やらない子と学ぶバスケ分裂問題
作者  ◆U0zTQKCHsE さん

(泳ぐやる夫シアター さんより)

感想

  正直に言って、バスケにはあまり興味がありませんでした。
そう言えば昔、NHKのニュースでちょっとだけ触れてたなあ、という程度。

「JOCにより、バスケ協会が資格停止処分を受けた」というだけのヘッドラインだったので、
あまり興味のなかった私は、たぶんチャンネルを変えたと思う。(詳しい内容を理解した記憶がないので)
その程度の認識だったので、軽い気持ちで流し見しようと思ったら、
とんでもない過去の経緯を見せ付けられることになる。

 この物語は現在から過去を振り返り、日本の二つあるバスケ団体の確執と、
その統合に関わるごたごたを、それぞれの視点から分かりやすく解説してくれる物語である。

前編・中編・後編(上)・後編(下)

と構成されており、早ければ3時間程度で全て読めるかと思う。
 内容については一言で言えば
「どうしてこんなになるまで放っておいたんだ!」(AA略)という感じ。
それぞれに主義主張、今までの経緯はあっても、
それをすり合わせて より良い方向に進めるのが大人の役割というものではないんだろうか。

何よりも目を引くのが、日本バスケ協会の管理・統治能力の無さ。
詳しい状況は本編を見てほしいが、理事が25人いて意見の集約が見られないことや、
日本バスケ協会がバスケットそのものの普及や啓蒙活動をしないで、
団体の一本化にも6年も内紛ばかりで何も決められない状況となれば、
外部より大鉈を振るわれてやっと収束を見るもやむなし、と感じてしまう。
読んでる最中、
「船頭多くして船 山に登る」「事なかれ主義」「天下り官僚的管理体制」といった言葉が頭から離れなかった。

少し話は変わるが、オリンピックが2020年に東京で開かれることは大変喜ばしい。
海外の人にも沢山来ていただいて、日本を知ってほしいし、
スポーツを通じて海外との交流も盛んになると思う。
あれだけ力を入れて五輪招致のプレゼンテーションして「お・も・て・な・し」とか言ったんだから、
勤勉かつ繊細な日本人気質を発揮してオリンピックもパラリンピックも大成功間違いない!
 と夢見ていましたが、このバスケ分裂問題を見るにつけ、
努力の方向性を間違うと、とんでもない失敗をしかねない、という気にさせられる。
この問題がわずか10年程前から始まって現在まで紛糾しているということを考えると、
スポーツ団体の問題が他に無いなどとは到底思えない。
もちろん、そんなことが無いことを祈るが。

 バスケに関わった方のみでなく、組織の管理や運営という面から見ても興味深く、
分析も含め楽しく読ませていただいた。
クラブ活動でバスケットに関わった方ならより深く共感して読み進められると思う。






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