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伝説の昭和菓子パン「シベリア」を知っているか

神奈川県・桜木町、創業100余年の老舗パン屋「コテイベーカリ」の三代目ご夫妻が守り続けているもの、それは昭和の菓子パン「シベリア」。調査の結果、平成生まれでシベリアを知っていたのは25%だけ。昭和ってそんなに遠かったっけ? 今すぐ周りの昭和生まれに聞いてみて! もしくは記事読んで!

エリア桜木町 (神奈川)

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こんにちは。ライターの西たまおです。

皆さん、菓子パンの「シベリア」を覚えていますか? 「カステラであんこ」を挟むという、あまりにも斬新かつ大胆すぎるその形状。かつて大流行した菓子パンなのです。

なつかしい!」と声をあげられた方は、間違いなく昭和生まれでしょう。子どもの頃、スーパーやパン屋さんで見かけたという方は多いのではないでしょうか。私も大好きでした。

 

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知らない方のために写真をドーン! これが「シベリア」です。素朴でありながらなかなかフォトジェニックで、存在感バツグンでしょう?

しかしながら、ここ最近では日常生活のなかで「シベリア」の姿を見かける機会がすっかり減っているような気がします。現に、居酒屋さんで知り合った平成生まれの若者たちに「シベリアを知っているか?」とリサーチしたところ、ほとんどが「NO」と答えたという結果が!

 

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「シベリア」に慣れ親しんできた世代にとっては、非常に嘆かわしいことです。とはいえ、確かに「シベリア」を売っているパン屋さんは見かけなくなったし、スーパーにもなかなか置いていない現状では仕方のないことなのかもしれない……。

いや。だとしても。

だからこそ、今でも「シベリア」を作り続けていくパン屋さんを応援していくべきでは? そう考えた私は、さっそく「シベリア」の代名詞とも言える、とあるパン屋さんに足を運んできました。

 

「シベリア」の聖地・創業101年の老舗パン屋さん

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やってきました、JR桜木町駅より徒歩3分のこちらのパン屋さん。外観からして非常に味わい深いこちらのお店、創業101年を誇る「コテイベーカリー」です! 店頭からして「シベリア」推しなのがわかりますよね?

 

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ほら、入口に大きなシベリアのぬいぐるみが……。秋にうかがったので、紅葉に飾られています。

 

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よく見ると、ガラス扉のロゴマークにも、「シベリア」が……。数年前に現代アートのお祭りがあった際、そこに出展していたクリエイターさんが施してくださったそうです。

 

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小さなお店の中に入ると、いかにも「町のパン屋さん」といった風情。なんだかホッとしますね。そして、すぐ目に入ってくる「シベリア」の群れ。

 

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これですよ、これ。「コテイベーカリー」名物、重量感たっぷりの「シベリア」(340円)! 正直、久しぶりに目にしました。見つけた瞬間は感動すら覚えました。そして、世間ではすっかり身を潜めてしまっている「シベリア」を、今でも毎日作り続けている御仁がこちらのお2人です。

 

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「コテイベーカリー」3代目の店主である馬中俊夫さんと、その奥様のいつ子さん。なんと、「コテイベーカリー」は大正5年に創業し、今年で101年を迎える超老舗のパン屋さんなのです。

 

── 今や「シベリア」の聖地とも言われている「コテイベーカリー」ですが、シベリア発祥のお店というわけではないんですよね?

 

f:id:Meshi2_IB:20171129142340p:plainはい。創業当時に大変流行していた「シベリア」を、他店と同じように製造販売し始めたのが最初です。当時はまだお菓子の種類が少なかったせいか、「シベリア」や甘食なんていう菓子パンがおやつの定番だったんですよ。今は食生活が多様化していったり、嗜好(しこう)が変化しているせいか、あまり好まれなくなってしまったのですが……。

 

── なるほど~。もしや「シベリア」は、戦後で誰しもが甘いものを欲してた時代だったからこそ、求められる存在だったんでしょうか。

 

f:id:Meshi2_IB:20171129142355p:plainそうだと思います。その後の食生活の変化の流れで、次々とパン屋さんから姿を消していったのではないかと。

 

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── では、そんななかでも「コテイベーカリー」が「シベリア」を作り続ける理由とは?

 

f:id:Meshi2_IB:20171129142340p:plain先代も私も、シベリア製造の創意工夫が大好きなんです。伝統を守りつつ、シベリアを時代の嗜好(しこう)に合うよう改良を加え続けて販売しているんです。

 

f:id:Meshi2_IB:20171129142355p:plainさらに私が販売の創意工夫としてインターネットを活用しています。通販や予約で販売経路を拡大させて全国に発送可能にしてますし、SNSの活用で、より多くの方に「シベリア」を知ってもらえるよう努力しています。

twitter.com

 

── 「町のパン屋さん」にしては、意外なほどインターネット社会に対してアクティブですよね。アニメやドラマにも「コテイベーカリー」の「シベリア」が登場しているとお聞きしました。

 

f:id:Meshi2_IB:20171129142355p:plain代表的なところでいうと、NHKの連続テレビ小説 『とと姉ちゃん』に登場する「シベリア」は、うちのお店のものです。「コテイベーカリー」の「シベリア」というわけでなくとも、すでに販売しているお店が少なくなっているせいか、ジブリ映画の『風立ちぬ』やゲームの『遥かなる時空の中で6』の登場キャラクターが「シベリア」を手にしていることでファンの皆さんからの注文が殺到したことがあります。

 

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── 「コテイベーカリー」には、「シベリア」以外にも評判のパンってあるんですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20171129142340p:plain「シベリア」を抜くと、ぶどう食パン(450円)が人気ですね。ぶどうの量がとてつもなく多いので、もはやパンはぶどうのツナギでしかないかのような。持つと驚くほど重い、重量感たっぷりのパンです。

 

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f:id:Meshi2_IB:20171129142340p:plainそのほかにも、パンダ・コアラ・レッサーパンダの3種類ある、子どもに人気の動物パン(各165円)や……

 

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f:id:Meshi2_IB:20171129142340p:plain「シベリア」と並んで昭和を代表する菓子パンの甘食(340円)も根強い人気を博しています。

 

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── かなり充実したラインアップなんですね。どれもおいしそう。しかしながら、こういう素朴なパンがたくさんそろった、「コテイベーカリー」のような「町のパン屋さん」自体が、少しずつ世の中から姿を消していっているような……。

 

f:id:Meshi2_IB:20171129142340p:plainまあ、それは後継ぎの問題もだいぶあると思いますよ。うちも娘が2人いますが、継ぐ予定はないので私の代で終わりだと考えています。

 

── そんな……それでは、ますます「シベリア」が希少な存在になってしまいますね。もはや絶滅危惧種に近い……。

 

f:id:Meshi2_IB:20171129142355p:plainだからこそ、「コテイベーカリー」はみんなの記憶に残るようなお店でありたいんですよね。

 

f:id:Meshi2_IB:20171129142340p:plain最近のコンセプトは、「1日でも長く、ひとつでも多く」なんですよ。今後、体力が落ちてきたら販売するパンは「シベリア」1種類になるでしょうね。さらに辛くなったら、注文された分だけ販売するような形に。

 

── しかし、逆に言えばそこまでして「シベリア」を作り続ける気概があると?

 

f:id:Meshi2_IB:20171129142340p:plainそうですね。体力が続く限り、事業を縮小したとしても「シベリア」だけは売りつづけるパン屋さんとしてやっていこうと思っています。

 

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「コテイベーカリー」の“シベリア愛”を体現するかのように、店内のそこかしこに「シベリア」のオブジェが飾られています。クリスマスツリーには、ミニサイズのシベリアぬいぐるみ = シベリアぐるみが。

 

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特大サイズのシベリアぐるみは、お客さんが記念写真を撮るためのもの。最近ではSNSにアップする人も増えているとか。ちなみに、これらはすべていつ子さんと娘さんの手作りだそうです。

 

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── 最後に、俊夫さんから「シベリア」をおいしく食べるためのアドバイスをいただけますか?

 

f:id:Meshi2_IB:20171129142340p:plainお茶やコーヒーで食べる方も多いのですが、やっぱり飲み物は牛乳がいちばん合うと思いますよ。若い頃にコーラで食べたことはあるけど、これはもう絶望的に合わなかったです(笑)。あと、うちの「シベリア」はサイズが大きめなので、真ん中から縦に半分に切って食べるといいですよ。ひと口でパクッといけます。

 

── ありがとうございました!

 

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「シベリア」への愛情とお2人の温かさに触れ、なんとも優しい気持ちで「コテイベーカリー」を後にしました。もちろん「シベリア」も購入。持ってみると、どっしりとしたようかんの重みがありつつも、カステラのふわふわ感もしっかり伝わってきます。

これは食べるのが楽しみ!

 

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俊夫さんのアドバイスどおり、牛乳でいただきました。

さらに……

 

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半分に切ってみました。なるほど、確かにこれだと食べやすいです。そして、お味の方はというと……ビックリするほど「軽い」! ようかんが水ようかんになっているせいか、かなり特大サイズの「シベリア」なのに、ペロっといけちゃいます。

水ようかんに重なったカステラも、想像していた以上にふわふわ柔らかく、しつこくない甘さ。子どもの頃に食べた「シベリア」 = 甘さの塊というイメージを持っていたのですが、「コテイベーカリー」の「シベリア」には、その認識を改めさせられました。

「お腹いっぱいになっちゃいそうだから買うのは1個だけで……」なんて思わない方がいいです。私も食べ終わった後で1個しか買わなかったことを猛烈に後悔しましたから……。

 

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その昔、日本には「甘さ」への強い憧れを持っていた時代がありました。まだお菓子の種類がそれほど存在してなかった時代にシベリアはその役割を担っていたのです。途方もない数のスイーツが世にあふれている現在、「シベリア」の任務はすでに終わってしまったかのようにも思えます。しかし、それでも根強く生き残り続けている「シベリア」。「コテイベーカリー」の懐かしくもどこか新しい「シベリア」を味わえば、その理由を知ることができるのではないかと思います。

 

お店情報

コテイベーカリー

住所:神奈川横浜市中区花咲町2-63
電話番号:045-231-2944
営業時間:平日9:00~19:00、祝日 10:00~19:00
定休日:日曜日(臨時休業あり)

www.hotpepper.jp

 

書いた人:西たまお

西たまお

大学在学中より映像ディレクターを志し、映像制作会社で宣伝を務めた後に、広告代理店に社内ライターとして勤務。2016年より独立し、フリーに。主にWEBサイトで健康や食、お笑いに関するさまざまな記事を執筆中。

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