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ニュース解説 / kosh_ian / URL
2007年11月11日 17:33

自転車や歩行者も見ておくべき道交法改正まとめ

 
ドライバーも歩行者もみんなチェック!

道路交通法は、道路を利用する全員に関係してくる法律ですが、テレビなどではどうしても視聴率が取れるものに情報が偏ってしまいます。なので改正が決まっても新聞の片隅でちょっと書かれる程度のことも多く、意外と知らない道交法改正があったりします。

そこで最近の道交法改正をまとめてみました。

飲酒運転への罰則強化

2007年9月19日施行

飲酒運転関係は事件の報道も多く、よく知られてる改正かと思います。痛ましい事故に繋がっている事もあり、かなり強化されています。

改正前改正後
酒酔い運転 3年以下の懲役または50万円以下の罰金 5年以下の懲役または100万円以下の罰金
酒気帯び運転 1年以下の懲役または30万円以下の罰金 3年以下の懲役または50万円以下の罰金
呼気検査拒否 30万円以下の罰金 3ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金

酒酔い運転と酒気帯び運転の違いですが、酒気帯びは呼気中アルコール濃度0.15mg以上、酒酔いは歩いてふらついてるか等によって総合的に判断される、とのこと。

また、飲酒運転幇助についても罰則が整備され、飲酒者に車を貸したりすると飲酒運転と同じ罰則が適用されるようになりました。

運転者へのアルコール類の提供と車への同乗も以下の表のように罰則の対象になります。

運転者が酒酔い運転3年以下の懲役または50万円以下の罰金
運転者が酒気帯び運転2年以下の懲役または30万円以下の罰金

要するに飲酒運転はしないさせない、してる人がいたら近寄らない、できるなら止めさせる、ということですかね。

ひき逃げへの罰則強化

2007年9月19日施行

車のドライバーには救護義務というものがあり、事故にであってしまったら怪我人を助ける義務があります。

先の飲酒運転が前の法律では「逃げた方が得」という状況になってしまって、実際ひき逃げをしてしまう人がけっこういたようです。

というわけであわせてひき逃げも罰則強化になりました。

改正前改正後
5年以下の懲役または500万円以下の罰金 10年以下の懲役または100万円以下の罰金

飲酒運転だけでも5年以下の懲役になることもありますから、飲酒運転+ひき逃げで15年の懲役になることもあるわけですね。

ネットではお酒を車に積んでおいて、飲酒運転が見つかりそうになったらすぐ車を止めて積んでおいたお酒を飲み「今飲んだ」と主張するという法律逃れ手法が書き込まれてる事があります。

しかし実際にやってもアルコール濃度などでバレるんじゃないかという気がしますし、何よりそんなことしてると今度は車で酒類を運ぶのも法律で制限されるんじゃないかと心配でなりません。

少し前に20歳にならないと、肉じゃがは作れない?!という記事が話題になっていました。みりんや料理酒などもアルコール分が入ってるので、20歳以上じゃないと買えなくなってしまったというお話です。

法律を守らない人が多いと法律を強化せざるを得なくなって、不便な世の中になるという恰好の例ですね。

以上2つは飲酒運転の罰則等:警視庁から。

自転車利用者対策

2007年6月20日公布(1年以内に施行)

自転車の利用も道路交通法の範疇。あたりまえですが自動車だけのことではないんですね。また、歩行者にも努力義務があるようですので注意しましょう。

それからヘルメット着用努力義務というのが加えられました。児童や幼児が自転車に乗るときは、ヘルメットを付けさせなければいけない、という保護者への義務ですね。

しかし自転車関連でネットでも議論が盛んだったのは、普通自転車の歩道通行可能要件の明確化です。

自転車も車両なので車道を走るものなのですが、実際には車道を自転車が走っていると非常に危険だったりしますよね。そこでどういう場合に自転車が歩道を走っていいかを明確にしようという事になったようです。

その要件とは、以下の3つです。

  1. 道路標識などで指定された場合
  2. (自転車の)運転者が児童、幼児の場合
  3. 車道または交通の状況からみてやむを得ない場合

そして歩行者にも「普通自転車通行指定部分をできるだけ避けて通行する努力義務」が課せられます。

ネットにソースが見つからないのですが、議案審議情報の下のほうに載ってますね。

この改正に関しては、自転車乗りの間から異論が噴出していました。

議論の段階では「特に危険な道路は自転車の通行を禁止するなどの措置を講ずる」などという文言が書かれており、その「危険な道路」の定義が非常に曖昧であるという批判でした。

また、自転車と一口に言っても様々で、ロードレーサーのような時速30〜40kmは普通に出る自転車と、ママチャリのような自転車を一緒くたにしてしまうのは問題があります。

そういうわけで国内の自転車乗りたちがネットで批判を続け、なんとかこうした法律の改悪を防ぐことができたようです(参考)。

メールマガジンやブログなどでも意見を集めて意見を出していけば、きちんと法律に反映させていけるんですね。

後部座席もシートベルト着用義務

2007年6月20日公布(1年以内に施行)

後部座席は安全でシートベルトは無くてもだいじょうぶ、と考えてる人はけっこう多いと思います。

しかし実はそうではないようです。

実際に衝突時に後部座席に座っていた人がロケットのようにすっとんで、ドライバーやナビシートに座ってる人に直撃して両者死亡という事故がいくつも起きているようです。

特にすっとんだ場合はシートの上から前方に行きますので、頭同士でごっつんこしてしまうみたいですね。

YouTubeを探してみたら、後部座席でシートベルトを締めて無いとどうなるかという動画があったのでご紹介。

Proton: Wear Your Rear Seatbelt

……いやなんかお笑いになってる気がするのですが、まあとにかくそれくらい危険だよ、ということで。

移動保管した放置車両に関する規定

2007年6月20日公布(1年以内に施行)

駐車違反などで移動保管された車両に関する規定が作られました。

3ヵ月経過後も返還不能の場合は、車は都道府県のもの、になるようです。

これもネット上のソースは見当たりませんが、先ほどの議案審議情報に少し書いてありますね。

高齢運転者対策など

2007年6月20日公布(一部を除き2年以内に施行)

年を取るとどうしても運動能力や判断能力が低下します。これは老化現象ですので、ある程度はしかたがありません。

ということで高齢運転者にもいろいろと制限が加えられることになりました。

認知機能検査の導入

75歳以上で免許の更新をする場合など、認知機能検査を受ける義務が課せられるようになります。

検査結果によって高齢者講習、臨時適性検査などが行われるようになります。

高齢者講習の期間延長

70歳以上のドライバーは免許更新時に高齢者講習を受けなくてはならないのですが、これが更新期間満了日の6ヵ月前から受講できるようになります。

75歳以上および聴覚障害者の保護

75歳以上のドライバーと、聴覚障害を持つドライバーは、高齢運転者標識、聴覚障害者標識を車に貼って運転しなくてはいけなくなります。若葉マークみたいなやつですね。付けてないと2万円以下の罰金または科料とのこと。

また、これらのマークを付けている車への幅寄せなどは、5万円以下の罰金になるそうです。

聴覚障害者標識に関してはパブリックコメントも募集していたようですが、残念ながらもう締め切られてるようです。

デザインは今年10月下旬に決定との話ですが、まだ見掛けないですね。

障害者は外見ではわからないことも多いので、様々なマークで表示される事があるようです。障害者に関するマークというページにいくつか載っていますね。

中型自動車・中型免許の新設

2007年6月2日施行

あんまり報道されてなかったせいか知らない人も多いのですが、中型自動車というのが新設されています。

中型自動車・中型免許の新設について

今まで普通自動車免許では、最大積載量5t、車両総重量8t、定員11名までの車まで運転できたのですが、車両総重量5t以上の車での死亡事故が多いことから、普通自動車免許で乗れる範囲を狭めようという意図があるようです。

新しい制度では以下のような区分になります。

普通中型大型
最大積載量 3t 6.5t それ以上のもの
車両総重量 5t 11t それ以上のもの
定員 11名 30名 それ以上のもの

というか、普通自動車免許って8tトラックも運転出来てたんですね。そっちの方が驚きでした。2tトラックでも恐いのに。

またこれにあわせて免許制度も変更され、中型免許ができました。法律施行前に普通免許を取得した人は、中型免許となりますが、条件欄に「中型車は中型車(8t)に限る」と表記されます。

つまり以前から普通免許を持っていた人は、新制度での普通自動車に加え、定員11名までで8t以下の中型車も運転できる、ということです。

今回紹介したものは今年施行されたり公布されたりしたものばかりですが、去年までの改正を盛り込んだ本としては下のようなものがあるようです。

それでは、安全で楽しいドライブを!

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