2562.


第４８話『伯爵とフェルナンが対決するようです』


＜前回のあらすじ＞
　伯爵が決闘の準備をしているところにメルセデスが訪れる。
彼女は伯爵をエドモン・ダンテスと見抜いたのだ。復讐を始めた動機、
すなわちダンテスをフェルナンたちが陥れたことを話す伯爵。
　息子アルベールへのメルセデスの命乞いを、伯爵は拒絶する。しかし、
メルセデスの息子への情に負けた伯爵は、アルベールを助けることを
約束してしまう。

　アルベールを助けること、すなわち決闘に敗れて生き延び、笑い物になる
のは伯爵にとって耐えがたいことだった。死を決意して遺書に書き加える
伯爵だったが、エデの言葉を聞いて『おれはまだ幸福になれたのに』と
嘆く。

　翌朝、アルベールの友人たちも決闘場に集まっていた。やって来た
アルベールは母から事情を聴いたらしく、非を認めて握手を求める。
驚く友人たちをよそに、伯爵は自身の正しさを再確認するのだった。

2563．

【アルベール視点：ヴァンサンの森】



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　　　　　　　　 ´　　　　　　　　　 ＼
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　　 　 　 ｉ　　　　　　　　　　　　　　　　　丶　　　　　　　　では……
　　 　 　 l　　　　　　 ／ ￣　　 　 　 　 　 丶
　　 　 　 |　　_＿　　 　 　 　 　 ヽ　 　 　 　 丶
　　 　 　 ヽ/ 　 　 　 　 ｉ　イ｀丶 l　　 　 　 　 丶
　　　 　 　 ヽ　　　　 ヽ ゝ _　　　　　　　　　　　 ',
　　　　　　　丶ｉ ｲ｀丶 l　 　 ｀ヽ 　 　 　 　 　 　 ヽ
　　　　　　　　 ゝ　　,　ヽ _　　丿　　　　　 　 　 　 ＼‐､-..､
　　　　　　　　　ヽ　 ゝ ﾉ , ‐ ´　　　　　　　　　　　 　 ソ:.:.:.:＼
　　　　　　　　　　ヽ　　´　 　 　 　 　 　 　 　 '　　　 /:.:.:.:.:.:／＼
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　　　　　　　　　　　　 　 ヽ　　　　 　 　 ／　 /:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀ヽ､
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＜＜伯爵は憂愁と威厳とを込めた表情で会釈し、マクシミリヤン、エマニュエルと一緒に馬車に乗った＞＞

2564．

＜＜そしてアルベールとボーシャン、シャトー・ルノーだけが残った＞＞


　　　　　　　　　　　　 　　 　 __,,,､,, 　 ,,､- ､
　　　　　　　　　　　　 　 ／´: : : : : ｀´: : : : :ヽ
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　　　　　　　　　　,': : : : : : : l: : :/:./　∨:ハ: :i!: :l: :::::::i
　　　　　 　 　 　 l: l: i: : l ／!／∨　　 |/　∨∨!: :::::::l
　　　　　　　 　 　ﾚ!: !: :l i´""'''ｰ-　　　,､-ｰ'''` l: :::::ﾍ!
　　　　　　　　　　 ∨ﾍ i | ｒ=＝ｧ　　　,　r≡=､/::∧|
　　　　　 　 　 　 　 !ﾍ∨ゝ　 　 　 　.i　　　　 ∧ｿ
　　　　　　　　　　　 ﾚヽi l　　　　　　 ｝ 　 　 ∧ﾉ　　　　　思いもかけない解決だったが、いや、よかったよ。
　　　　　　　　　　 　 　 ﾚﾍ　　　__＿___　 　/ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　∨＼　ヽ __ /　／ ′
　　　　　　　　　　　　　／i｛　 ＼ 　` ／i
　　　　　　　　　　　 　/:::::l ﾍ　　 ｀　´　∧＼
　　　　　　　　　 _,,-''/::::::::l　　` ｰ､　,／　.i:::::＼､,_
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　　_,..-.:":::::::::::::::::::::＼:::／:|ﾍ /`ﾍ::::::::ｿ´ﾍ i::＼::／::::::::::::`i:ｰ.,
　,´ｰ-､::::::::::::::::::::::::::／:::::::::i　　　 ∨:/　 　 l::::::::＼::::::::::::::i:::::::',
　l::::::::::::`::､::::::::::::::ﾍ::::::::::::::::l　　 　 l::::i,　　　ｌ::::::::::::::ゝ::::::::l:::::::::',
　ｌ:::::::::::::::::::`:､:::;:::::::∨::::::::::::i　　　 l;::::;l　　　i::::::::::::::/:::::::::!::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　【ボーシャン】
　　　　　　　　　　　　　　　新聞記者。アルベールの友人。




　 　　 　　　　 ＿＿＿_
　　　　　　　／ ノ　　＼＼
　　　　　 ／　（●） 　(●）＼　　　　　　　ボーシャン達にはわからないと思うけど、
　　　　／　∪　 （__人__）　　＼　　　　　　モンテ・クリスト伯爵とアルベールとの間には
　　　　|　　 　　　｀ ⌒´　　　　|　　　　　　　ちょっと重大なことがあったんだお……
　　　　 ＼　/⌒)⌒)⌒)　　 ／/⌒)⌒)⌒)
　　　　ノ　　|　/　/　/　　　(⌒) ./　/　/
　 ／´　　　 |　:::::::::::(⌒)　　ゝ　　::::::::::/
　|　　　　ｌ　 |　　　　　ノ　　/　　）　　/
　ヽ　　　 ヽ_ヽ　　　 /' 　　/　　　 ／
　　ヽ ＿＿　　 　 ／　　 /　　 ／
　　　　　　　　【アルベール】
　　　　　フェルナンとメルセデスの息子。

2565．

　　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : ; : : : : : : : : : : : : :｀¨ｰ､
　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : :/: : : : : : : : : : : : : : : : : ﾍ
　　　　　　　　/: : : : : : : : : : : : :{: : : : : : ;ｲ : : : : : : : : : : :ﾍ
　　　　　　　./: : : : : : : : : : : : : :.',: : :ﾄ､::/ｉ: :/ヽ: : ﾄ､: : : : :.ﾍ
　　　　　　　i: : : : : : : : : : : : : : : ﾍ:: :l !/　l/　 ヽ::l　i: :i: : |ヽ!
　　　　　　　l: : : : ﾍ; : : : : : : : : : l-',:l──--､_,,!/　ヾ!l: :,'　ヽ
　　　　　　 ﾉ: : : : : r､: : : : : : : : :l　 ゞ-t‐jヾ　　　/'ｰ､l:i/
　　　　　　 !ｲ: : : :/ ﾍ: ﾄ; : : : ﾄ; :l　　 ー¨-　　　〈ftﾂﾞ/|
　 　 　 　 　 i: : : ,'　　',:l ',: : : l ',:l　　　　　　　　 ',￣,'ﾊ!
　　　　　　　 ',: : :ヽヽ-､!: ',: : :l　'!　　　　　 　 　 丶､l　　　　知ってるよ。
　　　　　　　　',ﾄ､: : :ヽ__,,i ヽ: :l　　　　　　　　　　／j
　　　　　　　　　 :i: : : : : :i ',　ヽ!　　　　 　 ＿　 _　,ｲ　　　　だけど、野次馬連中にはわかるまい。
　　　　　　　　　　',!i: : : : l ヽ、 ヽ　　　 r'" 　 ∨∧;!　　　　君は命を縮めそうな勢いで説明して回る羽目になりそうだぜ。
　　　　　　　　　　　',::ﾄ;::ﾄ!　　ヽ､　　　 ｀￣二¨/
　　　　　 　 　 　 　 ﾚi ヾ!:　　　　　　 　 　 　 /
　　　　　　　　　 __f´¨ｰ--､＿　　　　　ー,--"
　　　　　　　　／: j　　　　　　 ｀¨ｰ-,､ 　,'ｰ--､_
　　　　　　 ／: : : : ｀ヽ､　 　 　 　 f´ ゝ._i　　　 L＿
　　　　 ／::｀ヽ、: : : : : : ｀ヽ､　　　i:　i　 ｀¨1i:　 ,'　 ｀ヽ



　　　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:ﾍ:.:.:.:.:＼
　 　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.: :ｉ:.:.:.ｉ:.:ﾊ:.:.:.:.､:.ヽ
　　/:.:.:.:.:.:.: :/:.:.:.:.:.:./:.:.:.:./:.:.;ｲ:. :/:∧:.:.ﾄ､:.:!:.:.:. :',｀ ､
　 ｉ:.:.:.:.:.:.:.:.:ｉ:.:.:.:.: :/:.:.:,イ:／/ イ:./　∨!　ヾｉ:.:.:. :ｉ
　 !:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:/:. :/　!'　/'　 !/　　 ﾘ　　 |:.:.ｉ: :ｌ
　　 :.:.:.:.:.:.:.: :!:.:.:.:.ｉ: :/.- ――‐ - ､　　, ― ､!: :|､:.!
　　 ',: :i.:.:.:.:.:._:.:.:.:|:/　　 ＿＿　　　　/＿　 ﾊ:.:! ヾ
　 　 ｉ:.:!:.:.:.:./ ∨:.!' :!　 ´ ﾋ:::} ｀　 　 ｉ ﾋ::}｀/' }/　　　　だからさ。
　　　!:ﾊ: : :{　 (', : :ﾄﾞ､　　　 　 　 　 :.　　 ｉ　 '
　　　 　∨:.:.ヽヾ',:.:|　　　　　　　　 　 ､　 ｌ　　　　　ナポリなり、ハーグなり、サンクトぺテルスブルグなり、
　　　　　ヽﾄ､:.:Y＾ﾍ!　　　 　 　 　 　 ノ　/　　　　　名誉という点で我々より物分かりのいい連中のところに出かけるといい。
　　　　　　　 Ⅵ　ヽ　　　　　 r― ｧ　／
　　 　 　 ＿＿_|　　 ＞.　　　　ー　 /_　　　　　　　そしてそこでピストルの腕を上げて、
　　　,. _´.:.:.:. : :!　　　　　＞...　_＿/ : ｀ヽ　　　　　　５，６年も経って気楽に帰ってこられるほどみんなから忘れられたころに
　　 / : : ｀.: : :く　　　　　 　 　 ｉ､: : : :｀:､:ﾊ　 ＿　　帰ってくるといい。どうだい、シャトー・ルノー君？
　　　: : : : : : : : :丶　　　　　　 |　 ー､ : ; : ｀:ミヽ｀:､
＿＿ : : : : : : : : :｀: ､　　　 丶　　 ヽ ; : : : :/: : : >―　､
　: : : : ｀: : : ､.:.: : : : : ＼ 　 　 　 　 ハ: : : /: :.; へ　　　ヽ
. : : : : : : : : : : 丶.:.: : : : :＼‐-　　´ 　 !:. :;: :.:/: : : :ヽ　　 ﾊ_
　　　: : : : : : : : : ＼: : : : : ヽ＿__　イ | : ｉ: :/: : : : :/　 ...: 　 ヽ



※ナポリ（イタリア）　ハーグ（スイス）　サンクトぺテルスブルグ（ロシア）

2566．

　　　　　　｀ー'´　　 ／　　　　　　ヽ　　　ヽ
　　　　　　／　　　 i　　　　　　　　　＼　ヽﾊ
　 　 　 　 |　　　 i　|　　　　 |　|､　　　 ｀　 i ヽ
　 　 　 　 |　　 ..::V:i　　　　 |　ﾘヽ　,::..　　 |　ﾊ
.　　　　 　|　　..:::::/ﾉ:i　　 i!　　i　 ' ＞､::.　､ヽ　ゞ､
　　 　 _ ｨ_,､　..:::/ｲ::ﾊ　　 |_ _.ﾉ　／_,,_ヽ　人てー´
　　　　　 iﾘ　.::ｲ::ハ-､ヽ　（　= 彳てﾘ　i /i　ﾉ
　　　　　 ヾﾊ::::ｨ:ヽ -=､ ｧ､ ＼　　'￣　 ﾊ/ /　　　　　　　ああ、僕も同意見だ。
　　　　　　｀ー ─-ヽ｀┴'　i￣　 　　 　 ﾊiﾘ　　　　　　　きまりの付かない決闘なんて本当の決闘と言えないからな。
　　　　　　　　 　 　 ヽ　　　|　　　　　　 i　|＿＿_
　　　　　　　　 　 　 　 ＼　 ｀ -─　　 ./_,,|＿ ／|
　　　　　　　　　　　　＿ .＞､　￣ ┌''￣￣　 　 .|
　　　　　　　　　　　 ﾊ　　 　∧ーイ|　|　 　　　　.|
　　　　 　 　 　 　 　 V　　 ./ ﾉ-／ |　|　　 　 　 : ＼
　　　　　　　　　　　　 V　. ﾄｲ:::::ヽ.::|　|　　　　　 :／￣￣＞-..､＿＿＿
　　　　　　　　　　_..:-:;;ﾊ　 i!::::::／V　 ＼＿＿／　　　／::::::::／　　　　 ＼
　　　　　_.....-.:::':´:::／　ﾉ／::::::i　 /／￣￣￣　　　.／::::::::／　　　　　　　　ヽ
　 　 ﾊ'´/　 /::::::::/ 　.//::::::::::::|／　　　 .＼＿＿／￣￣/　　　　　　　　　　 i
　　/　ヽ＿/:::::／￣　|.|:::::::::／　　　／　 /　　 　 　 　 /　　　　　 　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　【シャトー・ルノー】
　　　　　　　　　　　　　　　アルベールの友人。



　　　　　　 　　＿＿＿_
　　 　 　　　／　　 　 　＼
　　　　 　／　 ⌒　　⌒ 　＼　　　　　　　アルベールもそうしようと思っていたお。
　　　　／ 　 （⌒）　（⌒） 　 ＼l⌒l　　　それに、立会人になってくれて本当にうれしかったお。
　 　 　|　 　 　 （__人__）　　 　　|`''|
　　　　＼ 　 　　｀ ⌒´　　 　_／ /
　　　　　 　　 　　　　　 　　　　/

2567．

　　　　　／´.:':.:.:.:./:.:.:.:!:.:.:.: /:ﾊ:.:.:.:.ﾄ､:.:.:.: |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.丶
　 　 　 　 .:': / /:.:|:.:.: ハ:.:.:ハ! ＼:.:|　ｉ:.:.:.:ｌ:.:.:.:.:.ｉ､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
.　　　　 /: ィ:.: ｉ:.:.:!:.:./　 :.:.|　　　 ヽ!　|:.: /:.:.ｉ:.:. ｌ:.ヽ:.:ﾊ:.:.:ｉ:.:.: ｌ
　　　　/´ /:.:.:.!:.: ﾊ:.:! 　 ﾍ{ イ´￣　　ｌ:./ｉ:.:.:.ｌ:.:.:|:.:.:ヾ:.:|:.ハ:.:.:|
　　　　 　 |:.:.ﾊﾍ:.L_ヾ　 ´　 ｨﾔ::)フ　 }:'　!: ﾊ!:.:.ｌ‐､:.:.:.:.!':.:.:|:.:.ｌ
　　　　 　 |:/　 :ハ ,ミ　　 　 ゞ ´　　　 　 !':.:.:.:.:'´｀ヽ:.:.:.:.:. ' ｉ:ｌ
　　　　　　!'　 　 ヽﾊﾋ}　　　　　　　　　 　 !:.:. /｀) 丿:.:.:. /:/!'
　　　　 　 　 　 　 ヾノ　　　　 　 　 　 　 　 !:/‐' /:.:.:.:.:.:.:Ⅳ　　　　　（アルベール……）
　　　　　　　　　　　ゝ､　　　　　　　　　　　　!ーｉ:.:.:.:.:.:.:.:ｉ {
　　　　　　　　　　　 ＼ ､ _＿　　　 　 　 　 /:.　|:.ﾊ:.:.:.:.:.!　　　　　では、失敬。
　　　　　　　　 　 　 　 ヽ ー　｀　　　　　 . : : ｉ　}:'　＼Ⅳ
.　　　　　　　　 　 　 　 　 ､　　　　　 イ: : : :. ｌ　 　 　 ｀ヾ
　　　　　　　　　 　 　 　 　 ー‐　´ﾍ: : : : : :　ｌ　　　　　　 ＞‐-､
　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ゝ: : : :　 ｌ　　 　 ...:.:´:.:.:.:.:.:.:.＞‐
　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 _..ィヽ: :　　! 　 ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:´:.:.:.:.:
　　　　　　　　　　　 　 　 　 _..:.:´{:.:./: :.}　　　.イ:.:.:.:.:.:.:.イ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
　　　　　　　　　　　,....－:.:.:.:.:.:.:.:.ｉ:.:.ゞ __ .才´:.:.:.:.:.:.:.´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:




　　　　　　　　　　　　　　　 |　　 　 ＿,.. 　＿ //　　 /
　　　　　　　　　　　　　 (ｰ'ノ＞＜　　　　　 /_r､i＼/
　　　　　　　　　　　　　≦ン　　／≧ ､　 　ヾﾋi7〉 ヽ__,
　　　　　　　　　　　　　　`T,ィ　{　でラゞヾｰ-〉_/_,／t'′
　　　　　　　　　　　　　 　〈 ヾ､ｰ'´　￣　 ﾉノ='ｲｿﾉﾘﾉ
　　　　　　 　 　 　 　 　 ,r(（ ﾘ ',　　　　　　l　 / ´　　　　（このまま話を続けると、かえって気まずいだろうな）
　　　　　　　　　　　　　 |　`ヾ､ ＼　　-- ´ ／、
　　　　　　　　　　　　　/　　　　 ｌﾄ＼ __ .イ r} |　　　　　　失敬するぜ。
　　　　　　　　　　　_／ 丶 　 　 ||　｀フヽ,ﾄ､||｜
　　　　　　　　, ＜　＼　　　ヽ　 ||　∧　 lヽ,||/｀ヽ ､_
　　　　_ , ＜　　　ヽ 　＼　　　,> |,/ 　〉-{　||、　 }　 l` ｰ-､
　 　 /　　｀＼ヽ　 　＼ 　ヽニ"／ ＼ |　 ∨`ヾ､ |　 |　 ||　l
　　｜　　　　 ヽヽ-ニへ　/ ＜ 　 　 ＼　/　　／､／ﾆ'/,　 |
　　/　　　　　　 l 厂　　 ヽヽ 　｀ 丶 ､ `/　／　＿ｌｌ 　　|　｜
　 /　　　　　　　 |l　　　　 ヽヽ 　 　 　 Yo´　 ‘ｰ--’ 　 |　｜
　〈　　　　　　　　|　　　　 　| |　 　　 　 | 　 　　 //　　　|　 |

2568．


　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　,. -'"´　　　　　　｀¨ー ､
　　　　　　　　 　 ／　　　　　　　　　　　　ヽ　ヽ、
　　　　　　　 ,,.-'"　　 　　　　　　　,,.-'"｀　　　　　ヽ、
　　　　　　/　　　 　 　　､＿_,,.-='､':'"　　　　　　　　ヽ、
　　　　　　i へ＿__, 　　　"　ﾞ.ﾞ､;;;;::',ﾉ 　　　　　　　　　　 ヽ
　　　　　 ./　i ﾞ:;;;;;,:〉　　　　　｀''''''"　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　/ .　ﾞｰ-''"　　　　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　i　　　　　……失敬！
　　　　 /　　　 i　　　人　　　　 ノ　　　　　　　　　　　　　　　l
　　　　,'　　　　 ' ,_,,ノ　 `─-‐' ヽ　　　　　　　　　　　　　　　/
　　　　i　　　　　　｀､　 _y──‐ l　　　　　　　　　　　　　 　 /
　　　　',　　　　　　　ｉ_/　 / ＿ '　　　　　　　　　　　　　 ／
　　　　 ヽ、　　　　　　￣￣　　　　　　　　　　　　　　　/
　　　　　　ヽ､_　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／
　　　　　　　　 ｀¨i　　　　　　 　　　　　　　　　 　 　 ヽ
　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ヽ
　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ

2569．

【アルベール視点：モルセール邸前】

　　　　　 ＿＿__
　　　　／ヽ 　／＼
　　 ／（●）　（●）丶
　 /::⌒（__人__）⌒:::uヽ　　　　……！
　 l　　　 |r┬-|　　 　 l　　　　（父ちゃんが寝室のカーテンの影にいるお？）
　 ＼　　 `ー'´　　　／
　　/　　　　　　　　 ヽ
　　し､　　　　　　 ﾄ､ﾉ
　　　 |　　　_　 　 l
　　　 !___/´　ヽ___l




　　　　　┃|
　　　　　┃|
　　　　　┃|￣￣￣＼
　　　　　┃| ⌒　　⌒ ＼　　　　　　　……
　　　　　┃|(● ） 　(● ）＼
　　　　　┃|　 　__´___　　　|
　　　　　┃|　　 `ー'´ 　／
　　　　　┃|　　　　　 ／
　　　　　┃|｛ヽ,__　　 ）
　　　　　【モルセール（フェルナン）】
エドモン・ダンテスの仇敵の一人。アルベールの父。

2570．


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｽﾀｽﾀ
　　　ー　　　　　　 _-─―─- ､._
　　　　　　　　 ,-"´ 　 　　　 　　 ＼
　　　　　　　　/ 　 　 　 　　　　　 　ヽ
　 　 　ー　 / 　　　　　　＿／::::::＼_ヽ　　　　　　　　……。
　　　　　　　|　　　　　　　　　::::::::::::::　 ヽ
　 　　　　 　l　　u　　　 （　ー)::::::::::( ー)
　　　ー　　` ､　　　　　　　 （__人_）　 /
　　　　　　　　　`ｰ,､_　　　　　　 　　／
　　　　　　　　　／　　`''ｰ─‐─''"´＼

2571．

＜＜部屋に帰ると、アルベールは身辺整理を始めた＞＞

　　　　　　　　 ／￣￣￣＼
　　 　 　 　 ／　　　　　　　 ＼
　　　　　　/　　 ─　　　─　　ヽ
　　　　 　 |　　 （●） 　（●）　　|
　　　　　　＼　　 （__人__）　__,／
　 　 　 　 ／　 　 　 　 　 　 ＼　　　　　　　母ちゃんの肖像画だけは持っていくお。
　　　　 　 |￣￣￣￣￣￣￣￣|　　ﾄﾝ　　　（額縁から外す）
　　　　 （,,)　　　　　　　　　　　(,,）_
　 　 　 　|　　　　　　　　　　　　|　
　 　　 　 |　　　　　　　　　　　　|　



　　　　　　　 ／￣￣￣＼
　 　 　 　 ／　　　　　　　 ＼
　　　　　/　 ─　　　─　　　ヽ　　　　　　えーと、この宝石も引き出しの中に入れて、と。
　　　 　 |　 （●） 　（●）　　　|　　　　　（残していく私物の目録を書く）
　　　　　＼　 （__人__） 　 __,／
　　　　　／　　｀ ⌒´　　　　＼
　　　＿/((┃))＿＿＿＿_＿i　|　ｷｭｯｷｭｯ ｷｭｯ
..　／ /ヽ,,⌒) ￣￣￣￣￣（,,ノ ＼
／　 /＿＿＿＿＿＿＿＿＿ヽ.. 　＼
.￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣

2572．

　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ＿
　　　|　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　｀,
　　　|　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　　　|
　　　|　　 　 l　| | |　 　|　 　 !　 　 　 　 i　ｌ
　　　|　 /　 j　j j .l　　 |　|　 |　 　 　　　|　l
　　　| ./　 // l j　|　　 |　|　 l　 i　i　　　|　ｌ
　　　|/　 // //l /　　 j i ｈ　l　 |　|　 　 li　l
　　　|＿// // j/　　 /ハ| |/l＿|　|　 　 |l　l
　　　| （_jヽ＿/ |　　//__-＜ |　|　j　 　 |.|　l　　　　　旦那様……
　　　|:::::::j /　　l　 ./ 7｡（ノj ｖ　|　ｌ　　　| l　|　　　　入ってはならぬというお申し付けでしたが、
　　　|辷ﾉ/　　 |　/　|::::::::://l ./　ｊ　 　 j |　j　　　　大旦那様からお召しがございましたので。
　　　|￣ 　　　 lノ 　弋zツ/ j/　/ 　　/　j /
　　　|　　　　　　 　 　 ￣ 　/'ｌ /|　　/　 ﾚ'
　　　|　　　　 　 ´　　 　 　/　ﾚ .j　 /
　　　|　 　 　 -　　　　 , イ　 　 /／
　　　| ＼ _　　 ＿, -‐ハ |
　　　|　　　￣/＼V_V　 V
　　　|-､　　　!　　ヽ ＼
　　　|-,i　　　　　／　ノ＼
　　　|　|ヽ--―´　／　 　 ＼
　　　【フロランタン】
　　　アルベールの召使。




.　　　　 　 　／￣￣￣＼
.　 　 　 　／　─　 　 ─ ＼
　　　　　/　　（●） 　（●）　ヽ　　　　……それで？
. 　　　　|　　　　（__人__）　 　 |
　　　 　 ＼　　　｀ ⌒´　 __,／
　　　　　／　　　　　　　　　＼
　　　＿/((┃))＿＿＿＿_＿i　|
..　／ /ヽ,,⌒) ￣￣￣￣￣（,,ノ ＼
／　 /＿＿＿＿＿＿＿＿＿ヽ.. 　＼

2573．

　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 l
　　　,'　　　　　　　　　 l　　　　　　　　　　　　 　　|
　　 ,' 　　　l　　i　 | 　 i |　　 　 i　|　　|　　| |　 　 |
　　,' /　　 l 　 .|　 |　 .| |i　　　i |　|　　| 　 | |　　　|
　　| il　　| |　　|　 il　 | l |　　 .| lﾊ.l 　 | 　 | |　　　|i
　　| l|　　| |　　l―ﾊ　|lﾊ i.　　,ﾊl ﾘ-―ｌ. 　| |　　　| i
　　| ﾊ 　 ヽ　ｌ　|ｒ T￣T ||ヾ　| 'T￣｀ｊヽｌ　| |　　 ∧.l　　　　決闘場でのことですが……
　　V　|　i　V､　|ヽl-'::: | ﾘ　l　!　|-'::: | /ｌ　|/　　 ｌ　ｌ|
　　　　',　l | l ヾ.| 弋辷ｊ　　 ヽl. 弋辷ｊ/ /V　　　j　 ﾘ
　　　　 ', |V'iヽ__',　　　　　　,　　　　　 /ノ　 /| /
　　　　　v　.|　 l ヽ、　　　 ＿ _　　　ノ i　ｌ / ﾘ
　　　　　　　VVヽ　i＼　　　　　　 イ　/ /V
　　　　　　　　 　 ヽ|V,ri｀ ｰ--‐´　|VVv'
　　　　　　　　　　　 /　l 　　 　　　|∧
　　　　　　　　　 ／/ 　 ＼　　　／　 l＼




　　 　 　 　 ＿＿__
　 　 　 　／　　 　 ＼
.　　 　／　　　　　　　＼
.　　／　／）　ノ ' 　ヽ､　＼　　　　　ありのまま、申し上げていいお。
　　|　／ .ｲ '（ー）　（ー）　u|
.　　 /,'才.ﾐ).　（__人__）　 ／
.　　 |　≧ｼ'　　｀ ⌒´ 　 ＼
　／＼　ヽ 　　　　　　　　　ヽ

2574．

【アルベール視点：召使いが出て行ったしばらく後】

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾋﾋｰﾝ

　　 　 　 　 　 ／￣￣￣＼
　　 　 　 　 ／　─　 　 ─ ＼
　　　 　　 /　　（●） 　（●）　ヽ
　 　 　 　 |　　　　（__人__）　 　 |
　 　 　 　 ＼　　　｀ ⌒´　 __,／　　　　　　よし、目録ができたお。ん？
　 　 　 　 ／　 　 　 　 　 　 ＼
　　　　 　 |￣￣￣￣￣￣￣￣|　　ﾄﾝ
　　　　_（,,)　　　　　　　　　　　(,,）_
　 　 ／ 　|　　　　　　　　　　　　|　 ＼
　 ／　 　 |_＿＿＿＿＿＿＿__」　　　＼




　　　　　　　　　　 _-─―─- ､._
　　　　　　　　 ,-"´ 　 　　　 　　 ＼
　　　　　　　　/ 　 　 　 　　　　　 　ヽ　　　　　父ちゃんが馬車で出かけて行ったみたいだお……
　 　 　　　　 / 　　　　　　＿／::::::＼_ヽ
　　　　　　　|　　　　　　　　　::::::::::::::　 ヽ
　 　　　　 　l　　u　　　 （　●)::::::::::( ●)
　　　　　　　` ､　　　　　　　 （__人_）　 /
　　　　　　　　　`ｰ,､_　　　　　　 　　／
　　　　　　　　　／　　`''ｰ─‐─''"´＼

2575．

【アルベール視点：メルセデスの寝室】

　　　　／||ミ
　　 ／ ::::||
　／:::::::::::||＿＿＿＿
　|:::::::::::::::||　　　　　 || ｶﾞﾁｬ
　|:::::::::::::::||　　　　　 ||
　|:::::::::::::::||　　　　　 ||
　|:::::::::::::::||￣￣＼　||
　|:::::::::::::::|| ノ　 ヽ_＼　　　　　　　　母ちゃん……
　|:::::::::::::::||●)　(●) ＼
　|:::::::::::::::|| (_人_)　　　 |
　|:::::::::::::::||_＿＿　　 ／
　|::::::::::::::(___＿＿ノ´||
　|::::::::::::::(_ノ ／ . . . ||
　|:::::::::::::::||／　　　　||
　|:::::::::::::::||　　　　　 ||
　＼:::::::::::||￣￣￣￣
　　 ＼ ::::||
　　　　＼||




./::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／/::::/l:::::::::l
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;::､''"´　/::／ .|:::::::::l
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ／__ 　｀''>／　　 l:::::::::/.
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/_,,, -ｫ-,,_ ､" ｀'　　 /:::::::/
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l　'　/;;;;;;o `　　　　/,/;;::::/
l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l 　｀ャ:::ノ　　　　.,,,_/:///
ヽ::::::::::::::::::::::::::::i:::::;::::::::::::::::ﾊ:|　　　 　　　　/ﾉ／.／
　l:::::::::::::::i::/l::::ハ:lヽ:::::::::::::l　l|　　　　　　　　l."
.　l:::::::::／l/　l/　.ヽ ヽ::::::::::|　｀　　　　　 　　 l　　　　　（宝石や衣類をきちんとしまい、鍵を整理している）
　 ﾘ:／　　　　　　　　　ヽ:::::l 　　　　　　　 ｨ´
　 ノ　　　　　　　　　　　　ヽl　　　｀ ､ ,_ ／_,,
／　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　　／／　_　｀ ー--ｭ＿＿＿＿___,,,,
;,　　　　　　　　　　 　　 ﾝ ､　　　 ／‐‐ ''' "　ヽ､―‐‐"　　_.,,, ｬ----┘
:::ヽ.　　　　　　　　 　, ´　 　　＞"/　--―‐‐ｭ　 ヽ--ｯ‐''"
:::::::ヽ　　　　　　　　/　　　 （__,,/　,,　_,,, -‐,　 ',　　y´.
:::::::::::ヽ　　　　　　/;::ヽ　　　　/　　´　　 ,,　ヽ　lﾍ　 ､
::::::::::::::ヽ　　　 　 i ヽ::::::ヽ 　 /　　　　 イi｀ /　/　｀''
:::::::::::::::::ヽ ,,_　　　｀ ヽ:::::::::::y　　　　　 ハ ハ_.l
　　　　　　　　　　　【メルセデス】
モルセール（フェルナン）の妻。エドモン・ダンテスの元婚約者。

2576．


　 　 　 　 　　／￣￣￣＼
　　　　　　 ／⌒　 　 ⌒ 　＼
　　　　　　/ （⌒） 　（⌒）　　ヽ
　　　　 　 |::o'ﾟ~（_人__）~o°　|
　　　,ｨＴl'ヽ＼　 `ー´　　ﾟ　／｀ヽｰ;、　　　　母ちゃん！
　 　 kﾋﾋど,　　 　 　 　 　　{⌒Yｨ ､ ｿ
　　　 　 ｀´￣ヽ　　　　　　ﾊヽ ｀^ｰ′
　　　 　 　 　 　ヽ 　　｀　/　 '}
　　　　　 　 　 　 >　　　/ごノ
　　　　　 　 __,∠ 　 　 /　　　　ｷｭﾑｷｭﾑ
　　　　　　〈、 　　　／
　　　　　　　＼､__ノ




　　　　　　 　 　 　 /.::::::::::::::::::::.: | ::::::.:{:::::::::.:.:.::.:.:.:.:...:.:.::.:.:.:.:.: ..:.:.:.: .:.ヽ:.:.:.',
.　　　　　 　 　 　 /.::::／.::/ .:::.:/'| ::::.:ハ::::.: ﾄ､:.::.:.:.:.:.:..:.:.:.: .:.:.:.:.:.:..:. :.:.:.:.:.:.:.'
　　　　　　 　 　 /.::〃 .::/..::.:.:/　! :::/　 '::::.:.|　＼:.:.::.:.:.:.:.:.. :.::.:.:.:.:.:. .:.:.:.:.:.:.:.i
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　　　　　　　　　|::::: {::::.:.: |ヾ　ﾄ::::ﾟ! 　 　 　 　 　 '::::::(_,ﾄ､｣ :.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.`ﾄ､
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　　　　 　 　 　 {:::: {:::.ヽ::.ﾍ 　　　　　　　　　　ﾞｰ-'′/.:.:.:.:.:.:.:.:.:ﾘ.:.:.:.:.:.:.: ﾘ
.　　　　 　 　 　 ＼ﾊ:::.:. ＼　 　 　 ,′　　　　　 　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.从.:.:.:.:.:/.:,′　　　　アルベール！
　　　　　　　　　　　ヽ、::八　　 　 丶　 　 　 　　　.ノｲ.:.:.:.:.:.::ｲ:::::::.:.:.:/.:/
　　　　　　　　　　　　 ＼　ヽ　　　 　 　　 　 　 　 　 /.:.:.:／.::ﾉ::::::.:.;ノ:ノ
　　　　　　　　　　　　　　 　 ＼　　 ‐＝-　 　 　 　ノ　イ:::::;;::::::::::.／´　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼　 　　　　　 　　　 .　'ﾞ　| 从／
.　　　　　　　 r‐- ､　　　 　 　　　.＼. 　.　_,.　　 　´　　　 |/
.　　　　 　 　 { ヽ　 ｀¨フ　 　 　 　 r::┤ 　 　 　 　 　 　 |‐-､
　 　 　 　 　 _}__,｣｀二　 /⌒,　　／.:::::|　　　　　 　 　 　 |:::::::.＼
　　 　 　 　 ｛　 ＿／＼{　 ｛ ／ .::::／| 　 　 　 　 　 　 /.::::::::::::..＼
　　　　　 　 厂　 　 ＼　ヽ　':::::::::/　丿　　　　 　 　 ／..:::::::::::::::::::...ヽ

2577．


　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＿＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　 ／ 　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　／ 　 　 ＼,　 　 　 ,／ 　 　 ＼
　 　 　 　 　 　 　 　 ／　　／´　 ｀ヽ　　　/´　 ｀ヽ　　＼　　　　　母ちゃん……アルベールはこの家を出て行くんですお！
　　　　　　　　　　／ 　 　（　　　● l 　 　l ●　　　） 　 　＼
　　　　　　　　　　|　　　　 ヽ_　 　_ノ　　　ヽ_　　_ノ　　　　　|
　　　　　　　　　　|　　　 ''"⌒'（　　　　i　　　　）'⌒"'　 　 　|
　　　　　　　　　　 ＼　 　 　 　｀┌,─'＾ー,,-┤　　　　 　 ／
　　　　　　　　　　　　＼　　　　　｀ー -- -一'　　　　　／
　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　／￣￣ヽ;　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　 　（｢　　　 ｀rﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　ヽ　　　ノ　　　　　　　　　　　　　　i　　　|
　　　　　　　　　　　i´￣￣｀i　　　　 　 　 　 　 　　　　l　　　|




　　　　　　　　　 .／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
　　　 　 　 　 .／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:, ィﾈ､:.:.:.::.: : :.:.:.:ヽ
　　　　　　 ／/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／.　　　.ヽ:.:.:.:.: :.:.:.:.:.:',
　 　 　 　 　 .l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : :.:.:.:.:.:.／　　　　　　.ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,
　　　　　　　 l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／　　　　　　 ＿__ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:,
　　　　 　 　 |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : :/'"´￣｀_　　　´,ｨ　　｀､:.:.:.:',:.: :i
　 　 　 　 　 .V:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l　,ィ=＝ミ　　　 ｨｼ､-､ .',: : :l:.: :|
　　　　　　 　 ﾄ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : :|ｲ!.l{:::::ﾘ　　　　´l{:::l! i!'./:.:.:/.'.l |
　　　 　 　 　 .l.V:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l:.:', ヽヾｼ.　　　 　 `''" ´/:.:.:/　〃
　　 　 　 　 　 l..|:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : :l:.l＼､　　　　　　　　　 　/:.:.:/
　　 　 　 　 　 .l.l:.ﾉV:.:.:.:.:.:.:.:.:| ヽ　ヽ　　　　　　＿.,　〃:/
　　　　　　　　 //　l|:.:.: :/∧:.',ヽ､　　　　ヽ,-‐' .y'　 ././　　　　　わたしも、この家を出ていきます。
　　　　　　　 〃　　 /:.:/:.:.:/＼､　＞ ､　　 ＼／　／./　　　　　　　あなたも一緒に来てくれるかしら？
　　　　　　　　　　　/:/',:.:/　　 .ヽ　　　,＞　､ _.／.／
　　　　　　.,..:-／l　'/　 '.,　　 　 　 　 /_
　　　　..／:::::(:::::::',　　　　＼　　　　　|', 　ヽ､
　　　／:::::::::::ヽ:::: :',　　　　　＼　　　 l ヽ　　 .ヽ
　 ／､::::::::::::::::::ヽ: :::'.,　　　　　　＞､　',　',　　　　＼

2578．

　　　　　 ＿＿__
　　　　／ヽ 　／＼
　　 ／（●）　（●）丶　　　　母ちゃんにはそんな苦労はしてもらいたくないですお。
　 /::⌒（__人__）⌒:::uヽ　　　母ちゃん、アルベールはこれから名前も財産もなしに暮らしますお。
　 l　　　 |r┬-|　　 　 l　　　そういう暮らしでは自分で稼げるまではパンを借りなければなりませんお。
　 ＼　　 `ー'´　　　／　　　それで、今からフランツのところに行ってお金を貸してもらおうと思いますお。
　　/　　　　　　　　 ヽ
　　し､　　　　　　 ﾄ､ﾉ
　　　 |　　　_　 　 l
　　　 !___/´　ヽ___l




　　　　　　　　　　　　　　　,-‐''""´￣￣￣ ｀"''
　　　　　　　　　　　　　／. . : . : : . : : . : : . : : : . : :｀ ､
　　　　　　　　　　　　/. . : . : : . : : . : : . : : : . : : . : . : : ､
　　　　　　　　　　　/ : : , ' : : / : : : ,' : :,' ,' : i : :,',: : ,; : : ヽ
.　　　　　　　　　　/ : : / : : / : : : / : : /./ :/! : ハ : :i : : : :',
.　 　 　　　　　　　! : :/ : : :/ : : : / : : /./!:/ | : l|　l : :l : : : : ',.
.　　　　　 　 　 　 | : :! : : : ! : : : ,'! : :/./ |/　.| :|!　! : :i : : : : :.!
.　　　　　 　 　 　 | : :| : : : | : : : .!|__/,/　|!　 .| ﾘ|　| : | : : : : ,'
.　　　　　 　 　 　 ! ,r| : : : |、_'"丁/￣｀　 　 !,'十ｧ!､ | : : : :.,'
　　　　　　　　　　|..! | : : : | ,rｆj￣ヾ､ 　 　　　　|ﾑ」_:ﾘ! : : :,'
　　　　　　　　　　| ﾄ.| : : : K {| ::::::ﾘ　 　　 　 ,ｲ}:::::::ﾊ,! : :/'
　 　 　 　 　 　 　 V ﾊ: : : |　 ゛ｰ ''　　　 　 　 K.__,/ } : :/　　　　あなたが貧しい暮らしをするなんて！
　　　　　　 　 　 　 V .| : : ﾄ . 　 　__ 　 ,.　　 ｀""　/: /　　　　　そんなことは言わないで。
.　　　　　　　　　　　V.ﾊ : :|:::＼ ／　 ＼　　 　 　/: /　　　　　　お母さんの決心がすっかりくじけてしまいそうよ。
　　　　　 　　　　　　 ﾘハﾊヽ／　／~＼ ヽ‐､_,. イ／
　　 　　　　　　　＿＿＿__,.ｨ|　イ　,.へ　`＜　ヽr‐ｧ―=‐､
　 　 　 　 　 ,/´ ＼:.:.ヽ;;;;;;;;ﾊ　 イ　,､〆｀`'ｰ　/;;/.:/　　 ﾍ
.　　 　 　 　 /　　 　 ﾍ:.:|;i;;;;;;;ﾊ　　　∨￣　　 /;;/.:/　/　　ﾊ
.　　　　　　 i　　　 　 ∧:!;!;;;;;;|:}　　　|!　　 　 /;;;;!:/／　　 　 i
　　　　　　 .|!　　　　　∧l;|;;;;;;|,'　　　|!　　　 〈 ;;;ﾚ　　　 　 　 |

2579．

　　　　　　　　　　　＊　　＿＿＿＿＿__
　　　　／￣|　　+　　　／　　　　　　　 　ヽ　　　+
　　　 ｜　::｜　　　 ／⌒　 　　　　 ⌒ 　　＼　　　　　　　大丈夫ですお！アルベールは若くて強いんですお。
　　　 ｜　::｜x　　/ （ ●）　　　　（ ●）　　　|　 .人
　 ,―　　　　＼ 　 | ::::::⌒（__人__）⌒::::: 　 　 |　 ｀Ｙ´　　　世の中には、ずいぶん大きな苦しみを経験し、
　| ＿＿_） 　::｜　.!　　　　 l/ﾆﾆ|　　　　　　/　　　　　　　　天からのあらゆる幸福の約束が崩れ落ち、
　| ＿＿_） 　::｜＋ヽ　　　 `ｰ‐' 　　　　　/　　　　　十　　　神様からのあらゆる希望の滅び去ったその後に、
　| ＿＿_） 　::｜ 　　.＞　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　立派に新しい運命を築き上げた人がいるんですお。
　ヽ＿＿）＿／　　 /　　　　 　 　 　 　 　 　 ＼



　　　　　　　　 　 　 　 ＿＿＿
　　　　　　　　　　　 ／＼　 ／＼
　　　　　　　　 　 ／ (●)　 ( ● )＼
　　　　　　　　　/:.　　　(__人__,)　　　ヽ
　　　　　　　　 /::::...　　　　　　　　　　|　　　　　アルベールは、その人がいったん敵に深淵に投げ込まれながら、
　　　　　　　 　|::::::::::....　　　　　　　　/　　　　　力強く光栄を担って立ち上がり、
　　　　　　　　　ヽ:::::::::::::::....,,,ｨ-ｲ￣´|_　　　　　かつての勝利者だった敵を叩き倒し、
　　　　　　　　 　/　;;ｨ"ﾌ´／　　(;/＼,,＼　　　逆に深淵に突き落としてやったことを知ったんですお。
　　　　　　　　／ヾイ´〉Ｙ /　　　 ,i人 .ヽ ゝ、　
　　　　　　　 (ヽﾉ　　 / ,,/,,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;〈Ｘ,,;;""ヽ,
　　　　　　　　ヾ(　,,,;;;((　ﾉﾉ"　　　　;ﾍ,,〈_,　,ノ
　　　 　 　 　 〈ｲ 〉""(ヽ　　,;;;／￣￣＼〉
　　　　　 　 　 Ｙ/　 　ゞヽ　,ﾉ　　　　　　>
　　　　 　 　 　,〈______;;λイ＼　　 ,,,;;;;;;;;ゞ‐┐
　　　 　　　 　 ∨　 ;;;;;;;ｿi⌒ ゝ‐""　　;;;;;;;;;;〈
　　　　　　　　 └r,;;;イ'"">　　 〉;;;＞∠ー｀く
　　　　　　　　　_,,ゝ-ゝへ〈,,,,,,,,,,｝;;;;　　　""""＼
　　　　,,,,;;;;;;;;;;;;;（::::::;;;;:::::;;;;;」;;;;;;;;;(;;___ 　　 　 　___）;;;;
　　　""""""""'''''''':::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;''''''""￣

2580．

　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＿＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　 ／ 　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　／ 　 　 ＼,　 　 　 ,／ 　 　 ＼　　　　　　だから、アルベールは過去と決別しますお。
　 　 　 　 　 　 　 　 ／　　／´　 ｀ヽ　　　/´　 ｀ヽ　　＼
　　　　　　　　　　／ 　 　（　　　● l 　 　l ●　　　） 　 　＼
　　　　　　　　　　|　　　　 ヽ_　 　_ノ　　　ヽ_　　_ノ　　　　　|　　　　過去からは何も受けたくないんですお。
　　　　　　　　　　|　　　 ''"⌒'（　　　　i　　　　）'⌒"'　 　 　|
　　　　　　　　　　 ＼　 　 　 　｀┌,─'＾ー,,-┤　　　　 　 ／　　　　母ちゃん、アルベールは、他人の前で
　　　　　　　　　　　　＼　　　　　｀ー -- -一'　　　　　／　　　　　　顔を赤らめなくてはならないような
　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　男の名前を持っているわけにはいきませんお。
　　　　　　　　　　　／￣￣ヽ;　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　 　（｢　　　 ｀rﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　ヽ　　　ノ　　　　　　　　　　　　　　i　　　|
　　　　　　　　　　　i´￣￣｀i　　　　 　 　 　 　 　　　　l　　　|




　　 　　　　　　　　　 -‐ '´￣￣｀ヽ､
　　 　 　 　 　 　 ／　／" ｀ヽ ヽ　　＼
　　　　　　　　　//, '/　　　　　ヽﾊ 　､　ヽ
　　　　　　　　 〃 {_{　⌒　　 ⌒ ﾘ| ｌ │ |　　　　アルベール、私がもっと強い心を持っていれば、
　　　　　　　　 ﾚ!小ｌ（ ⌒）　（⌒）从　|、|　　　　それは私からすすめたかったことなのよ。
　　　　　　　　　ﾚ　　　　 ､_,､_,　　　 |ﾉ /　　　　　わたしのお父様の名前、エレラと名乗るといいわ。
　　　 　 　 　 　 ヾ.ｿ、　 ゝ._）　 　j /／
　　　　　　 　 　 　 ヾヘ,､ __ ,　イ ／
　　　　　　　　 ｒ ヽヽ::::::|ヽ`ー'´,1ｰ:::::ヽ、
　　　　　　　　 {　 Ｖ:::::::::∨yヽ/::::::::::／,1
　　　　　　　　 |ノ''::"::::::::::ヽ／::::::::::: r" /

2581．

　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ﾍ
　　　　　　＿＿＿_　　　　　　/ /
　　　　 ／＼　　／＼　　　／ /
　　　／（ ⌒） 　（⌒）＼／　 /
　 ／ :::::⌒（__人__）⌒:::::＼ /　　　　わかりましたお。
　 |　　　　　|r┬-| 　 　 　 |　　　　『モルセール伯爵』はどこかにお出かけになりましたお。
　 ＼ 　 　　｀ ー'´ 　 　 ／　　　　今のうちに出かけますお！
　　／　　　　　　　　　 ＼
　/　　　　　　　　　　　 　＼
/　　／＼　　　　　　　 　 　ヽ
　／　　　＼　　　　　 　　 　ﾉ
U　　　　　　ヽ　　　 　　 　ノ




　　　　 　 　 　 　　/::::/:::::::;':::/::::::::::::::::; ' .,'!::::::::;::::::::!::i:::::::::::::::::::::::::',　　　っ
　　　　　　　　　　/::::/:::::::::!::/!:::::;＿_:/ ._,,/:::::::;'i:::::::ii:ii:::::::::::::::::::::::::::i　　　 っ
　　　　　　　　　 ,'::::/:::::::::::i::i´!::::/ i:::;'￣ /::::,::;' i:::::/ i!i::::::i::::::i:::::::::::::|　　 　 っ
　　　　　　　　　,'::::,':::,:::::::::i';i　';::i.‐i::i-.　/:; ',';' ,'::::;'ゝ､i:::::/!::::i::::::::::::::|
　　　　　　　　　i::::;::::,::::::::::! '　 ゛' 　';!　〃　,',..'::, ' 　 ,'::X .;:::;'!::::::::::::::|
　　　　　　　　　i::,':::::i:::::::::|―‐- ､　　 '　　,..'.／ 　.,..'; '　/::/.i:::::::::::::::!
　　　　　　　　　|:i::::::i!::::::::i　　　　ヽ　　　　　　　　"　,,. '／ﾝ:::::::i::::::::i
　　　　　　　　　|:i:::::ii::::::i:::!　 　　　　　　　　　＿＿_　　 , ' i:::::::i:::::::;　　　　　ええ。
　　　　　　　　　|:i;::::ii';::::i';:i､　　　　　　　　　　　　　 ｀ヽ./　,':::::::i::::::;'
　　　　　　　　　';:.';:::', ';::',';:丶　　 ,-　_　　　　　　　 　 　 .,'::,:::::,:::;';'
　　　　　　　　　 '; ' ;::', ';::, ';:|＼　 !　 　￣ﾌ　　　　 ,,　　 ,.'::;'i::::::::;''
　　　　,,　'' ￣,,￣　 ＼､ ''､＼　＼　ー-_"_　　 _''_., - , ':; ' ,.':::::; '
　　 ／　　　　　ヽ､　　i｀　　　ヽ､　゛ / ,＿　＼　　,_ '.／ヽ,.'::::;''
　 ./　　　　　　　　i　 ,,!-‐――-｀､-ﾚ'/＿｀_　 ヽ　 　　,..'::,.<

2582．

【アルベール視点：屋敷の外】


　　　　　　　　　　　　 　　　　 ＿＿ ＿
　　　_,rｰく´＼　 , --､　　　／⌒　　⌒ ＼
　,-く ヽ.＼ ヽ Y´　／ 　 ／（●）　 （●）　＼　　　　　（馬車を連れてきた）
　{　-!　l _｣_ﾉ‐′/ 　 ／ 　 　（__人__）　　　 ＼　　　　御者さん、こっちですお。ここで待ってて欲しいですお。
　ヽ　ﾞｰ'´ ヽ　　/　 　|　 　 　. `Y⌒y'´　　　 　|
　　ゝ、　　ﾉ_ イ　　　 ＼ 　 　 ゛ー ′　　　,／
　　　 ヽ　　 　 |　　　 　/　　　　ー‐ 　 　 ヽ




　　　　　　 ー＝ニ二;;;ィ.. .　.:: ..:: .: .:::::::::::　: .: . :. ::. :.丶
　　　　　　　　　　　 ／...:: .:::.:　.: ..:　.::::::::::..:.. ::..::..: ::::::::::ヽ
.　　　　　　　　　　 /:::::::::::::::::...::..::::::::::;: ::: :::::..::::::::::::::::::::::::;'､
　　　　　　　　　　/::;/ .:_;;:::::::::i:::::::! . ﾊ: : :i;:::l:::::::;::::;:::::::: ::',｀`
　　　　　　　　　 /:/{:.:;ｲ} l,::::::ﾊ:::::ｌ .:l　';..::ﾊハ:::ﾊ:/}::::::::.: :',
　　　　　　　 　 //. ∨ !l !{::::::l-ヽﾊ::{　 l:::l-;ﾆl/ﾆ}7: :: :l::::::::',
　 　 　 　 　 　 l/　 / /,',','::::ﾄlTﾌTl::l　´l::lｲ-'´ｊ_'/:　. :ｊ;::l:::ﾄヽ
　　　　　　　　　　 / ///ﾊ::､ヽ´￣ ﾘ,　 l/ ´￣ /:ノ.::::ｊﾉ:ﾊ:l
　　　　　　　　　　,'　 ノ/ ｊ:::::T`　 　 ,　　　　　"7::.:: ./::;' .ﾞl　　　　　アルベール様。
　　　　　　　　　 /　　, {　!ﾊ:::ﾄ､　　_,,..,,.._　　　 l::/::::l;::/　　　　　　伯爵からのお手紙です。
　　　　 　 　 　 /　　 !　 .{　}::! l;へ　－　　　 .イﾍ:::/l/
　　　　　 　 ,,.../_　　 }　 ﾉ　i/. '　{-ヽ __ ∠ﾆ‐'´ l`′
　　　　　　 /　　 ｀丶､ /　　　 __」　ﾄ､i | 「,ィ　　 {､_
　　　　　　/　　　　　　ヽ,,..-''"　 ＼ゝ.!.| | } > ／　 ｀ ‐- _
　　　　　 ,'　　　　　　　 /　　　　　　ヽl」」_,　'　　　　　　　｀ ‐- ､_
　　　 　 ｒ}　　　　　　　/__　へ　　　 ／　ヽ　　　　,へ　　　　　　　｀ ‐- ､_
　　 　　 iｊ.　　　　　　 /　　　｜　 ／　　　 ヽ　　 /　　` ー-　､_
　　　　 /　　　　　　 /　 _,,.. -l ／　　　　　　＼ /　　　　　　　　｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　【ベルツッチオ】
　　　　　　　　　　　　　　　　伯爵の家令。

2583・

　　　　　 ／　　　　 ＼
　　　　／　　 ⌒　　⌒＼
　　 ／　　 （ ⌒） 　（⌒）＼
　　 i 　::::::⌒ （__人__） ⌒:: i　　　　あ、どうも……
　　　ヽ、　　　 `ー '　　 ／
　　　 　/　　　　　┌─┐
　　　 　i　　 丶　ヽ{ .　 }ヽ
　　　 　ｒ 　 　 ヽ、__)一(_丿



　 　　　／￣￣￣＼
　　　／　　　　　　　.＼
　 ／　 　─ヽ　 .─ 　 ＼
　 |　　 （●） 　（●）　　 .|　　　　これは……！
　 ＼. 　　（__人__） 　　 ／
　　 （　ヽ　 __＿　.／.／
　　　.＼ ＼|　 .,ﾚ゛／
　　　　 .＼旨 爻ﾝ

2584．

【アルベール視点：メルセデスの寝室】

　　　　　　 　 　 　 /.::::::::::::::::::::.: | ::::::.:{:::::::::.:.:.::.:.:.:.:...:.:.::.:.:.:.:.: ..:.:.:.: .:.ヽ:.:.:.',
.　　　　　 　 　 　 /.::::／.::/ .:::.:/'| ::::.:ハ::::.: ﾄ､:.::.:.:.:.:.:..:.:.:.: .:.:.:.:.:.:..:. :.:.:.:.:.:.:.'
　　　　　　 　 　 /.::〃 .::/..::.:.:/　! :::/　 '::::.:.|　＼:.:.::.:.:.:.:.:.. :.::.:.:.:.:.:. .:.:.:.:.:.:.:.i
.　　　　　 　 　 /'´/.:::::: { ::.:.:/ 　j／　　 ヽ::.|　　 ヽ:.:.::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:...:.:.:.:.:.:.:.i
　　　　　　 　 /　,.:::::::::::.:,:.:./─-､　　　　　＼ ＿__ヽ:.:.:::│:.:.:.:.:.:.:.: i.:.:.:.:.:.:.:.i
　　　　　　 　 　 '::::::::::::::.∨　,.__ ､ヽ　　 　 ´　　　　`':.:.:/| :.:.:.:.:.:.:..:.|.:.:.:.:.:. {:|
.　　　　 　 　 　 l::::: ｌ::::::.: | ,／ﾌ心　　　　　 　´-ぅミ._∨ | :.:.:.:.:.:.:.:.:|.:.:.:.:.:.:.ぃ
　　　　　　　　　|::::: {::::.:.: |ヾ　ﾄ::::ﾟ! 　 　 　 　 　 '::::::(_,ﾄ､｣ :.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.`ﾄ､
　　　　　　　 　 |:::: ∧::.:.: ! 　弋::ﾉ 　 　 　 　 　 {:::ryり丿.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|.:.:.:.:.:.:.:. }
　　　　 　 　 　 {:::: {:::.ヽ::.ﾍ 　　　　　　　　　　　ﾞｰ-'′/.:.:.:.:.:.:.:.:.:ﾘ.:.:.:.:.:.:.: ﾘ
.　　　　 　 　 　 ＼ﾊ:::.:. ＼　 　 　 ,′　　　　　 　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.从.:.:.:.:.:/.:,′　　　　どうしたの？
　　　　　　　　　　　ヽ、::八　　 　 丶　 　 　 　　　.ノｲ.:.:.:.:.:.::ｲ:::::::.:.:.:/.:/
　　　　　　　　　　　　 ＼　ヽ　　　 　 　　 　 　 　 　 /.:.:.:／.::ﾉ::::::.:.;ノ:ノ
　　　　　　　　　　　　　　 　 ＼　　 ‐＝-　 　 　 　ノ　イ:::::;;::::::::::.／´
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼　 　　　　　 　　　 .　'ﾞ　| 从／
.　　　　　　　 r‐- ､　　　 　 　　　.＼. 　.　_,.　　 　´　　　 |/
.　　　　 　 　 { ヽ　 ｀¨フ　 　 　 　 r::┤ 　 　 　 　 　 　 |‐-､
　 　 　 　 　 _}__,｣｀二　 /⌒,　　／.:::::|　　　　　 　 　 　 |:::::::.＼
　　 　 　 　 ｛　 ＿／＼{　 ｛ ／ .::::／| 　 　 　 　 　 　 /.::::::::::::..＼
　　　　　 　 厂　 　 ＼　ヽ　':::::::::/　丿　　　　 　 　 ／..:::::::::::::::::::...ヽ




　　 　 　　　＿＿＿_
　　 　　　／　　 　 　＼
　　　　／　 _ノ 　ヽ､_　 ＼　　　　母ちゃん、伯爵からのお手紙ですお。
　　 ／　 /⌒)　　　⌒ﾟo　 ＼
　　 |　　/　/（__人__）　 　 　 |
　　 ＼/　/ 　 ｀ ⌒´ 　 　 ／

2585．

　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　／　　 ヽ_　　＼
　　　　　　　|　　　 （⌒ ）（⌒）
　　　　　　.　|　　　　 （__人__）　　　『アルベールさん。あなたが今なさろうとしておいでの計画を、
　　　　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　わたしがすでに知っていると申し上げたら、
　　　　　　.　 |　　　　　　 　 }　　　　わたしがいかに機微に通じているかということをお分かりになられると思います』
　　　　　　.　 ヽ　　　　　 　 }　
　　　　　　　　 ヽ 　　　　　ノ
　　　　　　_,,,,ノ|､￣／/／/ ＼、
　　_,,..r''''"/　|　＼`'／　 /　 | ￣`''ｰ-､
　 / 　 　 /　 |　 ／＼　 / ／　　 　/　ヽ
　ﾉ　|　　＞　|／）::::/＼/　＼ 　　ノ　／}
　{ 　 |　{　　 | ,r":::ヽ　/ 　 /　　/　// ハ



　　　 　　　　 ／￣￣＼
　　 　　 　 ／　_ノ　ヽ_　＼
　　　　　　 | 　（●） （●） |
　　 　 　　 |　　（__人__） 　|　　　『あなたは今、自由の身におなりでした。そして母上と一緒に
　　　 　 　 |　 　 ｀⌒´　　|　　　　家を出ようとしておいででしょう。
　　　　　　 |　　 　　　　　}　　　　　しかし、よくお考えになってください。
　　　　　 　ヽ　　　　　 　.}　　　　　あなたはお母様からお報いできないほどの御恩を受けておいでです』
　　　　 　__,_,,.ヽ＿　　　ノｰ- ､
　　　　 ハ　　/ 　Ｖ又ｲ ::::〉::::::i:
　　　　 }　ヽ 〈　　 l |;;|ﾉ　/::::::::::i 　-,,_
　 r iY'ﾉ.;;　 }::ヽ　　l|;;|　/::::i::::::::}‐　|　||
　.|| | ﾉ:::: 　 }:::::::＼|;;;ﾚ'ｰ'' ⌒.:::: ヽ |　||
　.|| | {,,;;;; .:::: ヽｰ---ｹﾄ､, へ､:::: 　 |　||
―──.::::::::::::ノ.:::/　/　　　彡}――─────

2586．
　　　 ／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　 （ 一）（●）
　　|　　　　 （__人__）　　　　『あなたが進んで苦しみ、生活と戦おうとなさるのは結構です。
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ　　　　　けれど、お母様を苦しませてはいけません。
　　 |　　　,.<))／´二⊃　　　なぜなら、今の御不幸の責任はお母様にはまったくないのですから』
　 　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉
''"::l:::::::/　　　 __人〉
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|



　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　 ／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　 |　　　 （⌒ ）（⌒）
　　　　　　　 |　　　　 （__人__）
　 　　　 　 　 |　 　　　｀ ⌒´ﾉ　　　『わたしには、お二人が何も持たずにエルデ町の邸を出ようと
　　　　　　　　|　　　　　　 　 }　　　　　なさっているのがわかります。
　　　　　　　　ヽ　　　　　ﾍミ|　　　　　どうしてわかったのか、はご詮索なさらないでください。
　　　　　　　　／,`　、` -`,--` ,　　　わたしにはそれがわかっている、というだけのことですから』
　　＿＿,---/;;;;;`　　`-,-/ニﾆ |
　/;;;;;::::、:::::::::|、_ ,＞、 /::l,_l･　,<、__
ノ;;;;;;;;;;;;:::|::::::::::＜:::::::ヽ``l::::|　　|`l,::::ヽ
|;;;;;;;;;;;;;;:::::|:::::::::::::ヽ:::::::＼|:::|`-‐'/::ヽ::::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;:::::::::::::::::::-、:::`;:ヽ;-';;;;;:::ヽ::l
;;;;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;:::::::::::::::::::::`、;`l;;;;;8;;;;;::::`ヽ

2587．

　　　　　　　　　　　　　￣￣ 　 ､
　　　　　　　　 ´　　　　　　　　　 ＼
.　　　　 　 /　　　　　　　　　　　　　 ＼　　　　『アルベールさん、聞いてください。
　　　　　 /　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ヽ　　　　　２４年前、わたしは喜び勇み、祖国に帰ってきました。
　　 　 　 ｉ　　　　　　　　　　　　　　　　　丶　　　　わたしには心から愛する婚約者がいました。彼女のため、
　　 　 　 l　　　　　　 ／ ￣　　 　 　 　 　 丶　　　　　働いてためた１５０ルイを持って帰ってきたのでした』
　　 　 　 |　　_＿ 　 　 　 　 _　ヽ　　　 　 　 丶
　　 　 　 ヽ/　　　　　　 ｉ　ｲ::::ヽ l　　　　　　　丶
　　　 　 　 ヽ　 　 _　 ヽ ゝ_ゞ::ノ '　　 　 　 　 　 ',
　　　　　　　丶ｉ ｲ:::ヽ　l　 　 ｀ヽ　　　 　 　 　 　 ヽ
　　　　　　　　 ゝ ゞ ',　ヽ _　　丿　　　　　 　 　 　 ＼‐､-..､
　　　　　　　　　ヽ　 ゝ ﾉ , ‐ ´　　　　　　　　　　　 　 ソ:.:.:.:＼
　　　　　　　　　　ヽ　　´　 　 　 　 　 　 　 　 '　　　 /:.:.:.:.:.:／＼
　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　/　　 ／:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.ヽ､
　　　　　　　　　　　　 ＼　　　　　　　　　　/　 ／:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀ヽ､
　　　　　　　　　　　　 　 ヽ　　　　 　 　 ／　 /:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀ヽ､
　　　　　　　　　 　 　 　 　 ヽ　_＿　 ィ　　　/:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:



　　　　　　　　　　　　 　.／￣￣＼
　　　　　　　　　 　 　_ノ　　ヽ,_　.　＼
　　　　　　　　　　　 （●）（● ）　　　|
　　　　　　　　 　　　（__人__） 　　　　|
　　　　　　　　　　　 ヽ｀⌒ ´　　.　　 |　　　『そして、海は気心の知れないもの。
　　　　　　　　　　 　　{ 　 　　　 .　　i　　　　　もしもの時のために、マルセイユのメーラン町にある
　　　　　　　　　　 　　ヽ　　　　　　ノ　　　　　　私の父の家の庭に埋めたのです。
　　　　　　 　 　 　 　 　 ＞ー,-- ':;＼　　　　　お母様は、その懐かしい家を御存じのはずです』
　　　　　　　　 　 　 　 /:;:/ﾚ'／;:;:;:;;:;:;:＼
　　 　 　 　 　 　 　 　 {:;:〈／:;:;:;:;::;:;:;:;:;:;:;:;＼
　　　　　　 　 　 　 　 ∧:;:;:;:;:;:;;:;:;:;＼:;:;:;:;:;:;:;}
　　　　　　 　 　 　 ／:;:;:;〉:;:;;:;:;:;:;:;:;:;:;〉:;:;::;:;/
　　　 　 　 　 　 ／:;:;:;:;:/:;:;:;:;;:;:;:;:;:／:;:;:;:;:;/
＿＿_＿＿＿_<:;:;:;:;:;:;:/:;:;:;:;::;:;:;／:;:;:;:;:;:;:/＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
　　　　　 　 　 {~　＞/:;:;:;;:;:;:;:;:;:＞ ､:;:;:;/
'T''''T T''''T　T'''''T／:;:;:;:;:;;:;:;:;:;:{　　 厂┐　 ┬─┐ 　 ┬─┐　　 ┬‐
｜ ｜ |　｜　| ／:;:;:;:;:;::;:;:;:;:;:;:;::￣~7|　 |　　｜　　|　　　|　　｜　　　|


※１５０ルイ＝３０００フラン＝６００万～１５００万円？

2588．

　　 　 　 　 , -―- ､
　　　　　　/　　　　　＼
　　　　　 /　　＼_　　　|
　　　 　 (●) （●）　　 |　　　『最近、わたしはパリに来る途中、その家に行って
　　　 　　(_人__)　　　 /　　　　　　その宝物が残っているか確かめてきました。
　　　　　 l｀⌒´　　　 /　　　　　　　わたしの父が、わたしの生まれた時に植えた
　　　　　　|　　　　　　ヽ　　　　　　　イチジクの木、その木陰に鉄の小箱の中に入っています。
　 　　　　__!､＿___／　　＼　　　　　　　わたしはそれを、彼女のために差し上げたいと思います』
　　　　／､ ヽ　　　　　r ､　ヽ
　　 　ﾊ ヽ Y｀l　　　　 |　 >　 Y
　　　{　ヽ_ゾﾉ　　　　　|　ﾚi i i}
　　　｀¨´　　ヽ　　　　ハ　 `'''
　　　　　　　 　>　　 /　ﾍ
　　　　　　　　/　　/ヽ　 ﾍ
　　　 　　　 _,/　　/　ご_ノ　　ﾓｷｭﾓｷｭ
　　　　　　（　ヽ　/
　　　　　　 ＼__ノ



　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　／　　　　　　＼.........:::::::::::...
　　　　　　|:::::::　:　　　　　 |　.... .........::::::::::...r‐ ' ノ.
　　　　　.　|:::::::::::::　　　　　|　.... .........::::::::＿ ) (_
　　　　　　 |::::::::::::: 　 　　　|..　..... ......:::（⊂ﾆﾆ⊃)
　　　　　.　 |:::::::::::::::　　 　 }　　..... ......: ::::｀二⊃ﾉ.
　　　　　.　 ヽ＿＿__　 　 }　　..... ......: :::: （( ￣　　　『アルベールさん、わたしの気持ちをお分かりください。
　　　　　　　 r'ﾆﾆヽ._＼. ﾉ..　..... ......: ::::::　 ;;.　　　　　　その気になれば何百万フランでも差し上げられるというのに、
　　　　　 r':ﾆニ:_`ｰ三`:く._　　 　 　 　 　 [l、.　　　　　愛するその人と別れて以来、貧しい我が家に忘れられた
　　　　／: : : : : : :｀,ニ､: :_:_;＞　　　 　 ／,ｨつ　　　　　ただの黒パンのひとかけらしか差し上げないわけを』
　. 　 /: : : : : : : : / : : : ヽ＼　　　　 ,∠∠Z'_つ
　　　| : :.:.:.:.:.: . :/: : : : : : l : ヽ.　　 / .r─-'-っ
　. 　 |:.:.:.:.:.:.:.:.:.,' ''"￣: : :l: : : :l 　 /　 ）:::厂 ´
　　　 |:.:.:.:.::.:.:.:ｌ -─-: : /:_:_:_:_l　/￣｀Y´
　.　　 |:.:.::.:.::.::l._＿: : : :/::: : : : :l/⌒ヽ

2589．

.　　　 　 　 ／￣￣＼
　　　　 . ／　ノ　　＼ ＼／｀i　　　　　『アルベールさん、あなたがもしわたしからの申し出を拒絶し、
　　　　　|　 （●）（●）./　　ﾘ　　　　　　わたしから当然差し上げる権利のあるものを他の方にお求めに
　　　　.　|　　（__人__）..|　　/　　　　　　なるとしたら、わたしはあえて申し上げましょう』
　　　　　 |　　 ｀ ⌒´　ﾘ　 ﾋ
　　　　.　 ヽ　　　　 ／/　　,｀弋ヽ
　　　＿＿ ヽ　　- ′.Ｙ´　 ,　｀ヽ｀.ｌ　　『あなたの父上の手により、父親を飢えと絶望のうちに死なせた息子から、
　 ／ :　　: :介〈　　`ｰ〈::....ノ　　　Ｖヽ　　　今母上の御生活のために差し上げようとしているものを拒絶なさるというのは、
　 | : : : : ::〈　｢｀ヽ_ｰ ､ ｀ヾ＿/　//:|　　　　あなたをして、きわめて御狭量なお考えだということを』
　 | : : : : : /: |　{::::}　ﾌ-､｀ｰ┴‐- │
　 | : : :　〈: :│ {::::l /. :`ー‐一′ ::|




　 　　 　　　　 ＿＿＿_
　　　　　　　／ ノ　　＼＼
　　　　　 ／　（●） 　(●）＼
　　　　／　∪　 （__人__）　　＼　　　　　……母ちゃん、どうしますお？
　　　　|　　 　　　｀ ⌒´　　　　|
　　　　 ＼　/⌒)⌒)⌒)　　 ／/⌒)⌒)⌒)
　　　　ノ　　|　/　/　/　　　(⌒) ./　/　/
　 ／´　　　 |　:::::::::::(⌒)　　ゝ　　::::::::::/
　|　　　　ｌ　 |　　　　　ノ　　/　　）　　/
　ヽ　　　 ヽ_ヽ　　　 /' 　　/　　　 ／
　　ヽ ＿＿　　 　 ／　　 /　　 ／

2590．


　　　　　　　　　　　　/. . : . : : . : : . : : . : : : . : : . : . : : ､
　　　　　　　　　　　/ : : , ' : : / : : : ,' : :,' ,' : i : :,',: : ,; : : ヽ
.　　　　　　　　　　/ : : / : : / : : : / : : /./ :/! : ハ : :i : : : :',
.　 　 　　　　　　　! : :/ : : :/ : : : / : : /./!:/ | : l|　l : :l : : : : ',.
.　　　　　 　 　 　 | : :! : : : ! : : : ,'! : :/./ |/　.| :|!　! : :i : : : : :.!
.　　　　　 　 　 　 | : :| : : : | : : : .!|__/,/　|!　 .| ﾘ|　| : | : : : : ,'
.　　　　　 　 　 　 ! ,r| : : : |、_'"丁/￣｀　 　 !,'十ｧ!､ | : : : :.,'
　　　　　　　　　　|..! | : : : | ,rｆj￣ヾ､ 　 　　　　|ﾑ」_:ﾘ! : : :,'
　　　　　　　　　　| ﾄ.| : : : K {| ::::::ﾘ　 　　 　 ,ｲ}:::::::ﾊ,! : :/'
　 　 　 　 　 　 　 V ﾊ: : : |　 ゛ｰ ''　　　 　 　 K.__,/ } : :/　　　　お受けしましょう。
　　　　　　 　 　 　 V .| : : ﾄ . 　 　__ 　 ,.　　 ｀""　/: /　　　　　　あの方には、私が修道院に持っていく
.　　　　　　　　　　　V.ﾊ : :|:::＼ ／　 ＼　　 　 　/: /　　　　　　　入会金を御払いになる権利がございますから！
　　　　　 　　　　　　 ﾘハﾊヽ／　／~＼ ヽ‐､_,. イ／
　　 　　　　　　　＿＿＿__,.ｨ|　イ　,.へ　`＜　ヽr‐ｧ―=‐､
　 　 　 　 　 ,/´ ＼:.:.ヽ;;;;;;;;ﾊ　 イ　,､〆｀`'ｰ　/;;/.:/　　 ﾍ
.　　 　 　 　 /　　 　 ﾍ:.:|;i;;;;;;;ﾊ　　　∨￣　　 /;;/.:/　/　　ﾊ
.　　　　　　 i　　　 　 ∧:!;!;;;;;;|:}　　　|!　　 　 /;;;;!:/／　　 　 i
　　　　　　 .|!　　　　　∧l;|;;;;;;|,'　　　|!　　　 〈 ;;;ﾚ　　　 　 　 |
　　　.　　　 |!　　　　　　ヽ|;; ;/ 　 　 ﾊ　　 　 ∨!　　　　　 　 |

2591．

【伯爵視点：少し前、馬車の中】


　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　　----　､, -- ､
　　　　　　　　　　　　　　　 , .:'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:...: :､丶.
.　　　　　　　　　　　　　　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,:.:.:.:.:.:.:.ﾍ:.:. :.:.ヾ丶ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ﾄ､:.:.:.:.ﾊ: }:.: :.:.: : ヽ　`
　　　　　　　　　　　　　　i:.:.:.:.:.:.:.:.ﾊ-l-ﾍ:ﾄ:./l7¨l':/:.:.ヽ: :i
　　　　　　　　　　　　　　l:.:.:.:.:.:.:.:l　Xl`ヽ　'　r-､'l:.: ,: :l: l
.　　　　　　　　　　　　　　l:.:.ﾊ:.ﾄ､ﾍ ＿＿＿`__　l,ィ: :/V　　　　いやいや、丸くおさまって本当によかったです！
　　　　　　　　r ､　iﾍ　　　ﾍヽl:ト.ヽヽ'＿＿` 7 ｲ　ﾚ'
　　　　　　r ､ ヽヽ l .i　　　　ﾍl:`´ヽ.丶､__ .>'／　　　　　　　　 ,-､　iヽ　._
　　　　　_　＼＼〉 `　l　／7　`ﾍヘl` ー- ｨ　　　　　　　　　　　ヽヽ l l .l l
　　　　　`､`ｰ`　　　　`　/,､-､....--l　　　　l,､　　　　　　　　　 , ､ i　'　l// ,‐,
　　　　　　 ¨¨l　 ヽ、　 ﾉ'　 ﾍﾍ　　 ヽ--､　,ﾍ`ヾ ､-､　　　　　ヽヽ、　　`'／
　　　　　　　　 ヽ.　　 i´　　　ヽヽ　　　` - ..ノ 　 i i　ヽ　　　　　 ヽ　ヽ　 i
.　　　　　　　　　 l　 　l　　 ､　 〉〉　　　　　 i l　　 l l　ヽ　　　　　`/　　, '
.　　　　　　　　　 l　　 l　　　ヽ//　　　　　　.l l　　ヽゝ　ヽ　　　　/　　/
　　　　　　　　 　i　　　l　 /ﾍ/ﾉ　　　　　　　.l l　　　 .l　　＼　　/　　/
　　　　　　　 　 i　　 　l　∧¨ '　　　,　--－＿｣ `ｰ-､ l　　　`／　　/
　　　　　　　 　i　　　　l/　 l　,　' , :-::::'::¨::::::::::::::｀::>､ヽ､　　'　　　 /
　　　　　　　 　l　　　 .l　　 l/ ／:::::::::::::::::::::::::::::::::::l ' ノ　ヽ　　　 ノ
　　　　　　　　　　　　　　【エマニュエル】
　　　　　　　　　　　　マクシミリヤンの妹ジュリーの夫。




　　　 ／:／￣ﾌ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ＼
　　／／:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.:／:.:.／:.ﾉ:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:.:＼
　　ﾚ/ /:/:/:/:.:./:.:/:./:.-=ニノ:.j l:.:.:.:.|:.:.:l:.:.:.:.:l
　　 |:././: |/: /:l: : |: |: /:.／:.／:/:j:.:l:.l:.:.:|:.:.:|V
　　 |/ ﾊ: :|ｌ: :l_ﾊ:_:l:_:l/:./:.／/ノ_/_ﾉ_j:.:.ﾉl:.:.|＿
　　 |: :ｽ乂:V ｨ‐ｩ-ヽ|:/ﾚ´　￣ノノ__/ノlハﾉー'
　　 ＼l: :l:ヽ| ゝ-'―' 　 |　　イ¨ザ> ｸ:/: :|:.|_
　　　　 V＼rｌ.　 　 　 　|　　　￣¨∠ノ:.: /:ﾉ
　　 　 　 　 {ﾊ　 　 　 　!'　　 　 　 / 〉:./ﾚ'　　　　ああ。
　　　　　　 ハ　 　 ー------'　　/ノ／
　　　　　 ノ:.:.ｌ＼ 　 　 ￣　 　 ／:|:l（__
　　　　　 ￣ﾚl/ l＼　　　　 ／|:.:|ﾉｌー'
　　　　　　　　|＼＼｀ ー '´　ﾉ）ﾉリ
　　　　　　 ／|　 ｀ｰ|「￣￣|｜|
　　　 ＿／　/⌒ｙ‐ || 　 　 l |/
―'´　　　 　 　 / 　 ||　　　 | l＼
　　　　　　　　　　　 ||　　　 |　　 ヽ、
　　　　　　　　　　　 }}　　　 〉　　　 ｀ ー ､
　　　　　　　　　　　 ||　　　 |　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　【マクシミリヤン】
エドモン・ダンテスの旧主モレル氏の息子。アルジェリア騎兵大尉。

2592．

【伯爵視点：トローヌの市門】


　　　　　　 ー＝ニ二;;;ィ.. .　.:: ..:: .: .:::::::::::　: .: . :. ::. :.丶
　　　　　　　　　　　 ／...:: .:::.:　.: ..:　.::::::::::..:.. ::..::..: ::::::::::ヽ
.　　　　　　　　　　 /:::::::::::::::::...::..::::::::::;: ::: :::::..::::::::::::::::::::::::;'､
　　　　　　　　　　/::;/ .:_;;:::::::::i:::::::! . ﾊ: : :i;:::l:::::::;::::;:::::::: ::',｀`
　　　　　　　　　 /:/{:.:;ｲ} l,::::::ﾊ:::::ｌ .:l　';..::ﾊハ:::ﾊ:/}::::::::.: :',
　　　　　　　 　 //. ∨ !l !{::::::l-ヽﾊ::{　 l:::l-;ﾆl/ﾆ}7: :: :l::::::::',
　 　 　 　 　 　 l/　 / /,',','::::ﾄlTﾌTl::l　´l::lｲ-'´ｊ_'/:　. :ｊ;::l:::ﾄヽ
　　　　　　　　　　 / ///ﾊ::､ヽ´￣ ﾘ,　 l/ ´￣ /:ノ.::::ｊﾉ:ﾊ:l
　　　　　　　　　　,'　 ノ/ ｊ:::::T`　 　 ,　　　　　"7::.:: ./::;' .ﾞl
　　　　　　　　　 /　　, {　!ﾊ:::ﾄ､　　_,,..,,.._　　　 l::/::::l;::/
　　　　 　 　 　 /　　 !　 .{　}::! l;へ　－　　　 .イﾍ:::/l/
　　　　　 　 ,,.../_　　 }　 ﾉ　i/. '　{-ヽ __ ∠ﾆ‐'´ l`′
　　　　　　 /　　 ｀丶､ /　　　 __」　ﾄ､i | 「,ィ　　 {､_
　　　　　　/　　　　　　ヽ,,..-''"　 ＼ゝ.!.| | } > ／　 ｀ ‐- _
　　　　　 ,'　　　　　　　 /　　　　　　ヽl」」_,　'　　　　　　　｀ ‐- ､_
　　　 　 ｒ}　　　　　　　/__　へ　　　 ／　ヽ　　　　,へ　　　　　　　｀ ‐- ､_
　　 　　 iｊ.　　　　　　 /　　　｜　 ／　　　 ヽ　　 /　　` ー-　､_
　　　　 /　　　　　　 /　 _,,.. -l ／　　　　　　＼ /　　　　　　　　｀ヽ




　　　 ／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　 （ 一）（●）
　　|　　　　 （__人__）　　　　　おおベルツッチオ、ちょっと調べてほしいことがある。
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ
　　 |　　　,.<))／´二⊃
　 　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉
''"::l:::::::/　　　 __人〉
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞かしこまりました。
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|

2593．

【伯爵視点：ロワイヤル広場】

　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／::::／::::::::::::::::::::::／::::::::::::::::::::i::::::´￣ヽｰ､
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 /:::::::/::::::::::::::／:::::/::::::::::::::::::::::::::|::::::::::::::::ﾊ::ﾍ
　　 　 　 　 　 　 /⌒ヽ　　　,':::::::/::::::::::::::/::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::|::::|::::::::::::ﾊ::::',
　　　　　　　　　 |　　　.}　　 !::::,ｲ::::::::::::::/:/::::/:::::::::::::::::::::::::::::::,'::::|::::::::::::::::!::::|
　　　　　　　　　ﾉ 　 　,'　　 |:::/.|::::::::/::::l､l:::/|/|::::::::::::::::::l::l::::/::::::|:::::::::::::::::|::::|
　　　　　　　　/　, -‐く　　　|/　|:::::::{::::::l/lヘ　 |::::::::::::::://::/ |:::::,'::::::::::::::::::|:::|
　　　　　　, -‐ '´ 　 　 ＼　　　 l::::::ﾊ:::::| ‐-､＼!:::::::::::/__!/＿l_:/_::::::::::::::::::|/
　　 　 　 /　　　　 _　　　 ＼　　ヽ::|::lヽ:|　　 ｀　Ⅵ:::/´ ｨぅZﾏく|:::::::::::::::/::,'
　　　　／　　-ﾆ_´__｀ヽ,　 　 }　　 ヽN`:ﾄ!　 　 　 !∨ 　 `ヾﾝ　'|/::::::::::/::/
　　　 i　　　　　　 　 ￣ヽ、./ 　　　　|:::|　　　　 ﾉ　　　　　　 ／::::::::::/;|/
　　　ﾉ　　 ､＿＿＿　　　`〈￣｀ヽ　　Vﾄ､　 ､＿`　　__,　　∠...イ:::／/ ′　　　　　伯爵さま、では失礼します。
　　　!　　　　　　　　｀ヽ、 / ヽ　　ヽ￣￣￣ｲ､:.:.:￣:.:.:.}　　／-'l;ｲ:／　　　　　　　　あなたとわたしのことで
　　 ,'　　　＿＿__　　　　Y　　ﾍ　 　 ＼　 /｜ ｀ ー‐_'.. ィ´:::::／l/　　　　　　　　　妻を心配させたくありませんから。
.　 /　　　　　　　 ｀ヽ､_.ノ 　 　 ﾍ　　　 ヽ'　 |` ー‐ ´　 /イ:/
.／　　　　　＿＿＿ノ＝‐- 　 　 ﾍ 　　　 ヽ !　　　　　/｀ー--,､
　　　　　　　,ｲ　/　　　 　 　 　 　 ﾍ　　　　ﾍ ヽ､　　./　 　 ／ |




　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　 ／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　 |　　　 （⌒ ）（⌒）
　　　　　　　 |　　　　 （__人__）
　 　　　 　 　 |　 　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　ええ、お美しい奥様によろしく。
　　　　　　　　|　　　　　　 　 }
　　　　　　　　ヽ　　　　　ﾍミ|
　　　　　　　　／,`　、` -`,--` ,
　　＿＿,---/;;;;;`　　`-,-/ニﾆ |
　/;;;;;::::、:::::::::|、_ ,＞、 /::l,_l･　,<、__
ノ;;;;;;;;;;;;:::|::::::::::＜:::::::ヽ``l::::|　　|`l,::::ヽ
|;;;;;;;;;;;;;;:::::|:::::::::::::ヽ:::::::＼|:::|`-‐'/::ヽ::::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;:::::::::::::::::::-、:::`;:ヽ;-';;;;;:::ヽ::l
;;;;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;:::::::::::::::::::::`、;`l;;;;;8;;;;;::::`ヽ

2594．

　　　　　　　　　/ . : : :/: : :/. : : :/. : : : }: : ﾄ､＼: : : : : }
　　　　　　　 　 { /.　: !: : /. : : :/. / . :/./. :}: : ﾄl: : : : : l､
　　　　　　　　　〉: l: : :l:ﾄ､ﾄ､ : : l L: イ:/7ｲハ: l: : : i : : ﾄl､
　　　　　　　 ーｲ: {: : :ﾄl ,>ミ､: :ﾄl　ノｨ=ｧくヽ｣: !: : : }: : :}
　　　　　　　　　{: :ﾄ､ : V {㍉ハ!　　´{rfk｣}　}/}: : :ﾊ : /
　　　　　　　　　 ヽﾄlゝ､ﾄ､少' }　　″｀¨¨¨´ ノ-イ /:ノ　　　それにしても不思議です。
　　　　　　　　　　　　ノﾊ　　 '、　　　　　　　　/.イ: {　　　　アルベール君は勇敢な人なのですから。
　　　　　　　　　　　　　　'、　　,＿　　　　 　 / }: :l: L､　　　わたしは彼が二度立派に決闘したのを見ました。
　　　　　　　　　 　 　　 　 ＼　 ‐｀ 　 　 　∠.ノ:斗　イ
　　　　　　　　　　　　　　　rfハ、_ . -‐r 二 rｋ￢ ´　l
　　　　　　　　　　　　　　　ﾄ} }　ｌｰrー┤i　rfYﾄ!　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　k| |　}　|　　| |､__｣ ﾚ ｧ　 {､
　　　　　　　　　　　　　　　}ｲ !イ、ｌ　　| |＼h f'´　 /　｀　ｰ- 　､_
　　　 ,　-‐─一 ､､ー‐‐　´ } }.｣　7ﾞ¨¨} }　　l l 　 /
　　　｛　／ﾉﾍ、 　 V　　 　 ﾉ |　 {　　 { {　　| |




　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　／　　 ヽ_　　＼
　　　　　　　|　　　 （⌒ ）（⌒）
　　　　　　.　|　　　　 （__人__）　　　　ええ、きわめて勇敢です。
　　　　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　わたしは、アルベール君が頭上に短刀を突きつけられながら、
　　　　　　.　 |　　　　　　 　 }　　　　ぐっすり眠っているのを見ました。
　　　　　　.　 ヽ　　　　　 　 }
　　　　　　　　 ヽ 　　　　　ノ
　　　　　　_,,,,ノ|､￣／/／/ ＼、
　　_,,..r''''"/　|　＼`'／　 /　 | ￣`''ｰ-､
　 / 　 　 /　 |　 ／＼　 / ／　　 　/　ヽ
　ﾉ　|　　＞　|／）::::/＼/　＼ 　　ノ　／}
　{ 　 |　{　　 | ,r":::ヽ　/ 　 /　　/　// ハ

2595．

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _＿__
　　　　　　　　､ 　　　 　　´ 　　｀´￣ ‐-｀丶、
　 　　　　　　 （(≧ｰｧ´　／　　　　　　　　　｀丶、
　　　　　　　　　＞'　 ／　　　　　　　 　 　 ｀丶、丶.
　　　　 　 　 　/　／/ ／　ー=≠ｧァ´　{、　 ､　 ヽ　ヽ、__ノ
　　　　　　　　ﾚ/ ﾚ' / / 　 ／　/ /　　ハヽ　 ﾄ､　 ＼ァく´
　　　　　　　　 〈　ﾘ / /　 /__ ノ {// //{　{＼V　 l　 i ﾄヽ ヽ、
　　　　　　 　　 ヽ{〈丁７7iTく　 //V斗ﾍ.ムｲ} 　 }　 l l 　 ⌒´
　 　 　 　 　 　 _ノ　ヽ〈 {｛ !　ヽX{ ｰｧｆｧァﾄﾉﾒ、 /　//{
　　　　　　 　 ｀≧ィ′　 ﾄﾄ＼__{ ｀　{:{fｯ' i{乂イ イ´ _ﾉ
　　　　　　　 　　　{　// /{⌒i　　　　｀~｀ 　 ハﾄ､(_
　　　　　　　　 　 ,､Vハ(メ、 {、　　　　　　　{ ´
　　　　　　　　　/　 丶、i 　 　 ＼　　--‐ｧ '´　　　　しかし、アルベール君は軍人じゃなくてよかったですね。
　 　　　　　　　/ヽ/ 　　｀}}ー―r‐{ﾄ､_　 ´　　　　　決闘場で謝るなんて！
　　　　　　　　/ヽ/ /ヽ、 ｣j 　　/ /ハー -- 　､
　 　　　　　　/　 　 ′　/ /｀¨¨~７ﾊ　　　　　　 ヽ
　 　 　 　　. ´　　　　　 ｀７7¨¨7¨{廴　｀ ー- ､ 　 ﾄ､
　 　　　／　　　　　　　 //　 く　　｀丁 i{ﾞ~｀ヽ　Vノ　＼
　　　 /＿＿＿__ 　 　 //　　 〈　 　 仁i{　　 }}　 ﾒ、　　丶、
　　　{, -‐‐‐‐-- 、⌒´ｲ　　　　}　　 仁i{　　 lレ'　 ＼　 ﾉ ﾉヽ、




　　　 　　　　 ／￣￣＼
　　 　　 　 ／　_ノ　ヽ_　＼
　　　　　　 | 　（●） （●） |
　　 　 　　 |　　（__人__） 　|　　　　おやおや、あなたまでが
　　　 　 　 |　 　 ｀⌒´　　|　　　　普通の人のような偏見を持とうとおっしゃいますか？
　　　　　　 |　　 　　　　　}
　　　　　 　ヽ　　　　　 　.}　　　　　　アルベール君にはああする理由があったのです。
　　　　 　__,_,,.ヽ＿　　　ノｰ- ､　　　したがって、彼の行動は別な行動に出たのに比べて、
　　　　 ハ　　/ 　Ｖ又ｲ ::::〉::::::i:　　　　ずっと勇壮だったとはお考えになれませんか？
　　　　 }　ヽ 〈　　 l |;;|ﾉ　/::::::::::i 　-,,_
　 r iY'ﾉ.;;　 }::ヽ　　l|;;|　/::::i::::::::}‐　|　||

2596．

　　　 ／:／￣ﾌ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ＼
　　／／:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.:／:.:.／:.ﾉ:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:.:＼
　　ﾚ/ /:/:/:/:.:./:.:/:./:.-=ニノ:.j l:.:.:.:.|:.:.:l:.:.:.:.:l
　　 |:././: |/: /:l: : |: |: /:.／:.／:/:j:.:l:.l:.:.:|:.:.:|V
　　 |/ ﾊ: :|ｌ: :l_ﾊ:_:l:_:l/:./:.／/ノ_/_ﾉ_j:.:.ﾉl:.:.|＿
　　 |: :ｽ乂:V ｨ‐ｩ-ヽ|:/ﾚ´　￣ノノ__/ノlハﾉー'
　　 ＼l: :l:ヽ| ゝ-'―' 　 |　　イ¨ザ> ｸ:/: :|:.|_
　　　　 V＼rｌ.　 　 　 　|　　　￣¨∠ノ:.: /:ﾉ　　　　それはもちろんです。
　　 　 　 　 {ﾊ　 　 　 　!'　　 　 　 / 〉:./ﾚ'
　　　　　　 ハ　 　 ー------'　　/ノ／　　　　　　でも、スペイン人が言うように言いたいですな。
　　　　　 ノ:.:.ｌ＼ 　 　 ￣　 　 ／:|:l（__　　　　　　　『今日の彼の勇敢さは、昨日に比べて劣りたり』と。
　　　　　 ￣ﾚl/ l＼　　　　 ／|:.:|ﾉｌー'
　　　　　　　　|＼＼｀ ー '´　ﾉ）ﾉリ
　　　　　　 ／|　 ｀ｰ|「￣￣|｜|
　　　 ＿／　/⌒ｙ‐ || 　 　 l |/
―'´　　　 　 　 / 　 ||　　　 | l＼
　　　　　　　　　　　 ||　　　 |　　 ヽ、
　　　　　　　　　　　 }}　　　 〉　　　 ｀ ー ､
　　　　　　　　　　　 ||　　　 |　　　　　　　 ＼




　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　／　　 ヽ_　　＼
　　　　　　　|　　　 （⌒ ）（⌒）
　　　　　　.　|　　　　 （__人__）　　　ところでマクシミリヤンさん、
　　　　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　昼食をご一緒に願えますか？
　　　　　　.　 |　　　　　　 　 }
　　　　　　.　 ヽ　　　　　 　 }
　　　　　　　　 ヽ 　　　　　ノ
　　　　　　_,,,,ノ|､￣／/／/ ＼、
　　_,,..r''''"/　|　＼`'／　 /　 | ￣`''ｰ-､
　 / 　 　 /　 |　 ／＼　 / ／　　 　/　ヽ
　ﾉ　|　　＞　|／）::::/＼/　＼ 　　ノ　／}
　{ 　 |　{　　 | ,r":::ヽ　/ 　 /　　/　// ハ

2598．

　　　　　　　　､ 　　　 　　´ 　　｀´￣ ‐-｀丶、
　 　　　　　　 （(≧ｰｧ´　／　　　　　　　　　｀丶、
　　　　　　　　　＞'　 ／　　　　　　　 　 　 ｀丶、丶.
　　　　 　 　 　/　／/ ／　ー=≠ｧァ´　{、　 ､　 ヽ　ヽ、__ノ
　　　　　　　　ﾚ/ ﾚ' / / 　 ／　/ /　　ハヽ　 ﾄ､　 ＼ァく´
　　　　　　　　 〈　ﾘ / /　 /__ ノ {// //{　{＼V　 l　 i ﾄヽ ヽ、
　　　　　　 　　 ヽ{〈丁７7iTく　 //V斗ﾍ.ムｲ} 　 }　 l l 　 ⌒´
　 　 　 　 　 　 _ノ　ヽ〈 {｛ !　ヽX{ ｰｧｆｧァﾄﾉﾒ、 /　//{
　　　　　　 　 ｀≧ィ′　 ﾄﾄ＼__{ ｀　{:{fｯ' i{乂イ イ´ _ﾉ
　　　　　　　 　　　{　// /{⌒i　　　　｀~｀ 　 ハﾄ､(_　　　　　すいません。それに、お腹はすいていませんので。
　　　　　　　　 　 ,､Vハ(メ、 {、　　　　　　　{ ´
　　　　　　　　　/　 丶、i 　 　 ＼　　--‐ｧ '´
　 　　　　　　　/ヽ/ 　　｀}}ー―r‐{ﾄ､_　 ´
　　　　　　　　/ヽ/ /ヽ、 ｣j 　　/ /ハー -- 　､
　 　　　　　　/　 　 ′　/ /｀¨¨~７ﾊ　　　　　　 ヽ
　 　 　 　　. ´　　　　　 ｀７7¨¨7¨{廴　｀ ー- ､ 　 ﾄ､




　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　 ／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　 |　　　 （⌒ ）（⌒）
　　　　　　　 |　　　　 （__人__）　　　おやおや、わたしの知る限り、そこまで食欲を失わせるのは
　 　　　 　 　 |　 　　　｀ ⌒´ﾉ　　　一つは悲しみ、もう一つは恋ですが……
　　　　　　　　|　　　　　　 　 }
　　　　　　　　ヽ　　　　　ﾍミ|
　　　　　　　　／,`　、` -`,--` ,
　　＿＿,---/;;;;;`　　`-,-/ニﾆ |
　/;;;;;::::、:::::::::|、_ ,＞、 /::l,_l･　,<、__
ノ;;;;;;;;;;;;:::|::::::::::＜:::::::ヽ``l::::|　　|`l,::::ヽ
|;;;;;;;;;;;;;;:::::|:::::::::::::ヽ:::::::＼|:::|`-‐'/::ヽ::::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;:::::::::::::::::::-、:::`;:ヽ;-';;;;;:::ヽ::l
;;;;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;:::::::::::::::::::::`、;`l;;;;;8;;;;;::::`ヽ

2599．

　　　　　　　　　　　　　　　　､
　　　 ､＿＿_,､-‐　 ￣￣｀丶}＼
　　　　＞　　　　　　　　　　　｀ 　'ー 、
　　 ／　　　　　　　　　/　／　　　 {⌒
　　 ｀７｀¨¨／　/　､_　　ｲ　ﾄ､__ノﾄ ﾄ､
　　　{　　/　 i　!　　{ ７　|　ﾄ､　　Ｖ く　　　　ええ、今朝お話しした通りです。
　　　 V　{ ､　!､ﾄ、　| ﾄ､ｲノ|ハ　　L_｣　　　　わたしの心はヴァンサンの森であなたのおそばを離れて
　　　　ヽ ＼Y〃示､り 〃示ﾄ､}　//　　　　　よそに行っているのでして。
　　　　　 V ﾄl' }じ'　｀　　}じｿ　|/}/
　　　　　　｀ハ　　　 '　　　　 ,_ノ
　　　　　　　　}ﾄ､　 ーｰ'　.ィＶ
　　　　　　　／`ー｣r＝fr'L___
　　　　　　 廴　　二): :O} } : /1
　　　　 　 「｀ヽヽィ‐′: :l | :/: :l
　　　　　　|: : : :,ｲ|｣: : : :l,｣:/Y: :l
　　　　　　廴:ノ }: :}: : : ,{､:{　l: : l




　　　　　　　　　　　　　￣￣ 　 ､
　　　　　　　　 ´　　　　　　　　　 ＼
.　　　　 　 /　　　　　　　　　　　　　 ＼　　　　　わかりました。
　　　　　 /　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ヽ
　　 　 　 ｉ　　　　　　　　　　　　　　　　　丶　　　　　しかし、もし面倒なことでも起こりましたら、
　　 　 　 l　　　　　　 ／ ￣　　 　 　 　 　 丶　　　　わたしが世の中に対して力を持っており、
　　 　 　 |　　_＿ 　 　 　 　 _　ヽ　　　 　 　 丶　　　好きな人のためにその力を使うつもりでいるということ、
　　 　 　 ヽ/　　　　　　 ｉ　ｲ::::ヽ l　　　　　 　 丶　　そしてわたしがあなたを好きだということを思い出してください。
　　　 　 　 ヽ 　 　 　 ヽ ゝ_ゞ::ノ '　　 　 　 　 　 ',
　　　　　　　丶ｉ ｲ｀丶 l　 　 ｀ヽ 　 　 　 　 　 　 ヽ
　　　　　　　　 ゝ　　,　ヽ _　　丿　　　　　 　 　 　 ＼‐､-..､
　　　　　　　　　ヽ　 ゝ ﾉ , ‐ ´　　　　　　　　　　　 　 ソ:.:.:.:＼
　　　　　　　　　　ヽ　　´　 　 　 　 　 　 　 　 '　　　 /:.:.:.:.:.:／＼
　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　/　　 ／:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.ヽ､
　　　　　　　　　　　　 ＼　　　　　　　　　　/　 ／:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀ヽ､
　　　　　　　　　　　　 　 ヽ　　　　 　 　 ／　 /:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀ヽ､
　　　　　　　　　 　 　 　 　 ヽ　_＿　 ィ　　　/:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:

2600．

　　／／:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.:／:.:.／:.ﾉ:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:.:＼
　　ﾚ/ /:/:/:/:.:./:.:/:./:.-=ニノ:.j l:.:.:.:.|:.:.:l:.:.:.:.:l
　　 |:././: |/: /:l: : |: |: /:.／:.／:/:j:.:l:.l:.:.:|:.:.:|V
　　 |/ ﾊ: :|ｌ: :l_ﾊ:_:l:_:l/:./:.／/ノ_/_ﾉ_j:.:.ﾉl:.:.|＿
　　 |: :ｽ乂:V ｨ‐ｩ-ヽ|:/ﾚ´　￣ノノ__/ノlハﾉー'
　　 ＼l: :l:ヽ| ゝ-'―' 　 |　　イ¨ザ> ｸ:/: :|:.|_
　　　　 V＼rｌ.　 　 　 　|　　　￣¨∠ノ:.: /:ﾉ
　　 　 　 　 {ﾊ　 　 　 　!'　　 　 　 / 〉:./ﾚ'　　　　承知しました。
　　　　　　 ハ　 　 ー------'　　/ノ／　　　　　　虫のいい子供たちが、必要のあるときに
　　　　　 ノ:.:.ｌ＼ 　 　 ￣　 　 ／:|:l（__　　　　　　両親を思い出すように、思い出させていただきます。
　　　　　 ￣ﾚl/ l＼　　　　 ／|:.:|ﾉｌー'
　　　　　　　　|＼＼｀ ー '´　ﾉ）ﾉリ
　　　　　　 ／|　 ｀ｰ|「￣￣|｜|
　　　 ＿／　/⌒ｙ‐ || 　 　 l |/
―'´　　　 　 　 / 　 ||　　　 | l＼
　　　　　　　　　　　 ||　　　 |　　 ヽ、
　　　　　　　　　　　 }}　　　 〉　　　 ｀ ー ､
　　　　　　　　　　　 ||　　　 |　　　　　　　 ＼
　 　 　 　.＿＿＿＿||　　　 |､　　　　 　　　　￣ヽ
　| |　 　 |　ｒ―――┘　　　ヽ二二ー--､　 　 　 |




　　 　 　 　 　 　 ／￣￣＼
　　　　　 　 　 ／　　 _ノ　　＼
　　　　　 　 　 | 　　　（ ⌒）（⌒）
　　 　 　 　 　 l　　　　　（__人__）
　　　　　 　 　 l　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　ええ、それでは。
　 　 　 　 　 　 | 　 　 　 　 　 |
　　　　　　　 　 ヽ　　　　　　 l
　　　 　 　 　 　 _,ゝ､　　　_,ノ
　　　 　 　 ,､-='l　＼_,ﾝ g<＼
　　　　 / ＼　└〆＼ i=i|＼'＼
　　　 丿 　　ﾞi 　 ＼　＼=il　/　i!
　　 　 l　　　　l 　　　＼＼| /＝|l
　　 　 |　　　　|　　　　　＼i/ 　 ||

2601．

【伯爵視点：シャン・ゼリゼーの屋敷前】

.　　　　　 ／イ／:::::::::::::::::::::::::::ｌ::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
.　　　　 〃´./:::::::::::::/::ｌ:::::|:::::::::|:::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　 　 　 /´. /::::/:!/:::ｌ::::ｌ:::::ｌ:::::::::|:::::::::ｌ!:::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
. 　 　 　 　 ｌ::/::::ｌ:ｌ::::ｌ:::::ｌ::::',::::::::ｌ!:::::/''ｌ::!:::::::::::::::::::::::::::::::::::|:::
　　　　　　 ｌ´/:::::ｌ:::::ｌ::::::ｌ:::::',::::::ｌヽ/　ｊ/ｌ::::::::::::::ｌ::::::::::::::!:､::ｌヽ
　　　　 　　ｌ::ｌ::::::::!::::::',:::::ﾄ,:::ﾄ,::::! ,ｨTﾃヾ!:::::::::::::|:::::::::::::ｌｌ:ﾊ:!｜
　　　 　 　 ´/::::::/::::::::ヽ::ｌヽ:',ヽ:! ´り　ｊ,.!:::::::::::/:::ｌ::::::::::ﾊ! l!/
.　　　　　　/::::::,ｲ:ヽ::::::::ヾﾃ､'､'､｀　￣　ｌ:::::::::,ｲ::,ｲ:::::::::ｌ_,.イ::::
　　　 　 ／:::／ ｌ:::::::ｌ;::::::::｀り ヾ'､　　　 ｌ:::::://'´ ｌ:::::::::ﾄ,　ｊｲ:::
　　　-'´‐'"´　　!::::::ハ:::::::／ ::::｀`　　　ｌ:, '　　　 ｌ:::::::ｌﾉ-''",.ｲ
　　　 　 　 　 　 ',::::ｌ　ｌ:::::ｌヽ､　　　　 　 |′　　　ス::::!-''"´:.:　　　　旦那さま、様子を調べてまいりました。
　　　　　　　　 　 ヽ|　ｌ:::ハ:| ヽｒ‐ ―　　　　,.‐''´-'ヽ!:.:.:.:.:.:.:.
　　　　　　　　　　　 　|/　｀　　 ヾ　　　　　 スヾ:.:.:ﾄ､:.:.:.:.:.:.:.
　　　　　　　　　　　　 ′　　　 　 ｀,､＿ ,.-'´ヽヽヽL└,:.:.:.:.:.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　//:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼',ヽ},/:.:._,.-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'､ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ｒｆヽｊ-‐'';;;;;;;;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ヽヽ､:.:.:.:.:.:.ｒ'‐''´;;;;;;;;;;;;;;;;
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／;;;;;;;;;;;｀＞ヽ､ｒ';;;;;;;,ｨ;;;;;;;;;;;;;;;;
　　　　　　　　　　　　　　　　／;;;;;;;;;;;;;;;;／`!;;;;「;;;;;;;/:ｌ;;;;;;;;;;;;;;;;;




　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　　|　　　 （ ●）（●）
　　　　　　　　　　|　　　　 （__人__）
　 　 　 　 　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　どうだった？
　 　 　 　 　 　　　 |　　　　　　 　 }
　 　 　 　 　　　 　 ヽ　　　　　 　 }
　　　　　　　　　　　 ヽ､.,＿＿ __ノ
　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､
　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::＼:::::ﾞ､|||:::/::::::::::|:::

2602．

　　　　　　　/::::／/:::　.::::::.: .:::::/::..:ｌ.: ./ ';.::.::l;:::::::::::;:::::::::::::::::::::::::::;:::',
　　　　　　/::／ /::::::;.::::::::::::::;ｲｌｌ:::::ｲ::/　 ';:::::ｌ';:::::::::ﾄ;';::::::::::;::::::::::::::;:::',
　　　　　 //　 /:::::;/::::::::;:::::::ｌ l' !:/ !::ｌ　　 ';::::ｌヽ::::::!_lﾊ::::::/:::::::::::::::ﾄ､
　　　　　/　　/:::://::::;::::::':;::::l＝';|=l:::!　　　ｌ:::ｌ,ィ';::ｌﾆl､!:::/!::::;::::::::::::|
　　　　　　 ノ::／　!::::l::::;:::::ｌﾘ'´/ ﾌヾ:!｀ 　　';::ｌ´/りﾊ /ｲ/:::/::::::::l::::|
　　　　　／‐''　　 ｌ:::::ｌ::::ｌ::::::', ､ヒ;:ノ';:!　　　 ';:ｌ､ゞ:::ノ,,. /:::/::::/:::ﾊ:::!
　　　　 ´　　　　　';:::ハ:l;:::::､', ￣￣ ';!　ｌ ::.　';!　￣´ /イ:::;:ｲi:::/ ｌ:;'
　　　　　　　　　　 ヽｌ　ﾘ';:;::::ﾄ'、 　 　 　,　　 ′　　 ´/:::/ノ/!/　.ﾘ　　　　奥様は家を出て行こうとなさっています。
　　　　　　　　　　　 ｀　. ｌ:::;::ヽ　　　　　 _ 　　　　　 /ィ"´:::ｌ　　　　　　　フロランタンに聞いたところ、アルベール様も
　　　　　　　　　　　　　　!::ﾊ:::;::ヽ、　　⊂⊃　　　 ,.イ､:::::l::!　　　　　　　　同様になさるつもりのようです。
　　　　　　　　　　　　　 /´,,..ゞｆ'´',ﾞヽ､　￣　　, ィｒ＝イ∠ﾘ
　　　　　　　　　　　　,.‐''´!　ハ',　',　 ｀ ー‐''´　ｌ !/　/"´｀ヽ
　　　　 　 　 　 　　 /　　 ｌ　ｌ　 ',',, !　　　　　　 ! ｌ'　/　　　　',
　　　　　　　　　　　|　　　ｌ　 ! 　iK'　　　　　　 ｌ l!　/　　　　_l|
　　　　　　　＿,.-‐''ｌ　　 ｜　ｌ |! ｌ !`ヽ､　　__,.ィ ｌ　 !　　　　{ｿ‐､
,. -―''"´￣　　　　 ｌ　　　 !　 !　ｌ>'､＿_￣＿_ｊ｜ /　　　　 7　　｀''




　　　 ／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　 （ 一）（●）
　　|　　　　 （__人__）
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ　　　　　　そうか。来てもらおう。
　　 |　　　,.<))／´二⊃
　 　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉
''"::l:::::::/　　　 __人〉
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|

2603．
　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　／ ヽ､.　_ノ　＼
　　　　　　　|　 （●）（●）　|
　　　　　　　|　　（__人__）　｜
　 　 　 　 　 |　　 ｀ ⌒´　　|
　　　　　　　 |　　　　　　 　}
　　　　　　　 ヽ　　　　　 　}
　　　　　／　　　　　　　　　＼
　　　＿/((┃))＿＿＿＿_＿i　|
..　／ /ヽ,,⌒) ￣￣￣￣￣（,,ノ ＼
／　 /＿＿＿＿＿＿＿＿＿ヽ.. 　＼



　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　／　　 ヽ_　　＼
　　　　　　　|　　　 （⌒ ）（⌒）
　　　　　　.　|　　　　 （__人__）
　　　　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　　　よし、この手紙を大急ぎで届けてくれ。
　　　　　　.　 |　　　　　　 　 }
　　　　　　.　 ヽ　　　　　 　 }
　　　　　　　　 ヽ 　　　　　ノ
　　　　　　_,,,,ノ|､￣／/／/ ＼、
　　_,,..r''''"/　|　＼`'／　 /　 | ￣`''ｰ-､
　 / 　 　 /　 |　 ／＼　 / ／　　 　/　ヽ
　ﾉ　|　　＞　|／）::::/＼/　＼ 　　ノ　／}
　{ 　 |　{　　 | ,r":::ヽ　/ 　 /　　/　// ハ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞はい。

2604．


　　　 ／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　 （ 一）（●）
　　|　　　　 （__人__）
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ　　　　　　それからエデを……
　　 |　　　,.<))／´二⊃
　 　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉
''"::l:::::::/　　　 __人〉
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_＿＿＿_
　　　　　　　　　 　 　 　 　 ,　　 x-‐…ｰ- ､　｀ヽ、
　　　 　 　 　 　 　 　 　 ／,∠　-―- ．._ 　 ＼　 ＼
　　　　　　　　　　　　／／　,　／　 　 　 ヘ　　＼ 　＼
　　　 　 　 　 　 　 , '　/ 　 /　　 / / 　/　　 ＼　/
　　 　 　 　 　 　 /　 厶⊥」..._// /　　ﾘ　　　　∨　　　　i
　　　　　　　 　 厶ｲ　 /　ヽ　　｀　＼,ｲ　 !　　 /　　　　　|
　 　 　 　 　 　 　 ｜　{ __、　　　　__　＼ | ｉ　/　　,　 　 ｜
　　　 　 　 　 　 　 j/j/l ｲﾊﾞ　　　 　 ｀ 　 乢/　　/ 　 　 ,′
　　　　　　　　　　　　 ,' tkﾉ　　　 丐=ミ 　 /　　//　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ｛k.ﾉハ/　　//　　 /ー┐
　　　　　　 　 　 　 　 |　　'　　　 　 `¨　 z,彡kj/}　　/ー‐┘
　　 　 　 　 　 　 　　八 　 ､ __ 　 　 　 　 　 - ソ　 ,′　　　　　　ここにいますわ。
　　　　　　　　　 　 / 　 >、　　　　 　 ／￣匚彡　｜
　　　　 　 　 　 　 /　／／`'ｰr―ｧ' ´ 　 イ　　　　｜
　　　　　　　 　 ／／／ 　 ／ ／＼_／　 |　  　 |
　 　 　 　 　 ／／　（　　 （ ／　　／＼　 |　  　 |
.　　 　 　 ／／　　　 ＼ ／　x-＜.: : .:∧ {　 　 　　'.
　　　　／／ 　,ｘ=＝彡'　 ／　　　 ヽ: : :.| ヽ　　　　 ＼
　　　 ｛ / 　　,《 　 ／　／　　　 　 　 i.: .:lノﾊ＼　＼ 　 ＼
　　 　 '(　 　 　 ／　／.:|　i　 　 　 　 |／:.:,'｜,小.　 ＼ 　 ＼
　　　 　 　 　 ,ｲ 　 / : : |　|　　　　 ;' j : : /　|/// !　　 )､ 　　＼
　　 　 　 　 〃|　 /|: : :∧_|　 　 　 !ノ.:., '　　|//　|　 　|　＼　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　【エデ】
　　　　　　アリ・パシャの娘。奴隷になっていたのを伯爵が買い取って育てた。

2605．

.　　　　　/　　/　 /　　　l　　 　 !　　　　　l |　　　　 | l　　l　　　|　;. |
.　　　　 ,'　　 '　 , !　　　 !　　　 |　　　　　 | |l.　　 　 l !　　l　　　|　　|
　　　　 ,.　　 |　 , |　　　 |　　　 ||　　　　　_|ﾘ !_,. -　.,ﾘ ',__　!　　 ! :.　!
　　　　 |　　 |　 ,. !　　　 !　　　 ||_,. -‐ ' ´　　　　　　　　　｀ !　　| ;　 !
　　　　 |　　 |.　,　!　　 __!ヽ,.-‐'　　　　　　　　 _, -‐ '''　　　 |　　| ;　 l
　　　　 |　　,'　 　 !､／　 　 ＿＿__　 　 　 　 ´　　　　　　　 '　　'! |　 !
　　　　 '　 /　　　 Z　　‐' ´　　　　｀　　　 　 　 　 _,. -=＝ /l　/ | l　 .!
　　 　 ,'　//　　　|Z　　　　　　　　　　　　　　　 ''´　　　　 ' ,' /　| l　　!
.　 　 /　/ｲ /|　| | ',　　 ,,:-''´￣　　　　　　　　　　　　　　　l/ |　| |　　l
　　 /　　 .|/　! |l !ヽ',　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ' /!l　　 .!
.　 /　/　　　　|| ヾ　ヾ　　　　 　 　 　 　 　 l　　　　　　　　　 ノ |.l　　　!
　/　/　　　;　　 ; ',ヽ.　､　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 /　 l.l 　 　 !
./　/|　　　;　　 ;　 ＼.　 ､　　　　　　　　　　　　 _　　　　　/ |　 |l　　 　 !
　/　|　　 .'　　,　 ,' 　｀ ‐　､　　　　　　　　‐　 ''´　　　　 　　 |　|l　　　　.!
/　　|　　.' 　 ,　, '　　　　 Ｙ ヽ　　　　　　　　　　　　　　ｌ |　　l. ﾘ　 　 　 .!
　　 , 　 .'　, ' , '　　　　　　ヽ　 ｀　､　 　 　 　 　 　 ／　|. |　　|　 　 　 　 .!
. 　 ,　 .' , ' , '　　　　　　　　ヽ　　ヽ ､ ｀　　　_,.　イ　 　 !　l.　　!　 　 　 　 !
　 /　　　, '　　　　　　　　　　ヽ　　ヽ|　　　　 　 　 　 　 l＼!⌒ヽ／l＼ . 　 !
. /　　 , '　　　　　　　　　　　　ヽ 　 ヽ.　　　　　 　 　 　 |　 |　　 ヽ |　 ヽ 　 !
/　　 ,'　　　　　　　/　､　　　　,ヽ'⌒ ヽ　　　　　　　　　　　 |　　　ヽ　　　 ヽ




　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　 ／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　 |　　　 （⌒ ）（⌒）
　　　　　　　 |　　　　 （__人__）
　 　　　 　 　 |　 　　　｀ ⌒´ﾉ
　　　　　　　　|　　　　　　 　 }　　　　（そうだ、おれはまだ幸福になれるんだろ……）
　　　　　　　　ヽ　　　　　ﾍミ|
　　　　　　　　／,`　、` -`,--` ,
　　＿＿,---/;;;;;`　　`-,-/ニﾆ |
　/;;;;;::::、:::::::::|、_ ,＞、 /::l,_l･　,<、__
ノ;;;;;;;;;;;;:::|::::::::::＜:::::::ヽ``l::::|　　|`l,::::ヽ
|;;;;;;;;;;;;;;:::::|:::::::::::::ヽ:::::::＼|:::|`-‐'/::ヽ::::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;:::::::::::::::::::-、:::`;:ヽ;-';;;;;:::ヽ::l
;;;;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;:::::::::::::::::::::`、;`l;;;;;8;;;;;::::`ヽ
;;;;;;;;;;;;/、;;;;;;;;;;;;::::::::::::::::::::::;`l;;;|;;;;;;;;;;;::::: `l|、
;;;;;/'　 `,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::|;;;::l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::l
;;;く　　　';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::::::::;;;;;;;l;;;;;;;;;;;;;;;;;;/

2606.

　　　　　　　　　　　　　　　　 ..,,,_　 _ｒ､ｒ ､
　　　　　　　　　　　　　　 _ノ　　 ｀´　　｀　ﾍ
　　　　　　　　　　　　　ヾ　　　　　､　 ヽ　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　／'"｀ヽ､　　 ヽ / ＿ ; /
　　　　　　　　　　　　｀ゞ､　,.ｨｆ￣｀ヾ''"´　 ｌ }
　　　　　　　　　　　　　 !／//　　　　 _,.ｒ=ｆｆ'､　　　　　モルセール様がお見えです！
　　　　　　　　　　　　　/ ノ ｲﾞﾃｴｆ　　 ゞ'｀ｌﾞ !
　　　　　　　　　　　　 /　 / !　　　 ::::',　　/´
　　　　　　　　　　　 _ﾉ　　ｌ/､'､　　 __.::,. ,ｲ〉
　　　　　　　　　　 ｒ'' ヽ　/　ヽト= ､　´ /　!
　　　　　　　　　 ノ　　　Y　　_',　 ｒﾄﾞTｌ| ﾄ, !_
　　　　　　　　／　　　　 ヾ´　 '､　ヾ ｌｌｌヾノ　￣￣｀ ''－―-;､
　　　　　　 ／　　　　　 ／　　　　｀ ヾｌｆ´　　　 ,―-...,,,_　　/ !　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　　 |
.　　　　 ／　　 　 　 ,／ _..,,―､　　　/　ヽ　　 /　　　　 ヽ｜　ヽ　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　【バティスタン】
　　　　　　　　　　　　　　　　伯爵の家臣。

2607．

　　　 ／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　 （ 一）（●）
　　|　　　　 （__人__）　　　　　子爵かな、伯爵かな？どちらだね？
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ
　　 |　　　,.<))／´二⊃
　 　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉
''"::l:::::::/　　　 __人〉
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|




　　　　　　,ィ´　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽヽ,`´ ｊｨ
　　　　　（,/　　　　　　ー､　　　　　　　　　　　　　 ヽ l　　ｊ
.　　　　　/　　　　　　　　　＼＼　　　　　　　　　　　ｊﾉ,ﾉ /
　　　 _,ノ　　　　´￣｀丶､　　　　｀丶､　　　　　　　/, '／)
　　｀`ｚ;‐''　,.－－―- ､　｀''ｚｧ､＿＿__ｆゞ､_ｒ-､＿_ノヽ /
　　　　/´　　　　　　　　　 ∠　　　　 　 　 　 　 　 　 ヾ
　　　 /ｨ /　　　　　　　　_ゞ　　　　　　　　　　　　　　,'ﾉ
　　　 ´ヽﾄ,　　　　　　　　ヽ　　　　　　　　 　 　 ､　,ｨく　　　　　伯爵さまでございます。
　　　　　　ヽ　 ,.''⌒ヽ､　ｒ'｀　 　 　 　 　 　 ＿,,.ｒ' ｲｿ'|
.　　　　　　 } /{i　 ｀ヽ ヽｌ　　　　 ,.‐;ﾆﾆ;=ｆ‐''´　 丶､ l
　　　　ヾー'/　',　ｆ⌒';､ヾﾞ　　 ／´ ｆ";ﾋ=''´　　　 　 ヾ
　　　　　 ￣ヽ, ヽ　､く_　　　　　　　　　　　　　　　　　）
　　　　　　＿ノ　 ｀''-;､__,.　　　　　　　　　　　　　　ｒ'´ヽ
　　　　　　｀ゝ　　　 ､ヽ　ヽ　　　　　　　　　　　_,. ｲ　 ｜
　　　　　　"⌒;　　 ､|｀ﾞ`　l｀''‐-.,_　　　 　 　 '´　ｲ　　｜
　　　　　_,.ノ'"_､__ノヾ,　　 l　　　　｀''－ ..,,_　　 ノ､,.イ｜
　　　　 {ィ´￣　､　　　｀ヽ､ヽ　　　　　　 /ヽ￣　 /　ｌ /
　　　　, '　　　　　＼　　　　｀''－- .,_　 ,ﾍ:::::',　 /　　i,{
　　　/　　　　　　　　＼　　　　　　　 ｀ヽ ';:::::', '､__　 ｌ 7
　　/　　　　　　　　　　 ｀　､　　　　 　 /ﾞ´ｌ::::::',　　￣ヾ,

2608．

　　　　　　　　　　´: ／二二二二二｀丶
　　　　　 　 ／: : :.:/ : : : : : : : : : : : : : : : ＼
　　　　　　/: : : : :/: :/: :/: : : : ハ: : :ヽ: :＼: ＼
.　　　　　/: : : : :,' : /: : {: : : : :ﾉ:ハ : : }: : : } : : ヽ
　　　　　': : :i: : :{__/ー┘￣￣　　 ￣｀ヽﾉ:j: : : : '
　　　 　 |: : :l: : :|　　　ノ 　 　 　　　ヽ　　Ⅳ: : : :
　∧＿__j: : :| : l:|　　ｵ;;;;T　　　 　 ｲｰﾚ　!: : : !:Ⅳ
　|　　　 | .: ;ﾚ:.八 　 t::::ﾉ　　　　　ｔ::::ﾉ　: : : :N　　　　おお！まだすっかり済まないでいるのですか？
　｀ー一'| : {　（￣　 　　　　　 　 　　 　 ': :ﾚ'┘
　　　 　 |: :{＼ﾉ　　　　 　 　 　 '　　　　{: :|
　　　　　|: :＼: ｰﾍ.　　　　　　 　 　 　 ,' : |
　　　　　|: : : :Y⌒ﾞﾄ 、　 　⊂｀　 　　ｲ: : :|
.　 　 　 ,': : : /|　　|　 ＞　　__ , イ　 .|l : : |
　　 　 /: : : /│　 |　　　　　 /: : | 　 |: ∧|




　　　 　　　　 ／￣￣＼
　　 　　 　 ／　_ノ　ヽ_　＼
　　　　　　 | 　（●） （●） |
　　 　 　　 |　　（__人__） 　|　　　　その辺のところはわからないが、心配はいらないよ。
　　　 　 　 |　 　 ｀⌒´　　|
　　　　　　 |　　 　　　　　}
　　　　　 　ヽ　　　　　 　.}
　　　　 　__,_,,.ヽ＿　　　ノｰ- ､
　　　　 ハ　　/ 　Ｖ又ｲ ::::〉::::::i:
　　　　 }　ヽ 〈　　 l |;;|ﾉ　/::::::::::i 　-,,_
　 r iY'ﾉ.;;　 }::ヽ　　l|;;|　/::::i::::::::}‐　|　||
　.|| | ﾉ:::: 　 }:::::::＼|;;;ﾚ'ｰ'' ⌒.:::: ヽ |　||
　.|| | {,,;;;; .:::: ヽｰ---ｹﾄ､, へ､:::: 　 |　||
―──.::::::::::::ノ.:::/　/　　　彡}――─────
　　　　 "￣｀ﾞﾞ ''ｰ-､'ー----'

2609．

　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　　|　　　 （ ●）（●）
　　　　　　　　　　|　　　　 （__人__）　　　　　エデ、あの男はわたしに何もできはしないのだ。
　 　 　 　 　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
　 　 　 　 　 　　　 |　　　　　　 　 }
　 　 　 　 　　　 　 ヽ　　　　　 　 }
　　　　　　　　　　　 ヽ､.,＿＿ __ノ
　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､
　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::＼:::::ﾞ､|||:::/::::::::::|:::



　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　／　　 ヽ_　　＼
　　　　　　　|　　　 （⌒ ）（⌒）
　　　　　　.　|　　　　 （__人__）
　　　　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　心配しなくてはならなかったのは、相手があの男の息子だったときなのさ。
　　　　　　.　 |　　　　　　 　 }
　　　　　　.　 ヽ　　　　　 　 }
　　　　　　　　 ヽ 　　　　　ノ
　　　　　　_,,,,ノ|､￣／/／/ ＼、
　　_,,..r''''"/　|　＼`'／　 /　 | ￣`''ｰ-､
　 / 　 　 /　 |　 ／＼　 / ／　　 　/　ヽ
　ﾉ　|　　＞　|／）::::/＼/　＼ 　　ノ　／}
　{ 　 |　{　　 | ,r":::ヽ　/ 　 /　　/　// ハ

2610．

　　　　|　 |　 |　ﾊ＿＿ﾘ＿＿ﾊ　 V　 |!
　　　 ,'|　 |,.-'"＿_ノ　　　ヽ､＿ ヽ|!　 |!
　　　 |',　 |　＿＿､　　　　 ,＿＿　|　,'|
　_,.-"| ',ヽ| ´弋_:ソ　　　　 弋:ソ　ﾘｲ ト､＿,
＼＿イ|ヾ|` 　￣　　　l　　　 ￣　 /} } ト､＿/
　　　 ', ヽ-',　　　　　　　　　　　　/_ノ/
　　　　|　| ﾊ　　　 ⊂ニ⊃　　　 //　|　　　　　ですから、わたくしとっても心配しましたのよ。
　　　　|　ﾄ､ ﾍ　　　　　　　　　,ｲ　, 　|
　　　　|　| }ー| ＼　　　　　ィ´ }-/ 　 !
　　　　|　| ',　 ',　|　` ー　　|､/ /|　　|
　　　　|　|　 ',　! `ー┬┬‐'"　/ |　　|
　　　　|　|-'"|⌒!二二{::}二/⌒|ヽ、　|
　/｀ヽ＿,|＿_|　 |ｧ　/　 ＼|　　ト､|ー-､＿,、




　　　　　　　　　　　　 　.／￣￣＼
　　　　　　　　　 　 　_ノ　　ヽ,_　.　＼
　　　　　　　　　　　 （●）（● ）　　　|
　　　　　　　　 　　　（__人__） 　　　　|　　　　　わたしの親父の墓にかけて誓おう。
　　　　　　　　　　　 ヽ｀⌒ ´　　.　　 |　　　　　万一不幸なことが起こるにしても、それはわたしのほうではない。
　　　　　　　　　　 　　{ 　 　　　 .　　i
　　　　　　　　　　 　　ヽ　　　　　　ノ
　　　　　　 　 　 　 　 　 ＞ー,-- ':;＼
　　　　　　　　 　 　 　 /:;:/ﾚ'／;:;:;:;;:;:;:＼
　　 　 　 　 　 　 　 　 {:;:〈／:;:;:;:;::;:;:;:;:;:;:;:;＼
　　　　　　 　 　 　 　 ∧:;:;:;:;:;:;;:;:;:;＼:;:;:;:;:;:;:;}
　　　　　　 　 　 　 ／:;:;:;〉:;:;;:;:;:;:;:;:;:;:;〉:;:;::;:;/
　　　 　 　 　 　 ／:;:;:;:;:/:;:;:;:;;:;:;:;:;:／:;:;:;:;:;/

2611．

　　　　　|::|: : : : : : : |:|: |:|: : :,:.-|: _|　　 !-!ー- ._|ー┘　└-ﾍ,: :|: :!: :|: : : : : : : :|:|
　　　　　|: |: : : : : : : |:|: i:|／　　´　、　　　　　　　 　 ,.　　　　ヽ《: : : |: : : : : : : |:|　　 , 、
　,、 　　 |: |:.: : : : : : | |/'　　　　　　＼　　　　　　 ／　　　　　　 ＼/: : : : : : : :|:|＞ ´　|
　| ＞-,__|: :||: : : : : : :i|　　　　　 ＿　　　　　　　　　　_ _.,　　　　 　7: : : : : :/: i::|　　 　 |
　|　　　　|: :i|: i: : : : : :|　彡≠＝=二ヽ　　　　　　　彡≡幵鬥ヾ　/: : : : : ::/|:/::|　　　 _|
　丶、　　|: : |: |: : : : : |　　{:::n::::ﾟ:ﾊ｀ゞ　　　　　　　 /´は:::::ﾟハ　/: ,: : : : :/》/: :|_ . ． ﾞ
　　　｀ー-|: : ill |: : : : :.|　 ゝ⌒)ノ;ﾉ　　　　　　　　　　ゞ勹ソ::ﾉ /:∥: : : :/ ∥: /
　　　　　　|:|: ||!丶 、: ::|　　弍::少,　　　　　　　　　　　辷ｘ夕 儿∥:. ≠　/:/:/
　　　　　　 W:ゝ　ミゝヽ!　　 ´￣´　　　　　　　　　　　　　　 　　 ￣.彡 ／:/|:}　　　その言葉を神様からのお言葉と
.　　　　　　 ||∨＼ '∧　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　 / ／: : /: ||　　　思って、信じます。
　　　　　　　|: ∨: ::ーﾍ.　　　　　　　　　　　 !　　　　　　　　　　 /-': : : :/: ::i|
　　　　　　　|: ::∨ ____ ∧　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　 /:|: :_: :/: : : i
　　　　　　　|: : :「　 　 |. 丶　　　　　　 f￣￣￣｀!　　　　　　／: :i ￣ |: : : : |
.　　　　　　 |: : : |　 　 |: : : :＼　　　　 丶 ー一'ノ　　 　　 ／: : :::|　 　|: : : : |
　　　　　　 |: : |∧　　 |＜へ／ヘ、　　　 ￣￣　　　 　 イへ＞,┤　　|__: : : |
.　　　　　　」.∠´|　 　.|:::/´　　 丶｀ヘ . 　　　　　　＜　/　　 　》|　　 |:::::｀:ヽ!、
　　　 　 ／/::::::/　 　 |::/　　　　　ヽ　　 ｀ ー　´　　　　　　　　/:|　　 ∨:::::::::| ＼
.　　　／　 |:::::::|　　　/:::{　　　　　　!　　　　　　　　　　　　　　/::∧　　 ∨:::::::| 　 丶
　　 /　　　|:::::::|　　　|::::∧＼_　　　　　　　　　　 　 /　　　_イ|::::::∧　　　V:::/　　　 ヽ




　　　　　　　　　　　　　￣￣ 　 ､
　　　　　　　　 ´　　　　　　　　　 ＼
.　　　　 　 /　　　　　　　　　　　　　 ＼
　　　　　 /　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ヽ
　　 　 　 ｉ　　　　　　　　　　　　　　　　　丶　　　　　　ああ……（エデの額にキスをする）
　　 　 　 l　　　　　　 ／ ￣　　 　 　 　 　 丶
　　 　 　 |　　_＿　　 　 　 　 　 ヽ　 　 　 　 丶
　　 　 　 ヽ/ 　 　 　 　 ｉ　イ｀丶 l　　 　 　 　 丶
　　　 　 　 ヽ　　　　 ヽ ゝ _　　　　　　　　　　　 ',
　　　　　　　丶ｉ ｲ｀丶 l　 　 ｀ヽ 　 　 　 　 　 　 ヽ
　　　　　　　　 ゝ　　,　ヽ _　　丿　　　　　 　 　 　 ＼‐､-..､
　　　　　　　　　ヽ　 ゝ ﾉ , ‐ ´　　　　　　　　　　　 　 ソ:.:.:.:＼
　　　　　　　　　　ヽ　　´　 　 　 　 　 　 　 　 '　　　 /:.:.:.:.:.:／＼
　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　/　　 ／:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.ヽ､
　　　　　　　　　　　　 ＼　　　　　　　　　　/　 ／:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀ヽ､
　　　　　　　　　　　　 　 ヽ　　　　 　 　 ／　 /:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀ヽ､
　　　　　　　　　 　 　 　 　 ヽ　_＿　 ィ　　　/:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:

2612．


　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　　|　　　 （ ●）（●）
　　　　　　　　　　|　　　　 （__人__）
　 　 　 　 　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　神よ、このわたくしにまだ愛することをおゆるしになってくださいますか！
　 　 　 　 　 　　　 |　　　　　　 　 }
　 　 　 　 　　　 　 ヽ　　　　　 　 }
　　　　　　　　　　　 ヽ､.,＿＿ __ノ
　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､
　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::＼:::::ﾞ､|||:::/::::::::::|:::



　　　 ／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　 （ 一）（●）
　　|　　　　 （__人__）
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ　　　　モルセール伯爵を客間にお通し申せ。その間にエデを裏の階段に連れていくから。
　　 |　　　,.<))／´二⊃
　 　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉
''"::l:::::::/　　　 __人〉
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|

2613．

【モルセール視点：さらに少し前、モルセール邸】


　　　　　┃|
　　　　　┃|
　　　　　┃|￣￣￣＼
　　　　　┃| ⌒　　⌒ ＼　　　　　　　……
　　　　　┃|(● ） 　(● ）＼
　　　　　┃|　 　__´___　　　|
　　　　　┃|　　 `ー'´ 　／
　　　　　┃|　　　　　 ／
　　　　　┃|｛ヽ,__　　 ）



　　 　 　 　　　＿＿＿_
　　 　 　　　／　　　　　＼
　　 　　　／　　　　　　　　＼　　　　　息子はあの男を激しく侮辱した。
　　 　 ／　　＼　　　　／　　＼　　　　殺すか殺されるかの決闘をせずにはいられないほどに！
　　　 | 　 　（●） 　　（●） 　　|
　　　 ＼ 　　　　　´　　　u　／
　　　　／　　 　　⌒　　　　　＼

2614．

　　　　　　　　　＿＿＿
　　　　　　　／ ⌒　　⌒＼
　　　　　 ／　（⌒）　 （⌒）＼
　　　　／ 　 ///　__´__ /// ＼
　　 　 |　　 　　　 |r┬ |　　　　|　　　無事に帰ってきたということはアルベールが勝ったんですね！
　 　 　 ＼ 　 　 　 ﾞー' 　　　,／
　　　 　 /⌒ヽ　 　　　 　 　ｨヽ
　 　 　 / rｰ'ゝ　　　　　　　〆ヽ
　　　　/,ﾉヾ　,>　　　　　　ヾ_ノ,|
　　　　|　ヽ〆　　　　　　　　|´　|



　　　　　　　　　　　　(ヽ三/)　））
　　　　　　　　 ,＿＿＿ ( i)))
　　　　　　　／　　　　　＼　＼　　　　　さあ、アルベール、父さんの腕の中にカモンカモンですよ！
　　　　　 ／　　 ⌒　　⌒ ＼　）
　　　　／ 　 　 （＞） 　（●）ヽ
　　　　|　　 　//　　､__',_,　// |　=3
　　　　＼ 　 　 　 　　　　　,／
　　⊂ヽ γ　　　　　　　　　ヽ
　　i !ｌ ノ　ﾉ　　　　　 　 　 　 !
　　⊂ｃノ´

2615．


　 　　 ＿_＿__　　　　　━┓
　　 ／　―　　 ＼ 　　 ┏┛
　／ノ　　( ●)　　 ＼　 ・
.｜ ( ●)　 ,　　 　　　|
.｜　　　　　　　　 　 /　　　　　　……あれ、来ない？
.｜ 　　　　　'~　　　/
　＼＿　　　 ⊂ヽ∩＼
　　　/´　　 　 (,＿ ＼.＼
　 　 |　　/　　　　　＼＿ﾉ



　　　 　　 ＿＿＿_
..　 　　 ／　　 　 　＼
　 　 ／　　─　 　 ─＼　　　　　　出かける前にわたしに会いに来なかったのはわかる。
　 ／ 　　 （●） 　（●） ＼　　　　けれど、決闘に勝ってわたしの名誉をすすいだ今、
　 |　　　　　　　 ' 　　　　　|　　　どうして父の腕に飛び込んでこないんでしょう？
　 ＼　　　　　　⌒　　　／
. 　/⌒ヽ　 　　　 　 　ｨヽ　　　　フロランタン！フロランタンはいますか？
　/ 　　　 　,⊆ニ_ヽ、　 |
./　 　 ／　r─--⊃、 　|
|　ヽ,.ｲ　　 ｀二ﾆﾆうヽ.　|

2616．

　　　　　　　　　　　 /　　//　　　/ /　/　　　　l　　　|　| l
.　　　　 　　　　　　/ /　//　　　/ /　/　 l　 |　| |　　|　|　|
　　　　　　　　　　/ /　ノ／ |　/／-'/＿/ ,ﾉ|　|ゝ- /　|　 |
　　　　　　　　　/／　 /　／|　|,ｲｰっｧ─'　 ゝ十L/　 /　 |
　　　　　　 　 ／/　ｲ/／　r|､ |. |:ﾈy 　　　　|::ﾈy' l| |/　|､ |
.　　　　　　　 　/／/　／　ヽj ､i ｰ-'　　　　　ｰ-'　ﾚ|/　/ ヽ|
　　　　　　　　　　/ ／|　　/ ｰ､ヽ　　　 ,　　　　　/7'　./
　　　　　　　　　／　∠ｲノ　　| ヽ､　　　＿　　 ／　 //　　　　あの、大旦那様……実はかくかくしかじか。
　　　　　　　　　　　　　　//／|／| ヽ､　__　 ／　ﾉ／/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　r--l　　　　　|ヽ'
　　　　　　　　　　　　　　　　,,／　　ヽ　　　 /　 ヽ--､
　　　　　　　　　　　＿ -- '' r＝─i､__＼ ／＿_ ／＼　＼
　　　　　　　　　／　　　　ヽ､二二二==ｧｩ'　 /_　　　 >　 　 　ー､
　　　　　　　　 /ヽ　　　　　　_ゝｰ--',／|　　./　ー-_'　　　　　　　ヽ
.　　　　　　　　l　　l　　　　／　￣￣|.　 |｡　/　　　　7　　　　　 /　 l
　　　　　　　　|　　 |　　　　＼　　　 .l　 ﾚ　/　　　　/　　　　　 /　　|
　　　　　　　　|　　　|　　　　　＼　　 l　l　/　　　 ／　　　　　 .l　　　|




　　　　　　　　 ＿＿＿_　　　　　l＿
　　　　　　　／　　　ｕ　＼　　　　／　
　　　　　 ／　　＼　　 ／ ＼　　 ＞　　　　　！！
　　　　／　Ｕ　（○）　 （○） ＼　＼
　　　　|　　　　ｕ　 __´,_　　Ｕ　|
　 　　　＼ｕ　　　 /__/　　　／

2617．

【モルセール視点：モルセール邸前に止まった馬車】


　 　 　 　　　＿＿＿_
　 　 　　　／::::::::::::::::::＼
　 　　　／::::－::::::::::::－:::＼
　 　 ／　（ ○ ）:::::（ ○ ）　＼　　　　　　　シャン・ゼリゼーへ！
　　 |　　　　:::::::__´___:::::::　　　|
　　　＼ 　　 :::::::::::::::::::: 　　／
　　　　/　:::::::::::::::::::::::::::::::　＼
　　　...|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |



　　　　 ／.:￣￣￣￣￣ ＼
　 　 ／: : :　　 　 　 　 　 　 ＼
　 ／: : : :　　　　　　　 　 　 　 ＼
／: : : : : :　　　　 　 　 　 　 　 　 ＼
: : : : : : : :.._　　　　　　　　_　　　　　 ＼　　　　　
: : : : : : : ´⌒＼,, ;、､､／⌒｀　　　　 　 l　　　　　モンテ・クリスト伯爵邸だ！急げ！
: : : : ::;;（　○ ）::::ﾉヽ::::::（ ○　）;;:::　　 　|
: : : : : : ´"''",　　　 　 　"''"´　 　　　 　l
: : : : : : . .　　　　　 ゝ　　　　　　　　 ／
＼: : : : : : :.　　ｰ--- ‐'　　　　 　 ／.
／ヽ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : イ＼
: : : : : : : : : :.｀`ｰ- -‐'"´　　　 　 　 ＼
: : : : . : : . : : .　 　 　 　 　 　 　 　 　 　＼

2618．

【モルセール視点：モンテ・クリスト伯爵邸】


　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　　|　　　 （ ●）（●）
　　　　　　　　　　|　　　　 （__人__）　　　　これはこれは、モルセールさん。
　 　 　 　 　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　てっきり聞き違いではないかと思っていました。
　 　 　 　 　 　　　 |　　　　　　 　 }
　 　 　 　 　　　 　 ヽ　　　　　 　 }
　　　　　　　　　　　 ヽ､.,＿＿ __ノ
　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､
　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::＼:::::ﾞ､|||:::/::::::::::|:::




　　　　　　　　 ＿＿＿_
　　　　　　　／　　　　　＼
　　　　　 ／　 ＼　　／　 ＼　　　　　　　　まさに私です。
　　　　／　　（●）　 （●）　 ＼　　　　　　あなたは今朝、息子と決闘なさいましたな？
　 　 　|　　 　　　__´___　　　　 |　　　　
　　　　＼ 　 　　'ー一` 　 　／
　 　 　 ／　　 　 　 　 　　　 ＼

2619．

　　　 ／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　 （ 一）（●）
　　|　　　　 （__人__）　　　　　　ところが、決闘なさらなかったんですよ。
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ
　　 |　　　,.<))／´二⊃
　 　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉
''"::l:::::::/　　　 __人〉
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|



　　　　　　　　　 ,.．¨￣￣¨丶
.　　　　　　 　 /　　　　　　　　＼
　　　　　　　 / ⌒、:::::::　　　　　 ヽ,　　　　　　　どうせ、あなたが謝ったり言い訳をしたりしたのでしょう？
　 　 　 　 　/（ ○）::::::::::::⌒　　　　..i
.　　　 　 　 i 　 　　:::::　（ ○）　 　　 |
　　　　　　　＼　　´　　 　　　 　 　 /
　　　　 　 　 　 ＼ ⌒　　　　.＿_／
　　　　　　　　　 /　　　　　　　　＼

2620．

　　　　　　　　 　 　 　 ￣　 　 ､
　 　 　 　 　 　 ´　　　　　 　 　 ＼
　　　　　／　　　　　 　 　 　 　 　 ヽ
　 　 　 /　　　　　　　　　　　､＿　　ヽ
　　　　'　　　　　　　　　　　　　　 ｀　､ヽ
　　　 l　　　　　　　　　　　　　　,‐-,.._ ゞ
.　　　l　　　　　　　　　　　　　　l　弋心 l
.　 　 l　　　　　　　　　　　　　　冫.ー　く
　　　l　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　ﾉ!　　　　　　いいえ、御令息が詫びをなさいました。
　　　l　　　　　　　　　　　　　　 ｀ー‐ f ｒ'　　　　　　この件について、私以外に
　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾉ'　　　　　　　　さらに罪せらるべき人がいるとお考えになったのでしょう。
　　　!　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /
　　 ,'　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /　　　　　　　　　つまり、御令息の父上です。
￣　｀ー -　　　　　　　　　　 　 　 /
　　　　　　　 ｀　 ､　　　　　　　　/
:.:.:.:.:.:...　　　　　　　　､　 　 　 ／
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..　　　　　　.:.:ヽ _　´
ー-　:.:.:.:.:.:.:.:..　　　..:.:.:.:.:.:ヽ
　　　 ｀　､:.:.:.:.:.:.:...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
　　　　　　　..:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ




　　 　 　 　　　＿＿＿_
　　 　 　　　／　　　　　＼
　　 　　　／　⌒　　　⌒::::＼　　　　　　　　わかりました。
　　 　 ／ 　 （●）}ili{（●）::::::＼　　　　ところで、罪ある者は自らの罪あることを認めないものでしてね。
　　 　|　　　　 　 __´___　　　:::::::|
　　　　＼ 　　 　 `ー'´　 ...:::::／

2621．

　 　 　 　　　＿＿＿_
　 　 　　　／::::::::::::::::::＼
　 　　　／::::－::::::::::::－:::＼
　 　 ／　（ ○ ）:::::（ ○ ）　＼　　　　　　　それにしても、不倶戴天の敵が目の前に居ながら
　　 |　　　　:::::::__´___:::::::　　　|　　　　　　　戦わずして止めるなんて、なんと卑怯な！
　　　＼ 　　 :::::::::::::::::::: 　　／
　　　　/　:::::::::::::::::::::::::::::::　＼
　　　...|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |




　　　　, r ' ⌒ ヽ､
.　　／　　　　　　 ヽ,
　 /　　　　　　,，ヽ､_ヽ
.　|　　　　__,ノ 彡（○ ）
　 |　　　（○　） 彡　　|　　　　　　アルベール君はけっして卑怯者ではありません。
. 　|　　　　　　　　入,__）　　　　　それより、そういう御家庭内のいざこざをお聞かせに
　　|.　　　　　ﾞ'ｰ'´　　　　　　　　わざわざいらしたのではないでしょう？
.　　|　　　　　　ﾞヽ､__ﾉ
　　 ヽ､　　　　　　　ﾉ＼.
　　／::ヽ､＿　　 ／ﾉ:::::|
.　/:::::::,::::＼ゝ､◇ノ::::i:::|
.　|:::::::::|:::::::::＼¶/::::::::|:::|
.　|:::::::::|::::::::::::::::|::::::::::|:::|
.　|:::::::::|::::::::::::::::|::::::::::|:::|

2622．

　　　　 ／.:￣￣￣￣￣ ＼
　 　 ／: : :　　 　 　 　 　 　 ＼
　 ／: : : :　　　　　　　 　 　 　 ＼　　　　　　　　　そうでした！
／: : : : : :　　　　 　 　 　 　 　 　 ＼
: : : : : : : :.._　　　　　　　　_　　　　　 ＼　　　　　　わたしもあなたを敵だと思っていると申し上げに来たのでした！
: : : : : : : ´⌒＼,, ;、､､／⌒｀　　　　 　 l　　　　　　本能的にあなたが嫌いなのだと申し上げに来たのでした！
: : : : ::;;（　○ ）::::ﾉヽ::::::（ ○　）;;:::　　 　|
: : : : : : ´"''",　　　 　 　"''"´　 　　　 　l　　　　　そして、最近の若者は決闘をしなくなっているので
: : : : : : . .　　　　　 ゝ　　　　　　　　 ／　　　　　　代わりにわたしとあなたが決闘をしようではありませんか！
＼: : : : : : :.　　ｰ--- ‐'　　　　 　 ／.
／ヽ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : イ＼
: : : : : : : : : :.｀`ｰ- -‐'"´　　　 　 　 ＼
: : : : . : : . : : .　 　 　 　 　 　 　 　 　 　＼




　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　　|　　　 （ ○）（○）　　　　　　　いいでしょう。
　　　　　　　　　　|　　　　 （__人__）　　　　　　　どちらかが命を落とすまで、ですな？
　 　 　 　 　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
　 　 　 　 　 　　　 |　　　　　　 　 }
　 　 　 　 　　　 　 ヽ　　　　　 　 }
　　　　　　　　　　　 ヽ､.,＿＿ __ノ
　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､
　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::＼:::::ﾞ､|||:::/::::::::::|:::

2623．

　　 　 　 　 　 　 ＿＿＿
　　　　　　　　／　　 　 　＼
　　　　　,---､　　＼　 　 ／＼　― 、
　 　　　.l　　　ｌ　 （●） 　（●） ＼　 |
　　　　 .|　　　|　 　 　　'　　　　　|　 |　　　　　もちろんです。
　　　　 .|　　　|　　　|!!il|!|!il|　　／　/　　　　立会人はいりますまい。
　 　　　　ゝ　　　　　|ｪｪｪｪ|　 　　ノ
　　　　　　＼　　　　　　　　　 ／
　　　　　　 /　　 　 　 　 　 　 |
　　　　　　/　　　　 　 　 　 　 |




　　　　　　　　 　 　 　 ￣　 　 ､
　 　 　 　 　 　 ´　　　　　 　 　 ＼
　　　　　／　　　　　 　 　 　 　 　 ヽ
　 　 　 /　　　　　　　　　　　､＿　　ヽ
　　　　'　　　　　　　　　　　　　　 ｀　､ヽ
　　　 l　　　　　　　　　　　　　　,‐-,.._ ゞ
.　　　l　　　　　　　　　　　　　　l　弋心 l　　　　　ええ、よく知り合った仲ですから。
.　 　 l　　　　　　　　　　　　　　冫.ー　く
　　　l　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　ﾉ!
　　　l　　　　　　　　　　　　　　 ｀ー‐ f ｒ'
　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾉ'
　　　!　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /
　　 ,'　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /
￣　｀ー -　　　　　　　　　　 　 　 /
　　　　　　　 ｀　 ､　　　　　　　　/
:.:.:.:.:.:...　　　　　　　　､　 　 　 ／
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..　　　　　　.:.:ヽ _　´
ー-　:.:.:.:.:.:.:.:..　　　..:.:.:.:.:.:ヽ
　　　 ｀　､:.:.:.:.:.:.:...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
　　　　　　　..:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ

2624．

　　　　　　　　　 _.. ‐'''''''''''' ‐ ､
　　　　　　 　 ,ｒ'　　　　　　　　＼
　　　　　　　 / ⌒、:::::::　　　　　 ヽ,　　　　　　いいえ、知り合った仲でないからこそです。
　 　 　 　 　/（ ○）::::::::::::⌒　　　　..i
　　　　　 　 i.　 　　:::::　（ ○）　 　　 |
　　　　　　　＼　_´_＿　　　　 　 　 /
　　　　 　 　 　 ＼ ￣　　　　.＿_／




　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,, -‐ ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　/'　　　 ヽ
　　　　　　 ／￣￣＼ 　　　　 ./　　　　　 i
　　　　　／ ._ノ　　ヽ､＼ 　　 /　　　 ...........i　　　　おや？あなたはワーテルローの戦いの前に
　　　　　|　 （●）（●）　|　　/　　 ..:::::::::::::::|　　　　隊を脱走した兵のフェルナン君ではありませんか？
　　　　　|　　（__人__）　 | 　/　　..::::::::::::::::::l
　　　　　.|　　 ｀ ⌒´　　.} ./　　..::::::::::::::::::::!　　　あなたはスペインに攻め込んだフランス軍のために
　　　　　 |　　　　　　 　 }/　　.::::::::::::::::::::/　　　　道案内やスパイをしたフェルナン中尉ではありませんか？
　　　　　 ヽ　　　　　　 ./　　 .:::::::::::::::::::/
　　　　　　.ヽ　　　　. .／　　.:::::::::::::::::::/　　　　　あなたは、恩人のアリを裏切り、敵に売り渡し、
　　 ,. ‐'"´　 `'‐,r''"~　　　.:::::::::::::::::／　　　　　暗殺したフェルナン大佐ではありませんか？
..:.／,. -‐‐- ､　l′　　 　 ..:::::::::::::／|
:,'　　　　　　／　　　　 　 !.:::::::／:i..:..l　　　　　　そうした結果、フランス貴族、陸軍中将、
r　　　､　 / 　 　 　 　　　 !:::::::::::　i..:..i　　　　　モルセール伯爵になったのではありませんか？
l　　.......`:i　　　 i 　 　 　 　 !::::::::::　ﾞ､:.i
!　 ::::::::::/　　　　i　　　　　　 i::::::::::　ヽ:i
.!　::::::::/　　　　　i　　　　　 .....i:::::::::::　ヽ
.ヽ ::::::|　　`､　　 `､　 .....::::::::::::l:::::::::::: 　`,
/ ＼:::l.　　 `､　　　ヽ::::::::::::::::::::l::::::::::: 　/'''ー─----､
　　　`ヽ　　 `､　　.::::＼:::::::::::::::|:::::::::　/,,　　　,. ‐;''

2625．

　　　　 ／.:￣￣￣￣￣ ＼
　 　 ／: : :　　 　 　 　 　 　 ＼
　 ／: : : :　　　　　　　 　 　 　 ＼　　　　　おお、おれの命を絶つかもしれないようなときに
／: : : : : :　　　　 　 　 　 　 　 　 ＼　　　　わざわざ俺の恥を洗いたてるつもりか！？
: : : : : : : :.._　　　　　　　　_　　　　　 ＼
: : : : : : : ´⌒＼,, ;、､､／⌒｀　　　　 　 l　　　　　ならお前はどうなんだ！
: : : : ::;;（　○ ）::::ﾉヽ::::::（ ○　）;;:::　　 　|
: : : : : : ´"''",　　　 　 　"''"´　 　　　 　l　　　　　モンテ・クリスト伯爵？船乗りシンドバッド？
: : : : : : . .　　　　　 ゝ　　　　　　　　 ／　　　　　　いや本名だ、お前の本名を名乗るがいい！
＼: : : : : : :.　　ｰ--- ‐'　　　　 　 ／.　　　　　　　お前の心臓にぐさりとお見舞いしながら呼んでやる！！
／ヽ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : イ＼
: : : : : : : : : :.｀`ｰ- -‐'"´　　　 　 　 ＼
: : : : . : : . : : .　 　 　 　 　 　 　 　 　 　＼




　　　　　 　 　 　 　 ‐――――‐‐ ､
　　　　　　　　 ／　　　　　　　　　　 ＼
　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　 ＼
.　　　　 　 /　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ
　　　　　 /　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ｉ
　　　　　 |　　二二二二 三 二二二二　 　 ｉ
　　　　　 | 　 ― ― ― ＝＝ ― ― ― ‐　 |　　　　　　！
　　　　　 l　　 _＿＿ ノ　　 　 ^ー―－　　　|
　 　 　 　 l 　 / 　 　 ヾ≧=≦Ｙ　　　 ヽ　　 l
　　　　　　!　 |　{:::::::}　| }llllllll{ |　{::::::}　|　　 l
　　　　　　l. 　ヽ　,　　彡!!!!!!ゞﾐ､　 　 /　　 '
　　　 　 　 ',　　 /　　　　|　　　 ヽ　　　　/
　　　　　　　ヽ　 ゝ ＿ ／＼ ＿ ﾉ 　 　 /
　　　　　　　　ヽ　　 ｀ ー―― ´　　 　∧__
　　　　　　　　　＼　　　　　 　 　 　 ／ / 〉::｀丶、
　　　　　　　　　／＼　　 　 　 　 ／ 　/ /::::::::::::::丶、
　　　　　　　 ／:::::l　　ー――‐ ´　 ／ /:::::::::::::::::::::::｀丶 _
　　　　　-‐::::::::::::::l　　　　　　　　／　 /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::

2626．


　　　　　　 　　,＿＿＿
　　　　　　　／　　　　　＼
　　　　　 ／　　＼　　 ／ ＼
　　　　／ 　 　（●）　（●）　＼　　　　　　おい、どこに行く！？
　　　　|　　 　　　　___'___　　　 |
　　　　＼ 　 　 　　|il!|!il|　　／
.　　　 　 /⌒～"￣,￣￣〆⌒,ﾆつ
　　　 　 |　　,＿_＿ﾞ＿__､rヾｲｿ⊃
　　　　　| 　 　 　 　 　 　｀l￣
.　　　 　 |　　　　　　　　　 |



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｺﾞｿｺﾞｿ､ｶﾞﾁｬ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　 　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　|　　　 （ ●）（●
.　　　　　　　　　|　　　 　 （__人__）
　　　　　 　 　　 |,　 　　 　｀ ⌒´ﾉ
　　　　　　 　　 │ 　　　　 　　 ｝
　　　　　 　　　　 ヽ､　　　 　　ｿ
　　　　　　　 　 ｲ斗┴r┐｀ .;
　　　　／￣`ーゞ､　 /　|__ 〈ー─r､
　　　/　　　　　＼ ∨＼ 　|,ベ._ /　|
　　 ｛　　　 . : : : . ヽ＞ｰ＼[￣{ 〉＼|､_
　　　| 　 　 　　 ｀丶}＼　 __＼_]~∨'＼｀ヽ
　　　:|　　　._　　　　＼_}/r‐-}＼　ﾞ,`''く l　ﾞ,
　　　 ﾄ､: :./ ／￣｀` ぐ└f'二）::{　 ',　 | !,ゞ┐
　　　 `､∨ ´　,.､-''"~￣}_｛‐''く:::{_　 ', _|_|_,rｰ'､_
　　　　 }｛　／　_､-'''"~￣{_＼;;;;;ｊ;＞＜;:::::＼:::ﾍ}＼
　　 　 　}∨: ／　　_､-''ﾞ~￣￣　　　　　＼::::},之_　ヽ

2627．

　　 　 　 　 　 　 ＿＿＿
　　　　　　　　／　　 　 　＼
　　　　　,---､　　＼　 　 ／＼　― 、
　 　　　.l　　　ｌ　 （●） 　（●） ＼　 |
　　　　 .|　　　|　 　 　　'　　　　　|　 |　　　　　船乗りの格好？何を……
　　　　 .|　　　|　　　|!!il|!|!il|　　／　/
　 　　　　ゝ　　　　　|ｪｪｪｪ|　 　　ノ
　　　　　　＼　　　　　　　　　 ／
　　　　　　 /　　 　 　 　 　 　 |
　　　　　　/　　　　 　 　 　 　 |



　　　 　 　　　　　　＿＿＿_
　　　 　　　　　　／ノ 　 ヽ､_＼
　　　　　　　　／（ ○）}liil{（○）＼
　　　　　　 ／　　 　 ＿´＿　　　　＼
　　　　　　 |　　　ヽ　|!!il|!|!l|　/　　　|
　　　　　　 ＼　　　　|ｪｪｪｪ| 　 　 ／　　　　　　　　　え？あ、あああああっ！？
　　　　　, -‐ (_).ヽ　 　ー‐ 　 　ｨヽ
　　　 　 ｌ_ｊ_ｊ_ｊ と)　　　　　 　　　　i
　　　　　 ￣`ヽ　　　　　ﾉ 　　　|　l
　　　　　　 /´ 　ヽ　　　　　　　 |　l
　　　　　　 l　　　 |　　　　　　　ヽ_⊥-‐　､
　　　　　　 ヽ　　_,l- ､　　 　 ￣／　　　　 ｌ
　　　　　　　 ヽl´　　 |＿　 ／￣ `l_-‐　´
　　　　　　　　　`-‐´　　￣ヽ --‐'

2628．

　　　　　 ／￣￣＼
　　　　／　　　 _ノ　＼
　　　　|　　 　（ ●）（●）　　　　　フェルナン！
　　　 ｜　　　　 （__人__）
　　 　 |　　　　 　|r┬| .}　　　　　おれの名乗っている幾百の名前の中で、
　 　　 | 　 　　　 |　| | }　　　　　お前を叩きのめすにはただ一つだけで十分なのだ。
　　 ,..-'ヽ　　 　　｀ﾆﾆ }
　 ./::"::::`ヽ､.,＿＿ __ノ ﾞ
　/::i::::::::::::"'弋'!ｰ',イ>|'_ノ´｀ｰ -,,＿ _
. }:::ﾞ|::::::::::::::::::::~ﾞ:_戈;f"　 、　　　 ｲ/ `i
/:::::::!;:::::::::::::::::::/',r.ﾃ　　　 ＼xｰ.ｫ､__ノ
::::::::::::ヾ!:::::::::::::l .l r'　　 `　､_冫y"
:::::::::::::::::＼o:::::l .ﾄ、　 ヽ,＿ﾉ"ｰ'
:::::::::::::::::{::::{＼代 l>ｰ､,_ノ



　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,, -‐ ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　/'　　　 ヽ
　　　　　　 ／￣￣＼ 　　　　 ./　　　　　 i
　　　　　／ ._ノ　　ヽ､＼ 　　 /　　　 ...........i
　　　　　|　 （●）（●）　|　　/　　 ..:::::::::::::::|
　　　　　|　　（__人__）　 | 　/　　..::::::::::::::::::l
　　　　　.|　　 ｀ ⌒´　　.} ./　　..::::::::::::::::::::!
　　　　　 |　　　　　　 　 }/　　.::::::::::::::::::::/
　　　　　 ヽ　　　　　　 ./　　 .:::::::::::::::::::/　　　　　思い出しただろうな？
　　　　　　.ヽ　　　　. .／　　.:::::::::::::::::::/
　　 ,. ‐'"´　 `'‐,r''"~　　　.:::::::::::::::::／　　　　　お前が妻をめとって以来、
..:.／,. -‐‐- ､　l′　　 　 ..:::::::::::::／|　　　　　　おれの婚約者である妻をめとって以来、
:,'　　　　　　／　　　　 　 !.:::::::／:i..:..l　　　　　　幾度も夢に見た顔に違いなかろう！
r　　　､　 / 　 　 　 　　　 !:::::::::::　i..:..i
l　　.......`:i　　　 i 　 　 　 　 !::::::::::　ﾞ､:.i
!　 ::::::::::/　　　　i　　　　　　 i::::::::::　ヽ:i
.!　::::::::/　　　　　i　　　　　 .....i:::::::::::　ヽ
.ヽ ::::::|　　`､　　 `､　 .....::::::::::::l:::::::::::: 　`,
/ ＼:::l.　　 `､　　　ヽ::::::::::::::::::::l::::::::::: 　/'''ー─----､
　　　`ヽ　　 `､　　.::::＼:::::::::::::::|:::::::::　/,,　　　,. ‐;''

2629．


　　　　　　　　　　　．．．..．．．.
　 　 　 　 　 　 ..：, -─‐──‐-､：..
　　　 　　　　.：／ 　 　 　 　 　 　 ＼：:　　　　
　　 　 　 　：／ ;　　　　　 　 　 　 　 ヽ.：
　 　 　 　 ：l　　U　　　 　 　 　 　 　 　 l：　．．．..　　　　　　　……エドモン・ダンテス！！
　　 　 　 :：|　　　　　 ,　、　　　　 ;　 　 |⌒´⌒｀ヽ、．
　　　 　 　：!、　　_ノ"　"ヽ､__　　∪　　　　　　　　 ＼：
　　　　　　 ¨:ヽ｡(（◯）　 （◯）｡)::　 /⌒ﾞ`　　　　　　 l：:
　　　　　　　　:/ヽ~ﾟ　__´___~　__ ,ノ|　　 　 ,　　　　　 |：
　　　　　　　：/　　　/`:j⌒:｡´　　　|.　　　 |　 　 ,　　 !：
　　　　　　 ：/　　　/　 ;　　| `ー-,,,|"　　　|___,ノ　　 |：
　　　　　..：/　　　/　 　 ﾟ　.|　　　　|　　　　|　　　　 ,lｰ─- ､．
　　 　, --‐-ｰ､_ /　　　　゜ l　　 　 ,|　　　　|　　　,／　）　　 ）：
　　 く / /　ｧ- ,ﾉ　　　　｡　 ＼ノ＾ﾉ^／⌒ヽ.j＼　　 ／＾ｰ-‐'
　　　 `ｰ' ｰ´￣　 ~τﾟυ'゜~ (_イ_,ｲ､_,ｨ'´__/　　￣




　　　　　　　　　　　　 ＿＿＿　　　　　　　　　　ﾀﾞｯ
　　　　　　　　　　　／　ヽ 　/ ＼
　　　　　　r⌒ヽ ／ ;;（ ＞）　（＜）
　　　　　 / /＼ .|　l|lii!::::::　__´,_　::i
　　　　 〈__/　　｝|　::::::u;　/　 / ;::::|
　　　　　　　　 / ＼ 　 　 ｀⌒´_／　　　　　　　　　　邸へ……邸へ……！
　　　　　　　 /　　　　　　 　 　 ＼
　　　　　　 /　　　　　　／￣￣ヽ ）
　　 ＿　　r　 ／⌒ヾ／　　　／／
　 "ヽ |　　i,　　　　　i　　　　(_ノ
　　　 | ヽ/ ヽ､_/ 　/::::::::::::::::::::::::::
　　　 ヽ､_／　/ ／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　 (／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::

2630．

【モルセール視点：モルセール邸】


　　　 　 　　　＿＿＿_
　　　 　　　／ノ 　 ヽ､_＼
　　　　　／（ ○）}liil{（○）＼　　　　　　（あ、メルセデス、アルベール！？）
　　　 ／　　 　 ＿´＿　　　　＼
　　　 |　　　ヽ　|!!il|!|!l|　/　　　|
　　　 ＼　　　　|ｪｪｪｪ| 　 　 ／


　　　　　┃|
　　　　　┃|
　　　　　┃|￣￣￣＼
　　　　　┃| ⌒　　⌒ ＼　　　　　　　……思わず隠れてしまった。
　　　　　┃|(● }liil{● ）＼
　　　　　┃|　 　__´___　　　|
　　　　　┃|　　 `ー'´ 　／
　　　　　┃|　　　　　 ／
　　　　　┃|｛ヽ,__　　 ）

2631．

　 　　　　　＿＿＿_
　　　　　／⌒　　⌒＼　
　　　 ／（ ●） 　（●）＼
　　／::::::⌒（__人__）⌒:::::＼　　　　　さ、母ちゃん行きますお。（メルセデスを支えて歩く）
　　|　　　　　|r┬-|　　　　 |
　　＼ 　　 　 `ー'´ 　 　 ／



　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　,. -'"´　　　　　　｀¨ー ､
　　　　　　　　 　 ／　　　　　　　　　　　　ヽ　ヽ、
　　　　　　　 ,,.-'"　　 　　　　　　　,,.-'"｀　　　　　ヽ、
　　　　　　/　　　 　 　　､＿_,,.-='､':'"　　　　　　　　ヽ、　　　　もう、ここはアルベールたちの家じゃないんですお！
　　　　　　i へ＿__, 　　　"　ﾞ.ﾞ､;;;;::',ﾉ 　　　　　　　　　　 ヽ
　　　　　 ./　i ﾞ:;;;;;,:〉　　　　　｀''''''"　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　/ .　ﾞｰ-''"　　　　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　i
　　　　 /　　　 i　　　人　　　　 ノ　　　　　　　　　　　　　　　l
　　　　,'　　　　 ' ,_,,ノ　 `─-‐' ヽ　　　　　　　　　　　　　　　/
　　　　i　　　　　　｀､　 _y──‐ l　　　　　　　　　　　　　 　 /
　　　　',　　　　　　　ｉ_/　 / ＿ '　　　　　　　　　　　　　 ／
　　　　 ヽ、　　　　　　￣￣　　　　　　　　　　　　　　　/
　　　　　　ヽ､_　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／
　　　　　　　　 ｀¨i　　　　　　 　　　　　　　　　 　 　 ヽ
　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ヽ
　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ

2632．

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾊﾞﾀﾝ!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| |　　＿＿＿＿__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| | ／　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| |＿　 (● ）　（● ）＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| |＿）　 U　__´___U　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| |（⌒ヽ 　　`ー'´　　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| |:::ヽ　　､::::　　 　::::<
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| |:::　 ヽ ＿＿　　　 ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| |



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾋﾋｰﾝ!
　　 　 　 　 ／￣￣￣ ＼
　　　　　 ／　　 :::::＼:::／＼
　　 　 ／　　 　｡<一>:::::<ー>。
　　 　 |　　　　.:::｡ﾟ __　´　_~ ﾟj　　　あ、ああ……
　　 　 ＼、　　　゜　　￣　,;／゜
　　　　／　 ⌒ヽﾟ 　'"'"´(;ﾟ　｡
　　　/　,＿ ＼　＼／＼ ＼
　 　 と_＿＿）_ヽ＿つ_;_ヾ_つ.;.

2633．

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　/　　　　　　　　　　　　ﾍ　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　／　　　　　　　　　　　　　　＼　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　／　　.‐''~＿　　　　　　　 　 　 　 　 　 ＿~''‐　　＼
　　　　　　　　　　　　　 ／　　/´ ,i!i!i!i!i!i!i､ ヽ　　　 　 　 　 /´ ,.i!i!i!i!i!i!i､. ヽ 　＼
　　　　　　　　　　　　／　　 ,'　 ,;i!i!i!i!i!i!i!i!',　',　|!!il!|!l!!l!l!l| ,'　 i!i!i!i!i!i!i!i!i!',　',　 　＼
　　　　　　　　　　 ／　　　　{　 {i!i!i!i!i!i!i!i!i!}　}　|!!il!!ll!!!il!l| {　 {i!i!i!i!i!i!i!i!i!}　｝　　　　＼
　　　　　　　　　／　　　　　　'、 ヽi!i!i!i!i!i／ /　.|!l!!il!!l!!il!l| '、 ヽi!i!i!i!i!i!／ / 　 　 　 　 ＼
　　　　　　　 ／　　　　　　　　　　　　￣　　　　 　 　 ,　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ＼
　　　　　　／　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 <　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼
　　　　 ／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　|　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　,_＿_＿_＿＿＿＿＿__、 　　　/　　　　　　　　　　　 　 |
　　　　|　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　 .|!!il|!|!l!l!il|!|!!!i!l|!|!lll!!il|!|!l| 　　　/　　　　　　　 　 　 　 　 |
　　　　|.　　　　　　　　　　　　　　　　　.　.|!!il|!|!ll!!lil|!|!l!l!il|!|!ll!!il|!|!l|　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 |
　　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .|!!il|!|!ll!!lil|!|l!l!!lil|!|!l!!il|!|!l|　　　　　　　　　　　　　　 　 　 |
　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　 .|!!il|!l|!l!!il|!|l!l!l!il|!|!l!!lil|!|!l|　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／
　　　　　 .＼　　　　　　　　　　　　　　　　|工工工工工工工工工|　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ／

2634．

【モルセールの寝室】


　.-'"''-------------------------------------'^'-　.,
　|''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''--------t t t t t t t Y")
　|''Y=======================ﾉ＿＿＿＿''!,''!,'!,'!,'!,'!,'!,'!〈
　i'`'---------------'''''''''7---------------r----r''ヽ--!
　L! |￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ`--------''''''''''"! 　 ^〒----' 　`,
　 ￣￣￣￣￣￣`T'7'""""""'ﾍﾍ''''ヽ,`.,Y'''''''''''''-.,_ `-.,.r'".-''"
　　 　 　 　 　 　　　ヽ| 　 　　　 ﾉﾉ　　）',　!::::::::::::::::::＼.（;r"
　　 　 　 　 　 　 　　ヽ'L_____,,,_'"＿,,.r_,,.> ',:::::::::::::::::::::ヽ','.,
　　 　 　 　 　 　 　 　`'''――――'''''" `ヽ`,',::::::::::::::::::::::ヽ'..!
　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　　.Y, ',::::::::::::::::::::::ヽ'ヽ
　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ﾋ, ',::::::::::::::::::::::ヽ''],
　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ヽ;, '''''''''''''''''''''):::!':;i!
　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　|' 　------"::::: '|!
　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　]＿|;;;;/￣ヽ;;;;,"。]
　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　'-----------'--''

2635．

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
ヽﾐゞ;;　￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣:;ヾゞ:;ヾ::
ﾐ ゞ;;ﾐゞ;;.. ;.　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ヾ;/ゞ ::ゞ/
ゞｿミゝﾐゞ;;ヾ;:;;: .￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣;ヾ ゞ; ;;; ;;
ヾ;:;;:ヽﾐゞ;;ｿゝﾐ;ゞ　　　　　 　 |￣￣￣￣￣￣￣||::　　 　 　ゞ ;;ゞ　ｿゞ; ;;
ヾ;:;ミヽﾐゞ;;ヾ;;ヾ||::::　　　　　　| |￣￣￣￣￣｀:| ||:::. 　ヾ;;;　;;ゞゞ:;ヾ:;; ;;ヾ
;ゞゝヽﾐ;ｿミゝﾐゞ||::::　　　　　　| |.　 ＼　＼ 　 . | ||:::: 　ヾゞ:;ヾ　::ｿゞ ;;:ｿゞ:;
ﾐゞ;;;:;ｿｿミヾ;ヾ;;.||::::　　　　　　| | 　 ＼　＼　| ゞ:;ヾ 　ゞゞ:;ゞ:;ヾｿ ,!’:;ゞ:;
iｿ ヾ;: ;;:ヽ_;;:ﾐゞ ||::::　　　　　　| | 　 　 　 ＼　　| ゞ:;ヾ;ヾ ゞゞ:;:ゞ;; ヾ;; ヾ;;ｿｿ
￣;i;:ヽ_;:ゞﾐゞ ￣||::.　　 　 　 |￣￣￣￣￣￣ヾヽ::ヾｿ;;;: ;ヾ ゞゞ;.;:ヾ :;:ｿヾ
;ゞil|;;;;;ヾヾヾゞ　　　　　　　　 ￣￣￣￣￣::ヾｿ;;;:;ヾ ゞゞ:;:: ;;:ヾゞ ゞ;ヾ ;;:

2636．




　　　　　　.ヽ　 ...ｌ .ｌ　　　　　　　,!　　 ＼　　　l三L　　.r|　　　 iゞ　　 .!　　./ 　./ i′　　　　　　 ,./ 　　　 ., -'''″
-､、　　　　　ヽ　 " ヽ.　　　　　 !　　　　 ＼　 .!三ｌ　/│　　./ 　　　│ ./ 　 ./ /　　　　　　 .／　　_,､,／
　　｀''-..、　　 .!'､、　 .＼　　　 / 　 　 　 　 ヽ.,!三三三｝ ,i､/　　　　　l‐lﾞ　 ,ﾉン゛　　　　　 ,,/,..-‐' ／
、　　　　｀''､,　.ｌ　 ＼ 　 ヽ　 │ 　 　 　 　 　 lﾞ三三三| / . ｌ′　　　./ .!　シ´　　　　　　 ./ 　　 /
. ﾞ''-､　　　　.＼.ｌ　　 .｀'-､.ヽ. !　　　　　　　　/.三三三|/　　.ｌ　　　 ,l　ｌン゛　　　　　 . ／ 　　　/
　　　｀''-､.　　 ..ﾞ!､　　　　 ﾞゝゝ 　 　 　 　 /三三三三 !､　　l　　 ./ | ."　　　　　. ／ 　　　　./ 　　　　　　 ... -ｰ''',ﾞ
　　　　　 . ｌ　　　 ヽ　　　　　 ト､、　　　 /三三三三三　ｌ.　!!　 ./ ;;lﾞ　　　　 .,,./ 　　　　　 ./　　　　　 , ／ _..-'"´
　　　　　　 .ｌ　　　　ヽ　　　　..ｌ三ﾞ''-､__/三三三三三三 ∨｝ / 三|　　　.,ﾝ/'ﾞ　　　 .,／;∨　 ー―ｰ'､,..-'″
　　　　　　　 ｌ　　　　 `-、　　 ヽ三三三三三三三三三三 ﾃ三三|　.,..‐ﾞ／　 . _..-'"三ｒ'"￣￣￣￣"
.､、 　 　 　 　 ｌ.　　　　　.ﾞi..、　 .ヽ三三三三三三三三三三三三 !‐"; / ._..-'''´三三／　 ＿＿,、 　＿_. ..,.. -￣￣￣
　 ﾞ'';;- ＿＿＿ｌ　　　　　 ヽ｀'-..,, ヽ三三三三三三三三三三三三 lﾞ‐'´三三三 iｉﾝ-‐''ﾞﾞ´三三三￣ﾞii./ ″
￢ｰ-＿__--ｰ''''″　　　 _＿⊥三三｀ゝ三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三二＝―---
.―- ＿＿、._..-''"￣￣ﾞ'､三iv.三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三二―￣￣￣￣
　　　 _.. ‐'″　　　　　　　ヽ;;;ﾞ''-_二三三三三三三三三三三三三三三三三二-──--､_ー￢'''"゛　　　__＿＿＿
＿-'"゛　　　　　　　　　　　　!三三三三三三三三三三三三三三三三三三｀'-､ ＼　＿__,ﾞゝ､、　 _..-'"゛
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￣――--＿＿_,ﾞ'-､,、　 ,／三三三三三三三三三三三三三三三三v-､三三三三三三三㍉、ﾞ''ｰ　,,_
　　 　 　 　 　 　 ｀'シﾞ7"三三三_,,vi丶三三三／.i三三三三三三三三ヽ_ `|三三三三o三三三ﾞ!ﾐ-/　 .｀＼__、
　　　　　 ._,, -'' ／ 　./ ;;.,r‐'''"゛ ./ﾞ三三三／ .､　|三三三三三三三三三~　三三三三＼ .｀ﾞ'''ｰ-ゝ ｀'-､、 ‐.￣￣
　　 _..-''´._ ／　　　/ .／　　　、 ｌ三三三/　　/　.!三三三三三三三三＿___三三三三三ｌ,＿　　　　　　　｀ﾞ''''ｰ- ..
^'''"　_ ／ 　　　.／,./ 　　 .,／-l三三三/　　_,!__/三三三三三三三三三ﾞ'''ｰ､, ｀'''ｰ .._＿三三ﾞ'-、
._..-'"　　　　 ,／;i./ .ｰ￣^ﾞ'､.,..-''ﾞ三-''7;i,ﾞ_‐´ .,./ 三三三三三 ! ヽ三三三三三ﾞゝ､＿＿二ュ三三ヽ、
　　　　 ._.. -ﾞ‐─^ﾞ~ﾞ''ｰ ..／ﾞ'''ｸ´　　 /三三ﾞ'ﾞ三三三三三三l′ |三三三三三三,____三三三、三三`'､
＿_‐''"　　　　　　　　　　　 / 　　　 ｌ三三三三三三 ／.ｌ三三ヽ .!三三三三 |　　　 ￣　!.、 ｀'''ｰxy..ﾐlｌ― .＿＿
　　　　　　　　　　　　　　 / 　　　　ｌ丶;.,./ 三-､三／　　.ｌ三三三三、三三三|　　　　　 .| .!　　　　 ｀'-,,ヽ、
　　　　　　　 　 　 　 　 / 　　　　./ ／ 　/ ゛　　..ｌ′　　　.ｌ三三三./　＼三三|　　　　　 .| .|　　　　　　　｀'ヽ､
_,,.. -‐''''^ﾞ￣ー―┐　　　　 　　,/'"　　/　　　　　 ｌ,　　　　.ｰ!'､.;;ﾉ　　　　｀''''､;;.!　　　　　│.ヽ　 　 　 　 　 　 ｀'-､、
　　　　　　　 ／　/ 　　　　 ,／　　　 ./ 　　　　　 .,ｲ　　　　 .!　＼ 　 　 　 　 ﾞ' li　　　　　 ヽｒ'"'､,

2637．




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モクモク::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;;;;;;;;:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
(⌒;;;;,,.⌒）:::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;;;;;;;;;;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::(;;　｀)⌒;;,,.⌒）
（⌒;;;;;⌒;ソ⌒;;):::::::::::::::::::::::;;;;;;;;;;;;;;;::::::::::::::::::::::::::;;;;;::(⌒;;⌒ヽ;;　｀)⌒;;,,.⌒
;;;; )(⌒;;ヽ;;｀)⌒;;,,.⌒）::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::(⌒;;;ソ⌒)(⌒;;ヽ;;｀)⌒;;,,."）
⌒;ソ⌒;;;;'''）ヽ）;;;;;;;,,,,,,）ソ''⌒;;）⌒;ソ⌒;;;;!"'''）ヽ）;;;;;ｿ;;,,,,,,）ソ''⌒モクモク
⌒;;;;!"'''）ヽ）;;;;;ｿ;;,,,,,,）ソ;ソ⌒)(⌒;;ヽ;;;;;'''）ヽ）;;;;;;;,,,,,,）ソ'';｀)⌒;;;;'''）ヽ）;;;


＜＜銃声の後、割れた寝室の窓から一条のどす黒い煙が漏れた……＞＞


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（第４８話『伯爵とフェルナンが対決するようです』了）

乙でした～
これでふたり……

乙です。次回も楽しみにしてます

乙です　これは凄まじい…

乙乙！！
フェルナンって周りに流されやすい人間だったね
あと結構自分に甘いというか自分にとって都合のいい方向からしか物事を見ない
そんな人間だと思った

ともあれこれであと２人か・・・

乙！
復讐完了！と思いきや、こんなことになるなんて

ともに絶望の淵に追い込まれ、生き続けたエドモンと自殺したフェルナン。
両者の違いは心の強さもさることながら、正しいことをしてきたかどうかにあるんだろうな。

乙です。
しかしフェルナンの所業は改めて並べると壮觀だなｗｗ

乙です。
立会人の友人から事の詳細が残り二人に流れるんじないかと思ったけど
ドブレー（誠）→エルミーヌ（世界）→ダングラール（スネ夫）は浮気と金の問題で
マクシミリヤン（スザク）→ ヴァランティーヌ（ナナリー）→ヴィルフォール（ルルーシュ）は結婚＆毒殺問題でライン切れてるし。
噂として耳に入っても二人とも娘の問題でそれどころじゃないだろうから二人は伯爵の正体を怪しむことも出来ないのか・・・

乙でした。
ダンテスとフェルナンの言い合いがとても良かった。

>>373
怪しんだとしてもエドモン・ダンテスとは夢にも思わないんだじゃないかね。
彼らにとってエドモン・ダンテスは刑務所内での脱獄に失敗して海の藻屑になったor獄死した程度の認識だろうし。
ヴィルフォール辺りは職務柄、ダンテスの脱獄未遂事件を耳に入れてる可能性はあるが
ダングラールはブォナパルト派として生還はほぼ望めない事件の被疑者として投獄された程度の認識か？

そもそもアルベールも友人たちとはいえ、自身と伯爵との関係を詳細には話してないだろうし
これから先も話さないと思われる。

復讐は何も産まない（キリッ）とか近年やったり、負かされた挙げ句洗脳っぽい和解とかある近年。
厳窟王のようにキッチリ復讐を果たすのがやはり痛快ですね。

フェルナンの所行はまさにく………アレだからなぁ。

2638.

キャラ語りその６　フェルナン・モンデゴ　→　フェルナン・ドゥ・モルセール伯爵（できる夫／2ch）

　　　　　 　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　／　　 ∪ 　＼
　　　　 　　γ⌒)　ノ三三三ゞ(⌒ヽ　　　　　　だって、メルセデスは自分も死ぬって言うんですよ！
　　　　　　／ _ノ　（＞）三（＜） ＼ `､
　　　　　（　 <:::∪::::　　__',__::::∪| 　）
　　　　　 ＼　ヽ ::∪:: `ー'´∪::／／



　エドモン・ダンテスの婚約者メルセデスのいとこ。メルセデスに横恋慕していたが、彼女にはっきりと
断られて絶望していた。そこをダングラールがそそのかし、密告状を届けてしまう。
　ナポレオン軍に徴兵された後、将軍の裏切りの誘いに付いていき、出世の糸口をつかむ。
　故郷に帰った後、一人の寂しさに耐えられなくなったメルセデスと結婚することに成功する。
　その後はスペイン、アリ・テブランと裏切りを重ねて陸軍中将、モルセール伯爵にまで出世する。
　一人息子のアルベールをもうけるが、伯爵とエデによって過去の裏切りが明かされ、失脚。
モンテ・クリスト伯爵と対決するが、彼の正体を明かされ、一方事の真相を知ったアルベールは母と家を出ていく。
　このダブルパンチで絶望したフェルナンは拳銃自殺を遂げた。

　『ころしてでも　うばいとる！』という決意がありながら『メルセデス、自分も死ぬ宣言＋ダンテスといちゃつく
　→僕はもうだめだー』となる、けっこう打たれ弱い人物。
　
　エドモンの時の『魔が差して思わずやってしまった』的な感じとアリ・パシャ事件の時はまるで別人ですね。
どうしてこうなった……