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やらない夫は約束を守るようです　第四章　五人　第四話

168 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:00:05 TPWIG0JI
四３１０．
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　　極限に近づく緊張と重圧を抱えながら
　　頂上を目指すやらない夫は三段飛ばし、
　　エルは二段飛ばしで階段を駆け上がっていたが―――
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　　　　,,/|,／＼,/　_,|＼_,i_,,,/ ＼／ヽ./f───────┴i:.:',　|ヽ,,,_l 　ヽ| 　ヽ　　j,,／l゛' r-.,
　　　　　＼＿／￣|,,,,...._／|＿＼／./ﾄ────────┴i:.', ＼ヽ,,,_i,_／|,_　ヽ,／＼,|ヽ,,
　　　　Ｔ　　|　　 l,＿,,/＼　,,/l　　 |/. | 　.　 .　... .....:..:.:.:.::.::.:::.:::|;::::',/　ヽ_|,,∧,,　 |,／ヽ,,　／V_
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　　　　,,/|,／＼,/　_,|＼_,i_,,,/ ＼./　|　.　.　:　:　: : : :.:.:.:.::.::::::::::::::;|;;:::',　lヽ,,　／ヽ,,＿,l 　　|　　Ｔ
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　　　　,.-r '"l＼,,j　　| /　|　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　　　　|::.',.|,_　ヽ,／＼,|ヽ,,
　／　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼／V_
／　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　ｉ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　＼
　　　　,,/|,／　　　　　　　　　　　　　　　　　 ! |.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼＼　　　　＼
170 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:01:05 TPWIG0JI
四３１１．
――――――――――――――――――――――――――――――――
　　残り三十段、一息で駆け上がれるだけを残して足を止めたエルが
　　肌で感じた異変を報告した。
　　屋外のここで、風の精霊力が失われる理由など一つしか考えられない。
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , '::::::::〃:::::::::::.i::::::::ヽヽ:ヽ ::::::､::::::::::::::::':::､､,__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_ｨ:::::::::〃::::::::::::l!::!:::::::::::＼ヽヽ:::::ヽ:::::::::::::::::::t=ｰ-.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ｨｼ='7:::〃::::ｨ''|!i:::!i::,::::::､::::::ヽ::::::':,',､;,:::::::::::::::::::::ﾝｯy､,_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´"　　/::::::/:::/,.-ｬj:::l 'i!';::::i＼::::ヽ:::::::',',',i!::::::::::::::f"''''＝=-''
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.ｼｨ::::::::ｿ !. (::)ﾘ!　ﾍ',:::l,,､ﾇ;:::ヽ::::::',',',':::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃ｼi::::::::ｌ　｀""゛　　` 'ﾘ (:::)ﾔ､:ヽ:::!:','::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '　'　.ｌ::::::::l　　　　　　ヾ'''''" Y:::::::::::::!::::::::::::::::',
　　　　「やらない夫！　　　　　　　　　　　　　　　　　i::/ｌ::::!　　　ヽ　、　　　　ｌ:::::::::::::::'::::::::ｯ::::::',
　　　　風の精霊力が無くなりました！」　　　　 l/　!:::'､　ｧ､.　　　　　　　 !:::::::::::::::::ｫ:::::!';::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 ,!. 　|/ ';､. ヾﾐ.`j 　　　 ,イ::ｧ:::::::::::::::i '､::',ﾔ::::､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　" . ';ヽ　　　　　,､y'´ /ｼｌ::::::ヽ:::::ｌ　ヾ;　゛丶
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'|!`=tｰ:::'"／　 /'　ﾊ::;::::il!';::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　　　'i::: '　　　　　　　ﾘｿヽ'ﾘ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!'i　　　j　　　　 ~ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘ､　／　 ―ー '''"""f,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / _冫'''~ 　　　　　　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ ´　　 ,､　　　　￣~ ヽ　 'i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l!~　　　　/　　　　　　　　ヽ.　!

　　　　　　　　　　　　　　　 ――　､
　　　　　　　　／〉´.,,,,,-----,,,,...ヽ_
　　　　　　／／_;_;_;_;_;_;_;_;_;_;_;_;_;_|
　　　　　　　 /　/／〉　 ( ー)　(ー )　ｌ
　　　　　　ｌ　 ´ イｌ　　 (___人___)　　ｌ　　　　　　　　　　　　　　　ﾐｭｰﾄ
.　　　　　　　ｌ　　ｉYｌ　　｀ ⌒ ´　　ｌ　　　　　　　　　　　「やはり沈黙封じはしているか………」
.　　　　　　　/　　ﾊ !.!　　　　　　　　 !
.　　　　　 /　　/　 ' ヽ　　　　　 /
　　　　　　ｌ　　　／/ ､ゝ　　　　　　／ヽ_
　　　　 ´｀ー‐ '｀./　　｀ー､　　,－´　　/ 　＼
.　　　　ｉ　　　　ｉｉ　　 / ｀:.ｉ　ｉ´ヽ.　 /　　　｀　､
. 　　 , 'ｌ　　　　　ｌ.!　 /　　ｌ　 !　ﾊ　/　　　　　　　＼
　　 / ,:|　　　　　| ヽ/　　　!＿'　　 V　　　　 ,　 ,　　ヽ
.　　/ / ｌ　　　　　|　　　　 /:.:.:.:ヽ　　　　　　　/　/　／　ｉ
.　　!/　 !　　　　ｌ＼.　　ｉ:.:.:.:.:.:.ｉ　　　　　／　/　 /　　　ｌ
　　/　　　　　　　 !　ヽ.　 !:.:.:.:.:. !　　　 ´　　 !　 /　　　 !

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　　予想通りとは言え、精霊魔法で妖術師の発する音を長時間止めて
　　魔法を妨害する策は採れなくなった。
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171 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:02:05 TPWIG0JI
四３１２．
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　　超越者相手に小手先の策など通用せず、純粋な力対力の戦いになる。
　　分かってはいたのだが、搦め手や補助ほどには直接的な攻撃魔法が得意でないエルは
　　再び無力感に唇を噛むが、
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ハ :::: :::: :::::::::::.::::::::::::::::ヽ::::::::､::::::::::::ヽ ::::::..ヽ::::::`､ :. ::::::ヽ :::::.:.::｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|／| ::: :::リ､:::rＮヽ＼::::ヽ､::::ヽ､::::::丶＼　::.＼:::::ヽ .:. :::::｀ヽ‐- ､_:::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　ﾊ ::.:.::!　V　/　＼ヽ::i ヽ:::| ｀ヽ::､::｀ヽ丶､:::丶､::､ :::::...､::::＼　｀`ヽゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 { ヽ.: ::l 　　/　　　　ヾ　ヽ:i　　i| ヽ::::ヽ＼｀`'' ‐---::::ヽ:::＼rヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ';:: :! 　〈　　__　　　　　ヽ　　|　 ',::::::: :＼:.::､｀ヽ:＼::::::ト､::丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:: ﾊ　　`　　　　　　　　　　　 }:::::::. ::::ヽ::ヽ::.:＼:ヽ､ヽ　｀` ｰ-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|/l:ハ　　､　＿＿　　　　　　　ﾊ:::::.::| :i:.:ヽ.:i::: :､:ヽ}　｀`
　「ならば防御をかけます。　　　　　　　　　　　　　　　ノﾉ'　l心　　`ー‐一`　　　　　 ,. '|:::::::| :| :.::.N :;､!`､ヽ
　それぐらいしか役に立てそうにありません」　　　　　　　　　　　 |ハ　　　　　　　　　,　'´　i!::::::| ::|　:.ハ | ＼ヽ!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘヽ　　　　　 ,.　'´　　 ,/!/ |: :::､　!　 i|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__　 __,.ノ/ 　ヽ __,,.　'´　　　　　ノ　l,ｲ:: ﾊ:{ 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,..､,.ィ"r''"´　 .:::　　　　r　　　　　　　　　/ /　|､:! ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,.. -‐''"´　{　　ヽ　　 r　　 i　ヽ＼　　　　　　／　　　: ヾ丶､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　 |　　ヽ＼　　　　ｌ　　＼!　　　　　/　　　　　　ヽ　｀ヽｰ-､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　|　　　　　ヽ　＼　　ヽ　　　　　　　　i　　　　　　　　　　ﾉ /　ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､　 |　|　　　　　　　､　＼　　　　　　　　　　ノ　　　　　　　　／ / r　　　｀`丶､

　　／￣￣＼
　／　　 _ノ　　＼
　|　　　（ ●）（●）　　　　　　　　　
.　|　　　　（__人__）　　　　　　　　　「エル、それは違う」
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　
.　 |　　　　　　　 }　
.　ヽ　　　　　　 }
　　ヽ　　　　　ノ　　ｍm
　　　/　　　￣￣￣　つﾉ
　　　|　　　　|￣￣￣

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　　そんな事はない、とやらない夫はその考えをやめさせた。
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172 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:03:05 TPWIG0JI
四３１３．
――――――――――――――――――――
　　そして言った。
　　補い合えるからこそ仲間なのだろう、と。
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　　　　　　　　　　　　　　　￣　　､_
　　　　　　 ´　　　　 __....--‐'''"´: :＼
　　　　　 _/_....-一'''".／ : : : : : : : : ／ヽ
　　,.ｘ‐て/: : : : : : : ／ : : : : : : : : ／: : : :ヽ
　/::,;:/そ|_:_:_:_:_:_／_:_:_:_:_:_:_:_:_／_:_:_:_:_:_:_|
./:/V　　 l　　　　　　　　　　　　　　,‐-,.._ ゞ
.V.　　　 l　　　　　　　　　　　　　　l　弋心 l
.　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　冫.ー　く
.　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　ﾉ!　　　　「奴の魔法は強力だ、
.　　　　 l　　　　　　　　　　　　　　｀ー‐ f ｒ'　　　　　対抗手段が多ければ多いほどありがたい。
　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ'
　　　　　!　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　俺は俺に出来る事をする、
　　　　 ,'　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　だからエルはエルにしか出来ない事をやってくれ」
　　￣　｀ー -　　　　　　　　　　　　 /
　　　　　　　　　｀　､　　　　　　　　/
　　:.:.:.:.:.:...　　　　　　　　､　　　／
　　:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..　　　　　　.:.:ヽ _　´
　　ー-　:.:.:.:.:.:.:.:..　　　..:.:.:.:.:.:ヽ
　　　　　｀　､:.:.:.:.:.:.:...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　　　､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
　　　　　　　　　..:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　　..:.:.:.:.:.:.:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./

　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ハ :::: :::: :::::::::::.::::::::::::::::ヽ::::::::､::::::::::::ヽ ::::::..ヽ::::::`､ :. ::::::ヽ :::::.:.::｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|／| ::: :::リ､:::rＮヽ＼::::ヽ､::::ヽ､::::::丶＼　::.＼:::::ヽ .:. :::::｀ヽ‐- ､_:::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　ﾊ ::.:.::!　V　/　＼ヽ::i ヽ:::| ｀ヽ::､::｀ヽ丶､:::丶､::､ :::::...､::::＼　｀`ヽゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 { ヽ.: ::l 　　/　　　　ヾ　ヽ:i　　i| ヽ::::ヽ＼｀`'' ‐---::::ヽ:::＼rヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ';:: :! 　〈　　__　　　　　ヽ　　|　 ',::::::: :＼:.::､｀ヽ:＼::::::ト､::丶、
　　　　「……………」　　　　　　　　　|:: ﾊ　　`　　　　　　　　　　　 }:::::::. ::::ヽ::ヽ::.:＼:ヽ､ヽ　｀` ｰ-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|/l:ハ　　､　＿＿　　　　　　　ﾊ:::::.::| :i:.:ヽ.:i::: :､:ヽ}　｀`
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノﾉ'　l心　　`ー‐一`　　　　　 ,. '|:::::::| :| :.::.N :;､!`､ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |ハ　　　　　　　　　,　'´　i!::::::| ::|　:.ハ | ＼ヽ!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘヽ　　　　　 ,.　'´　　 ,/!/ |: :::､　!　 i|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__　 __,.ノ/ 　ヽ __,,.　'´　　　　　ノ　l,ｲ:: ﾊ:{ 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,..､,.ィ"r''"´　 .:::　　　　r　　　　　　　　　/ /　|､:! ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　,,.. -‐''"´　{　　ヽ　　 r　　 i　ヽ＼　　　　　　／　　　: ヾ丶､
　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　 |　　ヽ＼　　　　ｌ　　＼!　　　　　/　　　　　　ヽ　｀ヽｰ-､_
　　　　　　　　　　　　　　　　|　|　　　　　ヽ　＼　　ヽ　　　　　　　　i　　　　　　　　　　ﾉ /　ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　､　 |　|　　　　　　　､　＼　　　　　　　　　　ノ　　　　　　　　／ / r　　　｀`丶､

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　　それは冒険者の一団であれば当たり前の考え方であったが、
　　違和感を禁じ得なかったエルは暫し反応に迷う。
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173 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:04:05 TPWIG0JI
四３１４．
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　　託してもいい。
　　託したくはない。
　　復讐の終着点を目前にして今、背反した感情が胸の中で渦を巻く。
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ィ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　,／/ _､-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , '/ ／‐'::::,､ﾝ'／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , ./:::ﾚ:::::::::::::´::::::ー--...､.._
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_iV::::::::::::::::_::_::_::::::::::::::::::::::::::::::::::=-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r::'::::::::::::｀ヽ三ニー-::::ニ:::::::::-=ﾆ´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／::／三:::＼＼ヽ:::::::::ミ､::::::::::::::_:::＝≧ー
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::::/:::::ンヘ＼＼ヽ:::::::::::｀ヽ:::::::::::::ﾆ三三ｪ-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 //i:/:／/:::,'i::::ヽ＼＼',､::::ヽ:::::::::::::::::::::＜'´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !' /::;:':::/:::,'::i　i:::ヽ:::::::ヽ:ミﾐ:::::ヽ､:::::::::::k-ﾆヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::i::::l:i:::i､::',. ',::::::ヽ::::::::ヽ::::::::::::`::::::::::ミヽ､
　「………ありがとうございます。　　　　　　　　　　/:::ii:::l::i:::L::::':,::i:::::::＼､_:::ヽ::::::::::､::::::::::ヾ､
　前線はお任せします」　　　　　　　　　　　　　　 /::/i:ｉ::l::i::i f:::j､:;::::',ヾ:::,rt:::j､＼:::::::::::::::::i､＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,rｰｧ'/'´ i:ﾊ:l::lﾘ`＝‐ヾ'､::､ﾞヾ､ﾆノヽ::::::::::::::ヾヽ､.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,r''"　　　　 i.ﾘ/ﾘ::',ﾞ　　　　　ﾞヽ　　　 .,!::;:::::iヾ::',ヽ､｀`ｰ-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　',　 -､　　 i//::l:ｌﾞ､　　､ ..　　　　..:':l::i!ヾl:::ｌ lヽｉ ',　｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∧　 ', 　 i i　　 i i:　ﾘ　ヽ.　‐-- ､　／ /ﾘ　/ !/./　'　'　ﾞヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,' ヽ　 ',　i 〈　　 ,i i::.､　＼＼　　　..::'::: /　! 　 , ', ' .i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､　ヽ　　ｉ　　　'ヽゞﾐヽ、ゞ: `ﾆ:´:::::''　_,. -／／　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　ヽ、ヽヽ　 i　　　 ',ヽ､`ヽﾐヽ､　　,.:-'´,. '´／　　ﾉ　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　 iヽ＼i　.i!ヽ　　　　 `　､`'-､､､､､- ',ン'' 　　　　　　　/〃
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i　ヽ.＼ !　　　　　　　　｀ｰ-ー '´　　　　　　　　　　, ' //
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　i　　ヽ､ヾ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , ' ／ '

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　　五秒ほど間があってから彼は深々と頭を下げる。
　　もはやこの場でそれを迷う意味はないと分かったのだ。

　　それは自ら手を下せなくてもいい、この男がライトを殺してくれるのなら構わないと言う思いと―――
　　この男に復讐の片棒を担がせるのは間違いだという違和感の狭間で出した、エルなりの答えだった。
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174 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:05:26 TPWIG0JI
四３１５．
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　　階段下で一度は帰還させたベヒーモスをエルが再び召喚して、
　　結界が自分達を包み込むのを待ってからやらない夫が最後の確認をし、
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　　　　　　　　　　　　　 _／_,,.......,,,,..ヽ_
　　　　　　　　　　　　　　　　 .,,i_:_:_:_:_:_:_:_:_:_:_:ヽ
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　　　　　　　　　　　　　　 | 　　｀ ⌒´　 |　　　　　　「………行くぞ」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　 .　ヽ　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　 / lヽ　　　　/
　　　　　　　　　　　　　＿／ﾞヾヽﾉ_ヽ￣ﾉ　,r‐;=
　　　　　　　　,r‐＜￣´､ヽ、｀ﾄ-＝==＝ﾊ| 　 ,`v-, ､__
　　　　　　 /　　　｀ｰ-｀､ｰ_`､ ,!'｀`'┴┴ヘ,|／.-'_´.-' 　｀ヽ
　　　　　　 l　　　　　　　　 r-ｨヽ.}ヽ､__　　_,.-ﾍ´‐'r-ｨ　　　　 |
　　　　　ﾉ、　　　　　　ヽ_ｿ≠====:三===キヲ_ノ　　　　 |
　　　　　〉､丶､ _　　 __,. ゝシ｀`ー---ll--‐‐ﾍゞ‐′ 　　 ,. ヽ、
　　　　　 !、 `丶--'丶､＿_,ノ　　<＾＾>　||　　　ヽ,--､ -‐',. イ´
.　　　　　 }､`_ー_'二フ７'､_}ヽｭ__,.., Ⅴ　´￣｀丶､_,ｯ}:::ゝ-二._,.ｲ
.　　　　〉､_ 二 -ｨ′八ヽﾞ´Y　　　　　　　　　　}ﾘ::::::::{'ｰ--〈
　　　　　/ｰ--‐''´::::::/;;;;;ヽヽ､_>､　　,. -─‐- ､ノﾚi:::::::::ゝ､ーｲ
.　　　　 l::::::::::::::::::::::/;;;;;;;;;;;;〉｝　　Ｙ´　　　　　ｌ　|;;|::::::::::::::￣l
　　　　ゝ:::::::::::::::ノ;;;;;;;;;;;;くﾉ　　 }　　　　　　{　l;;|::::::::::::::::丿
　　　　,〉:::::::::::::::/;;;;;;;;;;;;;/ ｀ヾ丶ゝ、　　　　　ゝ'〈;ヽ､::::::::::`ヽ､

　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ー-- ､,,_ー=ミ‐-..､
　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿ﾐ::::::::::::::::｀¨ミヽ､::::::ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　＜:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　ヽ､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾄ､
　　　　　　　　　　　ー=ﾆ､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::j::ﾊ
　　　　　　　　　 --─=＝ﾆ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ヾミ:::::::::::}
　　　　　　　　　　　 ,,ｨ彡:::::／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::彡ｲﾊ::く
　　　　　　　　　　／::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::l::::::::',
　　　　　　　　／---─ｧ':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／::::::::::::／:::ﾘ:::::::}ﾊ
　　　　　　　　　／/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::イ:::ﾂ<彡'/:::;イ::::::::::l:::|
　　　　　　　　　　　　/::::ｨ::::::::::::::::::::::::::,ｨ/ 　¨''=ｲ _,ｲ:::ｲﾃ ::::::::::ハj
　　　　　　　　　　 _,,ｲ／/:::::::::::::::::::::ｲ/ |　　　　　ノ　|¨ .::::::ｲ/
　　　　　　　　　　 ∠ イ:::::::::ｨ::/ .|　　　　　　､ _｣ｲ:／.j'
　　　　　　　　　　　　　　/ｲ:／ .|ｲ　　＼　　　‐--- ／|:/　　　　　「はい」
　　　　　　　　　　　 __ ｲ　　 j　　　　　＼　　ﾞﾞﾞ／　.ｿ
　　　　　　　　　　　　 /＼　　　　　　　　／ヽ- '
　　　　　　　　　　　／　　ヽ､　　　　　_ ｲ
　　　　　　　　　／　　　　　　ヽ､　　Y
　　　　　　　　 /　　　　　　　　ー┴､
　　　　.　　　/　　　　　　　　　　　　　 |
　　　　　　　/　　　　　　＼　　　　 |､
　　　　　　 i　　　／　　　　　＼　　ﾊ
　　　　　　 |　　/　　　　　　　　　　ヽ　　 |
　　　　　　 |　 ,'　　　　　　　　　　　 }　　|

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　　一瞬だけ父と母の顔を思い出したエルは
　　振り払うように首を振ってから静かにただ一言、答える。
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175 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:06:05 TPWIG0JI
四３１６．
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　　残りの三十段を振り返ってから確認すれば、
　　身体の芯に鈍痛が残っていて超加速はもう使えないと思い知らされた。
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　　　　　　　　　　 ∠＿＿＿ ,-‐'~.:::::::::::::::)　　（魔石解放はもう使えそうにないな………）
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￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ|￣::´::´´´ヽ　　　　＼:::::::::::ヽ
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　　本来多用が出来ない切り札を連続で使ったのだ、
　　このぐらいの反動で済んだのは魔法の加護が衝撃をだいぶ軽減してくれたからに他ならない。

　　そもそもグラナダで一度見せてしまった手があの妖術師相手に通用するとも思えない。
　　雨中で超加速が使えない理由通りに欠点は多く、
　　通り道に液体や固体を置かれたらこちらの身体が穴だらけ、もしくは肉片になってしまう。
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176 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:07:05 TPWIG0JI
四３１７．
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　　純粋な火力勝負で戦いを挑まなければならない。
　　しかし命を削ってでも必ず勝つ、と覚悟を決めるのと同時に残りを一息で駆け上がれば―――
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　　　　　　　　　　l.:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::..＜´　|主　}ﾄ､　　　　　　　　　　　 ::::::::r-､:::::j |::::::::|
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　　　　　　　　　　　 ` ー一'´￣　　　　　ヽｰ彡'.::::::＼　　　　　　　　　　 ::::/ヾ-::::|　|://:::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ.:.::::::::::::丶　　　　　　　　 _/　　|::::|.　 └┘
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨.:::::::::::ハ　　　　　　　　　　　 |::::|　　　　＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨/.:::::::::::}　　　　　　　　　　 .|:::::|　　 /| |:::::}　　 ,,-┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 V.::::::::::::::ヽ　　　　　　　　 |:::::」　　|:::| |::/_　　 |::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈.:::::::::::::::::::}　　　　　　　 |／　　 L:ﾉ　/:::|　　|::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Y.::::::::::::::入　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::/　　|::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ー=≦∨〉　　　　　　　　　　　 |/　　 |:::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }主}｀ヽ/　　　　　　　　　　　　　　　　　 .|:::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｊ主ｊ_ ,ﾉ|　　　　　　　　　　　　　　　　　 |/,-┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ー‐ヘ.ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {ー‐彡'　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣
178 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:08:05 TPWIG0JI
四３１８．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　果たして、奴は居た。
　　円上の台地に作られた祭壇の上、六つの宝具に囲まれて光り輝く魔方陣の中央に。
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　　　　　　　　　　　　　ﾞ,∵,､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, +,∵
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　　　　　　　　　　　　　　　　　 `'∵',+'∴; , 　　　　　　　　　　　　　　　　　, . , ; + ;∵ 'ﾞ
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180 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:09:05 TPWIG0JI
四３１９．
――――――――――――――――――――――――――――――――
　　距離は二百メートル以上離れているが、
　　やらない夫の驚異的な視力は人影の上空を高速で旋回しているのが
　　無数の短刀なのだと見て取っていた。
――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　=+i　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　=+i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜二二+={三|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜二二+={三|　　　　　　　　　　　　　＜二二+={三|
　　　-　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　=+i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜二二+={三|　　　　　　　　　　　　＜二二+={三|
　　　　　　　　　　＜二二+={三|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　=+i　　　　　＜二二+={三|
　　　　　　　　　　　　　　=+i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜二二+={三|　　　　　　　　　-　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　-
　　＜二二+={三|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜二二+={三|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜二二+={三|　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜二二+={三|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　=+i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　=+i
　　　　　　　　＜二二+={三|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　=+i
　　　　　　　　　　　　　　　　　 -　　　　　　　　　　　＜二二+={三|
=+i

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／三三三三:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／三三三三三三: ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / /三三三三三三三ﾆ:､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾊ/三三三三三三三三:i ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i/三三i三三三三三三三! :i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {ｉ三三:ｌ!三三三三三三三!::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾊ{三三:!l三三三三三三!三:!l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾊ:!l三三! !:三三三三三:l !三!i　　　　「来た、か」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾊ::ﾆ三三ﾚ´￣ヾ三三三j l三リ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｉ三:ﾆ:三:{　｀¨´　`ｰ＝=ァ'三/ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾊ三ﾆ三三:、　　 _'_　　/!ｌ∨:ﾆ!:ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 //三三ﾆ三三ゝ　___ .ィ i ｌﾘ'三i三ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ i三三三ﾆ:三:l　}}　/　 ,{!/三ﾆｌ三ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 //l.!三三三ﾆ:三:ゝﾞヽ{　 ,〃三ニl三三ﾊ
　　　　　　　　　　　　. 　　　　 /三!l三三三ニ三三:ヽ.ソ三三ニ:ﾘ三三ﾆ:､
　　　　　　　　　　　　　　　　 /三三:三三三ニ三三三三三三ﾆ三三三ﾆﾊ
181 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:10:05 TPWIG0JI
四３２０．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　理力魔法の中で言えば下位に含まれるその魔法は攻防一体、
　　半自律的に術者を護るものなのだが規模があまりにも違いすぎる。

　　見習いならば二、三本、熟練した魔導師でも十数本が良いところだと言うのに
　　陽光が刃に反射する数は三桁に達しようかと言う程だ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　|＼_ 　 _ノ .|
　　　　　　　　　　　　　　　　|( ○) （○)|
　　　　　　　　　　　　　　　＿|.u(__人__） |
　　　　　　　　　　　　　　　　,-ヽ、ヽ｀⌒´　/＞..、　　　　　　　　　　　　　　　ﾀﾞﾝｼﾝｸﾞ･ﾀﾞｶﾞｰ
　　　　　　　　　　 r ´::::::,::-ヽｌゝ　／ゝｌ:::::::｀＞､　　　　　　　　　　　　「短刀乱舞の魔法か！
.　　　　　　　　　　　 /:::::::::::＼::::∧　∧ ／ヽ|::::::::::::l　　　　　　　　　　　　これはやっかいだぞ！」
　　　　　　　　　　　　／ ::::::::::: 「´:::::/∨　｀|:::＜ﾞ:::::::::::::＼
　　　　　　　　　　／:::::::::,／| ::| ::::/ //　　|::::::/:::::::,､::::::::::＼
　　　　　　　／:::::::::／　 | ::|:::/ . |.|　／|::::/::::::/　.＼:::::::::＼
.　　　　　　　／:::::::::／　　　/::::|/　　|.|　／|::/ :::: | 　　＼:::::::::＼
.　　　　／:::::::::／　　　　 | :::/｀　　|.|　　 |/ :::::: |　　　　＼:::::::::＼
　　　　／:::::::::／　　　　／´:::/　　　 |.|　　 |::::::::::∧　　　　　　＼:::::::::＼
.　　/彡＼／　　　／:::::::::/:l. 　　 |.|　　 |::::::::::::∧　　　　　　　＼::／ゝ､
　（/＼）/　　　／::::::::::::/ ::|　　　// . ∠|::::::::::::::∧　　　　　　　　| l, , , , |
　 /ヽ/ﾞ´　　　　　|:::::::::::／￣|　　 .|.|　―‐|::::::::::::::::∧　　　　　　　｀'￣￣
. /　/　　　　　　 |::::::::/　　〈　二|.|二´　∨:::::::::::::::｀＼
/　/　　　　　　 .∨ /　　 ∠､＿／ｌ＼＿＿∨:::::::::／￣
　/　　　　　　　　　∨　　　/::.::::::::::::::リ:::::::::::::::∨／
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　　　　　　　　　　　 /:::::::::::::::::::/ 　∨:::::.:::::::::∧
　　　　　　　　　　　　　/::::.::::::::::::::/　　　∨::::::.:::::::∧
　　　　　　　　　　 /:::.:::::::::::::::/ 　　　∨::::::::.:::::∧

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　もしあの短刀一本一本に毒が塗られていたら。
　　想像でしかないが、もしもの為にかすり傷一つ負うわけにはいかないやらない夫の頬を
　　氷点下に近い汗が滑り落ちた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
182 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:11:08 TPWIG0JI
四３２１．
―――――――――――――――――――――――――――――――
　　それでもこの距離は自分の距離ではない。
　　集中を最大限に高めて歩を進める彼の後を、少し離れてエルが続く。
―――――――――――――――――――――――――――――――

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`─‐∨ /::/:::/ /＼　　　〉　　　　　　 .ヽ‐゛　　ﾞ‐'｀丿丿
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　...:;.:;.:;;:.;:::;;;;;;;:: :;;;...:;;..;;;...:;;...:;;
　　　　　　　　　　　 ...:;:;:;.:.;:.:;.:;.:;.:;.:;:.;.:;.;. :;;;;;;;:::; ;;;;;;:: ;......:;;
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183 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:12:05 TPWIG0JI
四３２２．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　様子を見ながらのゆっくりとした前進。
　　だがその距離が百五十メートルになっても、百メートルまで近づいても妖術師は動こうとしない。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　／　　　　_,,､､､__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　／　　　／　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　／　　　　/　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　／　　　　　/ ＼　／　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　／　／　　　　　 |（●）（●）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　／　／　　　　　　　　 | （__人__）　u　　 |
　　　　　　　　　　|ニミヽ久_／　　　　　　　　　 .|　｀ ⌒´　　　　　 |
　　　　　　　　　 <　Y／ヽ)　￣ﾐﾄ、　　　　　　ヽ　　　　u　　　 .l
　　　　　　　　ィ< ＼しｲ\|ト＜　i |　　　　　　┌// ヽ　　　　　　＿＼　　　　　　　　「………動かないな」
　　　　　　┌入ム// 　 l　　　￣　　　　　__/∧　　 |　　　式斤　￣＼
　　　　／￣￣＼　|　　 |　　　　　　　　/　/　∧　 | 　／,≧彳斗＼　＼
　　　 Eｪ_　　/￣ヽ|　　ﾊ　　　　　　　/|　|　　　∧彡斗〆　＼ο／　　　ヽ
　　　/ ＿_　 l　　　＼彡 ∧　　　　　 /　∨|　　､＞、　　　　　　｀´　　　　　　l
　　 >ｲ .／＼l　　/￣/￣￣￣￣｀`トｪ＜｀`斤＼　＼　　　　　　　　　　　　　|
　／ミ／　　＼__|　 |　　　　　　　／　　＼　　　ヽ　 l　　　／　　　　　　 |
　ヾ／　　　　　　　｀　＜_　　　　　 |　　　　　 |　　　|　 |　／　　　　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　 ∨ ￣｀`ヾ＜|　　　　／　　 |　 |／　　　　　_＞＜　/
　　　　　　　　　　　　　∨　　　/ |　　｀ﾄ弋斤ー─乞　/＿＿＞＜″　　 /））
　　　　　　　　　　　　　 |　　　/　∨|　　　　　　　　　　　　　　　　＞ミ､_/:／
　　　　　　　　　　　　　＼　　　　∨　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,' i l::::::入:::::::､:::::::ヽ::::::::ヾ ::',:::ミﾆ-､_::::::::::::::::　
　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 /,i! l:::ン　ヽﾐ::::iヽﾐ::::､:::::::::ヽ::',:',::::`ｰ-`:.､::::::::::::::::　
　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 iｿl|.／　　　`ﾞ'､｀ヾ::::ヽ:::::::'::',!',::::::::::::::::::::::::::::::::::::　
　　　　　　　　　　　　　　　　. 　　　l!. l!ヽ､_　ー　　　ヽ　＼':,ヾ:::::::'!i'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,-
　「逃げる必要などない、　　　　　!　'i!; l|!ﾞi　　　　　　　　　ﾞ'ｬ,＼､:::::::::::::i::::::ｬ::ヾ､:::::: ／／
　と思っているのでしょう。　　　　　 li､ l!:i　　　　　　　　　　ヽ `ﾞYi:::::::ili:::::i',ヾi;,'／／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ!ヽ::`ｬ-⊆＝ｯ-　　　　　　　i:!;:::::i! ',:::l ' ,Y ／
　あるいは―――」　　　　　　　　　　ヾ､,ﾍｧ'｀　　　　　　　　 l!';::::i　ｿ! /!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ、　　　　　　　　　ﾝ'i:ﾘ　ﾘ'/!i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'　　　　　　　_,.-'"'　ｿ　 '/ｉｌ＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　　 _,_'"::::　　　ﾞ ,r ' ￣　　` ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ､＿_､ｼ'ﾞ'"ﾏTﾐヽ　／　　　　　　　　 `ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽヽｿ

――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　すでにライトの魔法の射程内には踏み込んでいるはずだ。
　　なのに動かないのは余裕を見せているのか、儀式の最中で動けないのか。
　　もしくは呼び込もうとしているのか。

　　全ての可能性を疑ってかからねば、と思考を巡らせるエルがさらに近づいた時。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
185 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:13:07 TPWIG0JI
四３２３．
――――――――――――――――――――――――
　　俯いてた顔を上げ、フードの奥から声が放たれた。
――――――――――――――――――――――――

　　　　　　／　　 :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::　　　:::::::::ﾍ
　　　　　 /　 :::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ﾍ:. 　　　 :::::::::::ﾍ
.　　　 /　 :::::::::/::::::::::::::::::::::::　　::::::::::::::::::::::::::::::::::: ﾍ::. 　　　::::::::::::ﾍ
　　　　/　:::::::::::/::::::::::::::::::::::::　　 :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|::: 　　　 :::::::::::::|
　　　 | 　:::::::::/::::::::::::::::::::::::　　::::::::::::::::　　 ::::::::::::::::::::::|::: 　　　 :::::::::::::|
.　　 |　:::::::::/::::::::::::::::::::: 　 :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i|:::　　　　 :::::::::::::|
　　　|　:::::::/::::::::::::::　　::::::::::::::::::::::::::::::::::::　 :::::::::::::::::::::|::: 　　　 :::::::::::::::|
　　　|　:::::/::::::::::::　　:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::　 :::::::::::::::::::::i|::::　　　　::::::::::::::|
　　　| :::::/:::::::＿,,..r-＝77= ‐- = ≦ー＝へ､_:::::::::::::i|::::　　　　::::::::::::::|　　　　　　「もう少し時間を稼げると思ったがな。
　　,/　 :::::ﾞ＜´:::::::::::::::;;;;;;;;;:::::;:;:;:;:;::::::::::::::::::::::::::::＼_＿}::::　　　　:::::::::::::|　　　　　　殺してきたのか？」
　　＼／::::::::::::::ﾊ　　|;;;;;;小.::::::::　＿_ ,.　　 ∠._,'　 /　　　　 :::::::::::::::/
　　　　＼:::::::::::/::::::|　 |;;;;;;;i;;;;ゝ. 　　　　　　_,.r- !／　　　　　:::::::::::::廴,
　　　　 / :::::/::::::::::::|　|;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀ヽ.＿,. ／　:::::::::::::::::::::::::::::_,.;r=≠≦::::｀ヽ
.　　　 / ::::/　:::::::::,'　,';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;／　 :::::::::::::::::::::::::::::／､::::::::::::::::::　::::::::}
　　　/ ::::/ 　:::::::,'　/;;;;;;;;;;;;;;;;;_;;;;;;;;;;/___,.. -─　::::::::::::::::::::::　~ﾞ'-=　￣::::::::/
.　　/ ::::/ 　:::::::,'　/;;;;;;;;;;;;;;;;|　ヽ-'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::　　 ::::::〈
　　/::::::/ 　:::::::/.､-───-ﾄ､　　　　 ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::　::::::/
.　/::::::/ 　:::::::/.::::》　　　　　　'{　　≦=≠ :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::　　:::::{
. /:::::/ 　::::::::/ :::::::＼_,.=＝≠､/二￣　 ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::　　:::::j

　　　　　　　　　　　　　　　￣　　､_
　　　　　　 ´　　　　 __....--‐'''"´: :＼
　　　　　 _/_....-一'''".／ : : : : : : : : ／ヽ
　　,.ｘ‐て/: : : : : : : ／ : : : : : : : : ／: : : :ヽ
　/::,;:/そ|_:_:_:_:_:_／_:_:_:_:_:_:_:_:_／_:_:_:_:_:_:_|
./:/V　　 l　　　　　　　　　　　　　　,‐-,.._ ゞ
.V.　　　 l　　　　　　　　　　　　　　l　弋心 l
.　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　冫.ー　く
.　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　ﾉ!　　　　「キル夫は無事だ！
.　　　　 l　　　　　　　　　　　　　　｀ー‐ f ｒ'
　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ'　　　　　　お前の支配ももう届かない！」
　　　　　!　　　　　　　　　　　　　　 /
　　　　 ,'　　　　　　　　　　　　　　　 /
　　￣　｀ー -　　　　　　　　　　　　 /
　　　　　　　　　｀　､　　　　　　　　/
　　:.:.:.:.:.:...　　　　　　　　､　　　／
　　:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..　　　　　　.:.:ヽ _　´
　　ー-　:.:.:.:.:.:.:.:..　　　..:.:.:.:.:.:ヽ
　　　　　｀　､:.:.:.:.:.:.:...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　　　､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
　　　　　　　　　..:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　　..:.:.:.:.:.:.:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./
186 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:14:05 TPWIG0JI
四３２４．

　　　　　　　　 ,．=三三三三: ＼
　　　　　　　　　／三三三三三三三ヽ
.　　　　　　　 //三三三三三三三三:ヽ＼、
　　　　　　　 //三三三三三三三三三:ヾ三ﾄ､
　　　　　　　ﾊ三三三三三三三三三三三三:ヾ:､
　　　　　　ﾊ三三三三三三三三三三三三三ﾂﾘ
　　　　　 i三三三三三三三三三三三三三/:/
　　　　　 |:三三三三三三三三三三三三:/:/
　　　　　 !:三三三三三三三三三三三:／:/
　　　　　　,!三三三三三三三三三三;:< :三{
　　　　　 /ｌ:三三三三三三三三:／　 / 三!　　　　　「………核を見つけただと？
　　　　　ﾊ三三三三三i三三三/　　ｧ' :三:!　　　　どのような技術だ」
　　　　ﾊ三三l!三三三l!三三ﾊ＞- ' :三:シ
　　　 //:三://l:三三三:!l三三三ヾ/三／
　　　ﾊ三三/::i!:三三三:､ヾ三三三l三{
　　 .ﾊ三三'三!三三三ヾヽ:＼三三ﾄ､:i
　　ﾊ:三:/:三三三三三:＼ヾﾐ､三三｀ヽ
. 　ﾊ三:/:三三三三三三:｀ヽヾﾄ､＼三/
　　ﾊ三/:三三三三三三三三三三:∨{:i

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　どういう事だ、と呟いたフードの下の顔を見透かさんとするエルの眼光は暗い。
　　実際に相対するのは初めてのこの存在が、許せない相手である確信を得ようとただ睨み付けている。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

.　 /,/;:;:;:;/;:;:;/;:;:;:;l;:、;:;ヽ;:;:;:;:ヽ;:;:;:ヽ;:;:;＼;:;:;:;:;:;l;:;:;:;:;:!｀'＼
　/　ｌ;:;:;:/ //;:;:!;:;:;ﾍヽ;:;:;:;＼;:;:;:＼;:;:;＼;:;:ヽ;:;:;:;:!;、;:;:|
./　/;:;:;/ //;:;:;:|ヽ;:;:'､;:;＼;:;:;l;:;ヽ;:;:＼;:;:ﾍ　i',:;:;:;| ヽ:;:;i
　　|;:;:/l;:l/;:;:l;:;:!ヽ＼.＼;:;:＼ヽ、＼;:;:＼ ', | i;:;:;i':,::＼|
　　| /;:;:/l |;:l;:;:| i´ f::::j ､＼;:＼　,rt:::j フl .! |ヽ:! !;:ヽi＼
　　| ヽ/ |､ヽヽ {　`＝‐' ヽ|｀ｰゝ`ｰ＝'　l ! |;:;:;l !ヽ＼- ゝ
　　|　 |;:;l ヽ＼ヽ　　　　　　　　　 / | i;:;:;:!.|:;::|:;:!
　　　 |;:;l　|＼ヽ_,ゝ　　　　　i 　　　　 / ,! :;:! !;:;:l;/
　　　 | ∧ |;:;:ヽ' 、　　　｀ ´　　　　　/|/ l;:;:;ﾍ;:;:i　　　　　　　「……………」
　　　 |/　ヽ ∧ヽ,＼　　‐‐---‐‐　　ｲ/;:;:;:|;:;:/ ヽ!.
　　　　　　 |/　|∧|　＼　　　　／ .| / l/;:;:l
　　　　　　　　 |'　 l　　ヽ、　　／　　 l'／ヽ/
　　　　　　　　 l　　　｀￣´　　　　l､
　　　　　　　　　,. '´　　　　　　　　　　　ヽ､_
　　　＿_ ,..　'' ´ 　ヽ　　　　　　　　 /　　　｀'ー-　..__
-‐ '´ {´　　　　　　　ヽ　　　　　　　/　　　　　　　　｀} ￣ 'ー- ､
　　　ヽ　　　　　　　ヽ　　　　 / 　　　　　　　　　/ /　　　ヽヽ
　　ヽ　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ /　　　　 |　ヽ
　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　 /　　　　 ',
　　　　　　　｀'ｰ-　 _　　　　　　　　＿　 -‐ '´　　　　　 /　　　　　l
　　/　　　　　　　　　｀'ー----‐ '´　　　　　　　 /　　　 l 　　 l　　　!
187 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:15:06 TPWIG0JI
四３２５．

　　　　　 /　 :::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ﾍ:. 　　　 :::::::::::ﾍ
.　　　 /　 :::::::::/::::::::::::::::::::::::　　::::::::::::::::::::::::::::::::::: ﾍ::. 　　　::::::::::::ﾍ
　　　　/　:::::::::::/::::::::::::::::::::::::　　 :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|::: 　　　 :::::::::::::|
　　　 | 　:::::::::/::::::::::::::::::::::::　　::::::::::::::::　　 ::::::::::::::::::::::|::: 　　　 :::::::::::::|
.　　 |　:::::::::/::::::::::::::::::::: 　 :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i|:::　　　　 :::::::::::::|
　　　|　:::::::/::::::::::::::　　::::::::::::::::::::::::::::::::::::　 :::::::::::::::::::::|::: 　　　 :::::::::::::::|
　　　|　:::::/::::::::::::　　:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::　 :::::::::::::::::::::i|::::　　　　::::::::::::::|
　　　| :::::/:::::::＿,,..r-＝77= ‐- = ≦ー＝へ､_:::::::::::::i|::::　　　　::::::::::::::|　　　　　「お前は―――
　　,/　 :::::ﾞ＜´::::::::::::::::;;;;;;;;;::::;:;:;:;:;::::::::::::::::::::::::::::＼_＿}:::: 　　　　:::::::::::|　　　　　いや、お前達は本当に面白いな」
　　＼／::::::::::::::ﾊ　　|;;;;;;小.:::::::　__,.　-ｧ　 ∠._,'　 /　　　　 :::::::::::::::/
　　　　＼:::::::::::/::::::|　 |;;;;;;;i;;;;ゝ. 　　￣　　_,.r- !／　　　　　:::::::::::::廴,
　　　　 / :::::/::::::::::::|　|:;;;;;;;;;;;;;;;;;｀ヽ.＿,. ／　:::::::::::::::::::::::::::::_,.;r=≠≦::::｀ヽ
.　　　 / ::::/　:::::::::,'　,':;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;／　 :::::::::::::::::::::::::::::／､::::::::::::::::::　::::::::}
　　　/ ::::/ 　:::::::,'　/;;;;;;;;;;;;;;;;;_:;;;;;;;;;/___,.. -─　::::::::::::::::::::::　~ﾞ'-=　￣::::::::/
.　　/ ::::/ 　:::::::,'　/;;;;;;;;;;;;;;;;|　ヽ-'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::　　 ::::::〈
　　/::::::/ 　:::::::/.､-───-ﾄ､　　　　 ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::　::::::/

――――――――――――――――――――――――――――
　　好奇心を掻き立てられた妖術師の口調と声が記憶と合致し、
　　憎悪をむき出しにした復讐者が声を張り上げると―――
――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　_ｨ:::::::::〃::::::::::::l!::!:::::::::::＼ヽヽ:::::ヽ:::::::::::::::::::t=ｰ-.
　　　 _ｨｼ='7:::〃::::ｨ''|!i:::!i::,::::::､::::::ヽ::::::':,',､;,:::::::::::::::::::::ﾝｯy､,_
　　´"　　/::::::/:::/,.-ｬj:::l 'i!';::::i＼::::ヽ:::::::',',',i!::::::::::::::f"''''＝=-''
　　　　,.ｼｨ::::::::ｿ !. (::)ﾘ!　ﾍ',:::l,,､ﾇ;:::ヽ::::::',',',':::::::::::::::',
　　　〃ｼi::::::::ｌ　｀""゛　　` 'ﾘ (:::)ﾔ､:ヽ:::!:','::::::::::::::::',
　　　 '　'　.ｌ::::::::l　　　　　　ヾ'''''" Y:::::::::::::!::::::::::::::::',
　　　　　　i::/ｌ::::!　　　ヽ　、　　　　ｌ:::::::::::::::'::::::::ｯ::::::',
　　　　 l/　!:::'､　ｧ､.　　　　　　　 !:::::::::::::::::ｫ:::::!';::::::',
.　　　　 ,!. 　|/ ';､. ヾﾐ.`j 　　　 ,イ::ｧ:::::::::::::::i '､::',ﾔ::::､　　　　　　「ライト！
　　　　　　　　" . ';ヽ　　　　　,､y'´ /ｼｌ::::::ヽ:::::ｌ　ヾ;　゛丶　　　　　　私の顔を忘れたとは言わせません！
　　　　　　　　　　'|!`=tｰ:::'"／　 /'　ﾊ::;::::il!';::!
.　　　　　　　　　　　　'i::: '　　　　　　　ﾘｿヽ'ﾘ､　　　　　　　　　　今こそ、父さんと母さんの………
　　　　　　　　　　　　　　!'i　　　j　　　　 ~ヽ　　　　　　　　　　　　お前に傷つけられた大勢の仇を取る！」
　　　　　　　　　　　　　　ﾘ､　／　 ―ー '''"""f,
　　　　　　　　　　　　　 / _冫'''~ 　　　　　　 ',
　　　　　　　　　　　　／ ´　　 ,､　　　　￣~ ヽ　 'i
　　　　　　　　　　　l!~　　　　/　　　　　　　　ヽ.　!
　　　　　　　　　　　ｿ. 　　　/　　ﾝ　　　　　､　',　l
188 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:16:05 TPWIG0JI
四３２６．

　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　|＼_ 　 _ノ .|
　　　　　　　　　　　　　　　　|( ー) （ー).|　　　　　「そうか、エルは………」
　　　　　　　　　　　　　　　＿|　(__人__） |
　　　　　　　　　　　　　　　　,-ヽ、ヽ｀⌒´　/＞..、
　　　　　　　　　　 r ´::::::,::-ヽｌゝ　／ゝｌ:::::::｀＞､
.　　　　　　　　　　　 /:::::::::::＼::::∧　∧ ／ヽ|::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　／ ::::::::::: 「´:::::/∨　｀|:::＜ﾞ:::::::::::::＼
　　　　　　　　　　／:::::::::,／| ::| ::::/ //　　|::::::/:::::::,､::::::::::＼
　　　　　　　／:::::::::／　 | ::|:::/ . |.|　／|::::/::::::/　.＼:::::::::＼
.　　　　　　　／:::::::::／　　　/::::|/　　|.|　／|::/ :::: | 　　＼:::::::::＼
.　　　　／:::::::::／　　　　 | :::/｀　　|.|　　 |/ :::::: |　　　　＼:::::::::＼
　　　　／:::::::::／　　　　／´:::/　　　 |.|　　 |::::::::::∧　　　　　　＼:::::::::＼
.　　/彡＼／　　　／:::::::::/:l. 　　 |.|　　 |::::::::::::∧　　　　　　　＼::／ゝ､
　（/＼）/　　　／::::::::::::/ ::|　　　// . ∠|::::::::::::::∧　　　　　　　　| l, , , , |
　 /ヽ/ﾞ´　　　　　|:::::::::::／￣|　　 .|.|　―‐|::::::::::::::::∧　　　　　　　｀'￣￣
. /　/　　　　　　 |::::::::/　　〈　二|.|二´　∨:::::::::::::::｀＼
/　/　　　　　　 .∨ /　　 ∠､＿／ｌ＼＿＿∨:::::::::／￣
　/　　　　　　　　　∨　　　/::.::::::::::::::リ:::::::::::::::∨／
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　　　　　　　　　　　 /:::::::::::::::::::/ 　∨:::::.:::::::::∧
　　　　　　　　　　　　　/::::.::::::::::::::/　　　∨::::::.:::::::∧
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　　必死な彼をあざ笑った相手がフードに手をかけた。
――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
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　　　　　　　　　__,,／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
　　　　　　　ｆ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.',
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　　　　　　　　 l::く　　　　　　ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.',
　　　　　　 l:>　　　　　　　ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:',
　　　　　　　　　!:〉、　　　　　　 {:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:〉
　　　　　　　　 y　 !ヽ　　　〈:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/　　　　　　「ククク………」
　　　　　　　　 /　　!:.:.|　　　　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./
　　　　　　　 !、　　ヽ!　　　 !:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.{
　　　　　　　　ヽ.　　|　　　　 |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:〉
　　　　　　　　　　　iヽ |　　　　 |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　　　　　　ヽ:.:! 　　　　|:.:.:.:.:.:.:.:､__:.:.ー''´〉
　　　　　　　　　　　〉:| 　　　.l:.:.:.:.:.:.:.:.:.、:.:.二:.〉
　　　　　　　　　　　〈:.:.| 　　　 |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`ー:.:.:.7
　　　　　　　　　　　ﾉ:.:.!　　　　 |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
189 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:17:06 TPWIG0JI
四３２７．

　　　　　　　　, 　　　 /〃ﾊヾ　 / ∧∨〃､ヾ}　ｌ| :}ﾐ;l＼　　　ﾊﾞｻｯ
　　　　　　　　/〃//　/ 〃l　lヽ∨,〈ヽﾞ､ﾒ〈　}} ;l　ﾘハｌ｀!ヽ.
　　　　　 //' /,' 　,' 〃ｌ　l川/,ﾍ丶＼;;ヽ/:'/〃∧ l ﾄ､:l　!
　　　　　〃,'/ ;　 ,l ,''　,l|　ﾚ'/Ａ､.`､＼;;ヽ∨〃/,仆|│l }. |､
　　　　　 i' ,''　l|　,ｌ ' ｌ.　!|　l∠ﾆ_‐＼ヽ;＼,//,ｲ| ｌ | l　ﾄ/ λ!
. 　　　　　ｌ ;　 :|| ,'i:/ ｌ|　|:|: |｀`'^‐｀ヾ∨｀ﾞ/／|斗,l ! | ,ﾀ /l.| ｌ
　　　　　　l ' l　|｣,' l'　lﾊ　|'Ν　　　￣´ ／｀　,|l_=ﾐ|! ly' ,〈 :|| |
　　　　　 |ｌ .l　H|i: l　|　ﾞ､| l　　　　　 _.::: ,!: l厂`刈/ /!} :ｌ|
　　　　　 |! :ｌ　|)!|　! |　　ヽ　　　　　 '´ ’/'_,.　　　ノｲ.〃/|!
　　　　　 l|ｌ |ｌ「ﾞ|l　|`{　　　　　　　　　.. 　 _　　　|}/,ﾊ l
　　　　　　 |!ｌ |l､|　!l :|. 　　　‘ｰ-‐=＝ニ=:､__ｊ:）　　ｌ'|/|l ﾘ
ヽ￣ﾆ‐､__.｣乢!L!lヱL｣__ 　　　　　　ー､　`'''´ 　从「 /
　＼　｀ヽ＼　　　　　 /l |　　　　　　　/￣´　　　　//
.　　,、　 l　ﾞ､　　　　/ ' |､　　　　　　{　　　　　/l/　　　　　　　「ハーフ・エルフの半端者が。
　　 '}　　ｌ　　ﾞ,　　 / 　 |:::＼　　　　}　　　　,.ｲ/　　　　　　　　生き辛い世界でまだ悪あがきを繰り返していたか」
　　　ｌ　　l　　 l　 ,.ｲ　　 l:::::::::＼__　　`'-‐::"// |′
　　　l　　 !　　Ｋ　ヽ,、　＼「`''''''''"´:::::::;;:" //
.　　 l　　ｌ　　ﾄ､＼(　_....　ヽ　　.:.::::::::;;″ /' 　　　　　＿
＼　 |　　ｌ|　　八､ヽi´　　　| .:.:::::::::::::i'　.:/'"´￣￣￣ ,.へ＼

―――――――――――――――――――――――――
　　現れた素顔は確かにライト＝ヤガミのそれであったが、
―――――――――――――――――――――――――
190 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:18:05 TPWIG0JI
四３２８．
―――――――――――――――――――――
　　最後に見た姿と全く変わっていなかったので
　　そんな馬鹿な、とエルは驚愕し、
―――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　,
　　　　　　　　　,r/　,;-ー_
　　　　　　　　　/:::レ:::::三:::::｀ミ::=-､
　　　　　　　　 ,i::::::::::::::::､:::::::､::::ヾ::ヽﾐｰ-､
　　　　　,r'::::::::::::::::::ヽ::::::::＼.:::::::::::::＼
　　　　　　//:::::/:::;:::i:::::ヽ:::::::::::::＼::::::::::::::ヽ
.　　　　/::/:::::::/_ヽ:!:::::ヽ:::i`_､:::::ヽ ::ヽ:::::::!
　　　　 i::/::::::::/'oヾ､:::|ヽ::Y o＼:::::i!::::ヽ::::＼
　　　　　l:::i:::::::::lゝ- '　ヾ、ﾞ ! ｰ '､ヽ:::::!:::::ヽ::i ヽ
　　　　　!::!:::i:::::!　　　` ｀ヽ　　　　 i:::::!::::::::::::i
　　　　l:!:::l:::l !　　,r_ー‐-､　　　l::::!::::::::::;::i　　　　　　　　　　　　「………若い！？
　　　　　　!|:.!::', 　　i'/￣￣ i 　u 　l:::::::::::::ハ:!
　　　　.　　 l::::::ヽ.　ｉ　　　　i　　　ｨ::/i:::::ﾊi　 !　　　　　　　　　　　　馬鹿な、お前は六十過ぎのはず！」
　　　　　　　i::li:::＼ `ｰ--‐' 　　／ﾘ　|:::ﾘfﾊ､_
　　　　　 _..!:ﾊ::::l;ヽ､　　　／　　"　l::/i　ヽ. ｀`''ｰ- ､._
　　　,r‐'''"´　 !　ﾘ!i ヽ `＝'"　　 ,　　ﾘ /　　ﾝ　　　　 /ヽ、
　　 /ヽ　　　　　　ヽヽヽ　　　/　　／　　　　　　　　/ 　ヽ
　　l 　＼　　　　　　＼　 '　　　　　／／　　　　　 /　　　 i

　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　　　　　 _／_,,.......,,,,..ヽ_
　　　　　　　　　　　　　　　　 .,,i_:_:_:_:_:_:_:_:_:_:_:ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 /;;|　　（●）（●）|
　　　　　　　　　　　　 |;/|　　　（＿人_）│
　　　　　　　　　　　　　　 | 　u　.｀ ⌒´　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　 |　　　　　　　「………奴の目的は
　　　　　　　　　　　　 .　ヽ　　　　　　/　　　　　　　強力な再生をねじ曲げての若返りだったのか！」
　　　　　　　　　　　　　　　　　 / lヽ　　　　/
　　　　　　　　　　　　　＿／ﾞヾヽﾉ_ヽ￣ﾉ　,r‐;=
　　　　　　　　,r‐＜￣´､ヽ、｀ﾄ-＝==＝ﾊ| 　 ,`v-, ､__
　　　　　　 /　　　｀ｰ-｀､ｰ_`､ ,!'｀`'┴┴ヘ,|／.-'_´.-' 　｀ヽ
　　　　　　 l　　　　　　　　 r-ｨヽ.}ヽ､__　　_,.-ﾍ´‐'r-ｨ　　　　 |
　　　　　ﾉ、　　　　　　ヽ_ｿ≠====:三===キヲ_ノ　　　　 |
　　　　　〉､丶､ _　　 __,. ゝシ｀`ー---ll--‐‐ﾍゞ‐′ 　　 ,. ヽ、
　　　　　 !、 `丶--'丶､＿_,ノ　　<＾＾>　||　　　ヽ,--､ -‐',. イ´
.　　　　　 }､`_ー_'二フ７'､_}ヽｭ__,.., Ⅴ　´￣｀丶､_,ｯ}:::ゝ-二._,.ｲ
.　　　　〉､_ 二 -ｨ′八ヽﾞ´Y　　　　　　　　　　}ﾘ::::::::{'ｰ--〈
　　　　　/ｰ--‐''´::::::/;;;;;ヽヽ､_>､　　,. -─‐- ､ノﾚi:::::::::ゝ､ーｲ
.　　　　 l::::::::::::::::::::::/;;;;;;;;;;;;〉｝　　Ｙ´　　　　　ｌ　|;;|::::::::::::::￣l
　　　　ゝ:::::::::::::::ノ;;;;;;;;;;;;くﾉ　　 }　　　　　　{　l;;|::::::::::::::::丿
　　　　,〉:::::::::::::::/;;;;;;;;;;;;;/ ｀ヾ丶ゝ、　　　　　ゝ'〈;ヽ､::::::::::`ヽ､
　　　　{:::::::::::::::::く;;;;;;;;;;;;r'､　　　,.､`丶` =--=''´'´ ,..ヽ､|::::::::::::::::::|

―――――――――――――――――――――――――――――――――
　　それでやらない夫は妖術師が女神の宝具を狙う理由と、
　　何の儀式を行っているかをようやく知る事となる。

　　理屈は分からないが、周囲に配置された六つの宝具が放つ、
　　大地をも活性化させる再生の力を足下の魔方陣で変換しているのだろう。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
191 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:19:05 TPWIG0JI
四３２９．
―――――――――――――――――――――――――――――――
　　彼の推測を認めたライトはニイッ、と口の端を歪めて笑うと―――
―――――――――――――――――――――――――――――――

ﾍ　',:::ﾍ|:::::::::l:::ﾍ::ﾊ:::::＼|:::::::::::＼:::::::＼:::::::::::::::::::::/:|:::::::::/:::::::
　',　＼:ﾍ::::::|ヽ:::ﾍﾊヽ:::::｀ヽ_::::::::::＼:::::::＼::::::::::::/::::|::::::/:ﾍ:::::
　 ',　　ヽ',ヽ| ﾍ＼::::ﾍ＼:::ﾍl｀ヽ:::::::l＼::::: l::::::: /｀ヽ|:::/::::::::ﾍ:
＿_ヽ　./ﾍ .ﾊﾍ:l　＼:ﾍ.　＼ﾍ　｀ヽl::::::＼::＼::l＼::::|/:::ﾍ＼:::
｀ヽ￣./　ハ:::',ﾍ..　　｀ヽ.　　＼　　｀ｰ-l:::＼::＼:::＼　　 ',|ヽl
　　 /.　　＼ﾊ　　　　　　　　　　 l:::::::..
. 　 /　　　　　｀ヽ　　　　　　　　　 l:::::::::::...
　 /　　　　　　　　ﾍ　　　 __　　｀ヽ　　_／:::::::::..　 ,　　　　　　　　　　「理解が早くて助かる。
. /　　　　　　／'';;＼　　＼＿＿＿＿＿＿__,／/
　｀''ｰ-=,,,_ 　／　　 ';;;;;＼　｀｀'ー-　-――‐ ´ノ　　　　　　　　　　　宝具がある限り私は永遠に
　　　　　　'／　　　　 ';;;|　.＼　　｀￣￣￣￣￣´ 　　 /　　　　　　　最強の力を追い続ける事が出来るし………」
　　　, r ' ´　　　　　 |.　　＼　　ー―― 　　　ｲ;;;
　　K　　　　　　　　 | . 　　＼　　　　　　／;;;;;;;;
　　 ∨　　　　　　　　　 |　　　　＼　　　 ,イ''''''''
. 　　 ∨　　　　　　　　 |　　　　,r‐='｀ー― '｀ヽ
　　　 ∨　　　　　　　 |　　　/;;'ﾍ . /　/　/　/＼
　　　　　∨　　　　　　　 |　　/　　 ∨ ./　/　/　　＼
192 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:20:05 TPWIG0JI
四３３０．
―――――――――――――――――――――――――――――
　　変身の魔法を使っての誤魔化しではない、若々しく力のある声と
　　鋭い眼光を二人の来訪者に叩き付ける。
―――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／／:::;イ::''´-=ニ二　　　　　 }::i |:::::::::::::::.ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　 ,彳／.:　´　　／.:　´ 　　 , イ:/　 |::i |:::::::::::::::::ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /,イ:::ｲ/　 ,＞´＜／　／:::／/ ,ｲ://::::::::::::::::::::::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　 //::::/ / ／イ／／　,ィ::::::::／ :/::::::://::::::::::::::::::::::::::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　ｲ/::::/ /,ｲ/:/'´::/, '／:::;ィ／.:::::::/i:::://::::「!::|',::::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　／イ:::::/／//:/ / /´/＜／ /::::::://::://:::::::}}:::! }:iY::::::::::: i
　　　　　　　　　　　　　　　　〃:/i//!|./:/　/イ:/:/ / 〃i::::::::://:/ｲ::::::;〃|i:| l:|}:::ﾄ､::::: !
　　　　　　　　　　　　　　　　′,ｲ/: |:!{:/／／/ /::ｲ　| /::/ //:::::::::/7::::::::l」 }:i| |:ヽ!:::::′
　　　　　　　　　　　　　　　　 /!i| i:|〃 /::::// /:::!　j !:: |//.::::::::://:;::::}i::::i/ / !:::::::: i{
　　　　　　　　　　　　　　 /ｲ/ {/ ィ::::::// /:::::| ﾊ |:://:::::::::::／ィ::::::|::/ ///:::::::/{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i／ｨ/:::::::::/ /弋ぅ､::i ﾚｲ:::::::::::::,戈ぅ７i/./ｲ:/::::::/ |｀
　　　　　　　　　　　　　　彳i::|{::::::::::ﾚ:/｀ーァｨ::::::ｲ//:::::ゝ-‐.:::´/ /::::/ｲ::::{ i:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ|::!/{:::::::::lヽ. ／　7:/ /ｨ::::::::::ヽフ::::::::::/7':::::::::::ゞ　　　　　「今こうして全盛期の魔力を取り戻した、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞::::::::::.　　　　 ´ 　 |:::::::::::::::::::::::::://::::::「i:::::::　　　　　と言う訳だ。
　　　　　　　　　　　　　　　　 _　-ｦ´::::::/｀i::::::::.　　　　､__|:::::::::::::::::::::::::l/:::::::::ﾚ::::::::
　　　　　　　　　　 .　　 ´　 /::::::::::/　 |:::::::::ヽ　ヾ､＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::　　　　　お前達が来る前に二十歳前に戻れるかと
　　　　　　　　　　.　 ´ 　　 ,ｲ//l:::::::/　　|:::::::::::::.＼　ー}:::::::::::::::::::::::::_:::::::::::::::::::::　　　　　　思ったが………
　　　　　　 .　´　　　　　/:::::/ 」::::/　　 ',:::::::::::::f､:::..　'´ i::::::::::::::::::::://:::::::::::::::::::::　　　　　
　　　　　　 <　　　　　　　 {::::/ /.::::/　　　　}:::::::::::::', ヽ:｀ー:::::::::::::::::::://:::::::::::::::::::::::　　　　　　まあいいさ」
　　　　　 /:::::ヽ　　　　　　|:/ /:::::/　　　　　',:::::::::::/ヽ　｀ー:::::::::::::::::´::::::::::::::::::::::::::
.　　　 /.:::::::::::.'.　　　　　|' /:::::/　　　　 ,へ}:::::::/　　＼　　|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　 }::::::::::::::::::ヽ:::ｲ　　 /.:::::/ 　　／.::/}:::::::::＼　ヽ｀:::´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　 r 7::::::::::::|',::::::::',:::ヽ　/::::::/ 　 ...::´:::::://::::::::::::::::｀ヽ　〉:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　 | {::::::::::::::| ヽ::::::ヽ:::} {:::::::::￣´::;イ::／/::::::::::::::::::::::::ゝ{:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　 }ﾄヽ::::::::::',　ﾍ::::::::::i |:::::::::::::::/ /::.　〈:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　 |::::', }::::::::::ヽ　}:::::::::| |::::::::::::::| /.::::.ヽヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　ハ:::ヽ::::::::::::::ヽ!::::::::| |::::::::::::::´::::::::::::::＼::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
. 　 }　ヽ::::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
193 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:21:05 TPWIG0JI
四３３１．
――――――――――――――――――――――――――――――――
　　放たれる重圧にあてられ、反射的にエルが攻撃に出た。
　　まずはあの魔方陣を傷つけて、儀式の中断を狙うべきだと考えたのだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　 , '::::::::〃:::::::::::.i::::::::ヽヽ:ヽ ::::::､::::::::::::::::':::､､,__
　　　　　_ｨ:::::::::〃::::::::::::l!::!:::::::::::＼ヽヽ:::::ヽ:::::::::::::::::::t=ｰ-.
　　　 _ｨｼ='7:::〃::::ｨ''|!i:::!i::,::::::､::::::ヽ::::::':,',､;,:::::::::::::::::::::ﾝｯy､,_
　　´"　　/::::::/:::/,.-ｬj:::l 'i!';::::i＼::::ヽ:::::::',',',i!::::::::::::::f"''''＝=-''
　　　　,.ｼｨ::::::::ｿ !. (::)ﾘ!　ﾍ',:::l,,､ﾇ;:::ヽ::::::',',',':::::::::::::::',
　　　〃ｼi::::::::ｌ　｀""゛　　` 'ﾘ (:::)ﾔ､:ヽ:::!:','::::::::::::::::',
　　　 '　'　.ｌ::::::::l　　　　　　ヾ'''''" Y:::::::::::::!::::::::::::::::',
　　　　　　i::/ｌ::::!　　　ヽ　、　　　　ｌ:::::::::::::::'::::::::ｯ::::::',
　　　　 l/　!:::'､　ｧ､.　　　　　　　 !:::::::::::::::::ｫ:::::!';::::::',
.　　　　 ,!. 　|/ ';､. ヾﾐ.`j 　　　 ,イ::ｧ:::::::::::::::i '､::',ﾔ::::､　　　　　　「ベヒーモス！
　　　　　　　　" . ';ヽ　　　　　,､y'´ /ｼｌ::::::ヽ:::::ｌ　ヾ;　゛丶
　　　　　　　　　　'|!`=tｰ:::'"／　 /'　ﾊ::;::::il!';::!　　　　　　　　　　　奴の足下を引き裂けっ！」
.　　　　　　　　　　　　'i::: '　　　　　　　ﾘｿヽ'ﾘ､
　　　　　　　　　　　　　　!'i　　　j　　　　 ~ヽ
　　　　　　　　　　　　　　ﾘ､　／　 ―ー '''"""f,
　　　　　　　　　　　　　 / _冫'''~ 　　　　　　 ',
　　　　　　　　　　　　／ ´　　 ,､　　　　￣~ ヽ　 'i
　　　　　　　　　　　l!~　　　　/　　　　　　　　ヽ.　!
　　　　　　　　　　　ｿ. 　　　/　　ﾝ　　　　　､　',　l
　　　　　　　　　　 /　　　 /　　 / 　　　　　',　', 'i
　　　　　　　　　　/　　　 '　　 / 　　　　　　 i.　', ｌ
194 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:22:06 TPWIG0JI
四３３２．
――――――――――――――――――――――――――
　　少し後ろに待機していた、土の精霊王が命に応え―――
――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｬ――z
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　 lｰ ''''"￣￣"　　￣￣｀'､
　　　　　　　　　　　　 ∠,,､ -z　　　 ,r――― ''"
　　　　　　　　　　　　　　　　　､ '"´,､ィ　 /
　　　　　　　　　　　　､ '" ,､ '":ﾂ　 /　　　　　 |＾l
　　　　　　　　　　､-'　,､ '´　　/　　/ 　　 /'''',,,," 彡
　　　　　　　　　　　 | ,､ '´　　　 /　　/　　　｀ﾞ＾ _,| │　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |＾l
　　　　　　　　　 '´　　　　/ ／l/　　　　　.,／,_　|　　　　　　 ;‐i　　　　　　　　　　　　　　　 /'''',,,," 彡
　　　　　　　　　　　　　　　 /／　　　　　　 l＿,'" | .|　　　　　　lﾆ　ﾆl　　　　 ;‐i　　　　　　　　　　｀ﾞ＾ _,| │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {_,lﾞ　　　　 .〈/!_|　　　　 lﾆ　ﾆl　　　　　　　　 .,／,_　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈/!_|　　　　　　　　　　　l＿,'" | .|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {_,lﾞ .
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, _､　　　　　　　　　　　　　　　　,'`ゞ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,､　 /へ, ヾ､　　,'ﾞｰ-､_,　　　　　　　　ヾi´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / ,ﾍ,|/´`ﾞ'ヾ＼,ﾍﾉノﾉノﾉヽ　　　　　　　ﾞヾ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l,/〈l,'´'､ヾlﾌ `ヾゝヽﾍﾉヽﾍﾉゝ　　　　　　　ヾ＼,
:;.:".:;.:'"ﾞ:.:ﾞ,:;、,"'.:.:;,`ﾘW,,,､,､,､从ﾘj"Wﾞﾘw;yﾉ,'´ /,vｰv､ゞｰ,´~`｀⌒｀ﾍﾉヽ,ｰ'"´⌒｀ﾞ`､　 ,ﾉ'ﾞ,`(､'`;;:_;;从w;;.,,;;";';
"　''　"ﾞ　　　　　　"ﾞ´´　ﾞ"　　　　　　　　　　｀ﾞﾉ´~´"v〉ｿ´'ﾞ´'ﾞー´,､,､´´'ﾞ´'ﾞヾゞヾヽノ'´.｀ﾞ`l,""ﾞ　ﾞ´｀｀
゛'　~　　　　~　　　　　~　　　　'　',;''　　　　　　｀ﾞ＼　　,ﾐ(,'〉)〉,／⌒｀ヽ,ｰ',ｰ'/´⌒｀ヽ´ﾞﾉ ,./　　　　　　　　"
　　　''"　　'"　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,　　｀ﾞ`ｰ'ヾ'ｼヾ(,.ヽ´`ﾉ,.)ﾉﾞｿﾞ ,(,.ヾ'´`ﾉ,.)ヾ`ﾉ　　~'　',;''
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `ｰ　　lヽ´'`＼`｀､ｰ'´`ヾノ＼`'ｰ'（
　''"　　　　　　　　'"　　　~'　　　　　　　　　　,,　　　　　　　　ノ,'ﾞﾉｿ,.ノ`ヾ:::::::ｿ　ﾉ::ｿヾヽ`ｿ＼　　　　~　　　'ﾟ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∠∠ﾚ'ｰﾚ'ゝ　`ｰﾚ'ゝ'ｰﾚ∠∠'ｰﾚヽﾚゝ
　　　　　　　　,,..　　　　　　　　'ﾟ　　　　'ﾟ"　　　　　　;,'"　　　　　　　　　　　　　　　　~　　　　'　',;''

　　　'"　　　　　　　　,;'　　　　　　　　　　　　　　~　　　　　　''ﾟ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　;:　　　,.,
　''"　　　　　　　　　　　　　　　　'"　　　　　　　　　　　　　　　,,　　　　　　　　　~　　　'ﾟ　　 ;　　　~'　',;
195 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:23:05 TPWIG0JI
四３３３．
――――――――――――――――――――――――――
　　幅、深さ共に数メートルはあろうかという地割れが生まれ、
　　まるで紙を引き裂くかのような速度で祭壇に突き進む。
――――――――――――――――――――――――――

┌┐　　.ロロ┌┐　　.ロロ┌┐　　.ロロ　　┌┐　　.ロロ┌┐　　.ロロ┌┐　　.ロロ　　┌─┐
││ 　　　 ││ 　　　 ││ 　　　　　││ 　　　 ││ 　　　 ││ 　　　　　│ 　│
│└──┐ │└──┐ │└──┐ 　　│└──┐ │└──┐ │└──┐　　　|　..　|
│┌──┘ │┌──┘ │┌──┘ 　　│┌──┘ │┌──┘ │┌──┘ 　　└─┘
││ 　　　 ││ 　　　 ││ 　　　　　││ 　　　 ││ 　　　 ││ 　　　　　┌─┐
└┘ 　　　 └┘ 　　　 └┘ 　　　　　└┘ 　　　 └┘ 　　　 └┘ 　　　　　└─┘

　　　　　　　　!　　　ｌ ... -ｰ''''"´　　　　i",! ._,,,　ｰ'''"゛ ._..-､　._,,..-‐/　　 l　./!　　_..-'.ﾞ'" . y'"゛ .lﾞ.| .''l.! ｌ
　　　 . _,,,.. -ｰ.ｌ　　 .}　　　　　　 .,,.. イ　|　　　　　／　　 lﾞ´　　　ｌ　 ./ ./ ,! '''ｪ　.,..-'" .lﾞl .,..││ ! |!
,,.'''''"´　　　　　.ｌ　 /　 ._,,　-''''ll　　　/　 |　 ._..．,''' !　　　./l］　　　　ｌ./ .'ﾞ|ﾞ .,!.,./.! 　 .L 　!.|　 /　ﾚﾞ
　ﾞ'';;　　　　　_,、レﾞ''"ﾞｌｌ　　　 ,!.l　　ｌ　　,!"゛　./|　.|　 .../ /.| ._..-''"　　 ,l′.l　! .|　,. !l　│,!　l　　　　　./∥.,／ﾞ〉
　　 |　.-''''"゛　　　　　.!.!　　_,,! .l ‘´l゛　　!　　/ .|　 !_/　_./ .,!゛　iﾄ /l .'"/　 .|│ .! ,,│l　.| .|､lﾞ　　　　 ./ .| l゛　./
'､　　! 　　　　　 _,, |│.´　l　 l　 !　　 .|　 /　 !._..ｱ'"　!　 ! .. ｌ | l .|　/　　.!/　.|/.!|　ll. ! .|/　　　　　ｌ　.|　!　ﾉ
　ﾞ〈　!　　　,,,ir‐'''"　　l　l　　,!　 .ｌ .l　　　.! .,l′ .!　　　 /　 .,!　l　|.!　|,/　　 .!l　 .″″...!!　　　　　　ｨ―ｰ7￣ｭ
　 . ｌ .! '''"゛ .lﾞ.ｌ　　　 .,! .ﾘ　 .!　　 !lﾞ　　　.! ｌ　　│_ iｔ'ﾞ !　　.! /　 l|　 |｢　　 .ﾘ　　　　　　　 /l ./　　　./ 　 .,!
　　 .ｌ.!　　　.|　!　　　 !　,!　 l　　　゛　　　.|lﾞ　　 .|゛ /.l ,!　　 | l　　.!　　　　　　　　　　　　　　 / ,!/　　　/ 　　/
ｰ ..,,　!　　　l　 .!　　 .,!　.!..│　　　　　　 .′　　 l　!　||　　 .|.!　　　　　　　　　　　　　イ　.,:lﾞ　''"゛ '、／.'/ﾞ
　　 . ゛　　 .lﾞ　　! _.. ┤ .,! .lﾞ　　　　　　　　　 !.l　 .゛　　ﾘ　　　　　　　　　　　　　　　/　!　 !ヽ,、＿＿ﾃ'゛./
　　　　　　│　 . !　　|　│,!　　　　　　　　　　　 ∥　　　　　　　　　　　　　 _ 　 ./ 　 !　 l″ .lﾞ　　./ ./
　　　._..-'"ﾞ|　　　.ｌ　｜　.!/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,／´|　　 / .ｌﾊ′ 　!　 !　　!　　_//
,,..i‐'´　　　,!　　　 .ｌ‐ !　 .|゛　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　 /　　/l、.ｌヽ./ 　 ., ｌ!､.|'''"゛ /
　||　 .、　│　　　　ｌ .!　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　／　 . !　ｌ ...ｌ'ﾞ|　 ,／/　ｌ′　/ 　 ._,,　┬
　| !　.ll.i‐' !　　　　　ｌ.!　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l／.,r‐-t /　.／ .ｌ.|../ 　i′ .l　./..-'"´　 ./
._,| .ｌﾞ:!.ｌL l　　　　　 ″　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ : .,..i/"／　　ﾌ　_,,/　 .ン'″　　　 / 　/
　|　.!│を!　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Λ　　　,i' ／ /.l./ 　　　 |'"゛　｀'i./ 　　　　 .,./ . ,/
､│　!.! .`!　　　　　　　　　　　　　　/ '､　　　　　　　　　　　/ │　 .／　 ./ /　＿ィ￣￣!　 ._,i″　　._..ｒ'"　.／/
.ヽ.!　ｌl　　　　　　　　　　　　 /　　ｌ　　　　　　　　　　/ 　.l ／　　./ ./／　　.／　）´ / 　 ,／゛　",／　/
|　ｌl,　ﾘ　　　　　　　　　　　 / 　　　 !　　　　　　 /l　 /l,　　.!　　　,i"!　!　　._..┴;;／　./ ,, '"　 _..-'″　 ./
.!　″　　　　　　　　　　　　ｌ,　　　./ 　　　　　 ./ .ｌ / │　│　 / 　l / / ﾞ_,, ｨ'″　 ./ .゛.,..-'"゛　　　　./ 　　ｌ
.；　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ,　 ./ 　　　　　 ./ 　 l″　ｌ、　! ./ 　 .ﾞ/..=ﾆ､ .,..!　　　 "'"　　　　　　　 /　　 /
.ｌl　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ./ 　　　　　 ./ 　　 .ｌ　　'!.ｌ　.!　　　./’　　 !　　 ./-./　　　　　　 / 　　/
..|l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,i.ｌ　　　 ,.!　 _ ､ .,彡‐''./ ,!._,, -'ﾞ　　/｀'､ . ＼　　　　　　 /　　 /
　ゝ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / .|　　　ｌ. !／　｀、　／._./ 　　　　./,,、ヽ　　.＼　　　　/　　 ./
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　 .|　　./　.!　　 .l .ヾ.,iｉ"　　　　　　ヽ　　ｌ,　　　＼　 ./　　　/
197 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:24:05 TPWIG0JI
四３３４．
―――――
　　しかし。
――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, . ; ; ；,'∵,'∴,'+,ヽ;','+ ；,'∵,'∴,'+:.:.:.:.:.::; ; ,. ,、
　　　　　　　　　　　　　　　,. ; ,+X'∴ﾞ'＋"　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ ∵　':,+';x ;､、
　　　　　　　　　　　　　 +:'､+　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　+､', ､
　　　　　　　　　　　　　ﾞ,∵,､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, +,∵
　　　　　　　　　　　　　　　` ∴',+:; . ,　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　/´ 　ム -イ;‐ｧ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 `'∵',+'∴; , 　　　　　　　　　　　　　　　　　, . , ; + ;,!　　　　　〃 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`　' ∵',"+',x' ；,'∵,'∴,'+,ヽ;','+'；,'∵,'∴,　／　　　ｨ!　|ｌ　ｉ¨７
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀^　ﾞ　ﾞ　 ^　"　　　　　　／　　　　;'´ i　ｌ|　|　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿┌l!＿＿＿＿＿＿ l　　／| 　 !:　!　 |L/|　!〉
　　　　　　　＿＿＿_＿＿＿＿／　　　　　／:　ｨj‐'￣"｀;;;;;l'⌒￣''''ゎ:　:＼　|.／　 l 　 |!　l　 |　 .|__|　　　　/`l
、　　　 . _ ,,,,　　　　　　 ∠＿＿＿_∠＿:　:　｀ﾞﾞ''''''――‐''''''ﾞﾞ"’　＿＿＼＿＿| 　 l!　|　 |　　　　　,､　 l　 |/ 〉　　 _
　..｀ﾞﾞﾞﾆ .-　　　　　　　　＿|＿＿＿_＿|: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : Ｌ_＿,!　 |l'　|　 |　　　　 ,l |　　l　 |ﾚ''^''ｰ
　　　　　　　 . ｰ'''''''''　／　　　　　　　／: : : : : : : : : : : ￣￣￣: : : : : :: : : : : : ＼＿|　 |!　.|／　　　　,!　L.-ヾi=,'.'''''
　　　　　．　　　　　「￣￣￣￣　 |_:＼　　ﾟ　　ｏ　。｜　。　　 /　　。　／＿|＿|／　　　　　　_,.-'´　 _, - '_´ -　 : ＿_、
　＿．　　＿＿＿＿.￣￣￣￣／.:.:.:.:.:○　　。　ﾟ　｜゜　O　/　ｏ　／　。゜:.:＼　　　　　: '～|_,.- '´|　L-'´_|
　ﾉ''''￢　＿｀-｀'"´　　　　　／.::.゜　　。　＼　　o ﾟ O ﾟ　。 /ﾟ　　。　　　O.::.::.::.::＼　　　～　　. ,.-'´　 ,.-'"-｀―-ﾐ
　　　ﾉ''''￢　＿｀　　　　　　　　ﾟ　　。　＼　　 |　　　ﾟ o ／　　ﾟ　　。　゜　　　　　｀-｀-｀-|,.- '´| |　　　　　／|
　　　　　　　　ﾉ''''￢　＿｀　　　　　　　　　　　　　。　゜　　。　　　｡　。　ﾟ　　　　　　。ｏ　　　゜｀-｀-｀-' |,i　　　　／／　　＿＿　　　　_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿。＿＿＿　　　ﾟ　。　　　゜　　―O――――　　　　　　　　　　　　　　　／ｨ'　　／＿＿ノ　　／丿
　、　　　 . _ ,,,,　　　　　　 ------　..-- 　　　　　　 : '-, i/圭,!,,..　　　　　　　　　　　_,,＿＿_ 　　　　　　く／レ　　　　　　　　／／
　　..｀ﾞﾞﾞﾆ .-　　　　　　　　　　　　　ﾉ''''￢　　 : ',ﾞ｀-､ |., !圭圭,i 　 '''ﾞヽ　　　　 : ﾞ´__　　　　　　　　‐'^''ｰ　　　　　　　　 ,____,. - '´ ／
　　　　　　　　 . ｰ'''''''''　 -ｰ'''". ｀"'''　　　 . _,,ﾉゝ　￢.│ 圭圭 | .! 、.,i　゛_、　　　　 .‐｀-｀-｀-'"´.".".'''''　　　　 .'　　　/＿＿__,／
　　　　　　．　　　　　　　　 : ｰ　　　　　ｰ'i 　., ! | 圭圭圭'ﾞ!.l．〉.r　｀-ﾐ　　　　 ''" 　　　　　 -　 : ＿_、
　　＿．　　＿＿＿＿　　　　　 ,,,,,..．　｀. 〟.!! | i‘圭圭圭圭 |.!iﾋ　./ 　....,,,　 : '～　　.-―-｀
　　ﾉ''''￢　＿｀-｀'"´　　　　　 ---｀. 〟　　.!! .r i 圭圭圭圭圭|.!〉　.ﾐ　.^''ｰ: '～　　.-―''￢―-｀―-ﾐ

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　見えない壁に突き当たったかのように、地割れは祭壇の手前で止まってしまう。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
198 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:25:05 TPWIG0JI
四３３５．
――――――――――――――――――――――――――――――
　　自分が超一流の精霊使いでないとは言え、
　　仮にも上位精霊の攻撃が全く通用しないなんて事がありえるのか。
――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　/:::レ:::::三:::::｀ミ::=-､
　　　　　　　　 ,i::::::::::::::::､:::::::､::::ヾ::ヽﾐｰ-､
　　　　　,r'::::::::::::::::::ヽ::::::::＼.:::::::::::::＼
　　　　　　//:::::/:::;:::i:::::ヽ:::::::::::::＼::::::::::::::ヽ
.　　　　/::/:::::::/_ヽ:!:::::ヽ:::i`_､:::::ヽ ::ヽ:::::::!
　　　　 i::/::::::::/'oヾ､:::|ヽ::Y o＼:::::i!::::ヽ::::＼
　　　　　l:::i:::::::::lゝ- '　ヾ、ﾞ ! ｰ '､ヽ:::::!:::::ヽ::i ヽ
　　　　　!::!:::i:::::!　　　` ｀ヽ　　　　 i:::::!::::::::::::i　　　　　　　　　　　「そんな！
　　　　l:!:::l:::l !　　,r_ー‐-､　　u　l::::!::::::::::;::i　　　　　　　　　　　ｸﾗｯｸ
　　　　　　!|:.!::', 　u.i'/￣￣ i 　u 　l:::::::::::::ハ:!　　　　　　　　　　　地割れが止まった！？」
　　　　.　　 l::::::ヽ.　ｉ　　　　i　　　ｨ::/i:::::ﾊi　 !
　　　　　　　i::li:::＼ `ｰ--‐' 　　／ﾘ　|:::ﾘfﾊ､_
　　　　　 _..!:ﾊ::::l;ヽ､u 　　／　　"　l::/i　ヽ. ｀`''ｰ- ､._
　　　,r‐'''"´　 !　ﾘ!i ヽ `＝'"　　 ,　　ﾘ /　　ﾝ　　　　 /ヽ、
　　 /ヽ　　　　　　ヽヽヽ　　　/　　／　　　　　　　　/ 　ヽ
　　l 　＼　　　　　　＼　 '　　　　　／／　　　　　 /　　　 i

ﾍ　',:::ﾍ|:::::::::l:::ﾍ::ﾊ:::::＼|:::::::::::＼:::::::＼:::::::::::::::::::::/:|:::::::::/:::::::
　',　＼:ﾍ::::::|ヽ:::ﾍﾊヽ:::::｀ヽ_::::::::::＼:::::::＼::::::::::::/::::|::::::/:ﾍ:::::
　 ',　　ヽ',ヽ| ﾍ＼::::ﾍ＼:::ﾍl｀ヽ:::::::l＼::::: l::::::: /｀ヽ|:::/::::::::ﾍ:
＿_ヽ　./ﾍ .ﾊﾍ:l　＼:ﾍ.　＼ﾍ　｀ヽl::::::＼::＼::l＼::::|/:::ﾍ＼:::
｀ヽ￣./　ハ:::',ﾍ..　　｀ヽ.　　＼　　｀ｰ-l:::＼::＼:::＼　　 ',|ヽl
　　 /.　　＼ﾊ　　　　　　　　　　 l:::::::..
. 　 /　　　　　｀ヽ　　　　　　　　　 l:::::::::::...
　 /　　　　　　　　ﾍ　　　 __　　｀ヽ　　_／:::::::::..　 ,　　　　　　　　「馬鹿め。
. /　　　　　　／'';;＼　　＼＿＿＿＿＿＿__,／/
　｀''ｰ-=,,,_ 　／　　 ';;;;;＼　｀｀'ー-　-――‐ ´ノ　　　　　　　　　励起状態にある宝具に
　　　　　　'／　　　　 ';;;|　.＼　　｀￣￣￣￣￣´ 　　 /　　　　　　手を出せるとでも思ったか」
　　　, r ' ´　　　　　 |.　　＼　　ー―― 　　　ｲ;;;
　　K　　　　　　　　 | . 　　＼　　　　　　／;;;;;;;;
　　 ∨　　　　　　　　　 |　　　　＼　　　 ,イ''''''''
. 　　 ∨　　　　　　　　 |　　　　,r‐='｀ー― '｀ヽ
　　　 ∨　　　　　　　 |　　　/;;'ﾍ . /　/　/　/＼
　　　　　∨　　　　　　　 |　　/　　 ∨ ./　/　/　　＼

―――――――――――――――――――――――――――
　　だが、ライトはその驚愕を鼻でせせら笑った。
　　すでに宝具は活性化して強力な神聖力を放っており、
　　簡単に手が出せない状況になっている。

　　さらには、いつものエルであればすぐに気がついたろうが
　　大地の女神の力と土の精霊力では親和性があり、
　　打撃を与える事がそもそも難しいのだ。
―――――――――――――――――――――――――――
199 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:26:05 TPWIG0JI
四３３６．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　妖術師の魔法防御だけでなく、女神の加護もあの魔方陣を包み込んでいる。
　　無数の短剣による半自律防衛機構も合わせれば、
　　鉄壁の防御と言っても過言では無いはずだ。

　　バンダナの奥で眉をしかめたやらない夫が
　　それでも何か有効打は無いかと、ものすごい勢いで考えを巡らせていると、
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　／　　　　_,,､､､__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　／　　　／　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　／　　　　/　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　／　　　　　/＼　　／　　　　|
　　　　　　　　　　　　　／　／　　　　　 |（●）（●）　u　 .|
　　　　　　　　　　　　　　　／　／　　　　　　　　 | （__人__）　　　 .|
　　　　　　　　　　|ニミヽ久_／　　　　　　　　　 .|　｀ ⌒´　　u　　 |
　　　　　　　　　 <　Y／ヽ)　￣ﾐﾄ、　　　　　　ヽ　　　　　　 u　l　　　　　　　　　　「くっ………」
　　　　　　　　ィ< ＼しｲ\|ト＜　i |　　　　　　┌// ヽ　u 　　　＿＼
　　　　　　┌入ム// 　 l　　　￣　　　　　__/∧　　 |　　　式斤　￣＼
　　　　／￣￣＼　|　　 |　　　　　　　　/　/　∧　 | 　／,≧彳斗＼　　＼
　　　 Eｪ_　　/￣ヽ|　　ﾊ　　　　　　　/|　|　　　∧彡斗〆　＼ο／　　　ヽ
　　　/ ＿_　 l　　　＼彡 ∧　　　　　 /　∨|　　､＞、　　　　　　｀´　　　　　 l
　　 >ｲ .／＼l　　/￣/￣￣￣￣｀`トｪ＜｀`斤＼　＼　　　　　　　　　　　　　|
　／ミ／　　＼__|　 |　　　　　　　／　　＼　　　ヽ　 l　　　／　　　　　　　　|
　ヾ／　　　　　　　｀　＜_　　　　　 |　　　　　 |　　　|　 |　／　　　　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　 ∨ ￣｀`ヾ＜|　　　　／　　 |　 |／　　　　　_＞＜　/
　　　　　　　　　　　　　∨　　　/ |　　｀ﾄ弋斤ー─乞　/＿＿＞＜″　　 /））
　　　　　　　　　　　　　 |　　　/　∨|　　　　　　　　　　　　　　　　＞ミ､_/:／
　　　　　　　　　　　　　＼　　　　∨　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　∨　　　　　　　　　　　　　　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　 ∨　　　　　　　　　　　　　　　　/

　　　　　　　　, ‐ ´. .::::::::::::::::::::::::｀ ‐ 、
.　　　　　　／/ . : :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.、
　　　　　／. :/::::::::::::::::::::::::::::::::: i::::::::: : ＼::＼
.　　　 //. :/::::::::::::ｉ :::::::::::::::::://:::::::::::::＼:＼::＼
　　　 //::::::ｌ:::::::/:/{ :::::/:::::::://:/::::!::::ｌ:::::::ﾄ:::::ヽ::::.
.　　　ｌ:l::::::/|:::::ﾊ/∧:V:::/:::/::::/::::/:::/::::::/::ﾍ::::l::::ﾊ
.　　 |:l:::::::::|:::::|::!::::∧:V:::/::::/::::/:::/::::::/|::::::|::::|::|.!|
.　　 |:ｌ:: |: :|:::::l::|::/:::ﾍ::V::／／/:/ ::／:::|:: /!:: | l ||
　　　ｌ::::l:::::ﾊ:::|∠:ィ７:::Y:／::イ::z≦ィ:::/::/::ﾊ/:ﾘ |!
.　　　ｌ::|:::::小:Π:/l/-=彡１ /艾ｧﾃ｀ｼ_:ｨｆﾁ::/:/
　　　　V::ｌ: :!::l:|い小/|:ハl:|/　　｀´　　｛ }ノ´
　　　　 Ⅵ: ｌ:::::｀爪|　　　　　　　　　　　　〈　　　　「さて―――」
　　　　 }:!: |::|:::l::|　＼　　　　　　 ‐ _ノ
　　　　ぃ::|::|:::l::|　　丶　　　　__,　，／
　　　　　 |:∧l＼:{　　　　＼　　　 /　　　　　　（だが、あの剣にだけは注意しなければ。
　　　　　ｌ′丶　ヽ　　　　　ト､＿,ノ
　　　／　　　　　　　　　 ,′　　　　　　　　　万が一覚醒されたら
.　／＼.＿＿＿＿　　　人_　　　　　　　　　手が付けられない）
／　　｀－――‐‐- ､｀ ‐ 、　＞､ｘ‐ ､
　　　　　　＼　　｀ヽヽ、　 | | 　＼
　　　　　　　　　＼　　　　＼ ` ┘!　＼＼

――――――――――――――
　　彼を―――
　　彼の持つ剣を見たライトは、
――――――――――――――
200 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:27:05 TPWIG0JI
四３３７．
―――――――――――――――――
　　逃がしはしない、と指を打ち鳴らす。
―――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　,､　　　 /　　　パチン！！
　　　　　　　　　　　ｷ人_,/
　　　　　　　　,.　⌒,　）　て
　　(⌒ヽ_,.　 '´　イ.　/´⌒Y,.
　　ヽ　|　　_,. r─｀ヽ、　　＼
　　　ヽ|　　| /　　/ ,r'─､　　　　　　　　　　　「―――お喋りはこのぐらいにするか。
　　　 |　　ﾉ'　　/ '´ 　 / ￣}
.　　　 j　　　　／　　 /　　 j､　　　　　　　　　クリエイト・ゴーレム」
　　　 /　　　　　　　　　　　ハ〉、
　　　､　　　　　　　　 {｀ヽ}}
.　　　｀¨⌒丶､_　　　　　　ﾉj
201 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:27:26 TPWIG0JI
四３３８．
―――――――――――――――――――――――――――――
　　突如、周辺の地面が鳴動して手の形に盛り上がったかと思うと、
―――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　 ┓┓　　　　　　 ┓┓　　　　　　 ┓┓　　　　　　 ┓┓
　　　━━┃　┛┛　　━━┃　┛┛　　━━┃　┛┛　　━━┃　┛┛
　　　　　┃　　　　　　　 ┃　　　　　　　 ┃　　　　　　　 ┃　　　　　　┛　┛　┛
　　　━━┛　　　　　 ━━┛　　　　　 ━━┛　　　　　 ━━┛

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.、,.、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.-J,.j',U､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.、,.、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　;x':U:'ﾞ::i`ヽ.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.-J,.j',U､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Uvy::‐ｦ`'’　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　;x':U:'ﾞ::i`ヽ.
　　　,.、,.、　　　　　　　　　　　　　　　_,luv::U'ｌ.,_　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Uvy::‐ｦ`'’
　,.-J,.j',U､　　　　　　　　　　　　　　.(<;;:::;;ｄ.;ゝ>)　　　　　　　　,.、,.、　　　　　　　　　　　　　_,luv::U'ｌ.,_
　;x':U:'ﾞ::i`ヽ.　　　　　　　　　　　　　　`''"ー''"'"　　　　　　　,.-J,.j',U､　　　　　　　,.、,.、　.(<;;:::;;ｄ.;ゝ>)
　Uvy::‐ｦ`'’　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　;x':U:'ﾞ::i`ヽ.　　　　　,.-J,.j',U､　　`''"ー''"'"
　_,luv::U'ｌ.,_　　　　　　　　　,.、,.、　　　　　　　　　　　　　　　Uvy::‐ｦ`'’　　　　;x':U:'ﾞ::i`ヽ.
.(<;;:::;;ｄ.;ゝ>)　　　　　　 ,.-J,.j',U､　　　　　　　　　　　　　　　_,luv::U'ｌ.,_　　　　　Uvy::‐ｦ`'’
　`''"ー''"'"　　　　　　　;x':U:'ﾞ::i`ヽ.　　　　　　　　　　　　　.(<;;:::;;ｄ.;ゝ>)　　　　_,luv::U'ｌ.,_
　　　　　　　　　　　　　　Uvy::‐ｦ`'’　　　　　　　　　　　　　`''"ー''"'"　　　　.(<;;:::;;ｄ.;ゝ>)
　　　　　　　　　　　　　　_,luv::U'ｌ.,_　　　　　　　　,.、,.、　　　　　　　　　　　　　`''"ー''"'"
　　　　　,.、,.、　　　　 .(<;;:::;;ｄ.;ゝ>)　　　　　　,.-J,.j',U､
　　　,.-J,.j',U､　　　　　 `''"ー''"'"　　　　　　 ;x':U:'ﾞ::i`ヽ.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.、,.、
　　　;x':U:'ﾞ::i`ヽ.　　　　　　　　　　　　　　　　 Uvy::‐ｦ`'’　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.-J,.j',U､
　　　Uvy::‐ｦ`'’　　　　　　　　　　　　　　　　 _,luv::U'ｌ.,_　　　　　　　　,.、,.、　　　　　　　　　　 ;x':U:'ﾞ::i`ヽ.
　　　_,luv::U'ｌ.,_　　　　　　　　,.、,.、　　　　　.(<;;:::;;ｄ.;ゝ>)　　　　　 ,.-J,.j',U､　　　　　　　　　　 Uvy::‐ｦ`'’
　　.(<;;:::;;ｄ.;ゝ>)　　　　　 ,.-J,.j',U､　　　　　　`''"ー''"'"　　　　　　;x':U:'ﾞ::i`ヽ.　　　　　　　　　 _,luv::U'ｌ.,_
　　　`''"ー''"'"　　　　　　;x':U:'ﾞ::i`ヽ.　　　　　　,.、,.、　　　　　　　 Uvy::‐ｦ`'’　　　　　　　　 .(<;;:::;;ｄ.;ゝ>)
　　　　　　　　　　　　　　　Uvy::‐ｦ`'’　　　　,.-J,.j',U､　　　　　　　_,luv::U'ｌ.,_　　　　　　　　　　`''"ー''"'"
　　　　　　　　　　　　　　　_,luv::U'ｌ.,_　　　　;x':U:'ﾞ::i`ヽ.　　　　　 .(<;;:::;;ｄ.;ゝ>)
　　　　　　　　　　　　　　.(<;;:::;;ｄ.;ゝ>)　　　　Uvy::‐ｦ`'’　　　　　　`''"ー''"'"
　　　　　　　　　　　　　　　`''"ー''"'"　　　　_,luv::U'ｌ.,_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.(<;;:::;;ｄ.;ゝ>)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`''"ー''"'"
202 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:27:40 TPWIG0JI
四３３９．
―――――――――
　　祭壇の周辺や、
―――――――――

　　　　　　　　　　　　　 _＿＿
　　　　　　　　　　　　 <_＿＿_>
　　　　　　　┌--――|_. エ_+ェ|―┬--┐
　　　　　　　,|　i | 　＿ﾄ.｀´｀´-|＿　　 ! |＼
　　　 ,-／　|.￣工　￣Т￣　/￣￣7/　,>―- ､　　　　　　　　　　　　　　　　　　_＿＿
　　　/ （＿／ヽ_ ＿_┬＿|＿_工工_ / ＼/　.＿　|　　　　　　　　　　　　　　　　　<_＿＿_>
　　　iヽ+工/　　 ∨＿_|　　　⊥⊥_/　　/￣　　￣ヽ　　　　　　　　　　┌--――|_. エ_+ェ|―┬--┐
　　　Vっし　　　/　　－二二工エ|　　l⌒l⌒.l⌒l⌒l　　　　　　　　　 ,|　i | 　＿ﾄ.｀´｀´-|＿　　 ! |＼
　　　￣　　／＼＿＿l　T＿＿／＼ i＼_|＿|__/_／　　　　　　　,-／　|.￣工　￣Т￣　/￣￣7/　,>―- ､
　　　　　　　／　　T　／　￣　　　_> 　ヽ｀-―´　　　　　　　　　 / （＿／ヽ_ ＿_┬＿|＿_工工_ / ＼/　.＿　|
　　　　　　　|￣工エ|_ 　　　　　 | ｀ー ´＼　　　　　　　　　　　　iヽ+工/　　 ∨＿_|　　　⊥⊥_/　　/￣　　￣ヽ
　　　　　／｀ー一＿_／|　　　　　　＼_二二l　　　　　　　　　　　　Vっし　　　/　　－二二工エ|　　l⌒l⌒.l⌒l⌒l
　　　　　|二二二|::::::|.＿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣　　／＼＿＿l　T＿＿／＼ i＼_|＿|__/_／
　　＿＿＿＿＿|::::::||_:::|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　T　／　￣　　　_> 　ヽ｀-―´
　　 |:::::::::::::::::::::::::i____i/::::!　　　　　　_＿＿　　　　　　　　　　　　　　　　　|￣工エ|_ 　　　　　 | ｀ー ´＼
　　 i:::::::::::::::::::::::::::::::/|:::::|　　　　　<_＿＿_>　　　　　　　　　　　　　　／｀ー一 ´／|　　　　　　＼_二二l
　　 |＿＿＿:::::::::::/　￣ .--――|_. エ_+ェ|―┬--┐　　　　　　　　 |二二二二／　_＿＿
　　　　　　／::::::::::＼　,|　i | 　＿ﾄ.｀´｀´-|＿　　 ! |＼　　　　　　　　　　　　　　　<_＿＿_>
　　　　／:::::::::::::::::::::＼　|.￣工　￣Т￣　/￣￣7/　,>―- ､　　　　　┌--――|_. エ_+ェ|―┬--┐
　　　／::::::::::/＼::::::::::::/／ヽ_ ＿_┬＿|＿_工工_ / ＼/　.＿　|　　　　　,|　i | 　＿ﾄ.｀´｀´-|＿　　 ! |＼
　　　＼:::::::/　　＼:::::/ /　　 ∨＿_|　　　⊥⊥_/　　/￣　　￣ヽ　,-／　|.￣工　￣Т￣　/￣￣7/　,>―- ､
　　　　＼//＼　丶'し　　　/　　－二二工エ|　　l⌒l⌒.l⌒l⌒l （＿／ヽ_ ＿_┬＿|＿_工工_ / ＼/　.＿　|
　　　　　　/::::::::＼￣　　／＼＿＿l　T＿＿／＼ i＼_|＿|__/_／.+工/　　 ∨＿_|　　　⊥⊥_/　　/￣　　￣ヽ
　　　　　　.＼　::::/　　　／　　T　／　￣　　　_> 　ヽ｀-―´　　　 Vっし　　　/　　－二二工エ|　　l⌒l⌒.l⌒l⌒l
　　　　　　　 .＼/ .／＼|￣工エ|_ 　　　　　 | ｀ー ´＼　　　　　　　￣　　／＼＿＿l　T＿＿／＼ i＼_|＿|__/_／
　　　　　　　　　／::::::／ー一 ´／|　　　　　　＼_二二l　　　　　　　　　／　　T　／　￣　　　_> 　ヽ｀-―´
　　　　　　　／::::::／二二二二／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|￣工エ|_ 　　　　　 | ｀ー ´＼
　　　　　　　＼／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／｀ー一 ´／|　　　　　　＼_二二l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |二二二二／
203 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:27:58 TPWIG0JI
四３４０．
――――――――――――――――――――
　　やらない夫達を取り囲むゴーレムとなった。
――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　 _＿＿
　　　　　　　　　　 <_＿＿_>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _＿＿　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿_
　　　　　┌--――|_. エ_+ェ|―┬--┐　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 <_＿＿_>　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::|.＿
　　　　　,|　i | 　＿ﾄ.｀´｀´-|＿　　 ! |＼　　　　　　　　　　　　　　 ┌--――|_. エ_+ェ|―┬--┐　　　　＿＿＿＿＿|::::::||_:::|
　 ,-／　|.￣工　￣Т￣　/￣￣7/　,>―- ､　　　　　　　　　　　,|　i | 　＿ﾄ.｀´｀´-|＿　　 ! |＼　　　|:::::::::::::::::::::::::i____i/::::!
　/ （＿／ヽ_ ＿_┬＿|＿_工工_ / ＼/　.＿　|　　　　　　　　,-／　|.￣工　￣Т￣　/￣￣7/　,>―-i:::::::::::::::::::::::::::::::/|:::::|
　iヽ+工/　　 ∨＿_|　　　⊥⊥_/　　/￣　　￣ヽ　　　　 / （＿／ヽ_ ＿_┬＿|＿_工工_ / ＼/　.＿ |＿＿＿:::::::::::/　￣
　Vっし　　　/　　－二二工エ|　　l⌒l⌒.l⌒l⌒l 　　　 iヽ+工/　　 ∨＿_|　　　⊥⊥_/　　/￣　　￣ヽ　／::::::::::＼
　　￣　　／＼＿＿l　T＿＿／＼ i＼_|＿|__/_／　　　　 Vっし　　　/　　－二二工エ|　　l⌒l⌒.l⌒l ／:::::::::::::::::::::＼
　　　　　／　　T　／　￣　　　_> 　ヽ｀-―´　　　　　　　　　￣　　／＼＿＿l　T＿＿／＼ i＼_|＿|_／::::::::::/＼::::::::::::/
　　　　　|￣工エ|_ 　　　　　 | ｀ー ´＼　　_＿＿　　　　　　　　／　　T　／　￣　　　_> 　ヽ｀-―´　＼:::::::/　　＼＿_/
　　　／｀ー一 ´／|　　　　　　＼_二二l ..<_＿＿_>　　　　　　　　　|￣工エ|_ 　　　　　 | ｀_＿＿　　　　　　＼/　　　|::::::|.＿
　　　 |二二二二／　　　　　　 ┌--――|_. エ_+ェ|―┬--┐ 　／｀ー一 ´／|　　　　　　<_＿＿_>　　　＿＿＿＿＿|::::::||_:::|
　　　　　　　　　　　　　 ,|　i | 　＿ﾄ.｀´｀´-|＿　　 ! |＼ .|二二二二／ .┌--――|_. エ_+ェ|―┬|:::::::::::::::::::::::::i____i/::::!
　　　　　　　　　　 ,-／　|.￣工　￣Т￣　/￣￣7/　,>―- ､　　　　　,|　i | 　＿ﾄ.｀´｀´-|＿　 i:::::::::::::::::::::::::::::::/|:::::|
　　　　　　　　　　 / （＿／ヽ_ ＿_┬＿|＿_工工_ / ＼/　.＿　|　　　,-／　|.￣工　￣Т￣　/￣|＿＿＿:::::::::::/　￣
　　　　　　　　　 iヽ+工/　　 ∨＿_|　　　⊥⊥_/　　/￣　　￣ヽ　/ （＿／ヽ_ ＿_┬＿|＿_工工_ / ＼/／::::::::::＼
|―┬--┐　　　　　　　 Vっし　　　/　　－二二工エ| _＿＿l⌒.l⌒l⌒liヽ+工/　　 ∨＿_|　　　⊥⊥_/　　／:::::::::::::::::::::＼
|＿　　 ! |＼　　　　　　￣　　／＼＿＿l　T＿＿／<_＿＿_>＿|__/_／Vっし　　　/　　－二二工エ／::::::::::/＼::::::::::::/
　/￣￣7/　,>―- ､.　　　　　　／　　T　／　┌--――|_. エ_+ェ|―┬--┐￣　　／＼＿＿l　T＿＿／＼:::::::/　　＼:::::/
　.,工_ / ＼/　.＿　|...　　　　　|￣工エ|_　　 ,|　i | 　＿ﾄ.｀´｀´-|＿　　 ! |＼　　／　　T　／　￣　　　_> 　＼//＼　丶'
⊥⊥_/　　/￣　　￣ヽ　　　／｀ー一 ´,-／　　|.￣工　￣Т￣　/￣￣7/　,>―- ､工エ|_　　　　　 | ｀ー ´　/::::::::＼
　工エ|　　l⌒l⌒.l⌒l⌒l　　|二二二二 / （＿／ヽ_ ＿_┬＿|＿_工工_ / ＼/　.＿　| ´／|　　　　　　　＼_二二.＼　::::/　　　　　　 .＿
＿＿／＼ i＼_|＿|__/_／　　　　　　 iヽ+工/　　 ∨＿_|　　　⊥⊥_/　　/￣　　￣ヽ／　　　　　　　　　　　 .＼/ .／＼　　 .／:::::!
　　_> 　ヽ｀-―´　　　　　　　　　　　 Vっし　　　/　　－二二工エ|　　l⌒l⌒.l⌒l⌒l　　　　　　　　　　　　　　　　／::::::／　 .／::::::::/
　 | ｀ー ´＼　　　　　　　　　　　　￣　　／＼＿＿l　T＿＿／＼ i＼_|＿|__/_／　　　　　　　　　　　　／::::::／　 .／::::::::／
　　＼_二二l　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　T　／　￣　　　_> 　ヽ｀-―´　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼／　　 ./::::::::／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|￣工エ|_ 　　　　　 | ｀ー ´＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／｀ー一 ´／|　　　　　　＼_二二l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |二二二二／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼/

―――――――――――――――
　　―――その数、およそ四十体。
―――――――――――――――
205 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:29:05 TPWIG0JI
四３４１．
―――――――――――――――――――――――――――――――
　　直ぐさま命令を与えられ、ゆっくりと近づいてくる無数の魔像を見て
　　エルは無意識に数歩後ずさる。

　　ゴーレムだけならやらない夫も居る事だしそれほど怖くはないだろう。
　　だがここはすでに、ライトの威力圏内なのだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　,
　　　　　　　　　,r/　,;-ー_
　　　　　　　　　/:::レ:::::三:::::｀ミ::=-､
　　　　　　　　 ,i::::::::::::::::､:::::::､::::ヾ::ヽﾐｰ-､
　　　　　,r'::::::::::::::::::ヽ::::::::＼.:::::::::::::＼
　　　　　　//:::::/:::;:::i:::::ヽ:::::::::::::＼::::::::::::::ヽ
.　　　　/::/:::::::/_ヽ:!:::::ヽ:::i`_､:::::ヽ ::ヽ:::::::!
　　　　 i::/::::::::/'oヾ､:::|ヽ::Y o＼:::::i!::::ヽ::::＼
　　　　　l:::i:::::::::lゝ- '　ヾ、ﾞ ! ｰ '､ヽ:::::!:::::ヽ::i ヽ　　　　　　「こ、これは………」
　　　　　!::!:::i:::::!　　　` ｀ヽ　　　　 i:::::!::::::::::::i
　　　　l:!:::l:::l !　　,r_ー‐-､. 　　u l::::!::::::::::;::i
　　　　　　!|:.!::', u.　i'/￣￣ i 　u　 .l:::::::::::::ハ:!
　　　　.　　 l::::::ヽ.　ｉ　　　　i　　　ｨ::/i:::::ﾊi　 !
　　　　　　　i::li:::＼ `ｰ--‐' 　　／ﾘ　|:::ﾘfﾊ､_
　　　　　 _..!:ﾊ::::l;ヽ､　　　／　　"　l::/i　ヽ. ｀`''ｰ- ､._
　　　,r‐'''"´　 !　ﾘ!i ヽ `＝'"　　 ,　　ﾘ /　　ﾝ　　　　 /ヽ、
　　 /ヽ　　　　　　ヽヽヽ　　　/　　／　　　　　　　　/ 　ヽ
　　l 　＼　　　　　　＼　 '　　　　　／／　　　　　 /　　　 i．

――――――――――――――――――――――
　　絶体絶命、と言う声も上手く喉から出てこない。
　　それほどまでに戦力差は圧倒的に思える。
――――――――――――――――――――――
206 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:30:06 TPWIG0JI
四３４２．

　　　　　　　　, 　　　 /〃ﾊヾ　 / ∧∨〃､ヾ}　ｌ| :}ﾐ;l＼
　　　　　　　　/〃//　/ 〃l　lヽ∨,〈ヽﾞ､ﾒ〈　}} ;l　ﾘハｌ｀!ヽ.
　　　　　 //' /,' 　,' 〃ｌ　l川/,ﾍ丶＼;;ヽ/:'/〃∧ l ﾄ､:l　!
　　　　　〃,'/ ;　 ,l ,''　,l|　ﾚ'/Ａ､.`､＼;;ヽ∨〃/,仆|│l }. |､
　　　　　 i' ,''　l|　,ｌ ' ｌ.　!|　l∠ﾆ_‐＼ヽ;＼,//,ｲ| ｌ | l　ﾄ/ λ!
. 　　　　　ｌ ;　 :|| ,'i:/ ｌ|　|:|: |｀`'^‐｀ヾ∨｀ﾞ/／|斗,l ! | ,ﾀ /l.| ｌ
　　　　　　l ' l　|｣,' l'　lﾊ　|'Ν　　　￣´ ／｀　,|l_=ﾐ|! ly' ,〈 :|| |
　　　　　 |ｌ .l　H|i: l　|　ﾞ､| l　　　　　 _.::: ,!: l厂`刈/ /!} :ｌ|
　　　　　 |! :ｌ　|)!|　! |　　ヽ　　　　　 '´ ’/'_,.　　　ノｲ.〃/|!
　　　　　 l|ｌ |ｌ「ﾞ|l　|`{　　　　　　　　　.. 　 _　　　|}/,ﾊ l　　　　　「さ、始めよう。
　　　　　　 |!ｌ |l､|　!l :|. 　　　‘ｰ-‐=＝ニ=:､__ｊ:）　　ｌ'|/|l ﾘ
ヽ￣ﾆ‐､__.｣乢!L!lヱL｣__ 　　　　　　ー､　`'''´ 　从「 /　　　　　　老い、因縁との決別、
　＼　｀ヽ＼　　　　　 /l |　　　　　　　/￣´　　　　//　　　　　　そして新しい力。
.　　,、　 l　ﾞ､　　　　/ ' |､　　　　　　{　　　　　/l/
　　 '}　　ｌ　　ﾞ,　　 / 　 |:::＼　　　　}　　　　,.ｲ/　　　　　　　　　　その幕開けにふさわしい戦いを見せてくれ」
　　　ｌ　　l　　 l　 ,.ｲ　　 l:::::::::＼__　　`'-‐::"// |′
　　　l　　 !　　Ｋ　ヽ,、　＼「`''''''''"´:::::::;;:" //
.　　 l　　ｌ　　ﾄ､＼(　_....　ヽ　　.:.::::::::;;″ /' 　　　　　＿
＼　 |　　ｌ|　　八､ヽi´　　　| .:.:::::::::::::i'　.:/'"´￣￣￣ ,.へ＼

―――――――――――――――――――――――――
　　世界の律をねじ曲げて若返りを可能とする程である、
　　もしかしたらあの魔方陣には、
　　体力や精神力の回復効果もあるのかも知れない。

　　それほどまでに大規模な魔法を使って
　　息切れ一つしないライトが戦いの始まりを促し、
　　気持ちの上でもすでに勝敗は決したかに見えた。
―――――――――――――――――――――――――
207 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:31:16 TPWIG0JI
四３４３．
―――――――――――――――――――――
　　されど―――
　　この状況にあっても彼の心は折れず。

　　それは決して強がりや負け惜しみではない。
　　諦めずに前を向く者の気概なのだ。
―――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　 ,. ‐―――――‐ - ､
　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　／　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　/　　　＼　　　　　ﾉ　　　　　 .',
　　　　　 /　　　　 ,　ゞ.._,,　ー "　　､　　　　',
　　　　　 l　　　　 l {::::::::}　l　 l　{::::::::} l　　　　 l
　　　　　 . l　　　　｀ー '　'　　｀　ー ' '　　　　 l
　　　　　 l　　　　　 /　　　 .!　　　ヽ　　　　 l
　　　　　 l　　　　　ヽ＿_／＼＿_/.　　　　 l
　　　　 . l　　　　　〈　　　　　　　〉　　　　 l
　　　　　　 .l　　　　｀ｰ―――　' 　　　　 l　　　　　　「そうは行くか！
　　　　　　 l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　　　　　　俺は必ず約束を守る！
　　　　　　 . l　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　　　　守ってみせる！」
　　　　　 . l　　　　　　　　　　　　　　　　 l」
　　　　　　　　!　　　　　　　　　　　　　　 !
　　　　　　／!　　　　　　　　　　　　　 ,'＾ヽ
　　　　／{　|ヽ　　　　　　　　　　　　 /|　/ ＼
　　　／　 ∨|　ヽ　　　　　　　　　　　／　| /
　　／ヽ　　＼　　｀ー―――――　´￣￣　／
　／＼　＼　　＼　　　　　　　　／　　＿　／
"ヽ　 . ＼　　ヽ　　｀ー──一'　　／
　　＼　　＼　　＼　　　　　　　　／/
　 ,　 ‐┬─‐'ﾌ⌒ヽ｀ー──　´　/
／　　　￣￣　　 } 　＼　　　　/
　　／￣｀ヽ／￣ヽ　　＼
　/　　　　　/　　　 |￣｀ヽ￣￣/
./　　　　 . /　　　 |　　　 |￣ヽ
　　　　　 /　　　　　|　　　｜　　}

.　 /,/;:;:;:;/;:;:;/;:;:;:;l;:、;:;ヽ;:;:;:;:ヽ;:;:;:ヽ;:;:;＼;:;:;:;:;:;l;:;:;:;:;:!｀'＼
　/　ｌ;:;:;:/ //;:;:!;:;:;ﾍヽ;:;:;:;＼;:;:;:＼;:;:;＼;:;:ヽ;:;:;:;:!;、;:;:|
./　/;:;:;/ //;:;:;:|ヽ;:;:'､;:;＼;:;:;l;:;ヽ;:;:＼;:;:ﾍ　i',:;:;:;| ヽ:;:;i
　　|;:;:/l;:l/;:;:l;:;:!ヽ＼.＼;:;:＼ヽ、＼;:;:＼ ', | i;:;:;i':,::＼|
　　| /;:;:/l |;:l;:;:| i´ f::::j ､＼;:＼　,rt:::j フl .! |ヽ:! !;:ヽi＼
　　| ヽ/ |､ヽヽ {　`＝‐' ヽ|｀ｰゝ`ｰ＝'　l ! |;:;:;l !ヽ＼- ゝ
　　|　 |;:;l ヽ＼ヽ　　　　　　　　　 / | i;:;:;:!.|:;::|:;:!
　　　 |;:;l　|＼ヽ_,ゝ　　　　　i 　　　　 / ,! :;:! !;:;:l;/
　　　 | ∧ |;:;:ヽ' 、　　　｀ ´　　　　　/|/ l;:;:;ﾍ;:;:i
　　　 |/　ヽ ∧ヽ,＼　　‐‐---‐‐　　ｲ/;:;:;:|;:;:/ ヽ!.
　　　　　　 |/　|∧|　＼　　　　／ .| / l/;:;:l　　　　　　　　　　　　「そうですね。
　　　　　　　　 |'　 l　　ヽ、　　／　　 l'／ヽ/
　　　　　　　　 l　　　｀￣´　　　　l､　　　　　　　　　　　　　　　　終わらせなければならない………
　　　　　　　　　,. '´　　　　　　　　　　　ヽ､_　　　　　　　　　　　　　　今、この場で！」
　　　＿_ ,..　'' ´ 　ヽ　　　　　　　　 /　　　｀'ー-　..__
-‐ '´ {´　　　　　　　ヽ　　　　　　　/　　　　　　　　｀} ￣ 'ー- ､
　　　ヽ　　　　　　　ヽ　　　　 / 　　　　　　　　　/ /　　　ヽヽ
　　ヽ　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ /　　　　 |　ヽ
　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　 /　　　　 ',
　　　　　　　｀'ｰ-　 _　　　　　　　　＿　 -‐ '´　　　　　 /　　　　　l
　　/　　　　　　　　　｀'ー----‐ '´　　　　　　　 /　　　 l 　　 l　　　!

―――――――――――――――――――――――――――
　　頼もしい背中を見て、落ち着きを取り戻したエルも言った。
　　望んでこの場に立つ以上は怯えている場合ではない。
　　今こそ雌雄を決するときなのだと。
―――――――――――――――――――――――――――
208 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:32:05 TPWIG0JI
四３４４．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　いくつもの選択が紡いだ結果を運命と呼ぶのなら、これはまさしく運命の闘いだ。

　　他人を害してでも己の目的を追求する妖術師と、他人を護る為に立つ英雄候補。
　　向かい合う男達は決して相容れない存在だったから。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　 i1　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,..-‐‐-､.　　　　　　　　　ヽｰ‐‐'´　　ヽ
　　　　 l !　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ｲﾘ　i lヾ.ヽ、　　　　　　　　ヽ　　　　　ヽ.
　　　 /l l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ｿ/ﾉ/ｊソﾉヽiヽ!　　　　　　　　　ヽ　　　　　ヽ
　　 _ｒ'ヽ!ﾞl　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !l/iｧ　ﾌ /,.ｲｒi li l　　　　　　　　　　ヽ　　　　　ヽ
　 ,ｨヽヽｿ l　　　　　　　　　　　　　　　　　　!ﾊl ｒ‐､　 ´ ,ｨﾉ:/ﾉ　　　　　　　　　　　〉　　　　　ヽ.
　　ヽ.'´ 　l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽｰ'　ノﾉﾊ/l!　　,.ｒ‐-､_,､__,,..--‐' i＼　　　　ｊ
　　　ヽ_,,.='ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ｴﾆ´-‐ｨ'｀ヽ‐ｲ　ソ/ /　　　　　　N ヽ　　／
　　　〈　　ヽ　　　　　　　　　　　　　_____,,.-‐ｨ'!´/ヽ／　　／　　/　/　　　　　　　　_,.-‐'"
　　　　ヽ　　ヽ　　　　　　　　　　／i 　　 /／:/　/　　／i 　　/／　　_,,.--‐‐‐''"´
　　　　ヽ　　ヽ　　　　　　　 _,ｨ'　/　　 ,.ｲ':::::/　/　／　 l　　i/ 　／　　　　　　　　　　　　　　　「ゆけ、ゴーレム！」
　　　　ヽ　ﾆ=ヽ､,ﾍ--‐‐ｲ´〃 / 　／::::::::/　 i ／　　　ヽ　　／
　　　　　　　ヽ　／/　　　／　/　/　　/::::::::／　　 !　　　　　　ヽ./
　　　　　　　　ヽ.　　　　 ___＿/　　 /__／/　　　 l　　　　　　　i
　　　　　　　　　｀ﾞ--‐‐'ﾞ´　　 /　　/　　 /　　　　ヽ　　　　　　ｿ　　 __,,.--､
　　　　　　　　　　　　　　　　 / 　 /　　ノ　､　　　　＼　　　　　{-＜_ 　　　ヽ、
　　　　　　　　　　 _,.-ｒ┬‐,ｲ　　/i　　 i　　-ヽ、　　　!、　、　　　ヽ. 　　　　｀￣ﾞｰ‐--､
ヘ　　　　　　　／　　　　　　　 /　!　 -l‐=ﾆ二≡ヽ、　　〉　ヽ　　　　｀ｰ=＝‐‐､　　　　 >
:::::＼　　　／　　__,,..--‐‐''"（_　＿__/___≧_ヽ､　ｰ､ヽ / ｀＼　｀ゝ'"　　　　　　　　　　　/´
:::::::::::＼_／__,,.=ﾆ'＿__,,.-‐､　f=＝''￣´｀ ‐‐-=-､ヽ__ヾｿ　　　ヽ /　　　　　　　　　　　/

――――――――――――――――――――――――――
　　しかし戦いの行方を決めるのは思想でも在り方でもなく
　　ただどちらが強いかのみであり、
　　そう遠くない未来に結末は訪れるだろう。

　　そう。今まさに、
　　二つ目の物語の、最後の戦いが幕を開けたのだ―――
――――――――――――――――――――――――――

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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━━━━━━━━━━━……
209 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:33:12 TPWIG0JI
四３４５．
━━━━━━━━━━━……
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――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　―――時間は少し戻る。

　　やらない夫とエルがこの場から離れてからおよそ二分半ほど経った頃、
　　コナタと雪華綺晶は魔導兵の装甲を引きはがそうと必死になっていた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ
|　　もう少し………！　　　.|
乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　行くよコナタ！せーのっ！　　 .|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ

――――――――――――――――――――――――
　　てこの原理で持ち上げようと継ぎ目に剣を差し込み、
　　小さな四つの手で束を握りしめると―――
――――――――――――――――――――――――
210 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:34:08 TPWIG0JI
四３４６．
―――――――――――――――――――――――
　　呼吸を合わせて重力倍化の魔法を使えば
　　増幅された重量が支点を越えて作用点に伝わり、
―――――――――――――――――――――――

＼_人＿人∧从＿人∧_从/／
　)　　　　　　　　　　　　　　＞
＜　　　グラヴィティ！！　　＞
　<　　　　　　　　　　　　　　(
　／＾Y￣∨￣∨^Y^⌒Y^Y

　　　　　　　　 |￣|
　　　　　　　／￣〉　|＿|　口
　　　　　／　　/
　　　／　　　/
　　　〈　　　 /　　　〈＼
　　　　＼＿_/　　　　＼〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　┌┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　┌┘└┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　└┐┌┘
　　　　　　　　　　　　　　　　　┌┘└┐　　〈〉〈〉ｒ┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　￣|/￣　　　　くノ

――――――――――――――――――――――――――
　　頑固だった鋼鉄の板が文句を言いながらその口を開く。
――――――――――――――――――――――――――
211 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:35:05 TPWIG0JI
四３４７．

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　ヽ　　　　　　　　ヘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　ヽ　　　　　　　　　　　ヘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　丶
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　丶　　　　　　丶
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::　　　　　|.| i.i　! !.＼　　　ゝへ、　　　　　　丶
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::　　　.|.| i.i .! ! 　　＼　 l　　　　　丶　　 ..　　　丶
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::　|.| i.i .! !　　　　ヽヽ／　　　　　丶　　　　　　丶
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＿＿＿_:::::::::::::::::::::::::::|.| i.i//　　　　 :|　丶　　　／＼／＼　　　　　　丶
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／ ::::::::::::::::＼:::::::::::::::::::::::::::::::::　　　　 :::|　　　　　／　　／＼　　＼　　　　　　丶
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／　 :::::::::::::::::::::::＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::: 　　 :|　　　　 |　　 |　　　|　　　|　　　　　　　　　丶
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／　　 ::::::::::::::::::::::::::::::＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ::|　　　　＼　 ! 　　　　 !　　　　　　　　　丶
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|　　　(ー）::::（ー）::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼　（ﾄｪｪｪｪｪｪｪｪｲ）::／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/　　　..:::::::::::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/|　 ..::::::::::::::::::::::i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::|　..:::::::::::::::::::::/|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
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212 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:36:06 TPWIG0JI
四３４８．
――――――――――――――――――――――
　　外れた板を二人がかりで持ち上げて、
　　キル夫の姿を確認しようと中を覗き込み―――
――――――――――――――――――――――

　　　 /:.／　　　　　　ヽ
　　｛:/　　　　　　　 |
　　　 l{
__,,... . .ゝ,,_
: : : : : : : : : :｀:`: 丶. .､,,＿＿
.: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ; ｀i
: : : : : : : : : : :./: : : : :,!i: : : : : : ﾄ.、
.: : ; :'′　　 /　　　 /　!　　　.l: :.ヽ
:／: : : : : ; ｲ: . . . ∨ 　 !. . : : :l: ｀、｀、
: : : : : ／:/: : : : : / ＼　l: : : :/: : :.!､:.ﾍ
.; : :'": ::/: : : : : ;.'＿＿｀ﾐ!: :./: : : : l ヾﾊ
.: : : : /: : : : :, ｲ｛/示牙 !:/: /:: : :.l　 Ⅵ
.: : :/: : : ;／|:::j　　　|:'r! j/::/　i::. :,!　　ﾞ}　　　　「開いた！」
: :/:ィ''"!:::: : !::l　　 ,.ゞﾕ {／　ｉ::/
.:":::ﾍﾞ l::: : :|::!　　 `´　　`i　　 !'
: : : : : }''l: : : |:|　／｀`￢ /
.: : : : /　i: : ::!ﾚ'ﾞ　　　〃
: : : /　　_}: : l|_　　／
.:／三ﾐ\、i: :.|:::｀:¨:´!
〃〃⌒｀ヽ!: :!:: : : :.j

　　　　　　　　　,, -‐'''″￣｀ミ`{.{@yiゝゝ
　　 _,,,,i=η／　　　　　　　ヾ､`ヾ､)) l　｀'i
　 ,//,i<迴'j　　　i　　　　,　ゝ＼. (( .i i　 !
　 l l　/ //　i　i 7 .i　　　ヽ,ヽヽ i i　l l ﾊ　｀!
　 l i　 / i　l l　l .i| |　　 i i　i　,ﾊ　il　i i ,ヽ　!
　 l i　i l ,　l. !　|i|i　l　i i l i　l l　ﾊ7i　i l i ゝ,.｀'i
　 ,i i l l　!　i ヾ i　l ＼i i lﾊi i i l　ﾉl　| i l　 .l　}
. // /i|　| i | i l_.,,((、ii､ |il! .だ｀｀'i.7　l l|　 .'y l　　　　「キル夫！
//,'´　i＼＼ヾiFｯﾐ''ｼi　　弋__沙7　//i　./ ./　　　　大丈―――」
イ　.,/′ヽゞゞ≦汗彡'　 ,　　　.//　li　| / /
　 /,,_　　 }li ゝ､i,　))　　｡　 . lil　.li l i ,l .{
　l　　　　7 i! !i)..ゝ．.,_. 　　,.／il　 il　＼＼＼
　　　　ノ i/ //-‐'′κ,｀"-　>ヾ　! >.-‐'ゝゝ＼
　　　/''"　~´ ,/ | k>っ>b, ,,.,ciyi)-ゝ　　　＼ヾ
　　 7ζ　　_ / l　ξl lゝ､ . ／l .!　i l　　　　　iゝ｀l
213 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:37:05 TPWIG0JI
三３４９．
――――――――――――――――――――――――
　　照らし出された彼の姿を見て雪華綺晶は絶句した。
　　それ以外、何の反応も出来なかった。
――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　 ∠乂ﾆヅ´　　　　　　　　　　　　ヽ､＿（(＿
　　　　　　　 /{｛　 ((　/　　　　　　　　　　　　　　 ∨辷ﾍY ｀丶
　　　　　　　　 ′　/　))　′　　.′!　　 l　|　　｀　弋ニツ｀ヽ　ヽ
　　　　　　　 /　　/　/　/ !　|　 |　l| ｉｌ　|l　|　! 　 l|　　|　))ヽ　 |　　|
　　　　　　 ./　　/　, 　 ′!　 )) |　l| ｉｌ　|l　|　! 　 l|　　| ((　 l　 ! 　 |
　　　　　　/　　/　/ 　 l!　|　|{｛ |　l| ｉｌ　|l　|　! 　 l|　　|　　ｉl　ｌ　 |
.　　　　　/　　/　/　　 ! ⌒＼ト|　l| ｉｌ　|l　l ／⌒l|　　|　　ｉl　 | 　 |
　　　　　′　,'　 l　 |　 l|ｨｾﾆﾐﾍﾞ}从八|ノ|lｨ彡＝ﾐ l|　　|　　ｉl　 l　　|
　　　　/　　/　　Ⅳ八从K( くﾉ》　　　　　　{ ! }　》lN从　　ｉ　 | 　 |
.　　　/　　 '　　　 l　　 !ゝ二_ツ　　　　　 :.=' 彡i| 　 !　　 :. 　i 　 i
　　　′　/　　　ノ　　∧　((　　　　 .:i　　　　　 l 　 i　　ｌ　 l 　 |　　　　「―――！」
　　/　　/　　／　／ ∧　))　　　　　　　　　　　ﾊ　 !　　 .|　 l 　 |
　 ,'　　/　　 /　,　〃　/　i､　　　　 r―‐ｭ　　　ｲ　ｉ　|　　 {　ヽ　ヽ
ノ　ノl　　 ,'　 i　/　 /　 l| ヽ　　　｀￣　　　／_ !　i 八　　丶　＼
{　／　l! 　 i　　l./　 /　　ｉ　_{＞　、　　　ィヘ /.i 　ゞ　ヽ
i,/　ノ　　/(　〃　ノ　　 .i　ﾄ､｀￣}　r'⌒ｰﾚ7 イﾊ　　　　＼　　　ヽ
′　　／　ゞ　 (r‐､　　/ ﾉ　￣不´＞　 /　〈　　ヽ　　　　　ヽ
　/　／ √~￣ﾞ￣’　￣￣｀　　{「ヽ√　　　　 `ー､＿,　,..-―‐￢，
　／　く,　　　　　　　　　　　　　ノﾘ　　　　＿＿　　`´　 7'"￣
　r――く入　　／⌒ヽ　　　　／ヾ　　　　　　　　ﾞｰ～ｭ／｀ヽ
214 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:38:05 TPWIG0JI
三３５０．
――――――――――――――――――――――――――――――
　　腕は肘から、脚は太ももから彼のものでは無くなっていた。

　　無造作に管や線を埋め込まれた部分には血が滲んでおり、
　　ずさんな処理でこの中に放り込まれているのが簡単に想像出来る。
――――――――――――――――――――――――――――――

　|　　　　　　　ﾄ.|　//　 i i　　　　　　　　　　! !　　.|.| i.i　! !　　　　::|
　|　　　　　　　|_|　| |　 .i i 　＿＿＿_ 　　 ! !　　 |.| i.i .! !　　　....::|
　|　　　　　　　|_| //　　i i ／　　　　＼　 .! !　　|.| i.i .! !　　　　 :|
　|　　　　　　　|_ﾚ./　　ヽ二.　　　　　　＼.! !　　|.| i.i//　　　　 :|
　|　　　　　ヽヽ　 .／　　　　　　　　　　 ! !　　 |.| i//　　　　 :::|
　|　　　　　　　/|_|　 |　　　（ー）　（ー）　　.! !　　 |.|//　　　　　 ::|
　|:　　　　　　 | ||_|　＼　（ﾄｪｪｪｪｪｪｪｪｲ）　! !　　|.|.|||　　　　　 ::|
　|: 　　　　 | ||_|　.／　　　　　　　　　//ヽ　　|.|.|||　　　　　 :::|
　|　　　　　　 | |.|_|　| 　　　　　　　 /./　|　 .|.|.||| 　　 f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ
　|::　　　　　　| | |_|　|　　i　　　　______.r',ノ　 |　　|.|.|||　　　|　　………ご覧の有様だ。　　　　　　　　 |
　|:　　　　　　 | | .|_| .|____|　　　 .‐‐‐‐" |____|　 ////　　　|　　あんまりジロジロ見るんじゃネェよ。　　 .|
　|　　　　　　　ｌｌ　|_| |_|ﾄ||　　　　　　 |ﾄ|ﾒﾆﾆﾐ//　　　　乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
　|　　　　　　　＼ヽ二彡.|　　　　　　　 |ヽ三三/　　　　　　　 :|
　|　　　　　　　　　　　　 |_______i-i_______|　　　　　　　　　　　 ::::|:
　|　　　　　　　　＿_＿　/ |/|ﾄﾒ　川川ﾒ　＿＿　　　　　　　 ::|
　|　　　　　　　./　　　 'ー┴l　　ヽｌ||勺　　　　ヽ　　　　　　　　 :|
　|,，　　　　　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿／　　　　　　　　 |
/ ヽ、＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_／ヽ
|ヽ、ｲ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_＿ﾍ／|
|　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　.|
.ヽ、|＿＿介＿＿＿＿＿＿介＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿介＿＿_!／.
　　　　　ノ/ 　　　　　　 | |　　　　　　　　　　　　　　ﾉﾉ
　　　（（　　　　　　　 | | 　　　　　　　　　（ (

―――――――――――――――――――――――――
　　本当は痛いのではなかろうか。
　　いや、痛みを感じる部分すら失われているのだろうか。

　　ガラス越しの、くぐもった声からは読み取れなかった。
―――――――――――――――――――――――――
215 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:39:07 TPWIG0JI
三３５１．

　|　　　　　　　ﾄ.|　//　 i i　　　　　　　　　　! !　　.|.| i.i　! !　　　　::|
　|　　　　　　　|_|　| |　 .i i 　＿＿＿_ 　　 ! !　　 |.| i.i .! !　　　....::|
　|　　　　　　　|_| //　　i i ／　　　　＼　 .! !　　|.| i.i .! !　　　　 :|
　|　　　　　　　|_ﾚ./　　ヽ二.　　　　　　＼.! !　　|.| i.i//　　　　 :|
　|　　　　　ヽヽ　 .／　（ー）　（ー）　 ! !　　 |.| i//　　　　 :::|
　|　　　　　　　/|_|　 |　　（ﾄｪｪｪｪｪｪｪｪｲ) ,.! !　　 |.|//　　　 f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ
　|:　　　　　　 | ||_|　＼　　＼ェｪｪｪェ／　! !　　|.|.|||　　　 |　　無駄足踏ませて悪いな。　　　　　　　　 |
　|: 　　　　 | ||_|　.／　　　　　　　　　//ヽ　　|.|.|||　　　 .|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|
　|　　　　　　 | |.|_|　| 　　　　　　　 /./　|　 .|.|.||| 　　 ..|　　顔も、身体も化け物になっちまった俺に　　　.|
　|::　　　　　　| | |_|　|　　i　　　　______.r',ノ　 |　　|.|.|||　　　 |　　この先なんかねぇさ。　　　　　　　　　　　 |
　|:　　　　　　 | | .|_| .|____|　　　 .‐‐‐‐" |____|　 ////　　　乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
　|　　　　　　　ｌｌ　|_| |_|ﾄ||　　　　　　 |ﾄ|ﾒﾆﾆﾐ//　　　　　　　 ::|
　|　　　　　　　＼ヽ二彡.|　　　　　　　 |ヽ三三/　　　　　　　 :|
　|　　　　　　　　　　　　 |_______i-i_______|　　　　　　　　　　　 ::::|:
　|　　　　　　　　＿_＿　/ |/|ﾄﾒ　川川ﾒ　＿＿　　　　　　　 ::|
　|　　　　　　　./　　　 'ー┴l　　ヽｌ||勺　　　　ヽ　　　　　　　　 :|
　|,，　　　　　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿／　　　　　　　　 |
/ ヽ、＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_／ヽ
|ヽ、ｲ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_＿ﾍ／|
|　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　.|
.ヽ、|＿＿介＿＿＿＿＿＿介＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿介＿＿_!／.
　　　　　ノ/ 　　　　　　 | |　　　　　　　　　　　　　　ﾉﾉ
　　　（（　　　　　　　 | | 　　　　　　　　　（ (

――――――――――――――――――――――――――
　　分かったら放っておいちゃくれないかと言わんばかりの、
　　妙に悟ったような声と表情。
――――――――――――――――――――――――――
216 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:40:05 TPWIG0JI
三３５２．
――――――――――――――――――――――――
　　それが無性にコナタの気に障った。
　　彼女も、キル夫が死を望んでいる事を察したのだ。
――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　 _,-,ﾆ二ニ=､
　　　　　　　　／／
　　　　　　　 /:/
　　　　　ヾ`､
　　　　　　　　＞+:‐: ´:￣: ￣: :`:'￣:l.､＿＿＿,／
　　　　　　／: : : : ／: : : : : : : : :/ : : l: : : :く‐´´
　　　　 /: : : ／: : : : : : : :/: :/: : : : l: : : : ､:＼
　　　　　l: : : /: : : : : : : : :/: /l: : : : ∧ l: : : :ヽ: :ヽ
　　　　 /: :/: :/: : : _,:_∠Ｌ､:::/: : : /::::l l: : : : :ヽ: : ヽ
　　　 l: /://: : : : :／::/':::::/: : : /::::-H､: : : : : lト､: ヽ
　　　　l://://: : : ｲミ土=､_/: : :/:::::::::l∧: : :l: : :l　｀ヾ､
　　　　l/: :l l: : : ｲ:llo:::::::/:::/://:::テﾃヵl: : :ﾊ: : l
　　　 l: : :l: l: :/.:l.:l し: 」:::::l/:'::::::P::::/'/l: : :l:N: :l
.　　　 l: : : W/: : N　　　　　　､ `‐':::l::l: : lN　V
.　　　 l: : : : :ﾊ: : : ト､　　ー=　　　ノlﾊ: :ハl　　　　　「………あぁ？」
　　　 l: : : : : :､: : : 「ﾌ｀‐- ,､-┬:Ｔ´: :l　l/
.　　　l: : : : :,レ､: : :ヾ､　　/､｀Y/:l:l: : l
　　 /: : :rﾆミミヽ: : ヾ､-─┤ `┤: : l
　　 /: : /￣＼ヾヽ: : :ヾ､　　 l　　ll: : l
　　/: : /　　　ヽヾヽ: : lヽ　　l　 /l: : l
　 /: : /　　　 l ＼ヾ､: l ヽ　 l //l: :/
　/: : :l　　　　 l ハヾ､l､､l　 l////l

　　 |　　{　　 |　　　　ﾊ　　　'　　乂込りｲ､｀ヽ
　　 |　　 '　　｜　　ミ､　i　　　|ハゞ＝彡ﾉ/z　i
　　 |　　　ヽ　.!　　　ﾊ:}｜i: !　{　 '　　i 　ゞ=ｿ i:!
.i 　 |　　　ハ:{.　 r＝彡｜{｜ﾉi　 |.　｜ヽ　　八
:| 　 !　＞ー从＿}{　i ! |.川 i{ ｀ヽ | 　 !　ﾊ　､　ﾞ
　　 |{　／　ーヽメ　八ﾊ!{ !ﾉj_z＿j 　 |　　.'　　ヽ
ﾊ　人ハr＝ﾐハﾊ　ﾉ从７.::ﾊヾｿ ,　　'
　 / }込八irくｲ_ノノ　　　　 i::::::::j [:!/i 　 |　i
　{　:{ゞ＝ミ＿ﾉ／　　　 ,　　ゞ彡<从 '　　i　ゝ　　　　　　　「自分を化け物なんて言わないでよ！
.八 ∧　　　　j:i　　　　ﾉ　　　　'イ /{　八　　｀ー
.　ヽ∧　　八{__j), - .､　　　/rーﾐ八　　｀ー -　　　　　　たとえそうでも心は人間じゃない！
　　　＼ヽ.　　￣ゝ:::ノ　　 .ｲハ　　}vー､｀ー -　　　　　　寂しくて、傷ついて―――」
　｀ヽ　　＼＞　　　　　／⌒´　　　　　　ノ　｀ヽ
ハ　　＼　　ヽハ≧=彡｝　｀ヽ　　　　　　｀ヽ　ハ
　丶.　　＼　　 }､　{　/　　　　　　　　　　ﾉ　　 }
　　　＼　　ヽﾉ iﾄ､∨　　　　　　　　　　　＼　 '

――――――――――――――――――――――――――――
　　また、見てしまったからこそ、
　　知っていたからこそ雪華綺晶は言わずにはいられなかった。
――――――――――――――――――――――――――――
217 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:41:05 TPWIG0JI
三３５３．
―――――――――――――――――――――――――――――
　　自分を化け物と自嘲するキル夫には、
　　とても強く―――そして弱い、人間らしい心が残っているのだと。
―――――――――――――――――――――――――――――

　　ヽ人_从人__从_从人__从人_人_从人__从人__从人ﾉ
　＜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞
＜　　それでも他人のせいにしない、　　　　　　　　＞
＜　　強い心が残ってるのを私は知ってる！　　　　＞
　＜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞
　　 Y⌒YW⌒Y⌒WW⌒⌒YW⌒Y⌒WY⌒⌒Y⌒WY

　|　　　　　　　ﾄ.|　//　 i i　　　　　　　　　　! !　　.|.| i.i　! !　　　　::|
　|　　　　　　　|_|　| |　 .i i 　＿＿＿_ 　　 ! !　　 |.| i.i .! !　　　....::|
　|　　　　　　　|_| //　　i i ／　　　　＼　 .! !　　|.| i.i .! !　　　　 :|
　|　　　　　　　|_ﾚ./　　ヽ二.　　　　　　＼.! !　　|.| i.i//　　　　 :|
　|　　　　　ヽヽ　 .／　　　　　　　　　　 ! !　　 |.| i//　　　　 :::|
　|　　　　　　　/|_|　 |　　　（ー）　（ー）　　.! !　　 |.|//　　　　　 ::|
　|:　　　　　　 | ||_|　＼　（ﾄｪｪｪｪｪｪｪｪｲ）　! !　　|.|.|||　　　　　 ::|
　|: 　　　　 | ||_|　.／　　　　　　　　　//ヽ　　|.|.|||　　　　　 :::|
　|　　　　　　 | |.|_|　| 　　　　　　　 /./　|　 .|.|.||| 　　　　 ::::|
　|::　　　　　　| | |_|　|　　i　　　　______.r',ノ　 |　　|.|.|||　　　　　 ::|
　|:　　　　　　 | | .|_| .|____|　　　 .‐‐‐‐" |____|　 ////　　　　　 ::|
　|　　　　　　　ｌｌ　|_| |_|ﾄ||　　　　　　 |ﾄ|ﾒﾆﾆﾐ//　　　　　f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ
　|　　　　　　　＼ヽ二彡.|　　　　　　　 |ヽ三三/ 　　　　 |　　知ったような口を………　　|
　|　　　　　　　　　　　　 |_______i-i_______|　　　　　　　　　　　乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
　|　　　　　　　　＿_＿　/ |/|ﾄﾒ　川川ﾒ　＿＿　　　　　　　 ::|
　|　　　　　　　./　　　 'ー┴l　　ヽｌ||勺　　　　ヽ　　　　　　　　 :|
　|,，　　　　　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿／　　　　　　　　 |
/ ヽ、＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_／ヽ
|ヽ、ｲ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_＿ﾍ／|
|　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　.|
.ヽ、|＿＿介＿＿＿＿＿＿介＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿介＿＿_!／.
　　　　　ノ/ 　　　　　　 | |　　　　　　　　　　　　　　ﾉﾉ
　　　（（　　　　　　　 | | 　　　　　　　　　（ (
218 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:42:06 TPWIG0JI
三３５４．
――――――――――――――――――――――――――――――――
　　キル夫はヤレヤレと呟き、それももう汚れて手遅れだと言った。

　　罪のない人を殺し、大切な領主の証を奪い、妖術師に協力した自分は、
　　理由はどうあれ大罪人として裁かれてもおかしくないだろうと。

　　だが。
――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　＿＿＿_　　　　　　　　「意識はあったんだ、
　　　　／　　　　＼　　　　　　　自分が何をしでかしたかも覚えてる。
　　　／　　　　　　　＼
　／.　　(ー）　（ー）　　＼　　　　アストナージを殺しといて許されるはずがねぇ。
　 |　　　ハェｪｪｪェハ　　　|
.　＼　 |_ｪｪｪｪｪｪｪｪ_| 　／　　　　そもそも、こんな身体で町に行けるわけも………」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　人人人人人人人人
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜　　　　　　　　　　　＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜　　　ならない！　　＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜　　　　　　　　　　　＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Ｙ`Ｙ`Ｙ`Ｙ`Ｙ`Ｙ`Ｙ`
219 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:43:05 TPWIG0JI
三３５５．
――――――――――――――――――――――――――――――――
　　覗き込んでいた装甲を両手で叩き、
　　興奮で顔を真っ赤にした雪華綺晶はそれをも突っぱねる。
　　決して小さな事では無いが、その憂いすらも取り除かれているのだと。
――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　f }　　　　　　　　　　　　 ((r-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　((､_´ ｨｨ≦　　｀　´　　＞yT へ-､｝
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　fY必}ﾏ　/　　　　　　｛K必}ﾉ7-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /弋ﾆｼ　/　　　　,ｲ　　　　}ﾍゞｴｼ》、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　 i　'))/ 　 / ／/ 　 / }　/　　!　((/,ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　./　　　　/　i　ﾊ　/　 !　　　　　' 　　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.′/　　､__/　 / /　',　i 　ﾄ､ヽ,ｨ　　}　　 ,′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .′ i　　≦/　|!　.ﾘ__　 ! l　/　Xﾚ´ iヽ　　/!｀＼
　「そんな事にはならないよ！　　　　　　　　　　{ 　 ;| 　　/-=≠=く　／| ! /,≦zｷﾐ､!/　 //　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.ﾊ　ﾊ,　　r(Y⌒ミﾒ}）　 iﾙ'ｲfﾁ.ﾊ　}'|　// ′　　　ﾊ
　やらない夫が国王様に　　　　　　　　　　　 /　} , 　 N､八ムzソﾉ　　　　 V__ﾉ　 | /'　|　ヽ　　　i}
　お願いしたんだから！」　　　　　　　　　　 /　　! 　　 ,ﾊゞ辷ツ'　　 i　　　////./ｲ　　l　 !　　　||
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,／　　./　　　/∧{{_　　　 -‐　⌒iヽ　　/´ﾊｌ　､　|　　 ,ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.／　　　./　　　/｀ヽ＼　{:/　　　　 ´:},.イ /　＼　＼　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　./　　　／　　／　 |　ヾ|　≧ 　 __　 ≦!　l ,i¨｀ヽ,　＼　ヽ'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{　　　./　　／V｛　 l´）_r´}ヽ_ﾉ＾ﾞ´i＾i＾ト-イl（__　 }　 / ＼　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.',　　 {　　　{ 　 V　 l 　l: ＞-f　i_ﾉ⌒い⌒ rイ　/__:/　／ヽ　',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. ∨　.＼　ﾍ　　ヾ¨　　ﾄ.)`ー'||≫≪||ﾉ'ｰ'´i　 /　/',／　　　Y .}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨　　＼　＼　 ,ﾍ　､／ゝ^′'′ゝ＾ﾞとﾉ/ 　　ﾊ　{　从{　.|　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.―――‐＼　＼__f＝＝'1――――‐.|ヾ＝´イ‐┴‐{　.ﾍｧ' /―
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ー―‐_ミi_,ｲ　　　　　　　｀ﾄー＜　　　弋z彡.'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　)　　　　　/ }ﾙｨ}　　　　　　 {　　　ヽ　　ヽ(
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　て(　　〈////u　　　　　　　　 uﾍﾍﾍﾍ〉　　 )て
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´)!､__　￣´　　　　　　　　　　　｀￣´　__ノ(｀
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／^Y´　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀Y^＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,/　　　 ,ｲ ,ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／〈　　　 ////
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　/ 　／| ﾚﾚ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　/ 　 l　| 　 , ―― ､_　 ., イ　,ｲ ,ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　/ 　　l　|　 '――''''''　／／ .////　, イ
　　　　　.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　/ 　　 l　l　　　　　　／／　ﾚﾚ／／
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　／'"　　　　　／'"
221 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:44:05 TPWIG0JI
三３５６．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　もちろん事情を知らないキル夫は突然国王の名前が出てきた事も、
　　誰のどういう要求に寄ってそれが解決されているのかも全く想像がつかない。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　＿＿＿_
　　　　／　　　　＼
　　　／　　　　　　　＼
　／　　(○）　（○）　　＼　　　　「なんだそりゃ、
　 | 　 ┌ｪｪｪｪｪｪｪｪ┐　　 |　　　　どう言うこった？」
.　＼　Lｪｪｪｪｪｪｪｪ._ｌ　　／

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _＞yえ}ﾄｖ^ー　　　　　　　　　　　　　　｀丶へv七たﾍﾞ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　》ゞそヅ/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼乂v匕人
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＾｝乂=ｧ'　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Y^＞=ﾍ V
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _＿_ﾉ/7 /.′ 　　　　　|　l|　l　　 |! i　　 |　!| 　　　　{　　　 ) ）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　((´~7￣/ /　　　　 |　ｌ |　|　l|　l　　|! |　|　|　!| 　ｌ　　　　| 　　 ( (＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_)} ./　/　′　　　 |　| |　|　l|　|((⌒|! |　|　|　!| 　|　　　　l　　　｝｀￣)）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　「その………」　　　 .　/　/　 |　　ｌ　　 |　| |　|　l|　| ｀)l |! |　|　|　!| 　l/　　　}　　　ﾊ　　´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l!　｛　 ! 　 |　 _　 |　| |　|　l|　レ'/ |! |　|　|　!|　/! 　　　ｌ　　/　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｝　Ｖ　|　　|ﾍ｀}!　|　|_l_⊥斗ﾍくi　|! ト┼- ､!| / !　　　　|　 /　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　ヽ.| 　 | ∧ゞ==く rｯ7そト〉{　　ｨfﾗ冬圷　/ ./ ″　!　{. 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　）　∧　＼∧　　》ゞト=ン^〈　　　弋ぅﾂ´′/ / 　八　＼人
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　/ ∧　　Ｖ）＿ﾉ!ーv__ゾ´　　　　　　　/ /.|　l!　 / ∧　　＼＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 /　/　　 }　　ﾚ'ﾉ´~ 丶　　　　_'._　　　イj |　|　l!　｛　　ﾊ　　ヽ）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　/　　 /　　ﾉ＾　/　　＞　　 ´｀　　＜=ﾍﾞ} |　|　l! 　＼　ｌ　　　 |(
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ　/　　 /　　（　 ./　 r=くｘﾍト=ー=ヘ人　 | l　|　l! 　　ヽｌ　　 | ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　 ∧　　　｀ヽ′ ノ　ｨ^ー～v-～ yへｖﾉ j　|　|!　　　ｌ　　 |　　）

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　説明を求められて、時間は無いんだけどなぁとちょっと困った雪華綺晶はしかし、
　　他にどうする事も出来なかったので
　　あの後から、王都での出来事をかいつまんで説明する事にしたのだった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　　　　　　　　　　　　――――――――――――――――――――――――――――――
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―――――――――――――
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―　―　―
222 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:45:05 TPWIG0JI
三３５７．

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―　―　―
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―――――――――――――
　　　　　　　　　　　　　――――――――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――――――
　　終始不機嫌そうな顔のまま聞いていたキル夫は、
　　話が終わった後にさすが英雄様は違うね、と吐き捨てる。
―――――――――――――――――――――――――――

　|　　　　　　　ﾄ.|　//　 i i　　　　　　　　　　! !　　.|.| i.i　! !　　　　::|
　|　　　　　　　|_|　| |　 .i i 　＿＿＿_ 　　 ! !　　 |.| i.i .! !　　　....::|
　|　　　　　　　|_| //　　i i ／　　　　＼　 .! !　　|.| i.i .! !　　　　 :|
　|　　　　　　　|_ﾚ./　　ヽ二.　　　　　　＼.! !　　|.| i.i//　　　　 :|
　|　　　　　ヽヽ　 .／　　　　　　　　　　 ! !　　 |.| i//　　　　 :::|
　|　　　　　　　/|_|　 |　　　（ー）　（ー）　　.! !　　 |.|//　　　　　 ::|
　|:　　　　　　 | ||_|　＼　（ﾄｪｪｪｪｪｪｪｪｲ）　! !　　|.|.|||　　　　　 ::|
　|: 　　　　 | ||_|　.／　　　　　　　　　//ヽ　　|.|.|||　　　　　 :::|
　|　　　　　　 | |.|_|　| 　　　　　　　 /./　|　 .|.|.||| 　　 f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ
　|::　　　　　　| | |_|　|　　i　　　　______.r',ノ　 |　　|.|.|||　　　|　　ヘドが出るぜ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　|
　|:　　　　　　 | | .|_| .|____|　　　 .‐‐‐‐" |____|　 ////　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|
　|　　　　　　　ｌｌ　|_| |_|ﾄ||　　　　　　 |ﾄ|ﾒﾆﾆﾐ//....　　　|　　いつ俺が仲間にしてくれなんて頼んだ？　　 |
　|　　　　　　　＼ヽ二彡.|　　　　　　　 |ヽ三三/.　　　　 |　　助けてくれって頭を下げたよ？　　　　　　　　 |
　|　　　　　　　　　　　　 |_______i-i_______|　　　　　　　　　乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
　|　　　　　　　　＿_＿　/ |/|ﾄﾒ　川川ﾒ　＿＿　　　　　　　 ::|
　|　　　　　　　./　　　 'ー┴l　　ヽｌ||勺　　　　ヽ　　　　　　　　 :|
　|,，　　　　　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿／　　　　　　　　 |
/ ヽ、＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_／ヽ
|ヽ、ｲ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_＿ﾍ／|
|　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　.|
.ヽ、|＿＿介＿＿＿＿＿＿介＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿介＿＿_!／.
　　　　　ノ/ 　　　　　　 | |　　　　　　　　　　　　　　ﾉﾉ
　　　（（　　　　　　　 | | 　　　　　　　　　（ (
223 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:46:09 TPWIG0JI
三３５８．
――――――――――――――――――――――――――――――
　　仲間と言われる事に違和感はあったとしても、
　　少なくとも助けられた事について文句を言うのは筋違いでしょうと
　　雪華綺晶は咎めるように名を呼んだ。
――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　＿_
　　　　　．-――z^＾7￣｀((⌒ ．_
　　　　／　　　／　　　}(勾},ﾄ､　　 `ｰ　．_
　　／　　　／　　　　 ((乂ミ=　　　　　　ヾﾐ　．　　 _
　／　　　　　　　　　 _)} 　．-‐　　　　　　　λ--__))
´ 　　／7　／　　　　　　／　　 -～＿_　　　　ゞ勾ハ
　　／　/／　　／　　　　　／　　　　((⌒'　/　　　 Ⅵ　ｉ
＿ノ　　'　　　　　　　イ　／　　　／／｀).l　/!　/　,　 Ⅶ !
.　　／　　　　　　　　/　　／／l＼レ'/ / } / //　　:.　!
￣´　　　　　　　 {./　／／ r=＝＞ﾐ / // 〃ﾙ　　ｉ　l
　　　　／　　　　／ｽ／／{,// 7rｯそ》}　八､/　} l 　}　|
　　／　　　　 ∠ゝ､ﾝ　　　 _《　ゞﾄ=ン　γ=ミ　/ ﾘ ./ ノ!　　　　　　「キル夫！」
　／　　　　／__.У::. 　　 ((⌒ｰv_ｿ"　　辷ｿⅣ／ノ　　l|
　　　　　／　ﾄ､_ ハ::.　　　　　　　　､　ﾊ　／|　　 l|
＿　　／　　 {　￣ﾄ､::.　　　　, r‐=z 、 ′/ ／ｉ　l|　　 l!　　　　　　　　　f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ
7} `ー- ．＿ノ　　ﾑ丶:. 　　 l　　ヽ:/ 　ｲ:. 　 |　l|　　 l!　　　　　　　　　|　　いい加減にしろよ。　　.|
/　　　　　　　　　 {__ヽ、ヽ:. 　 `ゝ=ｧ’ イ　!:.　　|　l|r―-lﾄ､　　　　　　乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
i　　　　　　　　　　　／}　　≧x.._ ィ～zﾘ √￣￣〃　　　　⌒ヽ‐z

―――――――――――――――――――――――――――――――――
　　だが呼びながらも、説得は難しいかも知れないと迷ったのも確かである。
　　見えてしまったからこその割り切りに近しいが、
　　暗闇の中に閉ざされた彼の心は頑なすぎるのだ。

　　だがそこで、ずっと黙っていたコナタの低い声が割り込んだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
224 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:47:27 TPWIG0JI
三３５９．
――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　先程からずっと不機嫌そうに貧乏揺すりを繰り返していた少女は、
　　つきあってられないよとキル夫を正面から切った。

　　それは情けも容赦もない、相手を心を一撃で粉砕せんとする痛恨の一撃だ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　 _,-,ﾆ二ニ=､
　　　　　　　　／／
　　　　　　　 /:/
　　　　　ヾ`､
　　　　　　　　＞+:‐: ´:￣: ￣: :`:'￣:l.､＿＿＿,／
　　　　　　／: : : : ／: : : : : : : : :/ : : l: : : :く‐´´
　　　　 /: : : ／: : : : : : : :/: :/: : : : l: : : : ､:＼
　　　　　l: : : /: : : : : : : : :/: /l: : : : ∧ l: : : :ヽ: :ヽ
　　　　 /: :/: :/: : : _,:_∠Ｌ､:::/: : : /::::l l: : : : :ヽ: : ヽ
　　　 l: /://: : : : :／::/':::::/: : : /::::-H､: : : : : lト､: ヽ
　　　　l://://: : : ｲミ土=､_/: : :/:::::::::l∧: : :l: : :l　｀ヾ､
　　　　l/: :l l: : : ｲ:llo:::::::/:::/://:::テﾃヵl: : :ﾊ: : l
　　　 l: : :l: l: :/.:l.:l し: 」:::::l/:'::::::P::::/'/l: : :l:N: :l
.　　　 l: : : W/: : N　　　　　　､ `‐':::l::l: : lN　V　　　　　「いい加減にしろよ、負け犬ヤロウ。
.　　　 l: : : : :ﾊ: : : ト､　　ー=　　　ノlﾊ: :ハl
　　　 l: : : : : :､: : : 「ﾌ｀‐- ,､-┬:Ｔ´: :l　l/　　　　　　　　　こっちは時間が無いのに
.　　　l: : : : :,レ､: : :ヾ､　　/､｀Y/:l:l: : l　　　　　　　　　　　わざわざあんたの面倒を見てやってんだ。
　　 /: : :rﾆミミヽ: : ヾ､-─┤ `┤: : l
　　 /: : /￣＼ヾヽ: : :ヾ､　　 l　　ll: : l　　　　　　　　　　　甘ったれてないで
　　/: : /　　　ヽヾヽ: : lヽ　　l　 /l: : l　　　　　　　　　　　『戦いが終わるまでおとなしく待っています』って
　 /: : /　　　 l ＼ヾ､: l ヽ　 l //l: :/　　　　　　　　　　　言えよ」
　/: : :l　　　　 l ハヾ､l､､l　 l////l

　　　　　　　　　　「なんだテメェ！　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／⌒　　⌒＼
　　　　　　　　　　何の権利で俺を　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　負け犬呼ばわりしやがる！？　　　　　　　　　　　　／　;;;（◯）::::::（◯）;;;　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　（ﾄｪｪｪｪｪｪｪｪｲ）　　|
　　　　　　　　　　テメェに俺の苦労が分かるってのかよ！」　　　　　　　＼　　＼ェｪｪｪェ／　／

――――――――――――――――――――――
　　いきなりの物言いにキル夫は、
　　小娘に何が分かると文句の声を張り上げたが、
――――――――――――――――――――――
225 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:48:05 TPWIG0JI
３６０．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　冷徹に笑うコナタは傷口に刃を埋め込むと何度も抉り、突き刺し、切り刻んだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　／: : : ,./: : : : : : : :/: : : :/: : , '/!: : : : : : |: : :|: : : : : : : : :
　　, ': : : :／/: : : : : : : :/: : : :/＿/ / l: : : : : : :|: : :|: : : :l: : : : : :
　 /: : :／　/ : : : : : : :/: : : :/´: :/ l｀　|: : : : : : |: : :|､: : : !: : : : : :
. /: :／　 /,ｲ: : : : : /: : : : /: : /　!:::::::l: : : : : ∧: : ! ＼: :!: : : : : :
/／　　 // |: : : : : :!: : : : ,! :::/:::::!:::::::::::!: : : :/ ヽ: :|　ヽ｀ヽ､ : : : :
　　　　　!'　 l: : : : : l: : : :/.|: ,':::::::!:::::::::::::!: : : !:::::::l: |:::::ヽ: ヽ: : : : :
　　　　　 | : : : : |: : :/ !|/'ｰ- |､::::::::::::::l: : l:::::::::', l:::::::::ヽ: ヽ: : : :
　　　　　　 | : : : : |: :/l:::::|__　　 |::::::::::::::!: |:::::::::__'|:::::::::::ヽ;!､: : : :
　　　　　　　|: : : : :,!: !: l:::::r ' 　i !:::::::::::::::| |:::::::::::/｀''―- ､ヾヽ: : :
　　　　　　 !: : : ｲ|/: :,!:::::!ヽ-'/::::::::::::::::::l:!:::::::::::!_ 　　　 /l: :∧: :　　　　　「どうせ不細工だの
　　　　　　　　',: : l l |': / 　｀ｰ'　　　　　 |　　 r‐' 　 i　./ ! :/: :! : :!　　　　運が悪いとかだろ？
　　　　　　　　ヽ:| | |: :{　　　　　　　　　　　　 l､ヽ.ノ,. ' /:/ : : | : l
　　　　　　　　'.| | |: : ＼　　　　､__　　　　　　 `　'´　/:/ : : : ,!: |　　　　　加えて性格もヒネてるんじゃ
　　　　　　　　 | |: : : : |ヽ､　__,.、 `ｰ'　　　　　･ /:/: : : : :/!/　　　　　救いようがないね」
　　　　　　　　 | |: : : : |: :／／ヽ　　　　　　　 ,.. /:/: : : : :/´|: :
　　　　　　　　 | |: : : : |/ /　/　,'‐;!ー――,.i' ´-.//: : : : :/ : :|: :
　　　　　　　　 | |: : :/7 /　/　/　l｣　,.. ''´:::::::::::::/': : : : : / : : |: :
　　　　　　　　 | |: : !　　　　　 |／::::::::::::::::: , ': : : : : , ': : : : |: :

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　「ああそうだ！　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　俺は何にもしてねぇのに　　　　　　　　　　　　　　／　　(○）　（○）　　＼
　　　　　　　　　　このツラのせいで何度化け物扱いされたか！」　　　 | 　 ┌ｪｪｪｪｪｪｪｪ┐　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　＼　Lｪｪｪｪｪｪｪｪ._ｌ　　／

―――――――――――――――――――――――――
　　満身創痍のキル夫はそれでも怯まない。
　　これまでの人生は不運で不公平なものだったと思うし、
　　話せば多くの人が同意する自信があったのだ。
―――――――――――――――――――――――――
226 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:49:18 TPWIG0JI
四３６１．
―――――――――――――――――――――――――
　　幸か不幸かで言えば不幸だね、と肩をすくめた少女は
　　でもその程度だよね、と足下を崩しにかかる。
―――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　 -－-
　　　　　　　　　 _.　 ' ´　　　　　　　　｀　、
　　　　　　　／　／　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　/　／／　　　　　　　　　　　　　｀　ー-
.　　　　　　/／ィ'　　 .／　＿_　_,./　　｜ |
　　　　　 ,ｨ' ／　　／　´,　 ' ＾　′ 　 ,|　|
　　　　 '´ ｌ′　 _／ .__／　　　 /　　 7ト/.
.　　　　 /　. ィ'/　「'７女ァr　/ 　／　!'| lヽ　|
　　　　 /／,ｒ１'　,.ｲ　ﾑ.　 /　/　／　ぇ､ﾘ |　　|
.　　　 ´　l.{　|／　|　[＿/　 /／　　 '　ヾ:､　　|　　　　　　　　　「やっぱり負け犬じゃん。
　　　　　 | ヽ|　　 |　　　　　'　　　ん　／|　 /　|
　　　　　 |　｜　 |　　　　　　　　ヽ､/,ｒ´|／　 ,ﾊ　　　　　　　　たかがその程度何だってのさ」
　　　　　 |　｜　 |＼　　　´’　　　 /　 ,　　, '　l/
　　　　　 |　｜　 |　j｀　ー--‐ャ　 ´　／ |／
　　　　　　'.　ﾊ. 　 |/　　／　／　　, <　　 !
　⊂,.￣｀ヽ∨ ∨　|￣｀/ 　 /　, ／,ｒ⌒.ー､
　／　　　ﾞl 　Ｖ' |　 / 　 /／'´ i´　　｀ヾ
　}',. ,　／　 |　　ヽl. /　　/'　　！　　　　）

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　:::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , '　　　　　　　::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾞｉ
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜　(, ｀ﾝ`〃,ｨ"￣Y!}》}i,r' 　　:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 { 　′ ﾄﾘｲﾍ;_ﾟ__ﾉ'　 '　　　　　:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　',　　　,.' ヾ≡彡'ﾒ､　　　　　! `i　::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　- = 彳,勿ァｧ＿_/^Ｙ:1ｉ.　::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l
　「その程度、だと………」　　　　　.　ゝ、　　　　　　　_ ﾉ＼__ﾄ-'_ ｉ:|　　:::::::::::::::::::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ, ､　__ /＾Y　`!__ﾉr‐く_ﾉｉ:| 　　:::::::::::::::::::::::::::::,r'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Y''く　 `i　|､_,ﾉrベ!_　｝ Y!　/ﾊ　::::::::::::::::::::::}!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ﾊ___jﾆr'⌒ト､_}. `′ ﾊ_八_i　:::::::::::::::／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　亡｢＼ `r:Ｊ　r～',x'^⌒ヾＪ|　::;_;:::ｲ! ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽrﾍ┘, _,x:+く　　　 __,比ｨｲ／／::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼.ﾒ＾　　　 ,　',∠=ｲ／／::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i.　　　／／ lYﾄ,／／::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ -='-:'´ 　 lﾚ' ／..:::::::::::::::::::

――――――――――――――――――――――――――――――――
　　これにキル夫が激高したのも無理はない。

　　はっきり言えば確かに、これまでの彼は見た目や育ちの問題、
　　それから性格や職業の都合を考慮したとしても
　　不当な評価を受けやすく、傷つけられる事が多かったのは事実なのだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――
227 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:50:05 TPWIG0JI
四３６２．
――――――――――――――――――――――――――――――
　　だが、腕を組んだ彼女は―――
　　凄惨な過去を持つこの少女は、それを鼻で笑う権利を持っていた。
――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　 ,..::;ﾆ＝-､
　　　　　　　　　 i::/　　　、
　　　　　　　　　　　,ゞｰ--‐::':::|,..-;:ァ
　　　　　　　　　／:::::::::::::::;::::::::!::::::｀丶、
　　　　　　　　/::/::::::::::/:/|;:::::;!i::i::::::....､ヽ
　　　　　　 l:/::;'::::'オ/|::|:::/:廾!::::::::::ﾞ:.ヾ:、
　　　　　　　 ,!,イ:::::/ !':|:l::l::/::::::lﾊ:::::|;;::::l
　　　　　 /i:::::!::/ｉTﾆT::,!;':::ｲﾆﾘ,!:::l｀､:|
　　　　　　 !:（|:'!::l::ﾟ‐':::/:::::::ﾟ‐：!:}::!　ﾞ!
　　　　　　 |::::M::::!､　　_ 　 .ィ:i!ﾘ
　　　　　　 |::::|:::l:::ﾚﾞ'ﾏ￢＜:!::|::|　　　　　　　「私は―――あいつに村を滅ぼされた。
　　　　　　 !::::|x<!:l　 |―|　,l:::|:::!
　　　　　　　 l::::::;!ヾｌ:ﾄﾐヾ、l〃!:ハ:|　　　　　　　その時ゾンビになったお母さんに手足を食われ、
　　　　　　 ,':::::::|　ヾ＞ﾐV∠}′ i|　　　　　　　一度は腕と脚を根本から切り落として
　　　　　 l::::::::{　,r=-=ニＬ._〉,ノ l|　　　　　痛くて苦しい防止処理を何週間も受けなきゃならなかった。
　　　　　　 ,!:::::::::l　　　　 |l!l!|´ 　 |!
　　　　　　 !:::::::::::ﾄ、　　　|＜　＿/:|　　　　　　 ………五歳の時の事だよ」
　　　　　 !::::::::::::ﾞ7ーイ丁´「〈::::::|
　　　　　 l::::::::::::/　l　 |　|　 l　ﾞ､::::|
　　　　　　 l::::::::::/　l. 　|　 |　 l　ﾞ､:|

　　　　　　　　　　　　　,,　　 ´ ￣￣ ` 　､,__r--､
　　　　　　 r''ュ-／´　　　　　　　　　　 .fl昼q　ヽ
　　　　　 /　 {r3!}　　　　　　　　　　　　 !=彳li　 il
　　　　　　 |　　/`´　　　　　　　　　　　　　　　 l l　 il､
　　　　　　/!　/　　　　 ii　 i　i　i　 i　i　 i i　i　　　　| il
　　　　　 / l .i　　|　　　|i　ll　li　l　 l　li　 ll　 l　　,　.l　 il
　　　　 /　|　li　 | ll l　li　 !l　ll　l　li､l_ﾊ__l_;_ |　 /　l　　il
.　　　　/　 l　 ll　 ! l !l 7ニ-ri l　l .l l　l___ l l /　/　 l　　l il
　　　 .li.　　!　l l.　ヽl <_ く廻_' }　V. i'l:::ii:d`i / /　　l　　 l　il
　　　 li　　 l　 l!　ヽヾ 'r､Y__r‐′　 .ゝ辷っ!l ./　　 l　　　l　il　　　　　「……………」
　　　 li　　　 ∥　　l　　l,""　　 ' 　　 """,ll /　　　l　　　 l　 il
　　　 l　　　//　　　}　　ヽ､　　c-ュ　　イ!_λ　　 l　　　 l　 i l
　　　　l　 / l　　r ､　､__ゝ　 !=r‐‐' ､┘''´／　　_ ｧ l　　　l　 l .l
　　　　 l　l　l　　 } .| |__,_ ___ ./__`_ミr'　　`--,／. |　ヾ　　;　　/
　　　　/　l　l　／　 |__r ユf ..ﾋ二,'　`i__fて／l　　ヽ　　i　|　 /
　　　/ l　 l　/　　　　　 l l　 ⊂ニ　　 i　r `'''′　　＼　l　l /
　　/　l　　/　　　　 /　　ﾋ'￣!_　 ,-l-r ､　　　l　　ヽl　lヽ
　./　 l　　ゝ　　　　／ /　　　_f'´´Ｕ　''´ /　　　　／　ヽヽ
../　　l　　　　入　 // /　　　＼,　　　　　ヽ,　　　／　　　　} ＼
l　　　l　　　　く　//　　　　　/　＼　　　　ヽ　 ∫　　　　 /.　　}
!　　　l　　　　て l　　　　　／　r-''　l　　　　　 !　　l　　　　/　　　}
228 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:51:05 TPWIG0JI
四３６３．

.　　　／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ｀ヽ-.‐: :￢
　　　,.': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :,r.: : : : : : : : :.|
　　 /　　　. . : : : : : : : . . . . . : :.／:, : : : : : : : : : :|:､
　　, . . : : : : : : : : : : : : : : : : ／／　　　　 /　.| ｀､
　 ,'::.::.::.::.::.:.: : : : : : : : : : : ; ': :/: : : : . . .　,/ / 　 |！ヽ
.　!::.::.::.::.::.::..: : : : : : : : : ; ': ／:,/ : : : : :／,':./: .　 !: :l: :.､
　!.::.::.::.::.::.::.:.: : : : : : : :./／:/;.': : : : :.／ /:/: : : : :|: : lﾞ､:ﾞ、
. !::.::.::.::.::.::.::.: : : : :/: :/:'ﾞ:,r//: : : :.／　 //|: |: : : :|: : :| ﾞ､ﾞ、
.::.::.::.::.::.::.::.::.: : : :./: /': : i/': : : :,:ｲ　　〃 ,!:.|: : : l: : : |　ヾ:.
:.::.::.::.::.::.::.::.: : : :./:./ ::.::.:/: : :／:||　　/'　/|::!|:: : ﾊ: : :|　　ﾞ｝
::.::.::.::.::.::.::.:. : :.::/: :.::.::.::/. :,ｲ::.::.:|!　 /　｜.|:! !: :,'　'; :.|
.::.::.::.::.::.::.:. : .::./: .::.::.::./／|:|::.::.:.|　　　 |　ﾘ｜;'　　'; |　　　　「あんたのそれは、
:.::.::.::.::.::.:: :.::.:/ ..::.::.::.//,<,､!!::. : | ^　_..ノ,､　 j/　　　ﾘ　　　　それよりも大変な事？」
::.::.::.::.::.:: ::.::./.::.::.::.::/／　ヽ|::. : :|￣　 /｜
.::.::.::.::.::.::.::./.::.::.::.:/:'ﾞ　　／ヽ: : :|　　 ,.｣　|
:.::.::.::.::.::.::/::.::.::.::/′ ／／／〉: :|　／　､!　_
::.::.::.::.::.:/:.::.::.::/　／／／'´　ﾞl :|_,!　　　　`´ﾉ
.::.::.::.::./::.::.::./ 　 / / ./　　　 l ﾄ､＼　 _,ノ´

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「お前、それでよく………」　　　　　／　　(○）　（○）　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | 　 ┌ｪｪｪｪｪｪｪｪ┐　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　＼　Lｪｪｪｪｪｪｪｪ._ｌ　　／

――――――――――――――――――――――――――
　　彼女の不幸な過去よりも、
　　それをあっさりと言ってのけた強さにキル夫は驚いた。
　　その時すでに、彼の思い込みは崩されていたのだろう。
――――――――――――――――――――――――――
229 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:52:05 TPWIG0JI
四３６４．

　　　　　　　　　 _,-,ﾆ二ニ=､
　　　　　　　　／／
　　　　　　　 /:/
　　　　　ヾ`､
　　　　　　　　＞+:‐: ´:￣: ￣: :`:'￣:l.､＿＿＿,／
　　　　　　／: : : : ／: : : : : : : : :/ : : l: : : :く‐´´
　　　　 /: : : ／: : : : : : : :/: :/: : : : l: : : : ､:＼
　　　　　l: : : /: : : : : : : : :/: /l: : : : ∧ l: : : :ヽ: :ヽ
　　　　 /: :/: :/: : : _,:_∠Ｌ､:::/: : : /::::l l: : : : :ヽ: : ヽ
　　　 l: /://: : : : :／::/':::::/: : : /::::-H､: : : : : lト､: ヽ
　　　　l://://: : : ｲミ土=､_/: : :/:::::::::l∧: : :l: : :l　｀ヾ､
　　　　l/: :l l: : : ｲ:llo:::::::/:::/://:::テﾃヵl: : :ﾊ: : l
　　　 l: : :l: l: :/.:l.:l し: 」:::::l/:'::::::P::::/'/l: : :l:N: :l　　　　「『自分が一番不幸です』って思い込みがムカつくんだよ。
.　　　 l: : : W/: : N　　　　　　､ `‐':::l::l: : lN　V
.　　　 l: : : : :ﾊ: : : ト､　　ー=　　　ノlﾊ: :ハl　　　　　　あんたよりも苦労している人、
　　　 l: : : : : :､: : : 「ﾌ｀‐- ,､-┬:Ｔ´: :l　l/　　　　　　　　私よりも酷い目に遭ってる人はこの世界に大勢居るはずなんだ。
.　　　l: : : : :,レ､: : :ヾ､　　/､｀Y/:l:l: : l
　　 /: : :rﾆミミヽ: : ヾ､-─┤ `┤: : l　　　　　　　　　　誰もが人に言えない苦しみを抱えて、
　　 /: : /￣＼ヾヽ: : :ヾ､　　 l　　ll: : l　　　　　　　　　　それでも生きてるってのに………」
　　/: : /　　　ヽヾヽ: : lヽ　　l　 /l: : l
　 /: : /　　　 l ＼ヾ､: l ヽ　 l //l: :/
　/: : :l　　　　 l ハヾ､l､､l　 l////l

―――――――――――――――――――――――――
　　―――若干十五歳の声に含まれる途轍もない重み。

　　かつては自分がそう思い込んでいたからこそ、
　　キル夫の痛みを理解できるからこその重み。
―――――――――――――――――――――――――

　|　　　　　　　ﾄ.|　//　 i i　　　　　　　　　　! !　　.|.| i.i　! !　　　　::|
　|　　　　　　　|_|　| |　 .i i 　＿＿＿_ 　　 ! !　　 |.| i.i .! !　　　....::|
　|　　　　　　　|_| //　　i i ／　　　　＼　 .! !　　|.| i.i .! !　　　　 :|
　|　　　　　　　|_ﾚ./　　ヽ二.　　　　　　＼.! !　　|.| i.i//　　　　 :|
　|　　　　　ヽヽ　 .／　（ ○）　（○）　 ! !　　 |.| i//　　　　　 ::|
　|　　　　　　　/|_|　 |　　（ﾄｪｪｪｪｪｪｪｪｲ) ,.! !　　 |.|//　　　　 ::::|
　|:　　　　　　 | ||_|　＼　　＼ェｪｪｪェ／　! !　　|.|.|||　　　f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ
　|: 　　　　 | ||_|　.／　　　　　　　　　//ヽ　　|.|.||| 　　 |　　だが、こんな身体で………　　　 |
　|　　　　　　 | |.|_|　| 　　　　　　　 /./　|　 .|.|.|||　　　乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
　|::　　　　　　| | |_|　|　　i　　　　______.r',ノ　 |　　|.|.|||　　　　　 ::|
　|:　　　　　　 | | .|_| .|____|　　　 .‐‐‐‐" |____|　 ////　　　　　 ::|
　|　　　　　　　ｌｌ　|_| |_|ﾄ||　　　　　　 |ﾄ|ﾒﾆﾆﾐ//　　　　　　　 ::|
　|　　　　　　　＼ヽ二彡.|　　　　　　　 |ヽ三三/　　　　　　　 :|
　|　　　　　　　　　　　　 |_______i-i_______|　　　　　　　　　　　 ::::|:
　|　　　　　　　　＿_＿　/ |/|ﾄﾒ　川川ﾒ　＿＿　　　　　　　 ::|
　|　　　　　　　./　　　 'ー┴l　　ヽｌ||勺　　　　ヽ　　　　　　　　 :|
　|,，　　　　　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿／　　　　　　　　 |
/ ヽ、＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_／ヽ
|ヽ、ｲ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_＿ﾍ／|
|　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　.|

――――――――――――――――――――――――――――
　　それが分からぬキル夫ではない。
　　
　　だが分かったところで遅すぎる、と
　　諦めの言葉で何とかこれまでの自分を保たせようとするが、
――――――――――――――――――――――――――――
230 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:53:05 TPWIG0JI
四３６５．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　ゾンビ化防止処理のために仕方なかったとは言え、
　　一度は腕と脚を根本から切り落とした経験のある少女はあっさりとそれも打ち崩した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　 ,. ‐,ニﾆ丶、
　　　　　　　　　　　　／／´　　　｀ヾ:
　　　　　　　　　　　 j.:/
　　　　　　　　　　　 {:{　　　　　　　　　　_,.,
　　　　　　　　 ,. -:`: :":￣:ﾞﾞ: :'':‐- :'": :|
　　　　　　　　／: : /: : : : : : : : : : : ; : : : :｢￣二: :_‐.､
　　　　　　　, ': : : :/:.／: : : : :,: : :.ｨ::!: : : : j: : : :｀ヽ、｀`丶、
　　　　　 ,': : : :./, ':::; : : : :./: :, ':|::!: : : : ;{: : . . ､　｀、
　　　　　 i: : .:: :,!':::::/: : : ;/: ; '::::::!l: : ; : :ハ: : : : :､: : .ヽ
　　　　 !: : :::/::::::/: : :7ﾌア'‐::::::l!: /: :.,'_;;;j: l: : : ヾ::､: :ﾞ:
　　　　　 .|: ; /::::::;,': : :/_l/＿__::::::j.:/ : /::::::::i:.|: : :i: l`ヾ: :l
.　　　　　 ,!',/:;:イ,': :./!{Ｔ示干':::::;!/: :/ｨ夫ｫｷ|: : :l: :!　ヾ}　　「大人しく待ってる事ぐらい出来るっしょ？
　　　　 /ｲj/:/_|:!: /::|::.!_　l｜::::/ｲ:./::l_ l | lﾊ{: : :{: :|
　　　　 /　!: :ﾞ ' ||;/::ｌ:|:::ヽ-' .::::::::::!/:::::iｰ' :::!:l'|: : ﾊ:｜　　　　身体だって学院と神殿に相談すれば
　　　　　 .!: :: ﾞl'||:::: ｉ:|::　￣　　 '′　￣・l::l !: ,'　ﾞ:,! 　　　たぶん元通りになるよ。
　　　　　 j: : : l::l :::: :i:ﾄ,､　　　 ,，　　_,..ィ:.|. |/
　　　　　 /: : :/::;ｌ ::: : iﾍ.　｀ 7 ､-‐ｧ:'/|:l::::: :|　　　　　　　　　私が戻ったんだから………」
　　　　　/: : ;!く . l: :: : :i.ﾞ:、　い｀ヾ､/ |:|:: : :|
　　　　 /: :./＼＼.!; ; ; ;.i ﾞ:、-┤　|| ﾄ.||: : :.|
　　　 /: :.{'＾ヽヽ.ヾ: : : :l　ﾞ:、 |　 || |ﾊ|: : :.|

　|　　　　　　　|_|　| |　 .i i 　＿＿＿_ 　　 ! !　　 |.| i.i .! !　　　....::|
　|　　　　　　　|_| //　　i i ／　　　　＼　 .! !　　|.| i.i .! !　　　　 :|
　|　　　　　　　|_ﾚ./　　ヽ二.　　　　　　＼.! !　　|.| i.i//　　　　 :|
　|　　　　　ヽヽ　 .／　　　　　　　　　　 ! !　　 |.| i//　　　　 :::|
　|　　　　　　　/|_|　 |　　　（ー）　（ー）　　.! !　　 |.|//　　　　　 ::|
　|:　　　　　　 | ||_|　＼　（ﾄｪｪｪｪｪｪｪｪｲ）　! !　　|.|.|||　　　　　 ::|
　|: 　　　　 | ||_|　.／　　　　　　　　　//ヽ　　|.|.|||　　　　　 :::|
　|　　　　　　 | |.|_|　| 　　　　　　　 /./　|　 .|.|.||| 　　　 f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ
　|::　　　　　　| | |_|　|　　i　　　　______.r',ノ　 |　　|.|.|||　　　　|　　実験動物にされろってのか。　　　　 |
　|:　　　　　　 | | .|_| .|____|　　　 .‐‐‐‐" |____|　 ////　　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |
　|　　　　　　　ｌｌ　|_| |_|ﾄ||　　　　　　 |ﾄ|ﾒﾆﾆﾐ//..　　　　　|　　………大体、なんであのヤロウは　 .|
　|　　　　　　　＼ヽ二彡.|　　　　　　　 |ヽ三三/.　　　　　 |　　俺なんか助けようと思ったんだ。　　　.|
　|　　　　　　　　　　　　 |_______i-i_______|　　　　　　　　　乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
　|　　　　　　　　＿_＿　/ |/|ﾄﾒ　川川ﾒ　＿＿　　　　　　　 ::|
　|　　　　　　　./　　　 'ー┴l　　ヽｌ||勺　　　　ヽ　　　　　　　　 :|
　|,，　　　　　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿／　　　　　　　　 |
/ ヽ、＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_／ヽ
|ヽ、ｲ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_＿ﾍ／|
|　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　.|
.ヽ、|＿＿介＿＿＿＿＿＿介＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿介＿＿_!／.

―――――――――――――――――――――――――――
　　だが、どうにも分からねぇ事がある、と目を閉じたキル夫が
　　不思議そうに呟いので、
―――――――――――――――――――――――――――
231 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:54:06 TPWIG0JI
四３６６．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　先の、助けられた時のやらない夫に対する態度が気に入らなかったコナタは、
　　心底呆れたように肩をすくめるとわざとらしく言ってやった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　 -－-
　　　　　　　　　 _.　 ' ´　　　　　　　　｀　、
　　　　　　　／　／　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　/　／／　　　　　　　　　　　　　｀　ー-
.　　　　　　/／ィ'　　 .／　＿_　_,./　　｜ |
　　　　　 ,ｨ' ／　　／　´,　 ' ＾　′ 　 ,|　|
　　　　 '´ ｌ′　 _／ .__／　　　 /　　 7ト/.
.　　　　 /　. ィ'/　「'７女ァr　/ 　／　!'| lヽ　|
　　　　 /／,ｒ１'　,.ｲ　ﾑ.　 /　/　／　ぇ､ﾘ |　　|
.　　　 ´　l.{　|／　|　[＿/　 /／　　 '　ヾ:､　　|
　　　　　 | ヽ|　　 |　　　　　'　　　ん　／|　 /　|　　　　　「あーあーあー。
　　　　　 |　｜　 |　　　　　　　　ヽ､/,ｒ´|／　 ,ﾊ　　　　　ま～だ分からないんだ？」
　　　　　 |　｜　 |＼　　　´’　　　 /　 ,　　, '　l/
　　　　　 |　｜　 |　j｀　ー--‐ャ　 ´　／ |／
　　　　　　'.　ﾊ. 　 |/　　／　／　　, <　　 !
　⊂,.￣｀ヽ∨ ∨　|￣｀/ 　 /　, ／,ｒ⌒.ー､
　／　　　ﾞl 　Ｖ' |　 / 　 /／'´ i´　　｀ヾ
　}',. ,　／　 |　　ヽl. /　　/'　　！　　　　）

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／⌒　　⌒＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　「分かるわけがねぇ！」　　　　　　　　／　;;;（◯）::::::（◯）;;; ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　（ﾄｪｪｪｪｪｪｪｪｲ）　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　＼ェｪｪｪェ／　／
232 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:55:05 TPWIG0JI
四３６７．
―――――――――――――――――――――――――
　　まあ、無理はないかと装甲の上で立ち上がり、
　　遠い遠い故郷があるはずの方角を見やった後―――
―――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　.. .. . ...　.::::..　.　.　.::　:　:..　.　...　:::　:::..　... ..
　　　　　　.. . ...　...　..::. .. .　..　.　..　.:::::　::　:.　...　.:::::
　　　　　　　:...　.　.::::　..　. .
　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　.. .. . ...　.::::..　.　.　.::　:　:..
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　...　:::　:::..　... .. .. . ...
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　...　..::. .. .　..　.　..　.:::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　::　::　:.　...　.:::::　:...　.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.::::
　　　　　　　　　　　　　　　　..　. .
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,-‐''"´'':､,,　　　　　　　　　　　　　 ,,_,__
　　　　　　_,,.--ｰ''''''"ﾞﾞ￣ﾞﾞ"'''''―--.,,,,,,-‐'゛.:'"ﾞ:.:ﾞ,:;、,"'.:.:　　_,,.;:-－''"´｀ﾞ''ｰ､／ヽヾ＼
　　　　　　::;.:".:;.:'"ﾞ:.:ﾞ,:;、,"';,_,,.-ｰ'''"ﾞﾞ:,:;.,:;.:::;.:".:;.:'"ﾞ:.:ﾞ,:;、,:ﾞ',`:;,':,:;.,:;.:::;.:".:;.:'"ﾞ:.:ﾞ,~ﾞ"'ｰ-:;、,"'.:
　　　　　　":;;;:　: ;: ;: ;:　　; ::;　: ;:; :; :　 :: :; ":;;;:　:;: ;: ;:　　; ::;　: ;:; :; :　 :: :; ":;;;:　: ;: ;: ;:　　; ::;　: ;:; :
　　　　　　'' ;~　; ::;　: ;:; '',;''ﾟ　; ::;　: ;:; ;~'',;'' ;~'',;'' 　; ::;　: ;:; ;~　; ::;　: ;:; '',;'' ;　; ::;　: ;:; '',;''ﾟ ;~'',;
　　　　　　":;;;:　: ;: ;: ;:　　; ::;　: ;:; :; :　 :: :; : ;:; ;~'',;'' ;~'',;'' 　; ::;　: ;:; ;~　; ::;　: ;:; ': ;:; ;~'',;'' ;~'',;''ﾟ　; ::
　　　　　　:::....::::::........　.　.::::::... .... ..::::::::::::::::....::::::........　.　.::::::... .... ..::::::::::::::::....::::::........　.　.::::::... ....::::::::::
　　　　　　.. .. . ...　.::::..　.　.　.::　:　:..　.　...　:::　:::..　... .. .. . ...　...　..::. .. .　..　.　..　.:::::　::　:.　...　.:::::　:...

　　　　　　　　　　r,/''"´￣｀
　　　　　　　　　 l::|　　　　　／!
　　　　　　　　　　l:!　　　　　／.::/
　　　　　　　　　　ヾ:.　　＿/.::.:∠-.－::.::ァ
　　　　　　　　　　 , ゝ´.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::＜、
　　　.　　　　／.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.:｀ヾｰ
.　　　　　　　 /.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.　.＼
　　　　　　　/.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.:　i . :.:.i__::丶、
　　　　　　 ,'　: : .::.::.::.::.::.::.::.::..::. :　. . : l.::.::.::.!　￣
　　　　　　 i.::.::.::.::.; ,::.::.::.::.::.　.　: ::.::.::.:l:.::.:i:.::|
　　　　　　 l.::.::.;:;';';';';';';:,.::.::.::.::.::.::.::i::.::j､::.;{::.:|
.　　　　　 l:.::;';';';';';';';';';';';.;';.::.::.::.::.l::.::l Υ|::.:|　　　　　「やらない夫はね………」
　　　　　　　l.::;';';';';';';';';';';';';';'.::.::.:.:/:.::ﾊノ.::|ヾ|
　　　　　　　 !.;';';';';';';';';';';';';';';.::.::./::.::|　|::.:|
.　　　　　 l.';';';';';';';';';';';';';';'::.::/.::.::|ノ|::.:|
　　　　　　　　},';';';';';';';';';';';';';'::./::.::.::l　!.::.|
.　　　　　　　 l.:l.';';';';';';';';';';';';';/::.::,::.::!_|.::/
　　　　　　　 l.::.!.';';';';';';';';';';';'/::.::.;;.::.:|l!ヾ、
　　　　　　　l.::|::.::';';';';';';';';';'/.::.::.;;';:.::.|l!l!|ﾞ!
233 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:56:05 TPWIG0JI
四３６８．
――――――――――――――――――――――――――――――――
　　胸の中で確かに繋がっている、暖かい絆を確かめるように目を閉じる。
――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　,.::´:.＿::＼
　　　　　　　　　　　　　　 .:／　　ヽ::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　（(　　　　 }: :ﾘ
.　　　　　　　　　　＿＿　　｀ ,.､　　/::/
　　　　　 ,. : :´＿: : : : : : : : ｀:./: : :ヽ./::厶__
　　　／´　,. : ´: : : : : : : : : / : : : : : : : : : ::｀: ､
　　　　　／: : : : : : : : : : : : ,: : : : : : : : : : : : : : ::ヽ
　　　　, : : : : : : : : : : : : : : :{: : : : : : :i: : : : : : : : : : :.､
.　　　/ 　　 /　　 /　　　 !　 |　　　l　　 i　　　､　 ::.
　　 , イ : : /:, . 　 '　　　　,| : :l: 　　 |　 :,,'　　　　、
　／ / : :〃' : : /: : : : : : ::/| : ::!: : : : |: :〃: :! : : : : i: : : :
.　　/ : //: : : :/: : : : :,. -:/ |: : :! : : : :!_/i ＿! : : : : l : :ﾄ､!
.　 /:／/: : : ,': : : :, イ : / 　! ::∧: : : |/ :|: : ,':｀: ､: :l: : :l: :＼
. ノ'　 /: : : /: ::/: : : |∧{　　!.:,'　∨: :|　｜∧: : : : :|: : :|＼: :.
　　　,: : : ,ｲ: ::/:∧: :|'　ヽ　 i/　　∨::! 　i/　∨ : : :ﾄ､: :!.　ヽ: ::.
　　　:: : / {: :/: :{∧ |.､_ 二ｘく　　ハ!,ｲ::.､二,∨: :::|:∧:|　　ハ:!　　　「あんただけを助けたいんじゃない。
　　八::{　ヽ:{厶:! : ヽゝ-―'''　　　　　｀ー-' ∧: ::!::ハ!　　　ﾘ　　　あんたがこれから繋がっていく人も助けたいんだ。
　　　　ヽ. 　/: : ヽ: :{ 　:::::::::　　 _ ' _, 　 :::::::　ﾉ:∧: !: : :|
　　　　　　 ,: : l: : :｀＞　._　　　　　　　　 . イ::::::::リ!: : :|　　　　　　　　あんたの未来だけじゃない。
　　　　〃: :l: : :::::Ⅵ: : ｌ＞　..　_ 　 ≦ｌ: : |::::::,': :l: :i: :|　　　　　　　　あんたの向こう側に居る大勢の未来を助けたいんだ」
　　　　／ |: : :|: : ::::::∨: イ: ソ : : : :〈_}｀ヽ.:,'::::: : :,' : |: :|
　　　 /　　|: : ハ: : ::::::〈: : :､{__ : : : : __|: : :/:::: : :/::: : |: :'.
　　 ,' 　　i:: : :::∧: : :::::〈: : : i　, - ､　|: :/:::: : :/＼: : |: :ﾄ､
　　 ,　　 /|: : i/＼:,: :: : :∨: :|ｲ　,ｘ　ﾌ,':/::: : : /彡' ∨| : '. ＼
　　 i　／ .!: : :　　∧:: : :: ∨:/）/ /　, _,::: : : /,ｲ　　 Ⅵ::::∧　ヽ、
　　_乂　 ,': : ::i　　 ∧: : : ::∨{/ /／, ｲ: : : /〃　　　 }:|: : ∧ 　}
　　　　} ,: : : ::|　　　∧:（ヽ/　　　　こ.{: : ///　　　　 |:|: : ::∧ ﾉ
　　ノ' {: : : : |　　　 ∧::）　　　　r― ':://'　　　　　 |:|: : : ::∧
　　（　　|: : : : |　　　　∧ゝ　　　ﾉ彡'ﾊ:{/　　　,ノ　　|:|: : : : :∧
　　　　 !: : : : |　　　　Ｙ´ヽ -　x'/: :'_.ノ　　／　　　:!:|: : : : : ハ
　　　　∧ : : ::|　　　　入:{ 　 /: }:〈｀Ｙ　　〃　　　　 |::!: : : :i : : :}
234 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:57:05 TPWIG0JI
四３６９．

　　　　／.:￣￣￣￣￣＼
　　／: : :: : :: : :: : :: : :: : :: :＼
　／: : : :: : :: : :: : :: : :: : :: : :: : :＼
／: : : : : :: : :: : :: : :: : :: : :: : :: : :: : ＼
: : : : : : :: : :: : :: : :: : :: : :: : :: : :: : :: : :＼
: : : : : :.; '⌒｀: : :: : :: : :´⌒ヽ: : :: : :: : : l
: : : :.:;;（w●w）: : :: : :（w●w）: : :: : :: : |
: : : : : : ´'==´: : :: : :: : :`==´: : :: : :: : : |　　　　　　　「……………。
: : : : : : . ..: : :: : :: : :: : :: : :: : :: : :: : : ／
＼: : : : : : :: : :: : :: : :: : :: : :: : :: : :／　　　　　　　　　俺の、向こう側………？」
／ヽ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : イ＼
: : : : : : : : : :.｀`ｰ- -‐'"´: : :: : :: : :: :＼
: : : : . : : . : : .: : :: : :: : :: : :: : :: : :: : :: : :＼

―――――――――――――――――――――――――――――
　　意味がわからねぇ、とうなり声が漏れた。

　　故郷を捨てた後は、仕事以外での他者との接触を極力避けて
　　ずっと孤独に生きてきたはずの自分が
　　この先大勢と繋がっていく未来など、
　　天地がひっくり返っても信じられるわけがない。
―――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , へｒｧｫ7フｘ- ´　￣　－　、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　ｲゞﾝ7ﾊ__　　　　　　　　　ヽrｧ7、__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　i ゞアン'ー,　　　　　　　　　　ｖｼ｝　　、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i　　　　ﾄ、　　　//　 ,　／　　　　　　ド'　　　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　 |　、　/./ ／, //, /|//　 .|　ドﾐ、　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|,ﾉ ,　　.|　　V /／／//ｒ'/ //| |　|　｜　＼ .|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／／　　 |　　｝ .. |ｒｧｫﾒヾ/ﾉ//-ﾄ|、|　/ﾄ、ヽ｀、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／／　　　, '　／... . ﾄK乃ｯﾘ）　 .　,ｒ=ｫx'ﾉｲ |　ハ　）
　「キル夫の先に繋がっていく大勢が　　　　　　　　／／　　　／,'／ゝi　 ... ﾄゞアﾝﾂ　　　弋ﾘ/.| |／人メ、
　見えるんだよ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　／ ,','　　 .,|　　＼...))　 . 　 , 　　 / .| |, イ／＼　、
　やらない夫には、ね………」　　　　　　　　　　　／／／ヽ.//　　,ﾍゝ、　＼　　‐-　　ｲ／| |　 |　　　＼＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 . （／　　// 、ﾉ￣へ⌒ヽ、）_．、_ .ィﾍノﾉ |,　ゝ、　　）　.）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾍ＼　 | |　）＼　　＼_ｿ/ミ,',ニニシ　ゝ､ l　　　＼／／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼＼ﾉﾉ／　く´ _ ., …´/　　y>ul--‐‐''¨.ﾍ＼.　／／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　）　Y　　, イニ＿___,ノ　　!乂ゝ__ゞ__! ヽ i ヽ,／／　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,/　 /　/　　|　　しー　　　 io .l　> i ,.l ( l　（　（　　　）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　, ｲ　 i　　、　｀ヽ⌒ 、,, .′′'＾＾_"_^i.. 　＼＼　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　＼｀　、　ゝ　ﾉ　　ｲ　　`　~ 　　′　　　）　）'

――――――――――――――――――――――
　　あるいはとんでもない博愛主義者なのかも、と
　　雪華綺晶が分かったような事を言うので、
――――――――――――――――――――――
235 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:58:11 TPWIG0JI
四３７０．
――――――――――――――――――――
　　お人好し共め、とキル夫は呆れたのだが。
――――――――――――――――――――

　　　　　＿＿＿_
　　　　／　　　　＼
　　　／　　　　　　　＼
　／.　　(●）　（●）　　＼　　　「へっ、死んでも理解できねぇな」
　 |　　　ハェｪｪｪェハ　　　|
.　＼　 |_ｪｪｪｪｪｪｪｪ_| 　／

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.r-､_,, - ''´￣￣｀`'-､,　_,,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〆´__t=lニﾆ　　　　￣｀`'ｰ l　.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l __,,fゝ }==-　　　　　--==--r-,　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　 /　　　i　,　　　　､　　　 i`ｰ'l　 li
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l ./ |　i i　l i　l i　　l l　.li　l i　 |､l　l .l､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ ./　l .l ll l l 　l　l　 l .l　l l　l i　/l l　l/. }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉl 7 ll　 l l.l l l　_!_ l ((l　l .l l　l/ i　 l　l　λ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　７λli　 ` i lヽli.ﾉr-. ､=l))l .l　l l / ./　l iλ .| `ｰ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　/ i　l l　　 i l　lく　ﾚ`　r′lⅥ V7l l　 l　li 入乂　 l
　　「理解なんて簡単にできる事じゃないよ、　　　　 ./　　l/ヽヽ　.! i (( F､,,i_/　'　　　ヽ{li　l.i　λ .|ヽ｀l　l
　　そんな口先だけの事、とても言えないよ。　　　　 .l　 ,　 l　 i　l　lヽ! !l.ゝ､　　-　　,,ｲll./､.l.i　　 i　 i .l .入
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .l　　l　l　　l__l　l }　i i┌＞- , イ´└l　{./ }　r-,　.l l　　｀ヽ,
　　けど………」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 λ　　i .l､　入'´|Ⅵ λ､_）　つ　　 7l l / l-z,) !､ .l ヽ　　l　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ..7　`　.7 l ../　　フ / .l lｰz )´乙__凡＼ll .l　　 .ハλ l　　l　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{　.Y　　　 {.! l__.l l／´ 　＼ .| .| .l }　}　　　/ 入.　 .l　 .l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　＼.＼-､...._i .y L ＞i_f‐ｧ＜ ,l､_f// /____ ./ ;　　l　　l　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i　　　　 l ゝ　　ﾉ　}　　　　　`'''ﾟと- /i l l　　　!､!l　　　ヽ　ヽ入
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!　　　　　l　l　 /　/　　　　　て､ろ　 !l l .l-- ,, 《 .l　　　　ゝ,　`　＼

―――――――――――――――――――――――
　　勘違いしないで、と大きく首を振った雪華綺晶は
　　少しだけ俯いて言うと、
―――――――――――――――――――――――
236 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 22:59:05 TPWIG0JI
四３７１．

　　　　　　　（（ , 　∠　￣　　￣　　｀ヽ､（（
　　　　　　／{薔}辷　　　　　　　　　　　〈(薔)辷ヽ、
　　　　 ∠ /　））　　　　　　　　　　　　　（（｀ヽ、　｀ヽ、
　　　　/　/　　　/ /　　　　　　　ヽ、ヽ｀ヽ、　　ヽ　　　i
　　　 /　/　　　/ .i　 /　　　　　　　ヽ　ヽ、ヽ、　 i　.| 　ｌ
　　 ∧ 八　　/　.i ../i　i　i　 | 　　　 |　　|　　i　　.|　 i 　i
　　　|　 |　　 i |　|　i .| .|　| .∧从ヽ八i　 i　 ./i　　i　 |　 .|
　　　|　 .|　i　 i i　i∨ヽN、.iリＮr＝ﾐ .i　,'i　/ ..|　 .|　 i　　i
　　　ヽ、.|　i.リ、|/ﾊﾞY^ト.リ　　ｲr:::ﾊ |ノ/ ∧ ..i　 i　　|　. ヽ　　　　　　　「けど、受け入れる事は出来る。
　　　（　 |　i　ヽ|ゞ弋ソ　　　　 `冖'　∧ /　i　|　 |　　i　　八
　　　　｀i .|　i　　ﾄ　））　　 ' 　　　　　// /　 |　i 　i　　 |　 l 　ヽ、　　　　時には納得できなくて、
　　　　 .| .|　i 　　八　　マ　　フ　イ/ ./ i⌒y⌒｀ヽ.、 .i　 i 　　 i　　　　自分は真似出来なくても、
　　　　/　|　i　　 i　. ＞、　-　＜/ /ｙラ.（、　　　　　.｀ヽ‐-、　 .|　　　　一つのやり方なんだって受け入れる事は出来る、よ」
　　　ノ　/ /　　/　/　 ,厶(⌒)ハ(| .|},ゝ　 r)　　　　　　　　　）　 i
　　 i／i ./　　/　/　.,ゝ、　,- ､,- | |＼　 ,.ゝｒｙ　　　　　 /　　|
　　　／ /　　丿 /　〈　　(　＞＜.| | 　｀Y　（　　　　　　　へ　　i

――――――――――――――――――――――――――――
　　私は私のやり方で、
　　あの底抜けの理想家を受け止めることにしたんだ、と―――
――――――――――――――――――――――――――――

　|　　　　　　　ﾄ.|　//　 i i　　　　　　　　　　! !　　.|.| i.i　! !　　　　::|
　|　　　　　　　|_|　| |　 .i i 　＿＿＿_ 　　 ! !　　 |.| i.i .! !　　　....::|
　|　　　　　　　|_| //　　i i ／　　　　＼　 .! !　　|.| i.i .! !　　　　 :|
　|　　　　　　　|_ﾚ./　　ヽ二.　　　　　　＼.! !　　|.| i.i//　　　　 :|
　|　　　　　ヽヽ　 .／　　　　　　　　　　 ! !　　 |.| i//　　　　 :::|
　|　　　　　　　/|_|　 |　　　（ー）　（ー）　　.! !　　 |.|//　　　　　 ::|
　|:　　　　　　 | ||_|　＼　（ﾄｪｪｪｪｪｪｪｪｲ）　! !　　|.|.|||　　　　f´￣￣￣￣￣￣｀ヽ
　|: 　　　　 | ||_|　.／　　　　　　　　　//ヽ　　|.|.||| 　　　 |　そんなん―――　|
　|　　　　　　 | |.|_|　| 　　　　　　　 /./　|　 .|.|.|||　　　　乂＿＿＿＿＿＿_ ノ
　|::　　　　　　| | |_|　|　　i　　　　______.r',ノ　 |　　|.|.|||　　　　　 ::|
　|:　　　　　　 | | .|_| .|____|　　　 .‐‐‐‐" |____|　 ////　　　　　 ::|
　|　　　　　　　ｌｌ　|_| |_|ﾄ||　　　　　　 |ﾄ|ﾒﾆﾆﾐ//　　　　　　　 ::|
　|　　　　　　　＼ヽ二彡.|　　　　　　　 |ヽ三三/　　　　　　　 :|
　|　　　　　　　　　　　　 |_______i-i_______|　　　　　　　　　　　 ::::|:
　|　　　　　　　　＿_＿　/ |/|ﾄﾒ　川川ﾒ　＿＿　　　　　　　 ::|
　|　　　　　　　./　　　 'ー┴l　　ヽｌ||勺　　　　ヽ　　　　　　　　 :|
　|,，　　　　　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿／　　　　　　　　 |
/ ヽ、＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_／ヽ
|ヽ、ｲ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_＿ﾍ／|
|　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　.|
.ヽ、|＿＿介＿＿＿＿＿＿介＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿介＿＿_!／.
　　　　　ノ/ 　　　　　　 | |　　　　　　　　　　　　　　ﾉﾉ
　　　（（　　　　　　　 | | 　　　　　　　　　（ (
237 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 23:00:05 TPWIG0JI
四３７２．
―――――――――――――――――――――
　　そう出来たらいいな、と笑った。
　　その笑顔が、キル夫にはとても眩しかった。
―――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―――そんなん、生きてきた世界が違いすぎらぁ―――

　　　　　　　　　　　ヾ　　　　　　 _　_　_　　　　　　　　　　／ゝ
　　　　　　　　　　ノ }　,　- ' ´　　　　　￣｀ヽ　　　　 <'´r‐'　　　 ,
　　　　　　　　／入ｙ'´　　　　　　　　　　　　　｀ｰ､＿≧彡>┐､/ V}
　　　　　　　/≧／　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　ヾ廴{i}.」ヾil´"
　　　　　　　V /　　　　　./i　 i　　　　　　　　　　　　　　ト=ｲ´　　ﾄ
　　　　　　 /./　　　　　 / .l　 l　　　　i　　　　　　　　i　{ r‐'´　　　i i
　　　　　　 Ⅵ　　　　　/　 l　 l　　　　 l　　　　　　　　l　ゞ､　　　 il l
　　　　　　/　　i　_　　.i　　l　 l　 i　　ﾊ　.| 　 :i 　　 |　i　　　　　ﾊﾍ
　　　　 i　　 {　ゝ､_ | 　 l　 l　 l　＿ﾍ.　l　　.l　　 |　l　　　　　 i l ﾍ
.　　　　　 {　　 l 　 ./ ﾊ　　l 　l　升´　 i ヽi　　/　　 /　il　　　　　 V.ハ
　　　　　 |　　.l　 /./／ >┐_ﾊ i .lﾊ　 il　＼/　　　　 Y/　　　　　　i　ﾊ
　　　　　　K　 l　 .K<イ- ､ } ゝハヾﾊ_ ilヾ　人　　　// 　　　 i .　|　　 .ﾍ
　　　　　 /V　ﾊ　ﾄ/ <=_ノ/K　　　-=＝=､i /　/ ./ｲil .　　　 l　∧　　 }
.　　　　 /　i　ハ　 Ⅶミ_,ィ┘ ,　　　 ""　　./.／i　イi i. 　　　　|　　 V　ノ　　　「私はそう、思ってる」
　　　　/　 .l　　ゝ　ﾐ　ノ/　　　　　　　／ィ　//　|.l |. 　　　 l　　　ﾚ'´
.　　　/　　 i　 Kハﾊ＼{<　ー　-　　 -=彡 .//　　Ⅶ.　　　　 i　　　i
　　　i　　　　 //　 V　/.＼. 　　　　イ.┤/.ﾊ　　i　　　　　　 l.　　 |
　　　l/　　 //　　　 /＿_.≧､_ 　＜　ヽ　il＼─ ､ l　　　　　　 |.　　 |
　　 /　　 //　i￣￣＼　　i}=v|￣￣　 /＿ ─＜　　　　　　　ヾ　　ﾊ
　 ./. 　　ﾚ/'´＼　　　 >　V /　／　　Ⅶ⌒／ .ハ　　　　　　　　　　　i
　 i.　　　 //人＿＼-<＿ ∧.／＼＿/　 /　 /　　｀ヽ　　　　 i .､ _ 　l
　 |　　 //　　ヽ　￣＞//　　　　// . 　 /　 /　　　<´⌒ヽ　　 |　　　|
　 |　　ノ.ハ　　/　　　ゝ升､＿＿_升≦￣￣/∧＿＿ >　　＼ .l .　　 ',

―――――――――――――――――――――――
　　眩しすぎて、少し目をそらしたくなる程に―――
―――――――――――――――――――――――
238 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 23:01:07 TPWIG0JI
四３７３．
――――――――――――――――――――――――――――
　　すでに彼の表情からは剣呑さが消えており、
　　目にも光が戻り始めている。

　　とりあえずは自殺なんてしないでね、と念を押した雪華綺晶に、
――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　,, -‐'''″￣｀ミ`{.{@yiゝゝ
　　 _,,,,i=η／　　　　　　　ヾ､`ヾ､)) l　｀'i
　 ,//,i<迴'j　　　i　　　　,　ゝ＼. (( .i i　 !
　 l l　/ //　i　i 7 .i　　　ヽ,ヽヽ i i　l l ﾊ　｀!
　 l i　 / i　l l　l .i| |　　 i i　i　,ﾊ　il　i i ,ヽ　!
　 l i　i l ,　l. !　|i|i　l　i i l i　l l　ﾊ7i　i l i ゝ,.｀'i
　 ,i i l l　!　i ヾ i　l ＼i i lﾊi i i l　ﾉl　| i l　 .l　}
. // /i|　| i | i l_.,,((、ii､ |il! .だ｀｀'i.7　l l|　 .'y l　　　　　　「とりあえず死にたい気分は収まった？」
//,'´　i＼＼ヾiFｯﾐ''ｼi　　弋__沙7　//i　./ ./
イ　.,/′ヽゞゞ≦汗彡'　 ,　　　.//　li　| / /
　 /,,_　　 }li ゝ､i,　)) 　､ __ﾌ　lil　.li l i ,l .{
　l　　　　7 i! !i)..ゝ．.,_. 　　,.／il　 il　＼＼＼
　　　　ノ i/ //-‐'′κ,｀"-　>ヾ　! >.-‐'ゝゝ＼
　　　/''"　~´ ,/ | k>っ>b, ,,.,ciyi)-ゝ　　　＼ヾ
　　 7ζ　　_ / l　ξl lゝ､ . ／l .!　i l　　　　　iゝ｀l

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　「ああ。　　　　　　　　　　　　／ (ー）　（ー）　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　（ﾄｪｪｪｪｪｪｪｪｲ）　　　|
　　　　　　　　　　　　　　どっかいっちまったな」　　　　　　＼＼ェｪｪｪェ／　　／

――――――――――――――――――
　　それはしねぇ、とキル夫は頷き返す。
――――――――――――――――――
239 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 23:02:06 TPWIG0JI
四３７４．
――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　それで目的は達せられた。

　　コナタの意外な一面を見て、キル夫とも少しわかり合えた気がしたので
　　決して悪い時間ではなかったが、一刻の猶予も無いのは相変わらずである。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

　､　　 _, .}　,メ　　　 l　　 ',::　　ヽ::::.　　 ',:　ヽ
　￣,´/F>｀ミi_　i　　i　　 ';::　　　' ;:　　　';::　 ',
　　,⌒Yiー<⌒ﾊL　　i 　　 '::;　　　 ',､　　 ';::　 }
　 ,ｲ冖!/てヾVYjヽ_,　l､ ,　　',斗七　 '.,ヽ　人,,ﾘ
　从r'弋心ノ',ｲj从i 　 l....ヽ／ '; :::＼　ｌ ::/イ
.<　ゝ._｀フノノﾊ､ .i　　l::::''ゞ从_i⊥､;＼j .i
　弋 _､.＞√勿/ヽi.　ハ　　 V{ｨrｬﾐ <　丶_
　　))　/´　｀.i`...'.,::､　'､ﾊ　｀．辻,ィ'}　　　￣|
　　　　l　　 ::: 　 ::',::＼　iヽ　　 |下乙　　　　　/　　　　　「ならコナタ行こう！
　　　　l　　 :: 　　 ;;; ::ヽ|　ゞ　　　　　　　　　/
　　　 ,'　　..::　　　 ,:'::,　:::|　　　　　　　　　　 (　　　　　　　上ではもう戦いが始まってるはずだよ！」
　　 ,'　　 ::　　 .::　 :::　::|｀(　　Y ヽ､　　　 /
　　 ,'　　.::　 .::　.::..　 :::　:|　,ゝ‐ｲ　.ﾉゝ___,,ノ
　　,'　 .:::　 ..::: .:::　　:::　:::!"　｀丶、s￣｀)
　 ,'　.:::/　 :::　.::　　 :: ::/　　　l　　.l ヽ￣)
　,'　::; '　 .::　:::　　　ﾉ,/　ヽ、　ヽ / ／､ゝ
.　／　..:::　:::　　／／　`丶､｀　 '彡,廴`;;;;;
　　..,,,_::,,__.:,,,,:::／／‐-､__　　｀丶 .ヽ /∧/|
　Y　　　　　　￣ -　　,,,,　｀　‐ - ､ .Y..∧/|
　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ　　ヽ|∧//|

　　　　　　　　　　＿_
　　　　　　　／￣｀ヾ:`:.
　　　　　　　{　　　　　ﾞ!:.}
　　　　　　　　/:＼＿,∠.._
　　 _,. _-_:‐:‐:|: : : : : : : : ､:｀: .、
　　　　／´: i.:,!: : :|:i!: ､: : :丶: : ヽ
　　／ｨ: : : ｌl. !: : |:!､ﾄ､: : : : ＼: :i
　 .//./: : : ;1! ∨: l|_､斗‐: : : :ﾄﾞ:､
　〃　!: : : {T￢Ｖ:.{. __⊥:ヾ: : l: : !
　'′ |: :.;!:iﾊ_z=T ﾞ､:. T不l ハ: l: ;l
　　　.ｌ :ハl:::i ヾﾂ　 `　ﾞｰ：i::::ﾍ:|/　　　　　　「りょーかい」
　　　 V　ﾞ!::ﾄ..,,_　 ,､　_,､ｲ:::::バ'
　　　　　　 l::::|::::::;ﾌﾌ .,!'ﾞ'l: :/:::::i.
　　　　　 l!::|／/´>'゛_,!:./ｭ::::::l
　　　　　 l};.|i!.j /,,-''.ｲ/‐￢;::::l
　　　　　　./ ﾞ{､i!/''／// 　　 i::::!
　　　　　 / _,,.-火ﾞ､　'"i　　　　i:::i
　　　　　ﾞく　　ｨ､　＼j　　　　,l:::|
242 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 23:03:05 TPWIG0JI
四３７５．
―――――――――――――――――――――――――――
　　なので頷きあった娘達は地面に飛び降りると
　　上るのも一苦労な長い長い階段を見上げて気合いを入れ、
　　すぐにでも戦いに加わろうと駆けだしていった。
―――――――――――――――――――――――――――

　　　　　f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ
　　　　　|　　随分遅れちゃった、　　|
　　　　　|　　急がなきゃ！.　　　　　 |
　　　　　乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ

　　　　　　　　　　　　　 ,.ｨｰｭ.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ
　　　　　　　　 r=}7´　. :　ﾊ∧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　なんのなんの！　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　 l! //, . :l! ｣l|i :∧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　主役は遅れて登場するもんだよ！　　|
　　　　　　　　　 } l　rｯﾊrt_j,k: :∧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
　　　　　　　　 / :ゝゞ'　_　/: :ヾ《
　　　　　　 __rく -=彳＞イﾊ_,､ : .｀ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　_ 　＿
　　　　　　＞　ゝ1/Xx　xX7　ﾊ : : ハ　　　　　　　　　　　　　　　　／／￣￣｀´:.:〉´＜´　　　_/)
　　　　　 ⌒.:ｰｲﾄ. 　￣`7{　,ｲ: :イ´　　　　　　　　　　　　　　 (_ゝ/:.:/:.:.:.:.ｨ:.:.:..ｲ.::.:.:＼　,､ /っ}
　　　　　　　 _ﾚ'.::::::} 　 ,イ .ｲ　{: : : ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i:.:/:./:.:ﾒ､|:.:.:ﾚVﾄ、:ト,ん　｀<´
　　　　 .　´ ..:ﾄ-ｲ　/´　(::::　 i: : : r '　　　　　　　　　　　　　　　　 lイ/:.:,ｨ=ｬ|:;ｲ／ﾄ:::ﾊ/　｀∨
　　　　 / . : ／`ｰ=彳ﾊ　ﾍi　 l: : : L .　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゝ!イ.代ノ　__,￣{V、　　/´
　　　　《{: :く　　　　＿/　　 }　 !: : : : : ﾊ　　　　　　　　　　　　　　 /:.::.｀.ﾍ:＼_ 廴ﾉイ＼:.＼/
　　　　ヾ: :ﾊ　　/´　　　 /、_ﾑ : : : ／　　　　　　　　　　　　　／.:＜二/ヾｰ､弌_ i|　入.:.:＼
　　　　ノ}/　}　＼　　　ハヽｰ ': : : {　　　　　　　　　　　　　　　　／:.ｨr‐'´　　　＼＼:.}jY´　｀ー‐ヽ
　　　　／ `ｰ=彳⌒ｰ1,ｨ彳: : : : : : ノ　　　　　　　　　　　　　　／／/:入　　弋〈｀ LヽY 〉＼
　　　　｀ヽ : : : :ﾄ∨{:::::.　　: : : : ; ´　　　　　　　　　　　　　　　／ ´　/:/　/ー<彡Y　　(´ヾ＼｀ー､
　　　　 },ｲ: : | X |::::∧x ∨て　　　　　　　　　　　　　 (〈　　/:.〈　/:.:.:.:..:ヽｲ｀ー､ゝ､ト─＼.:.:＼
　　　　　　ﾑ,: :| X ｌ::::::∧x:.∨{｀ヽ　　　　　　　　　　　　　　　ヽゝ-ヽ:.:,Y:.:.:.:.:.:.;ｲ　/　 i　| ﾄ'　　　ヽ.:.:}
　　　　　　　 ) l X |::::::::∧x為!　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:.:ｨ.:.:.:.:〈/､/　|　|　l　〉、　　　ﾚ'
　　　　　　　 | X i/´　　ⅥIIi　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:./ ∨://ｰiﾆﾆ|ニ!ﾆゝ　＼
　　　　　　　　 l X |　　　 ⅥIi　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:/　/: l/　∧　￣　　｀>　/
　　　　　　　　 | X i　　　　 Ⅵi　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | 　ヽ/　/.:.:.＼　　　　/ヽ/
　　　　　　　　　l x :|　　　　 Ⅵ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/｀7｀ー─ヽ＿　ﾉ　/
　　　　　　　　　|　 i|　　　　　 `　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　/　　　　　　〈 L/
　　　　　　　　　ゞ彳　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /-┤　　　　　　 7 {
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ー┘ 　　　　　ｰ'
243 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 23:04:09 TPWIG0JI
四３７６．
――――――――――――――――――
　　彼女らが離れたのを見計らってから、
　　キル夫は熱い息と共に呟く。
――――――――――――――――――

　|　　　　　　　ﾄ.|　//　 i i　　　　　　　　　　! !　　.|.| i.i　! !　　　　::|
　|　　　　　　　|_|　| |　 .i i 　＿＿＿_ 　　 ! !　　 |.| i.i .! !　　　....::|
　|　　　　　　　|_| //　　i i ／　　　　＼　 .! !　　|.| i.i .! !　　　　 :|
　|　　　　　　　|_ﾚ./　　ヽ二.　　　　　　＼.! !　　|.| i.i//　　　　 :|
　|　　　　　ヽヽ　 .／　　　　　　　　　　 ! !　　 |.| i//　　　　 :::|
　|　　　　　　　/|_|　 |　　　（ー）　（ー）　　.! !　　 |.|//　　　　　 ::|
　|:　　　　　　 | ||_|　＼　（ﾄｪｪｪｪｪｪｪｪｲ）　! !　　|.|.|||　　　　　 ::|
　|: 　　　　 | ||_|　.／　　　　　　　　　//ヽ　　|.|.|||　　　f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ
　|　　　　　　 | |.|_|　| 　　　　　　　 /./　|　 .|.|.||| 　　 |　　冗談じゃねぇ………　　　|
　|::　　　　　　| | |_|　|　　i　　　　______.r',ノ　 |　　|.|.|||　　　.乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
　|:　　　　　　 | | .|_| .|____|　　　 .‐‐‐‐" |____|　 ////　　　　　 ::|
　|　　　　　　　ｌｌ　|_| |_|ﾄ||　　　　　　 |ﾄ|ﾒﾆﾆﾐ//　　　　　　　 ::|
　|　　　　　　　＼ヽ二彡.|　　　　　　　 |ヽ三三/　　　　　　　 :|
　|　　　　　　　　　　　　 |_______i-i_______|　　　　　　　　　　　 ::::|:
　|　　　　　　　　＿_＿　/ |/|ﾄﾒ　川川ﾒ　＿＿　　　　　　　 ::|
　|　　　　　　　./　　　 'ー┴l　　ヽｌ||勺　　　　ヽ　　　　　　　　 :|
　|,，　　　　　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿／　　　　　　　　 |
/ ヽ、＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_／ヽ
|ヽ、ｲ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_＿ﾍ／|
|　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　.|
.ヽ、|＿＿介＿＿＿＿＿＿介＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿介＿＿_!／.
　　　　　ノ/ 　　　　　　 | |　　　　　　　　　　　　　　ﾉﾉ
　　　（（　　　　　　　 | | 　　　　　　　　　（ (
244 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 23:05:05 TPWIG0JI
四３７７．
―――――――――――――――――
　　これは男の意地だ。
　　だから女子供には聞かれたくない。
―――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　,. -─────────‐- .、
　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　／　　　　　　　　::::::::::::::::::::::::::::::::　　　　　　＼
　　　　　　　　／　　／／￣＼＼::::;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::／／￣＼＼　　＼
　　　　　　／　　　　|　 |.　┃　.|　| ::::;;;;;;;;;;;;;::::｜ |.　┃　.|　|　　　＼
　　　　　／　　　　　＼＼＿／／　::::::::::::::::::　＼＼＿／／　　　　 .＼
　　　／　　　　　　 .|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　 .＼
　　 /　　　　　　　　 |＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／|　　　　　　 .ヽ
　　|　　　　　　　 |　工工工工工工工工工工工工工工｜　　　　　　 .|　　　　　ヽ人_从人__从_从人__从人_人_从人ﾉ
　　|　　　　　　　　＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／　　　　　　　 |　　　　＜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞
　　|　　　　　　　　　　　＼::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／　　　　　　　 |　　　＜　　　あいつに借りっぱなしなんて　　　＞
　　|　　　　　　　　　＼エエ工工工工工工エエ／　　　　　　　　 |　　　＜　　　冗談じゃねえ！！！　　　　　＞
　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　＜　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞
　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　Y⌒YW⌒Y⌒WW⌒⌒YW⌒Y⌒WY
　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／
245 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 23:06:05 TPWIG0JI
四３７８．
―――――――――――――――――――――――――――
　　与えられるのをただ座して待つなど、己の矜恃が許さない。
―――――――――――――――――――――――――――

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　IIIIIIIIIII　System　IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　II　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 II
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　II　　システム、マニュアルモードで再起動します。　　II
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　II　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 II
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

　　ヽ人_从人__从_从人__从人_人_从人__从人__从人
　＜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞
＜　　　俺に未来があるってんなら、　　　　　　　　　　＞
＜　　　こっからは自分で歩いてやらぁ！！！　　　＞
　＜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞
　　 Y⌒YW⌒Y⌒WW⌒⌒YW⌒Y⌒WY⌒⌒Y⌒WY
　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　 ┳　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　 i　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　 i　　　　　　　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　 i　　　　　　　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　 i　　　　　　　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　 i　　　　　　　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　 i　　　　　　　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　 |　 ┣ - - - - - - - - - - - ...┼ - - - - - - - - - - - - ┫　 |　　　SYSTEM
　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　Manual
　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　 i　　　　　　　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　 i　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　TIME __:__
　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　 i　　　　　　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　 i　　　　　　　　　　　　　　 |　　　E：|||||||||iiiiiiiiiiiiiiii
　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　　　　　　　　　　　　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┻　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　Magnification×__
　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |
.,━━━━━━━━━━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┻━━━━━━━━
248 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 23:07:06 TPWIG0JI
四３７９．
―――――――――――――――――――――――――――――――
　　この、降って沸いたどでかい借りを、
　　何倍にもしてあの男のツラに叩き付けてやらなければ気が済まない。
―――――――――――――――――――――――――――――――

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
　　 ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;＼　　　,!.i‐'''''''''''j;:;:;:;:;:;:;"　　　　　　　 !;:;:l　　　　　ﾞ'‐
　. '､,;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;|_,,,,_,..,' :!;:　　　.ｌ ;:;:;:;:;:;:;＼　　　　　 |;:: `
　　 .｀'､,;:;:;:;:;:;:;:;:;:　　　l　.l;:;:　　 . ', ;:;:;:;:;:;:;:;:.＼　　,.----;;‐　　　　 . ,./
　　　　ﾞ',;:;:;:;:;:;:;:;:　　 ,!　,!;:;:　　 : ;.! ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;ﾞｰ !　　　 !　　　　.／ ;:;／　　　　　　　　　　　　l￣/
　　　　　.ｌ;:;:;:;:;:;:./ 　 ,!　 !;:　　　 : ;:', .;:;:;:;:;:;:;:;:;:;: .,'　　　 .!　　　 / 　./　　　　　　　　　　　　　　l　/　　 _
　　　　　 .!;:;:;: / 　　/　 :! 　　　　,ilーl"ﾞ'i　　　./　　　　ヽ　 ./ .;:,i′　　　　　　　　|￣￣￣￣　￣￣/
　　　　　　!　/ 　　 .!　　.!-、　　/! _,, ﾚ''゛　　　ｌ　　　　 ;:　ヽｌ　./　　　　　　　　　　|＿＿＿　　　　　/　＿＿　＿_
　　　　 ...　‐ﾞ　　　　!　　 '-.｀'‐.'"´;::./　　　　 i′　　　 ;:　.,' .、 /　　　　　　　　　　　　　　/ /￣l　/　 l ./ l. / l　 /
　　　 .,/　 ,, -一‐i . !　　　l　　;:;:;:.,'　　　;:;:;:lﾞ ..,,＿　　 . ! : .＼　　　　　　　　　　　　　　/./　　//.　　l/　l/　l　/
　　.-'"　　... -‐''　　ﾞ'-..,,_ l'-,,,;:;:_../　　 : _ / .ヽ;:;:;:;:;:.,' 　;:｝　,:、;＼ .　　　　　　　　　　 //　　// 　　　　　//
　　　　　　/　　　!　　　　　　　 '―‐'´　　l　ﾞﾞ"''''" ...／ ./ .ﾞ'､;:;:.＼　　　　　　　　　 .`´　　 ´　　　　　　　l/
　　　　　　l　　　l　　　　　　　　　　　　　　　 lﾞ　　　 : ;:/　　l　　ﾞｰ'"　"
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

―――――――――――――――――――――――――――
　　だから立った。
　　今は己の脚ではないけれど、立ち上がる術があったから。
―――――――――――――――――――――――――――
250 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 23:08:05 TPWIG0JI
四３８０．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　背後の物音でコナタが振り返れば、沈黙していたはずの魔導兵が立ち上がっている。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　 /:.／　　　　　　ヽ
　　｛:/　　　　　　　 |
　　　 l{
__,,... . .ゝ,,_
: : : : : : : : : :｀:`: 丶. .､,,＿＿
.: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ; ｀i
: : : : : : : : : : :./: : : : :,!i: : : : : : ﾄ.、
.: : ; :'′　　 /　　　 /　!　　　.l: :.ヽ
:／: : : : : ; ｲ: . . . ∨ 　 !. . : : :l: ｀、｀、
: : : : : ／:/: : : : : / ＼　l: : : :/: : :.!､:.ﾍ
.; : :'": ::/: : : : : ;.'＿＿｀ﾐ!: :./: : : : l ヾﾊ
.: : : : /: : : : :, ｲ｛/示牙 !:/: /:: : :.l　 Ⅵ
.: : :/: : : ;／|:::j　　　|:'r! j/::/　i::. :,!　　ﾞ}
: :/:ィ''"!:::: : !::l　　 ,.ゞﾕ {／　ｉ::/　　　　　　　　「うそ！？
.:":::ﾍﾞ l::: : :|::!　　 `´　　`i　　 !'　　　　　　　　　また動き出したよ！」
: : : : : }''l: : : |:|　／｀`￢ /
.: : : : /　i: : ::!ﾚ'ﾞ　　　〃
: : : /　　_}: : l|_　　／
.:／三ﾐ\、i: :.|:::｀:¨:´!
〃〃⌒｀ヽ!: :!:: : : :.j

　　　　　　　　　　　　　　　　＿_
　　　　　．-――z^＾7￣｀((⌒ ．_
　　　　／　　　／　　　}(勾},ﾄ､　　 `ｰ　．_
　　／　　　／　　　　 ((乂ミ=　　　　　　ヾﾐ　．　　 _
　／　　　　　　　　　 _)} 　．-‐　　　　　　　λ--__))
´ 　　／7　／　　　　　　／　　 -～＿_　　　　ゞ勾ハ
　　／　/／　　／　　　　　／　　　　((⌒'　/　　　 Ⅵ　ｉ
＿ノ　　'　　　　　　　イ　／　　　／／｀).l　/!　/　,　 Ⅶ !
.　　／　　　　　　　　/　　／／l＼レ'/ / } / //　　:.　!
￣´　　　　　　　 {./　／／ r=＝＞ﾐ / // 〃ﾙ　　ｉ　l
　　　　／　　　　／ｽ／／{,// 7rｯそ》}　八､/　} l 　}　|
　　／　　　　 ∠ゝ､ﾝ　　　 _《　ゞﾄ=ン　γ=ミ　/ ﾘ ./ ノ!　　　　「そんな！？」
　／　　　　／__.У::. 　　 ((⌒ｰv_ｿ"　　辷ｿⅣ／ノ　　l|
　　　　　／　ﾄ､_ ハ::.　　　　　　　　､　ﾊ　／|　　 l|
＿　　／　　 {　￣ﾄ､::.　　　　, r‐=z 、 ′/ ／ｉ　l|　　 l!
7} `ー- ．＿ノ　　ﾑ丶:. 　　 l　　ヽ:/ 　ｲ:. 　 |　l|　　 l!
/　　　　　　　　　 {__ヽ、ヽ:. 　 `ゝ=ｧ’ イ　!:.　　|　l|r―-lﾄ､
i　　　　　　　　　　　／}　　≧x.._ ィ～zﾘ √￣￣〃　　　　⌒ヽ‐z

――――――――――――――――――――――――――――
　　驚き戸惑い、
　　二人が三段目まで上っていた階段から広場に戻ると―――
――――――――――――――――――――――――――――
251 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 23:09:05 TPWIG0JI
四３８１．
―――――――――――――――――――――――――――――
　　手足を少し動かし、操縦に問題ない事を確認していたキル夫が
　　魔導兵に掴まるよう言うではないか。
―――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　__　　　　　 __　　＿　　　　　　__
　　　 /::ヽ. 　｢::::l /}　　／:::/ /´::::/　　　　　/´::::> ,.-.､_　　　　 __,,..、
　　〈:::::::ﾊ　 |:::::ｊ '´ 　 |:::::/ /:::::::/.／!　　 /:::::/　/:::::/　　　　／::::::::ｊ__
　　　　';:::::::l　l／ _　　 l::::ｉ /:::::::://:::/　　/:::::/　/::::://::７　　,:'::::::::／::::::〉　　　　_＿
　　　　 V:::::l　／::::}. 　 l:::::!ヽ一'　l／　 /::::::<　└-' 〈_:/　　/:::::／/:::::::/,.ﾍ.　／:::::/
　　　　　Ｖ:::ﾚ::::::::ｒ'　　.l:::::l　　　　　　　/:::;へ::::＼　　　　　 /:::::<　ー-'<::／／:::::::/／:ヽ
　　　　 .';:::::::::／　　 ;:::::└‐:::ｧ　　　　∨　　丶;::::>.　　　 ,'::::;ヘ::丶、　 ´ /::::::::／':::::::／
　　　　　 .';::::〈　　　 !::::;_:::::::/　　　　　　　　　　｀　　　　レ'　　｀¨　　　/:::::::< ヽ;;／::::>
　　　　　　ヽ::::〉　　 |::/　￣　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::::;::::::::＼　ヽ'
　　　　　 .V　　　Ｕ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈:::/　＼／
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　│　　　　 /　/　＿＿
　　　　　　　　　　　　／⌒ヽ、　　　　　　l　ﾊ　　　 /　/　ノ {二}　＼
　　　　　　　　　　／ {二}厶ｨヘ､　　　「ﾄ､|│　　 /　厂⌒L__　　八
.　　　　　　　 /　　厂｀⌒Y^ハ＿＿ {」_j込二二二ﾉ　 rｭ　　ヽ　|　＼
　　　　　　 /　ﾑ_/　/7　　ヾ_」コ}　ﾉY7厂]疔ﾐ､_/　　ﾄj　　　ﾉY ⌒ヽ_〉
　　　　　　　　〈／　〈　〈7 ＿, ／ィ＝＝ァ　_ノ／ﾘ「|　　　＿,ィﾆ　ヘ､__／
.　　　　　　　　＼／7⌒厂７┐　　　　　　r┬ｭ　 ⌒厂厂{　＼　＼　＼
　　　　　　　　　　　 /　/}　{「¨´ r一-､　　　￣　　「]「了Lﾊ　　＼、＼　ヽ
　　　　　　　　 /　/ ﾉr八　　!　　ﾉ>　　　　　　　 |川　∨⌒「　| 　＼ﾉ　　._＿_　_＿_　_＿_　_＿_
　　　　　　　　　　/　/ 厂¨７＼仏rｰK_厶ィー―‐rヘくｰ{　ノTLﾉァﾊヘ」_　　　 |￣￣￣￣￣￣￣￣￣|
　　　　　　　〈_.ノ /　　厂{ （に(Zrｭ二(ココｺｺ广ヽ＼＼|　[彡ｲ「　　 |　　　.|　　テメェら掴まれ！ .|
　　　　　　　　　　 / 　 /,Lr厂７ｰr冖f⌒「7ー'´ ＼　＼　ヽ_ LL! |　　 |　　 .|　　上まで跳ぶ！　 ....|
.　　　　　　　　　 / 　 //　/　/　ト-ﾉ　亅|　　　　ヽ、ヽ　　|　　厶ヘ_ l　　　.|_＿_　_＿_　_＿_　_＿_ |
.　　　　　　　　　厶ィ〈/　 /　/ 　　!　 ! 　　　　ヽ厂７7≦厂ヽﾉ」　　　.￣￣￣￣￣￣￣￣￣
.　　　　　　　　　{{ァﾉ７　 /　/　　 !　 !　 |　|　　　　　　|止ヲ〈ｰ∠ミ､ﾉ
.　　　　　　　ヾ彡　 /　/　　　│　|　 l　　　　　,ィ} ]ト-くヾニﾆﾌ
　　　　　　　　〈　 /　〈　　　 i　 L__」　!　　　くノ厶ィミ、
　　　　　　　　　　　＼{「￣ヽ,　　　|　 l「⌒ヽL__／ヽ　 /　　　ヽ
　　　　　　　　　　　ﾉ!L.＿_〉、　厶　lL＿_」く_／　／　　　　　＼
　　　　　　　　　　厂ーr一ｧﾊノ＿} 厂￣ヾソ___／　　　　　　　　ヽ
.　　　　　　　　　 /　　　!　　　　〈　　　　　　l　　　　「l　　　　　、
　　　　　　　　　 /,ｨ　　/　　　　　　　ヽ　　　　　|　　　　L!　　＿　　　ヽ
.　　　　　　　　 /〈/　 /　　　　　　　　∧　　　　　　　　 -　ﾆ　-　､＼　「
　　　　　　　　　/ﾊ-､_/　　　　　　 /　L.　　　　l　　/ rく　　　 |　　　￢L
　　　　　　７’　/＼　　　　　　　厶　 |　　　　　 |　|　ヽ　　ﾊrf{￣￣ l
　　　　　　　　　「ヽ/　　＼　　　　 r弌ヽノ　　　　　ヽ」　L＿_Y⌒｀Ⅵ＿＿」
.　　　　　　　 |　|　　　／マー{厂　ﾊ　　　　　　　｀￣厂￣L__/厂　ト､
.　　　　　／⌒ー≦く／　　｀⌒ヽ」ﾉト､　　　　 r-イ|　「]　　　〈7　i　厂ヽ
　　　　　　／　　　／　　/　　　　　 | rf￢｝　　　ﾉ　 | l 　　　　　 | 仄ｧハ
　　　　　くー―‐く　　　/ に二ｺ[二]_⊥ﾆ二ﾌ　　　に(ｺ| ヽ､＿＿＿＿ﾉ L厶「ﾘ
253 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 23:10:27 TPWIG0JI
四３８２．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　制御核が失われた今、彼自身が魔導兵を動かせるとは思っていなかった雪華綺晶は、
　　途中で暴走したりまた妖術師の支配下に置かれたりしたら大変かも、と少し心配になったのだが、
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　_ , - - ― ´ ￣　｀ - ､_
　　　　　　　_ _ γて_,､/／　　　　　　 ― ､―yﾐＸヽ_=r= ､
　　　　　　/／| Kr-､|ヾ､　　　　　　　　　　 >ﾛ>＜ァトミヽ
　　　　　　　/ Xヾ彡 //　　　　　|　　　ヽ　ヾ|＼ﾃｿノﾍヽ｀､
　　　　　　　| | |ﾄ｀´ﾉ/　　|..|　　 .|　　 |　 |　　゛　て‐<ゝ｀　|
　　　　　　　| | |｀､/ |　/　| |　 .ﾊ|　　ヾ　 |　　ヽ |ヽ ||(｀　 |
　　　　　　 | | /ﾍ/ | /　 .| |　 | |ヽ　｀､_._|＿　 | li ｀､＼||　|
　　　　　　 /　|　.ﾊ .|　|　 |大-.| | .|､　 .|ﾊ | |　　|　|　|　 ||　|
　　　　　 ,/　///　 ||　|　ﾉﾚﾊ,､|､＼＼ﾊi_, =-､ | | .|　|　　|　|
　　　　　/　/ /ｲ　 | | .| Kr/ﾏｱ冫　｀｀´ｲ::..::ﾊ |　|　|　　|　.|　　　　　　　「キル夫？
　　　／／/ / | | | ﾍ Y｀.ヾ斗ｿ　　　　弋;;ｿ / .|　.|　　ヽ .|　　　　　　　大丈夫なの？」
　　／／ / /　 | | |　ヾ|ﾄ,　゛´゜　　　　　　　ノｲ　|　 |　　　| .|
　/ ／／／ｲ　.| | |　ヽ)　>　　　　_　_　U　ﾉ彡/　 /　　　｀､ヽ　　　　　　　　　 _＿_　_＿_　_＿_　_＿_　_＿_　_＿_　_＿_
../　 /　/　　|　 | | | |　 |ﾉ i |>､　　｀ ´　／ｲ / ./ /　　　　　｀､＼　　　　　　　　　 |￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣|
/　 / イ　 / |　 | | | |l　ｙ | | r-ﾉ＞ - ＜　　|/ / /　　　　　　　ヾ｀　　　　　　　 |　　あぁ。　　　　　　　　　　　　　　　　 |
|　 |　 |l　..　 ||　|　 | |　/| .| | ＼>_)(⌒)(＼ﾉ/ / /｀､,_ /｀´ |＿　ヾ　＼　　　　　 |　　その気になりゃ　　　　　　　　　　　　|
|　 |　 ||　|　　|ヾ　　　X .| .| |_ , )､ｿ　(　 )　( / /ﾃアﾉ￣r/./　ヽﾉ　　｀､　　　　　 |　　自分の身体みたいに動かせる。　...|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |_＿_　_＿_　_＿_　_＿_　_＿_　_＿_　_＿_ .|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
254 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 23:11:05 TPWIG0JI
四３８３．

　　　　　　　_,. ニ＝.-:､`:ヽ.、＿_　　　　 j!
　　　 ,. :'':´: : : : : :,:-'': :./: : : : : : : :｀:`:ヽ<､
　 ,.r:'ﾞ: :_:,,: ;　'"／: : : : /: :j: : : : : : : : : : : : :.＼
／'"´　／　 , '　 :./: : j: : l : :,: : !: : : : : : : : `:､:`.、
　　　, ': : : : /: : . .i-‐仆: :j: : : : l: !: : :i:. : : : :　｀､:｀､
　　,.': : :/: .:j: : .::::i: :./ |: :.j!: : : :l:ハ:,:-:!:‐ ､　　　｀､｀.
.　/: : :./: .::j: : .::::l: :/　j: :i.|: : : j/　∨: l::::::. : : i .　ﾞ; i
　': :／j: :.:::|: :.:::/j:./-‐_!:l. !: : :.j! 　 ∨:.!:::::::. : :l: : :! ',|
/, '　　|: .::::l: :::/ヤ示亦ｌ|　i: : :i!　　　V:lＶ::::::. : !:. :.!: i
'゛　　 !: :::::l: ﾊ　ﾞrＪ::V　l　Ｖ: !　､　　ヾl.ﾞi;:::::: :j:::. :ﾄ､!
　　　　l: :::::}:l::::!　Lﾆﾉ　　　ヾ!　ﾐミニﾞ'j::V: : |:V: !ハ
　　　 V:/Ｎ::::!　　　　　'　　　　　　￣．l::::::V: !: :V|　　　　　　　　　「………どーゆー心境の変化？」
.　　　　ﾞ'　|:| ::l.　　　ｰr ､___,　　　　 l:::::: |Ｖ|: :.Ｎ
　　　　　 |:,!: ::`:...、　　ヽ　ノ　　　　 ,ｲ::: ::l:::i＾ヾ!
　　　　　　 |':l: : ::::::l:::`i:.. 、　　 _,,... イ::::l::: : j::: }　 |　　　　　　　　　 _＿_　_＿_　_＿_　_＿_　_＿_　_＿_　_＿_　_＿_　_＿_
　　　　　　 j: :!: : : ::l::;/´iﾉ￣　i! ヾ､|::::j:: : :.!::./　 '´￣二､ヽ　　　　　　 |￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣|
　　　　　ｉ: : !: : : :.!　　l.　＿　|　　｀i|: : :.l:: l　　　　　-―-'､　　　　　　|　　借りっぱなしは性に合わネェ。　　　　　　　　 |
　　　　 ,': : ∧､: : i　　｢　　.｀| 　　'!: : :.!:::ﾍ　　　　 ´￣_,)'′　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |
　　　　 ,': :.∧:ﾍ:､: |　　l.　　 !　　 /: : ∧:: :.|　　 T ´￣.　　　　　　　 |　　それから、俺をこんな身体にしやがった　　　.|
　　　　 ,': :/　ヾ､ﾍ: |.　　 l.　　j　　 /: :,/　 V::| 　　 |　　　　　　　　　　 |　　妖術師のヤロウをぶっ殺したいだけだ。　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　………おかしいか？　　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |_＿_　_＿_　_＿_　_＿_　_＿_　_＿_　_＿_　_＿_　_＿.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣

―――――――――――――――――――――――――――――――
　　早くも魔導兵の脚を登り始めていたコナタは心配もしていないし、
　　負け犬からちょっとは成長したじゃない、とキル夫を認めている様子。
―――――――――――――――――――――――――――――――
255 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 23:12:08 TPWIG0JI
四３８４．
――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　深く考えても今は意味が無いだろう。
　　自在に動かせるのであれば、理力魔法に高い耐性を持つ魔導兵の存在は
　　妖術師相手の切り札になり得るはずなのだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

　､　　 _, .}　,メ　　　 l　　 ',::　　ヽ::::.　　 ',:　ヽ
　￣,´/F>｀ミi_　i　　i　　 ';::　　　' ;:　　　';::　 ',
　　,⌒Yiー<⌒ﾊL　　i 　　 '::;　　　 ',､　　 ';::　 }
　 ,ｲ冖!/てヾVYjヽ_,　l､ ,　　',斗七　 '.,ヽ　人,,ﾘ
　从r'弋心ノ',ｲj从i 　 l....ヽ／ '; :::＼　ｌ ::/イ
.<　ゝ._｀フノノﾊ､ .i　　l::::''ゞ从_i⊥､;＼j .i
　弋 _､.＞√勿/ヽi.　ハ　　 V{ｨrｬﾐ <　丶_
　　))　/´　｀.i`...'.,::､　'､ﾊ　｀．辻,ィ'}　　　￣|
　　　　l　　 ::: 　 ::',::＼　iヽ　　 |下乙　　　　　/
　　　　l　　 :: 　　 ;;; ::ヽ|　ゞ　　　　　　　　　/
　　　 ,'　　..::　　　 ,:'::,　:::|　　　　　　　　　　 (　　　　　　　「おかしくない。
　　 ,'　　 ::　　 .::　 :::　::|｀(　　Y ヽ､　　　 /　　　　　　　全然おかしくない、よ」
　　 ,'　　.::　 .::　.::..　 :::　:|　,ゝ‐ｲ　.ﾉゝ___,,ノ
　　,'　 .:::　 ..::: .:::　　:::　:::!"　｀丶、s￣｀)
　 ,'　.:::/　 :::　.::　　 :: ::/　　　l　　.l ヽ￣)
　,'　::; '　 .::　:::　　　ﾉ,/　ヽ、　ヽ / ／､ゝ
.　／　..:::　:::　　／／　`丶､｀　 '彡,廴`;;;;;
　　..,,,_::,,__.:,,,,:::／／‐-､__　　｀丶 .ヽ /∧/|
　Y　　　　　　￣ -　　,,,,　｀　‐ - ､ .Y..∧/|
　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ　　ヽ|∧//|

　　　／: : : ,./: : : : : : : :/: : : :/: : , '/!: : : : : : |: : :|: : : : : : : : :
　　, ': : : :／/: : : : : : : :/: : : :/＿/ / l: : : : : : :|: : :|: : : :l: : : : : :
　 /: : :／　/ : : : : : : :/: : : :/´: :/ l｀　|: : : : : : |: : :|､: : : !: : : : : :
. /: :／　 /,ｲ: : : : : /: : : : /: : /　!　　l: : : : : ∧: : ! ＼: :!: : : : : :
/／　　 // |: : : : : :!: : : : ,! : /　 !　　 !: : : :/ ヽ: :|　ヽ｀ヽ､ : : : :
　　　　　!'　 l: : : : : l: : : :/.|: ,' 　 !　　　 !: : : ! 　 l: |　ヽ: ヽ: : : : :
　　　　　 | : : : : |: : :/ !|/'ｰ- |､　　　 l: : l　　 ', l　　ヽ: ヽ: : : :
　　　　　　 | : : : : |: :/l　 |__　　 |　　　 !: |.　　､'|　　　ヽ;!､: : : :
　　　　　　　|: : : : :,!: !: l　 r ' 　i !　　　　| |　　　/｀''―- ､ヾヽ: : :
　　　　　　 !: : : ｲ|/: :,!　 !ヽ-'/ 　　　 l:! 　　!_ 　　　 /l: :∧: :
　　　　　　　　',: : l l |': / 　｀ｰ'　　　　　 |　　 r‐' 　 i　./ ,' / : l : :!　　　「素直じゃないね」
　　　　　　　　ヽ:| | |: :!　　　　　　　　　　　　 l､ヽ.ノ,. ' /:/ : : | : l
　　　　　　　　'.| | |: : ＼　　　　､__　　　　　 `　'´　/:/ : : : ,!: |
　　　　　　　　 | |: : : : |ヽ､　___　 `ｰ'　　　　　　･ /:/: : : : :/!/　　　　　　　　　_＿_　_＿_　_＿_　_＿_　_＿_　__
　　　　　　　　 | |: : : : |: :／／ヽ　　　　　　　 ,.. /:/: : : : :/´|: :　　　　　　 |￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ..|
　　　　　　　　 | |: : : : |/ /　/´.,'‐;!ー――,.i' ´-.//: : : : :/ : :|: :　　　　　　　 |　　ゴチャゴチャ抜かすと　....|
　　　　　　　　 | |: : :/7 /　/　/　l｣　,.. ''´:::::::::::::/': : : : : / : : |: :　　　　　　　　 |　　振り落とすぞ！！　　　 |
　　　　　　　　 | |: : !　　　　　 |／::::::::::::::::: , ': : : : : , ': : : : |: :　　　　　　　　 |_＿_　_＿_　_＿_　_＿_　_＿_　.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　だから雪華綺晶はどのような理由であれ共に戦ってくれるのなら非常に心強いと思ったし、
　　吹き出すのを堪えるコナタは本当に可愛くない、と装甲を小突くだけにしておいた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
256 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 23:13:05 TPWIG0JI
四３８５．
―――――――――――――――――――――――
　　本当に今更ではあるが、
　　コナタがアンマンにいた頃と別人なので
　　これもアイツの影響か、とキル夫は思ったのだが。
―――――――――――――――――――――――

f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ
|　　よっ………と。　　　　　　 .|
|　　肩の上で良いのかな？　　 |
乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　f´￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　楽ちん楽ちん。　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　乂＿＿＿＿＿＿＿_ ノ

　|　　　　　　　ﾄ.|　//　 i i　　　　　　　　　　! !　　.|.| i.i　! !　　　　::|
　|　　　　　　　|_|　| |　 .i i 　＿＿＿_ 　　 ! !　　 |.| i.i .! !　　　....::|
　|　　　　　　　|_| //　　i i ／　　　　＼　 .! !　　|.| i.i .! !　　　　 :|
　|　　　　　　　|_ﾚ./　　ヽ二.　　　　　　＼.! !　　|.| i.i//　　　　 :|
　|　　　　　ヽヽ　 .／　;;（ ○）::::（○）;;;　! !　　 |.| i//　　　　 ::|
　|　　　　　　　/|_|　 |　　（ﾄｪｪｪｪｪｪｪｪｲ) ,.! !　　 |.|//　　　　 ::::|
　|:　　　　　　 | ||_|　＼　u,＼ェｪｪｪェ／　! !　　|.|.|||　　　f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ
　|: 　　　　 | ||_|　.／　　　　　　　　　//ヽ　　|.|.||| 　　 |　　あいつ、あんな性格だったっけか？　　 |
　|　　　　　　 | |.|_|　| 　　　　　　　 /./　|　 .|.|.|||　　　乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
　|::　　　　　　| | |_|　|　　i　　　　______.r',ノ　 |　　|.|.|||　　　　　 ::|
　|:　　　　　　 | | .|_| .|____|　　　 .‐‐‐‐" |____|　 ////　　　　　 ::|
　|　　　　　　　ｌｌ　|_| |_|ﾄ||　　　　　　 |ﾄ|ﾒﾆﾆﾐ//　　　　　　　 ::|
　|　　　　　　　＼ヽ二彡.|　　　　　　　 |ヽ三三/　　　　　　　 :|　　　　　IIIIIIIIIII　System　IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII
　|　　　　　　　　　　　　 |_______i-i_______|　　　　　　　　　　　 ::::|　　　　　II　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 II
　|　　　　　　　　＿_＿　/ |/|ﾄﾒ　川川ﾒ　＿＿　　　　　　　 ::|　　　　　II　　バーニア、スタンバイ完了。　　　　II
　|　　　　　　　./　　　 'ー┴l　　ヽｌ||勺　　　　ヽ　　　　　　　　 :|　　　　　II　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 II
　|,，　　　　　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿／　　　　　　　　 |　　　　　IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII
/ ヽ、＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_／ヽ
|ヽ、ｲ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_＿ﾍ／|
|　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　.|
.ヽ、|＿＿介＿＿＿＿＿＿介＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿介＿＿_!／.
　　　　　ノ/ 　　　　　　 | |　　　　　　　　　　　　　　ﾉﾉ
　　　（（　　　　　　　 | | 　　　　　　　　　（ (

――――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　深く考え込んでいる場合ではないので、
　　自分は変わるつもりも、なれ合うつもりも無いと確認してから全身に力を込めた。
　　そして。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
257 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. 投稿日： 2011/06/01(水) 23:14:07 TPWIG0JI
四３８６．
――――――――――――――――――――――――――――――――――
　　冷たい命令を与えられた殺戮兵器ではない。
　　一方的に与えられる事を良しとしない、
　　己の道は己で切り開こうとする男の一部となって鋼鉄の巨躯が舞い上がる。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,r‐ ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|i! 　 j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|i!,. イ
',　　　　　　　　　　　　　　　fiヽ　　　　　ﾉ　.i　　　　　　　 _＿_　_＿_　_＿_　_
::',　　　　　　　　　　　　　　(⌒　　 j i! ヽ　　　　 i　　 i　　　　　　　　 .|￣￣￣￣￣￣￣.|
';::',　　　　　　　　　　　　　 :'´￣::｀ヽr″　ヽ､^@￣@^ ,i　　　　　　　　 |　　行くぜ！　　 |
_';::',　　　　　　　　　　　　 i:::::/l/ﾘヽ」　　　',((从（（(,,i! )　　　　　　　　 .|_＿_　_＿_　_＿_　_|
　';::',　　　　　　　　　　 _,. |:iｲ・_,_,・.j　　f' ,fﾉ∂ヮﾟ从(,j!　　　　　　,,r‐‐‐‐ ￣￣￣￣￣￣￣
　 ';::',　　　　　　　 r　´/　|:l:l(つく!￣.!　　',((とtξ,,,tつ)′　　　__,rfi　「l ￣￣i',
　　';::',　　　　　／__　ノゝ人:く/_|l7''ヽ　'　) )（,,,,ζ,,）( (─ ‐ｧイ7i!:!　l l ‐‐‐‐i;',　　　　　　　　　　　　　　　　　 /￣/
　　 ';::',　　　　 }＿__! ' ´ 　｀'し'ﾉ,イ　　ヽ.( ( (　UU 　) ) )ィ《_{77ゞ,!　l l　　　 l.',',　　　　　　　　　　　　　　　　 /7　　/　 /　/7/7
　　　';::',　　　　ィ"´l|　,r,´ﾍヽ‐〈/　,!.　　　', ､　j　／__／ jィ"rfii{{ゞ､j　l l─‐─...',.',　　　　　　　　　　　 /∠〃/　　￣/
　　　 ';::',　　i´＿　 i〈rﾜ"´ 　 /__/{　　　 /__　　/　 /. 'jｨ| ﾞ''i i〉イ´　 ,l_l〃/´:::::::;r′　　　　　　　　　　　　　/_/￣ /　 /￣
　　ヾゞ::i;ﾘ　　　　｀r､"　　　 i!_ i!　>-‐ヾ_.ﾉ'　ィ___./ i {,{ i､,,r"_,,, ．,,,ffi,,ii .! :::::::::::¨i!　　　　　　　　　　　　　 /＿/
　　　ヾ､;:Vt‐vr､"´ｭｭヽ、　〃　/^ ､Vゝ「_,V ィi_　.i! .i_,{i! _..ィ「 l iv　 ´ ',',ヽゞ＝彡i!　　　　　　　　　　 ./￣/　/7/7
　　　 fヽ,,..ハi､r-'‐''"ｰ'_`ヾ!　.〃　、｀_""¨¨´////./　 lﾞi、　 l　! i　　　 ','r_-‐_彡r'　　　　　　 /7ｸｸ　 /　 /
　　　　ﾚr〉7ｧj'i:|ﾞ¨´⌒i´　　{!　i′ i'`'' -/ 　 .,′ ,', ′　 'i{_"」!ｰr≦'¨¨',"_.ﾌ⌒ヽ、j　　　　　　./ /　　 / 　￣￣/
　　　　 `ゞ亥ヌ'-‐…､!．-ｧゝ､　　　　 ′　 i　　i′ し _ィ　 “/^'rﾐ:i　 _i_ノ　　　　　　　　　　/　￣￣/　 /￣￣
　　　　　　ヽ　〉　　　　　/　ヾ″　　　　　 ___＿ｰ‐　´'^}　ノ)　ト=ヾ　ヽ　　　　　　　　　./ /￣￣＿/
　　　　　　　｀′　　　_,,.( -ァ ^ヽ．,,,_　　　ゝ-‐‐'　　　ィ"´　ヽ, ヾミ_ir ､'″　　　　　　　 /_/
　　　　　　　　　　r ´　　_i´／/´､ゝ．_l>､,,,_,__,,....,zィ_)_)　　／_》｀､　　　ヽ
　　　　　　 __　　 _ヽ '"‐''!´ /　 /　Vi._iｰｧ'ﾆァュ_7´ 〈V　/'rｨ'ィ'｀　､ヽ　　i!
　　　　　　ゝﾊ≦f＜i,　　 V　 ./　 ∧_　 l 　 l!「　ii.　　',V i>"'´　　　　､ヽヽi!
　　　　　　 'J乏》､_　｀　．ヽ/　 /　 /ヾl 　 l! l　 'i　　〉j¨´　　ヽ　　　丶ヾ′
　　　　　　　ヾﾞくヽヾ>,､　 `ヾ､/, .:r'f0)ll_　 l! l　　i､_,〃′　　　ゞ!　ィ=⌒ヾr､
　　　　　　　　ヽヽ'　｀^ヾｭ.,,_/ク､ゞz彡Vjﾍﾞ､l､z=ﾆ>"　　　 ,..,r 〈"´　i'"f`´i ', l
　｀)⌒;;,,⌒;;;;,,.⌒）´ 　 /{_亡!fﾆｺt!',､　 ,,＞ミ.._/´ '7'..　　／,く> -i(;;　｀)⌒;;;⌒ヽ;;　｀
)⌒;;,,.⌒　　（⌒;;;;⌒)ﾞ`ーﾆ == -‐'`´　　　　　　 {　〉、:(⌒;;⌒ヽ;;　｀)⌒;;⌒ヽ;;　｀)⌒;;,,.⌒
⌒　　;;;; )(⌒;;ヽ;;｀)⌒;;,,.⌒）　　　　　　　　　　　　:(⌒;;;ソ⌒)(;;⌒ヽ;;　｀)⌒;;,,.⌒｀)⌒;;,,.⌒
;;,,.;ソ⌒;;;;'''）ヽ）;;;;;;;,,,,,,）ソ''⌒;;）⌒;ソ⌒;;;;!"'''）ヽ）;;;;;ｿ;;,,,,,,）ソ;;⌒ヽ;;　｀)⌒;;,,.⌒　;;,,.⌒　;;
;;,,.;;;!"'''）ヽ）;;;;;ｿ;;,,,,,,）ソ;ソ⌒)(⌒;;ヽ;;;;;'''）ヽ）;;;;;⌒ヽ;;　｀)⌒;;,,.⌒　;;;;,,,,;;,,.⌒　;;;;,,,,,⌒;;,,.
!"'''）ヽ）;;;;;ｿ;;,,,,,,）ソ;ソ⌒)(⌒;;ヽ;;;;;'''）ヽ）;;;;;⌒ヽ;;　｀)⌒;;,,.⌒　;;;;,,,,,,）ソ⌒;;,,.⌒　;;;ヽ;;
ヽ）;;;;;ｿ;;,,,,,,）ソ;ソ⌒)(⌒;;ヽ;;;;;'''）ヽ）;;;;⌒ヽ;;　｀)⌒;;,,.⌒　;;;;,,,,,,）ソ'';｀) ヽ;;　｀)⌒

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　　すでに激しい死闘が行われているはずの、決戦の舞台を目指して―――
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259 名前： ショボン玉 ◆Shobon.2x. [sage] 投稿日： 2011/06/01(水) 23:14:50 TPWIG0JI
本日の投下は以上になります。
閲覧、合いの手ありがとうございました。

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