●震災が食器棚の見直しのきっかけに
「この食器棚を使い始めて10年くらい。きっかけは2011年の東日本大震災でした」と語る飛田さん。
「当時使っていた食器棚に、特に不便は感じていなくて。アンティークでいいものがあったら替えようかしら、なんて悠長に構えてました。そしたらあの地震が起きて」
オープンタイプだった為、器はほぼ飛び出て、悉く割れてしまったそう。
「これはいかん!と一年発起。思い切って、リビングのスペースに合わせた食器棚をフルオーダーしました」。
教訓を生かし「引き戸にしたい」という希望だけ伝え、後はプロの手にお任せ。
●収納法は上・中・下のゆるゾーニングで。
上段にはとにかく軽いもの
木の器やかご類、タッパーなど、軽いものはごそっと上段に。ちなみに棚の上と天井の空きスぺースには、お正月用の箱入りの漆器や普段使わないトースターを。
●一番目につく中段は、普段使いのアイテムを
普段使いするものは、取り出しやすい中段に。右側にはお椀類、取り皿や小皿、薬味入れなどを。左側はグラスやマグなど飲み物に関わるアイテムのゾーン。
●引き出しも、ざっくり収納
3つある中段の引き出しも用途別。「お弁当箱」「ぐい呑みや湯呑み」「ストローやピック、ろうそくなどの細かいグッズ」とざっくり分けで。
●下段は重いもの&頻度の低いものに
一番下は土鍋や大皿、お盆など、重さがあったり、使用頻度が低いものをまとめて。
●飛田さん流・器を選ぶ3つのコツ
(1)ときめきを大事に
「器を手に取った時、あの料理を盛りつけたいなとイメージできたら、それは買い!」
(2)アドバイスは素直に従う
「フードスタイリストの友人達は、いわば器の目利きのプロ。その時はピンと来なくても、後からなるほど!となることが多いんです」
(3)安定感も大事
「昔は薄手や不安定なものでも素敵であればよし、としてました。けれど年齢を重ねて倒れやすいものや、使う時にお客さんに気を遣わせるものは違うなと思うように。今では安定感重視!」
●飛田さんのお気に入りの器・3選
器はまんべんなく使うという飛田さん。料理と一緒で、その時のマイブームがあるのだとか。今、特にお気に入りがこの3つ。
林拓児さんの貫入石皿
「鎌倉のギャラリー・夏椿で購入。20年来の付き合いのスタイリスト・久保原恵理さんに勧められました。直径20?サイズがワンプレートにちょうどよくって。ほどよく立ち上がりがあるので、さじが絶妙にフィットします。一番登場回数が多いんじゃないかしら」
●坂野友紀さんのアルマイトボウル
「岡山の金工作家・坂野さんのもの。年に数度行われる、オンラインの抽選販売でゲットしました。直径28?と大きめですが、とにかく軽くて扱いがラク。直火にかけられるので、しゃぶしゃぶや湯豆腐にも使えます」
●小山乃文彦さんのみかん灰粉引リム皿
「アンティーク風の24?の大皿は、常滑の作家・小山乃さんのもの。スタイリスト・久保百合子さんに〈飛田さんの料理に合うから!〉と太鼓判を押されて。これが何を盛っても様になる。朝ごはんから金目の煮つけのようなおかずまで、全部受け止めてくれます」
●番外編「三谷龍二さんの木のボード」
「こればっかりは食器棚に入らないのよね〜」と笑いながら見せてくれたのが、大人気木工作家・三谷さんの木のボード。長さは飛田さんの身長とほぼ同じの153?! 大抵オブジェと勘違いされるそうですが、庭でのバーベキューやピクニックの時に活躍するそう。
●器は年に一度点検→思い切ってリリース!
器の総数は、怖くて数えたことがない(笑)と語る、飛田さん。
けれど御覧の通り、食器棚は驚くほどすっきり。それには理由があるのだとか。
「年に1度、器の総点検をします。そして友人や知り合いが遊びに来た時に、ごそっと大放出するの。後であれ使いたかったなぁ…なんて後悔する時もあるけれど、それはそれ。渡した友人から、こんな風に使ってるよって教えてもらうのもうれしかったり。何より思い切って手放さないと、新しいものが入ってこれないでしょ。余白が大事なんです」。
素敵だけれど、ほどよく抜け感があってチャーミング。
飛田さんらしい食器棚、いかがでしたか? ぜひあなたの食器棚のアイディアに取り入れてみて。
飛田和緒さん
相模湾を見渡す高台で夫と娘の3人暮らし。シンプルで気のきいたレシピにファンが多い。『がんばらない、無理しない いちばんおいしい野菜の食べ方』が好評発売中。
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