やる夫がイスパニアの独裁者になるようです



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　第八話　二つの主権国家






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　1936年8月、やる夫は共和国側艦艇による封鎖を破り、モロッコ軍の輸送に成功する。
　船団は、到着したばかりのサヴォイア・マルケッティ機によって上空を援護されていた。



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　また、独伊が供与した輸送機による空輸も始まり、10日のうちに
　1万5千の兵員がスペイン本土に運ばれた。



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　モロッコ軍が本土に上陸し始めたというニュースは、共和国全体に不安を広めた。



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　　　　　　　　　　　　共和国大統領
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　共産党女性闘士
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ドローレス・イバルリ

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　8月7日、やる夫はエストゥレマドゥーラ攻略作戦を開始する。



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　作戦の目的は、ポルトガル国境地域を確保することにあった。

　ポルトガルには、すでに権威主義的なサラザール政権が存在していた。



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　　　　　アントニオ・サラザール



　サラザール政権は反乱側に好意的であり、したがってエストゥレマドゥーラ地方を制圧すれば、
　外国援助物資の搬入は容易になる。

　作戦の先鋒は、ファン・ヤグエ大佐が率いる外人部隊二個大隊とモーロ人からなる部隊である。



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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ファン・ヤグエ



　ヤグエは反乱軍指揮官のなかで最も攻撃的な性格の持ち主で、
　彼が率いるモーロ兵の獰猛ぶりもまた、常軌を逸していた。

　セビーリャ出撃後、モロッコ軍は村々を次々と攻め落としていき、
　8月11日には、エストゥレマドゥーラ地方の主要都市メリダを占領する。



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　ヤグエの軍隊はここから突如として進撃方向をマドリードと
　正反対の西にとり、ポルトガル国境に近い都市バダホスを攻撃した。
　進路の変更はやる夫の下した決定だった。



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　もし典型的なクーデター戦略であるならば、当然に首都制圧を重視するはずである。
　それをあえて無視したのは、このときすでに長期戦となることを想定していたのかもしれない。

　8月14日、ヤグエの部隊は城壁の外側に陣取った。



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　激しい砲爆撃の後で、町の壁を破って反乱軍が突入、残忍な殺戮が開始された────

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　モーロ兵にとって、戦闘員、非戦闘員の区別はなかった。
　一軒一軒が手榴弾で掃討され、多くの無辜の民間人が銃殺された。



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　　　　　　　　　　　　 　 　 　 |　 （ ○ ）　( ○ ) 　|　　 　　　死体は片付けるんじゃねえ！
　　　　　　　　　　　　　　　　　l 　ｒ 　 　 i 　 　 ､　.!
　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ∧. ゝ､ 　人　　ノ ./ｫ､_　　　　見せしめのために、そのままにしておくんだ！
　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 _,,ｲ/,|ヽ　￣´_｀￣　,ｲ////l
　　 　 　 　 　 　 　 _, - ≦////|l! ＼　´ ｀ .／//////ゝ､
　　　　 　 　 　 　 ∧,////////{ l 　 ｀ｰ‐ ´　ﾜマ/////∧
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　街路は血に染まり、死体は山をなした。
　ヤグエは、マドリード市民に、モロッコ軍の到着前に降伏しなければ
　どんな目に遭うかについてのメッセージを送りつつあったのだ。



　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ,ｨ劣王ﾐ::､..___
　　　　　　　　　　　　　　　,...._　　　 寸圭圭圭圭圭}
　　　　　　　　　　　　　r:升圭少　　　 ｀`x圭圭少´
　　　　　　　　　　　　　　｀¨´　 　 　 　 　 　 ￣　　　＿__
　　　　 　 　 <:少　　　　　　　 ,..xｭｭｭｭ､　　　　 　 〈圭圭心,
　　　　　　　　　　　　　　　　 {圭圭圭圭圭圭ヽ　　 ￣¨¨¨´
　　　　　　　　　　　　　__........__寸圭圭圭圭圭ﾘ
　　,.......xｭｮｮｭｭ.、,....ｨ升圭圭圭圭圭圭圭圭少
　　`寸圭圭圭}　寸圭圭圭圭圭圭圭圭圭K._
　　　　｀¨¨¨¨´ ,佳圭圭圭圭圭圭圭圭王圭圭}
　　　　　　{少r:ゞミ王王圭圭圭圭少'´￣¨¨¨´
　　　　　　　 {圭圭圭沁　｀¨¨¨´　f壬心
　　　　　　　　寸少'￣ r劣}　　　 弋圭ｦ
　　　　　　　　　　　　　 ￣

　『シカゴ・トリビューン』と契約を結んでいるアメリカ人記者ジェイ・アレンは、
　数日遅れでバダホスに到着した。
　彼がそこで目撃したのは、反乱軍による残忍な虐殺の様子であった。



　　　　　　　　　　　 ,　--- ､
　　　　　　　,. -一'´　　　 　 ｀ヽ、_
　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　｀＼
　　　　 r'´　　　　　　　　　　　　　　 　 ヽ
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　 　 （.　 / 　 /'l,ｨi ´　　　 　 ゝ　　　 　 |
　　　ﾉ　,'　　 |l |l ＼､　　　　　ヽ　　　　 ヽ
　　 （　 |　 　 l' ヽ、 `'ｰ　　 ＿（　　　　　 }
　　　ヽ. |´`==｡､　　ー=＝'｡､　 } ,r‐､　　ﾉ
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.　　　　ヽ|　 　 ﾉ　　　　　　　u } } ;,ﾘ　 ﾉ
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　　　　　　ｌ.　　｀＿＿　　 　 　 　 |_,r'´　　　　こ、これは……！
　　 　 　 　 ヽ　　 ー　　　　／ 　 |
　　　　　　　　ヽ. 　 　 _, ‐'´　　＿|、
　　　　　　　　　｢l`T ｢￣￣￣　 　 |
　　　　　　　　　|.||￣|　　　　　　　│

　　　　　　　　　ジェイ・アレン

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾉ::::::::::::::::::::::::::::::::ｉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ノ´ ＼:::::::::::::::::::::::::::/
　　　　　　　　　　　　 γ´￣￣＞o｡. ＼:::::::::::ーｉ´
　　　　　　　　=====≦　　　　　　ヾ::::｀ヽ廴:::::::ﾉ 弋ヽ
　　　　　.｡o＜￣｀ヽ　｀ヽ　　 　 　 |ｉ／ｉ!三三}|孑´-｡＼
　 　 γ´　　　｀ヽ　ｉ!　　ｉ　　　　　ノ::::::ｉ!:::::::::::ｉ!ｰo.｡　|≧ｰ､
　　 ./　　　　　　弋 ｀ｰ　　　　／―┐:ｉ!:::::::::::ｉ!:::::::::::::|:::::::::::|
　　/　　　　　　　　 ＞o｡. 　イー―‐|ｉ!ｉ!:::::::::::ｉｉ:::::::::::::|:::::::::::|
　　ｉ　　　　　　　　　　　　＞､:::::::::::::::|ｉ!＿＿__|＿＿__|＿,r====r,､‐‐r ､―-､＿__　　　　　　ﾉｉ!
　　＞o　　　　　　　　　　　 弋｡o‐γ三｡三三三＝=＝三三| rxヽ＼ !::|===}三三≧====≦　}
　　　　 ＞o｡　　　　　 　 　 　 ＼　ヽ三三三三三三三三三| !::::ｉ!:::::ﾚ::j＝≠￣￣￣￣￣￣´
　　　　　　 ｉ!＞o｡　　　　　　　 ./≦三三二二｀j｀ｉﾟｉ::::::::::::ﾄ!孑´:::::::::::::/､
　　　　　　 .ｉ!　　 ＞o｡　　　　./三三三三〈ー―≦ヾ:::::::::ﾏﾒ::::γ´　／
　　　　　　　´　　　　　＞o｡. /ﾐ三三三三}f　　　　 人:::::::::::マx___／



──────────────────────────────────────

　ファランヘ党のパトロール隊が、街路で労働者を停止させ、バダホス防衛戦に
　参加したかどうかを調べている。
　…相手のシャツをめくり、肩にライフル射撃の際の反動による擦り傷があるかを見るのだ。

──────────────────────────────────────

　　　　　　　　　,,..､._,ii､ -,,..-'';,i'　　　|;;;;;;;;;;;;;.;v―ｰi;;,,v-ｰ'"　 　 　 　 　 ,,-- 、
　　　　　　　　 ヽ./ 　 ｀ﾞヽ,;;;;__ゝ,, ..,,lﾞ;;;;;;;;;;./ 　　　　　　　　　　 　 _,,iiiﾆｿ一'" : ii、
、　　　　　　　　　　　　 _,,ﾐ/゛　 ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞ‐'―― .... r;;;;ッr‐'''''"゛　 .y､_
;ヽ、 　.,ﾉ７　　　　　　　ヽ‐゛ 　 ,r''ﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,i‐'"　　　　　　　　 ヽ;.|
'''-､ﾞﾞア'"　　　　 　 　 　 　 {,ﾞ二､,,-､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;r‐┘ : :lﾆ;;． 　 　 　 　 ゛
　 ...ｌ′　　 :l";二ﾞ''''┐　　　 　　 ,l´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ-'''''-、　　　　　　　　　　　［'l、
._..．　　　_.　 ´　,〉;;;;;;ﾞ'ｰ､,　 . _,._..ﾐ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;7　　　　　　　　　　　 ｀ﾞ"
;;;lﾞ　　　.ヽ;;￣￣;;;;;;;;;;;;;;;;;.!　 .l､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.!　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 _,,
.､!､　　 .,i┘;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾉ^'''"　　 ,|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,..;＞ｰ'ﾞﾞﾞﾞﾞヽ　　　　　　　　　　　　 ﾞ‐'　|.ｌ
..l;;;;ﾞゝy レ;;;;广'L;;_..ｺ　　　　l;;;;ン'ｯ;;;;;;;;;;.,,.;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;./ 　｀''､_;;;;;;;;|　　　　　　　 .,,,　　　　 .　ｌ､;ﾞ￢．
. ﾞ'''''″ .ﾐ､;;;;ﾞ''''l:ﾞ'"　 ` .、　 ｀''" : l.;;;;;;;;;;lﾞ ﾞ'<;,v､;;;;;;;;;;/'　　　 .｀''''"　　　　　　　 !;;ﾞ''┐　　　　.ﾞ'ｰ'"
　　　　,-シ､;;_ﾉ　　 . _,　｀　　　 .tナ‐'￣″ ∥ .｀'―ｰ!lｌt;;． .'　　　　　　　　　　!､;;;丿
;/　　,r./ 　l;/　　　 '!┘　　　　　　　　　　 　ﾘ'i　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ´　　 ,,、　　　,、
,! .／　　,i";;{_ 　 　　　　　　　　　　　　　　 =!.!.ｌ　　　　　　　　　　　　　　　,i'''；　　　　 .|;;;;ﾞﾞ''''''";;.ｌ､
! 　　　　ﾞL;;;;;ﾞ＞　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　マ　, ､,,, 　 　 　 　 　 `''".ｨ;;-一'´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
..,i￢―''>.ｌ..､/ﾞ　　　　i'ﾞﾞ~ﾞﾞﾞ'-|!!ゝ　　　　　　　　　i'''j　　.!､,,;l,ﾞ,,r‐ｰ､　　　　　　　 ｀''-､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ｨ
: };;;;;;;;;;;'＼_ ゛　　 .〈;;i ゝ､;;;;;;;;;.ア　　　,......、　　　,iﾐ;;/　 ,r'''";;;;;;;;;;;;;｝ ._.. ;;i　　　　　　 .｝;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;､
.lﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!　 　 .,ﾝ-. : '!''Ｌ,lﾞ　　　　ｌ.;;;;;;ﾞゝ､,i''";;;;; !　!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ｌ!´二..,,,＿,..--'''";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゛
.;;‐;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|　lﾞ;l ,!;;;;/　　　.|'ﾍ,　　　　｀''''''ｉ_;;;;;;;;;i;;,ﾞ　　ｌ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,! ﾞ'―'''''''^ﾞﾞﾞﾞﾞﾞ'l,,_;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
..!､_;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞ!-ﾞ;|,`''″　 .,／;;;;;ゝ..r‐┐　　　i";;;;;;;;i┘　 ゝ､;____,,／´　　　　　　　 : ,ii;;,ﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
　.ｨ";;;;;;;;;;;;;;;;;,,､;;;;;.! ---'''ﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; !　　 .〔;;;;;;;;;;;;ヽ :lﾆ二'ﾞ'';;．　　　　.,.. -ﾆ＝''"゛　./;/''''i;;;;;;;;;;;;;;;;
.ｰ'ﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;∨;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/　　　　ｌ;;;;;;;;;;;;;;;ヽ,　　ヽ!　　　　　 "'"　　　　　.． 　 . l-ｘ,;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.;v ..,,,,､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞ'―- -ヘ;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞ'---､　　　　　　　　　　　　　　　 "　 .'|ﾞﾞ''､
.ｌ´|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.ﾝ- ／ 　　　 ゝ-..､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;￢';;ナ'　　　　 　 　 　 　 l7　　　l
;;;;;;.,,_.;;;;;;;;;;;;;/　　 　 　 　 　 　 |;;;;;;;;;;i￢ｰ-,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;{´　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 !



──────────────────────────────────────

　傷のある者は闘牛場に連れて行かれる。
　…機関銃が彼らを待っている。
　ほぼ12時間のうちに女性を含めて1800の人たちが銃殺された。
　1800の死体には、想像を越えた血の分量があるのだ…────

──────────────────────────────────────

　この虐殺はフランスとポルトガルのジャーナリストによっても目撃されていたが、
　ヤグエ大佐はあざ笑って言った。



　　　 ／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　 （ ○）（○）　　　　『もちろんわれわれは彼らを射殺した。
　　|　　　　 （__人__）
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ　　　　　ほかにどうしろと言うのだ？
　　 |　　　,.<))／´二⊃
　 　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃　　　 一刻も早く進まなければならんとき、
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉　　　　 赤どもを連れて行軍しろと言うのか？』
''"::l:::::::/　　　 __人〉
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|

　反乱軍による大量殺戮は政府側がひろく宣伝材料として利用するところとなり、
　国際社会でも、「バダホスの虐殺」として非難のまとになった。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ィ!´￣｀`i''ー─- ､､､,,_
　　イ三二二ﾆﾆﾆゞ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(　j〉　　　 」´￣￣｀`ー-､ヽ　　　　.,.:,..:.. 　　　.,.:,..:..
　　　　　　　　　　　　　　　... ,...　　　　　　　　　　　　　　　｀`ｰ─'"´ ￣￣￣￣
　　　　　　　　　,ィゞ　　　　　　　　　　.,.:,..:.. 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.,.:,..:.. ... ,...
　　　　　　　　　　　　　ー＝==＝-　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ー＝==＝-
　　... ,... 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.,.:,..:.. 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　... ,... 　　　.,.:,..:..
　　　　　　　　　 ＿, 　-─‐- ､ー‐-､ー-､　　;: ;:;: :;:;: ; ;　　　　　　　　　　　,ィゞ
　　　　　　　　,ｲ､,r'⌒ヾ　　　　ヽ ヾ ｀`''ー- -､-‐''"´ヽ;;: :;:; ;:; :;:; 　;: 　.　　　　　　　　　　　.,.:,..:..
　　　　　　 ,r/　 (::;;:;:;;/ー-､　　j　 `,　　　＿ /ィ´　　;:; :;　;:; :　;:　　　　　　　　　　　　　　　,ィゞ
　　　　　　 ヽ 「i''ー'"´　　 ,r-‐'ー''''"´￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ィ!´￣｀`i''ー─- ､､､,,_
　　　　　　　　　　　　　　　 イ三二二ﾆﾆﾆゞ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(　j〉　　　 」´￣￣｀`ー-､ヽ　　　　.,.:,..:.. 　　　.,.:,..:..
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ... ,...　　　　　　　　　　　　　　　｀`ｰ─'"´ ￣￣￣￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ィゞ　　　　　　　　　　.,.:,..:.. 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.,.:,..:.. ... ,...
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ー＝==＝-　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ー＝==＝-
　　　　　　　　　　　　　　　 ... ,... 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.,.:,..:.. 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　... ,... 　　　.,.:,..:..
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿, 　-─‐- ､ー‐-､ー-､　　;: ;:;: :;:;: ; ;　　　　　　　　　　　,ィゞ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ｲ､,r'⌒ヾ　　　　ヽ ヾ ｀`''ー- -､-‐''"´ヽ;;: :;:; ;:; :;:; 　;: 　.　　　　　　　　　　　.,.:,..:..
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,r/　 (::;;:;:;;/ー-､　　j　 `,　　　＿ /ィ´　　;:; :;　;:; :　;:　　,.-'''"-─ `ー,--─'''''''''''i-､,,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ 「i''ー'"´　　 ,r-‐'ー''''"´￣

　一方、北部戦線のエミリオ・モラはナバラからカスティーリャにいたるまで、反乱側地域としてすでに確保していた。
　モラが次になすべきことは、カスティーリャの北位に位置するバスク地方の処理である。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾉ ｰ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , フ__　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ノ＿＿＿__〕
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　◎「◎ｰ ,-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | L　冫i　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !,―､!　! ,i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 丶一 ´ン丶
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∧巛へ､　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　 ___,ｫ冖'+............-,,,,_　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　./"￣　　　　　　　　 ＾ﾞ''''''""`ｰ冖-‐'‐ｭ
　　　　　　　　　　　　　　　　!ｌ　　　　　　　　　　　　■ﾊﾞｽｸ地方　＾ﾞ''+-.......+-....
　　　　　　　　　　　　　　　　├__　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　冖宀‐"lｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　￣└--－┐　　　　　　　　　　　　　　　　●ﾅﾊﾞﾗ　　　　__ｨ廴,,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_フ　　　　　　　　●ｶｽﾃｨｰﾘｬ　　　　　　 __ノ"￣￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　イ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ''"´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　亅　　　　　　　　○ﾏﾄﾞﾘｰﾄﾞ　　　　　ｨﾚ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l! 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ノ’　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _..ノ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　丿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l,,　　　■ｴｽﾄｩﾚﾏﾄﾞｩｰﾗ地方　　　ﾍ　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　丿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ノ　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　 _--/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　└ﾍ_　　　　　　　　　　　　　　l'´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　,..---..--..-‐/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ_　 ノ'￣
　　 ..､　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　ﾞ'''"



　モラのバスク地方作戦は順調に進み、9月までにはバスク地方をほぼ制圧した。

|　k:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:!　l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,　'"´　 ｀丶:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
lk　l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;'　　　_n_　　 ﾞ;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
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: .!　 !ゞ爻之;::::::::;;;:::::::::::::::::::ﾞ::. .,.,|!,., .: "::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
! :ｌ　 ｌ「" l＾゛｀／＿ヽ､::::::::::::::::::::::|!:::::::::::::::::::::::::::::::::t::::::::::::::::::::::ヽく vノ::::j,ｨ:::::::::::Vﾊ /::::::::::::::
j　!:　!ｌ 　l＠ | ﾛ ﾛ ﾛ l::::::::::::::::::::::|!:::::::::::::∨:::j:::::::::∧::::ゞ＞ヽ`く:::::Y ／,::::Y::ッ:::::jY^ r:::::::::::::
:l　!　l.l 　l了 |_H_l｣ ｣∠ｰ ､::::::::::::|!:::::::べ〈::/イ:::::::ﾊﾊ:::::::::::⌒`ヾ､V/　/::::ﾉく:::::::〈〈　ﾚ' ∠:::::
!l　!　! !　| |' ´ 三二 ニ`ヽ､`‐ ､ |!:::::YハYレj::::::::|叮|:::::::::::::::::::::::::〉Lノ∠ﾆｰ＜::::ﾊY::::/ ::::::::
j ! l: .{ ヽ∠ア ニ ニ エ ニ　`‐ ､ﾊ -ﾑ__ ヾ〈　￣￣∧ n韭＿＿,ﾉr 匕＿n ＼ く::::j ﾚ'⌒::::::::
:l l ヽ,:ゝﾍ､_二 二 エ　二 エ 二 |_!ｰ-､_ ￣｀ ｰ- ､/ ／　　　　　{ﾚ/'´　　/＼ ヽＹ /:::::::::::::::::
,:ゝ''　∠,."　－┴-┬－－-┬ － ‐－=ﾆ ュ､__ 　 ￣｀¨ ''￢=∠/　 　 /　　 ＼| |::::::::::::::::::::
　　　 ＜　─┬ｚュ─ ┬ －┴─ ┬－┴∠＿二_￢ -､＿　　　 ￣｀¨ ー-ニ⊥L＿:::::::::::::
　 _,.r-‐''｀-┬ － ┬‐ ┴ － ┬－┴-=ニ=r‐┴ -'￢ｚ＿ 　 ￣¨''─- ､＿



　8月11日、やる夫がメリダを占領したとき、はじめて北部戦線のモラと電話がつながった。



　　　　　　　　　 ／￣￣￣＼
　　　　　　　　／　　─　　 ─＼＿
　　　 　　　／　　 （●） 　（●） ＼|l(^)
　　 　　　　|　　　　　（__人__）　　　l(_ ）
　　　　　　 ＼　　　　 ｀ ⌒´ 　　／⊂)
　　　　 　　／ 　 　 　　　　　 　 ヽ　ﾉ

　 　　　 　　　 ＿＿＿_
　　　　　 　 ／＼　　／＼　_＿
.　　　　　.／ .（ー） 　（ー）'(_）( ﾞヽ　　　　　　　　　 ひさしぶりだお、モラ将軍。
　　　　／　　 ⌒（__人__）⌒ |.(　 .',
　　　　|　　 　　　|r┬-|　　._|.( 　..ﾄ-a‐-a,　　　　　こっちは順調にいってるが、そっちはどうかお？
　　　　 ＼　　　　 `ー'´　_（_）(.__.ﾉ　 　　　 'a,,
　　　　ノ　　　　　　　　　　　￣／　　 　　　 　"'a,
　 ／´　　　　　　　　　　　　.／　　._/「i＿＿「i　 .ﾉ
　|　　　　ｌ　　　　　　　　　　i　　　/　　　　　　Ｙ"
　ヽ　　　 -一''''''"~~｀`'ー--､　　/　　　　　　　i
　　ヽ ＿＿＿＿(⌒)(⌒)⌒)　) （＿＿＿＿___ﾉ



　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ┏…━…━…━…━…━…━…━…━…━
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【　℡　】
…━…━…━…━…━…━…━…━…┛



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ノ ⌒ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /―,　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ξノ　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i---- ､､__　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ノ￣￣'''''''---､､,,__）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ⊂ ――'''''二￣　　　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 （ヾ）√（ヾ））コ''--､!
　　　まあ、こちらも順調だ。　　　　　　　　　　　　ヽ^.!　　' ⌒　 >''ヽ!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i '-='　　i'' 　i.δl
　　　…それで、今日は何の用だ？　　　　　　　　　!i. -‐‐- ! 　 !　ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !i　"　 ﾉ　 ノi　.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ゝ-　―'￣ノ___!入
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,,=ﾍヽ '''''　￣､､―''　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ |||└／＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　エミリオ・モラ

　　　　　　＿＿＿
　　　　／　　 　 　 ＼
　　 ／　　　　　 　 　 ＼
　／　　　ノ　 ヽ､_　　　 ＼
　|　　 （ ●）　（● ）. 　 　 |　　 …ほかでもない、独伊の援助についてだお。
　＼ ｌ^l^lｎ__人__)　 　　 ／
　 ／ヽ 　 L⌒ ´
　 　 　 ゝ 　ﾉ



　　　　 　 　 ＿＿＿_
　　　　 　 ／　　　 　 ＼
　　　　 ／　　 _ノ　 ヽへ＼
　 　 ／　　　（ ―）　（―） ヽ
　　 .l　 .u 　 ⌒（__人__）⌒　|
　 　 ＼　　　　　｀ ⌒r'.二ヽ<　　　　じつはヒトラーから、こんな要求があって…───
　 　 ／　　　　 　 　ｉ＾Yﾞ r─ ゝ、
　　/　　　,　　　　　ヽ._Ｈﾞ ｆﾞﾆ、|
　　{　　　{　　 　 　 　 ＼｀7ｰ┘!

⌒丶、＿ノ⌒丶、＿ノ⌒丶、＿ノ⌒丶、＿ノ⌒丶、＿ノ⌒丶、＿ノ⌒丶、＿ノ⌒丶、＿ノ⌒丶、＿ノ⌒丶、＿ノ

　　　　　, '〆.:.:.:.:.〆 　 　 　 　 ｀　､
　　　／｛f7.:.:.:.:〆　　　　　　　　　　＼
　　 / -∠.:.:.∠　 /　　l　 　 　 　 ＼　＼
　≪_ﾊハ.:V､＼ | |　　 |　　　　　　　l　 　ヽ
　/ヾｲ　ｲﾊノ／ | |ヽ　 |＼　　 '　 　 !　　l　',
./ /:/／!l l:l∠　 |庁ﾞﾄ､|､　｀ ,　|!　　 ! l　|l　|
　,'l::l/.　!| l:l　＼ | 仆｛!ﾝヽヾ　 { | ／　K/ /
, ' |::| 　 ｌ| |:|＼　＼ ｀￣¨｀　　 ﾚrﾃ/ //／
　 l::ｌ　　ｌ| |:|　ｌ＼　＼ 　　 　 、｀¨/ ｲﾚ´
　 l/　　ｌ|　 　 |.　丶-ー 　 ___ 　 /　/　　　　　…ドイツとして、反乱側を援助することに異存はないわ。
　　　　 ﾊ　 　 ト、　 　 　‘ ‐'´ ｨ 　/
　　　／ハ　　 l:＼:＞､ 　___ ／|／|　　　　　　ただ、援助の窓口を一本化してほしいのよ。
　 ／　　∧ 　 l:::/:.:7爪::.:7　l　|　/
￣｀ー_＜:::ヽ　Ⅴ::/ 小ヽ::|　l　| /
::::::.ヽ⌒マ}:::::ﾄ、Ⅴ/::||::L::.ﾄ､l　//
:::::::::::::::::::::マ}::::ﾄ､Ⅴ:::l|::ﾍ｀ｰ|　/'ﾍ
:::::::::::::::::::::::::::マ}:::::|<Y⌒Y>:| /::::::ﾍ
:::::::::::::::::::::::::::::::マ}::{ﾍ薔ﾑ}:::l/:::::::::::ﾍ

　　　　　　　アドルフ・ヒトラー





　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , -‐-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿／: : : : : : ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∧: : ∨//77ｧ: ; :;i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∧7: : :∨///∧ : ;i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.才ｧ;斗､: ∨//;∧: ilL斗--　､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 } くrｲノﾉ;;;: ∧//;∧/jﾑ`"ｲ''"ﾐヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 j / /,/,ィﾌ////////　,.、　,、　;ミ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Y i '" r'7//////// ィ¨ﾍ　"ヾ､ ﾐ;ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　 　 | 　 　}ﾝｰ=ﾆ二ﾆｨﾚィ辷厂辷rｰrが
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 j　　 /　　　　　 ヾﾐ　 ;j｀,, ´i　 〃,i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 jく、　k　　 　 　 　 ヽt.〈;"ﾞ`"ﾞゞj} ﾚ’　　　───といいますのは？
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∧;､｀ヾ≧　　　　　　,ｨ!ﾐ　､.__,　　,ﾄ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /∨/7ゝｲv'´｀¨ﾆ=ﾆ7 1`ｰミニ彡"};八､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ ;厂////::ヽ;////////ﾍ　　大　　ﾊ////７ァｧｭ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::j/////:::::::};////////∧ /Y::<ヽ///////////ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::{;////:::::::::j;'/////////∧/:::::∨////////////}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾑ;、:;///〈::::::::::::ﾚ//////////∧:::::∧//////＼////ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∨ヽ;////∨:::://///////////∧∧//////777'////|

　 ／イ::/::ヽ　　　 ｜ ||　　｜　 |　　　　　　|　 |　 ｌ　　　、　ヽ
　|::| /:/l::ハ::. 　 　 |　|.|　　 |l　 |　 　 |　　　|　 |　 |　　　 ',　　ﾍ
　|::ｌ'::/ |::|_ノ::〉　 / |　| | 　 | |　|l　 　 |　　　|　 |　 |　ｌ　　 |　　ハ
. /√l　ﾄr-イ　　 |-ト､|｜　|　l　|ｌ　　｜　　 |　 |　 |　|　　 | 　 |　l
/:/　l　|::|　 |　　｜ ＼|｀＼ト､|　| |　　|　　/; / |　/l　|　　 | 　 |　|
:/　 |　|::l 　 l　　 |气ｆ＞＜ヽ|、＼　,　l　 ///　|./ ﾉ / 　 /　 .ハ |
　　 |　|::|　　ヽ　 |　 ﾞ{　ｌ!　}｀ヾﾐ　　∨／/厶-―<./ 　 / 　 /　| |
　　 |　|::|　　　ﾄ､ ｌ　 ヾｰ＜　　　　　　　　斗=ミ､_/　／}　 / 　 |ﾉ
　　 |　|::|　 　 |　＼　　　　　　　　 　 　 _（ リﾉ ''/／ /ﾉ／　　　　　ｲ　　　　 …だってそうでしょう？
　　｜ ヾ　 　 |　　　　　　　　　　　　　　　｀￢ /　 ／イ|　　　　／:/
　　！　 　 　 |＼　　　　　　　　　　　/　　　∠ イ　　 Ｌ|　　 ／. :/　　　　　 外交というのは、お互いの信頼関係の上に成り立つものよ？
　 　 |　　　　 |　 ＼　　　　　　―-;　　　　 ／　 |　　ィ　　／. : :/
.　　　ｌ　　　　ト､　　＼　　　　　 　 　 　 ＜　 　 |／/　／. : : :/ -―ｧ　　　　交渉相手は常に同じであって然るべきよ！
　　　｜　　　|::::::｀::ー- ＞　 _　　イ　　　｜　　｜: : : : : ＿　-―＜＿
.＿＿∧　 　 |::::::::／二二[]二.ヽ　|　　　 ｲ　 　 |: : : : : : : : : : : : : : : :
――{ｰﾍ　　 |::／／::::::/::ハ:::|＼＼　／. :|　　　ﾄ､: : : : : : : : : : : : :ー-
::::::::::.ヽ〉∧　 |::＼ヽ:／::ｲ　 |::|__/:厶-―‐|　 　 |::..＼: : : : : : : : : : : : : :
::::::::::::::..＼ﾍ　∨　`ー' |::|　 ゞ--'´ 〉:::::::::::|　 　 |::::::::..＼: : : : : : : : : : : :

　　　 /／/　/　　　ｲ l　 | |　　| |　　　ヽ ヽ ヽ、
ィﾆﾆ〔ゝノ_ノ　　　/ ヽ＼ヽヽ　 | l　　　 |l　 |l　 ヽ
'´／ /| |７　　　ｒ/'´￣ヽゝﾆヽ-ヽヽ　　│ | |　ヽ ヽ
ｲ/ /　! | |　　　||-ｬ─-,ﾆ､ﾐ‐`ヽ､ヽヽ　/ / /　 | ヽヽ
/ /　/ j　|　　　l|　`ｰ='-ﾆゝヽ`　　　|ノメ､/l　 │ l | l
./　 / /　ヽ　　 l|　　　　　　　　　　　ｨ_ﾐヽ`ﾘ　ハ　|| |　　　もっといえば、われわれの交渉相手は
'　 / /　　 ヽ　　l　　　　　　　　　　l､'rヽj`ｧ' メ　| / ﾘ　 　 反乱側の首領なんてものじゃなく…
　 `,´l　　　 lヽ　ヽ　　　　　　　　　/ﾉ `'’,イ　　/ｲ
　 /| |　　　|　 ｀丶ゝ　　　 ｰ､ｰ- ､ 　　　lﾉ　 ,ｲノ　　　　　 国家元首としての法的安定性をそなえていて欲しいのだけど…
. /│|　　　|　　　　　　　　　　ﾆ ´　　　ノ　イ |
/　 ! |　　　!　　､　　　　　　　　　　 ｨﾆィ |　|lハ　　　　　　 ま、それはすこし先の話ねえ。
　　|　!　　 |　　 _`ト_､ _　　　　 , イ　　　 !　|ル'　　　,ｲ
　 ハ ﾍ　　|‐' ￣,.ィ´ヘ` ｰ- イ　 |　　　 |l　|　　　　/│
ノ　 ﾍ ﾍ 　 |　<´ｨ´　／介「`ヽヽ│　　　ﾊ　l　　　/　ﾉ　　　　　　_,
ゞ､＿ゝヽ 　!　 ＼ｰ´／ハ トﾆﾉノ !　　 / ﾊ　ﾄ、／／,ｨ　＿ ,.-ィ´
　 ヾゝヽ.ヽ　lｰ-､ ￣ 1 |│|ヽハ 」　　/　_ﾊ _／ ｲィﾆｨ'´　　　　＜
　　　 ヾゝヽ. l^ーｨ- ､|│ ! ﾄ､>-ﾘ　　ｲﾆィー '＾ヽ､
　　　　 ヾヽヽゝ　　￣! |　| lヽヾ/　 /　　　　　　　 ヽ



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　｀'＜　　　　　　 ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　　　　　　　ミ　　　　　　　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｨ′　　　　　　　　　u　　ヽ　　　　　　　ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　人　　 　 <⌒ヽ､　　　　　イ　　　ー=ﾆ辷人
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 { ノ　　　　, ミー-ｿ　　　 ﾐ辷ﾆ=ー-　　　 　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽﾍ　　　 {　　　　　　　　ヾミ三ﾆ=ｰ-､ 　 　 ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r┴y'___　　ﾐ=ー　　 ,,,　--─彡⌒ヽミヽ､. 　 小
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{　/　 　 Y　 ーY彡´　ｧ　　　 /　j.　|从　 ヽ.　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀弋　　 弋____ノ　　／　r　 　ﾊ　　 j　　　　 ヽ|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Y｀¨¨´　ヽヽ､　　　u |.　ｲ　／／　　.＞'⌒ヾ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 |　ii,　 |.　|　　　|　|　 |ｰイ　　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　は、はあ……　 　 ﾄｲ从从ﾊj　 |　　　|.　　│　 V　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゝ--　-　小　|　　　 ノ　　　Y′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　 　 　 j　 ＜　 　 　 人ﾐヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ ｰ-一＜､___. 　 　 　 ／　 .〉/人
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／/人____彡＞'''´　　　.////∧___
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_＿＿_ｨｲ////　／ﾊ　　　　　 　 ／/////////ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,-=ﾆ///////////　///∧.　　　　 ／////////////

⌒丶、＿ノ⌒丶、＿ノ⌒丶、＿ノ⌒丶、＿ノ⌒丶、＿ノ⌒丶、＿ノ⌒丶、＿ノ⌒丶、＿ノ⌒丶、＿ノ⌒丶、＿ノ⌒丶、＿ノ⌒

　　　 　 　 　 ＿＿__
　　 　　 　 ／_ノ 　ヽ＼
　　 　 　／ （ ●）　（●）、
　　　 ／::::::::⌒（__人__）⌒＼　　　 …そんなワケで、今後は外交交渉の窓口を
　　　 |　　 　　　|r┬-|　　　 |　　　やる夫に一元化してほしいんだお。
　　　 ＼ 　 　 　 `ー'´　　／
⊂⌒ヽ　〉　　　 　　　 ＜´/⌒つ
　 ＼　ヽ　 /　　 　 　 　 ヽ　/
　　　＼_,,ノ　　　　　　|､＿ノ



　　　　　　　　　　 　 　 ＿＿＿_
　　　　　　　　　　 　 ／　　 　 　＼
　　　　　　　　　　 ／　⌒　 　 ⌒　＼　　　 　 なに、心配には及ばないお。
　　　　　　　 　 ／ 　 （●） 　（＜） 　＼
　 　 　 　 　 　 |　 　 　 （__人__）　　 　 |　　　 やる夫はファランヘ党との付き合いもあって、
　　　　　　　 　 ＼　 　　 ｀⌒´ 　　　,／　　　 ファシズムの連中の扱いには慣れたモンだお。
　　　　　　　　　／_∩　 　ー‐　　　　＼
　　　　　　　　（＿__＿）　　　　　　　|、　＼
　　　　　　　　　 　|　　　　　　　　　 |/　 ／
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　⊂　／
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　し'
　　　　　　　　　　　＼ 　　､／　　／
　　　　　　　　　　　 　＼／　　／
　　　　　　　　　　　＿／　　／｀`l
　　　　　　　　　　（＿_＿_／（＿/

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　 -─‐ ､
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ／　　　　　　｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　 　 　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　＿＿　i　 ＿」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |＿＿___／　, =ミV_/,r=┤
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾚr‐､匚}{__　{（　 ）r‐､{{__j|
　　　　　　　　　　　　　　　　　＿ﾊ〈^ Y　 i　 ヽ三彳! ﾄ- ｿ
　　　　　　　　　　　　　　　　/　 {　ヽ__ ﾄ　 ＼　　r'　 _〉 ||　　　　　　。o（忌々しいが、やむを得ん……）
　　　　　　　　　　　　　　　/　　_|　　　 |　　　　　 , ==ｧ　j ＼
　　　　　　　　　　　　　　/　　 ∧ヽ i￤{　 　 i　　 ￣´　/　　 ｀ヽ
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＼　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　＼|三三| 　 | | | 匕{



　モラは悩みぬいたすえに、同意をあたえた。
　このことはやる夫に反乱側全体の外交代表権をあたえるに等しく、
　やる夫の立場をいやがうえにも強めた。

　モロッコ軍を指揮するやる夫は、はじめから反乱軍の最高司令官の最右翼であった。
　しかしやる夫は、万事が自分に有利になるまでは動こうとしなかった。



　　　　 ／.:￣￣￣￣￣ ＼　　　　　　　　　三__|__
　 　 ／: : :　　 　 　 　 　 　 ＼　　　　　　　 口　|
　 ／: : : :　　　　　　　 　 　 　 ＼
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: : : : : : : :.._　　　　　　　　_　　　　　 ＼　　│__田__│
: : : : : : : ´⌒＼,, ;、､､／⌒｀　 　 　 　 l
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: : : : : : ´"''",　　　 　 　"''"´　 　　　 　l　　 了 用
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／ヽ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : イ＼　　　　　　ﾚ　|
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　外交代表権の獲得────
　これは、やる夫が初めて行った政治的動きといえよう。

　8月16日、やる夫はブルゴスに飛んで、モラとの秘密会談にのぞんだ。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　－　-　　　　　　　　　　 ﾉ ｰ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / 　（● ●　　　　　　　　 , フ__　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ゝ　 （__人）　　　　　　　,ノ＿＿＿__〕
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾊ　　　　'ミ〕　　　　　　　 ◎「◎ｰ ,-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 （J人_　┐ﾉ　　　　　　　　　| L　冫i　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ‘ｰ´|___）　　　　　　　　　　!,―､!　! ,i
　　　　　　　　　　　　　　　　 ___,ｫ冖'+............-,,,,_　　　　　　　　　　　　　 丶一 ´ン
　　　　　　　　　　　　　　　./"￣　　　　　　　　 ＾ﾞ''''''""`ｰ冖-‐'‐ｭ　　
　　　　　　　　　　　　　　　　!ｌ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＾ﾞ''+-.......+-....
　　　　　　　　　　　　　　　　├__　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　冖宀‐"lｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　￣└--－┐　　　　　　　　　●ﾌﾞﾙｺﾞｽ　　　　　　　　　__ｨ廴,,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_フ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 __ノ"￣￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　イ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ''"´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　亅　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｨﾚ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l! 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ノ’　
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　,..---..--..-‐/
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　　 ..､　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　ﾞ'''"

　　　　　　　　　　　　 　 ∩＿
　　　　　　　　　　　　　　〈〈〈　ヽ
　　　　　　＿＿＿_　　　〈⊃　　}
　　　　 ／⌒　　⌒＼　　 |　　 |
　　　／（ ●） 　（●）＼　 !　　 ! 　　独伊もわれわれを援助してくれる……
　 ／ :::::⌒（__人__）⌒:::::＼|　　 l
　 |　　　　　|r┬-| 　 　 　 | 　／　　 今のところ、作戦は順調に進行しているお。
　 ＼ 　 　　｀ ー'´ 　 　 ／／
　　/　＿＿　 　　　　　　/　
　　(＿＿＿）　　　　　　/





　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ノ ⌒ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /―,　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ξノ　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i---- ､､__　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ノ￣￣'''''''---､､,,__）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ⊂ ――'''''二￣　　　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 （ヾ）√（ヾ））コ''--､!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ^.!　　' ⌒　 >''ヽ!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i '-='　　i'' 　i.δl
　　　　　　　　　　　　　けっこうなことだな。　　　!i. -‐‐- ! 　 !　ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !i　"　 ﾉ　 ノi　.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ゝ-　―'￣ノ___!入
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,,=ﾍヽ '''''　￣､､―''　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ |||└／＼

　　　　　　　　　　　　　　 __＿＿
　　　　　　　　　　　 　 ／　　　　＼
　　　　　 　 　 　 　 ／ 　 　 　 　 　＼
　　　　　 　 　 　 ／　⌒　 　 ー 　　　＼　　　だけど、モラ将軍。
　　 　 　 　 　 　 |　 （●）　 （●）　　　　|
　　　　　 　 　 　 ＼ 　（__人__）　　　　／　　　やる夫には、大きな懸念があるんだお。
　 　 　 　 　 　 　 ／ 　 ｀⌒ ´　　　イ｀ヽ、
　　　　　　　　　, '　 　 　｀￣　 　 　 　 　 ＼





　　　　　　　　　＿＿＿
　　 　　　／）／ノ '　ヽ､＼
　　 　 ／ .ｲ '（●） 　.（●）＼　　　　…この際ハッキリ言うお。
　 . 　/,'才.ﾐ).　 （__人__）　　　＼
　 . 　|　≧ｼ'　　 ´ ⌒｀　　　　　|　　 それは、軍事指揮権の一元化の問題だお！
　　.　＼　ヽ 　　　　　　　　　 ／

　　　　　　　　　　/::::::::::::://::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　 /.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l
　　　　　　　　 /:::::::::::/　　 ＞＝＜　　 ＞＝＜::ﾉ
　　　　　　 　 /.:::::::::::i　　ｲ　　　　　}＝{　　　　　}
　　　　　　　 (:::::::::::::::ﾚ 　 ヽ　 ＿ ノ　　ヽ　 ＿ノi
　　　　　　　　ヽ:::::::::::ﾚ　　　　￣ (　　　)　　￣ ﾊ
　　　　　　　　　 /　 1　　　　　　　　　　　　　　i ﾉ
　　　　　　　　　 ヽ い　U　　　　 ,　ﾆﾆ ､　　　 ﾘ　　　 ……！
　　　　　　　　　　　´1　　　　　　　´￣`　　　　!
　　　　　　　　　　　　i　　　　　　 ;;;　　　;;;　　 ﾉ　　　　それは…！
　　　　　　　　　　　　ﾄ　､､＿＿ ＿＿＿ ＿, ｲ
　　　　　　／::::::::::::::::::::)　　　　;　　　　　;　　/
　　.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::〈　　　　 ;　　　　　;　/.:.:.:.........､
　　:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼　　　;;　　 　 ;;　/:::::::::::::::::::::.｀丶､
　　:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼　　;;　　 ;;　/:::::::::::::::::::::::::::::::::

　　　　　　　　 __＿＿
　　　　　　　／　　　　 ＼
　　　　　 ／　＼　 　／　＼　　　　　 …たしかにデリケートな問題だお！
　　　　／ 　（●）i!i!（●）　 ＼
　　　　| 　　 ,　（__人__）　　　 |　　　　誰も火中の栗は拾いたくない…！
　　　　＼　　　 .｀⌒´　　　　〆ヽ
　　　　　/　　　　　　　　　　ヾ_ノ　　　けど、勝利を確実なモノにするためには
　　　　/rｰ､　　　　　　　　　　　|　　　これ以上避けるワケにはいかないんだお！
　　　/,ﾉヾ　,> 　　　　　　 　|　/
　　　ヽヽ〆|　　　　　　　　 .|

　　　　　　　　　　　　　　　_ ＿_ _
　　　　　　　 　 　 　 　／　 ＿　　｀`ヽ､
　　　　　　 　 　 　 　/　　 /ﾉゝヽ　　 .: .＼
　 　 　 　 　 　 　 　 l　　 ,j　Y　/｀`ヽ､ .:. :.＼
　　　　　　　　　　　 |　　/ ｀ｰ‐'_＿__　＼. :.:. :＼
　　　　　　　　　　　 !　 」イ二 ＿,/ / ＼.ヽ..: .:.:.:.＼
　　　　　　　　　　 ,イ二ﾌr =､二´r＝､.:.;ﾞヾj､ .: .:.: .:.〉
　　　　　　　　　　　￣｀1(◎,)元,(◎,)_j」＼.::ヽ」.:／　　（……ッ！
　　 　 　 　 　 　 　 　 ,ｲｰ-‐j⌒ゝ‐-‐'ﾞ^iｰ;:'乍7'´
　　　　　　　　　　　　 i{t､　,ｨ ﾆ>'ヾ､　　j;:;:,ﾍ;「　　　　　何を言うか、コイツ！
　　　　　　　　　　　　 ゝj,'　 _ ＿,,､､　u.::;ﾚ'ｿ;/
　　　　　　　　　　　　　jﾘ　'"￣｀ｰ'ﾞ ,'　,'::;i;:ｲ　　　　　　自分がその地位に最も近づいたことを知って、
　 　 　 　 　 　 　 　 　 ﾞ!　　´￣`　,'　.:j;::;!;:1　　　　　　このタイミングで切り出してきたんだろうが！）
　　　　　　　　　　　　　 ﾄ､　　　　 　.:,ｲィ;:;:/
　　　　　　　　　　　　 ,ｲ!. `ー一‐''.:´/.:.j:;:;:ﾄ､
　　　　　 　 　 　 　 　| ﾄﾐt､.: .:. .:_,､-‐''"´ .:.::i
　　　　　 　 　 　 　 　| | T j 「￣ T　　　.: .:.:.:|
　　　　　　　　 ＿_, イ 」 | ,! |　 　 |　　.: .: .::.::L_
　 r77´￣￣ 　　　　 `ヾj ,! ,! 　　」＿,．-‐'"´.:.:.:`ｰ- ､_
　//j′　　　　　　　　　」 ! 7´￣　　　. :. ..: .: .:. :. :.. :. : :; ￣

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　 -─‐ ､
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ／　　　　　　｀ヽ、
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　 　 　 ヽ
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |＿＿___／　, =ミV_/,r=┤
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾚr‐､匚}{__　{（　 ）r‐､{{__j|　　　　　　　 そのアイディアについて、もちろん異論はない。
　　　　　　　　　　　　　　　　　＿ﾊ〈^ Y　 i　 ヽ三彳! ﾄ- ｿ
　　　　　　　　　　　　　　　　/　 {　ヽ__ ﾄ　 ＼　　r'　 _〉 ||　　　　　　　　ないが、われわれだけで決められる問題でもない。
　　　　　　　　　　　　　　　/　　_|　　　 |　u　　 , ==ｧ　j ＼
　　　　　　　　　　　　　　/　　 ∧ヽ i￤{　 　 i　　 ￣´　/　　 ｀ヽ　　　　そうだろう？
　　　　　　　　　　　　　/　　　 |　ヽヽ ヽ､`ヽ、! 　 　 　 j　　　　　 ＼
　　　　　 _　 -──イ　　　 　 ヽ　　＼＼`ー､｀ニニﾆ1
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＼　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　＼|三三| 　 | | | 匕{

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　　　　　　／　　　,,.-'"　　　　　　ヽ　 ヽ、
　　　 ,,.-'"_　 r‐'"　　　　　,,.-'"｀　　　　　ヽ、
　　/　　　 ヾ (　　　 _,,.-='==-､ヽ　　　　　　ヽ、
　　i へ＿__ ヽゝ=-'"／　　● _,,>　　　　　　　ヽ
　 ./ / 　●＞ ＝'''"　￣￣￣　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　　　　　　その通りだお、モラ将軍。
　/ .ヽ-‐´''"　　　　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　i
./　　　 i　　　人＿　　　ノ　　　　　　　　　　　　　　 ,r‐"':,　　　　　　 …であればさっそく候補者全員に声をかけて、
,'　　　　 ' ,_,,ノｴｴｴｪｪ了　　　　　　　　　　　　　　　 ヾ;,::::::＼
i　　　　　　 じｴ='='='" ',　　　　　　　　　　 ,r- ..,　　　 ヽ::::::::ゝ　　　　反乱側首脳会議を開くべきだお。
',　　　　　　 (___,,..----'　　　　　　　 　　 (:::::::::::ヽ、　　　ゞ:::　ヾ
　'ヽ、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼:::::::::::＼　　 'l:: -゛ｷ
　　　ヽ､_　　　　　　　　　　　　　　　i,""'::,　　"i,,:::. 　ｷ　 /::　　 |
'ｭ,ノ'",;l ｀ゞ　 ｀`ｰ- -‐'"´　　　　　　i:::::::ヽ　　'ヾ,"'" .ヽイ　　 ｿ ⌒〉
ｼﾆi;∠(ヽ、':.. 　　　　　　　　　;;;'";;_,,_'l:::::::::::i;,　　'l,,　　　l::::　　i　/
ﾐ/::i:i:l'::::::＼:::　　,,,__..　　;;,.::::i;::::::ヽ,,,_ 'ｷ:::-=.::＼　 l::.　　 "'i:::::　 ）
/:::::/,l:::::::::::;;'i-:..,,_,,r‐‐'"::::::::,;ii;:r⌒ヽ:::::::＼:::.... ＼r'-‐''"　..::::::::/
::::::l':;"';,,::::::::l'　　　l':::::::::::::;;;;ii//ヽ、:::ヽ、:::::＼　　 "' ::::...:::::::::::::l'
i:::::,l;;':::::"'i;;-l-..,,_,,..l;;;:::::r'":://:::::::ヽ,:::::::::,,_:::::::::>= ノ..::::::::::::::::::ﾉl;,
l:::,ll::::ヽ:::l:o;;:::::::::ﾉii;;;.......;;;;//:::::::::::::.'i.::::: ﾉ..""'"-; ...::::::::::::::::;;:/ヽl;,
:::::ll::::::::::l'::ヾ:::::::/:'"::'"::::;//,;.::::::::::::::"''‐- t..,,　/::::::::::::::::::::::../ ﾉ i;;
:::,;ll::ヽ:::l';;:::::::::/::::::::::::;;;;//::::::::::::::::::::::::::::::::::::"'';;":::::::::::::::::::ノ /;;;/;
::;;ll:::::ヽl,::;;;:::::/:::::;;:::::::://::::;;;:::::::::::::::::::::::::::::::::/〆"''"""￣ ／;;;//;



　やる夫の気迫におされ、モラは反乱側首脳会議の開催を約する。

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾚr‐､匚}{__　{（　 ）r‐､{{__j|
　　　　　　　　　　　　　　　　　＿ﾊ〈^ Y　 i　 ヽ三彳! ﾄ- ｿ　　　　　（われわれのなかで、最も戦果をあげているのは…？
　　　　　　　　　　　　　　　　/　 {　ヽ__ ﾄ　 ＼　　r'　 _〉 ||
　　　　　　　　　　　　　　　/　　_|　　　 |　　　　　 , ==ｧ　j ＼　　　　最も対外的な評価が高いのは…？）
　　　　　　　　　　　　　　/　　 ∧ヽ i￤{　 　 i　　 ￣´　/　　 ｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　/　　　 |　ヽヽ ヽ､`ヽ、! 　 　 　 j　　　　　 ＼
　　　　　 _　 -──イ　　　 　 ヽ　　＼＼`ー､｀ニニﾆ1
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　　　　　　　　 　 ／　　　,,.-'"　　　　　　ヽ　 ヽ、
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　　　　　　i へ＿__ ヽゝ=-'"／ ● 　 _,,>　　　　　　　　 ヽ
　　　　　 ./ / ●　＞ ＝'''"　￣￣￣　　　　　　　　　　 　 ヽ
　　　　　/ .ヽ-‐´''"　　　　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　 i
　　　　 /　　　 i　　　人　　　　 ノ　　　　　　　　　　　　　　　l
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　　　　　　ヽ､_　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　　　 ────ほかならない、やる夫だ！
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　　　　 　 　 　 　 ｉ,'　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ||　　　　　　────どうすればいい…？
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　　　　 　 　 　 　 :|:　　　　　,::.. 　 　 　 　U　 　 |:　　　　　どうすればいいのだ……
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　　　　 　 　 　 　 :ヽ＿人.＿＿＿__／:. ／_／´
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　モラは、すでに自分のチャンスが失われつつあることに気づかざるを得なかった。

　1936年9月、サラマンカ郊外において、反乱軍首脳会議が開催された。



　　　　　　　　　　　l　　　　　　　　　 ヽ　　＿,　 ｌ　　　　　 l /￣￣￣7｀＼　　ｌ ｀￣￣￣　　　　　　　　 l|
　　　　　　　　　　　 ヽ＿＿,　---─'´　//＿, 　 l　　 　 　 l 　￣￣´ ｀＼/ｌ 　 l　　　　　　　　　　　　　　|
　　　　　　　　　　 ＿＿＿＿,-'´ヽ　　 ｲ'´　　　　〉---─ 7 l　 _　　 　 　 |l l 　 l　　　　　　　　　　＿_ 　 |
　　　　　　　 　 /´　　　　 　 　 　 ヽ 　 l　　＿ 〈 ＿＿__ /　 ｌ_ ヽヽ __l|l　 |l |l 　 ｀ ─---─ '´￣　 　 ｀l| |
　　　　　　　　/　 　 　 　 　 　 　 　 〉　 l:　∧　|｀￣￣´l l 　 l　￣　 l| |l　 |l |l　　　　　　　　　　　 ＿＿ | |
　　　　　　　/　　　　　　 　 ＿＿,-'´　　 l/ /　 |ｌ　　　　｀ｌ　/　　 ／､ |ｌ -- l´l|　　　　　　　　　　| ＼　 ||l |
　　　　　　/ 　 　 　 ,-'´￣　　　　　　　　ｌ 〈　　 |　　 　 　|/　　 ｲ　　V　　　|　l| ＿＿＿＿＿ 　 | 、 ｀ | | |
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　　　　/　　　　　/　　 |　／ヽ　　　＿＿ / 〉'　/二/　/二/ 　 ｌ| ∨ ｌ　　　　l|　 |_　　　　　　　　　|　 　 l| | |
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　　/　　　　　 /　　　　＼　／　丶 　 / /　ヽli､　_ 　 _　　 ／イ　| l|　|　　　　|　| l| | П　　　　 Пl|｀‐-､l| | |
　/　　　　　 /　　　　 　 丶　　　 丶_〈´〈 l |　　｀i[､ ヽｌ ／／　 l/　l|　|　　 　 |　| l| |_￣￣￣￣￣ ｀ ‐-､l| | |
/　　　　　 /　　　 　 　 　 ヽ　　 ／ >､＼＼＿＿＿_／／　　／　　l| |　　　　|　| l| |　　　　　ｌ　　　　　　 | |l |
　　　　　 /　　　　　 　 　 　 ＼　／　　 ｀､────､´ 　 ／ |、 　 ｌ|　 　 　 |　| ｌ|l __________ l _____________l| l　l
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　 ＼　/　　 　 　 　 　 　 　 /----‐─ ─‐ ∧　　　　　 ヽ　　|l ｀､　l　　 ＿/　ｌ|　　　　　 　 l　　　　　　　| l　l
　　　/　　　　　　　　 　 　 /　　　　　　　　 l　ヽヽ　　　 　 ヽ　|l　｀、〈￣´ｌ__ヽ､ |　　　　　　　l　　　　　 　 |｜ |
　　/　　　　 　 　 　 　 　 /　　　　　　　　 」 ´､ヽ ＼　　　　 ヽ|ｌ　 ｀、 〉二_ ´､＼、　　　 ＿＿＿＿＿＿_ｌ| l|　|
　/　　　　　　　　　　 　 /　　　　　　　／´,─､､ ｀､　＼＿＿_ >、 ＿/l´ / |ｌ　 ＼l|ｌ　 ／　| 　　　　　　　　|　| |l|
/　　　　　　　　　　　　 ヽ￣￣￣￣/ ／/／// 〉　｀/∧　 　 |l 二､_ ｌ| /　|l|　 　 l||／　 　| 　　　　　　　　|　l||l |
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　　　　　　　　　　　　 　 /｀、 _　〈 〈 　 ヽ＿∨ ／／l　l|､- - |＼、　 ヽ--｀'／／　|ｌ　　　ｌ|　冂 　 　 冂 _l|　 l|　|
　　　　　　　　　　　 　 ∧　　ヽ_ヽヽヽ ＿＿_／／ 　 l | ｌ　 ,-, ＼｀───´／　 ｲ|ｌ|　　／￣ ￣￣￣ ￣ｌ| 　 |　|
　　　　　　　　　 　 　 /　｀､ / ￣　｀───‐ <　　／ >─､､ _ ＼l｢￣￣￣ | ／　l| l ／　　　　　　　　　　| 　 l|　|
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　　　　　　　　　　　∧　　//　　　　 　 ｀､　　 /　〉'　 | /　 | |　　 l| |l 　 　 　 l　 　 ﾚ　　　　　　　　　　　　|　　 l|　|
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　　　　　　　　　　　,.　'ﾞ´　　　 　 　　 ／.::`ヽ ＼
　　　　　　　　　 ／　　　　　,. __´ _＿|.:‐=!=‐!: : :}
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　　　　ヽ　　　,.　´　´ ￣　＞　==_-===_-- く_
　　　　　ヽ イィ´　　　 ィ´.:.:.:.:.:(　) `ｰく､､,,「￣
　　　　　　｀Y´ ィ´ ,.　ィ´￣`ｰ===r⌒ヽ(　}
　　　　　　　ﾚ'ハ｀Vﾞ´{;　　　 ,.　'ﾞﾞ´ .; .}`=ｲ
　　　　　　　{！い{: :.:;;;`ゝ　,.　　'´ｰ=_ﾊ, .;}
　 　 　 　 　 ｝ヽ_ 」: : :..:;{　 { ー__--_-､_,.,'′
　　　 　 　　 i:.:.'､.:i: : : : .;: : :: : : .,ﾆﾆﾆ､ j!　　　　　…今日は遠方より、よく集まってくれた────
　　　 　 　　 j.:.:.:',:{: : :: : ;: : : ::.'ﾞ´　ﾞﾞﾞﾞ｀.ﾉ
　　　 　 　 _！.:.:.:',｀丶､: :ﾐヽ､: .　　　 ｲ
　　　　　 「:::::::.￣ ｀丶､:::::::;:;:;ヽ::.:...:.:.:.ﾉ
　　　　　 i　　　　　　　 ｀Tﾆﾆﾆ-_二i´
　　 　 　！　　　　　　 　 |::::::::::::::::TTi
　,. .::´.:::::.L　　　　　　　　|:::::::::::::::::| | L
　.:.:.::::::::::::::.:.:.:｀丶､　　　 」::::::::::::::::| | |:::`ヽ

　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣｀ヽ　　　　　　　　 f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
　　　　　　　　　 ／　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　 |　…フランシスコ･やる夫少将、
　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　 ',　　　　　 ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ 乂_
　　 　 　 　 　 i 　　　　　　　　　　　　　　　　!
　　　　　　　　i　　　　　 　 　 　 　 　 , ィ´j 　ｌ
　　　　　　 　 ｌ　　　　　 　 　 　 ､,ィ´ ゝ'ｨ　　 ト､
　　　 　 　 　 ｌ　 　 ＿＿_,ヾ, ヽｲ､ ｀ ー‐　　 ｊ　　ヽ
　　　　　　　　! 　　 ゝ､_!ｿｲ　　　　　 )　　　/　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 {　　 　)ー‐'　　 /　　　　 　ﾊ
　　　　　　　　　ヽ　　　　　｀ー '´　　　 ｨ´　　　　　 　　ｌ
　　　　　　　 　 ハミ≧ー　＿＿_　,, ≦　　　　　　　　　ｌ
　　　　　　　 ／ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　ｊ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀`''‐､ ｀`ヽ､.　　 ,.. -─;:-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＼ ll　ヽ.r'　ll ／-─- ､.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　 　 　 ,. ‐''"´ll 　 lll｀`　lll ’ l　"　ll　 -=ﾆ.｀
　　 　　f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ　　　　　 .　　 ∠ -‐ ; =-─　　 ll　　 　 ll　　 　 lll　＜`
　　..　　|　ケイポ・デ・リャノ少将、　　　　　　　　　　　　, ‐''´ lll　 　 ll　　 　 lll　　　 ll　　　 lll　ヽ
　　　　_乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ　　　　　　　　 ／ ll　_,.　　ll　　lll　　ll　　 ll　　　 lll　 　 ll　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, '.,. ‐',´'´ llｌ　　 ll　　ll　　,.ｲ　　 lll　 　 ll　　 ll |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　, ' ll ,ィ　. ll　,.ｲll.,.ｲll./::::ヽ.ll ﾄ､ ll 、 　 lll 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　 /ll.／!　,ｲ　./_:l /:::!./::::::::::ヽ. |_ヽ |ヽ llｌ　　ll |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /., ' . !ll /ｌ ll/:::::l/ヽl/::::::::,.‐''::ヽ!:::ヽ!::ヽ　ll 　 |
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ケイポ・デ・リャノ少将

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　　　　　　　　　　　　＿--` `'" `　^, ___　 ヽ,`'-- '"-'ー-丿
　　　　　　　　 -,--``　　　　　　, ,j,; ,,ヾ, i ヽ丶'''' ＜ --丿"'-z__
　　　　　　　　＜　,　　,,` ;'　ｿy-'''　　　 ヽl＼l,　.j.,` .jヾ ,ゞヽ-`ヽ,,,　　　　f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
　　　　　　／"　 'ノ",,　/、i/lﾉ`　　　　　　　　`ヽl＼|`＼jヾ .lヽゞ,_　　　　| そして、ミゲル・カバネリャス少将。
　　　　　丿　ｿ　　＞　,,　丿　　　 ,,　　　　　　　　、`　　　　 lヽ`ゝ　　　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ 乂_
　　　　 ｿ　　　 ノ　,,　 ソ/　　　　ヽ　　　　　　 、ｌ　　　　　　 .lヾ＼
　/ヽ,;;'"　　"'' ソ　,, lj ｿ（　　　,　丿　　　　　　ゞ |　　　　　　 .|`ヾ"
,,.|　 ヽ"　　,,　 ''ｿ, " /ノ,丶,　/ヽ　　　　　　　　　.ヽ　　,"　　　lゞ`
`"　 ノ,,　　　　''　"丿／ｿノ　| .l;,`- ,__　　　　　　 ヾ., , l　　 ,,ノ`!
ﾉヽ　`ｿ ,,　　''ノ,,　''-'"ソﾉ==;l, .l;;;`ー-"二',;;;;;,　,,__ﾉ.>,,ヽ,／;;;'ﾉj
　 ）　ソ,, `／;,　／`ヽｿｿ　　 .ヽ＼;;;;,,,,,,;;;;;;;;;;;;;;;`丶,`";;;;'',,;";;;'ﾉﾉ
ソ　 /"ノ,　　ﾉ"l ` ,,ヽl;;|　　　　 ヽ`_''''';;;;;;;;;;;;;;;;''''''"-" .|ヽ--,j'"
ヽi　l"''"ｿ　　`"t　ヘ|ヽ|　　　　　　￣'`ー--－'"　　　.|　　.l
　j　,,-ｿノ,zソソ"＼ヾヽ,l　　 _　　　　　　　　　　　　　　|　　l　　ノj
,,　,l|" "'"'"　"　　 丶 ,, `,　　'i'',"　　　　　　　　　._,,,_　.lr　ﾉ　／ﾉ　　　　　
　,丿　　　　　　　　　　`''ヽ　　 `'tー- _____　　　　　_`','" .i' ／ /-ーｚ　　　　フフ……
丿|　　　　　　　　　　　　 ;;＼　　　 `'ー',,,, `l￣"l￣,,lノ" .i"　ノ ／￣-
　||　　　　　　　　　　　　;;;;;;;;;;'＼,　　　　 -￣￣￣,,, -'　/,／／'"
丿|　　　　　　　　　　　 ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`ヽ,,　　　　　￣￣　　.i"___",,
　　　　　　　　　　　　　　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`';;,,,　　　　　　　 ﾉ　__,,,
　　　　　　　　　　　　　　　　　;;;;;;;;;;／''''''|`'ー――''''''"''",／
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ;;;／|;;;;l l;;|　　　 `　,,,.......''",,,,,,
　　　　　　　　　　　　　　　　　 /;　.||;l .l;;;|　- ,_ ''"　　,,, - '"

　　　　　　　　　　　　　　ミゲル・カバネリャス少将

　　　　　 　 　 　 |　　　, -──‐‐- ､　　|
　 　 　 　 　 　 　!　,r'´.:.::::::::::::::::::.::.:.:.:＼ !
　　　　　　　　　 ﾚ'.:.::::r'"´￣￣￣｀ヾ､:::.:.!
　　　　　　　　　 |;r'"´-‐`ヽ　 ,/´-ｰ-､`^i
　　　　　　　　 　!jィ〔´（◯）｀二´（◯）｀ﾄ､|
　　　　　　　　　ﾊﾚ' ﾞｰ＝'ﾞ´.:;! ' ｀ﾞ＝‐'ﾞ^ﾚj､
　　　　　　　　　l ﾄ､'.., 　 / .::;j,_　 ｀ヽ　ノｲ !
　　　　　　　　　! ﾘj　i　　　 ^"^　　　 l^iｲｿ　　　　　　 諸君の勇戦により、われわれの勝利は
　　　　　　　　　ヾU　',　 ''ｰ＝＝‐''´ ,! |ノi　　　　　　　もはや目前…
　　　　　　　＿ _」^i　 ',　　｀ﾆ二"´　,' ,!　ﾄ､＿ _　　　　　　　　　　　 f´￣￣￣￣ ｀ヽ
　　　,r'"´.:.:.:.:.::::::|　ﾞ､　 Y´　　 　 ｀)　/　 |:::::::::.:.:.｀`ヽ　　　　　　　　 |　よお……
　　 ,!.:.:.:.:::::::::::::::::j　　＼,ゝ‐---‐ 'ﾞ,イ　　」::::::::::.:.:.:.:.:.:!　　　　　　　　 ヽ＿＿＿＿＿乂_
　　 |/＼.:.:.:.:::::::::|￣￣｀¨`ヾ｀二´イ"´￣ i:::::::::::::::::／|
　　 |.:.::::::＼.:::::::::|　　　　 　 ｀ﾞYi"´ 　 　　|:::::::::::::/::.:.:.|
　　 |::::::::::::::i:::::::::| 「***j」　　!l |　「***j」/:::::::::::/:::.:.:.:.:|
＿,ノ.:::::::::::::|:::::::::!　　　　　　 | ||　　　　/::::::::::::/::::::.:.:.:.:L_ ＿
::::::::::::::::::::::::!:::::::::ﾄ､｀`二二ﾆj i |　-ー'/:::::::::::/::::::::::::::::::::.:.:.:.:.:

　　　　 ｿ　　　 ノ　,,　 ソ/　　　　ヽ　　　　　　 、ｌ　　　　　　 .lヾ＼
　/ヽ,;;'"　　"'' ソ　,, lj ｿ（　　　,　丿　　　　　　ゞ |　　　　　　 .|`ヾ"
,,.|　 ヽ"　　,,　 ''ｿ, " /ノ,丶,　/ヽ　　　　　　　　　.ヽ　　,"　　　lゞ`
`"　 ノ,,　　　　''　"丿／ｿノ　| .l;,`- ,__　　　　　　 ヾ., , l　　 ,,ノ`!
ﾉヽ　`ｿ ,,　　''ノ,,　''-'"ソﾉ==;l, .l;;;`ー-"二',;;;;;,　,,__ﾉ.>,,ヽ,／;;;'ﾉj
　 ）　ソ,, `／;,　／`ヽｿｿ　　 .ヽ＼;;;;,,,,,,;;;;;;;;;;;;;;;`丶,`";;;;'',,;";;;'ﾉﾉ
ソ　 /"ノ,　　ﾉ"l ` ,,ヽl;;|　　　　 ヽ`_''''';;;;;;;;;;;;;;;;''''''"-" .|ヽ--,j'"
ヽi　l"''"ｿ　　`"t　ヘ|ヽ|　　　　　　￣'`ー--－'"　　　.|　　.l
　j　,,-ｿノ,zソソ"＼ヾヽ,l　　 _　　　　　　　　　　　　　　|　　l　　ノj　　　　　 …そんな形式ばった挨拶は抜きにしようぜ。
,,　,l|" "'"'"　"　　 丶 ,, `,　　'i'',"　　　　　　　　　._,,,_　.lr　ﾉ　／ﾉ
　,丿　　　　　　　　　　`''ヽ　　 `'tー- _____　　　　　_`','" .i' ／ /-ーｚ　　　 なにせ皆、時間がねえんだ。
丿|　　　　　　　　　　　　 ;;＼　　　 `'ー',,,, `l￣"l￣,,lノ" .i"　ノ ／￣-
　||　　　　　　　　　　　　;;;;;;;;;;'＼,　　　　 -￣￣￣,,, -'　/,／／'"　　　　　　さっさと本題にうつろうぜ……
丿|　　　　　　　　　　　 ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`ヽ,,　　　　　￣￣　　.i"___",,
　　　　　　　　　　　　　　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`';;,,,　　　　　　　 ﾉ　__,,,
　　　　　　　　　　　　　　　　　;;;;;;;;;;／''''''|`'ー――''''''"''",／
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ;;;／|;;;;l l;;|　　　 `　,,,.......''",,,,,,

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　 -─‐ ､
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ／　　　　　　｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　 　 　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　＿＿　i　 ＿」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |＿＿___／　, =ミV_/,r=┤
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾚr‐､匚}{__　{（　 ）r‐､{{__j|　　　　　　……
　　　　　　　　　　　　　　　　　＿ﾊ〈^ Y　 i　 ヽ三彳! ﾄ- ｿ
　　　　　　　　　　　　　　　　/　 {　ヽ__ ﾄ　 ＼　　r'　 _〉 ||　　　　　　 そうだな…
　　　　　　　　　　　　　　　/　　_|　　　 |　　　　　 , ==ｧ　j ＼
　　　　　　　　　　　　　　/　　 ∧ヽ i￤{　 　 i　　 ￣´　/　　 ｀ヽ　　 では、本題にうつろうか。
　　　　　　　　　　　　　/　　　 |　ヽヽ ヽ､`ヽ、! 　 　 　 j　　　　　 ＼
　　　　　 _　 -──イ　　　 　 ヽ　　＼＼`ー､｀ニニﾆ1
/￣⌒V　　　　　　　| 　 　 　 　 ＼　 r--　､ー‐〒r＝|
＼　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　＼|三三| 　 | | | 匕{

　　　　|｀/|　 /〃　 　 / 　,/＼　　 　 　゛ 　 　 ﾞ　 }: : :.i
　　　　|/ .|｀/'ｉ　ﾘ 〃/ｉ〃/　　 ＼∧゛:} 　 {＼　゛_.: : : :|
　 　 　 　 |/　|:∧}八} | ./　　　 　ヽ ＼＼: : : : : : : ､: : |
　　　　　　　　}ﾊ　___　ﾚ′　　　 　 ＞-ヽ 丶、: :}: : : : :|
　　　　　　　　 '∧ヽ弋ｩ､　　　　∠ __＿＿_　ｉ: :ｉ⌒ヽ: :|
　　　　　　　 　 {ハ　 ｰ-/ 　 　 弋^“´ _. イ　|: :|爪 |: :.|
　　　　　　　　　　 i　　:/　　　 　 　￣　　 　 .|: :|じ ﾘ: :.|、
　　　　　　　　　 　' 　/　　　　　　　　　　　　 }_ﾉ.イ: : : ハ　　　　（……
　　　　　　　　　 　 ∨　 .. -‐-　　　　　　　　ﾉ､i: : ' : : }　i
　　 　 　 　 　 　 　 'ﾍ´　‐- ..＿ __,　　 　 ／　:∨: ｉ:.:/　.|　　　　まるで茶番だな……）
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ＿＿　　 　／　　 　 ',: :/　　l＼
　　　　　　　　　　　　 ∧　 ヽ::::ノ 　 ／　 　 　 　 ∨　　 |　 ＼
　　　　　　　　　 　 ／ .∧　 　 　 ／　　　　 　 　 /　 　 .|
　　　　　　 　 　 ／　　 / 丶_ . イ　　 　 　 　 　 /　　 　 |
　　　 　 　 　 ／　　　./ 　 　 　 }　　　 　 　 　 /　 　 　 .|
　　　　　　／　 　 　 /　　　　　 |　　　　　 　 ./　　 　 　 |
　 　 　 ／　　 　 　 / 　 　 　 　:|　　　　　　 /　 　 　 　 .|

　　|　　/ "　"　　　　　　　　　　　　　　　　　　"　　　　|
　　| ./|　　i　　　　/　　/＼　　　　　　　　　　　　　　　.|
　　|/ .!　 /　/!　/|　　/　　ヽ　＼　　　　"　　　"　　" |
　　　　|　ハ/ X　 |　/　　　　＼〈_＼＿、　"　　 !　　　!
　　　 　V　ﾊ　　ヽ|/　　　　　,　´＼　　｀＼ー--|､　　 !
　　　　　 　| K┬､　　　　　./　　　　｀　　　|　 __　　　 |
　　　　　　 'J ゝ'- ｀ヽ　　　 ＿＿＿＿　　| ",|､ヽ　" !　　　（俺には『アキレス腱』がある……
　　　　　　　 |　　　/　　　　｀'ｰ'‐―- ´　　|　| ､! |　 !
　　　　　　　 .!　　/　　　　　　　　　　　　　| ヒ //　 l　　　　ハナから俺が選ばれる芽はない……
　　　　　　 　 ', ./　　　　　　　　　　　　　　Vﾝ /　" !
　　　　 　 　　 ./　　,　_ｧ　　　　　　　　　　ﾊ　　 "　l　　　　それでも俺を呼んだのは、
　　　　　　　 ∠　へ＿＿＿　　　　　　　, '　'.　"　 .ﾊ　　 　ともかく全員で決めたっていう体裁をととのえるためだ……）
　　　　　　　　／'.　　　　　　￣　　　 ／　　　',　　,　ヽ
　　　　　　 ／　　'.　＝=ｧ　　　　　／　　 　　 ',　/　　ヽ



　ケイポ少将は、かつて反王制の反乱に参加した経歴があり、
　したがって、彼を推す向きはまったくなかった。

　やる夫はサラマンカ首脳会議に、腹心のヤグエ大佐を帯同させていた。



　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 _＿＿__
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ／ 　 　 　 　 　 ヽ
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 /　 　 　 　 　 　 　 ,
　　　　　　　　　　　　　　　 　 ｌ　　　　　　　　　 　 i
　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ｊ!　 　 　 　 :
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ｌ ,..-､＿,ﾉ ﾍ,_＿_,ノ }
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 |　 （ ● ）　( ● ) 　|　　　　…失礼ながらカバネリャス少将、
　　　　　　　　　　　　　　　　　l 　ｒ 　 　 i 　 　 ､　.!　　　　あんたはこの場所にいる資格があるのかい？
　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ∧. ゝ､ 　人　　ノ ./ｫ､_
　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 _,,ｲ/,|ヽ　￣´_｀￣　,ｲ////l
　　 　 　 　 　 　 　 _, - ≦////|l! ＼　´ ｀ .／//////ゝ､
　　　　 　 　 　 　 ∧,////////{ l 　 ｀ｰ‐ ´　ﾜマ/////∧
　　 　 　 　 　 　 /,/∨///////　ｌ　　　　　,'///｀' 'ﾐ,///{｀ミ- ､___
　　 　 　 　 　 　 }///∨/////＿＿ 　　　 ヽ//////｀ヽ;ﾍ //////≧ｫ 、
　　　　　　　　,.イ/////ヽ///|　　　 ｀ヽ 　 ,.'´}/////////｀//////////,｀x
　　　　　　 ／＞ ´/////∨,∧　 　 　 　 　 　 l//////////////////////＼
　　 　 　 ,r7///////////∨/》　 　 　 　 　 　 ﾏ,//////////////////////ﾊ
　　　　／//////////////∨,|　　　 　 　 　 　 ∨//////////////////////,
　　 　 {/////////////////Ⅵ 　 　 　 　 　 　 ////////////////////////}

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l
　/ヽ,;;'"　　"'' ソ　,, lj ｿ（　　　,　丿　　　　　　ゞ |　　　　　　 .|`ヾ"　　 i､_＿,,...／
,,.|　 ヽ"　　,,　 ''ｿ, " /ノ,丶,　/ヽ　　　　　　　　　.ヽ　　,"　　　lゞ`　　　　　γ´
`"　 ノ,,　　　　''　"丿／ｿノ　| .l;,`- ,__　　　　　　 ヾ., , l　　 ,,ノ`!　　　　　　　ゝ..,,＿＿
ﾉヽ　`ｿ ,,　　''ノ,,　''-'"ソﾉ==;l, .l;;;`ー-"二',;;;;;,　,,__ﾉ.>,,ヽ,／;;;'ﾉj　 .　　 　 　 　 　 γ´
　 ）　ソ,, `／;,　／`ヽｿｿ　　 .ヽ＼;;;;,,,,,,;;;;;;;;;;;;;;;`丶,`";;;;'',,;";;;'ﾉﾉ　　　　　　　　　　ゝ、
ソ　 /"ノ,　　ﾉ"l ` ,,ヽl;;|　　　　 ヽ`_''''';;;;;;;;;;;;;;;;''''''"-" .|ヽ--,j'"　　　　　　　　　　　　　`
ヽi　l"''"ｿ　　`"t　ヘ|ヽ|　U　　　　￣'`ー--－'"　　　.|　　.l
　j　,,-ｿノ,zソソ"＼ヾヽ,l　　 _　　　　　　　　　　　　　　|　　l　　ノj
,,　,l|" "'"'"　"　　 丶 ,, `,　　'i'',"　　　　　　　　　._,,,_　.lr　ﾉ　／ﾉ　
　,丿　　　　　　　　　　`''ヽ　　 `'tー- _____　　　　　_`','" .i' ／ /-ーｚ　　 　 あぁ？
丿|　　　　　　　　　　　　 ;;＼　　　 `'ー',,,, `l￣"l￣,,lノ" .i"　ノ ／￣-
　||　　　　　　　　　　　　;;;;;;;;;;'＼,　　　　 -￣￣￣,,, -'　/,／／'"　　　　　　キサマ、いったい誰に口をきいて…───
丿|　　　　　　　　　　　 ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`ヽ,,　　　　　￣￣　　.i"___",,
　　　　　　　　　　　　　　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`';;,,,　　　　　　　 ﾉ　__,,,





　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　ｊ　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　::　　!　　　　　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i ＿＿,ノ　ゝ _,,ｭ=-ｰ'　　 　 　 　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!(｛:::::｝)、　（　{:::::::} )　　　　　　 ,'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　; 　　　,'　 　 　 　 　 　 　 　 　 ,'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i´　　,'　 　　　　　 ヽ　　　　:;; ,'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､__ ,（ 　　　　　　　　l　　　 /　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　だって、そうだろうが！　　　　 ..;　`,ー----― ¨　　　./ 　 !､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:　'ｰ -―-'　 　 　　／　　 !ノヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 :;　:￣ 　 　　　.,／ 　 　／:::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 :〉､_＿___ , - '"　　 　／::::::::::::::::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／;;;;;;j :::::: :: :　 　　,／::::::::::::::::::::::::!

　　　　　　　　　 　　 ／￣￣ ＼
　　　　　　　　　　 _ノ　ヽ､,_　　　＼
　　　　　 　 　 　 (.●）( ●）　ノ（　|　　　あんた、プリモ・デ・リベラ軍事政権に
.　　　　　　　　　 （__人＿）　　⌒　|　　　反乱をおこしてるじゃないか！
　　　　 　 　 　 　 '､｝r┬ j　　　　｜
　　　　　　 　 　 　 | `￣　　　　　 |　　　 都合の悪いことを忘れようったって、
　　　　　　 　 　 　 |　､　　　　　　{　 　 　そうはいかねえぞ！
　　　　　　　　　　　ヽr ｰ-　＜ .／ﾄ､
　　　　　　　　　　　,/ﾑ _ ,. -／ : :／` 一….、
　　　　　 　 _,.-::::／/:::ﾊ　／. : :/ : : : : : : :. - ＼
　　　　　／/ : :/.: i/.:::l　y : : : / : : : : : : :/ : : : : .ヽ
　　　　 j : : : : :} ./.:::::l ./ : : : /.: : : : : : : : : : : : : : : :.
　　　　i :i : : : :| :i ::::::ﾚ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .ヽ




　　　　, r ' ⌒ ヽ､
.　　／　　　　　　 ヽ,
　 /　　　　　　,，ヽ､_ヽ
.　|　　　　__,ノ 彡（○ ）
　 |　　　（○　） 彡　　|
. 　|　　　　　　　　入,__）　　　…そんな奴はとうてい認められないね。
　　|.　　　　　ﾞ'ｰ'´
.　　|　　　　　　ﾞヽ､__ﾉ　　　 　・ ・ ・ ・ ・
　　 ヽ､　　　　　　　ﾉ＼.　　　モロッコ軍の指揮官として…！
　　／::ヽ､＿　　 ／ﾉ:::::|
.　/:::::::,::::＼ゝ､◇ノ::::i:::|
.　|:::::::::|:::::::::＼¶/::::::::|:::|
.　|:::::::::|::::::::::::::::|::::::::::|:::|
.　|:::::::::|::::::::::::::::|::::::::::|:::|



　この時点で候補者リストから、ケイポとカバネリャスは消えた。

　したがって問題は、やる夫か、モラかということになる。



　　　 　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　／⌒　　⌒＼　　　　　　　　　　　　　　　　ノ ⌒ ＼
　 　　　　／（ ●） 　（●）＼　　　　　　　　　　　　　　/―,　　　　＼
　　　　／ ::::⌒（__人__）⌒:::: ＼　　　　　　　　　　　 /ξノ　　　　　　ヽ
　　　　|　　　　　|r┬-|　　　　　|　　　　　　　　　　　i---- ､､__　　　　|
　　　　＼ 　　 　 `ー'´ 　 　 ／　　　　　　　　　　 ノ￣￣'''''''---､､,,__）
　　　　　 >　　　　　　　　　<　　　　　　　　　　　⊂ ――'''''二￣　　　i
　　　　　（　|　　　　　　　 / ）　　　　　　　　　　　 （ヾ）√（ヾ））コ''--､!
　　　　　　`|　　　　　　　/'　　　　　　　　　　　　　 ヽ^.!　　' ⌒　 >''ヽ!
　 　 　 　 　|　　　ｒ　　/　　　　　　　　　　　　　　　　i '-='　　i'' 　i.δl
　　　　　　　ヽ　　ヽ／　　　　　　　　　　　　　　　　　!i. -‐‐- ! 　 !　ｲ
　　　　　　　　>__ノ;:::......　　　　　　　　　　　　　　　　 !i　"　 ﾉ　 ノi　.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゝ-　―'￣ノ___!入
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,,=ﾍヽ '''''　￣､､―''　＼

　軍事蜂起以来の功績としては、やる夫の方が評価が高い。
　対外的にも、やる夫はその地位をかためつつある。



　　　　　　　　　　　＊　　＿＿＿＿＿__
　　　　／￣|　　+　　　／　　　　　　　 　ヽ　　　+
　　　 ｜　::｜　　　 ／⌒　 　　　　 ⌒ 　　＼
　　　 ｜　::｜x　　/ （ ●）　　　　（ ●）　　　|　 .人
　 ,―　　　　＼ 　 | ::::::⌒（__人__）⌒::::: 　 　 |　 ｀Ｙ´
　| ＿＿_） 　::｜　.!　　　　 l/ﾆﾆ|　　　　　　/
　| ＿＿_） 　::｜＋ヽ　　　 `ｰ‐' 　　　　　/　　　　　十
　| ＿＿_） 　::｜ 　　.＞　　　　　　　　　　＼
　ヽ＿＿）＿／　　 /　　　　 　 　 　 　 　 　 ＼



　事実、イタリア軍事使節団団長のロアッタ将軍は、やる夫に信任状を提出している。



　　　　　　　　　 　 　 　 ／＼_￣｀´￣＞'＾ヽ、
　　　　　 　 　 　 　 /｀丶.,､＿ ￣　　　 _,. -'´｀丶、
　　 　 　 　 　 　 ,.ｨ'　　,/　 ＼￣　_ノ',　 ,／ ヽ.　 ` 、
.　　 　 　 　 　 r' /　　/　　 　 　 　 　 Y´ 　 　 ヽ.　 !
　　　　　　　　 j'´ 　 /　　 　 　 !　　　　',　 j　 　 ` ､|
　　　　　 　 ／　　 /　 　 ,.ｲ　ノ!　ｨ　　　〉人.　　　　＼
　　　　　 　 ヽ　　/　　／ /∠ﾆﾚ__!　 ／ﾆニ＼）　　 /
　　　 　 　 　 i　　ヽ.　ヽ ∧　ｆzzﾘ |／ （ ｆzｿ　ｙ　,.イ´}
　　　 　 　 　 |　 　 ヽ　 ヽ　　￣　　 　 /￣　イ´|　| /
　　　 　 　 　 |　 ／　|` ｰ　ゝ　　　　一　　　/　/　Ｎ
　 　 　 　 　 /／　　 ﾊ.　　ﾄ､ 　 　 　 　 　 /l　/　 ﾍ
　　 　 　 　 ｲ　　 　 i　i　　|　｀丶､　　 　 ｲ　!/｀丶､ ヽ、
　　　 　 　 r'　　 ／ﾉ　| 　 l.　 　 　 ｀　´　|__/　 　 ﾉ｀` ゝ
　　　 　 　 |　　/　/ 　 `､　',　　　　　 _,. - '´ ヽ ／＼
　　　 　 　 |　/j　∧ 　 　 >､',　　　　 j　　 　 　 |￣　 `─-　＿
　　　　　　 ∨/ /|　ヽ.　 / ,､|`　　 ／　＼ 　 　 !　　　　,／´　　｀ヽ
　 　 　 　 　 ,'／│　 ＼//　|　 ＿|　　 　 ＼　/　　　 /　　　　　　ﾊ
　　　　　　　　 　 ',　,.　'ﾚ　 〈　´／　 　 ,.　'´∨　 　 ,/　 　 　 　 　 ﾊ

　　　　　　　　　　　　　　　　ロアッタ将軍

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　 -─‐ ､
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ／　　　　　　｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　 　 　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　＿＿　i　 ＿」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |＿＿___／　, =ミV_/,r=┤
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾚr‐､匚}{__　{（　 ）r‐､{{__j|
　　　　　　　　　　　　　　　　　＿ﾊ〈^ Y　 i　 ヽ三彳! ﾄ- ｿ　　　　　（このままではまずいぞ…！
　　　　　　　　　　　　　　　　/　 {　ヽ__ ﾄ　 ＼　　r'　 _〉 ||
　　　　　　　　　　　　　　　/　　_|　　　 |　　　　　 , ==ｧ　j ＼　　 　 なんとしても、やる夫の独裁だけは阻止せねば！）
　　　　　　　　　　　　　　/　　 ∧ヽ i￤{　 　 i　　 ￣´　/　　 ｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　/　　　 |　ヽヽ ヽ､`ヽ、! 　 　 　 j　　　　　 ＼
　　　　　 _　 -──イ　　　 　 ヽ　　＼＼`ー､｀ニニﾆ1
/￣⌒V　　　　　　　| 　 　 　 　 ＼　 r--　､ー‐〒r＝|
＼　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　＼|三三| 　 | | | 匕{

　　　　.　´　　　　 ／ ,.　.:.:::´.:.::::::::::::::.:.｀ヽj: : ./
　　　　ヽ　　　,.　´　´ ￣　＞　==_-===_-- く_
　　　　　ヽ イィ´　　　 ィ´.:.:.:.:.:(　) `ｰく､､,,「￣
　　　　　　｀Y´ ィ´ ,.　ィ´￣`ｰ===r⌒ヽ(　}
　　　　　　　ﾚ'ハ｀Vﾞ´{;　　　 ,.　'ﾞﾞ´ .; .}`=ｲ
　　　　　　　{！い{: :.:;;;`ゝ　,.　　'´ｰ=_ﾊ, .;}
　 　 　 　 　 ｝ヽ_ 」: : :..:;{　 { ー__--_-､_,.,'′　 　 …このまま話し合っても埒があかん。
　　　 　 　　 i:.:.'､.:i: : : : .;: : :: : : .,ﾆﾆﾆ､ j!
　　　 　 　　 j.:.:.:',:{: : :: : ;: : : ::.'ﾞ´　ﾞﾞﾞﾞ｀.ﾉ　　　　　そこで、一つ提案がある。
　　　 　 　 _！.:.:.:',｀丶､: :ﾐヽ､: .　　　 ｲ
　　　　　 「:::::::.￣ ｀丶､:::::::;:;:;ヽ::.:...:.:.:.ﾉ
　　　　　 i　　　　　　　 ｀Tﾆﾆﾆ-_二i´
　　 　 　！　　　　　　 　 |::::::::::::::::TTi
　,. .::´.:::::.L　　　　　　　　|:::::::::::::::::| | L
　.:.:.::::::::::::::.:.:.:｀丶､　　　 」::::::::::::::::| | |:::`ヽ







　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.．¨￣￣¨丶
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ ヽ、:::::::::　　　　　 ヽ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　 /（ ●）:::::::::::, -‐　　　　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i 　 　　:::::　（ ●）　 u　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　(_,､　　 　　　 　 　 /　　　…！
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼　` ‐'　　　 ＿_／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　 ＼

　　　　　　　　　　　　 ヽ. | !.|　 　 　 　 ,' ! ,'/
　　　　　　　　　　　　 　ヽ !| !　,- -、 / !,' /
　　　　　　　　　　　　　　 ヽ`ヽ.l:`;';;| / ,'／
　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ (::___:;;)　/　　　　　　 　　モラの『提案』とは、国家元首としての
　　　　　　　　 　 　 　 　 _　,'　 　　 　　',. _
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ﾌヽ ヽ /　 ／l　　　　　　　　権限はあくまで戦争継続中に限定し、
　　　　　　　 　 　 　 　 　 ,' ヾゝ　　　ｨﾌ ',
　　　　　　　　　　　　　　 | _ 　 　' l 　　 __L＿　　　　　 戦争終了後はその地位を
　　　　　　　　　 　 　 ' ´ﾆt-_　　‥ 　, _メ ､_
　　　　　　 　 　 　 　 '´　　 _ｨl ｰ┴-'ヽ　　　　　　　　　空位にしておくというものでした。
　　　　　　　　　　　 　 _, -':::/lレ'二ヽl:: !`. ‐‐-__
　　 　 　 　 　 　 ,-‐'´..::::::::/::| | .!|　l .!::.|::::／:::::::: ',
　　　　　　　　　/｜::::::::::::/:::::| ! !|　! l::: |::::::,-::::ヽ:: !
　　　　　　　　　|　', ::::::::::/ ::: | | ||.　.l:,r:l,::'´/::::::.:ノｰ‐‐┐
　　　　　　　　　|　　::::::::::ヽ 　| l || ./,r/::＿,-‐'"　　　／
　　 　 　 　 　┌ン　: ::::::::::｀〉 l.! ll !:::／　　　　　,-‐'"
　　　　　　　　 l´::::::::::λ::::::::!､:l. lレ !　　　 __, ｲ
　　　　　　　 ./::::::::::::/　!:::::::::.＞'´　 ￣￣　　 |
　　　　　　　 !::::::::::::/ 　|　／　　　　　　　　丶　ヽ､
　　　　　　 / ::::::::::/ 　丿 ! 　 --‐ 　　 　 ヽ,|　　　 l
　　　　　 / :::::::::: !　　 ゝ ! .__, 　__､　 ,!　　 ノ' ､___,/
　　　　　,' 　:::::::/　 _,-‐'´ 　 ／ 　　,/ 　 .,'l: !
　　　　 ,' 　:::::::/.／　 　_,-ｧ"　　,-７　　., ヽｲ!
　　　 .,! ! 　::::// . ,ィ'´ l / 　 ／,､ l　　 .|　_/|::!
　　 　!. | : ::: !. `'´./ :::: !,′ / / ::::|　　 !:'´::: |:: ',
　 　,' :::|　:::/　　 ,' : ::::: !ヽ<´ :::ヽrヽ__ノ:::::: : |:::: ',
　　ヽ　: : ::l　　 / : ::::::: l　::::ヽ:::::: !::::::::::::::::::　!::::: ヽ

　　　　　　　　　　　　　　＿＿ ＿ _
　　　　　　　　　　　,r'"´　　 　　　　 ＼
　　　　　　　　　　/　　　　 〈±〉　　 　 ヽ
　　　　　 　 　 　 |　　　, -──‐‐- ､　　|
　 　 　 　 　 　 　!　,r'´.:.::::::::::::::::::.::.:.:.:＼ !
　　　　　　　　　 ﾚ'.:.::::r'"´￣￣￣｀ヾ､:::.:.!　　　　　 これまでの実績を鑑みるに、
　　　　　　　　　 |;r'"´-‐`ヽ　 ,/´-ｰ-､`^i
　　　　　　　　 　!jィ〔´（◯）｀二´（◯）｀ﾄ､|　　　　　 やる夫将軍が総帥に推戴されるのが妥当だろう。
　　　　　　　　　ﾊﾚ' ﾞｰ＝'ﾞ´.:;! ' ｀ﾞ＝‐'ﾞ^ﾚj､
　　　　　　　　　l ﾄ､'.., 　 / .::;j,_　 ｀ヽ　ノｲ !　　 　　 …だが、これが独裁の萌芽となってはいかん。
　　　　　　　　　! ﾘj　i　　　 ^"^　　　 l^iｲｿ
　　　　　　　　　ヾU　',　 ''ｰ＝＝‐''´ ,! |ノi　　　　 　 そこで、この提案というワケだ。
　　　　　　　＿ _」^i　 ',　　｀ﾆ二"´　,' ,!　ﾄ､＿ _
　　　,r'"´.:.:.:.:.::::::|　ﾞ､　 Y´　　 　 ｀)　/　 |:::::::::.:.:.｀`ヽ
　　 ,!.:.:.:.:::::::::::::::::j　　＼,ゝ‐---‐ 'ﾞ,イ　　」::::::::::.:.:.:.:.:.:!
　　 |/＼.:.:.:.:::::::::|￣￣｀¨`ヾ｀二´イ"´￣ i:::::::::::::::::／|
　　 |.:.::::::＼.:::::::::|　　　　 　 ｀ﾞYi"´ 　 　　|:::::::::::::/::.:.:.|
　　 |::::::::::::::i:::::::::| 「***j」　　!l |　「***j」/:::::::::::/:::.:.:.:.:|
＿,ノ.:::::::::::::|:::::::::!　　　　　　 | ||　　　　/::::::::::::/::::::.:.:.:.:L_ ＿
::::::::::::::::::::::::!:::::::::ﾄ､｀`二二ﾆj i |　-ー'/:::::::::::/::::::::::::::::::::.:.:.:.:.:

,,.|　 ヽ"　　,,　 ''ｿ, " /ノ,丶,　/ヽ　　　　　　　　　.ヽ　　,"　　　lゞ`　 　 f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
`"　 ノ,,　　　　''　"丿／ｿノ　| .l;,`- ,__　　　　　　 ヾ., , l　　 ,,ノ`!　　　 |　…異論はないだろう？
ﾉヽ　`ｿ ,,　　''ノ,,　''-'"ソﾉ==;l, .l;;;`ー-"二',;;;;;,　,,__ﾉ.>,,ヽ,／;;;'ﾉj　　　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ 乂_
　 ）　ソ,, `／;,　／`ヽｿｿ　　 .ヽ＼;;;;,,,,,,;;;;;;;;;;;;;;;`丶,`";;;;'',,;";;;'ﾉﾉ
ソ　 /"ノ,　　ﾉ"l ` ,,ヽl;;|　　　　 ヽ`_''''';;;;;;;;;;;;;;;;''''''"-" .|ヽ--,j'"
ヽi　l"''"ｿ　　`"t　ヘ|ヽ|　　U　　　￣'`ー--－'"　　　.|　　.l
　j　,,-ｿノ,zソソ"＼ヾヽ,l　　 _　　　　　　　　　　　　　　|　　l　　ノj　
,,　,l|" "'"'"　"　　 丶 ,, `,　　'i'',"　　　　　　　　　._,,,_　.lr　ﾉ　／ﾉ
　,丿　　　　　　　　　　`''ヽ　　 `'tー- _____　　　　　_`','" .i' ／ /-ーｚ　　　　クッ…！
丿|　　　　　　　　　　　　 ;;＼　　　 `'ー',,,, `l￣"l￣,,lノ" .i"　ノ ／￣-
　||　　　　　　　　　　　　;;;;;;;;;;'＼,　　　　 -￣￣￣,,, -'　/,／／'





　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　厶ｲ/　 　 〃　 　 〃　　　　　　　　　　　　　　 　 :|
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　′/∨ . /. :/´＼ 　 、　　　｛＼__ . : /､　}: /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| /　.ｌ. :/:| /〉 ｘ=ﾍ: . {＼ ＼､＼ : |: :八} /: {
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜ 　 |:∧ ///: : : . ＼l: : .＼l ￣　:!:/_ノ/: : |__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　-‐ 　 ￣∨/ : : : : .　　 　 　 : : : : /_／:. : :八:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　// : : : :　　:　　 　 . : : ／:::::＼_:_/}: :∨ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　　 　 〈/ イ ー-　 、　　. : :／:::　　 :::: : :/: : : :. : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ああ、ないよ……　　　／l　　 　 　 _.. :/-‐／, :ﾍ　ﾆ=‐　　 . :／:::::　　　　　 . : : : : :〉: : :
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　　　　｀ ―――‐／　 　 ｀Y´ 　 　 ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　━━━━━━━━━━
　　　 　　　　　　/　　　 　　i　　　　　 ',　　　　　　　　　　 　 　 l　　　　　　　────決まりだ。
　　　　　　　 　 .{　 　 　 　 .l　　　　　　}　　　　　　 　 　 　 　 /　　　　　　━━━━━━━━━━
　　　　　　　　　乂　 　 　 .人　　　　　ﾉ　　　　　 　 　 　 　 ./
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　モラの提案により、全員がともかく同意するにいたった。
　首脳会議の決定は、この時点ではやる夫に期間限定の独裁を委任するにすぎないものだった。

　1936年10月1日、やる夫は、ブルゴスで国家元首就任式にのぞんだ。



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　｀'-､ ｀'-､　｀i-'　　　　　　　　　　 　 　 ／ 　 ､ ─ ､　 ＼　　　　　　　　　　　　　　ﾞ-i 　,､-'´,､ '´
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｀' -､　　　　　 　 　 　 　 　 　 　　 　　 ! 　;　 | ´','','｀ |　 ;　 !　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ ,､-
､　　｀' -､　　 　　 　 　 　　　 　 　 　 └-┘　＼＿／ .└-┘　　　　　　　　　　　　 　 　 ,､- ' ﾞ　　_
　｀' -､.　 ｀'>　　　　　　　　　　　　　　|￣￣｀!　　　　 i´￣￣|　　　　　　 　 　 　 　　　<ﾞ　　 ,､- '´
,-､　　 i｀' Tﾞ　　　　　　　　　　　　　　├─┬''''''''''''''''''┬─┤　　　　　　　　　　　　　　ﾞT '´!_,.,_ ,､.,,
i/ｿi~'）,!-､.i_　　　　　　　　　　　　　　　| ;; 　|￣￣￣￣|　 ;; |　　　　　　　　　　　　 ,...,,.-,!c,=!i_・i.!_;,ﾉ
⌒'｀ヽゝｿ ! '）iﾞ;ゝ　　　 　＿ ＿ ＿ ＿ | ;;　 | 　_ O _　.|　 ;; | ＿ ＿ ＿ ＿ 　 　 　 (・.)(ﾟﾉﾞゝ ' ' '　´
~｀ ' '　-　､ , _｀ ’　 　 　 ＼┌ ─ ─-'';─ ┼ '-'-'-' ┼ ─ -─ ─ ┐／　　　　　 ｀_ , ､ ､ - 　' ' ~
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　 i　　　　 !　　 i　;iﾐ,;ヾT´! i i┌ ─ ─ ! i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i i ─ ─ ┐i i ,ﾞ-､,ﾅヽζ!　　 !　　 　 !
　 i　　　　 !　　 i　丿 く i　i i ! !- ┬ - ┤i- ∩ ┐┌ ∩ -i├ - ┬ -! i !ﾞ(ﾏi iﾞT''ﾞヽi.　　 i　　　　i
　 i　　　　 !　　 i .i~i ﾞ',ﾞ.!　 　 ! !　 .i.　　i二二二二二二二二!　　 !　 i .!　!' '/./　　i!.
　 i　　　　 !　　 i (|─´──┬ ' ´　　! !　　　　　　　　　　　　! !. 　｀ ' ┬─ ─ .┤!.　 　i　　　　i
┌‐────┐　| i~!　　　 .!i　　　　i└-───────┘!.　　 　 !　　　 i~! | i　　　!　　　　!
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　　 　 　 　 人_　 |　　　く　　＼〉-〈/　/　 }}　|　　＿＿／
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　　　　　/　　 ／ ! |ー rｰ|　　　 |　| 　 |ーrf ﾘ
　　　 ／　　　　 /　!　 l|　|　　　 |　|　　l　l| l |
　　 ｛　　　　 ／{　　＼ ／　　　｜ |　　 ＼/ﾊ}
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾜｰ
　　　　　ﾜｰ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾜｰ
　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾜｰ
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::〈人_r-ｰ- ､_r＜}|　＞::::￣:｀ヽ__, - ､__r ､r=¨>‐-!　/:::::}＿_Vﾍ　}:::|__}::::{.ィ1.|:.:.:.:.:.:.}_, くﾉ￣!　./;;;;;;;;;}_, ﾍ⌒',
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　　　　｀Yﾟ￣　 　 ＿/VﾚvｲW:::::｀ー-::＿_／:::::::::/:::::::|　ヽ　 ｀!:::::i:::::::::::|'　　 /:::::::/L_|　　￣⌒¨}＞ﾍ}:.:.:|”::::::::
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　　　　　　 , 7 ¨ ヽ＼::ヽ::＼ 　 　 |::::l　　 >¨ヘﾞ 、i　　　　　　{¨:」ﾞ:::::::ヽ::ヽ ヽ　　　　　 i::::|
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　　　　 　 i::::、::::::::::::::＼ヽ ＞} 　 .|::::|..., 7 ¨ ヽ＼::ヽ::＼ 　 　 |::::l ::::::::::::ヾ｀:.、＜ヽ　　 |::::|
　　 　 　 ∧:::::、:::::::::::ヾヽ::::::iﾊ 广iⅣ¨}...::::::::::::ヾ｀:.、＜ヽ　　 |::::| . ::::::::::::::＼ヽ ＞} 　 .|::::|
　　　　　　∧:::::::、:::::::::::::Ⅵ:::lハ iヽi彡,:::、::::::::::::::＼ヽ ＞} 　 .|::::|::::、:::::::::::ヾヽ::::::iﾊ 广iⅣ¨}
.　　　　　　 ∧:::::::::、::::::::::.Ⅵ::::::}トi:::::¨|ﾞ:::::、:::::::::::ヾヽ::::::iﾊ 广iⅣ¨} :::、:::::::::::::Ⅵ:::lハ iヽi彡,
　　　　 　 　 ∧:::::::::＼::::::::. 、::::l　|::::::「　:::::::、:::::::::::::Ⅵ:::lハ iヽi彡,.:::::::::、::::::::::.Ⅵ::::::}トi:::::¨|
　　　 　 　 　 ¨i ￣¨¨∧::::::::::.、ｉ　|::::::ト 、ﾞ::::::::、::::::::::.Ⅵ::::::}トi:::::¨|..ﾞ:::::::::＼::::::::. 、::::l　|::::::「
　　　 　 　 　 ハ＿＿_.∧::::::::::∨ |::::::| !」 . :::::::::＼::::::::. 、::::l　|::::::「.ﾞi ￣¨¨∧::::::::::.、ｉ　|::::::ト 、
　　　　　　　,:::::::::::::::::::::::∧:::::::::::Ⅵ:::::{　 ¨ ー.,.¨¨∧::::::::::.、ｉ　|::::::ト 、 . ＿_.∧::::::::::∨ |::::::| !」
　　　　 　 ７:::::::::::::::::::::::::::∧::::::::::i.l¨ﾞﾞ.l＞一＜ﾞ＿_.∧::::::::::∨ |::::::| !」ﾞ:::::::::::::::∧:::::::::::Ⅵ:::::{　 ¨ ー.,
.　　　　　7:::::::::::::::::::::::::::::::::::ゞイ´ ヾ　|..ﾞ,:::::::::::::::::::::::∧:::::::::::Ⅵ:::::{　 ¨ ー., :::::::∧::::::::::i.l¨ﾞﾞ.l＞一＜
　　　　　 ¨i ￣ |||￣ ¨＞ 、_::ヽ　　∧i..ﾞ:::::::::::::::::::::::::::∧::::::::::i.l¨ﾞﾞ.l＞一＜ ::::::::::::ゞイ´ ヾ　|
.　　　　 　 l:::::::.|||:::::::::::::;:::::::::i::∧ 　.∧ヽﾞ:::::::::::::::::::::::::::::ゞイ´ ヾ　|.　|||￣ ¨＞ 、_::ヽ　　∧i
.　　　　 　 |:::::::|||:::::::::::::;:::::::::.l::::::ゝー ´ﾟﾟ.　 |||￣ ¨＞ 、_::ヽ　　∧iﾞ::.|||:::::::::::::;:::::::::i::∧ 　.∧ヽ
.　　　　 　 |:::::::|||:::::::::::::;::::::::::ｊ::::::j　　　l:::::::.|||:::::::::::::;:::::::::i::∧ 　.∧ヽ |:::::::::::::;:::::::::.l::::::ゝー ´ﾟﾟ



　やる夫は、すこしずつ自らの地位を格上げしていく。
　儀仗兵をしたがえ、謁見には相手にモーニングの着用を要求した。

　そして、仮政府である国家行政事務局を設定した。



　　　　　　　　,. -'"´　　　　　　｀¨ー ､
　　　　　　／　　　,,.-'"　　　　　　ヽ　 ヽ、
　　　 ,,.-'"_　 r‐'"　　　　　,,.-'"｀　　　　　ヽ、
　　/　　　 ヾ (　　　 _,,.-='==-､ヽ　　　　　　ヽ、
　　i へ＿__ ヽゝ=-'"／　　● _,,>　　　　　　　ヽ
　 ./ / 　●＞ ＝'''"　￣￣￣　　　　　　　　　　ヽ
　/ .ヽ-‐´''"　　　　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　i
./　　　 i　　　人＿　　　ノ　　　　　　　　　　　　　　 ,r‐"':,
,'　　　　 ' ,_,,ノｴｴｴｪｪ了　　　　　　　　　　　　　　　 ヾ;,::::::＼
i　　　　　　 じｴ='='='" ',　　　　　　　　　　 ,r- ..,　　　 ヽ::::::::ゝ
',　　　　　　 (___,,..----'　　　　　　　 　　 (:::::::::::ヽ、　　　ゞ:::　ヾ
　'ヽ、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼:::::::::::＼　　 'l:: -゛ｷ
　　　ヽ､_　　　　　　　　　　　　　　　i,""'::,　　"i,,:::. 　ｷ　 /::　　 |
'ｭ,ノ'",;l ｀ゞ　 ｀`ｰ- -‐'"´　　　　　　i:::::::ヽ　　'ヾ,"'" .ヽイ　　 ｿ ⌒〉
ｼﾆi;∠(ヽ、':.. 　　　　　　　　　;;;'";;_,,_'l:::::::::::i;,　　'l,,　　　l::::　　i　/
ﾐ/::i:i:l'::::::＼:::　　,,,__..　　;;,.::::i;::::::ヽ,,,_ 'ｷ:::-=.::＼　 l::.　　 "'i:::::　 ）
/:::::/,l:::::::::::;;'i-:..,,_,,r‐‐'"::::::::,;ii;:r⌒ヽ:::::::＼:::.... ＼r'-‐''"　..::::::::/
::::::l':;"';,,::::::::l'　　　l':::::::::::::;;;;ii//ヽ、:::ヽ、:::::＼　　 "' ::::...:::::::::::::l'
i:::::,l;;':::::"'i;;-l-..,,_,,..l;;;:::::r'":://:::::::ヽ,:::::::::,,_:::::::::>= ノ..::::::::::::::::::ﾉl;,
l:::,ll::::ヽ:::l:o;;:::::::::ﾉii;;;.......;;;;//:::::::::::::.'i.::::: ﾉ..""'"-; ...::::::::::::::::;;:/ヽl;,
:::::ll::::::::::l'::ヾ:::::::/:'"::'"::::;//,;.::::::::::::::"''‐- t..,,　/::::::::::::::::::::::../ ﾉ i;;
:::,;ll::ヽ:::l';;:::::::::/::::::::::::;;;;//::::::::::::::::::::::::::::::::::::"'';;":::::::::::::::::::ノ /;;;/;
::;;ll:::::ヽl,::;;;:::::/:::::;;:::::::://::::;;;:::::::::::::::::::::::::::::::::/〆"''"""￣ ／;;;//;

　その中枢部には、やる夫の義弟セラノ・スーニェル、
　そして初代の外人部隊指揮官だったミリャン・アストライが入った。



　　　　 ／.:￣￣￣￣￣ ＼
　 　 ／: : :　　 　 　 　 　 　 ＼
　 ／: : : :　　　　　　　 　 　 　 ＼
／: : : : : :　　　　 　 　 　 　 　 　 ＼
: : : : : : : :.._　　　　　　　　_　　　　　 ＼
: : : : : : : ´⌒＼,, ;、､､／⌒｀　　　　 　 l
: : : : ::;;（　● ）::::ﾉヽ::::::（ ●　）;;:::　　 　|
: : : : : : ´"''",　　　 　 　"''"´　 　　　 　l
: : : : : : . .　　　　　 ゝ　　　　　　　　 ／
＼: : : : : : :.　　ｰ--- ‐'　　　　 　 ／.
／ヽ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : イ＼
: : : : : : : : : :.｀`ｰ- -‐'"´　　　 　 　 ＼
: : : : . : : . : : .　 　 　 　 　 　 　 　 　 　＼

　　　　　セラノ・スーニェル





　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,,,..-.ｰ.─.-.-....､._
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 二ヽ,,..::"::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀:..､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／::::::::｀`:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヾ:::::::::::ヾ:::::＼:::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::::::::::::::i:::::i!::::::::::::::::ヾ:::::,,∠,､_:::::＼::::＼:::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i::::::::::::::::!:::::i i:::::::::l::::::::イ＼＼＼:::::::::＼:::＼::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l:::::::i::::::::!::::i,,ゞ;::::::::i:::::::::l　 >≧r､＼::::::ヾ＼_::＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｌ::::::i!:::i::::l;/i ._,,＼::::!､::::::l 　 辻ヾ〉　＼:::ヾ）::::＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i:::::ﾊ::::|::::l:::i〈｀（ﾍ＼! ＼:', 　 ゞ-′　　ラ∨/"´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l:::i　l:::|::::lヾ､ 弋i;） ヽ　 ＼ 　 　　　┌::ソﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∨　l::::l::::l:::＼　" 　　　　　　　　　　ﾍ::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼|＼!＼　　′　　　　　　 　 　∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヾ ヾ　､　　　 ｰ　´　　　,　　　ゝ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀　 ､　　　　　 , ′　 ／ 　＼＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ ｰ　＜　 ／´ 　　　／:::::￣｀ｰ-

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ミリャン・アストライ

　 　 　 　 ＿＿＿_
　 　 　 ／　　　　　＼
　 　 ／　 - 　　　　- ＼
　 ／ 　 （●） 　（一） 　＼　　 …国家元首に就任したのはいいですが、
　|　　　　　 __´___　　　　　|
　＼ 　　 　 `ー'´ 　　　 ／　　 いつまでも『やる夫将軍』じゃア、
　/　　　　 ∩ノ ⊃ 　 ／
　(　 ＼　／ ＿ノ　|　 |　　　　 締まりが悪いですよ？
.　＼　　　　／＿＿|　 |
　　　＼ ／＿＿＿ ／



　　　　 　 ＿＿＿_
　 　 　 ／　　　　　＼
　 　 ／　 ＼　　　／ ＼
　 ／　　（●） 　（●） 　＼
　|　　　　 　 __´___ 　 　 　 |　　　やはりスペインの国家元首たるもの、
　＼　　　 　 `ー'´　　　 ／
　/　　　　 ∩ノ ⊃ 　 ／　　　　 特別な呼称を考えなければね。
　(　 ＼　／ ＿ノ　|　 |
.　＼　 　　／＿＿|　 |
　　　＼ ／＿＿＿ ／

　　　　　　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿
　　　　　　　　 〈<三三三三三三三>〉
　　　　　　　 　 ||　　　＿＿＿　　　.||
　　　　　　　 　 ||　 ／ 　 　 　 ＼　 ||
　　　　　　　 　 ||／　 　　　　　　.＼||
　　　　　　　　／ 　　 _ノ　　 ―　　 ＼　　　　 たしかにそれは一理あるお。
　　　　　　　　|　　　（ー）　 （ー）　　　|
　　　　　　　　＼　　　（__人__） 　 　　ｲ　　　　広報宣伝用にも、
　　　　　　　 ／´￣　　 　　　 　　.ｨヽ|
　　　　　　 〈 　￣ 　‐- 、　 　　　　　i　　　　　もっともらしい呼び名を考えなけりゃいかんお。
　　　　　　 .:｀ ｰi‐ -、_ 　 ヽ 　 　　|　l
　 　 　 　 　 　 || 　 ヽ.て　 〉　　　..|　l
　　　　　　＿_/´ 　ヽ　　　　　/⌒::|　＼_
　 　 　 　 ||三l　　　 |ノ-‐-‐-|　　 |｀ー´||
　　　　　　￣|.ヽ　　_,l- ､￣￣|　　.|''|''''|"
　　　　　　　 |　|ヽl´　　 |　　　〉　 〈..|　|
　　　　　　　 |　|　 `-‐´　　...ヽ_＿ｿ |　|
　　　　　　　 ￣　　　　　　　　　　　 .￣

　　　　　　　　　　　　　 　 ∩＿
　　　　　　　　　　　　　　〈〈〈　ヽ
　　　　　　＿＿＿_　　　〈⊃　　}
　　　　 ／⌒　　⌒＼　　 |　　 |
　　　／（ ●） 　（●）＼　 !　　 !
　 ／ :::::　 　__´___　　:::::＼|　　 l　　　そういうことでしたら、
　 |　　　　　 `ー'´ 　 　 　 | 　／
　 ＼ 　 　　　　　　 　 　／／　　 　　ここは諸外国の先輩にならってみては？
　　/　＿＿　 　　　　　　/
　　(＿＿＿）　　　　　　/




　　　　　　　　 　 　 ＿＿＿_
　　 　　　　　　　 ／ 　　―　＼
　　 　 　 　 　 ／ 　　(● )　　ﾍ＼
　　　　　　　　|　　　（⌒ 　 (● ) ｜
　　　　　　 　 ﾍ　　　 ￣｀､__）　　｜　　……？
　　　　 　 　 　 ヽ　　　　 　 　 　 ｜
　　　　　　　　　, へ、　 　 　 ＿／
　 　 　 　 　 　 |　 　 　 　 　 ＾ヽ
　 　 　 　 　 　 |　　　　　　１ 　 |

　　　　　　　　　 　 　 　　 ヽ !| !　,- -、 / !,' /
　　　　　　 　 　 　 　 　　　ヽ`ヽ.l:`;';;| / ,'／
　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ (::___:;;)　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　,'　 　　 　　',.
　　　　　　　　　　　　　　　　ﾌヽ ヽ /　 ／l
　　　　　　　　　　　　　　　 ,' ヾゝ　　　ｨﾌ ',　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｶｳﾃﾞｨｰﾘｮ
　　　　　　　　　　　　　　　 | _ 　 　' l 　　 __L＿　　　そこで採用されたのが、『総統』でした。
　　　　　　　　　　　　　' ´ﾆt-_　　‥ 　, _メ ､_
　　　　　　　　　　　　　'´　　 _ｨl ｰ┴-'ヽ''i `i- ,,_
　　　　　　　　　　　　　　　 ,:;':' |　|''_　-',/.　 ',　　`'''ｰ--;;､
　　　　　　　　　　　　　　／,'　/,　|ﾞ　 ,:;''-､,.-´　　 .／ ´　｀:､
　　　　　　　　　　　　 _,.:!ヽ!ヽ,! lヽ!／./　　`-,　　/　　　　　 i
　　　　　　　　　　　／ _,iﾞ-, l-:､_i"|　/　 　 ,.:'　　i　　　 　 　 |
　　　　　　　　　　 i ./.| (ヽ Ti　|:i _| ,'　　 ,:' 　 　 | 　 　 　 　 |
　　　　　　　 　 　 |.,'　| .|´'i'ﾞ`,‐／ ,'　　./　　　 ､i　　　　　　 |
　　　　 　 　 　 　 |.|　.| | `､!'／　 .i　　/　　　　　| 　 　 　 　 |
.　　　　　　　　 　 | !　.| |　 |O　　 |　 ,'　　　　　　|　　　　　　 i
　　　　　　　　　　| |.　 l !　.|　　　 |　,'　　 　 　 　 ',　　　　　　|
.　　　　　 　 　 　 | | 　 i.|　.|O　　 | ,'　　　　　　　 .i　 　 　 　 |

　　　　　　　　　　 　 　 /／.::.::.::.::.::.::.::.:＞三＜::.::.::.::.::.:::.＼＼　 __
　　　　　　　　　 　 r=ｖ.::.::.::.::.;　- 　 ￣　　 　 ￣｀　ｰ　､::.:.ヽﾊ〃l|
　　　　　　　　　 　 |Ｌ}:〉.::.:／　　 ,′　 ′　　 　 ヽ　 ､　＼::.:.V__j|
　　　　　　　　　 　 ７∧／　　｜ ｌ｜　| l　　　　|　| 　 l　　l ＼}又}__
　　　　　　　　　　_/厶√　l　　|　|｜　| |　　 　 |　ﾄ､　|　　|　 {(｣ﾉヘｿ
　　　　　　　　 {ﾆイ/|　　　|　|｜｜|　 | |　　　　|　|｜｜ｌ　|　　 ﾄヽ
　 　 　 　 　 　 　 //|　　　|　|｜｜|　 | |　　　　|　|｜｜|　|　　 | ＼>
　　　 　 　 　 　 </　|　 　 |　|｜｜ ｌ　|｜　　　,　 |｜ ハ　!　　ｌ|　 |
　　　　　　　　 　 |　 |ﾍ　　| ⊥Ｌ.｣__ ヽ|　､　　/　丿j_厶⊥|　　∥　|
　　 　 　 　 　 　 | 　 |∧　 ｌ|,,..二三≧ー ヽ / ー≦三..,,,_ﾘ 　 /|　｜
　　　　　　　　　｜ 　 |　ヽ　 |ヾ弋ゞソヾ　　　　 ﾍ.ゞ'ノ "/　 /　|ｌ　 l
　　　　　　 　 　 |　 　 l　　＼ヽ ｀'"´　　　　　　　 ｀"'´ 〃／　｜|　 |
　　　　 　 　 　 ｌ| 　 　 |　 　 |＼ 　 　 　 　 i　　　　　 /イ　　　l　|　｜　　　　　l､
　　　　　　　　 ｌ|　　 　 |　 　 |　 ＼　　　 ､_＿,.　　　／｜　　｜　l　 |　　　 　 ﾉ:|　-‐
　｀ヾﾒ､＼、ﾄ､ｌ|　　 　 /|ｌ　　｜　　 ＞　　　　　　イ　　｜　　 | 　 |　 |　／{ イ::ｒ'::::::::
ー-､}:::.＼}ヽ::.＼　　 /　ｌ|　　 |　　 /＾ー-｀_‐_´―ﾍ　　 ｌ　 　 '　　 |　／.:::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::＞ー―|l　　 |　 /.::.::.::.::.::.::||::.::.::.::.ﾍ.　 '　　/　 __.∠＿:::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::／.::.::.::.::.: ！　 ├く::.::.::.::.::.::.:ハ::.::.::.::.::.∨　 厶イ .:::.::.::.:::.＼:::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::／.::.::.::.::.::.::.::.:::.', 　 |}〉 ＼::.::.::./　 |::.::.::.／/　 /.::.::.::.::.::.::.::.::.::.:::.＼:::::::::::::::



　これは、ヒトラーの『フューラー』、ムッソリーニの『ドゥーチェ』に相当するものである。



　　　　　　　　　　　　　 　＿ __＿
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　　　　　　　　 ,.,r'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀゛''‐、、
　　　　　　　 ,.':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ｨ_ ,.,::::::::::::::::）ｭ
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　　　　　　　{:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾐ 　　　　　　ﾊﾌ
　　　　　　　l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〉,￢─-　..,,,__ l
　　　　　　　!:::::::::::::::::::/､, ﾄ,:::::::/　 ￣弋jT'''`ﾞﾞ〈
　　　　　　　;:::::::::::::::::ﾊ /ヽヽ::::{ 　 　　゛'‐.,　　 ヽ
　　　　　　　j:::::::::::::::::l ヽ(,２　｀゛　　　　 　 　 　 ..ヽ
　　　　　　 　!:::::::::::::::l:　 ＼__ 　　　　 　 　 　´,ﾆ./
　　　　　　　　ﾘ::::::::::::l　　 　 ｨ 　　　　　　ｬ;‐_rｰ'
　　　　　　　　,jゝ:,r;ソ 　 　 }:ヽ　 　　　 　 　 ..〉
　　　　　　_／:（　　｀ -.,　i　!　:::＼ 　　　　　{´
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　また、やる夫政権のスローガンは、ヒトラーの例にあやかって、
　「一つの祖国、一つの国家、一人の総統」とした。



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　　　　　　　　　　　　＼　 　　 　 　｀ ⌒´　／ 　　| 　　 　|
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　　 　 　 　 人_　 |　　　く　　＼〉-〈/　/　 }}　|　　＿＿／
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　　 ｛　　　　 ／{　　＼ ／　　　｜ |　　 ＼/ﾊ}
　　　＼　　 '　　|　　　　 　 　 　 |　|　　 　 　 |

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ィﾆﾆ〔ゝノ_ノ　　　/ ヽ＼ヽヽ　 | l　　　 |l　 |l　 ヽ
'´／ /| |７　　　ｒ/'´￣ヽゝﾆヽ-ヽヽ　　│ | |　ヽ ヽ
ｲ/ /　! | |　　　||-ｬ─-,ﾆ､ﾐ‐`ヽ､ヽヽ　/ / /　 | ヽヽ
/ /　/ j　|　　　l|　`ｰ='-ﾆゝヽ`　　　|ノメ､/l　 │ l | l
./　 / /　ヽ　　 l|　　　　　　　　　　　ｨ_ﾐヽ`ﾘ　ハ　|| |
'　 / /　　 ヽ　　l　　　　　　　　　　l､'rヽj`ｧ' メ　| / ﾘ
　 `,´l　　　 lヽ　ヽ　　　　　　　　　/ﾉ `'’,イ　　/ｲ　　　　　やる夫の総統就任に祝意をつたえるわ。
　 /| |　　　|　 ｀丶ゝ　　　 ｰ､ｰ- ､ 　　　lﾉ　 ,ｲノ
. /│|　　　|　　　　　　　　　　ﾆ ´　　　ノ　イ |　　　　　　　おめでとう。
/　 ! |　　　!　　､　　　　　　　　　　 ｨﾆィ |　|lハ
　　|　!　　 |　　 _`ト_､ _　　　　 , イ　　　 !　|ル'　　　,ｲ
　 ハ ﾍ　　|‐' ￣,.ィ´ヘ` ｰ- イ　 |　　　 |l　|　　　　/│
ノ　 ﾍ ﾍ 　 |　<´ｨ´　／介「`ヽヽ│　　　ﾊ　l　　　/　ﾉ　　　　　　_,
ゞ､＿ゝヽ 　!　 ＼ｰ´／ハ トﾆﾉノ !　　 / ﾊ　ﾄ、／／,ｨ　＿ ,.-ィ´
　 ヾゝヽ.ヽ　lｰ-､ ￣ 1 |│|ヽハ 」　　/　_ﾊ _／ ｲィﾆｨ'´　　　　＜
　　　 ヾゝヽ. l^ーｨ- ､|│ ! ﾄ､>-ﾘ　　ｲﾆィー '＾ヽ､
　　　　 ヾヽヽゝ　　￣! |　| lヽヾ/　 /　　　　　　　 ヽ



　ヒトラーは、特使を派遣してやる夫に祝意をつたえた。

.　ヽ. | !.|　 　 　 　 ,' ! ,'/
. 　 ヽ !| !　,- -、 / !,' /
.　 　 ヽ`ヽ.l:`;';;| / ,'／
.　　 　 ヽ (::___:;;)　/ 　 　 　 . ,-､
.　 　 _　,'　 　　 　　',. _　 　 .///
.　　 　 ﾌヽ ヽ /　 ／l　 .∩,///　　 　　 こうして、スペインには事実上二人の
　　　..,' ヾゝ　　　ｨﾌ ', :...|／二ヽ.　　　　国家元首が並立することになります。
.　 　 | _ 　 　' l 　　 __Lヽ| | ソ　|
.　' ´ﾆt-_　　‥ 　,　メ　 ;ヽ ( 　 |‐､　　 反乱側のやる夫総統と、共和国側のアサーニャ大統領です。
.　'´.,-､.._ｨl ｰ┴-'ヽ':,ヽ、 .ゝ､,,,..|.゛;ヽ
　　..ヽ',　 |::,-.." ." ,/|/　　/ゝ‐'＼ ﾉ
　　, ‐'‐'‐'||＿_,,,.' 　 |　　 | |ヽ　　 ＼
　 |　　 ／:::::::／　　　|　 //:..ヽ　　　 ＼
　 | 　/::::::::／　　　　 .ヽ‐::::::::::ヽ　　　　 ヽ
　丶　|:::／　　　　　／:::::::::::::::::/＼　　　　|
　/ ゛‐|＿＿＿　／:::::::／::::::::/:::::::|丶､＿ﾉ
./ 　　 |　　　 ／￣￣::::::::::::/:::;;ﾉ;ﾉ

　双方とも、相手の存在を認めない。
　たがいに相手を打倒せねばならない立場にある。



. /:.,:.:.／:.:／:.:.:.:.:.: ／:.:.:.:.:.:l:.:.:.:.:.:.: ',:.:.:.l:.:.:.:.:.',:.:.:.:.:',:.:.:.:.:',:.:.:.ヽ　　　　　　　　 ／.:￣￣￣￣￣ ＼
/:.ｲ:./:.:.:./:.: ,:.:.:.:.:/:.:.:.:.:ｨ:.:ｨ:.:.ｨ:.:.:.:. ﾊ:.: ﾄ､:.:.:.:.',､:.:.:.',:.:.:.:.:.',:.:.:.:　　　　　　　 ／: : :　　 　 　 　 　 　 ＼
´ .l:/:.:.:./:.:./:.:.:.:./:.:.:／ |:'.l:.:/.l:.:.::.:/ l:.:.'　ヽ:.:.:.l ヽ:.:.!､:.:.:.:.ｉ:.:.:.　　　　　　／: : : :　　　　　　　　　　　　＼
　 |':.ｨ:.:':.:./:.:.:.:ｨ:.:／　　　l:/　l:.:.:./　|/　　 ヽ:.:l　 ヽl　:.:.:.:.!､:.:　　　　 ／: : : : : :　　　　　　　　　　 　 　 ＼
―|ﾊ:. l:.ｲ:.:.:.ｲ l:/｀ｰ､　　|' 　 !:.:/　 '　　　　 !:'　 _ .－〉:.:.:l‐ヽ　　　　 : : : : : : : :.._　　　　　　　　_　　　　　 ＼
　 '　ヽ!' l:.:./:l　' ィ＝≧ｪ.､　 |: '　　　　　　 _ｪ≦＝､/:.:',:.'　　　　　　 : : : : : : : ´⌒＼,, ;、､､／⌒｀ 　 　 　 　|
　　　 {　l:./:.:l　　　 __ヒラ_ ＞- '　 ゝ -＜_ヒラ_　　.':.:.:.:' !　　　　　　: : : : ::;;（（　○ ）::::ﾉヽ::::::（ ○　））;;::: 　 |
　　　 !ヽl':.:.:.:!　　　　　　　　　　　,　　　　　　　　　':.:.:./ '　　　　　　 : : : : : : ´"''",　　　 　 　"''"´　 　 　 　 |
　　　 !　 !:.:.:ﾊ 　 　 　 　 　 　 　 ｉ:　　 　 　 　 　 ':.:.:.ｨ　　　　　　　　: : : : : : . . （　　＼j　／　 ）/　　　　 ／
　　　.! 　 l:.:.lｰ:. !j　 　 　 　 　 　 l.:.　　　　　 　 /ｉ:. / l　　　　　　　　＼: : : : : : :.｀∨トエエイ∨　　 　 ／
　　　l　 　 !:lヽﾊ　　　　　　 　 　 l.:.:.　 　 　 　 / .!:/　 !　　　　　　　 ／ヽ: : : : : : : :∧エエ∧: : : : : イ＼
　 　 !　　　l:l 　 ヽ　　　 　 　 　 /:.:　　　　　／　 !'　　 !　　　　　　　: : : : : : : : : :.｀`ｰ- -‐'"´ 　 　 　 　 ＼



　スペインが決定的に、二つに分裂した瞬間であった。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　やる夫がイスパニアの独裁者になるようです



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　第八話　二つの主権国家

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　終わり




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本日は以上です。
どうもありがとうございました。

乙です、ここのハルヒは何だか哀愁を感じる
次回も期待、おやすみなさい