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値上げしても客が離れない
餃子の王将!
そういった中で、直近で3度の
値上げをしたにもかかわらず、客が離れないところか、業績を過去最高に更新しているのが運営する株式会社王将フードサービス(以下、
餃子の王将)である。同社は、2022年5月・11月、2023年にも10月に直近では計3度の
値上げをしたが、やむを得ないと客に理解されているようだ。
最近の
物価高騰の中で
値上げしても、「今までが安すぎたんだ」と普段の行いがいいからか、客が離れることがない状態である。町中華ブームを追い風に、まだまだ安く美味しい中華を食べられるから客は満足しているようで、店内の賑やかさが価値ある中華料理店を物語っているみたいだ。
餃子の王将はその
値上げした分を、確実に賃上げの原資にしているようで、人を大切にする企業としてイメージ向上にもつなげている。
◆組合の要求を大幅に上回る賃上げ
2024年の春季労使交渉で、基本給を底上げするベースアップと定期昇給などを合わせて平均月額3万9162円の賃上げで妥結したとテレビや新聞などで報道されている。労働組合が要求した2万220円を大幅に上回る。賃上げ率は11.5%で過去最高となるようだ。社員もこれだけ賃金が上がったら、会社に忠誠心を持ち、業績向上に貢献しようと努力するのは当然か。
賃金の大幅な引き上げについて「将来を見据えた人材の確保を積極的に進めるため」と説明しており、
新型コロナウイルス禍で打撃を受けた外食産業では、一度離職した人材が戻らず、人手不足はより深刻な状態である。その為、採用競争力の向上や社員のつなぎとめには、待遇改善が欠かせないとの認識を即時に行動へ移す迅速さは、さすがである。
◆創業以来初の売上高1000億円超え
餃子の王将の業績を時系列でみると、効果的な経営戦略と卓越した経営管理技術で安定経営を実現しているのが明白である。
餃子の王将は前年2023年3月期の売上は前期比9.7%増の930億2200万円で2桁に近い伸び率で成長が著しい。
今年度2024年3月期の実績も直営全店売上は925億56百万円(前年比109.1%)、と、通期においても過去最高売上を達成している。ちなみに、客数8万1735人(前年比105.9%)客単価1132円(前年比103.1%)とすべて前年比を上回っている。
また、FC売上を含む全社売上高(決算上の売上高)は、26か月連続で同月比過去最高を更新しており、通期では創業以来初めて1000億円(1009億84百万円)を突破している。顧客からの支持もあり、持続的な安定成長を実現しているようだ。
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餃子の王将は直営店主体の店舗展開!
2023年3月末の店舗数は732店。そのうち、フ
ランチャイズ加盟店は190店舗。FC比率は26.0%で、直営店主体の店舗展開を行っている。
餃子の王将は直営店が多いため、マクドナルドなどFC比率が高い外食企業と違い、各直営店の家賃や人件費の負担が重く、固定費が高いために損益分岐点は高めではある。
そういった費用構造でも、2023年度実績では、営業利益率は標準値の10%には届かないが、8.6%は確保しており、収益力に問題はない。貸借対照表を見て財務状態を分析しても、自己資本比率が74.6%と財務基盤は盤石であり、経営の安定性は評価できる。上場企業だから資本効率(ROEが10%以上なら投資価値があると判断され、5%以上なら合格点、15%以上なら優良企業といわれる)も重要指標として見られるだろうが、
餃子の王将のROEは10.20%だから投資家にも一定の評価はされているだろう。ちなみに現在の株価は7700円(24年4月10日時点)である。