マミさんと世界樹スレ
http://aamatome.blog31.fc2.com/blog-entry-1427.html
(AAまとめブログ さん まとめ)

かなり気楽な感じで読める中篇。世界樹の迷宮IIをプレイ済み推奨。
世界樹の迷宮と呼ばれる、天空に伸びる大樹迷宮を踏破するために
五人の冒険者が集まる物語。集まったメンバーは
やる夫・巴マミ(まどかマギカ)・コーラサワー(ガンダム00)
・ヤムチャ(ドラゴンボール)・トウシロー(BLEACH)の五名。
なんで選ぶにしてもこの五人やねん!と関西弁で突っ込みたくなるメンバーで、
本当に世界樹IIをクリアまで語りきるからある意味すごい。
シリアス展開もほぼなく、アホ話が多いので読むのは楽。
どう考えても捨て設定だろうと思われるような設定を、後々まで大事にして拾うのは
作者の物語への愛を感じさせた。良作。

聖杯一万円OFF
http://oyoguyaruo.blog72.fc2.com/blog-entry-4930.html
(泳ぐやる夫シアター さん まとめ)

なんと一万円OFFで呼べる!脅威のイベント!(業者URLリンク)
…と、やる夫板(でいいのかな?正確な板名不明)に建てられた業者スレ。
通常なら当然のように無視され、削除依頼が出され、消滅していくはずだったスレを
なぜか乗っ取って始まったこの物語。Fate/stay nightの「聖杯戦争」をモチーフにしてはいるが、
ぶっちゃけ聖杯戦争が何か知らなくても大丈夫。三話+現行一話の超短編。
絶妙な間、主人公の性格、異質な世界設定、そしてなにより、
「超劣化版聖杯戦争」が実にお馬鹿に(褒めてます)真面目に、
現実に存在しているかのように書かれた怪作。お気軽に読んで欲しい。
…続きが気になるが、三話で一応完結しているので問題はないはず。
この作者さんはトリップも書いてないし、他に何か作品は書いていないのかな…。
(追記:このやる夫スレ、まとめてもよろしいですかさんのtwitterから
it is a thinking reed(やる夫疾風怒濤さんまとめ)これが同作者さんらしい。後で読むメモ)

【Gearhead】やる夫は負け犬から這い上がるようです
http://yaruosanmatome.blog.fc2.com/blog-category-86.html
(やる夫さんまとめ さん まとめ)

少し前に紹介した、Gearheadのスレが完結したので再び紹介。
核によって世界の文明全てが崩壊し、再度人類が文明の力を取り戻しつつある頃。
地上には「メック」と呼ばれる機械が人類の主な乗機になっていた。
-という感じの、メタルマックス、マッドマックス、北斗の拳近未来世界観に
戦車、ゾイド、マクロス、ガンダム、戦闘機、バトルメック、etcのメカを落とし込んだ
非常にカオスなフリーゲーム、「Gearhead」のやる夫スレ。長編。

もともと作者さん自身、フリーゲームのほうのGearheadの魅力を紹介しようとして
やる夫スレの紹介に走ったらしい。
興味がある方はスレの最初にあった「Gearhead導入方法や開発者向けの情報」をどうぞ。
ローグライクだが、グラフィカルな表示+マウスで操作可能なSDLバージョンも存在する。
…とはいえ私も前に、少々キーレスポンスが悪いのと、
序盤の何をすればいいのかわからない度の高さに投げたのだが。
完結記念に、再び手を出してみるとしようか。

スレのほうの感想に話を戻す。
未来世界のとある町に、記憶を失った主人公、やる夫が現れ話は始まる。
この右も左もわからない、天涯孤独の身に、優しく対応してくれる村人たちと、
一歩外に出れば命を、金を、メックを奪い取りにやってくる敵たちとの対比がたまらん。
命なんて吹けば飛んでいくようなもので、少々の幸運だけで命を繋いでいく危なっかしさが
実によろしい。御都合主義を感じさせない危機回避、物語としても良い。
…まあそれでも、この地を這い砂を噛む様な序盤が、肌に合わないという読者もいるだろう。
かなりきっつい展開ばかりだし、救いは無いし。
音を上げてきた方々も、少々我慢して20話までは読んで欲しい。
この広い世界にたった一人だった彼にも、味方があり、家があり、同居人が現れる。
ここからストーリーも俄然面白くなってくる。
この同居人が最高。性格、設定、無茶の仕方など私の好みにスマッシュヒットだ。

…ネタバレ込みの感想をいつも通り↓の続きに書きます。
間違いなく面白いので読んでください。読まない人はここから下は飛ばすこと。


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ここからはネタバレ込み。読んでない人は回れ右だ。


20話前後で現れた数少ない味方であり企業を憎む者、「No9」と
休眠状態から救い出したやる夫をマスターと慕う、「アイギス」が仲間となってから、
この物語はようやく華やかになってくる。
設定的にも主人公、やる夫は企業に、クローン技術の成功例として
容赦なく命を狙われる、いわば生まれたときから仇敵が設定されているようなもの。
またそんな状態だけれども、顔をある程度売らなければお金も稼げない世界なので、
金のためにホイホイと張ってある罠に飛び込んでいくやる夫に、
彼女らによってようやくハンドルとブレーキとアクセルとニトロが取り付けられる。
怒りの方向性を与えるNo9と、並び立って戦うアイギスの二人は
やる夫との関係性は違うとはいえ、それぞれの愛情が見えて実にいい。
No9は実にお母ちゃん。やる夫たちのために、自分の寿命までに全ての敵を排除するという
どう考えても狂った目的のために身を捧げる姿が実に素敵。
アイギスも、世界を滅ぼした同型機と結局は同じ結論に辿り付き、
全く同じ文言で世界に宣戦布告する、ラストエピソードも最高。
セキュリティクリアランスを、自分から突破させる機械人形って良いわー。素晴らしいわー。
二人ともやる夫に対しての愛があったな…と感じさせるエピソードばかりでした。
愛と書いて「ダール・イ・レゼベール」かもしれないけどな。(by へうげもの)

まあこの二人の濃度が、第三のヒロイン、ミクの影を少々薄くしたという気がしないでもない。
ミラクルボイスを使いこなす、No9とNo38の同族、No39。
(このミラクルボイスの元ネタ、スレ内では言及されてなかったけど、
和田慎二の「怪盗アマリリス」だよな。作者さんも和田慎二ファン?
蛇足だがアマリリスも実にカオス。アイドルが忍者で声斬破を使うストーリー。なんでだよ)
やる夫と同じような超回復能力を持ち、同じNo39を救おうとする彼女は
言ってみれば「狂う前のNo9」であり、彼女の行動でNo9の過去を想像できるもの。
同形クローンを救いにやってきたはずが、その命を自分の手で奪わなくてはならなくなる
このシーンは最高。トラウマは克服できなかったらしいし、心に深い傷を負って
…No9とは違う道を選んだんだろうな。子供もできたし、幸せであるといい。
やっぱり狂う時に、自分を理解してくれる味方が傍にいると違う結末を選ぶんだろうな。

この物語、クローン生命体の悲哀が全面に押し出されている。
「火の鳥 生命編」でもあったが、基本的にクローンに人権はない。
命も意思も、全て作った企業のものというスタンスはこの物語も同じく。
兵士として作られ、意識は動物以下にされた兵士No38コピーと、
序盤に出てくる同型のNo38と出会うやる夫のシーンは共に良い。
自分と全く同じ姿の人間を殺し、トラウマに苛まれる主人公の姿を
丁寧に書いた部分が好みだ。一度は銃を向けられた別ナンバーの個体に、
無力化させてから助ける方法を考える序盤と、
「助けるためには殺すしかない」と考えざるをえなくなっていく終盤へ至る思考が、
静かに狂っていくやる夫の思考がたまらない。
そりゃあ企業、クローンを好き勝手に使い潰す全てに復讐してやるという流れになるわな。
静かに暮らすには企業自体を叩き潰さなければ不可能だっただろうし。

一度世界が滅んで、時を同じくして滅んだと思われたアイギス型とクローンの対比もよかった。
増えれば増えるだけ、主人公達に悲しみを撒き散らす企業のクローンと、
全ての思考を一つにし、目的のために増えることを制御も忌避もされない機械人間。
いくらでも増やせるクローンは人間の手で利用できるし、
自己複製・増殖のできる機械も制御できるうちは大丈夫…と思ったんだろうな。
もちろん甘かったが。
そういえば、終章で現れたR-9、ArgoseyerのAIがメティスだったのは
何か意味があったのだろうか。P3FESが未プレイなので、アイギスの妹という設定しか
知らないんだよなぁ。旧世界を滅ぼした方のアイギスが、AIに形を変えて生き延びたのかね。

繰り返しになるが、ラストエピソードは本当に、私の好みドストライクの終わり方だった。
「そのロボットは初めから狂っていた」や、復活するやる夫の記憶を改竄するあたりが最高。
最期を看取ってから涙、機能停止→再起動の流れも完璧。

ミントドリンクWithカカオさん、作品完結おめでとうございました。
twitterで呟いてらっしゃるようですが、残念ながら私は使っていないので
次の作品発表はいつかどこなのかわからない…。
この物語、実に素晴らしいものだった。次回作も心から楽しみにしています。
(この感想を見ていただけるかどうかも解らないけれども)


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