人気講談師・神田伯山、海外映画賞アニメ主演声優をつとめるも「自分じゃなく人気声優のほうがよかった」
人気講談師・神田伯山、海外映画賞アニメ主演声優をつとめるも「自分じゃなく人気声優のほうがよかった」
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◆クライマックスは5回録り直し
――本作は、長年にわたり個人映像作家として活動してきた?原重義監督による初の長編アニメーション映画で、探偵・荘太郎が奇怪な集団失踪事件を追って、謎多き地下世界“クラガリ”に足を踏み入れていくミステリー作品。幻想と現実が入り混じり、どこか懐かしさも漂うレトロな世界観も魅力です。ご自身で思う名シーンは?
それで録ったら監督も「なるほど確かにこっちの方がいいですね」と。もちろん僕は素人なので監督がOKならOKというスタンスだったのですが。あとでその話を?原監督にしたら、いや5回録り直しましたと言ってました(笑)僕の記憶はいい加減なものです。
―― どう自分で納得したのですか?
伯山:どことなくミステリアスで聞いていて耳障りがよく気持ちよく、それでいてちゃんと荘太郎の声になっている、奥行きがある。それを聞いた後、お客様に余韻が残る、そういう感じですね。
非常に表現が難しいのですが、ミステリーはどこまでも不思議なんですよね。これで解決なんですけれども、もしかしたら続編もあるのではないかという、余韻をこの一言で表現することが大事だと思ったんですよね。
だからこそ「クラガリに曳かれるな」というのは、作品のテーマにもなっているんですけれども、そこでボソッということが大事。何度も録りましたし、納得いくものにしたいので大事にしましたね。みんな不思議が好きなんですよね。ドキドキしたり。なので、最後が閉まる、このセリフは特に大事にしようと思ったわけです。
◆今回の声優は「雇われ芸」
――以前に伯山さんは、爆笑問題・太田光さんのシリアスなロングトークに「ピカソ芸」と秀逸なネーミングをしましたが、今回ご自身の声の演技に「〇〇芸」と命名するなら、なんと付けられますでしょうか?
伯山:何だろうな(笑)。今回のお仕事は芸でやっているという感じでもないんですよね。雇われ芸ですかね(笑)。雇われてやっていますので。
まあすべてのものが雇われ芸ですけれども、つまり講談だと自分で監督しているわけですよね。もともとの演出 だって脚本だってありますが 、自分で原型ないくらい変えることもあり、演者自分で演出自分みたいな。そういう中でOKを出してるのは結局は自分なんです。
ところが、今回のように監督がいて、監督のOKをいただいて、主人公の荘太郎だけに関わっていくというのは、これは僕にとっては普通じゃなかったんです。
荘太郎という人物の中にどれだけ入っていけるのかということは考えました。それは面白い体験でした。
◆自我を出さないのは、苦労したし面白いこと
―― 講談とどちらが楽しいですか?
伯山:そりゃ講談のほうが楽しいですよ(笑)。本業ですから。自分がOK出したりすればいいだけなので。でも、雇われているということも楽しかった。今回で言うと残る作品になるので。出来上がりをみたら、とても素晴らしかったです。これは皆様のおかげです。
ただ、声優さんたちはよく演出家の言うことを聞いてるなとびっくりしました。僕みたいな自我が強い人間は、絶対演出家の言うことなんか聞きたくないと思っちゃうんですよ。
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