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【真・女神転生デビルサマナー】雇われサマナーキル夫10

520: ◆x0SRSoJXe. :2018/07/14(土) 21:00:10 ID:mz9JAuVI0

    /||ミ
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 |:::::::::::::::||: : : :-=´_ _,´
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 |::::::::::::::(_ノ / . . . ||
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   \ ::::||
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                  ,- ‐‐ - 、
                   イ: : : : : : : : :`,
                      /○ ○: : : : /
          ┌─┐  i_ _ _ : : : : : : :{        今日は二本立てだ。
          ┃茶┃   `,_ _`=-: : : :|
          ├─┤    i: : : : :_: : : :'        第十話、「連鎖する罪」
           ̄ ̄ ̄ー‐'' `-‐´ : : : : : :ヽ
             ゝ __ ,.. イ : : : : : : : : l: : |      第十一話「破壊の天使」
                  { : : : : : : : : :|: :.|
                ,、 '" : : : : : : : : :゙、:.ヽ     どうぞゆっくり見て行ってね。
               ( : : :‐ 、 : : : :__,. : : :Y"
               ` ー‐┘ ̄‐〈_ ,,ノ

521: ◆x0SRSoJXe. :2018/07/14(土) 21:00:27 ID:mz9JAuVI0

┌─────────────┐
│                    │
│   第十話『連鎖する罪』  ....│
│                    │
└─────────────┘

522: ◆x0SRSoJXe. :2018/07/14(土) 21:00:55 ID:mz9JAuVI0

       ____
     /     \
   /         \
  /   (●) (●)  \      ふう、これで終わりか。
  |   (トェェェェェェェェイ)   |
  \  \ェェェェェ/   /
  |          |
  ||        / |
  ||       ./ ||
  (_|   r  /  (_)=|三三ラ
    ヽ  |/
     >__ノ;:::......

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ある昼下がりの午後。管理者も放置気味の廃ビルの中。
いつものように悪魔退治を終え、事後処理を行ってもらおうと掃除屋に
連絡を取ろうとしていた。
悪魔とて血は出る。死体もほとんどは霧散するがある程度は残る。
そういった痕跡を消去する掃除屋も存在するのだ。

短刀に付着した血液を払う。
びちゃりと柱に血が着き、その後ろから息を呑む音が聞こえた。
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523: ◆x0SRSoJXe. :2018/07/14(土) 21:03:16 ID:mz9JAuVI0

     ____
   /     \
  /         \
/     (●) (●)\     ……こいつは面倒なことになった。
|    (トェェェェェェェェイ) |
.〉     ∩ノ ⊃  /
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |
  \ /___ /

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中学生にもならないであろう少年の姿が、そこにはあった。
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524: ◆x0SRSoJXe. :2018/07/14(土) 21:03:44 ID:mz9JAuVI0

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                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
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                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
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                               ・

525: ◆x0SRSoJXe. :2018/07/14(土) 21:04:10 ID:mz9JAuVI0

          /   \ヽ. ____ ノ .:.:.:.ハ
            /      ヽ、________.:.:.ハ
            /      ム {ヽ         `:.、:\
         |      |弋ハ__\           :.:.:.:.:.
         | /∨     | イvハ-x 丶         :.:.:.:.:.
          'V ∨ ハハ│ヽ{  ヽ \ j    :.:.:.:.:.
               \{ }ヽ ',0    ',  ヽ{ヽ ハ:.:./        あ、あのっ……僕、そのっ
             _lノ   ヽ     }    ∨ j/:.:.:.
                く .:.:.:.:.:.. ` ー―彡     .:.:.:.:.:.        「落ち着いて。何も口封じに殺そう、というわけではないわ。
             ヽ              ,  '  ̄ ̄ 
                  {__           u /              むしろその逆よ」
                  (`こ⌒)    /     /.:
             ∧( ) ' ⌒ヽ ´  /     .:./.:.:.:.:
          { ( )  .:.:.:',  /       .:.:./:.:./:
            ヽ_____ .:.xー┴'ー‐     .:.:.イ,.:.'.:.:.:.
【人間 利田史門 Lv5】

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少年は利田史門と名乗った。
メイヴが宥めているが、未だに恐慌状態が続いている。
無理もない。なぜあんな廃ビルに入り浸っていたかは知らないが、
そこに追い込まれた悪魔と鉢合わせになったのだ。

衛宮士郎の時よろしく、記憶を消して家に帰そうと思い、念のためCOMPを起動して
体内のマグネタイト濃度を測ってみると、常人の1.3倍を記録した。
どうも、霧散した悪魔の生体マグネタイトを吸収してしまったらしい。

生体マグネタイトを取り込むことで、人間にはメリットとデメリットが生じる。
一つは、肉体の強化。単純に筋力や魔力が上昇するのだ。

そしてもう一つは、悪魔に狙われやすくなるということ。
事実、サマナーの肉は悪魔たちの中でも美味だと広まっている。

つまり、この少年は悪魔の格好の餌に他ならないというわけだ。
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526: ◆x0SRSoJXe. :2018/07/14(土) 21:06:24 ID:mz9JAuVI0

                     _,,、---、  /`ー---、_
           ,   ._,、-― ' ´       `´((,、_ ,ィ-、`!
         ,、((._,ィ'´       ー.'二==テイト、ォハ´`))!ヽ
      /`/ト、`))          ̄__,ィ /乂Yノ少((.  ヽ
      ,イ ./ノ少、'          l  .l    i ((ゞ'´  ` l  ヽ,
     l   弋トン"   /  l     | l!  l!  l! l!  ))  l  l l   l
.    /!    )) ./ / l  l! .l  l l!.l .l!  l l l!l l! ´  l! .l l  .l
   ノ  l.  (( / .′l  l! .l l! i!.l i!  l!.l l!l.l l!    i! l .l!.l  l!
 ./   l   /./  l! l! l.l  l .l l l! l l! i!l.l l! l! l! l  l .l! l l!  /
./    / l .l! l!  l! l! ! ll! .l l!.l l!l.l .l! ll! l.l!l! l l l!  l l .l l / l        よしよし、大丈夫だから。
!  / / ./ i! i!-=ミ.、 l! l l.l((.l!i!.l! l!.l-十十‐!-i! l! l!   l l! l l!/./ l!
 / /  / .l l.l l!  .))l_l! l l ))l l! l!l l从==ュ. l! l .l! / l.l /././  `ー       歳はいくつなの?
/ /  /  l! l ll! .ィーイ_,`ヽ.'イ l!l!l .l!イん::ハ.ヽ l l! / ./ //!   __
./.|  /.|  l!  .i! .,イ´`'Z`メ! ヽ     乂z:ソ. './ ./ ./// /.l          「じゅ、十二歳です」
./ヽ. l l  l!、  i! フ 〈、Yノ ノ .l          ̄ /  ,′/ / ./ l
  ヽ! .l! i!ヘ  i! >`、´ 、,ノ  '       l   .l   /  /l            
 l  i! ヽ l ヘ .|  i!ヽヽ-イ))      _      ヽ,  ヽ .l!  .l l!
 l  .l!  l!   ト、 l l ヘ ((    ̄    ,ィ‐、ィ‐、  ヽl!  、l l
 l l l ヽ     l. ヽ l!l i> ,        ゝ,. `´ |  リ__  `ー
./ .l l  ヽ i  l  ヽ.i! l!   >__ , _ , ィ`l´  / / .`ー-
  .l l  ヽ .l! l  l l /l .,ィ、_ノ  ̄ゝイ   / /
  .l!l   l!.l! .l  ./ / l/l .,、- `i   | / /

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舌打ちをする。
ある程度は適性がないと人間の生体マグネタイトの吸収は起きない。
今回のケースは相当稀だ。

たまたまサマナーとして適性のある少年が悪魔の消える場面に立ち会い、
その生体マグネタイトを吸収してしまうなどという事態は。

しかし、年齢が年齢だ。
何とかして一般人としての暮らしに戻してやれないかと頭を悩ませていると、
史門の口からこんな言葉が飛び出した。
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527: ◆x0SRSoJXe. :2018/07/14(土) 21:07:00 ID:mz9JAuVI0

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       ./::::::::7 /::::::::::::/ |::::::∧::::::::::::::∧::::::|',:::::::::ー:、 V::∧ヾ
      7:::::::::::| /:::::::::::::::/  i:::7 ∨:::::: / ∨::! V:::::::::::ハ i::::::::',
      i:::::::::::::'´::::::::::::::/ -─:7= ∨:::/==- V{ __V::::::::::::::ヾ|:::::::::',
        ;::::::::::::{:::::::::::::::7 , -─=、  V,′,. --- 、 V:::::::::::::::::::::::::ハ
     イ::::::::::::::V:::::,'!::7 /   9 !     7 9  ヽ∨::::::::::::::::::::::::::}
   /ー‐ |::::::::,.}::::,' |:| .{     i      {      } V ∨,、:::::::::::::::!      その、喜留夫さん……あの化け物、
       |::::::{ Ⅵ, ヾ  、___. '      ` ___ノ  〃- {::::::::::::7
       |::::::| ( ハ            i        '〃  ' 丁 }::ハ::::,'       やっつけてましたよね。
       レハ:、`ヽ ',                u.     , - ' ,ィ/ V
             V>--',         ___          ,'__,.イ/           僕にもできるんですか?
             /V:::::::ヽ     ´──`     ,ィ:::::::/、
       x<: : : :Ⅵヽ::::> 、          , イ:::/Ⅳ: : :∧
     /: : : : : : : : }!: : \::::|: :>     <::::|:/}:,': : : : : : :∧
     厶-----z__: : : : : : : :ヾ{: : : : :  ̄: : : : : : :.|: : : : : : : : : : :∧

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メイヴが眉を上げる。
喜留夫は即座に首を振った。

「だめだ」

「できないってことではないんですね」

「ヒーローにでもなりたいのか? 悪いことは言わねえ、やめろ。
普通が一番だ。普通に生きられることほどありがたいことはない。
お前みたいな子供が、普通に生きることを取り上げられるのを、
俺は見過ごすことはできない。大人としてな」

「お願いします」

史門は頭を下げてきた。
困惑し、メイヴに助けを求めるが、自分で決めなさいとそっぽを向かれる。

「どうしても、化け物を倒せるようになりたいんです」
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528: ◆x0SRSoJXe. :2018/07/14(土) 21:07:21 ID:mz9JAuVI0

         ____
       /     \
.    /       \
.  / /) ノ '  ヽ、 \      ……分かった、理由を聞かせてくれ。
  | / .イ '(ー) (ー) u.|
.   /,'才.ミ)トェェェェェェェイ)/      それから考える。
.   | ≧シ'ヽェェェェェ/ \
 /\ ヽ          ヽ





        /:::::::::::::::::\:::::::::::::::::::::::::::>:.....
          /:::|:::::::::::::::::::::\´ ̄ ̄¨弋::::::::::::::::::::::>::.....
       {:::八::::弋:::::::::::::::ハ      ヽ::::::::::::::::::::::::::::::
         V{:::::ヽハ rミ ̄ ̄`/´ ̄ `ヽ  ∨::::::::::::::::::::::::
         弋::代:::.| '.          '.  )イヽ:::::::::::::::
             `ヾハ| .|   |       }    |::::>'⌒
             | 0j    O    ノ    レ'./>      ……五年前のことです。
            ノ`¨  ,;,  ー─=ニ  〃  〈⌒ヽ
             弋 ,,,    ミ  ''′゙'      )__ノ__
             从       r─‐-  -一≦三三三ミ
         ト、  丶  r‐-、 ├气ミ三三三三三三ニニ
         | ヽ   \`¨´   |     ̄ ̄  |三|
         |   `ー彡\   ',           j三j
          j        `¨¨¨´V       {三{
         {                V      l三ミ辷
        人              人     / `ヾミ

529: ◆x0SRSoJXe. :2018/07/14(土) 21:08:02 ID:mz9JAuVI0


      / !   |l | |,.>',ニ_ヽム'~l!'´|i!| !/,/ // /,ハl  /  |    ノ  | ''
      '   |   ハ ヽ/ | Vrォゝl!ヽi| 'l!|/‐/-/ 、//! , / !  | / /   |/
     '    |   | |!∨ ハ ゞしjイ! ヾリ!//'_/_//, \/ /!/ / !/ / /   l
  / ,    |    ハ| { lヘゝ二ノ      〃,. ‐/メノ\ , ,イ/ / /     !
, '  /     |   / ハ ゝニ、、           ヽ弋テノj|ノイ / ' / / /    !
      / | |  ! / . ヘ `冖''             ー   レ'  / / / /    l
/  / /   | |  ! /  ハ      _          イ/  / / / //    |
     ,. --人 |! γフ\    `      // /  /|/ / /     |
    /      \ノヽ!ヽ 「ヽ!\       __ イ! /    .イ / /  ,イ|     |
   '       ノ L___ `ーj V ノ ̄ノ、j ̄!._ ノ レ'   / | ノ´| / |     |
 /         V´ 〆 , イ / `ーγ" / , '  ,. イ|γ´  _|   |       |

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
「僕は小学校でいじめられていて、居場所がありませんでした。
親がいないからです。授業参観に来たのが叔父さんと叔母さんで、
それがきっかけでいじめられるようになりました。
街の中で殴られていると、高校生の人が助けてくれたんです。
不良だったけど、とても優しくて。高校生のグループに僕も入れてくれて、
いつも一緒に遊んでいました」

メイヴが悲しそうに目を細める。
親がいない、という単語に反応したのだろう。
その後で自分を見たのは、十年前に母を亡くした自分と史門を
重ね合わせたからだろうか。

「その人と仲良くなって一年も経たない時でした。
その人が喧嘩で打ち負かしたっていう男の人が、迷彩柄の変な機械を持って
殴り込みに来て……さっきみたいな化け物を呼んで、その人を食い殺させました」

不良がCOMPを拾ったということか。
あまりよろしいことではない。子供の手にCOMPが渡るということ自体、
最近では少なくはない。そういった子供は大抵、悪魔を使った犯罪に手を染める。
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530: ◆x0SRSoJXe. :2018/07/14(土) 21:08:13 ID:mz9JAuVI0

      ,イ , イ     , イ ,イ         ヽ、     }  ヽ、
     ,イ ∧   , イ , イ ,、      ,、    ,  ̄ ゙̄ヽ    ヽ
    .,イ   / ゙ニニ - '"   / !     ,' .',   !',      ゙,ヽ、 ゙,
   /   ,' ,イ        / !     ,'  ',   ! ',   ,   !  ヾ
   /   !'        ,イ  !    /   ', ., t- ',   !    !
  ./           ,イ    !   , /     ,イ !  ',  !   !
 イ ,,        / / 、   .! /,'/     /, ', !、 ', , - 、  !
 ,イ i!   /    / /ー,->、/ / /  ゙ーイ!・i .', ! ゙,  〉イヽ i  !            許せないんです。そいつがまだ生きてるのが。
   i!   ,' i   ,' /イ.    !・!/!     i ゙"   i! / 、/ /、 !
   ,'   ,イ ,!  ./!' !     ゙ .!          " ,' イ ,イ、ヽ!ヽ           でも、僕には到底仇討ちなんてできなかった。
   .,' ./,' ,イ.! ,',.   ゙      ,      ゙ ー '''  i, イ  ヽ、 ヽ 、
  /イ /イ  i .,' ゙、    ー‐ ''".    i}        ! ./ ヽ、  ヽ、  > 、     あいつが化け物を使う限り、僕に勝ち目なんて
  ,イ,,,!   ゙ヽ、 ー ',                 , イ ,    ゙ヽ、  ゙ヽ、    ゙',
 "       /゙ ー-'、        ,ー---_-,    , イ  ./      ヾ,ヽ、 ゙'、   !   ありっこない。警察も動いてくれやしなかった。
          ,'     ゙ヽ、    "  ̄ ̄  , イ /  /         ゙ヽ,ヽ '、  !
        ,'       ヾ> 、  _ イ./ /    /           ヾ、',  !  けど、喜留夫さんが助けてくれるなら……
        i        i ヽ、     i ./   "             〉' ゙ゞヽ
        i        ,!  ヽ、   , -! !  ,              ,イー, i

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
復讐か。

サマナーになる動機は様々だ。
人を守りたい、悪魔を殺したい、大金が欲しい、血が見たい。
その中でも、復讐のためにサマナーになる人間も少なくなかった。

「あの人は僕の人生を変えてくれた。色んな事を教えてくれた。
そんな人を殺して、今ものうのうと暮らしているあいつが許せない。
どうか、僕も化け物を倒せるようにしてくれませんか」

このまま突っぱねて放り出したところで、悪魔の餌になるのは
火を見るよりも明らかだ。

それならばいっそ、自分の下で自衛手段を身に着けてもらったほうがいい。

「いいだろう。ただし、条件がある。俺もその復讐に加担させろ。
チャンスがあればお前じゃなくて俺が相手を仕留める。それでいいな」
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531: ◆x0SRSoJXe. :2018/07/14(土) 21:08:26 ID:mz9JAuVI0

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                               ・

532: ◆x0SRSoJXe. :2018/07/14(土) 21:08:43 ID:mz9JAuVI0

                ____ヾ-、
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         //::::::::/ヽ--_'>'":::::::::::::::ヽ, `'ー-、.i::::::',
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        ,.=':::::::::::::::::::::/::/Z::::::::::::://::::::::::::i:::::::::::::iヘ,
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          〃 i::::::::::::,' .i.  9ヾ   -t''9´i/ヽ:::::;;;::::::i
           ノ:::::::i.=ハ ヽ--- '    ヽ-- '_/ ア/ヾi,
           /:::::i:\__',     , 、   ', __>、__
            ̄7/',:::ヘヽ   , -- 、 ヽ    7: : 7
            , --ヘi---> .      .ノ   .-': : :-.、
          `' <,      ヘ>- イ_,/     ヘ: : :ヘ
             \     ::|   .|        ',: : :.',-'" ̄ ̄ 7___
               \  /-'y-'".i         ヘ: : :ヘ    _  ヘ
                -) /-、    ',         ヘ: : :ヘ /: : :ヽ、 .\
             ,.イ,ノ./       ヘ       , --': -、: : : : : :ノ    >、_
               7   /        ヘ    , イ: : :/: : : : ----':、__
            i   /             ',   /: : : : ≠: ',: : : : : : : : :7--、ヘ
【名前】
利田史門
【種族】
人間
【レベル】
5
【属性】
Neutral-Chaos
【相性】
破魔無効
【能力】
力-E 魔-E 体-E 速-E 運-E

【スキル】
なし

【装備】
『ケブラーベスト』
ケブラー素材の分厚いベスト。
オーダーメイドの子供サイズ。

『小型の拳銃』
ハイスタンダード・デリンジャー。
中折れ式で相談数は二発。
簡易的な呪文が彫られており、従来より引き金を引くために必要な力が少なくなっている。
霊感の無い者にはおもちゃの拳銃に見える。

『お古の小刀』
喜留夫から貰った小刀。
簡易的な呪文が彫られている。
霊感の無い者にはおもちゃの刀に見える。

『小型COMP』
喜留夫が予備として持っていた小型のハンドヘルド式COMP。腕に装着して使用する。
メモリ容量も少なく、一度に召喚できる悪魔は三体までとなっている。

533: ◆x0SRSoJXe. :2018/07/14(土) 21:09:39 ID:mz9JAuVI0

                       ,  - ‐ .
l` 、                  , '   ,..---_ 、` 、
|   l 、             /l, '  ,.'"´  '´  `ヽ `、    ,ィl
|   l  l 、           l  ,ィ'⌒ヽ  ,-‐ヽ、___ノヽ ',∧//l|
|__, '  l  |` 、    /  /    l /   、   `ヽl l | / |___ _
|    ,'  l  l` 、 ∠,_  l     , /     l: /   VV/__ノ ヽ  ヽ  ヽ
|_ , '   ,,'   l  |l 、l  人   ノ/  、    トl/‐、ヽ |/'ヽ ヽ  l  l ⌒)
|     , '    l  |l  |ヽ  二_,ノ ト_、ヽ  | lu l |>.リ  ヽ ヽ l  lー‐'
|__., '     ,.'   ,','  | `、 ,' l  トlu ヽl\| ー' : ̄`<´  ̄ノゝー'
|         , '   , ','  ,.'ヽ  ',ヽ ヽ人_ ノ   、   ;   , '´、/           ああああっ!
ヽ''ー― ‐'   ', ' , <  } l|. ヽー――ァ r フ  ,:' ,   /
 ヽ _____,..-'''ヽ、ノ ノ..ノ.| |',`ヽ . ̄l- 二 -''`ヽ {,  /_,.<'''フヽ
  {、_ノ ,rヽ  ヽ、_,/‐':::::l |',ヽ,ヽ |   ヽ::::::::::ヽヽ       ` 、  ヽ
   .l \__ノ`ァ‐フ.//:::::::  l | ', `ヽ,l、_,   ''"`;::::::| |       `、  ヽ
.   l...   ~´ー'´:::::::ヽ::::::::::/| |  ',   ヽヽ     ;::: | | ヽ      `、  l
.  人     ::::::::::::::::::::::::::::::: ノ,,'  ,'   lヽ::},,,.. ''"';::::| |  ヽ     ,,,.--'
    `.、   :::::::::::::::::::::::/,,'  , '   /:::::;    , ';::::l/    ヽ   ,:'
.      `'''‐...,,___,.. ',,/ /  /、 ,'ー- '_,..'::::人      ヽ /
             ̄ ̄ ̄ヽ___/   i__,,r'´,..-<   )ー―,―''
              /,::'´ ̄      l-'',,r''ヽ ノ'''"   ヽ
                 l /        /ー‐‐''´三        ヽ
                l         /  /,rニ二''''ー――- ._ ヽ、
                l     ,.-‐'" //           `ヽ::::ヽ`ヾ 、
                人.     /:::::::::::::::::l l        、   l:::::::l:::::::ヽヽ


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翌日の午後三時。三津井市立阿垣小学校という名前の廃校に、
喜留夫は史門を訪れてやってきていた。

この廃校は常時異界と化している。
というのも、ガイア教団が購入した廃校をわざと異界化させ、悪魔を放流し、
鍛練の場として利用しているというのが実態だ。
とはいえ、出入りは割と自由だった。メシア教徒でなければサマナーは
誰でも入れる。

その一階の廊下で、喜留夫は史門を連れて下級の悪魔と対峙していた。
喜留夫はメイヴ一人だけを召喚し、後ろに控えさせている。
後方の警戒と、史門の護衛だ。

史門は小刀を手に、果敢に幽鬼ガキへと斬りかかっていった。
右肩から腹にかけて両断された紫色の体が霧散していく。

簡単な払魔の呪文を刻んでいるため、この程度の悪魔であれば問題なく葬れる。

「はあっ……はあっ……」

「大丈夫か?」

「すみません……ただ、ちょっと……肉を裂く感触が、慣れなくて」

「吐かないだけマシってもんだ。次に行くぞ」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

534: ◆x0SRSoJXe. :2018/07/14(土) 21:12:29 ID:mz9JAuVI0

         ____
        /     \
       /         \
     /     (●) (●)\      次は交渉だ。ほれ、とりあえず手土産にこれを……
      |    (トェェェェェェェェイ) |
      \   \ェェェェェ/ /      「は? なんで化け物と話なんてしなきゃいけないんですか」
     /       __|___
    |   l..   /l チャクラ `l     悪魔、だ。
    ヽ  丶-.,/  |__ドロップ _|
    /`ー、_ノ / ̄ ̄ ̄ ̄/





                  \
          、___,..-‐'''" ̄ ̄``ヽ、
      ー・、  >            .ヽ、_____丿
        `>´            ヽ /ヽ '-'
       / /     ,'          `ヽ |___
        ̄/     ,'           ヽ<‐‐‐`
        /     |    |、       "'''・ ._       悪魔を使わなきゃサマナーとしてやっていけないってことは
        |     从 、  |>・'´ ̄ |、 ヽ。「 ̄
      ・ ̄|  ∧.土弍|ヽ ´|ー‐ヾ  .| ヽ、 |`          分かりますけど、そのために悪魔にへーこらするんですか?
        //| .|、 .|、 i:j \ |.ij_,ヾ .|  》ヽ|
       .'´  `、ヽ_| .ー'' 、ヽl   uヽ| ,、|            「へーこらはしねえよ。ただ、サマナーは悪魔を討つと同時に、
           .|/| |、        ,.‐'´|`l
            ..ヽ| `ゝ._―- _,..'.|||  .〉、            悪魔と持ちつ持たれつの関係でもあるんだ」
             |~``ヽ   ̄|二彡.||ヽ /./‐ヽ、
              ヽ|.| |  , '.ー‐'''丿ヽ_/``ヽ、~ヽ、
             /<ソ| `-'    .).|      `ヽ .~.|

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
運動が得意なのか、戦闘の方は然程問題はなかった。
敵の攻撃をしっかりと読み、避けることに重きを置いた戦い方を叩き込んでいった。

戦闘の方は問題はなかったが、交渉の方は全く持ってだめだった。

意識の底で悪魔に対する嫌悪があるせいか、交渉を持ちかけた悪魔にも
それを読まれ、ほとんどが取る物だけ取って帰ってしまった。

「仕方ない、今日は戦い方を重点的に教えていくか。
接し方はその後だ」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

535: ◆x0SRSoJXe. :2018/07/14(土) 21:12:54 ID:mz9JAuVI0

     __  _
     fi} ∨,ハ.∨
     _,::::ア__ヾ'_ ∨  ,ィ ァ        アオーン……オレサマボロボロ、ニンゲンツヨイ。
   f-;::::<タ_〕::/ ヽ_/  'ー- 、
   ヾ-ニv:::::::::ノ      、--'       オレサマナカマ。ソレデカンベンシロ。
      `ー、:::::ゝ  ^ー'ヽ}、 \
       ∧シ'.、  、:..、  ヽ ゝ
      ノ、 >ーヽ__ }¨ヽ:::::::|¨´
      └‐'  f"::::ノ  'ー.′
              ̄
【妖獣ガルム Lv5】

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わらわらと湧いてくる有象無象を蹴散らしながら校内を回っていると、
一匹の悪魔が命乞いをしてきた。

妖獣ガルム。冥府の番犬にして、最高の猟犬と名高い悪魔だ。
これなら初めての相棒に相応しいのではなかろうか。

史門を見やると、渋々といった様子で契約を結んでいた。

「初めての仲魔だ。大事にしろよ」

「……はい」

複雑そうな表情の史門をつれ、学校を脱出する。
ある程度の戦い方と、初めての仲魔を得られたのだ。成果は上々といった
ところだろう。
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536: ◆x0SRSoJXe. :2018/07/14(土) 21:13:52 ID:mz9JAuVI0

                   ..-‐  ¨ ≧ァオ¨_ミ:x.__
             ,ィニjァ='ィ     ⌒´辷彡ス `Y
           r:ヘ.Yツ / /   i l i ヽ  ` ヾ) i |
           トi ,ィ/ ′ i l l l | | l .ハ  ((  | !
                | jヘトN i  | | ィ7从┼l‐-i!  }` !リ
                レ′ l  Vアフ彡ィ/ j」⊥j、! イ  ハ、
           /   八 くヾrjYtリ  ´ヒ:z:ノ;7 /   Y ヽi
             /   /  ヽ卜辷r" :  "" { ! ハ    ト-ミ: ____             どうしてあんなこと言ったの?
           √ァ’ /   トミ Ⅵ(  ‐.‐  人ヾ {  , マ≧ レ==ミ`ヽ
          /〃 /イ ャ‐ミxヾ:`へ、_ ..√てハ>"{  ヽノノ     ヽ\         「あんな、って?」
       人{/ /  }   }rリ)  r' `’ ) _/   `ヽУく       )/
  .-一=彡 ハ /r‐ "  ,ィ Yヽ辷彡= _厂Y `う     レ/ \   ー=彡          復讐に加担させろってやつ。
ィ´   ̄   /ヾく  |  =彡  リ_ / > < 1| {:_  /イ\  丶
 /   /  /\-ィ    「ぇ≧z\_/ィミУ { 〃´  /ヽ   \
/    〃   ′  Y      | " ヾ ̄  ̄ /_  }.:′   /   }     ヽ





         ____
       /      \
      /         \       ……どんなに薄汚れていても、命は命だ。
    /   (●) (●)  \
    |   (トェェェェェェェェイ)   |     命は尊いなんて言うつもりはねえが、重みは相応だ。
    \  \ェェェェェ/   /
     /⌒ヽ   ー‐    ィヽ       なんせ人一人の人生を潰して、その重みを背負うわけだからな。
    /      ,⊆ニ_ヽ、  |
   /    / r─--⊃、  |      ガキのやることじゃねえ。
   | ヽ,.イ   `二ニニうヽ. |

537: ◆x0SRSoJXe. :2018/07/14(土) 21:14:10 ID:mz9JAuVI0

                  ,  -ィ''  ̄ '' -ヲrtjュ<´\
           / ヽr= /         \ヾイト}、  \
          / _ノヒj/               \{{_ヾ、  ヽ
           /  {{ /                  \ ハ\  ヘ
.          /  ∧{/   ィ   i    |   i  ,   ハ i ヽ  ヽ
        /  / {i   il  i l    ハ  ミ;,  i   i |   ';, ハ
.        /  /  i   ハ  i! i ヾ  i>-升ト i   l |   ヽ \
       /  /   l    il:  |ハハ.  .l _ヽi,Lハil    | |    ';,  ヽ       あなた、自分が仇を討つつもりでしょう。
     ,,;;'  /   ヽ   Vヽ ト))=、ヾ リ .ィ行芯;|   .| |    ヽ  ';,
   //  /     ';,  ミ;,ゞトュi}イ}    武::::リ.i   ハ ',     }  ヽ     「なんで分かるんだよ」
  /  /       ゞ、ミ人LУソ}}    " ̄ /イ  ;i, ハ     V /
/   ,'          川>=- ̄((  '_ _  / /  /il  i ',     i /i     分かるわよ。何年一緒にいると思っているの?
/   ,'           ,' i } >  )) `ー'   イ/ ,;/i il  l ヽ    ||}/}
.  _ノ            ノ/  i il,、 i>-  -イr、ノ/ /トイ  ト、 ';,    i ./
/          / / `l  込>  ̄i /!. . / / / ir~─ 、\  / !
          / /  / il r-、/ /   .:/ / /} ) /   ヽ V∧ \
         / /  ./  ノ } / /!⌒´`i/ / / _,        ',//ハ   \





         ____
         /     \
.     / (ー)  (ー)\
    l^l^ln (トェェェェェェェェイ)\       ま、判断はあいつに任せるがな。
    ヽ   L \ェェェェェ/  |
     ゝ  ノ         /        殺すなら俺が殺すし、殺さないなら俺も手を下さない。
   /   /         \
  /   /            \      
. /    /         -一'''''''ー-、.
人__ノ        (⌒_(⌒)⌒)⌒))

538: ◆x0SRSoJXe. :2018/07/14(土) 21:14:20 ID:mz9JAuVI0

                     _,,、---、  /`ー---、_
           ,   ._,、-― ' ´       `´((,、_ ,ィ-、`!
         ,、((._,ィ'´       ー.'二==テイト、ォハ´`))!ヽ
      /`/ト、`))          ̄__,ィ /乂Yノ少((.  ヽ
      ,イ ./ノ少、'          l  .l    i ((ゞ'´  ` l  ヽ,
     l   弋トン"   /  l     | l!  l!  l! l!  ))  l  l l   l
.    /!    )) ./ / l  l! .l  l l!.l .l!  l l l!l l! ´  l! .l l  .l
   ノ  l.  (( / .′l  l! .l l! i!.l i!  l!.l l!l.l l!    i! l .l!.l  l!        件の人物、まだこの近くに住んでるですってね。
 ./   l   /./  l! l! l.l  l .l l l! l l! i!l.l l! l! l! l  l .l! l l!  /
./    / l .l! l!  l! l! ! ll! .l l!.l l!l.l .l! ll! l.l!l! l l l!  l l .l l / l         伝えるの?
!  / / ./ i! i!-=ミ.、 l! l l.l((.l!i!.l! l!.l-十十‐!-i! l! l!   l l! l l!/./ l! 
 / /  / .l l.l l!  .))l_l! l l ))l l! l!l l从==ュ. l! l .l! / l.l /././  `ー        「ああ。今日も夕飯にあいつを呼んだ。
/ /  /  l! l ll! .ィーイ_,`ヽ.'イ l!l!l .l!イん::ハ.ヽ l l! / ./ //!   __
./.|  /.|  l!  .i! .,イ´`'Z`メ! ヽ     乂z:ソ. './ ./ ./// /.l           飯食わせたら、話すつもりだ」
./ヽ. l l  l!、  i! フ 〈、Yノ ノ .l          ̄ /  ,′/ / ./ l
  ヽ! .l! i!ヘ  i! >`、´ 、,ノ  '       l   .l   /  /l
 l  i! ヽ l ヘ .|  i!ヽヽ-イ))      _      ヽ,  ヽ .l!  .l l!
 l  .l!  l!   ト、 l l ヘ ((    ̄    ,ィ‐、ィ‐、  ヽl!  、l l
 l l l ヽ     l. ヽ l!l i> ,        ゝ,. `´ |  リ__  `ー
./ .l l  ヽ i  l  ヽ.i! l!   >__ , _ , ィ`l´  / / .`ー-
  .l l  ヽ .l! l  l l /l .,ィ、_ノ  ̄ゝイ   / /
  .l!l   l!.l! .l  ./ / l/l .,、- `i   | / /

539: ◆x0SRSoJXe. :2018/07/14(土) 21:14:49 ID:mz9JAuVI0

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540: ◆x0SRSoJXe. :2018/07/14(土) 21:15:24 ID:mz9JAuVI0

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.ヽ.  / / \                       .⌒>---. 、                       _/  -
.  \ /'   \__               __/:イ:i:i:i:i:i\:i:\, ヘ                    \
.   \      ヽ=ミ          {ニ/:i/:i|:i:|:i:i:i:i:i:i:Ⅵ:i:i寸ミ7       ___   ´  \\ ノー
      \   / /{......ヽ         </:i:i:i:i:i:i|Ⅵ:i:i:i:i:i:ヽハ:i:i:i:i:iV\     /..........{\\     ´
         __,ノ.............. ゝ--=ミ>- /:iイ:i:i:i:i:i十ヽ从才´ i:i:iⅥ::i:ミシ     ノ......... 人   /
        /:|.....................}  < ヽ〃/:i:i:i:i:i:i:ix= 、ヾ=x|:i:i:iV:i:∧   / |、................\)        今日はあれ?
        , :人.................∧  <  { /:i:/:i:i:i:i:从   - v  |:i:i:i:i:i:i:i∧ /  |: \............./
        : : : : : ̄ ̄:\:i|  /  /:i/ {:i:i:ii {∧ 乂:::::::/ 从:i:i/:i:i:|ヾ-''   ∨/\ ̄          チキンとエッグのソイソースかけ?
          i: : : : : : : : : : : i|   ̄\ ,:i:i' |:i:从 V_ ≧ - イィ }/:i:i从ハ :i /   V: /: :.\
         : : : :|: : : :/: : : i|     'i:/(八:i  ヽ}洲洲洲洲{ ノ:i:i:/:i:i}:i:i:|,/'    V: : : : :.:\         「親子丼な」
       |: : : :|: : :/: : : : i|      、 >ヾ   }   |   {´ /:i/:i:iヾ:i:/、    /! : : : : : : :.ヽ
       |: : : :|: :/: : : : : i|     ----- >\/≧=--=≦、// ヽ:i:i:Y:i:i} -=彡, : : : : : : : : : i       僕あれ好きー!
       |: : :.:.し': : : : :.:.:i|        ><: : : : : 人)/ ': :\八:i:i:i:ハ  /: : : : : : : : : :.:|





   〃    /  /  /   l  l 、          ヽ
   {i{イ   | | | /  | ∥l∥l l ヽ{   ミ、 ヽ、 ri }、|
   _ツ   /|| || || /|、| || l | lト、 `ヽ 、、ミ、 l| { }八!
  ≧‐_,  lハl| lNl/ lト、l|| ヾ! l| ヾト、 }|ト、 ミ、ノ  メ,_ノ
    / ィi l l ト三≧x、il_ヽ ヽ l_,,リ≦三 ヽ|l  `=彳
    l/ lい、l ト、lゝ `ニ’`ヽ(\ ヾ `ニ’_,`  }! 、トー '       黒蜜ぶっかけていい?
      ヽハ{、         ` ヽ    〃7リ
        ト、_j                  厶イ           「殺すぞ?」
       ノイ lハ       _ _     / トゝ
        j/| |l 、     __     /!l l ト、           おっす、サーセン。
           jノ|| \   ´ 二 `   /|从ハ{、
           ト、ヽ  \     /  |!  ヽ\
          _| \\  ` ー─ '    | l / /
    _,. -‐くヽ!   | |          ∨ / / \

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史門が自分の下でサマナーとして鍛練を積むようになってから、
我が家の食卓は一層賑やかになった。

パイモンは料理の名前を憶えないし、ヨシツネは何にでも黒蜜をぶっかけようと
するが、それでも楽しい食卓であることには変わりなかった。
そこに史門を招待したところ、最初は縮こまりながらちびちび食べていたが、
途中から馴染んできたらしく、パイモンと苦手な野菜の交換などをするように
なっていた。

「ねえ、君の大事な友達ってどんな人だったの?
僕、そこんところ全然聞いてなかったからさ」

パイモンが無邪気な声でデリケートな話題に触れるものだから、
慌てて止めようとする。が、史門は然程気にしていないらしく、
「暴れん坊でした」と懐かしそうに笑った。
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541: ◆x0SRSoJXe. :2018/07/14(土) 21:16:03 ID:mz9JAuVI0

    /:.:.:.:.:/  /:.:.:.:.:.:.:,ィ:.:.:.:./ /:.;ィ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ハ ヽ:.:.:、:\
    ':.:.:.:.:.:.:/ ./:.:.:.:.:.:.: /斗-≠=ム< !:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ハ  }:.:.ハ ` ヽ
   ':.:.:.:.:.:.:./ /:.:.:.:.:.:.:.:.:./  |/     ` !:.:.:.:.:.:.:.:.:ハ:.:.| .}:.:.:ハ
 /イ:.:.:.:.:../ /:.:.:.:.:.:.:.:.:./           l:.:.:./l∠. l:ハ/:.:.:.:.ハ
  i:.:.::.:.:.:.l ム:.:.:.:.:.:ハ:.:l   ___ ヽ   l:/   `、1:.ヽ:.:.:.:.:.:',
  .l:.:.:.:.:./r、 ヽ:.:.:/ V 彡三三三ミ        . ,':.:.:.ヽ:.:.:.:.:.i       不良で、能天気で、スケベで。
  l:.:.:.:.:ノ ,ヒ ヽ V                  ィ≡ョ、.,':.:.:,ヘ:i:.:ハ:.:.l
 .l:.:.:.:〈 ( `(      _   ```      i   ,',':.:.:/:.:.:l/ ヽ:|       でも、どこまでも優しくて、意思が強くて、凄い人でした。
 l∧:.:.:.ヽ、`ー  ,, - '' ¨: : |             〉` '.ハ:.∧:.:/
   ∨_:. -`ー '': : : : : : : : :l           ```! V |/           僕のこと、「お前は俺の兄弟だ」って言ってくれて。
  , ィ´: : : : : :_.. -‐ ''' ¨ ̄l      「 ̄7     ノ
. f: : :_ ィ: : : :l         ./.      ー '′    /                喧嘩の仕方とかも教わりました。
. l/  l: : : :l        i          ,  '
 !    l: : : l         l    、...__..、-
 ゝ   ';.:.:.:',      l      /  `ー―――‐‐―ァ
ノ, --‐二:.:.:__ヽ     l       /           /





     ____
   /     \
  /         \
/     (●) (●)\      だから年の割には動けるのか……
|    (トェェェェェェェェイ) |
.〉     ∩ノ ⊃  /       (こりゃ結構な逸材かもしれねえな。十年もすれば化けそうだ)
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |
  \ /___ /

542: ◆x0SRSoJXe. :2018/07/14(土) 21:16:53 ID:mz9JAuVI0

   |  {    |     ハ   '  乂込りイ、`ヽ
   |   '  |  ミ、 i   |ハ ゞ=彡ノ/z i
   |   ヽ .!   ハ:}|i: ! {  '  i  ゞ=ソ i:!
.i   |   ハ:{.  r=彡|{|ノi  |. | ヽ  八
:|   ! >ー从_}{ i ! |.川 i{ `ヽ |   !  ハ 、  ゙
   |{ / ーヽメ 八ハ!{ !ノj_z_j   |  .'{  ヽ
ハ  人ハr=ミ ハ ハ   ノ从 7Zマ.く_ ' | {八          素敵な人ね。ちょっと喜留夫に似てるかしら。
  / }込八irくイ_ノ ノ    i.i゙;;;}j ' ハk , ! i  ヽ
 { :{ゞ=ミ_ノ/    ,  ゞー" / ノ/  |i ゝ           「かもしれませんね」
.八 ∧   '' j:i ''     ノ   "″,イ./{  八 `ー
.  ヽ∧   八{_ノ、_       ./rーミ八   `ー -        主に能天気でスケベってところが。
   \ヽ.      ̄ ´  イハ  }vー 、`ー -
 `ヽ  \>     . ィ´,⌒´     ノ `ヽ         私も、喜留夫があんまり触るせいで胸がBからCに……
ハ  \  ヽハ≧=彡} `ヽ      `ヽ ハ
  丶.  \   }、 { /           ノ   }        「おっと、そこまでだ」
   \   ヽ ノ iト、∨           \  '

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
メイヴの胸の話はともかく、史門の兄貴分だった男は、史門にとって相当
大きな存在だったことが伝わってきた。

「史門、後で話がある。食器洗い手伝え」

声色から何のことか察したのか、史門が神妙な表情で頷く。
その眼には、いつか見た暗い火が揺らめいていた。
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543: ◆x0SRSoJXe. :2018/07/14(土) 21:17:27 ID:mz9JAuVI0

         ____
       /       \
      /         ヽ
    /     ( ー)  (ー)'         お前の捜している男はこの町に住んでいる。
    |     (トェェェェェェェx ,--、
    \    \ェェェ<  ヾ zヽ        現在二十二歳。工場勤務だ。
____/          \/| |
| |  /  /            __ノ        帰宅ルートから、襲撃に適した場所も割り出してある。
| |  /  /          |
| | (    ̄ ̄ ̄⌒ヽ.   |            決行は明日の夜だ。……できるか?
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|





      ,イ , イ     , イ ,イ         ヽ、     }  ヽ、
     ,イ ∧   , イ , イ ,、      ,、    ,  ̄ ゙̄ヽ    ヽ
    .,イ   / ゙ニニ - '"   / !     ,' .',   !',      ゙,ヽ、 ゙,
   /   ,' ,イ        / !     ,'  ',   ! ',   ,   !  ヾ
   /   !'        ,イ  !    /   ', ., t- ',   !    !
  ./           ,イ    !   , /     ,イ !  ',  !   !
 イ ,,        / / 、   .! /,'/     /, ', !、 ', , - 、  !            やります。僕があの時生き残ったのは、
 ,イ i!   /    / /ー,->、/ / /  ゙ーイ!・i .', ! ゙,  〉イヽ i  !
   i!   ,' i   ,' /イ.    !・!/!     i ゙"   i! / 、/ /、 !             この時のためだから。
   ,'   ,イ ,!  ./!' !     ゙ .!          " ,' イ ,イ、ヽ!ヽ
   .,' ./,' ,イ.! ,',.   ゙      ,      ゙ ー '''  i, イ  ヽ、 ヽ 、           あいつを殺せるのなら、何だっていい。
  /イ /イ  i .,' ゙、    ー‐ ''".    i}        ! ./ ヽ、  ヽ、  > 、
  ,イ,,,!   ゙ヽ、 ー ',                 , イ ,    ゙ヽ、  ゙ヽ、    ゙',
 "       /゙ ー-'、        ,ー---_-,    , イ  ./      ヾ,ヽ、 ゙'、   !
          ,'     ゙ヽ、    "  ̄ ̄  , イ /  /         ゙ヽ,ヽ '、  !
        ,'       ヾ> 、  _ イ./ /    /           ヾ、',  !
        i        i ヽ、     i ./   "             〉' ゙ゞヽ
        i        ,!  ヽ、   , -! !  ,              ,イー, i

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悲しい光景だった。
中学生にならない子供が、刃物と銃を携えて、握り拳を作っている。
こんなこと、史門が望んでも、史門の兄貴分は望まない筈だ。

だが、復讐を止める気にはならない。

史門は大事な人の人生を踏み躙られた。
自分の大切なものを蹂躙され、その屈辱と悲しみを飲み込んで生きていけ、
相手を許せ、聖人になれなどと言える人間は、世の中を欠片も知らない
聖人気取りのクズだ。

復讐は必要なことだ。過去に決着をつけなければ、史門はこれからを生きていけない。
この子供は過去の鎖に囚われたまま生きていかなければならなくなってしまう。

だが、その鎖を引きちぎるには対価がいる。
罪という名の対価が。
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544: ◆x0SRSoJXe. :2018/07/14(土) 21:17:41 ID:mz9JAuVI0

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545: ◆x0SRSoJXe. :2018/07/14(土) 21:18:03 ID:mz9JAuVI0

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                '  ,              , '゙
                    ゙   、 ,,,,,,_____,,,,... ''"

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その日は満月だった。
まるで一つの大きな目が、これから殺人を成そうとしている自分たちを
見張っているかのように、藍色の空に浮かんでいた。

「行くぞ」

史門を連れ、事務所を出る。

標的はもうすぐ退社し、帰路に着くところだ。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

546: ◆x0SRSoJXe. :2018/07/14(土) 21:18:24 ID:mz9JAuVI0

                         / i
               /^ ,     / /^{
               , ∧‘,   ,  /:::::|
                 i i:::‘,,____/__ /_::::::|
                 | |::::::‘,  ト、  `ヽ、
                 i }_::/   |::::\   ,>
               i!         i::::::::::\/:::::}
              | 、――――....:::::::::::rイ「i:|                 アオーン、サマナーノテキ、オレサマノテキ。
              | \::「¨ヒ廴}}::::::::::::::V_ノ::!
              |   >. 、_ーノ'::::::::::r‐ ┐:,′                 チカラヲカスゾ、サマナー。
              i /:::::::::::::ト、:::__::::` ー'_/\    /レ1
              八  ̄ >:::`.ー'´::::::`::フ′  \,ク  ∠ _
                    i  フ::::::::::≧=ァ''´           <    _」__
                    |    ̄ }:::::::/}/       {     /   // ハ
                    |   ト、 }:/∨    / ̄∨}    \ー‐''     }
               , !   V:::::::::::/    /     }    「       ,
          __   ./ .|   ∨::::::,     .{     ∨ハ i !       /
         r.f::::::::>.、! |__   \::}_ ∧  八       ハ/      /
         し`ー- 、::::く`ヽ}:∨ハ_/ }:::::::V^/:::: >-z___ /        ,
        乂::>=<:「  ノ:::::::::::::}‐ ノ:::::::::::::}f'´:r::::::::::::::::} \        /
              `Y::r:::r::::::/ f::r:::r::::::/  ̄`ー―''”     ̄ ̄
               ー―‐'  ー―'''

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
史門の仲魔のガルムは、史門の冷たい態度にもかかわらず、
忠実な様子だった。

「チュウジツデアルコト、スナワチリョウケンノホコリ。
オレサマハサマナーノキバダ」

「ガルム……」

流石に史門も思うところもあったのか、そっと灰色の毛並みを撫でた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

547: ◆x0SRSoJXe. :2018/07/14(土) 21:18:39 ID:mz9JAuVI0

       ____
     /      \
   /         \
  /        (●) \      奴はいつも近道をしようとして、この細道を通るんだ。
  |       (トェェェェェェェェ
  \      \ェェェェ ,       お前はそこで待っていろ。俺が後ろから挟む。
  /           <

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
喜留夫はヨシツネを召喚し、史門をビルの隙間に待機させた。
反対側で標的がやってくるのを待つ。

男は工場の制服のまま、リュックを背負って歩いてきた。
武器の類は見えない。

細道に入ったのを確認し、後を追う。
そこで、史門と男が対峙していた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

548: ◆x0SRSoJXe. :2018/07/14(土) 21:19:01 ID:mz9JAuVI0

.             /.... /..    >ー- ._`. 、     ヽ
          /.... /-、    / /./..../   ヽ`.、.      ヽ
          /  /  /.     V /..../...   ヽ`、..    ヽ
.         /   //.... /.     V...../.       l..`、     ヽ
       /   //  / ,..-‐‐- 、ヽ/       ノ.  `、.    `、
       /... ,'. ヽ_.ノ/      \ ー―     _.. l    l`ヾ
        /.,イ l   /         `ー----‐''´.. ヽ|    |〉、
.      |/..| . |.../              /|   ,,  __  l、|./ `ヽ
        | . ー'                ,イ.....|  / | /ヽ|/、|. /  / ヽ
        |.       |ヽ.. |....  /|.. ,イ |/|∧|. ,イ |. /.. /  /  `、
        |  ,ィ   |ヽ|`.', |、...../. |. /' |/..ツ.  |V |/  ,ィ..l  /.    `、
        |/ |. ,......ヽ.ヽ. ヽ|ッ、/.....|/、     ノ|/... / /.| / /...  `、
       /  |/|. ,イ lヽ..`ー―'..      ̄ /... /   |イ . /..     `、
        /. //...|/ ヽ|  l          /   /    | |/         ',
.      ,'/ /_..    ヽ   ヽ     /... /.       |/ヽ          ',
.     ,'       ̄.'''.―...> 、 ‐―-....><         /ヽ....|           ',
.     ,'     _,..-'''" ヽ ヽヽ . ̄ ´   `ヽ     /  l....|            ',
.    ,'   ,.'"    / ヽ ', ヽ ` ヽ.     ヽ  l.... |....|              ,
.    ,'  /       /    ヽ ',  ヽ.  ヽ       ヽ l.... | . l..  ////  ,
   ,' . /      /      ヾ...  ヽ  ヽ     l |  |  ヽ////.     ,
   ,'./      /.          ヽ...  ヽ.... ヽ.    | ヽ ヽ ////       ,

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
「なんだ、このガキ……」

男は言うが早いか、ガルムを見た途端リュックから迷彩柄のCOMPを取り出した。
生体マグネタイトの燐光が舞い上がり、三体の悪魔が呼び出される。

魔獣ジャージーデビル、地霊ノッカー、凶鳥オンモラキの三体だ。
どれも下級の悪魔だが、今の史門には荷が勝ちすぎる。

が、史門は怯むことなく、ガルムと共に三体の悪魔に立ち向かっていった。

自分も銃を構え、アイコンタクトでヨシツネを先に行かせる。
跳躍したヨシツネは史門の目の前に音もなく着地すると、
地面に伏せるような形で一回転し、刀を振るった。

ずるり、と鮮血をしたたらせながら悪魔たちの上半身と下半身が横にずれる。

呼び出した仲魔を両断され、狼狽する男の背中に、喜留夫は銃を突きつけた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

549: ◆x0SRSoJXe. :2018/07/14(土) 21:22:11 ID:mz9JAuVI0

.            l     /ミV.      ,イ. |       /|   |ヽ             ',.
             V..   /ミミ.V      / |.. |.      /. | ∧..| ヽ            ',
     |       V.  /` ヽ、.V....  /. |. /|     /  |../ l..|   ヽ          ',
     |.      ∧... |    .V.  /  |/. |.      l.  |/......| | / ヽ.           ',
     |.      / .V l.     V. /ヽ.   |     l     .| |'   /        ∧..... l
     |     /...... V |.     V....> ヽ  ヽ.   l     ./| |.  ./       /. V......|
     |. ,イ  /.     ヽ|        |lll.ヽヽ.  ヽ   |     / ,|/-‐ァ'.       /...... V |
     |/ | . ,'l               `' .lヽヽ.. ヽ....|. ノ. ,イlj´.. ,イ.       /    ヽ|
、...   | . |. ,'ミヽ                ,'ミミzー''´.ヽ|/彡ノ゙'''´. ノ;|   /|...../
..\   | . |/ . ミヽ________ノ''ヾ三.<三ミ,r''´三三彡ノ;;l /......|. /          死ねっ……!
.\..ヽ....|.      ヾヾヾヾヾヾヾヾヾ,..-'''"ミミミミミミミミ(ヽミニニニ彡'ノ;;|'´    |/
.......\ヽ|.          .-‐ '''""~               ヽ.       ,'
    \                            ',.     ,'
....    \                        ‐,  ノ      ,'
.        \.       ,. '´ー-、_           .ノ   , '
.         \     イ  l    }'´ ~""''' ‐---―ァ''´   /
            \.  ヾー'ヽ、_r'´ヽ、 ノ、_ノト--ノ   / \
            \..  `゙゙ー--‐ '''""~ ̄ ̄ ̄ _,.../"    \
             \     __,,.. .-‐ ''' ./            \
         ミx-ー<                /..    ,..-‐ '''""~


╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
史門が駆けながら短刀を振りかぶる。
男がひいひい言いながらこちらと史門を交互に見やり、
命乞いをするような視線を送ってきた。

戦い慣れしていない。少なくとも、死線をくぐってきた様子はない。
これが久しぶりの戦闘なのだろう。恐らく、五年前のその日からCOMPを
抜いてこなかったのだ。

両者の距離が一メートルほどに差し迫った時、男の懐から音楽が流れた。

「頼む、出させてくれ」

史門は立ち止まり、そのまま黙り込む。

「せめて、一つ言い残させてくれ」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

550: ◆x0SRSoJXe. :2018/07/14(土) 21:22:40 ID:mz9JAuVI0

             _____
             `ヽ____~"'''‐-..
          _,..-'''"    `ヽ ̄l´`ヽ `ヽ、
      _,..-'''" /        \.\  \  \
         ̄ ̄/  ,、         .\ \  \ .\  ,'l
          /  .l/ |    ,ィ      .\ ヽ___.lヽ  .ヽ'..|
       /,イ __...人  ./`|       .`、   `、   .|
      .l/ ./    `、 /  |   l     `、   l   ノ、
         /      .ヽ'  .|  .人l     `、  . |    .\
       ./ __        .| ../  |      l   .|      ,>        兄貴には、遺言すら残させなかったくせにっ……!
      / '  ̄`ヽ      | ./ ....| .∧   .|  /       .|
       /           |/    |/~ヽ、   | ./        |
       l                  j´-`、 .|/         .|
      l              __ ,、 ー- ノヽ.|ヽ, .     .|
      `ヽ、     ____ /  `ヽー‐'´   /-、     .|
        .|`ヽ、        /~"'''‐..`ヽ、_    .|    lヽ|
  ___  |/l/l/ヽ       |    `丶、  ̄`ヽ、l   .ノ
  ヽ     ̄ ̄ ̄~.|      .|      /  /ヽ,_ヽ__/
   `、        |      .|       /_,..-'''"‐‐、   ヽ
    `、      /.|     .|  ./ /       \  \
      `、    /...|     ./  .//           .\  \
      `、   l .|    /  ./              \   \
       >、 .|/    /  ./                   \   \


╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
史門が男の懇願を無視し、再び小刀を振り上げる。
それを手で制止した。

なんで、と目で訴えかけられるが、それでも制止する。
喜留夫は男に電話をかけてきた相手の見当がついていた。

男は沈黙を肯定と受け取ったのか、スマートフォンを取り出し、耳に当てた。
静まり返った細道に、電子音声が小さく響く。
微かに聞き取れるその言葉は、史門の目を絶望へと塗り替えていった。

「ねえ、まだ帰ってこないの? 妊婦一人で家にいるのって大変なのよ?
今どこにいるの?」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

551: ◆x0SRSoJXe. :2018/07/14(土) 21:22:58 ID:mz9JAuVI0

          /: : : : : :/        |     ',        ヽ: : : : : : : : ::ヽ
         /: : : : : : ィ           /      ヽ          }\: : : : : : : : \
         /: : : : : ://       ノ  __   \____ノ   ',: : : : : : : :ト、\
       /: : : : : ::/ ヽ、___ ,/ /: : : : : :`ヽ、     __.  ',: : : : : : : ',
      /: : : : : : : /  ____,イ: : : : : : : : : : : :`ヽー―く: : : : :\ ',: : : : : : : ',
      ̄ ̄|: : : : / /: : : : : : /  ',: : : : : : : : : : : :ト、::ヽ    ヽ : : : ::\l:: : : : : : : ',
        |: : : ::|/: : : : : : : /、   ',: : : : : : : : : : ::| \V´ ̄ ',: : |: : : :ト、 : : : :/V
        |: : : : |: : : : : : : : ::| \  ',:: :: :| \: : : : |  ∠--、   ',: :|: : : j } : : /
        |: ハ: : ∧: : : : :∧ |'  ̄ \ ヽ::::|   \: : |/O   ヽ l::∧: : j /::/V
        V |::/{ rヽ: : : | {ヽl     0ヽV-} \r'\|        } リ /ノVノ:∧
        / /V ヽ{ \:::| '、      ',       ヽ、   ノ"  // /:::ノ ヽ、
        /  /   ヽ  ',   ヽ、 __ ノ...:::::::::::::::::........ ̄ ̄   /__ノV   l ̄ `ヽ
    /   /     l::\__',     ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::   /V      ',    \
   /    /      V^ヽ: ',           〈            /         ト、_   ヽ
   l  //         `ヽ、    ___ -―二二>   イ           ノ \`ヽ. ヽ
   | /  \            ヽ、  `ー―‐  ̄     / j    ,-― ̄ ̄    l  \ ',
   | |    `ー--- ___  | `  、        /  /   /           }   |  |
  __| |          \  ヽ  l\   ` ー----‐ ´   / //          j   .!  !
 r' __|\          \  \ヽ `ー-、     r―'´ j / ,/          /   }/\
 | |  ヽ \           \  ヽl     ヽ    /     l   /           /   / \  ヽ

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
男はただ一言、「なんでもないよ、すぐ帰る」と言って、電話を切った。

「こういう日が来るんじゃないかって、そう思ってた。
人を殺して、警察からは逃げきれても、もっと他のものからは逃げきれない気が
していた。お前、カミナの家族か何かなんだろ? 俺、文句言えねえもんな」

男はCOMPを投げ捨て、両手を上げた。

「なんだよ……なんだってんだよ」

史門は肩をわなわなと震わせながら、唇を噛んでいた。
赤黒い筋が顎を伝っている。

「なんで、お前みたいなやつが幸せになってんだよ!
なんで悪党が悪党らしく生きてないんだよ!」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

552: ◆x0SRSoJXe. :2018/07/14(土) 21:25:15 ID:mz9JAuVI0


       ____
     /     \
   /         \
  /     (ー) (ー)\     …………。
  |    (トェェェェェェェェイ) |
  \   \ェェェェェ/ /
  /           |

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
喜留夫は引き金にかけた指に力を入れようとした。
史門がこのままこの男を殺そうとするなら、それでいい。

だが、史門はそうしなかった。

小刀を取り落し、膝を突いて、涙を流していた。

「うっ……あああ……なんでだよ……なんでお前みたいなやつが……」

喜留夫は銃を男の背中から離した。
結局、史門は過去に決着をつけられなかった。
男を殺すことで生まれる悲しみを背負えなかったのだ。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

553: ◆x0SRSoJXe. :2018/07/14(土) 21:25:28 ID:mz9JAuVI0

                         ┌──────┐
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         └──────┘

                           ┌───┐
                           │::::::::::::::::│
                           │::::::::::::::::│
                           └───┘

                             ┌─┐
                             │ :: │
                             └─┘

                               ┌┐
                               └┘

                                   □

                               ・

554: ◆x0SRSoJXe. :2018/07/14(土) 21:25:45 ID:mz9JAuVI0

.          /: : : :/    ノ     ヽ    \: : : : ヽ
          /: : : :/    / ,-―‐-、 \   \: : : :',
       /: : : /(   / ,イ : : : : : : ヽ、`ヽ、_ハ: : : ::',
      /: : : :/ 二二_ィ´/: ;ィ : : : : : : /`ー┬---、ゝ: : :',
    ∠: : : :/レ: : : ::/ ̄l//: : /j::/ ̄ ̄|: : : : ::ヽ: : ::',
     /::/: :/: : : : :/ ,--- /::/  ,リ ,--- j∧: : : : :l: : : ',       今までありがとうございました、喜留夫さん。
     " |: : /: : : : :/ ,/   /イ     /    ヽ ',:: :: ::|: : トヽ
.       |: : l: :/ヽ| {   O j     l 0    } }: /ヽl: ::j ゛
        l: : l: l ´てl ヽ、__ノ      ヽ __ ノ ,!/く }:/
       |: ∧{ ヽ l        {        /ノ ノ/
       レ' V\. ',    、____,    / //
           Vハ\                 ノ<__/7
          /  ヽ \         //V   / /
            ヘ      V `iヽ、__  イヽ |     / /
           ヘ       |         |      / /
           \     ノ         |       / /

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
「僕、サマナーを続けようと思います。この力で、少しでも僕と同じような思いをする
人が減らせればいいなって、そう思うんです」

復讐を成し遂げられなかった史門は、喜留夫にそう告げた。

「困ったらいつでも来い。力になってやる」

「ありがとうございます」

史門は無理をして笑っているようだった。
これから、史門は一生兄貴分の死を引きずって生きていくのだろう。
だが、それが史門の選択なのだ。

子供が大人になるということは、自分で生き方を決めることだ。

史門も一つ、生き方を決めた。決着を着けず、鎖に巻かれたまま生きていくことを。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

555: ◆x0SRSoJXe. :2018/07/14(土) 21:26:21 ID:mz9JAuVI0

            《薇t〕  ― ミ
            r=彡 ≫"      \
            | ./
          .j / / 〃 /:,       《薔》
        ,./ r≠ミ:li} /_   }l .!     Y
      〃   ;:廾ナ|j}/_/く>〃:./     |       電話が来なかったらどうしたの?
       ハ  ./.:k",   f.::jY≠ /   {  :I
      Y  /   r _  /  〃   :. Ⅵ       「どうもしないさ。あの男の運が良かったんだよ」
     ノ .:Ⅳ(∧ _ /  /∧    :::. \
    /    ハ )  >Y⌒7^(/∧     :::} )
:  Y'   / r(⌒)n..人 /  j//ハ    / ノ
   乂 / / /℃ ./∧_N一^彡//  //∧
     〔  :{ / rソ⌒) / ノr ソ// / (   ヽ





        ____
      /     \
     /         \
   /    (●) (●) \      ま、これでよかったんだよ。
   |   (トェェェェェェェェイ)  |
    \  \ェェェェェ/ /       あいつの人生、これからってことさ。
.    ノ    / )ヽ   く
   (  \ /__ノi ) , )
.   \  ゙ / ヽ ヽ/ /
     \_/    \_ノ

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
COMPと装備を取り上げることはしなかった。
自衛手段になりうるというのもあるが、いつか史門にしか守れない人が出てくる
気がしたのだ。

そうした時、自分の無力を後悔してほしくなかった。

史門の背中を見送り、喜留夫は事務所へと引き返した。

「さ、次の仕事だ。あいつは中々の逸材だからな、サボってるとすぐ追い抜かれるぞ」

「贔屓目ねえ」

この先、史門がサマナーとして何を成すのか。
それは自分ではなく、史門の物語だ。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

556: ◆x0SRSoJXe. :2018/07/14(土) 21:26:39 ID:mz9JAuVI0

                       ,  - ‐ .
l` 、                  , '   ,..---_ 、` 、
|   l 、             /l, '  ,.'"´  '´  `ヽ `、    ,ィl
|   l  l 、           l  ,ィ'⌒ヽ  ,-‐ヽ、___ノヽ ',∧//l|
|__, '  l  |` 、    /  /    l /   、   `ヽl l | / |___ _
|    ,'  l  l` 、 ∠,_  l     , /     l: /   VV/__ノ ヽ  ヽ  ヽ
|_ , '   ,,'   l  |l 、l  人   ノ/  、    トl/‐、ヽ |/'ヽ ヽ  l  l ⌒)
|     , '    l  |l  |ヽ  二_,ノ ト_、ヽ  | lu l |>.リ  ヽ ヽ l  lー‐'
|__., '     ,.'   ,','  | `、 ,' l  トlu ヽl\| ー' : ̄`<´  ̄ノゝー'
|         , '   , ','  ,.'ヽ  ',ヽ ヽ人_ ノ   、   ;   , '´、/
ヽ''ー― ‐'   ', ' , <  } l|. ヽー――ァ r フ  ,:' ,   /
 ヽ _____,..-'''ヽ、ノ ノ..ノ.| |',`ヽ . ̄l- 二 -''`ヽ {,  /_,.<'''フヽ
  {、_ノ ,rヽ  ヽ、_,/‐':::::l |',ヽ,ヽ |   ヽ::::::::::ヽヽ       ` 、  ヽ
   .l \__ノ`ァ‐フ.//:::::::  l | ', `ヽ,l、_,   ''"`;::::::| |       `、  ヽ
.   l...   ~´ー'´:::::::ヽ::::::::::/| |  ',   ヽヽ     ;::: | | ヽ      `、  l
.  人     ::::::::::::::::::::::::::::::: ノ,,'  ,'   lヽ::},,,.. ''"';::::| |  ヽ     ,,,.--'
    `.、   :::::::::::::::::::::::/,,'  , '   /:::::;    , ';::::l/    ヽ   ,:'
.      `'''‐...,,___,.. ',,/ /  /、 ,'ー- '_,..'::::人      ヽ /
             ̄ ̄ ̄ヽ___/   i__,,r'´,..-<   )ー―,―''
              /,::'´ ̄      l-'',,r''ヽ ノ'''"   ヽ
                 l /        /ー‐‐''´三        ヽ
                l         /  /,rニ二''''ー――- ._ ヽ、
                l     ,.-‐'" //           `ヽ::::ヽ`ヾ 、
                人.     /:::::::::::::::::l l        、   l:::::::l:::::::ヽヽ
                                             ~引き続きお楽しみください~

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