サンデルなど英米のコミュニタリアンの「合理的個人」への批判は、大陸ではニーチェやハイデガー以来つづいてきた形而上学批判の焼き直しである。彼らが最近ようやく発見した「負荷なき自己」や「本質の現前」のドグマは、日本人とはもともと無縁なものだ。本書は、世阿弥などのテキストをポストモダンの目から読みなおすことによって「日本語による哲学」を実現した名著の復刊である。舞に、目前心後と云事あり。「目を前に見て、