海外セレブの“ライオンの頭付きドレス”に衝撃、動物愛護団体はなぜか称賛

アメリカのモデル・実業家のカイリー・ジェンナー(25)が、パリコレで着用したドレスが物議を醸している。ライオンの頭部がついたそのドレスは、仏ブランド『スキャパレリ』によるデザインのもので、まるで“本物みたいな頭”はニセモノだという。あまりにもリアルすぎて「見ていて不快」「狩猟を奨励するもの」といった批判の声が相次いでいるが、世界最大規模の動物愛護団体は意外な反応を示している。
◆度肝を抜くファッションに非難の声
今月22日(現地時間)、パリ・ファッション・ウィークが開幕し、スキャパレリがショーのオープニングを飾った。黒いベルベットドレスを着て会場に姿を現したカイリー。なんと、その上半身には巨大で本物そっくりのライオンの頭部が付いていた。
カイリーは自身のSNSでもこの衣装を披露し、ライオンの頭は「レプリカであり、人工的なもの」と強調したうえで、「美しい。美しいわ」と感動をあらわにしている。
けれども、このファッションにネガティブな反応を示した人も少なくなかった。カイリーのインスタグラムをはじめ、ネット上では「これは人を不快にさせる。こんなのファッションじゃない」「動物を虐待しないで」「動物はアクセサリーじゃない」「娯楽のための狩猟を奨励している」などといった非難の声が多数寄せられている。なかには、頭部のレプリカがリアルすぎて、「本物かもしれない」と心を痛めた人もいたようだ。
◆ショーではヒョウやオオカミの頭もお目見え
ただ、動物の頭を着けていたのはカイリーだけではない。今回、スキャパレリのショーに出演したナオミ・キャンベルやイリーナ・シェイクらモデルたちも、ライオンやヒョウ、オオカミといった動物の頭部がついたドレスを着てランウェイを歩いた。
実はこれ、スキャパレリが発表した2023年春夏コレクションのルックで、イタリアの詩人・ダンテの叙事詩『神曲・地獄篇』からインスピレーションを得たものだそう。ショーでモデルたちが着けていたライオンやヒョウ、オオカミの装飾は、『神曲』のなかで登場する三匹の獣を表現したものだという。
またブランドの公式SNSでは、これらのレプリカについて「樹脂、ウール、シルクのフェイクファーで作られたもので、動物には一切危害を加えていません」と説明している。
◆反対するかと思いきや…動物愛護団体の意外な反応
これが模造品で、ブランドのテーマに沿ったファッションとはいえ、リアルファーの廃止やヴィーガンを求める声が高まっているなか、動物の頭を使った作品には納得がいかない。そんな声があちこちから上がっていたが、その一方で、意外な人たちがカイリーを援護射撃した。
アメリカ発祥の動物愛護団体PETA(動物の倫理的扱いを求める人々の会)は、今回の件についてコメントを発表。PETA代表のイングリッド・ニューカーク氏は、波紋を呼んでいるドレスに理解を示した。
「カイリー、ナオミ、イリーナのファッションは、野生動物の美しさを称賛しているものです。これは、人間のエゴイズムを満たすために、ライオンや狼を引き裂くトロフィーハンティング(※)の恐ろしさについて話し合うきっかけを与えてくれるでしょう」
(※)動物の頭部や皮を持ち帰ることを目的とする、娯楽や趣味のための狩猟
「皆さんに考えていただきたいのは、羊毛のために血まみれになった羊や、生きたまま繭の中で煮られる蚕など、ファッションショーのために命を奪われる本物の動物たちのことです」
PETAといえば、昨年12月、渋谷にあるケンタッキーフライドチキンの店舗前に集結し、サンタクロース姿でデモを決行。「クリスマスにチキンを食べるのをやめよう!」と通行に呼びかけて、SNSをざわつかせたことが記憶に新しい。
動物を守るため、ときに過激な行動をとることで知られているPETA。それだけに、今回も痛烈批判するかと思いきや、予想に反してスキャパレリのコレクションに好意的な反応を示している。
◆全身赤&3万個のクリスタル。もう1つの衝撃ルック
このように大論争を呼んだカイリーのファッションだが、彼女のすぐそばに座っていた歌手のドージャ・キャットの衣装も大変な注目を集めた。
頭のてっぺんからつまさきまで、全身燃えるような赤で統一。そして、体のあちこちに3万個のスワロフスキーのクリスタルが散りばめられている。クリスタルは5時間近くかけて、全て手作業でつけられたという。
スキャパレリのショーで、最前列に座っていたというカイリーとドージャ・キャット。特別なゲストが座ることが多い最前列は常に大きな注目を集めるが、今回のショーでは特に際立っていたようだ。
<文/BANG SHOWBIZ、女子SPA!編集部>