『現代ダンジョンに希望を持つのは明らかな間違い』

(やる夫AGE さん まとめ)
(リンク先は同作者の作品ページ。たくさんあるけど一番下近辺にこの作品リンクがあります)


世界中に突然ダンジョンの出入り口が現れ怪物が湧き出てくる現代、
政府は土地の所有者に管理責任を任せていた。そんな折、
やる夫はダンジョン付きの家を大学時代の後輩から騙される形で買い取ってしまう。
金も力もコネもないやる夫は、なし崩し的に一人でダンジョン管理を始めることになるのだが…。

ババコンガ ◆Ff7nWZGtsoさんの作品。全18話の中編、非安価の物語。
主人公はやる夫。後々協力者も現れます。
最初から三話までと、四話以降が収録されている場所は離れているので
サイト下部リンクを辿って読む場合は注意しよう。

めんどくささとリスクの割りにリターンが少なく、拘束時間は長いわさぼると周辺に迷惑がかかるわと
ダンジョン管理とはまこと3Kなりと言いたくなる。物語世界観はそんな現代世界設定。
お役所はお役所で、各地に沸きまくるダンジョンをどうにかしようと思っては
各種制度やら助成金制度やらも作って指導もしてはいるのだけれども、
現場じゃお役所仕事速度では間に合わないんだよなぁ…と
現実の世知辛さを思い知る序盤が好きであります。
ダンジョン攻略の知識も武器もあっても、まともにお金になるまでが遠い!
一般人は最初の最初、こけ玉処理を日々続ける時点で飽きるというかあきらめるだろうなぁと
理解できる値段設定と加工の面倒さ。
多分これゲームのように考えたら、ダンジョンの近くに寝泊りしてダンジョンの息吹を感じ、
こけ玉の家庭菜園で取れた野菜を恒常的に食べてを日々続けないと
最大ヒットポイントが増えないんだろうなぁ。
で日々の生活だけで最大HPが2桁にならないと、アリも無理とかね。
お役所の人たちはそんな生活してないだろうから、初期ステータスでいつまでも大変なのだろう…
などと妄想をしてしまう世界観。ステキです。

ほぼ全財産を騙し取られる形で、手元に残ったものは一戸建ての家ダンジョン付き。
この裸一貫の状態から、人の縁、ひいては自分の人徳のみにて駆け上っていくやる夫の
冒険者でなく経営者としてのサクセスストーリーの部分もこの物語の楽しみどころのひとつ。
たった一人でアリとこけ玉と立ち向かい続けていたら、
根気は続いたとしても破綻はすぐに来ていたはず。
最良のタイミングで最良の協力者を得る、人によってはそれも運と呼ぶのかもしれないけれど、
純粋な運のみではなく過去のやる夫が行ってきたことが人脈となって繋がっていくのだ…。
と、そんな感じに描かれている部分がいいなぁと唸らせられる部分でありました。
そんな皆で一緒にうまいメシを食うシーンはまた格別ですな。

物語は続編「ダンジョン屋のそれすらもおそらくは平和な日常」に続いており、
どのような結末を迎えるのか、シャドウラン世界ぽくなってしまった
世界全体がブラックになっておりますが…どうなるか楽しみです。








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