【この記事の動画を見る】メラニー・スタッブスさん(Melanie Stubbs、58)は昨年12月、友人数人と一緒にニューサウスウェールズ州ブルーマウンテンズ市にあるメガロング渓谷を散策中、フェンスのワイヤーに後ろ脚を挟まれた子
カンガルーに出くわした。
フェンスの反対側には母
カンガルーがいたものの、メラニーさんは「
カンガルーがフェンスを飛び越えてくることも、襲ってくることもないだろう」と、友人と2人で動けなくなっている子
カンガルーの救出を試みた。
当時の様子は別の友人が捉えており、動画ではフェンスに近付いていくメラニーさんが「大丈夫よ。大丈夫。私たちはベイビーを助けようとしているの」と、母
カンガルーに話しかけているのが見て取れる。
すると我が子のそばにいた母
カンガルーはいったんその場から離れるも、その直後、予想外の行動に出たのだった。
なんと、メラニーさんがしゃがみながらフェンスを引っ張り、もう1人がハイキング用のポールをワイヤーの間に入れて子
カンガルーを解放しようとした数秒後、母
カンガルーが低い唸り声を上げ、メラニーさん目がけて突進してきたのだ。
背後にいた友人らは「気を付けて! メル! 気を付けてよ」などと叫んではいるものの、メラニーさんは目の前に迫る母
カンガルーに驚き、尻もちをついてしまう。それでも母
カンガルーの勢いは止まらず、そのままフェンスの下の隙間を擦り抜けると、両脚を広げメラニーさんに飛び掛かった。
メラニーさんは当時のことを「まさか、フェンスの下をくぐって襲ってくるとは思わなかった」と明かし、このように振り返った。
「母
カンガルーはフェンスの下を抜けると、電光石火の速さで私に襲い掛かったの。私は次に何が起きたのかは覚えていないけど、動画では母
カンガルーにキックしているのが分かるわ。次に覚えているのは、うつ伏せになってその場から逃げようとしたこと。そして『助けて!』と叫んだことね。私はリュックを背負っていたけど、私に馬乗りになった母
カンガルーが背中を強打しているのが分かった。本当に最悪だったわ。」
なお母
カンガルーはしばらくするとその場を離れていったそうだが、悪夢はここで終わらず、メラニーさんはこのように語っている。
「ふと自分の脚を見ると、皮膚が裂け筋肉が露わになっていて、立とうとするとふくらはぎの筋肉がぶら下がっていたわ。ただあの時はアドレナリンが出ていたのでしょうね。私は子
カンガルーがいる危険な場所から逃げようと、怪我をした脚を両手で包むようにして移動したの。そうして近くの道路を走っていた車を止め、病院まで届けてもらったの。」
病院での検査の結果、メラニーさんのふくらはぎには骨にまで達する深い傷があることが判明、緊急手術が行われた。しかしその2日後に感染症に罹り、清掃作業の仕事に復帰できたのは2月中旬だったという。
「最初は松葉杖なしでは歩くことができず、感染症には2度罹ったわ。それにあれ以来、悪夢にうなされるようになったの」と明かすメラニーさん。しかし医師には「最悪の場合、命を失っていただろう」と告げられたそうで、「脚の怪我だけで済んだことも、すぐに病院に運ばれたことも幸運だった」と述べている。
ちなみにメラニーさんは、自身の経験を通し「
カンガルーの危険性について多くの人に知ってもらえれば」と注意喚起し、「
カンガルーにはもう近づかないことにするわ。たとえそれが動物園であったとしてもね」と冗談交じりに語った。
この事故を受け『9News』は「怪我をした動物を発見した際はレスキューサービスに連絡して指示に従うように」とアドバイスしており、豪メルボルン大学で生物科学を研究するグレーム・コールソン氏(Graeme Coulson)は、次のように述べた。
「
カンガルーが人を襲うことは珍しいこと。しかし
カンガルーの鋭い爪は深い傷を負わせることが可能なうえ、強力なキックは酷い青あざや内臓損傷の原因になる。もし襲われた場合には、姿勢を低くしてかがみ、
カンガルーの様子を見ながらできるだけ早くその場から逃げること。なぜなら
カンガルーが追ってくる可能性は低いからだ。」
画像は『9News 2023年3月19日付「Sydney woman attacked by kangaroo while trying to rescue joey」(Nine)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)