「いつチャンスが来てもいいような準備はしてましたし、今日も初めてピッチに立たせてもらって、もちろん緊張はしましたけど、比較的落ち着いてゲームに入ることができました」
「このスペイン戦で勝点3を撮って決勝トーナメントに進出するというタスクをしっかり達成できたので、とにかく今はうれしいです」
スペイン戦も苦しい戦いだった。11分、谷口、鎌田大地、守田英正の3人のマークがハッキリしなくなり、そこから上げられたクロスをモラタに先制点を奪われる。あまりに早い時間の失点に、日本の守備陣の崩壊が心配された。
だが、日本は決して焦ることなく2失点目を避けるための守備を続ける。負けているチームが淡泊な攻めを繰り返すために、すでに勝負は付いたかに思われた。だが日本代表はそう思っていなかった。
「こういう相手でもとにかく無失点の時間を長くするということは共通意識を持って入りましたけど、先に失点してしまって。でも0-1でも我慢強く戦うというのはみんなで試合前から話していたことで、最少失点に抑えながらとにかくチャンスを待つということはできたと思います」
そして後半、日本は動く。「後半は行き方、はめ方も変えて行くぞといわれて、みんなで頭を合わせて入れました」。
効果はたちまち出た。48分、堂安律のドリブルシュートが決まって日本は同点に追いついたのだ。谷口はその瞬間、雰囲気が変わったのを感じていた。
「律のシュートが入って、僕たちも会場の空気もドイツ戦を彷彿とさせるように変わったので、これは行けるぞという気持になりました」
その流れのまま日本は攻め続け、51分、
三笘薫がゴールラインギリギリから上げたクロスを田中碧が押し込んで日本はついに逆転した。
あとはしっかり守らなければならない。強烈な攻撃陣を誇るスペインに対し、谷口は守田や
三笘薫という川崎フロンターレでチームメイトだった選手との連携して、フェラン・トーレスやアセンシオが攻略しようとしていた日本左サイドにしっかりフタをした。
ドイツ戦では3バックの左に入った冨安健洋にコンディション不安がある現在、谷口が初出場で活躍できたのはベスト16のクロアチア戦に向けて大きな収穫となった。うれしかったのは谷口だけではなく、森保監督もそう思ったことだろう。
【文:森雅史@ドーハ/日本蹴球合同会社】