やる夫がイスパニアの独裁者になるようです



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　第五話　動乱の前夜






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／　　　　 ,,,／ , '　　 ,　　　＼_::::::::::::::I´∨〈｀ｖ'ヽ
　　 ,,,.-‐´　,　'　　＿｛_　　　　'''''====ゝ 丶ﾍ ＼ｌ
_,,,, - ‐　' ´　　 , ' 　,ｲ ｀ヽ、　 　　　　　ヽ　ヾｌ、_!
　　　　　　　　　　　ｼ　 ﾄ-、　　　　　　 ,- ＼　＼゛、
　　　　　　　　　　 ,'　　 ゞ_〉、 　 　 　 /〉 、｀"ー 　Y
　　　　　　　　　　ｨ'　　　　　 ｀';. 　 　 'ﾜ"、￣｀　 " l　　　　　　　　スペイン内戦は、公式には1936年7月に始まり、
　　　　　　　　　＿ゝ　　　　　　..　 　 / ｲ;ﾄ<-　　　 l　　　　　　　　1939年4月に終結しました。
　　　　　　　　　　＿゛ﾆ_‐-　　 "゛ 　 ｀´　　ｌ｀　　　_}
　　　　　　　　　 ＞'´::"ﾞｯ、　 ヾ__ノ'　=＝キ{、　　 _L、　　　　　　 しかし、内戦の兆候は早くも、
　　　　　　 　 ／:::::::::::/::::| ﾃx,,ノゝ- ,,,,,='´:::::∧__　　ｿ ﾄ　　　　　　1934年10月から始まっていました。
　　　 　,　- ' 　: : : :::/::::::| l 一｀ ｻ゛´ー〉::::::::／ｋ_／／::::＼
, - '　´　　. . : : :::::::::l:::::::::l　｀―'´! l＞-' 〉:::::ゝー...'..´::::::::::::::
ヽ　　. . : : : : ::::::::::::::l:::::::::::l　,' 　 /／　 /::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::::::
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　アストゥリアス革命に関与した者の多くは裁判にかけられ、死刑を宣告された。



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　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /　,,---､　　,,,---､ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 i　''"⌒ｧ'ハ ,ｒ⌒＜　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 | 　 ｰ”´」　 L`”‐'＾　|
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 __|　,,､--└Ｌi┘---､　|___
　　　　　　　　　　　　　　　　 　{ ｔi／　　　／＼　　　＼iｧ }　　　どいつもこいつも、みーんな死刑！！
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 Ｙ 　 　.／´￣｀＼　　　Ｙ´
　　　　　　　　　　　　　 　　　　ノ　　∠＿_／＼＿ヾ､　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　 　　 ／　／　 ／　　i　　ヽ　ヽ　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　 　　i　 /　　 ,'　　　　i　　　ヽ　ヽ　　　!
　　　　　　　　　　　　　　 　|　i　　　i　　　　 i　　　　i　　}　 　 }
　　　　　　　　　　 　,.､-‐‐┤ :　　　!　　　　 !　　　　}　　!　ﾉ ﾉ‐--､,_
　　　　　　　 　,､-''"　　　　ヽ ヽ　　ヽ丶　　 !　　　ノ　ノ　 ／　　　　`‐-､,_
　　　　 　,､-'"　　　　　　　　 ＼ ＼　ヽヽ　　!　 ／ 　　 ／/　　　　　　　　 `'‐､,_
　　 　 ／　　　　　　　　　　　 ＼ヽ､,,__　ヽ､,, i／　／／　 /　　　　　　　　　　　　＼
　 　 / ＼　　　　　　　　　　　　　ヽ　　`r-､,　 _／ /　　 /　　　　　　　　　　　　／　i

　しかし、アルカラ・サモラ大統領は簡単に恩赦をあたえた。



　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　 ／　　　「 　　＼
　　　　　　　 |　　　 （ ●）（●）
　　　　　　　 |　　　　　　 ｜　|
.　　　　　　　 | 　 　 　 ___´___ﾉ　　　　　 死刑なんて、軽々しくおこなうものじゃないよ。
　　　　　　　　|　　　　　　 　 }
　　　　　　　　ヽ　　　　　ﾍミ|　　　　　　われわれは同胞じゃないか。
　　　　　　　　／,`　、` -`,--` ,
　　＿＿,---/;;;;;`　　`-,-/ニﾆ |
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ノ;;;;;;;;;;;;:::|::::::::::＜:::::::ヽ``l::::|　　|`l,::::ヽ
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;;;;;;;;;;;;/、;;;;;;;;;;;;::::::::::::::::::::::;`l;;;|;;;;;;;;;;;::::: `l|、
;;;;;/'　 `,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::|;;;::l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::l
;;;く　　　';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::::::::;;;;;;;l;;;;;;;;;;;;;;;;;;/

　　　　　　　　　アルカラ・サモラ

　　.＼　＼::, .∨　r-.､
　　　　＼　ヽ　∨}:::::::j
　　　　　　＞｀　ゞミュ!
　　　　　 ,　　　　＼ ､ヽ
　　　　　,ﾞ　　　　 ､_｀ﾊ ∨
　　　　ノ／　　　　　ゞュ.∨
　　　ｲ　　　　_＿＿＿　　｀ヽ
.　　 ｜　　　´_　　-―-ﾐ 　 )ｒ}
.　　　ゝ　　'´　　　　　 ｀ー彡ﾘ､　　　 アルカラ・サモラ大統領の
　　　　 ｀　､　　　　ー-ﾐ　w,ノ　　　　 温情的処置は、軍部に大きな衝撃をあたえます。
　　　　　　 ハー―ュ　i´｀ヾ
　　　　 　 ,..＜≦￣{三rﾄ､
　rー.: :´: : : : ﾍ∨ﾊ　{__ﾏ}､
. : : ヾ: :､: : : : :∧∨ﾊ　}__ﾏﾑ
: : : : :.∨ﾏ: : : : ∧∨ム {__ﾏﾑミ : ,








　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,、　　　　　　,、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,;' .';,.　　　　　;'　';,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,;　　 ';,.,.,.,.,..,,,;'　　　';
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,:'.:::::::::::::::::::::::::::::::: ノ（:::::::: ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 :'.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::⌒:::::::::: i
　　　　　　 裁かれるべき者が裁かれないんじゃ、　　 i.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ' 　　　　　　　　　　　　　 ::::i
　　　　　　 この国はいったいどうなるんだ？　　　　　　　`:､　―――　 　　　 ::::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,:' 　　　　 　　　: :::::::::::｀:､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,:'　　　　　　　　　: : :::::::::::



　軍部のなかには、クーデターを口ばしる者も出てきた。

　1934年10月には、具体的なクーデター計画が浮上してきた。



　　　　　　 ＿_ 　 　 , --　、
　　　　 r',ニ二¨ヽ､/∠ニヽ＼
　　　　j l r_三ﾆ 　 　 r三ヽ　 }
　　　 rリ '　 ,ｨ'ﾐ　ハ 彡'ﾍ　ヽ.＼
　　　{（(　ｉ　j,.ィ1{--ヽ.ﾄ, ,､　　j } ｝
　　　 )）' ﾉ 力ト､}￣´j.{｣ﾚﾍ.ｉ ' <.く
　　 ｛ !　' .ﾉ ,ﾘ jハ　 r'い}. jﾊ　j ﾘ }
　　　Y,ニ!l r.=＝= 　 =＝=.､ |にﾞY
　　 /{にﾞ|| ヽ.＿ﾟ,ｨ　.l､ﾟ＿,〃.|lこj.ﾄ､
　　{i_,ゝﾆl| ┐￣_｣　 |__￣┌ |lﾆ.ｲj_｝
ﾆ¨-‐7 : : ｌ ﾄ､.___ｰ､_, ‐'＿, ｲ.l : ヾｰ-¨ﾆ
: : : : l: : : : ｌ.l.lｴｴｴｴｴｴｴｴ1|.l : : : l : : : :
: : : :.|: : : : ||.l.lー─‐r──l.|.l|.: : : :|: : : :
: : : :|.: : : : |:l.ｌ.ｌｴｴｴｴｴｴｴl.j.ｌ:| : : : :| : : :
: : : l : : : : l:::l_｀￣二二￣´_l:::l: : : : :|: : :
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　　　　　　ホセ・サンフルホ





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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 . （人__）　　　　　 |
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（三） |　　　 　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 >　ノ　　　　　　 /
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / 　/　へ>　　　 <
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |＿__ヽ　　＼／　 )
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |＼　　　／|
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ファン・ヤグエ



　ポルトガルに亡命しているサンフルホ将軍を首領にかつぎ、
　蜂起の中核はヤグエ中佐の担当として、全軍に決起をよびかけようとするものである。

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　　　 ／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　 （ 一）（●）　　　　　　 ────…という話が俺のもとにきたんだが……
　　|　　　　 （__人__）
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ　　　　　　　俺の一存では決めかねる。
　　 |　　　,.<))／´二⊃
　 　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃　　　　　　…大将の意見が聞きたい。
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉
''"::l:::::::/　　　 __人〉
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ─　　　─　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 （＿）　 （ ＿） 　 　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　…そうかお。　　　　　 |　（_人__）　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼｀ ⌒´　　　　　　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　ー‐　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　 ｀

　 　　　＿＿＿_
　　　／　　 　 　＼
　 ／　　─　 　 ─＼
／ u 　 （＿） 　（＿） ＼　　　（サンフルハダの失敗の教訓が何も学ばれてない……
|　 　　 　 （__人__）　 　 |
./　　　　 ∩ノ ⊃　　／　　　　これで成功するわけがないお）
(　 ＼　／ ＿ノ　|　 |
.＼　“　　／＿＿|　 |
　　＼ ／＿＿＿ ／

　　　　　　　　 ＿＿＿_
　　　　　　　／　　 　 　＼
　　　　 　／　─　 　 ─　＼
　　　　／ 　 （●） 　（●）　 ＼　　　　…やる夫は反対だお。
　　　　|　 　 　 （__人__）　 　　 |
　　　　 ＼　 　　｀ ⌒´ 　　 ,／　　　　あまりに準備不足で、サンフルハダの二の舞だお。
　　 　 /⌒ヽ　 　ー‐ 　 　ｨヽ
　 　　/ 　　　 　,⊆ニ_ヽ、　 |
　　　/　 　 ／　r─--⊃、 　|
　　　|　ヽ,.ｲ　　 ｀二ﾆﾆうヽ.　|





　　　　　　　　 　 　　＿＿＿_
　　　　　　　　 　　／　　 　 　＼
　　　　　　　 　 ／　─　 　 ─　＼
　　　　　　　 ／ 　 （＿） 　（＿）　 ＼　　　　今回はまだ時期尚早だお。
　　　　　　　 |　 　 　 （__人__）　 　　 |
　 　　　　　　＼　 　　 ｀ ⌒´ 　　 ,／　　　　時期が熟するまで、じっと待つんだお…
　r､　　　 　r､／　　　　　　　　　　ヘ
　ヽヾ　三　|:l1　　　　　　　　 　　　　ヽ
　　＼>ヽ/ |｀ ｝　　　　　　　　　 　　|　|
　　　ﾍ　lノ `'ｿ 　　　　　　　 　　　　|　|
　　　　/´　 /　　　　　　　　　　　　 |.　|
　　　　＼. ｨ 　　　　　　 　 　 　 　　|　 |
　　　 　 　 |　　　　　　　 　 　 　 　 | 　|



　やる夫は打診にたいして、明確に拒否する。

　　　　　　　　　　　　ﾞｉ:::.ﾞｉ　ﾞｉ　　　　!　!::::::.,'
　　　　　　　　　　　　　ﾞｉ:::ﾞｉ　ﾞｉ　　　|　|:::::,'
　　　　　　　　　　　　　　ﾞｉ::.ﾞｉ　ﾞｉ＿|　|:::,'
　　　　　　　　　　　　　　ﾞｉ::ﾞｉ.　V _ 1!,r'
　　　　　　　　　　　　　　　ﾝＪ 　(,___ 」,'
　　　　　　　　　　　　　,r'´ 　　　　　V ｀゛
　　　　　　　　　　　,r'　　　　　　' ,　!
　　　　　　　　　　 ﾐ 　 　 　　　ｨ、'　!
　　　　　 　 　 　 ' ┼‐- 　.,　　゛` 　,'
　　 　 　 　 　 　 '' 十‐- 　.,｀ィ 　 　ﾞｉ　　　　やる夫にしてみれば、すでにアストゥリアス革命で
　　　　　　　　　　　､　 .,　　 ｀!､　 　 〉　　　 名をあげて一目おかれる地位を確立した以上、
　　　　　　　　　'´::::::::::::::: ﾄ、　　_ﾝｰ`　　　　かるがるしく冒険をこころみる義理もいわれもありませんでした。
　　　　　　 ,. '´--､:::::::ヽ:::ﾒ'´`iT〈 ,ｨｼ´
　　　　 　 /::::::::::::::ヽ:::::::ヽ::ヽﾉ、 ヾ
　　　　　 ﾊ、:::＿::::::ﾞ';::::::::ヽ::::ヾ! i ',
　　　　 ,/:::::＿::::,-::::::',::::::::::l__;vﾍl　',
　　　　/::::::::::::::::::::::::::::}::::::::::｀ヽ、:ヽ ',
　　 ／､:::::ニニ二二ﾌ::::::::::::::::::::ヽ::', l
.　 /::::::::::::::::::::::::::::／:::::::::::::::::::::::::::ヽlj
　/:::::::::::::::::::::::::／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::ll

　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　 　　　　　　　　 ｾﾀﾞ
　1934年11月となると、「スペイン自主右翼連合（CEDA）」のヒル・ロブレスが政府に圧力をかけて、
　内閣改造を強要した。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＜: : : : : : : : :＞ .
　　　　　　　　　　　　　 　 　 ＿ ／: : : : : : : : :j! : : : : : ｀ヽ
　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ﾉ: : : : : : : : : : : ／{: : : : : : : : ∧
　　　　　　　 　 　 　 　 　 /: : : : : : : : : ｲ /　　｀¨ヽ: : : : : :∧
　　　　　　　　　　　　　　/: : : : : : ﾊ/ｿ　ｿ 　 　 　 jハ: : : : : :}
　　　　　　　　　　　　　　ﾘ : : :γ　 　 , 　 ｀￣ ｀__　　ヽ: : : : :!
　　　　　　　　　　　　 　 ヽ: : : |　 ≦´ｰ､==〈:::::::::::::}￣｀ }: :r ヽ
　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ゞ: :ゝ〈:::::::::::ﾉ}　: ヽ¨¨¨ 　 : : : y　 .}
　　　　　　　　　　　　　　　　＞:|　　　　 ヽ　ｱ　 　 　 : : : ;　 ｲ
　　　　　　　　　　　 　 　 　 {　∧　　 　 　 　 ＿　ｸ｀ : : : -
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ヽ ∧　　 　／ ´￣　　. : : : }: :!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∧　　　　　　　　. : : : ｲ : :!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ヽ　　　. . . . : : :＜: : }iリ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ー―=＝´　 　 　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| 　　i　　　i 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｒ＜￣ ヽ　　r ´￣ ￣ |
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 }､　　 　 ヽ　|　　 　 　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｲ;{≧ｭ､_　, == ､. ｘ≦ ｿ;＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　,＜;;;;;;;|≦=ｨ´　 : :　ﾊ==≦j!;;;;;;;;;;;≧=-
　　　　　　　　　　　　　ｰ=≦;;;};;;;;;;;;;;;;>／　 　 : : 　 ゝ　,ｲ;;;;;;;;;;;;{;;;;;;;;;;;;;;;;≧=ｰ
　　　　　　　 　 ｰ=≦;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;;;;;;;;;/　　　　,′　　 ∧;;;;;;;;;;;;;;;;;∨:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヒル・ロブレス

　そして1935年5月、ヒル・ロブレスは陸軍大臣として入閣する。



　　　　　　　　　　　　　 /:::::,r'´　　　　　　ヽ:::::::::l,
　　　　　　　　　　　　　l:::::::l_,,_　　　 _,,-‐-: :'l:::::::::l
　　　　　　　　　　　　　 ゝ::iｨ'"｀ﾞ`t‐l´￣~〕､:.l:::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　 ﾞﾋﾞ'--‐i　 ﾞ'‐-‐'　 〉'´i丿
　　　　　　　　　　　　　　　ﾞi　 　 `` 　 　 : : : ﾘﾉ
　　　　　　　　　　　 　 　 　 l　 r--‐‐ ｯ　: :r､/　　　はっはっは、ついにやったぞ！
　　　　　　　　　　　　　 　 　 l　｀`''''"´　: :/::l'"
　　　　　　　　　　　　　　　.　 !､,＿＿＿／: :l_
　　　　　　　　　　　　　　 _,,（F-､,　_,,-‐''''""´ !､,_
　　　　　　　　　 _,,,..-‐/''´::lﾞ`-､-V_,,,　-‐''''"ﾉ;;;;;;;｀ﾞ`'‐ ､,_
　　　 ,,-‐'""´￣:::::::::/:::::::,rﾚ'´　　i､ヽ--‐ 丿::::::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;｀ﾞ`'‐--　､
　　,ｨ'::::::::::::::::::::::::::::/＿／　　　　　i : ヽ ,ｨ':::::::::::::::::::l:::::::::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:ヽ
　r':::::::::::::::::::::::::::::::::::::,r　　　　　　　i : : l:::::::＜⌒￣:::::::::::::::::::,i::::::::::::::;;;;;;;;;;ヽ
_l;::::::::::::::::i:::::::::::::::::::::i　　　　　　　　　　:l::::::::::::::＞::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::;;;;;;;;;l
::::::::::::::::::i:::::::::::::::::::::::ゝこヽ　　　　　　　:l::_,,,..-‐''´:::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::;;;;;;;;l､
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　　　　　　　　　　　　　　　　　_,. . -‐--　､_　 _,, ,,_
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　　　　　　　　　　 　 _|,: : : : : : : : :／: : : : /|/ |:::::ﾚ|`:::::::::::: ヽ: : : : : : : : : :
　　　　　　　　_, - ' ￣/: :n／=＜_'─'／_＞ヽ|::/､::::::::::::::: : : :ヽ: : : : : : : : : :
　 　　　_,　- ': : : : : : / ﾄﾚﾄ ヽ{:エェ:}-,{:ｪエ:}ｨ//::ヽ::::::::::: : : : : :ヽ: : : : : : : :
　　　／: : : : : : : : : :/: : `ヽ,　 ﾞ ￣"　| ﾞ￣ "ﾚ:::::::::ヽ::::: : : : : : : : i: : : : : : : : 　 　 　 　 この私が陸軍大臣になったあかつきには
　　 /: : : : : : : ヽ : /: : : : : | |　　　　` '　 　 /|: : : : :／ : : : : : : : : !: : : : : : :
　　{: : : : : : : : : ヽ /＿＿: :| ヽ　ヽニﾆ=' 　/ | : : ＜ _: : : : : : : : : :i: : : : : : :　　　　　　 大規模な軍制改革をおこなうぞ！
　　}: : : : : : : : : : :ヽ　／: : :ヽ `_　　 '　　 /　|: : : : : :/: : : : : : : : : :|＿＿,,,
　　{: : : : : : : : : : : :}::|: : : : : :＼ ￣￣r￣=-ｲ- ,,＿/: : : : : : : : : ::::|"
　　|: : : : : : : : : : : |::::＼: : : : : :＼r'~`､　ヽ　　　　 ￣`＞,○: : : : ::|
　 ,|: : : : : : , -‐---===＞ｪ__/~ヽ|　 ﾉヽ､　　ヽ　　　/　 |: : : : : : ::/
　 |: : : : : : : : : : : : : : : : :r-‐/~ ﾚ `‐'　" ＼-,,＿､　 |　 ノ: : : : : ::/
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　L: : : : : : : : : : : : : : / !_ ィ　　　 ＞,,＿,／　　　　／: : : : : : :::/
　 ＼: : : : : : : : : : : __|　ﾉ　＞-‐': : ヽ　　　　　 ／: : : : : : : ::／
　　　`‐- ,, __O Oヽ::::`'~フ"○: : : : :ヽ　　 ／: : : : : : : 0: : ::ゝ､



　ヒル・ロブレスは陸軍から、共和国に忠誠を誓う将校を追放し、
　共和国反対派を高い地位に指名した。

　この陸軍人事の結果、やる夫は陸軍参謀総長となった。
　軍令上の最高ポストである。



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　 　 i､　 i, i　 Li　'i''ﾞ　　 　　|: : : ::;;　（　● ）　ﾉヽ　（ ●　）;;:::　 　　 |　　　　l　ﾞUﾞ　ｨ_/i.　/
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　 ﾉ　）‐'　　　　 ｀ﾞ'´　　　）))　 .＼: : :: : :.｀ｰ-‐'´｀ｰ-‐'′　　 ／　　　ゝ_,,,_　 ﾞ　　　ﾞ',　　｀ﾞ'i､　ﾞｧ
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　　　　　　　　　　!/f r.|::::::::!　 弋ｴﾉ｀　　　　｀'ｨﾆ二_　/:::::::::!
　　 　 　 　 　 　 　 k.ﾔ!:::::::!　　　　　　　　　　 ゞｚｿ,. /::::∧::|
　　　　　　　　　　　|∧`Y::ﾘ 　 　 　 　 　 i　　　　　 //|/　 ヾ　　　　 …いまや共和国は存続の危機にある。
　　　　　　　　　　 　　 !Tヾ　　　　　　　　j 　 　 　 //ノ
　　　　　　　　　　　　　ﾔ. ヽ.　　 　, ‐-､,__　　　 ,.ｲ:/　　　　　　　　　共和国を守るためには、俺たちは団結するしかないんだ！
　　　 　 　 　 　 　 r＜´|.　　＼　 丶,＿ヽ/　 .／ |/
　　　　　　 　 　 　 !　 ｀丶､.　　＼　 ｰ　　 ／　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　 　 　 _/　　　　　`'-､.　`'ｰ-r<´
　　　　　　　, -'" ｀ヽ､　　　　　 ｀ヽ､　f｀, ＼
　　　　 , -'´　　　　ヽ ｀ヽ､　　　　　 >く_Lｒ'´｀ト､
　　　／　　　　　　　　ヽ　 ＼　　／ヽO〉 |｀r､.|　｀丶､
　　/　　　　　　　　　　　＼ 　＼/＼r‐＝<.　!｀　　　　｀ヽ,
　 /　　　　_　-－‐　　　　 ヽ　　　　ヾ　　 !　ヽ　　　　　　i
　/　　 ／　　　　　　　　　 　 ! 　　　 ｀ﾄｰ〈　　 !　　　 /　 |

　　　　　　　　　　　　マヌエル・アサーニャ



　右翼が徐々に政治勢力をつよめて尖鋭になるにつれて、
　左翼も、勢力の結集をはかった。

　　　　　　　　　 ＞ -:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ /:.:.:|
　　　　　　　　　 >:.-:.－:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀´:.:./
　　　　 　　 r‐ ':.´:.:.:.:.:.:.:.:.::./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:|:::ヾ:.:.／::|:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:|￣｀''- ､;i:.:.:.:.:.:.:.:.￣ヽ
　 　 　 　/:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ﾊ:.:.:.|　　　　　 |∧:.:.:.:.:|:.:.:.:.:}
　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V:.:.:./ -V:|_　　　　//:::.:.:.:.:.:K:.:.:.:|
　　 ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠V:./={´rvミ､=､_,, ,/　|:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.:.|
　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´＼-;/￣ V￣ | |ｲ≧ミ=､/ 　 |:.:.:/:.:.:<´ヾ|
　 ｀ '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::.　　　 | | 辷り｀ |}_　r-Vｿ:.:∧}
　　　　　 ／:.:.:.:ヽ::::::::::i:::::::::::　　　 ヽ廴_　 <ﾃ=/rァヾ:∧:.|
　　　　　 フ/:.:.:.:.:.＼::::::::::::::::　U　　　￣ヾ=ﾉ　 <-ﾝ /:| .V
　　　　　　´''- ､:.:.:.:./::::::::::::::::　　　　　　　　　　/=テヾ|
　　　　　　　　　 ヾ/:::::::＼::::::..　　　　　ー -　 　 /
　　　　　　　 　 　/:::::::::::::::::::::::::...　　　　 -　　.／　　　　　　……
　　　　　　／＼./::::::::::::::::::::::＼:::::::::...　　 　／
　　　　 ／　　　∧:::::::::::::::　　 /｀ 'ー - ' ´
　　　ノ |　　　　　 }ヽ::::　　 　/_
￣￣　 .|　　　　　　 ＼　　　{　ヽ
　　　　 .|　　　　　　/　｀ ー='´　 ＼

　　　　　　　インダレシオ・プリエト



　アサーニャとプリエトは協力して、1933年選挙の敗因となった不団結は繰り返してはならない
　というキャンペーンを展開した。

　雑多な左翼陣営の大同団結────いわゆる「人民戦線構想」である。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_　-―
､＿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_　-‐
　 _ ＞一ー―――-　､＿_　　　　 　 , ---―- ､　　　　 _ ..　-‐
￣　　　　　　　　　 　 　 　 }　　_ -‐ｯ'　　　　　　 `ー--､}
　　　　　　　　　　　　　　　「￣　　「　　 ,.-､　　　　　　　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　|　　 　 } 　 /　　＼　　　　　　 ､
　　　　　　　　　　 　 　 　 i　　 　 ｊﾉ ノ　　　　｀丶、　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　｜　　　 `ﾞ´　　　　　　　 ヽ　　　　 }
　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　　｜
:　.　.　.　　　 　 　 　 　 /ヽ, -‐-､,ｒ"ヽ　　　　　　　　 丶　.ィ´:､　　　　.　:　:　:　:
:　:　:　:　:　:　:　:　:　:　/　〈 ⌒／ ゝ /⌒ヽ　　　　ヽ　　∨　､: ､.　:　:　:　:_ .. -‐ ￣
￣　―-　 __:　:　:　:　/　　 `´{　　／ 　 ∠、　＼　 ＼__ﾉ　　＼}_ .. -‐ "
　　　　　　　 ￣　―┘　　　　｀¨´､　／- /丶、　＞‐'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀ﾞ'､__/`－-'￣

　一方、CEDAのヒル・ロブレスは、自身の黒い野心を微塵たりとも隠そうとはしなかった。



　　　　　　　　　　　　 .′　　　　　　　　 .／ ／ﾚ′ ＼　 ヽ
　　　　　　　　　　　　.′　　　　　　　, ｨムイ 　 　 　 　ヽ　|
　　　　　　　　　　　　}　　　 {　＞　´　　　　　　　　 　　 |　{、
　　　　　　　　　　　　ﾟ。　 　 V　　　　　　　 　　 　 　　 .'　/!
　　　　　　　　 　 　 　 ﾟ。r.ミ }　　..＿　　　 　 ､__.ｨ二ヽ}.イ
　　　　　　　　　　　　　 `!　 }|‐- y'￣￣｀Yzzz{　fTヽ H .j
　　　　　　　　　　　　　　.}　　　　ゝ..＿__ノ　　|ゝ--- '/./
　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　.,、　　　　　　 _ .〉　　　 ﾚ′　　　　…さて、陸軍大臣として入閣したはいいが……
　　　　　　　　　　　　　　　 ｀Tﾊ　　　　　　　　　　　./
　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ|ヽ　　 ｀¨¨二¨” 　 /　　　　　　　こんなポストではとうてい満足できんぞ。
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　ﾟ　　　　　　　　 /!
　　　　　　　　　　　　　　　　 r┤　ヽ　　　　　　ノ .ト､
　　　　　　　　　　　　　　 .　-ﾍ ￣　 三三¨T二 --ｲ＼
　　　　　　　　　　　_　ィ´:::::::::::|ー-- .＿__,オL_. - ｲ|:::::ヽー-ミ、
　　　　　_.　-‐:::￣::::::/::::::::::::::::ﾏー----／ ,|　 ＼　.|:::::::::＼:::::::::＞　._
ー- 　 ´::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::＼　 .／　　{　　　ヽ{::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::｀ー-----ミ、
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i::::::::::::::::::::::::::::ヽ/　　　.ﾊ　　　　＼:::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::/　　　〈　|　　 　 　 ヽ:::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ



　ヒル･ロブレスは、CEDA出身の閣僚の辞任により内閣危機を引き起こすことによって、
　レルー急進党内閣を弱体化させていった。

　　　　 /　　　　　　,r,ｨｲ从　 l
　　　　ﾉi　　 ,.彳ｰ'　　　　 l　 l
.-､_r-‐/,､,-､l ＝- ､.　,r＝ﾑ'´_　　､─ ､
　　　 / ´'l.) ｀‐',＿ノ~'ゝ-ｨ/　　 ｀ﾉ､ヾヽ l
　　 /　 　|ﾞr､i　　　　'　　/　 __　　／/　ﾉ
　　｀,フ 　l ヾ､l　ヽ二ﾆﾉ/ｌ ´ｰ､ .ｒ'　' ／
　　ヽ　　　ヽ ヾ､､＿＿//＿_ノr‐-､-'─ 、
　　　ヽ　　　ヽ‐|　　|　＼　　/ i.l´ﾞi -─ 〈



　1935年9月、ヒル・ロブレスの政治的操作により、レルー急進党内閣が崩壊した。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , ｒ' 7
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, ｒ'´,ｨ7 ;'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{ヽ、 　,ｒ'´ ,ｨ::::::::ｉ ｉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｉ.ｉヽヽ' /ﾚ'::::::::::::ｉ ｉ__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{ ｉ:::::Y:::::::::::::::::::/_____￣_‐- ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｉ ﾏ:::::::::::::::::::::::::::::::::::;ｒ‐'´ｒ'´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､‐‐‐‐ﾆ=.':::::::::::::＞‐‐‐､:≪ ＜´　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`ヽﾐ､::::::＞‐'´　` ー‐‐'｀ヽ＞＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `ヽ/ヽ　　　　　　 　 　`ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｉ　　';　　　　　　　　　　ｉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　ｉ　　　　　 　 　 　 ｉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　く　 　}､　　　　　　　　　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / ／}/ 　`ｉ_　　　　　＞ ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　//／}　　　ｒ'´　　　　 　 　 ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_.ｒ‐/ ,ｨ' 　ｉ　 　ノ　　　　/　　∧ 　ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　// ./Y .У/　／ 　ｒ77ﾍ /　　 　∧ 　ﾍｒ=､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {/¨7／ / / く　 　/ｉ////ｉ　　　 　 ∧ｒｲ.ｉ/.∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｉﾍ/ 　/ / 　 ∧　{ {77777 ｉ,ィ'´ｉ ｀ヽ くﾍト‐‐ｉ!

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　アレハンドロ・レルー

　　　　　　/:::::::::::::::::::::::::::::::　　　　:::　,;　ノ:.:.:.:.:ヾ:::::::|
　　　　　/:::::::::::::::::::::::::::　　　,　_＿／"~:.:.:.:.:.:.:.:.:! ::::::|
　　　　　|::::::::::::::::::::::::　　／",/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|　:::::|
　　　　　|:::::::::::::::::::::　／´ '~:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:λ ::::ｙ
　　　　　ヾ:::::::::,__::: /"　　　　　　:.:.:.:.:.:.:.:.　　　　 | :::/
　　　　　 ヽ:::::/__ヾ,|　一ー-､__　　　　　　,　.-‐､|:::/
　　　　　　ヽ:::i/;;;　ヘ､__ゝ-‐―--､__　　,-‐―-､и
　　　　　　　ヾ ;;;;　　:.:.:.:|　　　　　　ﾘーｆ　　　　ﾉ/
　　　　　　　 ヾ､　　:.:.:.:.ゝ------‐":.:.:.|`ー-‐"ｙ
　　　　　　　 λヽ､　:.:.:.　　　　　　　　:.:|　　　　|
　　　　　　　　 ヾ~`|, .:.:.　　　　　　　　, .ｊ　　　 .i
　　　　　　　　　　ｙゝ:.:.:　　 _　　　　　　　　　 /　　　　　　　 これでいい……
　　　　　　　　　　 | ヽ:.:.　　 `ー‐-----　　 /
　　　　　　　　　　 |:.:.:ヽ.:.　　　　　　__　　　/　　　　　　　　　次に組閣を要請されるのは、間違いなくこの私だろう。
　　　　　　　　　 Y､_.:.　ヽ　　　　　　.:.　　 /
　　　　　　　　　 ||　`‐-､_ｙ_　　　　　　　 /　 |､_
　　　　　　　／~ |‐-､_　　　"￣￣￣￣´ノ´~|_;;;;;￣`ー-､_＿＿＿_
＿,-‐――";;;;;;;;;;;|､　　～､_＿￣`､.　／´ ／λ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;;;;;;;;;;;;|ヽ､_　　　　 `ー､＿,_／／"~|;;;;;;;;;;;;;;ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|　　`ー----フ´　 λヽ'　　　|;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|　　　　　 ／　　　　|ヾ ヽ　　|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|　　　　 /　　　　　 ヾ|　 ＼　|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ;;;;;;;;;;;;



　────しかし……

　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　 　 ／　　　ノ 　 ＼
. 　 　 　 　 　 　 　 |　　　( ＿) (＿）
.　　　　　　 　 　 　 | 　　　　　 |　 |
　　　　　 　 　 　 　 | u 　　 　_´__ |　　　　　　　　　 　 , ｧァ┐
　　　　　　　　 　　　}　　　 ´　　　|.　　　　　　┌､　　///./ ７
　　　　　　　　 　 　 i　ヽ　_　　　/...- 、__、.　　|　l ／//./' /
　　　　　　　　　　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/:: : : : : .７ ﾉ　/　ヽ_/' /
　　　　　　　　__／ :}Λ:::√ У: : :/: : : : : : / /／　 ／　丿
　　　　　,.-< : : : : :i /::::「 ／ :< : :: : : : : : / : |　　/　　／
　　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉: : : : : : : : : ﾍ　 {　　ｲ
　　 　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／: : : : : : : : : :「ﾑ ＿_厶┐
　　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／: : : : : : : : :i : : |｀ ー一一'|
　　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./: : : : : : : : : : :V : :| : : : : : : : |
　　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/: : : : : : : : : : : : :r : :|.: : : : : : : |



　アルカラ・サモラ大統領は、しかしながら、CEDAの政治的信条に疑念をもち、
　ヒル・ロブレスを忌避した。

　　　　　　　 ／´￣￣ ￣￣｀＼.
　　　　　　／: : : :　　　　　 　 　 ＼
　　　　　/: : : : :　　　　　　　　　　　'.,
　　　　　|: : : : :　　　　　　　 　 　 　 :|
　　　　　| : : : : : : : .,　　　　　　　 　 :|
　　　　　|:: : : :＿ ノ゛,, ;、､､ '"ヽ_　　:|
　　　　　|::::;;;（　＿ ） ﾉヽ （　＿ ） ;;:::|
　　　　　|: : : ´"''"´　　 　 　 "''"´　:l
　　　　　 ',: : . .　u.　　　 |　　　　　 .,′　　　　　これもすべて、スペインのためなんだ……
　　 ＿／二Ｌ___:.....　＿ ´＿　　　 .ハｰ､＿_
　／: : r':|　r'￣二ﾕ　　　　　　　　/ : ',: :: :: :＼＿_
　: : : : | .|　|　/ 　) ｀)　　　 　 　 /| : :.ﾍ: :: :: :: :: :: :＼＿_
　: : : : |.ﾉ. ﾉ /　　⌒ヽ＿　　　／. |: : : :ﾍ: :: :: : : : : : : : .ハ
　: :: :: :＼　　　　　　　　 ヽ- ´ 　 .|: :､ : : ＼: :: :: : .i i: :/: ::ﾍ
　: :: :: : l: ｀ー┬-､　 　 　 ト､.　　/: :: :＼／: : : : {. ﾚ /: :: : ﾍ
　 : : ┐|: :: :: :: :＼）　 ７ ./iii入／|: :: :: :: :＼: :: :: :Ｖ /: :: :: :: :}
　: : イ .|__/ ,へ/⌒＼　./iiii〈 　 /! : : : : : ::/: :: :: : Ｖ: :: :,ｲ: : :!
　イノ : : / /: :: :＼＿ ￣＼ii｝　　|: :: :: :: :/----: : .| ／ノ: :: :|



　そしてついには、議会の解散、総選挙の道を選んだ。
　ヒル・ロブレスが激怒したのはいうまでもない。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＜: : : : : : : : :＞ .
　　　　　　　　　　　　　 　 　 ＿ ／: : : : : : : : :j! : : : : : ｀ヽ
　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ﾉ: : : : : : : : : : : ／{: : : : : : : : ∧
　　　　　　　 　 　 　 　 　 /: : : : : : : : : ｲ /　　｀¨ヽ: : : : : :∧
　　　　　　　　　　　　　　/: : : : : : ﾊ/ｿ　ｿ 　 　 　 jハ: : : : : :}
　　　　　　　　　　　　　　ﾘ : : :γ　 　 , 　 ｀￣ ｀__　　ヽ: : : : :!
　　　　　　　　　　　　 　 ヽ: : : |　 ≦´ｰ､==〈:::::::::::::}￣｀ }: :r ヽ
　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ゞ: :ゝ〈:::::::::::ﾉ}　: ヽ¨¨¨ 　 : : : y　 .}
　　　　　　　　　　　　　　　　＞:|　　　　 ヽ　ｱ　 　 　 : : : ;　 ｲ
　　　　　　　　　　　 　 　 　 {　∧　　 　 　 　 ＿　ｸ｀ : : : -　　　　　　　『われわれは、議会主義をも、民主主義をも信じない！』
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ヽ ∧　　 　／ ´￣　　. : : : }: :!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∧　　　　　　　　. : : : ｲ : :!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ヽ　　　. . . . : : :＜: : }iリ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ー―=＝´　 　 　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| 　　i　　　i 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｒ＜￣ ヽ　　r ´￣ ￣ |
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 }､　　 　 ヽ　|　　 　 　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｲ;{≧ｭ､_　, == ､. ｘ≦ ｿ;＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　,＜;;;;;;;|≦=ｨ´　 : :　ﾊ==≦j!;;;;;;;;;;;≧=-
　　　　　　　　　　　　　ｰ=≦;;;};;;;;;;;;;;;;>／　 　 : : 　 ゝ　,ｲ;;;;;;;;;;;;{;;;;;;;;;;;;;;;;≧=ｰ
　　　　　　　 　 ｰ=≦;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;;;;;;;;;/　　　　,′　　 ∧;;;;;;;;;;;;;;;;;∨:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;



　総選挙は、1936年2月16日と告示された。

　ヒル・ロブレスは、CEDAの宣伝物のモデルにすべく、ナチ党のパンフレットとポスターを
　全部取り寄せていた。



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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　::::::::::::::::;　´　／> 　｀　､::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:::::::::::::;　　 < < ／＼　　'.:::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:::::::::::::　 <＼>　 <＼ >　 :::::::::::::
　　　 　 /　　　　　　　　　　　　　　　 /　 　 　 ﾞi,　 ヽ　　　　　　 ::::::::::::::. 　 ＼／ > >　 　.::::::::::::::
　　　　 j　　　　　　　　　 　 　 　 ,ｨ／　 　 　 　 |　　|　　　　　　 ::::::::::::::::....　 　 <／ 　.....::::::::::::::::
　　 　 lｨ'　　　　　　 　 　 　 ,ｨ／j/ 　 　 　 　 　 |　iﾘ　　　　　　 :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　|　　　　　　　　 /l ／　　　　　　　　　 '"` |　j
　　　　ﾘ!　　　　　 /,ノ　　　　　　　　　　 _,､-''''` /ﾘ
　　　 　 |　　 _.._　l/ 　 ,.--;==ﾐ ､ ___,.ﾉ /{.○-ﾞ‐rV
　　　　　ヽ,/｀ヽヽﾄ､　´　 {,.○-`‐‐ ､,.-ﾄ|　　　　,ﾉ
　　　　　 ∧　　ﾞi, 　 `ヽ,r'´　　　 　 ﾉ.　 ﾞ､--‐''´|
　　　 ,,.く　 ヽ 　 ﾞi　　 　 ヽ､ __,,､-'"　　　 〉　　 /　　　　　　　　　　　　　ポスターが欲しいのだよ。
　 ﾊ'´　　|　 ﾞi　　 |　　　　　　　　　　　'　'　　　 iヽ''"￣￣￣｀ﾞ
　 ﾞ､ﾞi,_r'ｼﾆZ`ｰ┬ト'i　　　 　 　 ＿＿＿__ ,　　 |　 ＼　　　　　　　　　　 一種類の洩れなく、全部だ！
　　　 _ﾞV　　ヽ,.レ''ヽヽ　　　　　`ー─''''"´ 　 /　　　 ＼
　　／./ ヽ／　　　　 ,」ヽ　　　　　__,,､-─‐-､j　　　　 　 ヽ
　　　/ r'´　 --‐‐'''"´ ヽ ＼　　 （.r‐'''""ﾞﾞ`ヽ,｀)　　　　　/
　 　 l .|　　　　　＿_,,､--`ヽ ＼ ___ヽ　　　　 /´|　　　 ∠__
　 　j　|　　　　　　　　　　 ,⊥`ー ､　ﾞ!　　　 レ' |　　　　　 |
　　|　 |　　　　　 　 -‐''"´ 　 ヽ､⊥ヽ|　　　 |彡'|　　　　　 |

　右派の選挙資金は、左派の乏しい資金を圧倒的に凌駕した。
　CEDAのために、1万枚のポスター、5千万部のリーフレットが印刷された。



: : _／ 　/: : : : : : : : : : : : |k: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :: : : : : : : : : : :
'´　　　/: : : : : : : : : : : : : l :.〉: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
　　,ィ´: : : : : : : : : : : : : : |/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
イ´: : : : : : ,,､,_: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
,l: : : : yj　/　　7: : : : : : : : : : ヾヽ.: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : t''7: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
: : : : : _ノ　　,k: : : lヽ: : : : : : :: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : l/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
: : : : : ゝ--‐'´: : : :|　 ＼ ､: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヾゝ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
: : : : : : : : : : : : : : i!　　 ＼ヽ､: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
: : : : : : : : : : : : : : |　　　　＼＼.: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |i: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
: : : : : : : : : : : : : : ＼　　　　　」: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :: ﾘ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
: : : : : : : : : : : : : : : : ＼　　 i/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
: : : : : : : : : : : : : : : : : : ＼k: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : _//´^ヽ,､: : : : : : : : : : : : :
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :: ヾゝ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :: : r､ /　'ゝ　　　k: : : : : : : : : : :
ヾゝ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : lk　　ｲ､: : : : : : : : : : : : :
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ／/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : /7￣｀`‐-､i､: : : : : : : : : : : :
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : イ,r'´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ,ｨ　　　　　　 | ￣ヽ: : : : : : : : :
: : : : : : : : : : : : : : : /ー-‐イ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |　　　　　,ｨ-‐---'´: : : : : : : :
: : : : : : : : : : : : : : : ｀, ｀Y´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヾ __ ,ィ￣ij: : : : : : : : : : : : : :
: : : : : : : : : : : : : : : : Y　〉､: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_, 　-‐─── ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／:: : : : : : : : : : : : , ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　／::::::: : : : : : : : : :,ｨ / ヽ:ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　/:::::::::::::::: : :／ﾉ／　' 　　 l: :ヽ
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ｌ:::::::::::::::::/ノ　　　　　　　　|: : l
　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 l:::::::::::::::/　", ﾆ=- ､　, -= ､!:/
　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ::::, -､,l-‐'､ （０),ﾉ~l (０) ）ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ:l ヽ '　　　￣　 　 i ￣　l!
　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ ゞ　　　　　　 '　'　　 / , -‐'ﾉ）-!⌒l　　　　　　 『この選挙は、善と悪、生存と破滅の大決戦だ！！』
　　　　　　　　　　　　　　　　　 l::ヽ_,､　　　 ヽﾆ=‐　　l／　 ,ｨ';;;;/　　l, ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ゝ- |ヽ　　　　 ‐　　／ ､_／,r｀　　 /　 l､
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 |　 ヽ　　　　　/　　　´| |　　　/　 /　!
　　　　　　　　　　　　　　　　＿, r''´￣￣｀''ヾ''フ‐|　　 　 | |　　'　　/　/l
　　　　 　 , -─--＜´￣￣|:::::::::::｀ヾ､￣二ﾆ>｀‐-|　　　 |　|　　　　　 '　l
　　　　／;;;;;;;;;;;;;::::::::::｀ヽ､::::ゝ───ｫ｀ｰ-､/: :　　l　　　|.　|　　　　　　ﾉ_
　　　/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::::::::::::::ヽ:::::::::::::＜´:::::::::::::|: : :　　〉　　| 　|　　　　 ／::::ヽ
　　 /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::::::::::::::::l::::l::::::::::::::｀`''ｰ‐┤／l'´ ｌ　　 | 　|　　, -'´:::::::::::::ヽ
　　/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::::::::::::::::＼::::::::::::::::::::::::::／;;;;;;;;l　ヽ　　l 　! ∠＿}:::::::::::::::::::l
　　l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::::::::::::::::::＼:::::::::::,r'／;;;;;;;;;;;;;;;ヽ　ヽ　|　/! : : ノ::::::::::/::::::::|
　　 l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,::::::::::::::::::::::::::ヽ::::r／;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;＼ ヽ!/ /ヾ´:::::::::::::::l::::::::ヽ
　　　l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,::::::::::::::::::::::/´￣;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽo!>' 　l:::::r ､::::::::l::::::::〈
　　　 ｀ｰ､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,:::::::::::::::' ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀ｰｫ'´::::ゝノ::::::::l::::::::::|
　　　　　 l＼;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,,,,,;;,,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;〇::／:::::::::::::::::::::::::::l::::::::::|

　人民戦線側は選挙キャンペーンの力点を、ファシズムの脅威、共和国の直面する危険に置いた。



　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　 ｿ---彡: : : : : : : : ヽ、
　　　　　＿__ノ: : : : : ' ' ' '. . . . . ., .､"ヽ、
　　　　　ヾ;; : : ' '. . . :.; : .; : : : :;; : ; : : : : ヽ､
　　　　　ﾉ; '. . : : : : ;;; : ;;; : ; : :;;;;; :.;;;: ;; : : ::ヽ、
　　　　 .|''. : : ;;; : : :;;;;: /|:/ |;.:/:|;;;:/|; |;;;;:.; :;;;;;,＼
　　　 ノ;;;;;,;;,;;;;; : : : /|/-\､/ﾉ　.|;/ .|/ヽ;:.;;::,／´
　　　￣|;;;;;;__;;;: : : :|　\せχ　｀- ;　＿彡|:;;;:|
　　　　.|;;;;;/-|||;;: :.|., 　 ￣　　　 |.せχ;;;;|;/|
　　　　|/|;;|:|::|:ヽ;:/ し　　　　　 .ヽ.￣|;;/
　　　　　ヽ;ヽヽ:ヽ|:::　　　　　　　/　 .|;|
　　　　　 ヾ|;;~|ヽ:::::　　　 .＿＿　　 /|　　　　　暴力の高波が、スペインを呑みこもうとしている！
　　　　　　 .|;;;/:ヾ::::.　　./''''''''"/　./
　　　　　　　/::::::::＼::..　ヽ---´ ./　　　　　　　ファシズムからスペインを守らなければならない！
　　　　　ノ´:::ヽ::::::::::＼:..　　~　/
　 ．-･~ヽ::::' .＼::'':::::::ゝヽ-- '"
／:::::::::::::'''ヽ'　　 ＼　'''''''''∧、
:::'''' ::'''　　 ヽ　　　　>、　/:::' ヽ,
　　 '　　　　ヽ　　／'　ラ ヽ'　 |



　選挙戦は激烈をきわめた。
　双方の暴力沙汰も、日常茶飯事であった。

　そして────



r:、 |::::|　　 ＼. 　 　 |:|　　　　 ｀i､: : : :}べﾍ　 ｨ
|::|　|::::|　 |ヽ　 ＼　　ﾞ　　 ﾄ　　 ト､,／△ | Y　|
ｌ::|_r::ｼ:⌒ヾ:|　|:ｌ　｀　　 　 |:| 　 :!　 !　 　 l ヾ､:|
_｀''ｰ'::_:::::::::}|　ｌ｣　　　｀ ヽ　　　 |　 |　　　|　　 |
　　　　"'-::Ｌ　 /::＾ヽl::i　 _ ｀ヽ,::|　 |ｰ:::::: ト,,　_!
　 |｀::､　　 　:ヾｌ::::::::::}::|　|:|　 　 |　 |:::::::::::|:::::::::|
　 |::::::|　f:ﾍ　　 `ヾ:::ﾄ､!:ィ^７:ヽ::|　 |:::::::::::|:::::::::|
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　 |::::::|　|::::|　　|::::|　ﾄ,　 　 `ヾ';｣-　`ｉ　　|　　::|
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　 |::::::|　|::::|　　|::::|　|:|　 |::| |:::|:|:　　 |　　|　　::| 　 　 　 .__ .. -――――-- .. ＿
　 |::::::|　|::::|　　|::::|　|:|　 |::| |:::|:|:　　 |　　|　　::|　 　 　 ｢
　 Ｌ::::|　|::::|　　|::::|　|:|　 |::| |:::|:|:　　 |　　|　　::|　 　 　 |
　　　｀::└-, 　 |::::|　|:|　 |::| |:::|:|:＿　|　　|　　::|　 　 　 {　　　　 ,,.. -―-､､
‐-, ___　　　　　 ｀ﾞ　 ┘　!::!ｌ|:::|:|: Τ､}　　! 　 ::|　 　 　 |　　　 /:::::／´　　 ヽ
:::::::',: : :￣:":'':-.. _＿　　　`::-､!:!:　|　|　　|　　::|　 　 　 {　　　 |:::/　 　 　 　 }
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　.l:.:.:.l:.:.:.:.l:.:./ .l'.l:./　 .l:'　　 l:./　　 .',:.l　 '　.',:.:.:l'.,:.:.:.:l:.:.:.:.l
　.l:.:/l:.:.:.:.:l:.:l __ .l:'　　　　　　!'　　　　',!　＿__',:.l__l'.,:.:l:.:.:.:.:l
　.l/ .l.:.:.:.:.:l:l　　 '｀｀ ‐-､_　　　　 __,--'´　　　 ',! l:.:.'.,!.:.:.:.:.l
　.'　.l:.,:.:.:.:.l:',　　＿＿_ヽ ｀ ､　　´　　 ＿＿_　　.l:.:.:.:':.:.:.:.:.l
　　 .l/',:.:.:.:!':l　 '　{:::0::}｀　　 .ｉ　　　 '´{:::0::} ｀　.l:.:,':.:.:.:.,:.:.l
　　 .'　.',:.:.:.:.:l　　.‐‐‐‐' 　 　 l　　　　｀.‐－'　　l,ｲ:.:.:.:.:,:./!
　　　　　ｉ',:.:.:.l　　 　 　 　 　 .l　　　　　　　　　 '.l:.:.:.:.:,' ｉ
　　　　　l.l',:.:.:l　　　　　　　 : :!　　　　　　 　 　 .l:.:.:.:.,'　l
　　　　　ヾ.',:.:.l　　　　　　　: ,'　　　　　　 　 　 .l:.:.:.,.'　/
　　　　　　.ヾ:.:.l　　　　　　　ヽ　　　 　 　 　 　.l:.:.,.'　/
　　　　　　　l.'.,.:l　　　　　　　.'　　　　　　u　　l:.,'_／
　　　　　　　l:.,.',:l　　　　　　　　　　　　　　　　!,':.:/
　　　　　　　!'　.',:ｉ､　　　　,‐――‐､　　　　 .,.':.:/　　　　　 ────った……
　　　　　　　　　 '!l: ､　　　｀‐‐‐－.′　　 .,,':.,:./
　　　　　　　　　　l: : :.､　　　 －　　　　 , '.ｉ,.'!,'
　　　　　　　 .,-‐..l　: : : ､　　　　　　　, ': :.l
　　　　　　　 l　｀ ､　 : : : :.､　　　　 , ': : : l
　　　　　 .,-,.'　　　　.､: : : : :｀ - ‐ ': : : : :l｀　､
　　　　　.,':.:':.,　　　　　　､: : : : : : : : : : : l　　　｀　､

　　　　　　　　＿_,.-―――‐- ､_
　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : : : :｀ヽ.
　　　　 ／: : : : : : /: : ｲ ∧ ｌ : l、: : : ヽi:.
.　　　 /: : : : : : : :l : /､ｊ/　lハ: ! ヽ: l: : ､ミ
　　　/ : : : l: : : :/レｒ┬≧‐　V_／V!: : ﾄ
　 　 l: : : !: !: : : |　　｀ 弖　　　 ､乞 }: : |
　 　 |:l┌|: l、: : l　　　　 　 　 　 〉　{: トl.
　 　 N {ハ:|ﾍ : ド　　　　　　　　　　∨
　　　｜ヽ ﾞ{､ﾍ: l　　　　　ｨー一ﾕ 　′
. 　 　 Ⅵ: ｀ ￢ヾ　　　　　 ￣‐　　/　　　 　　　　　勝った！　勝ったぞ！
　　　 　 ヽ:|: ﾄl　＼ 　　　　 　 　 /
　　＿_　　ﾞl､:! 　 ＿＿　 ＿＿__/ - ､/｀ｿ　　　　　選挙は俺たちの勝利だ！！
　　　　 ｀ー＝ﾆ　　 ┌＼ ├ｙ ´＿_　`<
　　　　　　　　　＼　 |　c ! |/　 ￣｀ヽ　l
　　　　　　　　　　 ＼|＼_,!/　､- 、 ヾ'‐′
　　　　　　　　　　　　>┬{ 、　｀ヽﾞ､　l
　　　　　　　 　 　 ／l／/　 ｀＝､ ヾ-'
　 　 　 　 　 　 ／　｜ ｛ｒ‐- ､＿_)‐'
　　　　　　　／ 　 　 !



　2月16日に行われた選挙は、人民戦線側が勝利した。

　　　　　　　　　　　　 ヽ. | !.|　 　 　 　 ,' ! ,'/
　　　　　　　　　　　　 　ヽ !| !　,- -、 / !,' /
　　　　　　　　　　　　　　 ヽ`ヽ.l:`;';;| / ,'／
　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ (::___:;;)　/
　　　　　　　　 　 　 　 　 _　,'　 　　 　　',. _
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ﾌヽ ヽ /　 ／l　　　 　　　　　 得票率でいえば、人民戦線側は47.2パーセントで、
　　　　　　　 　 　 　 　 　 ,' ヾゝ　　　ｨﾌ ',　　　　　　　　 右翼陣営は45.7パーセントですから、得票数の面では辛勝でした。
　　　　　　　　　　　　　　 | _ 　 　' l 　　 __L＿
　　　　　　　　　 　 　 ' ´ﾆt-_　　‥ 　, _メ ､_　 　　　　　 しかし、獲得議席数では決定的な差をもたらします。
　　　　　　 　 　 　 　 '´　　 _ｨl ｰ┴-'ヽ
　　　　　　　　　　　 　 _, -':::/lレ'二ヽl:: !`. ‐‐-__
　　 　 　 　 　 　 ,-‐'´..::::::::/::| | .!|　l .!::.|::::／:::::::: ',
　　　　　　　　　/｜::::::::::::/:::::| ! !|　! l::: |::::::,-::::ヽ:: !
　　　　　　　　　|　', ::::::::::/ ::: | | ||.　.l:,r:l,::'´/::::::.:ノｰ‐‐┐
　　　　　　　　　|　　::::::::::ヽ 　| l || ./,r/::＿,-‐'"　　　／
　　 　 　 　 　┌ン　: ::::::::::｀〉 l.! ll !:::／　　　　　,-‐'"
　　　　　　　　 l´::::::::::λ::::::::!､:l. lレ !　　　 __, ｲ
　　　　　　　 ./::::::::::::/　!:::::::::.＞'´　 ￣￣　　 |
　　　　　　　 !::::::::::::/ 　|　／　　　　　　　　丶　ヽ､
　　　　　　 / ::::::::::/ 　丿 ! 　 --‐ 　　 　 ヽ,|　　　 l
　　　　　 / :::::::::: !　　 ゝ ! .__, 　__､　 ,!　　 ノ' ､___,/
　　　　　,' 　:::::::/　 _,-‐'´ 　 ／ 　　,/ 　 .,'l: !
　　　　 ,' 　:::::::/.／　 　_,-ｧ"　　,-７　　., ヽｲ!
　　　 .,! ! 　::::// . ,ィ'´ l / 　 ／,､ l　　 .|　_/|::!
　　 　!. | : ::: !. `'´./ :::: !,′ / / ::::|　　 !:'´::: |:: ',
　 　,' :::|　:::/　　 ,' : ::::: !ヽ<´ :::ヽrヽ__ノ:::::: : |:::: ',
　　ヽ　: : ::l　　 / : ::::::: l　::::ヽ:::::: !::::::::::::::::::　!::::: ヽ

　　　　　　　　　　　　ﾞｉ:::.ﾞｉ　ﾞｉ　　　　!　!::::::.,'
　　　　　　　　　　　　　ﾞｉ:::ﾞｉ　ﾞｉ　　　|　|:::::,'
　　　　　　　　　　　　　　ﾞｉ::.ﾞｉ　ﾞｉ＿|　|:::,'
　　　　　　　　　　　　　　ﾞｉ::ﾞｉ.　V _ 1!,r'
　　　　　　　　　　　　　　　ﾝＪ 　(,___ 」,'
　　　　　　　　　　　　　,r'´ 　　　　　V ｀゛
　　　　　　　　　　　,r'　　　　　　' ,　!
　　　　　　　　　　 ﾐ 　 　 　　　ｨ、'　!
　　　　　 　 　 　 ' ┼‐- 　.,　　゛` 　,'
　　 　 　 　 　 　 '' 十‐- 　.,｀ィ 　 　ﾞｉ
　　　　　　　　　　　､　 .,　　 ｀!､　 　 〉　　　　　しかし、選挙の結果は皮肉にも、
　　　　　　　　　'´::::::::::::::: ﾄ、　　_ﾝｰ`　　　　　 政局の安定化と正常化をもたらしませんでした。
　　　　　　 ,. '´--､:::::::ヽ:::ﾒ'´`iT〈 ,ｨｼ´
　　　　 　 /::::::::::::::ヽ:::::::ヽ::ヽﾉ、 ヾ
　　　　　 ﾊ、:::＿::::::ﾞ';::::::::ヽ::::ヾ! i ',
　　　　 ,/:::::＿::::,-::::::',::::::::::l__;vﾍl　',
　　　　/::::::::::::::::::::::::::::}::::::::::｀ヽ、:ヽ ',
　　 ／､:::::ニニ二二ﾌ::::::::::::::::::::ヽ::', l
.　 /::::::::::::::::::::::::::::／:::::::::::::::::::::::::::ヽlj
　/:::::::::::::::::::::::::／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::ll

　民主主義を用いて民主主義に敵対するというCEDAの戦術は、この選挙で終焉を迎えた。
　これ以後、右派は、共和国を乗っ取るよりも共和国を破壊することに専念していく。



　　　　　　　　　　　　　　　　__　　＿　　 __　　　　　　　　　　 ；⌒ ｀ヾ ⌒( ⌒ ｀ヾ
　　　　　　　　　　　　__　 ,.:':::::｀´:::::::::::｀´::::｀':､＿　　　　　　　(⌒ ｀ヾ 　　)　　:　.,
　　　　　　　　　　　/:::::｀´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ　　　　　ﾉ,,::　::´　`:　(:　 　::´
　 　 　 　 　 　 　 /::::::::::::::::::::::::::○::○::::::::::::::::::::::::::ヽ　　　rゝ　 .. ,,,;　 ''　,,::　::´.:
　　　　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|　　rゝ　 .. ,,,;　 ''　,,::　::´.:.
　　　　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|　,rゝ　 .. ,,,;　 ''　,,::　::´
　　　　　　　　　　|::::::::::::∧:::::::::::::::::::::::::::::::::::∧::::::::::::::rゝ　 .. ,,,;　 ''　,,::　::´
　　　　　　　　　　|::::::::::::|　|:::::::::::::::::::::::::::::::::|　|::::::::::,rゝ　 .. ,,,;　 ''　,,::　::´.:.
　　　　　　　　　　|::::::::::::|　|:::::::::::::::::::::::::::::::::|　|::::::::::ｲ::　::´　`:　.::.　'　:
　　　　　　　　　　|::::::::::::|　|:::::::::::::::::::::::::::::::::|　|:::::ﾉ,,::　::´　`:　(:　 　丿
　　　　　　　　　　|::::::::::::|　|:::::::::::::::::::::::::::::::::|　|::::(　　　　ﾉ;;:.:. :.:.:,r''ﾞ´
　　　　　　　　　　|::::::::::::|　|:::::::::::::::::::::::::::::::::|　|::::::ゝ　 ''　,,::　::´: :
　　　　　　　　　　|::::::::::::|　|:::::::::::::::::::::::::::::::::|r ' ´　　｀丶､　　｀ヾ:..
　　　　　　　　　(⌒ ｀ヾ :| |::::::::::::::::::::::::::::::::::ゝ.::.　 ''　,,::　::´　`:　)
　　　　　　　,rゝ　`:　.::.:ゝ|::::::::::::::::::::::::::::::::::r'　,,-‐ ゞｰ .　:,::⌒､|i.
　　　　　　　(　　 　,,-‐ ,　ゞ､:::::::::::::::::::::::::::}　 　 ,(´　　) 　:　.　,|i

　　　　　　　　　　あんなに金を費やしたのに、結局負けたのかよ…
　　　　　 　 ∧,,∧　∧,,∧
　　 ∧,,∧ (´・ω・)(・ω・｀)∧,,∧
　　( ´・ω)(∧,,∧) (∧,,∧(ω・｀ )　ヒル・ロブレスはもう終わりだね…
　 　ｌ　Ｕ ｌ (　　´・) (・｀　　)ｌ と　ﾉ
　　 .ｕ-ｕ　(　　　l). (l　　　) u-ｕ'
　　　 　 　 `ｕ-ｕ' 　 `ｕ-u'







/　　　　　　　　_r～-'　　　| |
　　　　r～ミz孟zzzz≧x　 |ﾉ
。　　　|　　 }!　　　　 H! .L」
..ヽ　　 ﾟ。　　u　　　 ｀¨´ 〈
　 }　　　>-┐　　　　　　'T′
　 ゝr　´　　ﾟ。　　　 ⌒ :f 　　　　（くっ……！）
　 r┴　...＿　ヽ　　　　　|
／＞ミ､＿　｀¨　＝r---'
::::::::::::::::::｀丶¨ー- .」ｱ
､:::::::::::::::::::::::::＼　　厂二ミ　、
: ＼:::::::::::::::::::::::::｀¨{ ､　　＼　＼
::::::::＼:::::::::/::::::::::::::|. ヽ.　　 ＼　＼
::::::::::::::＼::::￣ ﾌ:::: |　　､　　　 ＼　＼
::::::::::::::::::::ヽ:／::::::: |　　 ＼.　　 　＼　ヽ

　右派勢力の期待の視線は、ヒル・ロブレスから、より戦闘的な指導者
　ホセ・カルボ・ソテロの方に向きを変えた。



　　　　　　　　　　　　　　　 ,.　-―　 ￣　　｀　 ､　 ､ 　 !
　　　　　　　　　　　　 ,. ＜　　　　　　　　　　　　＞ ヽ ﾉ
　　　 　 　 　 　 　 ／　　　　　　　　　　　　　　　　　｀v_
　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ＼
　　　　　　　 ／　　　　　　　 　 ／　　　　　　ﾉ　 　 　 　 　 ヽ
　 　 　 　 ／　　　　　 ／　　／　　　　　　　/　　 　 　 　 　 ハ
　　　　　/　　　　　 ／　　／　　　　　　　 ,ｲ　　　　　　　　　　ﾊ
　　　　 ,′　　　　/　　／ 　 　 　 　 ,　 ／ l　　　　　　　　　　　i
　　　　 i 　 　 　 /　／ 　 　 　 _,.イ"／ _,. 斗　　　　 　 　 　 　 l
　 　 　 l　　　　　　　　　 _,.ィ" _,.ノ",.ィ´＿　 ゝ　　　　　　　　　 j
　 　 　 {　　　　　,.-＜二＿　　 "￣二fぃン 　 ヽ 　 　 　 　 　 ﾘ
　　　　 ∨ 　 　 ﾊ　ィ´fぃﾝ,ｨ　　　｀ｰ　　　 　 　 lヽ　　　　　　,′
　　 　 　 ヽ　　　　,　￣　/　!　　　　　　 　 　 　 j　　　　　　 /
　　 　 　 　 ＼　　 i　　　l　/　　　　　　　　　　　}　 　 　 　 /
　　　　　　　　 ＼　l　　　 ｀　｀　　　　　　　　　/ 　 　 　 　 {
　　　　　　　　　　ヽ' ､　　　 _　＿　-’　　　　/ｲ 　 l　　 　 ∧
　　　　　　　　　　　}　＼　　　＿　　　　　　 "く＿ /　　　　　ﾊ
　　　　　　　　　　 ﾉ　 　 ＼　　　　　　　　 ／　　　｀ r―= "￣
　　　　　　　　　　 ヽ ＿_　　ヽ　　　　 , ィ　　　　　　 ﾚヽ
　　　　　　　　　　　　　　｀ー―> r= ´　　　　_,. -　二　r'
　　　　　　　　　　　　　　　 r ´―r―‐ ﾆニ二 -‐ ´　;　'}
　　　　　　　　　　　　　　　 r{￣l |　r ´ ,　-‐ ﾆつ　iJ 人l‐､
　　　　　　　　　 　 　 　 　 }　l　! !　!　/　　二ｲ　　｀ｰ'　ﾉ　/￣/

　　　　　　　　　　　　　　　　　　ホセ・カルボ・ソテロ

　　　 　 　 　 ヽ: : : :ー＝三三三三三三三!
　　　　　　 　 /: : :　　　　　　　　￣ヽ￣＝三}
　　　　　　　/: :　　　　　　　　　　　　 ＼　＼
.　 　 　 　 /　　　　　　　　　　　　　　 　 　　l
　　　　　 ,'　　　　 　 　 　 　 　 　 　 _　　　 i
　　 　 　 i　　　　　　　　　　　　　 ／;ﾐ､　　 l
　　　　　 l ,　　　　　 　 　 　 　 　 ヾー'　　 ヽ
　　　 　 ／ ,／l　　　　　　　　　　　　　　　　 'っ
　　　　< ／!: :/ ／: : ;　,. .-,　 ／　　　　　　　 j
　　　　　　 L: :´: : : :/／: :　／／　　/　　　　/　 　 　 　 こうした雰囲気の変化をもっともあからさまに示したのは、
　　　　　　 /:, -/: : : : : : ／ :/　　 　.! ＿_ ／　　　　　　 ファランヘ党の驚くべき伸長でした。
　　 　 　 　 　 /: ; ﾍ: : . : : :./　　　　　 ／
　　　　　　　　 ´,ﾍ/ ヽ／: :/　　 /ー ´
　　　　　 　 　 /三ゝ、　　　　　 i
　　　　　　　 /三三三三二ﾆﾆ＝-､







　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 _.　-　.
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 . イ:/:.:.／:}:.ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /!:.//:.:.:,:./ｲ:|:.ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:ﾚ'ｲ:.:ｨ;左，}A:./}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 乂_斗ｲ　　　 ,.}イ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 }ﾊ从　　 ､ァ/
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 太ﾄ{　＞　._/
　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ｨ' {､　`ｰ┐ﾊ＞;-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_.　イ :|　{ ＼　 A.ィﾊ >　! 　　　　　　　 rｧ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 fｰ ､　　|__ハ. ゝ'　'V{ハ｀!|＞､　　　　 _f´弋_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ハ　　 　 /　 ' 　　　芯. ! |{　　}^ー-＜ ヽ, --’
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 r'　　 ／}　＼.　丶. 　 ﾏﾊ.',i:|　　　　　　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r┘　ィ　　|.　　 ＼　ヽ.　 ﾏﾊ’トー----　´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 r '　　　　　　　　　　 ＼ﾍ.　 ﾏﾑ:{
　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 _ -く､　　　　　　ﾘ　　　　　 oﾍ.　 }/ﾑ､
　　　　　　　　　　　　　　_.. -‐　´　　　 ヾ　　 ＞ﾍ 　 　 　 　 　 '　 |/.ﾊ'､
　　　　　　　　　 _ィ´￣　　　　　　　　　　　／　　 }　　　　　　　o.!　|/ハ'､
.,　＿..　ー---＜　丶　　　　　　､　　　 ＞'　 　 　 V　 　 　 　 　 |_人//|ﾊ
ゝ--ー ､　　　　　､.　ヽ　　　　　　＞　´　　　　　　 }　　　　　　　 V¨YT´ﾊ'.
　　　　　}　　{　　 .}!　 }　　. -‐　´　　 　 　 　 　 　 | |¨ ｰ-　._　　o'.:.|:.|/:.:.:}',
　　　　./　　　　　八_＞　´ 　 　 　 　 　 　 　 　 　 | ¨ ｰ-　_ﾘ　　　}:.り:.:.:.:|:ﾊ
　　　 / /　/ ,　./　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 |　　　　　　　　 |:/イ:.:.:|､_}

　ファランヘ党は、1933年10月29日にマドリードの喜劇場で旗揚げされた。
　創立者は、アントニオ・プリモ・デ・リベラである。



　　　　　 　　　, ‐ ´. .::::::::::::::::::::::::｀ ‐ 、
.　　　 　　　／/ . : :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.、
　　　　　／. :/::::::::::::::::::::::::::::::::: i::::::::: : ＼::＼
.　　 　 //. :/::::::::::::ｉ :::::::::::::::::://:::::::::::::＼:＼::＼
　　　 //::::::ｌ:::::::/:/{ :::::/:::::::://:/::::!::::ｌ:::::::ﾄ:::::ヽ::::.
.　　　ｌ:l::::::/|:::::ﾊ/∧:V:::/:::/::::/::::/:::/::::::/::ﾍ::::l::::ﾊ
.　 　 |:l:::::::::|:::::|::!::::∧:V:::/::::/::::/:::/::::::/|::::::|::::|::|.!|
.　 　 |:ｌ:: |: :|:::::l::|::/:::ﾍ::V::／／/:/ ::／:::|:: /!:: | l ||
　　　 ｌ::::l:::::ﾊ:::|∠:ィ７:::Y:／::イ::z≦ィ:::/::/::ﾊ/:ﾘ |!
.　　　 ｌ::|:::::小:Π:/l/-=彡１ /艾ｧﾃ｀ｼ_:ｨｆﾁ::/:/
　　　　V::ｌ: :!::l:|い小/|:ハl:|/　　｀´　 　 ｛ }ノ´
　　　　 Ⅵ: ｌ:::::｀爪|　　　　　　　　　　　　〈
　　　 　 }:!: |::|:::l::|　＼　 　 　 　 　 　 ‐ _ノ
　　　 　 ぃ::|::|:::l::|　　 丶　　　　__,　，／
　　　　　 |:∧l＼:{　　　　＼ 　 　 　 /
　　　　　 ｌ′丶　ヽ　　　　　ト､＿,ノ
　　 　 ／　　　　　　　　 　 ,′
.　 ／＼.＿＿＿＿　　 　 人_
／　　｀－――‐‐- ､｀ ‐ 、　 ＞､ｘ‐ ､
　　　 　 　 　 ＼ 　 　 ｀ヽ ヽ、　 | | 　 ＼
　　　　　　　　　 ＼　　　　＼ ` ┘!　 ＼ ＼

　　アントニオ・プリモ・デ・リベラ

　選挙の失敗の失望につけこんで、ファランヘ党は急速に勢力を拡大した。
　さらに、その暴力主義の信条に魅せられて、多くの若者が大挙してファランヘ党に流入した。
　1936年春には、ファランヘ党の党勢は3万人になった。



　　　　　　　　　　/::::i::::､:::ヽ､:::::＼:ヽ:＼::::::ヽ:::､::ヽ::､:',
　　　　　　　 　　/::i|::l::ﾄ､ヽ::､:::ヽ:､::::::＼::ヽ::::l::::ヽ::i:::i:::!
　　　　　　　　　/:/:!:::!:|::ヽ:＼ヽ::::､:＼::::ヽ:::ヽ!::::::i::|:::!::!
　　　　　　　　　!ﾊ::|::::i::l:|心､:ヽ::＼:ヽ_＼､＼:::ヽ:::|!::|:|i
　　　　　　　　　　i､:!:|:､N　ゞヽゝ＼ヾゝ　:::>､ヽi:､|!:|:l
　　　　　　　　　　　　ﾄ､::!ﾊ弋心ヾ ` ヾｨ赱ﾊｊ |::/lj:::!ﾘ
　　　　　　　　　　　　　 ヾ、　 　　　　　　 　ﾘｲ:|ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　ﾘヽ　　_　｀´　_　 ／ｲ:::i
　　　　　　　　　　　　／i"ﾄ:lﾞ ､ 　｀二´ .／:::::, |::!
　　　　　　　　　　／.::::::::::::::::::　ヽ､ _,.　':::::::::::::::::.＼
　　　　,　 -‐￢'´.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.｀　ｰ-　 ､
　　 ／.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.＼
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　| ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::{=ｧ　　ハi　じ'　}::::::::::::::::::::::::: / . .: .::::::::::: l
　| :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::V-‐=仆七爪 / :::::::::::::::::::::: / . .: .:.:::::::::::: l
　| :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼　八イ/／::::::::::::::::::::::::: ,' . .: .:.:.::::::::::::: l
　| ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀￣￣´ :::::::::::::::::::::::::::. ｉ . .: .: .::::-‐=≠}
　| ::::::::::::::::::::::::::::::::::::r‐-　、:::::::::::::::::::r‐r‐「｀ﾄ､ :::::::::.. | . .: .: .:.:::::::::::. ,ﾊ
　| ::::::::::::::::::::::::::::::::::: ｀ヽ、 ｀ ｰ‐=≠'7　|　|　|　!:::::::::.. | . .: .:.:.:.:::::::::::::::. !
　| ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼　｀￣　/ ,/ ,/ ,/ /::::::::::.. | . .: .: .:.:.:::::::::::::. |

　ファランヘ党テロ部隊は盛んに活動して無秩序の雰囲気を作り出した。
　彼らは、見さかいのない暴力のエスカレーションを引き起こし、それによって理性的な議論を不可能にしていた。



　　　　　　 γ´　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 γ´ヽ　｀ヽ
　　　　　　 /i　　　　　　　　 ｉ　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 j 　 辷≧x∨
　　　　 　./ .ｉ!　　　　　　　　ｉ 　 ∨　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　q　　　　 ｉﾞｰｉ
　　　　　 |ｉ　ｉ!　　　　　　 　 ｉ!　　.∨　　　　　 _　__　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　　　　.|}kj
　　　　　 |ｉ　ｉ!　　　　　　 　 ｉ!　 　 ｉ 　 　 　 /ｉ　　/ヽ　　　　　　 　 　 　 ノヾー 彡ﾉ/､
　　　　　 |ｉ　ｉ!　　　　　　 　 ｉ!　ﾉ!　|r x　 　 ｉ |　　i　 |　　　　　　　___＿/ ｉ　.｀ヾ彡/　ｉ___
　　　　 ｰｉ|　,ｉ!≦三二　､ｰ,　､‐ヾ　|:::::i　 ／| ミ彡ﾉ .j｀ヽ　　 　 ./　|::／　 ＼　　 /　 .iヽ＞o｡
　 　 _./　弋 弋 て･孑 〈　辷彡 ﾉ .j＼;／ ｉ!　≧≠／　 ヾ､ 　 ノ　 .|::´ｉ｀ヽ　 ヽ _jｰ‐ ┘| | ｉ! ヽ
‐=≦/　rf::::ｉ≧=≦ ノ三》｀¨¨　　　|　　＞o｡.ｰ=彡∥　　　.)rf　 　 .|:::::|　　＼ /　　　 ./| | ｉ!､,!ｉ
　　./　　ヾ::::ヾﾒ　 ﾉ三刈　　 　 　 |　　　　　ヾメ .∥ 　 .γ⌒ヾﾒ､ ,|:::::|　､＿_ｉ＿＿_ノｉ!| | ｉ!ｉ!ｉ!ｉ
　 /　　　∧:::::ヾﾒヾ弋＿＿ 　 　 ,〈　　　　　　ｉ!　　 ＼　/　　　.ヾ｀ﾞ|:::::|　 ¨｀゛|　　 ｀ﾞｉ!ｉ!| |,ｉ!ｉ!ｉ!iｉ
. /　　　　 ∧:::::辷 ｀ヾ㌢　　　 /　 j　 　 　 　 ｉ!　　 　 ＼_＿＿＿,､!:::::|≦三 |二≡＝i!i| |ｉ!ｉ!ｉ!ｉ!ｉ!
　ｰ=≦三三≧=彡ミ≧≠　　/　 / 　 r―-- Jヽ 　 　 　 ヽ　 ｀ヾ＼::::::|　 　 .|=≦三三i| |ﾉ卅从＼
ｉ!,､　ﾐ三二彡´　 ＼　　ｰ=≦´／　　　＼::::::::::::::|　　　　　.∧　　少ｰx´ーzx .|三三三ｉ!j| |i⌒ヽ　ヾｉ
ｉ!ｉ!ｉ!´　　ﾉノヽ 　 　 .＼　　 　./　／￣ｉ｀ﾞ::::::::::::::::| 　 | 　 　 ∧f´ γ´ ゝ-zx´≧=ｰo｡.　ﾉノ|　　 ∨ j
ｉ!ヾ彡　　　　 ＼　　　 .＼　 /／　 　 .|::::::::::::::::::::| 　 |　　　　∧　 !　　　 廴ヾ≧三三≧ヾｰ　 　 ｉ´

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,
　　　　　　　　　　　　　ﾄ､　　　　　　 ／ﾉ
　　　　　　　　　　　　　 ', ＼　r-､ 〃 /
　　　　　　　　　　　　　　ヾ、i:}=={/ , '
　　　　　　　　　　　　　　　　i'　　 Yﾞ　　　　　　　 第二共和制の期間において、このときほど、
　　　　　　　　　　　　　　　　{ﾞ' _, 'ﾞ}　　　　　　　　強力で決然たる政府が必要な時はありませんでした。
　　　　　　　　　　　　　　_彡ゝ＝チヽ_
　　　　　　　　　　　　 　 i///ﾊ i ﾊ//∧　　　　　 しかし、政府はこの危機にたいして
　　　　　　　　　　　　　rﾞ///,∧∧////!　　　　　適切に対応することはできませんでした。
　　　　　　　　　　　　ﾉ///|///,-,//,!|i/{
　　　　　　　　　　　 ///ー≦}＿彡/{ !/|
　　　　　　　　　　　 ｀ーァ'///∧〃.{ j/,|
　　　　　　　　　　　　　//j//〃::∨∧_ノ
　　　　　　 　 　 　 　 ///}ﾍ._／＼ﾉ∧
　 　 　 　 　 　 　 　 ////!´//i///,|/,ヘ.
　　　　　　　　　　　 i////!///i///,!///,ヘ
　　　　　　　　　　　 |///∧//,|//,:､/////,:ヘ.
　　　　　　　　　　　 i////ﾊ/////j　ヾ./////,∧
　　　　　　　　　　　 ∨//　|//,i./,'　　 ｀"'''ﾐ､//∧
　　　　　　　　　　　　i〃　 ヾ//!,:{　　　　　　　｀ヾ{
　　　　　　　　　　　　ﾚ　　　}/ｿ/i
　　　　　　　　　　　　　　 　 {/,!/,!
　　　　　　　　　　　　　　　　i/,j/{
　　　　　　　　　　　　　　　　j去::k
　　　　　　　　　　　　　　　ノ///}ｿー､
　　　　　　　　　　　　　　 {:::::::::/ー-='
　　　　　　　　　　　　　　　￣

　事態は、新首相カサレス・キロガの無為無策ぶりにより、いっそう悲劇的様相を帯びる。



　　　　　　　　　＿＿＿＿＿
　　　　　　 ／´　　　　　　 　 ｀＼
　　　　 ゝ/ 　 ＿＿＿_＿＿＿＿ヽ
　　　　 /　　 |　/　　＿　　　 ＿ヽ |
　　 　 /　 　 |　 ／　　　ヽ /　　 ヽｌ
　　　　ｌ　　　|　 ｌ　　　　　 |　　　　 l
　　　　|　 　 |─|　 　 　 / | ヽ　 　 ｌヽ
　　　／Y⌒ヽ　 ヽ　_＿_ ノ ﾍ ＿ ノ､ﾉ
　　/ 　 |　)　　/⌒ヽ　　　　　　　　 ｌ
　　l　　 ヽ__ 　 ＼ ﾉ　　　　　　　　つ
　　 ヽ　　　.> ､　 ` ー─ ⌒ｰ─ ´
　　　　＼／　 ヽ>ー───＜
　　　　　 ＼　 　 ＼ ／ ＼ /l　ヽ
　　　　　　　|　　　　　　　　　|　 |
　　　　　　　|　　　　　　　　　|￣ｌ

　　　　　　　カサレス・キロガ



　この新首相は、彼が職務として解決すべき諸問題にまったく対応できなかった。

　　 ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠V:./={´rvミ､=､_,, ,/　|:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.:.|
　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´＼-;/￣ V￣ | |ｲ≧ミ=､/ 　 |:.:.:/:.:.:<´ヾ|
　 ｀ '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::.　　　 | | 辷り｀ |}_　r-Vｿ:.:∧}　　　　カサレス……
　　　　　 ／:.:.:.:ヽ::::::::::i:::::::::::　　　 ヽ廴_　 <ﾃ=/rァヾ:∧:.|
　　　　　 フ/:.:.:.:.:.＼::::::::::::::::　u　　　￣ヾ=ﾉ　 <-ﾝ /:| .V　　　　 軍部の中に不穏な動きがある。
　　　　　　´''- ､:.:.:.:./::::::::::::::::　　　　　　　　　　/=テヾ|
　　　　　　　　　 ヾ/:::::::＼::::::..　　　　　ー -　 　 /　　　　　　　　 徹底的に調査して、必要であれば
　　　　　　　 　 　/:::::::::::::::::::::::::...　　　　 -　　.／
　　　　　　／＼./::::::::::::::::::::::＼:::::::::...　　 　／　　　　　　　　　　　断固たる処置を取るべきだ。
　　　　 ／　　　∧:::::::::::::::　　 /｀ 'ー - ' ´
　　　ノ |　　　　　 }ヽ::::　　 　/_








　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,───- ､,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／＿＿＿_＿__ ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|/─､　─､＼ |　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| 　 >|・) 　|─ | 　./
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|､＿ i､ ＿ !　　'⌒i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　＾　　　　　　_'ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　……　　　　　　　＼└──-　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`┬－－イ__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ |￣∧￣ // ヽ



　カサレスは、状況の重大さを少しも認識していなかった。

　プリエトの警告にたいして、カサレスは侮辱的に返答した。



　　　　　　 　 　 ,　-──- ､
　　　　　　　ゝ／ ＿＿＿＿＿_＼
　　　　　 　 / 　 |　／ － ､ － ヽ!
.　　　 　 　 |　　 |　 / 　 　 |　　　|
　　　　　　 ヽ 　 |─|　 　 ‘|‘　　 |
　　　　　　　 /⌒｀　` ー 　 ﾍ ー l
　　　( ＼　　ヽ_　　 ／⌒ｰ──つ
　　　 (ヽ ヽ/ ）　＼ ヽ ＿＿／／　　　　　 『きみの更年期障害の発作には付き合いきれないよ』
　　　( )'　 　ﾉ　　　/`　──く
　　　 ` ｰ､　 ` ┬´ ＼／ ＼/ヽ
　　　　　　＼.＿|_ノ　　　　　　|_|
　　　　　　　 　　　| 　 　 　 　 | |

　実のところ、幾人かの将軍たちはすでに決意を固めていた。
　その中心にあったのが、エミリオ・モラ将軍である。



　　　　　　　　　　　　　　,.　　　'"´￣￣￣｀ヽ
　　　　　　　　　　　,.　'ﾞ´　　　 　 　　 ／.::`ヽ ＼
　　　　　　　　　 ／　　　　　,. __´ _＿|.:‐=!=‐!: : :}
　　　　　　　　／　　　　 ,.　´: : : : : : :{ ( ﾉ}:::ﾉ: : :.!
　　　　　　,.　´　　 　 ／. : : : ._ _＿＿＼,. ｲ: : : ;′
　　　　.　´　　　　 ／ ,.　.:.:::´.:.::::::::::::::.:.｀ヽj: : ./
　　　　ヽ　　　,.　´　´ ￣　＞　==_-===_-- く_
　　　　　ヽ イィ´　　　 ィ´.:.:.:.:.:(　) `ｰく､､,,「￣
　　　　　　｀Y´ ィ´ ,.　ィ´￣`ｰ===r⌒ヽ(　}
　　　　　　　ﾚ'ハ｀Vﾞ´{;　　　 ,.　'ﾞﾞ´ .; .}`=ｲ
　　　　　　　{！い{: :.:;;;`ゝ　,.　　'´ｰ=_ﾊ, .;}
　 　 　 　 　 ｝ヽ_ 」: : :..:;{　 { ー__--_-､_,.,'′
　　　 　 　　 i:.:.'､.:i: : : : .;: : :: : : .,ﾆﾆﾆ､ j!
　　　 　 　　 j.:.:.:',:{: : :: : ;: : : ::.'ﾞ´　ﾞﾞﾞﾞ｀.ﾉ
　　　 　 　 _！.:.:.:',｀丶､: :ﾐヽ､: .　　　 ｲ
　　　　　 「:::::::.￣ ｀丶､:::::::;:;:;ヽ::.:...:.:.:.ﾉ
　　　　　 i　　　　　　　 ｀Tﾆﾆﾆ-_二i´
　　 　 　！　　　　　　 　 |::::::::::::::::TTi
　,. .::´.:::::.L　　　　　　　　|:::::::::::::::::| | L
　.:.:.::::::::::::::.:.:.:｀丶､　　　 」::::::::::::::::| | |:::`ヽ

　　　　　　　　　　エミリオ・モラ

　モラの決意は、陰謀者仲間に宛てた秘密指示書の宣言に集約される。



　　　　　　　　　　　　　　＿＿ ＿ _
　　　　　　　　　　　,r'"´　　 　　　　 ＼
　　　　　　　　　　/　　　　 〈±〉　　 　 ヽ
　　　　　 　 　 　 |　　　, -──‐‐- ､　　|
　 　 　 　 　 　 　!　,r'´.:.::::::::::::::::::.::.:.:.:＼ !
　　　　　　　　　 ﾚ'.:.::::r'"´￣￣￣｀ヾ､:::.:.!
　　　　　　　　　 |;r'"´-‐`ヽ　 ,/´-ｰ-､`^i
　　　　　　　　 　!jィ〔´（◯）｀二´（◯）｀ﾄ､|　　　　　　　　　　　　 『よく肝に銘じておこう。
　　　　　　　　　ﾊﾚ' ﾞｰ＝'ﾞ´.:;! ' ｀ﾞ＝‐'ﾞ^ﾚj､
　　　　　　　　　l ﾄ､'.., 　 / .::;j,_　 ｀ヽ　ノｲ !　　　　　　　　　　　　われわれの行動はきわめて暴力的でなくてはならない。
　　　　　　　　　! ﾘj　i　　　 ^"^　　　 l^iｲｿ
　　　　　　　　　ヾU　',　 ''ｰ＝＝‐''´ ,! |ノi　　　　　　　　　　　　 それによってのみ、強力でよく組織された敵を
　　　　　　　＿ _」^i　 ',　　｀ﾆ二"´　,' ,!　ﾄ､＿ _
　　　,r'"´.:.:.:.:.::::::|　ﾞ､　 Y´　　 　 ｀)　/　 |:::::::::.:.:.｀`ヽ　　　　　　可及的速やかに粉砕しうるのだ』
　　 ,!.:.:.:.:::::::::::::::::j　　＼,ゝ‐---‐ 'ﾞ,イ　　」::::::::::.:.:.:.:.:.:!
　　 |/＼.:.:.:.:::::::::|￣￣｀¨`ヾ｀二´イ"´￣ i:::::::::::::::::／|
　　 |.:.::::::＼.:::::::::|　　　　 　 ｀ﾞYi"´ 　 　　|:::::::::::::/::.:.:.|
　　 |::::::::::::::i:::::::::| 「***j」　　!l |　「***j」/:::::::::::/:::.:.:.:.:|
＿,ノ.:::::::::::::|:::::::::!　　　　　　 | ||　　　　/::::::::::::/::::::.:.:.:.:L_ ＿
::::::::::::::::::::::::!:::::::::ﾄ､｀`二二ﾆj i |　-ー'/:::::::::::/::::::::::::::::::::.:.:.:.:.:

　 　 　 　 . ヽ. | !.|　 　 　 　 ,' ! ,'/
　 　 　 　 　 .ヽ !| !　,- -、 / !,' /
　　 　 　 　 　 .ヽ`ヽ.l:`;';;| / ,'／
　　　 　 　 　 　 .ヽ (::___:;;)　/
　　 　 　 　 　 ._　,'　 　　 　　',. _　　　　　　　　　　モラの計画は、以前のいかなるクーデターよりも
　　　 　 　 　 　 .ﾌヽ ヽ /　 ／l　　　　　　　　　　　慎重に計画されていました。
　　　　　　　　　,' ヾゝ　　　ｨﾌ ',
　　 　 　 　 　 .| _ 　 　' l 　　 __L＿　　　　　　　　 とくに、1932年8月のサンフルハダ(※第三話参照)の
　 　 　 　 . ' ´ﾆt-_　　‥ 　, _メ ､_　　　　　　　　　教訓はよく学ばれていました。
ー―-､ _r　'´　　 _ｨl ｰ┴-'ヽ':,ヽ、...
　　　　　＼　 ＼　　　r ､　卜、 l⌒!　.r‐､ _
　　　　　　 l　 　 ＼　ﾉ　| ￣　l/　/　/　/　〉
＼　　　　　|　　　　 〈　 丶__／　/ ／　/　/＼
　 l　 　 　 ﾉ　　　　　 〉　　　　　¨´　／　ｲ　 /







　　　　　　　　　　　　　　,.　　　'"´￣￣￣｀ヽ
　　　　　　　　　　　,.　'ﾞ´　　　 　 　　 ／.::`ヽ ＼
　　　　　　　　　 ／　　　　　,. __´ _＿|.:‐=!=‐!: : :}
　　　　　　　　／　　　　 ,.　´: : : : : : :{ ( ﾉ}:::ﾉ: : :.!
　　　　　　,.　´　　 　 ／. : : : ._ _＿＿＼,. ｲ: : : ;′
　　　　.　´　　　　 ／ ,.　.:.:::´.:.::::::::::::::.:.｀ヽj: : ./
　　　　ヽ　　　,.　´　´ ￣　＞　==_-===_-- く_
　　　　　ヽ イィ´　　　 ィ´.:.:.:.:.:(　) `ｰく､､,,「￣
　　　　　　｀Y´ ィ´ ,.　ィ´￣`ｰ===r⌒ヽ(　}
　　　　　　　ﾚ'ハ｀Vﾞ´{;　　　 ,.　'ﾞﾞ´ .; .}`=ｲ
　　　　　　　{！い{: :.:;;;`ゝ　,.　　'´ｰ=_ﾊ, .;}
　 　 　 　 　 ｝ヽ_ 」: : :..:;{　 { ー__--_-､_,.,'′
　　　 　 　　 i:.:.'､.:i: : : : .;: : :: : : .,ﾆﾆﾆ､ j!
　　　 　 　　 j.:.:.:',:{: : :: : ;: : : ::.'ﾞ´　ﾞﾞﾞﾞ｀.ﾉ
　　　 　 　 _！.:.:.:',｀丶､: :ﾐヽ､: .　　　 ｲ
　　　　　 「:::::::.￣ ｀丶､:::::::;:;:;ヽ::.:...:.:.:.ﾉ
　　　　　 i　　　　　　　 ｀Tﾆﾆﾆ-_二i´
　　 　 　！　　　　　　 　 |::::::::::::::::TTi
　,. .::´.:::::.L　　　　　　　　|:::::::::::::::::| | L
　.:.:.::::::::::::::.:.:.:｀丶､　　　 」::::::::::::::::| | |:::`ヽ

　　　　　　　　　　　　　　,.　　　'"´￣￣￣｀ヽ
　　　　　　　　　　　,.　'ﾞ´　　　 　 　　 ／.::`ヽ ＼
　　　　　　　　　 ／　　　　　,. __´ _＿|.:‐=!=‐!: : :}
　　　　　　　　／　　　　 ,.　´: : : : : : :{ ( ﾉ}:::ﾉ: : :.!
　　　　　　,.　´　　 　 ／. : : : ._ _＿＿＼,. ｲ: : : ;′
　　　　.　´　　　　 ／ ,.　.:.:::´.:.::::::::::::::.:.｀ヽj: : ./
　　　　ヽ　　　,.　´　´ ￣　＞　==_-===_-- く_
　　　　　ヽ イィ´　　　 ィ´.:.:.:.:.:(　) `ｰく､､,,「￣
　　　　　　｀Y´ ィ´ ,.　ィ´￣`ｰ===r⌒ヽ(　}
　　　　　　　ﾚ'ハ｀Vﾞ´{;　　　 ,.　'ﾞﾞ´ .; .}`=ｲ
　　　　　　　{！い{: :.:;;;`ゝ　,.　　'´ｰ=_ﾊ, .;
　 　 　 　 　 ｝ヽ_ 」: : :..:;{　 { ー__--_-､_,.,'
　　　 　 　　 i:.:.'､.:i: : : : .;: : :: : : .,ﾆﾆﾆ､ j! 　 　 　 迅速に組織労働者を殲滅するには、
　　　 　 　　 j.:.:.:',:{: : :: : ;: : : ::.'ﾞ´　ﾞﾞﾞﾞ｀.ﾉ　　　　　スペインの50の県すべての守備隊で一斉に権力奪取が
　　　 　 　 _！.:.:.:',｀丶､: :ﾐヽ､: .　　　 ｲ　　　　　 なされなければならない！
　　　　　 「:::::::.￣ ｀丶､:::::::;:;:;ヽ::.:...:.:.:.ﾉ
　　　　　 i　　　　　　　 ｀Tﾆﾆﾆ-_二i´
　　 　 　！　　　　　　 　 |::::::::::::::::TTi
　,. .::´.:::::.L　　　　　　　　|:::::::::::::::::| | L
　.:.:.::::::::::::::.:.:.:｀丶､　　　 」::::::::::::::::| | |:::`ヽ

　クーデター計画にたいして、共和国政府もまるで鈍感であったわけではない。
　疑わしげな将軍たちを無力化すべく手を打った。



. /:.,:.:.／:.:／:.:.:.:.:.: ／:.:.:.:.:.:l:.:.:.:.:.:.: ',:.:.:.l:.:.:.:.:.',:.:.:.:.:',:.:.:.:.:',:.:.:.ヽ
/:.ｲ:./:.:.:./:.: ,:.:.:.:.:/:.:.:.:.:ｨ:.:ｨ:.:.ｨ:.:.:.:. ﾊ:.: ﾄ､:.:.:.:.',､:.:.:.',:.:.:.:.:.',:.:.:.:
´ .l:/:.:.:./:.:./:.:.:.:./:.:.:／ |:'.l:.:/.l:.:.::.:/ l:.:.'　ヽ:.:.:.l ヽ:.:.!､:.:.:.:.ｉ:.:.:.
　 |':.ｨ:.:':.:./:.:.:.:ｨ:.:／　　　l:/　l:.:.:./　|/　　 ヽ:.:l　 ヽl　:.:.:.:.!､:.:
―|ﾊ:. l:.ｲ:.:.:.ｲ l:/｀ｰ､　　|' 　 !:.:/　 '　　　　 !:'　 _ .－〉:.:.:l‐ヽ
　 '　ヽ!' l:.:./:l　' ィ＝≧ｪ.､　 |: '　　　　　　 _ｪ≦＝､/:.:',:.'
　　　 {　l:./:.:l　　　 __ヒラ_ ＞- '　 ゝ -＜_ヒラ_　　.':.:.:.:' !
　　　 !ヽl':.:.:.:!　　　　　　　　　　　,　　　　　　　　　':.:.:./ '
　　　 !　 !:.:.:ﾊ 　 　 　 　 　 　 　 ｉ:　　 　 　 　 　 ':.:.:.ｨ
　　　.! 　 l:.:.lｰ:. !j　 　 　 　 　 　 l.:.　　　　　 　 /ｉ:. / l
　　　l　 　 !:lヽﾊ　　　　　　 　 　 l.:.:.　 　 　 　 / .!:/　 !
　 　 !　　　l:l 　 ヽ　　　 　 　 　 /:.:　　　　　／　 !'　　 !

　人事異動の結果、やる夫はカナリアス諸島司令官、モラはバレアーレス諸島司令官に
　左遷された。



　　　　　　　　　／.:￣￣￣￣￣＼
　　　　　　　 ／: : :　　 　 　 　 　　 ＼
　　 　 　　／: : : :　　　　　　　　　　　 ＼
　　　　 ／: : : : : :　　　　　　　　　　 　 　＼
　　　 / : : : : : : :　.. 　　 　　　　　　 　　　　＼
　　　 |: : : : : :　 ,,,,ノ⌒" '' ``⌒＼,,, 　 　　 　 l
　　　 |: : : ::;;　（　(・) ）　ﾉヽ　（ (・)　）;;:::　　　 |
　　　 |: : : : :　 ´"''"　 　　 　 　"''"´ 　　 U 　l
　　 .　＼ : : : : . .（　　 　 j 　　　 ）　 　　 　／
　　　　　 ＼: : :: : ＞ｰ-‐'=ｰ-ｰ＜　　　 ／
　　　　　／ヽ: : : : : : : : : : : : : : : : : : イ＼
　　　　　: : : : : : : : :｀`ｰ- -‐'"´　　　 　　＼
　　　　　: : : : . : : . : : .　 　 　 　 　 　 　 　　＼



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_ ＿_ _
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　 ＿　　｀`ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　 /ﾉゝヽ　　 .: .＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　 ,j　Y　/｀`ヽ､ .:. :.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　/ ｀ｰ‐'_＿__　＼. :.:. :＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !　 」イ二 ＿,/ / ＼.ヽ..: .:.:.:.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,イ二ﾌr =､二´r＝､.:.;ﾞヾj､ .: .:.: .:.〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣｀1(◎,)元,(◎,)_j」＼.::ヽ」.:／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ｲｰ-‐j⌒ゝ‐-‐'ﾞ^iｰ;:'乍7'´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i{t､　,ｨ ﾆ>'ヾ､ 　j;:;:,ﾍ;「
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ゝj,'　 _ ＿,,､､　u.::;ﾚ'ｿ;/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　jﾘ　'"￣｀ｰ'ﾞ ,'　,'::;i;:ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ!　　´￣`　,'　.:j;::;!;:1
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾄ､　　　　 　.:,ｲィ;:;:/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ｲ!. `ー一‐''.:´/.:.j:;:;:ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| ﾄﾐt､.: .:. .:_,､-‐''"´ .:.::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| | T j 「￣ T　　　.: .:.:.:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＿_, イ 」 | ,! |　 　 |　　.: .: .::.::L_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r77´￣￣ 　　　　 `ヾj ,! ,! 　　」＿,．-‐'"´.:.:.:`ｰ- ､_



　カナリアス諸島はモロッコに近い大西洋の沖合であり、辺境である。

　やる夫は、3月12日、任地のカナリアス諸島に到着した。



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　　　_,,,...--‐‐ｒ　　　.|::|　　　|　 | ｌ|| 　.||,..-‐''"　　　　　.　　　/ ,.>:::..:.............:::::.:.::.::.::::::;　 　　.::.:::::::.::.::
　　　| ｆｌ |ヾ､ ||　　　 |::|　　　|　,｣.-‐''"　　　　　　　　　　　　/ ｆ:+".....:::::　.:.::.::.　:::::::..　　　　　　　　...:::::
　　　| |:|:|=《. ||　　　 |::|_,,..-‐''"　　　　　　　　　　　　　　　./　ｖ'... :::..:...........　　　　　 ,-‐-、　　..:::::.:.::.::.:
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,/ｒ'＾:::..:.............:::::.:.::.::.:::::::　... :::..:.............:::::.:.::.::.::::::: ::: ..::

　船が接岸すると、埠頭には人民戦線派の大衆デモが待ち受けていた。
　彼らは、アストゥリアス革命弾圧の元凶をやじり倒すために、大挙してデモに参加していた。



　 ／.:::::::::::::::::::::::::::::::､::::､::､.´／／´　ヾﾐ､＿: : : : : : : :｀:ヽ
／....../.........,............,'......ヽ...ヽ:.ﾞ､,".:´ ／l!i:., ,ィ |: : : : : : : : : i:}
/....../..........,'.........,ｲ...........ヾ.....､.∨,/_､'´ﾞ"}:.:.:! l:＿_,厶二二ﾆー､-―-､-､
::::::/:::::::::::;:::::::::/:::::::::::::i::::}:::::i'ヽ!/ /7=,-ﾞ，:l lゞ:.,'ﾊﾄ「_`ｲ;ｨ:i:i二＞三ﾐｨﾄ､>､
:::::;:::::::::::i:;::､i:://i:'|:;､::::j::::i::､:l/{i'￣´_ 〉y′ｉ.|`r'´/ﾆ┐ﾞ'〉r'ﾊﾆ=-ﾐﾞ,.-､_､j,ｿ;
::::{::::::::::::l::...i:`≧ﾐ斗::ｨ〉::ﾉ::ﾊ:! l!'/=y,/:.:.:.;ﾘﾊ, `/〈/ﾊ==，!,'",ﾆﾒ　 ＞｡ｧ'{f
::i::ヽ::::::i::Vj:〃 (),`｀ｿ<ｿ:::/､j'　/`l!/ｲ:.:.ノﾘヽ!　' "'/ﾉ_// ﾞ､,{ﾍﾐヽ　ﾞ´ <, ｿ
:::､:::ﾄ､:::､::＼　ｰ"　　'´ｲ::{／i>ﾐ彡ﾍｲ'´|､ .! |　 　,ｲ`ｰ ′ﾉｲ`iﾍ　､/{=ﾃﾌ}
ヽ:::人ﾞ)`｀ﾞ‐ `　/=＝ｨ ﾉヽﾉ} ＼　}　j;;;;;ヽヽﾉ-　_ノ;;`i´￣｀ヽ＾　ｰ､ﾞ_`三'ﾉ
／ｿ､::}ﾞﾍ　　　/　ヾ;//イ¨〉ﾍ　 ヽ!､ﾉ;;;;;;／　　イノ;;;;;}　　　 `ｰ`-―-'､＞―‐--
{　　 ヾ､　｀＞ ゞﾆ彡'｀ヽ:.:i;;;;|　＜i_ `／　　　/;;;;;;;;;;;;;ｉ　　　／ヽ　　/´
l　　　　 ＼　　／´ヽ.　　ﾞ.:|;;;|　「....」'´　　　 /;／７┐;}_,ゝ､　　　　´　　　　　　,. -
＞ｲ＾ヽ.__　ヽｲ　　／ヽ. ノﾍ;;|　 /)　　 　 ／rヘi´/ ７､'´￣`llーr―r┬rt‐‐ ´
":. ' .／ "L/`|） 〈__⌒`　〃`ヽ },ﾊ.　　／;;;;〈｀ｰ`ゝ'ノﾉ;';';'Y;';||;';'j:.:.:.|;';ヾiく;';';＼
　 ."　／´_ ） ７' ／　　／´　　｀ヽ.〉／;;;;;;;／`7､＿/;';';';';';'};'||/;{:.:.:ﾉ;';';';ｉ|;'};';'イ
　　　´　/ｰ' r'／ 　 ／　　　　　∠｀ヽ_ ／　. '　／;';';';'／ |;';'||;';'f＝ﾞi;';';'||;'}′|＿
　　　 ノ　　 |'　　／､　　　　　/　 ヽ／ 　　　／ﾍ;';';／　　};';'||;';'|:.:.:.:|;';';||;'}　´

　やる夫は「アストゥリアスの人殺し」の横断幕には目もくれず、
　怒声やブーイングにも動ぜずに身を処した。



　　　　　　　　　　　　　　　　　／ 　￣ ＼　　　　　｢l「l｢ｈ
　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　-l⌒l 、}　　　__　| |｜| |
　　　　　　　　 　 　 　 　／　／　 人_ﾉ 仏 - └ ､ヽ ￣　!
　　　　　　　　　　　　　（_　 / c∠二≦二}つノ 　 }　l /　|
　　　　　　　　 　　　　　／　　 ─　　 　 ― ､　　　ｈ.＿_ｲ
　　　　　　　　　　　　／ 　 　　（ ＿） 　（＿）'　　　| 　 　 |
　　　　　　　　　　　　|　 　 　 　 　（__人__）　 |　　｜ｰ一.｜
　　　　　　　　　　　　＼　 　　 　 　｀ ⌒´　／ 　　| 　　 　|
　　　　　　　　　　　　/{＼　　　　　ー　　ノ'-､　　 |　　 　 |
　　　　　　　　r=ﾆ,二|　＼｀ ー-r--イ |　 }}　 ￣ﾉ!　　　　|
　　　　　　　 /　　|　 ∟ _ ＼　/＾＼ |/_　 }}　 !　　　　　　|
　　 　 　 　 人_　 |　　　く　　＼〉-〈/　/　 }}　|　　＿＿／
　 　 　 　 /　　　 l r―― ト　　_ У_／r―‐i} |／
　　　　　/　　 ／ ! |ー rｰ|　　　 |　| 　 |ーrf ﾘ
　　　 ／　　　　 /　!　 l|　|　　　 |　|　　l　l| l |
　　 ｛　　　　 ／{　　＼ ／　　　｜ |　　 ＼/ﾊ}
　　　＼　　 '　　|　　　　 　 　 　 |　|　　 　 　 |



　それがあまりに威風堂々としていたので、やがて怒声は沈黙となり、
　拍手喝采にかわったという。

　　　　　　　　　　　　ﾞｉ:::.ﾞｉ　ﾞｉ　　　　!　!::::::.,'
　　　　　　　　　　　　　ﾞｉ:::ﾞｉ　ﾞｉ　　　|　|:::::,'
　　　　　　　　　　　　　　ﾞｉ::.ﾞｉ　ﾞｉ＿|　|:::,'
　　　　　　　　　　　　　　ﾞｉ::ﾞｉ.　V _ 1!,r'
　　　　　　　　　　　　　　　ﾝＪ 　(,___ 」,'
　　　　　　　　　　　　　,r'´ 　　　　　V ｀゛
　　　　　　　　　　　,r'　　　　　　' ,　!
　　　　　　　　　　 ﾐ 　 　 　　　ｨ、'　!
　　　　　 　 　 　 ' ┼‐- 　.,　　゛` 　,'
　　 　 　 　 　 　 '' 十‐- 　.,｀ィ 　 　ﾞｉ
　　　　　　　　　　　､　 .,　　 ｀!､　 　 〉　　　 カナリアス諸島の生活は、やる夫にとっては休息でした。
　　　　　　　　　'´::::::::::::::: ﾄ、　　_ﾝｰ`
　　　　　　 ,. '´--､:::::::ヽ:::ﾒ'´`iT〈 ,ｨｼ´
　　　　 　 /::::::::::::::ヽ:::::::ヽ::ヽﾉ、 ヾ







　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _＿ ∧　　　　　　　　 ,ィ　_＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_≧ｘヾ:ﾚ ⌒ ´ ￣　ミ/Y／才"
　　　　　　 　 　 _ .　． - ― - ､　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ＞'" ￣´　` ー =彡'`=ﾐ三＞
　　　　 　 　 ／　　　 　 　 　 ＿＼　　　　　　　　　　　　　　 ／〃　 /　　　　 ヽ　　　　｀ト:､
. 　 　 　 　 / 　 _＿ 　 　 　 ´ 　 ｀ ＼　 　 　 　 　 　 　 　 /,ｲ/　/ /　　　　 　 ‘，　　　 ‘，＼､
　 　 　 　 /　 ´　　 ｀　　　 ≡＝≡　 ヽ　　　　　 　 　 　 〈〈　!　jｨﾄ､ﾊ! ,ｨト i 　　 }　　　　､', 　 ヾ､
. 　 　 　 /　 ≡＝≡　　　　 ヽ 　 　 　 ‘，　　　　　　　　　ヽvｲﾊ{土＼{(ﾊi/}/　 〃　　　　 {　　　 ＼
.　　　　/ -―ミ､　（　　 ﾉ ､_ ノ　　　　 　 }　 　 　 　 　 　 　 〉〉k小.ｿ`j/k(rｦﾐ}　/ｲ　 　 　 ハ　　　}　〉
　　　　{　/ ｀ヽ ヾ　 ￣´　　　　　　　.．=く　　　　　　　　　 /ｲ/r圦"",　ヾﾐｘ<ﾚj/八　_.斗=ミ ヽ　 / /
　　　　∨　　 ﾉ　　 .．-― =ミ:､　　/　　 ﾉ_　.. ． 　- ‐=ミ:く イ≧∧　、__　'" ＼入Y´" ／´ﾐｘ}／／
　　 　 /　　 厶斗- ―…・　　¨￣ `ｰ=彡　　　　　　　　　　¨・=ｔ._￣＼_ .ｘ＜ｒ=夭┴ミ{　　　 辷く
　 -‐卞辷彡'　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ¨・- .ｔ斥=＝=ミ､　 `ヾ　　　 ﾉ,ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ¨・- ._　　 ヽ　　ゝ=彡くﾄ‘，
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ¨・=辷ｭ　 ｀ヾ ﾘハ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ¨・- ._Ⅵi　ﾘ

　夫婦で社交に精を出し、ゴルフをおぼえ、熱心に英語のレッスンを受けた。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヾ:､∧　　 _ ＿ ＿ _　 ∧／/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 >{`>'"´　　　　 　｀ﾞヽく)ァ､
　　　　　　　　 ＿＿＿_　　　　　　 　 　 `７′ /　/{　{　､＼　 Y-‐'
　　　　　 　 ／　　　 　 ＼　　 　 　 　 ／//　 {　/　'　､　､ヽ　',ﾊ＼
　　　　　 ／　　 ⌒ 　 ⌒ ＼　　　　／　 {'　Y‐ﾅVヽ,ﾒミ_:ヽ:} }　 ﾊ　＼
　　　　／　 　 （●）　 （●） ＼　　 ＼ 　 'ヽ ∨ ○　　f薔}ｿ} ｀.′i　　＼
　　 　 |　　　　⌒（__人__）⌒　 | 　 .∠´＿__ヾｿ､"　 、 　"ｨﾘ､/ 　 '.　　 /
　　　　＼.　 　 　 ｀ ⌒´/￣￣ ⌒/ /⌒　　 / ;. ` ｰz ､‐く　　　　　.;　　＼
　　　　（⌒＼　　　　　/　　　　　/ /　　 　 / ;′ </_ﾉヽ_/:>　 　 　 }　　 /
　　　　i＼　　＼　　,(つ　　　　 / /　　　⊂) ヽ 　 | {薇}　!　　|　　 ,′ 　 し
　　　 .|　　＼　　　y(つ　　　　/ / 　 　 ⊆)　 } 　 |　　　 l　 /| 　 /

　 　 　 　 . ヽ. | !.|　 　 　 　 ,' ! ,'/
　 　 　 　 　 .ヽ !| !　,- -、 / !,' /
　　 　 　 　 　 .ヽ`ヽ.l:`;';;| / ,'／
　　　 　 　 　 　 .ヽ (::___:;;)　/　　　　　　　　　　　　 共和国政府は、陰謀者たちを辺境に左遷することで
　　 　 　 　 　 ._　,'　 　　 　　',. _　　　　　　　　　　 クーデターを阻止しようとしました。
　　　 　 　 　 　 .ﾌヽ ヽ /　 ／l
　　　　　　　　　,' ヾゝ　　　ｨﾌ ',　　　　　　　　　　　しかし、結果的にみればこれはあまりに中途半端な措置でした。
　　 　 　 　 　 .| _ 　 　' l 　　 __L＿
　 　 　 　 . ' ´ﾆt-_　　‥ 　, _メ ､_　　　　　　　　　 本気でクーデター計画を阻止するつもりであれば、
ー―-､ _r　'´　　 _ｨl ｰ┴-'ヽ':,ヽ、...　　　　　　　　 政府は彼らを逮捕するなりすべきであったのです。
　　　　　＼　 ＼　　　r ､　卜、 l⌒!　.r‐､ _
　　　　　　 l　 　 ＼　ﾉ　| ￣　l/　/　/　/　〉
＼　　　　　|　　　　 〈　 丶__／　/ ／　/　/＼
　 l　 　 　 ﾉ　　　　　 〉　　　　　¨´　／　ｲ　 /

　1936年6月20日、カサレスはファン・ヤグエ大佐に会った。



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　　　　ゝ／＿＿＿＿＿_＼
　　　　/　 |　 / , － ､ － ､ｌ
　　 　 l 　 |　 / 　 　 l 　 　 ｌ
　　 　 l　　|─|　　　＾|＾　　 |
　 　 　 Y⌒　 `　─　 ﾍー ヽ
　　　　 ヽ_　　 |`───┘ﾉ
　 ∩　　　 ヽ､_ヽ＿＿／／　 　 ∩
　┘`ー┬─´＼／＼/ー┬─´ └-､
　＿ _＿|＿ ノ　　　　　|＿|＿＿＿三
　　　　　 　 |　 　 　 　 |



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ノ　　ヽ,_　.　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人__） 　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ｀⌒ ´　　.　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{ 　 　　　 .　　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞ー,-- ':;＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:;:/ﾚ'／;:;:;:;;:;:;:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{:;:〈／:;:;:;:;::;:;:;:;:;:;:;:;＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∧:;:;:;:;:;:;;:;:;:;＼:;:;:;:;:;:;:;}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:;:;:;〉:;:;;:;:;:;:;:;:;:;:;〉:;:;::;:;/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／:;:;:;:;:/:;:;:;:;;:;:;:;:;:／:;:;:;:;:;/

　ヤグエがモロッコにおける陰謀の事実上の指導者だという、執拗な──そして正確な──
　噂がとびかっていたので、彼を召喚したのである。



　　　　　 ,　───　､
　　 ゝ／ ＿＿＿＿＿_＼
　 　 /　 | 　 ノ － ､ －ヽl
　 　 l 　 |　 /　　 ．|∠　 |
　　　Y⌒￣ｌ　　　　|　 　 ｌ　　　　　 まったく皆しつこいなあ……
　　　ヽ_　　 ` ー‐　 ﾍー ヽ
　 　 　 ヽ　 ／⌒ヽ＿＿つ　　　　　会えばいいんだろ、会えば。
　　　　　 >､ヽ(二)＿ ／
　　　 ／ 　 ＼／ ＼|＼
　　　/＼／　　　　　|／＼
　 　 | 　 l 　 　 　 　 |ヽ　 ヽ
　　（　　　）＿＿＿__| （　　 ）
　　　ー ＾l　 　 　 　 |　｀ー.´

　ﾑ ｀ヽ｀ヽ　∨|　!
　　.＼　＼::, .∨　r-.､
　　　　＼　ヽ　∨}:::::::j
　　　　　　＞｀　ゞミュ!
　　　　　 ,　　　　＼ ､ヽ
　　　　　,ﾞ　　　　 ､_｀ﾊ ∨
　　　　ノ／　　　　　ゞュ.∨
　　　ｲ　　　　_＿＿＿　　｀ヽ
.　　 ｜　　　´_　　-―-ﾐ 　 )ｒ}　　　　　　この時カサレスは、ヤグエがマドリードに来ているうちに、
.　　　ゝ　　'´　　　　　 ｀ー彡ﾘ､　　　　　 ヤグエをモロッコ植民地軍の指揮官の職を解き、
　　　　 ｀　､　　　　ー-ﾐ　w,ノ　　　　　　 信用のおける将校に交替させるよう求められていました。
　　　　　　 ハー―ュ　i´｀ヾ
　　　　 　 ,..＜≦￣{三rﾄ､
　rー.: :´: : : : ﾍ∨ﾊ　{__ﾏ}､
. : : ヾ: :､: : : : :∧∨ﾊ　}__ﾏﾑ
: : : : :.∨ﾏ: : : : ∧∨ム {__ﾏﾑミ : ,
; : : : : :.∨ : : : : ;ハ.トマﾍ }_ﾏﾑ: : ﾏ:､
: : : : : : :.∨: : : ﾉ: : ＞ュﾐヽ {.ﾏﾑ: : :∧
: : : : : : : :.∨: /. : : : : : : / ∨}_ﾏﾄ､: : :}
彡'｀ ー -: :}: :, : : : : : : : ＼ ゝマハ}: ｜

　　　　　　,　─── ､
　　　ゝ／＿＿＿＿＿_＼
　　　/　 | ／/ ⌒ヽ ⌒ヽｌ
　　　| 　 |─ |　　 ・|＜　 |
　　　Y ⌒　　` ー　 oーヽ､
　　　 ヽ_ 　 ┌───┘ｌ |　　　　　 …やあ、はるばるマドリードまで呼びつけて悪かったね。
　　　　　ヽ　 ＼　　　/／　＼
　　　　　　 >ｰ── く　｀＼　ヽ
　　　 　 ／ ＼ ／＼ｌ ￣|￣　 ﾉ
　　　　/　 | 　 　 　 ├‐┴－´



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__ノ　｀⌒　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 （●).（● )　　　 |
　　 いえ、別に。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , =二ニﾆヽ､　　 |
　　 …それで、用件はなんでしょう。　　　　　　/　　二 ヽ､`,┘ 　 ﾄ、_____
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　-､ }、j┘　 ｲ// : : : .｀' ｰ- 、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　 /{_/ニニ,´＞/ : : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _/＿__　ノ : 「r{::::ﾍ　 / : : : : : : : : : : : : : : '､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / : : : : :ヾﾐ : :.i　r:::',　y : : : : : : : : : :/ : : : : : :'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 : : : : : : : :/ : : ｉ .i:::::i ,i : : : : : : : : : r : : : : : : : :i

　　　　 ,　 ───　 ､
　 ゝ／ ＿＿＿_＿_＿_＼
　 /　　|　/　─　､　─ ､ｌ
　/　　 |　/　　　　ｌ　　　 l　　　　　　　　　 実は、君に良い話があるんだ。
　|　　 |─|　 　 （・|＜ 　 |　　(⌒ヽ
　Y⌒｀　　ヽ＿　ノっ＿ ﾉ　三　　 ）　　　 モロッコを離れて、スペイン本土での
　 ヽ_　 　 ､＿＿＿＿つ ｌ　　(､_ ノ
　　　 ＼　 ＼－､-､_／ノ　 _　　 _　　　　 割のいい役職に就かないかい？
　　　　 /｀ ー |　ｌ　|‐ ´　　ｌ　ｌ／／)､
　　　/´ ＼／ `ー´ ＼　　 ｌ　)　 ヽ´ﾉ
　 　 |　　ヽ　　　　 |／＼／　　__ ／
　　 ├─┤　　　　| ､







　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　ヽ､_　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（　（＿ ）　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（人__）　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　……　　　　　　.r-ヽ　　　　　 　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（三） |　　　 　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.>　ノ　　　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　./二/ ヽ　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　////　へ>个／ <
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.|////ヽ ／＼／//)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣ |＼////／|

　　　　　　　　　　　　 　 .　　 ＿＿_
　　　　　　　 　 　 　 　　 　／　　　＼
　　　　　　　 　 　 　 　　／　　　_ノ 　＼
　　　　　　　　 　 　 　. │　　　（ ●）（●）
　　　 　　　　 　 　 　 　 |　　　　　（__人__）
　　　　　　　 .　　 . 　 　 |　　　　　 ｀ ⌒´ﾉ　　　　　 『わたしは植民地軍とともに勤務することができないならば、
　　　　　　　　　　　　.　 |　　　　　　　　 }
　　　　　　　　　　　__,ノ ヽ.ヽ　　　　 　 }゛　　　　　　むしろ制服を焼き棄てます』
　　　　　　　ｙ彳　";;;;;;ヽ　 ヽ'ヽ　　　ノ
　　　　　／　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;';, ヽ.　::::::>/
　　　　/　　　　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;';,`ヽ/ヽ、
　　　/　　　　　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;',　,.ｒ`i　ヽ、
　　　|　　　　　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;',　／::iヾ;;rｧ /
　　　|　　　　　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;'"',　 `!;;ﾉ! ﾄ、
　　　|　　　　　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;',　 ,';;;;|i,.!;;;ヽ.
　　　|　　　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;'';;;;;;;;!;;;;;;;;;;;;ヽ,
　　　　　　;;;;;;;;;l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i

　　　 ／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　 （ 一）（●）
　　|　　　　 （__人__）　　　　　　　…巷では何やらつまらない噂が流れているようですが、
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ
　　 |　　　,.<))／´二⊃　　　　　 わたしは士官としての名誉にかけて、
　 　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉　　　　　　　永遠に共和国に忠誠を誓います。
''"::l:::::::/　　　 __人〉
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|

　長い会見のあと、カサレスは周囲にこう言った。



　　　　　　　　　＿＿＿＿＿
　　　　　　 ／´　　　　　　 　 ｀＼
　　　　 ゝ/ 　 ＿＿＿_＿＿＿＿ヽ
　　　　 /　　 |　/　　＿　　　 ＿ヽ |
　　 　 /　 　 |　 ／　　　ヽ /　　 ヽｌ
　　　　ｌ　　　|　 ｌ　　　　　 |　　　　 l
　　　　|　 　 |─|　 　 　 / | ヽ　 　 ｌヽ
　　　／Y⌒ヽ　 ヽ　_＿_ ノ ﾍ ＿ ノ､ﾉ　　　　 『ヤグエは紳士だ。彼が共和国を裏切るはずがない。
　　/ 　 |　)　　/⌒ヽ　　　　　　　　 ｌ
　　l　　 ヽ__ 　 ＼ ﾉ　　　　　　　　つ　　　　　ヤグエのような男は、約束を守るものだよ』
　　 ヽ　　　.> ､　 ` ー─ ⌒ｰ─ ´
　　　　＼／　 ヽ>ー───＜
　　　　　 ＼　 　 ＼ ／ ＼ /l　ヽ
　　　　　　　|　　　　　　　　　|　 |
　　　　　　　|　　　　　　　　　|￣ｌ

　会見から一週間以上が経ったところで、もう一つの過ちがおかされた。




r:、 |::::|　　 ＼. 　 　 |:|　　　　 ｀i､: : : :}べﾍ　 ｨ
|::|　|::::|　 |ヽ　 ＼　　ﾞ　　 ﾄ　　 ト､,／△ | Y　|
ｌ::|_r::ｼ:⌒ヾ:|　|:ｌ　｀　　 　 |:| 　 :!　 !　 　 l ヾ､:|
_｀''ｰ'::_:::::::::}|　ｌ｣　　　｀ ヽ　　　 |　 |　　　|　　 |
　　　　"'-::Ｌ　 /::＾ヽl::i　 _ ｀ヽ,::|　 |ｰ:::::: ト,,　_!
　 |｀::､　　 　:ヾｌ::::::::::}::|　|:|　 　 |　 |:::::::::::|:::::::::|
　 |::::::|　f:ﾍ　　 `ヾ:::ﾄ､!:ィ^７:ヽ::|　 |:::::::::::|:::::::::|
　 |::::::|　|::::|　　r:.､ 　 : ｀ Y::::::::}:|＼|￣￣|｀ ヾ:|
　 |::::::|　|::::|　　|::::|　ﾄ,　 　 `ヾ';｣-　`ｉ　　|　　::|
　 |::::::|　|::::|　　|::::|　|:|　 f::　..、|:　　 |　　|　　::|
　 |::::::|　|::::|　　|::::|　|:|　 |::| |:::|:|:　　 |　　|　　::| 　 　 　 .__ .. -――――-- .. ＿
　 |::::::|　|::::|　　|::::|　|:|　 |::| |:::|:|:　　 |　　|　　::|　 　 　 ｢
　 Ｌ::::|　|::::|　　|::::|　|:|　 |::| |:::|:|:　　 |　　|　　::|　 　 　 |
　　　｀::└-, 　 |::::|　|:|　 |::| |:::|:|:＿　|　　|　　::|　 　 　 {　　　　 ,,.. -―-､､
‐-, ___　　　　　 ｀ﾞ　 ┘　!::!ｌ|:::|:|: Τ､}　　! 　 ::|　 　 　 |　　　 /:::::／´　　 ヽ
:::::::',: : :￣:":'':-.. _＿　　　`::-､!:!:　|　|　　|　　::|　 　 　 {　　　 |:::/　 　 　 　 }
:::::::::',: : : : : : : : : :',　 ￣ "ｰ- ､|''ｰ+,,.｣　 :|　　::|　 　 　 |　　　 |::|　　　 　 　 |
--::::::〉: : : : : : : : : ',　　　　　　ヾｰ- .._j　 }　　::|　 　 　 |　　　 |::|　　　 　 　 |
＿_:/､＿＿＿＿_:/i　　　　　　 :}-ｭ　 |　 |　　::|　 　 　 |　　　 |::|　　　 　 　 |
　 |:|　　　　　 　 　 |:l￣￣￣ "ｌ:ｌ　|　 |　 |　　::|　 　 　 |　　　 |::|　　　 　 　 |
　 |:|　　　　　 　 　 |:ｌ　　　　　 |:|　|　 |　_| ,..　+　 　 　 } 　 　 |::|　　　　　 _ |
　 |:|　　　　 ＿＿ .｣:Ｌ　　-_‐__'::!ﾆl -‐ '" 　 　 　 　 　 | 　 　 |::|_,, -‐ ''" 　:|
-― '' " ￣_ ..　-‐ '' " ￣　　　　　　　　　　　　　 　 　 |＿＿_|:｣　　　 　 　 |＿＿
-‐ '' " ~　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 _,,- "

　　　　　　　　　　　∧＿∧　
　　　　　　　　　　 （ 　´Д｀）　　　　　　　　首相、お手紙が届いてますよ。
　　　　　　　　　＿／　　⌒ヽ　 (⌒)
　　　 　　 ⊂二　/　　　 へ　 ﾉ ~.ﾚ-r┐　
　 　 　　　　　　/　 　 /　 ヽノ__　|　.|　ﾄ､
　　　 　　＿ ＿ﾚ　　 /〈￣ 　　｀-Lλ_ﾚ
　　　　/　　　＿＿ノ　　￣｀ー‐---‐′
　　　　ヽ　＜　 |　｜
　　　　　＼ ＼ ｜　⌒―⌒)
　　　　　　ノ　 ）　￣￣ ヽ (
　　　　　(＿／　　　　　⊂ﾉ




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　── 　､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／_＿＿_　　　＼〟
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ ⌒ヽヽ |　　　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|ヽ　 |─ｒ‐､　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. c ､__ ノ　　 ﾉ　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　 ／ | 　 ＼_ ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　やあ、どうも。　　　　 ヽ､ヽノ　　＿ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(ヽ　｀ Z二─ ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　三　 |￣￣ ）　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.￣ ￣￣ヽ　 　 　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , ─┼── ´ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　　__|＿＿_.ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__|￣ |　 |　 └┬⌒ ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..　 （ ＿＿ﾉ　 ヽ.＿__|＿＿ ）

　発信者はやる夫。
　1936年6月23日、やる夫がカサレスに一通の手紙を書いたのだ。



　　　　　　　　　　　　　　　 ,..-,
　　 　　　　 　　　　　　　, ':/;;:/:::
　　 　　　　 　 　 　 　　,'::/;;:/:::
　　 ､――,　 　　 　 　,'::/;;:/:::　 　＿＿＿＿＿＿_,
　　/:: :: :: ;ヽ　　　 　 ,'::/;;:/:::　　 /:: :: :: :: :: :: :: :: ::/:）
　　l;;;; ;; ; ;; :ｌ::::.　　　 ｌ/;／:::.　　/:: !:: :: ;:; :; :;:; :: :/:/::
　　｀ー―‐'::::　 　　 /::::::::. 　　/:: :; :: :: :: :: ;' :: ::/:/::
　　　　 ::::::::::: 　 　 /::::::.　　　/:: :#:: :: :: ;: :: :: ::/:/::
　　　　　　　　　　 ′　 　 　/;; ;; ;; ;; ;; ;; ;; ;; ;;/:/::.
　　　　　　　　　　　　　　 　 '三三三三三三ｌ:/:::::

　 　　　＿＿＿_
　　　／　　 　 　＼　（ ;;;;(
　 ／　　＿ノ　 ヽ__＼) ;;;;)
／ 　　 （●） 　（─ /;;／　　　『陸軍人事にはいまや政治的考慮が過剰であり、
|　 　　 　 （__人__） l;;,
/　　　 　 ∩ ノ)━・【】[]　　　　軍内部には共和国に敵意すら生じている。
(　 ＼　／ ＿ノ´　　□
.＼　 " 　／　　　　(⌒)　　　　 しかし、これからでも適切に対処すれば大事にはいたらないだろう』
　　＼ ／



　 　　　＿＿＿_
　　　／　　 　 　＼ （ ;;;;(
　 ／　　＿ノ　 ヽ__＼) ;;;;)
／ 　　 （─） 　（─ /;;／
|　 　　 　 （__人__） l;;,´|　　　　『…もし一任してくれるのであれば、
./　　　 　 ∩ ノ)━・'／
(　 ＼　／ ＿ノ´.|　 |　　　　　自分が反乱計画を解体してみせる』
.＼　 " 　／＿＿|　 |
　　＼ ／＿＿＿ ／

　　　　　　　　　　　　 ヽ. | !.|　 　 　 　 ,' ! ,'/
　　　　　　　　　　　　 　ヽ !| !　,- -、 / !,' /
　　　　　　　　　　　　　　 ヽ`ヽ.l:`;';;| / ,'／
　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ (::___:;;)　/　　　　　　　　　　この段階で、やる夫は、主要な陰謀者たちの中では
　　　　　　　　 　 　 　 　 _　,'　 　　 　　',. _　　　　　　　　 反乱への熱意にやや不十分なところがありました。
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ﾌヽ ヽ /　 ／l
　　　　　　　 　 　 　 　 　 ,' ヾゝ　　　ｨﾌ ',　　　　　　　　　冷静に自分自身の利害損失を計算し、慎重に身を処していました。
　　　　　　　　　　　　　　 | _ 　 　' l 　　 __L＿
　　　　　　　　　 　 　 ' ´ﾆt-_　　‥ 　, _メ ､_　　　　　　　 カサレスはやる夫を買収するなり、逮捕するなりすべきでしたが、
　　　　　　 　 　 　 　 '´　　 _ｨl ｰ┴-'ヽ　　　　　　　　　　 そのどちらもせず、放置したのです。
　　　　　　　　　　　 　 _, -':::/lレ'二ヽl:: !`. ‐‐-__
　　 　 　 　 　 　 ,-‐'´..::::::::/::| | .!|　l .!::.|::::／:::::::: ',
　　　　　　　　　/｜::::::::::::/:::::| ! !|　! l::: |::::::,-::::ヽ:: !
　　　　　　　　　|　', ::::::::::/ ::: | | ||.　.l:,r:l,::'´/::::::.:ノｰ‐‐┐
　　　　　　　　　|　　::::::::::ヽ 　| l || ./,r/::＿,-‐'"　　　／
　　 　 　 　 　┌ン　: ::::::::::｀〉 l.! ll !:::／　　　　　,-‐'"
　　　　　　　　 l´::::::::::λ::::::::!､:l. lレ !　　　 __, ｲ
　　　　　　　 ./::::::::::::/　!:::::::::.＞'´　 ￣￣　　 |
　　　　　　　 !::::::::::::/ 　|　／　　　　　　　　丶　ヽ､
　　　　　　 / ::::::::::/ 　丿 ! 　 --‐ 　　 　 ヽ,|　　　 l
　　　　　 / :::::::::: !　　 ゝ ! .__, 　__､　 ,!　　 ノ' ､___,/
　　　　　,' 　:::::::/　 _,-‐'´ 　 ／ 　　,/ 　 .,'l: !
　　　　 ,' 　:::::::/.／　 　_,-ｧ"　　,-７　　., ヽｲ!
　　　 .,! ! 　::::// . ,ィ'´ l / 　 ／,､ l　　 .|　_/|::!
　　 　!. | : ::: !. `'´./ :::: !,′ / / ::::|　　 !:'´::: |:: ',
　 　,' :::|　:::/　　 ,' : ::::: !ヽ<´ :::ヽrヽ__ノ:::::: : |:::: ',
　　ヽ　: : ::l　　 / : ::::::: l　::::ヽ:::::: !::::::::::::::::::　!::::: ヽ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _＿___
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／　　　 ｀‐-､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／:.　　　　　　　 :.｀:‐-､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /:.:.:　　　　　　　 :.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀ヽ_＿__
　　　　　　　　　　　　　　　　　_＿＿__　　　 l:.:.:　　　　　　　　　:.:.:.:.:.:.:.:.::.. ヽ　　 ｀ヽ
　　　　　　　　　　　　 _,-‐－'´..:.:.:.:.:.:.:.｀‐-､_l:.:.:.:.　　　　　　　　　　 .:.:.:.:.:...　 ヽ　　　ヽ
　　　　　　_＿__,-－'´　　 　 　 ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ:.:.　　　　　　　　　　.:.:.:.:.:.:.:.:.:...　ヽ　　　ヽ
　 ,イ￣´´　　　　　　　　　 　 　 ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ:.:.:.　　　　　　　 ...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.. ヽ　　　ヽ
／ｉ:l　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:.:.:.　　　　　　　　　　:.:.:.:.:.:.:.:.:.;　ヽ　　　ヽ
:ｉ:ｉ:ｉ:l　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ:.:.:.:.:.　　　　　　　　　 :.:.:.:.:.:.:.:.:..:　ヽ　　　ヽ
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l:ｉ:ｉ:ｉl　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:.:.　　　　　　　　　　　:.:.:.　　:.:.:.:　 ヽ　　　ヽ
lｉ:ｉ:ｉ:ｉl　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ:.:.:.:　　　　　　　　　 :.:.:.:.:　　:.:.:.:.:.　 ヽ　　　ヽ
.lｉ:ｉ:ｉ:ｉl　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:.:.:.　　　　　　　　:.:.:.:.:.:.:.　 :.:.:.:.:..　　ヽ　　　ヽ
..lｉ:ｉ:ｉ:ｉl　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ:.:.:　　　　　 　 　 ,-‐－-､_ :.:.:.:.:.:.　　 ヽ　　　ヽ
. lｉ:ｉ:ｉ:ｉl　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:　　　　　　 ／;,;,;,;,;,;,;,;,;,;｀－‐--､_＿_ヽ　　　ヽ
　lｉ:ｉ:ｉ:ｉl　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ:.　　　　 .／;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,__,-－'´三三=ゝ
　.lｉ:ｉ:ｉ:ｉl　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ:.:　　 ./;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;__,-－'´三三‐'´
　 lｉ:ｉ:ｉ:ｉl　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ..　/;,;,;,;,;,;,;,;,;,__,-－'´三三 ‐－'´
　 .lｉ:ｉ:ｉ:ｉl　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:._＿ヾ´_＿,-－'´三三-'´
　　lｉ:ｉ:ｉ:ｉl　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ..:._＿,-‐－'´￣=_/￣ヽ､三三-'´
　　.lｉ:ｉ:ｉ:ｉl　　　　　　　　　　　　　　　＿,-‐'´￣三三三三三,-'´___,-'´
　　 lｉ:ｉ:ｉ:ｉl　　　　　　　　　　　 _,-‐'´三三三三三三-‐'´￣　"´
　　 .lｉ:ｉ:ｉ:ｉl　　　　　　　　_,-‐'´三三三三三-‐'´￣
　　　lｉ:ｉ:ｉ:ｉl　　　　 _,-‐'´三三三三-‐'´￣
　　　.lｉ:ｉ:ｉ:ｉl　_,-‐'´三三三三-‐'´
　　　 lｉ:ｉ:l/三三三三-‐'´
　　　 .lｉ:/三_,-‐'´￣
　　　 .｀´￣





──────────────────────────────────────

　やる夫将軍の手紙は、彼の「レトランカ」の典型的な例であった。

　レトランカとはガリシア生まれの特徴とされる抜け目ない貧農的気質である。


　　　　　　　　　　　　　（ポール・プレストン『スペイン内戦――包囲された共和国1936-1939』）

──────────────────────────────────────

　自分はいかなるリスクを負わずに、ただ勝ち馬に乗ろうとするその態度のゆえに、
　同志たちは業を煮やした。



　　　　　　 , -- 、　 　 ,. -- ､
　　　　　　j 三ミ､ヽ.／　三ﾐ､ヽ
.　　　　r彡'⌒　　　　　　三ヾ､L_
　　　　 }〃ｆr三ヽ　r彡ﾆヽ　ヾヽ. ヽ
　　　 r'ﾉ ﾉﾘ ,イ/ﾊ ﾊ 三 }｝　 ）））　）
　　　ﾉﾉ,ﾉﾉ,ｲﾉ`{{ｰ{{‐ヽ,ﾐ ﾘ　（( (.　(
　　（((.〃/ {f＼｀:::ij~ｿﾍにヽ、｝｝} ､＼
　　　）)ｎ|'/'´＼ヽ~:/／'⌒ヾ､r,ﾆヽ }} j
　　 ((（| ||{{　　@| v:|　　@ jﾘ:|l-､|.| {（
　　　 )}l ||:`ﾐ=彡!ij :|ミ==彡'::||＾ｿﾉ ,j ）
.　　 （((ﾊ|!｀!u'こ′j｀つ v j｢ l|ﾆｲ ｛{.{
　　　 ヾミ| r'ﾆヽ.`ｰ'´ノ,ニヽ |＼ヾ ヽ`ｰ ､
　　　　　｀|.||⊥工工工.⊥|.| |　 ）川 `,っ j
　 　 　 　 |.||-─ｰr──-|.| |　（ ゝﾆ._（ (
　　　　　　|.|ｌｺコゴｺコｺｺj.| |.／:`ァｰ､ヾ. ）
　　　　　　ヽﾞ二三三二二／::::／ : : ;ゝ._ヽ
　　　　　　　　 　 　 ＞:'´::::::／: : :∠-─-ﾘ､
.　　　　 　 　 　 　 ∧::::::::／ : ;.ｨ´: : : : : : : : :＼
　　　　　　　　　　 L:_〉／: :／/: : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　 　 　 |: |:/: : /: : | : : : : : : : : : : : : : |

　　　　　　　　　　ホセ・サンフルホ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ ＿_ _
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 ＿　　｀`ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　 /ﾉゝヽ　　 .: .＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　　 ,j　Y　/｀`ヽ､ .:. :.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　/ ｀ｰ‐'_＿__　＼. :.:. :＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!　 」イ二 ＿,/ / ＼.ヽ..: .:.:.:.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,イ二ﾌr =､二´r＝､.:.;ﾞヾj､ .: .:.: .:.〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ￣｀1(◎,)元,(◎,)_j」＼.::ヽ」.:／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｲｰ-‐j⌒ゝ‐-‐'ﾞ^iｰ;:'乍7'´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i{t､　,ｨ ﾆ>'ヾ､　　j;:;:,ﾍ;「
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゝj,'　 _ ＿,,､､　 .::;ﾚ'ｿ;/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 jﾘ　'"￣｀ｰ'ﾞ ,'　,'::;i;:ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾞ!　　´￣`　,'　.:j;::;!;:1
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄ､　　　　 　.:,ｲィ;:;:/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｲ!. `ー一‐''.:´/.:.j:;:;:ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | ﾄﾐt､.: .:. .:_,､-‐''"´ .:.::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | | T j 「￣ T　　　.: .:.:.:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿_, イ 」 | ,! |　 　 |　　.: .: .::.::L_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r77´￣￣ 　　　　 `ヾj ,! ,! 　　」＿,．-‐'"´.:.:.:`ｰ- ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 //j′　　　　　　　　　」 ! 7´￣　　　. :. ..: .: .:. :. :.. :. : :; ￣

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 エミリオ・モラ

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　　　　　　　　　/三三Ｙ三三三ヽ
　　　　　　 /三三三三三三三三三ヽ
　　　 ,-'三川川 , 三ヾﾂ三､川川川川川ト 、
　　 （:川川川川彡三ﾐ彡三ミ川川川川川リ
　　　 )川川川彡川州升州州ミ川川川川川
　　　 ﾌ川リ三彡￣ ﾒ八ル'￣``ヾミ川川川ﾉ
　　　'､川川ﾘ|,=＝｡=!　|,=＝=｡､::::|:::|ヾリﾘく
　　　　,リ川!|| `･=彡|　| ミ==･‘..::::|::|こ!|川.ヽ　　　　　　 フランキート（ちびのフランコ）がいなくても、
　　　（川川り| ┐　 r'_ _`,　　┌:::::::|:|!シ川リﾉ
　　　　`!川川|ヾ三ﾆﾆｴニニニ'''ﾌ::::|!川川（　　　　　　　クーデターは成功するざんす……
　　　 ノ川川:;:|| |こ!ｺコココｺこ! !::::/川川川ヽ
　　 r'川川川:;:|| !二ﾆﾆＹﾆﾆ二!/::/　ト､__川川ヽ
　　 ヾ川;;_,.. -‐|ヾ三ニﾆニ三ｼ::/:;:;:;:|＿　￣¨`''ｰ
　-‐''"~´　_,...-,,|　　　=≡=　　/:;;::／|　 |￣¨`''ｰ-
　　-‐''"~´　 /　~/￣￣￣￣　／::::::::|　　|
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　しかしながら、モラをはじめとする陰謀者たちは、やる夫抜きで突き進むことを嫌った。

　やる夫は、かつてサラゴサの陸軍士官学校の校長であり、
　陸軍参謀総長を務めてもいたことから、将校団の中に大きな影響力をもっていた。



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　やる夫はまた、何度も戦場で九死に一生を得ていた。
　それゆえにモロッコ人兵士たちは、彼が神秘的なバラカ（不死）の力を持っているに違いないと思い、
　やる夫を崇拝した。



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　　　 ./　/／〉　（__人__） 　│
　　　 .ｌ　 ´ イ| 　 ｀⌒ ´　 　|　　　　　（モロッコ軍なしでは、クーデター成功の見込みはまったくない。
　　　 .ｌ　 　 ｉY 　 　 　 　 　 |
　　　./　　 ﾊ !　　　　　　　/　　　　　 そしてそれを率いるのは、やる夫をおいて他にはいないだろ……）
　　 ./　　/　 ' ヽ　 　　　 /
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　やる夫の優柔不断な態度ゆえに、反乱計画は停滞した。
　しかし、ある事件をきっかけに、事態は急展開をみせる────

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　やる夫がイスパニアの独裁者になるようです



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　第五話　動乱の前夜

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　終わり




.

本日は以上です。どうもありがとうございました。

乙
>>レトランカとはガリシア生まれの特徴とされる抜け目ない貧農的気質である

いくら罵ったところで、その貧農に負けたら貧農以下だったってことだろう。

乙
いつのまにやらキーマンにまでなってるよ

乙
流石に慎重だな

乙
この辺はファシストや共産党あたりの政治家とはやっぱ一味違うな

乙
のび太がダメ過ぎるな

>>678
別に罵ってるわけじゃなくね？

乙乙！　クーデタ計画起こした軍部へのこの妙な信用ぶりは何なんだろ？

乙乙
「モロッコ人」は現地アラブ系住民部隊でいいんですかね、今さらだけど

>>678
スペインはこれまででも示唆されてる通り国としてまとまってるのが奇跡的レベルで地方色強いから……

乙
勢力的にも精神的にも軍人としての確固たる基盤があるのが他の独裁者連中と違ったこのやる夫の強みだな

乙

モロッコでは条件の良い平野部の土地を中心にアラブ人が暮らし、
アトラス山脈の住民の大半がベルベル人。
人口比では2/3がアラブ人、1/3がベルベル人。

リーフ戦争では植民地軍が動員していたのはベルベル人らしい。