社会契約説のホッブスとロックについて解説したいと思います。
一般意思とはなにかの前座で、ホッブス、ロックに疎いので間違いがあれば訂正お願いします。
ホッブスとロック
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|/::::::::>-―‐- 、
|:::/ 丶 ほいじゃあ今回はホッブスとロックの社会契約説を解説していくぞ。
|' 、_ \
| /:し> ヽ
|八:::ノ , -‐- 、 ',\ ホッブスはデカルトとも仲良かったりする17cイギリスの哲学者だ。
| , {: : : : : :ヽ 、 |::::::〉
| /l>、 \: : : : : ノ /し:7 ,:/ 彼はベーコン先生の著作を海外向けに訳したり、
|ヽ\ \_丶-‐' {:::ノ /
| l \ l>、 ' , 〃 好きだったラテン語の古典を訳したり、しがない翻訳家だったんだ。
|ー---=、⌒ヽノ ' /
|、 \ )ーァ '´
|/\_ 丿 _/_ そんな牧歌的な彼を大きく変えた事件があった。
| / } ̄ }:::::::::::::ヽ
|\ァ'ー' /:::::::::::/ 国王チャールズ1世が処刑されたピューリタン革命である。
| /  ̄ ̄
|ー-r― く
| 乂_)_)_)
_,. -‐…-- ..,,_ -―- 、
__ , <´ `丶: : : :.ヽ
/´. : : : / \: : | ピューリタン革命において反乱軍は
{ : : : : : :/ ヽ:!
| : : : :/ 、__ ’, 独立派、長老派、水平派に分かれて対立し、
乂:/ ノ、 _,,,....,,_ ハ__}:ヽ ',
/ ァ::{__,ハ /: : : : : `丶 {:::::::::::} ! そこに天候不良が重なって、
| {::::::::::::} {: : : : : : : : : :} ゝ:;;;:ノ |
| ゝ::;;;:ノ 、 : : : : : : / , ; 独立派が国王を処刑した後のイギリスは
: , ` ¨¨¨´ ' /
‘、 ' /^ヽ. , /} 上下関係なく大混乱に陥ったんだ。
ゝ. ' / -― 、l /⌒ヽ./ /
{ >/⌒\ ´ //⌒\ } /
ヽ {. , -― 、 ___ // ヽ
\, -、/ | | l その惨状を見たホッブスは反乱軍に強い疑念を抱いた。
/ / / 、 j
l / \ /
八 /
_,. -―- .,_
,.::ァ'´ `「::::::¬ 亡命先のパリにて、亡き国王の子チャールズ2世の養育中に
{:/ ヽ :::::/
/ u `¨! 『リヴァイアサン』を発表する。
,' 、_ __ _ ノ |
| |:J! /::::::::::ヽ lJ:| l その内容は人間に対する不信感で色取られている。
_」.ニゞ'_ヽ __ノ ゞ' u /
// / \ へ /⌒\ /^(
〈 { { >-――- 、 ノ まず思考実験として、もし政府がなかったら?
\} } xく } 〈
く ___> 丶 ___,ノ ヽ __ という内容を提起する。
/ |/::::::::::::\
| |::::::::::::::::::::/
ヽ /:::::::::::::::/
_,. -――- .._
, -――ァ'´ ` 、―- 、
.::::::::::::::/ \:::::::. まず人間は理性、つまり推論の能力を持っている。
|:::::::::::/ ヽ:::|
、:::::::/ V 故に自分が生き延びようと模索する。
/¨´ j| >、 _,ノ ',
{ u 〃:しf , -―- 、 fしハ }
', {:::::::::| /: : : : : : : :ヽ |::::::::} ' そんな中で各人が善悪の基準で物事を判断して、
', 乂.ン ヽ: : : : : : : :/ 乂ン /
ヽ ・ ・ ` ー一' ・ ・ / それに基づいた行動を取るか?
r――-\ ・ / ^ヽ ・ /
ヽ { `Y" ̄`\  ̄ ̄/ ̄`ヽく ) いいや、そんなことはないとホッブスは主張する。
\ ゝ._ ゝ 丶-- ' -┴ ヽ
\ / く }
∨ ___ \ ___,ノ もし善悪の基準で判断する人間がいたとしても、
_;' /l l\ '
/:::::::{ / { } ヽ | そんなやつ真っ先に死ぬのだから、結局
く::::::::::::::, ヽ _} {_ / ,
\::::::::、 く ___> /
 ̄´>、 〃 『万民の万民に対する闘争状態』 になるのである。
/:::::::丶. /:、
/:/::::::::::/ ` ー--‐= T"´:::::::::\
{:/:::::::/::::/ l:::::',::::::',:::::}
丶 __/_ノ 、._.}._}.ノ
。 , -‐ァ-―…-- 、
o /ィ,=、ー, -‐- 、 _ノ\ー- 、 。 ゚ こうした政府のない状態を 『自然状態』
/{i{_ン {::::::::::::::} /ニil 丶 } o
// ' , 丶---‐' {_ンノ V 善悪以前にある人間の行動原理を 『自然権』
/: : :{ ' /⌒\ ' , }:\
/: r‐ 、: ', N lハ ' u /.:/\ と呼ぶことになるが、
{: : : :| \X⌒ヽ /⌒ヽ_ , -― ┐-―ャ
ヽ : ∧ /^ヽ  ̄> ''"´/ /: : : : : ',
,.ィ⌒ヽヽ./ , l ´ / / : : : : : : | 自然権に制限がない状態だと、生きるために
{ { { V / ', ヽ _/: : : : : : : : : }
ヽ ヽ 丶 !¨/: : : : : : : : : : : / 互いが奪い合い、殺しあう。
丶 } ヽ |/: : : : : : : : : : /
\_ノ \ /.: : : : : : : : :/
/:\ \: : : : : :> '´ そんなのは目に見えているんだから、
丶 : : 丶---‐ァ "´ ヽー―<
 ̄ ̄ ̄/ }、 __) 自然権なんてものは捨てるのが正解となるんだ。
=ニ二三ゝ _{_},ノ三二ニ=‐
/:>―- .._
/くこ) -- 、 `丶、 そして”仮想上”人々は生存を保証するのを条件に、
, -―-、 〃' , /:.:.:.:.:.:.:.:ヽ \
/ \ / / ' ゝ :.:.:.:.:.:.ノ /,ニヽ ヽ 自然権を手放し、主権に絶対的な権力つまり 『暴力の独占』*
/--、 ⌒) { , - 、 ` ̄´ ー┘} lヽ
{ ヽ / /」_ くlj―-ヽ , }:::::〉 を認めているんだ。とホッブスは主張したんだ。
丶-‐'⌒ー' { ´ `ヽ\ ハ , //
く´ ̄ > L. \__,」 ' /´
>'´ `" ̄`ヽ /
/ _ノ--r--‐'´ 『暴力の独占』 をするには、主権者が一律に支配する必要がある。
r―- 、 / へ、 ノ
{二:::::::::::{ / \
ヽ ::::::::::::ヽ {_ ) なので反乱なんてのはいかなる時にも正当化されない。
 ̄ ̄ \ ∠ ̄ ̄ ̄
丶 __/:::::::::: ̄`ヽ そんな主張を展開したわけだ。
/::::::::::| ヽ :::::::::::::ノ
/::::::::::: |  ̄ ̄
{::::l:::::l:::j こういった神と人ではなく、人と人との契約を 『社会契約』 と呼ぶ。
ヽ」__」ノ
*『暴力の独占』はウェーバー用語だが、ホッブスの思想を端的に表しているため用いる。
...::::ヽ
/>≦´ ̄ ̄``丶. こんな感じで権力への絶対服従を主張したのがホッブスだ。
//::( ノ \
/ , ゞ-‐' 、 ヽ
/ , ' {////∧ ', ここで必ず出てくるのが
, ヽ ///ノ 」
{ /l>、`¨´ ,ィ= 、 /:::\ 「ホッブスは独裁を擁護しているんだ」
', ' / \_ /:::し:/ ,:::::::::::}
、 { l/フ , ゞ-‐' {::::::/ という主張だが、これは誤りだ。
ヽヽ _./ , `フ´
\ , -‐-、 ' , -‐- 、 /}
く´ ̄ ̄`丶 V }'´ ノ 独裁制や寡頭制と民主制、どちらが良いかは別として、
\ \ ヽ
\ } ヽ 主権者の決めたことに対して
/{丶 _/ ',
{ ハ } 必ず従う義務がある。と説いたのがホッブスだ。
ヽ∧ ; -― 、
`ヘ __ノ::::::::::.ー}
\ r 、 {:::::.. ̄ ̄ ̄¨フ
| | : : : : : : : : |, -‐ 、 _
| | : : : : : : : : |∠´  ̄`丶、 これに対して間違っているとしたのがロックだ。
| | : : : : : : : : |;;(ノ _>、
| | : : : : : : : : |/⌒\ /:.:.:.:\
| | : : : : : : : : |{ } {:.:.:.:.:.:.:} ロックは名誉革命を経験していたカルヴァン主義者で、
| | : : : : : : : : |、\__ノ {__,ノ \_/ |
| | : : : : : : : : | |`¬ ・ ・ / 労働で得た価値こそが尊いと
| | : : : : : : : : | V_ノ ・ / , -- 、
| | : : : : : : : : |⌒ヽ__/⌒\/⌒ く /.:.:.:.:.:.:.:ヽ 労働価値説を打ち立てた哲学者だ。
| | : : : : : : : : | / , -―-、 V '.:.:.:.:.:.:.:.:.:./
` T¬---‐'(_l_/ } ∨.:.:.:.:.:.:.:./
/\_ ./ \_ _/ ':.:.:.:.:./ そんな彼は比較的に人間に対して
,' / /  ̄ `ヽ /.:.:/
{、 / / } ∠´ 楽観的であったため、ホッブスと合わなかったんだ。
└、二` ー '、____ ノ}ーrく:.:.:.:.\
` ー 、____/ 丶.:.:):.:.)ノ
r‐ 、_,,.. ..,,_
{/´ r‐ 、 `丶 ロックは自然状態から社会契約までの流れをこう説明してる。
/ |:.:.:.:ヽ ,_
/ ヽ:.:.:.:} fハ l:.:l
{ `¨´ ヒノ l:.ノ 人間は理性的で、協力的で、争いを好まないが、
r-、 ' ,' _,/
{ \, - 、 / たまーに悪事をする人間が現れるんだ。
', ヽ }⌒ヽ. /
∧ / Y´
/ 丶- ' [l| 悪事をする人がいたら財産なんか持てないので
, lノ
{ / みんなで裁く組織を作ろう。
/⌒} /_
/.:.:.:.:.:/ーr-‐ '´:.:.:.:.:)
〈:.:.:.:.:./  ̄ ̄ ̄ というわけで人々が主権者に自然権の一部を譲って出来たのだ。
`¨´
___ , -‐=====‐- 、___
/´: : / \: : :`ヽ
l: :/ 丶: : : l なので政府が一時的に無くなっても
l/ 丶:j
/ , ヽ 平和は維持されるので、政府がダメなときは
,' ァ:イヽ , -―- 、 /`¬z |
l {::::し:| 〃: : : : : : :ヽ. |:、_ノ:::} | 解体して、作り直そう!
| 弋__ノ {: : : : : : : : : } ゝ __ノ '
', ・ ・ 丶------‐' ・ ・ / という思想なのである。
ヽ ・ ,、┐ ・ /
/\, -‐-、⊂=ニ=ニノ /´ ̄`ヽ
人 { ヽ /´ ̄`ヽ , -―'- 、 ぶっちゃけ絵空事のような思想である。
/ 〉 ヽ ノー---‐{ / \
/ / { \
, -―――‐- 、 __
_ ,/ `丶//∧
/'// ノヽ/| カルヴァンみ溢れるロックの思想はアメリカ人の心を
{ /// 、 ∠)ハ ヾ
V// /:(_>、 , -―- 、 {:i;;;;}:::} ', 鷲掴みにしたらしく、同じくロックの思想に感銘を受けたモンテスキューの
V ハ:{;;;;ノ} / } V::::::ノ l
| 乂::::ノ ヽ ___ ,ノ | 三権分立の思想を基に政府を作ったんだ。
l , , , へ、 ' ' ,
', , / \ ' /
ヽ、 _ // ̄ ̄`ヽ -- 、 ∠、 ルソーは色々深いので次回やろうと思う。
>‐-、//⌒l| | l⌒\) )
〈 / || | | ヽ/
\ / 八 ノ人 } ~~~~~終わり~~~~~~
乙
ホッブズのあれ誤解だったの!?
最初ポップスとロックに見えて音楽の話するのかと思ったのは秘密乙
なんかこういう風に説明されてみると、
まるで西洋の孟子と荀子だよなこの二人
乙
ぱっと見た時に音楽のロックとポップスについてかと思ったぜ!
社会契約説は音楽と関係が深かった!?
乙でした
うーん、なんというかどちらも一長一短な感じ
>>4336
そこで出てくるのが三人目のルソーなんですよ。
なるほど
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