彼の家に初めてお泊まりした28歳女。洗面台の裏戸棚で見つけてしまった、ヤバいものとは
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▶【Q】はこちら:六本木のタワマンで一晩過ごしたあと、女の態度が冷たくなったワケ。デートまではいい感じだったのに…
昼間は春の兆しが感じられるが、朝の六本木は、まだ冷え込む。
クラブ帰りと思われる若者が通り過ぎていくのを横目で見ながら、朝焼けとともに輝く東京タワーを見つめる。
「眩しいな…」
AM6:30。この時間に化粧も落とさずフラフラ歩いている私は、誰がどう見ても「朝帰りした女」だろう。
でもそれ以上に、蒼太の家に行ってしまった自分を悔いていた。
A1:高収入だしいいかも…と思っていた
蒼太とは、男友達の健斗からの呼び出された時に出会った。
― K:今西麻布で男友達と飲んでるんだけど、来れない?
ちょうど私も1軒目が終わり、もう少し飲みたい気分だったので、行ってみることにした。するとそこにいたのが蒼太だった。
すでに蒼太はかなり酔っ払っていて、ヘラヘラと楽しそうにしている。
「こいつ、同期なんだけどさ。今独身だし、かなりいい男だよ」
- へー、そうなんだ。健斗は外銀勤め。ということは彼もかなりの高収入ってこと…?
頭の中で思わず計算してしまう。しかし、この日は彼も酔っていたのでほどなくして解散となった。
後日気になったので、私のほうから連絡をしてみるとスムーズに食事に誘ってくれて、私たちはデートをすることになった。
場所は、行ってみたかった『鮨 りんだ』で好感度が上がる。
「ごめんね、遅くなって」
「ううん。俺が早く着いてただけだから」
改めて蒼太を観察みる。今日はシラフなせいか、前回よりシュッとしている印象だ。思ったより背が高くて、意外に筋肉質な体格だ。
「りんだ、来てみたかったから嬉しい〜♡」
「初めて?良かった。ここ美味しいよ」
乾杯を済ませて食事が始まる。すると蒼太はすごく気まずそうに聞いてきた。
「この前、俺大丈夫だった?すごい酔っ払っていた気がするんだけど…」
「そうなの?そんなに酔っているようには見えなかったよ」
前回会った時。たしかに蒼太は酔っていたけれど、嫌な酔い方ではなかった。
「未央ちゃんは仕事、何してるんだっけ?」
「私はIT系だよ。蒼太さんは?」
「僕は外資系投資銀行…って言うのが一番わかりやすいかな」
「そうなんだ〜」
もちろん知っている。けれども外銀目当てで近づいてきたと思われたくないので、美しく反り上がったぷりぷりの「車海老」を食べながら、あえて詳しく知らないふりをしてみる。
しかし私のそんな計算高さとは裏腹に、私たちは純粋に話が合った。
「未央ちゃん、大学慶應なの?一緒だ!」
「やばい!何学部だった?」
蒼太が33歳で私が28歳なので校内で会っていた可能性はゼロだけれど、同じ大学というだけでちょっと近づけた気がする。
しかもゴルフも好きだという。
「未央ちゃんゴルフするの!?今度一緒に行こうよ」
「行きたい!蒼太さんはどれくらいのスコアで回るの?」
「僕90くらいかな。未央ちゃんは?」
「蒼太さん、すごいゴルフ上手なんだね。私は全然下手で、110前後かな」
「女性でそれくらいのスコアだったら、もう十分でしょ」
話すのも、聞くのも上手。多少の期待をしてこのデートに臨んだけれど、蒼太は期待以上だ。
「未央ちゃんって見た目と良い意味でギャップがあるよね」
「どんな?」
「もっと冷たい感じかと思ったんだけど、意外にふわふわしているというか…」
「“ありがとう”、でいいのかな」
「うん、これは褒め言葉だから」
― あ…。彼、すごくいいかも。
そして次のデートもすぐにやってきた。でも2回目のデートで私は厳しい現実に直面することになる…。
A2:洗面台に女物の基礎化粧品が揃っていた
そして翌週の金曜日。私たちは六本木のステーキハウスでデートをすることになった。
デート当日の夕方、蒼太から急な仕事で1時間半遅れると連絡が来た。
「店側には連絡済み」ということだったので、私は近くのカフェで仕事をしながら時間を潰すことにした。
「未央ちゃんごめん!!急にトラブっちゃって…」
「全然大丈夫だよ。事前に連絡くれたし。それに近くのカフェで溜まっていた仕事もできたから、本当に気にしないで」
直前連絡だったら困ったかもしれないけれど、まったく問題ない。
「本当にごめんね。好きな物、好きなだけ飲んでね」
「そのつもりです♡」
その言葉通り、私は好きなワインをたくさんいただくことにした。そのせいもあり、気がついた時には、ワインが2本も空いていた。
もちろん、2軒目にも行った。薄暗いバーで二人きりで話しているうちに、私たちの距離は近づいていく。
「未央ちゃんって本当にいいよね。美人だし一緒にいると楽しいし」
「ありがとう。蒼太さんも最高だよ」
なんとなく、無言になる私たち。次の蒼太の言葉も、当然の流れのように思えた。
「…この後どうする?うち、近いんだけど来る?」
「……行く」
バーを後にして、蒼太の家を目指す。手を引かれて向かった先は、六本木にある絵に描いたようなタワマン。
「ここに住んでるの?さすがだね」
「そう?普通だよ」
そして部屋へ入り、そのままの流れでコトを終えた。この日は酔っていたこともありそのまま寝てしまった。
けれど翌朝、目覚めた瞬間に私は激しく後悔をした。
「やってしまった…」
まだ薄暗い東京の明け方。暗い部屋の中で、私は隣に眠る蒼太を恐る恐る見つめてみる。
まだ二度しかデートしてないのに、どうして私はホイホイと家にあがってしまったのだろうか…。
そんなことを考えていると、蒼太が目を覚ました。
「もう帰る?」
「ごめん、起こしちゃった?うん、帰るね」
「タクシー呼ぼうか?」
― 慣れてるなぁ。
この一連の流れを、蒼太は何度繰り返したのだろう。
外銀勤めで、独身貴族…。蒼太に群がる女性はたくさんいるだろうし、自分がその中の“簡単な女”の仲間入りをしてしまったことが悔やまれてならない。
「大丈夫。その前に、洗面所借りていい?」
「いいよ。適当に使って」
借りたついでに、洗面所の鏡の後ろを開けてこっそりチェックしてみる。
昨日は酔っていて、そこまで気が回らなかったから。
「だよね…」
そこには、高級ブランドの女性物の基礎化粧品が並んでいた。
ちまたにはメンズ物の化粧品も増えているし、化粧水はもはや男女問わず必須アイテムになっている。でも並んでいるのはメンズ用の化粧水にしては、女性が言う“ベスコス”の代名詞のような、定番ブランドの物だった。
「これって、本人の物…?それとも彼女の物?」
彼女はいないのかもしれないけれど、ここに定期的に来る女はいるのだろう。
「私、結局遊ばれたってこと?」
悶々とした気持ちを抱えたまま、彼の家を出て、朝の六本木を歩く。
本人に聞けば良いのかもしれないけれど、聞いたところで「女がいる」とは言わないだろう。
それに、これ以上自分自身が彼に軽く扱われるのも嫌だし、踏み込んで傷つくのも怖い。
今は蒼太にハマらないよう、一定の距離を保ちながら身を守っている。
▶【Q】はこちら:六本木のタワマンで一晩過ごしたあと、女の態度が冷たくなったワケ。デートまではいい感じだったのに…
▶1話目はこちら:「この男、セコすぎ…!」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟
▶NEXT:3月23日 土曜更新予定
勘違い男の末路
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