ある日お客様が「今日はもう少し飲みたい」とおっしゃったのに対して、彼が指名しているキャバ嬢が「だったらシャンパンが飲めるところに行こうよ」と打診。
「一緒に行こう」と、誘われてタクシーに乗り込み、一同は大阪ミナミの歓楽街・宗右衛門町に到着しました。「こっちこっち」と、お姉さんに手招きされてエントランスを抜けると、「いらっしゃいませ」と胸元が超はだけすぎている男たちが出迎えてくれました。ホストクラブでした。
シャンパンが飲めるところってここかよ。お客様のお金でホストクラブを利用するのはちょっとやりすぎじゃない?と若干引いてしまった小心者の私。
お客様はというと、ベルロゼ(すごく高いシャンパン)を楽しく召し上がって「そろそろ眠いから」と、お会計をして、私たちにタクシー代として1万円ずつ配って先にお帰りに。それを見送ったのち、お姉さんたちは「飲み直そう」と言って1万円札を握りしめてホストクラブへ戻っていきました。
私は眠かったので帰りました……。
◆Facebookでイケメンの近況を知る
以上が私とホストとの最後の接点になりました。ところがある日、すっかり過疎化しているいにしえのSNS、Facebookを開くと通知欄に「知り合いかも」と、見知らぬ男性の名前が表示されていました。
男性のプロフィール写真には見覚えがあります。あのとき「東北は綺麗な子が多いよね」とすかさずフォローしてくれたイケメンでした。どうやらFacebookには、スマートフォンの連絡先のデータをインポートして、そのデータとマッチするユーザーを「知り合いかも」として表示する機能があるようです。
源氏名ではなく、Facebookには本名で登録されていたため一瞬誰だかわかりませんでした。
良くないよなー、とは思いつつ、ついつい気になって彼の投稿している写真をチラッと見てしまいました。金髪のロン毛、つんく♂眉毛だった彼は、しっかりお父さんになっていました。息子さんと思われる可愛らしい男の子とのツーショット写真に、「あんたも立派になったねえ」と、謎に感動してしまいました。一方の私は、冒頭で説明したとおりです。
彼の連絡先を削除して、Facebookのプライバシー設定も変更しておきました。