502 :
◆KcxXifcWsc:2011/07/06(水) 21:03:04 ID:yHZWVVQw
/≡≡≡≡≡≡≡≡≡|
|┌─────┐ ⑪ |||
| | | ◎ |||
| | | |||
| | | ||||||| |||
|└─────┘||||||| .||
 ̄| | ̄|| ̄ ̄ ̄ ̄| | ̄||
.......|_| :::::::::::::::::::::::::: |_|:::::::::
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
この日、ダイエー赤羽店では、限定ながらも、
カラーテレビを当時としては破格値の5万円で売り出すことを決めていた。
それを聞きつけていた客が、開店前には行列を作っていたという。
電化製品店とかでテレビを販売する場合、サンプルとしてテレビ番組の放映をすることが多い。
数時間後、あのようなことが放送されることになろうとは、誰も思っていなかったであろう。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
503 :
◆KcxXifcWsc:2011/07/06(水) 21:03:37 ID:yHZWVVQw
___
/ ヽ、_ \
/(● ) (● ) \ 今日は夕方までに東京に帰ればいいから、
/::: __´__ :::::: \ それまで京都観光でもしましょうか。
| l^l^lnー'´ |
\ヽ L / 昔と違って新幹線がありますから、
ゝ ノ 3時間もあれば帰れますからね。
/ /
【奥野健男】
_____
/ ― \
/ノ ( ●) \ しかし……どこに行きましょうか。
.| ( ●) , | 名残の紅葉なら、栂ノ尾とかでしょうが……
.| /
.| '~ /
\_ ⊂ヽ∩\
/´ (,_ \.\
| / \_ノ
504 :
◆KcxXifcWsc:2011/07/06(水) 21:03:59 ID:yHZWVVQw
____
/ \
/ ⌒ ^ \
/ (⌒) (⌒) ヽ せっかくだから、法然院の、
| __´___ | 谷崎(潤一郎)先生の墓参をしましょうか。
\ `ー'´ /
ノ \
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
奥野健男は、その日、午後3時の新幹線で東京に帰る予定だった。
そこで、それまで京都観光をすることにした。
いろいろと悩んだあげく、谷崎潤一郎の墓参のため、法然院に向かうことを決め、タクシーに乗った。
午前10時過ぎのことである。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
505 :
◆KcxXifcWsc:2011/07/06(水) 21:04:25 ID:yHZWVVQw
__
/ ̄ \
| :::|
| ::::|
| 寂 ::::::|
| ::::::|
| :::::|
| :::::::|
| 空 :::::::|
| :::::::::|
| ∬ ∬:::|
| ii ,,≦≧、 :ii :::::|
_ | 旦∥===∥旦::::::| _
-W-----┘二二二二二二二二二└--ff---\--
/ ̄ ̄ ̄ \
/ ノ ヽ \
/ (ー) (ー) \
| __´ _ |
\  ̄ /
. ノ / )ヽ く
( \ /__ノi ) , )
. \ ゙ / ヽ ヽ/ /
\_/ \_ノ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
大体11時くらいだろうか。
奥野は、法然院にある谷崎潤一郎の墓の前にいた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
506 :
◆KcxXifcWsc:2011/07/06(水) 21:04:45 ID:yHZWVVQw
_____
/ \
/ _ _ \
/ ´ , ` ´ ` \
/ /´ `ヽ r´ `ヽ. \
/ ( f;;;;j l l f;;;;j ) \
| ヽ_ ` _ノ ヽ_ ´_ ノ | 化野に……念仏寺に行ってください。
| く |
\ /
\ ー -- - - /
\ _ _ /
/::::::i \,` '' / " !:::::::`:、._
_.,.、;.::::.:'/::::::::::::i /´;;`ヘ. i::::::::::::ヘ;:.:::..`:..:::....、
.,、..:.:':´::::::::::::::::/::::::::::/! ∧;。;;。ヘ iヘ:::::::/::::::::::::::::::::::`:.:..、_
./´:::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ/:::::::i / ∨;;;/ \i::::::::\::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`:ヽ.
/::::i:::::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::::::! /;;。;;'. !:::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,':;:::i
. /:::::::!:::::::::::::::::::::::::::::ヘ::::::::::::::::::i ,';;。;。;;'. i:::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::::i
/::::::::::';:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::i ,';;;。;;;。;;', i:::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
その後、奥野はタクシーに乗り、化野念仏寺に行くよう指示した。
「ぼくは化野あたりは好きでない。しかしどう言うわけか急に行きたいという言葉が出てきた。」
何の気なしに、ふと思い立って化野に向かったようである。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
507 :
◆KcxXifcWsc:2011/07/06(水) 21:05:11 ID:yHZWVVQw
. ................:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:........... . . . . ............ . . . . . . . . . . . . . . . . ..:.:...... . . . . . . . . ...........
. . . . ...............:.:.:.:.:.:.:.:.:.:............. . . . .................... . . . . . .. . . . . . . . ....:.:.:.... . . . . .
. . . . ...............:.:.:.:.:.:.:.::............. . . . . ............. . . . . ...... . . . . . . . ........:.:.:....
. . . . ...... . . . . . . .... . . . . . . . . . ........... . . . . .
n . . . ....... . . . . ...... . . . . . ....................:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.............
|] p . _ . . . . . . ..........:.:.:.:.:.:::::::.:.:.:.:........ . .
}| {} ,! | . . . . .....:.:.:.:::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:...... .
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_ [] .: .: ロ [| __ ロ `゙゙'''''ヾ、,, . ._,,. - ‐‐ ''"´
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.: :::. 口 冂 [] |::.|____ ,.---、、 |;:;:::|
.: :::. ____ Π |::::;;| .ji || |;;::.:.;;;|:| |::;:::| ,.-、
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r‐v'i |:::::;:;:;|.:| 「 ̄ ,. -‐‐‐‐‐‐-,._ ! i'i'i.| |:;:::;:;:;|:| || || |.:.:.:::::|.| [ ̄ ̄ ̄] ┌─┐
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|:.:.:| | ! ll !.| !|:.:.:;::::|..| |::::::;::;:;:;:;:;;;;;;;;|::..! ll |:!l |:.:;:::;:;|:| ┌┴‐‐‐─┴┐ |`r‐‐
|....:| | ! i! !.| l|;;;;;;;;;;|..|_ |::::::::;::;:;:;:;:;;;;;;|:...! .!l|:lr';;;;;;;;;;;;ト1 └‐─‐‐‐─‐┘ | :|;;;;;
. ̄.´l ! | i.| ̄ ̄ ̄! l_ |:::::::::;::;:;:;:;:;:;;;|:.:.! ,!,| | ̄ ̄ ̄´!_ | .|;;:;:
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 ̄ ̄ ̄ ̄´ |:;:::;::;:;;:;:::::;;:;;;|::::! |: |;;:::
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化野念仏寺、西院の河原。
8000もの無縁仏の石仏・墓石が並ぶところである。
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508 :
◆KcxXifcWsc:2011/07/06(水) 21:05:30 ID:yHZWVVQw
_____
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/ ヽ
|  ̄`丶 ' ´  ̄ |
| ‐ュ::::ェ‐ ‐ェ::::ェ‐ | ・ ・ ・ ・ ・ ・
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. \ ´ /
. \ - ――- /
/ヽ イ\
/ \
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
奥野はその西院の河原で、小半時ぐらいだろうか、佇んでいた。
12時15分くらいのことである。
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509 :
◆KcxXifcWsc:2011/07/06(水) 21:05:46 ID:yHZWVVQw
●
●
●
●
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510 :
◆KcxXifcWsc:2011/07/06(水) 21:06:05 ID:yHZWVVQw
,.-,r=‐''¨''=‐<
,r'" " -‐- ,_\
/ `ヽヘ
__L__ __ ヽ、゙ヘ,
. ,r''"~ __,,.. ̄` '´ ̄ `ヽ、 ヽ, ',
/,ィ''"~ /⌒ \ ヽ,|
,/ ' __ ヽ, ',
_,' ´ ~ヘ, ', ヘl
,r'" ` , ヽ ', ',
/ , ,' . i . i 、 .ヽ } ',.l
,' , ./ . l .l! .l! ヽ ヽ .', | 'i
. { .l .{ ,l . l', |'、 .', ', . } .l .l
l .| .l _Iニ=|、', . l .゙yニキ==、', ,' l i、',
. ヘ!', ', i''=ト.,_ヽ、 ', _,,ゝ=ェ,,__ .l /,.-、 / |
', '、 ゙ Ⅶ;}` .`‐ ". Vllll;;;j ノ l /.,r-、', ./ l すみません、遅刻してしまいました。
ヽ ヽ, ',`、_¨ _゙''=", /! ./ ,'. !j ./ i l
ヾlヽミ 、 `¨´ /ソ 从'>'">' || で、原稿は……
. ヽ、 ,イ/〃 / .l、!
いヽ、 ,..._ "/ ´l、!" ゙, .ヘl
゙、j .ヽ ̄` _,..< .トj ヘ 从
` .`ゝt‐ ''" _,,ィ! ` ゙从ヘ
゙j_,,,... -‐ill|!!ィl
. l≡-‐''"~ .ヽ
--‐ ''" ヽ、
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
前日、連絡を受けた「新潮」の編集者が、三島邸を訪問したのが10時40分ごろ……
約束の時間から10分の遅刻であった。
そのとき既に三島は自宅を出ており、
編集者は原稿をお手伝いさんから受け取った。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
511 :
◆KcxXifcWsc:2011/07/06(水) 21:06:26 ID:yHZWVVQw
_,-`^--y<_
」\ _-=-- -- z<_
_>> ,-‐ ´ ̄ ̄ `┴<
「 之′y´ ,. ,. ヽ、. ━┓
」i ,r' / 太太v''〈 、, ソ ヽ ┏┛
/、 /ソ /リ (●) リ入ッ ,、 / ・ あれ、三島先生って……
. J l | イ l゙i , (●)::/ヘ/
. l゙i ゙!)!|ヘ. ヽ ノ いつもこんなに原稿に封をしていたかしら?
/:::::::::::::::::ヽ、__ ,. ィく
,r'::::::::,'::::::::/ l::::::::::::l
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
そんなにも時間ギリギリの指示だったのだろうか? 編集者は訝しがった。
さらに渡された原稿が厳重に封をされていたことも気になった。
三島はこのようなことをする人物ではなかった。
原稿を見られたくないような事情があったのだろうか?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
512 :
◆KcxXifcWsc:2011/07/06(水) 21:06:54 ID:yHZWVVQw
n. _
||n,、∥
r‐、j i
` t /
/ ,'
___ / !
r´:::::::::::::ヽ / ,' l
i:::::::::::::::::::::i r'⌒` 、 ! 義理と人情を 秤(はかり)にかけりゃ
(i:::::::::::::::::::::ソ /`"'‐、 i' 義理が重たい 男の世界
`;:::::::::::::::::i _, '"´ ヽ / `r' 幼なじみの 観音様にゃ
ト,"'゙'"''"|_, -ー'´ i/ , '´ 俺の心は お見通し
_ -''´  ̄ ` ' / 背中(せな)で吠えてる 唐獅子牡丹
, -'' /
i、 /
/ ヘ i
/ ヘ / / {
〉 / ヘ / / |
// ヘ / / !
〉 |! / / ;
ゞ‐- ‐'´∧ / ,' i
. |"''‐‐''´} ', -‐ ' , !
ゝ--‐ 〈 ヽ、 __ ,/ / / {
i ̄ | 冫 i
l i / == ', === |
| ,' i ', |
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
後年、三島のその日の行動の記録を確認すると、
この日、「楯の会」の構成員が三島を迎えに来たのが午前10時13分、
三島が自宅を出たのが同15分ということが分かっている。
原稿の受け渡しの予定があったのなら、「楯の会」という組織を考えるなら、
三島の申し出により出立を遅らすことができたはずである。
しかし、三島はそれをしようとしなかったようだ。
構成員が早く来ることを予期していたのか、
そもそもそういう予定だったにも関わらず、原稿受け渡しを入れたのか……
この辺りの事情は今となっては分からない。
なお、余談であるが、
三島は家を出た後、「唐獅子牡丹」を口ずさんでいたという。
どのような心境だったのだろうか……
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
513 :
◆KcxXifcWsc:2011/07/06(水) 21:07:17 ID:yHZWVVQw
、-ー'`Y <,___
__≦ー`___ _二z<_
> 7  ̄、-人  ̄`'┴<
<之′Y´/{:;o) \
>{ ,' | 、 ゛´ ,. ,.l , ゙i
| !、{ | 寸寸T ハT7} ィ,l ったく、厳重に封印されてるわ、これ……
′Ji, ゙i ゙i ( ≡) (≡)|ハ|
i⌒ヽ'(1. ''' _'_ ''' ノ川/⌒) これは社に帰ってからじゃないと、開けられないわね。
. ヽ ヽx>、.`⌒´_,イ l |::::ヽ/
∧ 人lハ:::::l,三|:::/l| ,:::::ハ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
原稿の入った封筒は、ホチキスで4箇所が止められ、
三重の封筒に入れてあるものだった。
ここまで厳重だと、移動中に開封することはできない。
編集者は編集部に帰ってから、開けることにした。
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514 :
◆KcxXifcWsc:2011/07/06(水) 21:07:38 ID:yHZWVVQw
,_ _
、-ー'`Y <,___ /|
__≦ー`___ _二z<_ / |__
> 7  ̄、-‐ ´ ̄`'┴< \ /
<之′Y´/ \ | \
>{ ,' | 、 , ,. ,.l , ゙i  ̄ ̄
| !、{ | 寸寸T ハT7} ィ, l
′J゙i, ゙i ゙i (○) (○)| ハ|.
゙i|゙i'(1U .,---v | な、何じゃこりゃ!!!!!!
゙iTィ.,_ ilili l__ノ
│「ィ::ニE7 l __ 「 豊 饒 の 海 」 完 っ て ! !
└l´::::/ヽト / /
|::::|´  ̄`i/ とヽ
|::::| | ̄=-'
|:::::| \
/lrェリ l ヽ \
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
社に帰ってから、編集者は驚愕した。
表紙に「最終回」、巻末の原稿には「豊饒の海・完」と書かれていたのだ。
連載小説の場合、作者の気分で勝手に最終回にしてしまうと、
その次の号以降にいわゆる「穴」を開けてしまう可能性が高くなる。
そのため、普通は連載の進度はどれくらいなのか、いつ最終回になるのか、
そういうことは作家と編集者で確認を取るのが普通だし、三島もそのようにしてきたのだ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
515 :
◆KcxXifcWsc:2011/07/06(水) 21:08:13 ID:yHZWVVQw
_ _,
___,> Y´'ー-、
_> `r‐ ≧__
>イ ` <
/ > > これは……、入稿できないわよね……
. / < ,' リ
l ,ィ ヽ ,/ } ノ とりあえず後で三島先生に確認を取ろうかしら?
|ハ | |<ヘ,Y´入ノ リノ ,/レ′
∬ `| ノ ...::/|/ 「楯の会」の会合の場所さえ分かれば、
・━ヽ、ゝ / j.:./|/ そこに直接問い合わせるんだけど……
,l:/ノルリハ:ソ
/ ∥ ∥\
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集者は、三島に確認してからでなければ、入稿はできないと考えた。
確認ミスかもしれないし、原稿の渡し間違いかもしれないからだ。
しかし、確認しようにも、三島の居場所が分からなかった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
516 :
◆KcxXifcWsc:2011/07/06(水) 21:08:40 ID:yHZWVVQw
_ _,
___,> Y´'ー-、
_>z二_ ___`ー≧__
>┴'´ ̄` ‐-、 ̄ 7 <
/ ヽ `Y′之>
. / , l、 、 , 、 | ヽ }<
l ,ィ {7Tハ T寸寸 | }ノ |
|ハ |(●) (●) / / ,/レ′
`| ヽ 「)'/|/ あれ? なんか雰囲気おかしいわね……
ヽ、_ ロ _,.ィT/
. 'f ^'il^''r'
,' l l { 、
レ! ,ハ '、〉
`l`" `"1
,r'´ ヽ、
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
三島邸へ原稿を取りに行った編集者が、
編集部の異変に気づいたのは、それから少し後のことであった。
異変が起きたのは編集部だけではなかった。
新潮社全体が騒然としていた。
いや、日本全体が、騒然としていたのだ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【つづく】
517 :
◆KcxXifcWsc:2011/07/06(水) 21:09:21 ID:yHZWVVQw
以上でございました。ご清聴ありがとうございました。
次回は金曜日、7月8日21時より投下します。
519 :
名無しのやる夫だお:2011/07/06(水) 21:24:15 ID:zv/j5gx2
いよいよか……乙
520 :
名無しのやる夫だお:2011/07/06(水) 22:48:11 ID:hD.MdxoY
ここら辺の話聞くと緊張するよね
521 :
名無しのやる夫だお:2011/07/07(木) 09:27:39 ID:ZNSdAvg6
乙でした。
ぞわぞわしてきた。
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