_　 　 　 /|::::::::::::＼
　　　　　　 　 　 　 　 　ヽ　{ :::::::..､　 　 　 く::::::::::::/ 　 　 /八:::::::::::::: }
　　　　　　　 　 　 　 　 　 ノ::::::::::| ＼　 　 　 ー　 　 　 ｨ､ 　 }::: }::::: 人
　　　 　 　 　 　 　 　 　 /:::::::::::::::|　/〕ト　　　　　　 ／　|>)　从/)／
　　　　　　　　　　　　＿{从:::::::::八_|人〕トﾆ=‐-‐＜／　）ﾆ|＿
　　　　　　　　　　 ／／￣／/￣|￣|二二ﾆ=-_ ／　／／ )／｀¨⌒＼＿＿
　　　　　　　　　 /／＿／　/　　］　〕ニニ=-.／　／／　／/ 　 | 　　 | 　　 ＼
　 　 　 　 　 　 //　 ／.／/　 　.］　］ﾆ=- ／　／／　／　）　　/＼　 ］ 　/ 　 |



　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ-'（＿＿__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 （＿＿_
　　　　　　　　　＿＿＿＿＿　　　　　　 ／
　　　　 　 　 ／ |　|　|　|　|　|＼　 ） ） ./
　.（ （　　 .／..|　|__|ノ|　|ヽ|__|　 ＼　 　ヽ、
　　　　 ／ 　 ／|　|　|　|　|　|｀　　＼　　_＞-
　　　　.l　　　　　　　　　　　　　　 　 l　（　　　　　　　　　　　「えっ」
　　　　.|　　 　 U　　＿'＿_ 　u　 　 .| っ
　　　　 ＼　　　　　 |:::::::::::|　　　　／ ﾉﾉ
　　　　　　＼　 　U |:::::::::::|　　 .／、＿＿__
　　　 　（（　 ｀＞-..,,_￣￣_,,..イ|::::::::::::::::::::::::｀ヽ
　　　　.,..-''"´:::::::::| |　　　 　 //:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　 /::::::::::::::::::::::ヽヽ ＿_ ノ/:::::::::::::::::::::::::::::::::::: ヽ
　　　 l::::::::::::::::::::::::::::｀"'''''''''":::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ



.

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「違うわ。ただの人間よ。この町の人間でもないし」

　　　　　　　　　 _,.　- - - 　.,
　　　 　　 　 ,　'　　　　　　　　`ヽ,
　　　　　　, '　　　　　　　　　 ,　　　＼
. 　　 　 , '　　　 , ';　 ,.　　　,' ' ,　　　 ヽ
　　　 /　　,　 ,'　.;., '　' ,　 ;' 　 '.,　 ,' ,　ﾞ､
. 　　 i 　 ,' ; ,.'　,.　 ,ｨ　 ', ,'　ﾄ､　' , ;　',　 'i
. 　　 |　,'　i　　/l　/ ヽ　 '　 !　ヽ　'　, ',　 |
　　　 i　;　 i　ｧ-t‐'.､　ヽ　　!-─ト　 j　;　 |
. 　　 ',　',　ヽ,! '|~｀ヽ　 i　/ ｨ'~ ﾄ､i　i　,'　 ,'
　　　　',　;　 i　 |;;;;;|　　 i/　 |;;;;;| 　ﾚ　,'　/
. 　　　,.ヽ'　　!　　　　　 '　　 　　　!　,' ,ｲ
　 __,.ノ___j　 ハ　　　　　　　　　　,'　;'./ ＼
　　　　　,! /　ノ^ヽ､　　-　　 ,.イ､　 ;.i`ｰ ､ヽ
　 　　　/ノイ´　　　|` ｰ　'"| 　　 ゝ､i､　　 ｀
　 　　　　　ﾉ^｀`ー/_　　　　i,. - '"^ヽ
　　 　 　　 /　　　　　 `,　 ／ 　　 　　 ヽ
　　　　　 ,.ゝ､　　　　　i,.-'ヽ　　　　　　,ﾉ
　　　　／　　 ＼　　　 !　　 ヽ　　　 ／ヽ



　 　 [__〕_〈⌒'く⌒ア:::::::::::::::／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／::::::::::::::::::::::::::＼:::＼
　　　〈__〕ﾛ〕----/::::::::::::／::::::::::::::::::::::::＿＿::::::::::::::::／⌒＼::::::::::::::::::＼:::.
　　　　〈_〕八＿ .::::::::::::,:::::::::::::::::::::::::／_:::::::::::::::＼／::::: ／⌒＼:::::::::::::::::::::|
　　　　　〈_〕 ＼ .:::::::: /:::::::::::::::::::::::/=-_,,..＞～''"~~~"＝－_ミ_::::::::::::::::::::: |
　　　　 　 ＼L| .::::::::/ :: |::::::::::::::: /'"´　　　　　　　　　　　　⌒＼:::::::::::::::::::.
　　　　　　　 ＼|::::::::::::::::|::::::::::::::/　　　　　　　　　　　　　　　　　　:::::::|:::::::::::
　　　　　　　 　 |::::::::::::::::|:::::::::|:/　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 |:::: |: |::::::::
　　　　　　　　　 ::::|::::::::::|:::::::::|'　 　　 　 　 　 　 　　 　 　 　 　 　 |:::: |: |:::::::|　　　　　　　 「あらそうでしたか。
　　　　　　　　/ :::::|::::::::::|:::::::::|-‐''"”⌒^　　　　　　　 ^⌒”“"'' ‐-|:::::::: |:::::::|
　　　　 　 　 〈_∧::|::::::::::|:::::::::|　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 |::/:::::|:::::::|　　　　　　　　 それじゃ御用はなさそうですね。
　　　　　　　〔_（ / |::::::::::|:::::::::|'"~~~~"'' 　 　 　　　　　 ''"~~~~"''　|:::::::: |:::::::|
　　　　　　　　〕(|　|::::::::人::::从y=＝=ミx 　　　 　 　　 y=＝=ミkx |::::/:::|:::::::|　　　　　　　　　 それなら私はこれで帰ります」
　　　　　　 　/ 八 |:::::::::::::::::::{　';';';';';';';';'ド　　　　　　　 ':;';';';';';';ﾘ 》 :/:::/|:::::::|
.　　　　 　　/ /　　〈:::::::::::::::八乂;';';';';'ノ　　　　　　　　乂':':':':ノ /::ｲ:::/ 八::::|
　　　　　　/ /　 　 ∧:::∧::(　　｀¨^^¨　　　　　　　　 　 ＾¨^¨´　 /: 〈　　 ∨
　　　　　(从(　　　 |:::∨:::|∧　　　　　 　 　　 .::　　　　　　　　　/::::|::::.
　　　　 　 　 　 　 /::::::::::::|ノ!:::.　　　 　 　 　 `　 ^　　　　　　　.::::::::|:::::::.
　 　 　 　 　 　 　 |:::::::: | :|ﾆ|ﾆ::::､　　　　　―=＝=一　　　　 ｲ:::::::::|:::::: |＼
　　 　 　 　 　 ／人 :::: | :|ニニﾆ ＼　　 　 　 ー 　 　 　 ／ﾆ| ::::::::|:::::: |　|l＼
.　　　 　 　 ／／ 　 ＼:::八-=ニニ 个　., 　 　 　　　　イニ ノ:::::::::/::::: /　||　 ＼
　　　　　／⌒| 　 　 　 ＼: ゝ-=ニニニニニ=‐-‐=ニニﾆ⌒７:::／:::／　　|| '⌒| ＼
　　　　/ '⌒７|　　　　　　|⌒ ＼-=ニニニニﾆ| | |ニニニニ:／⌒　　　　 ||/　 |　　＼


.

　　　　 .ﾄ､　 ∧　　　　|　／　　 ＼
　　　　 .| ∨ |　∨　　 .ﾚ´　／::::⌒∨　　　　　　　　　　　　 「帰る？
　　　　 |　_∨.　 ∨　　|　 /　i.:::::::::::::∨
.　　　　ﾄ､￣二､　∨　 |.　　　ヽ:::::::::::∧　　　　　　　　　　　　　 あなたここで寝泊まりしてるんじゃないの？」
. ∨.　　 ∧｛ ::::ヽ.　＼ |　　　　　ｰ　'　 } ﾄ､
　 ∨　 　 ∧ ` ::::.;　　`　　　　 　　　　 ﾚ　}
　.　∨　　　∧　､:::}　　　　　　　　　　　　　|
　　　 ＼　　 ﾊ　　 　_　　　　　　　　　　 / |
　　　 　 ＼　 人　　　　　　､　　ﾌ　　　/　 |
　　　　　/　 } .　　＞　　　　 ￣　 　 イ
　　　.　/ ／ |　　 /　　／`　 ‐-　´　 |　　
　　　 /　.　　|　 ./　／
　　　　　　　 |　/／
　　　　　　　 ﾚ



　　　　 　 　 　 　 　 　 　 / 〇＞'".:.::..:.:.:.:.:.∨.:.:.:.:.:.:.:.:. ＼〇o＼
　　　　　　　　　　　　　　 |O／.:.／.:／⌒＼:ノ⌒＼.:.: ＼.:.＼ |O|　　　　　　　 「いえ。ここには呼ばれたから来ただけで。
　　　　　　　　 　 　 　 　 ／ .:. /.:.:/.:.:⌒＞～＜:⌒＼.:.:.:＼.:.＼/
　　　　　　　　　　　　　 //.:.:. /.:.:/／^　　　　　　　⌒ヽ.:.:.:.:`､.:.:`､　　　　　　　　　寝泊まりしてる場所は
　　　 　 　 　 　　　 　 /.:.:.:.:.:.:.:.:/　　　　　　　　　　　　 ',.:.:.:.:.:.:.:.::..:.
　　　　　　　　　　　　/ :|.:.:.:.:.| .:|　　　　　　　 　 　 　 　 |.:.:.:.:.:.|.:.:.:.:.:.　　　　　　　　以前先生に教えていただいたところですよ」
　　　　 　 　　 　 　 / :. |.:.:.:.:.| .:|／￣　　　　　　￣￣＼|.:.:|.:.: |.:|.:.:.: i
　　　　　　　　　　　.:.:.:.:.|.:.:.:.:.| .:|　　　　 　 　　 　 　 　 / :.:|.:.: |.:|.:.:.: |
　　　　　　　　　　　| .:.:.:|.:.:.:.:.|＼　　　　 　 　 　 　 　 ⌒＼|.:.:..:.:|.:.:.: |
　　　　　　　　　　　| .:.:.:|.:.:.:.:.|　 ＿＿　　　　　　　＿＿　　:/.:.:.:|.:.:.:/
　　　　　　　　　　　| .:.:.:|.:.:.:.:.| ''"^⌒｀｀^ 　 　　　｀｀⌒^ヾV.:.:.:.:.:.:.:/:）
. 　 　 　 　 　 　 　人.::八(＼乂　 　 　 　　 .:　 　 　　　　_彡_彡ｲ):/
　　　　　　　　　　　　 八 V::.　　　　　　 　 ､::, 　　　 　　⌒７.:.:.∨
　　　　　　　　　　　　　　/.:∧ 　 　 　 　　　　　　　　　 　 .:.:|.:.:.:.|
　　　　　　　　　　　　　ノ.:./.:.:..　　　 　 < ￣￣ >　 　 　 /.:.:|.:.:.:.|
　　　　　　　　　　　　/ .:.:.:.:.:.:.:| :.､　　　　　こ 　 　 　　 ｲ.:.|.:|.:.:.:.|
　　　　　　　　　　 　 |.:.::|.:.:.| ..:|　|:＼　　　　　 　 　 ／ .:| .:|.:|.:.:.八
　　　　　　　　 　 　 人.:.|.:.:.| .:.|　|)>　ﾆ-　 .,__,.　-ﾆ　 <(| .:|.:|.:/).:.:)
　　　　　　　　　　　 　 ＼ .:| .:.|-.|ニニニ=-　 -=ニニニ| :ﾉ../ :／
　　　　　　　　　　　　　／＼(⌒∧ニニﾆﾆ.| | | ニニニ∧:／ ＼


.

　　　　　　　　　 _,.　- - - 　.,
　　　 　　 　 ,　'　　　　　　　　`ヽ,
　　　　　　, '　　　　　　　　　 ,　　　＼
. 　　 　 , '　　　 , ';　 ,.　　　,' ' ,　　　 ヽ
　　　 /　　,　 ,'　.;., '　' ,　 ;' 　 '.,　 ,' ,　ﾞ､
. 　　 i 　 ,' ; ,.'　,.　 ,ｨ　 ', ,'　ﾄ､　' , ;　',　 'i
. 　　 |　,'　i　　/l　/ ヽ　 '　 !　ヽ　'　, ',　 |
　　　 i　;　 i　ｧ-t‐'.､　ヽ　　!-─ト　 j　;　 |　　　　　　　　「え？あの家」
. 　　 ',　',　ヽ,! '|~｀ヽ　 i　/ ｨ'~ ﾄ､i　i　,'　 ,'
　　　　',　;　 i　 |;;;;;|　　 i/　 |;;;;;| 　ﾚ　,'　/
. 　　　,.ヽ'　　!　　　　　 '　　 　　　!　,' ,ｲ
　 __,.ノ___j　 ハ　　　　　　　　　　,'　;'./ ＼
　　　　　,! /　ノ^ヽ､　　-　　 ,.イ､　 ;.i`ｰ ､ヽ
　 　　　/ノイ´　　　|` ｰ　'"| 　　 ゝ､i､　　 ｀
　 　　　　　ﾉ^｀`ー/_　　　　i,. - '"^ヽ
　　 　 　　 /　　　　　 `,　 ／ 　　 　　 ヽ
　　　　　 ,.ゝ､　　　　　i,.-'ヽ　　　　　　,ﾉ
　　　　／　　 ＼　　　 !　　 ヽ　　　 ／ヽ



　　　　　 　 　 　 　 　 　 ＿　　　　　 　 　 　 　＿
　　　　　　　　　　　　　　| |^＼ 　 -‐…‐-　.／^| |
　　　 　 　 　 　 ｃ　　 　 | | ／::::::::::::::::⌒＼::::＼| |
　　　　　　　　　　　　　　∨:::::::⌒ヽ::／⌒＼::::::::ヽ
　　　　　 　 　 　 ｃ　 　 _/:::::::/'⌒｀｀`⌒ヽ:::::::::::::::::.　　　　　　　　　「そうですけど……なにか？」
　　　　　　　　　　　　　 |::::::∥　　 　 　 　 | ::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　 |::|:::i|　 /　　　 ＼_|ｉ::::::|:::::::|
　　　　　　　　　　　　　 |::|::::|／　 　 　　　从::::|:::::::|
　　　　　　　　　　　　　 |::|::::|y=ミ　　　 x＝ミ|::| :::/
　　　　　　　　　　　　　 |::: 八 V;'ﾉ 　 　 V;'ﾉ |人/
　　　　 　 　 　 　 　 　 从(::::::ゝ　　 ／)､　　八::|
　　　　　　　　　 　 　 　 　 |:::|ヽ「／／／)､ｲ |::::|
　　　　　　　　　 　 　 　 　 |:::|_//　　/ / /ﾆ.从ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　从|:{　　　　　/ニノ　＼
　　　　　　　　　　　　　／　　λ　　　　ｲ_／ﾆ|　　|＼
　　　　　　　　 　 　 ／/　　 //＼　／Ｏﾆﾆﾆ.|　　|　 ヽ
　　　　　　　 　 　 /／］ 　 /=＼　＼>ニニニ」 　 [ 　 ∧
　　　　　　　　　 //　 /　 /ニニ.＼ /ニニニ｜　 |＼/ ∧
　 　 　 　 　 　 /＿_,/_／ ニニニニ>ニニ〔___〕　 |　 |./　|
　　　　　　　__/　ｒ＜/ ニニニニ／ﾆ|Oニニﾆ| 　 |＿|＼∧
　　 　 　 　 |　　 |ﾆ/ニニニニ./ニﾆ.|ニニニ｜　 |　| ＼ ∧
　　　　　　 ∧　/| ニニニニニ|ニニ.|ニニニ｜　 |　| 　 / ∧


.

　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　「だって、あの家」
　 　 　 ／　　　　　　　　　　　　　 　 　 　ヽ
　　 　/　　　　　　　　　　　　　　　,、　　　　 ､
.　　 /　　　　　　　::{ :::::∧　　::::::::::| ヽ :::::ヽ　::::i
　　/　　　　　　|　::::| ::/‐-＼　:::::::.{　 ヽ ::::::l　::::ｌ
　　ｉ　　　　　　 |　::::∨　／/ ＼　:::|　　-‐ヽ|　::::|
　　|　　　　　　∧　::::|.　　 { 　　 ﾄ､| 　　,ィ┤　::::|
　　ｌ　　　　　 　　}　::::|　　_| ._＿L　 　　ｌ｜|　　::ｌ　　　　　　　　　　　　「それにあそこ、おばあさんが一人いたはずだけど……」
　　ヽ　　　　　　　ﾄ､　| 　　　 　 　 　 　 Lｌ｜　/
　　　 ､ 　 　 　 　 ヾヽｌ　　　　　　　　　　　 |. /
　　　ノ　　　　　　　　ｌ.　　　　　　　　　　　//
.　／　　　 　 　 ﾊ、　ｌ　 　　　￣　-　　／､
　　￣/／ !　 /　 ＼ |　　　　　　　　／ ト､_ ＞
.　 　　 　　レ'　　　　　/｀　-､＿ ,ィ'　ﾄ､ |
　　　 　 ＿/　　　　　/　　　　　 　ヽ｜ ヽ
　 　／　r/　　　　　 ,
- '´　　｜　　　　　　ト､
　　　　　＼ 　 　　　 |　＼



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 -‐……‐-　　　＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　...'":＿:::::::::: ／::＿__:::::`'＜.］o|
　　　　　　　　　 　 　 ┌―／:／:::::::::＼:::::／::::::::::::＼::::::::＼|
　　　　　　　　　　　 　 | [ｱ:::::::::／::::::::::::∨,,..､､､､...::::::::::::::::::::ヽ　　　　　　　　「はい、一緒に暮らしていますよ」
　　　　　　　　　　　　　∨/::::::::::／"⌒¨´　　　　　 ＼::::::::::::::::::::.
　　　　　　　　　　　 　 /::::::::::::/　　　　　　　　　 　 　 ＼|:::::::::::::::.
　　　　　　 　 　 　 　 ﾉ:::::| ::::::|　　　　　　　　 　 　 　 　 |::: |:::::::::::.
　　　　　　　　　　　　|:::|:::| ::::::|　　　　　　　 　　 ￣￣＼|::: |:::::|:::::i
　　　　　　　　　　　　|:::|:::| ::::::|／￣　　　　　　　　 ＿　/:::::|:::::|:::::|
　　　　　　　　　　　　|:::|::::::::::::|　　 ＿　　 　 　 ／_,,..,,_ノ|:::::::::::|:::::|
　　　　　　　　　　　　|:::|:::::::: N ／_,,..,,_ 　　 　 　 ^^⌒^' |:::::::::∧:::|
　　　　　　　　　　　　|:::|:::::::::::::. 〃^⌒´　　　　　 　　 　 |／)/:: ∨
　　　　　　　　　　　　|:::|::::|＼(::＼　　　　　〈　､　 　 　　 　 .:::::::＼
　　　　　　　　　　　 人:|::(:∨:::〈⌒　　　　　　　＿_　 　 　 /|::::::::::::＼
　　　　　　 　 　 　 　 　ヽ　{ :::::::..､　 　 　 く::::::::::::/ 　 　 /八:::::::::::::: }
　　　　　　　 　 　 　 　 　 ノ::::::::::| ＼　 　 　 ー　 　 　 ｨ､ 　 }::: }::::: 人
　　　 　 　 　 　 　 　 　 /:::::::::::::::|　/〕ト　　　　　　 ／　|>)　从/)／
　　　　　　　　　　　　＿{从:::::::::八_|人〕トﾆ=‐-‐＜／　）ﾆ|＿
　　　　　　　　　　 ／／￣／/￣|￣|二二ﾆ=-_ ／　／／ )／｀¨⌒＼＿＿
　　　　　　　　　 /／＿／　/　　］　〕ニニ=-.／　／／　／/ 　 | 　　 | 　　 ＼
　 　 　 　 　 　 //　 ／.／/　 　.］　］ﾆ=- ／　／／　／　）　　/＼　 ］ 　/ 　 |


.

　　 ::
　　::::
　 .:::::　　::::　　　　　　:::　　　　:::
　 ::/i　 ::::ト､　　　　　:::ﾄ､　　 ::ﾄ､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「あらそう？……そうなの？」
　.::|. |　::::|　∨　　　::::::|　∨　::| ∨　　 　::.　　　 |
　::|.　|　::|. 　 ∨　　　...|. 　∨::|　 ∨　　:::i:.　　　 i
. ::|'"´∨ i`ヽ.　∨　　:::| , -=∨￣ Y　　:::　　　　 i
　:|.　,ｨ∨ﾄ､.　 　∨　::::|　 　厶=-､ |　::::/::. 　 　 ,
　 k'´ 鄙鉤` 　　 ∨ :::i　 '".鍬鞠 .Y :::/::::　　　 ′
:ﾄ､{. 　陦醪　　　　∨:/.　　 陬効　| ::/::::: 　　 /
:ﾊ ＼ ￣￣ 　 　 　 i/　　　 ￣￣　ﾚ'::|::::　　 /　　　　　　　　　　　　　「まぁ……それならそのほうがよかったと思うけど」
. ﾊ　　　　　　　　　　　　　　 　　 　 /::|::　　.∧
　∧　　　　　　　 　,　　　　　　 　 /:::::|::. 　/　 ＼
./.　＼　　　　　　　　　　　　　 　ｲ {:::::|::　/`ｰ──
. ,イ/ノ`. ､　　　　 _　　　　　 イ　　∨　　ﾄ､
　　´ヾ丶　＞　　　　　　 ＜/　 　　 ∨ ./　丶
　 　 　　 　＼　`　- 　´ .／　　 　/ 　∨ 　　　＼
　　　　　　 　 ＼.　　　／　　　　/　　　　　　　　　＼




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ 　 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　_,ﾉ　 　ー ＼
　　　　　　　　　　　　　　　／ 　　（●） 　（●）　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　|　　u.　　　　'　　　　　 |　　　　　　　　　　　　（なんだろう、彩園さん珍しく歯切れ悪いな」
　　　　　　　　　　　　　　　＼ 　 　 　 - ―　 　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　 　 　 　 　＼


.

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「それでは先生。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　失礼しますね。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　また、機会があったら」
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 /＼
　　　 　 　 　 :;:;:;:;:;:;:;:;:;:.:;:..;:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. /o/o|.ﾞ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:;..:;:.:;:;:;:;:;:;:;:;:;:
　　 　 　 ,:;:;:;:;:;:;:;:;:.:.:.:.:.. .:. .:. .:. .:. .:. .:.../o/ lo|　　　＿＿＿＿＿ . :. .:. .:. .:. .:. ..:.:.:.:.:;:;:;:;:;:;:;:;:
.　　　　:;:;:;:;:;ﾞ＿＿＿＿＿_　 　 　　 /o//＞''".:::::::::.::::::::::::::::::::::::: ＼　 　 　 　 　 :.:.:.:.:.:;:;:;:;:;:;:
.　 　 :;:;:;:;:;:.:.[Ｏﾆニニニﾆﾆ=- _　　 |o／:::::::::::::::::／￣￣::::＼:::::::::::::＼　　 　 　 　 :.:.:.:.:.:.:;:;:;:;:;:
.　　 :;:;:;:;:;:.:.:.ﾞ(○ Ｌ￣￣￣ ＼ﾆ＼ ／:------／::::::／:::::::／:::＼／￣￣:＼.　　　 　 　 :.:.:.:;:;:;:;:;
.　　:;:;:;:;:.:.:.:......(＿O＼￣￣￣ ＼ /::::::::::::::::／ :::::: / ::::::::/::::::::::::::|／:::::::＼::::＼　　　　　 :.:.:.:;:;:;:;:
　　　　　　　 　 　 (O（￣￣￣￣/::＼::::::::/:::::::::::::::| :::::::/:/⌒^⌒⌒＼::::::::::::::::::＼
.　:;:;:;:;.:.:.:.　　 　 　 (_o ＼＿＿∥::::::::::＼::::::::::::|::::::|::::::/:/　　　　 　 　　:::::::|:::::::::::::＼.　　　　 :.:.:;:;:
　　　　　　　　　　　　( ○＼＿:|:::＼ ::::::: |::::::::::|:::::::::::/／￣￣　 　 　　 |:::::|::::::::|:::::)⌒
.　:;:;:;:;.:.:.:　　　　 　 　 ｀⌒＞匕|:::::::::＼ : |::::::::::|::::::: /::|　　　　　　　　＼|:::::|::::::人:/.　　　　 　 :.:.:;:;:
　　　　　　　　　　　　　　 (O)/ |:::＼ ::::::: |::::::::::|::::::/ 斗ｬ＝ミk　　 =ミ　八:::::::/⌒
.　:;:;:;:;:.:.:.:.　　　　 　 　 　 (O)/ |:::::::::＼ : |::::::::::|::::::代∨;';'ﾘ 　 　　 ﾋﾃＹ::::::::::〈.　　　　　　 　 　 :.:.:;:;:
.　:;:;:.:.:　　　 　 　 　 　 　 (O) 八:::: /⌒＼ :::::::::＼(　 ´＾＾¨´　 　 　 ┐|::::::::::::::＼　　　　　　 　 　 :.:;
　　　　　　　　　　　　　　//／　 ､::{〈⌒)八::::::::::::(　　 　 　 　 　 　 　 从::::::::::::::: ＼
　　:;:;:;:;.:.:.:　　　　　　　 //　　　　 ＼＼_)　＼:::::::::＼＿　　　-　　 ﾌ /　 )::∧:::::::::::::)..　　　　　:.:.:;:;:
.　　　　　　 　 　 　 　 //　　　　　 ﾉ个 -- (　)::::::::::::::::::::)　 　 ｀¨¨( ＼ /:/　 〉:::::／
.　　:;:;:;:;.:.:.:.　　 　 　 (_/　　　　　 (_/　　＼::У::::::::::::::／　　　　　 /＼ ＼ ／⌒´.　　 　 　 　 :.:.:;:;:
.　　:;:;:;:;:.:.:.:... .　　　　　　　　　　 ,:;:;:;:;:;:ﾞ(___彡::/::::::／ー------ く＿__＼ ＼＿　 　 　 　 :.:.:.:;:;:;:;:
.　　 :;:;:;:;:;:.:.:.:.. ..　　　　　　　　　　　. .:;:; うT爪:::／----=ﾆＬ_　　(＿＿＿＿＿ ＼..　　:.:.:.:;:;:;:;:;
.　　　:;:;:;:;:;:.:.:.:.:.:.:　　　　　　　　　　 　 ／￣／￣|￣＼=----L　 (＿＿＿＿_　　 ＼.:.:.:.:.:;:;:;:;:;:
.　　　　:;:;:;:;:;:;:.:.:.:.:.:　　　 　 　 　 ＿／　 ／　　 /　　 | ＼ニニ||　　 (＿＿＿　 ＼　 ヽﾞ;:;:;:;:;:
　　　　　 ,:;:;:;:;:;:;:;:;:.:.:.:.:.. .:. .:. .:.../　 　 ／ 　 　 /　　　]　 | ﾏﾆ.八　 　 　 ＼ 　 ＼ 　 　| :;:;:
＿＿＿＿＿　 　 　 　 　　__／　　／　 　 　 / 　 　 〕 　|　∨.○＼____　 人 　　{ 　 　|
( )二○ニニニニ- _　 　 /　/　／　　 　 　 /　　　　〕　｜　〈ﾆ-_ﾆﾆ- ＼ 　|＼　＼　/＼＿＿＿＿＿＿＿＿＿_
ニニニニニニニニニ- / ／／　 　 　　 ／　　　　 /　 /　　∨ニ-_ﾆニ-＼|人＼　 [￣ ＼⊂⊃（⌒）ﾆO(⌒)ﾆ /
　 |　 |　 　 ∨　-ﾆＯ／　／　　　　　 ／|　　　　　/　 /｜　　∨ニ-＼ニニ＼ ＼＼_〕＿___）￣|￣／￣/￣￣/
＼|　 |＿＿∧_____／　／　　　　　 ／　｜　 　 ／　 /　∧　　 ∨ニニ-_ ニニ∨ ＼＿＿_∧＿／　　 /　／ /
／|￣| ＼_/ 　 ／　／　　　　　 ／　　　　　 ／　 ／　//∧　　 ∨ニニﾆ}ニニ_∨ニニニニニ〉/＼ _/__/_／
　 ＼　　 /__／　／＿＿＿__.／　　 　 　 ／　 ／ 　 　 //∧　　 ∨ニニ.}○ニﾆ}ニニ○ニﾆ/＼／ ＼.／
　　　＼__／　／　　　　　 ／　　　　　 ／　 ／　　　　　　/ ∧　　 ∨ニ /ニニﾆ八ニニニ=/ ○ ＼／ ＼＿＿
　 　 　 ───━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ┃
　　　　　　”しのぶ”が、笑顔を見せ、立ち去って行った。
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━───


.

　　　　　 ／￣￣￣＼　　　　　　　　　　　　　「美人さんですけど、癖のありそうな人だなぁ」
　　　　／　＿,ﾉ　　⌒ ＼
　　 ／　　（●） 　（●）　＼
　　| 　 　 　 、　´　 　　　　|
　　＼　　　　 ￣￣ 　　　／　　　　　　　　　　　　　　　「この町そんなんばっかか」
　 　ノ　　　　　　　　　　　＼



　　　　　　　　　 _,.　- - - 　.,
　　　 　　 　 ,　'　　　　　　　　`ヽ,
　　　　　　, '　　　　　　　　　 ,　　　＼
. 　　 　 , '　　　 , ';　 ,.　　　,' ' ,　　　 ヽ
　　　 /　　,　 ,'　.;., '　' ,　 ;' 　 '.,　 ,' ,　ﾞ､　　　　　　　　　　　「私のような真人間には色々と
. 　　 i 　 ,' ; ,.'　,.　 ,ｨ　 ', ,'　ﾄ､　' , ;　',　 'i
. 　　 |　,'　i　　/l　/ ヽ　 '　 !　ヽ　'　, ',　 |　　　　　　　　　　　　　生きづらい町よ」
　　　 i　;　 i　ｧ-t‐'.､　ヽ　　!-─ト　 j　;　 |
. 　　 ',　',　ヽ,! '|~｀ヽ　 i　/ ｨ'~ ﾄ､i　i　,'　 ,'
　　　　',　;　 i　 |;;;;;|　　 i/　 |;;;;;| 　ﾚ　,'　/
. 　　　,.ヽ'　　!　　　　　 '　　 　　　!　,' ,ｲ
　 __,.ノ___j　 ハ　　　　　　　　　　,'　;'./ ＼
　　　　　,! /　ノ^ヽ､　　-　　 ,.イ､　 ;.i`ｰ ､ヽ
　 　　　/ノイ´　　　|` ｰ　'"| 　　 ゝ､i､　　 ｀
　 　　　　　ﾉ^｀`ー/_　　　　i,. - '"^ヽ
　　 　 　　 /　　　　　 `,　 ／ 　　 　　 ヽ　　　　　　　　　　　しれっ
　　　　　 ,.ゝ､　　　　　i,.-'ヽ　　　　　　,ﾉ
　　　　／　　 ＼　　　 !　　 ヽ　　　 ／ヽ


.

　　　　　　　　　　　　　　 ---　.._
　　　　　　　　　　 ,　'´.　　　 .　　＼
　　　　　　　　　 /　　.:::: .:.　 ::::.　 :. ヽ
　　　 　 　 　 　 l　 :..:/!:::;:::..:::::ﾊ::...::.　l
　　　 　 　 　 　 ! . ::::i-Vﾐ､:::::;'-ﾍ:::::::: !
　　　　　　 　 　 ､ :ヽ|１::j｀ V l:::j`!::::./
　　　　　　　　 ∠}::::人　　　　　 人::i`:.､
　　　　　　　　 　 j::;ﾂﾞ^　､ ー ,. 'ヾ::::{￣
　　　　　　　　　　´ 　__　j ￣ i,.へ ｀`　　　　　　　　　　　「じゃ、私もそろそろ」
　　　　　　　　　　　 /　 ｀ヽ_ri´　　〉
　　　　　　　　　,..r ' ＼　/､i_ハ ／ ｀ i-､
　　 　 　 　 　 ﾊ三! 　 `ベ;l:l;У´　　,三ﾊ
　　　　　　　　!　Ⅶ!　　　　　　　　　,ﾆ/　',
　　　　　　　 ,'　　Ⅵ　 　 　 　 　 　 |7　　 ',
..　　　　　　 ,'　 　 ｀i　 　 　 　 　 　 i'　　 　',
　　　　　　　!　　　　ヽ　 　 　 　 　 /　 　 　 ',
　　　　　　 └=r―‐ｧ':.　　　　　　/T ¨¨T'''´
　　　　　　　 　 !　　', 　:.　　　 　,::　!　　;



　 　　 　　　　 ＿＿＿_
　　　　　　　／ ノ　　＼＼　　　　　　　　　　　　　　 「ちょっと待ってくださいよ、そろそろじゃないですよ。
　　　　　 ／　（●） 　(●）＼
　　　　／　u　　　___'__　 　　＼　　　　　　　　　　　　　 いったい私はどうなるんですか」
　　　　|　　 　　　 `ー'´ 　　　 |
　　　　 ＼　/⌒)⌒)⌒)　　 ／/⌒)⌒)⌒)
　　　　ノ　　|　/　/　/　　　(⌒) /　/ / /
　　　/　　　 |　:::::::::::(⌒)　　ゝ　　:::::::::::/
　　　|　　ｌ　 |　　　　　ノ　　/　　）　　/
　　　ヽ　 ヽ_ヽ　　　 /' 　　/　　　 ／
　　　　ヽ ＿＿　 ／　 　 /　　 ／



.

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「うーん、あの若君とあなたを会せたら
　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　＼
　 　 　 ／　　　　　　　　　　　　　 　 　 　ヽ　　　　　　　　　 あなたの希望も叶えるつもりだったのよ」
　　 　/　　　　　　　　　　　　　　　,、　　　　 ､
.　　 /　　　　　　　::{ :::::∧　　::::::::::| ヽ :::::ヽ　::::i
　　/　　　　　　|　::::| ::/‐-＼　:::::::.{　 ヽ ::::::l　::::ｌ
　　ｉ　　　　　　 |　::::∨　／/ ＼　:::|　　-‐ヽ|　::::|
　　|　　　　　　∧　::::|.　　 { 　　 ﾄ､| 　　,ィ┤　::::|
　　ｌ　　　　　 　　}　::::|　　_| ._＿L　 　　ｌ｜|　　::ｌ　　　　　　　　　「それもダメになったから、温泉にでも入って帰れば？」
　　ヽ　　　　　　　ﾄ､　| 　　　 　 　 　 　 Lｌ｜　/
　　　 ､ 　 　 　 　 ヾヽｌ　　　　　　　　　　　 |. /
　　　ノ　　　　　　　　ｌ.　　　　　　　　　　　//
.　／　　　 　 　 ﾊ、　ｌ　 　　　￣　-　　／､
　　￣/／ !　 /　 ＼ |　　　　　　　　／ ト､_ ＞　　　　　　　　しれっ
.　 　　 　　レ'　　　　　/｀　-､＿ ,ィ'　ﾄ､ |
　　　 　 ＿/　　　　　/　　　　　 　ヽ｜ ヽ
　 　／　r/　　　　　 ,
- '´　　｜　　　　　　ト､
　　　　　＼ 　 　　　 |　＼



.

　　　　「若君ってのは、先ほど車に乗っていったあの人ですか」


　　　　　　　　　　　 ＿＿＿_
　　　　　　　　 　 ／ 　 　 　 ＼
　　　.　　　　　／　＿,ﾉ　　　⌒＼
　　　　　　 ｌ^l^lｎ　 （●） 　（●）　＼
　　　　　 　ヽ 　 L　　 ､　｀　　 　 　　|
　　　　　　　 ゝ 　ﾉ　　 ￣￣　　 　／
　　　　　　／ 　 /　　　　　　　 　　＼
　　　　 ／　　 /　　　　　　　　　 　 　＼
　　　. /　　 　/　　　　　　　　　-一'''''''ー-､.
　　　人＿＿ﾉ　　　　　　　　(⌒＿(⌒)⌒)⌒))



　　　　　　　　　 _,.　- - - 　.,
　　　 　　 　 ,　'　　　　　　　　`ヽ,
　　　　　　, '　　　　　　　　　 ,　　　＼
. 　　 　 , '　　　 , ';　 ,.　　　,' ' ,　　　 ヽ　　　　　　　　　「そうなのごめんなさい」
　　　 /　　,　 ,'　.;., '　' ,　 ;' 　 '.,　 ,' ,　ﾞ､
. 　　 i 　 ,' ; ,.'　,.　 ,ｨ　 ', ,'　ﾄ､　' , ;　',　 'i
. 　　 |　,'　i　　/l　/ ヽ　 '　 !　ヽ　'　, ',　 |
　　　 i　;　 i　ｧ-t‐'.､　ヽ　　!-─ト　 j　;　 |
. 　　 ',　',　ヽ,! '|~｀ヽ　 i　/ ｨ'~ ﾄ､i　i　,'　 ,'
　　　　',　;　 i　 |;;;;;|　　 i/　 |;;;;;| 　ﾚ　,'　/
. 　　　,.ヽ'　　!　　　　　 '　　 　　　!　,' ,ｲ
　 __,.ノ___j　 ハ　　　　　　　　　　,'　;'./ ＼
　　　　　,! /　ノ^ヽ､　　-　　 ,.イ､　 ;.i`ｰ ､ヽ
　 　　　/ノイ´　　　|` ｰ　'"| 　　 ゝ､i､　　 ｀
　 　　　　　ﾉ^｀`ー/_　　　　i,. - '"^ヽ
　　 　 　　 /　　　　　 `,　 ／ 　　 　　 ヽ
　　　　　 ,.ゝ､　　　　　i,.-'ヽ　　　　　　,ﾉ
　　　　／　　 ＼　　　 !　　 ヽ　　　 ／ヽ


.

　　　　　　　　　　　　　　,　　--─‐‐--　，
　　　　　　　　　　　γ´　　　　　　　　　　　 ､
　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　/　　　´￣`　　　　　-─-'´　|　　　　　　「会えませんでしたが」
　　　　　　　　　　|　　　r´_..｀ヽ　　　　r´_..｀ヽ　|
　　　　　　　　　　|　　（ 　●　l　　　　l　 ●. ） .l
　　　　　　　　　　|　　 ヽ__ ¨_ノ　　 　 ヽ_¨_ ノ　|
　　　　　　　 　　λ　　　　　　　　　`　　　　　　|
　　　　　　　 　　　へ、 　　　　γ⌒ヽ　　 　 　八
　　　　　　　　　 /: : : : `　　.,_ _｀￣ ´　　　 イ
　　　　 　 　　 , ': : : : : : : : : ヽ弋二ﾆフ¨´ : : : ヽ
　　　　　　　_/: : : : : : : : : : : : :｀¨¨¨¨¨´: : : i/: : l、
　　　　　　 |: : : : : : : : : : : : :|l__]: : : : : : : : : :l, : : : `i
　　　 　 　 ,〉: : : : : : ､: : i : : |l　l : : : : [D.P]！: : : : ヽ
　　　　　 / : : : : : : : : ＼{: : : l　l: : : : : :”~^: :{ : : : : : : 、
　　　 　 /: : : : : : : : : : : :レ‐--､l: : : : : : : : : :V:＿__: : : 、
　　　　 .{ : : : : : : : : --/　　＼　}つ: : : : : : : ／,　,　L、 }




　　　　　　　　　 _,.　- - - 　.,
　　　 　　 　 ,　'　　　　　　　　`ヽ,
　　　　　　, '　　　　　　　　　 ,　　　＼
. 　　 　 , '　　　 , ';　 ,.　　　,' ' ,　　　 ヽ
　　　 /　　,　 ,'　.;., '　' ,　 ;' 　 '.,　 ,' ,　ﾞ､　　　　　　　　　　「ええ、ごめんなさい」
. 　　 i 　 ,' ; ,.'　,.　 ,ｨ　 ', ,'　ﾄ､　' , ;　',　 'i
. 　　 |　,'　i　　/l　/ ヽ　 '　 !　ヽ　'　, ',　 |
　　　 i　;　 i　ｧ-t‐'.､　ヽ　　!-─ト　 j　;　 |
. 　　 ',　',　ヽ,! '|~｀ヽ　 i　/ ｨ'~ ﾄ､i　i　,'　 ,'
　　　　',　;　 i　 |;;;;;|　　 i/　 |;;;;;| 　ﾚ　,'　/
. 　　　,.ヽ'　　!　　　　　 '　　 　　　!　,' ,ｲ
　 __,.ノ___j　 ハ　　　　　　　　　　,'　;'./ ＼
　　　　　,! /　ノ^ヽ､　　-　　 ,.イ､　 ;.i`ｰ ､ヽ
　 　　　/ノイ´　　　|` ｰ　'"| 　　 ゝ､i､　　 ｀
　 　　　　　ﾉ^｀`ー/_　　　　i,. - '"^ヽ
　　 　 　　 /　　　　　 `,　 ／ 　　 　　 ヽ
　　　　　 ,.ゝ､　　　　　i,.-'ヽ　　　　　　,ﾉ
　　　　／　　 ＼　　　 !　　 ヽ　　　 ／ヽ


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　　　　　　　　「……まさかまたお預けだとか考えてますか？」


　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　 ,　´　　　　　 ｀　、
　　　　　　　　　　 　 ,. '　　　　　　　　 　 ＼
　　　　　　　　　 　 〃　　　　　　　　　 　 　 ヽ
　　　　　　　 　 　 ,′　　　　　　　　　　　　 　 ',
　　　　　　　　　　i　　 __＿ヽ　　 ノ＿___　　　　i
　　　　　　　　　　| 　 （　●)　　　( ●　）　 　　|
　　　　　　　　　　:、　 `== ´　　　 ﾞ＝=´　　　/
　　　　　　　　　　 .ヽ.　 　　＿´＿　　　　　 ｲ
　　　　　　　　　　　　｀::...___　　 　 　　　ｚ≦彡
　　　　　　　　　　　　ｲミ ー￣フ二￣´＿〆゛ゝ
　　　　　 　　　　　　ん＿ ＝　ー三　イ､_＿＿_ゝ
　　　　　　　　　 　 ./.　.i　　　}　　　　　　　〈//∧
　　　　　　　　　　　ｉ　　|　　　|　　　　　　 ,:　∨/∧
　　　　　　　　　　　|　　|　　　|　　　　　　 {　　ヾ≠ｲ
　　　　　　　　　 　 ｊ　 .,'　 　 :|　 . 　 　 　 |　　　　| |
　　　　　　 　 　 　 l　 ,′　　 |　　　　　　 .l} 　 　 .l |
　　　 　 　 　 　 　 |　.ｉ　　　　|　　 　 　 　 l|　　　　.|
　　　　　　　 　 　 .l　 |　　　　|　 　　　　　 ｌ}ｌ　　 　.|



　　　　　　　　　 _,.　- - - 　.,
　　　 　　 　 ,　'　　　　　　　　`ヽ,
　　　　　　, '　　　　　　　　　 ,　　　＼
. 　　 　 , '　　　 , ';　 ,.　　　,' ' ,　　　 ヽ
　　　 /　　,　 ,'　.;., '　' ,　 ;' 　 '.,　 ,' ,　ﾞ､
. 　　 i 　 ,' ; ,.'　,.　 ,ｨ　 ', ,'　ﾄ､　' , ;　',　 'i 　　　　　　　　　　　　　　「ほんとにごめんなさい」
. 　　 |　,'　i　　/l　/ ヽ　 '　 !　ヽ　'　, ',　 |
　　　 i　;　 i　ｧ-t‐'.､　ヽ　　!-─ト　 j　;　 |
. 　　 ',　',　ヽ,! '|~｀ヽ　 i　/ ｨ'~ ﾄ､i　i　,'　 ,'
　　　　',　;　 i　 |;;;;;|　　 i/　 |;;;;;| 　ﾚ　,'　/
. 　　　,.ヽ'　　!　　　　　 '　　 　　　!　,' ,ｲ
　 __,.ノ___j　 ハ　　　　　　　　　　,'　;'./ ＼
　　　　　,! /　ノ^ヽ､　　-　　 ,.イ､　 ;.i`ｰ ､ヽ
　 　　　/ノイ´　　　|` ｰ　'"| 　　 ゝ､i､　　 ｀
　 　　　　　ﾉ^｀`ー/_　　　　i,. - '"^ヽ
　　 　 　　 /　　　　　 `,　 ／ 　　 　　 ヽ
　　　　　 ,.ゝ､　　　　　i,.-'ヽ　　　　　　,ﾉ
　　　　／　　 ＼　　　 !　　 ヽ　　　 ／ヽ


.

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「一体何なんですか！

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　いい加減にしてくださいよホント！」
　　　　　　　　／￣￣￣ ＼
　　　　　　　ﾉし ﾞ＼, .,､,／"u＼
　　　　　／ ⌒ （◎）ヾ'（◎）u　＼
　　　 　 | u 　⌒ﾞ　___'___"⌒　u　|
　　 　 　 ＼　u 　 `ヾ,┬､/`　,／
.　　 　 　 /⌒/＾ヽ､ ）__（ ,ィヽ、
　　　 　 /　 ,ゞ　,ノ　ﾞ⌒"　, 　ゝ､
　　　　　l ／　 /　　　　　　ト/.＼＼



　　　　　　　　　 _,.　- - - 　.,
　　　 　　 　 ,　'　　　　　　　　`ヽ,
　　　　　　, '　　　　　　　　　 ,　　　＼
. 　　 　 , '　　　 , ';　 ,.　　　,' ' ,　　　 ヽ　　　　　　　　　　「だからごめんなさい」
　　　 /　　,　 ,'　.;., '　' ,　 ;' 　 '.,　 ,' ,　ﾞ､
. 　　 i 　 ,' ; ,.'　,.　 ,ｨ　 ', ,'　ﾄ､　' , ;　',　 'i
. 　　 |　,'　i　　/l　/ ヽ　 '　 !　ヽ　'　, ',　 |
　　　 i　;　 i　ｧ-t‐'.､　ヽ　　!-─ト　 j　;　 |
. 　　 ',　',　ヽ,! '|~｀ヽ　 i　/ ｨ'~ ﾄ､i　i　,'　 ,'
　　　　',　;　 i　 |;;;;;|　　 i/　 |;;;;;| 　ﾚ　,'　/
. 　　　,.ヽ'　　!　　　　　 '　　 　　　!　,' ,ｲ
　 __,.ノ___j　 ハ　　　　　　　　　　,'　;'./ ＼
　　　　　,! /　ノ^ヽ､　　-　　 ,.イ､　 ;.i`ｰ ､ヽ
　 　　　/ノイ´　　　|` ｰ　'"| 　　 ゝ､i､　　 ｀
　 　　　　　ﾉ^｀`ー/_　　　　i,. - '"^ヽ
　　 　 　　 /　　　　　 `,　 ／ 　　 　　 ヽ
　　　　　 ,.ゝ､　　　　　i,.-'ヽ　　　　　　,ﾉ
　　　　／　　 ＼　　　 !　　 ヽ　　　 ／ヽ



.

　　　 　 　 .＿＿＿_
　　 　　；／　　 ノ（ ＼；
　 　 ；／　 _ノ 三ヽ､_ ＼；　　　　　　　　　　「あのですねぇ！ごめんごめんってそれだけで……」
　 ；／ノ（（ ｡ ）三（ ﾟ ）∪＼；
　；.|　⌒ 　　___'___ 　ノ（ 　 |.；
　..；＼　u. . |++++| 　⌒ ／；


　 　 　 ───────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┃
　　　　　　すずは突如身をひるがえして、先ほど車が出てきた門の中に一目散にもぐりこんでしまった。
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━───────────────
　　　　　　 　 　 　 　 ,:::::/.:::::::::::::::::::::/.::::::::::::::.';::::::::.':,
　 　 　 　 　 　 　 　 /.::/.::::::::::::::::::::::,'.::::::::::::{:::::.';::::::::::ﾞ:,
　 　 　 　 　 　 　 　 ＼:::::::::::::::::::::::::;:::::::::::::::{:::::::.';::::::::／
　　　　　　　　　 　 　 　 ´"ﾔ＝=ー{㌻⌒廴,へ::::〉''゛
　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ﾔ｡.,_　 ∥　　　　ﾉ 7
　　　　　　　　　　　 　 　 　 ﾔ////{{7777ﾌ///
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ﾔ///,乂///／'/}
　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨///∧ー廴,ｨ7.　　　 　 　 　 ,ｲ
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 寸 ///,　{'//,'.　　　 　 　 　 /ム―７
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 V///}　``｀　　　　　　 　 //ニ７/
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ﾔ'//} 　 　 　 　 　 　 　 /'￣７/
　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ﾔ//{　　 　 　 　 　 　 　 　 //　,ｲ,ｲ ,ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }'//{ 　 　 　 　 　 　 　 　 /' 　 ﾚﾚ //
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }'//{　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /'
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ∥刀}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾉ=ミ､;
　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 {// У
　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ー'゛



.

　　　　　　　　「なっ！？」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　´ 　　　　　　｀　ヽ　＿
　　　　　　　　　　　　　　／　　　　 　　　､　　　　(＿ ヽ
　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　　　､＿ ｀ヽ＿,,}　 ヽ　｀ヽ
　　　　　　　　　　　 / 　　　　　　 　　 　｀ﾞｔｯ≧､´　 ハ　　 /＼
　　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　　　　｀ー--'　　　 ｀化ヽ /::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　i　　　　u　　　　　　　 　 　 　 、　 ヽ　∨::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　　　 　＿ 　 　 　 ' 　　 　ｊ::::::::::::::ハ
　　　　　　　　　　　 ',　 　 　 　 　 　 ´ 　 ｀ー――-､　　 ｌ:::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　ヾ 　 ー-､ 　 　 　 　 　 　 　 　　　ﾉ:::::::::::::::::::::ｌ
　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::｀ヽ　　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::ｊ
　　　　　　　　　／::::::::::::::::::::::::::::::::::::≧ニニ’ニ7イｌヽ:::::::::::::::::::::::::::/
　　　　　　　　　::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∨:::::::::::::::::::::::/
　　　　　　　　　:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ｊ::::::::::::::::::::／
　　　　　　　　　::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／
　　　　　　　　　:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／
　　　　　　　　　:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::／




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「それじゃまた、連絡するから

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ごめんなさい、しめて頂戴」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ---　.._
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　'´.　　　 .　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　.:::: .:.　 ::::.　 :..ﾞ,.-‐-､／//,＞ 、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　 :..:/!:::;:::..:::::ﾊﾞ／/////////////ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ! . ::::i-Vﾐ､:::::; ,ｲ////////////////ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ､ :ヽ|１::j｀ V,ｲ///////／∨///////ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∠}::::人 　 　 i//////／　　 ヽ///////ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　j::;ﾂﾞ^　､.....l////／　　　／＿二V/⌒',l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´ 　__　j ￣ﾞV／＿ヽ＿_／ ''　.::::ﾊ'!´: l'!　　　　　　　　　「はぁ……、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　 ｀ヽ_riﾞ':::ヽ＿ﾞ --‐､::￣::::ノ V!':j.|,l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,..r ' ＼　/､i_ハ`ｰ---|　　 ', ￣´　　'! ノ/l　　　　　　　　　　こうしたことはこれきりにしてくださいよ」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾊ三! 　 `ベ;l:l;У´ﾞ', 　.l 　 　 :.　　u　 ;V//l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!　Ⅶ!.　　　　　 　 　 ,　 ｰ ､ -　－､　　 ヽ/,lヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'　　Ⅵ　 　 　 　 　 　 |ﾞ「￣　　＿.ノ　 '　　V!ﾆ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,'　 　 ｀i　 　 　 　 　 　 iﾞ,` ￣　　 　 　 ,　　./lニニ＞-＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!　　　　ヽ　 　 　 　 　 / . 、　￣　　　ノ　　' .!ニニニニニ＝--＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 └=r―‐ｧ':.　　　　　　/T. __＞-　-‐　　 , '　 lニニニニニニニニニニ=-,､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!　　', 　:.　 　 　 ＿‐=ニニ!＼　　 ,.'　　.lニニニニニニニニニニニ,ﾆ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾍ　　ﾞ､　:...　__‐ﾆニニニニl　 ＼,.'　 　 lニニニニニニニニニニニ,二
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾍ　　V.../lﾆﾆニニニニ二l　.///l＼　!二ニニニニニニニニニﾆ,ﾆﾆ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_j〉,....　/ﾆ!ﾆﾆニニニニ二',/ ∨ﾘ 　 !二二ニニニニニニニニﾆlニﾆ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {　　ﾞ:, /ﾆﾆ,ﾆニニニニニニ',　.!/,!　 lニニニニニニニニニニニlニニ


.

　 　 　 ──━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┃
　　　　　　　　門が滑らかに閉じられていった。
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━────────
淡淡淡淡爻爻爻淡淡爻爻淡淡淡淡爻彡'⌒
=-　_爻爻爻爻淡淡淡淡爻爻爻⌒　　　　　　　　　__
　　　￣　=-　_爻爻爻淡淡爻爻　　　　,､,､,､,､,､　　r‐ト．
＿　　　　　　　 ￣　=-　_爻爻爻刈⌒:;.:,:;.:,:;.:,:;.:,:,､＜＞-=≧s｡
二二二ニ=-　　　　　　　￣　=-　__ミﾐ:;.:,:;.:, ,､＜=｡s个s｡｀` -=ﾆ≧s｡.,_　　 ｨ
─　二二二二二二ﾆ=-　＿　　　　｀`''　＜ﾆ_,x竺竺竺竺≧s｡＿＿ -=ﾆ「｣｣　　　　　　　　,､､;';';';';';';'
　　　　￣　　─　　二二二二ﾆ=-　　＿　　　｀`'' ＜////////////////ﾍ⌒丶､　　　_､;';';';';';';';';';';';';'
　　　　　　　　　　 　 ￣　　─　二二二二ﾆ=-　 　 　 ｀`'' -　 _,///////|　 ｀　 .,_｀`'弌77＿;';';';';';';';';';';
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣　　─　二二二二ﾆ=-　　｀'弌//_i| =┐　　|≧s｡｀'弌(;';';';';';';';';';';
　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿＿　　　 　 　 　 　 ￣　　─　二二二ﾆ=-_乂||　　 |‐=ﾆ| 〕トｒ=弌;';';';';';';
＝=.,　'"´.　　　　 ふ……　　　　　　　 　 ヽ　　　　　　　　　　 ￣　─ ニ|＿||　　 |￣l:ト｡｢≧s｡Y/／
. ／ 　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　 　　`､.-　｡｡。。...,,,,＿＿_ 　 　 　|i:i:i｢Ｔi=-|＿l:|トﾐs｡￣|i:|/i:
｛　　　　　　　　　 ふっざけ…….　 　 　 　 　 ｝.....…‐--==ﾆﾆ二二三三|i:i:i:i:i:i:i:i:i|i:i:i:ｉ|ＬL｣|从ji:|::|i:
i `､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／..|i:||ｉ|lj:||j:||:|:|:|:|:|:|:|:|:|:|:|:|:|: |i:i:i:i:i:i:i:i:i|i:i:i:ｉ|ＬL｣|爻爻从
i:i:i:ﾞ`　　─--　　　　　　---- 　　　　　　´　 ＼. ||{||i:||ｉ:||:|:|:|:|:|:|:|:|:|:|:|:|:|:_|i:i:i:ｉ:ｉ:ｉ:jjj|─┼‐「||爻爻爻
「「「i|:|「i:i:ｉ:|:|i:i:i:i:ｉ||i:i:i:i||i:i:i:i||i:i:i:|./　　　　　 　 　 :||j||jＩＬ⊥ -┴=ﾆニ二三|-Ｔ丁{_」|=‐┴-ﾆﾆ=-　￣
i:i:i:i:i|:|i:i:i:i:i|:|i:i:i:i:ｉ||i:i:i:i||i:i:i:i||i:i:i ｌ　　　　　　 　 　 }.ﾞ三二ﾆ=-　丁￣{: :}:_:}_|┬厂]_Ｌ-二 _-¨
i:i:i:i:i|:|i:i:jjＩ｣｣L -┴…==ﾆ二三.!　　　 　 　 　 　 }ﾞ｢: i: : }: : :|: : :|: ノ:|丁: |_|⊥-三=-　￣
ﾆ二三三三三三三三二ﾆ=-T.＼_ 　　　　 　 ／...}ノ⌒{ヽ┴r'⌒}_┴二二- ￣
三三二ﾆ=- 丁￣: :|: : : { : : : |: : :./¨¨¨¨¨¨¨ヽ..ﾞ{￣{: : :| _｣-_ ‐二ﾆ- ￣
￣: :{: : : : :}: : {: : : : | : : :|_　 -‐　´¨¨¨¨¨¨¨¨¨｀　‐-　 _二二- ￣
::: : ::} : : : 〔: : } : : : :| : :.ﾞ´　　　　　　　　　　　 　 　　　 ｀
::: : :{ : : : : }／￣ ア......l 　　________________________________　　l　:　:　:　:　:　:　:　:
: : : :}: : : ::ﾉ＿: :／: : ;_|　　　　　　　　　｜　　　　　　　　　| :　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:
.:>'´￣＼√_ ﾆ=-__ -.| 　 l　　　　　　　 |　　　　 　 　 l 　 |.....:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　:
　 　 　 　 　 　 　 　 ！　 | 　 　 　　　　|　　　　 　 　 | 　！
　 　 　 　 　 　 　 　 ！ 　|　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　 ！
　 　 　 　 　 　 　 　 ！　 |　　　　 　 　 |　　　　 　 　 | 　！

　 　 　 ─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ┃
　　　　　　できる夫は歯噛みしながらも『この門の主に喧嘩を売るようなまねは不味い』と本能的に感じていた。
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────



.

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,.ィ//＞.-‐ ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.イ///////////＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　 ////////,ｲ///////!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　 　 l/////／　 V//////l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　V二‐､＿,.-二ヽ////!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!:::::::::::::::::::::::::フ::ｊハ}/!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀!ー‐j　 ',ー一'.ﾘソ/!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!　 ､ 　 :.　 　 .!ノ/,!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　- ｀´ ― 　 ﾊ/八
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　 　 　'. 　 ー　　　/　Ｖ/ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 ヽ　　 　 , '　／ｲ二ﾆ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__-ニT ー　 ／ ./ニニニﾆ＞．_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.＿-ﾆﾆ二二l　ヽ／　 /二ニニニニﾆﾆ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾆﾆニニニニ| ,.ｲﾆヽ./ニニニニニニニ


　　　　─────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┃
　　　　　　　　少し間があいて、黒いスーツの男が潜り戸から現れ、門番のようにその場に侍った
　　　┃
　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────


:::
::::
::::
::::　　 ￣￣￣￣＼
:::　　　　　　　　　　 ＼
::::　　　　　　　 　　　 　＼
::::::::　　二二￣　 ｀ニニ　l
::::::::　　T'''T'　　 　T''T 　 l
::::::::::::::￣￣　 　　　￣ 　 |
:::::::::::::::::::　　　　　′ 　 　i
:::::::::::::::::::::　―‐－　　 　丿
::::::::::::::::::::::　　　　　 　／



.

　 　 　 ─────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ┃
　　　　　　その男は、サングラスの奥からできる夫を見ると
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━───

　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ＿_　　_
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ,.イ///////＼　　　　　　　　　　　　　　　「まぁ色々思うことはあるだろうが、早めに立ち去るほうがいいぞ。
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／///////V///ﾊ
　　　　　　　　　　　　 　 //////／/　 V///l　　　　　　　　　　　　　　　　個人的には同情してやってもいいくらいだが」
　　　　　　　　　　　　 　 l//／__ヽ　　'⌒__//!
.　　　　　　　 　 　 　 　 f.ヽ;;;;;;;;;;;;;ﾆﾆ;;;;;;;;;;;;;ﾘ'ヽ
　　　　　　 　 　 　 　 　 l.{｀ト::＿,.l　 l､__:;::イ´,'
　　　　　　　　 　 　 　 　 ､_l u.　 ,　　;　　　!ノ
　　　　　　　　　　　 　 　 　 ,　r―｀´―.､　'
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ﾊ {二ニﾆ二} ﾊ
　　　　　　　　　 　 　 ＿_-ニl､ 　 --　　/ニ‐＿_
　　　　 　 　 ＿‐ニニニニニ| 丶 ＿_　ｲlニニニﾆﾆ‐＿
.　　　　　　,ｲﾆニニニニニニ| ＼ 　 ／ .!ニニニニニニﾆヽ
.　　 　 　 /_!ニニニニニニニ!　　><　　lニニニニニニニﾆi＼
　　　　　/ニニニニ二二二二'／V,/＼,ニニニニニニニニjニヽ
　 　 　 /ﾆﾆ'ﾆﾆニニニニ二二',　!ハ　,二二二ニニニニニ,ニニ',
.　　　 /ニニ'ﾆニニニニニニ二, l//l /二ニニニニニニニ,二ニﾆ,

　 　 　 ─────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ┃
　　　　　　　妙な方向から情けをかけられ、できる夫としてはなんとも言いようがなかった。
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━───────────
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　´　　　　　 ｀　、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,. '　　　　　　　　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃　　　　　　　　　 　 　 ヽ　　　　　　　　「……それはどうも」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,′　　　　　　　　　u.　　 　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i　　 __＿ヽ　　 ノ＿___　　　　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| 　 （　●)　　　( ●　）　 　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:、　 `== ´　　　 ﾞ＝=´　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ヽ.　 　　＿´＿　　　　　 ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀::...___　　 　 　　　ｚ≦彡
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｲミ ー￣フ二￣´＿〆゛ゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ん＿ ＝　ー三　イ､_＿＿_ゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　./.　.i　　　}　　　　　　　〈//∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｉ　　|　　　|　　　　　　 ,:　∨/∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　|　　　|　　　　　　 {　　ヾ≠ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｊ　 .,'　 　 :|　 . 　 　 　 |　　　　| |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　 ,′　　 |　　　　　　 .l} 　 　 .l |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　.ｉ　　　　|　　 　 　 　 l|　　　　.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .l　 |　　　　|　 　　　　　 ｌ}ｌ　　 　.|



.

　　　　　　　　＿＿＿　　　　　　　　　　　「つかぬことをお伺いしますが、
　　　　　　 ／　　　　 ＼
　　　　　／　　⌒:::::::::⌒＼　　　　　　　　　　　　彩園さんはいつ出てきます？」
　　 　／　　 （ ○）:::::（○）＼
　　 　|　　 　　　　__´___　　　|
　　　　ヽ、　　　　`ー '´　 ／
　　 　　ノ　　　　　　 　　　＼



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.-‐-､／//,＞ 、
　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　 　 　 ／/////////////ヽ
　　　　　　　　　　　　　　.　　 　 　 　 　 ,ｲ////////////////ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ｲ///////／∨///////ﾊ　　　　　　　　　「お前がいなくなったらじゃないか？」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i//////／　　 ヽ///////ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l////／　　　／＿二V/⌒',l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　V／＿ヽ＿_／ ''　.::::ﾊ'!´: l'!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ':::ヽ＿ﾞ --‐､::￣::::ノ V!':j.|,l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`ｰ---|　　 ', ￣´　　'! ノ/l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　', 　.l 　 　 :.　　u　 ;V//l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　 ｰ ､ -　－､　　 ヽ/,lヽ
　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　 　 　 　 「￣　　＿.ノ　 '　　V!ﾆ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,` ￣　　 　 　 ,　　./lニニ＞-＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　、　￣　　　ノ　　' .!ニニニニニ＝--＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 __＞-　-‐　　 , '　 lニニニニニニニニニニ=-,､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＿‐=ニニ!＼　　 ,.'　　.lニニニニニニニニニニニ,ﾆ
　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 　 __‐ﾆニニニニl　 ＼,.'　 　 lニニニニニニニニニニニ,二
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/lﾆﾆニニニニ二l　.///l＼　!二ニニニニニニニニニﾆ,ﾆﾆ
　　　　　　　　　　　　　　. 　 　 　 /ﾆ!ﾆﾆニニニニ二',/ ∨ﾘ 　 !二二ニニニニニニニニﾆlニﾆ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾆﾆ,ﾆニニニニニニ',　.!/,!　 lニニニニニニニニニニニlニニ


.

　　　　　　　　　　　　　　　　　「はっはっはっは」


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「いろいろとご親切にどうも」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿ノ　ゞ､＿＿ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／＿＿_　　　　＿＿__　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／ 　　l {j ﾃ　三　 l {ij }　ﾉ 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　ー≠　　　　＝＝-　 　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　 　 　 　 /)　　　　　　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼　　／`'`' /ー＝=　　　　　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　/　　　ﾉ　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　 /　　））

　 　 　 ───────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ┃
　　　　　　　感情と表情の整理がしばらくつきそうもないできる夫だった。
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━───────


　　　　　　 _,.ィ//＞.-‐ ､
　　　　 ,.イ///////////＼
.　　　 ////////,ｲ///////!
. 　 　 l/////／　 V//////l
　　 　 V二‐､＿,.-二ヽ////!
　　 　 !::ヽ.ｔｧ:＿:::ｔｧフ::ｊハ}/!　　　　　　　　　　　「……」
　　　　｀!ー‐j　 ',ー一'.ﾘソ/!
　　　 　 !　 ､ 　 :.　 u. .!ノ/,!
.　　　　　　- ｀´ ― 　 ﾊ/八
.　　 　 　'. 　 ー　　　/　Ｖ/ﾊ
.　　　　　 ヽ　　 　 , '　／ｲ二ﾆ＼
　　 　 __-ニT ー　 ／ ./ニニニﾆ＞．_
.＿-ﾆﾆ二二l　ヽ／　 /二ニニニニﾆﾆ
ﾆﾆニニニニ| ,.ｲﾆヽ./ニニニニニニニ



.

　　 　 　　＿＿＿_
　　 　　／⌒　　⌒＼
　 　 ／（ ●）　（● ）＼　　　　　　　　　　「あ」
　 ／　　　　 __´__　　 　 ＼
　 |　　　　 　　－　　　　　 |
　 ＼ 　　　　　　　　　　 ／
　　／



　　　　　　　　　　　　　　　　 _,.ィ//＞.-‐ ､
　　　　　　　　　　　　　　 ,.イ///////////＼
　　　　　　　　　　.　　　 ////////,ｲ///////!
　　　　　　　　　　. 　 　 l/////／　 V//////l
　　　　　　　　　　　　　　V二‐､＿,.-二ヽ////!
　　　　　　　　　　　　　　!::ヽ.ｔｧ:＿:::ｔｧフ::ｊハ}/!
　　　　　　　　　　　　　　｀!ー‐j　 ',ー一'.ﾘソ/!　　　　　　　　　　　「なんだ、早くいけ」
　　　　　　　　　　　　　　　!　 ､ 　 :.　 　 .!ノ/,!
　　　　　　　　　　.　　　　　　- ｀´ ― 　 ﾊ/八
　　　　　　　　　　.　　 　 　'. 　 ー　　　/　Ｖ/ﾊ
　　　　　　　　　　.　　　　　 ヽ　　 　 , '　／ｲ二ﾆ＼
　　　　　　　　　　　　　　__-ニT ー　 ／ ./ニニニﾆ＞．_
　　　　　　　　　　.＿-ﾆﾆ二二l　ヽ／　 /二ニニニニﾆﾆ
　　　　　　　　　　ﾆﾆニニニニ| ,.ｲﾆヽ./ニニニニニニニ


.

　　　　　　　　　　　　　　　「いえ、雨が上がったなぁと」


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「おお、ずいぶんと長い雨だったな」



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,l ゞ:〃 　 　　　　　　　　　＿＿＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　　　　　　　　　　　　　　　 ,l ゞ:〃 :::::::::::::::::::::::::::::::r"　|∥∥∥∥∥
　　　　ﾟﾞ'ｰ､,,,　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ,l ゞ:〃　　　 　　 　,,,r'" l|　 |∥∥∥∥∥
　　　　ﾟﾞ'ｰ､,, ﾞﾞ｀ｰ､, 　 　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,l ゞ:〃:::::::::::::::::::::;rﾞﾞ|::::::::::l|　 ￣￣￣￣￣￣
　　　　　　 ﾞﾞﾞﾞ',ｰ､,. ﾞﾞ'ｰ､_　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ,l ゞ,.〃 　　 　 ,r''|::::::|;;;;;;;;;;l|
　　　　　　　 .ll　　.ﾞﾞ''ｰ,,,　''ｰ､,_　＿　　　　 　　　　　　　　　,lﾞゞ;〃:::::::::::;;rl|::::::|;;;;;;|::::r''''l|￣￣￣￣￣￣￣
　　　　　　　 .ll　いら　　~~ﾞlｰ､､:i┿l|　　　　　　　　　 　 　 l:ゞ〃 .　,,,r'"　l|;;;;;;|::r''|;;;;;;;;;;l|
　　　　　　　 .ll　 しゃい 　 lﾐﾐl*li温l|ヽi:ｰ,、　　　　　　　 彡~〃彡'"''',,r''' l|::r''|;;;;;;|::::::::::l|
　　　　　　　 .l:──--､､､...lﾐﾐl*il丿l|__liﾞﾟ態N､､ , 　 　 　 l l㌍'''"､__r''__,､､l|;;;;;;|::::::|;;;;;;;;;;l|　 :::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　, l l l llll|ミミミミミミミlﾐﾐl*ll泉l|~~トlｰ-iﾞl~~冫　 　 　~ |ﾟl､.丿彡彡彡l|::::::|;;;;;;|::::::::::l|
　　　　　 lj,,',,',,',,',,',,',,',,',,',,',,',lﾐﾐl*ll丿l|　llヽﾞヾiｰ ﾟlﾞ~i:!』,, 　　l『』iﾞﾞﾟﾞ:lヽ￣￣l|;;;;;;|::::::|;;;;;;;;;;l|　 ::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　 l|　　l　　　.l　　　 lﾐﾐl*ll卵l|　ll .l il!ヮ ';li,''ll l㌍lﾞli....ll　ll i~ll"|..|￣~l|::::::|;;;;;;|::::::::::l|
　　　　　 l|　　l　　　.l＿＿..lﾐﾐl*ll冖l|　ll　l.ill￣~~~''ﾞ｀ﾞ'''｀ 　　"l|､l.l　|..|____,l|;;;;;;|::::::|;;;;;;;;;;l|
　　　　　 l|　　l---i .l _,,,,,wil"~l*ll!l!l!l'ﾞﾞ“ﾞ~　 　 　 　 　 　 　 　　l| l　|　　　l|::::::|;;;;;;|::::::::::l|
　　　　　 l|　 ,,l,,､､-''~　　　 　""" 　 　 　 　 　 　 　　.　　　　　ﾞ=ﾞヽ|＿＿l|;;;;;;|::::::|;;;;;;;;;;l|
　　　　　 llﾞ｀　　　.:　..　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　.　.　 　. 　 ヽ､　 l|::::::|;;;;;;|::::::::::l|　:::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　 　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 　 　 ヽ､|~ヾl::::::|;;;;;;;;;;l|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　　ヽ､,l~ヾl::::::::::l|　:::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ､ l~ヾ;;;ll＿＿＿＿＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ヽ､ l~l|　　┌───┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ､l　　│∥∥∥│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣￣￣


　　　　───────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┃
　　　　　　　険のないその声が、おそらくこの門番の素なのだろう。
　　　┃
　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────



.

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 「お前ずいぶん汚れているな、たまには着替えたらどうだ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　かなり匂うし、その恰好じゃどのみち取次ぐわけにはいかなかったぞ」

　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ＿_　　_
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ,.イ///////＼
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／///////V///ﾊ
　　　　　　　　　　　　 　 //////／/　 V///l
　　　　　　　　　　　　 　 l//／__ヽ　　'⌒__//!
.　　　　　　　 　 　 　 　 f.ヽ;;;;;;;;;;;;;ﾆﾆ;;;;;;;;;;;;;ﾘ'ヽ
　　　　　　 　 　 　 　 　 l.{｀ト::＿,.l　 l､__:;::イ´,'
　　　　　　　　 　 　 　 　 ､_l u.　 ,　　;　　　!ノ
　　　　　　　　　　　 　 　 　 ,　r―｀´―.､　'
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ﾊ {二ニﾆ二} ﾊ
　　　　　　　　　 　 　 ＿_-ニl､ 　 --　　/ニ‐＿_
　　　　 　 　 ＿‐ニニニニニ| 丶 ＿_　ｲlニニニﾆﾆ‐＿
.　　　　　　,ｲﾆニニニニニニ| ＼ 　 ／ .!ニニニニニニﾆヽ
.　　 　 　 /_!ニニニニニニニ!　　><　　lニニニニニニニﾆi＼
　　　　　/ニニニニ二二二二'／V,/＼,ニニニニニニニニjニヽ
　 　 　 /ﾆﾆ'ﾆﾆニニニニ二二',　!ハ　,二二二ニニニニニ,ニニ',
.　　　 /ニニ'ﾆニニニニニニ二, l//l /二ニニニニニニニ,二ニﾆ,


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「……それはどうも失礼」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　´　　　　　 ｀　、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,. '　　　　　　　　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃　　　　　　　　　 　 　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,′　　　　　　　　　　　　 　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i　 :ー‐-‐'　　 `ー‐-　 　　　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　 （◯　）　　　（◯　）　　 　 .|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:、　　 　 　 　 　 　　　　　　　/　　　　　　　　（そういえば彩園さんもさりげなく
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ヽ.　 　　__´　_　　　　u 　 ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀::...___　￣　　　　ｚ≦彡　　　　　　　　　　　　車内を消臭してた気が）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ミﾘ }　　.T　二　≠ ヘ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 ヾミリ―‐　´　　　_.ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　./.　.i　　　}　 　　　　　　〈//∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｉ　　|　　　|　　　　　　 ,:　∨/∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　|　　　|　　　　　　 {　　ヾ≠ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｊ　 .,'　 　 :|　 . 　 　 　 |　　　　| |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　 ,′　　 |　　　　　　 .l} 　 　 .l |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　.ｉ　　　　|　　 　 　 　 l|　　　　.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .l　 |　　　　|　 　　　　　 ｌ}ｌ　　 　.|


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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┃
　　　　　　　できる夫が温泉街にある役場の出張所前からＶＩＰ市内方面に向けて出るバスに乗れたのは、

　　　　　　　それから二時間ほど後のことだった。
　 　 ┃
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　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 l´　＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿__[_l＿＿＿＿＿＿l_]
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　 ||￣|l 日 | ￣￣|| ￣￣|| ￣￣|| ￣￣||　l' 三三 l┌ ──┬─‐─┤
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　 ||　 |l 日 | 　 　 || 　 　 || 　 　 || 　 　 ||　||￣|￣|| |　　　　 | 　 　／||
　　　　　　　　　　　　, 　 　 　 　 |　 ||＿|l 三 |＿＿_||＿＿_||＿＿_||＿＿_||　||　 | 　|| |　／　　| 　 　 　||
,.:'(;　　　　　　ヽ.,⌒;　 ｀;:⌒,　 　 |＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ヽ||＿|＿|| |　　　／| 　 　 　||
　 　 （;, . _(　 　 ; :(; . ;　,⌒:.　 　 |￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣`ー ､＿_［］ ‐──┴──‐ll|］
　　　　´　､　 ;,⌒. ´; , (;, ( ⌒ ;.　|＿＿＿ ／⌒ﾞヽ＿＿＿＿＿＿＿_,／⌒ﾞヽ＿＿＿il二lｺﾛ|￣￣|ﾛﾛ二|
　　　　　　　　　 ｀ｰ ''.（: （ '⌒; ':〔二l＿＿| l　　 j l､＿＿＿＿＿＿___| l　　 j ｌ､＿＿_〔0＿_ｌ［二二］l＿０〕
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　ヽ､＿_ノノ　　　ヽ､＿_ノノ　ヽ､＿_ノノ　　　ヽ､＿_ノノ


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　　　　　　　｀丶､｀丶､| |i　　　 ＼| | : :＼.:.:.:.:.:.:.:.:||.:.:‘,.:.||.::.::.::.::.:: :||: ::|| : : |:|′: : | | ／ ／|.:.:.:|　|'´.:.|.:,／｜:|: :::|
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二ﾆﾆ==‐､-'-　　 , -‐────‐-､.| | ┌ー─ｰ||─‐‐||.:.:.:.:.:.:.:.: ||.::_||_:_:_|:|￣￣| |￣ |.:.:.: ／|　|　 　 　 . . :.:.:|::|
ﾆﾆ二二...＿＿ﾞ／　　　　　　　　　　 ＼.¨¨¨¨¨¨~||¨¨|.:.:||.:.:.:.:. :.:.: 乂|:||.:.:.:.|:|　 　 | | 　 |.:／　｜ |　　　. : : : : :.|└
: : : 匚]: : : : : :...i　　　　あれ？.　 　 　 i...======||=ｉｉ|.:.:||───ｰｰ|:||.:.:.:.|:|　 　 | |　 ／　 　 |　|　　. : : : : |"¨￣
: : : : : : : : : : : :..{　　　　　　　　　　　　　}.　￣||　 ||: |||.:.:||¨¨¨¨¨¨¨¨ﾟ|:||.:.:.:.|:|　 　 | |／　 　 　 |　|. : : : : : : ::|.:.:.:.:
|￣￣￣￣￣ . ゝ､_　　　　　　　　　　／.:|.:.:.:.||　 ||‐|||¨ﾞ||二二二二ﾟ|jﾘ____|:|　 　 | |　 　 　 . : |　| : : : : : : :.:|.:.:.:.:.:
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┃
　　　　　　　走り出したバスの窓から、山に分け入ろうとする人影が見えた。
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　 ,:;;;:;ヾ ゞゞ'ヾ ゞ:;ヾ ゞゞ';':,;j:;, ;,i;:,i!:;,'ﾐ:.ﾐ,",:'';ﾞ`;;:y;';;;:ゞﾐ;''ｿ:;ゞ;';:;;:ﾞ､`､;';:;";;;:;ヾ ゞゞ'　ヾ ゞゞ'ヾ ゞ:;ヾ:;ゞ;;';:":;ヾ ゞ;
　"'`',:'':;;:,'ﾐヾ:,;:ゞ'ゞ.;;:';;ゞ;:!; l .;,;::. :l.:;r"ｿ;;:';;ゞﾐ:;.;;ゞ;:;ゞ,:;i''`ヾ;ﾐ:;;:,ゞ:;ゞﾐ,:;:'':;:;:;ゞ;ゞゞ;ゞ;:'':;;:,'ﾐヾ:,;:ゞ'ゞ';;ゞ;;'ゞ;;:'ゞ';;:.:;
.　,.;;'ン:;.;ヾ ゞ:.;;ﾐ;:;ゞ':;ヾ;:;|;; | :;;;.;::.| ;|;;`;,'ﾐ:;ﾐ,"ゞ;", |; ｉ　:|!:.::.:.:.`;;:ｿ:;:ﾐゝ,:;:'':;:;;.::;,'ﾐ:.ﾐ,"'ﾞｿ:;,:;.;ヾ ゞ:.;;ﾐ;:;ゞ':;ヾ:;':;;ヾ;:"
　,;";:ヾゞ ゞ';:;:;ヾ:'':;:;,'ヾゞ|;;:.;;;:.,;;l:;;l.:;|;:;ゞ;;,':;.ﾐ,,:;:;'' :;|: l:　 ;|:. :. :. l .:ｉ|;`::;,'ﾐ;r''ｿ:;;ﾞ､＼ﾍ;;:ﾐ:';'i:l;j;:ｌ;,i:;;'ゞ;:ヾ;;:':;ゞ;ゞ';:ゞ;ヽ
.:;;;:;ヾ ゞゞ';::;;ヾ;;ヾ;ゞ:;;ゞ;|:';:.;;,;:.:;| ;;,:;|;:;ゞ;ゞゞ;ゞ,:;;ﾐ:;|;;:|:. .::;|:. :. :.;| .;:|;;:;ヾ:;ﾐ;:ﾞ:, ,;.,. ,.:;ヽ:;ゞ!:;j:iｌ:;j:,j,:r;ｿ;:ゝﾐ;ゞ;ゞ:;;ヾ:'ﾞ､
;";;;:;ヾ ゞゞ'::､:;;:ゞﾐ;'';;.,;ﾐ|;;:j ;;,;,: :;;.,;;:|ﾞ､`:;,:;:'':;:;ゞ';:;"|:;.;. .:!:　.: l　;l.;:i:|,:;:'';;:;";;:ヾ:.ゞゞ';;:`;ゞl;i;:l;j:j:;,j;|;;:;:ヾ:;ゞゞ':;ヾ;ﾞ､`､;
ヾ;ゞ:;,;;ヾﾉｿ;;ヾ;:;ヾ;:,ﾐゞ;|,;,:|.:;;;.::;;;:ｌ:;;:|;;:'':;:;ゞ;ゞ';:;:ゞ;;|;: ｌ .;|: 　 ;|　;|　;|ﾞ;;`､,.;::;,'ﾐ:.ﾐ,"::'';,::ﾐ,`ｌ;;j:;ｉ:;j:,j,ｌ;;:;ヾ ゞ'::､:;;:ゞﾐ;';:,;
　`';:;ヾ;ゞゞゞ;':j.ij;j,!;,:,　|;;::|:;,;,::.,;;:|:;;;|;:;ゞ;,:;:'':;:;'";ヾ;;|; . ;rj:　i :,　 :|　,|;:;":;ヾ;;ヾ;ゞ:;;'':;ﾐ,",;.:;|:,j:i:;j:;,l:,l;ヾ;ゞ:;,;ヾﾉｿ;:;ヾ;:ゞ
. 　 ,.;;:ﾞ:､,;"'`!;j;ｌ;j,j|;:;ゞ,|;: ;;:.,;:.::;;;.|:;;.|＼　 -―／|| | i; {ﾘ 　l :| 　:|　:|::;;ヾ;;ﾞ;:;";;:;ヾ ゞゞ' :,:;|;:;j;;l;,:ij;:|`':;;:ゞ;ゞ';;:ゞゞi;:.'i:;
.;,;ﾉ,;:;ヾ ゞゞ'|j.i:,j:,j|ﾐヾj:ｌ:;;:|.,;;;:..:,;;.,;;:|l　 ＼_／　 ||＼.....;:　　.;|: 　 : .;|:; ;ゞﾍ;'i: ;ｌ.:ｉ;;:ﾐ;:;ゞ;:";|;:ij;:l;,i.;j;|:'`'::;,ｌ:';i:|:.　　:|::';l:,
　ｿゝゞ,:;ﾞ;''`|,:j;;l;,:i|"ﾞ`| l:; | ::;;;, ::. :;ﾞ|| ⌒　}　⌒ ||.:.:.:　:ｌ: 　 .:|　 :r　:|;;:ﾐ:;ﾐ;| '; ｉ; ﾄ､;:ヾ:;ﾞ';;:'|;l:j:;|;,:ij;:| 〈;:;..|;';:;|　 　 |;;':;
;ヾﾞ;:ゞ;;:ﾐヾ:;|.:ij;:ｌ;,i|. 　|;. .;;':;;, ::;;:|.:;;; Y⌒ 人 ⌒ Y.:.:.:.|:;|:.　　.:　.:;|;　;|.,.;;'ゞ'|:|; |:.;|"'`' ;:; .;, |;j:,i,l:;ij;j;|　ゞ;.|;';ｉ:|　 　 |:i;:l;
ﾉj;i:;i:l;ｉ⌒ゞ|:l:j;,l;:i;|. 　|;; ,;| ;; ::;;;:| :;.ﾞ人／.:.:.:＼_人.:.:.:| | ;ｉ. 　:|　.:l;　.;|:'ﾞ　';:|,ｌ :i|:.|!,:;:':ﾞ;;ﾐ ゞ|;j;,ｉ,.;j;j:;:|.　　.|;ﾞ;ｌ;|　 　 |:';:;i
.:|:;i:;,l;|:. 　 |;j;.i,;j.l;|:.　|;,: ,;i ;; :;;;,:l ;<／八从ハいノ}.:.:.|....:;|: 　:| .;ｉ　:| :| 　 . |;| .:| ﾘ;;ﾞ;:;";;ゞ;;.|;.j:|;;j,;j,:;|:,　　|;';i;:|　 　 |;'l;:;
:|;i;l;:l;|;. 　 |,.j;l:j,;j,|;,　|;, y' : ,-､:; ;; ;|　{.:/￣￣＼ノ :从. ;;|:.　.:}:..;|: .;|:.;| 　;;;:| |: i :;|:;;ﾞヾ:.ゞゞ|;:j;ｉ:j:,;ｉj,;|;:　　|;';i;:|　 　 |:;'i;;
|;lj:;i;i|:. 　 |;.j;i:j,;j,|ヾ;;|, ;' ;;;: !r:}.;;;:ﾞ＿／＿＿＿_∨´.....;;N:. : ,j;. .;　 l :.|　`:;;|.; :;| ;i|'`':;;ｌi;!;:ﾞ`|j.;,j:ｉ::j:,ｉ;|:　　.|;'ｌ;;i|　 　 |;:'l;:
;i;l.;;l;|;. 　 |.j:;j,;j.j;|;;ゞ| ;;!:;;, ';`.ﾞ／　 ∨　　　7 　／ ｀`～､、,: 　:|;: .;|.:.;|　　ﾞ|:i :;l |:|　　|li　　|:i,;j:;j;,lj;:i| 　ﾉ:|;'ｉ;ｌ:|　 　 |;i:;;
;:l:;j;;|ﾞ　　|:lj.;j:,j.i;|　 | ;:|:,;;:,ﾞ／　 |/ ∧　　 / ／ ／ 　 　＼＼...:|;　:| : |　　.|:| : | ｌ| 　 |l| 　 |ｉ;,j:;;j:;,j;ｉ;|　i;,::|;';l;i:|､.　 .:|;':i;:
;i;:ｉj;ｔｰz_,|,i;,j:j:;k,|弋|;; ;ｌ ;;j√￣｜ 　 ∨ / (_／＼　　／ | ＼＼....;t .:;|. 　 |,|:ｉ:;|;.ｉ|.　 |i|　　|,i;,j;j:;i,:;lj;i､,ｋ;:|;';j;l:|:;;, . ::j:;'l;



　　　　　　　　　　＿＿＿　　　　　　　　　　　　「確かあの人は”しのぶ”さんでしたか」
　　　　　　　　 ／　　　　 ＼
　　　　　　　／ -　　 　 ヽ 　＼
　　　　 　／ （● ） 　（● ） 　 ＼
　　　　 　|　 　 　 _`___　　　　　　|
　　　　　　ヽ、　　　　　　　　　／
　　　　　　／　　　　　　　　　　＼



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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┃
　　　　　　　山道とはいえ、この近辺にも、停車スペースやバス停はある。

　　　　　　　温泉街を離れた場所に人が住んでいても不思議はない。
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━──────
　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＿＿＿＿＿＿
　　　　　　　｀丶､｀丶､| |i　 　 ,　'"´　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ. : : |:|′: : | | ／ ／|.:.:.:|　|'´.:.|.:,／｜:|: :::|
　　　　　 　 　 　 ｀丶､| |i . ／. 　 　 　 このあたりに　　　　　　　　　 `､..ﾞ|:|====| |=====｢ ｉ´|　|: :.::| |　　|:::|: :::|
　　 　 　 　 　 　 　 　 | |i｀i　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i |:|: : ／| |'´|　　 | |:::|　|'´| | |　　|:::|: :::|
　　 　 　 　 　 　 　 　 | |ｉﾞ｛. 　 　 　 　 住んでる人なのかな　　　 　 　 ｝ :|／ ノ| |　|　 , ｲ:|:::|　|　| | |　　|:::|: :::|
　　 　 　 　 　 　 　 　 | |i . `､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／..ﾞ|:|: ｉ'´| | |　|／　| |:.:|　|　| | |　　|:::|: :::|
　　　 　 　 -　－、....　| |i　　 `　　─--　　　　　　---- 　　　　　　´ || 　 |:|: |　|_| |'´|　　 | |:.:|　|　| | |　　|:::|: :::|
.　　 　 　 ● ●） ヽ.....| |i　　　 　 | | | |　 | | 　 | :||_:l＿_||＿＿＿_||_,,,||＿_|:|: |'´| | |二二二二|　|二二二二二i::|
二ﾆﾆ==‐､-'- 　　ノ.....| |i　　　 　 | | | | ┌ー─ｰ||─‐‐||.:.:.:.:.:.:.:.: ||.::_||_:_:_|:|￣￣| |￣ |.:.:.: ／|　|　 　 　 . . :.:.:|::|
ﾆﾆ二二...＿＿＿_:::￣| |~二ﾆ=‐-| |_ｉ¨¨¨¨¨¨¨¨~||¨¨|.:.:||.:.:.:.ﾞ'"´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
: : : 匚]: : : : : : : : : :.￣| |￣””¨¨.:.| |==========||=ｉｉ|.:.: ／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼
: : : : : : : : : : : : : : : :_:_:|_|_:_:_:.:ｒ‐_‐| |┴‐┐￣||　 ||: |||.:.:′...　　　そうなんだろうなぁ、　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ヾ
|￣￣￣￣￣￣￣￣ | .:.:.:.:.:.:.:.:.: || |.:.:.:.:|:|.:.:.:.||　 ||‐|||¨ﾞi　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i
|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:::| .:.:.:.:.:.:.:.:.: ||_|.:.:.:.:|:|: : _||　 ||¨||l__,i　　　　　山に入る足取りが慣れた感じだ　　　　 　 　 　 i
|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:::| .:.:.:.:.:.:.:.:.: | |.:.: lニ|＿| |　 ||¨||::|..丶　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／
|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:::|.:.:.:.:.:.:.:.:＿|_|.:.: | | |─| |＿||_,||┘　　　─　───　　--　-　----　　──────ﾞ￣
|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:::| .:.:.:.:.: ｜ｎ :|￣| | |＿|_|￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣¨|:|￣￣| |　 : : |. : : : ／　. : :＼＼: : : ＿
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|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/ ./￣|　|"""""| |''| |＿|_[ﾉ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣| |　 : : [＼.:.:.|: : : : : : : :／ ／
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ┃
　　　　　　むしろできる夫の実家はこうした環境だった。
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　　　　　　　　　　　　　「薬草がどうだとか言っていたし」


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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　 ||￣|l 日 | ￣￣|| ￣￣|| ￣￣|| ￣￣||　l' 三三 l┌ ──┬─‐─┤
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　 ||　 |l 日 | 　 　 || 　 　 || 　 　 || 　 　 ||　||￣|￣|| |　　　　 | 　 　／||
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , 　 　 　 　 |　 ||＿|l 三 |＿＿_||＿＿_||＿＿_||＿＿_||　||　 | 　|| |　／　　| 　 　 　||
　　　　　　　　　　 ,.:'(;　　　　　　ヽ.,⌒;　 ｀;:⌒,　 　 |＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ヽ||＿|＿|| |　　　／| 　 　 　||
　　　　　　　　　　　　　 （;, . _(　 　 ; :(; . ;　,⌒:.　 　 |￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣`ー ､＿_［］ ‐──┴──‐ll|］
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ｰ ''.（: （ '⌒; ':〔二l＿＿| l　　 j l､＿＿＿＿＿＿___| l　　 j ｌ､＿＿_〔0＿_ｌ［二二］l＿０〕
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ､＿_ノノ　　　ヽ､＿_ノノ　ヽ､＿_ノノ　　　ヽ､＿_ノノ




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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ┃
　　　　　やがてバスはしのぶを置き去りに走って行った。
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━───


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　 　 　 ───────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ┃
　　　　　　山道を曲がりくねりながら走るバスに揺られながら、できる夫は
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━───────


　　　　　　　　　　　　　（そうだ、せめてできる子さんに連絡くらいはしておこう）


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ ――-　、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／／－￣｀＼＼
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 / /　 ( ●)　　ヽ＼ ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 { {{　 　　　　 (●):::::ヽ}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 { {{　　　 _　'　 　 }:::::::l}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 { {ﾄ 、　　 ｀　 　/::::::::l}
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　　　　　　感情的になってできる子の前から衝動的に消え失せてしまったことを、半ば忘れていた。
　 　 ┃
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　　　　　　　　　　 ___　 __-=ﾆ羌ｘﾍ,_　　｀`丶､
　　　　　　　　　 rｋｸ ｱ7／　　 └f羌ｘﾍ,_　　 ｀丶、
　　　　　　　　／'ｰ=≦´__　　　　　　└f羌＿__　　 ＼
　　　　　　　厶f无_ラ^f无_ァｘ┐__　　　 7/⌒ヽ＼　　｀､
　　　　　　f无广　　　 　 ｀⌒└f无ｘ＿/く__}f羌〉/　 　 ｀
　　 　 　 /´　　　　　　　　 ､　 　 f::「￣] 仄＞=く　　　 　 ,
　　　　　′　　,　　　 　 i　　＼　！|　　| |し'__]}＼＼　　　i
　　　　　　　　 i　　　 　 |i　i　　　 ＼ｰ彡ﾍ:ｘ介-彡'ﾞ　　　 |
　 　 　 | 　 　 |i　　　 　 |i　|　| i |!　　Ｙ|　 ; 川（　　　　　　|　　　 　 　 　 ;
　 　 　 | 　 　 |i　　 　 _,」 r匕j､Ni　　 |:L/::ｲ'|:|、､　　　　　| 　 　 　 　 　 ｝
　　　　 　 　 i |i__i,　 ｀八斗ｬ竓抓　　 ￣7/| |:l｀ :｀:,　　　 ！　　　　　　　;
　　　　八 　 i |｢_j、_,/　 `´乂nｿ|i 　 　 //l | |:,　 ＼＼　 　:,　　　　　　　′
　　　　 　 ＼Ｎkf灯ix 　 　 　 　 |ｉ　　 //　|:|八:､ 　 ＼〉　　 　 　 　 　 /
　　　　 　 　 ;:八,h у　　　　 　 |ｉ 　,〈/ 　 l:|　 ｀'＼　　 　 　 ｀、　　　/L_ ノ
　　　　　　 /;' i　圦`　　 _,　　　 |　/　__　/|:|　　　ヾ＼　　　　 ｀、 _／ﾆ仁__
　　　 　 　 :::|！ |　 ＼　 ´　 　 ﾉｲ ⌒＾Ｘﾆｊ｣　　　　 V　 　 　 　 Ｖﾆ7ﾆア⌒
　　　　　　l:::|！∧　　个: .,__,.　イ　 ／ﾆニ、　　　　 　 　 　 　 　 ∨≦=-‐ _,
　　　　 　 凵　j′ｉ　　 |＼　 　 ﾉ／ﾆﾆニニ､　　　　　　 　 　 　 　 亥⌒ー'´
　 　 　 　 　 　 　 | i|　 |　 ＼r‐=ﾆニニニニ｀、　　　　　　　　　　　　｀､≧=-‐
　　　　　　　　　　 ;八　|　　 /::::::::::⌒ﾆ≠ﾆニ｀　　　　　　　 　 　 　 　 ｀、
　　　　　　　　　　　　 Ｎ __,/::::::::::::::::／:::￣_〕ﾆ|　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ｀､
　　　　　　　　　　　　　ノ:::::::::::::::::／:-‐=ﾆニニ|　　　　　　　　　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　（:::::::::::::::::_/ ::::::::勹ﾆニニ|i　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ＼
　　　　　　　　 　 　 　 ＼_::ノ⌒＼ ::::::厶ﾆニニ|i　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　r:::7⌒@::::::::::＼::-'⌒ニニ|i　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀、
　　　　　　　　　　　　|└'::イ::::::::::::::::::）::-=ニニ八　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ｀、

　 　 　 ─────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ┃
　　　　　今朝がた、水銀燈から、できる子が心配していると聞かされた
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━───────



.

　 　 　 ─────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ┃
　　　　　　　できる夫は心情的にまだできる子と対面したくなかったが、

　　　　　　　できる子には心配も迷惑もかけていることだろう。
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━───────
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 _　＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,. -''"´　　　　 ｀　、
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　 ,. -''"´　 ヾ､ヽ,
　　　　　　　　　　　　　 　 　 ,.'　,　　　　　　　　 　_ ｀　 ｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　 /　/　　　 　 _,.　'',. '´,. -,r、　　ヽ
　　　　　　　 　 　 　 　 　 .'　/　　　　,_;'-／/,.ｨ'/／　|!　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 i　 lﾚ　　　/ﾞｿヾY´ ,/,ｲ　　,j! ,!　　　!
　　　　　　　　　　　　　　 |　 |l　, 　 !｀^`　　　!'　ﾆｭﾒ!/ﾙ ,i 　 |
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 |　 l　| 　l　　　　　/　'{:ﾞｿヾソ ﾉ,i 　,!
　　　　　　　　　　　　　　　|　ヽ ヽ | 　 　 、/　 　｀`´ル´}　 /
　　　　　　　　　　　　　　　 |　 ＼!ヽ　` ､、　　　　 ノ' ／ ／
　　　　　　　　　　　　　　　 l iヽ |ヽ　　　　 ｀｀　　／‐' ,r'´
　　　　　　　　　　　　　　　 | iﾍ､|　ヽ　　　_ ,. イ　／/
　　　　　　　　　　　　　　　 ﾙヽ|　　　｀ ´　 ノ,ｨk'/i'/
　　　　　　　　　　　　　 /｀` '‐-｀ｭ､ r,=＝ ﾆ､￣ヽ
　　　　　　　　　　　　　 |　　　r ､/７ _ｭ　　　 / ／＞-- ､、_
　　　　　　　　　 ,.　 - ''ｿ　　　　_{_{　　　　　 / ／　　　 ／／｀`ヽ
　　　　　　,rー{i´　　 V＿__ ,／ /　|ヽ　　　 //　　　 ／／　　　　i、
　　　　　/　　 ヽ　　<　　　　　/　　|　 ＼_ノ ＞　 　,／　　　　　_ _l
　　　　　l　　　 ヽ　　 ｀` ‐ ､,/　 ／ヽ　　／´　　／　/　　　／´,､,､ヽ
　　　　 ﾉ　　　｀y＼ヽ　　　＼_ '／　　`´　 ／／　　 l　　　|〈　( ﾟiｭﾟ)ヽ
　　　 /　　　　/　/ ＼＼　　　　　　　 　 , ィl´　　　　!　　　ヽ＼ ｀ヽ/ ヽ
　　 /　　　　/　/　　　＼＼　　　 ,. -''′　,!|　　　　　　　　 　 ヽ＼/｀ヽ〈
　 /　　　　 /　i/　　　　　ヽ_ _,r'´　　　　 /〈　　　　　　　　　＿_｀''‐ ､_/ ヽ
／　　　　　{　/＼　　　　　i,l |　　　　　 ／ ヽ　　　　　 ヽ　　｀＞ ｀｀''ｰ ´/ i



　　　　　　　　　（上司である原さんにも私についての報告のしようもないだろうし）


.

　　　　　　　　　　（こんな状況じゃできる子さんの失態になりかねない……それはさすがに）




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　´ 　　　　　　｀　ヽ　＿
　　　　　　　　　　　　　　／　　　　 　　　､　　　　(＿ ヽ
　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　　　､＿ ｀ヽ＿,,}　 ヽ　｀ヽ
　　　　　　　　　　　 / 　　　　　　 　　 　｀ﾞｔｯ≧､´　 ハ　　 /＼
　　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　　　　｀ー--'　　　 ｀化ヽ /::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　i　　　　u　　　　　　　 　 　 　 、　 ヽ　∨::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　　　 　＿ 　 　 　 ' 　　 　ｊ::::::::::::::ハ
　　　　　　　　　　　 ',　 　 　 　 　 　 ´ 　 ｀ー――-､　　 ｌ:::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　ヾ 　 ー-､ 　 　 　 　 　 　 　 　　　ﾉ:::::::::::::::::::::ｌ
　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::｀ヽ　　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::ｊ
　　　　　　　　　／::::::::::::::::::::::::::::::::::::≧ニニ’ニ7イｌヽ:::::::::::::::::::::::::::/
　　　　　　　　　::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∨:::::::::::::::::::::::/
　　　　　　　　　:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ｊ::::::::::::::::::::／
　　　　　　　　　::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／
　　　　　　　　　:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／
　　　　　　　　　:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::／


.

　 　 　 ──────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　,　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┃
　　　　　　後先を考えるゆとりのない、あの煮えたぎるような怒りが消えたわけではない。
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━───────────────
　　　 　 　 　 　 /: : : :
　　　　　　　　 /: : : :
　 　 　 ─────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ┃
　　　　　　　しかしこの数日次々に起きた様々な出来事のインパクトに押されたためなのか、

　　　　　　　いくらか小さくなったことはできる夫にも自覚できる。
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━──────────────────
　　　 / ／　 ／／￣ﾉ
.　 　 | 〈 　 〈／　 /: :　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 /
　　 /|　 ', 　 ｌ 　 ヽ　―　　 ‐　、　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 '
　　　　　　　 |　　　' ,: : : : :　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｲ
　　 ', 　 　 　 　 　 　 ￣ `　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 .　 " 　 ト 、
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ＼　　　　　　　 　 　 　 　 　 .　　　　　　　　＼
　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 . . . .:　　 　 　 　 /　　　　 ' ,
.　　 　 　 ＼　 　 　 　 　 　 　 　 ゝ　　‐: : : : : :　　　　　　　　　,
　 　 　 　 　 ＼　 　 　 　 　 　 　 |: : : : : : : : 　 　 　 　 　 　 ／
　　　　　　　 　 ヽ　　　　　　　 　 |. . : : :　　 　 　 　 　 　 ／

　 　 　 ───━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ┃
　　　　　　　　　　それでも、消えてはいない。
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━───


.

　　　　　　　　　　　（しかしなぜだろう、なぜこれほどまでに）




　　　　　　　　　　　　　　　　　　, -‐　´￣｀　‐- .
　　　　　　　　　　　　　　　,. ‐´　　　　　　　　　　 ｀ヽ､
　　　　　　　　　　　　　 ／: : : : : : : : : : : : : : : : :　　　 'ﾊ
　　　　　　　　　　　　 /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :　　　　ﾊ
　　　　　　　　　　　 ./ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 　　　　 ﾊ
　　　　　　　　　　　/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 　　　　　ﾍ
　　　　　　　　　　 .ｉ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :　　　　　ﾍ
　　　　　　　　　　 |　: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :　　　　　.}
　　　　　　　　　　　ｉ　 : : : : : : : : : : : : : : : ､. : : : : ＿　　　　/
　　　　　　　　　　 ,.-'´￣￣｀''' : : : : : : : : : : : ｀￣　　 ￣｀'ヽ'
　　　　　　　　 ／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :　　　　 ヽ,
　　　　　　　 /: : : : : , : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 　　　　 ﾊ
　　　　　　　,ｉ: : : : : |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 、: : : :　　　　ﾊ
　　　　　／´: : : : : : }: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ: : : 　　　　 ﾊ
　　　　/: : : : : : : : ｉ': : : : : : : 〃: : : : : : : : : : : :　　 ヽ､: : : 　　　　 ｉ､
　　　/': : : : : : : 　 ｉ: : : : : : : '": : : : : : : : : : : : :　　　ﾍ: : : : 　　　　ﾊ
　　 /　: : : : : :　　ｉ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 　　　　ﾍ : : : : 　　　　ﾊ
　ノ'　: : : : : :　 ／ｉ　: : : : : : : : : : : : : : : : : : 　　　　　 ﾍ: : : : : :　　　 ﾊ


　　　　──────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┃
　　　　　　　　持てあますほどの自己の感情も、一つの感情がこれほど長く継続することも、

　　　　　　　　できる夫にとって初めてのことだった。
　　　┃
　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━────────────



.

　　　　　　　　　　　　　　　　（今まで、私は自分があまり怒りを継続するタイプではないと思っていたのですが）



　　　　　　　　　　　　　　――――　､
　　　　　　　　　　 ／　　 　 　 　 　 　 ＼
　　　　 　 　 　 ／　　　 　 ＿＿_ 　 　 ＿＿

　　　　　 ／　　　　　　　　(　● )　　　 ( ●)　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　丶
　　　　 {　　　　　 　 　 　 　 　 　 ＿＿_ 　 　 　 }


　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　..ｲ
　 　 　 　 ／ ｀ ー　　　　　　　　　　　　 　 ´　 ＼


　 　 　 ─────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┃
　　　　　　自分が発作的に走り去った後でも、この町からの様々な加虐はあった。
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━───────


.

　　　　　　（趣味が趣味だけにひどい侮蔑を受けたことも過去にはあったけど、

　　　　　　　　　　　二日もすれば別にもうどうでもよくなっていたのに）



。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o。。o ﾟ〇ﾟ o。



　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ――‐　　　　　 　 　 　 　 　 ／￣￣￣￣￣￣　 ヽ
　　　　　　　　 　 　 　 ´　 　 　 　 　 　 ヽ　　　　　　　 　 ｌ　　　　　　　　　　　　 l
　　　　　　　　　　　/　　 ｀ ＼　　　／　　∨　　　　　　　｜ 　 返 　 あ 　 い　　|
　　　　　　　　　 　 　 　 (　●) 　 ( ●)　　　　　 　 　 　 ｜　　り　　ふ　　い　　|
　　　　　　　　　　 {　　　　　　　 '　　　　　 }　　　　　　 　 l　　 討 　 れ　　で　　|
　　　　　　　　　― 、　　　　丶 ￣ノ　　　　　　　　　　　　l　　 ち　　る　　 し　　|
　　　 　 　 "　 　 　 ＼　　　 　 　 　 　 ／丶　　　　 　 ＜　　 に 　 知　　 ょ 　 |
　　　　 ∨　　　　　 ､　≧　―――‐ `｀　　　＼　　　 　 ｜　　し 　 性　　 う　　|
　　　 　 {　　　　　 　 ＼　　　　　　　　 　 　 ―‐ヽ　　　　|　　 て　　で　　　 　 ｜
　　 　 V　　　　　　　　　ヽ　 ＿_　 ≦　 /　　　 　 ∨　　｜ 　 や　　　　　　　　｜
　 　 ∨　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 V / ｜　　り　　　　 　 　 　 |
　　　　　　　　ｌ　　　　　 ′　　 　 　 　 {　　　　　 　 　 　 |　　 ま　 　 　 　 　 　 |
　　 {　　　　 八 　 　 　 |　　　　　　　　　　　　　　　　}　　l　　 す　 　 　 　 　 　 l
　　　　　　 　 '∧　　 　 |　　　　　 　 　 }　　　　　　 丿 　 ＼　　　　　 　 　 　 ／
　　 ∧　　　　　∧､　　 j　　　 　 　 　 ∧　　　　　　　∨　　　￣￣￣￣￣￣
　　　'∧　　　　{ ∧ ￣　丶　＿＿_ ／/∧
　　　　∧　　　 ､/∧　　　　　　　　 　 　 ∧
　　　　/∧　　　　＜〉　　　　　　　　　　　 ∧　　　　 　 }　 　 　 　 ＿/＼／＼/＼／|＿
　　　　　　l　　　 ､r ､)丶 　 　 　 　 ／　　　 l　　　　　　　　　　　　＼　　 　　　　　　　／
　　　　　 〈 〈 ､＼ 〉　　　　　　　　　　　　　　| 　 　 　 ∧.　　 　 　 ＜ 　 ギャー！. 　 ＞......　|＼　　　　 /＼　　　　　/ |　　　／/　 /
　　　　　　 ｰ ≧'/　　　　　　　 　 　 　 　 　 '　 　 　 /　　　　　　　／　 　　　　　　　　＼ . ＿|　 ＼/＼/　　 ＼／＼/　|∧／　/／/
　 　 　 　 　 　 /　　　　　　　　　　　　　　 /　　　 ／　　 　 　 　 　 ￣|／＼/＼/＼/￣...　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　/
　　　　　　 　 /..　△▼△▼△▼　　　 ／　　　 "　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ∠　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＞
　　 　 　 　 '/.....　▲▽▲▽▲▽...　／　　 　 〈 ∨　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ＜　 　 変態だ！変態が出た！.　　　 〉
　　　　　　'/.　 　 △▼△▼△▼..ﾞ/ / r/　､ 　 V∨　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〉　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞
　　　　　　l　　 　 ▲▽▲▽▲▽...ｰ ､ﾉ{　/｜l)丿　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ／＿　　　　　　　　　　　　　　　　　＿ ＼
　　　　　　|　　　　　　　　/　 　 V/,　　　v　 ﾚ ´ 　 !　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ￣　/　／∨|　/Ｗ＼　　/＼|＼　 .|　￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /／　　　|/　　 　 ＼/　　 　 ＼|

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　～二年時学祭での出来事～


〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇 o。o ﾟ〇 o。



　　　　　　　　　　　　　　　　　（それなのに……）



.

　　　　　　　　　うと　　　　　　　　　　（……なんだよ、『また』あの連中だって……）

　　　　 　 　 　 　 　 　 ＿＿＿＿＿　　　　　　　○
　　 　 　 　 　 　 　 ／　　 　 　 　 　 ＼　　　　　　o
.　　　　　　 　 　 ／　　　　　　　　 　 　 ＼　　　　　｡
.　　　 　 　 　 ／　　　　　　　　　　　　　　 ＼　　　′
. 　 　 　 　 ／　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼　.
　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ
　　　 　 |　　 　 　 ￣｀丶　　　 　 ' ´ ￣　　　 　 |　　　　　　　　うと
　　　 　 |　　　 　 ‐ｭ::::ｪ‐　　　 　 ‐ｪ::::ｪ‐　 　 　 |
　　　 　 |　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 |
. 　 　 　 ＼　　 　 　 　 　 　 ´ 　 　 　 　 　 　 ／
. 　 　 　 　 ＼　　　　　　- ――- 　　 　 　 ／　　　　　　　　　　（どうして……）
　　　　　 　 ／ヽ　　　　　　　　　　　　　　イ＼
　　 　 　 ／　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ＼




　　　　───────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┃
　　　　　　　思考がだんだんとあちこちに飛び散り始める。

　　　　　　　バスの揺れるリズムに合わせてできる夫は次第にまどろんでいった。
　　　┃
　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━───────────────


.

　 　 　 ────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┃
　　　　　　　　そして約一時間をかけ、できる夫を乗せたバスはＶＩＰ駅前のターミナルに到着したのだった。

　　　　　　　　終点が駅前だったのは都合がいい。
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━──────────────────

―　-　 　 ｝　. : .:.:.:.:.||t,_,_￣　｀　¨ 　 ''''　￢ー╂　―　 --　　ﾆ.ll　　　ェ　.... ,,,,　＿＿　　　 _
　　　　 　 ﾞｰ､＿、 .: ||　 rﾞ　　　￣ rﾍ、 ｀　 ¨　||　　''　　￢　　rv'＾!、　|| 　 ,.rﾍv、　　　 ￣ ||｀　゛　¨``
　　　　　　 　 ,r‐':.　 ||　 ヽ,,_　　 人{.:::Y　 　 　 ||　　 ＿　 r'⌒ﾞ . : .:. ｀＾|| ∧{:.:..　 ヽ,､　c'^i　|| 　 r'`^i、
　　　　　　　（::..　 　 ||::.　　 ,`～{　 .:::' ＿＿＿_||　　ﾊ　 ￣￣￣ﾍ:.:. : . || 　 :,:. : .　　 ｀'´　 `'||　 （ 　ソ
ﾞ)　 　 |　　　 ｀>::. 　 ||　.:.　,.'　:. ', ,.'　 ∧.　　　 || ￣`ー――――'￢ｰ:||--.､ ＿＿＿＿＿_ || r'"｀.:
ﾑ-､ 　! 　i　 Y::.. 　 .:|| .:.　,'　..:　', '　 / ,ﾊ＿＿_||＿＿＿__　　　　 　 　 ||　　 ﾞi ｢￣￣￣￣　||.|:
‐┬‐┬―｢]　i゛:.　 .::|| :.　:「] －.: .:. .:.:.|　|!_　,　.|[＿＿_ll＿_￣lｌ￣￣￣.|| ￣｢　|.　□□□　 ||:| :.:
‐┴‐┴―|_|　ﾞ ''　^゛||¨ ゛ Ｌ! －'― ‐｜_|＿_　 ||＿＿＿　＿￣￣￣￣ 　 . | .::|＿＿＿＿.　||:|　.:
　　　―　-- - 　 　 ＂　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ￣￣　 ￣￣　＿_　　＿　 ﾞﾞﾞ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,..　　-‐　　 '　"　´　　￣　￣￣　　　　　　　　　　　　　￣￣　｀
　　)　　　＿＿＿　　　　　,.　-‐ '　´
　（　　／(ー)＾　ヽ＼..ﾞ' ´
　　 ／ 　　｀　　（ヽ） ヽ
　 /　　 　Y⌒ヾ⌒:::　　）
　 i　ｌ^l^lｎヾ⌒ﾉ　　　　ﾉ
　 ＼ヽ 　 Lー　　 　／
　　　ゝ
　 ／ 　 /


.

　　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
　　　　 {　 　　PHONE booth　　　｝
　　　　 マ三三三三三三三三三ア
　　　　 ｜|＼::::| |::::::::::: : : : : ::／|｜
　　　　 ｜|::::||: | |三三三:::／.／|｜
　　　　 ｜|::::||: | | : : : : :／,,:':::||:||｜
　　　　 ｜|::::||: | | : : : : : : : : : ||:||｜
　　　　 ｜|:::: , '| |┌──┐　., '.|｜
　　　　 ｜|／,;''| |::| {}[田] ::／／|｜
　　　　 ｜|::::||: | ﾄ:|ー―‐　／l|:::|｜
　　　　 ｜|::::||: | |::ゞ'ー‐一< :||:::|｜
　　　　 ｜|:::: , '| |￣|￣|￣　 :||:::|｜
　　　　 ｜|／,;''| | : :|　 |　 　 :||:::|｜
　　　　 ｜|／|_:| |_:_:|　 |＿＿.||:::|｜
　　　　 ｜|／::::| | 　 ￣　　　..＼|｜
　　　　 ム三三三三三三三三三ﾑ
　 　 　 ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣


　 　 　 ─────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ┃
　　　　　　　　最近めっきり少なくなった……

　　　　　　　　いや、見かけることすらほとんどなくなった電話ボックスも、

　　　　　　　　駅前という立地からは撤去されることなく佇んでいられるからだ。

　　　　　　　　電話ボックスの中に入り、できる夫は久しぶりに自分の携帯電話の電源を入れた。
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━───────────────



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼　　⊂ﾆ‐ｰ-、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ ヽ、_ ,―ー－‐- 、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ヽ ／　 ｒ―＝－‐-、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　/ 廴／　 ﾉ弋＿,　　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ＼　　 　 / / 厶 ＿/i ／　｀ヽ　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ＼＼　 / / /　　　　（　 　仆　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 i ＼V / /　 　 　　 ヽ　 i廴　　 气
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　弋 / 　 　 　 /　/廴/ 　 　 　 ）
　　　　　　.　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　刈 Ⅴ　　　　/　/　　 　 　 　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　ｉ　,′　 　 /　/　　 　 　 　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　ｌ/　　　／ ／　　　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 i ＿／ ／　　 　 　 　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽﾆ≠　i　　 　 　 　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　弋　　　ヽ　　　　　　 i



.

　 　 　 ────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┃
　　　　　　ここ数日の過酷な仕打ちにも負けず、携帯電話は無事に起動した。

　　　　　　バッテリーの残量はやや心もとなくなってはいたが。
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────



　　　　　　　　　　　「さて、できる子さんの番号は……うわ、留守電サービスが悲鳴を上げてる」


　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　,. -'"´::::::::::::::::::::::｀¨ー ､
　　　　　　　　 　 ／:::::::::::::::::::::::::::::__,,,::::::::::::::::::ヽ、
　　　　　　　　 ,.'"ｰ､:::::::::::::::i:::::::ｒ":::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　　　 　/:::::::::::::::ﾞヽ:i:::::::ｰ"'_,-ｰ‐‐-´::::::::::　　　 ヽ、
　　　　　　 /:::::::,ﾆ=-ｰ:::::::::::::::::::::=-ー￢:::::::::::::::::::::..　 　ヽ
　　　　　 ./::::::::::=-‐￢'::::::::::::::::::: 、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::.　　　ヽ
　　　　　/:::::::::.:::l::l::l:i" 　 丶　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 i
　　　　 /　　　 ::::::i::i:'　　 「￣￣|　　　　　　　　　　　　　　 　 l
　　　　,'.　　　 　 　 　 　 |　　　　|　　　　　　 　 　 　 　 　 　 }
　　　　i　　 　 　 　 　 　 |　 　 　_|　　　　　　　　　　　　　　 /
　　　　',　　　　　　　　　 L'ﾆ￣‐┘　　　　　　　　　　　　 ／
　　　　 ヽ、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／
　　　　　　ヽ､_　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／
　　　　　　　　 ｀¨i　　　　　　 　　　　　　　　　 　 　 ヽ
　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ヽ
　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　ヽ


.

　　　　　　　　　　　　「あったあった、えっと……。

　　　　　　　　　　　　公衆電話なんて久しぶりだなぁ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 , -‐　´￣｀　‐-
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ,. ‐´　　　　　　　　　　 ｀ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : : : : :　　　 'ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :　　　　ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 / : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 　　　　 ﾊ
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 　　　　　ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ｉ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :　　　　　ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :　　　　　.}
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ｉ　 : : : : : : : : : : : : : : : ､. : : : : ＿　　　　/
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ,r‐==x、....　　　,.-'´￣￣｀''' : : : : : : : : : : : ｀￣　　 ￣｀'ヽ'
　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 //;;;;;;;;;;ﾊ.....　／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :　　　　 ヽ,
　　　　　　　　　　　　　　　 {:!;;;;;;;;;;;;;ﾉ.　/: : : : : , : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 　　　　 ﾊ
　　　　　　　　　　　 　 　 　 ﾞレ'^ヾii! . ,ｉ: : : : : |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 、: : : :　　　　ﾊ
　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 〈.　　　／´: : : : : : }: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ: : : 　　　　 ﾊ
　　　　　　　 　 　 　 　 r=≠苅､ /: : : : : : : : ｉ': : : : : : : 〃: : : : : : : : : : : :　　 ヽ､: : : 　　　　 ｉ､
　　　　 　 　 　 　 　 　 {/};;;;;;;;; /': : : : : : : 　 ｉ: : : : : : : '": : : : : : : : : : : : :　　　ﾍ: : : : 　　　　ﾊ
　　　　　　　 　 　 　 　 Vii/;;;; /　: : : : : :　　ｉ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 　　　　ﾍ : : : : 　　　　ﾊ
　　　　　　 　 　 　 　 　 ＞ﾞノ'　: : : : : :　 ／ｉ　: : : : : : : : : : : : : : : : : : 　　　　　 ﾍ: : : : : :　　　 ﾊ



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 「あ、テレホンカードなんかもってるわけない、どうしたもんでしょう。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 まぁ、軽く話すだけですし、小銭でいいでしょう」


.

　　　　　　　　　　　「……百円玉が一枚だけ、百円かぁ。

　　　　　　　　　　　　　　一分もしないだろう用件に……うーむ」




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,,,,_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,. -''"´　 　 ｀ ' ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　,;"　日　　　　　本 ｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　/　 　_i⌒)-､　_i⌒)-､　｀、
　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'　　（　_,O_i⌒)-,O ､.ﾉ　　i.
　　　　　　　　　　　　　　　　 !.　　廴人（　_,O 人__）　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　 ',　（　_,O ､廴人_（_,O ､　　,'
　　　　　　　　　　　　　　　　 丶　廴人__）（_,O 廴人_　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ 　　　　　　　　　　　 ,.'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀'-､_百　 　　円 ,.-'´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ﾞ''ｰ-‐'''"´



　 　 　 ───━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ┃
　　　　　　　趣味以外への消費活動にひどく吝いのは

　　　　　　　できる夫も御他聞にもれずである
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━───


.

　 　 　 ─────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ┃
　　　　　　できる夫がしばらく財布のそこの百円玉を眺めていると、

　　　　　　手にしている携帯電話がけたたましく彼自身のソウルミュージックをわななき始めた
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━──────────────────
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ,iﾞlﾞ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 / .,!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /　.!　　　 .、
　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 iﾘ　./ 　.|　　　,iﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 / | ./　　 !.〟 / .l
　　　　　　　　/＝=z ､　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /　|./　　 .|/lﾞ./ 　!
　　　　　　　 /-=ﾆ≦/　　　 　 　 　 　 　 　 　 / 　 ! 　 　 / ﾚ 　 lﾞ　 ,．
　　　　 __　 /　 __　 /　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 /　／′
　 　 〃　ヽ' .〃　ヽ'　　 　 　 　 　 　 　 ,-‐―‐‐ｭ　　　　　　　 /／./
　　　ゝ _ノ　 ゝ. _ノ　　　　　　　　　　　/￣￣/､/
　　　 　 　 　 　 　 _ 　 /二ﾆ 　 　 　 /　 　 /､/ 　 　 　 　 　 　 　 　 Vk､
　　　 　 　 　 　 f　 ヽ/　 　 　 　 　 /　 　 /､/　　　　　　　 　 　 　 　 Vﾄ､` ー ､
　　 　 　 　 　 　 ` ｰ″　　　 　 　 /　　　､　､　　　　　　　　 　 　 　 　 Vk　`ｰ､ i
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 厂i　　 /　〉　〉　　　　　　　　　 　 　 　 Vk　 　l/
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 }　i 　 /　/　/　〉　　　　　　　　　　　　　 Vk
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ／...}　{　 '　/　/　/　　　　 　 　 　 　 　 　 〆　.〉
　　　　　　　　　　　　　　／/ /.ﾞ}　l '　./　/　/　　　　　　　　　　　　　/　　 ﾉ
　　　　　　　　　 　 　 ∠ﾆﾆ∠...l　 '　/　/　/　／ 〉.　　　　　 　 　 　 ゝ- ´
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　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ﾟ　　 　 　 V,
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ｡　　　　　 V,
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ﾟ　　　 　 　 V,


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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ´
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 l　　　 　 　 ＿ 　 ヽ
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　　　　　　　　　　　 ∨////∧　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 {
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　　　　　 　 　 　 　 　 /　　　}　...-､ヽ　　　　　　　　　 　 　 　 　 ｀┬― 　　　　　　　　　　 　 　 　 　 . :
　　　　　　　　　　　　/　　,..-''´　　 ヽi　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼:.:.: : : : . . . . .　 . . . . . . . . . : : : : :
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ┃
　　　　　　　　画面には、今まで表示されている名前と番号がそのまま表示され続けている。

　　　　　　　　ただ、一言「着信」の文字が添えられていた。
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━───────────────



.

　 　 　 ─────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ┃
　　　　　　　天を仰げばそこには電話ボックスの四角い天井があった。

　　　　　　　着メロはなり続ける。
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━──────






　　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
　　　　 {　 　　PHONE booth　　　｝
　　　　 マ三三三三三三三三三ア
　　　　 ｜|＼::::| |::::::::::: : : : : ::／|｜
　　　　 ｜|::::||: | |三三三:::／.／|｜
　　　　 ｜|::::||: | | : : : : :／,,:':::||:||｜
　　　　 ｜|::::||: | | : : : : : : : : : ||:||｜
　　　　 ｜|:::: , '| |┌──┐　., '.|｜
　　　　 ｜|／,;''| |::| {}[田] ::／／|｜
　　　　 ｜|::::||: | ﾄ:|ー―‐　／l|:::|｜
　　　　 ｜|::::||: | |::ゞ'ー‐一< :||:::|｜
　　　　 ｜|:::: , '| |￣|￣|￣　 :||:::|｜
　　　　 ｜|／,;''| | : :|　 |　 　 :||:::|｜
　　　　 ｜|／|_:| |_:_:|　 |＿＿.||:::|｜
　　　　 ｜|／::::| | 　 ￣　　　..＼|｜
　　　　 ム三三三三三三三三三ﾑ
　 　 　 ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣



.

　 　 　 ────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┃
　　　　　　やがて着メロは終わり、留守番電話に切り替わる。

　　　　　　それから数十秒後、できる夫の携帯電話あての通話が終了した。
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿　　　　　　　　　　　　　　　　　「……はぁ」
　　　　　　　　　　　　　　　　　´ 　　　　　　｀　ヽ　＿
　　　　　　　　　　　　　　／　　　　 　　　､　　　　(＿ ヽ
　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　　　､＿ ｀ヽ＿,,}　 ヽ　｀ヽ
　　　　　　　　　　　 / 　　　　　　 　　 　｀ﾞｔｯ≧､´　 ハ　　 /＼
　　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　　　　｀ー--'　　　 ｀化ヽ /::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　i　　　　u　　　　　　　 　 　 　 、　 ヽ　∨::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　　　 　＿ 　 　 　 ' 　　 　ｊ::::::::::::::ハ
　　　　　　　　　　　 ',　 　 　 　 　 　 ´ 　 ｀ー――-､　　 ｌ:::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　ヾ 　 ー-､ 　 　 　 　 　 　 　 　　　ﾉ:::::::::::::::::::::ｌ
　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::｀ヽ　　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::ｊ
　　　　　　　　　／::::::::::::::::::::::::::::::::::::≧ニニ’ニ7イｌヽ:::::::::::::::::::::::::::/
　　　　　　　　　::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∨:::::::::::::::::::::::/
　　　　　　　　　:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ｊ::::::::::::::::::::／
　　　　　　　　　::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／
　　　　　　　　　:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／
　　　　　　　　　:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::／

　 　 　 ────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┃
　　　　　　　どのような留守番電話メッセージが追加されたのか、そんなことは聞かなくてもわかった。
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━──────────────────


.

　 　 　 ─────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ┃
　　　　　　　できる夫の携帯電話の電源が入った時にたまたまかかってきた、のではないだろう。
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━───────────────

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 / 辷´＿_　辷′｀7ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /´　　/　/　　　　7 厶
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 / 　 　/　/　　　　/ /　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 /　 　 /___′　　　/ /　/
　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 / 　 ＿＿＿__　　 / /　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 / 　 /　　　　 / 　 / /　/
　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 / 　 /　　　　 / 　 / /　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 /　　　￣￣￣ 　　/ /　/
　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 /　　　　　 　 　 　 / /　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /　　　　　 　 　 　 / /　/
　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /_　　　　　　 　 　 / /　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　 ‐　-　　‐ 　´/ /　/
　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ゝ　　　　　　　　　/ /　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀≧=‐- -‐=≦´_彡'


　 　 　 ───────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ┃
　　　　　　　何度も何度もこまめに、この数日間連絡を取ろうとしてきたのだろう。
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━────────────




.

　　　　　　　「しかたない、か」


　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ＿＿
　　　　　　　　　　 　 　 __　- ´´￣　　 　 　 ｀¨ ‐ ､
　　　　　　　　 　 , -'"´:　　　　　　　　　￣￣　　　 ヽ
　　　　　　　　／. : : : :　 　 　 　 　 　 　 ,　 ￣　 ヽ　丶
　　　 　 　 ,,.'. : : : :　　　　　　　 　 　 　/　/::::::ヽ　ｌ 　 ヽ、　　　　　　　　　　　　　「百円玉ももったいないことだし」
　　 　 　 /. : : : : :　　　　　　　 　 　 　 {　 {:::::::::ﾉ　!　　　ヽ
　 　 　 /. : : : : : 　 　 　 /｀|.　 　 　 　 丶　｀　´ ノ 　 　 　 ヽ _
　　　 /. : : : : :　　 　 　 |　 |　　　　　　　｀ー‐ ´　　　　　 　　 　|
.　　 /. : : : : :.　 　 　 　 |r､ !　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 i
　　/. : : : : :　 　 　 　 ノ　 )|　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＿＿　i
　 /. : : : : :　　　 　 ／＿＿|　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 l
　,'. : : : : : :...　　　//´ ＿__　＼　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /
　i : : : : : : :　 　 // ／ 　　 ＼ノ　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 /
　i : : : : : : :.....　ｨ／ ＿ノ ＞､　)　　　　　　　　　　 　 　 　 　 /
　', : : : : : : :...　| 　 ´ 　 ＿､　＼　　　　　　　　　　　　　 　 ／
　', : : : : : : :...　|　　　　　/　ゝ∧ 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／
　 ヽ、: : : : : :　|　　　　　|　/Y'　　　　 　 　 　 　 　 　 ／
　　　ヽ､:_: : : :..|　　　　　|‐'|　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／
　　　　　 ｀¨i :..|　　　　　|　|　　　　　 　 　 　 　 　 ヽ



　 　 　 ─────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ┃
　　　　　　財布を閉じ、電話ボックスを出ながら、できる夫はできる子にむけて電話をかけた。
　 　 ┃
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【 ＶＩＰ市 中央商店街 】


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　 | | :|　　_､＜＞''"|| x===ミ''"＿＿　　　 ＿　 -　 ¨.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:_　 -=　¨.:.:.:. |.:.:.:.:.: .:.:.|
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　 | |_｣ ‐ ¨　　,:ﾞ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.Ｙ-‐　'"~.:.:.:.軽食.:.:.:.:.:.:.:.:__ 　 -=ﾆ二二ﾆ=-　＼.:.:.:|
　 | |　　 　 _,,/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|喫茶.:.:.:.:..:.:_,.　　-=ﾆ二ﾆ=-　T ¨”: : : : : : : : : :|＼|
　 |-‐　 "~.:.:′.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:._｣　 -==ﾆ二ﾆ=-　 "~ : : : : : :.::｜: : : : : : : : : : :.::|
　ﾉ_ ﾆ=-.:.:'"|.:.:.:.:.:.:.:.:._,,　　-=ﾆ二二ﾆ=-幵”:.:｜: : : : : : : : : : : : :∧ : : : : : : : : : :.:.:|
「.:.:.:.:.: .:.:_　 -=ﾆ二二ﾆ=-'　¨　|| 　 | |　 | |: : :∧: : : : : : : : : : : :/　‘，　 : : : : : : : ｜
L-=ﾆ二二l丁|丁￣　　　|_,､　-|| 　 | |＿|_ｌ: :/　‘， : : : : : : : : :｀¨¨¨´ : : : : : : : : :.::|
| |─ｒ… ﾆ|｜|｜|￣￣ﾞ|　　　__||￣_| l__　| : :｀¨¨´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.:.:|
| |ニi|ｉ 丁丁|｜|｜ 　　:|　|￣.:.:||｜ | |　| |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.:.:|
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ﾆ=- |_| 　　 |┴| |¨了|￣|　 |　 ||└Τ ''..┬　弌ｖ　　　　　ｖ%%x　　　　　　￣￣””｜
　　　　斗f七Iて_~ └=ﾆ_｀¨´￣-二_ﾆ=-⊥　＿|￣　ｰ┬丁　'ー┬ｭ ｗ※※v,　　｜
　　　　　　　　　　ﾆ=-　　_~^'' |　　 　 ~"''　ｰ-=二_ﾆ=-∟|___　　 | | |￣　 ¨ﾞ丁:!　 |
　　　　　　　＜::::::::::::::::::::::_　- ⌒ﾆ=-　 _　　　　　　~"'　┬-=ﾆ三ﾆ┴　..,,_　 |_,|　｜
　　　　　　　　　＞-=ﾆ⌒　　　　　　　　⌒ﾆ=-　　_　　　 | 　 　 ~"''　ｰ-=ﾆ王,_ 　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣二ﾆ=‐　　　__　　　　　　　”^''|

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ┃
　　　　　　　ＶＩＰ市の商店街の中にある喫茶店で、ゆかりとあずさがティータイムを過ごしていた
　 　 ┃
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　　　　 　 　 　 　 　 -―…　 ―-
　　　　 　 　 　 ／ヽ: : : : : : : : : : : : ＼
　　　　　　　　/: : : : xく : : : : : : : : : :_: ヽ
　　　　 　 　 /: : : :/: : : ヽ: : :‐:-:-: : : _:｀:.,　　　　　　　　　　　「ビルのオーナー、呆然としてましたねぇ」
.　　　　　　 /: : : :/: : : : : :＼: : : : : : : : :｀ヽ
.　 　 　 　 〈: :! : /: : :/ : : :/｀ヽ: : : : : ｰ: : 廴_
.　　　　　　 ヽ: :/: : : ! : : / -‐_''_｀ヽﾄ､rミヽ厂｀
　　　　　　　　>': : :r'-､,ｲ　_x=ミ､　 　l:ﾘ}八!
.　　　 　 ｰ=彡!: : :ﾊ´ハ| 　杙ツ　 　 ヽ.ﾄ､
　　　　　　　 〈:!: : : :｀:ｰ:.､ 　_　 　 　 _, /｀
.　　　　　　 　 ヽ!: : : ｰ: :-イ/､ 　＜ｱ/ｰｧ
.　　　　　　　 　 ゝ: ヽ-‐=ﾆﾆく,/:.ーく イ
　　 　 　 　 　 　 ,厶ｲ＼＼｀卞ミ ｰy　ヽ
.　　　　　　 ／: : : :＼ :＼＼VLﾄ､ﾘ＼:_:　∧　 　　　　　　 　,r―ｭ、
.　　　　 　 /: : : : ＼: : ＼::　＼ヽ ミｰ=ミ_:　　＼|￣￣￣￣ 匕二7
.　　　　　 |: : : : : : :ヽ: : : 　く:::::::＼＼＼::::}: : :　ヽ 　　　　　ﾉ--- 〉
.　　　　　 | : : : : : : :|: : : : : : :＼::::::ヽヾ !:::| : : : 　|｀ ｰ==イ｀ｰ-イ{
.　　　 　 V: : : : : : : ::|: : : : : : : : : ＼:::::V:!::|: : : 　人 　／ :`ｰ---/
.　　　 　 /: : : : : : : :∧: : : : : : : : : : :.＼V:ﾘ: : : 　|: :∨: : : : : : : :/
　　　　　/: : : : : : ::/　 ＼: : : : : : : :: : : :.Ⅴ: : : .|:./: : : : : : : : ／
.　　　　 /: : : : : : :厶　 　　,＞ｭr‐―っｒ========ｧ: : : : : :／
　　　　/: : : :／√￣￣￣: :/ {　　⌒￣＞‐---＜: : : : ／
.　　　 |: : : : : :/: : : :: : : : : : ＼＼＿_ヲ{: : : : : :}: ::.＼／
.　　　 ∨: : : : : : : :: : : : : : : : : Y´　　| :!.: : : : :.fア＾



　　　.　　　　　　　iﾍ
　　　　　　　　 ,　 |{ ∨⌒: : : : ､
　　　　　　 　´: : :.|i : : : : : : : : : : : ､
　　　 　　/: : : : : :ﾘ⌒∨⌒ヽ : : : : : ､　　　　　　　　　　　　「はい……」
　　　　　': : : : : / 　￣　￣ 　゛: : : : : :.､
.　　　 /: : : : : /　　　　　　　 　゛: : : : : :ヽ
　　　 ': : : : : /　　　　　　　　　　ヽ: : : : : i
　　　 |: : : : ::i___ ノ_　　　　`ｰ-__-.}: : : : : }
　　　 i: : : : ::| イi弋}`　 　　' i弋 〉|: : : : : i
　　　　､: : : ::i 　`‐' 　 　　　 `-'　.| : : : :/
.　　　　}: : : :.:i　　　　　 i〉　　　 　i : : : : |
. 　 　　|: ヾ : :ﾄ､　 　　_＿ _　　　/: : :/: :|
　　　　|: : : ＼: :＼　　　____　 ／: :／: : : |
　　 　 |: : : : : : :.ｒ-‐ ／　　 ヾ: : : : : : : : :.|
.　　　 |: : : : : : : i　/　　___　　〉 7: : : : : : :|
.　.　　|: : : _____ ﾉ. i　　｛　￣`i 八_＿___: : |
　　　 |, -‐}　/　　.|　　 i }　　.|.　i 　i 　ｒ`‐-､
　　 ,ｨ'　　 |　{　 i　i　　 ﾏ.　　|　 i　 i　 {　　　:.
　　 {　　　.|　} 　i .ﾉ　　 .｝ 　 i.　 ヽ　ヽ.|　　　}
　.　 !　　　ﾚ´ 　 /　　　∧　 　'.　　 ヽ i　 　 .i
　 　 i　　/　/　/　　　/ 　 '.　　 ヽヽ 　ヽ　　.|
　 　 |　:;;　/. .,'　　　 /i 　　 '.　　　＼｝　:;　　|
.　 　i 　{ 　／　　　 /　|　　　'.　　 　丶　｝ 　.i
.　.　|　　Y　　 　　./　　i　　　ﾊ.　　　 　Y.　　|
　　 i.　 /　　　 　/} 　　|　　　{　'.　　　 　 ､ 　i
.　　|　/　　　　 /　| 　　|　　　| 　'.　　　　　ヽ |
　　 i .!　　　　ノ　　|　.　|　　　| 　 '.　　　　 　i |


.

　　　　　　　　　　　　　　 　 ＿＿
　　　　　　　　　　　 ,.. .:＜:.:.:.:.:.:.:.:.｀ヽ
　　　　　　　　 　 ／:.:.:.:.:.:.::.￣｀　、:.:.. ＼　　　　　　　　　　　　　「仕方ないか、夜が明けてから確認してみたら
　　　　　　　 　 /:._:.:.:.::｀ヽ:.:.:.:.:.:.:.:..＼:.:.:.:.:.:、
　　　　　　 　 ,ｨト.....、:.:.:.:.:..＼:.:.:.:.:.:.:.:.＼:......　　　　　　　　　　　　　　　想像以上にひどい状況でしたからねぇ」
　　　　　　　 i:.:.ﾄ､:.:.:.:＼:.:.:.:.:.:.＼:.:.:.:.:.:.:.:.＼. ＼
　　　　 　 　 |:.i.i　＼:.:.:.:ヽ _:.:.:.:.:..＼:.:.:.:.:.:.:.:.＼..＼
　　　　　　　 Y_!　　-≧ー=二＿_:.:._＞‐rァナ:.:.:.. ＼
　　　　　　 　 ! i　 ｲP Tヽ　　　 ､二ﾆｨ　|!/ー＜￣ ｀`
　　　　　　 　 ﾏﾍ　 ゞ-'　　　　　 ￣´ﾞ　.ハ:.:.:.:.:ヽ
　　　　　　　　 ヽﾊ. 　 　 　 　. 　 　　　.':.:.:.:ト､:.:.:i
　　　　 　 !､　　/:.:.､ 　 　　 . :,　　　　/:.:.i:.:.:!　＼!
　　　　　　 :..ー':.:.:.:.:.>、 　ー_,= '　 .ｲ:.!:..ﾊ:.:|
　　　　　　 ヽﾆ二 イ:.:.:` ､　_´　 ＜:.:.:.:／ﾊﾉ
　　　　　　 　 ／　　ノ i |　　　　　　| !|　 　＼
.　　　　　　／_　　 /　/ﾉ 　　　 .:. 　ﾘﾙ　　_＿ヽ
　　　　　　　　 ＞/．/ i :.　　　　　／.／´ ｀ヽ
　　　　..r. "´　　〈__人 {　:. 、 .: '　!／/　 　 　 ｀　､
.　　 　 ハ　 . ･ ´ /ヽ･ｿ　:. . '　　ﾉ　/｀　､　　　　__｀ ､



　　　　　　　　　,　　＝ヽ
.　　　　　　　／　　　　　＼-　- ､　─　　　　　　　　　　　　　　　「本当に。
　　　　　 　/　　 　 ,ィ　'"´: : : : : ＼: : : : : : : : ヽ
.　　　 　　/ 　　 　/: : : : : : : : : : : : ヾ: : : : : : : : : ＼　　　　　　　　　 電気系統はほぼ全滅、水道管は破裂しっぱなしで
.　.　　　　|i　　 　/::{Yミ､: : : : : : : : : : : Y: : : : : : : : : ヽ
　　　　　 |i　 　　′i´　 .∨: : : : : : : : : :: : : : : : : : : : : :.　　　　　　　　　　天井も床も壁も水浸しのメーター回りっぱなし……
　　　　　 |i　　　':::::.|　u.　∨: : : : : : : : : }: : : : : : : : : : : :.
　　　　 　|　　　|::::::i_　　, =i: : : : : : : : : :.|: : : : : : : : : : : : :}　　　　　　　　　壁はまともな箇所のほうが少なかったくらいで……」
　　　　　　 　　 {:::::::.,`　　ｨ.}: : : : : : : : : :i⌒ヽ: : : : : : : : : l
　　　　　　　 　 | :::::::ｶ　　ﾋi: i｝ : : : : : : :} 　 /: : : : : : : : : |
　　　　　　 　　 |: : ／　 　 リ }: : : : : : : ﾘ／: : : : : : : : : : .i
　　　　　　　　　}::::`､　　　 ´ .i: : : : : :/　| : : : : : : : : : : : :|
　　　 　 　 　 　 i: :　　 _　_　 |: : : : :/ 　 |: : : : : : : : : : : : |
.　　　　　　　　　{: : : ヽ　　　 ﾘWﾙ'´　　.{: : : : : : : : : : : .: |
　　　　　　　　　 ﾘﾊﾊ: :＼____ ィ.　　　　 |: : : : : : : : : : : : .|
　　　　　　　　　　　　{: : : : : : i 　 　 　 人: : : : : : : : : : : ..|
　　　　　　　　　　　　|: : : : : : ｝　　 　 ' 　.＼: : : : : : : : : ..|
　　　　　　　　 　_ _r‐=＝ｧ ' ´　　　　　　　　X⌒ｱ‐-ｧ=-､
　　　　　　　, イ　ｲ{ 　　｛　　　　　　　　　／.　_丿／　　　　ｰ ､
　　　　　　/´ 　　.}i　　 八　　　　　　__／　　ﾏ　/　　　　　 　　〉
　 　 　 　 ′　　./ ヽ　　　＞r‐fﾆ二　　　　　｝　{　　　　　　　八
　　 　　　{　　　 Y´　 ＼　 /　　{　　　　 ノ⌒´ 　i ﾉ　　　　　 　ﾑ
.　　 　　 八　　/　　　　冖　　　`ｰ'´`ｰ´　　 　　t'　/　　　　　 　}
　　 　　｛　　V　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Y　　　　　　　ｿ
　.　　　 i　　/　　　　　 　　.:;´　 　　　　　　　　 　.}　　 　 　　 f´
　　　　　{ 　{　　　　　　　.::::i　　　　　　　　　　　 ｿ　　 　 　　 {


.

　　　　　　「それでいて建物自体が崩れそうな気配はなかったですし、

　　　　　　　　　　　まあ今後どうなるかわからないですけど」


　　　　　　　　　　　　　　　-――　　＿
　　　　　　　　　　　　　へ　　　　　＼　　　＼
　　　　　　　　　　／　　　 ＼　　　　　ヽ　　　へ
　　　　　　　　　<　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　ﾍ
　　　　　　　　　/,へ　　　　　　　 　＿　　　　　　ﾍ
　　　　　　　 　/ l_-＝≧- ､　＞≦　　￣　、　　　 l
　　　　　　　　 l l　　　　 ヽ　` - ．.＼_　 　ﾍ　　　＼
　 　 　 　 　 　 l |,.行㍉　　　 〃ﾃ;〒ﾐ＼|＼|　 　　　＼
　　　　　　　　　',l` {;;; ｿ　　　　　ゞ_ ;;ﾉ　　 |　／ﾊ　　 　＼
　　　　　　　　　 |　　　r　　　　　　　　　　 l ﾉ 彳ﾘ　 ト、 　＼
　　　　　　　　　 l　　　　　　　　 　　　　　 l/ ﾆ ノ ﾊ　l　　￣
　　　　　　　　 　ヽ　　　ヽｰ -,　　　　　 　 ○´　 ハ l
　　　　　 ､ー‐--‐'´ヘ　　~　　　　　 ／　　　　l /　ヽ!
　　　　　　 ` 　‐- ．.＿≧　　 　 ＿≦-イ　　/l/
　　　　　　__,,.､_ 　　ﾊ　　　/　　ハ　　￣ |　/
　　　, -'"　　　　ｰ/　| ／/―ｰ/　ｌ＿ 　　|/
　　/　　　r ‐ ヽ、　/~ー　　 /, -'"　　 ヽ、|
　/　　　 ﾉ　　ヽ >―／￣ヽ /　　　　　　 ヽ
／　　　 {　＿　 ( 　/　　　丿　　　　　　　　ﾍ
　　　　　 ~　／　　ﾊ　　／　　　　　　　　　　l


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「どうであれ、すぐにでも解体しないと。
　　　　　　　　　　　　　　　　// ヽ ヽ　　　, -‐　　- ､
　　　　　　　　　　　　　　　　| i　　＞　`Y´////////＼ヽ　　　　　　　　　　　あんな状態じゃ近隣のみなさんにご迷惑ですし」
　　　　　　　　　　　　　　　　|:i　///,ヘ　∨ ＼///////＼ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　|i ////　　〉-‐'´⌒ヽ///////＼ ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　ﾚ'///　／　　　　　 　＼//////:ヽ　
　　　　　　　　　　　　　　　　 ///:ﾚ' 　　　　　　　　 __＼//////Y
　　　　　　　　　　　　　　　　////{　　　　　　　　／　￣ Y/////|∧
　　　　　　　　　　　　　　　　i///:| 　 _＿　　　　　,ｲ丐`ヽi/////|//i
　　　　　　　　　　　　　　　　|//∧ / ,.= ､.　　　　 弋ﾘ　仆//////|∧
　　　　　　　　　　　　　　 . 　|///∧ 仍ﾊ.　　　　　　　　　N/////|/∧　　　　　　　　「修繕が利くレベルじゃないのは
　　　　　　　　　　　　　　　.　∨//∧`ｰ'　 　 ､　　　　　　　|////N//∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　∨//∧　　　　　　 ._　　 　　|///////..∧　　　　　　　　　　確かだと思いますし」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼//ｒ-､　 　　'´　　　　　　 ////////∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `Yゝ ,'Y⌒ヽｰｒ､　　　　 /／///////∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::i´　 (_ ノ_丿 }-‐ 　 / ＿////////∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::.|　　入フ ｰ iＴＴＴＴＴＴ 7////////∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |/|　　　　　 / |　|　|　|　| {/////////∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |//〉　　　　/　|　|　|　|　|八/////////∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｨ'￣/　　　 /　|　|　|　|　|　|　| `ｰ　､ ////∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　/　 　 　/　|　 | 　|　 | 　|　 |　ヽ 　ヽ////}
　　　　　　　　　　　　　　　　.　 {　 ./　　 　 /　 |　 |　 |　　| 　|　　|　 ヽ　 ＼//|


.

　　　　「そうですねぇ……しかしオーナーに聞かれたときは困ったわ

　　　　　　　『いったい何がどうしてこうなったんだ』って。そんなもんこっちが聞きたいわ！」


　　　　　　　　　　　　　　　　　　-‐‐-
　　　　　　　　　　 　 　 . : ´: : : : : : : : : : : : .、
　　　　　　　　 　 　 ／. : : : : : : : : : : : : : : : : ＼
　　　　　　　　　　 /. : : : : : : : : : : : : : ｀ヽ: : : : : :.
　　 　 　 　 　 　 / : : : : : : :｀丶、＼: : : : ｌ: : : : : :|
　　　　　 　 　 　 ＼ : : : : :＼＿_＼_ヽ:ハ| : : : : 人　　　　　　　　「あぁ、こうやってヨソモノは嫌われていくのねぇ」
　　　　　　　　　 　 |`ト : : :＿＼／__,_,＼:|: /ヽ: : : :＞
　　　　　　　　　 　 l :|‐-_｀ヽ　´/Vﾂ ﾉ´　Vｒ　}l: : : :＼
　　　　　　　　　 　 ':八Vﾂヽ　　 　 　 　 　 し八: : {￣
　　　　　　　　　 　 　 '.｀　 　 　 　 　 　u.　 厂: : :丶＼
　　　　　　　　　　 　 　 、　 ｀ _,.　-=ヽ　 /|: : : : ｢￣ ｀ヽ
　　　　　　　　　　　　 　 ＼ 　 L::::::::ノ　　 |: : : Ｎ
　　　　　　　　　　　　　　　 ＞ .｀こ　／　_,|__ ノ　　　-‐ ､
　　　　　　　　　　　 ⌒`＜: : : : :〕ﾆ´／　　 ＞＜/｀丶丶 ＼
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 _｀ニ∧L∧___ ／　l 　 {　 　 　 ＼ ＼
　　　　　　　　　 　 　 , イ::::::::::::::::j_ｊ:::::::::::｀ヽ l　　 .　　　丶　　 {
　　　 　 　 　 　 　 　 {｛ i＞-‐=彳|:＼::::::::::/ l　 　 l　 　 　 丶　＼
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　　　　　　　　　　 　 ／⌒ヽ/ //｜＿, ～'　l　 　 l　|＼ 　 ＼　 ＼　＼
　　　　　　　　　　 , ' / 　/　 //　l　 　ｌ　　　l　 　 l ｜　＼ 　 ＼　 丶　＼
　　　　 　 　 　 　 {　{ 　 { 　 i |　 l　　 l　　　}　 　 l　|　　　＼　　ヽ　　丶　ヽ



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　　　-───＜_　　｀ヽ
　　　　　　 　　 ,　´　　　 　　　　 　 ＼ 　ﾉ
　　　　　　　　/　/　　 ／三｀Y三＼　 ＼
　　　　　　　 ,'　 ′ 　/／´ 　　 ｀ヾ|　 ヽ|
　　　　 　 　 |　 , 　　 |'＿_,ノ　　`ｰ┤　| |
　 　 　 　 　 |　 | 　　 | 　＿- 　 ,ﾆ､{ |　| |
　　　　　　　 ',　| 　｜ﾚ'´　 ｀　 　　,,V　ﾊ|　　　　　　くすっ
　　　　　　 　 |　',　 Ν''　　 ＿_　 　ﾉ /
　　　　　　　　|　 ＼|_`ﾆ=r ｀ﾆ´ｒ＜_V|
　　　　　　 　 | 　/´ |　ﾚﾍ　　/V |　ヽ|


　 　 　 ────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┃
　　　　　　　　実のこもったゆかりの言葉に、あずさは不謹慎と自覚しながらも軽く吹き出してしまった
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━──────────────────



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　 　 　 ───━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ┃
　　　　　　　　　　　だが、すぐに表情を引き締めて
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
　　　　　　　　　　　　　　-
　　　　　　 　／ : : :⌒ : : : : :＼
　　 　 　 　 ' : ,-‐ ヽ : : : :／: : :`
　　　　　 .' :. / : : :./＼ : : : : : : :∨ヽ
　　　　　: : :/ : : : :||ﾐ` ∨彡'. : : :∨::}　　　　　　　　　「人の業とは思えませんよね」
　　　　　i / : : : :/ |i 　　　　ヽ : : :∨:|
　　　　　| : : : : ::　 |　 　　　 　'. : :::.} :|
　　　　　| : : : : :i＿＿,　　ー-_‐ヾ: :.| :|
　　　　　| :i : : :ﾚrｪｯ　　　　ｲf ≧ : .:| :|
　　　　　|.八 : :{` ｰ´　　　　 ￣　.| :.|. :i
　　　　　i :::::. 　ﾄ､　　 　 '　　　　 | : | ::|
　　　　　| : : :ﾊ ＼　　 r　‐, 　 ／i: ::| ::|
　　　　　: : : : : :＼ ＞　￣　／＼| : :|: |
　　　　.' : : : : : : :,/ミ　　`　　彡 ∨ : : |
　　　 / : : :彡 '´|i＼　　`三'　　./ |i|　 ` 　､
.　　 / : : :{　　　|i| 　＼三三三/　 |i|　　　　 i
　　/: : : :.|　､.　 |i|　　　　　　　　　.|i| . /　　 .|
　 .' : : : : :|　 ヽ/　＼ ＿＿＿＿／. ∨／　　|
　 { : : : : :.|　 /　 ○　￣￣￣￣　○ ＼ .　　|



　　　　　／　 ／　　　　　　　　　　　　　　,　く
　　　　 /.　／　　　／　 　 　 　 /　　 　 ハ　ヽ
　　 　 '　 /　　　／ 　　 / 　　 / 　 　　/　 ',　 ﾍ.
　　　 /　 7　 ／ 　　 ､./　 ／,′　,≠′ 　 i 　 /
　　　 '　./ ／ﾑ , -‐７＞＜_./ 　ｨ´ノ __,,　　 ﾚ /　　　　　　　　　「同感です」
　　 /　/, '　/バ弌ﾓ´〒ﾃﾐ/, '´ "行ﾃﾔ゛ ｧ ﾊﾞ
　 ムィ　　　い ﾍ　弋ｪノ　'″　　 乂ノ　ノ /　}
　　／ , ｨ　　 ヽ.ﾊ　 ::::::::　　　　　　:::::::::　/ノﾉ
　　￣　 !　ﾊ 　 O､ U　　　　　‘　　　　 /O'´
　　　　　|/　',　　　.ゝ　　　 　 　 　 　 ｲ　ﾍ、
　　　　　　　 ∨ ∧ .r,-､x ､　'⌒.ィ､´　、　　`ｰ -　ｬ
　　　　　　　　∨.　yﾍﾞ､'})ｰ-`´ ┤ `ｰｧ　､＿ , - ´
　　　　　　　　　　 ,′ ∨､ _　 　 l ﾊ /、 ＼
　　　　　　　　 　 /　　/＼　￣~/＼|!､ `ｰ -`
　　　　　　　　 ／＼ /　 ﾉ ＼_ム一’、＼


.

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 「でも、やらない夫君や広瀬さんたちの話によれば、
　　　 　 　 　 　 　 　 ＿＿　　　 ＿_
　　　　 　 　 　 ＿,:': : : : : : :＞/＜⌒＼　　　　　　　　あれは確かにアクアさんとあと一人、
　　　　　　 ,. : ´: : :／: : : : : : /: ⌒ヽ 　 ＼
.　　　　　 /: : : : :/ : : : : ,.へ/､へ: : : ヽ　　ヽ　　　　　　 あの貫戸さんという人がやったことだということですし」
.　　　 　 ,': : : : :/ : : : : /´￣＾￣｀ヽ: : : ヽ
　　　　　l: : : : / : : : : /　　 　 　 　 ';. : : : ':,
　　　 　 l: : : : l: : : : :├‐==≦　 ≧z!: : : :ﾄ:}
　　　 　 !: : : : l: : : : : l六ｵミ　 　徐､V: : :|.||
.　　　　 l: : : :/ｌ: : : : :.伐り　　　 .ﾋﾘｊ ｊ.: : :|.ﾘ
.　 　 　 ｌ: : : {(.|: : : :ﾄ:|　　　　 　 , 　/: : : |
.　 　 　 !/ : :ヽ|: : : :| ヽ　　 　 　 　 j: : : i:|　　　　　　　　　　　　「あれも人の行いなんですよね」
.　　 　 / : : : :人!: :│ 　　＝ｰ 　／| : :/l:!
　　　 /: : :/:/: :人 : l　　 ､ __ .イ.:|　|: / .ﾘ
　 　 ,': : :/―‐<＿ヽゝ===ﾄ､: : ! :|　ﾚﾞ
　 　 ! : ,'　　 　 　 ＼ ＼ ／)ヽ‐┴ ､
.　　 | : {　　 ＼ 　 　 ヽr' ／／)､. 　 i
.　　 | :∧　　　 ヽ.　 ／|.　　／,ｨ )､　|
.　　 !:/: :ヽ　　　　Y　　|　　　ﾉえ 〉ヽ|



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _, -------- ､
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ,. .:＜: : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 {: : : : : : : : : : : : : : : : : : :ﾍ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　 /|: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ハ
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 /: :i: : : : : : : : : : :＼: : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 　 ,′: ﾊ: : : : : : : : : : : :.ヽ: : : : :ﾍ: : : ﾍ
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 l: : : i　＼:＼: : ヽ: : : : : ﾍ: : : : :i!: : : :＞ ､＿,
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 {: : : !　‐-ヽ',＼: ﾍ｀`ヽ､: ﾍヽ: : :i, ＼--‐ ' ´
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ﾍ: : |-r=示z､ 　　ヾ､ __,ﾐz:i, i:i: :.|ヽ､ﾆ=-
　　　　　　　　　　　　　　　　 j:i'､':,ﾍ乂ｿヽ　　 　 癶zｿ.ﾉ`:ﾘヽi: :ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　 __,ノハヽ', ｀　　　　 　 　 　 ´　i/ ﾉ: i: : ﾍ　　　　　　　 「よくもまぁ怪我人も死人もなかったものよ、
　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ７:ｲﾍ: : ﾍヾ　　 　 l　　　　　　/イj: : !: : ハ
　　　　　 　 　 　 　 　 　 l/ 　 ∨: :ﾍ　　 　 `　　　　　/: : : : : i: /!ヽ!　　　　　　　　 あんな惨状の中で」
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 |: : : :ヽ　　｀ こ ´　 ,.ｲ: : : : : :/ｲ:j
　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ﾉノ: : : :ﾉ＞､　　. イ::::|＿,.-iイ: :./
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＞r'´　l:::::::￣::::r-‐ ' ´　 .〉イ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::::ﾍ 　 !-----.i:|　　　 ∠＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 l::::::::ﾍ ﾉ　　 　 i |　　 /: : : : : :ヽ: : :ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.ｨ7, ィ7　i　　 ＿ノ .!　 ./: : : :', : : : ヽ : : ＼
　　　　　　　　　　　　　　,. ィ: : : ,---≧!zzz|＞-‐:::':´:i: : : : :',: : : : : ヽ: : :.ヽ
　　　　　　　　　　　　　∨: : : : :l:::::::::::::::≧ｲ:::::::::::::::::::::|: : : : : ヽ: : : : :i: : : :ノ
　　　 　 　 　 　 　 　 　 ∨: : : : i::::::::::::::::ヾz==:､:::::::::ソ､__ヾ､:く: : : : : :＼: ＼


.

　 　 　 ───━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ┃
　　　　　　自分たちも、一時はあの場所にいたのだ。
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━───


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「本当に、それは本当にありがたいことです」

　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ,ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　-‐/ｨ }
　 　 　 　 　 　 　 　 ／:::::::::::::// Y'⌒　､
　　　　　　　　 　,　"::::::::::::::,:ｲ'"} ／ヽ　　＼
　　　　　　　　　'::::::::::::::::／　{　　⌒丶!::::::::::..
.　　　　 　 　 /::::::::::::::／　　 |　　　　　ﾏ::::::::::.
　　　　　　　∥::::::::::/　　　 ,　　　　　　 i:::::::::::::i
　　　　　　　i::::::::::::.' `ニ､'´　　 　､　　　}::::::::::::}
.　　　　　　　{::::::::::{ 〈 {:::ｿﾞ　　　　, ミｰ　i:::::::::::ﾘ
　　　　　　 　}:::::::::i　　　　　　　　ﾑ:ｼ 〉.':::::::::∥
.　　　　　 　/i:::::::::i　　　　　,　　　　 　/:::::::::::/
　　　　　　/::::|::::::ﾑ　　　, 　_　　　 　/:::::::::::ｲ　　　　　　　「やらない夫君が守ってくれなかったら、
　　 　 　 /:::::::i:::::::::..､　　 ‐- '　　　/:::::::::::::::|
.　　　　 /:::::::::::{　r‐=i丶　_　　...:イ::::::::::::::::::|　　　　　　　　　 私なんか死んでいたのかもしれないし
　　　　/.::::::::::::::::::｝　i`ｰ‐-‐‐ ´ 7::::::::::::::::::::|
　　 　/::::_r‐‐-‐ｲ　 }　i_　!　_ /｛:::::::::::::::::::::|　　　　　　　　　　 ……だめね、こんなんじゃ」
　　 ,　'´　i　｝ }　}　.／　　-‐ ﾏ　ﾞ ｰ ｫ､::::::::|
. 　 ′ 　/ / /　,' /　　-‐‐‐-､ ｝､ 　 i　` ､::i
　 i　　　i / /.　 ' i　　　　─- .Y　i　　{　　 ﾞ
..　!　　　} y'　./　| 　 イ⌒ｰ'´/.　 {　　i　　　i
　 }　 　x'´　./ 　.!　　 !　　　/　､.　､　ﾑ　　 |
　,' 　∥ {　 ｛ ／　　 ｲ 　　 ｛　　ﾞ.　 ｝ .i;　　{
..,'　　'!　 ﾞ､, '.　　　 /八.　　　ﾏ.　}　,'　,'　　 i
　　　 ゛x '　　　　, ' |　 ﾑ　　　 ＼ 　 /　　　|
　 　／　　 　 　/　 i　 |　i.､.　 　 　Y　 　 　l
　 .'　　　　 　,.ｲ |　 |　 |　|ﾑ　　　　 ﾏ　　　i


.

　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿__
　　　　　　　　　　　 　 : : : : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　　　 ／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.＼
　　　 　 　 　 ／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ＼
　　　　　 　 /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :＼: : : : :
.　　　　 　 /: : : : : : : : :.ﾄ: : : : : : : : : : : : : : : : : ＼: : : :　　　　　　　　　　「あずささん」
　 　 　 　 ′: : : : : : : : :!:㍉: : : : : : : : : : : : : :＼: :＼: : :
　　　　　 |: : : : : : : : : : :!' 　 ｀丶: : : : : : : : : : : : ＼: :＼i|
　　　　　 i : : : : : : : : l: :|　　　　　＞―――＝彡ﾍﾞ=-:.ﾘ
　　　　　 ‘: : : : : : : : i: :i　　　 ／　　 , ,　,　　　 斥i |::i/
　　　　 　 ‘: : : : : : :/i: :|　　　　　,ィ芹斥　　　　Vﾉ {::i
　　　　　　 ‘: : : : :/:∧: :.､　　　〈{ Vてﾘ　　　　　 　 iﾘ
　　　　　　　‘: :.∨: :{∧: :ﾄ＼　 　 ｀　　　　 　 　 〉　i
　　　＼　　　 }: : ∨八∧:!⌒ヽ　　 　 　 　 　 　 　 /
　　　　 `=ﾆブ : i:: :＼`￢| O　　　　 　 　 　 　 /　′
＼＿＿__／: : : :i: : : : ヽ}_i_￣`　.　　／! 　　　　 .:＼＿,ｨ
　 ＼: : : : : : : : ﾉ: : : : : : : : : : :ー一": ｲ--､---くヾｰ一'
　　　`ー―=彡': : : : : : : : : : : : : : :∠_｣´i ﾌ￣￣}＼__
　　　　 　 　 /: :＼: : ＼:_:_:_:_:　 イ∨＿_ｉ'　　　∧￣
　　　　　　／: : : :_:＼: :.!　　　 　 |　',　　{＼ 　/　'.＼
　　 ｰ=≦:_:_:彡'´　　 ヽ|＼　　　｜　'. 　　　}´＼　'. _＼
　　　　　/　　　　　　　　　 ＼　　ﾄ､　‘￣i /　　／


　　　 　　　　　　　　＜: : : : : : ,ィ: : : : : : : ＞　､
　　　　　　　　イ´: : : : : : _: : : ノｒ-､: : : : : : : : : : : `　､　　　　　　　　　　　 「あ、ごめんなさい。
　　　　　／: : : : : : : : :／: : : : : :{ ﾄ､＼: : : : : : : : : : : : `　､
　　 　／: : : : : : : : ／: : : : : : : : ヽ ヽ　ヽ: : : : : : : : : : : : : ヽ　　　　　　　　　　後ろ向きな考えはダメだってわかってるんですけど、
　 　/: : : : : : : : ／: : : : : : : : : : : : ヽ ヽ　ヽ⌒ヽ､: : : : : : : : : ＼
.　 /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ,へ　　ヽ Y⌒　 ＼::::::: : : : : : ::　　　　　　　　　やっぱり時々こうなっちゃうんです」
　 ′: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :/　　ゝ'´ ﾍ ヽ　　 　＼: : : : : : : ::':.
　i: : : : : : : /: : : : : : : : : : : : : :./彡 ´　　　　':. '.　　　　.＼: : : : :: : : .
　|.: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : '　　 　　　　　　'. '.　 　 　　 Y: : : : : :::ﾞ
　.: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .:'　　 　 　　　　　　';';　､　　 ＿∨: : : : : i
.　}: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :′　 　　　　　　　　i |　　 二 　 }: : : : : ::|
　 ﾞ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : |　　 　 　 　 　 　 　 }　 ,ｨ'Zヽ ヾ '.: : : : : .|
　　';: : : : : : : : : : : : : : : : : :.i　　　　　ﾉ 　　　　　i 　{::::::し}　 〉'.:: : : : :
　 　';: : : : : : : : : : : : : : : : : |　　 ,　 '　　　　　　　　　ヽ__ノ 　　 ':: .: : : i
　　　';: : : : : : : : : : : : : : : : i　, '´　,,=＝､　 　 　 　 　 　 　 　 　 '..: : : |
　 　　i: : : : : : : : : : : : : : : ::ﾚ'　／::Cヽ　　　　　　　　　　　 　 　 i: : : :i
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　　　 |: : : : : i: : : : : : : : : : : :';ゝ ヽ彡'　　　　　　　　ヽ　 　 　　′: . :|
　　　 |: : : : 八: : : : : : : : : : : : ':.　　　　　　　　　　　　′　　　∧: : : .|
.　　　|: : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ　　　　　　　　　 ,　　-ｯ 　 ﾑ､∨ : |
. 　 　|: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ＼ 　 　 　 　 　´　-‐　　/　 ≫i : }
　　　|: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ミ　　　　　　　　　　　/-‐'´ /∨
　 　 |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ＼ ` 　‐-　　　　　ィ　　　　{
.　 　|: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ⌒　　　　　　　　　　　　　i
　　 |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ＞　￣　　─--　　　　　ﾍ
. 　 |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : /　　　　　　　　　　　　 　　ヽ
　　|: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : /　　　　　　　　　　　　 　　　　ヽ


.

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「しょうがないですって。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　平穏にやってるところに幽波紋なんて

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　わけのわからないもの突っ込まれて生活乱されちゃ、落ち込みもしますよ」


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_.　-―…―-. .
　　　　　　　　　　　　　　　　　. . : : : : : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ＼
　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : : : : : : ; -: : : : : : : : : : : : : :＼
　　　 　 　 　 　 　 　 　 / : : : : : : : ／　　'; : : : : : : : : : : : : : : ＼
　　　　　　　　　　　 　 /: : : : : : :／ ￣ ｀ ヽ: : : : : : ヽ: : : : : : : : :ヽ
　　 　 　 　 　 　 　 　 i : : /_: : /　 ィん心ヽ＼: : : : : :l: : : : : : : : : l
　　　　　　　　　　 　 /: : /-､ }:| 　〈 弋;;ツ　　 ＼: : : :!: : : : : : : : :.|
　　　 　 　 　 _　 . イ: : : {/　).!:!　 　　｀¨　　　　　＼:_|ヽ: : : : : : : :|
　　　　　　　 ` ｰ ､: : : : :.!　 { |'　　　 　 　 　 　 　 /んﾃ刈 : : : : :/
　　　　　　　 /｀ ヽ : : : : :＼　}　 　 　 　 　 　 　 　 弋;;ﾂ |: : : : :/
　　　 　 　 ./:!　 　 }: : : : : : :ヽ　　　　　　　　 ノ　　　　　/: /l:／
　 　 　 　 /:_:|　　 ﾉ: : : : : : : |　　　　　 v　‐-､ 　 　 　 /イ
　　 　 　 ´ノ/　　 ト-､ : : : : :ﾄ　､　　 　 ヽ__ ノ　　 　 /:/
　　　　 /__,ｲ　　　ゝ､　ヽ: : /-ヽ ＼　　　 　 　 　 ,.イ: {
　　　 / {　/　　　　　 ヽ　∨￣`ﾆ=: : .　　 _ . . : ': : :|: : ヽ
.　　 / ∧/　 ｀ヽ　　 　 } ', ヽ__　　　く｀Yﾌ: : : : : : : :|: : : : ＼
.　 /∨／--､ }　', 　 　 ゝ､ヽ ',＼｀ヽ　　 | }: : : : l: :/　￣￣ `
　 |　!/ .:::. 　 )　 　 ､　　　 ｀ヽ|　 ＼　 　〉': : : : ﾊ/
　 | / ヽ_ --ｲ/　　　＼　　　　!　　 ヽ- '"｀ヽ／
　 | {/´:.:.:.:.:.:|　 　 ､ l:. --､`ｰ ´ ￣　　　／{ヽ
　 Y{ !.:.:.:.:.:.:.ゝ 　　 ヽ　 ‐-` ￣￣｀ヽ／　　 ',　＼
　 　 　 ────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┃
　　　　　　　サバサバした口調のゆかりの慰めに、あずさは笑い返した。
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━──────
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, -
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　 }i
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 /　　 |i
　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　 |i. 　 ___
　　　　　　　　　　　　　　　 　 { -‐ ､ｰ}|' ｲ"´::::::::ヽｰ-.......､
　　　　　　　　　　　　　　　　　|ﾞ:::::::::::／::::::::::::::::::::::＼::::::::::ヽ
　　　　　　　　　 　 　 　 ／:::::ﾞ|...:::::,ィrx､::::::::::::::::::::::::::`､::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　 , '::::::::::...|ﾞii∨///ヾ､:::::::::::::::::::::::::::\::::::::::::` 、
　　　　　　　　　　　 ,.'::::::::::::.,.' |　　　　 　 ∨::::::::::::::::::::::::v:::::::::::::::ﾑ
　　　 　 　 　 　 　 /:::::::::::::/　　　　　　　　 ∨:::::::::::::::::::::::ﾞ;:::::::::::::::::}
　 　 　 　 　 　 　 ,'::::::::::::::.i　＿　　　 　　 ＿∨::::::::::::::::::::::ﾞ;::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　{::{:::::::::::..　　,_ ` 　　　'´　___.∨:::::::::::::::::::::i::::::::::::::::{
　　　　　　　　　　|ﾘi:::::::::::: i ｨ鈊　　　　 ,ｨ袵迯}::::::::::::::::::::::::i:::::::::::::::i
　　　　　　　　　　|i !:::::::::::::}.　阨　　　　´　冰剖::::::::::::::::::::::::}::::::::::::::|
　　　　　　　　　　|. {::::::::::::, 　`'"　 　　　 　逶匁:::::::::::::::::::::.ﾘ::::::::::::::|
　　　　　　　　　　|. i|::::::::::ii　:::::　　　　　　 ....... }::::::::::::::::::::∥::::::::::::::ｉ
　　　　　　　　　　i 八::::::::::{.　　/j　　　　　 """i::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　ﾘ　 ヽ::::::ﾟ.　　´　　　　　　　　i:::::::::::::::::/::::::::::::::::::八
　　　　　　　　　　　　　 ＼:::.ﾟ｡ 　 ` ｰ-‐ 　　　 |::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::゛､
　　　　　　　　　　　　　　　｝:::.丶　　　　　　　　ﾘ::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::.､
　　　　　　　　　　　　　　　从:::::{＼　　　__..::::::/::::::／}:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼i 　 ￣　　`:::/::／＿.|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::゛､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　j　 　 　　 ,r='´ｉ　　i .|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　　 ｉ　　i　乂:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i〉-‐'　-‐!,　‐-::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｝　}　　／　　　∨::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::゛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　/　, '　　　　　　i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}i
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／　／　./　　　　　　　}:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::j
　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ／　／　　 ,　　　　　　　　,:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　／　　／ '　　 　 　 　 　.,::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　,／　／　　／　.,'　　　　　　　　/}::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i:::j|
　　　　　　 　 　 　 　 　 ,ｲ´　　　　　　　.∥　　　　　　　, '　|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:i/

.

　 　 　 ─────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ┃
　　　　　　　そして、誰にも気づかれないように小さく気合を入れ
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━──────

　　　　　　　　 　 　 　 　 ,　 -―‐:ｖ:―- .､
.　　　　　　　　　 　 　 ／: : : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　　　 　 /: : : : : : : : : : : : : ＜: : :>、　　　　　　　　　　「さて、それではしっかりお仕事の話を続けましょう」
　　 　 　 　 　 　 　 /: : : : : : ／: : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　 /: : : : : ／: : : : : : : : :∠ｚ:∠二二､＼
　　 　 　 　 　 　 /: : : : ／: : : : : : ;ｨ :／　　　ヽ: : : ヽ ヽ|
　　　　　　　　　/: : :／/: : :/: : :∠//_　　　　　 !: : : :l　 l
　　 　 　 　 　 /: : ハ{/: : :/: :.忽７/､ ｀　　　 　 |: : : :|. /
.　 　 　 　 　 /: : /::::/: : : : : :仡ﾀ　　 　 ＿‐‐､/|: : : :|
　　 　 　 　 /: : /::::/: : : : :.:/,,, 　 　 　 ｨ歹ﾌﾞ,:':::l: : : :j
.　 　 　 　 /: : /::::/:/!: : :.l/　 　 　 　 '　,,, イ::::: | :/l/
　　 　 　 /:,.―く:〈:/:｣: : :/ ヽ　`　- 　 ／!　!:::::::l://
.　 　 　 /:/　 　 ~＼ |: /ﾄ､＿>ｰ―:＜: :/ /::::::::j'
　　 　 /:ｲ　 　 　 　 .|/ jl、〈〉ﾄ､::::::::::/:/ /:::::／　　　　　　　　　　　　　「桐条さんたちの方針としては、
.　 　 // l　　　　ｊ　　　＼ヽ__｣　}>''⌒ヽ/:／
　　 // /!　　 　 {　,.-―代{⌒}ｲ＼ 　　 !　　　　　　　　　　　　　　　　　 あのビルを現状のまま買い入れたい、
.　 ////ﾊ　　 　 ∨: : : : : :｀¨¨´: : :ヽ{.　l
　/////∧　　　　|)）: : : : : : : :ヽ: : : :.＼l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ということでいいんですよね」
　//////∧ 　 　 |)）: : : : : : : : j: : : : : : ヽ
　///////∧.　　 |_::::::::::::::::::...ｲ::::::::::.:.:.:.::ﾉ
　////////∧. 　 !)）ー‐:＞'⌒ ＜:::::r‐iﾞ



　　　　　 ／r:::::.:.:............　　　　　 　　 ＼
.　 　 　 /:::::i､:::::::::::::::::::::::.:.:.:.................ヽ:::::ヽ
　　　　/::::::/ヽ:::::::::::::::::｀ヽ:::::::::::::::::::::::',::::::::',
　　　 /:::::::,'　 ヽ::::::::::ト､::::＼::::::::::::::::::::',::::::::',
　　　 l:::::::,'　　　＼:::::ヽ｀ヽ:::::＼―､::::::::',::::::::',　　　　　　　　　　　　「そうね、建築物の現状は考慮しない。
　　　ｲ::::::l| 　_,,-―＼::::ヽ ＼:::/＼::＼::ﾉ::::::::::',
　　　 !:::::::|='" ＿,,_ヽ ＼:::ヽ ソr'´ヽﾉﾉ＼rヽ:::::',　　　　　　　　　　　　同程度の規模の新築の建築物と
　　　 !::;;:::|　r"i::::::::ヽ　　＼| 　つiノ｀ヽ!/´｀ !::::',
　　　 /　ﾍ　i　ゞ::::ノ　　　 　　　 　　　 |ヽ　/:::::::',　　　　　　　　　　　　同等の価格で買い取りたいですね」
　　　 ヽ rﾍ　　　　　　　　　　　　　　　 !ﾉ／:::::::::::',
　　　　 ＼` ､　　　　　　、 ,　　　　　　/":::::::::::i:::::::',
　　　　　　ヽﾊ　　 　　　　 ＿_ _, 　 　/::::::::::|l:::::|＼:::',
　　　　　 　/::::＼　 　 ＜ー ニｿ　 ./|:::::::::∧::::::|　 ﾞヾ
　　　　＿ノ::::::::::::｀-,､　　　　　　／　!--i::|　|:::/
　　＜´:::::::::/::::::::::::::ヽ_｀>_--_<r-r-/ 　 |/　|/　　　　　　　　　　　　　「築三十五年のビルですけどね」
　　　 ￣／:::::::::::ﾉr'´ヾ､＿＿__ヽ／　　 ｲ
　　　 ∠:::::::-'"|´l　　,!　　　__／　　　　 ヽ-､
　　 　 　 　　 /| :|　 l´　　　|-､　　　　　 / . ヽ――--､
　　　　＿..／/ﾉ　|　l|_　 　/　 |　　　　 /　/　 ／　　 　＼
　　／/　　／＿ハ　| ヽ／　　 |　　　 /　　 　/　 　 　　　 ヽ


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　　　　　　　　　「それと、オーナーさんが『ビルの現状』について他に漏らさないこと。

　　　　　　　　　　　　不問にすること、そういう条件ですよね」


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／⌒ヽ　＿,.r‐＜＼::ヾ⌒ヽ、_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 　 / /￣＞｀／⌒::::::::＼:｀ヽ:＼:::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / /　 /:::::ｒ、:::::::.:.:.:.:.:.:::弋;;_ヾ::）:::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　　　　 i　!　 ,'::::ヽ}::＼:::::ヽ::::::::::::::::（::::Ｙ:）、::::::':,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　| i　 ,':::r'｀~´~｀＼::::ヽ:::::::::::::::Ｙ:ヽ::ﾉ!::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　| !　i:::::l　 　 　 　 ヽ:::ヽ:::::::::::::ＹＶ〈∧::::::|>ー､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　l !　|:::::!　　　　z==-i:::::l:::::::::::i:::ト<::ヽ）::::}　　 {
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　|!　 !:::::Ｙミ、 　 ,乍ﾖ!::::i:::::::::::|:::l i }::〈:ヽｲ ＿ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 　 　 !:::::::!.{fｊ　　　ゞｿ::;ｲ:::::::::::l:::jYﾉ＼ヾ::〉´〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 　 　 l::::::::l　ﾉ　　 　 }'　l::::::::::::::::!´:::::::::Ｙヽ_ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　 ';:::::::', ｀　 　 　 　 !:::::::::/;ｲ:::::::::::i::ﾄノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　ヽ::::ヽ、ｰ ' 　 　 l:::::::///::::::::::: !:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 　 　　　　 　 ヽ:::!:::i. 、　 　 ﾉ:／i//:::::::::::/:|:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ!V　 }ＴＴ「 ´　　/ :::::::::/::::!:l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　 　 　 　 　 l::i:::::!　 　 /:::::::／:!::/:::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,.r-j/:::/　 　 ,':::::::/_＞-､:::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／/／::／　 ´　,'::::::/::.::.::.::.::. ヽ::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 //／:∠>ｭ<ｦ==/!::::::i::.::.::.::.::.::.:　i:::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｉ／／*ﾟ〈∧〉:ﾟ／::.i:::::::!::.::.::.::.::.::.::. l:::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 　 〃´＿ﾟ:｡:*:ﾟ｡／::.::.::.V::::|::.::.::.::.::.::.::. j:::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::{ﾟ:+｡:*ﾟ:｡:+./::.::.::.::.::.:ヽ::!::.::.::.::.::.::.::/::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 　　　　 {:.::.i｡:*ﾟ:+｡:*ﾟ:!::.::.::.::.::.::.::.リj::.::.::.::.::.::,':::::::|



　　　　　　　　　　　　　 _　, -‐: . .
　　　　　 　 　 　 　 ／.:／{: : : :＼: ｀: 、
　　　　　　　 　 　 /:/:.′ ､ヾ: ､: : :.､ : :＼
　　　　　　　　　 /.::{:{　斗ｘ `'l‐、: : ﾊ: : : :'.　　　　　　　　　　　　　　「ええ、むしろそっちがマストで」
　　　　 　 　 　 八∧{ {{ ﾋｿ`　　 ＼}:rｰ': : :}
　　　　 　 　 　 }＾Y　`　　 　 　 / 化fﾍ}: :.ﾉ
　　　　　、_＿,人。　　 　 　 　 ′　¨ 个ｲ
　　　　　　ｰ ｧ: : ∧　　　_　　　　　　 厶:{
　　 ､ｰ―=彡.:∠ : } 、　　　 ｀'　　　 ｲ.:八
　　　 ￣ｰ 二: :ｘベ __＼ 　 　 　 イ^∧ﾄ､::.
　　　　　　　　入 　 ＼＼　７:´: :/|:/　｝　ヾ
　　　　　　／　　ヽ/⌒}‐-f＾丶ノ ﾉ′ ′
　 　 　 ／⌒＼　　 /厂}｀廴ﾉ^}


.

　　　　　　　「あのビルのオーナーさんとうちとはお付き合いも長いですし、

　　　　　　　　　　　条件の折り合いがつけば難しくないと思います」


　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／　／: : : : :.ヽｌ: : : : : : : : ::::::::::::::::ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　 / 　./ : : : :/＾ヽ: }／＼: : : : :::::::::::::::::::::':,
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /: : : :./´￣ ｀´￣＼: : : : :::::::::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : ;'　　　 　 　 　 ヽ: : : :::::::::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　 　 ,'.: : : : ;'z＝　 　 　 ≠=､i : : :::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　 　 　 ,': : : : :;'　　　　　 　 　 　 l: : :::::::::::::::::::::::::::!
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 i: :/: : ;{ ｨ示ミ　 　　,≧=､ｊ ::::::::::::::::::::::::::::::j
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 |/l: : :ハ｀弋ﾀ　　 　 ﾄ芥 〉::fﾞﾄ､::::::::/:::::::::;'
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 l! |: : ::::::.　　 ,　　 　 ｀¨ｒー､! !ヽ ､/ ::::::::::!
　　　　　　　　　　　　　 　 　 l: :::::::::}､　　　　 　 　 ｀7 ﾉ j　〉 〉::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ::::i:::| l＼　　ｒ､　　／ ,　/ / /:::::::::::::::|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ヽ::ﾄ:ヽ!:::::ヽ.＿ ／　　 　 ,.∠＿＿:::::::!
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ヽ!　ｿ::::::::::::;ｲ　　 ,. ィ:/＾ﾄ<: : :／::::: |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｲー┬‐/ !　　 l:::::/　ﾉ: ﾄ＜ｒ―‐┴､
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 /　 　 ヽ/: :|　　 l∠／: : :j／　　　　　',
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /　V　 　 ヽ┤ 　 |:_:_:_: :／　 　 　 　 　 }
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /　 /　　　　　|　　 lハ下ヽ.j　　　　　　 /:!
　　　　　　　　　　　　　　　　/　 /　　　　 ／!__／: : | ! ! /　　　　 　 /: :|



　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿__
　　　　　　　　　　　 　 : : : : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　　　 ／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.＼
　　　 　 　 　 ／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ＼
　　　　　 　 /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :＼: : : : :
.　　　　 　 /: : : : : : : : :.ﾄ: : : : : : : : : : : : : : : : : ＼: : : :
　 　 　 　 ′: : : : : : : : :!:㍉: : : : : : : : : : : : : :＼: :＼: : :
　　　　　 |: : : : : : : : : : :!' 　 ｀丶: : : : : : : : : : : : ＼: :＼i|
　　　　　 i : : : : : : : : l: :|　　　　　＞―――＝彡ﾍﾞ=-:.ﾘ
　　　　　 ‘: : : : : : : : i: :i　　　 ／　　 , ,　,　　　 斥i |::i/
　　　　 　 ‘: : : : : : :/i: :|　　　　　,ィ芹斥　　　　Vﾉ {::i　　　　　　　　　　「そのあたりはあずささんにお任せしても？」
　　　　　　 ‘: : : : :/:∧: :.､　　　〈{ Vてﾘ　　　　　 　 iﾘ
　　　　　　　‘: :.∨: :{∧: :ﾄ＼　 　 ｀　　　　 　 　 〉　i
　　　＼　　　 }: : ∨八∧:!⌒ヽ　　 　 　 　 　 　 　 /
　　　　 `=ﾆブ : i:: :＼`￢| O　　　　 　 　 　 　 /　′
＼＿＿__／: : : :i: : : : ヽ}_i_￣`　.　　／! 　　　　 .:＼＿,ｨ
　 ＼: : : : : : : : ﾉ: : : : : : : : : : :ー一": ｲ--､---くヾｰ一'
　　　`ー―=彡': : : : : : : : : : : : : : :∠_｣´i ﾌ￣￣}＼__
　　　　 　 　 /: :＼: : ＼:_:_:_:_:　 イ∨＿_ｉ'　　　∧￣
　　　　　　／: : : :_:＼: :.!　　　 　 |　',　　{＼ 　/　'.＼
　　 ｰ=≦:_:_:彡'´　　 ヽ|＼　　　｜　'. 　　　}´＼　'. _＼
　　　　　/　　　　　　　　　 ＼　　ﾄ､　‘￣i /　　／


.

.　　　　　 　 ／⌒＼
　　　　　　 /　 　 ＿×￣￣｀ｰ 、
.　　　　 　 { 　 ／: : : : : : : : : : : :.ヽ
.　 　 　 　 　 /: : : :,.へ:/:＼ : : : : : '.,
　　　　　 　 /: : : :/＾｀｀´ ⌒ヽ.: : : : : ,　　　　　　　　　　　「ええ、それはもちろんです」
　　　 　 　 ,': : : :.;' 　 　 　 　 ヽ : : : : ',
.　　　　　　{: : : : ｌ´￣　　　￣｀i: : : : : :',
　　　　　　 }: : : :.ｌ=＝　 　 ＝=ｌ.: : : : : :i
　　　 　 　 |: : : : !　　　　　　　ｊｲ: : : : : l
　　　 　 　 l:ﾄl : 八"　　　　　"ﾉ:!: : : : : ｌ
　　　　　　 ﾘ Ｖ:::::::ヽ、｀ ´　ィ:::ｉ:ｌ: : : : : l　　　　　　　　　　　　「それが私のお仕事ですから」
. 　 　 　 　 　 〉: : l:::::::}　 . : :l::::|:l : : : : :.!
　　　　　　　ｒrｰ､_j＞<　 : : :厂リ>ー‐ｙrｰ､
　　　 　 　 //　＜　　 ﾟ･ﾛ･ﾟ　／ ／／/ 　 ヽ
.　　　　 　_{ 　 ＼__＞ｚ―‐＜ ＜　　 　 彡人
.　　 　 　 |　　＞ー　‐ｚ＞二＞ニ二 ＿_　 ,ｲ
.　　 　 　 ヒ二ニニ 　 ＞ィ＝== ―┬―〒 |
　 　 　 　 /:l￣｢￣￣´　. :　 　 　 　 !　　 j: :ヽ


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「助かるわ」


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「相手次第で多分予算は多少上回ってもかまわないと思います。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _, -------- ､
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ,. .:＜: : : : : : : : : : : : :＼　　　　　　　　　　さっきも言ったように現状をほかに隠し通すのがマストですから」
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 {: : : : : : : : : : : : : : : : : : :ﾍ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　 /|: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ハ
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 /: :i: : : : : : : : : : :＼: : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 　 ,′: ﾊ: : : : : : : : : : : :.ヽ: : : : :ﾍ: : : ﾍ
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 l: : : i　＼:＼: : ヽ: : : : : ﾍ: : : : :i!: : : :＞ ､＿,
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 {: : : !　‐-ヽ',＼: ﾍ｀`ヽ､: ﾍヽ: : :i, ＼--‐ ' ´
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ﾍ: : |-r=示z､ 　　ヾ､ __,ﾐz:i, i:i: :.|ヽ､ﾆ=-
　　　　　　　　　　　　　　　　 j:i'､':,ﾍ乂ｿヽ　　 　 癶zｿ.ﾉ`:ﾘヽi: :ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　 __,ノハヽ', ｀　　　　 　 　 　 ´　i/ ﾉ: i: : ﾍ
　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ７:ｲﾍ: : ﾍヾ　　 　 l　　　　　　/イj: : !: : ハ
　　　　　 　 　 　 　 　 　 l/ 　 ∨: :ﾍ　　 　 `　　　　　/: : : : : i: /!ヽ!
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 |: : : :ヽ　　｀ こ ´　 ,.ｲ: : : : : :/ｲ:j
　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ﾉノ: : : :ﾉ＞､　　. イ::::|＿,.-iイ: :./
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＞r'´　l:::::::￣::::r-‐ ' ´　 .〉イ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::::ﾍ 　 !-----.i:|　　　 ∠＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 l::::::::ﾍ ﾉ　　 　 i |　　 /: : : : : :ヽ: : :ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.ｨ7, ィ7　i　　 ＿ノ .!　 ./: : : :', : : : ヽ : : ＼
　　　　　　　　　　　　　　,. ィ: : : ,---≧!zzz|＞-‐:::':´:i: : : : :',: : : : : ヽ: : :.ヽ
　　　　　　　　　　　　　∨: : : : :l:::::::::::::::≧ｲ:::::::::::::::::::::|: : : : : ヽ: : : : :i: : : :ノ
　　　 　 　 　 　 　 　 　 ∨: : : : i::::::::::::::::ヾz==:､:::::::::ソ､__ヾ､:く: : : : : :＼: ＼


.

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 「もしかしたら買い取り価格なんかよりも

　　　　　　　　　　　　　　　　　_＿＿_　　　_　　　　　　　　　　　　　口止めのほうがずっと難しいかもしれませんが、
　　　　　 　 　 　 　 __. .-‐: : : : : : : : : : : `:ゝ､ー､
　　　　　　　　　　　{: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :!　 '_　　　　　　　　　　 よろしくお願いします」
　　　　　　　　　　 /:',: : : : : : : : : : : : : : : : : : :l　　 ヽ_
　　 　 　 　 　 　 /: :ヽ: : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ}　'"　　　‐-
　　　　　　　　　/: : : :ﾊ: : : : : : : : :.＼: : : : : : : : ﾍ　　　　　　　 ｀　‐-
　　　　　　　　 /: : : : :! ', : : : ＼: : : : ヽ: : : : : :ヽ: ヽノ｀ ‐- ､　　　　　　｀　 ､
　　　　　　　　 l: : : : :_l_ ＼: :ﾄ､: ＼: : :_:＼:l＼ : :!: :r､:ヽ　 　 ｀ヽ　　　　　　　 ヽ
　　　　　　　　 |: l: : : :.ﾄ､ｰ_ヾ!　＼:|＼ : : ヽｨ ＼ﾄ､:} }: :!　　　　 　＼　　　　　　 ＼
　　　　　　　　 |:ハ: :ヽ:!_､＿,　　　　ー…'" 　_/r'_|ノ: : ＼　　　　　　＼　　　　　　 ＼
　　　　　　　　 |!　 ヽ:.!ヽ!￣　　　　 　 　 　, :' : : : : : l: :ト-`　　　　　　　＼ 　 　 　 　 ヽ
　　　　　　　　　　　　` ハ 　 　 ヽ　　　　厶ィ : : : : ﾉ- '-　_＿,.　-‐ｧ´￣　` 　ー　　　 /
　　　　　　　　　　　_,.ノ: : :`: ..　　 vﾆヽ　 ／: : : ／　　　　l /　　 /　　　　　　　　 _ -‐
　　　　　　　　　　´￣/: : : : /: :｀: . `_´／/: -イ /　　　 　 　 　 /　　　　　　_　-
　　　　　　　　　　　 /: : :ィ: {: : : /¨7--//　/　./　　 　 　 　 　 |　_ ....-‐
　　　　　　 　 　 　 /;／l/　 !: :./} /-‐/ ヽ/!　　　　　　　 　　　 ∨///
　　　　　　　　　　　　　 _　 --{　｢ _,,{　　　　　 ヽ　　　　　 ／ 　 ∨/
　　　　　　　　　　　　/　 ノ 　 !/　ノ　　　　ヽ　 　 　 　 ／＿＿__,V
　　　　　　　　　　　 /／　　 /}｢¨ _,.　-- ､　　　　　 　 　〃
　　　　　　　　　　 ／ 　　／　　 /　　　　　7　　　　　　/
　 　 　 ─────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ┃
　　　　　　　　不安がないといえばウソになる、しかし、

　　　　　　　　あとはもう、あずさに任せておくしかない領分だと、ゆかりは切り替えることにした。
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━────────────


　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ::i　 ／::／　　ヾ､
　　　　　　　　　　　　　　　.イ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : /::::,ヘ:::::::ﾚ::::,イ-､　　　 ヾ
　　　　　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : ／ : : : : : : : : : : : : :./::::/　　卞ノ ´:::::::ハ　　　　ﾘ
　　　　　　　　　　　　/ : : : : : : : : : : :／ : : : : : : : : : : : : : : :/::::,ヘミ　 ﾚ´￣ ﾍ:::::::i
　　　　　　　　　　　 / : : : : : : : : : : : {: : : : : : : : : : : : : : : :ｲ::/　　　　　⌒ﾏ　ﾍ:::　|
　　　　　　　　　　　 : : : : : : : : : : : : :.i : : : : : ::::::::::::::::::::::/-|::ｒ=＝=､　　　　 Y　i:::::::|　　　　　　　　　　 「ええ」
　　　　　　　　　　 i: : : : : : : : : : : : : :.| : : : : : :::::|;;;i:::::: / 　 |::|　　　`　　　　　ﾄ､}:::::::|
　　　　　　　　　　.|: : : : :: : : : : : : ::,ｲ: : : : : : ::::::Y::::::/　＿_|:| ヽ　　　　　ｒ=↓:::ヽ::::i
　　　　　　　　　　| : : : :/ : : : : : :/'`|: : : : : : ::::::::|//Yイ氷i ヾ　　　　　　　　ﾊ:::::::::::|
　　　　　　　　　　| : : :/::: : : : :::/　　| : : : : : ::::::::| /:ﾊ沁 /　　　　　　　-　//ﾊ:::::::::|
　　　　　　　　　　| : : :/::: : : : :∧　　 : : : : : ::::::::|:::{　`ｰ　　　　 　　 イﾃ////ヽ::::::|
　　　　　　　　　　| : :/:::::::::::///＼　 | : : : : : :::::::|: :i　　　　　　　　　i艾///////＼
　　　　　　　　　　| :/:::::::／/////.＼i : : : : : : : ::ﾄ､:|　　　　　　　　　ヾｲ////////}
　　　　　　　　　　ﾚ':::::／/////////∧ : : : :::::::::ﾄ､:{　　　　　　　　　/ i:///////八
　　　　　　　　　/:::::::////////////:::ﾊ : : : ::::::::|　`;　 . 　　 　　　　 　ﾄ/////////ヽ
　　　　　　　.　/:::::::////////////// .∨ : : :::::::| 　　　ヽ 　 　 ,　　　八//////ﾄ､///i
　　　　 　 　 /:::::／/////////////. 　 ∨ : :::::::|　 　 　　　 ￣　　／　　ヾ/////|　＼::|
　　　　　 ／:::::::/／//////ｿ - ‐ ｲ‐-　､ ∨ : : ::|　　　 　 　　　／　　　 　∨///|　　 ｿ
　　　　 /:::::::::::////////／;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ ∨ ::::|　　　　　　　　　　　　　 ∨::::::i
　　　 /:::::::::::///////／;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;Y∧::::|`　‐-　‐∧　　　　　　　 .∨ ﾉ
　　 /::::::::::://////／;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|//ヘ|///////ハ　　　　　　　　∨
　 /::::::::::://////;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.ﾄ､//∨//////// }　
. /::::::::::://////;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;| .ヾ`ｰ;;;;;;;､＿　∨
/::::::::::://////;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|　　Y;;;;;;;;;;;;;;;;￣ハ


.

　　　　　　　　　「あの、ところでお話がすごく変わってしまって申し訳ないんですけど」


　　　　　　　　　　　　　　　　-─-.....､
　　　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::＿≧､
　　　　　　　　　　　　/:::::::,ｨ'´::::::::::::::::::::::ヽ/⌒＼
　　　　　　　　　　　/:::::::/::::::::::::::::::::,彡'´ｿﾊ::::ヽ
　　　　　　　　　　 /:::::/::::::::::::::::::::／　　 　`Y::::}
　　 　 　 　 　 　 /:::::/::::::::::::::::::仏､ヽ　　 　 }::::i
　　　　　　　　　/:::::::ﾙ::::::::::::::::/､.ﾉ`　　 ﾍ /:::/
　　 　 　 　 　 /:::::::::::::i::::::::::::/　　　　./ﾂｿ::::/
　　　　　　　 /::::::::::::::::|:::::::ﾙi　 　　　 ゞ /／
.　　　　　　 /::::::::::::::::::::N/ :..　 　　こi　ｲ'
　　　　　　/:::::::::::::::::｛　 ヽ 　 　 ,‐- ィ
.　　　　　/:::::::::::::::::::/ヽ　　`ｰ‐=､
　　　　 /:::::::::::::::::::/__　`ｰ 　　　 ヽ
.　　　 :::::::::::::::::::::/ ￣ ＼　　　　　　＼
　　　 {::::::::::::::::::,'　　　　 ヾ　　　　　　　' ,
　　　 |::::::::::::::::::i　　　　　 } 　　　　　　 　ヽ




　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /: : : :!:'; : : : : : ､ : : : : : :`.､: : : : : : : : : : :`、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/: : : : : :.〉: : : : : :.ヽ: : : : : : :.ヽ、: : : : :.',: : : :.､　　　　　　　　　　　「はい？なんですか？」
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 l: : : : : :./ `､: : : : : :.`､: :､: : : : :..､: : : : : l : : : : `ｰ-.ｧ
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |: :.|: : :./　　ヽ、: : : : :.`t: ヾ、: : : `､: :..|: .|: : : : : : /
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |: : |: :..l -―‐--､: :.､: : : `＞‐‐ヽ、:';: : |: |: : :､-''"
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ';: _.l: :.|,ｧ-r―-､　`ヽ、ｰ-=ｧr‐‐‐-､ヾ:}: |: : : :`ヽ、
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 〉~l: :| {　|;;;;;;;ﾘ ',　　 `ヽ　/ |;;;;;;;ﾘ　} j;|;:h:､: : : : :ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 { ::::',::|. `　ー"　　　　　　　　`ｰ"　"　l::!: |:ﾄ--=- ､;.}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　t :::..`　　　　　　　　　　　　　　　　　 ": /: |
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 `r､..　　　　　　　　.,.　　　　u　　 ..: ／:i: :.}
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 l: :¨'.,　　　　　　 `ﾞ"　　　　　　 /`": : :∨
　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /: : : :`､　　　　 .,.-- ､　　　　 ,ｲ: : : : : : :`ヽ、
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／: : : : :; ;,`､　　　　 "　　　　,. '; ;: : ､: : ﾇ---''"
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ‐'''7: : : : :.;;;.==i .､　　　　　 .,. ':|____;: : : i`.､: `､
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /: : .ﾉ: ::r"　.ﾘｰ‐` ,ｰ‐‐ 'ｧ-t,-l;;; '.,: : ::|　`ｰ "
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 {:r'"（:;ｨ'　　〈:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;〈;;,ｨzｫ|;'　 `､: :ﾘ
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |! ,,.イ　,.ｨ=､.`､;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:＼／,.ｨ=､　`ﾏ


.

　　　.　　　　　　　iﾍ
　　　　　　　　 ,　 |{ ∨⌒: : : : ､
　　　　　　 　´: : :.|i : : : : : : : : : : : ､
　　　 　　/: : : : : :ﾘ⌒∨⌒ヽ : : : : : ､
　　　　　': : : : : / 　￣　￣ 　゛: : : : : :.､
.　　　 /: : : : : /　　　　　　　 　゛: : : : : :ヽ
　　　 ': : : : : /　　　　　　　　　　ヽ: : : : : i
　　　 |: : : : ::i___ ノ_　　　　`ｰ-__-.}: : : : : }
　　　 i: : : : ::| イi弋}`　 　　' i弋 〉|: : : : : i
　　　　､: : : ::i 　`‐' 　 　　　 `-'　.| : : : :/　　　　　　　　「あの、やらない夫くんと桐条さんのこと、なんですけど」
.　　　　}: : : :.:i　'''''' 　　 i〉　　''''''　i : : : : |
. 　 　　|: ヾ : :ﾄ､　 　　_＿ _　　　/: : :/: :|
　　　　|: : : ＼: :＼　　　____　 ／: :／: : : |
　　 　 |: : : : : : :.ｒ-‐ ／　　 ヾ: : : : : : : : :.|
.　　　 |: : : : : : : i　/　　___　　〉 7: : : : : : :|
.　.　　|: : : _____ ﾉ. i　　｛　￣`i 八_＿___: : |
　　　 |, -‐}　/　　.|　　 i }　　.|.　i 　i 　ｒ`‐-､
　　 ,ｨ'　　 |　{　 i　i　　 ﾏ.　　|　 i　 i　 {　　　:.
　　 {　　　.|　} 　i .ﾉ　　 .｝ 　 i.　 ヽ　ヽ.|　　　}
　.　 !　　　ﾚ´ 　 /　　　∧　 　'.　　 ヽ i　 　 .i
　 　 i　　/　/　/　　　/ 　 '.　　 ヽヽ 　ヽ　　.|
　 　 |　:;;　/. .,'　　　 /i 　　 '.　　　＼｝　:;　　|
.　 　i 　{ 　／　　　 /　|　　　'.　　 　丶　｝ 　.i
.　.　|　　Y　　 　　./　　i　　　ﾊ.　　　 　Y.　　|
　　 i.　 /　　　 　/} 　　|　　　{　'.　　　 　 ､ 　i
.　　|　/　　　　 /　| 　　|　　　| 　'.　　　　　ヽ |
　　 i .!　　　　ノ　　|　.　|　　　| 　 '.　　　　 　i |
　 　 　 ────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　 ┃
　　　　　　恥ずかしそうに、言いづらそうに口ごもりながらあずさがうつむく
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣｀´‐¨､￣｀ー‐-‐z
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＞､　　｀ヾ　~`"ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /､,,__＿,,,，..::::::ヽ､:::::`､::;;;;;;;;;`.､　　　　　　　　　　　　　　　「あぁ……」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{,＿___ｩ､,,.ﾒｪｭﾆ´~`､;;;;r‐.､;;;;;;;;;;`､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{l,,＿　　 ｲｱｫ /"　　ヾj ﾁ:};;;;;;;;;;;;;ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'ｷｬ、`　　 `~~　　　　　,,.ゾ/,,;;;;;`i､__,ゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　弋j`,　　　　　　　 ﾇ`ｰ" '´,;;;;;;;;;;;;}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　：ヾ-　　　　　: :`ｰ- t=;;;;;;;;;;;;;;}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `:､ ｰ‐　　　　　':;:;ﾚ､`t､;;;;;;;}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 >､　 　. ,,:;:;:;　　/ｦ| .|`､;;/、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヾﾆﾆ'´,　 >ｰ イ､___,,.ノ'　jヽ,ﾄ､＼ ￣¨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `　　　ヘ　　ｒ･､＿＿,,ｲ` |:＼ゝ､>
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!冫　ヽ　　::::::::!,,.ｨ| /i　,. t'''
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼--､::'::::::|' .ﾚ;;;;;;;;;;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　-ｪ ` ‐、i'´~>-''''';;;;;



.

　　　　　　　　　　　　,ﾍ
　　　　　　　　　　　 /:ｒ､`ｖ‐‐--　､
　　　　　　　　　　,イ| |　} }　　　　　ヽ
　　　　　　　　／　　| | /| |/ ＼　　　　＼
　　　　　 　 /　　　,ｲ | ミY彡 ミト､　　　　＼
　　　　　.　/　　　/ り　　　　　　　ヽ　　　 ハ　　　　　　　　　　　　「あのお二人はその……」
　　　　　 /　　　/　 i　　　　　　　　　ヽ　　　ﾊ
　　　　　. 　　　{　　　　　　　　　　　　 ∨　　ﾊ
　　　　. i　　 　:|　　__,ｨ　　　　　 `ｰ‐-- }　　　|
　　　　. |　　　 :レ'´　　　　　　　 ､＿ .,　|　　　|
　　　　. ∨　　 :|　_＿彡.　　　　 　 ￣　 |　　　|
　　　　.　∨ 　∧　￣ 　 　 　 　 　 　 　 |　　:,ｲ
　　　　　　|　　 ∧　　　　　　`　　　　　 ﾉ　 / :|
　　　　　　|　　　∧　　　　 _ 　‐-　　　/ﾊ／　 |
　　　　　　|　　　　 ＞　　　　　　　　／　　　　 |
　　　　　　|　　　　　 ;ｒ ＞　.　　, イｰｧ､　　　　:|
　　　　　　|　　　　 　 〉 ト､_＿＿, イ　{　　　　 :|
　　　　　　|　　　　　 _}　　　　　　　　.人　　　　|
　　　　　　|　　　_,ｨ'´　　　　　　　　　　　`ｰ- ､ |
　　　　　　|　,ィ´　　　　　　　　　　　　　　　　　`T`､
　　　　 　 ﾚ´ |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　 ､

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「前にも言ったけど、あの二人の婚約は

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ィヽ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ {: : : ＼　ｰ-　､　　　　　　　　言っちゃえば偽装なわけですから」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: : :|: : : : : ミ`ヽ: : ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/: : : ,イ: : : : : : : : : : `ヾ. ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/: : : /　i: : : : : : : : : : : : : Y: ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i: : : /- ､ヾ: : : : : : : : : : : : }: : : i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{: : :ﾄィtゝ　`ミ-一-: : : : : :|: : : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼:i　`‐'　 /　'てヽrミ ノ´Y:: : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:| 　 　./ 　 `‐ ' ﾘ / ／: : : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼＿ .八 　､ '´　　　 彡ﾉO: : : : : i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゝ: : : : ＞-､ `　　　イ: :,イ: : : : ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　‐=ﾆ/´,ｨ　　　`Y ´ ノ彡'/: , ｲ: ﾑ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 〈〈´ヽゝ､　　 ヽ＿ ／-´ //　　 　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::Y´:::::::::::Y⌒'´::::/　　　//　　　　ﾉ ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'::::/ヾ:::::/⌒ヽ:::::::::ﾄrvrvtvrvﾉrv:::::::::::::}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::/::::::::::,':::::::::::|:::::::::',:::::::::::::::／::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,':::/::::::::::,':::::::::::::|:::::::::::',::::::::::/::::::::::::::::::::::ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::/:::::::::::,'::::::::::　|:::::::::::::',:::::/::::::::::::::::::／: |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,' /:::::::::::::,':::::::::::::::|:::::::::::::::i'´::::::::::::::::::/::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i ,':::::::::::::ｲ::::::::::::::::|:::::::::::::::|::::::::::::::::::/:::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::::::::::::::/`ｰ=､:::::::|:::::::::::::::i:::::::::::::／::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ:::::::::ノ　　　`:::::::|:::::::::::::::i':::::／:::::::::::::::::::::|
　 　 　 ───━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ┃
　　　　　あずさの質問に先回りをして、ゆかりが答えた。
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━───


.

　　　　　　　「本当に結婚するのしないのってことにはならないと思いますよ」


　　　　　　　　　　　　　　　-――　　＿
　　　　　　　　　　　　　へ　　　　　＼　　　＼
　　　　　　　　　　／　　　 ＼　　　　　ヽ　　　へ
　　　　　　　　　<　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　ﾍ
　　　　　　　　　/,へ　　　　　　　 　＿　　　　　　ﾍ
　　　　　　　 　/ l_-＝≧- ､　＞≦　　￣　、　　　 l
　　　　　　　　 l l　　　　 ヽ　` - ．.＼_　 　ﾍ　　　＼
　 　 　 　 　 　 l |,.行㍉　　　 〃ﾃ;〒ﾐ＼|＼|　 　　　＼
　　　　　　　　　',l` {;;; ｿ　　　　　ゞ_ ;;ﾉ　　 |　／ﾊ　　 　＼
　　　　　　　　　 |　　　r　　　　　　　　　　 l ﾉ 彳ﾘ　 ト、 　＼
　　　　　　　　　 l　　　　　　　　 　　　　　 l/ ﾆ ノ ﾊ　l　　￣
　　　　　　　　 　ヽ　　　ヽｰ -,　　　　　 　 ○´　 ハ l
　　　　　 ､ー‐--‐'´ヘ　　~　　　　　 ／　　　　l /　ヽ!
　　　　　　 ` 　‐- ．.＿≧　　 　 ＿≦-イ　　/l/
　　　　　　__,,.､_ 　　ﾊ　　　/　　ハ　　￣ |　/
　　　, -'"　　　　ｰ/　| ／/―ｰ/　ｌ＿ 　　|/
　　/　　　r ‐ ヽ、　/~ー　　 /, -'"　　 ヽ、|
　/　　　 ﾉ　　ヽ >―／￣ヽ /　　　　　　 ヽ
／　　　 {　＿　 ( 　/　　　丿　　　　　　　　ﾍ
　　　　　 ~　／　　ﾊ　　／　　　　　　　　　　l



　　　　　　　　　　　　　　　　　　_　ｒ､
　　　　　　　　　.　　　　　　 ,ｨ'´:::::::|i'⌒:::::::::､　　　　　　　　　　　　　　「そう、なんですか」
　　　　　　　　　.　　　　　 /:::::::::::::::|i::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　/.:::::::::::∠|i`Y´ ＼:::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　 ,':::::::::::::/ 　|　　　　∨:::::::',
　　　　　　　　　.　　　　|:::::::::::/　　　　　　　 ∨:::::|
　　　　　　　　　　　　　 i.:::::::::i, ‐=.　　 　,=‐-.i:::::::|
　　　　　　　　　　　　　 ﾄ､.:::::|〈 ﾋｿ　 　´ ﾋｿ〉i::::ﾉ:|
　　　　　　　　　　　　　 |::::::::ﾊ　　　 ､　　　　 i:/::::|
　　　　　　　　　　　　　 |＼::::N　　 ｒ　 ｧ　 　/::::::::|　　-3
　　　　　　　　　　　　　 |:::::＼::::ゝ　`ﾆ´　.／､.::::::::|
　　　　　　　　　　　　　 i:::::::::::::::ゝ i`　‐イ　 /:::::::::|
　　　　　　　　　.　　　　|:::::::::::::ノ|　|　|　|　| .ヽ､:::::|
　　　　　　　　　.　　　　|::::,ィ'´／　/　i　i　ヽ　　`ﾄ､


.

　　　　　／　 ／　　　　　　　　　　　　　　,　く
　　　　 /.　／　　　／　 　 　 　 /　　 　 ハ　ヽ
　　 　 '　 /　　　／ 　　 / 　　 / 　 　　/　 ',　 ﾍ.
　　　 /　 7　 ／ 　　 ､./　 ／,′　,≠′ 　 i 　 /
　　　 '　./ ／ﾑ , -‐７＞＜_./ 　ｨ´ノ __,,　　 ﾚ /　　　　　　　　 「本当に美鶴先輩とやらない夫が結婚なんて言い出したら、
　　 /　/, '　/バ弌ﾓ´〒ﾃﾐ/, '´ "行ﾃﾔ゛ ｧ ﾊﾞ
　 ムィ　　　い ﾍ　弋ｪノ　'″　　 乂ノ　ノ /　}　　　　　　　　　　　 美鶴先輩の周囲が騒ぎ出すでしょうしね」
　　／ , ｨ　　 ヽ.ﾊ　 ::::::::　　　　　　:::::::::　/ノﾉ
　　￣　 !　ﾊ 　 O､ U　　　　　‘　　　　 /O'´
　　　　　|/　',　　　.ゝ　　　 　 　 　 　 ｲ　ﾍ、　　　　　　　　　　　　　「婚約者ってのも正直ギリアウトって
　　　　　　　 ∨ ∧ .r,-､x ､　'⌒.ィ､´　、　　`ｰ -　ｬ
　　　　　　　　∨.　yﾍﾞ､'})ｰ-`´ ┤ `ｰｧ　､＿ , - ´　　　　　　　　　　　　思ってる連中も多いでしょうし」
　　　　　　　　　　 ,′ ∨､ _　 　 l ﾊ /、 ＼
　　　　　　　　 　 /　　/＼　￣~/＼|!､ `ｰ -`
　　　　　　　　 ／＼ /　 ﾉ ＼_ム一’、＼



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　／: : : : :.ヽｌ: : : : : : : : ::::::::::::::::ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / 　./ : : : :/＾ヽ: }／＼: : : : :::::::::::::::::::::':,　　　　　 「桐条さんの『周囲』？
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/: : : :./´￣ ｀´￣＼: : : : :::::::::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : ;'　　　 　 　 　 ヽ: : : :::::::::::::::::::::::',　　　　　　 なにかあるんですか？」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,'.: : : : ;'z＝　 　 　 ≠=､i : : :::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,': : : : :;'　　　　　 　 　 　 l: : :::::::::::::::::::::::::::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i: :/: : ;{ ｨ示ミ　 　　,≧=､ｊ ::::::::::::::::::::::::::::::j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|/l: : :ハ｀弋ﾀ　　 　 ﾄ芥 〉::fﾞﾄ､::::::::/:::::::::;'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l! |: : ::::::.　　 ,　　 　 ｀¨ｒー､! !ヽ ､/ ::::::::::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l: :::::::::}､　　　　 　 　 ｀7 ﾉ j　〉 〉::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ::::i:::| l＼　　ｒ､　　／ ,　/ / /:::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ::ﾄ:ヽ!:::::ヽ.＿ ／　　 　 ,.∠＿＿:::::::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ!　ｿ::::::::::::;ｲ　　 ,. ィ:/＾ﾄ<: : :／::::: |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｲー┬‐/ !　　 l:::::/　ﾉ: ﾄ＜ｒ―‐┴､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　 　 ヽ/: :|　　 l∠／: : :j／　　　　　',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　V　 　 ヽ┤ 　 |:_:_:_: :／　 　 　 　 　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　 /　　　　　|　　 lハ下ヽ.j　　　　　　 /:!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　 /　　　　 ／!__／: : | ! ! /　　　　 　 /: :|


.

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「美鶴先輩くらいの家になると、結婚は重要な閥ですからね。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　やらない夫じゃ目方が全然足りませんよ」
　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿__
　　　　　　　　　　　 　 : : : : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　　　 ／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.＼
　　　 　 　 　 ／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ＼
　　　　　 　 /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :＼: : : : :　　　　　　　　　「その上、下手に担ごうとしたら自分がつぶされそうだってんで
.　　　　 　 /: : : : : : : : :.ﾄ: : : : : : : : : : : : : : : : : ＼: : : :
　 　 　 　 ′: : : : : : : : :!:㍉: : : : : : : : : : : : : :＼: :＼: : :　　　　　　　　　　　　ビビッて神輿にもされないでしょうし」
　　　　　 |: : : : : : : : : : :!' 　 ｀丶: : : : : : : : : : : : ＼: :＼i|
　　　　　 i : : : : : : : : l: :|　　　　　＞―――＝彡ﾍﾞ=-:.ﾘ
　　　　　 ‘: : : : : : : : i: :i　　　 ／　　 , ,　,　　　 斥i |::i/
　　　　 　 ‘: : : : : : :/i: :|　　　　　,ィ芹斥　　　　Vﾉ {::i
　　　　　　 ‘: : : : :/:∧: :.､　　　〈{ Vてﾘ　　　　　 　 iﾘ
　　　　　　　‘: :.∨: :{∧: :ﾄ＼　 　 ｀　　　　 　 　 〉　i　　　　　　　　　　　　　「政治力か財力を実家の背景に持つバカな男が
　　　＼　　　 }: : ∨八∧:!⌒ヽ　　 　 　 　 　 　 　 /
　　　　 `=ﾆブ : i:: :＼`￢| O　　　　 　 　 　 　 /　′　　　　　　　　　　　　　　　そのうち婿として押し付けられてくるはずですよ」
＼＿＿__／: : : :i: : : : ヽ}_i_￣`　.　　／! 　　　　 .:＼＿,ｨ
　 ＼: : : : : : : : ﾉ: : : : : : : : : : :ー一": ｲ--､---くヾｰ一'
　　　`ー―=彡': : : : : : : : : : : : : : :∠_｣´i ﾌ￣￣}＼__
　　　　 　 　 /: :＼: : ＼:_:_:_:_:　 イ∨＿_ｉ'　　　∧￣
　　　　　　／: : : :_:＼: :.!　　　 　 |　',　　{＼ 　/　'.＼
　　 ｰ=≦:_:_:彡'´　　 ヽ|＼　　　｜　'. 　　　}´＼　'. _＼
　　　　　/　　　　　　　　　 ＼　　ﾄ､　‘￣i /　　／


　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 -
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ : : :⌒ : : : : :＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ' : ,-‐ ヽ : : : :／: : :`
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ' :. / : : :./＼ : : : : : : :∨ヽ　　　　　　　　　　　　　「そんな」
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 : : :/ : : : :||ﾐ` ∨彡'. : : :∨::}
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 i / : : : :/ |i 　　　　ヽ : : :∨:|
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 | : : : : ::　 |　 　　　 　'. : :::.} :|
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 | : : : : :i＿＿,　　ー-_‐ヾ: :.| :|
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 | :i : : :ﾚrｪｯ　　　　ｲf ≧ : .:| :|
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |.八 : :{` ｰ´　　　　 ￣　.| :.|. :i
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 i :::::. 　ﾄ､　　 　 '　　　　 | : | ::|
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 | : : :ﾊ ＼　　 r　‐, 　 ／i: ::| ::|
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 : : : : : :＼ ＞　￣　／＼| : :|: |
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ' : : : : : : :,/ミ　　`　　彡 ∨ : : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ : : :彡 '´|i＼　　`三'　　./ |i|　 ` 　､
　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 / : : :{　　　|i| 　＼三三三/　 |i|　　　　 i
　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /: : : :.|　､.　 |i|　　　　　　　　　.|i| . /　　 .|
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ' : : : : :|　 ヽ/　＼ ＿＿＿＿／. ∨／　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　{ : : : : :.|　 /　 ○　￣￣￣￣　○ ＼ .　　|



.

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「今の桐条グループは、ひどく脆いんですよ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　外身からは美鶴先輩の独裁に見えてるかもしれないですけど、
　　　　　　　　　　　　　　 ,,-‐　　　　ー-- 、
　　　　　　　　　　　 　／　　　　　　　　　　 ` ヽ　　　　　　　　　　　　それなら最初からやらない夫みたいな役どころは必要ないんですし」
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　ヽ、　ヽ、
　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　ヽ、　　｀、　 ｀、
　　　　　　　　　 .ト、　　　、　　　　　　 ヽ、　 ｀、　 ｀、
　　　　　　　　　 l i!ヽ、　　 ヽ、　　ヽ、 　 ｀、ヾ｀、 　 ｀、
　　　　　　　　　 ! i　　｀ヾ、::::..ゞ、::::::ヾ::::::::::｀、`i::、ヽ、｀、
　　　　　　　　　 ﾞ, !　_＿,,,,｀ﾞﾞﾞヾ＼`ーﾍｿ`-、ヽ ﾞ:::...　ヽ ｀、
　　　　　　　　　 i!;;!　,,r-=....、　 ｀ﾞ　　r-ｨ:::ヽ`ﾞ !r-ゝ:...!´｀ﾞ
　　　　　　　　　　!｀i、ﾍ ヽ::::ｧ　　　 　、ヽ.:::ﾉ　 !::）　!::::!
　　　　　　　　　　ヽ`、　`　　　　　　　　　　　　i!　/::::. l　　　　　　　　　　　「近年の強引な改革で人材が乏しい今、
　　　　　　　　　　　ヽ、　　　　　　　　　　　　　/イ::::::.. |
　　　　　　　　　　　　　、　　 　丶　　　_＿__√ﾉ..:::!"i　l　　　　　　　　　　　　　　これ以上身内に敵を作れないんです」
　　　　　　　　　　_＿,,-ヘ、　　-ー-　 ヽ、.......:::::::/　｀ｿ
　　　　　　　　　　ヾｒ　　　 ｀　、 ｀´　　／`iー:::;;/
　　　　　　　　ー''"..........::::::;;-‐'"ト_-イ__ィ￣￣_i!_＿____
　　　　　 　　　`ー――ィ 、　　|l｀｀｀´/ |　 ／ /　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　 .|　＼　.|`ー‐,! /　/　 　 　　　　 ｀、
　　　　　　　　　　　__／＿___ﾉ_r-、/＿!／　/　　　　　　　 ｀、
　　　　　　　　　r''"　 i!.:.:.:.:.:.:.:.!::...:!.:.:.:.:￣`ﾞｿ　　　　　　　　　i



　　　 　 　 　 　 　 　 ＿＿　　　 ＿_
　　　　 　 　 　 ＿,:': : : : : : :＞/＜⌒＼
　　　　　　 ,. : ´: : :／: : : : : : /: ⌒ヽ 　 ＼
.　　　　　 /: : : : :/ : : : : ,.へ/､へ: : : ヽ　　ヽ
.　　　 　 ,': : : : :/ : : : : /´￣＾￣｀ヽ: : : ヽ
　　　　　l: : : : / : : : : /　　 　 　 　 ';. : : : ':,
　　　 　 l: : : : l: : : : :├‐==≦　 ≧z!: : : :ﾄ:}
　　　 　 !: : : : l: : : : : l六ｵミ　 　徐､V: : :|.||
.　　　　 l: : : :/ｌ: : : : :.伐り　　　 .ﾋﾘｊ ｊ.: : :|.ﾘ　　　　　　　　　　　　　　　　「それってでも」
.　 　 　 ｌ: : : {(.|: : : :ﾄ:|　　　　 　 , 　/: : : |
.　 　 　 !/ : :ヽ|: : : :| ヽ　　 　 　 　 j: : : i:|
.　　 　 / : : : :人!: :│ 　　＝ｰ 　／| : :/l:!
　　　 /: : :/:/: :人 : l　　 ､ __ .イ.:|　|: / .ﾘ
　 　 ,': : :/―‐<＿ヽゝ===ﾄ､: : ! :|　ﾚﾞ
　 　 ! : ,'　　 　 　 ＼ ＼ ／)ヽ‐┴ ､
.　　 | : {　　 ＼ 　 　 ヽr' ／／)､. 　 i
.　　 | :∧　　　 ヽ.　 ／|.　　／,ｨ )､　|
.　　 !:/: :ヽ　　　　Y　　|　　　ﾉえ 〉ヽ|

　　　　　'"´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
　　 ／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　′...　　　何もかも捨てて駆け落ちできるような　　　　　ヾ
　　i　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i
　　i　　　　　性格はどちらもしてないですしね.　　 　 　 　 　 i.ﾞ￣￣￣￣` ､
　　丶　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　 　 　 　 　 　 ヽ
　　　　　─　───　　--　-　----　　──────
　　　　　　　 　 　 　 　 ＜: : : : : : : : ＞.､.　　　　　　 　 /　　　　　　　　　　　　　　}
　　　　　 　 　 　 　 ,ｲ : : : : : : : : ＼: : : : ＼　 　 　 　 /　　　　　　　　　　　　　　　i
.　　　　 　 　 　 　 /: : : : : : : : : : : : :＼ : : :∧.　　 　 /:　　　　　　　　　´､＿　　　 }
　　　　　　　　　　,' : : : : l､: : : : : : : : : :ヽ: : :∧　　　 ｉ　　　　　　　　　　　ｒﾏｿﾊ　/
　　　　　　　　　　i: : : l : | ＼: : : : :＼: : : ',: : : l 　 　 {　　　　　　　　　　　　　　　i
　 　 　 　 　 　 　 V: ｌ |: :l -‐＼-＼ : ',: : :i : l: :!....　　j　　　　　　　　　　　　　　　}
.　　　　　　　 　 　 } 「ヽ､:! rｔﾃﾊ｀ヽ:＼:i: : l: :ｌリ! 　 _/　　　　　　　　　　（ 　　　/ノ
　　　　　　　　　　 ｊ八､ ｌ.:ﾄ､ "´　 　 ＼: : l: :l´...　,ィ二 ニ.. - ､ l　　　　　`ｰ イ_}
　　　　　 　 　 　 〈: : : :｀:ヽ: ＼　　　‐', ヽ:V{__.../::::::::::::::::::｀::..､＼＼　　　　　ノ
.　　　　 　 　 　 　 ＼: : : : :＼_,ﾉ、 ￣ /: :j:.　イ´￣￣￣｀:＜:｀:.､＼＼　　 /
　　　　　　　　　 （　　）: ＼: ﾉ'⌒二ｺ ．::´::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::｀::＜_:Y ￣
　　　　　　　　＿__>:´: :_:_／. r:::::´:::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀:...､
　　　　,. 　　/: : : ;.ｘ＜／.　　ﾊ:::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／￣￣｀ヽ
.　　　（_＿ノ: : 「/ ＼.　　　 /::/:::::::::::::::::::::′:::::::::::::::::::::::::::::::::: ／::::::::::::::::::::::::ﾍ
　　　　／: | : ｒ'ﾉ　 / ＼.....,′i ::::::::::::::::::::' :::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::i
ｰ＝ヲ: : : / : | l　 /....　　/::::::l:::::::::::::::::::::i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::l
　　/: : : :/ : //　ﾉ＼..　/::::::::l:::::::::::::::::::::l:::::::::::::::::::::::::::::::::∨::::::::::::::::::::::: 「:::::::::::l
　 /:∧l: l: ://　/　　　　〉:::::::ｌ:::::::::::::::::::::l::::::::::::::::::::::::::::::::::: Ⅵ::::::::::::::::::::::ｉ|::::::: /!
　{: :l　 ヽ://　/　　―..//:::::::l:::::::::::::::::::::l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::: V:::::::/:::::::::::::|:::: /:::!
　｀ｰく　,//　/　　　　/ ｲ!::::::::l:::::::::::::::::::::l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::Ⅳ :::/::::::::::::::::|:::/ｉ::::l
　　　　//　/　　,　' /:::::::::::::::l:::::::::::::::::::::ｌ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::ｌ /:::/::::::::::::::::: |/:::ｌ::::l
.　　　//　/　 ／ｊ. /:::::::::::::::: l:::::::::::::::::::::ｌ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i::/:::::::::::::::::::: |::::::ｌ::::l
　　 //　/　,ｲ　'´/ ::::::::::::::::: l:::::::::::::::::::::l:::::::::::::::::::::::::::::::::: //::::::::::::::::::::::: |:::::::ｌ:::l
　 //　/　/ へ..../::::::::::::::::::::::::',::::::::::::::::::::ｌ:::::::::::::::::::::::::::::::: /::::::::::::::::::::::∨:::!:/::::ｌ::l
. 〈〈　/.　　 　 /::::::::::::::::::::::::::::∨::::::::::::::: ',:::::::::::::::::::::::::: / :::::::::::::::::::::::: ∨/ ::::::ｉ:|
　 ＼ ＼.　　 ,′:::::::::::::::::::::::::::::∨:::::::::::::::∨ :::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::ミヾ､〉 ::::::: i:|
　　　ヽ　＼. _::::::::::::::::::::::::::::: ｀ヾ∨:::::::::::::::∨:::::::::::::::::｛:::::::::::::::::::::::::: ＞′::::::::/!


.

　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ,ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　-‐/ｨ }
　 　 　 　 　 　 　 　 ／:::::::::::::// Y'⌒　､
　　　　　　　　 　,　"::::::::::::::,:ｲ'"} ／ヽ　　＼
　　　　　　　　　'::::::::::::::::／　{　　⌒丶!::::::::::..
.　　　　 　 　 /::::::::::::::／　　 |　　　　　ﾏ::::::::::.　　　　　　　　　「それじゃぁ、二人の気持ちは……？」
　　　　　　　∥::::::::::/　　　 ,　　　　　　 i:::::::::::::i
　　　　　　　i::::::::::::.' `ニ､'´　　 　､　　　}::::::::::::}
.　　　　　　　{::::::::::{ 〈 {:::ｿﾞ　　　　, ミｰ　i:::::::::::ﾘ
　　　　　　 　}:::::::::i　　　　　　　　ﾑ:ｼ 〉.':::::::::∥
.　　　　　 　/i:::::::::i　　　　　,　　　　 　/:::::::::::/
　　　　　　/::::|::::::ﾑ　　　, 　_　　　 　/:::::::::::ｲ
　　 　 　 /:::::::i:::::::::..､　　 ‐- '　　　/:::::::::::::::|
.　　　　 /:::::::::::{　r‐=i丶　_　　...:イ::::::::::::::::::|
　　　　/.::::::::::::::::::｝　i`ｰ‐-‐‐ ´ 7::::::::::::::::::::|
　　 　/::::_r‐‐-‐ｲ　 }　i_　!　_ /｛:::::::::::::::::::::|
　　 ,　'´　i　｝ }　}　.／　　-‐ ﾏ　ﾞ ｰ ｫ､::::::::|
. 　 ′ 　/ / /　,' /　　-‐‐‐-､ ｝､ 　 i　` ､::i
　 i　　　i / /.　 ' i　　　　─- .Y　i　　{　　 ﾞ
..　!　　　} y'　./　| 　 イ⌒ｰ'´/.　 {　　i　　　i
　 }　 　x'´　./ 　.!　　 !　　　/　､.　､　ﾑ　　 |
　,' 　∥ {　 ｛ ／　　 ｲ 　　 ｛　　ﾞ.　 ｝ .i;　　{
..,'　　'!　 ﾞ､, '.　　　 /八.　　　ﾏ.　}　,'　,'　　 i
　　　 ゛x '　　　　, ' |　 ﾑ　　　 ＼ 　 /　　　|
　 　／　　 　 　/　 i　 |　i.､.　 　 　Y　 　 　l
　 .'　　　　 　,.ｲ |　 |　 |　|ﾑ　　　　 ﾏ　　　i


　　　　　 ／r:::::.:.:............　　　　　 　　 ＼
.　 　 　 /:::::i､:::::::::::::::::::::::.:.:.:.................ヽ:::::ヽ
　　　　/::::::/ヽ:::::::::::::::::｀ヽ:::::::::::::::::::::::',::::::::',
　　　 /:::::::,'　 ヽ::::::::::ト､::::＼::::::::::::::::::::',::::::::',　　　　　　　　　　　　　 「あっは。
　　　 l:::::::,'　　　＼:::::ヽ｀ヽ:::::＼―､::::::::',::::::::',
　　　ｲ::::::l| 　_,,-―＼::::ヽ ＼:::/＼::＼::ﾉ::::::::::',　　　　　　　　　　　　　　 いやいや、今までの話だってそもそも美鶴先輩とやらない夫が
　　　 !:::::::|='" ＿,,_ヽ ＼:::ヽ ソr'´ヽﾉﾉ＼rヽ:::::',
　　　 !::;;:::|　r"i::::::::ヽ　　＼| 　つiノ｀ヽ!/´｀ !::::',　　　　　　　　　　　　　　　お互いに好きあってるって仮定の上での話ですからね？」
　　　 /　ﾍ　i　ゞ::::ノ　　　 　　　 　　　 |ヽ　/:::::::',
　　　 ヽ rﾍ　　　　　　　　　　　　　　　 !ﾉ／:::::::::::',
　　　　 ＼` ､　　　　　　、 ,　　　　　　/":::::::::::i:::::::',
　　　　　　ヽﾊ　　 　　　　 ＿_ _, 　 　/::::::::::|l:::::|＼:::',
　　　　　 　/::::＼　 　 ＜ー ニｿ　 ./|:::::::::∧::::::|　 ﾞヾ　　　　　　　　　　　　「そんな心配そうな顔しなくっても」
　　　　＿ノ::::::::::::｀-,､　　　　　　／　!--i::|　|:::/
　　＜´:::::::::/::::::::::::::ヽ_｀>_--_<r-r-/ 　 |/　|/
　　　 ￣／:::::::::::ﾉr'´ヾ､＿＿__ヽ／　　 ｲ
　　　 ∠:::::::-'"|´l　　,!　　　__／　　　　 ヽ-､
　　 　 　 　　 /| :|　 l´　　　|-､　　　　　 / . ヽ――--､
　　　　＿..／/ﾉ　|　l|_　 　/　 |　　　　 /　/　 ／　　 　＼
　　／/　　／＿ハ　| ヽ／　　 |　　　 /　　 　/　 　 　　　 ヽ


.

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「その仮定の話前提にして話を進展させていく、ということでしたら」


: : : : :/　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／.:.:.:. :|
: : : :/　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／:.: :|: : : :|
: : :/　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ／: : : : :|: : : :|
: : i!　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 i: : : : : : :|: : : :|
: : !　　　　　　　　　　　　　　　　　 |: : : : : : :|: : : :|　　　　　　　　　　　　　　　　「二人の『気持ち』……ですか」
: :.|　　　　　　　　 　 　 　 ....:::::::::::ノ: : : : : :.:.|: : : :|
: :.|　　　　　　 　 　 　 ...::::::::::::::／-‐ヽ: : : : :|: : : :|
: :.|　　　　　　　 　 　 _::ｒ ィ､7'　　 　 |!: : : : :!: : : :!
!: :|　　　 　 　 　 　 　::::::.....:）　 　 　 !: : : : :.!: : : :|
{: :|　　 　 　 　 　 　 　:::::::ノ 　　　　 |: : : : :.|: : : :i!　　　　　　　　　　　　　　　「どうでもいいとおもうでしょうね、
.Ⅵ},　　　　　　　　　 ,. イ　　　　　　.i∥　丿　 乂
　ﾏﾑ　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　二人とも」
　　ヾ}. 　 　 　 　 /
　　　 　 　 　 　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「だって、『何の役にも立たない』じゃないですか。
　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『そんなもの』」


　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ____
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 __,_-─..:.:.:.:￣￣.:.:.:.:.:.:.::.:......､　_
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 _,,／.:.:;;;;;＼.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::丶､
　　　　　　　　　 　 　 　 ,..::'´/.:.:.:.ん、.:.:.|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
　 　 　 　 　 　 　 　 　 /.:.:.:.:.l.:.:./.:.:.:.丶::|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
　　　　　　　　　 　 　 /.:.:.:.:.:.:|.:/.:.:.:.:.:.:..',;|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼:.:.:.:.:.:.:.:.:...｀､
　 　 　 　 　 　 　 　 /.:.:.:.:.:.:.:.ｿ.:.:./＾ 、:.:.!:; ﾍ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼.:.:.:.:.:.:.:.:.:..
　　　　　 　 　 　 　 i.:.:.:.:.:.:.:.:.:., イ三ミ＼/彡｀、.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.';.:.:.:.:.:.:.:.:...i
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　　　　　　　　 　 　 i:.:.:.:.:.:.:.:.!　,,ゝ､ 　 　 　 　 　 　 　 ヽ.:.:.:.:.:.i.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
　 　 　 　 　 　 　 　 ',.:.:.:.:.::.:.. 《　{l心_,　　　､__ ＿_ ,,... -+＼:.:.!.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!
　　　　　　 　 　 　 　 ',.:.:.:.:.:.:.i 　 ゝ_.ﾘ　　　 　 // 7'''示''ｉ.:.:..∨.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:i
　 　 　 　 　 　 　 　 　 、.:.:.:.:.i　　　　　　　　　 　 弋__丿|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ｉ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i　　　　　　　　「岳羽さん……！？」
　　　　　　　　　 　 　 　 ､.:.:.:.:.:.　　　　　 　 　 　 　 　 　 |:.:.:.:.:.:.:.:.:.i.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i
　　　　　　　　 　 　 　 　 i.:.:.:.:.丶　　 、　　　　　 　 　 　 |.:.:.:.:.:.:.:.:.|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 i.:.:.:.:.:.:.:....　 ｀ 、　　　　　u.　　,.l:.:.:.:.:.:.:.:.|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 |.:.:.:.:.:.:.:.:ﾘ .､　　￣｀ 　　　,,..''"/!.:.:.:.:.:.i.:.|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 i.:.:i.:.:.:.:/　_|.:,ゝ __ ,,..　''"-‐ Ｔ´ .|.:.:.:.:.:;.:.!.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,
　　　　　　　　　　 　 　 　 !/|.:.:./ , ´,‐{i　i　　i　　i　　i　i i |.:.:.:.:,'i/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
　　　　　　　 　 　 　 　 　 ´ !.:/　i　l' / ｀,　 -!　__!__　!-‐´.|.:.:.∧､.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:',
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.

　 　 　 ───━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ┃
　　　　　　あずさは反射的にゆかりに反駁しようとする。

　　　　　　その時、ゆかりの表情の変化を見た。
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━───


　　　　　　　　　　|::::/:::::::／/////＼i:::::::::::::::::::::::ﾄ､:|　　　　　　　　　ヾｲ////////}
　　　　　　　　　　ﾚ':::::／/////////∧::::::::::::::::::::ﾄ､:{　u.　　　　　　　/ i:///////八
　　　　　　　　　/:::::::////////////:::ﾊ::::::::::::::::::|　`;　　, -‐　　､　　　 ﾄ/////////ヽ
　　 　 　 　 　 /:::::::////////////// .∨:::::::::::::::| 　　　ヽ　　`ノ　　 八//////ﾄ､///i
　　　　 　 　 /:::::／/////////////. 　 ∨:::::::::::::|　　　　　ﾆ　　　／　　ヾ/////|　＼::|
　　　　　 ／:::::::/／//////ｿ - ‐ ｲ‐-　､ ∨:::::::::::|　　　　　　　／　　　 　∨///|　　 ｿ
　　　　 /:::::::::::////////／;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ ∨::::::::|　　　　　　　　　　　　　 ∨::::::i
　　　 /:::::::::::///////／;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;Y∧::::::|`　‐-　‐∧　　　　　　　 .∨ ﾉ
　　 /::::::::::://////／;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|//ヘ::|///////ハ　　　　　　　　∨
　 /::::::::::://////;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.ﾄ､//∨//////// }　 　 　 　 　 -‐‐‐-
. /::::::::::://////;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;| .ヾ`ｰ;;;;;;;､＿　∨ 　 　 　 　 ,′　　　　ヽ
/::::::::::://////;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|　　Y;;;;;;;;;;;;;;;;￣ハ　 　 　 　 i　　……　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ､　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ‐---‐


　 　 　 ─────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ┃
　　　　　　いつも生命力と強い意志に輝くゆかりの目から、その光がふっと消える様子を。

　　　　　　それを見たあずさは、何も言えなくなった。
　 　 ┃
　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━──────────


.

　　　　　　　　　　　　　「いやー、こういうときは庶民でよかったと思いますよ、本当に」



　　　　　　 　 　 　 -‐=　　　¨¨ ￣￣￣ ¨¨　　　=‐-　　　　　＿＿__ ＿___ ＿＿ ＿＿＿＿＿
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　　　　　　ゆかりが自嘲気味にこの話題を締めくくった。
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 Yaranaio's BIZARRE Life

　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ～やらない夫の奇妙な生活～
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　 　 三三三二ニ＝―-　　　＿＿＿＿＿＿ 　 　 　 　 　 　 　 ＿＿＿＿＿＿＿　　　-―＝ニ二三三三
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_ﾆ=oう｢::::|　l ハ〉 |う |ﾘ |ﾉﾘレ'二二二二ﾆ=＝＝＝＝＝＝＝＝＝==ﾆﾆ二二二二ﾉﾘ_|Ｔﾘ ﾚﾉ ｿｿﾍ.|│｀`Oo｡.,
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　 　 三三三二ニ＝-―　　 ¨￣￣￣￣￣￣　　　　 　 　 　 　 ￣￣￣￣￣￣￣¨ 　　―-＝ニ二三三三

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　第第　十二　幕　第　六　場

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『 先行其言　而後従之 』
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　 　 三三三二ニ＝―-　　　＿＿＿＿＿＿ 　 　 　終幕 　 　 ＿＿＿＿＿＿＿　　　-―＝ニ二三三三
　 　 ﾆ二三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三二ﾆ
　 　 ﾆ二三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三二ﾆ


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