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　　　　　　　　　　　やる夫は『新皇』を名乗るようです

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　　　　　　　　　　　　　　　　＜番外編・その二＞







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　　　　　　　　　 　 　 　　 ヽ !| !　,- -、 / !,' /
　　　　　　 　 　 　 　 　　　ヽ`ヽ.l:`;';;| / ,'／
　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ (::___:;;)　/　　　　　　　 いつも読んでくださる方、
　　　　　　　　　　　　　　　　　,'　 　　 　　',.
　　　　　　　　　　　　　　　　ﾌヽ ヽ /　 ／l　　　　　　　まとめブログの方、
　　　　　　　　　　　　　　　 ,' ヾゝ　　　ｨﾌ ',
　　　　　　　　　　　　　　　 | _ 　 　' l 　　 __L＿　　　　あらためて感謝申し上げます。
　　　　　　　　　　　　　' ´ﾆt-_　　‥ 　, _メ ､_
　　　　　　　　　　　　　'´　　 _ｨl ｰ┴-'ヽ''i `i- ,,_
　　　　　　　　　　　　　　　 ,:;':' |　|''_　-',/.　 ',　　`'''ｰ--;;､
　　　　　　　　　　　　　　／,'　/,　|ﾞ　 ,:;''-､,.-´　　 .／ ´　｀:､
　　　　　　　　　　　　 _,.:!ヽ!ヽ,! lヽ!／./　　`-,　　/　　　　　 i



　　　　　　　　　　　　　　　　',:::|　|＿/　/.::/
　　　　　　　　　　　　　　　 　ヽ!「 _ V　/::/
　　　　　　　　　　　　　　　　 ',」 ___,)　 ﾚく
　　　　　　　　　　　　　　　 "´ V　　　　　 ｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !　, '　　　　　　ヽ　　　　　　 今回は、本編に登場したある人物について
　　　　　　　　　　　　　　　　　!　' ,.ｨ　　　 　 　 ﾐ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ',　 `"　　,.　 -‐┼ '　　　　 　 仔細に迫ってみたいと思います。
　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　 　 ィ´,.　 -‐十 ''
　　　　　　　　　　　　　　　　　 〈 　 　ノ´ 　　,. 　､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　`ｰく_　　 ,.ｲ 　　　　､＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　,.;'" ,'　 i`y'´　　　　　　　￣ `''=:､
　　　　　　　　　　　　　　　 ／/　,'-:､ |-‐フｰ-=ﾆ　　　 ,.;-'"　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　 _,.-',`-i"`i ,' .`i.,.:'/　 　./ ,.-,　/　 　 　 　 i



　　　　　　　　　　　　　 ヽ. | !.|　 　 　 　 ,' ! ,'/
　　　　　　　　　　　　　　 ヽ !| !　,- -、 / !,' /
　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ`ヽ.l:`;';;| / ,'／
　　　　　　　　　　　　　　　／ ヽ (::___:;;)　/
　　　　　　　　　　　　　 /.._　,'　 　　 　　',. _
　　　　　　　　　　　　 /　　| ﾌヽ ヽ /　 ／lﾉ :＼
　　　　　　　 ＿_＿,／;:;.　 |,' ヾゝ　　　ｨﾌ ',;:;:;:;:;＼　　　　　それはこの人────
　　　　　　/´;:;:;:;:＜,;:;:;:;.　 | _ 　 　' l 　　 __L＿:;:;:;:.＼
　　　 _,.‐'.ゝ、;:;:;:;:;:;:;￣ ' ´ﾆt-_　　‥ 　, _メ ､_‐´￣;:;:;ﾉヽ、
‐‐'"´;:;:;:;:;:、;:＼;:;:;:;:;:;:;:;'´　　 _ｨl ｰ┴-'ヽ:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;/;:;:;:, ヘ,
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　　 r‐'「ヽ」／￣　∨｀ー､__/ 　'-､＿」ヽ、;:;:;:./;:;:;:;:;:;:;:;:;/
　　r┴-ヒ´_r‐　　 ｉ|;:;:;:;:;:;:;:;:｀ﾞ'''''''''''ー‐-､ヽ_/;:;:;:;:;:;:;:;:/
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　　　　　　　　　　ー┬┬‐‐--､.__＿;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ノ

　────そう、藤原純友です。

　名門藤原北家の系譜に属する彼は、

　なぜ謀反を起こすに至ったのでしょうか。



　 　　　/ 　, _　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　l.　/ 　｀/.　,y-ｰ.'ｱ´　/　 　／ヽ　　　　　　　　　 　 　　　　　　l
　 　　l.　l　/´/　/_,.ィ´ _. -'/ 　,／　　::ヽ 　 ､　　　　　　　　　　　　　　l,
　　　l.　l　i，/　/ｰ　' ´ ＾／ ,／ 　　　　::::'､ l::i 　|,　i! 　 　 　iヽ　　ヽ、　l,
　 　l　│ | /　/　 ヽ｀`く '"´､ ､　　　　　::::! .i::'、 !i ,l ! .　l'､　 l ヽ 　 ! ヽ　l
　　l 　 |　ヾ　/　　 　`＜う＼ヽゝ 　　　　::::! l ::l ,| ! | l 　l　l 　l　'､.　| 　l　l
.　 l　　 ヽ┤/　　　　　　｀ー ',..:::　　　　 ,..-lﾉ-:;l,|-:l,l .l　l 　l 　! 　i,　l　　l i
　 l　 　／ ''|　 　 　　　　　　''''''" ::::　,∠ｯｧ-ｰ一, /i!　l l　　! ,!　　l　!　 　!
ヽl　／ 　　.:l 　 　 　 　　　　　　　:::　l::｀ｰﾞ'''''"´´/　 　l,!　　l,'　 　 | |
　Ｖ 　 　　.:::|　　 　　　　　　　 　　::　l:: 　 　 　::/　　　'　 　´ 　 　 !i
　 ヽ 　　　::::l　　　　　　 　　　　 　::　l::. 　 　..:/　　　　　　　　　　　'
　 ... ヽ　　.::::| 　 　 　 　 　 　, ､ 　 :　!:::. 　..::/
　　::::...ヽ .::::::| 　　ヽ、　　　　 rヽ 　　i:::::::::, '
　.. .:::::::.. ヽ:::.:| 　　 　｀ ー- ..._ __`､.　l:::／
　　　:.:::::::... ヽi　 　 　 　　　　　　　ヽ !'
　　 　::::::::::::.... ヽ　 　　ｰ- ､......　　／
　　　　::::::::::::::::..　＼　　::::::::　　／ヽ
　 :　　　::::::::::::::::: ,.イ>. 　 　 ／:::::::.. ヽ
　　:.. 　　::::::::::.: ./　l　　　／:::::::::::::::.... ヽ
　 　::..:. 　:::::.::. /　,' 　 ／::::::::::::::::::::::::::. . ヽ
|　　 ::::.:. 　:::: /　,'　ｰ 'ヽ::::::::::::::::::::::::: : : :　ヽ
｜ 　 :::::::.. ノ 　,i 　 　 　入:::::::::::::::: : :　 　 　ヽ
　!　　　／　 　< 　 　 　　　'､::::::::::: :　 　 　　/:|
　｜／　　　　　＼、　　 　 　i､::::::　　 　　／::::.l
　 ｀´ 　 　 　　　　　　　　　　 　:::　　　 　　::::::::l

　　　　　　　　　【藤原純友】

　────その前に、当時の瀬戸内海事情をご説明しましょう。



　　　　　　　　 r:､,　 　 .f～ｧ　　　　　 　 ,ィ
　　　　　　 　 ,.l!~　　　,.l|~´ 　 f!　　　 ／ l
　　　　　 　 ,.r亠ｫｧー-:lL,,,＿,'||　　／ 　 !
　　　　　 7‐-ﾞ北ﾌ　　　|!　　l,' !!;／'　　　l
　　　　　/　　.:||/　　　.:||　 λ,||':　 　 　 l
　　　　_/　　　|/_,,,,,,.......||＿_,/ﾞ!| '.　　 　 !
　　 ｧ-ﾑ.,,,＿_Tl"'''''＝=||=,ﾗﾞ　|:!　'.　　　l
　　/ λ　　　 |:il　　　　|ﾚ"　__|:|,.-ﾋ:､_　」
　_/,,,」　 　 　 |:|.V　　　|'i'"~,.ィﾆj7_ ~"'{
　 V T''''ー-::::幵-k,,,,,,. z''"　,. ''"7_~"'''T
　　V_i　　　　 | !r‐''" ,. ‐''" - ''_7,,__~"'T
　 　 ｿ!　　　　| |}‐''" -'',~ ‐''"_/,,＿ ￣7
　 　ﾉ:;;!,.:-‐弋| |!'',. ‐''" - ''"_/....,,,,_￣7ﾞ
. 　 ｀ヽ;ﾞitttttｉﾚ~‐_,,.. -‐''"~７＝ォ芒~ｷ
　　　 7｀~"'''''"~´　　　 ,,. -7 ─‐ｉ. ll－}
　　　λ''ｰ--－ ''' "´,,...　-i --‐ l. 《－l'
　　　　V　~"　 "~ 　 　 　 l　 　 .!　ll_,7
　　　　 ｀ﾞ'''‐　..,,_　　　　　 l ~￣.l.　ll,/
　　　　　　　　　　　~"'''　- ゝ...,,,l..,,,llﾞ



　瀬戸内海は、外洋に比べて穏やかであったため、海上交通が盛んでした。

　九世紀中頃から、その荷を狙って海賊が出現するようになります。



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　　　　　　　　　　　　,ｒ''ﾞ　 　＼　／ ￣ヽ
　　　　　　　　　　／.::::::::::::::::::.`'' .::::::::::::.',
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　　　　　　　○`".:::::;;;:::::i"_￣￣￣~'''''''r:::::;;;::::::..'''-...､
　　　　 _,,-''.::::::;r':::||:::::::l ,,三ェ､_,,ハ_,ｪzl::::::i　 __,,,...-'"
　　_,,-'' ...::::::::;':l~ヾ||ﾊ:::{ `'-ﾟ=`　'"lﾐﾟ="l:::::::}￣
　　ヽ__,,,,,,,....ﾉｊ::ヽ９!|| )ﾊ)∴∵　　 l∵ (!:::ﾊ!
　　　　　　　　7:::;;:::l''||　(　　______''┘ /,'ハ! `
　　　　　　　ノ'r'','::;'　||ﾞヽ､　　--￣ /,'
　　　　　　　　 -'ﾞ7　 ヾ､　丶､____／','
　　　　　　　(;;;／　　　ヾ､　　　/ｒ'!,','
　　　　　　 ／(;;;),r;;,　　 ヾ､　　|;;;),','
　　　　__／ｒ'　　 `''"(;;;),r;;,ヾ､　`y',';;,
　　／　　⌒`　　　　　　`''"(;;;)'ｖ'/(;;;)`''-

　このうち最初の大規模な海賊蜂起は、

　承平元年（九三一）から承平六年（九三六）にかけて起きた、

　「承平南海賊」と呼ばれる事件でした。



　　 　,i　　　　　　 　i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l
　　　 | ヽ　　　　　 ,!;;;;;;;;;;;;;;;;;;:---__-.''''､;;;;;;;;;i、
　　　　|　＼ 　　　,l;;;;;;;;;-<"‐ -ﾆﾆ=＝-　 _ヾ;〉　　 　 　 　 /l
　　　　 l 　 ＼　　.7;;-2､ｘ=｀ｏ-､-< ゝx_ｏﾗ彡l　　　　　 ,.: ',/
　　　　　ヽ　　 `-{ヾl　 彡ﾞ -￣' ＾`　| ｀'' "`: .Ｙ| 　 ,. -'　, '
　　 　　　　.＼　　　｀''　ー---,,,,,,､　 '/,,,,...--┴' ´　　,／
　 　 　 　＿＿>;;-､　　　　　　　　 ヽ'　　　　　　_,._-'
　　,.-r,つィク;;;;;;;;/｜｀ ‐､-- , ..,,＿__,,....ｒ-ァ‐' T､Ｘ__３ﾆ,.=--,,__
ｧE^ r.(,_3,-｝;;;;;/　｜　. 　 ｀┴-⊥..⊥- '´　 .,　| ＼}３Ｘ　｀r=, _Y`-､
_と .Fｨx.う;;;;;;/　　 ヽ　ヽ　　　 ー─‐""'　　,l　 |　 .ヽ{||x＾`v-{ `Y`-r
_-/^|||||||||>' 　 　 　 ﾞl、ヽ=,彡／　　　 `ｰﾘﾘ　 |　　　ヾ||l)イｎ２＾３＾l,
_^|||||||||lv/ 　 　 　 　 |l､ ｀´　　　　　　　　　　 | 　 　 　 ､|,.々、{､^Yく
　||||||||l7　　　　　　　　ｌｌｌ､　　　　　　　 　 　　 |　　　　　 ヾ３､ｽ, 2＾`ｒ
　 |||||/　 　 　 　　 　　 ｌｌｌｌ､　　　　 　　 　　　 |l　 l ,　　 　 ヾ }＾ヽ}＾=､
　 |||/　　　　 ミ　　　　　ｌｌllll､　　　　 　　 　　 ||　　'/, ,　　　ヾ^Ｘ `r-〈
　 l/　　　　 ミ　　　　　　 ｌｌｌllll､　　　　　＿_,,.ｨ||　　　'X,　　　 ヾX~ ｝Ｊ



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾂｲﾌﾞｶｲｿﾞｸｼ
　たび重なる海賊行為に対して、朝廷は追捕海賊使を任命して、対応します。

　こうした状況の中、従来の説ではこの段階から藤原純友は、

　海賊の首領だったと考えられてきました。



　　/　　//,／　　//,　/,／ . //. ／- ミヽ 　 　 　 ／/　　　　　 .／　　 |. ＼､　ｌ
／/　　///　　　////// 　 //'.//　　 / :},／　.／　/,/　 ／　／　 　　 |　ヾ＼ヾ
. /　　//　　.／/////　 　./　./　=ミ_/　八.:／ 　 .///／　／　　　　　　 　 ＼＼
/　　　 　 ／ ./ l// '　　x:/　./..::::.　　　/.／ 　 　.///　　　 　 　 　　　 　＼.　 ＼
　　　　　/　 /　|/ 　 . / / _「 ｰ-　　　//　 　 　 //' 　 /　　 　　 　 　 　 　 ＼
　　 /　/　 /　　　 　 / 〈 ／ ⌒　 　 //-　.　　　　 　 /　　　　　　　　　　　　　＼
| .//　/　 /　　　　／ヽ　　　　　 　 //:　 　 ＞x|　.　/　　　　　　　　　　　.　 -‐=:＼
'/// / 　 :　　,/　/ 　 /:. 　　　　　/ｰ-　 .__ 　 ｜　/　　　　　　　　　　／
'// /　　｜'//　/ r＜::::::::.　　 　 /　 　 乂r:心x|　/: ＼　　 　 　 　 ／　　　＜芯rﾘ
'/ /　　　.|//　/ ./:‐- ＼　　　　 　 ` ｰ- 　￣　| /＞　.∨　　　　∨　 .∠ ＿　二´
' /　　　　|/　/／　　　 　 　 ／　　 　 　 　 ￣¨./ .:::::::／　 |　 i:.　＼::::::::..
/　　　　 .|　 ./　　　　　　　∧　　　　　　　　　　　￣　　 　 |　 i: : . 　 ￣
　　　　　 |　　　　 　 　 　 / ∧　　　　　　　　　　　 　 　 　 |　 i: : : .
　　　　　／　　　　　　　 ∧ 　 ',　　　　　　　　　 　 　 　 　 |　 i: : : : .
　　　_／　　　　　　　 ／　 ＼斗-‐　⌒:.　　　　　　　　　　 |　 i : : : . .
　／　　　　　　　　 ／＞　 ´　　　　 ヽ　l＼　　　　 　 　 　 |　 i : : : : : .
/　　　　　 ＿＿.／'´　　 　 　 　 　 　 :. |　 ＼_　　 　 　 　 |　 i : : : : : : .
|　　　 　´　　　　　　　　　　 　 　 　 　 l　 　 　 | 　 　 　 　 |　 i: : : : : : : .
| 　 .:　＿_　　 　 　 　 　 　 　 　 　 --―く　 　 | 　 　 　 　 |　 i : : : : : : : .
|　.:/　{　　　　　　　＿　 -‐　´ 　 　 　 　 |__. 　j:　　 - 　　 |　 i: : : : -
| :/　 ｜　 　　　　　　　　　　　　　　 　 l　|<_／.　　　　　＼|＿|／

　それは、『日本紀略』承平六年六月条に次のように記されていたからです。



　　　　　 　 　 　 　 ,.=,'´ 　 　 ヽ:: 　 　  ＼
　　　　 　 　 　 　 　 /　〝　　　　 　 　  ヽ.
.　　　　　 　 　 　 　 |〝　〝　　　　　　 くヽ!
　 　 　 　 　 　 　 　 |〝 〝,〝,　〟 ､ 　､ ヽ
　　　　 　 　 　 　 　 |,〝　/／! ∧　 ﾄ､  ﾄ､|
　　　　 　 　 　 　 　 ｣ _r'7ヘ_ｊ/ 　 >､!‐ヽ! .|　!
　　　　 　 　 　 　 　 |｢f.ｋ━zxヽ /xz━ｧ冫､! |
　　　 　 　 　 　 　 　||ゞ| ｀￣ '"|.|ヽ￣´/ｊ〃ヽ! 　　　　　 　 r ､,ノ｀ヽ、
　　　　　 　 　 　 　　 ﾞ=ﾍ　　　､|｣,　　 /=″ ,.-､__ __ __　　　と´..∠__.:>、
　　　　　　　　　　　　 /| ∧ ﾞ￣￣￣ / ﾑ∠|　 |　:|　:| ヽ.＿と"二　_＿ﾍ
三三三三三三三三三三三三三三〕〔＿＿!　.:!　:!　:!　/＿と二二＿　〈、
　　　　　 . -＜,,__＿:.:.:.:.｀ヽ:.:｀ヽｰ.´:.jヽ:.:.:.∨　 　 　 　 /: : : /::/└‐＜　:l　￣ ｀ヽ
　　　 /´: : : : : : : ｀丶:｀ヽ､:.:.｀ヽ:.ヽ. {　.ｌ:.:.:∧　::::::: 　 ノ: : : /::/　　 乂...ノ　　 　 　 ヽ、
.　　 /: : : : : : : : : :.::::_::>: : ヾ:.:.:.:.';.:.:ヽ　l:.:/::∧、　　ノﾉ: : :./::/　　 　 　 ヽ、　　　 　 /
　　 {: : : : : : : : ／／　 ｀ヽ: : ':,:.:.:∨:.:｀ｰ:.∨:/二二／: :／／　　　　__＿_...ゝ、__ ..／
　　 ヽ: : : : :_..:::／　　　 　 ∨: :':,:. ∨_:／　｀ー―‐′イ／´￣￣￣
.　　　 ＼∠::ノ　　　　　　　 ヽ､: :γ´　　　　　 У: :.:ト ′
.　　　　 !:ヽー＼　　 　 　 　 　 У　　　　　　 /: : : :.l.　　┌────────────────────────────
.　　　　 ∨: : : : : ｀: . 、　　　　　　　　 　 　 , ′: : : l　　 │　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｲﾖ　　ﾋﾌﾞﾘｼﾞﾏ　　　　　　　　
　　　　　 ∨: : : : : : : : ｀: .、　　　　 　 　 ／: : : : : : !　　 │　南海海賊首藤藤原純友、党を結び、伊予国日振島に屯集し…　　
.　 　 　 　 ∨: : : : : : : : : : :｀: . 、 　　 ／: : : : : : : :,'　 　 │　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　 　 　 　 ∨: : : : : : : : : : : : : ｀ー :´: : : : : : : : :/ 　 　 │　　　　　　　　ｼｮｳｺﾞｳ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │　官物・私財を抄却す。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 └────────────────────────────



　藤原純友が南海海賊の首領として、

　徒党を組み、海賊行為を働いたという意味です。

　ところが、『本朝世紀』には────



　 　|:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;::i;:;:;::;:;:;:;:;:;|
　 　|;:;:_:;:_:;:_;:;_:;:l:;_;:_:;;:__:;:_;|
　　|＿＿＿＿_|＿＿＿＿|
　 /: : : : : イ:T ¨ri:l;; .. :: ::¨ヽ
　j: : :イ斗‐!: |　 |:l:|-:､T ｫ:　::!
　|: .: :.|: |r‐i､ l 　|:l:|r‐ ､: |: 　}
　ﾚ:.:.:|:!:ｲ　ヽ:| 　ヽl　　∨:i: ﾚ
　|: |（|: :.|　●　　　　● |:.:|）|
　lN:. |: :.|　　　､_,､_,　 　!l.:|: |　　　純友、海賊を追捕してまいれ。
　　|:.:|:. :|ヽ /⌒!　　 .ｲ:j:l |: |
　　Nl!: :.|ｲ/　/ァ ≦‐j:从:!:.j
　　　ヽ:.l ｲ|　 |　l_／/ 　._.ﾄﾚ　　　　　　　　　 　 　 ┌───────────────────────────
　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 │　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｾﾝｼﾞ　ｺｳﾑ　　
　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 │　純友、去る承平六年、海賊を追捕すべき由、宣旨を蒙る。
　　　　　　　　　　　　　　　　　､─-　、　 ＿_ 　 　 └───────────────────────────
　　　　　　　　　　　　　　,_ -─-ヽ　　 '´ 　 ,∠.._
　　　　　　　　　　　　　　 ,＞　"　"　"　ﾞ　 ､、 ＜｀
　　　　　　　　　　　　 ∠＿ "　"　 "　　ヾ　　､、ヾ
　　　　　　　　　　　　　 ／　″,　,ｨ /ﾍ　i､　ヾ　ヾ !
　　　　　　　　　　 .　　/イ ,ｨ ./l/‐K 　 >!ﾍ|＼　ﾞ　|　　　　 __＿__
　　　　　　　　　　　　　　|/ ﾚ|＝=a= .　=a=＝ |ｎ. l　　　 r",.-､,　＼
　　　　　　　　　　 .　　　　　| ｌ　￣ ´|.:　 ￣　 :|ｆﾘ,'　　　(_.人　ヽ._　ヽ　　　　任せろ！
　　　　　　　　　　　　　　　　`ﾍ　　 ､l.レ　　　 :|"ハ　　　ゝ.　＼　　 /
　　　　　　　　　　 .　　　　　　/ヽ　iﾆ..二ﾆ7 ／|/　 :!二（　 ＼　　ノﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　_/ 　 l＼ ￣　／　./　　 |　　 ,ﾀｰ　　'",〈　!
　　　　　　　　　　 -‐ _''.二/　 　 l:::::`‐:'´　　/　　　 |　　.l.ﾄ､.　-‐'"/!.ﾄ,
　　　　　　　　　　 ¨´　　　l　　　 ,ヽ:::::　　　/,へ　　 |　　 ﾄﾐ､￣￣._ﾉﾉli＼



　承平六年段階の純友は、海賊を追捕すべき宣旨を受けており、

　まったく逆に海賊を取り締まる側にいたとしているのです。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,
　　　　　　　　　　　　　ﾄ､　　　　　　 ／ﾉ
　　　　　　　　　　　　　 ', ＼　r-､ 〃 /　　　　　　　　　ｹﾞｷ
　　　　　　　　　　　　　　ヾ、i:}=={/ , '　　　　　　　　　『外記日記』（いわゆる職務日記）を
　　　　　　　　　　　　　　　　i'　　 Yﾞ
　　　　　　　　　　　　　　　　{ﾞ' _, 'ﾞ}　　　　　　　　　　 直接の素材としている『本朝世紀』の方が、
　　　　　　　　　　　　　　_彡ゝ＝チヽ_
　　　　　　　　　　　　 　 i///ﾊ i ﾊ//∧　　　　　　　　『日本紀略』よりも信憑性が高いと言われています。
　　　　　　　　　　　　　rﾞ///,∧∧////!
　　　　　　　　　　　　ﾉ///|///,-,//,!|i/{　　　　　　　 ────ここにおいて、承平段階の純友の位置づけは
　　　　　　　　　　　 ///ー≦}＿彡/{ !/|
　　　　　　　　　　　 ｀ーァ'///∧〃.{ j/,|　　　　　　　一八〇度逆転したのです。
　　　　　　　　　　　　　//j//〃::∨∧_ノ
　　　　　　 　 　 　 　 ///}ﾍ._／＼ﾉ∧
　 　 　 　 　 　 　 　 ////!´//i///,|/,ヘ.
　　　　　　　　　　　 i////!///i///,!///,ヘ
　　　　　　　　　　　 |///∧//,|//,:､/////,:ヘ.
　　　　　　　　　　　 i////ﾊ/////j　ヾ./////,∧
　　　　　　　　　　　 ∨//　|//,i./,'　　 ｀"'''ﾐ､//∧
　　　　　　　　　　　　i〃　 ヾ//!,:{　　　　　　　｀ヾ{
　　　　　　　　　　　　ﾚ　　　}/ｿ/i
　　　　　　　　　　　　　　 　 {/,!/,!
　　　　　　　　　　　　　　　　i/,j/{
　　　　　　　　　　　　　　　　j去::k
　　　　　　　　　　　　　　　ノ///}ｿー､
　　　　　　　　　　　　　　 {:::::::::/ー-='
　　　　　　　　　　　　　　　￣

　純友は、承平六年六月に西瀬戸内海を拠点とした

　海賊集団を鎮圧し、伊予の地に駐在していました。



　　　　　　　　　　　　　　 ∠'´--,-､__｀ﾞ≡　　ヽ　､iヽ
　　　　　　　　　）　　　　　,, ‐'_´_≡　≡　　　　ミ　 '‐‐-､
　　　　　　　　 （,-‐-､_　-´_'´´≡,　　　　　　　　　　　ﾆ､‐､
　　　　　　　 ,/. ）　　　￣´,,-‐´　彡, ‐ , -""　　　　　　　､i
　　　　　　／.　,,,,　　　/／／_,‐､ゝく／,-‐'"´i ll　ili　i|i　 ､ゝ
　　　　 ／,ン‐//-ｭ　　　/／i　,Y　l＼´　　,,ゝ､ﾊ　　i|li　 |__________　 ,,,,-‐
　　 , ‐´''''''/'‐"‐片　　　 ｀‐i/　l/ﾞﾞ|　 丶く､_　　､|､i　　　ﾉ-､,_,,, -‐'´
　-'´,,,,_丘‐-ッ‐i'"　　　　　　　/　 ,|　　　 ﾞ　￣ﾞ''　ゝ　　/ ,,　-‐
''"´´'"　｀'''‐"､/　　　　　　　　'i ,,,_´'　ヽ　　　　　/,,-､. /
''''ﾞﾞﾞ"'　‐=､,___ノ　　　 ∧.　　　i　｀"''"'‐､_　　　 .//ﾞﾉﾉ/　　　　　　　＿___
‐-＜'‐-､,,ッ'　　　　 ﾉ | ＼　　|　ヾ‐､　　"´　イ__,,ノ./‐--‐''''"´´￣
ノ　´　　　|　　　　／　|　　 ＼|　　　　　　 , ∧＼　/　　　　　　　　　　,,-
　i　　　　/-､__／　　 |　　　　 |　　_,　‐　´ /　|　 ＼‐ ‐ -　　　　　 ／/
　 l__,,,-‐'　 ∠_/｀‐-､|　　　　 ∟‐-　､　　/　 |　　　＼　　　　　,／　/
　,|　　　　　　/　　　　___,,,,,,,,／　　　　　,ﾉ　　|　　　　 |＿／￣´
／　　　　　 /　　／´＼　　　　 /ゝ‐-／　　　＼　　　/／_ ‐'　　ﾉ

　ところが天慶二年（九三九）十二月二一日、

　突然純友は海上に向けて進発します。

　この時の模様を、『本朝世紀』はこう記しています。



:::::──‐ヽ'''ー-　 ,,_~"'''ー-　　,,__ ~"[─,;.;.;.;.;.;.;,} ! :!..,,_ 　 i.‐:‐.r‐ｫ―'''''''"~l.l.l.l　
　　　　 　 ヽ"''ー-　 .,,_~"''''ー--　　~[　;.;.;.;.;.;.;.;''´!:::!..　｀:ﾏ:. ／ ,/　　　_,,｡,,'-‐;;::=‐'''"´
　　　　　　 {｀"'',,_ｰ-　　 ~,,__"'' ー-　 !fｫfｫfｫfｫﾆfｫfｫfｫfｫニ三ﾌ''''''"~　 ↓ﾞ/´
　　　　　　 {: 　..,,,_　 "''　ｰ-　 ,,~"_ ''''」」」」」」」"~"｀"ﾞ"ﾞ"''''''''"__,,.　-‐ ''",!,'
　　　　　　 ∧: 　 .,,_~"''' ｰ-　 　 ..,,__ ￣~~~~""""~~~~￣￣_,,,..　 -‐''",.V,'
,,,,,, 　 　 　 l　V　　　　~"''' ー-　　 ...,,,,,,　＿￣￣￣　_,,,,,,..... 　 -‐ ''"　/,'
:.:'':.:~:":':'':':'.:!　V　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ￣￣ 　 　 　 　 ;'':.:':.:.'.,//:.
:.:.:.:..:..:..: :,:;.;.::""ゝ;-.:.:,,.,:.:,.,.,..,,:.:,:-,.;‐.;.:‐.,.:.:;;';''""ミ:''''';.ｰ:,‐;,;-:;'';;":'':"''''""
;:;:;:;;:::.:,;,;;:;:;:;,;,;,;:;:;,,;:;:;:;,;,;::''-‐''-'''"''''""~~

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┌───────────────────────
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　藤原純友…近来相い驚く事有り。随兵等を率いて、　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　ｺｶｲ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　巨海に出でんと欲す。部内騒ぎ、人民驚く。　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　 ﾖｼﾄ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　紀淑人朝臣、制止を加うと雖も、承引せず。　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　└───────────────────────

　純友の出海は、伊予守紀淑人の制止を振り切ったもので、

　それに対して周囲が驚いている様子が分かります。



　　　　　　　　　　　 ≧ ￣｀　ﾚ!
　　　　　　　　　　　 ﾐ rｔ≦ｲﾍﾄ!`
　　　　　　　r'7ﾆニ７'!ﾊ｀"､jｱｰ-;､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣
　　　　.rｧ'7´lf　　　∨__ヽシｌ￣l.ﾉ,ﾍ._　　 　 　 　 ,.,.　 -─ ､　　　　　　　　　 /
　　／〈〈_,.､__|l　 　 〈|,∠ﾊノ ノ,レ -‐＞､_　　　く　　　　 ＿＼　　　 　 　 　 /
　　r ' ´＾´　 |ヽ　　　　　 ／∠-‐- くくr_ﾍﾍ,､ 　l　　　 　 　 ￣｀ヽ.　　　 ／　ll
　　　　　　 〈_,.　-‐ '_´ -─く　　　　 ｀^ツｿソ　ヽ　　　 　 　 　 　 ＼　/　 　 ＼ ＿＿
　　　　 　 ,く ,. ‐'"´ r-　　　 l　　　　　 ＿　　　 　＼　　　　・．’　　　Y　　　　　　・・
　　　　　/ '´　　 ／´　 　 ／　　　　／　　 `ｰ-､　　 ヽ　　　　　　　　 ヽ=ﾆ二_　　¨…
　　　 　 l 　 　 / 　 　 ,.イ´　　　　 〈.　　　　　　　＼　　＼　　　　　　　　ヽ　　　＼
　　　　　ヽ、_/／　,∠.ｼ　　　　　　 |　　　　　　　＿.ゝ、_L＼　 ＿|＼＿＿
　　　　　　r '´　.／ ／　 　 　 　 　 |/　　 ＞ ,二／ ￣　　　＼/　　￣　 　＼　　，
　　　　 ,.く　　／ ／　　　　　　　　/‐- ／ ／　/　　　　　_,.- /：・ヽ.　,・．　 　＼　　/
　　.　 ルﾍ7‐'　/　　　　　　　　 ,.ｲヽ, '　　　　　 　 　 　｢　　/,　 ‐；-＜¨ ‐ ､_　 ＼_/
　　　/_ｆシ!'"／　　　　 _,　 -‐／/ ./,.　- ───､-､　　|　/　　＿/⌒：　　⌒｀ 　＼-
　　　ヽ二j ./　　 /´￣　　　　　 ／´　　　　　 　 　> ＼ 〈/,（　（　(　　/,ｼ　×'；, 　　|
　　　　|　 /　　 ノ　　　＿＿_／　　　　　　　　 ∠＿’¨''/　ゝ…/⌒_r', } ﾉl　〉　　　　|
　　.　 j　/　 ／　　　　＼　　　　　　＿/´￣　｀‐- ､.￣/．¨´　（ ,._`イ　'⌒／　ｲ 　　|
　　　　　　／　　　　　 　 ＼　　　　 　 |　　　　　　　＼∥ ；・ `（＼　　 ×j ,､　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　ヽ.＼　'ﾟ_//　l　 ヽ　　|



　純友が謀反を決意した理由について、一説では、

　海賊鎮圧に功績があったにも関わらず恩賞が与えられなかったことに

　不満を持ったからだとされていますが、いまだ詳しいことは分かっていません。

　天慶二年（九三九）一二月二六日、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｻﾈﾀｶ　　　　　　　 ｺﾚﾓﾄ
　純友の従者藤原文元らが、備前介藤原子高と播磨介島田惟幹を

　襲撃するという事件が起こります。

　さらに都にも純友配下の者が入り込み、放火を繰り返すようになりました。



　　　　　　　　　　　　　　 __,,..-‐≪´　　　　_,.z─　　　　　　　　＼　　';,　　　j|
　　　　　　　　　　　　　　￣~ _,＞-‐'"　　　　￣`'　　　　　　　 　 　 　 ;,　 ./ |
　　　　　　　　　　　　 -='''"´_,...　　　_,..-‐　　　　　　　　　　　　　　　　 i ./　j
　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ、~`''　　 ￣~`　　　　　　　　　　　　　　　　l/　./
　　　　　　　　　　　　　　、弋ヾ　　　　_,.　　　　　　　　　　　　　　ヾ､i!|l !　/
　　　　　　　　　　　　　　　ヽ、-ｚ''"´＜,-─z,　　　　　　　　 　 　 　 `'　 ,ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　へ─-＞''"´≪　　　,　　　 _,.-‐'"　　　　　　　　ﾐ,ﾍ
　　　　　　　　　　　　　 ,／ヽ、 7７"/ _>-‐''"_,.. -"´∠_,....　　　　　 　 　 i ﾍ ';
　　　　　　　　　　　　　/: : : : ヽi l!. ,'i､￣ヽ,.フ　　 _,,...--,-‐'´　,　　　　　 j∧ .l
　　　　　　　　　　 _,...ｲ: : : : : : :l .i　l　ヾ､∠.､''"´　　／　　,..;'7 /　　 /　ljヽ､l |
　　 ,r-v⌒''ー'''"´ 　 l: : : / : : 〉､i l　　ヽ・' ､';, 　 ／ _,-‐" /／/　 /　 / : : : 1、
　　f .i .i　 j-f　 i　 __,..l: : :i: :／: : ヾ　　　 `ﾞ''　 -‐ ''"∠二/_,../　／j! ./::|: : : : : :＼
　　l!_{_,{ﾆ<,ﾉ ､/￣　　ヽ::／ : : : : : l i　　　　　　:::::/ `''- ’-'/／ ノ ./: : i: : : : : : : :｀-..,_
　　　　　 "￣　　　　 .／: : : : : : : : i,ﾄ､　　　　　:::/　 　 　 ./,-'"´j／ :／'": : : : : : : : : : ｀ ﾞ '
　　　　　　 　 　 　 ／: :_,.-f-へ : : lﾍ';,+ ､,.._　 ::/　　　　 ／: : : : : : /.-''"´: : : : : : : :_,-: :─
　　　　　　　　　　/／´ .　 | : : ヽ : |:ﾍ`''ー--l_/--.-　／: : : : : : ／-: 、: : : : : : ,-"´: : : : : :
　　　　　　　　　　　　　 　 l! : : : :〉: l　ﾍ　r==-　　,.／: : : : : : : / : : : : : :｀ﾞ'', ' : : : : : : : : ::::::
　　　　　　　　　　　　　　　i| : : /: : ﾍ　 ヽ　　 ,.ﾍ´: : : : : : : : :/: : : : : : : : ,;": : : : : : : : : : : :::
　　　　　　　　　　　　 　 　 ﾞ, : :ヽ: : : ﾍ　 ヽ"´1: ﾞ､: : : : : : : /: : : : : : : : /: : : : : : : : : : : : :::::
　　　　　　　　　　　　　　 　 '､: : :｀ヽ､ ﾍ　 　 ,.l: : '､: : : : : :/: : : : : : : : / : : : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　　　　　　　 　 　 ヽ、: : : ｀ヾ､,-"´ i／:ヽ、: : /: : : : : : : : /: : : : : : : : : : : : : : : :::
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ヽ、: : : : ';,: : : : : : : /ヽ:/ : : : : : : : : l: : : : : : : : :: : : : : : : : ::



　時を同じくして、東国では平将門が蜂起しており、

　朝廷は、彼らが共謀して東西で反旗を翻したに違いないと震えあがりました。

　これに対し、朝廷はとりあえず東の将門に全力を注ぎ、

　純友を懐柔するために、従五位下を授けることを決定しました。



　　　　　　　　 ﾄ､;;;;;;;;;;;;;;;｀ ` '' ー -- ‐ '' ";;;;;;;;;,:ィ;:;!
　　　　　　　　,';:｀`' ‐ｮ ､ ,_ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; , - '"l;:;:;:;:l
　　　　　　　　l;:;:;:;:;:;:;ﾐ　　 ｀ ` '' ｰ -‐ '"　　　 ,ﾘ;:;:;:l
　　　　　　　　l;:;:;:;:;:;:;:ゝ　　 く三)　　　(三ｼ　　｀ヾ;:t、
　　　　　　　fﾐ{;:;:;:;:f'´　　 _＿ ,,.ノｨﾘ!iヾ､.,,＿＿　 };f }
　　　　　　　l ﾄl;:;:;:;:l　　､,ィ或tｭ､ﾞミ:::::{,'ィt或ｱﾁ　l:l,
　　　　　　　ﾞi,tヾ:;:;:!　　｀ヽ 二ノ :::::::::ﾄ ` ‐t"i´　 l:l:f
　　　　　　　 ヽ`ｰ};:l　　　　） ） ,r':::::::::ヽ　　） ）　 ﾘ_）
　　　　　　　　 ｀"^l:l　　　（ （ ,/ﾞｰ､::::::;r'ヽ（ （　　l
　　　　　　　　　　　ﾞi 　 　 ）ノ　 　 `'" 　 丶 ）　 ,'
　　　　　　　 　 　 　ﾞl､　 （ （,ィ─＝＝─ヽ （ ,}/　
　　　　　　　　　　　　',ヽ,　） ）ヾ┼┼┼,ｼ' ） ）ヽ　　　　　コレをやるから、おとなしくしておれっ！
　　　　　　　　　　　　 }　丶（　`ﾞ＝=＝'′ /ノ:.:.:ヽ
　　　　　　　　　　　　/l　　 丶、　　　 　 ,.ｲ:.:.:.:.:.:.:.:丶､、
　　　　　　　　　 ,r'"^l　!　　　　` ー‐;オ´:.:.:.:.:.:.:.:.:.,ノ　 ,}、
　　　　　,. -ｧ＝く（:.:.:.l　 l　　　　　 ／/:.:.:.:.:.:., - '"　 ,／　ヽ、



　　　　　　　 ＿､‐-､, -‐ｚ._
　　　　　 　 ＞　` " "　′.＜
　　　　　　／ " " " " ﾞ ﾞ ﾞ ﾞ ＼
　 　 　 　 7 " " ",.",ｨ ﾊﾞ ,ﾞ ﾞ ヾ　　　　　　 r‐ ' _ノ
　　　　 　 ! " " /-Ｋl/　Vｌﾊﾞ.N　　　　　＿ ) (_
　　　　 　 | "ｎ l =｡== _ ,≦ﾊ!　 　 　 （⊂ﾆﾆ⊃)
　　　　　　|."しｌ|　￣　,._ ∨　　　　　　 ｀二⊃ﾉ
　　　　　　| " ﾞハ　 ー--7′　　 　 　 （( ￣　　　 ククク……
　　　　　 r'ﾆﾆヽ._＼.　¨/　　 　 　 　 　 ;;　　　　　
　　　　 r':ﾆニ:_`ｰ三`:く._　　 　 　 　 　 [l、　　　　まあ、貰えるモンは貰っておくか……！
　　　／: : : : : : :｀,ニ､: :_:_;＞　　　 　 ／,ｨつ
. 　 /: : : : : : : : / : : : ヽ＼　　　　 ,∠∠Z'_つ
　　| : :.:.:.:.:.: . :/: : : : : : l : ヽ.　　 / .r─-'-っ
. 　 |:.:.:.:.:.:.:.:.:.,' ''"￣: : :l: : : :l 　 /　 ）:::厂 ´
　　 |:.:.:.:.::.:.:.:ｌ -─-: : /:_:_:_:_l　/￣｀Y´
.　　 |:.:.::.:.::.::l._＿: : : :/::: : : : :l/⌒ヽ: :〉
　　　|::.:::.::.::l: : : : : : /:::: : : : : |: : : : ﾞ/



　純友はこれを受け取り、「悦び状」を提出します。

　　　　　　　　　　　　　　ﾞｉ::.ﾞｉ　ﾞｉ＿|　|:::,'
　　　　　　　　　　　　　　ﾞｉ::ﾞｉ.　V _ 1!,r'
　　　　　　　　　　　　　　　ﾝＪ 　(,___ 」,'
　　　　　　　　　　　　　,r'´ 　　　　　V ｀゛
　　　　　　　　　　　,r'　　　　　　' ,　!
　　　　　　　　　　 ﾐ 　 　 　　　ｨ、'　!
　　　　　 　 　 　 ' ┼‐- 　.,　　゛` 　,'
　　 　 　 　 　 　 '' 十‐- 　.,｀ィ 　 　ﾞｉ
　　　　　　　　　　　､　 .,　　 ｀!､　 　 〉　　　　　その後の展開については……
　　　　　　　　　'´::::::::::::::: ﾄ、　　_ﾝｰ`
　　　　　　 ,. '´--､:::::::ヽ:::ﾒ'´`iT〈 ,ｨｼ´　　　 　 ここでの言及は避けておきましょう。
　　　　 　 /::::::::::::::ヽ:::::::ヽ::ヽﾉ、 ヾ
　　　　　 ﾊ、:::＿::::::ﾞ';::::::::ヽ::::ヾ! i ',
　　　　 ,/:::::＿::::,-::::::',::::::::::l__;vﾍl　',
　　　　/::::::::::::::::::::::::::::}::::::::::｀ヽ、:ヽ ',
　　 ／､:::::ニニ二二ﾌ::::::::::::::::::::ヽ::', l
.　 /::::::::::::::::::::::::::::／:::::::::::::::::::::::::::ヽlj
　/:::::::::::::::::::::::::／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::ll



.　ヽ. | !.|　 　 　 　 ,' ! ,'/
. 　 ヽ !| !　,- -、 / !,' /
.　 　 ヽ`ヽ.l:`;';;| / ,'／
.　　 　 ヽ (::___:;;)　/ 　 　 　 . ,-､
.　 　 _　,'　 　　 　　',. _　 　 .///
.　　 　 ﾌヽ ヽ /　 ／l　 .∩,///
　　　..,' ヾゝ　　　ｨﾌ ', :...|／二ヽ.
.　 　 | _ 　 　' l 　　 __Lヽ| | ソ　|　　　　　　　　それでは、もう一つの疑問────
.　' ´ﾆt-_　　‥ 　,　メ　 ;ヽ ( 　 |‐､
.　'´.,-､.._ｨl ｰ┴-'ヽ':,ヽ、 .ゝ､,,,..|.゛;ヽ　　　　 　ズバリ、「将門と純友は共謀していたのか」？
　　..ヽ',　 |::,-.." ." ,/|/　　/ゝ‐'＼ ﾉ
　　, ‐'‐'‐'||＿_,,,.' 　 |　　 | |ヽ　　 ＼
　 |　　 ／:::::::／　　　|　 //:..ヽ　　　 ＼
　 | 　/::::::::／　　　　 .ヽ‐::::::::::ヽ　　　　 ヽ
　丶　|:::／　　　　　／:::::::::::::::::/＼　　　　|
　/ ゛‐|＿＿＿　／:::::::／::::::::/:::::::|丶､＿ﾉ
./ 　　 |　　　 ／￣￣::::::::::::/:::;;ﾉ;ﾉ

　純友に関する伝承のなかで最も著名なものはとして、『将門純友東西軍記』の、

　次の記事があげられるでしょう。



┌────────────────────────────
│　承平六年八月一九日、将門、藤原純友両人、比叡山に登り、　　
│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
│　平安京を見下ろし────　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
└────────────────────────────



　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　,. -'"´　　　　　　｀¨ー ､
　　　　　　　　 　 ／　　　　　　　　　　　　ヽ　ヽ、
　　　　　　　 ,,.-'"　　 　　　　　　　,,.-'"｀　　　　　ヽ、
　　　　　　 /　　　 　 　　､＿_,,.-='､':'"　　　　　　　　ヽ、
　　　　　　i へ＿__, 　　　"　ﾞ.ﾞ（●）ﾉ　　　　　　　 　 　 ヽ
　　　　　 ./　i （●）〉　　　　　｀''''''"　　 　 　 　 　 　 　 　 ヽ
　　　　　/ .　ﾞｰ-''"　　　　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　i
　　　　 /　　　 i　　　人　　　　 ノ　　　　　　　　　　　　　　　l
　　　　,'　　　　 ' ,_,,ノ　 `─-‐' ヽ　　　　　　　　　　　　　　　l　　　　俺は王孫だから、帝王になるお！
　　　　i　　　　　　｀､　 _y──‐ l　　　　　　　　　　　　　　 /
　　　　',　　　　　　　ｉ_/　 / ＿ '　　　　　　　　　　　　　 ／
　　　　 ヽ、　　　　　　￣￣　　　　　　　　　　　　　　　/
　　　　　　ヽ､_　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／
　　　　　　　　 ｀¨i　　　　　　 　　　　　　　　　 　 　 ヽ



∠-'';::／　,∠/　.／::　　 ::＼.ヽ＼ ヽ　ヽ　＼　ヽ. ＼
::::r''∠- '´:∠ -ﾍ::....... ,...:‐''７,ゝl‐-ヽ} 　 ﾄ､　lヽ.　!
:::l::::-==＝ﾓ＝= _::::／:::::::::/_　 ` ／ ,ﾍ.　| ヽ |. ヽ.!
: |::::　｀　 ー‐=''"::´:::::::::::::/ﾆ´＞,'／　 ヽ |　ヽ!　 ﾞl
::|:::::　　　 　 ..::::::::::::::::::::::/　　　 ﾊ 　 　 ヽ!
:|::::::　 　 ...:::::::::::／::r:::::::i_:　　　,'l }
|l::::::　　　　　 　 ｀＿＿:::　　　 /.|′
iﾍ::::.. 　 　 ￣￣　　　　 ｀ヽ　./^'　　　　　俺は藤原氏だから、関白になる！
:|::ヽ:::..　　　　　　‐＝=;;　　　/
::l::::::ヽ::..　 　 　 　 :::::::　　　/　 　 ,.､
:::l::::::::::＼.　　　　　　　　　/　　／.:/:ヽ.
::::|::::　:::::::＼. 　 　 　 　 ,ｲ　／....::/::::::::ヽ.

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ. | !.|　 　 　 　 ,' ! ,'/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ !| !　,- -、/ !,' /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ`ヽ.l:`;';;| / ,'／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ (::___:;;)　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_　,'　 　　 　　',. _
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾌヽ ヽ /　 ／l　　　　　　　　────と、互いに反逆を約束した、というものです。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,' ヾゝ　　　ｨﾌ ',　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| _ 　 　' l 　　 __L＿　　　　　しかし、これはあくまで創作の域を出ません。
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ' ´ﾆt-_　　‥ 　, _メ ､_､_　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'´　　 _ｨl ｰ┴-'ヽ':,ヽ　:::i:::ヽ._　　そもそもこの時二人は平安京にいませんでした。
　　　　　　　 　 　 　 　 　 _ ,,､-ｰ／ !/ヘﾍ/ソ∧　 　/:::::::::l:::::::::::｀:ｰ:.､
　　　　　　　　　　　　　,´:::::::::::::く::::::::/ヽ(⌒ｿ´´ヽ／::::::::::::::!:::::::::::::::::::ゝヽ.
　　　　　　　　 　 　 　/::｛::::::::::::::::＞:i 　 l7i　　　/:::::＼:::／::/:::／::::::::::::::::i
　　　　　　　　 　 　 /:::;::::∨:::::l::::::::::i　/;;;;;;l.　 /::::::::::::::/:::::::/:::::::::::::::::::::::::/
　　　　　　　　 　 　/::::ヽ:::::〉:::::l:::::::::l /;;;;;;;;l. /:::::::::::／;;;;;i:::i::::::::::;;;;::::::::::::::>
　　　　　　　　　　 ）::::::ゝ彳´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾍノ／´￣::::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　 /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／ﾍへ￣::::￣:::::::::::::::::::::/



　　　　　　　　＞－ ' ´￣ ＞‐|:::::::::::::::::::::::::::ｲ　　 ﾉ　／
　　　　 ＞ ' ´　　　 ,,,xxｚ/::::::::ﾄ:::::::::::::::::::::::/::∨;,/／
　　　／　　　　　／;;:'´,'´l::::::::::>弋:::::::::::::::/::::::::::i　〉
　 , '　 　 　 　 , ' ／　,'　 ﾞｘ:::::::::ゝﾆ二ﾆソ::::;;::::ﾉ./
／　　　　 ,,,／ , '　　 ,　　　＼_::::::::::::::I´∨〈｀ｖ'ヽ
　　 ,,,.-‐´　,　'　　＿｛_　　　　'''''====ゝ 丶ﾍ ＼ｌ
_,,,, - ‐　' ´　　 , ' 　,ｲ ｀ヽ、　 　　　　　ヽ　ヾｌ、_!
　　　　　　　　　　　ｼ　 ﾄ-、　　　　　　 ,- ＼　＼゛、　　　　ですが、古来から共謀説自体はささやかれていました。
　　　　　　　　　　 ,'　　 ゞ_〉、 　 　 　 /〉 、｀"ー 　Y
　　　　　　　　　　ｨ'　　　　　 ｀';. 　 　 'ﾜ"、￣｀　 " l　　　　『本朝世紀』や『純友追討記』にも、
　　　　　　　　　＿ゝ　　　　　　..　 　 / ｲ;ﾄ<-　　　 l
　　　　　　　　　　＿゛ﾆ_‐-　　 "゛ 　 ｀´　　ｌ｀　　　_}　　　　将門と純友が共謀して謀反を起こしたのだという記述がみられます。
　　　　　　　　　 ＞'´::"ﾞｯ、　 ヾ__ノ'　=＝キ{、　　 _L、
　　　　　　 　 ／:::::::::::/::::| ﾃx,,ノゝ- ,,,,,='´:::::∧__　　ｿ ﾄ
　　　 　,　- ' 　: : : :::/::::::| l 一｀ ｻ゛´ー〉::::::::／ｋ_／／::::＼
, - '　´　　. . : : :::::::::l:::::::::l　｀―'´! l＞-' 〉:::::ゝー...'..´::::::::::::::
ヽ　　. . : : : : ::::::::::::::l:::::::::::l　,' 　 /／　 /::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::::::

　　　　　　　　　ヽ. | !.|　 　 　 　 ,' ! ,'/
　　　　　　　　　　ヽ !| !　,- -、/ !,' /
　　　　　　　　　　　ヽ`ヽ.l:`;';;| / ,'／
　　　　　　　　　　　　ヽ (::___:;;)　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　しかし、まったくその可能性を否定することはできませんが、
　　　　　　　　　　　_　,'　 　　 　　',. _
　　　　　　　　　　　　ﾌヽ ヽ /　 ／l　　　　　　　　　　　　　　　　　　やはり直接接点のない二人が事前に共謀して
　　　　　　　　　　　,' ヾゝ　　　ｨﾌ ',
　 ∧、　　　　　　　| _ 　 　' l 　　 __L＿　　　　　　　　 ∧、　　　　　東西から朝廷を挟撃しようとしたとは考えにくいでしょう。
γ⌒ヽ　　　　　' ´ﾆt-_　　‥ 　, _メ ､_　　 　　　　　γ⌒ヽ
|( ● )|　i＼　 　'´　　 _ｨl ｰ┴-'ヽ':,ヽ　＼　　　　 ／i　|( ● )|　
＼＿ノ　^i | _,,..r''''" ﾉ　| ＼`', ／ 　/　　/￣`''ー | i＾　ゝ＿ノ
　|＿|,-''iつl/´　 　 ヽノ|　／＼ 　 /　、│　　　　 ｌ⊂i''-,|＿|
　　[__|_|／〉ヽ、　　／　|/ ）;;;;/＼/　　 'く　　　　/〈＼|_|__］
　　　[ニニ〉　 ',　　ヽ. ｜ /⌒|　/　　　ﾟ／　 　 / 〈二二］



.　ヽ. | !.|　 　 　 　 ,' ! ,'/
. 　 ヽ !| !　,- -、 / !,' /
.　 　 ヽ`ヽ.l:`;';;| / ,'／
.　　 　 ヽ (::___:;;)　/ 　 　 　 . ,-､
.　 　 _　,'　 　　 　　',. _　 　 .///　　　　　　　しかし共謀とはいかずとも、純友が将門の蜂起をどこかで耳にして、
.　　 　 ﾌヽ ヽ /　 ／l　 .∩,///
　　　..,' ヾゝ　　　ｨﾌ ', :...|／二ヽ.　　　　　　　それに乗じて謀反を起こした可能性は十分にあります。
.　 　 | _ 　 　' l 　　 __Lヽ| | ソ　|
.　' ´ﾆt-_　　‥ 　,　メ　 ;ヽ ( 　 |‐､　　　　　 というのも────
.　'´.,-､.._ｨl ｰ┴-'ヽ':,ヽ、 .ゝ､,,,..|.゛;ヽ
　　..ヽ',　 |::,-.." ." ,/|/　　/ゝ‐'＼ ﾉ
　　, ‐'‐'‐'||＿_,,,.' 　 |　　 | |ヽ　　 ＼
　 |　　 ／:::::::／　　　|　 //:..ヽ　　　 ＼
　 | 　/::::::::／　　　　 .ヽ‐::::::::::ヽ　　　　 ヽ
　丶　|:::／　　　　　／:::::::::::::::::/＼　　　　|
　/ ゛‐|＿＿＿　／:::::::／::::::::/:::::::|丶､＿ﾉ
./ 　　 |　　　 ／￣￣::::::::::::/:::;;ﾉ;ﾉ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ. | !.|　 　 　 　 ,' ! ,'/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ !| !　,- -、/ !,' /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ`ヽ.l:`;';;| / ,'／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ (::___:;;)　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_　,'　 　　 　　',. _　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｺｳｽﾞｹ　　　ﾋｻﾉﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾌヽ ヽ /　 ／l　　　　　　　　　　　　　　　将門に追放された上野介藤原尚範は
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,' ヾゝ　　　ｨﾌ ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| _ 　 　' l 　　 __L＿　　　　　　　　　　　　 純友の伯父にあたります。
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ' ´ﾆt-_　　‥ 　, _メ ､_､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'´　　 _ｨl ｰ┴-'ヽ':,ヽ　:::i:::ヽ._　　　　　　　　　 彼から、将門に関する情報を得ていた
　　　　　　　 　 　 　 　 　 _ ,,､-ｰ／ !/ヘﾍ/ソ∧　 　/:::::::::l:::::::::::｀:ｰ:.､
　　　　　　　　　　　　　,´:::::::::::::く::::::::/ヽ(⌒ｿ´´ヽ／::::::::::::::!:::::::::::::::::::ゝヽ.　　　　可能性は十分に考えられます。
　　　　　　　　 　 　 　/::｛::::::::::::::::＞:i 　 l7i　　　/:::::＼:::／::/:::／::::::::::::::::i
　　　　　　　　 　 　 /:::;::::∨:::::l::::::::::i　/;;;;;;l.　 /::::::::::::::/:::::::/:::::::::::::::::::::::::/　　　　いずれにしても、断言はできませんが……
　　　　　　　　 　 　/::::ヽ:::::〉:::::l:::::::::l /;;;;;;;;l. /:::::::::::／;;;;;i:::i::::::::::;;;;::::::::::::::>
　　　　　　　　　　 ）::::::ゝ彳´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾍノ／´￣::::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　 /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／ﾍへ￣::::￣:::::::::::::::::::::/
　　　　　　　　　 l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／´::::::::::::::::＼::::::::::::::::::::::::::/
　　　　　　　　　 l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
　　　　　 　 　 　 !::::::::::::::::::::::::;;;;､イ¨;;;;;;`i:::::､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
　　　　　　　　　　｀ｰｰ ┬'''i"´:::::::::l;;;;;;;;;;;;l:::::::::｀:::::::､:_:::::::::::::::::::::::/
　　　　　　　　　　　　　 l:::::i:::::::::O::l;;;;;;;;;;;;l::::::::::::::::::::::::::＼｀"''ｰイ



　',.::::::!　!　　　/　/.:::/
　..',:::::|　|　　 /　/:::/
　　..',:::|　|＿/　/.::/
　　　ヽ!「 _ V　/::/
　　　',」 ___,)　 ﾚく
　　"´ V　　　　　 ｀ヽ
　　　　　!　, '　　　　　　ヽ　　　　　　　 この辺は、想像の余地が多く残されていますね。
　　　..!　' ,.ｨ　　　 　 　 ﾐ 丶
　　　　',　 `"　　,.　 -‐┼ ' )　　　　　　────皆さまは、どうお考えになりますか？
　　　　/　 　 ィ´,.　 -‐十 ''/
　　　　〈 　 　ノ´ 　　,.　　/
　　　　..`ｰく_　　 ,.ｲｧ''"´ ／ ,/~
　　　　　　,.ゝi`y'´ l,,.ィ'",:ｧ／:::
　　　　 ／7Ｖ　,!　 l",, ='／::::::::
　　　／/:::l/　 ﾊ　 l,,ｨｧ"_:▽-‐
, ィﾆ´::〈v::f ,;　fﾘ　,l／｀´:::::,r:'"

　　　　　　　　',.::::::!　!　　　　/　/.:::/
　　　　　　　　..',:::::|　|　　　/　/:::/
　　　　　　　　　..',:::|　|＿/　/.::/
　　　　　　　　　　ヽ!「 _ V　./::/
　　　　　　　　　　',」 ___,)　 ﾚく　　　　　　　　　　　　　 純友個人に関する史料は非常に少なく、
　　　　　　　　　"´ V　　　　　 ｀ヽ
　　　　　　　　　　　!　, '　　　　　　ヽ　　　　　　　　　　いまだ多くの謎に包まれています。
　　　　　　　　　　 ..!　',.ｨ 　　　 　 　 ﾐ
　　　　　　　　　　　',　`" 　　,.　 -‐┼ '　
　　　　　　　　　　　/　 　ィ´,.　 -‐十 ''
　 　 　 　 　 　 　　 〈 　 ノ´ 　 　 ,.／二二二'-‐、　
　　　　　　　　　　　..`ｰく_　　 ,.ｲ／:::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　i`y'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　 ／'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　 ／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　 　 ／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　 　 　 　 |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i



　　　　　　　　　　　　　 ∨ ,}/////{ ./　 ／
　　　　　　　　　　　　　　k/ヾ===彡.ｼ／
　　　　　　　　　　　 ､ヽ'´｀ﾞー--―'´ ヽ,:'´
　　　　　　　　　　 　 〉xﾍ　　　　　　 ,:'x'´
　 　 　 　 　 　 　 　 i ｿ=ﾐ　　　　　,xﾁﾐi　　　　　　　　　 しかし、少ない史料から垣間見える
　　　　　　　　　　　､} ゞ-'ﾞ｀　　　 ´｀ー'ﾞヽ
　　　,:-､,､　　　 ￣｀ﾐｰ､　 　 '　　　　 z彡孑≦　　　　　 彼の壮絶な生涯に想いを馳せると……
　　　i 　 ! ﾍ　　　　 ﾉ　 　 　 ｀;'　　　　　　 Y
　　　}-､　　{　　r-､i　　　　―'.:ﾞー　　　　　 !　　　　　　　私は、何だか不思議な想いがいたします。
　　　| 　j　　∨.1　 !　　　　　ゝﾉ　　　　　 ノ＿__
　　　i.　 } 　　∨}　 l/ヽﾍ　　　　　　 ,／￣|//// ￣ミ;,､
　／/!　 j､ ｀ ' ヽ|　 ∨//ﾄ-ﾐz､r-､彡ﾉ＿__i//////////
////,}　　ヽ '´　 ゛　　j´＼＼ﾐ､{//,}//////}｀ヽ//////
////∧　　　　　 j,　　ヽr.､＼＼ヽｿー----'　　∨////
//////ヘ　　　__ヽ　　 ﾍ　＼＼＼｀＜　　　　　 }////
////////ﾍ　　　　｀ヽ 　 >､　ヽ｀　｀ﾞ ｀ﾞヽ　　　〃///
/////////ﾊ_　　 　 　〉　!　＼　 ｀ ヽ　　 ∨　/////

　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾐヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／j
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼＼　　　　　　　　　　　　　　　, イ,: /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ ｀丶　　　　　　　　　　　／,.:〃,'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ｀ヽ＼　　　　　　 　 ／／.:;,ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ' ,ﾐ:.､ヽ　　/￣',　 /／.:／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼ヾ ヽ_j、__,.iノ彡''´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　"'''-,{｀￣´j <ﾞ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　｀ヽ.　/ ｀￣ ´　',　_＿　　　　……またまたとりとめもない感じになってしまいましたが、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ゝ､　:.　.:　 ,:ﾁ´　　｀
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.．-'''" {　ゝ､_　_.ノ　}:.､　　　　　 今日はこの辺で。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i//////,:ヽ　　 　　 ノ//ミヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{////////｀ヽ_,__,:´//////}　　　 それでは、本編でお会いしましょう。
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 }//////∧　 || i j///////
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |///////∧ .!! !'//////,i
　　　　　　　　　　　　　　　 r-､. 　　 |////////,ﾍ{.!ﾚ'//i////{
　　　　　　　　　　　　　　　 ヾ ､ﾞr､　 !/////////,∨///!///,ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽﾞ ヽ_ゝ//////////＞,.､ﾉ////,!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀丶_〃￣￣￣￣￣//{/////
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !{{////////////////ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |//ヽ.////人//////∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/////｀ヽノ//ヽ._／//,∧
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ///{/////////////∧/∧
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i///∧//////i///////!///!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|////,}//////|///////!///!

　　　　　　　　 ,-、　　　　　　　　　 　 　 _
　　　　　　　　 | r、、　　　　　　　　　 ／ l
　　　　　　　　 l ｌ::::.、 、　　　 　 　 ／.:: /
　　　　　　　　 | l::::::::、 }r -‐-、 ／ .::: /
　　　　　　　　 ヾ 、:::i /lト ---'|/ .:::::./
　　　　　　　　　　', V/::」＝=＝l ::: ／
　　　　　　　　　　 >　 ゝ‐----' '<　　　　　　 　　　　 参考文献は次の通りです。
　　　　　　　　　 /　　ノ　　 　 ＼_、　　　　　　　 　　
　　　　　　　　　,'　 　　＞　　　＜ ;　 　 　　　　　　　・河合正治『海賊の系譜』（角川書店、一九七〇年）
　　　　　　　　 ≧⊂⊃　（__人._）≦.　　　　　　　　　 ・松原弘宣『藤原純友』（吉川弘文館、一九九九年）
　　　　　　　 i⌒＼ 　 　　（_.ノ　　 ﾉ_／⌒)　　　　　 ・川尻秋生『平将門の乱』（吉川弘文館、二〇〇七年）
　　　　　　　　_　　 ＞　　＿＿　イ::ヽ ／
　　　　　　　　∧__,ﾍ}:::::::::l＞＜l :::::::::::ﾉ
　　　　　　　　ヾ_:::ッﾘ ::::::::＼／::::::::>''´

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───

　　　　　　　　　　　やる夫は『新皇』を名乗るようです

　───━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛





　　　　　　　　　　　　　　　　＜番外編・その二＞

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　終わり





.

乙でした！

このあたりの時代は史料が限られるだけに、想像力が膨らみますねー。

乙です。源義家の息子の義親なんかも、対馬守として赴任する途中で、九州を略奪してそのまま反旗を翻しその後、隠岐に流されるはずが
そのまま途中でまた反乱を起こしたなんて事があったようですし、純友も最初は中央から派遣された可能性は否定できないんでしょうね

乙
藤原純友は想像の余地が大きいせいか
近年は将門より小説の種になってる気が

乙
本当にわかってない人なんだなあ
だから小説家の遊ぶ余地があると

>>509さん
本当にそうですね！　あれこれと想いを馳せる……それが一番楽しかったりします。

>>510さん
源義親、とんだ暴れん坊ですよね(笑)

>>511さん
謎めいた人物の方が想像力を働かせやすいですからねえ……

>>512さん
ありがとうございます。

>>513さん
冒頭に、「純友は藤原北家出身」と書きましたが、実はそれすらハッキリしていません。
出自から動向に至るまで、ほとんどが謎に包まれた人物なのです。

　　　　　　　　 ,-、　　　　　　　　　 　 　 _
　　　　　　　　 | r、、　　　　　　　　　 ／ l
　　　　　　　　 l ｌ::::.、 、　　　 　 　 ／.:: /
　　　　　　　　 | l::::::::、 }r -‐-、 ／ .::: /
　　　　　　　　 ヾ 、:::i /lト ---'|/ .:::::./
　　　　　　　　　　', V/::」＝=＝l ::: ／
　　　　　　　　　　 >　 ゝ‐----' '<　　　　　　　　　────あまり罰当たりなことを言うのはアレですが、
　　　　　　　　　 /　　ノ　　 　 ＼_、
　　　　　　　　　,'　 　　●　　　● ;　　　　　　　　 将門の祟りは有名でも、
　　　　　　　　 ≧⊂⊃　（__人._）≦
　　　　　　　 i⌒＼ 　 　　（_.ノ　　 ﾉ_／⌒)　　　　純友の祟りってあまり聞きませんよね……
　　　　　　　　_　　 ＞　　＿＿　イ::ヽ ／
　　　　　　　　∧__,ﾍ}:::::::::l＞＜l :::::::::::ﾉ
　　　　　　　　ヾ_:::ッﾘ ::::::::＼／::::::::>''´



　　　　　　　　 ,-、　　　　　　　　　 　 　 _
　　　　　　　　 | r、、　　　　　　　　　 ／ l
　　　　　　　　 l ｌ::::.、 、　　　 　 　 ／.:: /
　　　　　　　　 | l::::::::、 }r -‐-、 ／ .::: /
　　　　　　　　 ヾ 、:::i /lト ---'|/ .:::::./
　　　　　　　　　　', V/::」＝=＝l ::: ／
　　　　　　　　　　 >　 ゝ‐----' '<　　　　　　　 同時期に、同じように朝廷に反旗を翻した二人でも、
　　　　　　　　　 /　　 　　 　 　 　、
　　　　　　　　　,'　 　ノ　　 　 ＼_ ;　　　　　　　その辺り何か違いがあるのでしょうか……
　　　　　　　　 ≧　　　●　　　 ●≦
　　　　　　　　　＼⊂⊃（__人._）⊂ﾉ　　　　　　 興味は尽きません。
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日本の祟り神になるには条件があります。
（１）高貴な人であること
（２）裏切り・謀略などで非業の死（または失脚）を遂げること
（３）死ぬ際に呪いの言葉を吐くこと

純友は詳しくありませんが、いずれかが欠けていたのではないでしょうか。

>>507にもある『平将門の乱』なんかでは、菅原道真と平将門の縁について考察していましたし、そのあたりが将門の怨霊化の
ポイントだったのかもしれないのなら、純友には天神様との縁が無かったのかもしれませんね

将門は首だけで京から関東に向かって飛んでったりしたからかな？

＞高貴な人
将門は新皇を名乗ったからハチミツボーイになれたけど、
純友は海賊の域を出なかったから何か怖そうな人程度だったんジャマイカ？

そういえば関東では、戦国期の避難用の山城が、江戸期になって何故か「あれは将門の城」となっているものが
かなりあるそうでｗ

>>517
うちの地元は茨城県西部(旧下総)ですが、菅原道真の息子、景行が建立した菅原天満宮があります。
この菅原景行と将門の父は親交があったらしいとか。

そいつは簡単に思えるな

日本は東西で民族意識が違う

平安時代の京都の貴族から見ると、
東国は言葉がおかしく、治安が悪いのに対し、
西国は言葉はおかしくないし、治安も良い

当然、東国人は、そんな京都が気に入らないし
西国人は京都への反発が小さい

だから西国の人々には
京都を恨んで死んだ人間というのが
必要なかった…という印象かな

>>516さん
ご教授頂きありがとうございます！
なるほど～ まさかこんな条件があるとは……

>>517さん　>>521さん
調べてみると、将門と菅原道真って結構共通点があるんですよね。
たいへん興味深い視点だと思います！

>>518さん
「討ちとられ方」にも、両者の違いがあるかもしれませんね。

>>519さん
藤原純友の最終官位は従五以下でした。また、生母の身分が低かったともいわれます。
たしかに、「高貴な人」には当てはまらないように思います。

>>520さん
それは初耳です！　何故でしょうね？（笑）

>>522さん
東西の民族意識の違い……それもあるかもしれませんね。すごく納得しました。

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　　　　　　　　　,'　 　ノ　　 　 ＼_ ;　　　　　　　なお、本編の投下は2/18（土）の21時～を予定しております。
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怨霊ってのは、恨みを持った側だけではなく、恨まれているという自責の念のある側が鎮魂のために作る部分もあるようですね。>>516みたいな条件を
備えるには、東国であっても阿弖流為（または悪路王）なんかは、非業の死であっても当てはまらなかったようですし

>>520
>>523
うちの市（関東南部）にも、なぜか将門が本拠地にしようとしたけど、「この地は不吉」と夢でお告げがあったから北関東へ移住した伝説があります。
田原籐太（藤原秀郷）由来の地名があったり、将門と秀郷が出会ったのが、この地だったり・・・
実際に藤原秀郷の子孫が領有していたんで、そういう伝説が生まれたのかもしれないと思ってます

菅原道真あたりは東西関係ないしね

>>525さん
>>526さん
ううむ……掘り下げていくと、「怨霊」というのは実に深いテーマですね。

>>525さん
>>526さん
ううむ……掘り下げていくと、「怨霊」というのは実に深いテーマですね。