――当ファンドが着目する「連続増配株(5年以上連続して増配している)」とは、どのようなタイプの企業が多いのでしょうか?
第一に株主還元に積極的に取り組んでいる企業です。その上で、長期に配当を増配できる成長力を持った企業ということができます。安定的な収益が期待できる成熟企業で高い配当を支払っている企業に投資する「iシェアーズ 米国高配当株ETF」とは違って、成長余力があるという大きな特徴があります。「iシェアーズ 米国連続増配株 ETF」は、増配し続けている成長実績に加え、今後もその成長を維持できる成長力があるという点が大きな魅力だと思います。
2024年3月1日時点のポートフォリオでは、金融、ヘルスケア、情報技術(IT)の3業種でポートフォリオの50%超を占めています。ポストコロナの中で、新しい市場ニーズに応えて柔軟な経営戦略を実行した企業が多く含まれています。一般的な高配当ETFで選好されやすいエネルギーや生活必需品などという景気循環銘柄の組み入れ比率は低く抑えられ、景気敏感銘柄であるITや一般消費財・サービスなどの組み入れ比率が高くなっています。
また、当ファンドがベンチマークとする「Morningstar米国配当成長株式指数」は、5年以上増配を続けている企業を対象としています。より長期の配当実績に着目した指数に比べて、新しい銘柄が組み入れられやすく、市場のトレンドを捉えやすいという特徴もあります。
――当ファンド参照指数は「配当性向が75%未満」、また、「予想配当利回りが上位10%以内の銘柄は除外」という条件があります。この理由は?
今後の増配余力が十分にあることを重視するためです。配当性向が75%を超えている企業は、現在の配当水準が目いっぱいという見方ができますので、今後の増配期待が薄くなります。また、配当利回りが高い企業には成熟企業が多く、今後の増配につながる成長性を考えると魅力的とは言えない部分があります。当ファンドは、配当による利回りの魅力を得ながら、投資企業の成長による値上がり益も同時に狙うという、両方の果実を狙える商品となっています。
また、配当利回りに注目した投資では、その配当が企業の収益を原資として支払われているのか、その配当水準は持続性があるのかなど、決算の損益計算書(PL)や貸借対照表(BS)を精査して調査・分析する必要があります。個人投資家がこのように投資先企業を全て精査するには大変な負担がかかりますが、このETFに投資すれば、常に、参照指数のモニタリング要件をクリアしている企業にのみ投資し続けることが出来ます。この運用にかかるコストは年0.121%程度(税込み)という水準に抑えています。