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[友人Y寄稿]華麗なる召喚術士ルイズの召喚獣、入即出やる夫 感想

華麗なる召喚術士ルイズの召喚獣、入即出やる夫

不亦/心駄 ◆U87dUIT4yo さん
(やる夫達のいる日常 さんより)

 あなたはどういう物語がお好きですか?
皆が幸せになる物語以外は認めたくないハッピーエンド至上主義者ですか?
より現実味があってほろ苦いビターエンドがお気に入りですか?
何もかもが嫌になって、敵も味方も全て等しく居なくなる全滅エンドのほうがお望みですか?
 好みの問題もあるけれど、その時の状況や体調によって意外と
自分が欲しい物語というものは違ってきます。
甘いハッピーエンドばかりのストーリーではくどくなるし、
辛いばかりの話も辛くて目をそらしたくなってくる。

 今回は、軽快で優しい気分で安心して見ていられる、そんなお話。
いわゆる異世界に召喚された一般人(やる夫)が
主であるルイズの困難を一緒に解決していくというお話なのだが、
別に契約で縛られて強制されるわけでもないので、
「荒っぽいことはちょっと…」とか「拘束時間はどのくらい?」「お給料とか出ます?」とか
異世界に召喚されているのに平常心MAXで確認していく。

 異世界に転生なり召喚なりされたら、
前世や異世界の知識をフルの活用しつつ一つの国の行く末を左右したり、
世界の崩壊の危機を救ったりするものが王道だったりお約束だったりする。
でも、このお話では最初から最後まで「自分の周囲の困りごとを何とかする」という視点で描かれている。

 なにせ依頼というか、頼みごとが
「期末試験で召喚獣が持ち込み可なので試験を一緒に手伝って欲しい」で、
次の依頼が「留年したので来年の学費を確保したい」とか
正直異世界とは思えない現実的で身につまされるお話ばかり。

 一般人でチート能力も何も無いやる夫は、
ダンジョンでお宝をゲットして荒稼ぎなどという危険な行動を却下して、
自分の出来る範囲であまり波風立てずに小金を稼ぐ方法を何とか考え出す。

 一つの話が短くてテンポがいいので、1時間もしないうちに10話くらいまで読んでしまえる。
難題に頭を捻って取り組んで、誰も死なず、不幸にならず、
目の前の問題に取り組んでいるうちにルイズもやる夫も少しずつ変わっていく。
お話が終わってしまうことが惜しく、もう少し物語の中に浸っていたいと感じるいい終わり方だった。

 作者の不亦/心駄 ◆U87dUIT4yoさんは最近小説の書籍化も決まったらしいので
この話を読んでビビッと来た人はそちらも読んでみてはいかがでしょうか。


(貧者注1:まとめ先を見ていただければわかりますが、
現在も「こぼれ話とか後日談とか」を連載中です。全20回予定だとか)

(貧者注2:↓がその小説です。やる夫スレでの名前も「青い鳥はオスかメスかわからないようです」
「全般的に手をいれ、冒頭とラストに加筆、ラストのほうは二万字くらい」だそうです)

ドリフターズ 1と2 平野耕太

エルフやドワーフなど、亜人のいる異世界に、
戦場で傷を受けた状態で転送された島津豊久。
そこに居たのは、同じく戦国日本から喚ばれた第六天魔王織田信長と、
弓の名手と名高い那須与一だった。

とまああらすじを書くまでもなく、各所で有名になっていて少し感想が書き辛いこの作品。
やる夫スレ界隈では平野耕太作品のキャラは大人気で、目にすることも多いし、
薄い~濃いマニア達にとっては、ほぼ常識と言ってもいいくらいか。
ベルセルクぐらいの知名度だよな。
前作ヘルシングはゲーム化とかまでは出来ないだろうけど。ナチス的意味で。

三人からできる国取り物語、が基本的なストーリーで、
信長の指導者思考と豊久の一兵卒思考がぶつかる部分が面白い。
普通は階級差とか身分差とかがあって、考え方の違いで争うなんてそうはないからなぁ。
「合戦はそこに至るまでに何をするかが戦」という信長の考え方が実に戦略的で、
Civ4な戦略シミュ的でもある。そういえばCiv5には出てましたね信長。
開戦ラッパが鳴ったときには、もう既に戦争はほぼ終わっているのだ。
…ということを思い知れるCiv4は、実に良いゲーム。

しかし死体から硝石を作り、火薬を作り銃を配備させることを、
信長は目論んでいるようだが、それはどうなのかなぁ、一朝一夕で出来ないことと思う。
とある国家経営モノやる夫スレでも「火薬を作って銃器配備」な話が出るが、
Civ4のみならず歴史上でも、火薬が作れる技術≠火薬が扱える知識、だからなぁ。
「教育」の後、もしくは「ギルド」の後でなければ火薬技術が取れないように、
信長だけ、という個人使用でなく、火縄銃兵の配備にはこの世界、
技術が幼すぎる気がする。魔法技術があるので確たることは言えないが。
まあ一巻の最後で、戦闘機は出るわ機銃は撃つわで、
あれ一機鹵獲するだけで技術革新がえらいことになりそうではあるが。
XcomのUFOレベルだろうあれ。

ドリフターズというタイトルからして、最終メンバーは5人、
しかも一人(荒井 注)が脱退して、後に最強の一人(志村けん)が入ってくるという展開を
密かに期待しているのだが。
とりあえず脱退の気配が、もう既にプンプンしているのが那須与一。
信長とも豊久とも関係性薄そうだし、敵大将近くに知り合いがいるし。
私の予想上、敵方の「廃棄物」とは「敵に処刑されたのが歴史上明白な者」で、
基本的にアンデッド、黄泉帰り者だと思っているので、
裏切りや離反は無いと思うのだけれども。

Civ4のamazonを貼ろうとしたけど値段が高すぎる!
興味がある方はsteamのセール日にでも狙ってください。
…などと書いてちょっと調べてみると、Civ4のsteam版には日本語版がないとか。
ひでぇなそりゃ。
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[寄稿]丕緒の鳥 小野不由美[友人Y]

「絶望」から「希望」を信じた男がいた。
慶国に新王が登極した。即位の礼で行われる「大射(たいしゃ)」とは、
鳥に見立てた陶製の的を射る儀式。
陶工である丕緒(ひしょ)は、国の理想を表す任の重さに苦慮する。
希望を託した「鳥」は、果たして大空に羽ばたくのだろうか──
表題作「丕緒の鳥」ほか、己の役割を全うすべく走り煩悶する、
名も無き男たちの清廉なる生き様を描く短編4編を収録。

12国記シリーズの読者は皆待っていただろう新作。
しかし、「黄昏の岸 暁の天」の続編ではなく、短編集となっている。

急いで流し読んだ、表題作の「丕緒(ひしょ)の鳥」のみ感想を。

 絵であれ、詩であれ、工業製品であれ、作品を作り出すということは、
自分の魂をその作品に吹き込んで、形を与えるということだと思う。
 それが褒められれば、己自身を褒められたように嬉しいし、けなされれば腹が立つ。
これは誰でも一緒だろう。
 ただ、その作品に、「ある特定のメッセージ」というものを込めたとして、
それを正確に読み取れるか?ということになれば、「人による」としか言いようがない。

 「○○という部分に感動した!」と言われたその部分が、
作者にとって核心部分に程遠い、どうでもいいような部分であった場合、
素直に喜べるかは微妙だし、逆に「この部分は到底容認できない」と評価された部分が、
作った本人にとってどうでもいい部分だったということもあるだろう。

 この作品を読んだ後、小野不由実先生は何度も作家を廃業しようと苦しんだのだろうと、
いたたまれない気持ちになった。
自分の作品の伝えたい部分が伝わらない。
意図していない部分を取り上げられ、悪し様に罵られる。
あるいは意図したものが伝わったが、そのメッセージが気に入らない…
作中の丕緒(ひしょ)の苦悩はそのまま、作者本人の苦悩のように思えてならない。
その結果がこのシリーズの長い空白期間であるとするならば、
読者というものは励みになる存在だが、一方では実に罪作りな存在といっていいだろう。

 それでも、たった一人に完全に理解されたなら。
作り手として、これ程嬉しいことはない。
いざ、作品を作ろうとした丕緒(ひしょ)が、自分の中に作りたい「何か」を見出せず、
その中でいなくなった同僚の想いに考えを巡らし、彼女の作りたかったものを作る。
結果、儀式は大成功し、伝えたい想いも届いた。
 丕緒(ひしょ)はこれで思い残すことはない、と職を辞することを思い巡らすが、
「また見たい」という言葉に頭の中に新たなイメージを描き、
その仕事を続けることを心に決める。

 作者自身の心も、同様であればいいと願わずにはいられない。

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イレブンソウル 15 戸土野正内朗

人類と謎の生命体、シャヘルとの戦い、15巻にて堂々の完結。
この物語、シナリオのどこを切り取って感想を書いてもネタバレになり、
読んでいない人間にはネタバレを極力見せたくないが、
ネタバレ無しで興味を引くことは出来ないと感じて
一部感想を書くのを諦めた。
好きな部分がことごとくそんな場面ばかりだから、
ファンは「仕方がないなぁ」と苦笑していただくとありがたい。

ネタバレ込みの感想は続きから。

ネタバレなしの感想。
良作。主人公達の乗機の設定の細かさ、人物の描き方、狂気と良い部分はあるが、
作者の良いところが一番出ているのが、ギャグパートだと思う。
人類が滅亡に瀕している中のそんなシーンが、実に輝いている作品。
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ASTEROID Miners 1 あさりよしとお

「アステロイド・マイナーズ」と小さく題。

近未来、宇宙空間で生きる人類。
苛酷な生活環境で、人間に絶対必須な「水」をテーマにした
現実的・ハードなSF。

あさりよしとおがこんな作品を描いていたとは、全く知らなかった。(連載は2009年)
先日友人Jから、「コミックリュウであさりよしとおが仕事をしていたらしいよ」と聞き、
amazonで一巻が出ていることを知る。
なぜか二巻が出るという事前情報があったのに、出版されなかったことも。
そのことを友人Yに伝えた二日後の昨日、
友人Yがamazon購入しうちに持って来てくれた。さすが早いな。

内容は中篇三本。一本ごとに宇宙開発の時代が前期・中期・後期と進む。
小惑星で水資源を求めて鉱山を掘る、そのプラント建設の話。
惑星軌道上、宇宙ステーションの話。
そしてスペースコロニーで生活する少年達の話。

どの話も、宇宙空間で人類が生きることを主題にし、
昨今のSFで描かれない、ロマンや御都合主義の介在しない、ひたすら現実をつきつける
非常に渋く、重厚な物語になっている。
同作者の「なつのロケット」や「まんがサイエンス」を知っているだけのファンが、
この作品を見れば夢の無さに少々げんなりするかもしれない。
だがここまでの冷たい方程式に包まれるのが、本当の宇宙開発の黎明期。
「宇宙に行きたいなぁ」や「月に行きたいなぁ」などという、今現在の人類の目標めいたものを
ただの途中経過だとばっさり切り捨て、その向こう側の目標を指し示したように
私には感じられる。
「月も火星も地球同様の重力穴よ!」という台詞、実にステキだ。

特にラスト、シリンダー型スペースコロニーの生活の章は強い衝撃を受けた。
当然の事なのかもしれないが、ここまで深くコロニーで生きる事を、
深く考えさせた作品があっただろうか。
この章だけはこれ以上のネタバレを行いたくないので、ぜひ自分で読んでもらいたい。

読み終わり、かえすがえすも残念なのは二巻が発売されない事だ。
何故なんだこの出来の良い作品が発売されないなんて。
近頃の温い宇宙マンガに、活と毒を入れる作品だと思う。すぐにでも発売するべきだ。
…でもどんな内容だったのだろう、二巻。
「ラジヲマン」を福島原発事故の直後に刊行する、と言って出来なかった経緯があるしなー。
内容が発売できない内容になってたりするかもな…ああ、読みたい。

「カールビンソン」の頃からあさりよしとお好き、な人にとっては、
このくらいの毒は慣れたものだろう。作者が好きならばぜひ買うべき。
ハードSF設定が大好きで、近頃描かれる宇宙に違和感を感じる人にもぜひ。
「まんがサイエンス」好き?
そんな人は「HALはいぱーあかでみっくらぼ」で少々体に毒を入れてから読みなさい。
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