一般向け展示会では見られない展示物がたくさんなIT Week 秋 2021ブースレポート後半をお届け! |
千葉県・幕張メッセにて2021年10月27日から29日の3日間に渡って12もの法人・商談向けのIT関連展示会が同時行われる複合イベント「Japan IT Week 秋 2021」(主催:RX Japan株式会社)が開催されました。
コロナ禍以降は今年5月に緊急事態宣言の中で開催された「Japan IT Week 春 2021」までは小さい会場での開催をするなど、縮小開催が続いていた同イベント「Japan IT Week」ですが、今回はコロナ禍以前の規模にまでは及ばないものの、久しぶりに大規模な開催となり、多くの出展社が参加して盛況なものとなりました。
前回のブースレポートから引き続き、本記事ではJapan IT Week 秋 2021のレポート後編としてソニーやラムロック、キーエンスのブースに展示されていた筆者の特に気になった展示を紹介していきます。
【有線、無線両対応の画像認識機能搭載の見守りカメラ「みまもりCUBE」(ラムロックブース)】
後編の最初はネットワークカメラなどを活用した防犯や介護向けのサービスを展開しているラムロックのブースにて展示されていた有線LANやNTTドコモ網のLTE回線に対応した見守りネットワークカメラの「みまもりCUBE」を紹介します。
みまもりCUBEはNTTドコモのLTE網などに対応したネットワークカメラで、本機をコンセントへ接続するだけで利用開始できるという手軽さが特徴となっています。これにより、無線LAN(Wi-Fi)や有線LANのない環境でもすぐに設置、利用が可能となっています。また、もちろんWi-Fiなどの環境があれば後述のデータ利用料を節約可です。
みまもりCUBE側にあらかじめに登録した動作(転倒リスクの高い高齢者の立ち上がりや歩行など)を検知して指定のメールアドレスに画像付きのメールを送ったり、スマートフォン(スマホ)やタブレット、パソコン(PC)であればリアルタイムで設置場所の監視・確認ができます。なお、赤外線LEDライト撮影対応なので暗所でも対応しています。
利用についてはラムロックが仮想移動体通信事業者(MVNO)としてユーザーと契約して専用のモバイルネットワークを提供する形で、利用料金はみまもりCUBEの1GB分のデータ利用分込みの本体レンタル代金4,290円(月額、1年契約プランの場合)に+α(追加のデータ通信料金1GBごと1,100円・動作検知オプション1,100円)などを追加していく形となります。
実際に高齢者のいる家庭で利用する場合、本機は「徘徊感知器」として福祉用具扱いで安価に利用できるため、高齢者と同居されていて気になった方は近くの福祉事務所に問い合わせてみてください。また防犯・監視機能がさらに高く、家畜の見守りや農家ビニールハウス監視・管理機能向けに機能がさらに強化されている上位モデル「みまもりCUBE Plus」も展示されていました。
【ソニー独自規格のLPWA規格「ELTRES」(ソニーブース)】
多くの法人向けソリューションやサービスなどを展示していたソニーのブースでは同社独自規格のLPWA(Low-Power Wide-Area)である「ELTRES」をアピールしていました。LPWAは省電力性と長距離データ通信の特徴を持つ、利用に無線免許不要の通信規格です。
ELTRESはLPWAとしては後発の規格で見通しが良ければ、基地局から最大100Kmも離れた場所へデータを送信し、時速100Kmの移動体にも安定した通信が可能であるなど、かなり高性能なものとなっています。
通信方向 | 一方向通信(送信機から基地局への上りのみ) |
送信周波数 | 923.6MHz~928.0MHz |
受信感度 | -142dBm |
ペイロード | 128bit |
データ送信間隔 | 定期送信:1分~24時間毎に送信・トリガー送信 ※併用化 |
その他 | ハンドオーバーおよび暗号化によりセキュリティに対応 |
すでにELTRESはサービスが開始しており、物流(車載機としての活用や船舶管理など)や環境センサー(温度・湿度・気圧・照度・音量・加速度・風速・水位など)を接続しての環境モニター、送電線などの生活インフラの設備監視といった用途での採用実績があるそうです。
ブースにはELTRES用の通信端末のほか、ELTRES端末に接続して利用するセンサーやGPSトラッカー、畜産動物に着けておく管理タグなどの機器が展示されていました。
【スマホの筐体にフルWindows!筆者注目の「DX-W600」(キーエンスブース)】
続いては多ジャンルにわたる多くの法人向け機器や顕微鏡などを開発・販売しているキーエンスのブースにて展示されていたスマホサイズの筐体にWindows 10 IoT Enterprise Editionを搭載した法人向けのハンディターミナル端末「DX-W600」を紹介します。
最初、筆者がこれを見かけた際、6インチのスマホサイズの筐体でWindowsが動いていたため、OSは「Windows 10 on Arm」で動作しているのかと思い、ブースの説明員へ確認をしたところ、「バーコードリーダーの付いたスマホサイズの筐体にローエンド相当のWindows対応のチップセットを組み込んだもの」という説明を受けました。
本機はキーエンスのAndroidおよびWindowsを搭載した業務用デバイスの「DXシリーズ」のラインアップの1つで、DXシリーズにおいてはSIMフリー製品のスマホとしても利用可能なAndroidモデル2種類(DX-A400およびDX-A600)と、PC用の機器を自由に接続・利用可能なWindowsモデル1種(DX-W600)の全3種が提供されており、すでに販売も受け付けているということです。価格は要見積もりとのこと。
展示ケースから出したり、ホーム(デスクトップ)画面以外の画面の撮影をするのはNGでしたが、DX-W600は説明員に本体PC情報の画面を見せてもらい、CherryTrail世代のIntel製チップセット(SoC)「Atom x5 Z8350」を採用しており、4GB内蔵メモリー(RAM)と64GB内蔵ストレージを搭載していることは確認できました。
バーコードリーダーが背面側にある以外はスマホそのものな外観で、モバイルネットワークには対応していない(Androidモデルの方は対応)ものの、マイクやスピーカーの位置がまんまスマホの位置にあり、ボイスチャットなどは実際のスマホのように持って行うことができそうです。
Windows搭載のハンディターミナル端末ではありますが、スマホサイズの端末でフルWindowsが搭載されているという非常に珍しい端末ではないでしょうか。気になった方は是非問い合わせてみてはいかがでしょう?筆者はちょっと欲しいと思ったのですが……。
というわけで、前後編の2回に渡ってのブースレポートをお送りしました。Japan IT Weekは商談メインの法人向け展示が中心の展示会であることに加え、日本国内の新型コロナウィルスの蔓延は落ち着いてきたとはいえ、海外では状況の改善していない国も多いこともあってか、海外の企業の出展が中止されていたり、展示のみで無人展示だったりするなど、国外メーカー・企業のブースレポートがほとんどできなかったりと、心残りな部分もありました。それでも筆者の興味を強く惹くような展示も数多くあり、今回のJapan IT Weekは楽しい取材となりました。今後も展示会イベントのブースレポートをお送りしていきますので、お楽しみに。
記事執筆:河童丸
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