嘘です!と、豪快な嘘から始まりましたが、そんなトキメキを抱いて見守っている人が多かったのではないでしょうか。サッカー日本代表、新生・森保ジャパンは6月の2連戦を大量10得点の猛攻で2連勝としました。まだ遠くにあるワールドカップベスト8以上という大目標も、その手前にあるワールドカップ最終予選も、さらに手前にあるアジアカップも、さらに手前にあるワールドカップアジア2次予選もまだまだ遠く遠くの話ですが、胸の高鳴りはまるで一日千秋といったところ。
6月の2連戦は「少し前ならガラガラだっただろうな」と思うような試合設定でありながら、20日のペルー戦などは1ヶ月前にチケットが完売したとのこと。試合前の練習の時点からたくさんの観衆が詰めかけており、場内にはヒーローを見守る熱気が満ちています。あの険しく、美しかった2022年のワールドカップ。大会前の絶望、批判、罵倒から一変して、日本が賞賛と敬意と自負であふれたあの秋の日は今思い返しても痛快です。日本の代表を腐すために試合を見ているような輩やYouTuberが光のなかに包まれて見えなくなっていったことを、本当に喜ばしく思います。
もはやどんな輩が腐そうとも、この代表を軽んじることはできないでしょう。掲げる目標はワールドカップベスト8(以上!)であり、それは十二分に現実味のある目標です。2大会連続で半分手をかけたのですから、目指さないほうがおかしい。もはやどんな相手との試合であっても視線を下げる必要はなく、自分たちのチカラを出し切ればいい。そのぶん対戦相手からも「いつも本大会にいて」「半分くらいベスト16に進んでいる」「メキシコみたいに厄介な非主流国」として十二分の警戒と敬意を払われてくるはず。そんな新たな地平が非常に心地よい、「会いに行きたくなる」代表です。
↓ロッカールームを見ただけでカッコイイ感じがする!
↓メンバーに入ることが国の誉れという感じがする!
6日の対戦相手は南米の強豪・ペルー。ワールドカップ出場回数や残した戦績は特級というほどではないものの、ブラジルやアルゼンチンと常日頃渡り合っているのですから、侮ることはできません。試合前の国家斉唱も声がよく出ていてとても好印象。やる気を感じます。サポーターの熱量を感じます。こうした相手に条件を問わずしっかりと勝てるかどうか、遠く遠くのワールドカップベスト8という目標を思えば、そこにつながる一歩としてしっかり踏みしめていきたいところ。
そして始まった試合。日本は前戦エルサルバドル戦とは大きくメンバーを替えてきましたが、布陣としては同じ4-3-3。両サイドの三笘薫さん&伊東純也さん、中央に入ったスコットランドリーグ得点王の古橋亨梧さん、中央で試合を操る鎌田大地さんを中心に先制点を狙います。早速の前半9分には中央で相手をひとりで引きつけた鎌田さんから、相手守備の裏に古橋さんを走らせる場面も。そこまで得点の匂いがする攻めではありませんでしたが、ワアアアっと沸く大観衆が心地よい。古橋さんはつづく前半13分にも惜しいヘッドを放ち、ゴールに迫ります。
とにかくワンプレーワンプレーで沸くスタジアムは、まるで全員TikTokerなんじゃないかと思うようなアゲアゲぶり。ひとたび日本のゴール前に相手が迫ろうものなら、悲鳴のような声があがります。キリンチャレンジカップも「俺たちの熱いキリンチャレンジカップが帰ってきた!」と泣いていることでしょう。ぜひぜひ日本中で勝利のハチマキ(※キリンさんがツイッターとかでやたら無料配布してるグッズ/エスコートキッズも自主的につけてた)を締めていきたいものだなと思います。
そんな熱狂のなかで迎えた前半22分、ついに試合が動きます。日本は右サイドでボールをまわして相手の守備を全体的にスライドさせると、素早い展開で逆サイドにボールを動かし、そこに走り込んできた伊藤洋輝さんにあずけます。相手の残る選手は三笘さんを全力警戒しており、後ろから上がってくる選手に対してのケアは手薄でした。伊藤さんはチャンスと見るや迷わず左足を振り抜いて、見事にゴールに突き刺しました。代表初得点、日本先制!
↓この積極的な選手をバックパスマシンなどと呼んだのは誰だ!
さらに日本の攻撃はつづきます。前半29分には左サイド三笘さんから、逆の右サイド伊東さんへとピッチを横断して送る大きなパスで一気に敵陣深くまでえぐって見せました。つづけざまの前半31分には、今度は三笘さんの真骨頂となるドリブル突破の場面も。技術の高さはもちろん、視野が広く、アイディアが豊富で、鈍感マンがいない。得点に至らなくても納得感がある、小気味いいプレーがつづきます。
そして迎えた前半37分、再び日本が試合を動かします。右サイドバックの菅原由勢さんが伊藤さんとのワンツーで持ち上がると、中央の鎌田さんにパス。鎌田さんは華麗なトラップで前を向くと、すでに走り出している三笘さんと古橋さんのふたつの選択肢を首振り確認で見定めながら、満を持して三笘さんに託します。十分なお膳立てで1対1の状況をもらった三笘さんは、パンパーンと相手を揺さぶって中央に切り返し!前半31分の仕掛けで外をぶち抜いたのを意識させておいて、その逆を突きました。日本GKのゴールキックから始まり、三笘さんのゴールまで、相手に何もさせずに決め切った。「世界」のゴールでした!
↓三笘さんのゴールを見られた観衆と、ハートマークを捧げられた誰かは、最高の思い出になったはず!
ピッチサイドの広告に「地球人だろ。」と出ているけれど、地球人を超えてるかもしれんね!
同じ地球人、同じ日本人なのだとしたら、光栄です!
前半終了間際にネットを揺らされる場面こそあったものの(※VARでノーゴール)、まったく危なげない戦いで前半を2-0で折り返した日本。後半に入ると、前半に足が痛む様子を見せていた旗手怜央さんを後半開始時点でまず下げ、さらに後半16分までに2人の選手を入れ替えていきます。このあたりもかつてなら「交代したな」というだけのことでしたが、あのワールドカップを経ると「この采配でチームがどうメタモルフォーゼするのか」という新たな楽しみが広がるようで、サッカー観戦体験としても日本全体がステップアップした感触を覚えます。
↓しかし、「さーて、どう変わるかな…」と思っている間の後半18分に、相手のまずい対応もあってスコーンと追加点!
3点差となってはペルーとしても攻めダルマとなるしかありませんが、そこも日本が身体を張って跳ね返します。後半20分には、相手がゴール前に送ったボールを遠藤がヘッドで跳ね返すと(←わかる)、ヘッドでこぼれたボールに詰めた相手のシュートを遠藤が身体でブロック(←ふぁっ!?2人いるのか?)。大量リードでも日本代表には緩んだところがまったくありません。ボールも速いし、動きも速い。我が代表ながらいいチームです。
さらに動いた日本は伊東さんに代えて凱旋試合となる堂安律さんを、鎌田大地さんに代えて久保建英くんさんを投入。前線のメンバーはほぼ入れ替わったというなかで、ここまで3得点の戦いぶりを見せられた途中交代勢が燃えないはずがありません。後半30分には右サイドでの堂安・久保の連携に慄いた相手が、しっかりつなぐだろうと思った味方との意思疎通を欠いたバックパスで、DFラインの裏にボールを返してしまいます。そこに走り込んだのは、電池が切れるまで全部のボールにプレッシャーをかけ続ける男・前田大然さん(※太陽光発電説あり/電池が切れない)。すべてにアタックするからこそ、こういうチャンスも巡ってくる、前田さんらしい美味しいゴールで日本4点目!
↓残念、そこは前田さんだ!
ま、その辺全部、前田さんのテリトリーなのだが!
ハーフライン付近から敵陣側全部!
終盤、試合終了間際に1点を失いますが、まぁそれもご愛敬。4点取っている試合で3点まで失うのは、何の問題もありません。1-0のときと4-0のときで同じ試合をしているわけではないのです。「どこかで3失点できる」くらいの計算ずくで試合をしてくれるくらいのほうが賢いというものです。
日本は最後まで気持ちを緩めず、さりとてむやみに熱くなることもなく、しっかりと試合を締めました。後半45分の久保くんさんのシュートがビシッと決まっていればよりよかったですが、それはまた次回のお楽しみとしましょう。次はもうちょっとたっぷりプレーしてもらえるよう、審判に「アディショナルタイムは7分を基本として、それより短いのは許さぬ」ときつーく言っておきます!
↓絶対出てくるアンコールみたいな感じで、絶対出てくる「7分!」でコチラとしては構いません!
1分じゃ何も起きませんからね!
7分あったら、名残惜しい気持ちも癒されます!
日本代表、見事な4-1の快勝。素晴らしい試合であったこともそうですが、試合後に場内を周回する選手たちを讃える観衆の盛り上がりと、その熱のこもった目が本当に素晴らしい光景でした。平均年齢も26歳ほどと若く、未来しか見えないこのチームが、「シーズン2」でより大きな目標に挑むと思うとワクワクします。大目標に挑むその時を見据えて、しっかりシーズン2を追いかけていきたいものだなと思いました!
シーズン1の大歓喜をそのまま受け継いで臨むシーズン2っていいですね!
スポーツ見るもの語る者〜フモフモコラム
フモフモ編集長
さまざまなジャンルのスポーツを"お茶の間"目線で語る人気のコラム