242 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:03:02 ID:+yMIf5JT
五１４４．



.　　　　　／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ＼
　　　　 /: : : : : : : : : : : : : : : : :.、: : : : : : : : ヽ
.　　　 /: : /:: : : / : : : !:: : : : !: : !: : : ヽ:: : : : : ',
　　　/: : /: : : 斗--､ :|: : : : :|: : | ,ィＴ: ',: : :ヽ : !
　　　|: : |: : : : : |: /　 ＼: : /|:.ィ: :ヽ: : :.|.: : : ﾄ､:|　　　「これがローゼン王国の全部だ。
　　　|: : |: : : : /!/ ⌒ヽ| :/　|:./⌒ヽＶ: |.: : : | V　　　 意外に町の密度が高いんで驚いたろう。
　　＜ : ｣_: : / 〈　　{}　|/　　ﾚ　 {}　}|:./ヽ: : |
　　＜:: |. 小{　　 _,,.. -　　　　､-.,_　 ﾚ{: :.|ヽ:|　　　　 ダイアナの町がその中でも飛び抜けて大きく、
　　　厶ﾍ　ﾊ　　　　　　　　 ､　　　　 {ﾊ/　V　　　　　領主も大きな力を持っている。
　　　　　 ＼_!　　　　　　＿　'　　　　 !
　　　　　　　 ヽ　　　 ／　　 ｀t　　 ／　　　　　　　　　逆にエスメラルダはちょっと治安が悪いな、
　　　　　　___,ｒ| ＼　 {　　　　/　／　　　　　　　　　　　スラムが拡大傾向にあって
　　　　／:/::::| ＼　 ヽ ｀_⌒ ィ ´　　　　　　　　　　　　　対策を迫られている所だ」
　　／::::::/::::::|　　＼　　　´ ∧＞､
／:::::::::::/::::::::|　　　　＼　 /　 !＼::`ｰ- ､
::::::::::::::/:::::::::∧　　　　/二＼　|::::::ヽ::::::::::::＼
::::::::::::/::::::::::::::∧ヽ　 /: : : : :}ヽ!::::::::::〉:::::::::::::::



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　ヽ､_　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. （　（● ）　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. （人__）　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 r-ヽ　　　　　 　　 |
　　　「何かやらかしたらそこに逃げ込めば　　　　　　　　　　（三） |　　　 　　　 |
　　　足取りは掴めないって事か」　　　　　　　　　　　　　　 　 >　ノ　　　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ 　/ ヽ　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ 　/　へ>　　　 <
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|＿__ヽ　　＼／　 )
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|＼　　　／|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　 ＼_／　|

243 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:04:02 ID:+yMIf5JT
五１４５．
王国の抱える課題や問題点、他国との差などの知識を蓄えていた。



　　　　　　　　　ヽ丶ｨ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`丶
　　　　　　.　-－- γ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::'ヽ
　　　　／::::::::::::::::::::::`::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ゝ、
　　　 /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ゝ
.　　 /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ　　　　　　　「そうなんだよ。
　 /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|＼ｨ:::: ﾒ::::::::::::::::::::::＼ィ　　　　　　それがまた良くない連中を集めるらしくてな、
.　ｌ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ｌ:::::::::::::::＼::::::: 〆 ＼::::|＼::::::::::::::::::::::_＞　　　　　悪循環になっちまってる」
　ｌ::::::/:::::::::::::::::::::::::::::ｌ　＼:::::::::::::|.＼　 ,,,;;ｨ=≦≠＼》::::ｌミヽ::::＼___
　ｌ::::/|:::::::::::::::::::::‐‐-ｌ─X´＼:::::::|　　≧'´　　　　　　|＼}　 } <／
　ｌ/　|::::::::::::::::::::::ﾊ::::|　,,,ｨ≦　＼.|　　　　　　　　。　 j∧　 ﾉ　 ＼
　|　　|::::::::::::::::::/　 {ｌｨゞ"　　　　　　　　　　　　　u　 }ゝィ／　￣￣
　　　　ｌ::::ﾊ│::::|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ´'
　　　　ヽｌ　ｌｌゝ::|ヽ　u　　　　　　　ｌ~｀丶 　　 　　 /
　　　　　　　ｌV_ 人　　　　　　　　　＾　　　　　　ｲ
　　　　　　　　　　　丶､　　　　　　　　　　　,♂
　　　　　　　　　　　　　　´　ゝｰ一　七ゞ´　ｌ＼＼
　　　　　　　　　　　　　　　　/´|/　　＿　 　ﾍ/　/ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　八　|＼〔三　〕/ ./　/:::::::＼



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　 （ ー）（ー）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　|　　　　 （__人__）
　　　「スラムはなぁ、　　　　　　　　 　 　 　 　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
　　　 何処の国でも対処に困ってるな」　　.　 |　　　　　　　ｎｌ^l^l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 ヽ　　　　　 |　　 ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　　　ヽ　く
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　ヽ　＼
244 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:05:02 ID:+yMIf5JT
五１４６．
鍛錬の間に通う回数も多く、時には多の騎士団の練習に混じったりしていたが
やらない夫はもとより、ジュンも彼らと比べる事の出来ない実力者になり始めている。



　　　　 　 　 　 　 　 　 ,　　 ,　　　 __　　　　 __　､
　　　　　　　　 　 　 ／ / ｲﾉ　,ィ ,ｨﾍ､＼ 　＼　`ヽ､
.　　　　　　　 　 　 / .r<-'/／/ / 　　＼＼ 　＼　ヽ'､
　　　　　　　　　　 l　' /　ﾚ　/　| 　 　　 ヽ ヾ 　`､　ｌ ヽ
　　　　　　　 　 　 |　./ l　{　|　 L_　　 　　|__jl　 　|　|　|
　　　　 　 　 　 　 |　ｌ　|　|　「`´　 `ｰ-　　　 」_,.-'L_」 ﾉ　　　「サクラダ殿！
　 　 　 　 　 　 　 l　l　|　 l　〉　ｨﾃT ､`　　 /ｨjT`/」`'´　　　　よろしければ私の試合相手に
　　　　　 　 　 　 .l　l　l . l Y 　 ゞ-'ノ 　 　 l ゞｿ ｛　　　　　　 なって頂けませんか！」
　　　　　　　　　　l　l　l　ｌ　|　　　　　　　　 l　　 .l|
　　　　　　　　　　l .l　.|　l　}　　　　　　 　 _,`　 / |
　　　　　 　 　 　 l j　 ﾊ　N､　 　 　　, - ｧ　 , ｲ|f´‐ ､
　　　　　　　 　 ,ﾉ/　/ |　ﾄ､ ＼　　　 `ｰ'　,ｲ| .ﾄi､　　 `
　　 　 　 　 　 　 __ 人ヽ |　` ､_`　 ､ _ ／　＼ l　l
　　 　 　 　 '　`´＼　 ` ﾚ　　　 `l 　 /ヽ　　／l 　|
　　　　 ヘ､　 　　　＼　 ＼ 　　 | 　 　 |　(|　　　 |　　/



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,／/: :ヽ: : Y: /:､: : : : : : : :＼: : : : : : : : ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: :/: : : ∧: : ;′1: : : : : : : : : l: : : : : : : : : :∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∠二ィ: : : : l::∧: :!:::::l: : : : : : : : : :|: : :ヽ: : : : : : :∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /.: : : : :|::::::∨::::::l: : : : : : : : : :l: : : : ∨: : : : : :∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,r': : : : : : 「¨¨｀""¨1: : : : : : : : : l: : : : : ∨: : : : : :∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |! : : : : : : l 　 　 　 l: :;ｨ: : : :∧ : | : : : : : ∨: : :ヾ : ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｲ!: : : : :i: : !.　 　 　 !:/ l: : :/　ヽ: ﾄ、 : : : : ∨: : : :＼;ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/l: : : :,∧:厶-‐､　　ﾚ'　!‐ナ―-ゞ! ヽ、: : : :i: : : : : :l ヾ
　　「こちらこそ、喜んで」　　 　 !.:!: : ;ｨ: : ト1===ミ:、 　 l.:/彡＝=｀=ﾐ:､ヽ : : l.: : : : : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .l.;ｲ : ;ハ ｲl:iﾞ '乍ミ1L..../;」i　ｨ卞ぅｘ､ ! ヽﾄ、:l: : : : : :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ﾚ'l: :/　 ﾘ |:|　 ﾋ;ﾘ |「￣"ﾞ1l　　ﾋｚﾘ｀ l l｀ゞ- ､.: : :lヽ:.!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾚ'’　　 ヾ ＿__ノ.'　　　ヾ: ､＿＿.ノﾉ　´rﾊ !:、:| ヾ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i￣￣ i　　　　　 ￣￣￣　　ムｿ:.;ﾊﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ､　　　　　　　　　　　　　r彡;〃´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　 ヾﾆフ　　　　 　 ﾉﾚ'´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　 　 ´ ,L. -‐ ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ . _　，　 　, ィ´　　　,.､二ミ:ｫ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.-‐=ﾆj,.ィ'´　　 ／￣ "¨ヾ＼L、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _r'´　 レ"　　 _ﾆ=′　　　 二ﾆ= 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　rく ヽ 　 j　,-=ﾆ¨ 　 　 　 イ=‐- ､　 　 >"



そう言った騎士同士の交流もジュンの人脈を少しずつ広げ、

247 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:06:03 ID:+yMIf5JT
五１４７．
問えば必ず的確な答えが返ってくるやらない夫の博識さや、
模擬試合の相手をして貰うだけでどんどん強くなれるとの評判により、
鍛錬の間に集まる騎士の人数も日に日に増えていた。



　　　　　　　　　　　 　　 　　 ,..＿丶 ､_
　　　　　 　　 　　　 ,,.-‐ '"´: .: : .: : ＼:.＼
　　　　　　　　 ,.　'":.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:丶:.＼
　　　　　　 　/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠
　　　　　　 / 　 　 . .:.:.:.:/:.:.:／／i:.:.:.:.:.:i:.:.:.:.:.:｀i
　 　 　 　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.／ﾝ=、 |:.:.:.:./|:.:.:.:.:i:.:.:!
　　　　　/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／!/／ｨ'jTヾｉ:.:.:./,ハ:.:.:.:.l:.:.|　　　　「ビップ殿。
　 　 　 /:.:.:.:.:.:.f⌒ｉ!:.l/　　　￣　 ｌ／ ｨj'!|:.:.:.:.:j ヽ
　　 　/:.:.:.:::::::::.!｛r ﾍ|　　　　　　　　丶´:!:.:／　　　　　　『魔力』を持たない者が、
.　　　ヽ:.:.:.::::::;:;:` ﾆｉ　　　　 　 　 　 　′!´　　　　　　　 『繰魔技術』を用いて魔剣の力を使うには
　　　　 ＼:.:.:::::;:;:;:;:;ｌ　　　　　　!￣ 7 　/　　　　　　　　　どのような修行が効果的なのでしょうか？」
　　　　　｀ヾ､ｰ:.::;:;:i ,. -'"ｌ　 　　　´　, '
　　　　　　 　＞'"´ 　 　 ﾄ-　､., _ ／
　　　　　　r ´ 　 　 　 　 |　　　 !＿__
　　　 　 　ヽ、,＿__　　_ └- ､　|　 　 ￣￣/
　　 　 　　 , >:::::::::::::::::::::::::i　　|　i　　 　 ／
　　 ,. '"￣::::::::::::::::::::::::::::::::l　　i`┴-,、 !ｰ--
. ／ ￣　ヽ、:::::::::::::::::::::::::::::::＼ ｀丶、ヽ! 　/ ､
´　　　　 　　＼'ー ' ´　"´ ｀　 ＼ 　 ＼| 　!::::::ヽ ､_
　　　　　　　　　ヽ　 　　　　 　　　＼　 |　/::::::r‐-- ｀ヽ



　　　「えーっと。
　　　 先天的に『魔力』を持つ者―――　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　 魔法使いとか魔導師、魔法騎士に　　　　　　　　　　　　　　　　 rヽ　　／　ノ　　＼ ＼
　　　 魔剣の魔力を増幅してもらいつつ、　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 i　!　　|　 （●）（●）　|
　　　 自分の気との同調を手伝ってもう事になる。　　 　 　 　 　 r;r‐r/　|. 　|　　（__人__）　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 〈_L (｀ヽ .}　　|　　 ｀ ⌒´　　|
　　　 この場合、『魔力』と『気』の同調に長けた　　　　　　　　　l｀ （ ｀`/　.　 |　　　　　　　 }
　　　 魔法騎士に手伝って貰った方が　　　　　　　　　　　　　　　ヽ 　　l　　.　 ヽ　　　　　 　}
　　　 感じ取りは早いと思う」　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　|,. 　 l　　 /⌒　 　ー‐　　ｨ ヽ

248 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:07:02 ID:+yMIf5JT
五１４８．



　　　　　　　　　　 　 　 /7
　　 　 　 　 　 　 　 　 //
　　　　　　　　　　 　 //
　　 　 　 ＿＿　 　 //
.　　　 ／ノ　ヽ＼ .//
. 　 ／　（●）（●〉/
　　l　 　 （__人_,//l　　　「武器ごとの魔力の波長は一定だ。
.　　|　　 　｀⌒// ﾉ　　　正確には魔法を付加した術者の波長が
　　 l 　 　 　 // ./　　　 固有情報として残っているんだが―――
.　　 ヽ r-‐''7/）/
　 　　/　と'_{'´ヽ　　　　 その周波数を覚えて
　 　 /　 _.､__〉　ﾄ,　　　　自分の気を同調させて間接的に力を引き出すのが、
　 　 {　 ､＿_}　 |.i　　　　魔力が無い者なりの『繰魔技術』になる」
　 　 ヽ　_,.ﾌ　　.|.|



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.ｨ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／/. -''"￣￣￣｀ﾞ''ｰ-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .へ}　 ′　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　`　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ノ　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　／／ / .ｲ .l|　 ト､　　 ､　 ､　　　　l
　　「では、周波数の異なる―――　　　　　　　　　 ﾉｯ′/.　/./ |/ .|　 |　ヽ､　ヽ　 l　　　　l
　　 違う術者の作った魔法の武器の場合は　　　　　| ./|　/lｲフ=､｜　|_,.=キ､ ﾄ､ :|:::....　　ヽ
　　 再度修行のやり直し、と言う事ですか」　　　　　 |ｲ | /::::} l　{ﾟj`ヽ　|　'´{ﾟjヽ|　Y::yﾍ::::::.　〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 ﾚ|/:::::::| ￣　　 ヽ{　　￣　　}:/^i |::::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ::::l,　　〈　　　 　 　　　ﾚ‐'ノ::::／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀'ｰヽ　　ｰ ―　　　　ｲT":::;∠-ｯ'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀'ミﾐヽ,　　　_,..　イ　　|:::::::::;∠
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_. -―''''^'ーl「 ￣　　　l 　　.|ｿ￣｀">
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼､　､　jilil||ﾘ　　　　 /.l　__,.ｲ∠-z'〈
249 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:08:03 ID:+yMIf5JT

五１４９．



　　　　　　　　　　　　　 　／￣￣＼
　　　　　　　　　　 　 　_ノ　　ヽ、　　＼
　　　　　　　　　　　　（ ●）（ ●）　　　|
　　　　　　　　　　　　（__人__） 　　　　 | ..／}
　　　　　 _　 　　　 　ヽ｀⌒ ´　　　　　| /　/ 　　　__　　　「コツは掴んでいるから、
　　 (＾ヽ{　ヽ　　　　　 {　　　　　　　　./　/　 .　／ .ﾉ　　　同調させる新しい周波数を感じ取れば良い。
　(￣ ヽ ヽ　i　　　　　　ヽ　　　　　　/　厶-　´ ／
.(二 ヽ　i　i　|,r‐i　　　　ﾉ.　　　ヽ /　　　　 ／　　　　　　　会得した技術が全て失われるわけじゃないさ」
　　ヽ　　 ／　 ノ　　／　　 　r一'´　ー ､　　￣￣￣）
　　 i 　 {　　 ｲ―イ　/　 　.`ー―.　､＿_　.〈￣￣
　　　ヽ.　`ｰ '/　　　/　　　　　　　　　 　/＼ ＼
　　　　　 `ー ' ￣￣!　 　　　　　　　　　|　　ヽノ



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,..＿丶 ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,.-‐ '"´: .: : .: : ＼:.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.　'":.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:丶:.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / 　 　 . .:.:.:.:/:.:.:／／i:.:.:.:.:.:i:.:.:.:.:.:｀i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.／ﾝ=、 |:.:.:.:./|:.:.:.:.:i:.:.:!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／!/／ｨ'jTヾｉ:.:.:./,ハ:.:.:.:.l:.:.|
　　「まあ、我々が魔法の武器を手にする機会など　　　　　/:.:.:.:.:.:.f⌒ｉ!:.l/　　　￣　 ｌ／ ｨj'!|:.:.:.:.:j ヽ
　　 一生に一度あるか無いかですから　　　　　　　　　　　/:.:.:.:::::::::.!｛r ﾍ|　　　　　　　　丶´:!:.:／
　　杞憂でしょうね」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　ヽ:.:.:.::::::;:;:` ﾆｉ　　　　 　 　 　 　′!´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼:.:.:::::;:;:;:;:;ｌ　　　　　　!￣ 7 　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヾ､ｰ:.::;:;:i ,. -'"ｌ　 　　　´　, '
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＞'"´ 　 　 ﾄ-　､., _ ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r ´ 　 　 　 　 |　　　 !＿__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ、,＿__　　_ └- ､　|　 　 ￣￣/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , >:::::::::::::::::::::::::i　　|　i　　 　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,. '"￣::::::::::::::::::::::::::::::::l　　i`┴-,、 !ｰ--
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. ／ ￣　ヽ、:::::::::::::::::::::::::::::::＼ ｀丶、ヽ! 　/ ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´　　　　 　　＼'ー ' ´　"´ ｀　 ＼ 　 ＼| 　!::::::ヽ ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　 　　　　 　　　＼　 |　/::::::r‐-- ｀ヽ


250 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:09:02 ID:+yMIf5JT
五１５０．
また、礼儀を逸する訳ではないが上下関係を気にしないやらない夫の懐の広さに
感銘した支持者がどんどん増えており、



　　　　　　,.ｨ , - ､.＿　　 　 、
.　　　 　 ,ｲ/ l/　　　 　 ￣￣｀ヽ!__
　　 　 ﾄ/ |'　{　　　　　　　 　 　 　 ｀ヽ 　 　 　 　 　 　 　 ,ﾍ
　 　 Ｎ│ ヽ. `　　　　 　 　 　 　 　 　 ヽ　 　 　 　 /ヽ　/　 ∨
　　 N.ヽ.ヽ、　　　　 　 　 　 , 　 　 　 　 }.　 　 l＼/　　`′
.　　ヽヽ.＼　　　　 　 　 ,.ｨｲﾊ　 　 　 　 | 　 ＿|
　　 ヾニｰ　__　_　-=_彡ｿﾉ u_＼ヽ、 　 |.　 ＼　　　　　つまりビップ殿は
.　　 　 ￣ﾞr=<‐ﾓﾐ､ﾆr;＝=ｪ;ｭ＜_ゞ-=7´ヽ　　 >　　　　完璧超人だったんだよ！
.　　　　 　 l 　 ￣ﾘーh ｀ ｰ‐‐'　l‐''´冫)'./　∠__
　　　　　　 ﾞiｰ- ｲ'__　ヽ､..＿__ノ　　 ﾄr‐'　　　　/
　　　　　　　l　　 `＿__,.、 　 　 u　./│　　　　/＿
.　　　　　 　 ヽ.　 }z‐r--|　　 　 ／　 ﾄ,　　　 　 　 |　 ,、
　　　　 　 　 　 >､`ｰ-- '　　.／　 ／　|ヽ　　　　　l／　ヽ　　 ,ﾍ
　　　　　　_,.／| ヽ`ｰ--‐ _´.. ‐''´ 　 ./　 ＼､　　　　　　　＼/　ヽ/
-‐ '''" ￣ /　 :| 　 ,ゝ=＜　　　　　　/　　　 |　`'''‐-　､.._
　　　　　/　　 !.／l;';';';';';';＼　　　 ./　　　　│ 　 ＿
　 　 　 _,＞ '´|l. ﾐ:ゝ､;';';_/,´＼　 ./|._ , --､　|　i´!⌒!l　 r:,＝i
.　　 　 | 　 　 |:.l.　/';';';';';|=　　ヽ/:.|　.|l⌒ｌ ｌﾆ._ | ﾞｰ=':|　|. L._｣　））
　 　 　 l.　 　 |:.:.l./';';';';';';'!　 　 /:.:.| i´|.ｰ‐' | /　|　 　 |.　!　　 l
.　　　　 l.　　 |:.:.:.!';';';';';';';'|　　/:.:.:.:!.|"'|.　　 l'　 │-==:|.　!　==l　　 ,. -‐;
　　　　　l　　 |:.:.:.:l;';';';';';';';|　/:.:.:.:.:| i＝!ｰ=;: l　　 |　 　 l.　|　　 |　/ 　 //
　　 　 　 l　　|:.:.:.:.:l;';';';';';';'|/:.:.:.:.:.:.!│　l　 　 l、　:|　 　 |　}　＿|,.{::　　7　））
　 　 　 　 l　 |:.:.:.:.:.:l;';';';';'/:.:.:.:.:.:.:.:|　|__,.ヽ､__,. ヽ._｣ ｰ=:::ﾚ'　 ::::::|;　　 7
.　　　　　　l　|:.:.:.:.:.:.l;';';'/:.:.:.:.:.:.:.:.:.|.　＼:::::＼:::::　ヽ　 ::::::!′　:::| 　 .:/
.　　　　　　 ｌ |:.:.:.:.:.:.:∨:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.! 　 /ヽ:::　`:::　　　　::::　　....::....／

253 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:10:03 ID:+yMIf5JT
五１５１．
貴族、騎士、メイドに限らず
城ではちょっとしたやらない夫旋風が巻き起こっていた。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
/￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ　　　　　　　　　　　　　 |　キバヤシ小隊長　　　 　 　 |
|　　　知ってます 　　　|　　　　　　　　　　　　　|　今頃気づいたんですか？　|
ヽ＿　 ＿＿＿＿＿＿/　　　　　　　　　　　　　　ヽ＿　 ＿＿＿＿＿＿＿＿__/
　　 ∨.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨
　　　　　　　　　　　 ,. -─- ､._　　　　　　　　　　　　 　 ,. -─v─- ､._　　　　　＿
　 　 　 　 　 　 ,. ‐'´　　　　　　`‐､　　　　　　　　__, ‐'´　　 　 　 　 　 ヽ, ‐''´~　　 ｀´￣`‐､
　　　　　　　／　　　　　　　　　　　ヽ､_／)ﾉ　　 ≦　　　　　　　　　ヽ‐'´　　　　　　　　　 　 `‐､
　　　　　　/　　　　 ／￣~`'''‐- ､.._　　　ノ　　　≦　　　　　　　　 ≦　　　　　　　　　　　　　　 ヽ
　　　　　　i. 　　　／　　　　　　　　 ￣l　7　　　　１　 ｲ/l/|ﾍ ヽﾍ　≦　　　,　,ﾍ ､　　　　　 　 　 i
　　　　　　,!ヘ.　/ ‐- ､._　　　 　　　　|/　　　　　 l |/ !　! | ヾ ヾ ヽ_､l　ｲ/l/|/ヽlﾍﾄ､　　　　　　│
.　　　　　 |〃､!ﾐ:　　 -─ゝ、　 　 ＿_ .l 　 　 　 　 ﾚ二ヽ、 ､__∠´＿ |/ |　! |　 | ヾ ヾﾍﾄ､　　　 l
　　　　　　!_ﾋ;　　　 Ｌ(.:)＿ `ｰ'"〈:)_,` /　　　　 　 rｉヽ_(:)_i　　'＿(:)_/ ! ‐;-､ 　 ､__,._-─‐ヽ.　,.-'､
　　　　　　/｀ﾞi 　 　 　 　 ´　　　 ヽ　 !　　　 　 　 !{　　　,!　　 `　　 （ } ' (:)〉　　´(.:)｀i　 　 |//ﾆ !
　　　　_／:::::::!　　　　　　 　 　 　 ,,..ゝ!　　　　　　 ﾞ!　　 ヽ '　　　　　 .ﾞ! 　７　　　 ￣　　　　| ﾄy'/
_,,. -‐ﾍ::::::::::::::ヽ、　　　 r'´~｀''‐､　 ／　　　　　　　 !、　 ‐=ﾆ⊃　 　 /!　 `ヽ"　　　　 　 　 ;-‐i´
　!　 　 ＼::::::::::::::ヽ　　　`ｰ─ '　／　　 　 　 　 　 　 ヽ　　‐-　　 ／　ヽ　 `￣二)　　　 　 /ヽﾄ､
　i､　　 　 ＼:::::::::::::::..､　　~"　／　　　　　　　　　　　　 ヽ.＿__,.／　　//ヽ、　ー　　 　 　 　 ／ ゝ
　.! ＼　　 　 `‐､.　 　 `ｰ:--'´　　　　　　　　　　　　　／/ｲ;;:::::　 　 //〃　＼　　 __,. ‐'　.／　／ ＼
　 ヽ　＼　　　　 ＼　　 /　　　　　　　　　　　　　　　/　　/i:::::.　　 //　　　　　￣ i::::　 ／　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣￣￣￣￣￣￣￣　　￣￣￣￣￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　すでに第一騎士団の間では常識ですよ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

257 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:11:02 ID:+yMIf5JT
五１５２．
公式の行事が行われていないので、二人が謁見する事すら滞っていた。
しかも国王の体調は相変わらず回復せず、むしろ悪化の一途を辿っている事をアレクサンドが語る。



　 ﾌ彡三ニ＝=-ミミミミﾐﾐWミW杉彡彡三ニ＝=彡W彡ｲN
　彡彳ニ彡''´￣￣￣¨｀ー=≠=─''¨￣￣￣¨`'''ァ＞ヾミシ
　Σ彡　ｲ ::::::::　　　　　､　　i li　　　　　　　　　　 Zミミ三ﾐ
　 彡 彳ﾘ ::::::::　　　＼　 ヾ {;! }　z=　,ｨ　　,　　　　ヾ彡 ,Zﾉ
　　ゞ　 /! -=＝ミ ｰ-　ヽ　} i!　　/／　 ／,ｨ＝=-　 }ィ　./　　　「万が一の事、覚悟してください」
　　Y⌒}! '':::::::＞''￣￣｀ヾ＼|..i!../ ,z三≦─ ､　　　.ﾚ⌒!
　　 ! }ﾄ|＼__{{弋￣t__ｧ-z}ﾊ;;;;;;;;;;Y　x t__ｧ￣フ}}__／! il ﾘ
　　 ! i! i　::::人　`ー ==以 ﾉ￣　{!　ﾐ== ─''´ ﾉ　　 |!　{!
　　 ヽ　:::::: ゝ _＿＿ ／::　 　 ﾄ＼　__＿ ／　　　| ノ
　　　 ヾ!　::::::　　 ￣￣.::::::::i　 　 ! ヽ ￣￣　 　　 ,;/´
　　　 ,从;;,,:::::　　 　 ...:::i . : |　 　 !　::..　　　　　　.;∧
　　／:::::ﾊ;;,, ::........::::::::::::ヽ::::i　　 .ｨ..::　 　 　 　 ,,;;;i::::::＼



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'.:.:.:.:./.:.:.:.:／.:/.:.:.:／.／; ,／:.:.:/ /i.ｉ,ｖｙ',.:.:,.:.:.:.::ヽ:.ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,'.:.:.:.:/,.:´/.:.:.::/.:.:/ ／./.:.:.:.:.:.: /:.:/ i i　　 i.:.:.:.:.:.:.:.:.:ﾄ,:ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .i.:.:.:.:/.:.:./..:.:.:/.:.://.:.:/.:.:.:..::.:／/./ //　　　',.:.:.:.:.:.:.:..:i.ヽ.',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'.:.:.:/.:.:/.:.:.:.:/.:.:/.:.:.:/.:.:.:.:／　/./ //　　　　i.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i　i.:i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.ｉ.:.:.:,'.:.:,'.:.:.:.:,´.: ,'.:.:.:/:.:.:／　 /./　//　　　　 |.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|　i.:i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,'.:.: i:.:.:i.:.:.:.:i.:.:.:.:|.:.://ｧｨ--=イ' 　//　丶､,__, |.:.:.:.:.:..:.:.: |.|　i.i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i.:.:.:|..:.:|.:.:.:.:|.:.:.:f..:|´/ ＿,／　　//　 　_＿_　|/|.:.:.:..:.:./|.i　|.ｉ
　　　「国王様………　　　　　　　　 　 　 　 　 |.:.:.:|:.:.:|.:.:.:.:|.:.:.:| i.ﾅｧ=＝,=,`　//　　　ｨ==ｬｪ,, |.:.:..:.:.:| i:i　|i
　　　 どうして………」　　　 　 　 　 　 　 　 　 |.:.:.:ヽ.: |.: :.:ヽ.:.:ｒケ:::::::`::i 　／ 　　　　i::::`.:i　'|.:.:.:.:.:.:ﾚ'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.λ.:.:.::ヽ.|.:.:.:.:.ヽ..ト .５:::::::::i　　　　　　　.５:::::|　/.:.:.:.:.:.:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ |.:.:.:i:.:.:ト.:、:.:.:.ﾄ.:i　'--''　　　　　　　　 '^-''　/|:.:.:.:.:.:.:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i.:.:.:.ｉ.:..:|.:|.::.:.:’ト.:,_ヽ　　　　　　　　 j.　　　 ' ,'::.:.:.:.:.:.::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i.:.:.::i..:.:|.:|..:.:.:.:.:.:|、~'　　　　　　 ,, _　　　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.,'.:.:.::i.:..:.:|.:|:.:.:.:.:.:.:|丶、　　　　　　　　　 　／.:.i:.:.:.:.:.:.:.:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i.:.:.:.:i.:.:.:.|.:.:|.:.:.:.:.::.:|. |　` ､　　　　　 　 ｒ.:´|.:i.:.:i.:.:.:.:.:.:.:.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i:.:.:.:i.:.:.:.:|.:.:.:|.:.:.:.:.:.:| |　　　　` 　-ｨ.:´.:.:.:.:.:|.:i.:.:i.:.:.:.:.:.::.:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i:.:.:.:i.:.:.:.::|.:.:..:|:.::.:.:.:.:||　　　　　　　ト、.:.:.:.:.:|.:i.:.:i.:.:.:.:.:.:.:|



258 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:12:02 ID:+yMIf5JT
五１５３．
人間の月が終わり、十一番目の神竜の月も半ばに差し掛かっていた。
あと数日でやらない夫が誕生日を迎え、十八歳になるという頃―――

一週間に一度、鍛錬の間が貸し切りになる水の日には
やらない夫とジュンは朝から晩まで訓練を続けていたが、



　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣ ──────────── ／￣￣ ＼
　　　　　　　　　　　　　／　　　￣￣￣￣￣　　　　　　　　　　　／　　　 　 ＼ヽ　　　「崩拳！」
　　　　　　　　　　　　　|　　　　───￣￣￣￣￣￣　　　　　 |　　　 　　 （ ●）
　　　　　　　　　　　　.　|　　　　　　＿＿　　　　　　　　　　　　 .　|　　　　　　（___ﾉ）　　　　　　　　　 　 ” ､　`　/　　／,　 ゛
　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　. ￣￣￣　── ＿＿＿＿＿|　　　　　　 　 ﾉ　　　　　　　　　　　　　　ヾノ( _／　，　　,
　　　　　　　　　　　　.　 |　　　　　　 　＿＿　　　　　　　　　 　 　 |　　　　　　 　}　　　　　　　　　　　＿＿　⌒ヾて
　　　　　　　　　　　　.　 ヽ　　　　￣￣￣　　　　　　　　　　　　.　 ヽ　　　　ｨ'⌒`────＝三─── '⌒"）
　　　　　　　　　　　　 ／　　　 丶 三二───────────　　 丶 　　　　 ＿≡三＿＿＿_＿＿_ ノ　；
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　￣￣＿＿＿　　　　　　　 ／　　　　　　　　/´￣ 　　　　　 ＝三￣ ￣ _ ノ(、
　　　　　　　　　／　　 /　　　　　　/　　　　　　　　　　　 　 ／　　 /　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　 ／Ｙ⌒＼
　　　　　　　　（　　 ﾒ /　　　　　　/三　　　　　 ＿＿＿　（　　 ﾒ /　　　　　　/　　　　 　 　 　 　 ,,,,、　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,,,,、
　　　　　　 二　` 、 ノ　　　　　　/＿＿ ＿─── ￣￣￣` 、 ノ　　　　　　/＿＿＿　　　 　 　 ,! .,i´:iｰ匸ｌ　 ┬-、　　　　　　　 /｀ ,lﾞ
　　　　　　三￣￣　　　　　　　　　　　　 三＿＿＿＿/￣￣￣　　　　　　　　　　　　 ヽ　　　　　│.l＿ ﾞ‐'ﾟ″　 .|,,,ﾉ　　.,,,ο　　　 |　,i´
　　　　　 /　　三三＿＿人＿＿＿＿　　　 二￣￣ /　　＿＿＿＿人＿＿＿＿　　　 i 　 　 　 ,lﾞ /i､｀,!　　　　　 _,,-'彡'"｀　　　 .|丿
　　　 　 /　　二　　　　　　　　　　　　|　　　＿＿＿/　　/　　　　　　　　　　　　　|　　　|　　　　 / /　｀"　　 ,―''''ﾞン'"｀　　　　　 _ﾚﾞ
　 　 　 /　　/　　　　　　　　　　　　　三　 　￣￣ /　　/　　　　　　　　　　　　 二　　 　|　　　　lﾞ丿　　　　　｀'-‐" 　 　 　 　 　 ,i´丿
　　　三＿＿丿　　　　　　　　　　　　三＿￣￣　三二丿ﾙ/) ＼从　　ヽ从三三＿＿＿)从



　　　　　　　 ／l
　　　 　Λ／　〈 へ、
　　　ヘ|　　 　　　　 ,＞
　∠　　/　　　〉ヽ　 ￣＼
　/　ノ〈 |＾＾| /＼ﾄ､　　ﾄ､l　　　「うわーい、
　|／| .ﾊ|__ |/＿__　ヽ　 ヽ　　　空気を殴る音が聞こえたよー」
　　　l/　　|‐|　　 |―ヽ＿|
　　　 | ￣ c　￣　　　6 l
.　　　ヽ (＿＿＿_　　,-′
　　　　 ヽ ＿＿＿ ／ヽ
　　　　　／ ＼∨／　l ＾ヽ
　　　　　|　|　　　　　 |　　|
┌──────────┐
│　　慣れてきた人　　　　.│
└──────────┘

259 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:13:02 ID:+yMIf5JT
五１５４．
そんな彼らを応援しに、シンシアが現れていた。



　　　　　　　　　　　　└ヽ:::::::／::::::::::::／　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ 　＼__::::: |　 | :::::::::ﾉヽ
　　　　　　　　　　　　　　_j:::::::::::::::::: / 　 　 　 　　,　 　 　 　 　 　 　　 ﾞ'､　 ヾ:ﾄ､:| 　|::::／､　　ヽ
　　　　　　　　　　　　 　r::::::::::::::::::::/　　　　　　　/　　　 ,　 　　　　　　　 i　_ノ::::::|　 K_::::: | 　 　|
　　　　　　　　　　　　　　＼:::::::::: / 　　 　/　　, 　 　 　 i　　　　　　　　　 l |_::::_:: |　 |:::::::ノ; 　 　|
　　　　　　　　　　　　　　　　):::: .'　 　 　 ,'　 　l 　 　　　l 　 　　　 　i　 　 |　ｿ:::::::|　 l:::::L 　　 　|
　　　　　　　　 　 　 　 　 　( .:::::i ,　　 　 l 　 　| 　 　 　 |　 　 　 　　l!　　 i/´:::::::/　/:::::丿 　 　 |　　「………こんにちは。
　　　　　　　　　　　　　 　 　 ￣| i! 　　　| 　　 ﾄ､!　　 　|　　　　 ｨ 　　　　ﾍ:::::::/　/::::∧　 　 　 |
　　　　　　　 　 　　　 　 　　　　| | 　 　 ,j＿＿l_ |　　 　|! 　 　_/_j_ /　　/　j:::/　/::::/　|　　　 　|　　 二人とも、頑張ってる？」
　　　　　　　　　　　 　　 　　　　ﾚヾ　　　!ﾄ､￣|｀ヾ|! i　 l! 　´/￣j/￣lメヽ(_::ﾉ_ /::::/.　 |　　　 　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　| 　＼i､! ヽ,＼! _　ヾ＼|ヽ／ _　　　　 ﾚ' Y !7_ヽ:ノ　　 .|　　　　 |
　　　　　 　 　 　 　 　　 　　　　| 　| 　〉ゝj!　＝＝'　　　 　 　 ＝＝ '　|　i ;lﾋ ノ　　　 　|　　　 　|
　　　　 　　 　 　　 　 　 　　　　'　 |　,'　 ∧ 　　 　 　.; 　　 　　 　　 　ｨ .| Y´ 　 　　 　.|　　　 　|
　　　 　 　　 　 　　 　 　 　 　 i 　│ !　 i. | ＼ 　 　 　 _ _　　 　 　　./ |　| |　　　　　 　|　　　 　|
　　 　 　　 　　 　 　 　 　 　 　| 　 |　|　 |i |‐ ´､iヽ.. 　 　 　 　 ..　ｨj´ヽ.!　| |　　　　　 　| 　 　 　|
　　　　　　　　　　　　 　　　　/i 　 |　|　 || | 　 ヾ 　　＞_-.,< 　 　j　　/　　ﾄ､_. 　　 　　| 　 　 　|
　　　　 　　　 　　 　 　　 　 //| 　 |ィ|　 || |　　　　 　{〈.Zjｨji　 　 　　/　./ |／ヽ　　　　|. 　　　│
　　　　　 　　 　　　　　　 　j/ .!／: 　| 　|| | ＼ 　 i､　ゞt;_ソ 　〃　 /　/| │::::::::ﾞ;､　　│ 　 　 .|
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 / .／::::::::::::| 　ヽi!　 　 　 　 　 |!　 　, 　 /　/ .| ∧::::::::::: ヽ 　|. 　 　　|
　　　　　　　　　　　 　_ ／::´::::::::::::::::::＼_　ヽ,,　 _ _＿ ＿ゝ　 く　/　/　/! |::::!:::::::::::::::＼!　　　　!



彼女は時折、二人のみに会うようなタイミングで顔を見せている。
時には結構遅い時間帯に鍛錬の間に来る事もあり、
その度にジュンは家まで送ろうとしてやんわりと断られていたりするのだが。



　　　 ／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　 （ 一）（●）　　　　　　　「やあシンシア。
　　|　　　　 （__人__）　　　　　　　 ………元気が無いみたいだけど、
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ　　　　　　　 どうかしたのか？」
　　 |　　　,.<))／´二⊃
　 　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃　　　　　　（我ながら白々しい。
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉　　　　　　　 国王の病状が良くないせいなのは
''"::l:::::::/　　　 __人〉　　　　　　　 わかりきっている事だろ―――）
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|

260 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:14:02 ID:+yMIf5JT
五１５５．



　　　　　　 ｒ'´　　 　　　,イ´ｆ´　　 　／　　　　　　　　　 ｀ヽ　　　　　　　　　　ノ
　　,ｒー--{　　　　　 　/ /　|　　 　 /　　　　 　 　 　 　|　 　 ヽ　　　　　 　　ﾉ
　 /　／￣!　　　　 　/ 〈　 ﾉ／　 /　 　 　　　　　　 　∥　　　ヽ　　　　 　（_!
　 |　レ´￣_＞　　　/　! 'Y /　 　 !　 /　　 　 　 　 　　∥　　|　 ' ,　　　　　　｀!
　 ,ヘ｀二彳´　 　　|　|　 ｆ/　/　｜　| /　　　　 | 　 　 ∥　　 |　　',　　　　　　｀!　　　「うん………
／ 　　　　|　　　　 | .ﾉ-ｲ !　!　　|　 ﾉ'　|　ｊ 　　| 　 　 /}　　　|　　 |　　 　 　 　 |　　　お父様の具合が良くないの………」
　　 　 　　| 　　　　!ｆ　　 }|　{　|　|,ｲ|,ｆ/| .∥ 　.ｊ　　　/ }　|　　| 　　|　　　 　 　 ｜
　　　　　　レ‐イ　　| ）　.{|　,ﾍバ十-|-‐'ム　.ｲ/　, / /, ,ｲ　 /! |　/　　　　　　ノ
　　　　 ／　　　|　 ｒｭ,⌒)ﾙ'ﾑｨﾃ'i'ﾃ〒ミ｀ﾉノ/ /ﾚ'｀ナﾒｲｧ　// / /　　　　＜(´
　　　／ 　　　　｀ー<@〉},'　 ハ辷'_..八｀ " ノ.ｒ'　,ｒﾃ!ﾑz'/／ｲ /ﾚ　　　　　　ノ
　 ／　　　　　　　　　｀ﾏ 　,'　´"'''"゛　　　　　　{､_.'ﾉ 'ｚｨ' 　 ﾚ'＿　 ＿,...-‐´
／　 　　　　　　 　　　,'　| |', 　　　　　　　　j,　 ｀'''''゛//　　 　 ）　｀´
　　　　　　　　　　　　,'　 !! ヽ、　　　　　　"　 　 　 /├‐-‐ '´
　 　 　 　 　 　 　 　 ,'　∥｀ヽゝ＾ヽ　 　 ~'　 　_.. イ　|
　 　 , ‐ ´￣｀ｰ､._　 | 　 |＞´　　　ヽ.._..　-≦　 / 　{
　　/　 　 　 　 　 ｀┤　∥ 　　　　　 ヽ ｒ-―-､_!　　|



　　　　　　　　　　　　　　　 ――　､
　　　　 　 　 　 　 ／ 〉 ´　　　　　　＼
　 　 　 　 　 　 ／ ／'　 __ ノ 　 ゝ.__　ヽ
　　　　　　 　 /　/／〉　 ( ー)　(ー )　 ｌ　　　　　　　　　「そうか。
　　　 　 　 　 ｌ　 ´ イｌ　　 (___人___)　　ｌ　　　　　　　　　 早く良くなると良いな………」
.　　　　　　　 ｌ　 　 ｉYｌ　 　 ｀ ⌒ ´　　 ｌ
.　　　　　　　/　　 ﾊ !.!　　　　　　　 　 !
.　　　 　 　 /　　/　 ' ヽ 　 　 　 　 　 /
　　　　　　 ｌ　　　／/ ､ゝ　　　　　　 ／ ヽ_
　　　 　 ´｀ ー‐ '｀./　　｀ー､　　,－´　　/ 　 ＼
.　　　　 ｉ　　　 　 ｉｉ　　 / ｀:.ｉ 　 ｉ´ヽ.　 /　　 　 ｀　 ､
. 　 　 , 'ｌ　　　　　ｌ.!　 /　　 ｌ 　 !　ﾊ　/　　　　　　　 ＼
　 　 / ,:|　　　　　| ヽ/　　　!＿'　　 V　　 　 　 ,　 ,　 　 ヽ
.　　/ / ｌ　　　　　|　　　　 /:.:.:.:ヽ　　　　　　　/　/　 ／　 ｉ
.　　!/　 !　　　 　 ｌ＼.　　 ｉ:.:.:.:.:.:.ｉ　　　　　 ／　/　 /　　　ｌ
　　/　　　　　　　 !　 ヽ.　 !:.:.:.:.:. !　 　 　 ´　　 !　 /　　 　 !



かける言葉が見つからないやらない夫は、それだけを言うと試合場のジュンに視線を戻した。
261 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:15:02 ID:+yMIf5JT
五１５６．
さすがに影剣闘をしている時は、周りが見えないほど集中しているせいか
彼はシンシアが来た事にまだ気づいていない。



　　　　　　　　　 ＞ -:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ /:.:.:|
　　　　　　　　　 >:.-:.－:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀´:.:./
　　　　 　　 r‐ ':.´:.:.:.:.:.:.:.:.::./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:|:::ヾ:.:.／::|:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:|￣｀''- ､;i:.:.:.:.:.:.:.:.￣ヽ
　 　 　 　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ﾊ:.:.:.|　　　　　 |∧:.:.:.:.:|:.:.:.:.:}
　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V:.:.:./ -V:|_　　　　//:::.:.:.:.:.:K:.:.:.:|　　　　「ヤアアッ！」
　　 ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠V:./={´rvミ､=､_,, ,/　|:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.:.|
　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´＼-;/￣ V￣ | |ｲ≧ミ=､/ 　 |:.:.:/:.:.:<´ヾ|
　 ｀ '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::.　　　 | | 　○｀ |}_　r-Vｿ:.:∧}
　　　　　 ／:.:.:.:ヽ::::::::::i:::::::::::　　　 ヽ廴_　 <ﾃ=/rァヾ:∧:.|
　　　　　 フ/:.:.:.:.:.＼::::::::::::::::　　　　　￣ヾ=ﾉ　 <-ﾝ /:| .V
　　　　　　´''- ､:.:.:.:./::::::::::::::::　　　　　　　　　　/=テヾ|
　　　　　　　　　 ヾ/:::::::＼::::::..　　　　　ー -　 　 /
　　　　　　　 　 　/:::::::::::::::::::::::::...　　　　 -　　.／
　　　　　　／＼./::::::::::::::::::::::＼:::::::::...　　 　／
　　　　 ／　　　∧:::::::::::::::　　 /｀ 'ー - ' ´
　　　ノ |　　　　　 }ヽ::::　　 　/_
￣￣　 .|　　　　　　 ＼　　　{　ヽ
　　　　 .|　　　　　　/　｀ ー='´　 ＼

262 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:16:03 ID:+yMIf5JT
五１５７．
飛び回るジュンを見ながらの何気ない会話―――



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 └-i:::::::::::::::::::::::: ,.　　'"´　　　　　｀`ヽ:::::::.: : ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 __...ﾉ: : : : : : :,.ィ´　　　／ 　 　 ', 　 ヽ ｀丶､: : : :ト.､　 ,.ィ"ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　 　 |: : : : : : : :／　　./　 /　　　　　 ',　　 ',　 「: : : : :|:.:.:ヽ: : : : : 〉ﾆﾆ､二
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ヽ.ィ: : : :/　 　 / 　 ,'　　　　　　 l　　　',　｀丶ﾄ､:|:.:.:.:.:.|: : : : :ート､､ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r‐:':::::::/ 　 　 ,'　　,'　 　 　 　 　 !　　　.l　i'"´: : |:.:.:.:.:.:!: : : : :_:ハ ',ヽ
　　「やらない夫は、城に来る前は　　.　 　 　 ',_:､:::/　　 　 l　　 ｌ　　　　　　　 |l 　 　 !　',: : : :.|:.:.:.:.:.:|: : : : L_ｌ::', ',r
　　 冒険者をしていたと　　　　　　　　　　　　 　 ﾉ:,'　　 　 ,'l　　 |　　　　　l　 | l !　　! |　 ｀丶; |:.:.:.:.:.::!: : : : : :ﾊ::ヽ
　　 話してくれたけど………　　　　　　 　 　 　 /:| |　　　,' |　! .!ｌ|　　　　,'|　ｌ ｌ | l　,' ,|. ｜!´: :.!:.:.:.:.:.,': : : :r '　｀￢
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::,! |　　 ..L.',_ﾄ. |',ﾄ　　　/ !./l/├ /￢ ￢､).:: /:.:.:.:./: ::::::::|　　　 |:
　　 家族はどうしたの？」　　　　　　　　 　 　 /:::::ﾊ.ﾄ　、　!　..l_ヽヽ＼､./ l/"´　l/_∠ |　 {: : :/:.:.:.:./::::::;:::ﾉ|　　　 !:
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ヽ|l　',ヽ ＼ !,イ ｀` ﾄ　 '′　　 ,ｲ"´　lヽ 　,ﾊr'＾,-ﾍ':::::::::}::!｜　 　.!:
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 　 　 　 |　　　ト､ト.`弋..ン　　　 　 　 弋..ン '　| .|/j〈ィ'>》_ノ"!::l　!　　　|:
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　 　 l　l.|. ',　　　　　､　　　　　　　 l　 ! .|:.ヾ ﾆﾌ　　 !::l. ｜　　 |:
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |　　 / / |　ﾄ、　　　　 ,.、　　　　　｜ ｌ|　|／　 　 　 ヽ:|　|l　 　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 　　　　|　　/ /　|　|_.＞ 、　　　 　　　_..-.､ｌ　l !　! 　　　　　　 　 |.! 　 ｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l|　 /,ｲ _..ｌ　l:.:.:.:.:.:.:｀丶､ __..ィ´:.:.:.:.:.,' .,'::|　| 　　　　　　　　| !　　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 !|_ノ' r":.:.l　l:.:.:.:.:.:.:.:.:.ﾊィｭﾍ:.:.:.:.:.:.:./ /:.:::!　!ヽ、　　　　 　 .| l　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _..'"ｨ´　 ﾄ､:.:.! .l:.:.:.:／｀`ヾ.ﾆﾝリ:.:.:.:.:./ ':.:.:.:.:|　|:.:.:/、　　 　 　 ! !　　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜._ <.|　　 ! ∨ ,'_:.:'-:.:.:.:.:.:.:`￢´:.:｀`:./:.:.:.:.:.:.:.!　!;/: : ＼　　　　 ! l　　 |



　　 ／￣￣＼
　／　　 　_ノ　＼
　|　　　 　（ ●）　）　　　「………血の繋がった人は、
.　|　　　　 　（__ﾉ､_）　　　もう居ないんだ」
　 |　　　　　 ｀ ⌒ﾉ
.　 |　　　 　　　　 }
.　 ヽ　　　　　 　 }
　　 ヽ　　　　　ノ
　　　.>　　　 <
　　　|　　　　 |
　 　 |　　　　 |



あるいはこれこそがシンシアの目的、望む事なのだろうか。
263 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:17:02 ID:+yMIf5JT
五１５８．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｢｀ー'′／　 　 /　　 ヽ、 ＼ ＼　 ヽl}::.:)､ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l_,ｨ　　/　/　　 l　 　 　 l 、　 ｌ　｀､　{:|}く＼ヽ/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ　 ,′ !　 　 {　 　 　 | l| 　 | 　 l　):|} ﾉ|:｢´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 ヽ∧| ,　| 　 |　l　 　 　 | ｌ|　　|　 l|　{:|!::）|:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::l| |　|　　ｌ　 、　 　 | l | _,厶| j| ｛::|}::} |｣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l:::| ｀、!| 　 ＼ ヽ、　|,.イ,斗予 |　|{K!j　|
　　　「そう。　　　　　　　　　　　　　　　 〈:;小､ヽヽ、Ｔ,Ｚﾆミヽj　 ^ヾrｼ　|　|ァ１　|
　　　………寂しく、ない？」　　　 　　　　|　 ＼ヽN {ヾtｸ　　　　 　 　 |　ﾄ |_|　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　｜　 | 　 l　＼　　　 ｀-　　 ／!| |::..::.｀:┴-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　 　 |　　|　　|　 | ＞ ､　_＿ ／::..::|| |::..::..::..::..::..:ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　j　 /|　 l/::..::..::..::..rｸﾆﾐ::../| |::..::..::..::..::./::..｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　l　　 ! //l　 l::..::..::..::/;ﾊﾐZシ//| |::..::..::..::..:/::..::.｀ｰ┴―-ｫ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　j　　 ﾚ'∧!　,'::..::..::.〃::..::..::.ﾚ'/::| |::..::..::..::r'::..::..::..::..::..::..::/::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　/ / /|　ﾊ::..::..::..::..::..::. /l ﾄ､| |::..::..::..::{ー-::.ﾊ::..::..:: /::..|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 /　　/ ｜{::.| ||::.＼::..::..::..::../::.| l::.| |::..::..::./::..::..::/::..＼::./:ヽ:j



せっかく会いに来ているのだから、と無理に表情を明るくした彼女の
おずおずとした問いに、やらない夫はふと考え込む。



　　　　　　　　　　　　　　　 ――　､
　　　　 　 　 　 　 ／ 〉 ´　　　　　　＼
　 　 　 　 　 　 ／ ／'　 __ ノ 　 ゝ.__　ヽ
　　　　　　 　 /　/／〉　 ( ー)　(ー )　 ｌ　　　　　　　　　　　「寂しい―――か。
　　　 　 　 　 ｌ　 ´ イｌ　　 (___人___)　　ｌ
.　　　　　　　 ｌ　 　 ｉYｌ　 　 ｀ ⌒ ´　　 ｌ　　　　　　　　　　　 それは考えないようにしてた。
.　　　　　　　/　　 ﾊ !.!　　　　　　　 　 !　　　　　　　　　　　 考えちまったら、一人で旅なんか出来やしない」
.　　　 　 　 /　　/　 ' ヽ 　 　 　 　 　 /
　　　　　　 ｌ　　　／/ ､ゝ　　　　　　 ／ ヽ_
　　　 　 ´｀ ー‐ '｀./　　｀ー､　　,－´　　/ 　 ＼
.　　　　 ｉ　　　 　 ｉｉ　　 / ｀:.ｉ 　 ｉ´ヽ.　 /　　 　 ｀　 ､
. 　 　 , 'ｌ　　　　　ｌ.!　 /　　 ｌ 　 !　ﾊ　/　　　　　　　 ＼
　 　 / ,:|　　　　　| ヽ/　　　!＿'　　 V　　 　 　 ,　 ,　 　 ヽ
.　　/ / ｌ　　　　　|　　　　 /:.:.:.:ヽ　　　　　　　/　/　 ／　 ｉ
.　　!/　 !　　　 　 ｌ＼.　　 ｉ:.:.:.:.:.:.ｉ　　　　　 ／　/　 /　　　ｌ
　　/　　　　　　　 !　 ヽ.　 !:.:.:.:.:. !　 　 　 ´　　 !　 /　　 　 !



それは、共に旅をしていた父親を失ったときに捨てた感情だった。

時折誰かに触れては都度思い出し、別れの際に心を痛める事を繰り返してきた彼は
ここに来てまともな集団生活―――城の中の生活―――を覚えて、
良くもまぁ一人で何年も、と他人事のようにこれまでの自分を振り返る。
264 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:18:02 ID:+yMIf5JT
五１５９．



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､... .... ...... .... ..... .... .. ... ,　　　　　　　　, .. .. .. .. .. ... ...､. . . . .､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_）::::.::::.:::.::::.::::.::::.::::.::.／ /　　　　　　 /:::.::.:::.::.::.:::.:::.::.:::.ヽ、: : : ｀
　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 |::::.::::.:::::::.:::::.::.:::.::::／　 /　　　　　 　､'､::.::.:::.:::.:::.::::.:::.::::.::::.`、: : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　廴::::.:::.::.:::::.::.:::／　　 / 　 　 　 　 　 i ｀‐-‐､::.::.::.::.::::.::.::.::.:.', : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　_）::::.:::::.::::::/　　 　 ｉ　　　　 i　　　 |　　 　 〉:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::!: : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　L_::::::.:::::.::/　　　　 |　　　,'　| 　 　 |　　　 {::.::::::.::::.:::.:::::.:::::} : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　￣l:::::::i　　　　l　|　 　 i 　| 　 　 !　　 ,ｨﾄ､:::::::::::::::::::::::::::|: : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼_| i 　 　 ｌ　| 　i　|　ｌ|　 　 ﾉ_,ィ´/ !　ﾒ -‐'j:::::::::::::::j,ｪ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 | |　　　 l　|　 |　!　l|　 ｨﾁ´/／_,」_/_　 （::::::::::::::::ﾊ{{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 | |i 　 　 ｉ　i _」　ﾄ､||　/ 　 ,ィZr'ﾁ卞､｀7 ﾄ､::::::::::代`
　　　「ごめんなさい。　　　　　 　　　　　　　　| ｌ|　　　 Ｘ´i l＼l 　ﾚ'　　/l　{つk_ｊ::::}/　|　ﾄ‐-,:::|:.｀:
　　　 変な事を聞いたみたい」　　　　　　　　ヽ!ヽ、　ﾄ､　,ｒz=､　 　 　 　 弋:::::::ｼ'´　｜l|　〈::::}: : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ 　＼| kｲ、Ｖﾑ　　　　 　 　 ￣　 　　! ﾊ　 〉,': : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ﾊ `弋ﾉ　　　　　　　 　 　 　 l i　|　|: : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |　　 　 　'_　 　 　　　　 　　//　|　|: : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 | ｀、　 _/　ト､　　　 　　 　//　/|　|: ;／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}　 ﾄ／/　/　|､　 　　　　//／__|　|_:::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 /　ノ　/　/　/　!.　 　 ィ'//:￣ : |　|:|-;:::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 /y'/　 ´　´　/　/_　l´: :.//: : : : :.|　|:|. L
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　///　 　　 　 　 /-;.メ!、//: : : : : :.|　|:|::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／ lﾉ　　　　 　　 ,'／ 杯f//: : : : : : / /: :＼:::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／ ／{!　　　　　 　 l　ヽ辻〈〈: : : : : :./ 〈: : : :/::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 〈　く 　|　 　 　 　 　 l 　 〉-' ﾍヽ、: :_;」 　/: :〈::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ ＼ｌ　　　　 　 　 l ／ : : : :.＞ '´　,ィ´: : :/::::::



　　 　 　 　 　 　 ／￣￣＼
　　　　　 　 　 ／　　 _ノ　　＼
　　　　　 　 　 | 　　　（ ⌒）（⌒）
　　 　 　 　 　 l　　　　　（__人__）　　　「君が気にする事じゃないさ」
　　　　　 　 　 l　　　　　｀ ⌒´ﾉ
　 　 　 　 　 　 | 　 　 　 　 　 |
　　　　　　　 　 ヽ　　　　　　 l
　　　 　 　 　 　 _,ゝ､　　　_,ノ
　　　 　 　 ,､-='l　＼_,ﾝ g<＼
　　　　 / ＼　└〆＼ i=i|＼'＼
　　　 丿 　　ﾞi 　 ＼　＼=il　/　i!
　　 　 l　　　　l 　　　＼＼| /＝|l
　　 　 |　　　　|　　　　　＼i/ 　 ||



それで会話が無くなった二人はジュンの様子を黙って眺め、
265 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:19:02 ID:+yMIf5JT
五１６０．
やがて一息入れた彼はようやくシンシアの姿に気がつくと
慌てて試合場から降りてくる。



　　　　　 ,／/: :ヽ: : Y: /:､: : : : : : : :＼: : : : : : : : ＼
　　　　／: :/: : : ∧: : ;′1: : : : : : : : : l: : : : : : : : : :∧
　　 ∠二ィ: : : : l::∧: :!:::::l: : : : : : : : : :|: : :ヽ: : : : : : :∧
　　　 　 /.: : : : :|::::::∨::::::l: : : : : : : : : :l: : : : ∨: : : : : :∧
　　　 ,r': : : : : : 「¨¨｀""¨1: : : : : : : : : l: : : : : ∨: : : : : :∧
　　　 |! : : : : : : l 　 　 　 l: :;ｨ: : : :∧ : | : : : : : ∨: : :ヾ : ∧
　　　ｲ!: : : : :i: : !.　 　 　 !:/ l: : :/　ヽ: ﾄ、 : : : : ∨: : : :＼;ﾊ　　　「あっ！
　　　/l: : : :,∧:厶-‐､　　ﾚ'　!‐ナ―-ゞ! ヽ、: : : :i: : : : : :l ヾ　　　シンシアさんじゃないですか！」
　 　 !.:!: : ;ｨ: : ト1===ミ:、 　 l.:/彡＝=｀=ﾐ:､ヽ : : l.: : : : : |
　　 .l.;ｲ : ;ハ ｲl:iﾞ '乍ミ1L..../;」i　ｨ卞ぅｘ､ ! ヽﾄ、:l: : : : : :|
　　 .ﾚ'l: :/　 ﾘ |:|　 ﾋ;ﾘ |「￣"ﾞ1l　　ﾋｚﾘ｀ l l｀ゞ- ､.: : :lヽ:.!
　　　　ﾚ'’　　 ヾ ＿__ノ.'　　　ヾ: ､＿＿.ノﾉ　´rﾊ !:、:| ヾ
　　　　　　　　　 i///// i　　　　////////　ムｿ:.;ﾊﾉ
　　　　　　　　 　 ､　　　　　　　　　　　　　r彡;〃´
　　　　　　　　　　 ヽ　　 ヾﾆフ　　　　 　 ﾉﾚ'´
　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　 　 ´ ,L. -‐ ､_
　　　　　　　　　　　　　　ヽ . _　，　 　, ィ´　　　,.､二ミ:ｫ
　　　　　　　　　　　　　　 ,.-‐=ﾆj,.ィ'´　　 ／￣ "¨ヾ＼L、
　　　　　　　　　　　　 _r'´　 レ"　　 _ﾆ=′　　　 二ﾆ= 　 ＼
　　　　　　　　　　　rく ヽ 　 j　,-=ﾆ¨ 　 　 　 イ=‐- ､　 　 >"



　　 '┐　＿　:::＞‐　 ―　ー -　､:::ｉ:...:::ｉ　:::::　}　ヽ
　　 _/ .....　／　　　　　　　　　　　‐ヽ::::ｉ:. :::ｒ‐'|　｢__,.;;ぇ､
　 ｢＿_ ／　　　　　 /　　　;　　　　　　＼::::| _∧　　{ﾞ |:::|
　 |　 ./　　　　/　 /　　　　ｉ　　　　　　ｉ　ヽ::__ﾉ::ｌ　ｲ.LL:|.
　　} /　 /　 /　　/　　　　 :ｌ:　 ｌ　　　　:ｌ　 | ::: |:::|　Ｔ"ﾞT:::}
　｢ /　 /　 /　　 ｉ　　　　　:|:　 :ｌ　　 :ｌ　::ｌ　ｌ　}.|:::|..:く　/:::/
　 ｲ.　 ｌ　 :ｌ　ｉ　:ｉ　　　　　:::|:　 :|　.ｌ　:|　 :| ｢ ] |:::| "ト＾／
　 .|:ｉ　| ｉ ::ｌ ::ｉ ::ｉ ｉ　　　　 :::|　 ::|　:ｌ　::|　 :| .} |.ｌ:::ﾄ ∧:}
. /:|:ｉ　| ｉ Ｌ ｣ _ｉ__ｉ ｉ　 :　::::ｉ　 ::| :: .ｌ:　:|　 :ｌ（: ｉｌ::/{　 |::|　　　　　　「お邪魔しているわ」
/:/|:ｉ　|　ｉいﾊL|_ﾘ`ｉ::::::::/ナ ‐ト ､Ｌ _:ｉ　 :| .}/::/ｲ　 |:::|
:/ .| いいﾊ ｨｒﾃぇﾐい／　レｨ‐ ∠レ/` :///:/ /　　|:::|
|　 |　 ﾄﾟ|　ｉ　ｉ いｨ}　　　　 イﾃﾌﾊVｲ／ ﾚｒｦＬ.|.　　レ'
.　 |　 .| ｉ　| ｉ ﾞ￣ﾞ　 ,　　　　にクｿ "|. ｉ　ﾚｲ / |.　　|
　　|　 ﾚ ｉ |. ヽ.　　　 .;._　　　　　　／| ｉ　|　 | .|　　 |
　　|　//.| |_ ／`　､　　　　　_　ｒく ｧｉ.ハ ',　| .||　　 |
　　ﾚ /ィ| |::::::.　::::::..`_- .:::'´:::::::　 ..ﾒ/.　', Ｖ　||　　 |
　／,ハ ｌ ｌ::::::　　:::ｒﾁ心ヽ:::::::::　　:://: ＼;　Ｖ |　　 |
"／　 /./::::　　:::::::い9ｿソ::::::　 :::://::::　∧　 ';|　　 |

266 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:20:03 ID:+yMIf5JT
五１６１．
軽い足取りのジュンに代わり、次はやらない夫が試合場に上がった。

キン、と小さな音を立てて剣を抜いた彼は集中を高めて構えを取ると、
アレクサンドの影を追って走り出す。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　　 　 ／_｀ﾞヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /　　　}ﾘ　　　 , '⌒ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　〃　　 ／ 　 　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ,　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ヘゝ､_/'　　／｀ﾞ　、_／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 　 ｀7′,く_　　　／
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　,'　　 __ ∠ｧ'｀ゞｰ";',／
　　　　　　　　　　　　 　 　 　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　 ､ﾌイﾄ､_,.ｲ　　　｀ ﾞ　､　　　∠ ='´- －ｰ- - - .、
　　　　　　　「ハアアッ！！！」 　　　　　　　　 ／　　 _ノ　　＼ｨ１:!::jjｒ'´　 :ｲ ﾉﾐ､＝=、 ￣´(　　　　{　　　/ 　 ｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　（ ●）（●）ｲ::ｉ|:;!:i::jj::ﾚ'　　,:, ﾉ　.ヽ.i　｀ヾヽ　｀｀､ーrｪｔ冖- ィ ､. ,,.._ノ
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 {　　　　　　　　ﾞ（__人__）　　　l 儿ﾑ'´　 ヽ,ィ'‐ヘ..ノﾉ　　 } ヽ　ヾ―- ､,, __
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　　　　　　　　|　　　　　　 　 }ｌ{　 　　 .ﾉ　　　　 "'ヾ.人 ,,_ 　､ ,.,_,'　　,'　.｀")
　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 f'r{ト|ﾄ---ｒi´:;ﾄ､ ヽ　　　　　 　 } "'' - ''"　　　　　　　　　　　＼ >､. ￣"'''-‐'´
‐- = ============= ＝＝＝{｛ (ｴ|｢｀7灯:/|:;::: 　ヽ　　　　　ノ　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ､_.)
　　　　　　　　　　　　　　　　　 `｀={.]∟!{ |;ﾍﾉ,!::::::::{::　`ｰ'_,.ィ



　　/ ／.:/.: 　 i.:.:.:l.:.:.:l.:.:.:/ l.:.:.:.:.:.:｀`´.:.:.:.:.:.: |.:.:.､.:.:.:.＼
　 　 l.:.:./ .:.:　.|.:.:.:l..:/l.:.:/　|.:/l.:.:.l.:l.:.ﾄ､.:.:.:.:. |.:.:.:.＼ ￣
　　./.:./ :. :.: :|.:.:.:l/ .l.:/　 |/　l.:.:N.::.|__＼.:.::|.:.:.:.:.:.:l
　 /.:./ .: .:.:.: :|.:.:.:仁l/二ﾆ　　l.:仁l:/=== ヽ:!.:.:.|＼|
　 l:/.l.:.:.:.:.:.:. .ﾄ､.:.l ﾃ示ﾐヽ1 Ll/ l 「 戍ﾃﾐ　lﾄV　　　「やらない夫はこれを始めると長いからな。
　　　l.:.:/l .:　ﾊ:lN{　辷ｿ ﾉ ! 「￣l |弋辷ｿ　l1 l　　　シンシアさん、腰掛けて話しませんか？」
　　　l:/　l.:/　　 lL_ ＿＿ノ　 ,　　ヽ _二 ノ.:.:.
　 　　 　 l/　､__',　　　　　　　 　 　 　　 /　.:.:.
　 　 　 　　　　　ヽ　　　　　r‐‐ｯ　　　/.
　 　 　 　　　　 　 入　　　　　　　 ,..ｲ.:.
　 　 　 　　　.　'´　i.:.＼＞ -- ＜/
　 　 　 　／　　 　 |.:.／＼　 　 ノ.:


これはチャンス、とジュンは誘いを試みるも


　　　　　　　　　　　　＿＿　__,.
　　　　　 ｢｀ヽ´￣｀ﾌ.::::::::/´　 ,. -‐'′{::::し'.:::::::イ
　　　 . ィ⌒ヽ　　/.::::::::::/　　　　　　 ハ:::::::::::::!::::）
　 　 { イゝ　　　/.::::::::::,′. . . ..x　 く｀ｰヘ.:.:.::::し'
　　　 Y.::::::::ノ　'.::::::::::::|.:: . ---xノﾊﾉ　　　 ヽ:::）
　　　（￣　　. :.|:::::::::::::「´　_、 　）⌒Y　　 　 ﾚ′
　　　 i 7ゝ.:::∠!:::::::::::::|.:.:.:.:ｊ｢ Ｙ　 　 !　　　　}
　　　 | i::ﾊて...」::::::_.:::::!　ノ｣ﾊ '.　 ,ﾊＬ　/　 ′　　　　「ん、ごめんなさい。
　　　 | L! |　丁Ｙｒ刈:::|ィﾊﾊ｢ゝVｲﾑｲ//ﾊﾉ　　　　　　そろそろ帰らなきゃ………」
　　　 |　　 　 |＼ゞｲ::::ﾄ弋)ｿ　　　ﾋｹｊ小
　　　 l　 / 　 !　 `トゝ:!ﾊ´　　 　 '　.ｲ ｊ |
　　　ﾉ. /　　｜i　 ゝ'' | 仆. .　 ´ イ ｣ ;i |
　 ／ :/ 　 　 |小./ゝ.｜ヽ＼下｀ヽ 丁ｊハ
イ　 , ′　 　 ヽ:/ィ　 ハ.　ヽ＼ﾊ.:.:.:ｊり__｣!
　／　　 　 　 ,ノ.:/　/.:::: ` ｰ ､ーヘ〈ゝ--=ｧ
　　　　/⌒Ｙ .::::/　 （::::::. 　 　 下不厂ﾞくﾞく
　　 ｒ ' 　 ノ.:::::/　.ｲ　）::::i　　　 |￣ｊ ） ｀ヽｿ
.　　 ＼:::｀ヽ／／.::／.::::::i　　　 ｀ヽヽヽ　（


首を振って断ったシンシアは、
肩を落とす彼を残して鍛錬の間からすっと出て行ってしまう。
267 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:21:02 ID:+yMIf5JT
五１６２．



　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／|　 ＿＿＿＿＿＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　／: :/／: : : : : : : : : : : : : : : ／
　　　　　　　　　　　　/: : : //: : : : : : : : : : : : : : : ／
　　　　　　＿　　　　/: : : 〃: : : : : : : : : : : : : : ∠.,＿＿
　　　 　／: : ｀''''ｰ､/.: : : : : : : : : : : : : :／＼: : : : : : : : : :｀ヽ､
　　　　＿ニ=‐: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :＼: : : : : : : : : : ｀ヽ、
　　 　/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :＼: : : : : : : : : : : ｀''ー､_
　　　/: : : : : : : /: : : : : : ,､: :/从: : : : : : : : : : : : : :〉: : : : : : : : : : : : ;;;;;二ニ=-
　 　/: : : : : : : /: : : : : : /‐宀''~｀'t: : : : : : : : : : : :/: i: : : : : : : : : : : ＼
　　/: : : : : : :,ｲ: : : : : : /　　　　 　'l: : : : : : : : : : /: : ﾄ､: : : : : : : : : : : :＼　　　　「ちぇっ」
　 /: : : : : ／ |､: ;∧: :/　　　　　 　|: : : : : : : : : /: : : }　＼/: : : : : : : : : : ＼
　ﾉイ/.: :ノ　　|: /ヽ∨　　　　 　　　|: : :∧: : : ∧: : /_,,.／ ＼: : : : : : : r‐‐┘
　　/.: :ノ　 ＿|/＿＿_二=≦_厶 　 |: :/ｰ‐,=≠‐ャﾒ───-＼: : : : .}
　／￣|　／　＿＿＿＿＿＿｀ヽ　 |:/　 / V＿＿＿＿＿＿ 　｀l;:/⌒＼
/　　　|　|　　　 |: : : : : : : | 　 　 |＿_,_＿| 　 　 |: : : : : : : :| 　 　 l|　　 　l
|　　　 |　|　　　 | 　 ;;;;;;　 | 　 　 |　　　　|　　　 |　　;;;　　 |　　　 l|　　　/
＼　　 |　 !　　　ヽ/＿_レ′　　 |　　　　|　　　 ヾ､/__}_／　　 　 ｌ|　　 /
　 ＼　',　 ヽ､＿＿＿＿＿＿_／　　　　 ＼＿＿＿＿＿＿＿／|　 ／
　　　ヽﾍ　　　　　　　　　　　　 rヽ､　　　　　　　　　　　　　　　　レ'´
　　　　　ヽ　　　　　　　　　　　 ヽ　＼　　　　　　　　　　　　　　/
　　　　　　＼　　　　　　　　　　 /　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 /
　　　　　　　 ＼　　　　　　　　 └イ　　　　　　　　 　 　 　 ／
　　　　　　　 ／＞､　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／＼



思うようにいかないな、と人付き合いの難しさのようなものを改めて実感し
口を尖らせたジュンは舌打ちを一つすると、
いつも通りやらない夫の動きを追う事に全力を傾けた。
268 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:22:02 ID:+yMIf5JT
五１６３．
数分もしただろうか。
影剣闘を一段落させたやらない夫が、いつも以上に気を高めていると気づいた彼は
何かするつもりだ、と



　　　　　　　　　 ＞ -:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ /:.:.:|
　　　　　　　　　 >:.-:.－:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀´:.:./
　　　　 　　 r‐ ':.´:.:.:.:.:.:.:.:.::./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:|:::ヾ:.:.／::|:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:|￣｀''- ､;i:.:.:.:.:.:.:.:.￣ヽ
　 　 　 　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ﾊ:.:.:.|　　　　　 |∧:.:.:.:.:|:.:.:.:.:}
　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V:.:.:./ -V:|_　　　　//:::.:.:.:.:.:K:.:.:.:|
　　 ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠V:./={´rvミ､=､_,, ,/　|:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.:.|
　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´＼-;/￣ V￣ | |ｲ≧ミ=､/ 　 |:.:.:/:.:.:<´ヾ|　　　（なんだ―――？）
　 ｀ '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::.　　　 | | 辷り｀ |}_　r-Vｿ:.:∧}
　　　　　 ／:.:.:.:ヽ::::::::::i:::::::::::　　　 ヽ廴_　 <ﾃ=/rァヾ:∧:.|
　　　　　 フ/:.:.:.:.:.＼::::::::::::::::　　　　　￣ヾ=ﾉ　 <-ﾝ /:| .V
　　　　　　´''- ､:.:.:.:./::::::::::::::::　　　　　　　　　　/=テヾ|
　　　　　　　　　 ヾ/:::::::＼::::::..　　　　　ー -　 　 /
　　　　　　　 　 　/:::::::::::::::::::::::::...　　　　 -　　.／
　　　　　　／＼./::::::::::::::::::::::＼:::::::::...　　 　／
　　　　 ／　　　∧:::::::::::::::　　 /｀ 'ー - ' ´
　　　ノ |　　　　　 }ヽ::::　　 　/_
￣￣　 .|　　　　　　 ＼　　　{　ヽ
　　　　 .|　　　　　　/　｀ ー='´　 ＼
270 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:23:02 ID:+yMIf5JT
五１６４．
やらない夫と、



　　　　　　　　　__　　　　　 __　　 ＿　　　　　　__
　　　 /::ヽ. 　 ｢::::l /}　　／:::/ /´::::/　　　　　/´::::> ,.-.､_　 　 　 　 __,,..、
　 　 〈:::::::ﾊ　 |:::::ｊ '´ 　 |:::::/ /:::::::/.／!　　 /:::::/　/:::::/　　　 　 ／::::::::ｊ__
　　　　';:::::::l　l／ _　 　 l::::ｉ /:::::::://:::/　　/:::::/　/::::://::７　 　,:'::::::::／::::::〉　　　　_＿
　　　　 V:::::l　／::::}. 　 l:::::!ヽ一'　l／ 　 /::::::<　└-' 〈_:/　　/:::::／/:::::::/,.ﾍ.　 ／:::::/
　　　　　Ｖ:::ﾚ::::::::ｒ'　　.l:::::l　　　　　　　/:::;へ::::＼　　　　　 /:::::<　 ー-'<::／／:::::::/／:ヽ
.　　 　 　 ';:::::::::／　　 ;:::::└‐:::ｧ　　　　∨　　丶;::::>.　　　 ,'::::;ヘ::丶、　 ´ /::::::::／':::::::／
.　　　　 　 ';::::〈　　 　 !::::;_:::::::/　　　　　　　　　　｀　　　　 レ'　　 ｀¨　　　/:::::::< ヽ;;／::::>
　　　　　　 ヽ::::〉　 　 |::/　￣　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::::;::::::::＼　ヽ'
.　 　 　 　 　 V　　 　 Ｕ　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　 　 　 　 　 〈:::/　＼／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　_ノ　,ヽ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　（ ●）（●）　「せーの………！」　　　　　　　　　　　　　　　　　＿,,,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　 （__人__）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　 ＿,,,,--==~^,,,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　｀ ⌒ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＿,,,,--==~^,,,,=--=~^~^
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　　　　 　} 　 ＿,,,,-=ニニ=-＿＿　,,,.ー-ニ,,,,-=-""~^"
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,ゝ　　　 　ノ　ﾚ" ﾚ　　　　　　|　=<ニ-=-ー"~~
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／;;,,,,,　　 |i./ヾ　　ソ＿＿,,,,-t''└──┘"
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/;; ,-=--,,-=┴-＜,,,-~-=~^　　/"　 Y"
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|i　　,;;:'''　　　　　　＼　　　　　/"　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /;　　:'i　　　　　　　 ミ￣~^`=v";;:..　 |i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|;　　　,li;:..　　　　　　;;　　　　　ヽ,　　 ,i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i;　　　 :丶:,,.　　＿ソ"　　　　　　`　 ,/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ,;:::....　　 ~^^^　 ^`=-,,＿＿,,.ノ　 ｿ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼:::::,,...　　　ヾ,,　　　|i　　　`~^"
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `-、:::::..　　　ヾ、　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ヾ;;;;::::::..　　　　;|i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヾ;;;:::::...　　　,ｿ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/";;;~^=~=~^^ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/;;;;;::::::::::::::::::--=|i,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |i;;;;;;;:::::::::::::::::::,,::::::|i
271 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:23:06 ID:+yMIf5JT
狙っているらしい燭台に注意を向ける。



　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ,′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,..、 ｨ/
　　　　　　　　　　　　　　丶　 /　V/
　　　　　　　　　　　　　　　 ｀Y　　i′
　　　　　　　　　　　　　　　　ｨｹ　 ﾄ、
　　　　　　　　　　　　　　　／{'⌒'} ｀丶
　　　　　　 　 　 　 　 　 ／　 ヽiノ
　　　　　　　　　　　　 ／　　,r'┴'ヽ.
　　　　　 　 　 　 　 .　　 　,ｲ::''n::::,f'
　　　　　　　　　　　　　　　 i:: ll::iYll!
　　　　　　　　　　　　　　　 !:: :l:: : :l
　　　　　　　　　　　　　　　 l::l l:: l ll
　　　　　　　　　　　　 　 　 {i　l:: . l!
　　　　　　　　　　　　　　　 |j:i:::::li l,
　　　　　　　　　　　　　　　 }i::::::::ll !
　　　　　　　　　　　　　　　（!..:::::..lll　　　　　 ,ノ入
　　　　　　　　　　　　　　　 l...::::::..ll　　　　　fy' l l!
　　　　　　　　　 .. .:.:. --―ﾘ..::::::ﾊl―--:::.:.ﾑ!,_//
　　　　　　 r''"´:;:;:;:;:;' 　　,ｸ.::::::::i::ll..,,　　'';:;:''"　｀丶
　　　　　　 ｀丶､:.:_　 .:;:;:;ム;:;＿:;:;_ゞ､:;:_,,　　 _ ,,. ノ
　　　　　　　......:.:.｀ヾ" '' :.:.―---―.:.: '' ７"´
　　　 . . .:.:.:.:.:.:::::::::::::丶､::::::::::::::::::::::::::::::ノ:::::.:.:.: ..
272 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:24:02 ID:+yMIf5JT
五１６５．
力を溜めている時間は二秒にも満たなかっただろう。
気合いと共に剣が真横に薙ぎ払われ―――


┏──────┓

　　　ハアッ！

┗──────┛


------------;､---........､....,,.,.＿,
　　　　　 /'i　　　　　　　　　　- 二ﾞ.,ﾞ"'.'―- .....,,,_
　　　　　/. i　　　　　　　 ／i　　 　 　 　 "''''―　..,,,,ﾞﾞﾞ''''―- ...,,_
　　　　 j　　| 　 .,､-'/／|r" ﾘ　　　　　　　　　　　　　｀ﾞ''''ｰ- ..,,,｀ﾞ"'ｰ-..,,_
　　　　 |　　|､-'"　,/:|　 ||　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ﾞ''ｰ ..,、 ｀ﾞ''ｰ　,,,
　　　　 |　　 ,,､- '"　|　r'.|/"　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀''ｰ..,,　　｀ﾞ'ｰ ,,、
　　,､-'"　　 ii　,／ |　|／ ／|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀''ｰ..、　 .｀''-､
r'"　,､-'|.　 ﾉ　|　　|　　,! |.　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾞ'''.､,　　 ｀'-、
j　 /　　.|.　/　.|　　|　r".| |. /／|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ヽ　　　 ｀､
/／ ,ri　 |.　i　 .|　 r'　|　 |.ﾚ''|　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 /　　　　 .ゝ
　 ／. |　 |　| 　 |／　 .|　/ 　 |. r'　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ／ 　　　　 /
　|.　 | 　.|　〉 　 　 　 .|/　 　 |/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,、 -‐''''″　　　　. ／
　|　 | 　 | /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　____,,,,,..　r━'''"ﾞ´　　 　 　 　 　 ,..-'"
ー|. /. 　 |i　　　　　　　　　　　　　---ｰー―ｰ￢''''''''ﾞﾞﾞﾞ￣￣　　　　　　　 　 　 　 　 _,,　‐'″
　 |/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 _,,,.. -‐''"゛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ＿,,,,.... --ｰ''''"´
　　　　　　　　　　　　　　＿____,,,,,,,,,,.......... --――'''''"ﾞ￣´
￣￣￣￣￣￣￣￣￣´゛



　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ,′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,..、 ｨ/
　　　　　　　　　　　　　　丶　 /　V/
　　　　　　　　　　　　　　　 ｀Y　　i′
　　　　　　　　　　　　　　　　ｨｹ　 ﾄ、
　　　　　　　　　　　　　　　／{'⌒'} ｀丶
　　　　　　 　 　 　 　 　 ／　 ヽiノ
　　　　　　　　　　　　 ／　　,r'┴'ヽ.
　　　　　 　 　 　 　 .　　 　,ｲ::''n::::,f'
　　　　　　　　　　　　　　　 i:: ll::iYll!
　　　　　　　　　　　　　　　 !:: :l:: : :l
　　　　　　　　　　　　　　　 l::l l:: l ll　ﾋﾟｯ
　　　　　　　　　　　　 　 　 {i　l:: . l!
　　　　　　　　　　　　　　　 |j:i:::::li l,
　　　　　　　　　　　　　　　 }i::::::::ll !
　　　　　　　　　　　　　　　（!..:::::..lll　　　　　 ,ノ入
　　　　　　　　　　　　　　　 l...::::::..ll　　　　　fy' l l!
　　　　　　　　　 .. .:.:. --―ﾘ..::::::ﾊl―--:::.:.ﾑ!,_//
　　　　　　 r''"´:;:;:;:;:;' 　　,ｸ.::::::::i::ll..,,　　'';:;:''"　｀丶
　　　　　　 ｀丶､:.:_　 .:;:;:;ム;:;＿:;:;_ゞ､:;:_,,　　 _ ,,. ノ
　　　　　　　......:.:.｀ヾ" '' :.:.―---―.:.: '' ７"´
　　　 . . .:.:.:.:.:.:::::::::::::丶､::::::::::::::::::::::::::::::ノ:::::.:.:.: ..
273 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:24:32 ID:+yMIf5JT
五１６６．
何も起きないぞ、と燭台から視線を戻そうとした時だった。



　　　　　　　　　　 　 ＞'´　／　　 ∧　 　 ｜　　　　i|　ヽ.　 　 　 ＼
　　　　　　 　　　　／ 　 ／ 　 　 /::::ヽ　_,斗:.:.:.: : 　 |　　 !　　:...　　 ＼
　　　　　　 　　 　 〉 　 　　　　::ー‐^´¨　|:.: : !:.:..　ﾄ､　 |　　 :.:.:...　: :..｀ー-､
　 　 　 　 　 　 　 |　　　| 　ｉｌ　　::|　　 　 　 ! ::∧:. :. 　,=‐ｉ　　　:.:.:.:.:...:.:.:..:.:.／
　　 　 　 　 　 　 /　.:.:.:.:|　 i| 　 ::| 　 　　　 | / ,ｨ|,.イ´__ ∧　 ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　　　　/ :::／イl|　 ｌ|　 ::|=､＞ｰ=､ ｉ′|:rレ弍¨ヽ ﾄ :.:.:.:.:.:.:.:.:.／　　　（なんだ？
　　　　　　　　./::／　 /　　　|　　|´戈¨Ｔ |ﾄ==､||　弋__ソ‐|/.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼　　　 外した？）
　　　　　　　　ﾚ'゜ 　 /　／　 iヾヽ! 辷_ソ｣|　　 ヽ=＝＝=='　ﾏヽ.:.:r-‐'´
　ｒr‐、 　 　 　 　 　 レ'　ﾚ'〉　! ヾﾆ==＝ ′〈　　　　 　 　 　 'ノ::;;;>
　ﾄ'　| 　 　 　 　 　 　 　 　 ￣ヾﾇ、　　　　　 ｀　　　　　　　,/‐'´
　| 　|　　　　　　　　　　　 　 　 ￣ヽ　　 　 　 ー‐　　　 　 /
..ﾉ 　l'⌒!　　　　　　　　　　　　　 　 ＼　　 　 　 　 　 _, ィ´
´　ノ^ヽ '､　　　　　　　　　　　 　 　 　 ｀¨ﾆt-　　-‐'　ﾄ-┐
　　／｀ヽ.ヽ、　　　　　　　　　　＿　 　/´iイ　　　　　 |/　ヽ―-- ､__
　　 ‐'´｀ヽ. ｉ､　　　　　 　 　 ／i　 ゞ7″ | ′　　 　／　 　 |　　　 　｀ヽ、
＼ 　　イ-' 　ヽ　　　　 　 ／　 i　　/　,ﾍ |＿___,_／ |―､　 |　　　　/　　ヽ.



斜めに切られたろうそくがゆっくりと傾き、ぽとりと床に落ちる。



　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ,′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　 ,..、 ｨ/
　　　　　　　　　　　　　丶　 /　V/
　　　　　　　　　　　　　　 ｀Y　　i′
　　　　　　　　　　　　　　　ｨｹ　 ﾄ、
　　　　　　　　　　　　　　／{'⌒'} ｀丶
　　　　　 　 　 　 　 　 ／　 ヽiノ
　　　　　　　　　　　 ／　　,r'┴'ヽ.
　　　　 　 　 　 　 .　　 　,ｲ::''n::::,f'
　　　　　　　　　　　　　　 i:: ll::iYll!
　　　　　　　　　　　　　　 !:: :l:: : :l
　　　　　　　　　　　　　　 l::l l:: l ll
　　　　　　　　　　　 　 　 {i　l:: . l!　ﾂ･･･
　　　　　　　　　　　　　　 |j:i:::::li,i
　　　　　　　　　　　　　　 }i::::／／!
　　　　　　　　　　　　　　（／／...lll　　　　　 ,ノ入
　　　　　　　　　　　　　　　 l...::::::..ll　　　　　fy' l l!
　　　　　　　　　 .. .:.:. --―ﾘ..::::::ﾊl―--:::.:.ﾑ!,_//
　　　　　　 r''"´:;:;:;:;:;' 　　,ｸ.::::::::i::ll..,,　　'';:;:''"　｀丶
　　　　　　 ｀丶､:.:_　 .:;:;:;ム;:;＿:;:;_ゞ､:;:_,,　　 _ ,,. ノ
　　　　　　　......:.:.｀ヾ" '' :.:.―---―.:.: '' ７"´
　　　 . . .:.:.:.:.:.:::::::::::::丶､::::::::::::::::::::::::::::::ノ:::::.:.:.: ..
274 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:25:02 ID:+yMIf5JT
五１６７．



　　　　　　　　　　 ／|＿＿＿
　　　　　　 r 、 ／ ./　　　／
　　　　　　 i　ヽi　 /　　/´￣￣￣`ヽ
　　　 　 ＿|　 ´　　　　　　　 　　　 ＜、
　　　 ／　　　 __　　　_　　 　 　　　 ＿＼
　　　/　, ／/´　.`　´　`ヽ　　　　　 ＼￣
　　　ﾚ´/ ./ 　/　/.i　　　|　、　　　　　 ヽ、　　　　　「離れた場所にあるものを斬った！？」
　　　　,イ.|　/|　∧ | ∧　ﾄ、`ヽ　ヽ 　　／
　　　　 .| .|/ i.| .i＼.|/　| .|´ ｀ヽi＼i　 r''
　 　 　 .ﾚ ﾚ' ri/￣`、r´|/｀ヽ V,ﾊ |　 ＼
　　　　　 ／ i　　　.ﾄ|　　　 ├─ﾀ.ﾉr-‐'´
　　　　 /' 　 ヽ＿_〈 ヽ＿___ﾉ　/ |< ﾄ￣ヽ
　　　　,ﾞ　 ／ )ヽ　.r--- 、u　/ヾｌﾄﾊﾌ::::|｀ヽ
　　 　 |／_／　 ﾊ .i￣￣i u／:} 　V 　::::|　 ＼
　　　 /／ 二二二7,==='／u'　__ / 　 :::/　／ ヽ
　　　/'´r　-―一ｧ‐ ﾞＴ´　'"´／　　　　|　　　:::::::}
　　 / // 　 广¨´ / /'　 ／ 　　　　　/　　 　::::::ｲ
　　ﾉ ' /　 ノ＼ 　|　　／＼＿＿　　 |　　　　 ::::::|
_／｀丶　/　　 ＼| ／　　　.＼　 ＼ .|　　　　　:::::|



衝撃波や気の塊をぶつけるのとはまた別の剣技にジュンは戦慄を覚えたのだが、
剣を鞘に収めたやらない夫は発動までに時間がかかるのが不満らしい。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 ヽ､_　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　　|
　　　　　　「ああ。　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 （__人__）　　　　 |
　　　　　　『地平斬』って言うんだけど。　　　 　 （｀⌒ ´　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 { 　 　 　 　 　 |
　　　　　　まだまだだな」　　　　　　　　　 　　　　　{　　　　　 　 ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　　 　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　 　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 /　　　　　 |



基本どのような剣技でも準備時間は必要になる。

それらは修得後も鍛錬を欠かさない事で次第に短縮していける物ではあるが―――
いわゆる無準備戦技はたった一つをそこまで高めるにも、
血と汗と才能や努力の積み重ねが必要であると言うのに。
276 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:26:03 ID:+yMIf5JT
五１６８．
単純な修得では不足、それを無準備まで高めてやっと
実戦に用いる事が出来る彼の立つ高みに、改めてジュンが呆れた瞬間だった。



　　　＼　　　　 　 ＼　＼　　　　 | ,,,--'''''￣　| // ＿,,,,--┐ 　 |　／　　＿,,,...---
. 　 　 　 ||￣　/l‐|、-/l　＼┌'￣|　　　 ＿,,,,-ゥ/i｀ヽ、　　.ィ-ァ|　| 「￣' 　 |
. 　 　 　 ||　 ./,'　| | |、|￣''''ー-____,,--''''',,,-'''~/　 ＼|..　.／／　|　| |　　　　|
. 　 　 　 ||　//==| |=|/ー-＜￣__,--'' ￣　　 /.　　 　 ／／.|　　|　| |　　　　|
―--,,,___||_// ┌| |‐---,,,,__￣|　|　|　　　　.　　 　 ／／　　|　　|　| |　　　　|
＿＿＿ .||l /|　| 'l |　　　　　|　|　|　　　　　　 　 ／'''~. 　 　 |　　|　| |＿,,,,--|--''''
====┐ .||/. |　|　|l.　　　 　 |　|　|　　　　　　　　　　　　　　 |　　|　| |　　　　|
　 　 ||　 ||/ .|　|　'!　　　 　 .|　|　|　　　　　　　　　　　　　　 |　　|　| |　　　　|
　 　 ||　 ||　 |　|　　 　 　 　 |　|　|　　　　　　　　　　　　　　 |　　|　| |　　　　|
――||―||　 |　|　　 　 　 　 |　|　|　　　　　　　　　　　　　　 |'.―|‐.| |-,,,,,__　|＿,,,,
　 　 ||　 || 　|　|　　 　 　 　 |　|　|　　　　　　　　　　　　　　 |　　|　| |--''''￣|'''''--
　 　 ||　 || 　|　|　　 　 　 　 |　|　|　　　　　　　　　　　　　　 |　　|　| |‐-,_____|
　 　 ||　 ロ(()==| 　 　 　 　 |　|　|　　　　　　　　　　　　　＼|　　|　| |　　　　|｀''--
　 　 ||　 ||　 |　|.　 　 　 ／ .|　|　|　　　　　　　　　　　　　　 |＼..|　| |　　　　|
　 　 ||　 ||　 |　|.／　 ／. 　 |　|　|　　　　　　　　　　　　　＼|　 ＼ |,,,,....--- |----
　 　 ||　 ||　 |／　 ／..　　　.|　|　|　　　　　　　　　　　　　　 |＼..|..＼...　＿__|,,,,,,,,,,



乱暴に扉が開かれ、真っ青なマコトが早口に招集を告げる。



　　　　　　　　　　　　￣ヽ､
　　　　　　　　　　_　,-─ ､,〉ゝ－-::...　、
　　　　　　　 ,..::´:::::ヽ:::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::`＼_
　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ
　　　　　, ':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　 /:::.／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　,/:::: /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ｌ
　 　 l::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ｌ
　 　 |/|:::::::::::::/::::::::::::::::: ﾊ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ｌ　　　　「団長より緊急通達！
　　　　|::::::::::::::::::::::::_:::/　ｌ:::::::::::::::::::|＼:::::::::::::::::::::::::::ｌ:::::::::|　　　　 『親衛騎士は全てに優先し
　　　　|:::::::::::::::::::::::::/≧､ ｌ::::::::::::::::::| 　＼斗::::::::::::::::ｌ:::::::::ｌ　　　　　早急に集会所に集合せよ！』
　　　　|:::::::::|:::::::::/l::/ｲ⌒ﾞ`ﾒ::::::|＼::ｌィ千代`:::::|:::::::::ｌ:::::l〉ﾘ
　　　　|::::::::/|:: /　ﾘ弋､ _ﾉｌ　ヽ|　 ヽﾚ; __ｿ ｌ j|人:::::::ｌ:::::|　　　　　　以上！」
.　　　　|::::/　|:::fzlｌ　＾ー‐'´　　　　　＾　‐-'´　jｌノ:::::l::l::て
　 　　　|/　　ヽ.:::|ﾍ　　　　　　　　　　　　　　/ィ<"j ﾒ_／
　　　　　　　　　ゝ;八　　　　　　;　　　　　　/ｲ
　　　　　　　　　　　x > ､　　　ｰ ｰ　　　　ｲゝ:::｀＞-､
　　　　　　　　　〆::::;//ﾊ`　、　　　　 <´/　 ｌ）:::}:::::::::::::::` ､
　　　　　　　 ／/::::://　　＼ 　｀‘´　　 /　 /::::7::::::::::::::::::::ﾊ::l
　　　　　　 ﾉ::::/::::::《〈 ヽ／ﾍヽ 　　　／　 /::::/::::::::::::::::::::::/::::l

278 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:27:05 ID:+yMIf5JT
五１６９．
それだけで彼は走り去ってしまい、ジュンは何が起きたのかを考えてまさかと
呟きを漏らしたのだが、



::::::::::::::::::::::::::ﾊ::::::::::::::/i/／ i:::::::::::::::::::::::::|::::::|:::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::＼
::::::::::::::::::::::::::::ﾊ;;;;;;;;;/-'´ 　 .|::::::::::::::::::::::::ﾄ::::: ﾄ::::::::::::::::::::i:::::::::::::::::::ヽ
::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ￣　　 　 　 |::::::ﾊ::::::::::::::|　＼i ＼::::::::::::|:::::::::::::::::::::ﾊ
::::::::::::::::::::::::::::;:::ﾊ　　　 　 　 |:::/　V::::::::::ﾘ　　　　ｨ=ﾊ:::: |::::::::::::::::::::::::＼
:::::::::::::::::::::::::::::iヽ:ﾍ　　　　　 |:/　　 V::::::/　　　/ｲ＝ﾌi｝ヾ─────'｀
ヽ:::::::::::::::::::::::::|　＼ヽ　　 　 |i!　　　 ｝::/　　　r''´ゞハi l:ヽ
::::＼::::::::::::::::::::|　　 ＼　　　＿＿ニ三ｲ　　　||r j｝i|　.i lヾ｝　　　　　　　　　「緊急通達！
::::::::::＼::::::::::::: |　　　／::::＿,,,ィ彡=''´i/il_,=＝|.しｿﾊ ﾉﾉ-､　　　　　　　　　　まさか！？」
:::::::::::/ ＼::::::::::ヾ ／:- ''´＞''´ -=ｲ｀　 ||r'´｀ ﾊ彡　ｙ/: : : :＼ニニミ-､
::::::::/　　　｀ー- xゝ rィ彡''´イッ:::ﾘ　　/i　　　ミー=´i: : : : : : :｀:-:､: : :｝ｿヽ
:::::/::ﾊ＿＿＿＿＿/ /　 /　ﾋ:::..ソﾉ　｛.ﾘ　　　　｝.　 l-､: : : : : : : : i: ://: :ﾊ
￣ヽ──────､ﾊ　ヾ　　ゞ''´　 ノﾉ　　　 ./　 ./: :ﾉ: : : : : : : : l: i l: : : ﾊ
i ヽ　｀ -ゝ　　　　　　ヽヽ　ミ=''´　／／　　　　 　 /: : i: : : : : : : : : l: i l: : : : :ヽ､
｛　　ﾊ　　　　　　　　　＼＼＿_／／　　　　, ィ　/: : :/: : : : : : : : : : /: : : : : : : : ＼
　｀　　 廴　　　　　し　　　ー─''´　　　 ir'_´'´ ./: : :/: : : : : : : : : : /: : : : : : : : : : /
>､＿　　　ー　　　　　　　　　　　 　 　 　　 　 /: : :/: : : : : : : : ::／: : : : : : : : : : :/
: : : : : ＞-､＿ハ､　　　　　　　　　　　　　　　ハ／: : : : : : : :／: : : : : : : : : : : :/ハ



　　　　　 ――　[] ]　　　 ／￣三＼
　　　　　| ｌ￣ | | 　　　／　　 ＼三/＼
　　　　　|_| 匚. | 　　三　　 （ ○） （ ○）
　　　　　　　　| | 　　三　u 　　 （__人__）　　　「急げジュン！
　　　　 　　　 |_|　　　≡　　　　 ｀ ⌒´ﾉ　　　　集会所だ！」
　　　　　　 　　　　　　二 　　　　　　　}
　　　[] []　,-　　　　r⌒ヽ　　ｒヽ，　　}
　　　　 ／／　　　三　　　　i／　|　ノヽ
　　　匚／　　　 　三　 　三　　 /　　　 )≡
　　　　　　　　　　 三 　三　　／　　 ／≡
　　　　　　　　　ﾆ三　　　.／　　　／
　　　　　　　　二≡､__.／　　　 ／､⌒)
　　　　　 　 三 　　　　　　　　 ＼　￣
　　　　　　三　　　　　/＼　　　　＼
　　　　　 三　　　　 /ﾆ ヽ 三　　　三
　　　　　三　　　 /　　ﾆ_二＿＿／
　　　　 三　　.／　.
　　　≡　　／　　|
　　 ≡　／
　 三_ノ



反応素早く、燭台を吹き消して回ったやらない夫が先に鍛錬の間を走り出て、
思考を止めたジュンもすぐその後に続いた。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━……
281 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:28:02 ID:+yMIf5JT
五１７０．
━━━━━━━━━━……
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

集会所に入れば、他の五人はすでに揃っており
重苦しい雰囲気が立ちこめていた。

最後の二人が入ってきたので、ゆっくりと目を開いたアレクサンドは椅子を立つと
扉がしっかりと閉まるのを待ってから用件を告げる。



　 ﾌ彡三ニ＝=-ミミミミﾐﾐWミW杉彡彡三ニ＝=彡W彡ｲN
　彡彳ニ彡''´￣￣￣¨｀ー=≠=─''¨￣￣￣¨`'''ァ＞ヾミシ
　Σ彡　ｲ ::::::::　　　　　､　　i li　　　　　　　　　　 Zミミ三ﾐ
　 彡 彳ﾘ ::::::::　　　＼　 ヾ {;! }　z=　,ｨ　　,　　　　ヾ彡 ,Zﾉ
　　ゞ　 /! -=＝ミ ｰ-　ヽ　} i!　　/／　 ／,ｨ＝=-　 }ィ　./　　　「揃いましたね。
　　Y⌒}! '':::::::＞''￣￣｀ヾ＼|..i!../ ,z三≦─ ､　　　.ﾚ⌒　　　　 ………良く聞いてください、
　　 ! }ﾄ|＼__{{弋￣t__ｧ-z}ﾊ;;;;;;;;;;Y　x t__ｧ￣フ}}__／! il ﾘ　　　　国王様が、先程………ご逝去されました」
　　 ! i! i　::::人　`ー ==以 ﾉ￣　{!　ﾐ== ─''´ ﾉ　　 |!　{!
　　 ヽ　:::::: ゝ _＿＿ ／::　 　 ﾄ＼　__＿ ／　　　| ノ
　　　 ヾ!　::::::　　 ￣￣.::::::::i　 　 ! ヽ ￣￣　 　　 ,;/´
　　　 ,从;;,,:::::　　 　 ...:::i . : |　 　 !　::..　　　　　　.;∧
　　／:::::ﾊ;;,, ::........::::::::::::ヽ::::i　　 .ｨ..::　 　 　 　 ,,;;;i::::::＼

282 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:28:32 ID:+yMIf5JT
五１７１．
皆、その予想はあったのだろう。



　　　　　　　　　　　　　 ｲ　　　　 __＿ ,.イ
　　　　　　　　　　,.イ／/／￣￣.:.:.:.:.:.:ノｰ ､
　　　　　　　 ヽ /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:___ノ.:.:__ノ.:.:.:.:ニ＝ｰ
　　　　　　　　|/.:.:.:.:,.イ.:.:.:/／.:／.:.:.:.:.:￣￣￣.:.:＞/
　　　　　　 ＼ヽ/／.:.:.:.:.:ﾉノ／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＞.:.:.:／/ ｲ
　　　 　 　 　 ∨.:.:/ノイ!　　　彡──　´.:.:.:.／／:.:/
　　　　　 　 　 i／ﾍ 　 }｝　　　ミ二ニ.:.:.:.:／／.:.:.:,ｲ
　　 　 　 　 　 /　|/／厂｀　　ヾ:.:.:.r－く.:.:.:.:.:.:／.:.:.j
.　　　　 　 　 /　／　　　　　 　 ∨/⌒ ヽ.:.:／/.:.: /
　　　　　　　　ヽ　　,,ノ　　　　　　ヽ丿 丿´.:./.:.:.:/
.　　　　　　 　 /　　　　　　　　　　　__ノ.:.:.:./.:.:.:./
　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　Xヽ.:./.:.:.:,.ｲ
　　　　　　　 ｀ヽ　　　 　 　 　 　 　 | |　 ヽく::::::ヽ
　　　　 　 　 　 ｀<　￣　 　 　 　 　 | |　 　 l ヽ:::::::ゝ、
　　　　 　 　 　 　 ',　 　 　 　 イ 　/ ¨　 　 l　 ｀く:.:.:.:.ヽ
　　　 　 　 　 　 　 ',　　.. 、´　___./───－ｭ　 ＼:.:.:.:.＼
　　　　　　　　　　 　￣　 」￢|::::::::::::::::::::::::::::::∧　　 ＼.:.:.:.:＼
　　　　　　　　　　　　 　 | |￣|:::::::::::::／ ￣￣￣ ＞ｰ-::、:.:.:.:.:ヽ.
　　　 　 　 　 　 　 　 　 ,| |⌒トｰ､／／ 　.:／ ´　　　 　 ｀ヽ、:.:.:.ヽ.
　　　　　　　　 　 　 ／ｲ / 　 ）／／　.:.／　　　　　　　_＿　 ヽ:.:.:.:.:'.,
　　 　 　 　 　 　 ／∠ムへ､,/　/　.:／　　 . ・ ´ ￣　　　　｀ヽ ∨:.:.:.i
.　　　　 　 　 　 /ムγ´:￣::/　/.:／　　／　　　　　　　　　　　 ∨:.:.:.:l
　　　　　　　　 ハ.::::::::::::::::::/　/ ′　／　　　　　　　　　 　 　 　 ∨:.:.:l



一様に厳しい表情の彼らはしかし、



::::::／::::::::::::/／::::::::::::::／／::::::／::::／:::::i:::::::::i::::::::::::::::l:::::::::::|
／::::::::::::::::/::::::::::::::::／´:::::::::／::／::::::::::::l:::::::::l:::::::::::::::::!::::::::::l
::::::::/´i::／::::::::::::／::::::,,,､,／:::::::＼,,∧:::::l::::::::,':::::::::::::::: ﾉ:::::::::;!
:::::/ ::::!/::／/:::::::::／ 　/::::::::::／´ ∨/::::i:::::/::::::::::::::::/i::::::::::/
:::::｀::::::／ ./::::::／ 　　/::::／　 　 　 ﾒ::::::!::/::::::::::::::::/　ｌ::::::/
:::／／ 　/::／ 　　　/／　ﾐk.,　　 /:::ﾍ::／::::::ﾊ::::::/ 　 ｌ:::/
/／'., ' , ∨　　　　 /　　 　ﾞヾミk/:::::／）ﾉ:::/ /::::/ 　　i:/
/ 　　ゝ 　　 　　　　 　 　 　 　 /::／i //:::/ /:／　　　/
　　　　 ﾍ　　　　　　　　 　 　／´ 　 ',/／／´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 _ゝ
、　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ／ ´
;;',　　　／｀　､ 　　　　　　　　,　′
;;;;',　／ 　 　　｀`　､ 　 ,　"
;;;;;ヾi　　　　 　 　 　 `´
;;;;;＼＼
;;;;;;;;;;;＼＼
;;;;;;;;;;;;;;∧　＼
283 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:29:03 ID:+yMIf5JT
五１７２．



　　　　　　／　　　　　へ　　　　　　＼
　　　　　,/　　　　　 /　　　　　　　　　ﾞヽ
　　　　 /　　　　　 〈　 --　　　　　　　　ﾞ､
　　　　 l　　　　　　く く_ｺ `l　　　　　　　 `l
　　　　iﾞ　　　　　　　ヽー''ﾞ　　　　　　　　 ﾞi
　　　　l　　　,,,,...,,--''ﾞ~ﾉヾ-,,,,.....,,,,,　　　　 l
　　　 .l　　 ''　__,,--'/　　ヽ-､,,,,,　　　　　　i
　　　 iﾞ　　-''''　　　l　　　 l　　　`''''　　　　Lー､
　/⌒　　 ）　　）　 i　　　　i　（　　 　）　　　;へ　）
. （ ⌒,　（　　 （　 〈 _-－-_ 〉 ）　　　）　　　）)　/
　ヽ＿　 ）　　　）　　`--U'　 （　　　（　　　　／
　　ヽl　（　　　（　／￣￣￣＼）　　 ）　　　l/
　　　i　 ）　 /（／　 ＿＿＿　 ＼＿)ヽ　　 ﾞl
　　　l　（　（＿＿－　　　　 －＿＿＿）　　l
　　　i　）　　　　）　ﾉ　ハ　ヽ　）　　　）　　　l
　　　;l（　　　　（　/　,'　;　 `､（　　　 （　　　i
　　　 i）　　　　（　　　　　　　）　　　　 ）　　l
　　　 ＼　　　　）　　　　　　（　　　　 （　 ／
　　　　　＼　　（　　　　　　　）　　　　 ／
　　　　　　 `ー────────‐'



涙を流したり、冥福を祈ったりと



　　　　　　　　　　　　　　　　　__,,.、 -- ､、_
　　　　　　　　　　　　　 _,.ィ'"´　　　　　　　 `'ト、
.　　　　　　　　　　　 ／　　　　　　　　　　　　　　＼
.　　　　　　　　　　 /　　　　　..:　　　 ..::　　..i　　　..:.＼
　　　　　　　　　　/　　　　..:.:.:　　　..:.:.:　　.:.|　　　.::.:.:∧
.　　　　　　　　　 j　　　 ..:.:　　.:　..／::　　.:.::ﾄ､　　.:.:.:.:.:.:ﾍ
..　　　　　　　　　|　　　　/ .:.:.:.:／　.:,イ.:./!:..|　i 　:.:.:.:.:.:.: i,
　　　　　　　　　 |　　.:.:./.:.:. ／/ .:／/.:./ |:./　}　:.:.:.:.:.:.:.:.::|
　　　　　　　　　 |　.:.:.:/.: ／--─‐‐ ''/" l/＼ | :.:.:.:.|.:.:.:.:: |
　　　　　　 　 　 |　:.:./:.:/ ,ｨ=＝rｧ ／　／_,_　`ﾄ、:.:.|::.:.::.|::|
.　　　　　　　　　| :.:.:j:.:.:.:.l'"ﾄz::ﾟﾘ 　　 　 ィテﾗﾄ| .:.:. |:.:.:.:.|.:|
.　　　　　　　 　 | ..:.:|:.:.:.:.{　`-‐'　　　　　ﾋ::,ﾟｿ /}:.:.: l＼:.//
　　　　　　　　　| :.:.:| :.:.:.ﾍ、　　 　　 　 　 ~　/,ﾉ:.:.::.∧ ＼
　　　　 　 　 　 | :.:.:| :.:.:.::}へ、 　 　__　'　 _ ｲ : /二二＾　 ＼
.　　　　　　　　 | :.:.:| .:.:.:.:.lト､ ＞､_　 _,. ＜:.:..:..〈 ー‐-、 　 　ﾍ
　　　　　　　　/ :.:.:.| :.:.:.:..|　　＼　了＼__:.:.:.:.:.:.:`l斤＼ 　　 　|
.　　　　　　　/ :.:／|:.:.:.:.:.:|ﾍ　 rー--ﾍ、　＼:.:.:.::.:..|　 ト---‐┴､
　　　　 　　/..／::::::|:.:.:.:.:.:|　＼{　ー-＜⌒)'二＼::.|　{::::::::::::::::::::::｝
.　　　　　 /../:::::::::: |:.:.:.:.:.:|＼　＼ __,, ィ`-K-- .__).!　|::::::::::::::::::::::|
　　　　　/..:｛::::::::::::::|.:.:.:.:.:.|:.:.:＼／___ノ　ﾉ　＼-- ＞.|:::::::::::::::::::: |
.　　　　/..:.:.:|::::::::::::::＼:.:.::.i,:.::.::.ヽ ::`ー''´:::ﾍ　 Y´:::::::＼:::::::::::::::::j
. 　 　 /..:.:.:.:ﾍ.::::::::::::::::.＼:.:＼:.:.::.）:::::::::::::::::::ﾍ　 }::::::::::::::::＼ :::::::: |
284 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:29:32 ID:+yMIf5JT
五１７３．



　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ|:.:.＼
　　　　　　　　_ - ' ´:.:.::.:.:.:.:.:.:.:_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.::＼　　 ,
　　　　　　　ヾ､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::､:.:.:.:/ ／/
　　　　　　　　　＞:.:.:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:./:.:.:.:.:.:.:.:ﾚ:.:.:/
　　　　　　　　 /:.:.:.:.:.:./:.:.:.:._;,;,-‐''''´:.:.:.:.:./:.:.:./:.:.:.:.-='´
　　　　　　　　｀ -､:.:.:/:.／/ ゞ:.x ､-ー ''´|:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.＼
　　　　　　　　　　ﾚ､:ﾚ´∧ /　｀　 ＼　.ヾ|:.:/|:.:.:.:.:.|:.:.:r､_::ゝ
　　　　　　　　　　　 ミ,;,;:.::|　　　　 　 ｀＞ミ_.|:.:.∧|:.:.:.:}
　　　　 ,＿＿ r‐─ v'´　 ヽ　　　　　／ヾ∠.|:/|:./:.:.:.:.|
　 　 /.: : : : : : ＼: : : :＼ 　 ､　　　_　ヽ '´ |'' ´ ﾚハ:.:./
　　/／＼: : : : : : ＼: : :: :>v ＼　 ヾ_ , -―
　.//: : : : :＼: : : : : : V/: : K: : : ミ'´
../: : : : : : : : :＼: : |: : V: ∨: V: 入
/: : : : : : : :: ::: : :V: : : : : : ＼//: :/ヽ



取り乱したりはしなかったのだが―――



　　　 ／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　 （ 一）（一）
　　|　　　　 （__人__）
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ
　　 |　　　,.<))／´二⊃
　 　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉
''"::l:::::::/　　　 __人〉
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|

285 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:30:02 ID:+yMIf5JT
五１７４．
アレクサンドは彼らの反応を一つ一つ確認してから、本題を切り出した。



　　　　　　　　､＿Z≧x___}＼ﾄ､__r ､
　　　　　　, ｨ≧　-=＝ミ　　ミﾐ　　　＼ﾄ､ﾄ､
　　　　　 ラ　　彡　　-=ミ　　　＼　ヾ　　ヾﾐﾒﾄ､
　　　　 彡彳　　　　　--==＝ミ　　 　 ＼　ﾄ､　 ト､
　　　　ヲ彡　　　　　-=三ミ　　-=ミ≧ 　 ヾﾒ ゞⅦﾊｨ
　　　イ　　／　　　　　ﾆニ三　=-}￣`ーzW　`川川i|
　　／　／　〃　　-=＝ミ　　　　 j}　　 .:::::::::ヾ､　} } }!
　　7　ｲ 　 /　彡　-=rzzミ　　　 ｿ　 ...:::::::::::::::::Ⅴ川ﾘ
　 /, ｨ　　./　　　 ／r-! }　-= 彡'　...::::::::::::::::::::::::Y''´
　 ラ/　イ 彡彳/ ./::::::} }zxイ　.....:::::::::::zzzzx : ::::|
　彳イ　〃　　 {　{:::::::::} }}＞ミx:::::::::::::::::;;;;丕ﾐi!:::::|　　　　「驚くところはそこではありません。
　 j　 ／zzイ　ﾊ　V:/~::..　　　　`ﾐ;;x:::::::;;;;;;;;;;ﾑ! ::|
　ﾉ／〃 .／／∧　V :::::::::::::::.........:::::::`ﾐ;;xzz/ /::/　　　　………大臣が、この際だからと
　ｲ　/.／／／　 V/,,,,:::::::::r-:::::::::::::::::::::;;;:>/ /イ　　　　　共和制を唱え始めたのです」
. /〃-＝彡/ ::::::::/-彡:::::::ir=-::::::::::::::::::::::::ﾚ:::::::l
＼　....::::::: / ::::::::/彡彡:::::::i!:::r=-　　:::r=z､::::::::ﾑ
.//＼::::／　.:::::::{彡彡彡:::::::::::::::ﾄ､_:::::::::::::-=＝::ﾑ
//// ＼zz.:::::::人彡彡彡 : :::::::::ﾋ-+ミﾄ､_ﾆr'' ￣
////// .＼zzz:::::＼彡彡彡:::::::::::￣`ﾏr''¨
/////////.＼zzZz::＼彡彡彡::::::::::Y='
/////////// ＼ZzzZ:＼彡彡彡彡|
//////////////＞＝＝＞z､彡彡'
////////////////////////＼
//////////////////////////＼
////////////////////////////＼
/////////////////////////////入
/////////////////////////////　/＼
////////////////////////////　////



今度はざわっ、と集会所にどよめきが漏れた。
その中で、素早く手帳とペンを取り出したやらない夫だけが情報を整理しておこうと
不明点の確認に移る。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　／　_ノ　 ヽ､.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 | 　（●）（●）　.|
　　　「共和制？　　　　　　　　　　　 　　　　　　 　!　　（__人__）　 |
　　　 王政を廃止して、国民に選ばれた　 　 　 , っ　 ｀⌒´　　 |
　　　 代表者達による統治を行うと　　　　　　 /　ミ）　　 　　　/
　　　 言うのですか？」　　　　　　　 　　　　 　./　ノゝ　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　i　ﾚ'´　　　 　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　|　|／|　　　　 |　|

286 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:31:02 ID:+yMIf5JT
五１７５．
情報に対する部下の、反応それぞれに注視しながら答えるアレクサンドに、



　 ﾌ彡三ニ＝=-ミミミミﾐﾐWミW杉彡彡三ニ＝=彡W彡ｲN
　彡彳ニ彡''´￣￣￣¨｀ー=≠=─''¨￣￣￣¨`'''ァ＞ヾミシ
　Σ彡　ｲ ::::::::　　　　　､　　i li　　　　　　　　　　 Zミミ三ﾐ
　 彡 彳ﾘ ::::::::　　　＼　 ヾ {;! }　z=　,ｨ　　,　　　　ヾ彡 ,Zﾉ
　　ゞ　 /! -=＝ミ ｰ-　ヽ　} i!　　/／　 ／,ｨ＝=-　 }ィ　./　　　「そうです。
　　Y⌒}! '':::::::＞''￣￣｀ヾ＼|..i!../ ,z三≦─ ､　　　.ﾚ⌒!　　　 しかし実際には、権力を掌握した大臣が
　　 ! }ﾄ|＼__{{弋￣t__ｧ-z}ﾊ;;;;;;;;;;Y　x t__ｧ￣フ}}__／! il ﾘ　　　 裏から糸を引く形になるでしょう」
　　 ! i! i　::::人　`ー ==以 ﾉ￣　{!　ﾐ== ─''´ ﾉ　　 |!　{!
　　 ヽ　:::::: ゝ _＿＿ ／::　 　 ﾄ＼　__＿ ／　　　| ノ
　　　 ヾ!　::::::　　 ￣￣.::::::::i　 　 ! ヽ ￣￣　 　　 ,;/´
　　　 ,从;;,,:::::　　 　 ...:::i . : |　 　 !　::..　　　　　　.;∧
　　／:::::ﾊ;;,, ::........::::::::::::ヽ::::i　　 .ｨ..::　 　 　 　 ,,;;;i::::::＼



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'.:.:.:.:./.:.:.:.:／.:/.:.:.:／.／; ,／:.:.:/ /i.ｉ,ｖｙ',.:.:,.:.:.:.::ヽ:.ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,'.:.:.:.:/,.:´/.:.:.::/.:.:/ ／./.:.:.:.:.:.: /:.:/ i i　　 i.:.:.:.:.:.:.:.:.:ﾄ,:ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .i.:.:.:.:/.:.:./..:.:.:/.:.://.:.:/.:.:.:..::.:／/./ //　　　',.:.:.:.:.:.:.:..:i.ヽ.',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'.:.:.:/.:.:/.:.:.:.:/.:.:/.:.:.:/.:.:.:.:／　/./ //　　　　i.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i　i.:i
　　「そんな！　　　　　　　　　　　　　　　　.ｉ.:.:.:,'.:.:,'.:.:.:.:,´.: ,'.:.:.:/:.:.:／　 /./　//　　　　 |.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|　i.:i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,'.:.: i:.:.:i.:.:.:.:i.:.:.:.:|.:.://ｧｨ--=イ' 　//　丶､,__, |.:.:.:.:.:..:.:.: |.|　i.i
　　 まだ真紅王女が　　　　　　　　　　　　i.:.:.:|..:.:|.:.:.:.:|.:.:.:f..:|´/ ＿,／　　//　 　_＿_　|/|.:.:.:..:.:./|.i　|.ｉ
　　 いらっしゃると言うのに！？」　　　　|.:.:.:|:.:.:|.:.:.:.:|.:.:.:| i.ﾅｧ=＝,=,`　//　　　ｨ==ｬｪ,, |.:.:..:.:.:| i:i　|i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|.:.:.:ヽ.: |.: :.:ヽ.:.:ｒケ:::::::`::i 　／ 　　　　i::::`.:i　'|.:.:.:.:.:.:ﾚ'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.λ.:.:.::ヽ.|.:.:.:.:.ヽ..ト .５:::::::::i　　　　　　　.５:::::|　/.:.:.:.:.:.:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ |.:.:.:i:.:.:ト.:、:.:.:.ﾄ.:i　'--''　　　　　　　　 '^-''　/|:.:.:.:.:.:.:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i.:.:.:.ｉ.:..:|.:|.::.:.:’ト.:,_ヽ　　　　　　　　 j.　　　 ' ,'::.:.:.:.:.:.::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i.:.:.::i..:.:|.:|..:.:.:.:.:.:|、~'　　　　　　 ,, _　　　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.,'.:.:.::i.:..:.:|.:|:.:.:.:.:.:.:|丶、　　　　　　　　　 　／.:.i:.:.:.:.:.:.:.:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i.:.:.:.:i.:.:.:.|.:.:|.:.:.:.:.::.:|. |　` ､　　　　　 　 ｒ.:´|.:i.:.:i.:.:.:.:.:.:.:.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i:.:.:.:i.:.:.:.:|.:.:.:|.:.:.:.:.:.:| |　　　　` 　-ｨ.:´.:.:.:.:.:|.:i.:.:i.:.:.:.:.:.::.:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i:.:.:.:i.:.:.:.::|.:.:..:|:.::.:.:.:.:||　　　　　　　ト、.:.:.:.:.:|.:i.:.:i.:.:.:.:.:.:.:|



王位継承権が絶えた時ならまだしも、なんて不遜なと言葉は声を荒げた。
287 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:32:03 ID:+yMIf5JT
五１７６．



　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　 　　／　ノ　　 ヽ.ヽ
　　　　　　　　 　　　| 　（●）（●） |
　　　　　　　　　　　 |　　（__人__） ｜　　　　　「この国は百六十年ほど前に
　　　　　　　　　　 　|　　 ｀ ⌒´ 　 |　　　　　　バーズ連邦から独立したんですよね。
　　　　　　　　　　　 ヽ　　　　　 　 }
　　　　　　 　　　__,, -ヽ　　　　　ノ　-､　　　　その時からすでに、王政を経て共和制に移る事に
　　　　　 　 　/⌒ヽ　 |　＼＞<ﾍl　ヽ　＼ .　 決まっていたのですか？」
　　　　 　 　 {:::　　 l　 ＼　ヽ };;{ | 　 | i　 }
　　　　　　　 {:::::..　〈;;,, 　ヽ　V;;;}ﾉ　　l彡 ヽ
　　　_,,.-‐''" |::::::::　 ヽ--､ ＼ >--'⌒ヽ::.　 }
　　　||　|_,,.ィ'|::::.....　　 }_,,.-‐''"~ヽ_,,.-し'::　　）_,
　　　||　|　||　!::　　　/　　　 　 .::ﾉ::::::::::.　　ノ
　　　||　|　|| _ヽ,,　.;:::　　 _,,.-‐''"ー''--''￣
　　 _,,. -‐''"　　｀ｰ---''"



やらない夫は淡々とペンを走らせて予定の事かと尋ねたのだが
珍しく笑みを浮かべていないアレックスが答え、




　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　. : : : : :/ ヽ、: : : : : : : : .　　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　i　　　　. : : : : :/　 iヽ! : : : : : : : : :　　　　i
　　　　　　　　　　　　　　　!　　　 : : : : : :/　　!: : : : : : : : : : : :　　　 .i
　　　　　　　　　　　,,.. -―i　　i　 : : : : : /　　i: : : : : : : : : : : : :　　　 i,...、
　　　　　　　 ,,.-''"　　　／!　 .i　 : : : : : !　　 !: : ,.--､: : : : : : : : i　　 !,‐､ヽ
　　　　　,,-'"　　　　　.,i´ヾ　 j　　: : : : : :ヽ　　ヽ_7 /: ; : : : : : : ヽ　　! ,,ヽ
　　　,.-"　　　　　　 / ! !ヽ　.　. : : : : : : : : : ヽ.,,,,,／': : : : : : : : : .　　 /::j !　　　「もちろんそんな事は無い。
　 ／　　　　　　　 . i　.! !:::）　: ,,,,,,,,,__＿__: : : :..:::::. : : : : : : : : __:- ;　 (::i ./　　　やらない夫も見ての通り、
./　　　　　　　　. : :!　.:ヽヾ　 ､. : ヽ-'--'‐ヽ,,..::':::':::.,,,-=.ェエﾆ ': :　　 ﾉ'/　　　　この国は王政でとても上手く
　　　　　　　　. : : i　. : ;ヽ　i　 ヽ : : : ; ;;;;;;''': :::::::::::: : ''';;;;;;;: : : : : :　　i_ﾉ.　　　　 やってきているのである」
　　　　　　. : : : : :! . : : i : :i i　　　: : : : : : : :.i::::::::::::i : : : : : : : ;-''",:　 !:ヽ:
　　　　　. : : : : : :.!: : : :i : :i　ヽ: . : : : : : : : ; :!::::::::::::! : : : : : : :i . : /　 i: : i :
　　　　. : : : : : : : : : : : ! : i　　i: ; : ; - : :/´: :!::::::::::::!:ヽ: : _;-､': : :!　　.!: :.i :
　　　 : : : : : : : ; ; : : : :! : :!　　!: :（ 'ｰ- '｀"''‐- ;;;;; -‐'''ヽ､ ) ヽ: : i　　.!: /:
　　　: : : : ....:::::::::::... : : ',: :!　　!: : ヽ　. : : ;,....----..,,_: : ､.　　 ）: :.j　　!:/: :
　　 : : :..::::::::::::::::::::::::::.. : : :ヽ　ヽ: : : ｀ー': : ; ; ; ; ; ; ; :ヽ､_,,.-": ;／　 ﾉ:i: : :
. . .:‐- ::::::::::::::::::::::::::::::::.. : ::::ヽ : ヽ: : : : :／: : : ; : : : ヽ: : : : :／　　／:' : : :
ヽ: ;＿＿＿: : : : : : : : : : : : : ::::ヽ : ヽ: ' : : : : : :! : : : : :'' - '':　　／:: : : : : :
: : . .　　　　￣""ヽ､: : : : : : : : ::::::ヽ: : : : : : : : :! : : : : : : : :　／:::::: : ;-‐''''"

290 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:33:02 ID:+yMIf5JT
五１７７．
統治にも、代替わりにも問題は無いはずだとマコトが補足した。



:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ﾄ、:::::l
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼:::::::::::::::::::::::::::::::::! ';:::::i
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／:::::::／ヘ|::::::::::::::::::::::::::!　';:::l
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::／ |:::::／／IIj:|:::::::::::::::::ﾄ::::/ 　 !:!　　　　「女王統治も独立後で前例がある。
::::::::::{:/:::::::::/::::::/　　 !::/ ヽ　|;iｊ |::::/ﾚ:::::/ |/ 　 　ﾘ　　　　だから姫に王位継承権があるんだし………」
:::::::::::i:::::::::/ |:::/　　　i/ 　 　ヽ7 |:∧　|:/　′
:::::::::::::::::::/　 |/　　　　　　　　　　ﾞ　 ヽｿ
:::::::::::::::::∧　　　　　　　　　　　　　　　＼
:::::::∧:::/　｀ｰ　　　　　　　　　　　　　／
:::::/　∨　　　　　　　 　　　 ( ￣ 7 /
／ﾍ　　　　　　　　　　 　　　 ￣ , '
＼　 ＼　　　　　 ＿　 　 　 　 /
　 ＼　 ＼　　　 /　　｀　ー - ′
　　　＼ 　＼__ /
　　　　　￣＼ ＼



　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　 （ ー）（ー）
.　|　　　　 （__人__）　　　　（彼女が王位に就く事に問題点は見られない。
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　 ならば代替わりを狙った静かな革命、か？）
.　 |　　　　　　　ｎｌ^l^l
.　 ヽ　　　　　 |　　 ﾉ
　　 ヽ　　　　ヽ　く
　　　/　　　　　ヽ　＼



291 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:34:03 ID:+yMIf5JT
五１７８．
ローゼン国王も真紅王女もまだ若い。
代替わりを狙っての革命であれば、根回しが良すぎると考えた彼の問いに、



　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　／ ヽ､.　_ノ　＼
　　　　　　　|　 （●）（●）　|
　　　　　　　|　　（__人__）　｜　　　　　　　　　　「これでは革命と替わらない。
　 　 　 　 　 |　　 ｀ ⌒´　　|
　　　　　　　 |　　　　　　 　}　　　　　　　　　　　 でもこんな事を言い出すって事は、
　　　　　　　 ヽ　　　　　 　}　　　　　　　　　　　 大臣はすでに官僚やある程度の
　　　　　　　　人＿__＿_ノ"⌒ヽ　　　　　　　　　有力者への根回しを？」
　　　　　　／　　　　　　　　　　　＼
　　　　　/ 　　　　　　　　　　 へ　　＼
　　　　 （　　ヽγ⌒)　　　　　| 　＼ 　 ＼
　￣￣￣＼＿＿／￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣



同感であったアレクサンドは、言葉に含みを持たせつつその考えを肯定する。



　　　　　ヾ:;:;:;:;:;|　/.:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;ヽ.:;:;:; ソ:;::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:＼_〉:;:;:;:;:}/
　　　　　　ヾ:;:;:;:ﾚ′:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:丶ノ::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ノ/
　　　　　　|´＼:;:;:;:;:;:;:,,=＝＝=､ :;:;:;〉　 〈;:;:;: , =＝＝=､ :;:ｌ.ヾ,イ 〈
　　　　　　|.i:i:i:iヾ:;:; ,〃　　　　 .ヾ._ゝ一'､ ,〃　　　　　 Y:i//iﾉ｀ｌ |　　　　「ご想像の通りでしょう。
　　　　　　| ヽ:i:i:i:＼|i　　　　　　 i|/´⌒ヽ. i　　　　　　 .i|/ｲ´:i:i | |
　　　　　 .ﾊ､r′:i:i:i:ヾ.　　　　　,ｲ:i:i:i:i:i:i:i:i:iﾊ　　　　　 ,/:..:.|　i:i .リ　　　　 これから私達は大臣側に対抗する勢力を作り、
　　　　　 .ハヽ:i:i:i: :i:i:i:ヽ.＿_,,イ:i:i:i:i|￣ﾞＹ､:;:;:ヽ.＿_,, イ:..:..:.|　ﾘ /　　　　　彼らに立ち向かわなければなりません。
　　　　　　　ヽ.∨|:　:　:i:i:i:i::..:　:　:i:i| //.| :　:　:i:i:i:i:i:i:i:ヽ＼:.Ｙ´/　　　　　　幸い王位継承者がいらっしゃるので
　　　　　　　　 ＼|:　:　:　:　:　 : :i:i:i:|　　.|　 ｌ､:　:　:　:　.丶V|ノ　　　　　　　民衆の同意は得られるでしょう」
　　　　　　　　 ／|:　:　　　　 : :i:i:i:i:i|// .|　 .〉ヽ,:　:　　　 〉｀|´＼
　　　　　　 , /:i:i:i:|:　:r─:　:.:　::i:i:i:i:i|// .|　ノ;/´　　　.,､/: :.ﾘ:i:i:i:i＼
　　　　 ／ .ﾉ:i:i:i:iﾊ:　:､ r､　　 :　::i:i:ｌ､＿,|i´;/:　　　 ,ゝ '　 ::ﾉ:i:i:i:i:i:i　＼＿
　,＿／ ／:i:i:i:i:i:i:iﾊ:　:` ヾ.ーr‐r‐r─┬─r─r-r,/　　　./:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i　　　＼
　　　／:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ﾊ:　:　: ヾ.ｌｰ|ｰ|─‐|─/‐/‐/./　　　./:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i､　　 ＼
　／:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:iハ:　:　: ｀￣￣￣￣￣￣￣´　　　/:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:　　　 ＼

293 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:35:02 ID:+yMIf5JT
五１７９．
予期せぬ若い国王の急逝。
その時を狙ったような大臣の提言。
状況が揃っている裏に、何か気づいていない事があるかも知れない。



　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　 （ ●）（●）
.　|　　　　 （__人__）　　　　「綺麗なやり方で行われるのなら、ですがね」
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　
.　 |　　　 　　　　 }
.　 ヽ　　　　　 　 }
　　 ヽ　　　　　ノ
　　　.>　　　 <
　　　|　　　　 |
　 　 |　　　　 |



そしてそれが悪意あるものだった場合、真紅王女が狙われると予想するのは容易かった。



　 　 　 　 　 　 　 　j､　|ｿ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;ノｿ;;;ｨ
　 　 　 　 　 　 　 　i:;ヽ|:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;/l/: 'ﾉ'ノ／,ノノ'´: : : /
　　　　　　　　　（V:;:;i:;:;:;:;:;ﾍ:;:;:;:;:;:;:;/: ／: : : : : : : : : : : : : :/
　　　　　 　 　 ヾvゝ:;:;lヽ: ヽヾ:;:;:;:;j: : : : : : : : : : : : : : : : : : ｿ
　　　　　　　　　 ヾ: : : : : : : : : ヽ/: ;;;;;ｿ''''ヾ'、}: : : : : : : : : j　　　　　　　　　　（聡い。
　　　　　　　 　 　 ヾ: ヾ｀/｀ヾ/'''´´　ﾍ、　ヾヽヾ;;: : : : : : :j　　　　　　　　　　　やはりこちらの中心は
　　　　　　　　　　　 ミ:::}/　 /　　　　 ヽ;l　　 ﾍ　ヾ;: ;;ｰ､:j.　　　　　 /ミ　　　　やらない夫になるか）
　　　　　　　　　　　 ヾ::}　　ﾘ　　　　 　 ゝソ二|￣ ソ ,ﾍ }　　　　　/ミ
　　　　　　　　　　　　 ヽi ｀ミ}≧ 　　ヾ~y| 弋少｀　　 （ ｧ,i　　　　/ミ　 /
　　　　　　　　　　　　　 i ﾍ　匁ヽ　　ｰ─-　　　　　 丿ｿ　　 　 /ミ　 /
　　　　　　 　 　 　 　 　 ',　｀￣　il　　 　 　 　 　 　 ﾍoj　　 　 /ミ　 /
　　　　　　　　　　　 　 　 ',　　 　i|　　　　　　　　　 j. |.|i　　　/ミ　 /
　　　　　　　　　　　　 　 　i'i、 　ヾ　 　 　 　 　 　 ,'　|.|.i 　 /ミ　 /
　　　　　　　　　　 　 　 　 |.| ヽ　──一- 　 　 , '. 　i.jxゝ/ミ　 /
　　　　　　　　　　 　 　 　 |.j.　 |ヽ　　　　　　／　　　!::::::ヽミ　/
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　ヽ 　 __,,／|￣￣￣￣|: ヽ /
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 「￣|ﾆﾆﾆ--ｰ┤　　　　　 |: : :ヽ
　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 |.　 |ﾍ|　|r- ､. |　　　　'''´￣￣￣￣
　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ｨ''ｳ＿|ヽl　l⌒ﾘ　｀￣￣＞､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / /　　　　　　　　　 ＞､
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 / /
294 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:36:03 ID:+yMIf5JT
五１８０．



　　　　　　　　　　_灸ヽヾヽi ヽ｀´ﾞ´´｀ r -,
　　　　　　　　　　,>　,r´￣｀ﾞ´ツﾞ´｀´々, ´ﾞ;,
　　　　　　　　　彡;.ﾞ　　　　　　　　　　　ヾ,　ミ
　　　　　　　　.ミ . i!　,: =ニヽ、　 ,r=ニ=;,.　ﾞ;彡ｿ
　　　　　　　　;｀7/ﾞr∥ 　 　 i|＝|i´　　 ｀li,.　;彡>,　　　「やらない夫君の心配通り―――
　　　　　　　　彡l ,:/ヾ _ _ _ノ .|l|.ヾ=,. _ ノヽﾞ｀ミｿ　　　　　　　　　　・ ・ ・
　　　　　　　　i!ヽヾ´　　￣ /∠_ヾ、 ￣ヽ｀ ｀;/!ﾐ　　　　王女様に万が一の事でもあれば、
　　　　　　　　liゝ| 　 　 　 |ｿ |三|ヽゝ　　ヽヾ|/.:i　　　　王位継承者を全て失ったローゼン王国は
　　　　　　　　|l :.| 　,r,r============y;7　,i, yﾞ　　　　大臣の提言通り共和制に移るか、
　　　　　 　 　 ヾ.l/　ﾞ.｀ー========―´　ﾞ .lｿ　　　　　 新しい国王家を選出するかの分かれ目になるでしょうね」
　　　　　　　　 　 i//　,　.　￣￣￣　　 ヾ、ﾞ,!
　　　　　　　　　　ト、// /,.　.il||!.　,.　liヾ i!ｲ
　 　 　 　 　 　 ,r┤　 ＞ 、i!ll|||||||lli!l.|l／.i!ト:、
　　　　　　　,r ﾞ　y´ﾞ￣￣トﾐー―ﾞﾉ￣ヾ:y,,|　 ｀ヽ、
　　　　　,y¨　 t´　　　　　i,　　 　 i!　　　　 ｀il　　　｀ﾞﾞヽ,



だが新しい国王家の選出も、大臣の息がかかった者が取り仕切っては結果が見えている。

自分達の拠り所がただ一人の王位継承者のみである事を
暗に告げたアレクサンドはそこで初めて、
やらない夫の隣で黙り込んでいるジュンに視線を向けた。



　　　　　　　　　　　　　　　: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |: : : : : |: : : : ヽ: : ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　: : : : : : : : : : : : : : : :./＼: : : : : ﾄ､: : : : ﾄ､: : /: :∨ :.l
　　　　　　　　　　　　　　　: : : : : :∧: : /──{/､.　 ＼ : : |.-＼: : |ｰ∨､: : : : : |
　　　　　　　　　　　　　　　: : : : :./　1/　　　　　.i　　　l＼:|　　 ＼|　　　|: : |＼;!
　　　　　　　　　　　　　　　: : ,､: :{　　 　 　 　 　 |-‐‐-|　　　　　　　　　.|:ヽｉ
　　　　「……………」　　: :{　ヽ'　　 　 　 　 　 !　　　|　　　　　　　　　ﾊ:_}
　　　　　　　　　　　　　　　ﾊヽ　ヽ＿＿＿＿＿,ﾉ　　　ヽ＿＿＿＿___ﾉ　}
　　　　　　　　　　　　　　　ハ: :｀-',　 ! | | 　! !　　　　　　' ! |' | |　川/　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　 〉: :.:∧　　　〃'ー──-----､　　　 ,ｲ"´
　　　　　　　　　　　　　　　　　￣　　＼　 ヽ＿＿＿＿＿_丿　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＞､　　　　　　　 　,イ´
　　　　　　　　　　　　　　　　,────､＿_｀ ,‐──┬'"´　＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　| 　 !　　 　 |￣l￣　 　 ｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　 |　　ｰ──' 　ﾘ　　　　　　}



口をぱくぱくとしている彼は、いきなりな事に口を挟む余裕もないようだ。

国王が亡くなられた事だけでも驚きなのに、
大臣の怪しい動き、護らなくてはならない王女など、
色々な事が頭を回って処理しきれていないのだろう。
295 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:37:03 ID:+yMIf5JT
五１８１．
だが、そんな彼だからこそ補佐に選ぶ事が出来る、とアレクサンドが新しい人事を発表すると



　､-≦_ー‐　 -=ﾆ`ー､ヾ,ヽヽﾄ､ヾﾖヽ'i Y,r‐'‐ｲ
　　〉三_‐_´＿　`ミ､_ヽ`ミﾄ､ﾄ_ﾐ;;W_ヽi ﾘ∠'-三!,
　彡ﾗ'_´-_‐' -‐三ミｰ_-ミﾐr'　　　　`"┴ミﾐﾐ≦
　 〃彡-_　,-__ヽ≡_－ヾミ{_　　　　　　　 ﾄ＼､!　　　「良いですか、やらない夫君、ジュン君。
　ﾑ,∠／-,-',,.-, |彡_／~~≡＿　　　　　　|ﾊ!ヾ'
　　}三三{　／)　ﾄ'､'､　　　`ｰ‐-'_､　　, 　 !　　　　　 君達には親衛騎士団長の権限により、
　. f三三ﾑ !r'(　　　ヽヽ､　　､ r-､ミヾi|!|,-|　　　　　 体制がはっきりするまで
　 f三シ´ } y'/　　　　＼｀ヽ,ヾ|!､ !ヽﾐﾘｿ|Z!　　　　　王女様を護る役目を与えます」
　ﾉ彡ﾞ　　ヽｯ';:;;:､　　　　 ＼ ｀ヾ≧ｷ};=＝iﾘ
　:ﾞ　　　　 /;:;:;;〃_,,､_　　　　｀ヽ{_ノ'-' 　 !
　ヽ,　 i　 /;:;:;=､´,=ﾄ､ﾞ_　　　　　　,.-､. 　 i
　ヽヽ,i'　 i',彡;:;, 　 ﾞﾄy_`,ｰ-..､　　ﾄ､,.＿　 〉
　　ヽヽ,　 ＼ﾚ: .:,　 ｀'ヽ'､'w,_ ｀ヽ､〉"
　､　ヽヽ, 　 ｀に;;::;　　 ､ ｀ヽ_~)'r'´　
　ヽ　 ヽヽ　　 ヾrシ　　　ヾ_-ｧ‐'
　　ヽ　 ヽヽ　　 ヾfｼﾉ,　, 〃/
　　　ヽ　 ヽ＼_,..-ヾｶｿﾉｿｼﾉ｀ヽ､
　　　　ヽ､_ソ／）､　 ｀＼´　　 　 ｀ヽ
　　　　ヽミ_-' / ﾉ＼　　 ＼　　　 　 |
　　　　 ヽ ￣　´　　＼　　 ＼.



我に返った部下は悲鳴に近い声を出した。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／|＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r 、 ／ ./　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　ヽi　 /　　/´￣￣￣`ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ＿|　 ´　　　　　　　 　　　 ＜、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　 __　　　_　　 　 　　　 ＿＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　, ／/´　.`　´　`ヽ　　　　　 ＼￣
　　　　　　「なっ！？　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾚ´/ ./ 　/　/.i　　　|　、　　　　　 ヽ、
　　　　　　僕にはそんな大役はとても！」　　　　　　,イ.|　/|　∧ | ∧　ﾄ、`ヽ　ヽ 　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .| .|/ i.| .i＼.|/　| .|´ ｀ヽi＼i　 r''
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 .ﾚ ﾚ' ri/￣`、r´|/｀ヽ V,ﾊ |　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／ i　　　.ﾄ|　　　 ├─ﾀ.ﾉr-‐'´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /' 　 ヽ＿_〈 ヽ＿___ﾉ　/ |< ﾄ￣ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ﾞ　 ／ )ヽ　.r--- 、u　/ヾｌﾄﾊﾌ::::|｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |／_／　 ﾊ .i￣￣i u／:} 　V 　::::|　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /／ 二二二7,==='／u'　__ / 　 :::/　／ ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/'´r　-―一ｧ‐ ﾞＴ´　'"´／　　　　|　　　:::::::}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / // 　 广¨´ / /'　 ／ 　　　　　/　　 　::::::ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ ' /　 ノ＼ 　|　　／＼＿＿　　 |　　　　 ::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_／｀丶　/　　 ＼| ／　　　.＼　 ＼ .|　　　　　:::::|
296 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:38:02 ID:+yMIf5JT
五１８２．



　 ﾌ彡三ニ＝=-ミミミミﾐﾐWミW杉彡彡三ニ＝=彡W彡ｲN
　彡彳ニ彡''´￣￣￣¨｀ー=≠=─''¨￣￣￣¨`'''ァ＞ヾミシ
　Σ彡　ｲ ::::::::　　　　　､　　i li　　　　　　　　　　 Zミミ三ﾐ　　　「やらない夫君はここに来る前は冒険者でした。
　 彡 彳ﾘ ::::::::　　　＼　 ヾ {;! }　z=　,ｨ　　,　　　　ヾ彡 ,Zﾉ　　　剣の腕はもとより、臨機応変に対応できる
　　ゞ　 /! -=＝ミ ｰ-　ヽ　} i!　　/／　 ／,ｨ＝=-　 }ィ　./　　　 その知識と経験が必要な場面なのです。
　　Y⌒}! '':::::::＞''￣￣｀ヾ＼|..i!../ ,z三≦─ ､　　　.ﾚ⌒!
　　 ! }ﾄ|＼__{{弋￣t__ｧ-z}ﾊ;;;;;;;;;;Y　x t__ｧ￣フ}}__／! il ﾘ　　　　ジュン君は共に居て、
　　 ! i! i　::::人　`ー ==以 ﾉ￣　{!　ﾐ== ─''´ ﾉ　　 |!　{!　　　　 やらない夫君を手助けしてください。
　　 ヽ　:::::: ゝ _＿＿ ／::　 　 ﾄ＼　__＿ ／　　　| ノ　　　　　 その役目は君にしか出来ません」
　　　 ヾ!　::::::　　 ￣￣.::::::::i　 　 ! ヽ ￣￣　 　　 ,;/´
　　　 ,从;;,,:::::　　 　 ...:::i . : |　 　 !　::..　　　　　　.;∧
　　／:::::ﾊ;;,, ::........::::::::::::ヽ::::i　　 .ｨ..::　 　 　 　 ,,;;;i::::::＼



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＞ -:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ /:.:.:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 >:.-:.－:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀´:.:./
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 r‐ ':.´:.:.:.:.:.:.:.:.::./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:|:::ヾ:.:.／::|:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:|￣｀''- ､;i:.:.:.:.:.:.:.:.￣ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ﾊ:.:.:.|　　　　　 |∧:.:.:.:.:|:.:.:.:.:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V:.:.:./ -V:|_　　　　//:::.:.:.:.:.:K:.:.:.:|
　　「わ、分かりました！」　　　　　 ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠V:./={´rvミ､=､_,, ,/　|:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.:.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´＼-;/￣ V￣ | |ｲ≧ミ=､/ 　 |:.:.:/:.:.:<´ヾ|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀ '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::.　　　 | | 辷り｀ |}_　r-Vｿ:.:∧}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／:.:.:.:ヽ::::::::::i:::::::::::　　　 ヽ廴_　 <ﾃ=/rァヾ:∧:.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 フ/:.:.:.:.:.＼::::::::::::::::　　　　　￣ヾ=ﾉ　 <-ﾝ /:| .V
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´''- ､:.:.:.:./::::::::::::::::　　　　　　　　　　/=テヾ|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヾ/:::::::＼::::::..　　　　　ー -　 　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　/:::::::::::::::::::::::::...　　　　 -　　.／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／＼./::::::::::::::::::::::＼:::::::::...　　 　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　∧:::::::::::::::　　 /｀ 'ー - ' ´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ |　　　　　 }ヽ::::　　 　/_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣　 .|　　　　　　 ＼　　　{　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　　　　　　/　｀ ー='´　 ＼

298 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:39:02 ID:+yMIf5JT
五１８３．



　　　　　　　　､＿Z≧x___}＼ﾄ､__r ､
　　　　　　, ｨ≧　-=＝ミ　　ミﾐ　　　＼ﾄ､ﾄ､
　　　　　 ラ　　彡　　-=ミ　　　＼　ヾ　　ヾﾐﾒﾄ､
　　　　 彡彳　　　　　--==＝ミ　　 　 ＼　ﾄ､　 ト､
　　　　ヲ彡　　　　　-=三ミ　　-=ミ≧ 　 ヾﾒ ゞⅦﾊｨ
　　　イ　　／　　　　　ﾆニ三　=-}￣`ーzW　`川川i|
　　／　／　〃　　-=＝ミ　　　　 j}　　 .:::::::::ヾ､　} } }!
　　7　ｲ 　 /　彡　-=rzzミ　　　 ｿ　 ...:::::::::::::::::Ⅴ川ﾘ　　　
　 /, ｨ　　./　　　 ／r-! }　-= 彡'　...::::::::::::::::::::::::Y''´
　 ラ/　イ 彡彳/ ./::::::} }zxイ　.....:::::::::::zzzzx : ::::|　　　　　（最高、最適な手を用意出来ましたね。
　彳イ　〃　　 {　{:::::::::} }}＞ミx:::::::::::::::::;;;;丕ﾐi!:::::|　　　　　 王女様をやらない夫に任せて、
　 j　 ／zzイ　ﾊ　V:/~::..　　　　`ﾐ;;x:::::::;;;;;;;;;;ﾑ! ::|　　　　　私が自由に動けるのは大きい。
　ﾉ／〃 .／／∧　V :::::::::::::::.........:::::::`ﾐ;;xzz/ /::/
　ｲ　/.／／／　 V/,,,,:::::::::r-:::::::::::::::::::::;;;:>/ /イ　　　　　　決してイチジョウの好きにはさせません！
. /〃-＝彡/ ::::::::/-彡:::::::ir=-::::::::::::::::::::::::ﾚ:::::::l　　　　　　これは戦争だ―――！）
＼　....::::::: / ::::::::/彡彡:::::::i!:::r=-　　:::r=z､::::::::ﾑ
.//＼::::／　.:::::::{彡彡彡:::::::::::::::ﾄ､_:::::::::::::-=＝::ﾑ
//// ＼zz.:::::::人彡彡彡 : :::::::::ﾋ-+ミﾄ､_ﾆr'' ￣
////// .＼zzz:::::＼彡彡彡:::::::::::￣`ﾏr''¨
/////////.＼zzZz::＼彡彡彡::::::::::Y='
/////////// ＼ZzzZ:＼彡彡彡彡|
//////////////＞＝＝＞z､彡彡'
////////////////////////＼
//////////////////////////＼
////////////////////////////＼
/////////////////////////////入
/////////////////////////////　/＼
////////////////////////////　////



アレクサンド自身は特に何かの神の信仰をしているわけではないが、
やらない夫とジュンがこの時期に現れてくれた幸運には感謝せざるを得なかった。

信用していない訳ではないが、
他の四人の部下には事情があり、王女警護には回しづらかったのである。
301 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:40:04 ID:+yMIf5JT
五１８４．
┏──────────────────────────────────────────────┓

　　　大臣と密接な関係であるギャブレー殿の、第二騎士団卒のマコト君―――

┗──────────────────────────────────────────────┛



:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ﾄ、:::::l
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼:::::::::::::::::::::::::::::::::! ';:::::i
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／:::::::／ヘ|::::::::::::::::::::::::::!　';:::l　　　「元々、こんな緊急時にゃ
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::／ |:::::／／IIj:|:::::::::::::::::ﾄ::::/ 　 !:!　　　王位継承者を護る事になってるんだ。
::::::::::{:/:::::::::/::::::/　　 !::/ ヽ　|;iｊ |::::/ﾚ:::::/ |/ 　 　ﾘ
:::::::::::i:::::::::/ |:::/　　　i/ 　 　ヽ7 |:∧　|:/　′　　　　　　　お前らなら大丈夫だと思うが
:::::::::::::::::::/　 |/　　　　　　　　　　ﾞ　 ヽｿ　　　　　　　　　　少なくとも第二騎士団は大臣側に付くだろう、
:::::::::::::::::∧　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　 気をつけろよ」
:::::::∧:::/　｀ｰ　　　　　　　　　　　　　／
:::::/　∨　　　　　　　 　　　 ( ￣ 7 /
／ﾍ　　　　　　　　　　 　　　 ￣ , '
＼　 ＼　　　　　 ＿　 　 　 　 /
　 ＼　 ＼　　　 /　　｀　ー - ′
　　　＼ 　＼__ /
　　　　　￣＼ ＼
303 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:41:02 ID:+yMIf5JT
五１８５．
┏──────────────────────────────────────────────┓

　　　大臣の姪を妻に持つランサー君―――

┗──────────────────────────────────────────────┛



　　　　　　　　　　　　　ﾄ､＿　　＿
　　　　　　ヾー-＜￣¨ヾト､. ＼.ヽ ヽﾄ､
　　　　 _ト--'ド=､=三≧=ﾆﾄ､ﾄ､＼}iYi }i ,.ｨ
　　　　＞ =ニト-ドﾐi､｀ヾミli､＼ド､Vi:ﾚ/i/
　　 ≦=＝=＜￣¨ニ=- ､　｀ヾ ＼ Yｌ/ .lﾚｲ
　　 ＜-―＝ニ三≧=､ﾄ､ >}-iド!￢iﾍi斤Ｋ
　 ≦= '三 ニ＝,.ニ.Z 〃.〃　 {{i　 　 {　{iヾヽ
　 之_Ｚ二〃￣　__,.ｨ! {{　|{.　　|{ﾄ､　　ヽ ∨ }}
　　≦ｨ'∠,／￣,.イく.　ﾘ_,｣ﾋ==≠=ミ;､　 z久ﾉ
　　 ノｲ∠.ｲi,r＜ｿ'　　　　,ｨ''::ﾅ≧　　　 fﾃ
　　 ∠ｨ'〃,'{ ￢.、　　　　`￣ ´　　　 　 ｢i　　　　　　「いいか。
　　　フイ小| '､:::}　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　 何時如何なる時も、真紅様から離れるな」
　　　￣}ﾉ,'八.ヽ-､　　　　　　　　　　　　_ ,ノ
　　　　　'＾^!个irr:ｪ　　　　　　　　　　 ___７
　　　　　　 ド.Ll {. } ヽ　　　　　　 ‐''",. -.〉
　　　 　 　 川｜|.｜　ﾄ､._　　　　　　　　{
　　　　　　ﾘ　 .| ∨　　　　｀ヽ、　　　　_ﾉ
　　　　　 厶=r:|_　　　　　　 　 ｀ T ￣
　　　　／　 く＿ ￣¨ ￢------┴､
　　　/　／　ﾉ 　 ￣¨ ￢-------イ
　　,/,∠...／　　　　　　　　　　　　　＼＿

305 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:42:02 ID:+yMIf5JT
五１８６．
┏──────────────────────────────────────────────┓

　　　頑固故に、やらない夫の決定に異を唱える可能性のあるアレックス君―――

┗──────────────────────────────────────────────┛



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,へ、_,..-――-､.._
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　! /､ヽ　　　　　　　｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ゝ9　　　　　　 　 ,　　　｀、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(　　､　（　　　　　〈　　　　ｉ
　　　「我が輩達が必ず何とかするである！　　　　　 〉-ｪ'> ､`ーｪｰ'　 '　　,-､ ｉ
　　　お前達は姫様を護る事だけを　　　　　　　　+ 　ｉ 　/　　｀　￣　　 ､　' ｆ' 〉|
　　　考えていればよいのだ！　　　　　　　　　　　　　,! 〈ｰ､ ､　　,-､　　 /　 〉ﾉ |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 〈ヽ'｀ｰ´｀ヽ､ノ 〉　　l　 |´　!
　　　ハッハッハッハッハ！」　　　　　　　　　　　　　　｀Ｙ￣｀ヽ､__,ノ 　　, 　 | 　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　'⌒　　　 ＿,ノ　 ,!/　ヽ＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 （　 （　　　　　　_,r'´-一'´￣ !、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ､＿＿＿,,r'´:::::::::::::::::::::::::::::::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ﾍ:::::::::,ﾍ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　,!|ｉ|:::::::||i !::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉﾉヾヽﾉﾉゝ｀

306 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:43:02 ID:+yMIf5JT
五１８７．
┏──────────────────────────────────────────────┓

　　　父が改革派の官僚である言葉さん―――

┗──────────────────────────────────────────────┛



　 |/.:.:.:/.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:／.:.:.:.::／.:.:.:.:.: /<ヽ.:.:i.:.:|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
　.|i.:.:.:/.:.:.:.:/.::.:.:.:.:.:/.:.:.:.:／.:.:.:／;;//iﾍvwｖ| :|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
　|.:.://.:.::.::/.::.:.:.:.:/.:.:.:／:.:.:／;;／///　　　 .|.:|.:.:.:i.:.:.:.:i.:.:.:|
　|:.:| |.:.:.::.:i.:.:.:.:.:::i.:.:.://.:::..／;;;／.//　　　　 |:.:|i.:..:i.:.:.:.:i.:.:.:|
　|:.| .|.:.:.::.:i.:.:.:.:.:i.:.:/ｰ;;／ソ／　// -＝=､_.|:.| |.:.::i.:.:.::i.:.:::|
　.|:| .|.:.:.:.::i.:.:.::.:i.:.:ﾑ;ｒ-y,ﾈ'　　//　-_､,,,,__ .|:;ﾍ|.:..:i.:.:.:i.::..:|　　　　「姫様はお転婆で有名な方だから。
　 ii　|i :i.:.::i.:.:.:.:|ﾔｹiﾃうﾄ`　 ,/'´ 　'´,ｹﾈﾃﾞﾇ;., |.:.:i.:.:/|.::.::|i
　 .` |iﾄ,.:i..:i.:i.:..:|{_|;:::::`}:|　／　　　　　|{::::::f;;ｲｿ:.i.:.ｲ./.:.:.::|i　　　　二人とも、振り回されないようにね？」
　　 |i|i.:.::ﾄ,.:iヾ;;:| ｬ:::::,ソ　　　　　　　 .ｾ_:::::ソ/.:.:/.|/.:.:.:.:|.i
　　.|i|i.:.:.:;iヾ;ヽトヽ￣　　　　　, 　　　　.~￣ /イi.:.:|i.:.::.:.:.| .ｉ
　 .|i |:i.:.:.:.:i..:`,ﾐ:ト､　　　　　＿＿　　　　　 ' /V::./.:.:.:.:.:||　i
　 |i .|.:i.:.:.:.:i.:.:.:.:トト`: .､.　　ヽ __丿　　　 , ｒ'´.:::|.:.:/.:.:..:.::||　i
　|i　|:.:i.:.:.::.:.:i.:.:.::i.:|;:;:;:;::`i 　､ __　, .　ｒ'´;:;:i:;:;;:/:/.:.:.:.::.:.:|.:|　ii
. |i　|;:;:;i:;;:;:;:;:;:i;:;:;:i:;|_,／ i　　　　　　 :ト､;;;;i;;;//;:;:;:;:;:;:;:|;:;::|　.ii
.|i　.|;:;:;:ﾄ;:;:;:;:;:;:;:i;:;::i:|　　　　　　　　　　　＼/';: /;:;:;:;:;:;:i;:;:::|　 .ii
|i　.|;:;:;:小;:;:;:;:;:;:;::i;:;::|＿,,...,,_　　　._,,,＿＿:/;::/;:;:;:;:;: /:|;:;:;::|　 .ii
　 ﾉ'´　|:ﾊ;:;:;:;:;:;:;:;:i :|`ヽ,　　　　　　 , ｒ'´/;:/;:;:;:;:;;:/;:/＼;::|　　ii
. /　　 |:| .ヽ,;:;:;:;:;:;:;i:|= =`=､　　 ,ｒ'´　_./;:/;:;:;:;:;;:/;::/　　 ＼　 .ii
/　　　|:|　　ヾ;:;:;:i:;:;::|-＝ﾃ＝Yd ＜´/;:/;:;:;:;:;::/;:;:/ー-　　 ヽ　ii
　　　 |:|　　　ヾ;;;;i;;;;;;| ｒ彡ﾊ:/　ハア//|;:;:;:;:;:/;:;:/　　　　　　 |　ii


308 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:44:02 ID:+yMIf5JT
五１８８．



　､-≦_ー‐　 -=ﾆ`ー､ヾ,ヽヽﾄ､ヾﾖヽ'i Y,r‐'‐ｲ
　　〉三_‐_´＿　`ミ､_ヽ`ミﾄ､ﾄ_ﾐ;;W_ヽi ﾘ∠'-三!,
　彡ﾗ'_´-_‐' -‐三ミｰ_-ミﾐr'　　　　`"┴ミﾐﾐ≦
　 〃彡-_　,-__ヽ≡_－ヾミ{_　　　　　　　 ﾄ＼､!
　ﾑ,∠／-,-',,.-, |彡_／~~≡＿　　　　　　|ﾊ!ヾ'　　　　（皆、内通者の可能性もあり
　　}三三{　／)　ﾄ'､'､　　　`ｰ‐-'_､　　, 　 !　　　　　　 やらない夫君の補佐には不適切。
　. f三三ﾑ !r'(　　　ヽヽ､　　､ r-､ミヾi|!|,-|　　　　　　 大臣側とつながりのない、
　 f三シ´ } y'/　　　　＼｀ヽ,ヾ|!､ !ヽﾐﾘｿ|Z!　　　　　　 かつ決定に異を唱えないであろうジュン君、
　ﾉ彡ﾞ　　ヽｯ';:;;:､　　　　 ＼ ｀ヾ≧ｷ};=＝iﾘ　　　　　　君との二人であれば―――）
　:ﾞ　　　　 /;:;:;;〃_,,､_　　　　｀ヽ{_ノ'-' 　 !
　ヽ,　 i　 /;:;:;=､´,=ﾄ､ﾞ_　　　　　　,.-､. 　 i　　　　　　　「やらない夫君も良いですね？」
　ヽヽ,i'　 i',彡;:;, 　 ﾞﾄy_`,ｰ-..､　　ﾄ､,.＿　 〉
　　ヽヽ,　 ＼ﾚ: .:,　 ｀'ヽ'､'w,_ ｀ヽ､〉"
　､　ヽヽ, 　 ｀に;;::;　　 ､ ｀ヽ_~)'r'´
　ヽ　 ヽヽ　　 ヾrシ　　　ヾ_-ｧ‐'
　　ヽ　 ヽヽ　　 ヾfｼﾉ,　, 〃/
　　　ヽ　 ヽ＼_,..-ヾｶｿﾉｿｼﾉ｀ヽ､
　　　　ヽ､_ソ／）､　 ｀＼´　　 　 ｀ヽ
　　　　ヽミ_-' / ﾉ＼　　 ＼　　　 　 |
　　　　 ヽ ￣　´　　＼　　 ＼.



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　「お任せください。　　　　　　　　　 　　　　　　　　 rヽ　　／　ノ　　＼ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　!　　|　 （●）（●）　|
　　　しかし―――　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 r;r‐r/　|. 　|　　（__人__）　 |
　　　大臣側勢力が勝利した場合は、　　　　　〈_L (｀ヽ .}　　|　　 ｀ ⌒´　　|
　　　どうするのですか？」　　　　　　　 　　　　　l｀ （ ｀`/　.　 |　　　　　　　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ 　　l　　.　 ヽ　　　　　 　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|,. 　 l　　 /⌒　 　ー‐　　ｨ ヽ



聞いておかなければならない彼の問いに、
ますます表情を厳しくしたアレクサンドは大きく息を吸い込み、
310 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:45:03 ID:+yMIf5JT
五１８９．
少し間を置いてから、吐き出すように静かに答えた。



　　　　　ヾ:;:;:;:;:;|　/.:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;ヽ.:;:;:; ソ:;::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:＼_〉:;:;:;:;:}/
　　　　　　ヾ:;:;:;:ﾚ′:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:丶ノ::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ノ/
　　　　　　|´＼:;:;:;:;:;:;:,,=＝＝=､ :;:;:;〉　 〈;:;:;: , =＝＝=､ :;:ｌ.ヾ,イ 〈　　　　　　「その時は………
　　　　　　|.i:i:i:iヾ:;:; ,〃　　　　 .ヾ._ゝ一'､ ,〃　　　　　 Y:i//iﾉ｀ｌ |　　　　　　その時は、全ての判断を
　　　　　　| ヽ:i:i:i:＼|i　　　　　　 i|/´⌒ヽ. i　　　　　　 .i|/ｲ´:i:i | |　　　　　　やらない夫君に任せます」
　　　　　 .ﾊ､r′:i:i:i:ヾ.　　　　　,ｲ:i:i:i:i:i:i:i:i:iﾊ　　　　　 ,/:..:.|　i:i .リ
　　　　　 .ハヽ:i:i:i: :i:i:i:ヽ.＿_,,イ:i:i:i:i|￣ﾞＹ､:;:;:ヽ.＿_,, イ:..:..:.|　ﾘ /
　　　　　　　ヽ.∨|:　:　:i:i:i:i::..:　:　:i:i| //.| :　:　:i:i:i:i:i:i:i:ヽ＼:.Ｙ´/
　　　　　　　　 ＼|:　:　:　:　:　 : :i:i:i:|　　.|　 ｌ､:　:　:　:　.丶V|ノ
　　　　　　　　 ／|:　:　　　　 : :i:i:i:i:i|// .|　 .〉ヽ,:　:　　　 〉｀|´＼
　　　　　　 , /:i:i:i:|:　:r─:　:.:　::i:i:i:i:i|// .|　ノ;/´　　　.,､/: :.ﾘ:i:i:i:i＼
　　　　 ／ .ﾉ:i:i:i:iﾊ:　:､ r､　　 :　::i:i:ｌ､＿,|i´;/:　　　 ,ゝ '　 ::ﾉ:i:i:i:i:i:i　＼＿
　,＿／ ／:i:i:i:i:i:i:iﾊ:　:` ヾ.ーr‐r‐r─┬─r─r-r,/　　　./:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i　　　＼
　　　／:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ﾊ:　:　: ヾ.ｌｰ|ｰ|─‐|─/‐/‐/./　　　./:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i､　　 ＼
　／:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:iハ:　:　: ｀￣￣￣￣￣￣￣´　　　/:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:　　　 ＼



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 　 ヽ　 /＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　 （●）（●）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　|　　　　 （__人__）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
　　　　　「わかりました」　　　　　　　　.　 |　　　　　　 　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 ヽ　　　　　 　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ 　　　　　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,,,,ノ|､￣／/／/ ＼、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,,..r''''"/　|　＼`'／　 /　 | ￣`''ｰ-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　 / 　 　 /　 |　 ／＼　 / ／　　 　/　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　|　　＞　|／）::::/＼/　＼ 　　ノ　／}
　　　　　　　　　　　　　　　　　{ 　 |　{　　 | ,r":::ヽ　/ 　 /　　/　// ハ
312 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:46:02 ID:+yMIf5JT
五１９０．



　 ﾌ彡三ニ＝=-ミミミミﾐﾐWミW杉彡彡三ニ＝=彡W彡ｲN
　彡彳ニ彡''´￣￣￣¨｀ー=≠=─''¨￣￣￣¨`'''ァ＞ヾミシ
　Σ彡　ｲ ::::::::　　　　　､　　i li　　　　　　　　　　 Zミミ三ﾐ　　　「大臣側は国王の葬儀が終わるまでは
　 彡 彳ﾘ ::::::::　　　＼　 ヾ {;! }　z=　,ｨ　　,　　　　ヾ彡 ,Zﾉ　　　新体制の提案と検討は行わないとの事ですが、
　　ゞ　 /! -=＝ミ ｰ-　ヽ　} i!　　/／　 ／,ｨ＝=-　 }ィ　./　　　 決して油断はしないでください。
　　Y⌒}! '':::::::＞''￣￣｀ヾ＼|..i!../ ,z三≦─ ､　　　.ﾚ⌒!　　　　　　　　ﾌﾟﾘﾝｾｽ・ｶﾞｰﾄﾞ
　　 ! }ﾄ|＼__{{弋￣t__ｧ-z}ﾊ;;;;;;;;;;Y　x t__ｧ￣フ}}__／! il ﾘ　　　　二人は王女近衛騎士となり、
　　 ! i! i　::::人　`ー ==以 ﾉ￣　{!　ﾐ== ─''´ ﾉ　　 |!　{!　　　　真紅様をお守りする為なら
　　 ヽ　:::::: ゝ _＿＿ ／::　 　 ﾄ＼　__＿ ／　　　| ノ　　　　 あらゆる権限を有する事になります。
　　　 ヾ!　::::::　　 ￣￣.::::::::i　 　 ! ヽ ￣￣　 　　 ,;/´
　　　 ,从;;,,:::::　　 　 ...:::i . : |　 　 !　::..　　　　　　.;∧　　　　　　使命のためにはあらゆる犠牲も厭わないでください。
　　／:::::ﾊ;;,, ::........::::::::::::ヽ::::i　　 .ｨ..::　 　 　 　 ,,;;;i::::::＼　　　　いざとなれば城を出て、地方領主を頼っても構いません」



　　 ／￣￣＼
　／　　　　_ノ ＼
　|:::::: 　 　 （ ●） ）　　　「………王女近衛騎士、謹んで拝命いたします」
.　|:::::::::::　　 （__人)
　 |::::::::::::::　　｀⌒´ﾉ
.　 |::::::::::::::　　　　}
.　 ヽ:::::::::::::: 　　 }　　　　（使命と、犠牲―――）
　　 ヽ::::::::::　　ノ　　　　　
　　　/:::::::::::: く
　　　|:::::::::::::::: ＼
　 　 |:::::::::::::::|ヽ、二⌒)



この国の最重要人物である王位継承者、真紅王女を第一優先にするのは分かるし、
彼女を護る役目を仰せつかって光栄だとは思う。

だが。
その為の犠牲を前提にされたせいか、
心の中心がチクリと痛んだやらない夫はややあってからアレクサンドに答え、
314 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:47:02 ID:+yMIf5JT
五１９１．
逆に使命と言う言葉のみに反応し、武者震いをしたのはジュンだった。
やらない夫が一緒なら、きっと犠牲などないと簡単に考えているのだろう。



　　　　　　　　 /|　　,　イ　　　　　　　　　＝＝‐
　　　｀､　　　 / { ／　　　　　　　　　　　　　`丶、
　　　　ヽ＼　 { |/　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ヽ
　　　　　乂ヽ { |　　　　　　＼　　 　 　 　 　 　 ＼　、、
　　　　　　 ／　　 、　|　 　 　 ` 丶、　　　　　　　ヽ ヽヽ
　　　　,　',／ // 　 ＼|、　　 ``　‐　 `_ヽ、　　　　、ヽ　ﾞ.
　　　 ノ　/ ///　|i　|``lヽ　　　　 ＼　　`‐ `=-　　 ＼ヽ　　　「凄い大役だ………
　　　　　//|　　　ﾚ! | 、ヾ 、ﾔ　＼　ヾ＼　　　　　　ヾ ｝`　　　やらない夫の足を引っ張らないよう
　　　 　 i//　/　　 | ヾ　ヽぃ i iヽヽ＼ヽ,,,＼　　＼| | ﾊ!　　　　頑張らないと！」
　　　　　　|//　　　H Aﾄ-仆ヽぃ ヽ! xｨ勿 }}＼ 　 `ﾚ′
　　　　　　 /| ,,　 ｷ,,x=≠=x,　ﾚ ヽ　ｲ弋_歹　! ＼ヽヽ.
　　　　　　　 |/|　| 代 勿 }}　 　 　 　 　 　 　 ト ´|` ゝ
　　　　 　 　 　 | / ヽ `‐゛　 　　　　　　　　　,′| | ＼
　　　　　　　　　　　ヾ!　　　　　 ヽ　　　　　〃| |ヽ!　　＼
　　　　　　　　　　　　ヽ＼　　　　-一　　／ /|/　　　 _ ,-ﾝ
　　　　　　　　　　　　　＼ `ト　、_　 _ ／ | /　　_, ‐ ´　 ﾉ
　　　　　　　　　　　／´｀ヽ,.|　 　 ￣　____|　)_-（_ 　 , ／
　　　　　　___∠Y ′ ∠,ヽ　ヽ _,-‐ ´´　 ）‐}　　 ￣
　　　-‐￣　　 /　　￣＿,´｀￣丶_　　_／ ／　　　,　ヽ＿
　　/／￣＼ /　　　＜__／ .`　ー´￣ ／　　 ／/　　　　￣ﾄ､
　ノ　　　　／　　　 ｰ 、 ＼ 　　＼　／　　／／　　　　　／ ＼
ノ　　　　ハ　　　　ｰ- ...`ヽ`ヽ　　　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　/　人＿ノ_ノ ´ ヽ、＿　　　　ヘ＿＿＿＿　／　　　　　　 ヽ

316 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:48:02 ID:+yMIf5JT
五１９２．
また、新人二人に最重要任務を任せる事に誰も異を唱えようとしないのは、



　　　　　　　　　　　-─ ､　 ,　-──- ､
　　　　　　　　　　 , - ─｀＜::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　 ／::::::::::::::::::::ヾ::::::::::::::::::::::::::｀- ､
　　　　　 　　/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　 　 　 　 /:.:.:.:.:.::::::::::::::::i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　/: : : : : : ::::i: ::::ﾊ:: :::::::: : :::ﾄ:::::::: : i: : :::::::::::ヽ
　　 　 　 /: : /: /: ::::::|::::/　V::ﾄ::::::: :::| ＼::: :V: : :::::::::::|
　　 　 　 |: :/: /: :/:::::|∠─ V| ヾ:::::::|￣ V:::::i:::::::::::::::::}　　　　　　「領主を頼るならダイアナだな。
　　　　　 ﾚ.|:.::::|:::i:::::/:/　　.､ﾊi　＼:::ﾚｨ--V::ﾄ::::::::::::::::ヽ　　　　　 西方警備のベイト第四騎士団長も
　　　 　 　 .|::::::|:::l::/|::ﾚｲ飛ゝ　　　ヾ| 'ｊ及ｧVﾊ::::::::::::::::ﾊ　　　　　保守派よりだし」
　　 　 　 　 |::::::|:::K .V 辻 tｊ}　　　　　 弋 ｿ ' ﾊ::::::::::::ﾄ;;ゝ
　　　　　　　|::::∧:r-､　ゞ- '´　　　　　　 ￣　i .ﾋ V:ﾊ::::i::＞
　　　　　　　|::/　|:|ﾚヽ　　　　　　i 　　　　　　レｲ/'ﾘ::::::＞
　　　　　　　ヾ.　 | ヽ∧　　　　　＿　　　　　r‐ム::ﾊ／
　　　　　　　　　　V:::/ ヽ､　　　　　　　　 ／'´
　　　　　　　　　　 ヾi　 　}＞　　　　　, イ
　　　　　　　　　　　　　　　 　| ｀ - ´_ -┴┐
　　　　　　　　　　　　　　　r‐'V/￣　　　　/::＼
　　　　　　　　　　　　　　 / /:::::入 　 　 ./::::::::::|""＼
　　　　　　　　　　　　／:/ /:::::::::::∧　　/::::::::::::|::::::::::::" - ､
　　　　　　　　　　／/:::::|V∧::::::/　 ＼/::::::::::::::|::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　 ／:::/:::::::|　 /:=:::i　 　 /::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::
　　　　　　　 /:::::::::|::::::::|　/::/::::|　　 /:::::::::::::::::/::::/:::::::::::::::::



様々な情報を冷静に取り込み、どうするべきかを落ち着いて考えている
やらない夫の表情を見ているからに違いない。



　　　 　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　|　　　 （ ●）（●　　　　　　「ありがとう、覚えておくよ」
.　　　　　　　　　|　　　 　 （__人__）
　　　　　 　 　　 |,　 　　 　｀ ⌒´ﾉ　　　　　（領主―――本当に頼れるのか？
　　　　　　 　　 │ 　　　　 　　 ｝　　　　　　状況次第だが、城を出るなら王女の居場所は
　　　　　 　　　　 ヽ､　　　 　　ｿ　　　　　　 明確にしない方が良いかも知れないな）
　　　　　　　 　 ｲ斗┴r┐｀ .;　
　　　　／￣`ーゞ､　 /　|__ 〈ー─r､
　　　/　　　　　＼ ∨＼ 　|,ベ._ /　|
　　 ｛　　　 . : : : . ヽ＞ｰ＼[￣{ 〉＼|､_
　　　| 　 　 　　 ｀丶}＼　 __＼_]~∨'＼｀ヽ
　　　:|　　　._　　　　＼_}/r‐-}＼　ﾞ,`''く l　ﾞ,
　　　 ﾄ､: :./ ／￣｀` ぐ└f'二）::{　 ',　 | !,ゞ┐
　　　 `､∨ ´　,.､-''"~￣}_｛‐''く:::{_　 ', _|_|_,rｰ'､_
　　　　 }｛　／　_､-'''"~￣{_＼;;;;;ｊ;＞＜;:::::＼:::ﾍ}＼
　　 　 　}∨: ／　　_､-''ﾞ~￣￣　　　　　＼::::},之_　ヽ
　　 　 　 〉∨ 　 ／　　 　 　　　　　　,.､イ;;ノ_ 　 ｀ヽ}
　　　　　{:　＼,/＼　　-‐　'"　　　／｀￣　　　 　　:.:｝
318 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:49:02 ID:+yMIf5JT
五１９３．



　､-≦_ー‐　 -=ﾆ`ー､ヾ,ヽヽﾄ､ヾﾖヽ'i Y,r‐'‐ｲ
　　〉三_‐_´＿　`ミ､_ヽ`ミﾄ､ﾄ_ﾐ;;W_ヽi ﾘ∠'-三!,
　彡ﾗ'_´-_‐' -‐三ミｰ_-ミﾐr'　　　　`"┴ミﾐﾐ≦
　 〃彡-_　,-__ヽ≡_－ヾミ{_　　　　　　　 ﾄ＼､!
　ﾑ,∠／-,-',,.-, |彡_／~~≡＿　　　　　　|ﾊ!ヾ'
　　}三三{　／)　ﾄ'､'､　　　`ｰ‐-'_､　　, 　 !　　　　　　「おっと。
　. f三三ﾑ !r'(　　　ヽヽ､　　､ r-､ミヾi|!|,-|　　　　　　 そう言えば二人は王女との謁見すらまだでしたね。
　 f三シ´ } y'/　　　　＼｀ヽ,ヾ|!､ !ヽﾐﾘｿ|Z!　　　　　　 本来であれば公式にしたかったのですが、
　ﾉ彡ﾞ　　ヽｯ';:;;:､　　　　 ＼ ｀ヾ≧ｷ};=＝iﾘ　　　　　　 事情が事情ですし今から紹介しましょう。
　:ﾞ　　　　 /;:;:;;〃_,,､_　　　　｀ヽ{_ノ'-' 　 !
　ヽ,　 i　 /;:;:;=､´,=ﾄ､ﾞ_　　　　　　,.-､. 　 i　　　　　　　 他の者も解散して結構です」
　ヽヽ,i'　 i',彡;:;, 　 ﾞﾄy_`,ｰ-..､　　ﾄ､,.＿　 〉
　　ヽヽ,　 ＼ﾚ: .:,　 ｀'ヽ'､'w,_ ｀ヽ､〉"
　､　ヽヽ, 　 ｀に;;::;　　 ､ ｀ヽ_~)'r'´
　ヽ　 ヽヽ　　 ヾrシ　　　ヾ_-ｧ‐'
　　ヽ　 ヽヽ　　 ヾfｼﾉ,　, 〃/
　　　ヽ　 ヽ＼_,..-ヾｶｿﾉｿｼﾉ｀ヽ､
　　　　ヽ､_ソ／）､　 ｀＼´　　 　 ｀ヽ
　　　　ヽミ_-' / ﾉ＼　　 ＼　　　 　 |
　　　　 ヽ ￣　´　　＼　　 ＼.



解散の指示に、各自集会所を出て動き始めた。
やらない夫とジュンはアレクサンドに連れられて王女の私室へと向かったのだが、



ー┴ー[＿＿] ─┴||─┴─:[＿＿]─┴─┴─┴[＿＿] ─┴||─┴─:[＿＿]─┴
￣￣￣||: | :|l ￣￣ ||￣￣￣ ||: | :||::￣￣￣￣￣￣||: | :|l ￣￣ ||￣￣￣ ||: | :||::￣￣
　 　 　 ||: | :||:　{}={}个{}.={} 　 ||: | :||::.: . 　　　　　　　||: | :||:　{}={}个{}.={} 　 ||: | :||::.
　 　 　 ||: | :||:　 ｀{}={}={}´　　 ||: | :||::.: . 　　　　　　　||: | :||:　 ｀{}={}={}´　　 ||: | :||::.
　 　 　 ||: | :||::.　　　　　　　　 ||: | :||::.: . 　　　　　　　||: | :||::. :.　　　　　　　 ||: | :||::.
　 　 　 ||: | :||::.　　　　　　　　 ||: | :||::.: . 　　　　　　　||: | :||::. :.　　　　　　　 ||: | :||::.
　 　 　 ||: | :||::.　　　　　　　　 ||: | :||::.: . 　　　　　　　||: | :||::. :.　　　　　　　 ||: | :||::.
　 　 　 ||: | :||::.　　　　　　　　 ||: | :||::.: . 　　　　　　　||: | :||::. :.　　　　　　　 ||: | :||::.
　 　 　 ||: | :||::.　　　　　　　　 ||: | :||::.: . 　　　　　　　||: | :||::. :.　　　　　　　 ||: | :||::.
　 　 　 ||: | :||::.　　　　　　　　 ||: | :||::.: . 　　　　　　　||: | :||::. :.　　　　　　　 ||: | :||::.
＿＿＿||: | :||:.＿＿＿＿＿＿||: | :||:.＿＿＿＿＿＿||: | :||:.＿＿＿＿＿＿||: | :||::.＿＿
ΤΤΤ||: | :||::ΤΤΤΤΤΤ||: | :||::ΤΤΤΤΤΤ||: | :||::ΤΤΤΤΤΤ||: | :||::.ΤΤ
｜｜｜||: | :||::｜｜｜｜｜｜||: | :||::｜｜｜｜｜｜||: | :||::｜｜｜｜｜｜||: | :||::.｜｜
⊥⊥⊥||: | :||::⊥⊥⊥⊥⊥⊥||: | :||::⊥⊥⊥⊥⊥⊥||: | :||::⊥⊥⊥⊥⊥⊥||: | :||::.⊥⊥
──‐l二二二l:─────l二二二l:─────l二二二l:─────l二二二l──
＿＿/＿＿＿/＿＿＿/＿＿＿/＿＿＿/＿＿＿/＿＿＿/＿＿＿/＿＿＿/＿＿＿/
＿＿＿/＿＿＿/＿＿＿/＿＿＿/＿＿＿/＿＿＿/＿＿＿/＿＿＿/＿＿＿/＿＿
/＿＿＿/＿＿＿/＿＿＿/＿＿＿/＿＿＿/＿＿＿/＿＿＿/＿＿＿/＿＿＿/＿＿
＿/＿＿＿/＿＿＿/＿＿＿/＿＿＿/＿＿＿/＿＿＿/＿＿＿/＿＿＿/＿＿＿/__

319 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:50:03 ID:+yMIf5JT
五１９４．
南の階段を上がった所に、全身鎧を纏ったエンジュが立っていた。

今は上げているフェイスガードから覗く形相には鬼気迫る物がある、
親衛騎士が集会所に集まっている間、王族警護の代役になってくれていたのだろう。



　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　（ ●）（●）
.　|　　　　（__人__）　　　　「………エンジュ様」
　 |　　　　 ｀ ⌒´ﾉ
.　 |　　　 　　　　 }
.　 ヽ　　　　　 　 }
　　 ヽ　　　　　ノ
　　　.>　　　 <
　　　|　　　　 |
　 　 |　　　　 |



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::| |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::| |
　　　　　 7＞＝ミⅦ　 } ヽ.　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 |::::| |
　　　　彡彡≧ミミⅦ廴} ﾊ.ゝ,　　　　　　　　　　　　　 　 　 |::::| |
　､ _ ィイ三ミ イ＞／　￣　￣7　　　　　　　 　 　 　 　 　　|::::| |
　フ7彡イ　/≦ミ//　　　{{ ／／L　　　　　　　　　　　 　 　|::::| |　　　「やらない夫か」
./イ川イ彡彡ｲ //廴人Y,/ilく＿　 `ﾌ7　　　　　　　　 　 　 |::::| |
　}ハ彡イ三ヲ.//　　O}　ト､　￣ >ｦr",　　　　　 　 　 　 　 |::::| |
　イ彡川三ﾐハ{　 　 　 ノ　 ト=イｰ"　　　　　 　 　 　 　 　 |::::| |
　 //ノｲ彡彡.ハ,,_．ィ'¨　　人＿!　　　　　　　　　　　　　　 |::::| |
　{ハｲ彡彡ノ＿|＿＿,,．ィ':::{{　 |ﾄ､　　　　　　　　　 　 　 　|::::| |
　　 ﾉﾊシ　 {ヘ　￣￣`＞.､￣辷}ヒゝ､_　　　　　　　　　　　|::::| |
　　￣"　／￣ `＼　　////　　　￣｀＞､≧:.､.　 　 　 　 　 |::::| |
　　　　 /　　　　　 ＼////　　　　　　　　　　 ト､　　　　　　|::::| |
　　　　{{　　　　　　　}}}ﾊ/　　　　　　　　　　　 　＞､　　　　|::::| |
　　　　 V　　　　　　ﾉﾉﾉ　　　　　　　　　　　　　 イﾊ}..　　　|::::| |
　　　　　ﾄ､三三三彡ﾊ}　　　　　　　　　　　／::::::::Y } 　 　 |::::| |
　　　ハ/V/￣￣ 人}/＼　　　　　　 　　イ　＼::::ノ}}　　 　 |::::| |
　　 /　 ＼　　　/ ＼//　 ＞､　＿　イ´il il 巛>＞ｲ　＿　　V/ｲ
.　 人　　 /＼/7　　　ー ､:::::/7ハ>､　　　　　　　{　 {三三≧{O]≦ニ}
イV/..フ77　//　　　　　　 ＼//イハﾊ　　　　　　|　　　r-Yニニヽ￣
　　＼　{{O}}ヘ　　　　　　　 　}}イ::::::::::} } 　 　 　 |,,．イ{ﾊ_ﾉー－ｰ}
　　　 }}く三三}}}　　　　　　 〃三ミニ＝}}　　　　 ヽ　　　　}＝- -､}
V7..イ{　 V/＜　　　　　　 //￣　}ト三}}　　　　　　 ＼　　ヽミニニ}
V/八　　　}ヘ}　　　　 　 /ｲ/7>､八////7>､　　　　　＞￣}＞ー"
. Yo/　　　　/　　 　 　 ./＼＼＼／////三ミ> ､ _ ィ´く　　|ililili|
　|　　　　　/　　　　　 /　　 ￣￣￣}ヘ＞<//八_／￣￣`ヽ.ililil|
イ　　　　 /　　　　　 /　　　　　　　/　 ＞＜＞ /　　　　　　 iilili}
Y}　 　 　 {　　　　　ｲ}　　　　　　／＿/∧V/V/　 　 　 　 　 |ilil}}
　>ニニoﾆﾑ　　　 巛＿＿＿／　∧　　/V　 {　　　　　　　 人ﾌ}
./＼ _ ィ7フ　　　　/∧∨∧∨∧{　}V./{o}三三>､　　　 　//￣
il　　　 }　i　 　 　 　V∧∨∧∨∧∨ ＼トーイ /　＼　　//}}
ｲ　　　 Vﾊ　　　　 /　　　＼＿ ,,．イ / /　　　＼　　/ーイハ
､_,､_,､_,ハ {　　 　 ﾊ　　　　//　　　 /　{　　　　　 ￣　￣￣ｿ

320 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:51:02 ID:+yMIf5JT
五１９５．



　 ﾌ彡三ニ＝=-ミミミミﾐﾐWミW杉彡彡三ニ＝=彡W彡ｲN
　彡彳ニ彡''´￣￣￣¨｀ー=≠=─''¨￣￣￣¨`'''ァ＞ヾミシ
　Σ彡　ｲ ::::::::　　　　　､　　i li　　　　　　　　　　 Zミミ三ﾐ
　 彡 彳ﾘ ::::::::　　　＼　 ヾ {;! }　z=　,ｨ　　,　　　　ヾ彡 ,Zﾉ　　　　「サクラダ殿。
　　ゞ　 /! -=＝ミ ｰ-　ヽ　} i!　　/／　 ／,ｨ＝=-　 }ィ　./　　　　 この二人を王女近衛騎士に任命しました。
　　Y⌒}! '':::::::＞''￣￣｀ヾ＼|..i!../ ,z三≦─ ､　　　.ﾚ⌒!
　　 ! }ﾄ|＼__{{弋￣t__ｧ-z}ﾊ;;;;;;;;;;Y　x t__ｧ￣フ}}__／! il ﾘ　　　　　貴殿はこれより第一騎士団の結束を高め、
　　 ! i! i　::::人　`ー ==以 ﾉ￣　{!　ﾐ== ─''´ ﾉ　　 |!　{!　　　　　 第三、第四、第五、第六の騎士団への調整を
　　 ヽ　:::::: ゝ _＿＿ ／::　 　 ﾄ＼　__＿ ／　　　| ノ　　　　　　進めて頂きたい」
　　　 ヾ!　::::::　　 ￣￣.::::::::i　 　 ! ヽ ￣￣　 　　 ,;/´
　　　 ,从;;,,:::::　　 　 ...:::i . : |　 　 !　::..　　　　　　.;∧
　　／:::::ﾊ;;,, ::........::::::::::::ヽ::::i　　 .ｨ..::　 　 　 　 ,,;;;i::::::＼



それで兜を脱いだエンジュはやらない夫とジュンに目で頷き、
アレクサンドに敬礼して立ち去ろうとした。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　/　/　'　　 　 　 　 l 　 　 l 　 　 　 ヽ＼　　 丶　　＼！
　　　　　　　　　　　　　　　　　/　／/ /　　　　　　 ! 　 |　　　 |　　　　 　 ＼丶　　 ＼　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　 ‐十'′/ /　　　　　　　l　　ﾄ、　　 |　　　　 ＼　 ＼　　 　 ヽ、 L
　　　　　　　　　　　　　　　　　|ｌ　 {　ｌ　 ,′　　 l　 ﾊ　｜｀､　　ﾄ､ 　 　 ヽ　<⌒ヽ、_　　　∨厂｀丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ、ヽ|　 l 　 ｌ 　 |　{　l　| 　 ヽ　 、丶、 ヽ ＼＼ l　}　￣二7′　　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｌ　 |　　| 　 |　ﾚ七ﾆ二￣＼丶　 }ﾍ |＼ ｀ / 厶　　　ハ　!　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　ﾄ､＼　ヽ＼=ｷｔぞﾗ　　}ﾉ／　j/　　了/￣　　 /　 }∧ 　 l |
　　「お任せください」　　　　　　　　　　 ＼ヽ｀ヽ、　＼__￣　　　　　　／　 　 -ﾍ／ﾚﾍ /＿,　　l 　 | ﾄ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ}　　｀7ｰ一′　　　　　　　　　 ,′　　 　 {´￣｀ヽ､い |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　 　 　 　 　 　 　 /　 　 　 　 Ｖ了＼ 　 り
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　└-- ､　　　　 ,　　　　　　　　l 　 　 　 ∨ 　 〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀ｰこ￣　　　　 ,　　　　|　　 　 ／　　ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ 　 　 ,　く　　　　 l　　 ／　　　/　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀一'´／ ∧　　　/　／　　　　/　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , ィ　 /／! 　 ' ／　　　 　 /　　 　 　 ＼
321 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:52:02 ID:+yMIf5JT
五１９６．
それを、見た事のない父の雰囲気に抑えきれないジュンが、思わず呼び止めてしまう。



　　　　　　　　　 ＞ -:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ /:.:.:|
　　　　　　　　　 >:.-:.－:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀´:.:./
　　　　 　　 r‐ ':.´:.:.:.:.:.:.:.:.::./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:|:::ヾ:.:.／::|:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:|￣｀''- ､;i:.:.:.:.:.:.:.:.￣ヽ
　 　 　 　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ﾊ:.:.:.|　　　　　 |∧:.:.:.:.:|:.:.:.:.:}
　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V:.:.:./ -V:|_　　　　//:::.:.:.:.:.:K:.:.:.:|
　　 ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠V:./={´rvミ､=､_,, ,/　|:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.:.|　　　「父さん………」
　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´＼-;/￣ V￣ | |ｲ≧ミ=､/ 　 |:.:.:/:.:.:<´ヾ|
　 ｀ '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::.　　　 | | 辷り｀ |}_　r-Vｿ:.:∧}
　　　　　 ／:.:.:.:ヽ::::::::::i:::::::::::　　　 ヽ廴_　 <ﾃ=/rァヾ:∧:.|
　　　　　 フ/:.:.:.:.:.＼::::::::::::::::　　　　　￣ヾ=ﾉ　 <-ﾝ /:| .V
　　　　　　´''- ､:.:.:.:./::::::::::::::::　　　　　　　　　　/=テヾ|
　　　　　　　　　 ヾ/:::::::＼::::::..　　　　　ー -　 　 /
　　　　　　　 　 　/:::::::::::::::::::::::::...　　　　 -　　.／
　　　　　　／＼./::::::::::::::::::::::＼:::::::::...　　 　／
　　　　 ／　　　∧:::::::::::::::　　 /｀ 'ー - ' ´
　　　ノ |　　　　　 }ヽ::::　　 　/_
￣￣　 .|　　　　　　 ＼　　　{　ヽ
　　　　 .|　　　　　　/　｀ ー='´　 ＼



だが、父は息子を振り返らなかった。



　　　　　　　　　 　 　 _,　　　~￣￣￣¨　 　､
　　　　　　　　　　. -=ミ　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　⌒＼　　　 ＼
　　　　　　 ／　　　/　　　　 　 　ヽ　 ＼　＼　　　‘,＿
　　　 ｰ=彡' ／ 　 ′　　　　　　　八　　　　　 　 　 ∨ﾐﾒ
　　　　　 / /　　　ｉ　　　　　 | l 　 　 ＼　 ＼　 　　　|　　ﾊ
　　　　　　 ′　　 |l　 |　　　ﾘ ﾄ　　 ＼ 　 、 ヽ乂_　ﾘ　　 ﾘ　　　「ジュンよ、今は何も言うな。
.　　 　 　 } i　　 | 八　|　　 '/ 八＼　_ 　 、＼ 介廴'　　 /　　　　今は騎士として
.　　　　　ﾉ人　 戈トﾐ人　/_.ﾉ::::::::::::ヽ　|　＼ 介ﾄ /　　 ｛　　　　 与えられた使命を果たす事だけ考えよ。
　 　 　 〃　 } l　 弋:::::::::/ / :::::::::::::::: ｝ |　 爪ト　/　　 　、
　　 　 　 　 ﾉ人个ト:::::::::::::::::::::::::::::::: ﾉ ﾉ　/ﾉﾘ　/　　 　 i|　　　　 やらない夫。
.　 　 　 　 　 　 }乂_ /　　　　 　 　 _彡ｲ厶ｨ 　｛ 　 　 j从　　　　 ………息子と、姫を頼む」
　 　 　 　 　 　 八人 ヽ 　 　 　 　 　 　 /　乂从ﾊ }　 |
　　　　 　 　 　 　 　 ＼｀~`'　　 　 　 , 　 ／　 ￣V八ﾘ
　　　　　　　 　 　 　 　 ＼　　 　. イ 　 '｀ 　 　 　 ∨/
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ｀´　r‐ '"　 　 　 　 　 '¨￣＼､
　　　　　　　　　　　　　 　 　 厶＿..　 -‐' '` 　 　 　 　 } :ヽ
　　　　　　　　　　 　 　 　 _,厶;_: : : : ＼　　　　　　　　 { : :lﾍ
　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／　　　 ＼ : : : ＼　　　　　　　| : :}　'
　　　　　　 　 　 　 _／　　 　 　 　 ＼ : : : ＼　　　　　 | : :| 　 ,
　　　　　　 　 　 ／´￣ ｀丶　　　　　 ＼ : : : ＼　　 　 | : :|　　′
　　　　　　　　 /　　　　　　　 ＼　　　　 ＼ : : : ＼　　 | : :|　　 ′
.　　　　　　 　 ′　　　 　　 　 　ヽ 　　　　 ＼ : : : ＼　| : :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 }　} 　 　 　 ヽ : : : :ヽ} : :| 　 　 ,
　　 　 　 　 　 }　　　　　　　　　　　 ′　　　　　 ＼ : : :＼:| 　 　 {
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 {/　 　 　 　 　 　 ＼ : : ＼
　　　　　 　 　′ ＼　 　 　 　 　 /　　　　　　　　　　　}ヽ. : :ヽ　亅



ただ低い声で答え―――
322 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:52:32 ID:+yMIf5JT
五１９７．
やらない夫ならば安心だ、と表情を少し軽くして去っていった。



　　　 　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　|　　　 （ ●）（●
.　　　　　　　　　|　　　 　 （__人__）　　　　　　「お任せください」
　　　　　 　 　　 |,　 　　 　｀ ⌒´ﾉ
　　　　　　 　　 │ 　　　　 　　 ｝
　　　　　 　　　　 ヽ､　　　 　　ｿ
　　　　　　　 　 ｲ斗┴r┐｀ .;
　　　　／￣`ーゞ､　 /　|__ 〈ー─r､
　　　/　　　　　＼ ∨＼ 　|,ベ._ /　|
　　 ｛　　　 . : : : . ヽ＞ｰ＼[￣{ 〉＼|､_
　　　| 　 　 　　 ｀丶}＼　 __＼_]~∨'＼｀ヽ
　　　:|　　　._　　　　＼_}/r‐-}＼　ﾞ,`''く l　ﾞ,
　　　 ﾄ､: :./ ／￣｀` ぐ└f'二）::{　 ',　 | !,ゞ┐
　　　 `､∨ ´　,.､-''"~￣}_｛‐''く:::{_　 ', _|_|_,rｰ'､_
　　　　 }｛　／　_､-'''"~￣{_＼;;;;;ｊ;＞＜;:::::＼:::ﾍ}＼
　　 　 　}∨: ／　　_､-''ﾞ~￣￣　　　　　＼::::},之_　ヽ
　　 　 　 〉∨ 　 ／　　 　 　　　　　　,.､イ;;ノ_ 　 ｀ヽ}
　　　　　{:　＼,/＼　　-‐　'"　　　／｀￣　　　 　　:.:｝

323 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:53:06 ID:+yMIf5JT
五１９８．
見送ったアレクサンドがノックすると王女付きの侍女が警戒した声を返してきて、



　 　 　　 ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿__
　　　　　| |￣￣￣||　￣￣￣￣￣||￣￣|_|
　　　　　| |　 　 　 ||　　 　 　 　 　 |l　 　 | :|
　　　　　| |　 　 　 ||　　 　 　 　 　 |l　 　 |_,|
　　　　　| |　 　 　 ||　　 　 　 　 　 ||　 　 | |
　　　　　| |　 　 　 ||　　 　 　 　 　 ||　 　 | |
　　　　　| |　 　 　 ||　　 　 　 ／￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
　　　　　| |　 　 　 ||　　 　 ＜　　………どなた様でしょうか？
　　　　　| |　 　 　 ||　　 　 　 ＼＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
　　　　　| |　 　 　 ||　　 　 　 　 　 ||　 　 | |
　　　　　| |　 　 　 ||　　 　 　 　 　 ||　 　 |_|
　　　　　| |　l|￣l　||　　 　 　 　 　 |l　 　 | :|
　　　　　| |　l|: ; l　||　　 　 　 　 　 |l　 　 |_,|
　　　　　| |　l|(,０　||　 　 　 　 　 　||　 　 | |
　　　　　| |　 ￣　 ||　　 　 　 　 　 ||　 　 | |
　　　　　| |　 　 　 ||　　 　 　 　 　 ||　 　 | |
　　　　　| |　 　 　 ||　　 　 　 　 　 ||　 　 | |
　　　　　| | 　 　　 ||　　 　 　 　 　 ||　 　 |_|
　　　　　| |　 　 　 ||　　 　 　 　 　 |l　 　 | :|
　　　　　| |　 　 　 ||　　 　 　 　 　 |l　 　 |_,| _,.. -‐''"
　　　　　| | 　 　　 ||　　 　 　 　 　 ||_,.. -‐''"
　　　　　| |　 　 　 ||　　　　 _,.. -‐''"
　　　　　| |　 　 　_||,.. -‐''"
　　　　　|_|,. -‐''"
　_,.. -



　　　　　　　　　,;彡ミﾐﾐ;'""'''""'''""""'''''""''彡ミミ;,
　　　　　　　　　ﾌ彡彡;;, ヽ、,, ,..:::..　 ,.:'　　 ゞ;;,ミﾐゝ
　　　　　　　　　';彡ﾐｼ,;r==::;,,':.':::::::..,,,;r=ﾆﾆゝ;,,ミ7"'
　　　　　　　　 "'';;彡'",;;;;;;;;;;;;;;,ヽ:::....r;;;;;;;;;;;;;;;;;,,Ｙ"'ヽ,
　　　　　　　　　/"'iｼi,;;;;;;;;;;;;;;;;;;',l::::"''!;;;;;;;;;;;;;;;;;,ﾉl⌒"l,　　　　　「アンデルセンです。
　　　　　　　　 ,i /,;"ｿヾ::;;;;;;;::ノ.l:::.."''ヾ:::::;;;;,''"::l　ﾉ ﾉ　　　　　 親衛騎士二名をお目通しに参りました」
　　　　　　　　 i., y　'l,　　....:::::::l',;''　;,,　ヽ、 　　ｌ〆/
　　　　　 　　　 ＼ヽ;'i:.　　　"',;':::::::::....ゝ　"'ヽ.,:l /"
　　　　　　　　　　 ＼,'l..　　　　"':::;;;'''""　 ;''ゝ i''
　　　　　　　　　　　　"l,::.. r‐,_,. -―''''''ﾆﾆﾉ ..:::l
　　　　　　　　　　　　　l:::..."'ヽ,二ニニ‐''",,; .::/l
　　　　　　　　　　　　　'ｌヽ、.::"'''''''""""""..:::/ .l
　　　　　　　　　　　　　 l;;;;;ヽ、 . :.: :::. . : ..::../　 ｌ
　　　　　　　　　　　　,r'"l;;;;;;;;;ヽ,,;;,,;,;;;;;;;;;;;;;;/ 　 l"';,
　　　　　　　　　 　　 l;（く;l..:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;''''""　,;;l)）:l
　　　　　　　　　　　　ｌ;;,"''ー-::;;;;;;;;;;''　　_,,,...r'':::::::;;ー;,,
　　　　　　　　　　i''"";ii;;:::::::::::::;i::i:ヽﾆﾆﾝ,i,;:,:::::::::::,;l'::ヾ:'i_,,
　_＿,,,,,,,.....:.....,i"::::::::::::::;ii;:"'t.,::::::::;;;l　　 /:::::::::;;;;::i'i::;;:::ヾ:::::ー―- ...,,,,,
:::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::.ヽ.::;;ii;:::::::';,-:::::;l_,,../;;;'"::::::::::;ii;:::::'"":::::::::'''""''::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::;,,:::::::;;,,::::::;ii;,:::::'":::::::::::;;::,;::::::::::::;;::i;iii::::::::;;;;;;;;;:::::::::::::::::::::::



聞き慣れた声の主と分かったのだろう、
パタリ、と鍵の外された音に続いて静かに扉が開かれる。
324 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:54:03 ID:+yMIf5JT
五１９９．



:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.||　　　　　　　　　　　　　 |:::::||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.||　　　　　　　　　　　　　 |:::::||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.||　　　　　　　　　　 ／￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.||　　　　　　　　　＜　　お入りください。
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.||　　　　　　　　　　 ＼＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.||　　　　　　　　　　　　　 |:::::||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.||　　　　　　　　　　　　　 |:::::||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.||　　　　　　　　　　　　　 |:::::||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.||　　　　　　　　　　　　　 |:::::||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.||　　　　　　　　　　　　　 |:::::||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.||　　　　　　　　　　　　　 |:::::||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.||　　　　　　　　　　　　　 |:::::||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.||　　　　　　　　　　　　　 |:::::||￣|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.||　　　　　　　　　　　　　 |:::::||　 |.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.||　　　　　　　　　　　　　 |:::::|| r√入.:.:.:.:.:.:.:
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.||　　　　　　　　　　　　　 |:::::|| |｛ （５）.:.:.:.:.:.:
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.||　　　　　　　　　　　　　 |:::::||└ヽУ.:.:.:.:.:.:.:
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.||　　　　　　　　　　　　　 |:::::||　 |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.||　　　　　　　　　　　　　 |:::::||＿|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.||　　　　　　　　　　　　　 |:::::||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.||　　　　　　　　　　　　　 |:::::||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.||　　　　　　　　　　　　　 |:::::||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.||　　　　　　　　　　　　　 |:::::||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.||　　　　　　　　　　　　　 |:::::||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.




　　　　　　　　　,r'　_ﾆ、ヽ、、　　｀ヽ、ヾ､　　｀γ∠/L
　　　　　　　　/´ゝ/''"｀ヽ､ヽヽ､　　　 ＼ヽ、 　 l|　トく
　　　　　　　　ﾚﾌ/　　　 ,. ≧ゝヽﾍ、　　＼⊥、〃 l| 　',
　　　　　　　　ヽ､| _　　´ /´,rrァヾ├＝―', -ヽﾉ　|l　 l,|
　　　　　　　　 　ﾊァゝ､__ｌ ´　ゞ-‐'ﾉ　　　 〈ヽi |_,.イ　〃　　　「どうぞ、こちらです」
　　　　　　　 　 ,'　〉ゞｦ　ヽ､＿_／　　　　 ﾉノ丿´ l／ｲ
　　　　　　　　 ヽﾆL_,ｲ　　　　　　　　　　'´／ヽ＝レ,ﾉ|
　　　　　　　　　　　',〈、　　　　　　　　　,イﾍ‐-_／'´| :|
　　　　　　　　　　　 ',　　　　_,.　　　 　 　 l-‐''"ｌ |　 |｜
　　　　　　　　　　　　ヽ、 ''"　　　　 .::　　 |　　 | |　 |｜
　　　　　　　　　　　　　　ヽ､　 　／.-‐''´￣ﾍ,　|｜　|｜
　　　　　　　　　　　　　　　 ｀ﾕ彡´　　　　　　', |:｜ ｜|
　　　　　　　　　　　　　　　 「　　　　　　　　 　 ',　|　 | |
　　　　　　　　　　　　　　　 l　　　_,. -‐ ニ二ニﾍ、ｌ　|｜
　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　／　_,..::'´ﾌ:::::::::::ヽ::｀ヽ|　|.　 　┌─────────────┐
　　　　　　　　　　　　　 ,r'ﾚ／ ／´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ」.　　│　　王女付き侍女頭　エマ　　.....│
　　　　　　　　　　　 　 /:／　/::::イ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',.　　└─────────────┘
　　　　　　　　　　　 ／/　　/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',


325 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:55:03 ID:+yMIf5JT
五２００．
招かれた荘厳な部屋。
親衛騎士の個室よりもさらにさらに広く豪勢なそこの一番奥―――



／:::::::::::|／／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |:|!;;;;;;;;;;;;;|　|
::::::::／:::|／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 |:|!;;;;;;;;;;;;;|　|
_／:::::／　　　 ヾi.i,-,‐ (i(ii)i)-‐､-､i.i.i.i.i.i.i.｢li.i.i.i.i.i./　　　　　　　　|:|!;;;;;;;;;;;;;|　|
::::::／　　　　 巛.//　 ヽiij.〃　 ヽヽ r===l l;:;:;:;:;:》..　　　　　　 　 |:|!;;;;;;;;;;;;;|　|
／　　　　 　 《. | i　　（ : :::）ry　　i |;:l_｢ l_｢;::;:::;:》　　　　　　　　　|;:￣￣;:;:|　|
　　　　　　　 《. | i E!　　　 (__)>　i |;:;/:l;:;:;:;:;:;:;:》　　　 　 　 　 　 |;::;::;::;::;::;:|　|
　　　　　　　 《 ヽヽ､　　E!　　　 //__|　l;:;:;:;:;:;:》.　　　　　　　　　.|（(＠)）::;|　|
　　　　　　　 巛. `==‐-l ￣l-==".ﾉ　!　l:;:;:;:;:;》　　　　　　　　　　|;::;::;::;::／／
　　　　　　　 巛;:;:;l_｣;~~|- -|7l_｣;:;l_｢ l_｢;:;:;:;:;》.　　　　 　 　 　 　 |::;::;／／
　　　　　　　 巛;:;:;:;:;:;:;:;:l｣;:;l｣｣:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;》　　　 　 　 　 　 　 |／／
　　　　　　　 /i''i'i''i''i''i''i''i''i''i''i''i''i''i''i''i''i''i''i''iヽ　　　　　　　　　 ／;＼＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　||＼;;;;;;＼＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　||　 i＼;;;;;;＼＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　||＼ii.　＼(@(ii)＼
ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　||＼ii＼ i|ヾl|∠＼＼
::::::＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　||　 ii＼ i|（___）　　＼
＼::::::＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀ヾ｣i 　 i|＼／i
;;;;;;＼／|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀ヾ_i|;:;:;i;:;:;|
;;;;;;;;;;;|::::|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /l　　　　　　　　＼i／＼
;;;;;;;;;;;|::::|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ .|／´｀ヽ　　　　 　 　 　 ＼
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣|;;|;:;:;:;|＼（( )）＼＿＿＿＿＿_
:..:.:..:..:..:..:..:..:..:..., '´￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ:..:..:..:..:..:..:..|;;|;:;:;:;|　 ＼　｢~｣)　([;;;::::])　　/
:..:..:..:..:..:..:..:..:..:.:|　　　　　　　　　　　　　|:..:..:..:..:..:..:..|;;|;:;:;:;|　　　i;;i￣￣￣￣￣￣|;;|



レースのカーテンの向こう側、天蓋付きのベッドに王女は座っていた。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 z=┐ ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／”:::::::::::ｲ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r‐:::::::::::::::::::::::::::::て
　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ｌ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::}_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｌ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::]
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｚ/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::z
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｒ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ｒ┘
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　《::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,＼
　　　　　　　　　　　　　　 　 ｨ＜:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∠,
　　　　　　　　　　　　　　イ＞／::::／!:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::<
　　 　 　 　 　 　 　 　 　 才ﾞ::::,::ィ_/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::z　 _,＿
　　　　　　　 　 　 ,　イ::::::::,x　／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ﾄ _x::::∧
　　　　　　　 　 イ:::::::,,才　　 !::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∧
　　　　　 才:::::斗‐ '　　　　　{::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ｢¨ｌ:::::::rヽ:::::::::::::::::::::)


326 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:56:03 ID:+yMIf5JT
五２０１．



　　　　　　　　　　_灸ヽヾヽi ヽ｀´ﾞ´´｀ r -,
　　　　　　　　　　,>　,r´￣｀ﾞ´ツﾞ´｀´々, ´ﾞ;,
　　　　　　　　　彡;.ﾞ　　　　　　　　　　　ヾ,　ミ
　　　　　　　　.ミ . i!　,: =ニヽ、　 ,r=ニ=;,.　ﾞ;彡ｿ
　　　　　　　　;｀7/ﾞr∥ 　 　 i|＝|i´　　 ｀li,.　;彡>,　　　　「真紅様。
　　　　　　　　彡l ,:/ヾ _ _ _ノ .|l|.ヾ=,. _ ノヽﾞ｀ミｿ　　　　　この二人が、王女近衛騎士として
　　　　　　　　i!ヽヾ´　　￣ /∠_ヾ、 ￣ヽ｀ ｀;/!ﾐ　　　　　これよりあなた様を常に警護いたします。
　　　　　　　　liゝ| 　 　 　 |ｿ |三|ヽゝ　　ヽヾ|/.:i
　　　　　　　　|l :.| 　,r,r============y;7　,i, yﾞ　　　　　お話だけはしてありました、
　　　　　 　 　 ヾ.l/　ﾞ.｀ー========―´　ﾞ .lｿ　　　　　　 親衛騎士のやらない夫＝Ｄ＝ビップと
　　　　　　　　 　 i//　,　.　￣￣￣　　 ヾ、ﾞ,!　　　　　　　ジュン＝サクラダです」
　　　　　　　　　　ト、// /,.　.il||!.　,.　liヾ i!ｲ
　 　 　 　 　 　 ,r┤　 ＞ 、i!ll|||||||lli!l.|l／.i!ト:、
　　　　　　　,r ﾞ　y´ﾞ￣￣トﾐー―ﾞﾉ￣ヾ:y,,|　 ｀ヽ、
　　　　　,y¨　 t´　　　　　i,　　 　 i!　　　　 ｀il　　　｀ﾞﾞヽ,



しかし、口を開くと涙がこぼれてしまうのか
アレクサンドの紹介に王女はただ頷いただけ。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 z=┐ ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／”:::::::::::ｲ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　((　r‐:::::::::::::::::::::::::::::て
　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ｌ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::}_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｌ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::]
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｚ/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::z
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｒ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ｒ┘　ｺｸﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　《::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,＼
　　　　　　　　　　　　　　 　 ｨ＜:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∠,
　　　　　　　　　　　　　　イ＞／::::／!:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::<
　　 　 　 　 　 　 　 　 　 才ﾞ::::,::ィ_/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::z　 _,＿
　　　　　　　 　 　 ,　イ::::::::,x　／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ﾄ _x::::∧
　　　　　　　 　 イ:::::::,,才　　 !::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∧
　　　　　 才:::::斗‐ '　　　　　{::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ｢¨ｌ:::::::rヽ:::::::::::::::::::::)



　､-≦_ー‐　 -=ﾆ`ー､ヾ,ヽヽﾄ､ヾﾖヽ'i Y,r‐'‐ｲ
　　〉三_‐_´＿　`ミ､_ヽ`ミﾄ､ﾄ_ﾐ;;W_ヽi ﾘ∠'-三!,
　彡ﾗ'_´-_‐' -‐三ミｰ_-ミﾐr'　　　　`"┴ミﾐﾐ≦
　 〃彡-_　,-__ヽ≡_－ヾミ{_　　　　　　　 ﾄ＼､!
　ﾑ,∠／-,-',,.-, |彡_／~~≡＿　　　　　　|ﾊ!ヾ'
　　}三三{　／)　ﾄ'､'､　　　`ｰ‐-'_､　　, 　 !
　. f三三ﾑ !r'(　　　ヽヽ､　　､ r-､ミヾi|!|,-|　　　　「私もこれから動かねばなりません。
　 f三シ´ } y'/　　　　＼｀ヽ,ヾ|!､ !ヽﾐﾘｿ|Z!　　　　後は全て二人の判断に任せますので
　ﾉ彡ﾞ　　ヽｯ';:;;:､　　　　 ＼ ｀ヾ≧ｷ};=＝iﾘ　　　　しっかり頼みます」
　:ﾞ　　　　 /;:;:;;〃_,,､_　　　　｀ヽ{_ノ'-' 　 !
　ヽ,　 i　 /;:;:;=､´,=ﾄ､ﾞ_　　　　　　,.-､. 　 i
　ヽヽ,i'　 i',彡;:;, 　 ﾞﾄy_`,ｰ-..､　　ﾄ､,.＿　 〉
　　ヽヽ,　 ＼ﾚ: .:,　 ｀'ヽ'､'w,_ ｀ヽ､〉"
　､　ヽヽ, 　 ｀に;;::;　　 ､ ｀ヽ_~)'r'´
　ヽ　 ヽヽ　　 ヾrシ　　　ヾ_-ｧ‐'
　　ヽ　 ヽヽ　　 ヾfｼﾉ,　, 〃/
　　　ヽ　 ヽ＼_,..-ヾｶｿﾉｿｼﾉ｀ヽ､
　　　　ヽ､_ソ／）､　 ｀＼´　　 　 ｀ヽ
　　　　ヽミ_-' / ﾉ＼　　 ＼　　　 　 |
　　　　 ヽ ￣　´　　＼　　 ＼.



察した彼はそのまま、
327 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:57:02 ID:+yMIf5JT
五２０２．
二人合わせても自分より若い少年達に後を任せて退室する。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿/＼／＼/＼／|＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　 　　　　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜　　はいっ！　 ＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ￣|／＼/＼/＼/￣
　　　　　　　　　 　 ,. ‐―――――‐ - ､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i::::＼　　　 r::'::´::::::::::::::::::::::／＿
　　　　　　 　 　 ／　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ:::::::＼.　 |::::::::::::::::＞-...':::´:::::::::＼
　　　 　 　 　 ／　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿ ≧::::::::＼i!:::::::::r､'::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　/　　　 ＼　　 　 　 　 ﾉ　　　　　 .',　　　　　　 　　　　　　　　　／::::::::::::::::/＼:::::::::|:::::: /:::::::＼::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　 　 　 /　　　　 ,　 ゞ.._,,　ー "　　 ､　　　　',　　　　　　　　　　　　　 ／::::::::::::::::／:::::::::＼::::::::/:::i:::::::::::＼::::::::::::::::::::::::::::...::::｀:::-.._
　　　 　 　 l　　　　 l {::::::::}　l　 l　{::::::::} l　　　　 l　　　　　　　　　　 　 ／_:: -─ｲ::/::::::::::::::i::::::＼/:::::|::::::::::::::: ＼:::::::::::::::::::::::＼＿＿＿::＞
　　　　　 . l　　　　 ｀ ー '　'　　｀　ー ' '　　　 　 l　　　　　　　　　　　　￣,...-:':´:／::::::::::::::::|:::::::::V:/: |:::::::::::::::::::::ﾊ::::::＼:::::::::::::::::｀:-._
　　　 　 　 l　　　　　 /　　　 .!　　　 ヽ　　 　 　 l　　　　　　　　　　　　 /::::::::::: /::::::::::::::::::::::|:::::_:ｨ=-.-|::::::::::::::::::::::::i:::::::::::＼:::::::::::::::::::: ﾍ
　　　 　 　 l　　　　　 ヽ＿_／ ＼＿_/.　　 　 　 l　　　　　　　 　 　 　 /:::::::::::::i::::::::::::::::::::::::|'´　　 　 .|:::::::::::::::::::::: :|:::::::::::::::ヽ:::::::::::::::::::ﾍ
　 　 　 　 . l　　　　　 〈　　　　　　　 〉　　 　 　 l　　　　　　　　　 　 /::::::::::::::::ﾊ:::::::::::::::､:::::| 　 　 　 .|:::::::::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::＼::::::::::::::::ﾍ
　　　　　　 .l　 　 　 　 ｀ｰ―――　' 　 　 　 　 l　　　　　　　　　　/:::::::::::::::::::::ﾊ:::::::::::::i ＼ヽ　　　　.|:::::ｲ::::::::::: ﾊ:::|::::::::::::::::::::::::i::::::::::::::::::＼
　　　　　 　 l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　　　　　　 　　 ／::::::::::::::::::::::::::ﾊ:::::::::::|＿_ゞ'＿＿　|::/ i:::::::::/＿ヾﾄ::::::::::::::::::: |::::::::i ヽ::::::ﾊ
　　　　　　 . l　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　　　　. ／:::::_::_:: - ﾌ:::::::::::::::ﾄ-三ﾆニ＝＝≦　ﾚ　|::::三ニニニ=ヾ:::::::::::::|::::::: |　 ｀ー-｀-
　　 　 　 　 . l　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 l　　　　　　　　　　　　　 /::::::::::::::::::| |r::::|て芯ミヾ Y}　　 .|::::/ ≧ニニ＝ﾐヾ::::::: |::::::::ﾊ
　　　　　　　　!　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 !　　　　　　　　 　 　 　 /:::::;:::::::::＿| |　ヾ i!;;;....;;}　 i }ニニニi」 ｛ﾋｲ:::::｝ >　i l＼::|::::::::::ﾍ
　　　　　 　 ／!　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ,'＾ヽ　　　　　　　　　　　/／ /::::::/>‐ﾊi　　　ゞー'　<iﾘ　 　 ﾚi l　　廴../ ｲ　//::::::ゞ:::::::::::ﾊ
　　 　 　 ／{　|ヽ　　　　　　　　 　 　 　 　 /|　/ ＼　　　　　　　　 /　　ﾊｨ::::i　-ﾊヾニニニニ彡　　 i　　 ミ､＿＿＿_.//-､::::::::ヽ￣ ￣
　　 　 ／　 ∨|　ヽ　　　　　　　　　　　 ／　| /　　　　　　　　　　　　　　　 ヾ i　- ﾍ　　　　　 　　　　 ;　　　 ￣￣￣￣/ハ i:::::i￣
　　 ／ ヽ　　＼　　｀ー―――――　´￣￣　 ／　　　　　　　　　　　　　　 　 ヾ､∧　　　　　　　　 ＿　　　　　　　　/　　ﾉ-''´
　／＼ 　 ＼　　＼　　　　　　　　／　 　＿　／　　　　　　 　　　　　　　　　　　　 ーヽ　　　　　　　´　 ｀　　　　　　 /-'／
"ヽ　 . ＼　　ヽ　　｀ ー──一'　　 ／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　 ..::　　　　 　　/-'´
　　＼　　＼　　＼　　　　　　　　／/　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　＿　　　｀　､　　　　　　　　　　／
　 ,　 ‐┬─‐'ﾌ⌒ヽ｀ ー──　´　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／: : :｀: -..､　　｀i'　､　　　,　ィ' ´
／　　　￣￣ 　 　 } 　＼　　 　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : : : : : : :｀: x.ﾉ　　｀　´　　|　　　　　　＿
　　／ ￣｀ヽ／￣ ヽ　　 ＼　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　,...-::'::´:::￣::｀::-::::_: : : : : : : : :＼＿　　　　 ﾄ､　　 ／: : : :ヽ
　/　　　　　/　　 　 |￣｀ヽ￣￣/　　　　　　　　　　　　　　　r'´: : : : : : : : : : : : : : : :｀:ー-: : :＿: : : :｀ー. ､　.>'´: : : : : : : : : :>＿
./　　　　 . /　 　 　 |　　　 |￣ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　｝: : : : : : :-: :､: : : : : : : : :: : : : : : : : :￣: :ヾ: ::Ⅵ: : :: : : :_: -:'´: : : : :ﾊ
329 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:58:02 ID:+yMIf5JT
五２０３．
再び鍵がかけられた扉を見やり、二人はこれからどうするか、と相談を始めるが―――



　　 ／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　（ ●）（●）　　　「とにかく、いつでも動けるように
.　|　　　　（__人__）　　　 必要な荷物、装備は全て揃えて
　 |　　　　 ｀ ⌒´ﾉ　　　 ホールディング・バッグの中に入れておこう。
.　 |　　　 　　　　 }
.　 ヽ　　　　　 　 }　　　 俺は自分の分は入ってるが、
　　 ヽ　　　　　ノ　　　　少し買い足しておきたい物があるな」
　　　.>　　　 <
　　　|　　　　 |
　 　 |　　　　 |



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ＞'´　／　　 ∧　 　 ｜　　　　i|　ヽ.　 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　／ 　 ／ 　 　 /::::ヽ　_,斗:.:.:.: : 　 |　　 !　　:...　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 　 〉 　 　　　　::ー‐^´¨　|:.: : !:.:..　ﾄ､　 |　　 :.:.:...　: :..｀ー-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　　　| 　ｉｌ　　::|　　 　 　 ! ::∧:. :. 　,=‐ｉ　　　:.:.:.:.:...:.:.:..:.:.／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 /　.:.:.:.:|　 i| 　 ::| 　 　　　 | / ,ｨ|,.イ´__ ∧　 ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ :::／イl|　 ｌ|　 ::|=､＞ｰ=､ ｉ′|:rレ弍¨ヽ ﾄ :.:.:.:.:.:.:.:.:.／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　./::／　 /　　　|　　|´戈¨Ｔ |ﾄ==､||　弋__ソ‐|/.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾚ'゜ 　 /　／　 iヾヽ! 辷_ソ｣|　　 ヽ=＝＝=='　ﾏヽ.:.:r-‐'´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｒr‐、 　 　 　 　 　 レ'　ﾚ'〉　! ヾﾆ==＝ ′〈　　　　 　 　 　 'ノ::;;;>
　　　「僕は全然だ。　　　　　　ﾄ'　| 　 　 　 　 　 　 　 　 ￣ヾﾇ、　　　　　 ｀　　　　　　　,/‐'´
　　　 一度家にも寄りたい」　　| 　|　　　　　　　　　　　 　 　 ￣ヽ　　 　 　 ー‐　　　 　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　..ﾉ 　l'⌒!　　　　　　　　　　　　　 　 ＼　　 　 　 　 　 _, ィ´
　　　　　　　　　　　　　　　　　´　ノ^ヽ '､　　　　　　　　　　　 　 　 　 ｀¨ﾆt-　　-‐'　ﾄ-┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／｀ヽ.ヽ、　　　　　　　　　　＿　 　/´iイ　　　　　 |/　ヽ―-- ､__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ‐'´｀ヽ. ｉ､　　　　　 　 　 ／i　 ゞ7″ | ′　　 　／　 　 |　　　 　｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ 　　イ-' 　ヽ　　　　 　 ／　 i　　/　,ﾍ |＿___,_／ |―､　 |　　　　/　　ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ.　 ″　 　 ｌ　　 　 ／-‐'´ | .//／　ヽﾄ-―/ニ,ﾉ　　＼| 　 　 /　　 ＼'､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　 　 　 l.　,.-‐' 　 　 :　ﾚ' ′　　く !　 //　　　　　　　 　 / 　 　 　 ヾ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 |　　　　.ﾄ''　　　　　　! .|　r―┐　 | ,//　　　　　　:. ｌ　 /　　　　　　　｀ヽ、

330 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 21:59:02 ID:+yMIf5JT
五２０４．
王女が動こうとしないので、まだどうする事も出来なさそうである。



　　　 ／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　 （ ●）（●）
　　|　　　　 （__人__）　　　　　　　「交代で行こう。
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ　　　　　　　 ご挨拶したら
　　 |　　　,.<))／´二⊃　　　　　　ジュンが先に行ってこい。
　 　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉　　　　　　　 帰ってきたら俺が出る」
''"::l:::::::/　　　 __人〉
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|



　　　　　　　　　　　　　　　　 ,／/: :ヽ: : Y: /:､: : : : : : : :＼: : : : : : : : ＼
　　　　　　　　　　　　　　　／: :/: : : ∧: : ;′1: : : : : : : : : l: : : : : : : : : :∧
　　　　　　　　　　　　　 ∠二ィ: : : : l::∧: :!:::::l: : : : : : : : : :|: : :ヽ: : : : : : :∧
　　　　　　　　　　　　　　 　 /.: : : : :|::::::∨::::::l: : : : : : : : : :l: : : : ∨: : : : : :∧
　　　　　　　　　　　　　　 ,r': : : : : : 「¨¨｀""¨1: : : : : : : : : l: : : : : ∨: : : : : :∧
　　　　　　　　　　　　　　 |! : : : : : : l 　 　 　 l: :;ｨ: : : :∧ : | : : : : : ∨: : :ヾ : ∧
　　　　　　　　　　　　　　ｲ!: : : : :i: : !.　 　 　 !:/ l: : :/　ヽ: ﾄ、 : : : : ∨: : : :＼;ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　/l: : : :,∧:厶-‐､　　ﾚ'　!‐ナ―-ゞ! ヽ、: : : :i: : : : : :l ヾ
　　　「了解」　　　　　 　 !.:!: : ;ｨ: : ト1===ミ:、 　 l.:/彡＝=｀=ﾐ:､ヽ : : l.: : : : : |
　　　　　　　　　　　　　 .l.;ｲ : ;ハ ｲl:iﾞ '乍ミ1L..../;」i　ｨ卞ぅｘ､ ! ヽﾄ、:l: : : : : :|
　　　　　　　　　　　　　 .ﾚ'l: :/　 ﾘ |:|　 ﾋ;ﾘ |「￣"ﾞ1l　　ﾋｚﾘ｀ l l｀ゞ- ､.: : :lヽ:.!
　　　　　　　　　　　　　　　ﾚ'’　　 ヾ ＿__ノ.'　　　ヾ: ､＿＿.ノﾉ　´rﾊ !:、:| ヾ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i￣￣ i　　　　　 ￣￣￣　　ムｿ:.;ﾊﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ､　　　　　　　　　　　　　r彡;〃´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　 ヾﾆフ　　　　 　 ﾉﾚ'´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　 　 ´ ,L. -‐ ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ . _　，　 　, ィ´　　　,.､二ミ:ｫ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.-‐=ﾆj,.ィ'´　　 ／￣ "¨ヾ＼L、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _r'´　 レ"　　 _ﾆ=′　　　 二ﾆ= 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　rく ヽ 　 j　,-=ﾆ¨ 　 　 　 イ=‐- ､　 　 >"
331 名前： ◆FrtuoSIf66 投稿日： 10/09/20 22:00:06 ID:+yMIf5JT
五２０５．
時々座り直す衣擦れの音と、鼻を啜る音が伝わってくるのみ。
侍女達も物音を立てないようにと気配を消しており、



　 　 　 　 　 　 　 　 　_ｒ ｔ￢ _
　 　 　 　 　 　 　 　_｢　　　　 └ｔ __
　　　　　　　　　 　 {　　　　　　　 　 ￣L ,
　　　　　　　　　　　l　　　　　　　　　　　 |_〉
　 　 　 　 　 　 　 　〈　　　　　　　　　　　 !|　　　　　　「……………」
　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　/ｌ　 ＼
　　　　　　　　　　　 　 / ,　　　　,　_r┘ ｉ |　 ､ヽ
　　　　　　　　　 　 ｒ‐' ,ｨ　 }　／　└i　　l |ｌ　 ﾄ┘
　　　　　　　　　　　＞_｀　 {./　　　　 ＼ l/ l　 ＼
　　　　　　　　　　　ヽ,ﾘ　　i|　　　　　 　 ￣}ヽ　 ､＼
　　　　　　　　　　 ／　　　 }　　　　　　　　｛　 ＼ ヽ ＼
　　　　　　　　　　｣ _ 　 　 /　　　　　　　　 ]　　　ヽ　　 ＼
　　　　　　　 　 / くノ　　　｀ ーｚ=_、　　／　　　　　ヽ.　､　＼
　 　 　 　 　 ／　 _／￣ 〉　／ '=／　　{　, -― 、　　 l　|l　ﾄ､ ヽ _
　　　　　　」　r '´　　　 く／'ｰ-_'ﾞ　　　　v' , ￢　｝　　 ヽ l｣└ '　 〈
　　 , -－'　　 ＼　　　　　　　　　￣}　　 / 　 / /　 　r '　　　 -　厶




　　　 　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　|　　　 （ ー）（ー
.　　　　　　　　　|　　　 　 （__人__）
　　　　　 　 　　 |,　 　　 　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　　　　　　　　　 　　 　　　 ﾊ、　∧ へ
　　　　　　 　　 │ 　　　　 　　 ｝　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 ,{!　ヾ } / !i ｀＞
　　　　　 　　　　 ヽ､　　　 　　ｿ　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　∠ｿﾊ/　 i＼　　＼
　　　　　　　 　 ｲ斗┴r┐｀ .;　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　/ /!.〈 ./ |　 〉　 ＼
　　　　／￣`ーゞ､　 /　|__ 〈ー─r､　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｌハ /∨'''ﾚV＼ﾄ､「
　　　/　　　　　＼ ∨＼ 　|,ベ._ /　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　FY'ｌ二ｌ,-,ｌ二ｌ-}ﾊ
　　 ｛　　　 . : : : . ヽ＞ｰ＼[￣{ 〉＼|､_　　　　　　　　　　 　　　　　　ヾ{:i 　 .i l.｀ 　.!rｿ
　　　| 　 　 　　 ｀丶}＼　 __＼_]~∨'＼｀ヽ　　　　　　　　 . 　　　　　　 ヽ.　'ｆ=ﾍ　 ﾊﾄ､
　　　:|　　　._　　　　＼_}/r‐-}＼　ﾞ,`''く l　ﾞ,　　　　　　　　　　　 　　 ,ノ´ｆ＼＝'／ノ!ヽ＼._
　　　 ﾄ､: :./ ／￣｀` ぐ└f'二）::{　 ',　 | !,ゞ┐　　　　　　　　　　／ノ　!|｀ヽ三イ　 ヽﾉﾉ　｀'ｰ-､.＿
　　　 `､∨ ´　,.､-''"~￣}_｛‐''く:::{_　 ', _|_|_,rｰ'､_　　　　　 　　／ r'/　　 |　　 ,二ﾆ‐'´ｲ -‐''"　 ／´{
　　　　 }｛　／　_､-'''"~￣{_＼;;;;;ｊ;＞＜;:::::＼:::ﾍ}＼　　　　　 ｛ 　V　　 ヽ.V／,. -‐''"´ 　　　.／　　｜
　　 　 　}∨: ／　　_､-''ﾞ~￣￣　　　　　＼::::},之_　ヽ　　　　　ヽ　{　　　|　　　| __　　＠　　/ 　 　　.|
　　 　 　 〉∨ 　 ／　　 　 　　　　　　,.､イ;;ノ_ 　 ｀ヽ}　　　　　　｝ .ゝ二 ﾟ､　_,‐ﾟ-､　　　,__,. '| 　　　　|
　　　　　{:　＼,/＼　　-‐　'"　　　／｀￣　　　 　　:.:｝　　 .　　　| 　〉 ,. -',　 ､ヽ. ｀ﾆ二,___　|　 　 　 |



最後の肉親を失ったのだから仕方が無い、と二人は彫像のように壁際に立ち、
ただ時間が過ぎるのを待った。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━……
332 名前： ◆FrtuoSIf66 [sage] 投稿日： 10/09/20 22:00:37 ID:+yMIf5JT
本日の投下は以上になります。
閲覧、合いの手ありがとうございました！

次回は第五章その４になります。



第五章　動き出した流れ　その３へ

1. 2010/09/20(月) 22:11:03|
2. やらない夫は約束を守るようです
3. | トラックバック:0
4. | コメント:0