「どうして、呼び捨てにされて犯人扱いされなきゃいけないんだ」。1984年、そう憤った一人の男性が日本の報道に一石を投じた。現在、メディアは逮捕された人を「容疑者」という呼称で報じる。法律上の「被疑者」にあたる報道用語だが、その歴史は意外と浅く、多くの報道機関は1989年までは呼び捨てで報じるのが普通だった。疑問を抱いたのが、業務上過失致死の疑いで書類送検(後に起訴猶予)された一人の男性だった。男性は1984年