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やる夫は異世界の戦士になるようです69

4579 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2015/07/26(日) 23:08:15 ID:jaS6Yj3I0

    /||ミ
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4581 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2015/07/26(日) 23:12:01 ID:jaS6Yj3I0

       , -‐   ‐- 、
     /: : : : : : : : : : ::',
    , ': : : : : : : : : : : : : : :',
  /: : : : : : : : : : : : : : :○:',          盛大に遅刻だが、許してほしい。
  ヽ : : : : : : ○: : : : : : : : :',
 .  `ト : : : : : : : : : : : _,-‐'`iヽ _        今日も今日とて休日出勤だったんだ。
    i: 丶: : : : : :,-‐'´__,-‐'´: : : `ヽ
    | : : :ト: : : : `-‐´ : : : : : : 、: : : 丶
    | : : :'、j`-‐ : : : : : : : : : : : \: : : ヽ
    丶,,:_:_:_: : : : : : : : : : : : : : : : | : : : i
          `ヽ: : : : : : : : : : : : `ー‐'
             ヽ: : : : : : : : : : : : : ヽ

4582 名前:安価のやる夫だお[sage] 投稿日:2015/07/26(日) 23:13:17 ID:b5YFm4mk0
この時間からだと大丈夫?寝落ちとか
仕事してて疲れてたりしない?

4583 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2015/07/26(日) 23:16:17 ID:jaS6Yj3I0 [3/5]

        、 - ‐‐ -,
       ,´: : : : : : : : :
      ゙i : : : :○ ○゙i      そして案の定、書き溜めもそんなにできていないんだ。
       }: : : : : : : _ _ _|
       |: : : :-=´_ _,´      もう仕事やめて、作家でも始めてやろうかって気分だね。ファックス。
      y' : : : : :_: : : : :i
     / : : : : : : :┌─┐      >>4582
     i : : : 丶: :ヽ{ .茶 }ヽ     大丈夫、エナジードリンク二本飲んでるから。
     r : : : : :ヽ、__)一(_丿
     ヽ、___ : : : :ヽ : :ヽ
     と_ : : : : : : ノ : :ノ
       ̄ ̄ ̄  ̄

4584 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2015/07/26(日) 23:32:36 ID:jaS6Yj3I0 [4/5]

                /\
              , -'"   "'- 、
         _,..-'''"          "'''- .._.                          /\
         l ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄l                               , -'"   "'- 、
          l                      l                     _,..-'''"          "'''- .._
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陣地の雰囲気は、想像していたものよりもだいぶ落ち着いていた。
出発してから二日間、ひたすら鉄馬車を走らせ、その二日目の日が落ちる
寸前といったところで、やる夫たちはロンドブル平原に展開された陣地に到着した。

人気はあるにはある。テントから出て地面に座り込み、恐らくは作戦と関係のない
雑談をしている者もいた。

しかし、熱気や混乱といったものはあまり感じられない。
戦場特有の、余裕という余裕をなくした緊張感はあるものの、
攻撃を受けて慌てていたり、攻撃を仕掛ける前の興奮を見せている者は
いないように思えた。

鉄馬車を止めると、アンゼロットからの通信が入る。

「到着したようですね。現在、第二師団の隊員を核とした部隊が展開中、
メビウスの偵察隊と思しき地竜隊と交戦中。ああ、ご心配には及びません。
間もなく、殲滅が完了する、とのことですよ」

邪魔にならないよう、鉄馬車を陣地の隅に停止させる。
他の鉄馬車も、並ぶようにしてヘルヴォル隊の鉄馬車の横で停まった。
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4596 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2015/08/02(日) 22:23:18 ID:/BiA93HQ0

        ____
      /     \
     / _ノ  ヽ__  \
   / (● ) (● )  \      やっと着いた……
   |   (__人__)  u   |
   \   ` ⌒´     /       
    /  (__`ヽ、   u \
    \|  `\ \___ノ  |
     |    \___/ |
     |           {

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ブリュンヒルド隊の隊員を乗せた鉄馬車から、数人の大柄な男性兵士たちが
降りてきたかと思うと、自分たちには見向きもせずに、司令部施設と思しき
テントの中へと入っていった。

後ろから扉が開く音がする。ナノハとラピスが降りてきた。

「今出ているのは、待機命令です。ナノハとラピスは西側の女性用テントへ。
やる夫さんは、東側の男性用テントで待機していてください。
何か命令が下り次第、お伝えします。忘れ物をなさらぬよう」

そこでアンゼロットからの通信は切れた。
要約すると、大人しくしていろ、ということだ。
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4597 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2015/08/02(日) 22:25:13 ID:/BiA93HQ0

                  /二二二二二- ̄
             |≧o。/二二二二二二二=ー   `ヽ
             |三三三ニ=- 二二二二二二二二ニi
             |三三三三三ニ=- 二二二二二二ニ{
             }≧o。三三三三三三ニ=- 二二二二{
                / .:.:.:.:.:.:.,≧o。三三三三三三ニ=- 二{
            / .:.:.:.:.:. /   }!.:.:. ≧o。三三三三三三ニ=- >
            .::..:,′:.:./`^~`八: :{\:.:.:.:.:.:≧o。三三ニ=-/
              i: /.:.:.:.:r笊テ斥  ヾ:, ヾ:.:.:.:.:. V, .:.:≧o。/
              |/:.:.:.:.::{ うrり   }ハ^~`ト、:.:.:.:V, :.:.: {       それじゃあ、また後でね。
               ハ:.:.:.:.:.ハ       r笊斥 \::.V, .:.:{
             / ', :.:. { j      ′   うrり ∧{:.ヾ「:.ハ:
                i}:.:.圦     r_、     /::::}'.:.::.j/ }
                iハr'ヘi:ト、        ...:.:.:.:.:.:.:.: /
               }ト、r‐〕`  __ ,.。o个'ヘ:; .:.:.:./
          rヘy-‐ハヘゝ,_    {fハ __ハ{:::j{ハ:::,′
         /廴ハ   ____  Y<´ ノ__  jハ'  }:{
           /::::廴i{   }i「 ヾiljr '´ }i{   廴iト、
        イ:::::::廴i{    }i{___,r只z、___}i{   廴i{::: \
     /::: |:::::: 廴i{      }i{ }i{       廴ハ::::::: \
    /:::::::::ノ:::::::廴i{      }i{ }i{       廴ハ::::::::::: \

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女性陣と別れた後で、馬車の中に上半身だけを突っ込み、
自分の荷物を引っ張り出す。

鞘に入った剣は、腰に下げることはせず、そのまま手に持った。
かつての同級生たちが、今の自分の姿を見たら、滑稽さで笑い転げるだろう。

味気ない黒い制服を着て、歴史の教科書や博物館でしか見る機会のない
西洋剣を持った自分の姿を、鏡で見たことはなかったが、
あまり格好いいものには思えなかった。
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4598 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2015/08/02(日) 22:30:15 ID:/BiA93HQ0

     ____
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垂れ幕をめくりテントに入ると、毛布や荷物が散乱に近い形で置かれており、
それらが床を覆い尽くしていた。その上に胡坐をかく兵士たちは、入ってきた
やる夫には目もくれず、目を瞑って休んでいたり、暇そうにあくびをしている。

テント内に充満した泥や汗の臭いが鼻を突く。だが、これにもだいぶ慣れた。
そそくさと、空いていたスペースに滑り込み、隣でいびきを立てている兵士との間に
柵を作るように荷物を置く。

腰を下ろし、剣を肩にかけ、改めて周囲を見る。
この様子からして、彼らも頻繁に戦場に駆り出されているわけではないことが
察せられた。戦闘後の疲弊の色もなければ、戦闘前の興奮と恐怖もない。

傍から見れば、図体の大きないい大人たちが、だらだらとテントの中で
寝転んでいるようにしか見えないが、彼らとて余裕があるわけではないだろう。
自分とて同じだ。なにしろ、これから本格的な両軍の衝突が始まるのだから。
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4599 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2015/08/02(日) 22:46:46 ID:/BiA93HQ0

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              Z         ./´             ヘ
                  ・     ./´                `ヽ、
                ・   ./                     \
                   ・ /   / ̄`ヽ                  ヽ
                 /                            ヽ
                   /     /   ヾ                     i
                   i     { ―-   ii                   i
               i     ゝ    ツ                   i
                    /`     ゝ    ´                  /
                   i       ヽ                    /
                   i        }          _______/__
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テントの外で、何かが空気を切る音がした。
それは一度ではなく、二度、三度と続いた。
暇を持て余した兵士が、剣か槍でも振り回しているのだろう。

やる気に満ち溢れているな、と感心する一方、
これから嫌でも武器を握らねばならなくなるのに、と冷めた言葉が浮き出てくる。

幼い頃は、特に意味もなく剣や銃といったものに憧れはしたが、
今では、できることなら、もう二度と握りたくないと思っていた。

今の自分にとって、この武骨な鉄の板は、呪いのようなものなのだ。

剣を振り回す音と、誰かの足音、そして風の音を背にしながら、目を瞑る。
待つまでもなく、眠気がやってきた。
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4600 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2015/08/02(日) 22:54:09 ID:/BiA93HQ0

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                               ・

4601 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2015/08/02(日) 22:54:20 ID:/BiA93HQ0

【12月25日~12月31日】

          / ̄ ̄ ̄\
  .    / ─  ─  \
      | (●)  (●)  |
       \  (_人_)  /       功績のほとんどは、騎兵隊と後衛魔導士の人たちだったらしいお。
          /     ヽ、
       / i.    ヽ |
∠ニニニニし|       .ソ:::::::
  .       |  r- 、  /:::::::::::::::::
   ポツーン  し´::::::::し′::::::::::::::::::::::::::
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陣地に到着してから、数日が経過した。
正確な日時は記憶していなかったし、記憶する余裕もなかった。

この数日、三回ほどやる夫は剣を握り、戦場に出たものの、
そのどれもが小規模な戦闘であったために、やる夫が直に血を見ることは
ほとんどないままに終わった。

基本的には、後衛魔導士たちの盾として配置され、
他の男性魔導士たちと側面を固める形を取っていたが、
メビウスの地竜隊はそのようなことは一切せず、後衛魔導士たちの砲撃によって
アラディア軍と接敵する前に殲滅されていった。

戦争の素人であるやる夫にすら分かるほどに、彼らはエリヌス軍とは毛色が違った。
まず、方針と呼べるものが感じられなかった。

どんな作戦を立ててきているのかと思えば、ただそれなりの数を揃え、突撃する。
それの繰り返しだ。

三回目の出撃の後、アンゼロットは「最近、北方におけるエリヌスとメビウスの
戦闘が激化してきているようですね。もしかしたら、戦力を割いているわけでは
ないでしょうが、ちゃんとした指揮官がそちらに行ってしまっているのかもしれません」
と彼女なりの考察を述べてくれた。

ちゃんとした指揮官、というものが少ないこと自体が問題である気がするが、
メビウス軍とは、そういう組織なのだろう。
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4602 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2015/08/02(日) 23:01:34 ID:/BiA93HQ0

                                        __
                                       〈 \\
                                    ,. < \し 、\
                                 ,. <:\::.\:: >、_.> '
                      !.、       , ':\::.\.> '´
                      |   マハ   ,. '.::::::::::::::,ゝ'´
                        `>、  マr ' 〈.::::::::::::, '
                     xf三 \     ヽ、/
                    ノ 二=--=二\  :..:イ
                xf三二=--=二三 ∧  Vハ
             xf三二=--= r 、(\ 三∧  Vハ
          ,. イf三二=--=二 ( \ \\>∧  ヾi

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とはいえ、一切出番がなかったわけではなかった。

ロンドブル平原南西部に、前々から確認されていた小さな施設へと
アラディア軍が歩を進めた時のことだった。

このような激戦地にあるのだ。
廃墟か、もしくは軍事施設のはずと目をつけ、鴉に見張らせていると、
メビウスの地竜隊も確認されたらしい。

アラディア軍は、進撃する際に、そこを通過するルートをとった。
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4603 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2015/08/02(日) 23:17:44 ID:/BiA93HQ0

                       ,,--、
                      /:: :: :,,'ュ
                      i :: :/ヽヽ
                     /,,::/ |
                   ∠' iツ(i、_yi
      、     ”         );: :: :: \'`ヽ
     〈キ〉         _,, ;;--;;':: :: :: :)ヽ\ノ
      `'     _,,--":: :: :: ,,--' ̄^-'  `ヽi
 、        /:: :: /::/ : :ト、
 ヾミ―――-イ:: :/ ::(_ く_ ::∠<、
    ~^---、_i :: : i"::_,,フiハi  iバ
 ”,,       ヾ:: i-'':::,ノ ' '  ' '
        __iノ:: :i_,/
       /::λ;;/
 ,,‘    i:: (__i;;|
      ヾ--|:: \_
         |_ト,_t-

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建物周辺に来ると、地竜隊の出迎えに遭った。
ドラゴン、というよりも、図鑑などでその姿を見る恐竜に似た姿をした
地竜たちは、大した被害を発生させるでもなく、騎兵隊と後衛魔導士たちに
屠られたが、数匹、騎手を失った地竜が抜けてきた。

翼がないとはいえ、竜は竜だ。
飛竜よりは個体の危険度は低いものの、危険であることに変わりはない。

その数匹のうち、一匹にやる夫は対面した。
と言っても、疾走する地竜を目にし、発作的に横っ飛びで避けるついでに、
足の根元を軽く斬りつけた程度ではあったが。
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4604 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2015/08/02(日) 23:21:34 ID:/BiA93HQ0 [11/14]

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バランスを崩した地竜は、ふらつきながらも勢いはそのままで走り続け、
自分の後ろにいた兵士に突っ込んでいき、頭部を縦に両断されて倒れた。

その時は必至で、何も考えずに、ただ体を動かしただけだったが、
後になって「咄嗟に避けてしまったこと」に後悔した。

これで、後ろにいたのが男性兵士ではなく、ナノハやラピスであったら、
死にはしなくとも、怪我をしていたかもしれないのだから。
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4605 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2015/08/02(日) 23:43:03 ID:/BiA93HQ0 [12/14]

      / ̄ ̄ ̄\
    / /     \ \
   /  (●)  (●)  \      (変な建物だお……)
   |    (__人__)    |
   \    ` ⌒´    /
   /              \

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地竜によるちょっとした混乱も収まった後、十数人の男性魔導士が
建物の扉を蹴破り、侵入した。

いたずらに女性魔導士の魔術砲撃で廃墟にするわけにもいかない。
中に民間人や、味方の人間がいる可能性もゼロではないのだ。

なので、少数での男性魔導士での突入となった。
それは腕に覚えのある男性魔導士に限定されており、
もちろん、やる夫はそれに含まれてはいなかった。

窓のない、巨大な豆腐といった姿をした建物を、他の兵士たちとじっと
見ていると、一時間もしないうちに、突入していった兵士たちが戻ってきた。

その眼に感情はなく、どこか遠くを見つめているようだった。
少なくとも、何か有益なものを見つけた、というわけではなさそうだった。
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4606 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2015/08/02(日) 23:44:16 ID:/BiA93HQ0 [13/14]

     ____
   /      \
  /         \
/           \
|     \   ,_   |
/  u  ∩ノ ⊃―)/
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |
  \ /___ /
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その建物は、捕虜収容施設だった。

カンテラを手に、男性魔導士たちで建物内の捜索を行った。
伏兵がいないとも限らなかったから、なのだが、建物の中には、
生き物の気配はほとんどなかった。

それもそうだ。この戦争で、投降など意味はない。
これは人ではなく神の戦争なのだ。

では、なぜメビウス軍の捕虜収容施設などというものが、ここにあるのか。

その答えは、すぐに分かった。
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4607 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2015/08/02(日) 23:52:36 ID:/BiA93HQ0 [14/14]

           _-─―─- 、._
         ,-"´          \
        /              ヽ
         /       _/::::::\_ヽ      (生きてる捕虜なんて、ほとんどいないじゃないか……)
       |         ::::::::::::::  ヽ
        l  u    ( ●)::::::::::( ●)
       ` 、        (__人_)  /
         `ー,、_         /
         /  `''ー─‐─''"´\

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暗い建物の中は、至るところから異臭がした。
糞便の臭いだけではない。何かが腐った臭いや、血の臭いだ。

カンテラを持ち上げると、人だった、と思しき物体が、鉄の牢の向こうに
幾つも横たわっているのが見えた。

死体の白くなっている部分が蠢いている、と思い、目を凝らしたが、
すぐに目を逸らした。蛆が沸いていたのだ。

死体を見るのは初めてではなかったから、吐いたりはしなかったが、
胃をぎゅっと握られる感覚がした。他の魔導士たちも、目を逸らす者もいれば、
舌打ちをする者、呻き声を上げる者もいた。

そういった死体は、一つや二つでは済まなかった。

誰かいませんか、誰かいませんかと虚しく叫びながら、他の魔導士たちと一緒に
建物の中を徘徊したが、あるのは死体の山ばかりだった。
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4608 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2015/08/03(月) 00:07:26 ID:btTEVaKM0 [1/8]

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死体はアラディア軍の人間のものばかりではなく、エリヌス軍の制服を着た
兵士のものも転がっていた。

どれもこれも、生前の傷がはっきりと分かるような、ぼろぼろのものばかりだ。
この不運な兵士たちが、この場所でどんな扱いを受けていたかは、
想像することは難しくはなかったが、想像する気にはなれなかった。

そして、建物の奥に進むにつれ、これまで見つけた死体に、奇妙な
共通点があることに気づいた。女性の死体がないのだ。

前衛として戦う男性兵士の死体の方が多いのは分かる。
だが、一つもないというのはおかしくないだろうか。
まさか、親切に男性用の部屋と女性用の部屋に分けていたとでもいうのだろうか。
それはないだろう。

もはや生存者の存在を期待することもなく、これ以上死体がないことを
祈りながら歩いていると、その祈りをあっさりと裏切る形で、新たな死体が
発見された。

女性の死体だった。
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4609 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2015/08/03(月) 00:12:52 ID:btTEVaKM0 [2/8]

     /  ̄三ミ、
     (    三三)
.     ゝ   三ノ
    とノ  三三|

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恐らく、出口とその周辺にあった部屋は男性用で、ここからは女性用なのだろう。

女性の捕虜には、一応の食事は与えられていたようだった。
どの部屋にも、汚れきった食器が無造作に床に置かれている。

だが、男性の捕虜同様、扱いは良くなかったようだ。

腕や足を切り落とされた死体は今までにもあったが、女性の死体には、
一糸纏わない無残な姿で放置されているものから、腹が一文字に裂かれている
ものまであった。
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4611 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2015/08/03(月) 00:19:43 ID:btTEVaKM0 [3/8]

              _    | | | | | | | | |
        _..-''''゙゙゙´   ゙゙゙゙'''ー,,、| | | | | | |
       /  :::::::::::::::::::::::::::::::::\  | | | | |
     /     :::::::::::::::::::::::::::::::::::`、. | | |
    .′      :::::::::::::::::::::::::::::::::::丶   | |
   /  ∪       ::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ            
  i            ::::::::::::::::::::::::::::::::i
  !          >一 、:::::::::::::::::::::: !
   !     ∪   /__≦二_ \::::::::::::::::!
   \   _ 斗≦ ´ --  _`ーヽ::::::::::/
     > ´             `ミ丶、
  /                        \
  i   \                     \
  |    ヽ-―   ¨¨¨¨¨¨ 丁 丁¨¨  ‐-ヽハ
  |     丶 i        |  |      } i|

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結局、たった一人の女性を除いて、生存者はいなかった。
そのたった一人も、痩せ細り、足が切り落とされていた。

最早、生きていることが幸運かどうかさえ、分からない。

建物から出て、その場で脱力し、へたり込んでいると、こちらに近づいてくる
足音がした。
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4613 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2015/08/03(月) 00:24:05 ID:btTEVaKM0 [4/8]

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 . //:.:./i:.:.:ヽ:.:.:.:.:.ヽ:.:.:.|:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:|:丁,'/‐ テサ-/__,'/|:./:.:/|:.,' :.:.:.:.:.|  i:.|
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:.:.:/:.:.:./:.:.:∧:.:.:.ヽ:.:.:.:.{ ´./ヽ:ヽ:.:.:.:.:.:.ヽヽ. ` .ら:::/  ./:.:./|:./:|.|:.:.:.:.:.,'   リ
:/:.:.:.:./:.:./:./ヽ、:.:.:.:.:.:.ヽヽ |ヽヽヽ:.:.:.:.:ヽ.   `ヾ   ',:.:.:.:}:.:.:.:.,' |:.:.:.:/       あ、あのさ、やる夫君。
:.:.:.:.:/:.:./:./:.:.:.:.:',:.:.:.:.:.:./ヽ |:.:.:.ヽヽ\:.:.:\.        ヽ:./|:.:.:./ ,':.:.:/
:.:.:.:/:.:./:/:.:.:.:.:.:/.',:.:.:./  .`|:.:.:.:.|:|\ ` ‐‐ヽ.       `>/:.:/ ./:.:/         その、こんな人、いなかった?
:.:.:/:.:/:.__:./  ヽ′   |:.:.:.:.:|ヽ.             , '/ /:./ ,':./
:.:/:.:/:.|-----ニニ‐‐‐- ___|:.:.:.:.|ヽ\ .      .- 、‐'/ //  //
/:.:/:.:.:|       ̄ ̄ ‐‐-`ニ- __       / ./  /.  /
:./:.:.:.:.:|               `ヽ./≠ _  ./
/:.:.:.:.:/                 ///ヽ、 ` ´
:.:.:.:.:.:L_             /// `ヽ`ヽ_
` ヽ<    __           //      >/
   `ヽ   ヽ、` ‐ - 、   //、    //
     `ヽ   `ヽ       //┐ヽ  .//

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顔を上げると、ナノハが身をかがめてこちらを見ていた。

何の用だろう、と身構えると、どうやら建物の中が気になって、
やる夫に聞きに来たらしかった。

ナノハは切実さと、微かな希望を感じさせる声で、
瞳の色や髪の色、年齢、性別、身長といった情報を述べ、それらしき人物が
いなかったかと訊ねてきた。
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4614 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2015/08/03(月) 00:33:52 ID:btTEVaKM0

              __   ヽヽ    _
          ̄――-- `ヽヽヽ /:.',
          _   ̄ ̄ ̄:.ヽ//:.:.:.:i___      /:.\
        / ---:. ̄/:.:./:.:./:.:.:.:.:.}_:.:.:.:.:.:.:.`ヽ、 /:.:.:.:.:.:.:i
        / / :./:_ -/:.:./:.:.:.:.:.:.:i__:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.r{:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.',
         /:.//  /:.:./:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.{ヽ 、:.:.:.:.:.:.:.:.:iヽ、
        .〃,イ    /〃:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/ヽ ',:.:.:.:.:.:.:.:. |  ヽ
       /,イ    //:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ }:.:.:.:.:.:.:.:.|
       /    , /:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./、.|:.:.:.:.:.:.:.:.|、         「すみません、分かりません……」
      /  >´ 〃:.:.:.:.:.:. /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:./ / .|:.:.:.:.:.:.:.:.| `ヽ
     〃´ ,イ/:.:.:.:.:.:/  ',:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.://  |:.:.:.:.:.:.:.:|ヽ         そっか。
     /  //:.:.:.:.:./  /====≠ __:.:.:.:人:.:.:.:.//   !:.:.:.:.:.:.: | i
         ./:.:.:.:.:./ , r//       ニニ-//     ∧:.:.:.:.:.:.i |         ……ごめん、変なこと聞いちゃって。
       ./:.:.:.:.:.  /  /   ヽ、        `ヽ二} .∧:.:.:.:.:.:.:.ヽ |
      /:.:.:.:./  /  /       `ヽ 、 _    〃 ∧:.:.:.:.:.:.:.,' ヽ}
     /:.:.:.:.:/ ,イ/ ./               \  ∧:.:.:.:.:.:.:.:,'  ヽ
    ./:.:.:.:./ {|:| i  i               --ヽ∧:.:.:.:.:.:.∨
    ∧:.:.∨ | |:|  {             /    ∧:.:.:.:.:.:.∨
   ∧:.:.∨  .!ヾ::、 |               i     .∧:.:.:.:.:.:.∨
  /:.:.:.:./   ヽ ヽヽ |           |     ∧:.:.:.:.:.: ∨ヽ
. /:.:.:.:./    .{\`ヽヽ         |     ∧:.:.:.:.:.:.:.∨  ',
 i:.:.:.:.:.i     l `ヽ | \        |     ∧:.:.:.:.:.:.:.∨   \
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だが、さすがにあの状況で、死体の特徴を一々記憶していられるほど、
やる夫に余裕はなかった。平静を保つだけで精一杯だったのだ。

地面に座り込んだまま、ただ、分からないとだけ伝えると、ナノハは目を伏せた。
ああ、さっきの兵士たちと同じ表情だ。

やる夫は、まだ新しい記憶が蘇るのを感じた。

最初に建物に突入した兵士たちと、同じ表情だ。
喜びとは正反対の、けれども、悲しみとも違う、あの感情に満たされた表情だ。

やる夫には、その感情を言葉にすることができなかった。

強いて言うならば、虚無や絶望、といった具合だろうか。
だが、そんな「これは絶望だ」などと一言で言い表せるようなものではないのは確かだ。

自分が今までに体験してきた、言葉にして拗ねられるような感情とは、
明らかに違っていた。
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4616 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2015/08/03(月) 00:49:29 ID:btTEVaKM0

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            /. / /|:.:.:,':.|:.:.:.|:.|:|:.|┼、7≦冬廾 廾,ニ冬|:.:|:.:.:.,' ∨:.:.:.:.:.:.:.:∧`ヽ ヽ
       /  __//:/|:.:.i:.:|:.:.:.|:.:||:.ヽヽr行::::j`ヽ.  ´{::::::う.刈:.:./  ∨ヽ:.:.:.:.:.:∧ `ヽヽ      至急陣地に戻れ、だって。
      /-‐‐´  /:./:.:|:.:.|/:|:.:.:|',:.|ヽ:.ヽ` 込シ .     込シ,´:.:./.7   ∨:.ヽ:.:.:.:.:∧   ヽ
           /:./:.:.:.:.',:|/∧|',:.:.:.|ヽヽ_      ,    .//|´.    ∨:.:.ヽ:.:.:.:.∧         ロンドブル平原の向こう、レゼ砂漠で、
          /:./:.:.:.:.:.:/||/. ',:| ヽ:.|:.∧.     _    ̄∧:.:|_____∨:.:.:.:\:.:.:∧
            /:./:.:.:./:.:/|  _> ニニ、':,\  `.‐´   /|:.:.:.||――, / ∨:.ヽ:.:.:ヽ:.:∧       メビウス軍の大規模部隊を確認したって。
         /:./:./:.:.:./:/  .ヽ ´     | .|',|-≧ 、 _ ,イ7_.//:./    //、_ ∨:.:ヽ:.:.:.ヽ:∧
.        /:/:/:.:.:.:/:./ .     |     .| |、`::ヽニ、T´´l、///    //  .`ヽ、:.:.ヽ:.:.:ヽ∧      やる夫君、行こう?
       //:.:.:.:.:.:.:./:/‐  ̄ ` ‐`、_  .| |ヽ::::::::::|_t-┐|/ |   //     ` ‐‐= 、:.:ヽ∧
.       /:.:.:.:.:.:.:.:.://       `ヽ ` ‐ Lヽ_::::ヽ-tヒ::|_ |_´,<´__  r===´ ´.|、:.:.∧
      /:.:.:.:.:.:.:.:.//          ヽ、  ` ‐-`_ヽ、、ヽ、`::|ニニ´--ヽ |.|       |ヽ:.:.:.∧
.     /:.:.:.:.:.:.:.:./    , --- 、     `ヽ、.    | .| ヽ ヽ:::ヽ、   .ヽヽ.|.|       .|:.:.ヽ:.:.:∧
    /:.:.:.:.:.:.:.:/       / / ̄ ヽ.ヽ       `ヽ .   | .|、 ヽヽ::::::ヽ、  ヽ|.,'     .|:.:.:.:.ヽ:.:∧

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ナノハの表情に言葉をなくしていると、ナノハの鴉が彼女の肩に乗るのが見えた。
自分の鴉は無反応であることから、隊長にのみ伝達されているのだろう。

念話が終わった後、ナノハは律儀に念話の内容を話した後で、手を差し出してきた。
ナノハに助け起こされながら、やる夫は一つの恐ろしい想像をしていた。

一つ間違えば、ナノハもああなりかねないのか?

思考を振り払う。頭の中に浮かびかけたイメージに蓋をする。
そんなこと、あっていいはずがない。

今はただ、下される命令に従おう。余計なことは考えないに限る。
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4617 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2015/08/03(月) 00:49:50 ID:btTEVaKM0 [7/8]

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                               ・

4618 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2015/08/03(月) 00:55:39 ID:btTEVaKM0 [8/8]

                  ,- ‐‐ - 、
                   イ: : : : : : : : :`,
                      /○ ○: : : : /
          ┌─┐  i_ _ _ : : : : : : :{        はい、今日はここまで。
          ┃茶┃   `,_ _`=-: : : :|
          ├─┤    i: : : : :_: : : :'        次回は八月九日、日曜日の……午後十時にしようか、うん。
           ̄ ̄ ̄ー‐'' `-‐´ : : : : : :ヽ
             ゝ __ ,.. イ : : : : : : : : l: : |       若干止まりかけてたけど、なんとかキリのいいところまでいけたね。
                  { : : : : : : : : :|: :.|
                ,、 '" : : : : : : : : :゙、:.ヽ      ベネッシモ。
               ( : : :‐ 、 : : : :__,. : : :Y"
               ` ー‐┘ ̄‐〈_ ,,ノ





                  . . .-─‐-. ミ
                     |: : : : : : : : : : `: ..
                     |: : : : : : : : : : : : /
                    }Ο : : : ◯: : : :,′
                   : : : : : : : : : : : :i         それじゃ、次の日曜日にシーユーアゲイン。
                      { -===- 、: : :. :.|
                    〉: : : : : : : : : :ノ          俺は有給を使うぞ、ジョジョーーーーッ!
                  i: :`ニニニ´: : : : ‘,
                 __/ : : : : : : : : : : : : i         なお、認可されないもよう。
      ___        /.: : : : : : : : : : :‘,.:.三|
     / :::: ヽ: : : :‐--∧_: : : : : : : : : : :./:|: : : |
     .′ :::::::‘: : : : : : }/∧ア´二二ヽ:/ | : : ‘,
.    ‘::::::::::::::ノ: : : : : :ハ \{/: : : :/⌒゙ヽ : : :‘
.       ゝ-=彡-──<¨¨゚‘; .: : :./:::::::::::::::} : :. :.|
                 \: :′:::::::::::/______」
                     弋:::::: /
                       `¨´

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