と、まあ前回、スカイリムを一週目クリアした(つもり)ぞーということで
軽くレビューを書いたわけだが、スカイリムをクリアしたら絶対に読む、と
心に誓ったやる夫スレがあったわけです。

猫のスカイリム
(それにつけても金のほしさよ さん まとめ)
長編。主人公は猫族…カジートのモナーキン。

作者の◆20L.ujnjAg氏は多種なゲームを原案に、
自分なりの考察とオリジナリティを含めつつ、素晴らしいストーリーを描く人だ。

人工物は善なる存在になりたいようです (fallout3原作)
(やる夫遊歩道 さん まとめ)

巣作り(できない)ドラゴン (巣作りドラゴン(18禁)原作)
(それにつけても金のほしさよ さん まとめ)

つかさのアトリエ (~のアトリエシリーズ原作)
(それにつけても金のほしさよ さん まとめ)

と読んできたが、どれも名作揃い。特にお勧めは巣作り(できない)ドラゴン。
これだけは原作設定がそんなに生かされていない代わりに、
万人に受ける良作となっていた。
原作ゲームを未プレイでも読み進められる、ファンタジー世界で
自分の「家」を造ろうとする一匹の竜の話。
この作者に触れるなら、この作品から読みはじめると良いだろう。

まあそんな過去の力作達を知っていたので、作者の力量は安心感を持っていたわけで。
この「猫のスカイリム」も、読む側にそれ相応の準備が必要だろうと思い、
スカイリム本編を、この作品が読めるレベルにクリアするまで、
これを読むのは封印しておこう、と思った次第。
…スカイリム本編のネタバレもしたくないし、この物語を根こそぎ楽しみたいし、という
非常に贅沢な望みだったな。結局完結から7ヶ月経ってからようやく読むことが出来た。
ちなみに「ようしスカイリムこれでクリアだろう」→「猫のスカイリムを読み始める」→
「~のネタが出てくる」→まだ読める状態じゃないじゃねえか!と再びコントローラーを握る
ということを二回やった。
多分物語を読んでから、「ああそんなことも話の中であったんだープレイしてみよう」と
スカイリムを始めるという手もあったかもしれない。
あったかもしれないが、…間違いなく私の今の感想は、
「ああ…プレイしてから読んで、本当によかった…!」であった。断言。

そんなわけでスカイリムを愛してやまない方々か、
この作者の物語に触れて、物語を骨の髄まで楽しみたい人は、
読む前に以下のクリアを必須とします。
「オブリビオン(ゲーム前作)の盗賊ギルドクエストのクリア、追加シナリオのクリア」
「スカイリムの、闇の一党クエスト、デイドラクエスト全て、盗賊ギルドクエスト、
メインシナリオ、内戦クエストの全て」
え?厳しすぎるって?
うーむ、ならスカイリムのメインシナリオとデイドラクエストだけは完全クリアして欲しいかな。
大丈夫、それだけの労力に叶う物語を、猫のスカイリムが与えてくれる。
ゲームのレビューにつけた採点、「ストーリー:A-」を切って捨てたくなる出来栄え。
原作の今ひとつかゆい所に手が届かない、説明不足の感が大目のストーリー部分が、
調理の仕方でここまで素晴らしいものに!
(追記)
スレ内で紹介されていた、別作者のオブリビオンやる夫スレ、
やる夫がシロディールの影に生きるようです
(それにつけても金のほしさよ さん まとめ)
を読破。前作知識に関する部分だけは、こちらのスレで何とか代用してもいいか、な…。
(追記終わり)

後は余禄。ネタバレ感想をとりとめもなく。
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なんというかもう、魂が震えっぱなしで、スカイリムクリアレビューを書いてから
一日で読みきってしまった。一話一話が短くまとまっているのに、
そのそれぞれで盛り上げ方が非常に上手い。
ゲームのシナリオを知っていれば、いい部分で裏切られいい部分で予想通りの物語、と
ファンの心を鷲掴みだ。まともに掴まれた。

もう第一話、ドラゴンが飛んでこないところから、導入部分としては完璧。
「原作のドラゴンボーンではないのか?」からのデイドラたちの介入、
翻弄される主人公、闇の一党としての過去。闇の一党自体も壊滅していると、
原作を知っていれば余計にいや増す設定への興味。

…最初に読み始めたとき、もうこの時点で「ああ、いかんいかんまだ読めない」と
二回スカイリムプレイに戻った。
なにせ最初は「メインクエストクリアしていれば読めるだろう」な軽い考えだったから。
デイドラたちが出てきた!→うわ、デイドラクエストやってないよ!
闇の一党クエストも同じく。だが完全にクリアしてから読みに戻ってきたおかげで、
シナリオ序盤のモナーキンの過去が、
吸血鬼イリヤを師とした過去を語られる時点で、沁み込む様に理解できた。
壊滅した盗賊ギルドの話も見事。ああ、ギルドシナリオで主人公(ゲームの)がいなければ、
こんな結末だったのだろうな…という想像がありありと浮かぶ設定の深さ。

そしてこの物語自体の構成も凄い。
デイドラに関わったせいで、姿を変えられ変身能力を得て、
体液は猛毒となり(このせいで18禁シーン無しなのか?)、
自分の血を吸う魔剣に魅入られ、弄ばれる怒りを吼える力に変える姿は
まさに変身ヒーローの王道。
怒りのスゥームを炎に変えて、そこからのタイトルコールは完璧。
龍の魂を自分の半身として取り込み、その名がシャドウメアなんて部分なんて
鳥肌がたたないわけがない。
読んでいて「まさかこんな設定にしてくるなんて!」と、感動しきり。

それにしてもこの作者、どの作品も、どこまでも物語を続けられそうなほどに
良設定を叩き付けてくるのだが、どんな良作でも完璧にENDマークを打つ。
終われない小説家や漫画家も多い中、(いろいろ理由はあるんだろうけど)
一作品にきちんとケリをつける姿は非常に素晴らしい。
…巣作りドラゴンなんてもっと読みたかったのだが。
王様の描かれ方が格好良過ぎて、ああこれはここで終わるしかないな、
と納得させられた。
今作のラストももちろん完璧。文句の付け所無し。
伏線もケリのつけ方も、エンディングも私の好みストライク。

実に、実に良い作品でした。
…ようやくこれで次の、「レッドデッド・リデンプション」原作の話に行ける…。

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