4501 名前： ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日：2015/06/21(日) 22:54:44 ID:jfJ0hDkc0 [2/8]
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大陸歴724年、十二月二十五日。
第一次ロンドブル会戦を終え、戦力を削がれつつも、
アラディア軍は再びロンドブル平原へと戦力を集中させる。
一方、多大な被害を受けたエリヌスは息をひそめ、第一次ロンドブル会戦では
少数しか戦力を出さなかったメビウスの軍勢が、レゼ砂漠を越えてアラディアへと
向かおうとしていた。
近い内に両者が激突するのは、火を見るよりも明らかだった。
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4503 名前： ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日：2015/06/21(日) 23:01:31 ID:jfJ0hDkc0 [3/8]
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戦力に余裕のないアラディアとは比べ物にならない物量を誇るメビウス軍は、
既にこの戦いに勝利したつもりでいた。
アラディア軍は、特定の竜騎兵に対抗する術を持たない。
ガルム隊の著しい戦果が、それを裏付けている。
事実、第一次ロンドブル会戦におけるアラディア軍の死傷者の三分の二は、
彼らによるものと言っても過言ではなかった。
騎兵を遥かに上回る機動性、数分あれば一個中隊を殲滅できる火力は、
この戦争に参加するすべての者に、アラディア軍の勝利を夢物語に思わせた。
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4504 名前： ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日：2015/06/21(日) 23:01:43 ID:jfJ0hDkc0 [4/8]
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しかし、それはアラディアの戦力が第一次ロンドブル会戦から何も変わって
いなければ、の話であり、現状はそうではなかった。
だからこそ、アラディア軍は攻勢に打って出たのだ。
圧倒的な戦力を持つメビウス軍と、隠し玉を携えたアラディア軍。
振られた賽の目は、誰にもわからない。
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4505 名前： ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日：2015/06/21(日) 23:01:58 ID:jfJ0hDkc0 [5/8]
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冷たい風が顔面にぶつかってくる。
くしゃみが出そうになった。
やる夫の所属するヘルヴォル隊やスクルド隊の面々は、鉄馬車に乗り、
ロンドブル平原でメビウスの残留戦力と睨みあっている第一師団と第二師団に
合流すべく、視界いっぱいに広がる草原を移動していた。
十二月の下旬ということもあってか、低かった温度はさらに低くなり、
体から容赦なく体温を奪っていった。
普通の行軍であれば、まだよかったかもしれない。
運動すれば、多少は体温が上がる。
だが、今の自分は馬に跨っていた。とは言っても、
血液の代わりに魔力が流れる鉄の馬だが。
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4506 名前： ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日：2015/06/21(日) 23:10:19 ID:jfJ0hDkc0 [6/8]
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／ノ ヽ__ ＼
／（―） （― ） ＼ この寒さの中、あのテントで寝るのかな……
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＼ ｀⌒ ´ ,／ 想像しただけで凍えそうだお。
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遠くに見える、地面に横たわる山脈を眺めながら、陣地に到着した後のことを考える。
木材で組んだ骨格に布を被せただけのようなテントの中で、今にも雪が
降り出しそうな空の下で眠ると思うと、恐ろしくなってきた。
先導するスクルド隊の鉄馬車が左に方向転換する。
慌てて体重を傾け、手綱を引っ張る。再び真っ直ぐ走るだけになると、
先程とほとんど変わらない時間が戻ってくる。
命を持たない鉄の馬の足音と、唸るような風の音、そして微かな自分の吐息だけ
が耳に入ってくる。
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4507 名前： ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日：2015/06/21(日) 23:34:31 ID:jfJ0hDkc0 [7/8]
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そうやって何時間も、日が暮れ、月明かりが雲の隙間から見え隠れするように
なると、後ろの馬車から、何かをたたく音がした。
振り返ると、ラピスが馬車の小窓から顔を覗かせていた。
鉄のこすれる音と、馬の足音が止む。
どうやら、他の鉄馬車も停止したようだ。
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4508 名前： ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日：2015/06/21(日) 23:35:04 ID:jfJ0hDkc0 [8/8]
ごめん、もーむり、また今度
来月からは残業も落ち着くと思うから……
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