■2022/07/10(日) 名作ショートショートをAA化しよう 「Lady for Drowning」 |
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![]() 短編まとめ 18禁短編まとめ やる夫&モナギコショートストーリーセレクション 454 名前:B級シネマ ◆qrSUVPbtek [sage] 投稿日:2009/08/26(水) 06:50:32 ID:38FQbz5/0 (PC) 1/10 2年ほど前私が引退しようとしていた頃のことでして、郊外の方にささやかな別荘でもと思って物件を捜しはじめました そう簡単に見つかるものでもなく、10軒以上の物件を見てまわってようやく、アムハーストの不動産屋で望んでいたとおりのもの を見つけることができました。街から2マイルほど離れたところにある小さな村の中のウェル・コテージというものでした | ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| | ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄| ~~"~~"~~"~~""~~" 井戸があったのは、その庭の端でした。もちろん、長い間使われていないもので、ただ、 それがあるせいで、ちょっと独特の面白い雰囲気になっていました まあ、そんなふうに思っていたのです 455 名前:( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:2009/08/26(水) 06:51:28 ID:38FQbz5/0 (PC) 2/10 4月の晩のことでした もう暗くなりかけていましたが、わたしはまだ庭に腰を下ろしていました その日は1日陽射しが強く、室内へ入ろうと思うほど寒くなってはいなかったからです ∧,,∧ ミ,,゚Д゚彡y─┛~ ミ ミ __ ∧ ∧ ミ ミ ~´ティブルス(,,゚Д゚) ,.wW,, ,ww,, | ̄ ̄|JJ ∪∪ ̄ ̄U U ,,.,、 ,.wYw,,. ''"´''"''''゙'"''"`'''""`"゙゙'''"''''''"´'''"""''"`''''''"`""''''``''‐'''''"`゙゙"''''``''''"´''"'''' 猫が井戸の方をじっと見つめているのに気がつきました わたし自身は、猫が警戒しているものは全然見えませんでしたが。 わたしは立ち上がって庭の端へと歩きました ティブルスについてくるように言ったのですが、一歩も動こうとはしませんでした 456 名前:( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:2009/08/26(水) 06:52:18 ID:38FQbz5/0 (PC) 3/10 井戸の近くへ歩いていくと異常なまでの恐れと寂しさを意識しはじめ、 それがあまりにも生々しく激しいものだったので、井戸そのものから立ちのぼる強い悪臭のように感じられました :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: :::::::::::::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::::::::::: :::::::::::::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::::::::::::::::::::: :::::::::::::::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;; ∧,,∧ ;;;;;;;;;;;;;:::::::::::::::::::::::::::::::::: ::::::::::::::::::;;;;;; ミ゚Д゚i|!彡 ;;;;;;;;;;;;;:::::::::::::::::::::::::::::::::: ::::::::::: ミ ミ) ;;;;;;;;;;;;;:::::::::::::::::::::::::::::::::: | ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ミ ミ ;;;;;;;;;;;;;:::::::::::::::::::::::::::::::::: | ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄| し`J ;;;;;;;;;;;;;:::::::::::::::::::::::::::::::::: ~~"~~"~~"~~""~~" 堪えがたいほどのものだったので、急いでそこを離れました 井戸から遠ざかると、その恐ろしい感覚は消えました 穏やかな4月の晩に戻ったわけです 457 名前:( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:2009/08/26(水) 06:53:39 ID:38FQbz5/0 (PC) 4/10 その3週間ほど後にまたあったのです 今度は、最初の晩にティブルスが見たに違いないものをわたしも見ました 溺れた婦人を見たのです :::::::::::::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::::: :::::::::::::::::::::::::;;;;;;;;;;;;_ ;;;;;;;;;;::::::::::: :::::::::::::::::::::::::;;;;;;;;,' ,ノハヽ;;;;;;;;;;::::::::::: :::::::::::::::::::::::::;;;;;;;川;;:::゚リ ;;;;;;;;;;::::::::::: :::::::::::::::::::::::::;;;;;;;/ ii=ii| ;;;;;;;;;;::::::::::: ::::::::;;;;;;;;;;;;;;| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄|;;;;;;;;;;::::::::::: ::::::::;;;;;;;;;;;;;;| ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄|;;;;;;;;;;::::::::::: ~~"~~"~~"~~""~~" 服が水でびしょぬれになっているのが見えました その黄金の髪、肩にぺたりと垂れていて、目は盲目のぬれた眼差しでわたしの方にじっと注がれて、見るも恐ろしいものでした 見えない霧のようにその人を取り巻いている、恐怖と不幸の感覚を、わたしはまた強く感じたのです この衝撃的な姿がどれくらい見えていたのか、わたしにはわかりません でも、とうとうそれは消えて、それに伴う邪悪な感覚も一緒にどこかへ行きました 458 名前:( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:2009/08/26(水) 06:54:56 ID:38FQbz5/0 (PC) 5/10 翌朝直ちに、バスに乗ってアムハーストへ行き、不動産屋に会いました ウェル・コテージについて気持ちが変わったので、できるだけ早く手放したいと告げました 引退後の静かな年月を全く知らない女の幽霊で台なしにされたくはなかったのです | 何か特別な理由でも? \___ __________ |/ | 期待していたような雰囲気でなかったというところがちょっと \_______ _____ \| . __ ∩-∩ ヽ| ・∀|ノ /◎\ ============================ ∧,,∧ _____________ノ ミ,,゚Д゚彡 . ┏━━┓ ┏━━┓ | ミ ミ ━┳━ ━┳━ | ミ ミ ------┻---------.┻───┘ し`J 459 名前:( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:2009/08/26(水) 06:56:04 ID:38FQbz5/0 (PC) 6/10 数日後、若い男が下見をしたいとやってきました コテージを見るとずいぶんと喜んでいるようでした : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : //:.:. :.:.:. : ((.,_,.)):.:.:.:. :. ...::ヘ:. :. :. .: ::. :. :. :. :. :. .: ::. :. :. :. :. :. .: ::. :. :. :. :. :. .: :: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : //:.:. :.:.:. :.:. :.:. :.: .: .:: .:.. :. .:.. :.ヘ:. :. :. .: ::. :. :. : ____________ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : //:.:.:.:.:======‐ヽ:.::.::.:.:..ヘ:. :. :. .: ::. :. :. ヘ,i,_,i,_,i,_,i,_,i,_,i,_,i,_,i,_,i,_,i,_,i,_,i,_,i,_ ::: : : : : : : : : : : : : : : : : //:.:.:./,i,_,i,_,i,_,i,_,i,_,i,_,i,\ ヽ. ::.:..: ヘ:. :. :. .: ::. :. :. ヘ,_,i,_,i,_,i,_,i,_,i,_,i,_,i,_,i,_,i,_,i,_,i,_,i,, ‐- 、::::::::::::::::::::::::::::::::::://:.:/,i,_,i,_,i,_,i,_,i,_,i,_,i,_,i,_,i,_\ ヽ: :. .:.ヘ:. :. :. .: ::. . :. :ヘ,_,i,_,i,_,i,_,i,_,i,_,i,_,i,_,i,_,i,_,i,_,i,_ :.. .: `ヽ、::::::::::::::::::::::/// ,_,i,_,i,_,i,_,i,_,i,_,i,_,i,_,i,_,i,_i,_,i,\ ヽ: .. :ヘ:. :. :. .: ::. :. :. ヘ,_,i,_,i,_,i,_,i,_,i,_,i,_,i,_,i,_,i,_,i,_, : :.... . :. :. :゙;:',,.:::::::::::::/[=:i  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ i ̄i====]----‐‐‐‐‐‐‐l ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ..:. . :. :.::. :.:. :~`-, | ::| ::; | | | | :;:;,;,;,:;,, ::::; ; : :. :. :. :. :. . . :} | ::| ; .:.| |;; ;;:;;| | }三三三{ :;、/::. :. :. :. :. :.:..ノ | ::|:.:. ;;:;;;;;; ;:;:;:;;;;;:| | .: | | || || || :._::=;::. :.:. :..‐~ | ::| :{≡≡≡≡≡≡≡} : . | | | | ||--||--|| ; l:;;::;:;::; :ノ::::::::::::::::: :| ::| |l┌┐ ∥ ┌┐l| : | |;;:;;:; | | || || || ::;: .:.:;::;:: :;.i~::::::::::::::::::: :| ::| |l │ ∥ │l| | | ;;:;;;;| | }三三三{ :. .: :. ソ::::::::::::::::::::::: :| ::| :;:;:::|l ∥ l| | | ;;:;;;;| |: :.:ヽーr⌒)‐- .、:::::::| ::| ;;;:;;:;;|l┌ Ⅱ∥Ⅱ ┐l|: | | | | :::::::;:;::;::::;::;:;::: :. }:::::::| ::| ;;;:;:;|l │ ∥ │l| ;| |;;;;;:; | |;;;;;;wliwliwwliliw;;;_wliwlw_ :::::::;::::;::::;:;::::::: : } wli|,,_ ;;|,,____,,|l ┘ ∥ ┘l|,,___,,__|__,,|,,__,,__|__,,.. .-‐'''""~;;:;,:;,:;wliiwliililw :;:;:;:; ::::::::::::;::::;::rーwijknwn  ̄:.:  ̄ .. ̄:.  ̄ wliwliWliwlilwli wlilijlijwlijwWlij :;;::;:;;;;;;;;wliwliw ;;;;; , ' ´~ liliiwliliwil :. :. : ::.. .:. .. ,, ,,.. .-‐ '''" "゙WililjlilijWwwliil゙゙゙ ゙゙゙゙゙゙ wwWliliwjlilijlijlw゙゙ wwliilwnw__,,-‐'''" :.. .: .: :. ,/'`゙;;;;;;;;:;;;;;;::'´゙;ll;l wliwliwli,, ゙゙゙´''` ゙゙゙´'`゙゙wwliwli゙ ゙゙ '''' ,, ゙゙´´' 「これこそわたしたちが捜していたものですよ もし差し支えなければ、今日の夕方にでも家内を連れてきて見せてやりたいのですが。 家内が同じように気に入ったといえば、契約します」 460 名前:( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:2009/08/26(水) 06:56:56 ID:38FQbz5/0 (PC) 7/10 わたしが庭で待っていると、彼等がやってきました あの若い男、不動産屋、そして───わたしは一行の前で莫迦みたいにただ見つめるだけでした 真ん中をあの溺れた婦人が歩いていたからです _ ,' ノハヽ 川 ヮ゚リ __ (,,'A`)')と ii=iiつ. ヽ|・∀・|ノ (| |ノ ノ__ヽ |__| .し'J し'J | | ∧,,∧ ミД゚ 彡 ミ ミ 「また、伺いました」と若い男が言いました 「そうそう、これが家内です」 461 名前:( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:2009/08/26(水) 06:58:00 ID:38FQbz5/0 (PC) 8/10 わたしは部屋を見てもらうために、3人を家の中へ招き入れました その後で、一人で庭の方へと歩いていきました ∧,,∧ ミ ,,‐Д彡 ミ ミ ミ ミ ,.wW,, ,ww,, | ̄ ̄|JJ ,,.,、 ,.wYw,,. ''"´''"''''゙'"''"`'''""`"゙゙'''"''''''"´'''"""''"`''''''"`""''''``''‐'''''"`゙゙"''''``''''"´''"'''' 頭が少しはっきりしてきた頃、この出来事と関係ありそうな本を読んだことを思い出そうとしていました J・W・ダンの『時間論』、ご存知でしょう でも、まだ狼狽えた精神状態で、決意しかねていたのですが、そのとき、3人が戻ってきました。 462 名前:( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:2009/08/26(水) 06:59:08 ID:38FQbz5/0 (PC) 9/10 「ドリーンもわたしと同じようにすっかり気に入りましてね。そうだね?」 若い女性は、楽しそうな笑みを湛えて頷きました わたしの心はかちっと音をたてて決まりました 「申し訳ないのですが、気が変わりました。どうしてもお譲りすることはできません」 3人は、じっとわたしを見つめました | でも、ちょっとあなた | わたしたちは欲しいんですよ。もし、値段に何か不満があるならば── \___ __________ |/ _ ,' ノハヽ 川д゚リ __ と ii=iiつ. (;'A`)') ~|・∀・|~ ノ__ヽ (/ ノ |__| し'J し'ヽ) < | ∧,,∧ ミ ,,゚Д゚彡 ミ ミ /| / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ | 価格は全然関係ありません。お譲りするつもりがないということです。 | わたしが言うことはそれだけです。 やっとわたしの決意は固いとわかって、3人は出て行きました 不動産屋はアムハーストへ戻る道すがら、すっかりわたしの気が狂ったのだと説明したに違いありません 463 名前:B級シネマ ◆qrSUVPbtek [sage] 投稿日:2009/08/26(水) 07:00:10 ID:38FQbz5/0 (PC) 10/10 数週間後、退役軍人にウェル・コテージを売却しました これは2年ほど前のことで、それ以来、あそこには近寄っていません 当然のことながら、1つの疑問が心の中でしつこくわたしを悩ませるのです :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: :::::::::::::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::::::::::::: :::::::::::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::::: ::::::::::::::::::::::;;;;;;;;;;;; ;;;;;;;;;;::::::::: ::::::::::::::::::::;;;;;;;;;;;; ;;;;;;;;;;::::::::: :::::::::::::::::::::::;;;;;;;;;;;; ;;;;;;;;;;::::::::: ::::::::;;;;;;;;;;;;;;| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄|;;;;;;;;;;::::::::::: ::::::::;;;;;;;;;;;;;;| ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄|;;;;;;;;;;::::::::::: ~~"~~"~~"~~""~~" わたしはあの不運な若い女性の命を救うことに成功したのか、そうではなかったのか 464 名前:B級シネマ ◆qrSUVPbtek [sage] 投稿日:2009/08/26(水) 07:00:58 ID:38FQbz5/0 (PC) 「怪奇礼讃」 エイドリアン・アリントン作 「Lady for Drowning」 465 名前:( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:2009/08/26(水) 13:22:06 ID:PcBnGDQe0 (PC) >>464 久しぶりの新作でした GJ! 466 名前:( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:2009/08/26(水) 18:01:00 ID:FFzVSA2n0 (PC) おつ おもしろーい 467 名前:( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:2009/08/27(木) 22:28:31 ID:z56dc1O60 (PC) 良かった!久々に世界に入り込みました。 469 名前:( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:2009/09/07(月) 20:46:52 ID:q1F7Q8ax0 (PC) >>464 乙!好きだわ
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| 14:11 |コメント(0) |
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