いよいよ来年にパリ五輪が迫ってくるなか、全日本体操種目別選手権をリアル観戦して体操ニッポンの「美しい体操」に魅了された件。
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本日はお出掛けの記録です。早くも来年に迫るパリ五輪を見据え、世界に誇る体操ニッポンの選手たちを激励すべく、全日本体操種目別選手権を見てまいりました。体操界隈からすると全日本個人総合かNHK杯をまず見るべきという声も上がりそうですが、激励するのによい日もよくない日もないということで、気にせずにまいります。(※何となく日程が噛み合った)↓本日の会場は、みんな大好き国立競技場代々木第一体育館です!↓おおっ、シンプルにして力強い看板!
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価格:1,500円 (2023/6/12時点)今回の試合は今年9月にベルギーで行なわれる世界選手権の国内選考の最終ステップということで、代表入りを狙う選手たちには気迫と緊張感が漲っています。男子はすでに2022年の世界選手権で団体としてのパリ五輪の出場権を確保していますが、女子はまだこれからという段階。ここで選ばれたメンバーが世界選手権でしっかりと結果を残すことで、パリという大目標が具体的に見えてきます。男子はすでに内定を決めている橋本大輝さんらに加えて2名を、女子は宮田笙子さんら内定済みメンバーに加えて1名をここで選び、堂々世界へと発進する所存です。この日は各種目の決勝が行なわれたわけですが、早速「世界」の演技を見せつけたのは、ゆかを4連覇中の南一輝さん。「ふぁんがすきかってかんがえたさいきょうのゆか」みたいな高難度構成の演技は圧巻の一言。演技中盤にはかつて内村航平さんが世界を制したときの大技リ・ジョンソンも繰り出しました。この時点でも世界選手権の種目別金相当の演技ですが、本人的にはさらにDスコアを上げる算段もあるとのことで、期待は高まるばかり。ゆかの連覇を5まで伸ばした南さんは、跳馬でもロペスを見事に決めて優勝し、種目別2冠を達成しました。ゆかのスペシャリストとしてではなく、五輪団体メンバー入りへの意欲あふれる演技、本番に向けて心強い限りです。↓リ・ジョンソン(後方2回宙返り3回ひねり)からさらに半分ひねる超大技も仕込み中です!It’s official. A 3.5 twisting double back is now in the CoP valued at a H - performed by Kazuki Minami (JPN) pic.twitter.com/dYN8gBpcpD
- Heath Thorpe (@thorpeheath) March 3, 2023男子のあん馬・つり輪、女子の跳馬・段違い平行棒と進んで午前の部が終わると、ステージではリオ五輪団体金メンバーである山室光史さんの引退セレモニーが始まりました。山室さんにメッセージが届いております、との前振りから大型モニターに映像が流れるくだりでは、「内村さんだな」「内村さんだろう」「うん内村さんだね」と会場の誰もが正解を予想するなか、内村さんが自宅の玄関みたいなところで撮影した動画が上映されます。内村さんは山室さんの引退セレモニーだから「あえて」なのか、胸にでっかく「体操クソ馬鹿野郎」の二つ名がプリントされたTシャツ姿で登場。引退セレモニーだって言ってるのに「これは放送禁止で言えないヤツですが…」という高校時代のロシアでの思い出にわざわざ言及するなど、すごく楽しそうです。自身が切り開く新しい体操の未来に、頼もしい助っ人が加わってくれそうな期待感を滲ませるように、涙とは無縁の明るく楽しいはなむけの言葉となりました。その明るさを反映するように、引退のご挨拶ではちょっとした笑いどころも。引退挨拶の中盤で山室さんが強めに「ありがとうございました!」と言ってみたところ、観衆は「ヨシ終わったな」と思って大拍手をし、司会も「ヨシ終わったな」と思って「山室選手に改めて大きな拍手をお願いします!」と挨拶ごと締めちゃったのです。山室さんは慌てて「まだある、まだある」とアピールして挨拶を続行しますが、完全に引退セレモニーではなくコントの空気になりました。まぁコントの空気になるぐらい心はもう未来に向かっているということなのだろうと思います。みんなが悲しくて名残を惜しんでいる状況なら、「ヨシ終わったな」でサッサと切り上げたりはしませんからね。見つめるのは明るい未来だけ、今後のますますのご活躍、期待しております!↓なお、内村さんが言及した言えない思い出は、こんな話だったとのこと!キング #内村航平 が「言えない」と口を閉ざした高校時代の「ロシアでの珍事件」を #山室光史 さんが取材エリアで明かした☟
- 長谷部良太 RyotaHasebe (@beeeryo) June 11, 2023
2人でパスポートを持たずに街ブラ→警官に職質され、留置所のようなところに監禁…→お金を渡したら釈放された。
あわやニュースもの。おそロシア。。。 pic.twitter.com/Ignqiiu2a1おお…そこで二人がロシアに幽閉されていたら、あの数々の思い出はなかったのか…!お金で話が通じる相手でよかった!(←何か違う)さて、いよいよ代表争いが佳境を迎える午後の部。男子が跳馬の競技を進めるなか、女子ではここが焦点となるであろう平均台の競技が始まります。注目は、前日の予選でもDスコアEスコアともに圧倒的な演技を見せていた芦川うららさん。東京五輪にも種目別平均台で出場し、その後の2021年世界選手権では金メダルも獲得している平均台の名手は、チーム貢献度から見ても代表入りが濃厚な存在でした。ところが、そこは魔物がいつも寝そべっている平均台です。練習ではビシッと決まっていた技が何故か本番では上手くバランスを取れず、芦川さんは演技途中で落下してしまいました。これまでの持ち点が活きて代表入りこそ果たしますが、この日は4位という結果に。まぁ逆に考えれば、どんな名手もときどき落下するのが平均台ということ。日本には2022年の世界選手権でこの種目金の渡部葉月さんや同じく銅の宮田笙子さんもいますので、本番では平均台と仲良しになってもらえたら、団体戦にもいい光が差すのかなと思います。上手くチョーンと乗っかったまま止まるように祈っておきます!/
- NHKサンデースポーツ (@nhk_SunSports) June 10, 2023
どうなる代表
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秋の世界選手権へ
残る代表枠は男子2・女子1
最後の選考会#体操 種目別選手権を#村上茉愛 さんが徹底解説!
教え子で最有力候補の1人#芦川うらら 選手と📷 pic.twitter.com/6XNcadr6B4その後、男子は平行棒、女子はゆかの演技へと移っていきますが、女子のゆかではサプライズが。昨年6月に一度は引退したものの、その後競技への思いが再燃して現役復帰をしていた杉原愛子さんが、復帰戦でいきなりの優勝を果たしたのです。4月の全日本、5月のNHK杯ではレポーターをしていた人が、映像審査で全日本種目別に駒を進めてきてしかも勝っちゃうというまさかの展開。Dスコアでは上回る選手もいるなか、着ビタ連発の神演技と、観衆を手拍子で煽るなど競技を楽しむ心で勝ち切りました。この一年は引退していたというよりは「いい休養」だったくらいの感じで、さらなる飛躍が見えてくるような演技でした。そして、個人的にもいい思い出が生まれた大会となりました。大会終了後に会場を出てスマホなど見ておりましたところ、どうやら出口付近で後援者の方々と待ち合わせをしていたらしく、入場客の通用口から普通に杉原さんが出てきたところと出くわしたのです。「そこから普通に出てくるのかーい」と思いつつ、秒で杉原さんであることを察知して、秒で「お疲れ様です!」の無敵ワード(※いつ誰に言ってもアヤしい感じにならずに声掛けできる最強の挨拶)を放り込めたのは、我ながらいい瞬発力だったなと悦に入りました。次の機会があれば、今度は「おめでとうございます!」まで添えられるように頑張ります!↓試合を楽しむ人は強いなと思いました!#第77回全日本体操種目別選手権
- スポニチ写真映像部📷✨ (@Sponichi_Photo) June 11, 2023
女子ゆかで優勝を果たした #杉原愛子 選手
ばきゅーん🫣(撮影・河野 光希)#国立代々木競技場
詳細記事は↓↓↓☺️https://t.co/o5jgLcJ8XB pic.twitter.com/dret3c1AVkそして競技はいよいよ最終種目・男子の鉄棒へ。この種目にはすでに代表入りを決めている橋本大輝さんも出場しておりましたが、五輪金メダリスト何するものぞと各選手が奮闘を見せます。前田楓丞さんはカッシーナからコールマンを連続で成功させるという曲芸のような構成でDスコア6.5の演技を見事に通し切ります。この連続技の浮遊感はオオッと腰が浮くようでした。杉野正尭さんはあまり見る機会がないペガン(※バーを越えながら前方2回宙返り2分の1ひねり)を取り入れた、Dスコア6.6という高難度構成の演技をまとめてきます。こちらもコバチからコールマンの連続など見せ場の多い楽しい演技です。↓冒頭の離れ技がペガンです!前方系の技はあまりやる人がいないので楽しいですね!いずれも、どの国であっても十分その国の1位が狙える演技たちでしたが、さらにそれを上回ったのが、リオ五輪団体金メダルメンバー・33歳の田中佑典さんでした。田中さんの演技はDスコアでは6.2と決して構成が際立って高いというものではないのですが、とにかく姿勢の美しさが際立っていました。カッシーナやコールマンといった離れ技は「鉄棒を掴む」のではなく、空中姿勢のまま伸ばした手が自然とバーに引っ掛かって次の回転につながる流麗さがあります。多くの選手がちょっとした乱れや角度のズレを見せるアドラー系のひねり技も、お手本のように美しい。真っ直ぐな1本の棒のようになる倒立、そのまま自然にまわる車輪、ちょっとしたことで減点される鉄棒にあってEスコア8.9で通してみせる、これぞ「美しい体操」でした。最後の演技者となった橋本大輝さんがリューキン(※伸身トカチェフ1回ひねり)で落下したこともあって、何と田中さんがそのまま優勝。2014年以来の鉄棒日本一ということで、これはまだまだパリの灯も点いているぞと思いましたよね!↓田中体操クラブ、楽しそうで結構です!山室さんが引退セレモニーをやった日にリオの仲間が優勝を見せるとは!年齢を重ねても、美しさは衰えない!そんなこんなで大充実の観戦となった今大会。「世界」を狙える選手がぞろぞろ出てくる体操ニッポンの強さ、改めて噛み締めるようでした。大会終了後の代表発表では女子では芦川うららさんが代表入りし、男子では種目別2冠の南一輝さんと、全日本・NHK杯で好成績を残していた千葉健太さんが代表入りを決めました。パリ五輪へ向けては来年の熱い代表争いがあるわけですが、大本番の前に国内選考が非常に楽しみになる充実ぶりだなと思います。ひとつの着地、ひとつの乱れで運命が分かれる、ひりつく代表争い。来年のお楽しみとしてカレンダーに入れておきますね!↓代表選手決定インタビューで千葉さんが「最初で最後の代表のつもりで…」と言い出したときの会場の引き感、伝えたいです!体操・千葉健太、「お待たせ」初代表 白井、萱らと同期
- 体操競技観戦ガイド[GYM NAVI] (@GYM__NAVI) June 11, 2023
千葉は「ボケたんですけどね」と後で笑った。世界選手権に向けては「最初で最後の代表のつもりで。そうじゃないと今回目指していた人たちにも失礼になる」。遅咲きの思いが伝わってくる決意表明だった。https://t.co/3eXQQL2jx2意気込みは伝わってきたんですけどね!「ここからスタートでしょが!」と一斉に突っ込まれてた感じでしたよ!久々のリアル競技会観戦で「美しい体操」の美しさを改めて実感しました!
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